以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。ただし、本形態において例示される構成部品の寸法、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明がそれらの例示に限定されるものではない。
まず、本発明の実施形態における撮像装置の全体構成について説明する。
図1及び図2は本発明の実施の形態における撮像装置であるデジタル一眼レフカメラシステムの概略構成を示す断面図で、デジタル一眼レフカメラシステムを横から見ている。図1は光学ビューファインダ(OVF)で被写体を観察する場合の状態を示し、図2はカメラ本体101の背面に取り付けられたディスプレイ装置107で被写体を観察する場合の状態を示す。
本実施の形態で用いるカメラは、CCDあるいはCMOSセンサなどの撮像素子を用いた単板式のデジタルカラーカメラであり、撮像素子を連続的または単発的に駆動して動画像または静止画像を表わす画像信号を得る。なお、撮像素子は、露光した光を各画素毎に電気信号に変換してその光量に応じた電荷をそれぞれ蓄積し、その電荷を読み出すタイプのエリアセンサである。
図1及び図2に於いて、101はカメラ本体、102は内部に結像光学系103を有する取り外し可能な撮影レンズユニットである。撮影レンズユニット102は、公知のマウント機構を介してカメラ本体101に電気的、機械的に接続される。焦点距離の異なる撮影レンズユニットに交換することによって、様々な画角の撮影画面を得ることが可能である。また、撮影レンズユニット102は不図示の駆動機構を有し、結像光学系103の一部の要素であるフォーカシングレンズを光軸L1方向に移動させることで被写体に対するピント合わせを行う。あるいは、フォーカシングレンズを柔軟性のある透明弾性部材や液体レンズで構成し、界面形状を変化させて屈折力を変えることで、被写体に対するピント合わせを行う。
106はパッケージ124に収納された撮像素子である。結像光学系103から撮像素子106に至る光路中には、撮像素子106上に被写体像の必要以上に高い空間周波数成分が伝達されないように結像光学系103のカットオフ周波数を制限する光学ローパスフィルター156が設けられている。また、結像光学系103には赤外線カットフィルターも形成されている。
撮像素子106で捉えられた被写体像をカメラ本体101の背面に取り付けられたディスプレイ装置107上に表示することで、使用者は被写体像を直接観察することができる。ディスプレイ装置107は有機EL空間変調素子や液晶空間変調素子、微粒子の電気泳動を利用した空間変調素子などで構成すると、消費電力が小さくかつ薄型で都合が良い。
また、撮像素子106として、本発明の実施の形態では、垂直走査手段と水平走査手段を有するものが用いられる。そして、その垂直走査手段は、リセット走査回路と読み出し走査回路とを有する。リセット走査回路は画素の蓄積電荷量を一旦ゼロにリセットし、その時点から電荷の蓄積が開始される電荷蓄積開始走査(以下リセット走査という)を行い、読み出し走査回路は画素が蓄積した電荷の読み出し走査を行う。
こういった撮像素子としては、CCDセンサまたは、増幅型固体撮像素子の1つであるCMOSプロセスコンパチブルのセンサ(以下「CMOSセンサ」と略す。)がある。CMOSセンサの場合、その特長の1つに、エリアセンサ部のMOSトランジスタと撮像素子の駆動回路、A/D変換回路、画像処理回路といった周辺回路を同一工程で形成できる。そのため、マスク枚数、プロセス工程がCCDと比較して大幅に削減できるという利点が挙げられる。また、任意の画素へのランダムアクセスが可能といった特長も有し、ディスプレイ用に間引いた読み出しが容易であって、高い表示レートでリアルタイム電子画像表示が行える。撮像素子106は、この特長を利用し、ディスプレイ画像出力動作、高精彩画像出力動作を行うことができる。
111は光学ファインダに結像光学系103からの光路を分割する可動型のハーフミラー、105は被写体像の予定結像面に配置されたフォーカシングスクリーン、112はペンタプリズムである。109は光学ファインダ像を観察するためのレンズである。フォーカシングスクリーン105、ペンタプリズム112、レンズ109はファインダ光学系を構成する。ハーフミラー111の屈折率はおよそ1.5、厚さは0.5mmである。ハーフミラー111の背後には可動型のサブミラー122が設けられ、ハーフミラー111を透過した光束のうち光軸に近い光束を焦点検出装置121に偏向している。焦点検出装置121は位相差検出方式の焦点検出を行う。
不図示の電磁モータとギア列からなるミラー駆動機構により、ハーフミラー111とサブミラー122から成る光路分割系の位置を変化させることにより、図1の状態と図2の状態の2通りを選択的にとることができる。図1はファインダ光学系に光を導くための光路分割の第1の状態を示し、図2は結像光学系103からの光束を直接的に撮像素子106に導く第2の状態を示す。この2通りの状態を高速で切り換えるために、ハーフミラー111を透明樹脂で構成し軽量化を図っている。第1の状態は焦点検出と光学ファインダによる被写体像観察のために、第2の状態はディスプレイ用の画像信号の生成、撮像素子による焦点検出、高精細な静止画像を撮影するため、あるいは動画撮影のためにそれぞれ用いられる。
113はフォーカルプレーンシャッタ、119はメインスイッチ、123はファインダモード切り換えスイッチ、180は光学ファインダ内情報表示装置である。更に、不図示ではあるがシャッタースイッチも構成される。シャッタースイッチの第1ストローク(例えば、半押し状態。以下、「スイッチSW1」と記す。)で撮影準備が開始され、第2ストローク(例えば、全押し状態。以下、「スイッチSW2」と記す。)で撮影が開始される。
