JP4117529B2 - セラミックス基複合部材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気密性と耐熱衝撃性にすぐれたセラミックス基複合部材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
NTO/N24,NTO/MMH等を推進剤とするロケットエンジンの高性能化のために、燃焼器(スラストチャンバ)の耐熱温度を高めることが要望される。そのため、耐熱温度が約1500℃であるコーティング付きのニオブ合金が、従来多くのロケットエンジンのチャンバ材料として用いられてきた。しかしこの材料は、密度が高いため重く、高温強度が低く、コーティングの寿命が短い欠点があった。
【0003】
一方、セラミックスは耐熱性が高いが脆い欠点があるため、これをセラミックス繊維で強化したセラミックス基複合部材(Ceramic Matrix Composite:以下、CMCと略称する )が開発されている。すなわち、セラミックス基複合部材(CMC)はセラミックス繊維とセラミックスマトリックスとからなる。なお、一般にCMCはその素材により、セラミックス繊維/セラミックスマトリックス(例えば、両方がSiCからなる場合、SiC/SiC)と表示される。
【0004】
CMCは、軽量かつ高温強度が高いため、上述したロケットエンジンの燃焼器(スラストチャンバ)の他、高温部の燃料配管、ジェットエンジンのタービン翼、燃焼器、アフターバーナ部品等に極めて有望な材料である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のCMCは、気密性を保持することができず、かつ耐熱衝撃性が低い問題点があった。すなわち、従来のCMCは、所定の形状をセラミックス繊維で構成したのち、いわゆるCVI処理(Chemical Vapor Infiltration:気相含浸法)で繊維の隙間にマトリックスを形成するが、このCVIで繊維間の隙間を完全に埋めるには実用不可能な長期間(例えば1年以上)を要する問題点があった。また、このように形成した従来のCMCを高温で試験等すると、激しい熱衝撃(例えば温度差が900℃以上)が作用した場合に、強度低下が激しく、再使用がほとんどできない問題点があった。
そのため、従来のセラミックス基複合部材(CMC)は、燃焼器(スラストチャンバ)や燃料配管のような気密性と耐熱衝撃性を要する部品には実質的に使用できないと考えられていた。
【0006】
上述した問題点を解決するために、本発明の発明者等は、先に、「セラミックス基複合部材及びその製造方法」を創案し、出願した(特開2000−219576号)。
この製造方法は、CVI処理とPIP処理とを組み合わせたプロセス(ハイブリッド処理)であり、気密性と耐熱衝撃性を大幅に高めることができ、これによりスラストチャンバ等にも実用可能となった。
【0007】
しかし、上述した製造方法で製造した従来のSiC/SiC(CMC)は、10回程度の繰り返し熱衝撃を受けると、強度が半分以下になってしまうという問題点があった。また、気密性を確保するために、PIP処理を30〜40回程度行う必要があり、その結果、製造期間が長期化し、かつコストが高い問題点があった。
【0008】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、繰り返し熱衝撃による強度低下が少なく、少ない工程で気密性を確保でき、これにより製造期間を短縮化できかつ大幅なコストダウンが可能となるセラミックス基複合部材及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、成形した繊維織物の表面にSiCマトリックス層を形成するCVI処理ステップ(A)と、そのマトリックス層の隙間に熱硬化性ポリマーを基材として含浸し焼成するPIP処理ステップ(B)と、更にマトリックス層の隙間にSiC粒子を含むスラリーを含浸するスラリー含浸ステップ(C)とを備え、前記スラリー含浸ステップ(C)において、平均粒径0.1〜5μmのSiC粒子を粘度の低い揮発性液体に混合してマトリックス層の隙間に含浸させ、次いで、該揮発性液体を蒸発させた後CVI処理でSiC粒子を固定する、ことを特徴とするセラミックス基複合部材の製造方法が提供される。
【0010】
本発明のこの方法によれば、CVI処理ステップ(A)で繊維織物の表面にSiCマトリックス層を形成した後、PIP処理ステップ(B)においてマトリックス層の隙間に熱硬化性ポリマー(例えばPVS)を基材として含浸し焼成するので、PVSを内部まで容易に含浸でき、効率よく充填率を稼ぐことができる。また、スラリー含浸ステップ(C)において、SiC粒子を含むスラリーを含浸するので、更に効率よく充填率を高めることができる。
