JP2006169019A - セラミックス基複合材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 空隙率が従来より大幅に低く、かつ高温で長時間使用可能なセラミックス基複合材料を少ない工程で製造することができる製造方法を提供する。
【解決手段】 無機繊維により繊維織物を成形する繊維織物成形工程2と、繊維織物の表面にコーティング層を形成する繊維表面処理工程4と、繊維間にマトリックスを形成するマトリックス形成工程10とを有する。マトリックス形成工程10は、繊維織物の繊維間に有機ケイ素ポリマーを減圧下で含浸させるポリマー真空含浸工程14と、次いで高圧の不活性雰囲気中で繊維織物を熱処理して有機ケイ素ポリマーをSiCセラミックスに転換させる高圧不活性焼成工程16とを有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、強靱で耐熱性及び耐酸化性にすぐれたセラミックス基複合材料の製造方法に関する。
セラミックスは耐熱性が高いが脆い欠点があるため、これをセラミックス繊維で強化したセラミックス基複合材料が開発されている。
しかし従来のセラミックス基複合材料は、タービン翼、燃焼器、アフターバーナ部品等のガスタービン部品に適用した場合、約1000℃以上で長時間使用されるため特性の劣化が激しい問題点があった。
この問題点を解決するため、本発明の発明者等は、先に、特許文献1、2の発明を創案し出願した。
特許文献1の「セラミックス基複合材料及びその製造方法」は、無機繊維により繊維織物を成形する繊維織物成形工程と、織物の表面にコーティング層を形成する繊維表面処理工程と、繊維間にマトリックスを形成するマトリックス形成工程とを有し、マトリックス形成工程が、酸化してガラス質となる添加剤を加えた有機ポリマーを基材として含浸し、焼成する工程を有するものである。
特許文献2の「セラミックス基複合材料及びその製造方法」は、繊維表面処理工程とマトリックス形成工程が、インターフェース層及びマトリックスが、酸化してガラス質となる酸化防止材を含有させる工程をそれぞれ有し、製品表面処理工程が、酸化防止材の粒子からなる内層を形成するコーティング工程を有するものである。
これらの発明により、後工程を必要とすることなくマトリックスの表面をガラス質で覆うことができ、従ってクラック等の非常に狭い隙間にも確実に処理でき、これにより約1000℃以上の高温で長時間使用可能なセラミックス基複合材料の製造が可能となった。
特開2000−239073号公報、「セラミックス基複合材料及びその製造方法」 特開2003−31277号公報、「セラミックス基複合材料とその製造方法」
上述したマトリックス形成工程において、気相含浸後の空隙率は約40%であり、空隙率は例えば、ポリマー含浸と不活性焼成を4回繰り返しても約25%までしか低減できず、それ以上繰り返しても空隙率はそれ以下にはほとんどできない問題点があった。
しかし、CMCチャンバーや燃焼器等では、空隙率を更に低減し、その気密性(耐リーク性)を高めることが強く要望されていた。
本発明はかかる要望を満たすために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、空隙率が従来より大幅に低く、かつ高温で長時間使用可能なセラミックス基複合材料を少ない工程で製造することができる製造方法を提供することにある。
本発明によれば、無機繊維により繊維織物を成形する繊維織物成形工程と、該繊維織物の表面にコーティング層を形成する繊維表面処理工程と、繊維間にマトリックスを形成するマトリックス形成工程とを有するセラミックス基複合材料の製造方法であって、
前記マトリックス形成工程が、前記繊維織物の繊維間に有機ケイ素ポリマーを減圧下で含浸させるポリマー真空含浸工程と、次いで高圧の不活性雰囲気中で前記繊維織物を焼成して有機ケイ素ポリマーをSiCセラミックスに転換させる高圧不活性焼成工程とを有する、ことを特徴とするセラミックス基複合材料の製造方法が提供される。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記有機ケイ素ポリマーとして、融点がセラミックス転換開始温度よりも十分低いポリカルボシランの粉末を用い、
