JP2006169147A - 重合性不飽和カルボン酸エステル、高分子化合物、フォトレジスト用樹脂組成物及び半導体の製造法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は半導体の微細加工などを行う際に用いるフォトレジスト用の高分子化合物のモノマーとして使用できる重合性不飽和カルボン酸エステル、該重合性不飽和カルボン酸エステルに対応するモノマー単位を含む高分子化合物、該高分子化合物を含有するフォトレジスト用樹脂組成物、及び該フォトレジスト用樹脂組成物を用いた半導体の製造法に関する。
半導体製造工程で用いられるフォトレジスト用樹脂は、基板密着性を示す部分と、露光によって光酸発生剤から発生する酸により脱離してアルカリ現像液に対して可溶になる部分が必要であるとともに、ドライエッチング耐性をも具備している必要がある。
従来、ArFレジスト用樹脂に使用される酸脱離性ユニットは、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートに代表される脂環式骨格を含有する第3級エステルにより形成されるユニットである(例えば特許文献1等)。しかし、このような酸脱離性ユニットは極性が非常に低いため、該ユニットを含有するポリマーはレジスト溶剤、特に毒性が低いなどの点から一般的、標準的に用いられるようになったプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解しにくいという難点があった。また、基板密着性を付与するために好ましく用いられるラクトン骨格を含有する単量体と、前記酸脱離性ユニットに対応する単量体とを共重合させると、前者は極性が高く後者は極性が低いので、単量体が均一に重合せず単量体組成分布に偏りのあるポリマーが生成しやすく、そのため高いレジスト性能が得られないという問題もあった。
従って、本発明の目的は、適度な極性を有する酸脱離性ユニットを形成するのに有用な重合性不飽和カルボン酸エステルを提供することにある。
本発明の他の目的は、酸脱離により優れたアルカリ可溶性を示すとともに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のレジスト溶剤に対して溶解性の高い高分子化合物と、該高分子化合物を含むフォトレジスト用樹脂組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、前記特性に加えて、優れたドライエッチング耐性、基板密着性、アルカリ現像液親和性を示す高分子化合物と、該高分子化合物を含むフォトレジスト用樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、微細なパターンを精度よく形成できるフォトレジスト用樹脂組成物及び半導体の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、酸脱離により優れたアルカリ可溶性を示すとともに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のレジスト溶剤に対して溶解性の高い高分子化合物と、該高分子化合物を含むフォトレジスト用樹脂組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、前記特性に加えて、優れたドライエッチング耐性、基板密着性、アルカリ現像液親和性を示す高分子化合物と、該高分子化合物を含むフォトレジスト用樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、微細なパターンを精度よく形成できるフォトレジスト用樹脂組成物及び半導体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、脂環式炭素骨格と環状エーテル骨格とを併有する特定構造の重合性不飽和カルボン酸エステルを重合させると、適度な極性を有する酸脱離性ユニットを形成でき、レジスト溶剤に対する溶解性に優れたフォトレジスト用の高分子化合物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記式(1a)又は(1b)
(式中、Raは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロアルキル基を示す。Rb、Rc、Rdは、同一又は異なって、アルキル基、ハロアルキル基又はシクロアルキル基を示す。環Z1、環Z2はそれぞれ、少なくとも脂環式炭素環とエーテル酸素原子を含む多環を示す。環Z1、環Z2は置換基を有していてもよい)
で表される重合性不飽和カルボン酸エステルを提供する。
で表される重合性不飽和カルボン酸エステルを提供する。
本発明は、また、下記式(Ia)又は(Ib)
(式中、Raは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロアルキル基を示す。Rb、Rc、Rdは、同一又は異なって、アルキル基、ハロアルキル基又はシクロアルキル基を示す。環Z1、環Z2はそれぞれ、少なくとも脂環式炭素環とエーテル酸素原子を含む多環を示す。環Z1、環Z2は置換基を有していてもよい)
で表されるモノマー単位を含む高分子化合物を提供する。
で表されるモノマー単位を含む高分子化合物を提供する。
前記高分子化合物は、さらに、ラクトン骨格を有するモノマー単位を含んでいてもよい。該ラクトン骨格を有するモノマー単位として、下記式(IIa)〜(IIe)
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロアルキル基を示す。X1、X2及びX3は、同一又は異なって、−CH2−又は−CO−O−を示す。但し、X1、X2及びX3のうち少なくとも1つは−CO−O−である。R1、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示す。R4及びR5は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示す。R6、R7、R8、R9及びR10は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示す。R11、R12、R13及びR14は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示す。o、p、q及びtは、それぞれ、0又は1を示す)
から選択された少なくとも1種のモノマー単位を用いることができる。
から選択された少なくとも1種のモノマー単位を用いることができる。
本発明は、また、前記高分子化合物と光酸発生剤とを少なくとも含むフォトレジスト用樹脂組成物を提供する。
