JP2006169106A - 高純度硫酸の製造方法 - Google Patents

高純度硫酸の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006169106A
JP2006169106A JP2006042453A JP2006042453A JP2006169106A JP 2006169106 A JP2006169106 A JP 2006169106A JP 2006042453 A JP2006042453 A JP 2006042453A JP 2006042453 A JP2006042453 A JP 2006042453A JP 2006169106 A JP2006169106 A JP 2006169106A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sulfuric acid
gas
crude
liquid reservoir
purity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006042453A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4854323B2 (ja
Inventor
Yukihide Maruyama
幸秀 丸山
Yasuhiko Mori
康彦 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2006042453A priority Critical patent/JP4854323B2/ja
Publication of JP2006169106A publication Critical patent/JP2006169106A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4854323B2 publication Critical patent/JP4854323B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Cleaning Or Drying Semiconductors (AREA)

Abstract

【課題】高品質の高純度硫酸を製造する高純度硫酸の製造方法を提供する。
【解決手段】下部に液溜部111を備える放散塔110で、亜硫酸ガスを含有する粗硫酸203と硫酸に対して不活性なガス204とを向流接触させて粗硫酸203から亜硫酸ガス205を除去して高純度硫酸206を製造する方法であり、粗硫酸供給工程とガス供給工程とを備えている。粗硫酸供給工程では、粗硫酸203を放散塔110の上部から供給する。ガス供給工程では、ガス204を液溜部111に供給して、粗硫酸203とガス204とを液溜部111で向流接触させる。粗硫酸供給工程で供給される粗硫酸203の流量とガス供給工程で供給されるガス204の流量との気液比(L/G)は、10〜50kg/kgである。液溜部111における粗硫酸203の滞留時間は、1〜20分である。液溜部111における粗硫酸203の温度は、10〜130℃である。
【選択図】図2

