JP2018095507A - SiC繊維/SiC複合材の製造方法 - Google Patents

SiC繊維/SiC複合材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温で長期間使用可能となるよう、残留するシリコンを少なくすることができるSiC繊維/SiC複合材の製造方法を提供する。【解決手段】本発明のSiC繊維/SiC複合材の製造方法は、SiC繊維1を用いて骨材を形成する骨材形成工程S1と、当該骨材に炭素前駆体2を含浸する第1含浸工程S2と、骨材を加熱するとともに、炭素前駆体2を硬化する硬化工程S3と、骨材を不活性ガス中または真空中で焼成し、硬化した炭素前駆体2を炭素化し、SiC繊維/炭素複合材を得る炭素化工程S4と、SiC繊維/炭素複合材を溶融シリコン3に浸漬し、シリコン3を含浸する第2含浸工程S5と、を含む。シリコン3は溶融し高温であるので、炭素との反応しやすく骨材の第2の空隙11に速やかにSiCマトリックス4が形成され、SiC繊維/SiC複合材を得ることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、SiC繊維/SiC複合材の製造方法に関する。
SiC繊維/SiC複合材は、耐熱性、耐酸化性を有し、高強度の素材であるので、高温炉用部材、半導体製造装置など様々な分野で使用が期待されている。近年では、ジェットエンジン用部品などへの適用も検討されている。
特許文献1は、繊維強化セラミックマトリックス複合材プリフォームを溶浸処理する方法であって、(a)プリフォームを溶融シリコン浴中に浸漬するステップと、(b)前記プリフォームを所定の時間前記浴内にそのまま置いておくステップと、(c)前記プリフォームを前記浴から引き出すステップと、(d)前記プリフォームを冷却するステップと、を含むことが記載されている。
上記溶浸処理する方法において、繊維強化CMCプリフォームは、該プリフォームを溶融シリコン浴中に浸漬することによって溶浸される。1つの例示的な実施形態では、部品は、真空及び/又は不活性雰囲気炉内で黒鉛ホルダにより吊り下げられる。ホルダ及びCMCプリフォームは溶融シリコン浴中に下ろされ、溶融シリコン浴中で溶融シリコンが、CMCプリフォームの表面を濡らし、部品に浸透する。この浸漬処理はCMCプリフォームを溶浸するのに必要な時間を著しく短縮するので、溶融シリコンがプリフォームを浸食することになる可能性が減少することが記載されている。
特開2006−206431号公報
しかしながら、上記に記載された発明は、溶融シリコン液中にプリフォームを浸漬するので、マトリックス部分にはシリコンが多く残留する。このため、高温に長期間曝されると残留する金属シリコンがSiC繊維を浸食し、高温での安定性が低下してしまう。
前記課題を鑑み、本発明では、高温で長期間使用可能となるよう、残留するシリコンを少なくし、SiC繊維の浸食を抑制することができるSiC繊維/SiC複合材の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための本発明のSiC繊維/SiC複合材の製造方法は、
(1)SiC繊維を用いて骨材を形成する骨材形成工程と、前記骨材に炭素前駆体を含浸する第1含浸工程と、前記骨材を加熱するとともに、前記炭素前駆体を硬化させる硬化工程と、前記骨材を不活性ガス中または真空中で焼成し、硬化した前記炭素前駆体を炭素化し、SiC繊維/炭素複合材を得る炭素化工程と、前記SiC繊維/炭素複合材を溶融シリコンに浸漬し、シリコンを含浸する第2含浸工程と、を含む。