本発明は、さらに、前記フォトレジスト用樹脂組成物を基材又は基板上に塗布してレジスト塗膜を形成し、露光及び現像を経てパターンを形成する工程を含む半導体の製造方法を提供する。
本発明によれば、適度な極性を有する酸脱離性ユニットを形成するのに有用な新規な重合性不飽和カルボン酸エステルが提供される。本発明の高分子化合物及びフォトレジスト用樹脂組成物によれば、酸脱離により優れたアルカリ可溶性を示すとともに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のレジスト溶剤に対して高い溶解性を示す。また、優れたドライエッチング耐性、基板密着性、アルカリ現像液親和性を示す。さらに、本発明によれば、半導体の製造において、微細なパターンを精度よく形成できる。
[重合性不飽和カルボン酸エステル]
本発明の重合性不飽和カルボン酸エステルは、前記式(1a)又は(1b)で表される。式中、Raは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロアルキル基を示す。Rb、Rc、Rdは、同一又は異なって、アルキル基又はシクロアルキル基を示す。環Z1、環Z2はそれぞれ、少なくとも脂環式炭素環とエーテル酸素原子(エーテル結合を構成する酸素原子)とを含む多環を示す。環Z1、環Z2はラクトン環を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
本発明の重合性不飽和カルボン酸エステルは、前記式(1a)又は(1b)で表される。式中、Raは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロアルキル基を示す。Rb、Rc、Rdは、同一又は異なって、アルキル基又はシクロアルキル基を示す。環Z1、環Z2はそれぞれ、少なくとも脂環式炭素環とエーテル酸素原子(エーテル結合を構成する酸素原子)とを含む多環を示す。環Z1、環Z2はラクトン環を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
Raにおけるハロゲン原子には、フッ素、塩素、臭素原子などが含まれる。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル基などが挙げられる。炭素数1〜6のハロアルキル基としては、前記炭素数1〜6のアルキル基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換した基、例えば、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、テトラフルオロエチル、2,2,3,3,3−テトラフルオロプロピル基などが挙げられる。Raとしては水素原子、メチル基が特に好ましい。
Rb、Rc、Rdにおけるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、ヘキシル基などの炭素数1〜6(好ましくは1〜4)程度のアルキル基が挙げられる。ハロアルキル基としては、前記アルキル基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換した基、例えば、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、テトラフルオロエチル、2,2,3,3,3−テトラフルオロプロピル基などの炭素数1〜6(好ましくは1〜4)程度のハロアルキル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などの3〜15員(好ましくは3〜8員)程度のシクロアルキル基が挙げられる。Rb、Rcのうち少なくとも一方は、式中に示される炭素原子に隣接する炭素原子に水素原子が結合している。
環Z1、環Z2において、少なくとも脂環式炭素環とエーテル酸素原子を含む多環としては、(i)橋架け炭素環の環を構成する炭素原子の少なくとも1つがエーテル酸素原子に置き換わった橋架け環(オキシラン環、オキセタン環、オキソラン環、オキサン環、オキセパン環等と脂環式環とからなる多環)、(ii)スピロ炭素環の環を構成する炭素原子の少なくとも1つがエーテル酸素原子に置き換わったスピロ環、(iii)炭化水素環集合の環を構成する炭素原子の少なくとも1つがエーテル酸素原子に置き換わった環集合などが挙げられる。
環Z1、環Z2は置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えば、メチル、エチル基等のアルキル基(例えば、C1-4アルキル基など)、トリフルオロメチル基などのハロアルキル基(例えば、C1-4ハロアルキル基など)、塩素原子やフッ素原子等のハロゲン原子、酸素原子含有基(例えば、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基など)、窒素原子含有基(例えば、保護基で保護されていてもよいアミノ基など)、硫黄原子含有基(例えば、保護基で保護されていてもよいメルカプト基、保護基で保護されていてもよいスルホン酸基など)などが挙げられる。保護基としては有機合成の分野で慣用の保護基を使用できる。
本発明の重合性不飽和カルボン酸エステルは、公知のエステル合成反応を利用することにより製造できる。例えば、対応する重合性不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体(酸ハライド等)と、対応する環Z1又は環Z2を含むアルコールとをエステル化反応に付すことにより、式(1a)又は式(1b)で表される化合物を製造できる。また、特開2002−173466号公報に記載されているように、対応する環Z1又は環Z2を含むアルコールを、有機金属化合物(例えば、メチルマグネシウムブロミド等の有機マグネシウム化合物やブチルリチウム等の有機リチウム化合物など)及び対応する重合性不飽和カルボン酸ハライドと反応させることにより、式(1a)又は式(1b)で表される化合物を製造することもできる。
式(1a)又は(1b)で表される代表的な化合物として、下記式(2)〜(5)で表される化合物が挙げられる。式中、Raは前記に同じである。
[高分子化合物]
本発明の高分子化合物は、前記式(Ia)又は(Ib)で表されるモノマー単位(繰り返し単位)(以下、「モノマーユニット1」と称することがある)を含んでいる。式中、Ra、Rb、Rc、環Z1、環Z2は前記と同じである。環Z1、環Z2は前記と同様の置換基を有していてもよい。本発明の高分子化合物は式(Ia)で表されるモノマー単位と式(Ib)で表されるモノマー単位の両方を有していてもよい。