前記ポリマー真空含浸工程は、前記ポリマー粉末を繊維織物と共に液密性のある耐熱容器内に収容する容器内収容ステップと、該耐熱容器内を高真空度まで減圧する真空減圧ステップと、前記ポリマー粉末を融点より高くセラミックス転換開始温度よりも十分低い温度まで加熱して溶融させ、溶融ポリマーを繊維織物の繊維間に含浸させる加熱溶融ステップと、溶融ポリマーが繊維間に含浸された状態で繊維織物をポリマーの融点以下まで冷却凝固させる冷却凝固ステップとからなる。
前記加熱溶融ステップにおいて、ポリマー粉末が溶融しかつ溶融したポリマーからの発泡がなくなるまで所定の溶融温度を保持する、ことが好ましい。
前記高圧不活性焼成工程は、前記冷却凝固ステップ後、ポリマーが含浸された繊維織物のまわりを不活性雰囲気で置換する雰囲気置換ステップと、該繊維織物を約500〜1000気圧の高圧下で約800〜1000℃まで加熱し、転換に必要な所定時間保持する高圧加熱ステップとからなる。
前記ポリマー真空含浸工程と高圧不活性焼成工程を順に複数回繰り返す、ことが好ましい。
上述した本発明の方法によれば、ポリマー真空含浸工程において、繊維織物の繊維間に有機ケイ素ポリマーを減圧下で含浸させるので、繊維間にガスが閉じこまれるおそれがなく、含浸後の繊維間に残存する空洞を大幅に低減することができる。
すなわち、真空減圧ステップでポリマー粉末と繊維織物を収容した耐熱容器内を高真空度まで減圧することで、繊維織物の繊維間のガスを排出して真空状態にできる。また、加熱溶融ステップで、ポリマー粉末を融点より高くセラミックス転換開始温度よりも十分低い温度まで加熱して溶融させることにより、溶融したポリマーを真空状態になった繊維間の隙間に円滑に含浸させ、繊維間に残存する空洞を大幅に低減することができる。
さらに、冷却凝固ステップで溶融ポリマーが繊維間に含浸された状態で繊維織物をポリマーの融点以下まで冷却凝固させるので、凝固したポリマーで繊維織物を緻密に囲み、外部から繊維間の隙間にガス(空気、不活性ガス)が再侵入するのを防止することができる。
特に、加熱溶融ステップにおいて、ポリマー粉末が溶融しかつ溶融したポリマーからの発泡がなくなるまで所定の溶融温度を保持することにより、凝固したポリマーの緻密度をさらに高めることができる。
また、高圧不活性焼成工程において、高圧下の不活性雰囲気中で前記繊維織物を熱処理するので、繊維間に残存する空洞に高圧で溶融したポリマーを押し込むことができ、空隙率を更に低減できる。
また、高圧下で有機ケイ素ポリマーをSiCセラミックスに転換させるので、有機ケイ素ポリマーの分解を抑制しSiCセラミックスの歩留まりを高めることができる。
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
図1は、本発明のセラミックス基複合材料の製造方法を示すフロー図である。この図に示すように、本発明の方法は、繊維織物成形工程2、繊維表面処理工程4、マトリックス形成工程10、及び機械加工工程6からなる。
繊維織物成形工程2では、SiC繊維を用いて所定の形状の繊維織物を成形する。この工程で成形する形状は、適用するCMCチャンバーやタービン翼、燃焼器、アフターバーナ部品等に適した立体形状であるのがよいが、平面形状であってもよい。
繊維表面処理工程4では、成形された繊維織物にカーボン(好ましくはグラファイトカーボン)又はBNをコーティングする。かかるコーティング層は、マトリックスと繊維とを分離し繊維のじん性を強化する役割を果たす。
機械加工工程6は、後述するマトリックス形成工程10で完成したセラミックス基複合材料を機械加工や表面研削して、所望のCMC部材(CMCチャンバーや燃焼器等)に加工する工程である。この工程では、例えばダイヤモンド砥石を用いて所定の形状に加工する。
図1に示すように、マトリックス形成工程10は、更に、気相含浸工程12、ポリマー真空含浸工程14、及び高圧不活性焼成工程16からなる。
気相含浸工程12は、いわゆるCVI法(Chemical Vapor Infiltration:気相含浸法)で処理する工程であり、炉内に専用治具で固定された織物を加熱し、減圧雰囲気にてメチルトリクロロシランを流入させてSiCを合成させる。気相含浸後の繊維織物の空隙率は約40%である。
ポリマー真空含浸工程14は、繊維織物の繊維間に有機ケイ素ポリマーを減圧下で含浸させる工程である。また、高圧不活性焼成工程16は、高圧の不活性雰囲気中で繊維織物を焼成して有機ケイ素ポリマーをSiCセラミックスに転換させる工程である。