また、スラリー含浸ステップ(C)において、SiC粒子を粘度の低いエタノール等の揮発性液体に混合することにより、スラリー自体の粘度を下げ、マトリックス層の隙間にスラリーを効率良く充填することができる。また、このスラリーは揮発性液体のみなので、SiC粒子が繊維と固定されないが、次いで、揮発性液体を蒸発させた後CVI処理を行うことにより、CVI処理によるSiC膜で充填されたSiC粒子を固定することができる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記CVI処理ステップ(A)において、複数のCVI処理の中間で、繊維間のガスパスを塞ぐ表面のSiC膜を除去する表面膜除去処理を有する。
この方法により、表面でガスパスを塞いでいるCVI処理によるSiC膜を除去し、CVI処理による含浸効率を上げることができる。
【0012】
また、前記PIP処理ステップ(B)において、熱硬化性ポリマーとして、PVS(ボリビニルシラン)を用い、これを粘度を低下させるために約30〜40℃に加熱して含浸させ、次いで800〜1300℃で熱処理する。
約30〜40℃に加熱して含浸することにより、PVSの粘度を低下させ、マトリックス層の隙間にPVSを効率良く充填することができる。また、800〜1300℃で熱処理することにより、PVSに含まれる低分子量成分,水素,メタン等を蒸発・放出させ、更にポリマーを熱分解してセラミックス化(SiC化)することができる。
【0014】
更に、マトリックス層の隙間に熱可塑性ポリマーを基材として含浸し焼成するPIP処理ステップ(D)を備える、ことが好ましい。
このPIP処理ステップ(D)により、熱可塑性のPCS(ボリカルボシラン)が繊維にまとわりつくように付いて、マトリックスと繊維との接合力を高め、CMC自体の初期強度を高めることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、従来のセラミックス基複合部材の製造方法を示す模式図である。この図は、特開2000−219576号で開示したセラミックス基複合部材の製造方法を示している。
【0017】
この方法により気密性を要するチャンバを製造する場合、(1)まず、マンドレル(製織用治具)を用いて、ブレイド織り等でチャンバ形状に織物を織る。(2)次いで、この織物に、インターフェイスコーティングを行う。このコーティングは、繊維とマトリックスを分ける層であると共に、SiC/SiCとして強度を発現するための滑り層となる。このインターフェイスコーティングには、主にC(カーボン)が用いられる。(3)その後、CVI(Chemical Vapor Infiltration,気相含浸)を行い、SiCマトリックスを付ける。(4)その後、さらにPIP(Polymer Impregnation and Pyrolysis,液相含浸)を繰り返し行うことによって、チャンバの充填率を高め、(5)最後に機械加工で形状を出す。
この後、表面にCVIコーティングを行い、更にリーク検査をして、気密性のあるチャンバ等のCMCが完成する。リーク検査でリークがある場合には、上述した(3)〜(5)を繰り返す。
【0018】
図2は、従来の製造方法を具体的に示すフロー図である。
織物2を構成する繊維には、SiC繊維1を用い、スラストチャンバのような軸対称形状の織物を製作する。
【0019】
IFコーティング処理11では、原料ガスを流して炉内で分解させて、カーボン又は窒化ボロンを織物の繊維の表面にコーティングする。このコーティングは、前述のように、繊維とマトリックスを分ける層(インターフェイス)であると共に、SiC/SiCとして強度を発現するための滑り層となる。
すなわち、IFコーティング処理11は、成形された繊維織物にカーボン(好ましくはグラファイトカーボン)又はBN等をコーティングする工程である。コーティングの厚さは、0.1〜1.0μm程度であるのがよい。かかるコーティング層は、特開昭63−12671号公報に開示されるように、マトリックスとセラミックス繊維とを分離し繊維のじん性を強化する役割を果たす。
なお、一般的には、IFコーティング処理の前に、デサイズ処理を行う。このデサイズ処理では、SiC繊維の表面に付いているサイジング剤(ポリマー)を真空中で熱処理して除去する。
【0020】