本発明の高分子化合物は、前記式(Ia)又は(Ib)で表されるモノマー単位(繰り返し単位)(以下、「モノマーユニット1」と称することがある)を含んでいる。式中、Ra、Rb、Rc、環Z1、環Z2は前記と同じである。環Z1、環Z2は前記と同様の置換基を有していてもよい。本発明の高分子化合物は式(Ia)で表されるモノマー単位と式(Ib)で表されるモノマー単位の両方を有していてもよい。
モノマーユニット1は前記式(1a)又は(1b)で表される重合性不飽和カルボン酸エステルを重合に付することにより形成される。このモノマーユニット1はエステルの酸素原子が第3級炭素原子に結合しているため、酸発生剤より発生した酸により分解、脱離してカルボキシル基が生成するので、アルカリ現像の際、現像液に可溶となる。従って、このモノマーユニット1は酸脱離性ユニット(アルカリ可溶性ユニット)として機能する。また、このモノマーユニット1はエーテル酸素原子を有しているので、ポリマーに極性、親水性を付与でき、ポリマーの親水性、溶剤溶解性、基板密着性、アルカリ現像液親和性などの特性を向上できる。特に、レジスト溶剤として好適なプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などに対する溶解性が向上するため、レジスト調製時の作業性が改善されるだけでなく、レジスト溶剤不溶分による不具合、トラブルの発生を防止できる。
さらに、従来の酸脱離性ユニットでは対応する単量体の極性が極めて低いことから、基板密着性を付与するために用いられる極性の高いラクトン骨格を含有する単量体等と共重合させる際に、ポリマーの単量体組成の均一性を高めるため、ヒドロキシル基を有する脂環式骨格を含む単量体等の中間の極性を有する単量体を第3のモノマーとして多量に用いていたが、前記モノマーユニット1によれば、対応する単量体が適度な極性を有するため、前記第3のモノマー成分を多量に用いる必要がない。液浸下で露光を行うウエット露光法においては、ヒドロキシル基を含むモノマーユニットを有するポリマーをレジスト用樹脂として用いると、レジスト膜に水が浸透するためか、レジスト膜が膨潤したり厚みむらが発生し、鮮明で且つ精度の高いパターンが得られにくいという問題があるが、上記のように、前記モノマーユニット1によれば、ヒドロキシル基を有する単量体を多量に用いる必要がないため、レジスト膜の膨潤等を抑制又は防止できる。従って、本発明の高分子化合物は液浸露光用フォトレジスト用高分子化合物としても有用である。
モノマーユニット1の割合は全モノマー単位に対して、例えば10〜100モル%、好ましくは20〜90モル%、さらに好ましくは30〜80モル%である。モノマーユニット1の割合が10モル%以下では、露光部と未露光部の現像液に対する溶解コントラストが弱くなるために解像性が悪くなる。
本発明の高分子化合物は、上記モノマーユニット1に加えて、ラクトン骨格を有するモノマー単位(以下、「モノマーユニット2」と称することがある)を含むことも好ましい。モノマーユニット2は極性及び親水性の高い−COO−基を有するため、基板密着性ユニットとして機能する。
ラクトン骨格を有するモノマー単位としては特に限定されず、例えば、フォトレジスト用高分子化合物に用いられる公知のラクトン骨格を有するモノマー単位を採用できる。本発明の高分子化合物は、これらのモノマー単位を1種有していてもよく、2種以上有していてもよい。
ラクトン骨格を有するモノマー単位として好ましいモノマー単位には、前記式(IIa)〜(IIe)で表されるモノマー単位が含まれる。式(IIa)〜(IIe)におけるRは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロアルキル基を示す。ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基としては、Raにおけるハロゲン原子等と同様のものを使用できる。
本発明の高分子化合物は、上記モノマーユニット1、又はモノマーユニット1及び2に加えて、レジスト用樹脂として必要な特性を具備するため、さらに他のモノマー単位(繰り返し単位)を含んでいてもよい。このようなモノマー単位として、例えば、下記式(IIIa)〜(IIId)で表されるモノマー単位(以下、「モノマーユニット3」と称することがある)が挙げられる。
式(IIIa)〜(IIId)におけるRは前記と同様である。式(IIIb)中、R18における炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状、環状若しくは有橋環状炭化水素基(橋かけ環式基)としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、オクタデシル基などの炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状脂肪族炭化水素基(特にアルキル基);シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル基などの炭素数3〜20のシクロアルキル又はシクロアルケニル基;パーヒドロインデン環、パーヒドロフルオレン環、パーヒドロナフタレン環(デカリン環)、パーヒドロアントラセン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環、ピナン環、ボルナン環、イソボルニラン環、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン環等に対応する炭素数6〜20の有橋環状炭化水素基(橋かけ環式炭化水素基);トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメチル基、2−ノルボルニルメチル基などの前記各炭化水素基を結合した基などが挙げられる。これらの炭化水素基は、アルキル基、ハロゲン原子、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシメチル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基(例えば、カルボキシル基、t−ブチルオキシカルボニル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル基、2−オキセパニルオキシカルボニル基等)、オキソ基などの置換基を有していてもよい。前記保護基としては、有機合成の分野で慣用の保護基を使用できる。
