JP2003321277A - セラミックス基複合材料とその製造方法 - Google Patents

セラミックス基複合材料とその製造方法

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JP2003321277A
JP2003321277A JP2002128051A JP2002128051A JP2003321277A JP 2003321277 A JP2003321277 A JP 2003321277A JP 2002128051 A JP2002128051 A JP 2002128051A JP 2002128051 A JP2002128051 A JP 2002128051A JP 2003321277 A JP2003321277 A JP 2003321277A
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Kenichiro Watanabe
健一郎 渡辺
Takashi Yoshida
吉田  隆
Takahito Araki
隆人 荒木
Akitatsu Masaki
彰樹 正木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 後工程を必要とすることなく、マトリックス
の表面及び亀裂部をガラスで覆うことができ、従ってク
ラック等の非常に狭い隙間にも確実に処理でき、かつ亀
裂等によりマトリックスの酸化が進行し、インターフェ
ース層まで達した場合でも耐酸化性を保持でき、これに
より約1000℃以上の高温で従来以上に長時間使用可
能なセラミックス基複合材料及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 繊維表面処理工程10とマトリックス形
成工程20が、インターフェース層及びマトリックス
に、酸化してガラス質となる酸化防止材4を含有させる
工程14、24をそれぞれ有する。また、製品表面処理
工程30が、酸化防止材4の粒子からなる内層5aを形
成するコーティング工程32を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強靱で耐熱性及び
耐酸化性にすぐれたセラミックス基複合材料とその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックスは耐熱性が高いが脆い欠点
があるため、これをセラミックス繊維で強化したセラミ
ックス基複合材料が開発されている。しかしかかるセラ
ミックス基複合材料のじん性が十分ではないため、これ
を強化する手段として、例えば特開昭63−12671
号に、繊維表面にCやBNの被膜を設けてじん性の強化
を図る技術が開示されている。
【0003】しかし、特開昭63−12671号の技術
において、被膜のCの耐酸化強度は約500℃程度まで
であり、BNの耐酸化強度は約900℃程度までであっ
た。そのため、タービン翼、燃焼器、アフターバーナ部
品等のガスタービン部品に適用した場合、約1000℃
以上で長時間使用されるため特性の劣化が激しい問題点
があった。
【0004】この問題点を解決するため、例えば、特開
平5−124884号及び特開平10−259070号
が提案されている。特開平5−124884号の「炭素
繊維/炭素複合材」は、表面に耐酸化皮膜としてSiC
被膜を形成して高温での耐酸化抵抗を増大させた炭素繊
維/炭素複合材において、SiC被膜のシーリング材と
して高温で半溶融状態となる複合酸化物を設けたもので
ある。
【0005】また、特開平10−259070号の「ガ
ラス含浸繊維強化セラミックスおよびその製造方法」
は、無機繊維と、無機繊維を内包して一体的に形成され
外部空間に開放された空隙を有するセラミックスマトリ
ックスと、マトリックスの空隙を塞いで形成されるガラ
スマトリックスとを含んで構成されるガラス含浸繊維強
化セラミックスを、前記空隙にガラス前駆体溶液を含浸
させ熱処理することにより製造するものである。
【0006】しかし、上述した従来の手段は、いずれも
セラミックスマトリックスを形成した後の工程であるた
め、クラック等の非常に狭い隙間にコーティング又は含
浸できない場合がある。かかる部分は欠陥となり、長時
間の使用状況では耐酸化性又は強度の低下を招く。また
ガラスコーティングが厚くなり重量が増加してしまうと
いう問題もあった。
【0007】そこで、本発明の発明者等は、先に、無機
繊維により成形された繊維織物と、該織物の繊維間を埋