Description

本発明は、高純度硫酸の製造方法に関し、たとえば不純物である亜硫酸ガス(SO2 二酸化イオウ)が高度に除去された高純度な硫酸を製造する方法に関する。
半導体工場において用いられるシリコンウエハの洗浄液として、硫酸が使用される。この用途に使用される硫酸に不純物として亜硫酸ガスが存在すると、シリコンウエハの電気的特性を低下させるという問題が生じる。そのため、このような用途に使用される硫酸は、亜硫酸ガス濃度が低いことが要求される。不純物濃度が低い高純度硫酸の製造方法として、たとえば特開平8−337406号公報(特許文献1)に開示されている方法が挙げられる。上記特許文献には、吸収工程と、輸送工程と、ストリッピング工程とを備え、不純物としての亜硫酸ガスを含有する気体状の無水硫酸と水とから高純度硫酸を製造する方法が開示されている。詳細には、吸収工程で、無水硫酸を水に吸収することで粗硫酸を得ている。そして、輸送工程で、得られる粗硫酸をストリッピング塔に輸送している。そして、ストリッピング工程で、ストリッピング塔において放散により粗硫酸を空気でストリッピングして粗硫酸中の粗硫酸ガスを硫酸から分離除去している。たとえば図5に示すように、ストリッピング塔300では、上部から粗硫酸301を供給し、下部から空気302を供給し、両者を接触させることにより亜硫酸ガス303を分離除去して高純度硫酸304を製造している。上記特許文献1に開示の高純度硫酸の製造方法によれば、粗硫酸中の亜硫酸ガス濃度を1重量ppm以下まで低減できるとされている。なお、図5は、従来のストリッピング塔を示す模式図である。
しかしながら、上記特許文献1の高純度硫酸の製造方法では、ストリッピング塔に供給される粗硫酸の液温度が開示されているのみであり、空気の使用量や気液の接触時間に関しては開示されていない。硫酸は一般的に粘度が高いので、硫酸に溶存した亜硫酸ガス成分は拡散しにくく、それが液側の物質移動速度の低下を招いてしまうという問題が残る。そのため、期待する拡散効果を得るためには、ストリッピング塔の高さを一般的な装置の高さよりも高くして気液接触面積を増加させ、かつ大量の空気を用いなければならないという問題がある。また、大量の空気を用いると、空気から高純度硫酸に不純物が混入され、高純度硫酸の品質を低下させるという問題もある。
特開平8−337406号公報
それゆえ本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、亜硫酸ガスを除去するために必要な空気の使用量を低減し、硫酸中の亜硫酸ガスを効率的に除去して高品質の高純度硫酸を製造する、高純度硫酸の製造方法を提供することである。
本発明の高純度硫酸の製造方法は、下部に液溜部を備える放散塔で、亜硫酸ガスを含有する粗硫酸と硫酸に対して不活性なガスとを向流接触させて粗硫酸から亜硫酸ガスを除去して高純度硫酸を製造する方法であって、粗硫酸を放散塔の上部から供給する粗硫酸供給工程と、ガスを液溜部に供給して、粗硫酸とガスとを液溜部で向流接触させるガス供給工程とを備えている。
本発明の高純度硫酸の製造方法によれば、液溜部において粗硫酸とガスとを効率的に直接接触できる。よって、亜硫酸ガスを除去するために必要な空気の使用量を低減し、硫酸中の亜硫酸ガスを効率的に除去して高品質の高純度硫酸を製造することができる。
上記高純度硫酸の製造方法において好ましくは、粗硫酸供給工程で供給される粗硫酸(L)の流量(kg/h)とガス供給工程で供給されるガス(G)の流量(kg/h)との気液比(L/G)が10〜50kg/kgであり、液溜部における粗硫酸の滞留時間が1〜20分であり、液溜部における粗硫酸の温度が10〜130℃であることを特徴としている。
気液比(L/G)、粗硫酸の滞留時間、および粗硫酸の温度を上記範囲内とすることで、液溜部に亜硫酸ガスを含有する粗硫酸を滞留させて、硫酸に対して不活性なガスを分散させると、亜硫酸ガスを効率的に除去できる。そのため、硫酸に対して不活性なガスの使用量を低減することができ、高品質の高純度硫酸を製造することができる。
上記高純度硫酸の製造方法において好ましくは、ガス供給工程は、直径5mm以下の小孔群からなる噴出口を含むスパージャーで行なわれる。
これにより、粗硫酸とガスとの接触面積を増加させて物質移動容量係数を増加させることができる。よって、粗硫酸中の亜硫酸ガスをより効率的に除去できる。
上記高純度硫酸の製造方法において好ましくは、スパージャーは、放散塔の塔底に向かって噴出口からガスを噴き出し、噴出口の塔底からの高さが、液溜部の塔底からの高さの30%以下となるようにスパージャーが配置されていることを特徴としている。また上記高純度硫酸の製造方法において好ましくは、スパージャーは、放散塔の塔底に向かって噴出口からガスを噴き出し、噴出口の塔底からの高さが、塔底から30mm以上となるようにスパージャーが配置されていることを特徴としている。