図3は図1及び図2に示すデジタルカラーカメラの概略機能構成を示すブロック図である。なお、図1及び図2と同じ構成には同じ参照番号を付し、説明を省略する。
本実施の形態のカメラは、撮像系、画像処理系、記録再生系、制御系を有する。撮像系は、結像光学系103、撮像素子106を含み、画像処理系80は、A/D変換器130、RGB画像処理回路131およびYC処理回路132を含む。また、記録再生系は、記録処理回路133および再生処理回路134を含み、制御系は、カメラシステム制御回路135、操作検出回路136、パルス発生部83及び垂直駆動変調部84を含む。138は外部のコンピュータ等に接続して、データの送受信をするための規格化された接続端子である。
撮像系は、被写体からの光を結像光学系103を介して撮像素子106の撮像面に結像する光学処理系である。撮影レンズユニット102の不図示の絞りと、さらにフォーカルプレーンシャッタ113を調節し、適切な光量の被写体光により撮像素子106を露光する。フォーカルプレーンシャッタ113は、シャッタ駆動部81により、ディスプレイ装置107を用いて被写体を観察する場合や動画撮影時にはシャッタ露光開口を開放するように制御される。また、静止画像撮影時にはシャッタ露光開口を所定のタイミングで閉じるように制御される。82はシャッタ検出部で、詳細は後述するが、2組のフォトリフレクタと反射板から構成され、シャッタの駆動状態を検出する。撮像素子106は、例えば、正方画素が長辺方向に3700個、短辺方向に2800個並べられた、合計約1000万個の画素数を有する撮像素子が適用されている。この撮像素子は、各画素にR(赤色)G(緑色)B(青色)のカラーフィルタを交互に配して4画素が一組となる、所謂ベイヤー配列を形成している。ベイヤー配列では、観察者が画像を見たときに強く感じやすいGの画素をRやBの画素よりも多く配置する事で、総合的な画像性能を上げている。一般に、この方式の撮像素子を用いる画像処理では、輝度信号は主にGから生成し、色信号はR,G,Bから生成する。なお、画素数及びカラーフィルタの種類は上記に限るものではなく、公知のものを適宜使用可能であることは言うまでもない。
撮像素子106には、パルス発生部83から走査クロック及び後述する所定の制御パルスが供給される。また、パルス発生部83によって発生された走査クロックの内、垂直走査用のクロックは、垂直駆動変調部84によって周波数が所定の周波数に変調されて、撮像素子106に供給される。さらに、パルス発生部83は、画像処理系80にもクロック信号を供給する。
画像処理系80は、撮像素子106から読み出された画像信号に対して、所定の画像処理を行う処理系である。まず、撮像素子106から読み出された画像信号は、A/D変換器130によってデジタル画像信号に変換される。A/D変換器130は、露光した各画素の信号の振幅に応じた、たとえば10ビットのデジタル信号に変換して出力する信号変換回路であり、以降の画像信号処理はデジタル処理にて実行される。
RGB画像処理回路131は、A/D変換器130を介して撮像素子106から受けた3700×2800画素の画像信号を処理する信号処理回路である。このRGB画像処理回路131は、ホワイトバランス回路、ガンマ補正回路、補間演算による高解像度化を行う補間演算回路を有する。
YC処理回路132は、輝度信号Yおよび色差信号R−Y、B−Y(クロマ信号)を生成する信号処理回路である。YC処理回路132は、高域輝度信号YHを生成する高域輝度信号発生回路、低域輝度信号YLを生成する低域輝度信号発生回路、および、色差信号R−Y、B−Yを生成する色差信号発生回路で構成されている。輝度信号Yは高域輝度信号YHと低域輝度信号YLを合成することによって形成される。なお、YC処理回路132から出力される輝度信号Y及び色差信号R−Y、B−Y(クロマ信号)を合わせて、以降「YC信号」と呼ぶ。
記録再生系は、メモリや外部記録媒体への画像信号の出力と、ディスプレイ装置107への画像信号の出力とを行う処理系である。記録再生系は、記録処理回路133はメモリや外部記録媒体への画像信号の書き込み処理および読み出し処理を行い、再生処理回路134はメモリや外部記録媒体から読み出した画像信号を再生して、ディスプレイ装置107に出力する。
また、記録処理回路133は、YC処理回路132から出力される、静止画像および動画像を表わすYC信号を、記録時に所定の圧縮形式にて圧縮し、圧縮データを読み出した際には伸張する圧縮伸張回路を内部に有する。圧縮伸張回路は、信号処理のためのフレームメモリなどを含み、このフレームメモリにYC処理回路132からのYC信号をフレーム毎に蓄積して、それぞれ複数のブロック毎に読み出して圧縮符号化する。圧縮符号化は、たとえば、ブロック毎の画像信号を2次元直交変換、正規化およびハフマン符号化等をすることで行われる。
再生処理回路134は、記録処理回路133を介して読み出された輝度信号Yおよび色差信号R−Y、B−Yをマトリックス変換して、例えばRGB信号等のディスプレイ装置107に適した信号に変換する回路である。再生処理回路134によって変換された信号はディスプレイ装置107に出力され、可視画像が表示再生される。再生処理回路134とディスプレイ装置107の間はBluetoothなどの無線通信手段を介して接続してもよく、このように構成すれば、このデジタルカラーカメラで撮像する画像を離れたところからモニタすることができる。
また、映像信号検出部85は、映像信号バス上の映像信号から映像信号のデータ容量や、色信号のホワイトバランスのずれ、映像信号の高周波成分などを検出して、カメラシステム制御回路135に検出結果を送る。
