JP4854335B2 - 塩素の除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塩素の除去方法に関し、たとえば廃硫酸に含まれている塩素ガスを除去する塩素の除去方法に関する。
従来、食塩電解プラントにて製造される塩素ガスあるいは塩酸酸化プロセスにて製造される塩素含有ガスは、水分を含んでいる。水分を含む塩素ガスを乾燥させるために、乾燥装置を用いている。このような乾燥装置は、たとえば乾燥塔内部において、塔底から水分を含む塩素ガスを供給するとともに塔頂から濃硫酸を供給して、乾燥塔内で塩素ガスと液状の硫酸とを接触させている。そして、食塩電解プラントにて製造される塩素ガスを濃硫酸で乾燥する設備から排出される廃硫酸、あるいは塩酸酸化プロセスにて製造される塩素含有ガスを濃硫酸で乾燥する設備から廃硫酸が排出される。
廃硫酸は中和処理を行なって廃棄する場合もあるが、近年は廃硫酸を濃縮して再利用する場合も増加している。濃縮する設備に導入する廃硫酸の中に塩素が混入すると、機器の腐食の原因となったり、硫酸の品質を落としてしまうという課題がある。そのため、硫酸中の不純物濃度を除去する方法として、たとえば特開平8−337406号公報(特許文献1)に開示されている方法が挙げられる。上記特許文献には、ストリッピング工程で、放散により粗硫酸を空気でストリッピングして粗硫酸中の不純物である粗硫酸ガスを硫酸から分離除去している高純度硫酸の製造方法が開示されている。たとえば図5に示すように、ストリッピング塔300では、上部から粗硫酸301を供給し、下部から空気302を供給し、両者を接触させることにより亜硫酸ガス303を分離除去して高純度硫酸304を製造している。上記特許文献1に開示の高純度硫酸の製造方法によれば、粗硫酸中の亜硫酸ガス濃度を1重量ppm以下まで低減できるとされている。なお、図5は、従来のストリッピング塔を示す模式図である。
しかしながら、上記特許文献1に開示されている亜硫酸ガスを除去する場合と同様に、硫酸中に溶存されている塩素を除去するように行なっても、十分に塩素を除去できないという問題がある。さらに、期待する塩素の除去効果を得るためには、ストリッピング塔の高さを一般的な装置の高さよりも高くして気液接触面積を増加させ、かつ大量の空気を用いなければならないという問題がある。また、大量の空気を用いると、フラッディング現象を起こして正常な気液接触が行なわれないという問題もある。
特開平8−337406号公報
それゆえ本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、塩素を除去するために必要な空気の使用量を低減し、硫酸中の塩素を効率的に除去することが可能な塩素の除去方法を提供することである。
本発明の塩素の除去方法は、下部に液溜部を備える放散塔で、塩素を含有する硫酸と硫酸に対して不活性なガスとを向流接触させて硫酸から塩素を除去する塩素の除去方法であって、硫酸供給工程と、ガス供給工程とを備えている。硫酸供給工程は、硫酸を放散塔の上部から供給する。ガス供給工程は、ガスを液溜部に供給して、硫酸とガスとを液溜部で向流接触させる。液溜部に滞留する硫酸にガスをバブリングすることにより塩素を除去することを特徴としている。
本発明の塩素の除去方法によれば、硫酸中でガスをバブリングするので、硫酸とガスとが確実に接触するとともに、気液接触面積が増加する。よって、使用するガスの量を低減しつつ、硫酸中の塩素を効率的に除去できる。
上記塩素の除去方法において好ましくは、液溜部における硫酸の滞留時間が0.3〜2時間であることを特徴とする。また上記塩素の除去方法において好ましくは、硫酸供給工程で供給される硫酸(L)の流量(kg/h)とガス供給工程で供給されるガス(G)の流量(kg/h)との気液比(L/G)が10kg/kg以下であることを特徴としている。また上記塩素の除去方法において好ましくは、液溜部における前記硫酸の温度が10〜50℃であることを特徴としている。
これにより、硫酸中に含まれる塩素を効率的に除去でき、硫酸に対して不活性なガスの使用量をより低減することができる。
上記塩素の除去方法において好ましくは、ガス供給工程は、直径5mm以下の小孔群からなる噴出口を含むスパージャーで行なわれる。