噴出口の塔底からの高さが、液溜部の塔底からの高さの30%以下となるようにスパージャーが配置されていることにより、噴出口から噴出されるガスと、液溜部に滞留する粗硫酸とを十分に接触することができる。噴出口の塔底からの高さが、塔底から30mm以上となるようにスパージャーが配置されていることにより、気液接触に有効なガスの気泡が破壊されることを防止できる。よって、粗硫酸中の亜硫酸ガスをより効率的に除去できる。
上記高純度硫酸の製造方法において好ましくは、液溜部は、相対的に高い位置の壁面にノズルを有し、ノズルから高純度硫酸を排出する工程をさらに備えている。
これにより、ノズルからオーバーフロー手段により高純度硫酸を排出することができる。そのため、気泡を巻き込まないで高純度硫酸を排出できる。よって、高品質の高純度硫酸を製造できる。
このように、本発明の高純度硫酸の製造方法によれば、気液比(L/G)、粗硫酸の滞留時間、および粗硫酸の温度を特定することにより、亜硫酸ガスを除去するために必要な空気の使用量を低減し、粗硫酸中の亜硫酸ガスを効率的に除去して高品質の高純度硫酸を製造することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
図1は、本発明の実施の形態における高純度硫酸の製造方法を示すフローチャートである。図2は、本発明の実施の形態における高純度硫酸の製造方法について説明する図である。図1および図2を参照して、本発明の実施の形態における高純度硫酸の製造方法を説明する。
実施の形態における高純度硫酸の製造方法は、図1および図2に示すように、下部に液溜部111を備える放散塔110で、亜硫酸ガスを含有する粗硫酸203と硫酸に対して不活性なガス204とを向流接触させて粗硫酸203から亜硫酸ガス205を除去して高純度硫酸206を製造する方法であり、粗硫酸供給工程(S21)と、ガス供給工程(S22)とを備えている。粗硫酸供給工程(S21)では、粗硫酸203を放散塔110の上部から供給する。ガス供給工程(S22)では、ガス204を液溜部111に供給して、粗硫酸203とガス204とを液溜部111で向流接触させる。粗硫酸供給工程(S21)で供給される粗硫酸(L)203の流量(kg/h)とガス供給工程(S22)で供給されるガス(G)204の流量(kg/h)との気液比(L/G)は、10〜50kg/kgである。液溜部111における粗硫酸203の滞留時間は、1〜20分である。液溜部111における粗硫酸203の温度は、10〜130℃である。
実施の形態では、図1に示すように、まず、不純物として亜硫酸ガスを含有する粗硫酸を得る吸収工程(S10)を実施する。吸収工程(S10)では、無水硫酸(SO3)に水および/または希硫酸を吸収させることにより、粗硫酸を得る。
具体的には、図2に示すように、たとえば吸収塔101の下部から気体状の無水硫酸202を供給し、上部から水および/または希硫酸201を供給する。そして、吸収塔101内で両者を接触させて亜硫酸ガスを含有する粗硫酸203を得ている。
原料である無水硫酸202は、通常工場生産されているものを配管を通じてそのまま用いることができ、通常10〜100重量ppm程度の亜硫酸ガスが含有されている。そのため、吸収工程(S10)で得られる粗硫酸203には、無水硫酸202に由来する亜硫酸ガスが数ppm含有される。
また、吸収工程(S10)で供給される水201は、不純物が混入されてない観点から、たとえばいわゆる超純水を用いることが好ましい。
吸収塔101としては充填塔など、通常のものを使用することができ、吸収塔101には、ラシヒリングなどの充填物が充填されているのが一般的である。
なお、吸収塔101において、亜硫酸ガスを除去する目的で、下部から硫酸に対して不活性なガスを供給することもできる。
次に、粗硫酸から亜硫酸ガスを除去する工程(S20)を実施する。工程(S20)では、図2に示すように、下部に液溜部111を備える放散塔110で、亜硫酸ガスを含有する粗硫酸203と硫酸に対して不活性なガス204とを向流接触させて粗硫酸203から亜硫酸ガス205を除去して高純度硫酸206を製造する。なお、硫酸に不活性なガスとは、たとえば空気および窒素やアルゴンなどの不活性ガスが挙げられ、価格が安い観点から空気が好ましく用いられる。
放散塔110には、上部に充填物が充填されていることが好ましい。充填物としては、ラシヒリング、ポールリング、およびサドルなどの既存のものが適用できる。また、充填物および放散塔110の壁面の材質としては、硫酸に対して耐腐食性の有するものであれば特に限定されず、たとえばフッ素樹脂、セラミック、およびガラスなどを適用できる。不純物の溶出を最小限にする観点からフッ素樹脂が好適に使用される。必要な充填高さは、理論段数で3〜10段程度が好ましい。