制御系は、操作検出回路136により不図示のレリーズボタンやファインダモード切り換えスイッチ123等の外部操作を検出し、その検出信号に応じて、撮像系、画像処理系、記録再生系をそれぞれ制御する。例えば、不図示のレリーズボタンの押下を検出すると、ハーフミラー111やサブミラー122の駆動、撮像素子106の駆動、RGB画像処理回路131の動作、記録処理回路133の圧縮処理などを制御する。そして、さらに情報表示回路142によって光学ファインダ内に情報表示を行う光学ファインダ内情報表示装置180の各セグメントの状態を制御する。
次に、焦点調節に関する構成について説明する。
カメラシステム制御回路135にはさらにAF制御回路140とレンズシステム制御回路141が接続され、カメラシステム制御回路135を中心にして各々の処理に必要なデータを相互に通信している。
AF制御回路140はハーフミラー111及びサブミラー122が図1に示す第1の状態にある場合、撮影画面上の所定の位置に設定された焦点検出視野での焦点検出装置121の信号出力を得る。そしてAF制御回路140は、この信号出力に基づいて焦点検出信号を生成し、結像光学系103の結像状態を検出する。デフォーカスが検出されると、これを結像光学系103の一部の要素であるフォーカシングレンズの駆動量に変換し、カメラシステム制御回路135を中継してレンズシステム制御回路141に送信する。また、移動する被写体に対しては、不図示のレリーズボタンが押下されてから実際の撮像制御が開始されるまでのタイムラグを勘案し、適切なレンズ位置を予測した結果によるフォーカシングレンズ駆動量を指示する。また、被写体の輝度が低く、十分な焦点検出精度が得られないと判定されるときには、不図示の閃光発光装置、あるいは不図示の白色LEDや蛍光管によって被写体を照明する。
一方、ハーフミラー111及びサブミラー122が図2に示す第2の状態にある場合、カメラシステム制御回路135は映像信号検出部85からの映像信号の高周波成分検出結果を受ける。そして、カメラシステム制御回路135はフォーカシングレンズの駆動量をレンズシステム制御回路141に送信する(所謂TV-AF)。
レンズシステム制御回路141はフォーカシングレンズの駆動量を受信すると、撮影レンズユニット102内の不図示の駆動機構によってフォーカシングレンズを光軸L1方向に移動させるなどの動作を行い、被写体にピントを合わせる。AF制御回路140や映像信号検出部85によって、被写体にピントが合ったことが検出されると、この情報はカメラシステム制御回路135に伝えられる。このとき、レリーズボタンのSW2がONされれば、前述のごとく撮像系、画像処理系、記録再生系による撮像制御が成される。
<第1の実施形態>
次に、本発明の第1の実施形態について説明する。
本第1の実施形態における、上記構成を有するデジタルカラーカメラシステムのフォーカルプレーンシャッタ113の詳細構成について説明する。図4及び図5は特に後羽根の構成を示す平面図であって、後述するシャッタ地板より後ろ側の構成を示す。図4はシャッタ走行開始前の状態、図5はシャッタ走行完了後の状態を示している。
図4及び図5において、10は後羽根スリット形成羽根、10aは後羽根スリット形成端、11〜13は後羽根覆い羽根で、順に11は第2の後羽根、12は第3の後羽根、13は第4の後羽根と呼ぶ。なお、後羽根スリット形成羽根10から後羽根覆い羽根11〜13をまとめて後羽根群10〜13とも記す。後羽根群10〜13は、カバー板40と、カバー板40に対向し、撮影レンズユニット102側に配置される後述のシャッタ地板1との間に構成され、カバー板40とシャッタ地板1との間が後羽根群10〜13の走行スペースとなる。14は後羽根用の第1のアームで、シャッタ地板1に設けられた軸1fの周りに回転自在に枢着され、第1のアーム14の先端側に設けたカシメダボ16aで後羽根スリット形成羽根10をアーム14に対して回転自在に支持する。
15は後羽根用の第2のアームで、シャッタ地板1に設けられた軸1gの周りに回転自在に枢着され、第2のアーム15の先端側に設けたカシメダボ17aで後羽根スリット形成羽根10をアーム15に対して回転自在に支持する。このようにして後羽根スリット形成羽根10と後羽根用の第1のアーム14と第2のアーム15とにより平行リンクを形成する。同様に、第2の後羽根11、第3の後羽根12、第4の後羽根13は、第1のアーム14と第2のアーム15の中間部にそれぞれのカシメダボ16bと17b、16cと17c、16dと17dで回転自在に支持され、平行リンクを形成する。以上により後羽根(機能を示す名称として、「後幕」とも呼ぶ。)が構成される。
40aはカバー板40に設けられたシャッタ露光開口、40cは、後述する後羽根駆動部材29の駆動ピンの走行軌跡を逃げるための長孔である。
また、53及び54は、シャッタ検出部82の一部を構成する反射板である。
次に、シャッタ地板1から撮影レンズユニット102側の構成について、図6〜図9を参照して説明する。図6はシャッタオーバーチャージ状態、図7はシャッタ助走区間の走行開始状態、図8はシャッタ走行中状態、図9はシャッタ走行完了状態を示している。
図6〜図9において、1はシャッタ露光開口を有する基板(シャッタ地板)、1aはシャッタ露光開口である。1cは後述する後羽根駆動部材(後羽根にばね力等による走行エネルギーを与えるレバー)29の駆動ピンの走行軌跡を逃げるための長孔である。
18はチャージレバーで、シャッタ地板1に植設された軸1hの周りに回転可能に枢支され、軸1hのスラスト方向には、不図示の抜け止め部材により僅かな隙間をもって押えられている。18aはチャージレバー18の入力側腕部、18bは入力側腕部18aに一体的に植設された入力ピンである。18dはチャージレバー18の後羽根側出力腕部で先端外周部が軸1hを中心とした円弧カムになっており、所定量オーバーチャージした後、後羽根駆動部材29は反時計方向に回動しなくなる。これによりオーバーチャージ時の後羽根位置が安定する。チャージレバー18は図6のオーバーチャージ位置と図7以降のチャージレバー戻り位置で不図示のストッパに当接して回動が規制される。