前記式(IIIa)で表されるモノマー単位は、アダマンタン骨格に親水性の高い基(ヒドロキシル基、カルボキシル基、オキソ基)が結合しているため、基板への密着性を高める機能を有する。また、式(IIIa)、(IIIb)(R18が環状又は有橋環状炭化水素基であるもの)、及び(IIId)で表されるモノマー単位は脂環式炭素骨格を有するため、透明性、耐エッチング性等の向上に寄与する。式(IIIb)(R18が水素原子であるもの)、(IIIc)、(IIId)(R19がヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はカルボキシル基であるもの)で表されるモノマー単位は親水性基を含んでおり、密着性付与機能を有する。このように、これらのモノマー単位はその構造に基づいて種々の機能を付与できるため、上記各モノマー単位をポリマー中に組み込むことにより、レジスト用樹脂として必要な諸特性のバランスを用途に応じて微調整できる。
本発明の高分子化合物の好ましい態様では、モノマーユニット2の含有量は、ポリマーを構成するモノマーユニット全体に対して、例えば0〜50モル%、好ましくは10〜40モル%、さらに好ましくは15〜35モル%程度である。また、モノマーユニット3の含有量は、ポリマーを構成するモノマーユニット全体に対して、例えば0〜30モル%、好ましくは5〜25モル%、さらに好ましくは10〜20モル%程度である。本発明の高分子化合物は、さらに他のモノマーユニット、例えば、モノマーユニット1以外の酸脱離性ユニット(アルカリ可溶性ユニット)などを含んでいてもよい。
本発明の高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、例えば5000〜50000程度、好ましくは7000〜20000程度であり、分子量分布(Mw/Mn)は、例えば1.2〜3.5程度である。なお、前記Mnは数平均分子量を示し、Mn及びMwともにポリスチレン換算の値である。
式、(IId)、(IIIc)及び(IIId)で表される各モノマー単位は、それぞれ対応するエチレン性不飽和化合物を(コ)モノマーとして、また、式(IIa)〜(IIc)、(IIe)、(IIIa)、(IIIb)で表される各モノマー単位は、それぞれ対応する(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸又はそのエステルを(コ)モノマーとして重合に付すことにより形成できる。
[式(IIa)のモノマー単位]
前記式(IIa)のモノマー単位に対応するモノマーの代表的な化合物には下記の化合物が含まれる。1−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−5−オン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−4,7−ジオキサトリシクロ[4.4.1.13,9]ドデカン−5,8−ジオン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−4,8−ジオキサトリシクロ[4.4.1.13,9]ドデカン−5,7−ジオン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−5,7−ジオキサトリシクロ[4.4.1.13,9]ドデカン−4,8−ジオン。
前記式(IIa)のモノマー単位に対応するモノマーの代表的な化合物には下記の化合物が含まれる。1−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−5−オン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−4,7−ジオキサトリシクロ[4.4.1.13,9]ドデカン−5,8−ジオン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−4,8−ジオキサトリシクロ[4.4.1.13,9]ドデカン−5,7−ジオン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−5,7−ジオキサトリシクロ[4.4.1.13,9]ドデカン−4,8−ジオン。
[式(IIb)のモノマー単位]
前記式(IIb)のモノマー単位に対応するモノマーの代表的な化合物には下記の化合物が含まれる。2−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5−オン[=5−(メタ)アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン]、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチル−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5−オン。
前記式(IIb)のモノマー単位に対応するモノマーの代表的な化合物には下記の化合物が含まれる。2−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5−オン[=5−(メタ)アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン]、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチル−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5−オン。
[式(IIc)のモノマー単位]
前記式(IIc)のモノマー単位を形成するモノマーの代表的な例として下記化合物が挙げられる。α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−α,β,β−トリメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−α,γ,γ−トリメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−β,β,γ,γ−テトラメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−α,β,β,γ,γ−ペンタメチル−γ−ブチロラクトン。
前記式(IIc)のモノマー単位を形成するモノマーの代表的な例として下記化合物が挙げられる。α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−α,β,β−トリメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−α,γ,γ−トリメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−β,β,γ,γ−テトラメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−α,β,β,γ,γ−ペンタメチル−γ−ブチロラクトン。