放散塔110には下部に液溜部111を備えている。液溜部111は、相対的に高い位置の壁面にノズル114を有していることが好ましい。また、スパージャー112が配置されていないノズル114近傍に仕切板113を有している。仕切板113は、スパージャー112が存在する領域とスパージャーが存在しない領域とに区切っている。実施の形態では、仕切板113およびノズル114は、2箇所に設けられている。
工程(S20)では、まず、粗硫酸203を放散塔110の上部から供給する粗硫酸供給工程(S21)を実施する。
詳細には、粗硫酸供給工程(S21)では、図2に示すように、放散塔110の上部から吸収工程(S10)で得られる粗硫酸203を供給する。この際、放散塔110の最上部から粗硫酸203を供給することが好ましい。また、粗硫酸203の供給流量は、たとえば10〜10000kg/hとすることができる。また、放散塔110に供給する粗硫酸203の温度は、60〜130℃とするのが好ましく、さらに好ましくは80〜120℃である。60℃以上とすることによって、放散の効果がより十分となり、80℃以上とすることによって、放散の効果がより一層十分となる。120℃以下とすることによって、吸収塔101で得られる粗硫酸203の温度を上昇するための手段を非常に大きな能力を必要としないため、経済性が悪くならない。
放散塔110の下部には液溜部111を備えている。放散塔110の上部から供給された粗硫酸203は、充填部を流下した後、液溜部111に流入し、滞留する。
次に、ガス204を液溜部111に供給して、粗硫酸203とガス204とを液溜部111で向流接触させるガス供給工程(S22)を実施する。ガス供給工程(S22)では、液溜部111にガス204を導入し、気液接触させ、粗硫酸203中にバブリングさせて分散させる。これにより、粗硫酸203中の亜硫酸ガス205が除去される。また、ガス204の供給流量は、たとえば0.2〜1000kg/hとすることができる。
粗硫酸供給工程(S21)で供給される粗硫酸(L)203の流量(kg/h)とガス供給工程(S22)で供給されるガス(G)204の流量(kg/h)との気液比(L/G)が10〜50kg/kgであり、好ましくは10〜40kg/kgである。気液比(L/G)が10kg/kgよりも小さいと、使用する不活性ガス量が多くて不経済であり、不純物の持込み量も多くなるためである。10kg/kg以上とすることによって、経済的に、かつ十分な純度を有する高純度硫酸を得ることができる。一方、気液比(L/G)が50kg/kgより大きいと、気液接触が十分に行なえない。50kg/kg以下とすることによって、液溜部111内のバブリングを効率的に行なうことができる。
液溜部111における粗硫酸203の滞留時間は1〜20分であり、好ましくは3〜15分、さらに好ましくは5〜15分である。滞留時間を1分より短くするとすると、液溜部111に滞留する粗硫酸203から亜硫酸ガス205を十分に除去できないからである。滞留時間を3分以上とすることによって、粗硫酸203からより十分に亜硫酸ガス205を除去できる。滞留時間を5分以上とすることによって、粗硫酸203からより一層十分に亜硫酸ガス205を除去できる。一方、滞留時間を20分より長くすると、液溜部111に供給するガス204が液溜部111全体に及ばない場合が生じるとともに、液溜部111の制作費がかかり、ガス204の供給量が非常に増加してしまい、不経済となるからである。滞留時間を15分以下とすることによって、ガス204が液溜部111全体に及ぶとともに、経済的にも満足するからである。
液溜部111における粗硫酸203の温度は10〜130℃であり、60〜120℃とすることが好ましい。10℃より低くすると、粗硫酸203から亜硫酸ガス205を十分に除去できないからである。一方、60℃より高くすると、粗硫酸203から亜硫酸ガス205を十分に除去できる。130℃より高くすると、放散塔110の材質が耐えられなくなるおそれがあるためである。110℃以下とすることによって、材質上の問題は回避できる。
ガス204の粗硫酸203への分散方法は特に限定されず、単一ノズルを用いてガス204を供給してもよいが、気液の接触面積を増加させて物質移動容量係数を増加させる観点から、小孔群からなる噴出口112aを含むスパージャー(多孔ノズル)112で行なわれることが好ましい。なお、スパージャー112での差圧は許容範囲内で調整する。
スパージャー112の小孔は、直径5mm以下とすることが好ましく、さらに好ましくは直径が3mm以下である。5mm以下とすることによって、ガス204の各々の気泡が小さくなり気液の接触面積はより増加し、3mm以下とすることによって、気液の接触面積はより一層増加する。