29は後羽根駆動部材で、シャッタ地板1に植設された軸1jの周りに回転可能に枢支され、軸1jのスラスト方向には、不図示の抜け止め部材により僅かな隙間をもって押えられている。後羽根駆動部材29の腕29aの先端には、軸が一体的に植設され、その軸の周りにコロ30が回転可能に枢支されている(図中後羽根駆動部材29の裏側)。コロ30はシャッタ地板1が抜け止めとして作用している。後羽根駆動部材29のもう一方の腕29b先端には、後羽根駆動ピン29cが一体的に植設されている。31は動力ばねで、軸1jと同軸に後羽根駆動部材29上に設けられたトーションばねである。動力ばね31は、一端を不図示の幕速調節部材に支持され、他端を後羽根駆動部材のばね掛け突起29eに引掛け、後羽根駆動部材29に軸1jを中心に時計回りの回動力を与える。また、後羽根駆動部材29の腕29aの上部には、アーマチャ保持部29dが形成され、マグネットのアーマチャ32をアーマチャ軸33にてある程度の動きの自由度を与えて保持する。34はマグネットのヨーク、35はマグネットのコイルで、不図示のマグネット地板に固定され、通電によりアーマチャ32を保持し、通電が絶たれるとアーマチャ32を解放する。この動作を利用してシャッタ秒時を制御する。
なお、図4および図5に示す14aは後羽根駆動部材29の駆動ピン29cを嵌入させる穴で、この穴を介して軸1fと同軸に回転軸1jを設けられた後羽根駆動部材29から第1のアーム14に動力を伝える。
また、51及び52は2組のフォトリフレクタであって、シャッタ地板1上のカバー板40に対向する側に設けられる。フォトリフレクタ51及び52は、カバー板40上に設けられた反射板53、54と共に、シャッタ検出部82を構成する。なお、走行開始前の後羽根スリット形成端10aとシャッタ露光開口1aとの間の距離をL、後羽根スリット形成端10aの走行方向座標をYとする。このとき、フォトリフレクタ51、52の少なくとも一つをY<L/2の位置に配置することが好ましい。
図4〜図9を参照して上述したように、本第1の実施形態においてはフォーカルプレーンシャッタ113は先羽根を持たないため、シャッタ開口より下の部分が劇的に小さくなると共に、羽根ユニットが収納され走行するスペースの厚さはおよそ3分の2になる。これによって、カメラ等の装置の小型化に寄与する。
上記構成を有するフォーカルプレーンシャッタ113は、静止画撮影時には、後羽根群10〜13が図4及び図6に示すシャッタ露光開口40a及び1aが完全に開いている状態から走行が開始される。そして、フォーカルプレーンシャッタ113は、図7及び図8の状態を経て、図5及び図9に示すシャッタ露光開口40a及び1aが完全に閉じる状態となるように、走行する。ここで、後羽根群10〜13の走行と、撮像素子106のリセット走査との関係について、図8を参照して簡単に説明する。
63は撮像素子106のリセット走査位置である。リセット走査位置63は、撮像素子106の撮像面上の後羽根スリット形成端10aの位置は、所定の間隔をおいて撮像面60の上から下(図8の矢印aの方向)へ移動する。実際には、撮像素子106のある行がリセット走査されてから所定時間後に後羽根スリット形成端10aがその行を通過するように制御され、この時間差により、図8に示すように網掛け領域が露光される。そして、リセット走査位置63と後羽根スリット形成端10a位置とがほぼ平行を保ったまま、図8の網掛け領域の大きさが変わらないように、移動するように制御される。また、リセット走査されてから後羽根スリット形成端10aが通過するまでの時間が、露光時間(シャッタスピード)となる。このとき、撮影される画像は撮影レンズによって上下が逆になっているため、画像の走査方向としては、画像下部から上部へリセット走査及びシャッタ走行が行われることになる。
図8に示す例では、シャッタ露光開口部1aに対応する撮像素子106の撮像面において、リセット走査位置63より下の領域はリセット走査が未だなされていない未露光撮像面を示す。リセット操作位置63と、後羽根スリット形成端10aの間の領域は既にリセット走査が行われた後の露光中の撮像面を示す。そして、後羽根スリット形成端10aよりも上の領域は、リセット走査及び露光後に、後羽根スリット形成部10により遮光された露光済の撮像面を示す。
次に、後羽根の走行状態を検出するシャッタ検出部82の構成について、図10を参照して説明する。図10は、シャッタ検出部82の構成を示す斜視図である。
後羽根の走行状態は、2組のフォトリフレクタ51、52により検出される。フォトリフレクタ51、52は投光部と受光部とをそれぞれ有し、シャッタ地板1上のカバー板40に対向する側の、後羽根スリット形成端10aの走行開始位置と、シャッタ露光開口1aの間である助走区間L(図7、図8参照)に配置される。また、図10において、フォトリフレクタ51、52のハッチングは、シャッタ地板1への取り付け面を示している。
カバー板40上の、フォトリフレクタ51、52と対向する位置には反射板53、54がそれぞれ設けられる。フォトリフレクタ51、52の各投光部からの射出光55、56が反射板53、54でそれぞれ反射されてフォトリフレクタ51、52の各受光部で受光され、電気信号に変換される。後羽根群10〜13は反射板53、54と比べて反射率が極めて低く、後羽根群10〜13が反射板53、54を覆っているときには、投光部からの光がシャッタ後羽根で遮られるため、受光部の受光量は少ない。したがって、受光部から出力される電気信号の急激な変化を検出することで、後羽根スリット形成端10aが反射板53、54の位置を通過したことを検知することができる。