図2は、図1のポリマー真空含浸工程14と高圧不活性焼成工程16を更に詳しく示すフロー図である。
この図に示すように、ポリマー真空含浸工程14は、容器内収容ステップ14a、真空減圧ステップ14b、加熱溶融ステップ14c、及び冷却凝固ステップ14dからなる。
容器内収容ステップ14aでは、ポリマー粉末を繊維織物と共に液密性のある耐熱容器内に収容する。液密性のある耐熱容器は、溶融したポリマー(溶融ポリマー)が容器外に漏れないためであり、上部は開口していてもよい。
真空減圧ステップ14bでは、耐熱容器内を高真空度(例えば、−0.08〜−0.10MPa)まで減圧する。この減圧は、繊維間に閉じこまれているガスを排出しこの部分に溶融ポリマーが入りやすくするためである。
加熱溶融ステップ14cでは、ポリマー粉末を融点より高くセラミックス転換開始温度よりも十分低い温度まで加熱して溶融させ、溶融ポリマーを繊維織物の繊維間に含浸させる。この加熱溶融ステップにおいて、ポリマー粉末が溶融しかつ溶融したポリマーからの発泡がなくなるまで所定の溶融温度(例えば、140〜150℃)を保持する。発泡がなくなるまで保持するのは、溶融ポリマーが凝固した際に、凝固したポリマーの緻密度を高め、空隙を無くすためである。発泡中に凝固させると、凝固したポリマーはポーラスとなり、高圧不活性焼成工程においてガス(空気、不活性ガス)が再侵入するおそれがある。
冷却凝固ステップ14dでは、溶融ポリマーが繊維間に含浸された状態で繊維織物をポリマーの融点以下まで冷却凝固させる。
図2において、高圧不活性焼成工程16は、雰囲気置換ステップ16aと高圧加熱ステップ16bとからなる。
雰囲気置換ステップ16aでは、冷却凝固ステップ14dの後、高圧で加熱可能な熱処理炉(例えば、HIP装置)内にポリマーが含浸された繊維織物を収容し、そのまわりを不活性雰囲気で置換する。
高圧加熱ステップ16bでは、繊維織物を約500〜1000気圧の高圧下で約800〜1000℃まで加熱し、転換に必要な所定時間(例えば、1〜2時間)、保持する。
次いで、熱処理炉の温度と圧力を常温、常圧まで下げ、繊維織物の空隙率を計測し、必要な場合には、さらに、所望の空隙率(例えば10%)になるまで、ポリマー真空含浸工程14と高圧不活性焼成工程16を順に複数回(例えば4回程度)繰り返す。
有機ケイ素ポリマーとして、本発明では、融点がセラミックス転換開始温度よりも十分低いポリカルボシランの粉末を用いる。ポリカルボシランは、主骨格にSi-C結合をもつポリマーとして知られており、以下の特性を有する。
(1)加熱溶融又は常温での有機溶媒溶解により、低粘度の液体となり、微細孔に容易に浸透・含浸する。
(2)不活性雰囲気中、1000℃以上で熱処理することにより、SiCセラミックスに転換する。
このような有機ケイ素ポリマーとして、数平均分子量が約800から約3500、融点が約80〜350℃のものが市販されている(例えば、日本カーボン株式会社のニプシ(登録商標))。
従来のポリマー含浸工程では、例えば数平均分子量が約2000、融点が約245℃の有機ケイ素ポリマー(以下、タイプSと呼ぶ)を用い、これをキシレン等の溶剤に溶かして気相含浸後の織物に含浸させていた。この場合、ポリマーと溶剤の比率は、例えば3:7であり、焼成後のポリマーの歩留まりは約70%であった。そのため、従来のポリマー含浸工程では、繊維の隙間に溶剤に溶かしたポリマーを含浸させてもSiCセラミックスに転換されて残るのは、そのうち約21%前後にすぎず、空隙率が低減できない主要因となっていた。
これに対して、本発明では、数平均分子量が約800から1000、融点が約80〜100℃の有機ケイ素ポリマー(以下、タイプLと呼ぶ)を用いる。その理由を実施例1で説明する。
図3は、有機ケイ素ポリマーの焼成時の歩留まりの試験結果である。この試験は、従来使用のタイプSと本発明で使用するタイプLを溶剤に溶かすことなく焼成したときの歩留まりを比較したものである。焼成温度は800℃であり、雰囲気圧は常圧(1気圧)と高圧(1000気圧)で実施した。
この結果から、常圧焼成に比較して高圧焼成では、歩留まりが大幅に高まることがわかる。これは有機ケイ素ポリマーの分解が高圧により抑制されるためと考えられる。
また、本発明で使用するタイプLの歩留まりは、常圧焼成では低いが、高圧焼成では、2倍以上に高まり、約75%に達していることがわかる。