本発明のSiC繊維/SiC複合材の製造方法は、SiC繊維を用いて骨材を形成する骨材形成工程と、前記骨材に炭素前駆体を含浸する第1含浸工程と、前記骨材を加熱するとともに、前記炭素前駆体を硬化させる硬化工程と、前記骨材を不活性ガス中または真空中で焼成し、硬化した前記炭素前駆体を炭素化し、SiC繊維/炭素複合材を得る炭素化工程と、前記SiC繊維/炭素複合材を溶融シリコンに浸漬し、シリコンを含浸する第2含浸工程とを含んでいる。
すなわち、本発明のSiC繊維/SiC複合材の製造方法は、骨材の有する第1の空隙に炭素前駆体を充填し炭素化することにより骨材の空隙に炭素を充填させる。炭素化工程によって炭素前駆体が熱分解し、収縮することにより第2の空隙ができる。シリコンを含浸する第2含浸工程では、炭素前駆体の焼成によって新たに形成された第2の空隙にシリコンを含浸し、骨材の内部に炭素とシリコンを充填することができる。さらに、シリコンを含浸する際、シリコンは溶融し高温であるので、速やかに浸透し炭素と反応焼結しやすいので炭素がSiC化しSiCマトリックスとなり、SiC繊維/SiC複合材を得ることができる。また、骨材の空隙には第1含浸工程であらかじめ効率よく炭素が充填されているため、シリコンが過剰に残留することなく、SiCを浸食しにくくすることができる。
また、本発明のSiC繊維/SiC複合材の製造方法は、以下の態様であることが好ましい。
(2)前記炭素前駆体は、フェノール樹脂、コプナ樹脂、PVCピッチから選択される1または2以上の樹脂からなる。
これらの炭素前駆体は、一旦硬化した後に炭素化するので(固相炭素化)炭素化の過程で原子が再配列しにくく、乱れた結晶構造をとり黒鉛化度は高まりにくい。このため炭素前駆体が炭素化して得られた炭素は、反応性の高い六角網面のエッジが表面に露出しやすく、このエッジがSiと反応しSiC化しやすくなると考えられる。また、反応性の高い六角網面のエッジは、シリコンとの親和性が良好であるので、含浸されるシリコンの先端部分の接触角は小さくなる。浸透力を妨げられにくくなるため溶融シリコンは浸透しやすく、短時間で骨材の内部までシリコンを浸透することができる。
(3)前記炭素前駆体は、炭素系粒子を含有する。
炭素前駆体が炭素系粒子を含有していると、炭素化工程における歩留まりが高く、最終的にSiC繊維/SiC複合材に残留するシリコンの量を少なくすることができSiC繊維/SiC複合材の熱安定性を高めることができる。炭素系粒子とは、第1含浸工程における炭素前駆体の含浸に影響がなければどのようなものでもよく、たとえばカーボンブラック、カーボンチューブ、フラーレンなどのほか、コークス、黒鉛の粉末なども利用できる。
(4)前記硬化工程では前記炭素前駆体を分解ガスで発泡させる。
硬化工程で炭素前駆体を発泡させると、第2含浸工程でシリコンが含浸される経路を形成することができる。このため、第2含浸工程における含浸に要する時間を短縮でき、シリコンによるSiC繊維の浸食を起こりにくくすることができる。
(5)前記炭素化工程と前記第2含浸工程との間に、前記硬化工程において前記炭素前駆体を発泡させて得られた気泡を破壊する気泡破壊工程をさらに有する。
前記硬化工程において前記炭素前駆体を発泡させて得られた気泡を破壊する気泡破壊工程をさらに有すると、硬化工程で得られた気泡どうしの壁を破壊し連続気孔とすることができ、シリコンを含浸しやすくすることができる。
気泡破壊工程によって、炭素で形成された気泡どうしの壁が破壊されたSiC繊維/炭素複合材は、シリコンがさらに短時間で含浸することができるようになるため、SiCとシリコンが高温で接触する時間を短縮できシリコンによるSiC繊維の浸食を抑制することができる。気泡破壊の方法は、特に限定されない。たとえば静水圧、超音波振動などが挙げられる。静水圧で加えられる衝撃は、たとえば液体の満たされた圧力容器に圧力を加えることで得ることができる。また、超音波振動による衝撃は、水などの液体にSiC繊維/炭素複合材を浸漬し、超音波振動子によって加えることができる。