なお、後羽根スリット形成端10aの通過検出は、後羽根の走行方向について同じ位置で行うこと、即ち、図4〜図9において、フォトリフレクタ51、52及び反射板53、54を縦に並べて配置するのが検出精度上好ましい。これは、走行中に後羽根スリット形成端10aが傾くためである。しかし、本第1の実施形態では、スペースの都合上、フォトリフレクタ51、52は図10に示すように、後羽根の走行方向と直交する長手方向(横方向)にずらして配置してある。しかしながら、このずらし距離を極めて少なくすることで、走行中の後羽根スリット形成端10aの傾きによる影響をほぼ排除することができる。
また、羽根先端側の位置で後羽根スリット形成端10aの通過を検出するようにフォトリフレクタ51、52を配置することもできる。しかしながら、羽根先端側は走行中の羽根の撓みによる不安定さがあるため、アームにカシメダボで連結された羽根根元側で検出する方が好ましい。
次に、静止画撮影時の撮像素子106のリセット走査制御及びフォーカルプレーンシャッタ113の駆動制御によるシャッタ制御について詳細に説明する。
図11は、静止画撮影時のシャッタ制御を説明する図であり、縦軸は撮像素子106の撮像面の垂直方向の位置を示し、横軸は時間を表している。グラフAは撮像素子106上のリセット走査位置63、グラフBはシャッタ後羽根スリット形成端10aの位置、グラフCは撮像素子の画素の読み出し位置を示し、それぞれ時間に対する変位を示している。
なお、ディスプレイ装置107でのリアルタイム電子画像表示や動画撮影時は、常にシャッタ113の後羽根が開かれた状態(走行していない)で、電荷蓄積時間制御により露出制御が行われる。即ち、図4および図6に示す後羽根群10〜13の状態で、電荷蓄積時間制御により露出制御が行われる。そして、静止画撮影時の露光時間となる電荷蓄積時間Texは、動画撮影時の読み出し走査によって読み出される電荷の出力レベルに基づいて設定される。
図11において、trsは電子的先幕である画素リセット走査開始時刻、tasはシャッタ(後幕)走行開始時刻、Tsrnは電子的先幕(リセット走査)の走行時間、Tarnはシャッタ(後幕)の走行時間、Texは露光時間である。シャッタ後羽根の走行に同期した早さで、時刻trsから時間Tsrnの間に前述の画素のリセット走査が行われる。そして、所定の露光時間Texから計算される所定時刻tasでシャッタ後幕走行が開始され、遮光が行われる。最初に設定されたTexの値によっては(具体的には、シャッタ(後幕)の助走区間Lの走査にかかる時間よりもTexが短い場合)、時刻tasが時刻trsより先行することもある。
そして、シャッタ(後幕)が走行して遮光が完了した画素の部分から、画素が蓄積した電荷の読み出し走査が行われる。
特開平11-41523号公報に記されているように、撮像素子の垂直走査手段にリセット走査の走査クロック周波数を変調するクロック変調回路を設ける。そして、クロック周波数を変調してリセット走査の走査速度の特性をシャッタ(後幕)の走行速度の変化特性に合わせることによって、一定の露出時間Texが維持されるようにする。
図12は露光秒時が2000分の1秒の場合の、図11における露光開始部分の拡大図である。
横軸はシャッタ(後幕)のレリーズ信号が出された時点(後幕制御マグネットの通電OFF)を基準とする時間、縦軸がシャッタ露光開口1aの上端を0としたときの画面垂直位置である。シャッタ(後幕)のレリーズ信号が出されて(t0)から後羽根スリット形成端10aがシャッタ露光開口1aに到達するまでの遅れ時間Tdsとする。
一般的な高速秒時に対応したフォーカルプレーンシャッタを適用した場合の一例として、後幕の助走区間を1.7mm(座標では−1.7mm)とする。また、シャッタ(後幕)がスタートしてから(tas)シャッタ露光開口1aに後羽根スリット形成端10aが到達するまでの時間は2msとする。露光秒時2000分の1秒は0.488msなので、シャッタ露光開口1aに後羽根スリット形成端10aがシャッタ露光開口1aに顔を出す時点より0.488ms前にリセット走査を開始(電子的先幕をスタート)させる(trs)。
シャッタ検出部82のフォトリフレクタ51は後幕スタート位置から0.3mm、フォトリフレクタ52は後幕スタート位置から0.8mmに位置しているとする。後幕スタートから後羽根スリット形成端10aの通過をフォトリフレクタ51が検出するのは後幕スタートから0.75ms後(td1)、同じくフォトリフレクタ52が検出するのは後幕スタートから1.32ms後(td2)の時点とする。
Tsは電子的先幕スタートにフィードバックするのに必要なディレイ時間である。このTsは、フォトリフレクタ52が検出した後(td2)、リセット走査を開始(電子的先幕がスタート)するまでに(Trs)、後羽根スリット形成端10aの走行特性に合わせたその後の電子的先幕の垂直走査を演算することで求める。
また、t0でシャッタ(後幕)のレリーズ信号が出されてから、tasで実際に後幕がスタートする(動き出す)までの時間は1msかかる。従って、シャッタ(後幕)のレリーズ信号が出されてから、シャッタ(後幕)が露出開口1aに到達するまでにかかる遅れ時間Tdsは3msとなる。
図13は露光秒時が1000分の1秒の場合の、図11における露光開始部分の拡大図である。
露光秒時1000分の1秒は0.977msなので、後羽根スリット形成端10aがシャッタ露光開口1aに到達する時点より0.977ms前に、リセット走査を開始(電子的先幕がスタート)する(trs)。上述したように、シャッタ(後幕)がスタートしてから(tas)シャッタ露光開口1aに到達するまで2msかかるので、後幕スタートからは1.023ms後である。