めるマトリックスとを備えたセラミックス基複合材料で
あって、該マトリックス内に酸化してガラス質となる添
加剤を有する、ことを特徴とするセラミックス基複合材
料とその製造方法を創案し出願した(特開2000−2
39073)。
【0008】この発明により、後工程を必要とすること
なく、マトリックスの表面及び亀裂部をガラスで覆うこ
とができ、従ってクラック等の非常に狭い隙間にも確実
に処理でき、これにより約1000℃以上の高温で長時
間使用可能なセラミックス基複合材料を製造することが
可能となった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開2000
−239073によるセラミックス基複合材料は、マト
リックス自体は耐酸化性を有するが、亀裂等によりマト
リックスの酸化が進行し、この亀裂等がインターフェー
ス層まで達してしまうと、繊維表面のインターフェース
層の耐酸化性が低く、繊維の酸化防止効果が急激に低減
してしまう。そのため、複合材料全体としての耐酸化特
性が依然として不十分であった。
【0010】すなわち、従来のインターフェース層は耐
酸化性を有さず、高温酸化雰囲気中にてマトリックスに
クラックが発生し、インターフェース層まで進展すると
インターフェースの酸化が進行する。このインターフェ
ース層の酸化の進行により、繊維とマトリックスが固着
し、脆性的な破壊により寿命が低下する問題が生じてい
た。なお、この場合のインターフェース層には、繊維に
適当な処理を施すことにより繊維外周部にインターフェ
ースと同等の効果を有する層を形成している場合も該当
する。
【0011】本発明はかかる問題点を解決するために創
案されたものである。すなわち、本発明の目的は、後工
程を必要とすることなく、マトリックスの表面及び亀裂
部をガラスで覆うことができ、従ってクラック等の非常
に狭い隙間にも確実に処理でき、かつ亀裂等によりマト
リックスの酸化が進行し、インターフェース層まで達し
た場合でも耐酸化性を保持でき、これにより約1000
℃以上の高温で従来以上に長時間使用可能なセラミック
ス基複合材料とその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴はインター
フェース層(2)とマトリックス(3)に酸化してガラ
ス質となる酸化防止材(4)を含有するセラミックス基
複合材料を製造することにある。
【0013】すなわち、本発明によれば、無機繊維
(1)により成形された繊維織物と、前記繊維の表面を
覆うインターフェース層(2)と、該繊維間の隙間を埋
めるマトリックス(3)とを備えたセラミックス基複合
材料であって、前記インターフェース層及びマトリック
スは、酸化してガラス質となる酸化防止材(4)を含有
する、ことを特徴とするセラミックス基複合材料が提供
される。
【0014】上記本発明の構成によれば、インターフェ
ース層及びマトリックスが、酸化してガラス質となる酸
化防止材(4)を含有するので、これを加熱することに
より、耐酸化性に優れたガラス質層を内部のあらゆる隙
間(それがたとえ非常に微細な隙間であっても)に形成
することができる。
【0015】本発明の好ましい実施形態によれば、前記
インターフェース層(2)は、CVIで形成される内層
(2a)と、酸化防止材(4)の粒子からなる中間層
(2b)と、CVIで形成される外層(2c)とからな
る。
【0016】この構成により、CVIで形成された2枚
の緻密な内層と外層の間に、酸化防止材(4)の粒子か
らなる中間層(2b)が存在するので、亀裂がインター
フェース層(2)の外層にまで達した場合でも、酸化防
止材(4)が酸化しインターフェース層(2)の表面及
び隙間にガラス質層を形成しているのでインターフェー
ス層(2)の耐酸化性を高め、複合材料全体としての耐
酸化特性を高めることができる。
【0017】前記繊維及びマトリックスの全外表面を覆
う表面コーティング層(5)を備え、該表面コーティン
グ層は、酸化してガラス質となる酸化防止材(4)を含
有する。前記表面コーティング層(5)は、酸化防止材
(4)の粒子からなる内層(5a)と、CVIで形成さ
れる外層(5b)とからなる。
【0018】この構成により、CVIで形成された緻密
な外層(5b)の内側に、酸化防止材(4)の粒子から
なる内層(5a)が存在し、使用状態において酸化防止
材(4)が酸化して表面コーティング層(5)の表面及
び隙間にガラス質層を形成しているので表面コーティン
グ層(5)の耐酸化性を高め、マトリックスの亀裂の発