これにより、硫酸とガスとの接触面積を増加させて物質移動容量係数を増加させることができる。よって、硫酸中の塩素をより効率的に除去できる。
上記塩素の除去方法において好ましくは、スパージャーは、放散塔の塔底に向かって噴出口からガスを噴き出し、噴出口の塔底からの高さが、液溜部の塔底からの高さの30%以下となるようにスパージャーが配置されていることを特徴としている。また上記塩素の除去方法において好ましくは、スパージャーは、放散塔の塔底に向かって噴出口からガスを噴き出し、噴出口の塔底からの高さが、塔底から30mm以上となるようにスパージャーが配置されていることを特徴としている。
噴出口の塔底からの高さが、液溜部の塔底からの高さの30%以下となるようにスパージャーが配置されていることにより、噴出口から噴出されるガスと、液溜部に滞留する硫酸とを十分に接触することができる。噴出口の塔底からの高さが、塔底から30mm以上となるようにスパージャーが配置されていることにより、気液接触に有効なガスの気泡が破壊されることを防止できる。よって、硫酸中の塩素をより効率的に除去できる。
上記塩素の除去方法において好ましくは、上記塩素の除去方法により硫酸から塩素を除去する工程と、液溜部が相対的に高い位置の壁面にノズルを有し、ノズルから高純度硫酸を排出する排出工程とを備えている。なお、上記「高純度硫酸」とは、塩素を10ppm以下含有する硫酸を意味する。
これにより、ノズルからオーバーフロー手段により高純度硫酸を排出することができる。そのため、気泡を巻き込まないで高純度硫酸を排出できる。
上記塩素の除去方法において好ましくは、高純度硫酸は、廃硫酸としてノズルから排出される。10ppm以下まで塩素濃度を低減される高純度硫酸を廃硫酸とできるので、廃硫酸を処理する上で支障にならない。
このように、本発明の塩素の除去方法によれば、硫酸中でガスをバブリングするので、塩素を除去するために必要な空気の使用量を低減し、硫酸中の塩素を効率的に除去できる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
図1は、本発明の実施の形態における塩素の除去方法を示すフローチャートである。図2は、本発明の実施の形態における塩素の除去方法について説明する図である。図1および図2を参照して、本発明の実施の形態における塩素の除去方法を説明する。
実施の形態における塩素の除去方法は、図1および図2に示すように、下部に液溜部111を備える放散塔110で、塩素を含有する硫酸203と硫酸に対して不活性なガス204とを向流接触させて硫酸203から塩素を除去する塩素の除去方法であって、硫酸供給工程(S21)と、ガス供給工程(S22)とを備えている。硫酸供給工程(S21)は、硫酸203を放散塔110の上部から供給する。ガス供給工程(S22)は、ガス204を液溜部111に供給して、硫酸203とガス204とを液溜部111で向流接触させる。液溜部111に滞留する硫酸203にガス204をバブリングすることにより塩素205を除去している。
実施の形態では、図1に示すように、まず、水分を含む塩素ガスを乾燥させる乾燥工程(S10)を実施する。乾燥工程(S10)では、水分を含む塩素ガスである乾燥前塩素ガス202を、濃硫酸201と接触させることにより、乾燥前塩素ガス202から水分を除去して、乾燥後塩素ガス207を得る。
具体的には、図2に示すように、たとえば乾燥塔101の下部から水分を含む乾燥前塩素ガス202を供給し、上部から濃硫酸201を供給する。そして、乾燥塔101内で両者を接触させて乾燥前塩素ガス202は、水分を除去された乾燥後塩素ガス207となる。一方、乾燥前塩素ガス202と気液接触する濃硫酸201は、水分を含有し、さらに塩素ガスを溶存する廃硫酸である硫酸203となる。
次に、硫酸から塩素を除去する工程(S20)を実施する。工程(S20)では、図2に示すように、下部に液溜部111を備える放散塔110で、塩素を含有する硫酸203と硫酸に対して不活性なガス204とを向流接触させて硫酸203から塩素を除去する。なお、硫酸に不活性なガスとは、たとえば空気および窒素やアルゴンなどの不活性ガスが挙げられ、価格が安い観点から空気および窒素が好ましく用いられる。