図13から判るように、電子的先幕がスタート(リセット走査を開始)する時点(trs)ではフォトリフレクタ52で検出したデータはフィードバックされない。そのため、後羽根スリット形成端10aの走行特性を知るには、リセット走査を開始(電子的先幕がスタート)する直前に得ることができるもう一つの検出データが必要となる。後幕スタート時点(tas)では後羽根スリット形成端10aの単位時間あたりの移動量が少ないので、フォトリフレクタ等のセンサーで正確に捉えることが難しい。従って、明確に検知できるタイミング信号として、シャッタ(後幕)のレリーズ信号が出された時点(後幕制御マグネットの通電OFF)を検知する(t0)。
次に、シャッタ(後幕)のレリーズ信号が出されてからのシャッタ制御動作について、図14を参照して説明する。シャッタ(後幕)のレリーズ信号が出されてから後羽根スリット形成端10aがフォトリフレクタ51により検出される(td1)までにかかる時間をTd1とする。シャッタ(後幕)のレリーズ信号が出されてから後羽根スリット形成端10aがフォトリフレクタ52により検出される(td2)までにかかる時間をTd2とする。
まず、ステップS401では、シャッタ113の制御が開始される。まず、露出時間Texとシャッタ(後幕)のレリーズ信号が出されてから後羽根スリット形成端10aがシャッタ露光開口1aに到達するまでの遅れ時間Tdsの大小関係を比較する。前述した一般的な高速秒時に対応したフォーカルプレーンシャッタを適用した一例では遅れ時間Tdsが3msなので、露出時間Texの方がそれよりも長いか同じときは、ステップS402へ進む。
ステップS402では、予め記憶された所定のシャッタ走行特性に合わせたリセット走査を開始する。ステップS403では、リセット走査を開始してから、露出時間Texから遅れ時間Tdsを引いた時間だけ待機する。
ステップS404では、シャッタ(後幕)のレリーズ信号を出す。この場合、露光秒時が長いので、実際のシャッタ(後幕)の走行特性と撮像素子のリセット走査が微妙に異なっていても、露出誤差への寄与率が小さい。従って、撮像素子のリセット走査は、予め記憶された所定のシャッタ走行特性に合わせたもので構わない。
一方、ステップS401で、遅れ時間Tdsの方が大きいときは、ステップS405へ進む。
ステップS405では、設定された露出時間Texが、遅れ時間Tdsから時間Td1を引いた時間より長いかどうかを判断する。長いか同じときはステップ406へ進み、予め記憶された所定のシャッタ走行特性に合わせたリセット走査の中から、条件に合った適切なリセット走査を選定する。
ステップS407では、先にシャッタ(後幕)のレリーズ信号を出し、シャッタ(後幕)を走行させる。ステップS408では、遅れ時間Tdsから露出時間Texを引いた時間だけ待機し、ステップS406で選定されたリセット走査を開始するように制御する。この制御では、シャッタ(後幕)のスタート後、後羽根スリット形成端10aがフォトリフレクタ51に到達する前にリセット走査を開始する。この場合、露光秒時が十分に長いので、実際のシャッタ(後幕)の走行特性と撮像素子のリセット走査が微妙に異なっていても、露出誤差への寄与率が小さい。そのため、撮像素子のリセット走査は、予め記憶された所定のシャッタ走行特性に合わせたもので構わない。
一方、ステップS405で、設定された露出時間Texが遅れ時間Tdsから時間Td1を引いた時間より短いときは、ステップ409へ進む。
ステップS409では、設定された露出時間Texが、遅れ時間Tdsから時間Td2を引いた時間より長いかどうかを判断し、長いか同じときは、ステップS410へ進み、以下、図13を参照して上述したような制御が行われる。この制御は、シャッタ(後幕)のスタート後、後羽根スリット形成端10aがフォトリフレクタ51に到達した後、フォトリフレクタ52に到達する前にリセット走査を開始する制御である。
ステップS410では、先にシャッタ(後幕)のレリーズ信号を出し、後幕制御マグネットの通電をOFFし、シャッタ(後幕)を走行させる。それとほぼ同時に、ステップS411においてシャッタ(後幕)のレリーズ信号が出た時点(t0)を記憶する。
ステップS412では、後羽根スリット形成端10aがフォトリフレクタ51を通過した時点(td1)を検出して記憶する。ステップS413では、シャッタ(後幕)のレリーズ信号が出た時点より1ms後のシャッタ(後幕)スタート時点と、フォトリフレクタ51の通過時点とにより、スタート位置(t0)からフォトリフレクタ51を通過する(td1)までの正確な時間を演算する。
ステップS414では、予め記憶されていたシャッタ後幕を構成する平行リンク系の運動方程式(多項式)と、既知のシャッタ(後幕)スタート位置と、フォトリフレクタ51の位置とから得られた2点間通過時間を比較する。そして、この比較結果を基にシャッタ後幕を構成する平行リンク系の運動方程式を補正する。そして、ディレイ時間Tsを加味したシャッタ(後幕)走行特性曲線を推定する。こうすることにより、予め記憶されていた所定のシャッタ走行特性に応じた平行リンク系の運動方程式と、実際の平行リンク系の動作とのずれを検出し、このずれを解消するようにフィードバックすることができる。
ステップS415では、フォトリフレクタ51を通過し、ディレイ時間Ts後、推定したシャッタ(後幕)走行特性曲線に沿って、撮像素子106のリセット走査を開始する。
ステップS416では、後羽根スリット形成端10aがフォトリフレクタ52を通過した時点(td2)を検出して記憶する。ステップS417では、ステップS414で推定した走行特性曲線と、フォトリフレクタ52の通過時点の比較結果から、既に行われている撮像素子106のリセット走査に修正が必要かを判断する。つまり、ステップS414で補正された平行リンク系の運動方程式(多項式)によるフォトリフレクタ52の通過予定時間と、実際のフォトリフレクタ52の通過時間を比較し、その結果が所定値より大きければ修正を行う。修正が必要な場合はステップS418へ進み、ステップS414で補正した行リンク系の運動方程式と、フォトリフレクタ52の通過時間とのずれを解消するように途中から補正を加えたリセット走査を行う。