生を遅らせることができる。
【0019】前記酸化防止材(4)は、B又はB4Cの
微粒子である。この構成により、B又はB4Cの微粒子
を酸化雰囲気中で高温焼成して、隙間にガラス質層を形
成することができる。
【0020】また本発明によれば、繊維織物を構成する
無機繊維の表面にインターフェース層(2)を形成する
繊維表面処理工程(10)と、前記繊維間にマトリック
ス(3)を形成するマトリックス形成工程(20)とを
有するセラミックス基複合材料の製造方法において、前
記繊維表面処理工程とマトリックス形成工程は、インタ
ーフェース層及びマトリックスに、酸化してガラス質と
なる酸化防止材(4)を含有させる工程(14、24)
をそれぞれ有する、ことを特徴とするセラミックス基複
合材料の製造方法が提供される。
【0021】上記本発明の方法によれば、酸化してガラ
ス質となる酸化防止材(4)を含有させる工程(14、
24)により、インターフェース層及びマトリックス
が、酸化してガラス質となる酸化防止材(4)を含有す
るので、これを加熱することにより、耐酸化性に優れた
ガラス質層を内部のあらゆる隙間(それがたとえ非常に
微細な隙間であっても)に形成することができる。
【0022】本発明の好ましい実施形態によれば、前記
繊維表面処理工程(10)は、CVIによりインターフ
ェース層(2)の内層(2a)を形成する第1CVI工
程(12)と、酸化防止材(4)の粒子からなる中間層
(2b)を形成するコーティング工程(14)と、CV
Iにより外層(2c)を形成する第2CVI工程(1
6)とからなる。
【0023】この方法により、第1CVI工程(12)
と第2CVI工程(16)で形成された2枚の緻密な内
層と外層の間に、コーティング工程(14)で形成され
た酸化防止材(4)の粒子からなる中間層(2b)が存
在するので、亀裂がインターフェース層(2)の外層に
まで達した場合でも、酸化防止材(4)が酸化しインタ
ーフェース層(2)の表面及び隙間にガラス質層を形成
しているのでインターフェース層(2)の耐酸化性を高
め、複合材料全体としての耐酸化特性を高めることがで
きる。
【0024】前記マトリックス形成工程(20)は、酸
化してガラス質となる酸化防止材(4)を加えた有機ポ
リマーを基材として含浸し焼成する工程(24、26)
を有する。
【0025】この方法によれば、酸化してガラス質とな
る酸化防止材(4)を基材として含浸させるので、含浸
工程(24)により繊維の間に含浸したマトリックス中
に酸化防止材(4)をほぼ均一に分散させることができ
る。
【0026】また、焼成工程(26)において、不活性
ガス中で(例えば約1200℃以上)の高温焼成により
例えば有機珪素ポリマーの主成分であるSiCマトリッ
クスに転化することができる。この際、マトリックスが
収縮するので、その内部はポーラスになる。
【0027】前記繊維及びマトリックスの全外表面を覆
う製品表面処理工程(30)を有し、該製品表面処理工
程は、酸化防止材(4)の粒子からなる内層(5a)を
形成するコーティング工程(32)と、CVIにより外
層(5b)を形成するCVI工程(34)とからなる。
【0028】この方法により、CVI工程(34)で形
成された緻密な外層(5b)の内側に、コーティング工
程(32)で形成された酸化防止材(4)の粒子からな
る内層(5a)が存在し、使用状態において酸化防止材
(4)が酸化して表面コーティング層(5)の表面及び
隙間にガラス質層を形成しているので表面コーティング
層(5)の耐酸化性を高め、マトリックスの亀裂の発生
を遅らせることができる。
【0029】前記CVIは、BN-CVI、C-CVI、
又はSiC-CVIである。この方法により、BN、C
又はSiCの緻密な層を繊維の表面、インターフェース
層の内部、マトリックスの内部、及び/又は繊維及びマ
トリックスの全外表面に形成できる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
を図面を参照して説明する。
【0031】図1は、本発明のセラミックス基複合材料
の製造方法を示すフロー図である。この図に示すよう
に、本発明の方法は、繊維織物成形工程6、繊維表面処
理工程10、マトリックス形成工程20、機械加工工程
7及び製品表面処理工程30からなる。
【0032】繊維織物成形工程6では、SiC繊維1を
用いて所定の形状の繊維織物を成形する。この工程で成
形する形状は、適用するタービン翼、燃焼器、アフター
バーナ部品等のガスタービン部品に適した立体形状であ