また上述したように、本発明では、融点が低いポリカルボシランの粉末を溶剤に溶かさずに、粉末のまま真空中で溶解して使用する。そのため、本発明のポリマー真空含浸工程では、繊維の隙間に加熱溶解したポリマーを溶剤で希釈せずに含浸させ、これを高圧焼成するので、SiCセラミックスに転換されて残る比率は、約75%に達する。従って、従来方法の約21%前後に比較して、3倍以上の含浸ができ、空隙率を大幅に低減することができる。
また、融点が低いタイプLは、従来のタイプSに比較して数平均分子量が小さく溶融時の粘度が低いので、溶剤で希釈せずにそのまま繊維の隙間に含浸させることができる。
さらに、有機ケイ素ポリマーのセラミックス転換開始温度は、約350℃であり、タイプLの有機ケイ素ポリマーは融点が約80〜100℃であり、セラミックス転換開始温度より十分低いため、焼成を防止しながら発泡がなくなるまで所定の溶融温度を保持することができる。
これに対して、従来使用のタイプSの融点(約250℃)は、セラミックス転換開始温度(約350℃)に近いため、焼成を防止しながら発泡がなくなるまで溶融温度を保持して、繊維の隙間に溶融するポリマーを含浸させることができない。
図4は、有機ケイ素ポリマーの真空加熱試験結果である。この試験では、タイプLの有機ケイ素ポリマーの粉末を繊維織物と共に液密性のある耐熱容器内に収容し、真空加熱炉内で、約−0.09MPaの真空度まで減圧し、炉内温度を徐々に昇温し、その溶融状態を目視観察した。(A)は途中から減圧した結果、(B)は初めから減圧した結果である。
図4(A)(B)において、昇温を開始すると、(A)では約130℃まで溶融したポリマーからのガスが発泡して白濁し、約140℃(A部)で発泡がなくなり溶融したポリマーが透明になるのが確認された。同様に(B)では約140℃まで溶融したポリマーからのガスが発泡して白濁し、約150℃(B部)では発泡がなくなり溶融したポリマーが透明になった。
ポリマーが透明になった後、溶融したポリマーが繊維織物の繊維間に含浸された状態で繊維織物をポリマーの融点以下まで冷却凝固させると、凝固したポリマーには空隙がほとんどなく、緻密度の高いポリマーで繊維織物を囲み、外部から繊維間の隙間にガス(空気、不活性ガス)が再侵入するのを防止することができることが確認された。
図5は、含浸・焼成回数と空隙率の関係図である。この試験では、従来の方法と本発明の方法を4回実施し、空隙率の変化を比較した。
この図から、従来例では、空隙率が2回目で約30%、4回目で約25%であるのに対し、本発明では、2回目で約40%、4回目で約10%であり、空隙率が大幅に低減できることが確認された。
図6は、完成したセラミックス基複合材料の組織を示す写真であり、(A)は本発明、(B)は従来例である。また、図7は、同様の従来例である、(A)は縦糸と横糸からなる繊維織物の断面図、(B)は繊維を束ねる糸(Z糸)の断面図である。これらに図はすべて含浸・焼成を2回実施したものである。
図7(A)に示すように、この例における繊維織物は、縦糸と横糸を交互に積層したものである。また、図7(B)に示すZ糸により、繊維織物全体を縫うように束ねて一体化している。
図6(B)は、図7(A)のA部拡大図である。この図において、白い部分は繊維又は繊維間のマトリックスであり、黒い部分は空隙部である。また、図6(A)も本発明による複合材料の同一部分を示しており、同様に白い部分は繊維又は繊維間のマトリックスであり、黒い部分は空隙部である。
図6(A)(B)の比較から、従来例に比較して、本発明では、黒い空隙部が少なく、空隙率が従来例より大幅に低減されていることが確認できる。
上述したように、本発明の方法によれば、ポリマー真空含浸工程14において、有機ケイ素ポリマーを減圧下で繊維織物の繊維間に含浸させるので、繊維間にガスが閉じこまれるおそれがなく、含浸後の繊維間に残存する空洞を大幅に低減することができる。
すなわち、真空減圧ステップ14bでポリマー粉末と繊維織物を収容した耐熱容器内を高真空度まで減圧することで、繊維織物の繊維間のガスを排出して真空状態にできる。また、加熱溶融ステップ14cで、ポリマー粉末を融点より高くセラミックス転換開始温度よりも十分低い温度まで加熱して溶融させることにより、溶融したポリマーを真空状態になった繊維間の隙間に円滑に含浸させ、繊維間に残存する空洞を大幅に低減することができる。