また、ステップS409で、設定された露出時間Texが、遅れ時間Tdsから時間Td2を引いた時間より短いときは、ステップS419へ進み、以下、図12に示すような制御が行われる。この制御は、シャッタ(後幕)のスタート後、後羽根スリット形成端10aがフォトリフレクタ52に到達した後、リセット走査を開始する制御である。
ステップS419では、先にシャッタ(後幕)のレリーズ信号を出し、後幕制御マグネットの通電をOFFし、シャッタ(後幕)を走行させる。
ステップS420では、後羽根スリット形成端10aがフォトリフレクタ51を通過した時点(td1)を検出し、記憶する。ステップS421では、後羽根スリット形成端10aがフォトリフレクタ52を通過した時点(td2)を検出し、記憶する。
ステップS422では、フォトリフレクタ51の通過時点(td1)とフォトリフレクタ52の通過時点(td2)とにより、フォトリフレクタ51からフォトリフレクタ52を通過するまでの正確な時間を演算する。
ステップS423では、予め記憶されていたシャッタ後幕を構成する平行リンク系の運動方程式(多項式)と、ステップS422で得られた2点間通過時間を比較する。そして、この比較結果を基にシャッタ後幕を構成する平行リンク系の運動方程式(多項式)を補正し、ディレイ時間Tsを加味したシャッタ(後幕)走行特性曲線を推定する。
ステップS424では、フォトリフレクタ52の通過からディレイ時間Ts後、推定したシャッタ(後幕)走行特性曲線に沿って撮像素子のリセット走査を開始する。
なお、ステップS422において、シャッタ(後幕)のレリーズ信号が出た時点から求められる1ms後のシャッタ(後幕)スタート時点の情報を更に盛込んで、シャッタ(後幕)走行特性曲線を推定してもよい。
次に、上記構成を有するデジタルカラーカメラの撮像処理について、図15〜図18を参照して説明する。
まず、図15のステップS1で、メインスイッチ119の状態を観察し、オンに切り換わったことが検知されると、ステップS2でカメラの電気回路を起動する。ステップS3では、設定されているファインダモードを検知する。なお、ここでは初期状態としてOVF機能が選択されるものとする。OVF機能を実行するモード(以下、「OVFモード」と呼ぶ。)でなければ、ステップS4に移行し、カメラ本体101の背面に取り付けられたディスプレイ装置107で被写体を観察するモード(以下、「モニターモード」と呼ぶ。)へ切り換える処理を行う。
OVFモードにおいてはハーフミラー111とサブミラー122から成る光路分割系は、図1に示す第1の状態にある。
モニターモードでは光学ファインダに被写体光を導かないので、先ず、ステップS4において、不要となる光学ファインダ内情報表示装置180による表示を消灯する。こうすることによって、電力の消費を削減し、電池の消耗を減ずることができる。
ステップS5では、ミラーアップしてハーフミラー111、サブミラー122をミラーボックス上部に退避させ、図2に示す第2の状態に移行する。
ステップS6では、ディスプレイ装置107の電源を投入し、次のステップS7では、撮像素子106により連続的に被写体像を撮像し、ディスプレイ装置107上にリアルタイムで電子画像表示を開始し、ステップS10へ進む。
一方、ステップS3にてOVFモードであると判断されると、ファインダ切換え動作は行わずに、ステップS9において光学ファインダ内情報表示装置180によるファインダ内情報を点灯し、ステップS10へ移行する。
ステップS10では、操作検出回路136によりファインダモード切り換えスイッチ123の押下が検出されたかどうかを確認し、検出された際には、図16に示すファインダモードの切り換え処理を行う。
また、ファインダモード切り換えスイッチ123の押下が検出されない場合はステップS11へ進み、設定されているファインダモードが検知され、OVFモードでなければ、図17に示すモニターモードでの撮影処理を行う。OVFモードであれば、図18に示すOVFモードでの撮影処理を行う。
次に、図16を参照して、ファインダモード切り換え処理について説明する。
カメラの電気回路が動作している間は、各操作スイッチの状態が操作検出回路136を介してモニタされ、ファインダモード切り換えスイッチ123の押下が検出されると、ファインダ切り換え動作が直ちに開始される。
ステップS100において、現在のファインダモードを検知し、現在のファインダモードがOVFモードである場合、OVFモードからモニターモードへ切り換えるためにステップS101へ移行する。現在のファインダモードがモニターモードである場合、モニターモードからOVFモードへ切り換えるためにステップS111へ移行する。
先ず、OVFモードからモニターモードに切り換える場合について説明する。OVFモードにおいてはハーフミラー111とサブミラー122から成る光路分割系ハーフミラー111は、図1に示すように第1の状態にある。モニターモードでは光学ファインダに被写体光を導かないので、先ず、ステップS101において、不要となる光学ファインダ内情報表示装置180による表示を消灯する。こうすることによって、電力の消費を削減し、電池の消耗を減ずることができる。
ステップS102では、ハーフミラー111、サブミラー122をミラーボックス上部に退避させ、図2に示す第2の状態にする。そして、ステップS103でディスプレイ装置107の電源を投入する。ステップS104で、撮像素子106により連続的に被写体像を撮像し、ディスプレイ装置107上にリアルタイム電子画像表示を開始し、図17に示すモニターモードでの撮像処理へ進む。