(6)前記気泡破壊工程は、前記SiC繊維/炭素複合材を液体中に配置して液体を加えることにより発生する超音波振動よって行われる。
気泡破壊工程は、前記SiC繊維/炭素複合材を液体中に配置して液体を加えることにより発生する超音波振動であることが好ましい。超音波振動は、高い周波数の振動を液体に加えることにより、圧力容器を用いることなく容易に圧力を加えることができる。
本発明によれば、SiC繊維を用いて骨材を形成し(骨材形成工程)、次にSiC繊維間に形成された第1の空隙に炭素前駆体を含浸(第1含浸工程)した後に、硬化させSiC繊維間に硬化した炭素前駆体が充填される(硬化工程)。さらに 炭素化工程によって炭素前駆体が収縮し第2の空隙を形成させ(炭素化工程)、第2の空隙にシリコンを含浸し、骨材の内部に炭素とシリコンを充填することができる(第2含浸工程)。ここで、シリコンを含浸する際、シリコンは溶融し高温であるので、速やかに浸透し炭素と反応焼結しやすいので炭素がSiC化しSiCマトリックスとなり、SiC繊維/SiC複合材を得ることができる。また、骨材の空隙にはあらかじめ炭素が充填されているため、シリコンが過剰に残留することなく、SiC繊維を浸食しにくくすることができる。
本発明に係るSiC繊維/SiC複合材の製造方法の実施例1を示す、フローチャート図と模式図。 本発明に係るSiC繊維/SiC複合材の製造方法の実施例2を示す、フローチャート図と模式図。 図2におけるA領域、B領域、C領域の拡大図を示し、(a)はA領域の拡大図、(b)はB領域の拡大図、(c)はC領域の拡大図。 本発明に係るSiC繊維/SiC複合材の製造方法の実施例3を示す、フローチャート図と模式図。 図4におけるA領域、B領域、C領域、D領域の拡大図を示し、(a)はA領域の拡大図、(b)はB領域の拡大図、(c)はC領域の拡大図、(d)はD領域の拡大図。
(発明の詳細な説明)
本発明のSiC繊維/SiC複合材の製造方法は、SiC繊維を用いて骨材を形成する骨材形成工程と、前記骨材に炭素前駆体を含浸する第1含浸工程と、前記骨材を加熱するとともに、前記炭素前駆体を硬化させる硬化工程と、前記骨材を不活性ガス中または真空中で焼成し、硬化した前記炭素前駆体を炭素化し、SiC繊維/炭素複合材を得る炭素化工程と、前記SiC繊維/炭素複合材を溶融シリコンに浸漬し、シリコンを含浸する第2含浸工程と、を含む。
すなわち、本発明のSiC繊維/SiC複合材の製造方法は、骨材の有する第1の空隙に炭素前駆体を充填し炭素化することにより骨材の空隙に炭素を充填させる。炭素化工程によって炭素前駆体が熱分解し、収縮により第2の空隙ができる。シリコンを含浸する第2含浸工程では、炭素前駆体の焼成によって新たに形成された第2の空隙にシリコンを含浸し、骨材の内部に炭素とシリコンを充填することができる。さらに、シリコンを含浸する際、シリコンは溶融し高温であるので、速やかに浸透し、炭素と反応焼結しやすいので炭素がSiC化しSiCマトリックスとなり、SiC繊維/SiC複合材を得ることができる。また、シリコンを含浸する第2含浸工程に先立って骨材の空隙にはあらかじめ炭素が充填されているため、シリコンが過剰に残留することなく、SiCを浸食しにくくすることができる。
本発明の骨材の形態はどのようなものでもよく特に限定されない。例えば、SiC繊維を織ったクロス、SiC繊維を巻回したフィラメントワインディング体、SiC繊維を抄造した抄造体、SiC繊維のマット、SiC繊維を製織したブレーディング体などが挙げられる。クロス、フィラメントワインディング体、ブレーディング体では、SiC繊維は素線ではなく、SiC繊維を複数本まとめたストランドを用いることが好ましい。ストランドは、SiC繊維の素線よりも十分に太いので扱いやすい上に、骨材を形成する過程でSiC繊維が切断されても、毛羽立ちするだけで、ストランド全体が切断に至らないので、容易に骨材を形成することができる。