放散塔110には、上部に充填物が充填されていても良い。充填物としては、ラシヒリング、ポールリング、およびサドルなどの既存のものが適用できる。また、充填物および放散塔110の壁面の材質としては、硫酸に対して耐腐食性を有するものであれば特に限定されず、たとえばフッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、セラミック、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、およびガラスなどを適用できる。必要な充填高さは、理論段数で3〜10段程度が好ましい。
放散塔110には下部に液溜部111を備えている。液溜部111は、相対的に高い位置の壁面にノズル114を有していることが好ましい。また、スパージャー112が配置されていないノズル114近傍に仕切板113を有している。仕切板113は、スパージャー112が存在する領域とスパージャーが存在しない領域とに区切っている。実施の形態では、仕切板113およびノズル114は、2箇所に設けられている。
工程(S20)では、まず、硫酸203を放散塔110の上部から供給する硫酸供給工程(S21)を実施する。
詳細には、硫酸供給工程(S21)では、図2に示すように、放散塔110の上部から乾燥工程(S10)で得られる硫酸203を供給する。この際、放散塔110の最上部から硫酸203を供給することが好ましい。また、硫酸203の供給流量は、たとえば1〜1000kg/hとすることができる。
また、放散塔110に供給する硫酸203の温度は、乾燥工程(S10)の操作温度に依存する。通常、放散塔110に供給する硫酸203の温度は10〜50℃である。
放散塔110の下部には液溜部111を備えている。放散塔110の上部から供給された硫酸203は、充填部を流下した後、液溜部111に流入し、滞留する。
次に、ガス204を液溜部111に供給して、硫酸203とガス204とを液溜部111で向流接触させるガス供給工程(S22)を実施する。ガス供給工程(S22)では、液溜部111に滞留する硫酸203にガス204をバブリングすることにより硫酸203中の塩素205を除去する。また、ガス204の供給流量は、たとえば0.1〜100kg/hとすることができる。
液溜部111における硫酸203の滞留時間は0.3〜2時間が好ましく、さらに好ましくは0.6〜1.5時間である。滞留時間を0.3時間以上することによって、液溜部111に滞留する硫酸203から塩素205を十分に除去できる。滞留時間を0.6時間以上とすることによって、硫酸203からより十分に塩素205を除去できる。一方、滞留時間を2時間以内とすることによって、液溜部111に供給するガス204が液溜部111全体に及ぶとともに、液溜部111の制作費を抑制でき、ガス204の供給量の増加を抑制でき、経済的である。滞留時間を1.5時間以下とすることによって、ガス204が液溜部111全体に及ぶとともに、経済的にも満足するからである。
硫酸供給工程(S21)で供給される硫酸(L)203の流量(kg/h)とガス供給工程(S22)で供給されるガス(G)204の流量(Kg/h)との気液比(L/G)は10kg/kg以下とすることが好ましく、さらに好ましくは1〜10kg/kgである。気液比(L/G)を1kg/kg以上とすることによって、不必要に過剰なガスの使用を避けることができるためである。10kg/kg以下とすることによって、廃硫酸を処理する上で支障にならない10ppmレベルにまで廃硫酸中の塩素濃度を低減できるためである。一方、気液比(L/G)を5以下とすることによって、廃硫酸中の塩素濃度をさらに十分に低減できるためである。
また、液溜部111における硫酸203の滞留時間は、硫酸の粘度に応じて変更することが好ましい。滞留時間と硫酸203の粘度とは、およそ比例の関係にあり、粘度が高いほど滞留時間を長くするのが好ましい。硫酸203の粘度は、温度のみならず硫酸203の濃度に大きく依存するため、粘度を把握して適切な滞留時間を維持することで、より効率的に塩素濃度を下げることができる。