スパージャー112は、放散塔110の塔底に向かって噴出口112aからガス204を噴き出すことが好ましい。この場合には、噴出口112aの塔底からの高さhが、液溜部111の塔底からの高さHの30%以下となるようにスパージャー112が配置されている。噴出口112aの高さhは、液溜部111の高さHの25%以下となるように配置されることが好ましく、さらに好ましくは20%以下となるように配置される。高さhを高さHの30%以下とすることによって、ガス204が液溜部111の粗硫酸203と十分に接触できる。高さhを高さHの25%以下とすることによって、気液接触がより十分となり、20%とすることによって、気液接触がより一層十分となる。なお、液溜部111の塔底からの高さHは、粗硫酸203が液溜部111に滞留する際の静止時の高さを意味する。実施の形態における高さHは、後述する排出工程(S30)においてオーバーフロー手段により高純度硫酸を排出するので、ノズル114の塔底からの高さに相当する。
また、噴出口112aの塔底からの高さhが、塔底から30mm以上となるようにスパージャー112が配置されていることが好ましい。高さhを30mm以上とすることによって、放散塔110の塔底にガス204が当たって気液接触に有効な気泡が破壊されることを防止して、亜硫酸ガス205をより多く除去できる。また、放散塔110の塔底に高純度硫酸を排出するノズルが配置されている場合には、塔底から抜き出される高純度硫酸にガス204が混入することを防止でき、高純度硫酸の品質をより高めることができる。
スパージャー112の形状は上記に特に限定さなないが、たとえば気液の不接触部分をできるだけ排除する目的で、液溜部111の水平断面のできるだけ広い範囲にスパージャー112を配置することが好ましい。たとえば十字型、U字型、リング型、または二重リング型に形成したパイプに小孔を開けたスパージャーを好ましく適用できる。
次に、ノズル114から高純度硫酸206を排出する排出工程(S30)を実施する。排出工程(S30)では、粗硫酸203から亜硫酸ガス205が除去された高純度硫酸206をノズル114から排出して、タンク120に輸送する。この場合、仕切板113により区切られているスパージャ−112の存在しない領域の高純度硫酸206をノズル114からオーバーフローさせてタンク120に排出する。
排出工程(S30)では、高純度硫酸206を放散塔110からタンク120に排出できれば特にこれに限定されない。たとえばポンプで高純度硫酸206を排出することもできるが、高純度硫酸206をノズル114からオーバーフローさせて排出させることが好ましい。オーバーフロー手段を採用することにより、不要な機器を増やさなくてすむためである。また、ノズル114からオーバーフローさせて高純度硫酸206を排出する際には、ノズル114は液溜部111の壁面に設置して、気泡が混入しないようにカバーを設置することが好ましい。
以上の工程(S10,S20,S30)を実施することにより、粗硫酸203から亜硫酸ガス205を除去して高純度硫酸を製造することができる。本発明の実施の形態における高純度硫酸の製造方法により得られる高純度硫酸は、含有する亜硫酸ガス濃度が1重量ppm以下とすることができる。そのため、半導体工場で用いられるシリコンウエハの洗浄液などとして最適に使用することができる。
なお、吸収塔101から放散塔110に粗硫酸203を輸送する手段として、図3に示すように、たとえば循環ポンプ130を用いて行なってもよい。循環ポンプ130により粗硫酸203を輸送する場合には、たとえば循環ポンプ130入口の粗硫酸203の温度を0〜30℃とすることが好ましく、さらに好ましくは20〜30℃である。循環ポンプ130入口の粗硫酸203の温度を0℃以上とすることによって、粘度が上昇せずに輸送の効率を低下させない。一方、循環ポンプ130入口の粗硫酸203の温度を30℃以下とすることによって、循環ポンプ130を構成する金属成分が粗硫酸203中に溶け出すことを防止できる。このように温度制御する方法として、たとえば循環ポンプ130の入口に冷却器131を設置することもできる。なお、図3は、本発明の実施の形態における高純度硫酸の製造方法について説明する別の図である。
また、粗硫酸供給工程(S21)で供給される粗硫酸203の温度を上述したような温度とするために、たとえば粗硫酸203をスチームまたは電気ヒータなどの加熱器で加熱する方法や、図4に示すように吸収塔101出口の粗硫酸203と循環ポンプ130出口の粗硫酸203とを熱交換器132で熱交換させる方法などが挙げられる。コスト低減の観点から、熱交換器132により熱交換させる方法を採用することが好ましい。なお、図4は、本発明の実施の形態における高純度硫酸の製造方法について説明するさらに別の図である。
以上説明したように、本発明の実施の形態における高純度硫酸の製造方法によれば、粗硫酸203を放散塔110の上部から供給する粗硫酸供給工程(S21)と、ガス204を液溜部111に供給して、粗硫酸203とガス204とを溜部111で向流接触させるガス供給工程(22)とを備えている。そのため、粗硫酸203から亜硫酸ガス205をより少ない量のガス204で効率的に除去できる。また、得られる高純度硫酸206は、亜硫酸ガス濃度が低く高品質のものとなる。