骨材の形状は、最終的なSiC繊維/SiC複合材の形状と同じ形状であることが好ましい。骨材に炭素前駆体を含浸し、硬化、焼成を経た後、シリコンを含浸することにより、SiC繊維/SiC複合材を得る。炭素前駆体を含浸し硬化した段階で形状が固定されるので骨材の段階で同じ形状を用いることにより目的のSiC繊維/SiC複合材の形状を得ることができる。
SiC繊維の太さは特に限定されないが、例えば5〜20μmであることが好ましい。SiC繊維の太さが5μm以上であると表面積を小さくすることができるので、第2含浸工程でシリコンを含浸したときのSiC繊維のダメージを小さくすることができる。また、SiC繊維の太さが20μm以下であると、製造時にSiC繊維を曲げた際に繊維表面にかかる張力の大きさを抑制できるのでSiC繊維を切れにくくすることができる。
第2含浸工程では、炭素化工程を経て得られたSiC繊維/炭素複合材を、例えば溶融したシリコンに浸漬することによって含浸することができる。
具体的には、例えば外側がカーボンルツボ、内側が石英ルツボで構成される2重ルツボの中で処理される。カーボンルツボの周囲にカーボンヒーターが備えられ、内側の石英ルツボの中に充填されたシリコンを溶融させる。シリコンの融点は1410℃であるのでカーボンヒーターでシリコンが溶融するまで加熱する。次に溶融したシリコンに炭素化工程(S4)を経たSiC繊維/炭素複合材を浸漬する。
第2含浸工程は、不活性雰囲気下または真空下で行うことが好ましい。不活性雰囲気とは、例えばヘリウム、ネオン、アルゴンなどの希ガス、窒素雰囲気などが挙げられる。
また、本発明のSiC繊維/SiC複合材の製造方法は、以下の態様であることが好ましい。
前記炭素前駆体は、フェノール樹脂、コプナ樹脂、PVCピッチから選択される1または2以上の樹脂からなることが好ましい。PVCピッチとは、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride)を溶媒に溶かし、熱処理して得られたピッチである。
これらの炭素前駆体は、一旦硬化した後に炭素化するので(固相炭素化)炭素化の過程で原子が再配列しにくく、乱れた結晶構造をとり黒鉛化度は高まりにくい。このため炭素前駆体が炭素化して得られた炭素は、反応性の高い六角網面のエッジが表面に露出しやすく、このエッジがSiと反応しSiC化しやすくなると考えられる。また、反応性の高い六角網面のエッジは、シリコンとの親和性が良好であるので、含浸されるシリコンの先端部分の接触角は小さくなる。浸透力を妨げられにくくなるため溶融シリコンは浸透しやすく、短時間で骨材の内部までシリコンを浸透することができる。
前記炭素前駆体は、炭素系粒子を含有することが好ましい。
炭素前駆体が炭素系粒子を含有していると、炭素化工程における歩留まりが高く、最終的にSiC繊維/SiC複合材に残留するシリコンの量を少なくすることができ、SiC繊維/SiC複合材の熱安定性を高めることができる。炭素系粒子とは、第1含浸工程における炭素前駆体の含浸に影響がなければどのようなものでもよく、たとえばカーボンブラック、カーボンチューブ、フラーレンなどのほか、コークス、黒鉛の粉末なども利用できる。
炭素系粒子の平均粒子直径は特に限定されないが、炭素前駆体とともに骨材に含浸されるように5μm以下であることが望ましい。平均粒子直径が5μm以下であると、炭素前駆体とともに骨材の中まで浸透しやすくすることができる。