[式(IId)のモノマー単位]
前記式(IId)のモノマー単位を形成するモノマーの代表的な例には下記の化合物が含まれる。4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−エン−5−オン、3−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−エン−4−オン、5−オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−9−エン−6−オン、4−オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−9−エン−5−オン、4−オキサペンタシクロ[6.5.1.19,12.02,6.08,13]ペンタデカン−10−エン−5−オン、3−オキサペンタシクロ[6.5.1.19,12.02,6.08,13]ペンタデカン−10−エン−4−オン、5−オキサペンタシクロ[6.6.1.110,13.02,7.09,14]ヘキサデカン−11−エン−6−オン、4−オキサペンタシクロ[6.6.1.110,13.02,7.09,14]ヘキサデカン−11−エン−5−オン。
前記式(IId)のモノマー単位を形成するモノマーの代表的な例には下記の化合物が含まれる。4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−エン−5−オン、3−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−エン−4−オン、5−オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−9−エン−6−オン、4−オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−9−エン−5−オン、4−オキサペンタシクロ[6.5.1.19,12.02,6.08,13]ペンタデカン−10−エン−5−オン、3−オキサペンタシクロ[6.5.1.19,12.02,6.08,13]ペンタデカン−10−エン−4−オン、5−オキサペンタシクロ[6.6.1.110,13.02,7.09,14]ヘキサデカン−11−エン−6−オン、4−オキサペンタシクロ[6.6.1.110,13.02,7.09,14]ヘキサデカン−11−エン−5−オン。
[式(IIe)のモノマー単位]
前記式(IIe)のモノマー単位を形成するモノマーの代表的な例には下記の化合物が含まれる。8−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−5−オン[=9−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン]、9−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−5−オン[=8−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン]、8−(メタ)アクリロイルオキシ−9−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−5−オン[=9−(メタ)アクリロイルオキシ−8−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン]、9−(メタ)アクリロイルオキシ−8−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−5−オン[=8−(メタ)アクリロイルオキシ−9−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン]、8−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−4−オン、9−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−4−オン、9−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−3−オン、10−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−3−オン、9−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−5−オン、10−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−5−オン。
前記式(IIe)のモノマー単位を形成するモノマーの代表的な例には下記の化合物が含まれる。8−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−5−オン[=9−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン]、9−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−5−オン[=8−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン]、8−(メタ)アクリロイルオキシ−9−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−5−オン[=9−(メタ)アクリロイルオキシ−8−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン]、9−(メタ)アクリロイルオキシ−8−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−5−オン[=8−(メタ)アクリロイルオキシ−9−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン]、8−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−4−オン、9−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−4−オン、9−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−3−オン、10−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−3−オン、9−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−5−オン、10−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン−5−オン。