[実施例]
本実施例では、本発明の高純度硫酸の製造方法の効果を調べた。始めに、実施例1および比較例1の各々の高純度硫酸を以下の方法により製造した。
(実施例1における高純度硫酸の製造方法)
実施例1では、基本的には実施の形態における高純度硫酸の製造方法にしたがって高純度硫酸を製造した。具体的には、吸収工程(S10)により、無水硫酸を超純水に吸収させて亜硫酸ガス8重量ppmを含有する粗硫酸を得た。粗硫酸の濃度は96重量%であった。次に、粗硫酸供給工程(S21)で、約70℃に加熱した粗硫酸を1055kg/hで放散塔の塔頂から供給した。放散塔上部は塔径が250mmであり、公称1インチのPTFE製のラシヒリングを4050mmの高さで充填した。充填層の下には、塔径500mm、高さ800mmの液溜部を設けた。スパージャーは、放散塔の塔底から120mmの位置、すなわち液溜部の高さの15%の位置に相当するように配置した。スパージャーは、内径が3mmの小孔が100個の小孔群からなる噴出口を含むものを用いた。スパージャーにガスを供給するために内径が約40mmのノズルを放散塔の塔底の略中心に1つ設置し、ここからスパージャーに供給するガスとしての空気を40Nm3/hの流量で供給した。壁面には、放散塔の塔底からの高さが500mmの位置に内径約40mmのノズルを設けた。ノズルには、空気が巻き込まれないように、カバーを設置した。このノズルよりオーバーフローさせて実施例1における高純度硫酸を得た。
実施例1における高純度硫酸の製造方法では、粗硫酸供給工程(S21)で供給される粗硫酸の流量とガス供給工程(S22)で供給されるガスの流量との気液比(L/G)は21.9kg/kgであり、液溜部における粗硫酸の滞留時間は約10分であり、液溜部における粗硫酸の温度は65℃であった。
(比較例1における高純度硫酸の製造方法)
比較例1は基本的には実施例1と同様であるが、比較例1は、放散塔に液溜部を設けていない点においてのみ異なる。すなわち、塔径が250mmであり、ここに公称1インチのPTFE製のラヒシリングを4050mの高さで充填した充填塔を用いた。亜硫酸ガス5重量ppmを含有する96重量%の硫酸844kg/hを塔頂から供給し、下部からは乾燥空気80Nm3/hを供給した。
比較例1における高純度硫酸の製造方法では、粗硫酸供給工程で供給される粗硫酸の流量とガス供給工程で供給されるガスの流量との気液比(L/G)は8.9kg/kgであり、液溜部における粗硫酸の温度は72℃であった。なお、比較例1では、実施例1で使用した空気の量の2倍以上を使用した。
(評価方法)
得られた高純度硫酸について、それぞれ亜硫酸ガス濃度および亜硫酸ガスの除去率を測定した。測定方法としては、過マンガン酸カリウムによる酸化還元滴定法を用いた。なお、高純度硫酸中に残存する亜硫酸ガスの濃度が1重量ppm以下を目標とした。
(評価結果)
実施例1における高純度硫酸中の亜硫酸ガスの濃度は0.6重量ppmであり、使用するガスの量を低減しつつ目標値を大きく下回った。また、亜硫酸ガスの除去率は、92%と高かった。一方、実施例1で使用した空気の量の2倍以上の空気を使用したにも関わらず、比較例1における高純度硫酸中の亜硫酸ガスの濃度は1.3ppmとなり、目標値よりも高かった。また、亜硫酸ガスの除去率は74%と、実施例1と比較して低かった。
以上説明したように実施例によれば、粗硫酸供給工程(S21)とガス供給工程(S22)とを備えることにより、亜硫酸ガスを除去するために必要な空気の使用量を低減し、硫酸中の亜硫酸ガスを効率的に除去して高品質の高純度硫酸を製造できることがわかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の高純度硫酸の製造方法により製造された高純度硫酸は、含有する亜硫酸ガス濃度が1重量ppm以下とすることができるため、半導体工場で用いられるシリコンウエハの洗浄液などに最適に使用することができる。
本発明の実施の形態における高純度硫酸の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態における高純度硫酸の製造方法について説明する図である。 本発明の実施の形態における高純度硫酸の製造方法について説明する別の図である。 本発明の実施の形態における高純度硫酸の製造方法について説明するさらに別の図である。 従来のストリッピング塔を示す模式図である。
符号の説明
101 吸収塔、110 放散塔、111 液溜部、112 スパージャー、112a 噴出口、113 仕切板、114 ノズル、120 タンク、130 循環ポンプ、131 冷却器、132 熱交換器、201 水および/または希硫酸、202 無水硫酸、203 粗硫酸、204 ガス、205 亜硫酸ガス、206 高純度硫酸、H,h 高さ。