前記硬化工程では前記炭素前駆体を分解ガスで発泡させることが好ましい。
硬化工程で炭素前駆体を発泡させると、第2含浸工程でシリコンが含浸される経路を形成することができる。このため、第2含浸工程における含浸に要する時間を短縮でき、シリコンによるSiC繊維の浸食を起こりにくくすることができる。
前記炭素化工程と前記第2含浸工程との間に、前記硬化工程において前記炭素前駆体を発泡させて得られた気泡を破壊する気泡破壊工程をさらに有することが好ましい。
前記硬化工程において前記炭素前駆体を発泡させて得られた気泡を破壊する気泡破壊工程をさらに有すると、炭素化工程で得られた気泡どうしの壁を破壊し連続気孔とすることができ、シリコンを含浸しやすくすることができる。
気泡破壊工程によって、炭素で形成された気泡どうしの壁が破壊されたSiC繊維/炭素複合材は、シリコンがさらに短時間で含浸することができるようになるため、SiCとシリコンが高温で接触する時間を短縮できシリコンによるSiCの浸食を抑制することができる。気泡破壊の方法は、特に限定されない。たとえば静水圧、超音波振動などが挙げられる。静水圧で加えられる衝撃は、たとえば液体の満たされた圧力容器に圧力を加えることで得ることができる。また、超音波振動による衝撃は、水などの液体にSiC繊維/炭素複合材を浸漬し、超音波振動子によって加えることができる。
前記気泡破壊工程は、前記SiC繊維/炭素複合材を液体中に配置して液体を加えることにより発生する超音波振動よって行われることが好ましい。
気泡破壊工程は、前記SiC繊維/炭素複合材を液体中に配置して液体を加えることにより発生する超音波振動であることが好ましい。超音波振動は、高い周波数の振動を液体に加えることにより、圧力容器を用いることなく気泡間の壁を容易に破壊できるよう容易に圧力を加えることができる。
(発明を実施するための形態)
本発明のSiC繊維/SiC複合材の製造方法について、以下実施例を挙げて説明する。
<実施例1>
図1で示される実施例1は、本発明のSiC繊維/SiC複合材の製造方法の基本的流れを説明している。
骨材形成工程(S1):SiC繊維1を用いてクロスを形成して積層し骨材を形成する。SiC繊維のクロスはSiC繊維を束ねたストランドを平織りして形成されている。ストランドはSiC繊維が1600本束ねられて構成されている。SiC繊維のクロスは10枚積層され1枚のシート状の骨材として用いられる。得られたシート状の骨材のサイズは重ねた状態で、100×100×5mmである。第1の空隙10はSiC繊維1の間、SiC繊維を束ねたストランド間、積層されるクロスの間に形成されている。
第1含浸工程(S2):上記のシート状の骨材に炭素前駆体を含浸させる。炭素前駆体は、液状のフェノール樹脂であり、シート状の骨材を液状のフェノール樹脂に浸漬したのち、真空引きする。
第1含浸工程では、上記記載した作業によって、骨材形成工程(S1)で形成された第1の空隙10にフェノール樹脂が含浸される。
硬化工程(S3):加熱して炭素前駆体2を硬化させる。
本実施例における骨材は、10枚のクロスを積層して得られているので、第1の含浸工程を完了した時点では互いに一体化していない。このため硬化工程ではクロスが10枚重ねられた骨材に圧力を加えながら硬化させる。
SiC繊維のクロスが10枚重ねられた骨材を2枚の離型シートに挟み、熱圧プレスで熱と圧力を同時に加える。プレスの圧力は10MPa、温度は1℃/minで150℃まで上昇させ、150℃で15分間保持する。圧力と熱を加えながら炭素前駆体を硬化させているので、骨材であるSiCのクロスは、互いに密着した状態で接着される。
炭素化工程(S4):上記の硬化工程を終了した骨材にさらに熱を加えて不活性ガス中で焼成し炭素前駆体2を炭素化し、SiC繊維/炭素複合材を得る。