[式(IIIa)のモノマー単位]
前記式(IIIa)のモノマー単位を形成するモノマーの代表的な例には下記の化合物が含まれる。1−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ジヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−カルボキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ジカルボキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−カルボキシ−3−ヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキソアダマンタン、3−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキソアダマンタン、7−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキソアダマンタン。
前記式(IIIa)のモノマー単位を形成するモノマーの代表的な例には下記の化合物が含まれる。1−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ジヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−カルボキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ジカルボキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−カルボキシ−3−ヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキソアダマンタン、3−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキソアダマンタン、7−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキソアダマンタン。
[式(IIIb)のモノマー単位]
前記式(IIIb)のモノマー単位を形成するモノマーの代表的な例には下記の化合物が含まれる。(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸デカヒドロナフチル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル、(メタ)アクリル酸テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル。これらの化合物のR18に相当する基に、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、カルボキシル基又はオキソ基などの置換基が結合している化合物も好ましい。
前記式(IIIb)のモノマー単位を形成するモノマーの代表的な例には下記の化合物が含まれる。(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸デカヒドロナフチル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル、(メタ)アクリル酸テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル。これらの化合物のR18に相当する基に、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、カルボキシル基又はオキソ基などの置換基が結合している化合物も好ましい。
[式(IIIc)のモノマー単位]
前記式(IIIc)のモノマー単位を形成するモノマーには無水マレイン酸が含まれる。
前記式(IIIc)のモノマー単位を形成するモノマーには無水マレイン酸が含まれる。
[式(IIId)のモノマー単位]
前記式(IIId)のモノマー単位を形成するモノマーの代表的な例として下記化合物が挙げられる。ノルボルネン、5−ヒドロキシ−2−ノルボルネン。
前記式(IIId)のモノマー単位を形成するモノマーの代表的な例として下記化合物が挙げられる。ノルボルネン、5−ヒドロキシ−2−ノルボルネン。
本発明の高分子化合物を得るに際し、モノマー混合物の重合は、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合、乳化重合など、アクリル系ポリマー等を製造する際に用いる慣用の方法により行うことができるが、特に、溶液重合が好適である。さらに、溶液重合のなかでも滴下重合が好ましい。滴下重合は、具体的には、例えば、(i)予め有機溶媒に溶解した単量体溶液と、有機溶媒に溶解した重合開始剤溶液とをそれぞれ調製し、一定温度に保持した有機溶媒中に前記単量体溶液と重合開始剤溶液とを各々滴下する方法、(ii)単量体と重合開始剤とを有機溶媒に溶解した混合溶液を、一定温度に保持した有機溶媒中に滴下する方法、(iii)予め有機溶媒に溶解した単量体溶液と、有機溶媒に溶解した重合開始剤溶液とをそれぞれ調製し、一定温度に保持した前記単量体溶液中に重合開始剤溶液を滴下する方法などの方法により行われる。
重合溶媒としては公知の溶媒を使用でき、例えば、エーテル(ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等グリコールエーテル類などの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルなど)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル類など)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、アミド(N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド(ジメチルスルホキシドなど)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノールなど)、炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素など)、これらの混合溶媒などが挙げられる。また、重合開始剤として公知の重合開始剤を使用できる。重合温度は、例えば30〜150℃程度の範囲で適宜選択できる。