Claims (6)

  1. 下部に液溜部を備える放散塔で、亜硫酸ガスを含有する粗硫酸と硫酸に対して不活性なガスとを向流接触させて前記粗硫酸から前記亜硫酸ガスを除去して高純度硫酸を製造する方法であって、
    前記粗硫酸を前記放散塔の上部から供給する粗硫酸供給工程と、
    前記ガスを前記液溜部に供給して、前記粗硫酸と前記ガスとを前記液溜部で向流接触させるガス供給工程とを備える、高純度硫酸の製造方法。
  2. 前記粗硫酸供給工程で供給される前記粗硫酸(L)の流量(kg/h)と前記ガス供給工程で供給される前記ガス(G)の流量(kg/h)との気液比(L/G)が10〜50kg/kgであり、前記液溜部における前記粗硫酸の滞留時間が1〜20分であり、前記液溜部における前記粗硫酸の温度が10〜130℃であることを特徴とする、請求項1に記載の高純度硫酸の製造方法。
  3. 前記ガス供給工程は、直径5mm以下の小孔群からなる噴出口を含むスパージャーで行なわれることを特徴とする、請求項1または2に記載の高純度硫酸の製造方法。
  4. 前記スパージャーは、前記放散塔の塔底に向かって前記噴出口から前記ガスを噴き出し、
    前記噴出口の前記塔底からの高さが、前記液溜部の前記塔底からの高さの30%以下となるように前記スパージャーが配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の高純度硫酸の製造方法。
  5. 前記スパージャーは、前記放散塔の塔底に向かって前記噴出口から前記ガスを噴き出し、
    前記噴出口の前記塔底からの高さが、前記塔底から30mm以上となるように前記スパージャーが配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の高純度硫酸の製造方法。
  6. 前記液溜部は、相対的に高い位置の壁面にノズルを有し、
    前記ノズルから高純度硫酸を排出する排出工程をさらに備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の高純度硫酸の製造方法。
JP2006042453A 2006-02-20 2006-02-20 高純度硫酸の製造方法 Active JP4854323B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006042453A JP4854323B2 (ja) 2006-02-20 2006-02-20 高純度硫酸の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006042453A JP4854323B2 (ja) 2006-02-20 2006-02-20 高純度硫酸の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006169106A true JP2006169106A (ja) 2006-06-29
JP4854323B2 JP4854323B2 (ja) 2012-01-18