るのがよいが、平面形状であってもよい。
【0033】繊維表面処理工程10は、この例ではC-
CVIによりC(カーボン)の内層2aを形成する第1
CVI工程12と、Bコーティングにより酸化防止材4
(この例でB)の粒子からなる中間層2bを形成するコ
ーティング工程14と、C-CVIによりC(カーボ
ン)の外層2cを形成する第2CVI工程16とからな
り、繊維織物を構成する無機繊維1の表面にインターフ
ェース層2を形成する。
【0034】第1CVI工程12は、BN−C-CVI
によりBN(窒化ボロン)の内層を形成するようにして
もよい。なお、CVIとは気相含浸法(Chemica
lVapor Infiltration)を意味す
る。
【0035】コーティングの厚さは、0.1〜1.0μ
m程度であるのがよい。かかるコーティング層は、特開
昭63−12671号公報に開示されるように、マトリ
ックスと繊維とを分離し繊維のじん性を強化する役割を
果たす。
【0036】また、コーティング工程14では、好まし
くは非結晶B(ボロン)をエタノールで分散させた溶液
内に超音波で振動を与えながら繊維織物を浸し、これを
乾燥させて、表面にB粒子のコーティング層を形成す
る。B粒子のコーティング層はBN(窒化ボロン)の内
層2aとC(カーボン)の外層2cとの間にサンドイッ
チされた状態となる。
【0037】図1に示すように、マトリックス形成工程
20は、気相含浸工程22、ポリマー含浸工程24、及
び不活性焼成工程26からなる。
【0038】気相含浸工程22は、CVI法(Chem
ical Vapor Infiltration:気
相含浸法)で処理する工程であり、炉内に専用治具で固
定された織物を加熱し、減圧雰囲気にて原料ガスを流入
させてSiCを合成させる。
【0039】次いで、ポリマー含浸工程24において、
例えばB又はB4Cの微粒子を含む有機珪素ポリマーを
キシレン等の溶剤に溶かして気相含浸後の織物に含浸さ
せる。有機珪素ポリマーの主成分はポリカルボシランで
あるのがよい。
【0040】次いで、これを乾燥させ、更に不活性焼成
工程26において、不活性ガス(例えば窒素ガス)中で
約1200℃で高温焼成して有機珪素ポリマーをSiC
に転化させる。ポリマー含浸工程24と不活性焼成工程
26は交互に繰り返して行い、織物の繊維間がSiCで
充填されるまで、例えば4回程度行うのがよい。
【0041】またこの4回のポリマー含浸工程24にお
いて、最初は非結晶B(ボロン)を用い、次いでB4
の微粒子を用い、3回と4回は微粒子を含まず有機珪素
ポリマーのみを織物に含浸させるのが特に好ましい。
【0042】機械加工工程7は、マトリックス形成工程
20で完成したセラミックス基複合材料を機械加工や表
面研削して、所望のガスタービン部品を製造する工程で
ある。この工程では、例えばダイヤモンド砥石を用いて
所定の形状に加工する。
【0043】本発明の方法は、更に繊維及びマトリック
スの全外表面を覆う製品表面処理工程30を有する。図
1において、この製品表面処理工程30は、酸化防止材
4(この例でB4C)の粒子からなる内層5aを形成す
るコーティング工程32と、SiC-CVIによりSi
Cの外層5bを形成するCVI工程34とからなる。
【0044】コーティング工程32では、好ましくはB
4Cをエタノールで分散させた溶液内に超音波で振動を
与えながら繊維織物を浸し、これを乾燥させて、表面に
4C粒子のコーティング層を形成する。
【0045】CVI工程34ではSiC-CVIを実施
し、B4C粒子のコーティング層と密着した緻密なB4
のコーティング層を形成する。
【0046】上記本発明の方法によれば、酸化してガラ
ス質となる酸化防止材4を含有させる工程14、24に
より、インターフェース層及びマトリックスが、酸化し
てガラス質となる酸化防止材4を含有するので、これを
加熱することにより、耐酸化性に優れたガラス質層を内
部のあらゆる隙間(それがたとえ非常に微細な隙間であ
っても)に形成することができる。
【0047】また、CVI工程34で形成された緻密な
外層5bの内側に、コーティング工程32で形成された
酸化防止材4の粒子からなる内層5aが存在し、使用状
態において酸化防止材4が酸化して表面コーティング層
5の表面及び隙間にガラス質層を形成しているので表面
コーティング層5の耐酸化性を高め、マトリックスの亀
裂の発生を遅らせることができる。
【0048】図2と図3は、本発明と従来のセラミック
ス基複合材料の組織(A)と耐酸化作用(B)の模式図
である。
【0049】図2(A)に示すように、本発明のセラミ