重合により得られたポリマーは、沈殿又は再沈殿により精製できる。沈殿又は再沈殿溶媒は有機溶媒及び水の何れであってもよく、また混合溶媒であってもよい。沈殿又は再沈殿溶媒として用いる有機溶媒として、例えば、炭化水素(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素)、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素など)、ニトロ化合物(ニトロメタン、ニトロエタンなど)、ニトリル(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、エーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタンなどの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトンなど)、エステル(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、カーボネート(ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなど)、カルボン酸(酢酸など)、これらの溶媒を含む混合溶媒等が挙げられる。
中でも、前記沈殿又は再沈殿溶媒として用いる有機溶媒として、少なくとも炭化水素(特に、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素)を含む溶媒が好ましい。このような少なくとも炭化水素を含む溶媒において、炭化水素(例えば、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素)と他の溶媒との比率は、例えば前者/後者(体積比;25℃)=10/90〜99/1、好ましくは前者/後者(体積比;25℃)=30/70〜98/2、さらに好ましくは前者/後者(体積比;25℃)=50/50〜97/3程度である。
本発明のフォトレジスト用樹脂組成物は、前記本発明の高分子化合物と光酸発生剤とを含んでいる。
光酸発生剤としては、露光により効率よく酸を生成する慣用乃至公知の化合物、例えば、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩(例えば、ジフェニルヨードヘキサフルオロホスフェートなど)、スルホニウム塩(例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネートなど)、スルホン酸エステル[例えば、1−フェニル−1−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ−1−ベンゾイルメタン、1,2,3−トリスルホニルオキシメチルベンゼン、1,3−ジニトロ−2−(4−フェニルスルホニルオキシメチル)ベンゼン、1−フェニル−1−(4−メチルフェニルスルホニルオキシメチル)−1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルメタンなど]、オキサチアゾール誘導体、s−トリアジン誘導体、ジスルホン誘導体(ジフェニルジスルホンなど)、イミド化合物、オキシムスルホネート、ジアゾナフトキノン、ベンゾイントシレートなどを使用できる。これらの光酸発生剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
光酸発生剤の使用量は、光照射により生成する酸の強度や前記高分子化合物における各モノマー単位(繰り返し単位)の比率などに応じて適宜選択でき、例えば、前記高分子化合物100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは1〜25重量部、さらに好ましくは2〜20重量部程度の範囲から選択できる。
フォトレジスト用樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(例えば、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、カルボキシル基含有樹脂など)などのアルカリ可溶成分、着色剤(例えば、染料など)、有機溶媒(例えば、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、エステル類、アミド類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、カルビトール類、グリコールエーテルエステル類、これらの混合溶媒など)などを含んでいてもよい。
このフォトレジスト用樹脂組成物を基材又は基板上に塗布し、乾燥した後、所定のマスクを介して、塗膜(レジスト膜)に光線を露光して(又は、さらに露光後ベークを行い)潜像パターンを形成し、次いで現像することにより、微細なパターンを高い精度で形成できる。露光を、液浸型露光装置を用いて液浸下で行うこともできる。
基材又は基板としては、シリコンウエハ、金属、プラスチック、ガラス、セラミックなどが挙げられる。フォトレジスト用樹脂組成物の塗布は、スピンコータ、ディップコータ、ローラコータなどの慣用の塗布手段を用いて行うことができる。塗膜の厚みは、例えば0.01〜20μm、好ましくは0.05〜2μm程度である。
露光には、種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線などが利用でき、半導体レジスト用では、通常、g線、i線、エキシマレーザー(例えば、XeCl、KrF、KrCl、ArF、ArCl、F2、Kr2、KrAr、Ar2など)などが使用される。露光エネルギーは、例えば0.1〜1000mJ/cm2程度である。
光照射により光酸発生剤から酸が生成し、この酸により、例えば前記高分子化合物の酸脱離性基を有するモノマー単位(アルカリ可溶性ユニット)のカルボキシル基等の保護基(脱離性基)が速やかに脱離して、可溶化に寄与するカルボキシル基等が生成する。そのため、水又はアルカリ現像液による現像により、所定のパターンを精度よく形成できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
製造例1
撹拌機、温度計を備えたフラスコに、下記式(6)