Family

ID=36670239

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006042453A Active JP4854323B2 (ja) 2006-02-20 2006-02-20 高純度硫酸の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4854323B2 (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59121101A (ja) * 1982-12-25 1984-07-13 Chisso Corp 塩酸ガスの製造方法および装置
JPS63117902A (ja) * 1986-11-06 1988-05-21 Sanki Eng Co Ltd 廃硫酸中のフツ素,塩素の除去方法及びその装置
JPH0292812A (ja) * 1988-09-30 1990-04-03 Ube Ind Ltd 硝酸含有希硫酸からの硫酸回収法
JPH0780442A (ja) * 1993-09-17 1995-03-28 Fujitsu Ltd 純水製造方法
JPH08337406A (ja) * 1995-06-15 1996-12-24 Sumitomo Chem Co Ltd 高純度硫酸の製造方法
JPH0930803A (ja) * 1995-07-24 1997-02-04 Sumitomo Chem Co Ltd 高純度硫酸の製造方法
JP2000302420A (ja) * 1999-02-15 2000-10-31 Sumitomo Chem Co Ltd 超高純度硫酸の製造方法
JP2001219166A (ja) * 2000-02-07 2001-08-14 Japan Steel Works Ltd:The 水処理方法および水処理装置

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59121101A (ja) * 1982-12-25 1984-07-13 Chisso Corp 塩酸ガスの製造方法および装置
JPS63117902A (ja) * 1986-11-06 1988-05-21 Sanki Eng Co Ltd 廃硫酸中のフツ素,塩素の除去方法及びその装置
JPH0292812A (ja) * 1988-09-30 1990-04-03 Ube Ind Ltd 硝酸含有希硫酸からの硫酸回収法
JPH0780442A (ja) * 1993-09-17 1995-03-28 Fujitsu Ltd 純水製造方法
JPH08337406A (ja) * 1995-06-15 1996-12-24 Sumitomo Chem Co Ltd 高純度硫酸の製造方法
JPH0930803A (ja) * 1995-07-24 1997-02-04 Sumitomo Chem Co Ltd 高純度硫酸の製造方法
JP2000302420A (ja) * 1999-02-15 2000-10-31 Sumitomo Chem Co Ltd 超高純度硫酸の製造方法
JP2001219166A (ja) * 2000-02-07 2001-08-14 Japan Steel Works Ltd:The 水処理方法および水処理装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4854323B2 (ja) 2012-01-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4854335B2 (ja) 塩素の除去方法
CN101235160B (zh) 一种pvc生产过程中氯化氢全回收零排放工艺与装置
JPH04190803A (ja) 純水または超純水中の溶存酸素の除去方法
JP4576312B2 (ja) 四フッ化ケイ素の製造方法、及びそれに用いる製造装置
US9260307B2 (en) Catalytic sulfur degassing
TWI403461B (zh) Method and apparatus for improving yield and yield of metallurgical silicon
JP4994226B2 (ja) 尿素合成装置
JP2002241120A (ja) 多結晶シリコン製造用反応炉及び多結晶シリコン製造方法
JPS6011217A (ja) 垂直塔中における四フツ化ケイ素ガスの連続的製造方法
CN101952212B (zh) 制备浮法玻璃的方法及用于制备该浮法玻璃的装置
JP4854323B2 (ja) 高純度硫酸の製造方法
RU2501600C1 (ru) Устройство для получения серы
CN107652208A (zh) 一种从光气化反应得到的异氰酸酯产物中脱除溶剂的方法和系统
JP5392836B2 (ja) 一酸化炭素ガスの製造方法および製造装置
JP4548555B2 (ja) 高純度アンモニア水の製造方法
KR101675947B1 (ko) 고순도 황산 제조 장치
US9242868B2 (en) Process for separating monosilane from chlorosilanes-rich mixture
JPH08337406A (ja) 高純度硫酸の製造方法
JP5256108B2 (ja) 溶存ガス除去方法
JP2002320959A (ja) 水中溶存酸素の除去方法およびその装置
KR101390808B1 (ko) 약액 공급 장치
JP3992891B2 (ja) 液体中の溶存ガスの除去方法およびその設備
JP2010202420A (ja) クロロシラン類を使用するクローズド系の洗浄方法
JP5388199B2 (ja) 一酸化炭素ガスの製造方法および製造装置
KR102594408B1 (ko) 폐 에탄올 정제 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081212

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101021

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101026

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101220

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111018

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111025

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141104

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4854323

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350