液溜部111における硫酸203の温度は10〜50℃であることが好ましく、さらに好ましくは10〜40℃である。放散の観点からは、硫酸203の温度は高いほうが好ましいが、本発明の実施の形態の塩素の除去方法では、乾燥塔101から回収される10〜50℃の硫酸を特に加熱することなくそのままの状態で放散できるという特徴を有する。
ガス204の硫酸203への分散方法はバブリングされれば特に限定されず、単一ノズルを用いてガス204を供給してもよいが、気液の接触面積を増加させて物質移動容量係数を増加させる観点から、小孔群からなる噴出口112aを含むスパージャー(多孔ノズル)112で行なわれることが好ましい。なお、スパージャー112での差圧は許容範囲内で調整する。
スパージャー112の小孔は、直径5mm以下とすることが好ましく、さらに好ましくは直径が3mm以下である。5mm以下とすることによって、ガス204の各々の気泡が小さくなり気液の接触面積はより増加し、3mm以下とすることによって、気液の接触面積はより一層増加する。
スパージャー112は、放散塔110の塔底に向かって噴出口112aからガス204を噴き出すことが好ましい。この場合には、噴出口112aの塔底からの高さhが、液溜部111の塔底からの高さHの30%以下となるようにスパージャー112が配置されている。噴出口112aの高さhは、液溜部111の高さHの25%以下となるように配置されることが好ましく、さらに好ましくは20%以下となるように配置される。高さhを高さHの30%以下とすることによって、ガス204が液溜部111の硫酸203と十分に接触できる。高さhを高さHの25%以下とすることによって、気液接触がより十分となり、20%以下とすることによって、気液接触がより一層十分となる。なお、液溜部111の塔底からの高さHは、硫酸203が液溜部111に滞留する際の静止時の高さを意味する。実施の形態における高さHは、後述する排出工程(S30)においてオーバーフロー手段により高純度硫酸を排出するので、ノズル114の塔底からの高さに相当する。
また、噴出口112aの塔底からの高さhが、塔底から30mm以上となるようにスパージャー112が配置されていることが好ましい。高さhを30mm以上とすることによって、放散塔110の塔底にガス204が当たって気液接触に有効な気泡が破壊されることを防止して、塩素205をより多く除去できる。また、放散塔110の塔底に高純度硫酸を排出するノズルが配置されている場合には、塔底から抜き出される高純度硫酸にガス204が混入することを防止でき、塩素ガスが除去された高純度硫酸の配管輸送をスムーズに行なうことができる。
スパージャー112の形状は上記に特に限定さなないが、たとえば気液の不接触部分をできるだけ排除する目的で、液溜部111の水平断面のできるだけ広い範囲にスパージャー112を配置することが好ましい。たとえば十字型、U字型、リング型、または二重リング型に形成したパイプに小孔を開けたスパージャーを好ましく適用できる。
上記工程(S10,S21,S22)を実施することにより、硫酸中の塩素を除去することができる。
本実施の形態では、さらに排出工程(S30)を備えることにより、塩素を除去した高純度硫酸を排出している。具体的には、ノズル114から高純度硫酸206を排出する排出工程(S30)を実施する。排出工程(S30)では、硫酸203から塩素205が除去された高純度硫酸206をノズル114から排出して、タンク120に輸送する。この場合、仕切板113により区切られているスパージャ−112の存在しない領域の高純度硫酸206をノズル114からオーバーフローさせてタンク120に排出する。
排出工程(S30)では、高純度硫酸206を放散塔110からタンク120に排出できれば特にこれに限定されない。たとえばポンプで高純度硫酸206を排出することもできるが、高純度硫酸206をノズル114からオーバーフローさせて排出させることが好ましい。オーバーフロー手段を採用することにより、高純度硫酸206が気泡を巻き込んで排出することを防止でき、高純度硫酸206の品質を向上することができるからである。また、ノズル114からオーバーフローさせて高純度硫酸206を排出する際には、ノズル114は液溜部111の壁面に設置して、気泡が混入しないようにカバーを設置することが好ましい。