炭素化工程S4では、上記の硬化工程を終了した骨材を窒素ガス雰囲気の電気炉に入れ、徐々に加熱し焼成する。
加熱速度は、1℃/minであり、焼成温度は1000℃である。
炭素化工程S4では、炭素前駆体2の熱分解に伴って体積が収縮し、第1の空隙10の炭素前駆体が炭素に熱分解し、炭素が形成されて空隙が小さくなり第2の空隙11が形成される。すなわち第2の空隙11と生成した炭素とを組み合わせることにより第1の空隙10全体の大きさとなる。以上の炭素化工程によりSiC繊維/炭素複合材を得ることができる。
第2含浸工程(S5):炭素化工程S4で得られたSiC繊維/炭素複合材を溶融シリコン3に浸漬させ、第2の空隙11に溶融シリコン3を含浸する。第2含浸工程S5では、高温で溶融した溶融シリコン3と炭素とが反応し、反応焼結法によるSiCマトリックス4が形成される。
第2含浸工程では、外側がカーボンルツボ、内側が石英ルツボで構成される2重ルツボの中で処理される。カーボンルツボの周囲にカーボンヒーターが備えられ、内側の石英ルツボの中に充填されたシリコンを溶融させる。本実施例では、アルゴン気流下で行われる。シリコンの融点は1410℃でありカーボンヒーターでシリコンが溶融するまで加熱する。次に溶融したシリコンに炭素化工程(S4)を経たSiC繊維/炭素複合材を浸漬する。
炭素化工程を経て得られたSiC繊維/SiC複合材は、SiC繊維と、炭素前駆体が炭素化した炭素と、からなり、第2の空隙11を有している。第2含浸工程では、第2の空隙11に溶融シリコン3が含浸されるとともに、高温で保持されているので第2の空隙11の周囲の炭素と反応焼結し、SiCマトリックス4を形成する。
本実施例のSiC繊維/SiC複合材の製造方法においては、骨材の有する第1の空隙に炭素前駆体を充填し炭素化することにより第1の空隙に炭素前駆体を充填させる。次に炭素化工程によって炭素前駆体が収縮し、第2の空隙ができる。シリコンを含浸する第2含浸工程では、炭素前駆体の焼成によって新たに形成された第2の空隙にシリコンを含浸し、骨材の内部に炭素とシリコンを充填することができる。さらに、シリコンを含浸する際、シリコンは溶融し高温であるので、速やかに浸透し炭素と反応焼結しやすいので炭素がSiC化しSiCマトリックスとなり、SiC繊維/SiC複合材を得ることができる。また、骨材の空隙にはあらかじめ効率よく炭素が充填されているため、シリコンが過剰に残留することなく、SiCを浸食しにくくすることができる。
<実施例2>
図2に示された実施例2では、実施例1のSiC繊維/SiC複合材の製造方法の硬化工程S3において、加熱の速度を速めることにより、炭素前駆体2が硬化する前に発泡させ気泡12を得る(図3(a)参照)。次に炭素化工程S4を行うことによって含浸された炭素前駆体2が熱分解し、気泡12に加えて第2の空隙11が形成される(図3(b)参照)。すなわち、気泡12と第2の空隙11と炭素とを組み合わせることにより第1の空隙10が構成される。以上の炭素化工程S4によりSiC繊維/炭素複合材を得ることができる。本実施例では気泡12が形成されることにより第2含浸工程S5で、溶融シリコン3がより含浸しやすくなる。その他は実施例1と同様である。
実施例2では、炭素化工程S4が終了した段階で、第2の空隙11と気泡12とが形成されている。炭素化工程S4では、炭素前駆体2のゲル化が進行し流動性はなくなっているため、形成される第2の空隙11は移動、結合するなどしにくく、細かな空隙が多数形成される。一方硬化工程S3では、炭素前駆体2のゲル化が進行していないため硬化の過程で流動化するとともに水などの反応生成物ができガス化するので、第2の空隙11に比べて大きな気泡12が形成される。