CVI処理12では、CVI処理(Chemical Vapor Infiltration:気相含浸法)で繊維の隙間にSiCのマトリックスを形成する。このSiCマトリックスは、コーティング層(インターフェイス)が後工程で行われるPIP等で反応しないようにする機能と、使用時にインターフェイス及び繊維を酸化から守る役割を果す。
図2の従来の方法では、このCVI処理12で所定の密度を達成した後に、次のPCS−PIP処理13を実施する。
【0021】
PIP処理は、熱分解してSiCになるポリマーを含浸させ、Ar中で熱処理してSiCマトリックスを付ける工程である。ポリマーには、主に熱可塑性のPCS(ポリカルボシラン)使用される。PCSを用いたPIP処理を、本出願においてPCS−PIP処理と呼ぶ。
PCS−PIP処理13、16では、PCSは粉末であるため、溶媒(例えばキシレン)に溶解して使用される。含浸は、例えば減圧環境下で織物内部の気泡を追い出すようにして行い、その後、約900℃で熱処理して、ポリマーを熱分解してSiCにする。
図2の工程では、チャンバーの気密性を確保するために、PCS−PIP処理を合計30回以上行っている。
【0022】
また、ポリマーとして熱硬化性のPVS(ポリビニルシラン)を用いる場合がある。PVSを用いたPIP処理を、本出願においてPVS−PIP処理と呼ぶ。PVSは高粘度の液体であり、そのままでは粘度が高すぎて使用できないので、約30〜40℃に温めて使用する。含浸は、例えば減圧環境下で織物内部の気泡を追い出すようにして行い、その後、約900℃で熱処理して、ポリマーを熱分解してSiCにする。
PCS(ポリカルボシラン)とPVS(ポリビニルシラン)の熱分解過程は類似しており、約400〜550℃で低分子量成分が蒸発し、約550〜1000℃でメタンと水素が放出してセラミックス化し、SiCマトリックスを形成する。
【0023】
図2の機械加工14では、PCS−PIP処理13した織物2の内外面を研削する。また、CVI−コーティング17では、織物全面にCVI処理によりSiC層をコーティングする。
【0024】
上述した従来のセラミックス基複合部材の製造方法により、気密性と耐熱衝撃性を高めたCMC(スラストチャンバ等)の製造が可能となった。しかし、上述した方法で製作されたCMCは、ロケットノズルが受ける熱衝撃に相当する過酷な熱衝撃(例えば、大気中900℃、1時間から氷水に投下し、表裏でΔT=400℃程度の温度差が発生する)を10回程度受けると、強度が半減してしまうことが試験の結果明らかとなった。
また、上述のように、気密性を確保するために、PIP処理を30〜40回程度行う必要があり、その結果、製造期間が長期化し、かつコストが高すぎる問題があった。
【0025】
図3は、本発明のセラミックス基複合部材の製造方法の第1実施形態を示すフロー図である。この図に示すように、本発明のセラミックス基複合部材の製造方法は、CVI処理ステップ(A)、PIP処理ステップ(B)及びスラリー含浸ステップ(C)を備える。
【0026】
CVI処理ステップ(A)は、この例では、2回のCVI処理21a,21bとその間の表面膜除去処理22とからなり、成形した繊維織物の表面にSiCマトリックス層を形成する。CVI処理21a,21bでは、上述したCVI処理で繊維の隙間にSiCのマトリックスを形成する。
また,このCVI処理ステップ(A)では、複数(この例では2回)のCVI処理21a,21bの中間に表面膜除去処理22を有し、繊維間のガスパスを塞ぐ表面のSiC膜を除去する。
【0027】
PIP処理ステップ(B)は、この例では、2回のPVS−PIP処理23からなり、マトリックス層の隙間に熱硬化性ポリマーを基材として含浸し焼成する。このPIP処理ステップ(B)において、熱硬化性ポリマーとして、PVS(ボリビニルシラン)を用い、これを粘度を低下させるために約30〜40℃に加熱して含浸させ、次いで約900℃で熱処理する。この熱処理温度は、800℃以上1300℃未満であればよい。
【0028】
スラリー含浸ステップ(C)は、この例では、2回のCVI処理21c,21dとその間のスラリー含浸処理24とからなり、マトリックス層の隙間にSiC粒子を含むスラリーを含浸する。このスラリー含浸ステップ(C)において、平均粒径1〜3μmのSiC粒子をエタノールに混合して含浸させ、次いで、エタノールを蒸発させた後CVI処理でSiC粒子を固定する。図3において、その他の処理11、14、17は、図2と同様である。SiC粒子の平均粒径は0.1〜5μmであればよく、エタノールは他の粘度の低い揮発性液体でもよい。
【0029】