以上の工程(S10,S20,S30)を実施することにより、硫酸203から塩素205を除去して高純度硫酸を処理することができる。本発明の実施の形態における塩素の除去方法により得られる高純度硫酸は、含有する塩素濃度を10重量ppm以下とすることができる。そのため、10ppm以下まで塩素濃度を低減される高純度硫酸を廃硫酸とすることもできる。あるいは、高純度硫酸を再利用することもできる。
以上説明したように、本発明の実施の形態における塩素の除去方法によれば、液溜部111に滞留する硫酸203にガス204をバブリングすることにより塩素205を除去する。そのため、硫酸203から塩素205をより少ない量のガス204で効率的に除去できる。また、排出工程(S30)により得られる高純度硫酸206は、塩素濃度が低く高品質のものとなる。
[実施例]
本実施例では、本発明における塩素の除去方法の効果を調べた。以下、実施例1の各々の塩素の除去方法について説明する。
(実施例1における塩素の除去方法)
実施例1では、基本的には実施の形態における塩素の除去方法にしたがって高純度硫酸を処理した。具体的には、乾燥工程(S10)により、200〜300重量ppmの塩素を含有する硫酸を排出した。硫酸の濃度は75重量%であった。次に、硫酸供給工程(S21)で、排出した硫酸を特に加熱することなく、2.5kg/hで放散塔の塔頂から供給した。放散塔上部は塔径が100mmであり、公称1/2インチの磁製のラシヒリングを800mmの高さで充填した。充填層の下には、塔径100mm、最大の高さ1000mmの液溜部を設けた。スパージャーは、放散塔の塔底から100mmの位置、すなわち液溜部の高さの10%の位置に相当するように配置した。後述するように、液溜部の高さは滞留時間調整のために変化させるが、いずれの場合でも液溜部の高さの30%以下を維持した。スパージャーは、内径が1mmの小孔が100個の小孔群からなる噴出口を含むものを用いた。スパージャーにガスを供給するために内径が約20mmのノズルを放散塔の塔底の略中心に1つ設置し、ここからスパージャーに供給するガスとしての窒素ガス(N2)をそれぞれ0.2Nm3/h、0.4Nm3/h、0.6Nm3/h、0.80Nm3/h、および1.0Nm3/hの流量でそれぞれ供給した。それぞれについて、液溜部における硫酸の滞留時間を0.3h、0.6h、および1.0hとした。塔底には、内径約20mmのノズルを設けた。このノズルに液面位置調整用の配管を接続し、オーバーフローさせて実施例における高純度硫酸を得た。なお、オーバーフロー高さを調整することで、滞留時間を変化させた。
実施例1における塩素の方法では、硫酸供給工程(S21)で供給される硫酸の流量とガス供給工程(S22)で供給されるガスの流量との気液比(L/G)は1.9kg/kg、2.4kg/kg、3.2kg/kg、4.8kg/kg、9.7kg/kgであり、それぞれについて液溜部における硫酸の滞留時間τは0.3h、0.6h、および1.0hとした。液溜部における硫酸の温度は20℃とした。
(評価方法)
得られた高純度硫酸について、それぞれ塩素濃度を測定した。なお、高純度硫酸中に残存する塩素は、オルトトリジンを指示薬とした比色法により測定した。その結果を図3および図4に示す。図3は、各気液比(L/G)について液溜部に滞留する時間と高純度硫酸中に残存する塩素との関係を示し、横軸は平均滞留時間(単位:時間(h))を示し、縦軸は残存する塩素の濃度(単位:重量ppm)を示す。図4は、各滞留時間について気液比(L/G)と高純度硫酸中に残存する塩素との関係を示し、横軸は気液比(L/G)(単位:kg/kg)を示し、縦軸は残存する塩素の濃度(単位:重量ppm)を示す。
(評価結果)
図3および図4に示すように、実施例における高純度硫酸中には、放散塔入口の硫酸に含まれていた塩素の濃度を10ppm以下まで大幅に低下することができた。なお、塩素濃度を10ppm以下まで塩素濃度を低減できると、高純度硫酸を廃硫酸として処理する上で支障にならないため、非常に好ましい。特に、廃硫酸を濃縮する場合は、濃縮装置に用いる金属材質を腐食させにくい点で好ましい。また、特に、液溜部における硫酸の滞留時間が0.3〜2時間として塩素を除去した高純度硫酸は、使用する窒素ガスの量を低減しつつ、塩素濃度も低減することができた。