このような過程を経て形成される気泡12は、炭素化した後に第2含浸工程S5において溶融した溶融シリコン3の侵入しやすい経路を形成する(図3(c)参照)。
<実施例3>
図4に示された実施例3では、実施例2のSiC繊維/SiC複合材の製造方法の炭素化工程S4と、第2含浸工程S5との間に気泡破壊工程S6を行う。気泡破壊工程S6は、炭素化工程S4のあとのSiC繊維/炭素複合材を液体中に配置して超音波振動よって気泡12の破壊が行われる(図5(c)参照)。本実施例では炭素化工程S4のあと、気泡12どうしは互いに薄い壁13で隔てられている(図5(b)参照)。気泡どうしを分割する壁13が存在すると、溶融シリコン3に対する障壁となり、浸透する速度が低下しやすくなる。本実施例では、気泡破壊工程S6で、気泡12どうしを分割する壁13を超音波振動により破壊しているので(図5(c)参照)、溶融シリコンの浸透の障壁が取り除かれ、浸透時間が短くなり溶融シリコン3によるSiC繊維の浸食を防止することができる。
実施例3について、改めて時系列的に述べると、骨材形成工程S1、第1含浸工程S2の後、硬化工程S3では、炭素前駆体2の中に気泡12が大量に発生し、気泡12どうしは壁が隔てられている(図5(a)参照)。そして、炭素化工程S4では、炭素前駆体2が壁を残したまま炭素化する(図5(b)参照)。さらに、気泡破壊工程S6では、壁を破壊することによって気泡12が破壊され(図5(c)参照)、第2含浸工程S5において溶融シリコン3の浸透の障壁が取り除かれ、浸透時間が短くなり溶融シリコンによるSiC繊維の浸食を防止することができる(図5(d)参照)。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
本発明のSiC繊維/SiC複合材の製造方法は、原子炉用部材のチャンネルボックス、燃料被覆管などのほか、ジェットエンジン部材、ガスタービン用部材に用いられるSiC繊維/SiC複合材を製造する分野に適合可能である。
1 SiC繊維
2 炭素前駆体
3 溶融シリコン
4 SiCマトリックス
10 第1の空隙
11 第2の空隙
12 気泡
13 壁

Claims (6)

  1. SiC繊維を用いて骨材を形成する骨材形成工程と、
    前記骨材に炭素前駆体を含浸する第1含浸工程と、
    前記骨材を加熱するとともに、前記炭素前駆体を硬化する硬化工程と、
    前記骨材を不活性ガス中または真空中で焼成し、硬化した前記炭素前駆体を炭素化し、SiC繊維/炭素複合材を得る炭素化工程と、
    前記SiC繊維/炭素複合材を溶融シリコンに浸漬し、シリコンを含浸する第2含浸工程と、を含むSiC繊維/SiC複合材の製造方法。
  2. 前記炭素前駆体は、フェノール樹脂、コプナ樹脂、PVCピッチから選択される1または2以上の樹脂からなる請求項1に記載のSiC繊維/SiC複合材の製造方法。
  3. 前記炭素前駆体は、炭素系粒子を含有する請求項1または2に記載のSiC繊維/SiC複合材の製造方法。
  4. 前記硬化工程では、前記炭素前駆体を分解ガスで発泡させる請求項1から3のいずれか1項に記載のSiC繊維/SiC複合材の製造方法。
  5. 前記炭素化工程と前記第2含浸工程との間に、前記硬化工程において前記炭素前駆体を発泡させて得られた気泡を破壊する気泡破壊工程をさらに有する請求項4に記載のSiC繊維/SiC複合材の製造方法。
  6. 前記気泡破壊工程は、前記SiC繊維/炭素複合材を液体中に配置して液体を加えることにより発生する超音波振動よって行われる請求項5に記載のSiC繊維/SiC複合材の製造方法。
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