図3に示した本発明の方法によれば、CVI処理ステップ(A)で繊維織物の表面にSiCマトリックス層を形成した後、PIP処理ステップ(B)においてマトリックス層の隙間に熱硬化性ポリマー(例えばPVS)を基材として含浸し焼成するので、PVSを内部まで容易に含浸でき、効率よく充填率を稼ぐことができる。
また、スラリー含浸ステップ(C)において、SiC粒子を含むスラリーを含浸するので、更に効率よく充填率を高めることができる。
【0030】
また、複数のCVI処理21a,21bの中間に表面膜除去処理22を有するので、表面でガスパスを塞いでいるCVI処理によるSiC膜を除去し、CVI処理による含浸効率を上げることができる。
【0031】
更に、PIP処理ステップ(B)において、約30〜40℃に加熱して含浸することにより、PVSの粘度を低下させ、マトリックス層の隙間にPVSを効率良く充填することができる。また、800〜1300℃で熱処理することにより、PVSに含まれる低分子量成分,水素,メタン等を蒸発・放出させ、更にポリマーを熱分解してセラミックス化(SiC化)することができる。
【0032】
また、前記スラリー含浸ステップ(C)において、平均粒径0.1〜5μmのSiC粒子を粘度の低いエタノールに混合することにより、スラリー自体の粘度を下げ、マトリックス層の隙間にスラリーを効率良く充填することができる。また、このスラリーはエタノールのみなので、SiC粒子が繊維と固定されないが、次いで、エタノールを蒸発させた後CVI処理を行うことにより、CVI処理によるSiC膜で充填されたSiC粒子を固定することができる。
【0033】
図4は、従来例(A)と本発明(B)によるセラミックス基複合部材の顕微鏡写真である。図4(A)に示すように、図2に示した従来の方法によるCMCでは、PCSのマトリックス(PCSが分解したSiCマトリックス)は繊維にまとわり付くように付着しており、空隙(黒い部分)が丸くなっているのがわかる。これはPCSのマトリックスが繊維をしっかり結合していることを示している。
これに対して、図4(B)に示すように、図3に示した本発明の方法によるCMCでは、PVSのマトリックス(PVSが分解したSiCマトリックス)は、角張った形状をしており、繊維からほぼ独立している。また、PVSのマトリックスはその周囲のCVIのマトリックス(白い層)により繊維と結合されている。
【0034】
すなわち、本発明のCMCは、成形した繊維織物の表面に形成されたSiCマトリックス層(CVIのマトリックス)と、そのマトリックス層の隙間に形成されたPVS(ボリビニルシラン)からなるマトリックス層(PVSのマトリックス)とを備え、更に、PVSのマトリックスはその周囲のCVIのマトリックスにより繊維と結合されている。
【0035】
図5は、従来例と本発明による熱衝撃回数と引張強度の関係図である。この図において、横軸は熱衝撃回数であり、縦軸は引張強度である。また、図中の●は従来のCMC(PCSのマトリックス)、◆は本発明のCMC(PVSのマトリックス)を示している。この熱衝撃試験は、ロケットノズルが受ける熱衝撃に相当する、大気中900℃、1時間から氷水に投下する熱衝撃を10回実施した。図5から、本発明のCMCの初期の引張強度は約200MPaであり、従来のCMCの約8割の強度に低下している。これは、図4に示したように、PVSマトリックスが繊維と直接結合せず、CVIマトリックスによる結合しているためと考えられる。しかし、10回の熱衝撃試験後の引張強度は、本発明のCMCでは、初期の引張強度とほぼ等しい約200MPaであるのに対して、従来のCMCでは、約180MPaまで低下している。これは、PVS(ボリビニルシラン)からなるマトリックス層とセラミックス繊維との拘束力は弱いが、これが一種の柔構造となり、ヤング率が低下して、熱応力が軽減され耐熱衝撃性が向上するものと考えられる。
【0036】
表1に従来例と本発明のCMCのマトリックス構成の比較を示す。
【0037】
【表1】
Figure 0004117529
【0038】
従来のCMCでは、CVIとPIPの体積比が1:1であったが、本発明では4:1までCVIの比率が上がっている。
空隙率は、従来例では14vol%であるが、本発明では約6.4vol%まで低くなっている。従って、その分、気密性能が向上している。
PIP回数は、従来の約30回に対して、図3の例ではスラリー含浸を含めて4回に減少している。すなわち、本発明により、気密性を達成するための工程回数が大幅に減少し、かつ高い充填率が得られており、マトリックスの含浸効率が高いことがわかる。
【0039】