ックス基複合材料は、繊維織物を構成する繊維1の表面
を覆うインターフェース層2と、繊維1間の隙間を埋め
るマトリックス3と、繊維及びマトリックスの全外表面
を覆う表面コーティング層5を備える。
【0050】インターフェース層2は、CVIで形成さ
れる内層2aと、酸化防止材4の粒子からなる中間層2
bと、CVIで形成される外層2cとからなる。また、
表面コーティング層5は、酸化防止材4の粒子からなる
内層5aと、CVIで形成される外層5bとからなる。
更に、マトリックス3も、酸化してガラス質となる酸化
防止材4を含有している。なお酸化防止材4は、B又は
4Cの微粒子であるのがよい。
【0051】図3(A)に示すように、従来は、繊維と
マトリックスの間には単層のインターフェース層がある
だけであった。マトリックス内に酸化してガラス質とな
る添加剤を有する先行出願(特開2000−23907
3)の場合、マトリックス自体は耐酸化性を有するが、
亀裂等によりマトリックスの酸化が進行し、インターフ
ェース層まで達すると繊維表面のインターフェース層の
耐酸化性が低く、繊維の酸化防止効果が急激に低減して
しまう。
【0052】これに対して本発明では、図2に示すよう
に、インターフェース層2及びマトリックス3が、酸化
してガラス質となる酸化防止材4を含有するので、これ
を加熱することにより、耐酸化性に優れたガラス質層を
内部のあらゆる隙間(それがたとえ非常に微細な隙間で
あっても)に形成することができる。
【0053】また、表面コーティング層5のCVIで形
成された緻密な外層5bの内側に、酸化防止材4の粒子
からなる内層5aが存在し、使用状態において酸化防止
材4が酸化して表面コーティング層5の表面及び隙間に
ガラス質層を形成しているので表面コーティング層5の
耐酸化性を高め、マトリックスの亀裂の発生を遅らせる
ことができる。
【0054】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0055】図4は、上述した各工程での耐酸化添加剤
が高温大気中でのクリープ寿命に及ぼす効果を比較した
図である。この図において、は耐酸化インターフェー
ス、はマトリックスへの耐酸化材の添加、は機械加
工後のマトリックス外層に耐酸化材をコーティングする
工程である。すなわち、は本発明のインターフェース
層2のみの効果、は本発明のマトリックス3のみの効
果、は本発明の表面コーティング層5のみの効果であ
り、+で表示したものは、2つ以上の組み合わせであ
る。また縦軸は、同一条件(1200℃、大気中)にお
けるクリープ寿命(Hr)である。
【0056】図5は、の全ての工程を入れて製造
したCMC(ガラスCMC)と、ののどの工程も
含まない従来のCMCのクリープ寿命の比較図である。
ガラスCMCは本発明によるセラミックス基複合材料で
あり、従来のCMCは図3に例示したものである。なお
この図で縦軸は応力、横軸はクリープ寿命(Hr)であ
る。
【0057】図5から、従来のCMCは1200℃、大
気中において、70MPaの応力で0.1時間しかクリ
ープ寿命がなかった。これに対して、本発明のガラスC
MCは、70MPaの同一応力では100時間を超える
クリープ寿命に達しており、寿命が大幅に増大している
ことがわかる。
【0058】また、図4から、のインターフェース層
2のみでも、70MPaの応力で0.2時間にクリープ
寿命が倍増しており、のマトリックス3のみでも、約
1.5時間に10倍以上伸びている。さらに、+で
は約10時間以上(100倍以上)、+では100
時間以上(1000倍以上)に達しており、本発明のイ
ンターフェース層2、マトリックス3及び表面コーティ
ング層5は、単独でも組み合わせても大きな効果が得ら
れることがわかる。
【0059】図6は、BとB4Cをマトリックスに含む
CMCの耐酸化試験結果である。この図において横軸は
暴露温度、縦軸は重量増加率である。
【0060】この図から、Bの重量増加が大きく、B4
Cは少ないことがわかる。従って、BはB4Cに比べて
ガラス化(酸化)しやすいといえる。この特性を利用し
て、上述した実施例では、試験片の外側にはガラス化し
にくいB4Cをコーティングしてガラス化による流出に
より耐酸化効果が低減するまでの時間の延長を図った。
また、内部はガラス化しやすいBをコーティングしてク
ラックシールを確実に十分に行うようにした。
【0061】上述したように、本発明は酸素と結合して
ガラスを形成する元素または化合物をマトリックス外