さらに、冷却凝固ステップ14dで溶融したポリマーが繊維織物の繊維間に含浸された状態で繊維織物をポリマーの融点以下まで冷却凝固させるので、凝固したポリマーで繊維織物を緻密に囲み、外部から繊維間の隙間にガス(空気、不活性ガス)が再侵入するのを防止することができる。
特に、加熱溶融ステップ14cにおいて、ポリマー粉末が溶融しかつ溶融したポリマーからの発泡が完了するまで所定の温度を保持することにより、凝固したポリマーの緻密度をさらに高めることができる。
また、高圧不活性焼成工程16において、高圧下の不活性雰囲気中で繊維織物を熱処理するので、繊維間に残存する空洞に高圧で溶融したポリマーを押し込むことができ、空隙率を更に低減できる。
また、高圧下で有機ケイ素ポリマーをSiCセラミックスに転換させるので、有機ケイ素ポリマーの分解を抑制しSiCセラミックスの歩留まりを高めることができる。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
本発明のセラミックス基複合材料の製造方法を示すフロー図である。 図1のポリマー真空含浸工程と高圧不活性焼成工程の詳細フロー図である。 有機ケイ素ポリマーの焼成時の歩留まりの試験結果である。 有機ケイ素ポリマーの真空加熱試験結果である。 含浸・焼成回数と空隙率の関係図である。 完成したセラミックス基複合材料の組織を示す写真である。 従来例のセラミックス基複合材料の組織を示す写真である。
符号の説明
2 繊維織物成形工程、4 表面処理工程、6 機械加工工程、
10 マトリックス形成工程、12 気相含浸工程、
14 ポリマー真空含浸工程、
14a 容器内収容ステップ、14b 真空減圧ステップ、
14c 加熱溶融ステップ、14d 冷却凝固ステップ、
16 高圧不活性焼成工程、16a 雰囲気置換ステップ、
16b 高圧加熱ステップ、


Claims (5)

  1. 無機繊維により繊維織物を成形する繊維織物成形工程と、該繊維織物の表面にコーティング層を形成する繊維表面処理工程と、繊維間にマトリックスを形成するマトリックス形成工程とを有するセラミックス基複合材料の製造方法であって、
    前記マトリックス形成工程が、前記繊維織物の繊維間に有機ケイ素ポリマーを減圧下で含浸させるポリマー真空含浸工程と、次いで高圧の不活性雰囲気中で前記繊維織物を焼成して有機ケイ素ポリマーをSiCセラミックスに転換させる高圧不活性焼成工程とを有する、ことを特徴とするセラミックス基複合材料の製造方法。
  2. 前記有機ケイ素ポリマーとして、融点がセラミックス転換開始温度よりも十分低いポリカルボシランの粉末を用い、
    前記ポリマー真空含浸工程は、前記ポリマー粉末を繊維織物と共に液密性のある耐熱容器内に収容する容器内収容ステップと、該耐熱容器内を高真空度まで減圧する真空減圧ステップと、前記ポリマー粉末を融点より高くセラミックス転換開始温度よりも十分低い温度まで加熱して溶融させ、溶融ポリマーを繊維織物の繊維間に含浸させる加熱溶融ステップと、溶融ポリマーが繊維間に含浸された状態で繊維織物をポリマーの融点以下まで冷却凝固させる冷却凝固ステップとからなる、ことを特徴とする請求項1に記載のセラミックス基複合材料の製造方法。
  3. 前記加熱溶融ステップにおいて、ポリマー粉末が溶融しかつ溶融したポリマーからの発泡がなくなるまで所定の溶融温度を保持する、ことを特徴とする請求項2に記載のセラミックス基複合材料の製造方法。
  4. 前記高圧不活性焼成工程は、前記冷却凝固ステップ後、ポリマーが含浸された繊維織物のまわりを不活性雰囲気で置換する雰囲気置換ステップと、該繊維織物を約500〜1000気圧の高圧下で約800〜1000℃まで加熱し、転換に必要な所定時間保持する高圧加熱ステップとからなる、ことを特徴とする請求項2に記載のセラミックス基複合材料の製造方法。
  5. 前記ポリマー真空含浸工程と高圧不活性焼成工程を順に複数回繰り返す、ことを特徴とする請求項1に記載のセラミックス基複合材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101426860B1 (ko) * 2012-12-06 2014-08-06 국방과학연구소 탄화규소 복합재 및 그 제조 방법

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