図6は、本発明のセラミックス基複合部材の製造方法の第2実施形態を示すフロー図である。この第2実施形態では、図3の第1実施形態に加えて、更に、マトリックス層の隙間に熱可塑性ポリマーを基材として含浸し焼成するPIP処理ステップ(D)を備えている。
このPIP処理ステップ(D)は、この例では、2回のPCS−PIP処理25と2回のスラリー含浸処理26からなる。その他の処理は、図3と同様である。
かかるPIP処理ステップ(D)を追加することにより、熱可塑性のPCS(ボリカルボシラン)が繊維にまとわりつくように付いて、マトリックスと繊維との接合力を高め、CMC自体の初期強度を更に高めることができる。
【0040】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0041】
【発明の効果】
上述したように、本発明では、PIPに熱可塑性のポリマーを主体に使用するのではなく、熱硬化性のポリマーを使用する。また、熱硬化性ポリマーからできるSiCは繊維との密着性に欠けるので、その固定のためにCVIを行う。このCVIはPIPマトリックスの耐酸化性向上にも役立つ。更に、この後に、熱可塑性のポリマーで更に埋めてもよい。
【0042】
すなわち、熱硬化性のポリマーを使用することにより、熱可塑性のものに比べて、内部に亀裂が少ない耐酸化性に優れたSiCができる。また熱硬化性であるため個々のSiCが独立し、大きな隙間ができ易い。このため、固定のCVIが効率よく入り、周囲を完全にCVIで包み込める。更に熱衝撃でCMC表面のコーティングに亀裂が入っても、PIPマトリックスが直ちに酸化されることがなくなるため、10回の熱衝撃後でも、ほとんど強度低下しなくなる。
【0043】
従って、本発明のセラミックス基複合部材及びその製造方法は、繰り返し熱衝撃による強度低下が少なく、少ない工程で気密性を確保でき、これにより製造期間を短縮化できかつ大幅なコストダウンが可能となる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のセラミックス基複合部材の製造方法を示す模式図である。
【図2】従来のセラミックス基複合部材の製造方法を示すフロー図である。
【図3】本発明のセラミックス基複合部材の製造方法の第1実施形態を示すフロー図である。
【図4】従来例と本発明によるセラミックス基複合部材の顕微鏡写真である。
【図5】従来例と本発明による熱衝撃回数と引張強度の関係図である。
【図6】本発明のセラミックス基複合部材の製造方法の第2実施形態を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 SiC繊維、2 織物、3 CMC(セラミックス基複合部材)、
11 IFコーティング処理、12 CVI処理、
13 PCS−PIP処理、14 機械加工、
15 PVS−PIP処理、16 PCS−PIP処理、
17 CVI−コーティング処理、
21a〜21d CVI処理、22 表面膜除去処理、
23 PVS−PIP処理、24,26 スラリー含浸処理、
25 PCS−PIP処理

Claims (4)

  1. 成形した繊維織物の表面にSiCマトリックス層を形成するCVI処理ステップ(A)と、そのマトリックス層の隙間に熱硬化性ポリマーを基材として含浸し焼成するPIP処理ステップ(B)と、更にマトリックス層の隙間にSiC粒子を含むスラリーを含浸するスラリー含浸ステップ(C)とを備え、
    前記スラリー含浸ステップ(C)において、平均粒径0.1〜5μmのSiC粒子を粘度の低い揮発性液体に混合してマトリックス層の隙間に含浸させ、次いで、該揮発性液体を蒸発させた後CVI処理でSiC粒子を固定する、ことを特徴とするセラミックス基複合部材の製造方法。
  2. 前記CVI処理ステップ(A)において、複数のCVI処理の中間で、繊維間のガスパスを塞ぐ表面のSiC膜を除去する表面膜除去処理を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のセラミックス基複合部材の製造方法。
  3. 前記PIP処理ステップ(B)において、熱硬化性ポリマーとして、PVS(ボリビニルシラン)を用い、これを粘度を低下させるために約30〜40℃に加熱して含浸させ、次いで800〜1300℃で熱処理する、ことを特徴とする請求項1に記載のセラミックス基複合部材の製造方法。
  4. 更に、マトリックス層の隙間に熱可塑性ポリマーを基材として含浸し焼成するPIP処理ステップ(D)を備えた、ことを特徴とする請求項1に記載のセラミックス基複合部材の製造方法。
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