で表される8−ヒドロキシ−1,4−シネオール131g、テトラヒドロフラン(THF)1200mlを加え、窒素気流中で撹拌した。水浴下、これに滴下ロートを用いてn−ブチルリチウムの1.50Mヘキサン溶液567mlを2時間かけて滴下し、さらに1時間熟成した。これに、メタクリル酸クロライド88gのTHF(300ml)溶液を1時間かけて滴下し、さらに1時間熟成した。この反応混合液を、純水、10重量%炭酸ナトリウム水溶液、10重量%塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄した後、減圧下で溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、下記式(7)で表される8−メタクリロイルオキシ−1,4−シネオールを120g得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.4-1.5(m, 9H), 1.6-1.7(m, 8H), 1.9(m, 3H), 5.5(d, 1H), 6.1(d, 1H)
なお、原料として用いた8−ヒドロキシ−1,4−シネオールは特開昭59−88429号公報の実施例4に記載の方法[1,4−シネオールの有機過酸(m−クロロ安息香酸)による酸化]に従って合成した。
撹拌機、温度計を備えたフラスコに、下記式(6)
1H−NMR(CDCl3)δ:1.4-1.5(m, 9H), 1.6-1.7(m, 8H), 1.9(m, 3H), 5.5(d, 1H), 6.1(d, 1H)
実施例1
下記構造の樹脂の合成
還流管、撹拌子、3方コックを備えた100ml丸底フラスコに、窒素雰囲気下、テトラヒドロフラン(THF)10gを入れ、温度を60℃に保ち、撹拌しながら、5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン0.95g(4.27mmol)、1−メタクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン2.02g(8.55mmol)、8−メタクリロイルオキシ−1,4−シネオール2.03g(8.55mmol)、ラジカル重合開始剤(和光純薬工業製、商品名「V−65」)0.50g及びTHF16gを混合したモノマー溶液を2時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、さらに6時間撹拌を続けた。重合反応終了後、得られた反応液をヘキサンと酢酸エチルの9:1(体積比;25℃)混合液500ml中に撹拌しながら滴下した。生じた沈殿物を濾別し、減圧乾燥(25℃)することにより、所望の樹脂3.9gを得た。回収したポリマーをGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)分析したところ、重量平均分子量(Mw)が8500、分子量分布(Mw/Mn)が1.95であった。
下記構造の樹脂の合成
比較例1
下記構造の樹脂の合成
実施例1において、モノマー成分として、5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン0.91g(4.11mmol)、1−メタクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン1.93g(8.21mmol)、1−(1−メタクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン2.15g(8.21mmol)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行ったところ、所望の樹脂3.4gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、重量平均分子量(Mw)が8000、分子量分布(Mw/Mn)が2.08であった。
下記構造の樹脂の合成
評価試験
上記実施例及び比較例で得られたポリマーのそれぞれについて、ポリマー100重量部とトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート10重量部とをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と混合して、ポリマー濃度17重量%のフォトレジスト用樹脂組成物を調製した。しかし、比較例で得られたポリマーはPGMEAに溶解せず、露光評価に付すことができなかった。
実施例で得られたポリマーを使用して調製したフォトレジスト用樹脂組成物をシリコンウエハーにスピンコーティング法により塗布し、厚み1.0μmの感光層を形成した。ホットプレート上で温度100℃で150秒間プリベークした後、波長247nmのKrFエキシマレーザーを用い、マスクを介して、照射量30mJ/cm2で露光した後、100℃の温度で60秒間ポストベークした。次いで、0.3Mのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により60秒間現像し、純水でリンスしたところ、0.20μmのライン・アンド・スペースパターンが得られた。
上記実施例及び比較例で得られたポリマーのそれぞれについて、ポリマー100重量部とトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート10重量部とをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と混合して、ポリマー濃度17重量%のフォトレジスト用樹脂組成物を調製した。しかし、比較例で得られたポリマーはPGMEAに溶解せず、露光評価に付すことができなかった。
実施例で得られたポリマーを使用して調製したフォトレジスト用樹脂組成物をシリコンウエハーにスピンコーティング法により塗布し、厚み1.0μmの感光層を形成した。ホットプレート上で温度100℃で150秒間プリベークした後、波長247nmのKrFエキシマレーザーを用い、マスクを介して、照射量30mJ/cm2で露光した後、100℃の温度で60秒間ポストベークした。次いで、0.3Mのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により60秒間現像し、純水でリンスしたところ、0.20μmのライン・アンド・スペースパターンが得られた。
Claims (6)
- さらに、ラクトン骨格を有するモノマー単位を含む請求項2記載の高分子化合物。
- ラクトン骨格を有するモノマー単位が、下記式(IIa)〜(IIe)
から選択された少なくとも1種のモノマー単位である請求項3記載の高分子化合物。 - 請求項2〜4の何れかの項に記載の高分子化合物と光酸発生剤とを少なくとも含むフォトレジスト用樹脂組成物。
- 請求項5記載のフォトレジスト用樹脂組成物を基材又は基板上に塗布してレジスト塗膜を形成し、露光及び現像を経てパターンを形成する工程を含む半導体の製造方法。
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