層、マトリックス中およびインターフェース層の3箇所
に分散させることにより、クラックをシールする効果を
与えたものである。
【0062】すなわち、マトリックス中に酸化防止材を
添加するだけでなく、マトリックスと従来のインターフ
ェースの間に酸化防止層を繊維の周囲に形成させ、さら
に従来のインターフェースを外側に1層形成させること
により耐酸化機能を有するインターフェース層を形成さ
せた。また、マトリックスの外側にも、酸化防止材より
なる層を形成した。
【0063】この構成により、マトリックス外周部に酸
化防止材よりなる耐酸化インターフェース層を追加して
シール性を高めるとともに、酸化防止材添加マトリック
ス層でトラップしきれずに侵入した酸素は耐酸化インタ
ーフェースでさらにストップさせる3段階の耐酸化シス
テムとなっている。この3段階のシステムをとることに
より、耐酸化特性の大幅な向上が可能となる。
【0064】また、マトリックスクラックを通じて侵入
した酸素をインターフェース部で酸化防止材と反応さ
せ、ガラスを形成させる。形成したガラスはクラックを
シールし、酸素が繊維表面へ侵入することを防止する。
この機構により、素材の脆性的な破壊を防止し、素材寿
命を延長する効果を付与する。
【0065】さらに酸化防止材は粒状であるため、酸化
防止材の層の上に直接マトリックス層を形成するとクラ
ックが酸化防止材の存在しない部位を伝播する場合があ
るが、本発明では酸化防止材の層の上にインターフェー
スコーティングをさらに実施し、クラックをこの層内で
偏向させることでクラックを通じて侵入した酸素が必ず
酸化防止材に接触するように工夫したことにより、耐酸
化特性を向上する効果を有することが確認された。
【0066】なお、本発明は上述した実施の形態に限定
されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更でき
ることは勿論である。
【0067】
【発明の効果】上述したように、本発明のセラミックス
基複合材料とその製造方法は、後工程を必要とすること
なく、マトリックスの表面及び亀裂部をガラスで覆うこ
とができ、従ってクラック等の非常に狭い隙間にも確実
に処理でき、かつ亀裂等によりマトリックスの酸化が進
行し、インターフェース層まで達した場合でも耐酸化性
を保持でき、これにより約1000℃以上の高温で従来
以上に長時間使用できる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックス基複合材料の製造方法を
示すフロー図である。
【図2】本発明のセラミックス基複合材料の組織と耐酸
化作用の模式図である。
【図3】従来のセラミックス基複合材料の組織と耐酸化
作用の模式図である。
【図4】セラミックス基複合材料のクリープ寿命の比較
図である。
【図5】セラミックス基複合材料のクリープ寿命の別の
比較図である。
【図6】BとB4Cをマトリックスに含むCMCの耐酸
化試験結果である。
【符号の説明】
1 無機繊維、2 インターフェース層、2a 内層、
2b 中間層、2c 外層、3 マトリックス、4 酸
化防止材、5 表面コーティング層、5a 内層、5b
外層、6 繊維織物成形工程、7 機械加工工程、1
0 繊維表面処理工程、12 第1CVI工程(C-C
VI又はB-CVI)、14 コーティング工程(Bコ
ーティング)、16 第2CVI工程(C-CVI)、
20 マトリックス形成工程、24 ポリマー含浸工
程、26 不活性焼成工程、30 製品表面処理工程、
32 コーティング工程(B4Cコーティング)、34
CVI工程(SiC-CVI)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02C 7/00 C04B 35/56 101L (72)発明者 荒木 隆人 東京都西東京市向台町3丁目5番1号 石 川島播磨重工業株式会社田無工場内 (72)発明者 正木 彰樹 東京都西東京市向台町3丁目5番1号 石 川島播磨重工業株式会社田無工場内 Fターム(参考) 3G002 EA05 EA08 EA09 4G001 BA22 BA23 BA33 BA60 BA68 BA77 BA86 BB04 BB22 BB23 BB33 BB60 BB68 BB86 BC32 BC33 BC44 BC45 BC47 BC52 BC54 BC72 BD15 BD16 BE15 BE31

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機繊維(1)により成形された繊維織