以上説明したように実施例によれば、液溜部に滞留する硫酸にガスをバブリングすることにより、必要なガスの使用量を低減し、硫酸中の塩素を効率的に除去して、高品質の高純度硫酸を製造できることがわかった。また、滞留時間を0.3〜2時間とすることにより、塩素をより除去できることがわかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の塩素の除去方法は、硫酸中の塩素を効率良く除去できるため、食塩電解プラントや塩酸酸化プロセスで製造される塩素ガスを濃硫酸で乾燥する設備から排出される廃硫酸について適用することにより、廃硫酸を再利用することができる。
本発明の実施の形態における塩素の除去方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態における塩素の除去方法について説明する図である。 各気液比(L/G)について液溜部に滞留する時間と高純度硫酸中に残存する塩素との関係を示す図である。 各滞留時間について気液比(L/G)と高純度硫酸中に残存する塩素との関係を示す図である。 従来のストリッピング塔を示す模式図である。
符号の説明
101 乾燥塔、110 放散塔、111 液溜部、112 スパージャー、112a 噴出口、113 仕切板、114 ノズル、120 タンク、130 循環ポンプ、131 冷却器、132 熱交換器、201 濃硫酸、202 乾燥前塩素ガス、203 硫酸、204 ガス、205 塩素、206 高純度硫酸、207 乾燥後塩素ガス、208 排ガス、H,h 高さ。

Claims (8)

  1. 下部に液溜部を備える放散塔で、塩素を含有する硫酸と前記硫酸に対して不活性なガスとを向流接触させて前記硫酸から前記塩素を除去する塩素の除去方法であって、
    前記硫酸を前記放散塔の上部から供給する硫酸供給工程と、
    前記ガスを前記液溜部に供給して、前記硫酸と前記ガスとを前記液溜部で向流接触させるガス供給工程とを備え、
    前記液溜部における前記硫酸の滞留時間が0.6時間以上であり、
    前記硫酸供給工程で供給される前記硫酸(L)の流量(kg/h)と前記ガス供給工程で供給される前記ガス(G)の流量(kg/h)との気液比(L/G)が10kg/kg以下であり、
    前記液溜部に滞留する前記硫酸に前記ガスをバブリングすることにより前記塩素を除去することを特徴とする、塩素の除去方法。
  2. 前記液溜部における前記硫酸の滞留時間が0.6〜2時間であることを特徴とする、請求項1に記載の塩素の除去方法。
  3. 前記液溜部における前記硫酸の温度が10〜50℃であることを特徴とする、請求項1または2に記載の塩素の除去方法。
  4. 前記ガス供給工程は、直径5mm以下の小孔群からなる噴出口を含むスパージャーで行なわれることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の塩素の除去方法。
  5. 前記スパージャーは、前記放散塔の塔底に向かって前記噴出口から前記ガスを噴き出し、
    前記噴出口の前記塔底からの高さが、前記液溜部の前記塔底からの高さの30%以下となるように前記スパージャーが配置されていることを特徴とする、請求項に記載の塩素の除去方法。
  6. 前記スパージャーは、前記放散塔の塔底に向かって前記噴出口から前記ガスを噴き出し、
    前記噴出口の前記塔底からの高さが、前記塔底から30mm以上となるように前記スパージャーが配置されていることを特徴とする、請求項に記載の塩素の除去方法。
  7. 前記液溜部は、相対的に高い位置の壁面にノズルを有し、前記ノズルから前記塩素を10ppm以下含有する高純度硫酸を排出する排出工程をさらに備え、
    前記相対的に高い位置は、前記ノズルからオーバーフロー手段により前記高純度硫酸を排出することができる位置である、請求項1〜のいずれかに記載の塩素の除去方法。
  8. 前記高純度硫酸は、廃硫酸として前記ノズルから排出される、請求項に記載の塩素の除去方法。
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