    物と、前記繊維の表面を覆うインターフェース層(2)
    と、該繊維間の隙間を埋めるマトリックス(3)とを備
    えたセラミックス基複合材料であって、前記インターフ
    ェース層及びマトリックスは、酸化してガラス質となる
    酸化防止材(4)を含有する、ことを特徴とするセラミ
    ックス基複合材料。
  2. 【請求項2】 前記インターフェース層(2)は、CV
    Iで形成される内層(2a)と、酸化防止材(4)の粒
    子からなる中間層(2b)と、CVIで形成される外層
    (2c)とからなる、ことを特徴とする請求項1に記載
    のセラミックス基複合材料。
  3. 【請求項3】 前記繊維及びマトリックスの全外表面を
    覆う表面コーティング層(5)を備え、該表面コーティ
    ング層は、酸化してガラス質となる酸化防止材(4)を
    含有する、ことを特徴とする請求項1に記載のセラミッ
    クス基複合材料。
  4. 【請求項4】 前記表面コーティング層(5)は、酸化
    防止材(4)の粒子からなる内層(5a)と、CVIで
    形成される外層(5b)とからなる、ことを特徴とする
    請求項3に記載のセラミックス基複合材料。
  5. 【請求項5】 前記酸化防止材(4)は、B又はB4
    の微粒子である、ことを特徴とする請求項1乃至4のい
    ずれかに記載のセラミックス基複合材料。
  6. 【請求項6】 繊維織物を構成する無機繊維の表面にイ
    ンターフェース層(2)を形成する繊維表面処理工程
    (10)と、前記繊維間にマトリックス(3)を形成す
    るマトリックス形成工程(20)とを有するセラミック
    ス基複合材料の製造方法において、 前記繊維表面処理工程とマトリックス形成工程は、イン
    ターフェース層及びマトリックスに、酸化してガラス質
    となる酸化防止材(4)を含有させる工程(14、2
    4)をそれぞれ有する、ことを特徴とするセラミックス
    基複合材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記繊維表面処理工程(10)は、CV
    Iによりインターフェース層(2)の内層(2a)を形
    成する第1CVI工程(12)と、酸化防止材(4)の
    粒子からなる中間層(2b)を形成するコーティング工
    程(14)と、CVIにより外層(2c)を形成する第
    2CVI工程(16)とからなる、ことを特徴とする請
    求項6に記載のセラミックス基複合材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記マトリックス形成工程(20)は、
    酸化してガラス質となる酸化防止材(4)を加えた有機
    ポリマーを基材として含浸し焼成する工程(24、2
    6)を有する、ことを特徴とする請求項6に記載のセラ
    ミックス基複合材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記繊維及びマトリックスの全外表面を
    覆う製品表面処理工程(30)を有し、該製品表面処理
    工程は、酸化防止材(4)の粒子からなる内層(5a)
    を形成するコーティング工程(32)と、CVIにより
    外層(5b)を形成するCVI工程(34)とからな
    る、ことを特徴とする請求項6に記載のセラミックス基
    複合材料の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記CVIは、BN-CVI、C-CV
    I、又はSiC-CVIである、ことを特徴とする請求
    項6乃至9のいずれかに記載のセラミックス基複合材
    料。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008095106A (ja) * 2006-10-16 2008-04-24 General Electric Co <Ge> 高温シール及び高温封止系
JP2016216333A (ja) * 2015-05-26 2016-12-22 イビデン株式会社 セラミック複合材
CN114702326A (zh) * 2022-03-07 2022-07-05 西北工业大学 一种陶瓷复合材料琴弓弓杆、制备方法及应用

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