一方、モニターモードからOVFモードへ切り換える場合には、切り換え前のモニターモードにおいてはハーフミラー111とサブミラー122から成る光路分割系は図2に示す第2の状態にある。この状態は、ディスプレイ装置107にリアルタイム電子画像表示されている。
従って、ステップS111では、一旦、ディスプレイ装置107に固定色表示するかリアルタイム電子画像表示の更新を一時停止した所謂フリーズ状態の画像を表示する。また、OVFモードに切り換える旨のメッセージを表示するようにしても良い。その理由を説明する。ディスプレイ装置107にリアルタイム電子画像表示したままハーフミラー111及びサブミラー122を動かすと、その動きによって、撮像素子106で捉えられる結像光学系103から射出した光束が大きく変動してしまう。その結果、ディスプレイ装置107にはまともな画像が表示されず、大変見苦しい画像となってしまうおそれがある。これを避けるためにいきなりディスプレイ装置107の電源をオフすると、撮影者がカメラの電源自体が消耗したり、または故障した等と勘違いしてしまうことが考えられるからである。そのため、ステップS111の処理を行うのである。
ステップS112では、ディスプレイ装置107の電源をオフするとともに、撮像素子106による撮像を停止する。これによって、その時点で不必要な部分の電力消費を削減し、電池の消耗を減ずることができる。
ステップS113では、ハーフミラー111、サブミラー122を図2に示す第2の状態から不図示のミラー駆動機構内のバネの付勢力により、ミラーダウンした図1に示す第1の状態にセットする。
ステップS115では、光学ファインダ内情報表示180によるファインダ内情報を点灯し、図18のOVFモードでの撮像処理へ進む。
次に、モニターモードでの撮影動作について図17を参照して説明する。
ステップS31では、シャッタースイッチが押され、スイッチSW1がONになっているかどうかを判断し、ONになっていないならば、図15のステップS10に戻る。
ステップS31でスイッチSW1がONであれば、ステップS32に進む。ステップS32ではカメラシステム制御回路135は、測距処理を行って、結像光学系103の焦点を被写体に合わせると共に、測光処理を行って、絞り値及びシャッター時間を決定する。ここでは、モニターモードであるため、撮像素子106の映像信号の高周波成分などを検出したコントラスト検出方式の測距(TV-AF)と、撮像素子106からの信号による測光処理を行い、ステップS33に進む。また、測光処理に於いて、必要であればフラッシュの設定も行う。
次に、ステップS33では、撮像素子106にて連続的に被写体像を撮像し、ディスプレイ装置107上にリアルタイム電子画像表示を開始する。これにより、撮影者が被写体を確認し、フレーミングを決めることができる。その後ステップS34へ進む。
ステップS34では、スイッチSW2がONかどうかを判断し、ステップS35でシャッタースイッチSW1が放されるまでは、ステップS33へ戻り、ディスプレイ装置107上にリアルタイム電子画像表示を続け、上記処理を繰り返す。ステップS35でシャッタースイッチが放され、スイッチSW1がOFFになったならば、図15のステップS10に戻る。
ステップS34でスイッチSW2がONの場合、ステップS36でカメラシステム制御回路135は、不図示のメモリに撮影した画像データを記憶可能な画像記憶バッファ領域があるかどうかを判断する。メモリの画像記憶バッファ領域内に新たな画像データを記憶可能な領域が無いならば、ステップS37で情報表示回路142を用いて画像や音声により所定の警告表示を行った後に、図15のステップS10に戻る。
ステップS36でメモリに撮影した画像データを記憶可能な画像記憶バッファ領域があると判断したならば、ステップS38へ進み、撮像素子106にて連続的に被写体像を撮像する。そして、ディスプレイ装置107上にリアルタイム電子画像表示をしていたモニタ画像を、被写体を何も表示しない固定色表示に切り換えたり、撮像素子106が最後に取り込んだ被写体画像を静止画(フリーズ画像)表示をする。なお、ディスプレイ装置107の電源をオフにして電池の消耗を防ぐようにしてもよい。
ステップS40では、カメラシステム制御回路135は、撮像を行う。所定時間蓄積した撮像信号を撮像素子106から読み出し、A/D変換器130、RGB画像処理回路131、YC処理回路132、記録処理回路133を介して不図示のメモリの所定領域への撮影画像データを書き込む撮影処理を実行する。この撮影処理の詳細は図19を参照して後述する。
ステップS41では、撮影時に一旦閉じるフォーカルプレーンシャッタ113の後幕群10〜13を、シャッタチャージ機構により、シャッタ露光開口1a、40aを開けた露光準備位置までチャージする。その直後、撮像素子106に連続的に被写体光を導き、ディスプレイ装置107上に画像を表示するための撮像を可能にする。
ステップS42では(もし、ステップS38でディスプレイ装置107の電源をオフしていたならば、ディスプレイ装置107の電源をオンしてから、)撮像素子106にて連続的に被写体像を撮像する。そしてディスプレイ装置107上にリアルタイム電子画像表示を開始する。これにより、次の撮影のために、撮影者が被写体を確認し、フレーミングを決めることができる。
ステップS43では、カメラシステム制御回路135は、メモリの所定領域へ書き込まれた画像データの一部を読み出す。そして、現像処理を行うために必要なWB(ホワイトバランス)積分演算処理、OB(オプティカルブラック)積分演算処理を行い、演算結果をカメラシステム制御回路135の内部メモリに記憶する。そして、カメラシステム制御回路135は、記録再生系回路そして必要に応じて画像処理系80を用いて、メモリの所定領域に書き込まれた撮影画像データを読み出す。そして、カメラシステム制御回路135の内部メモリに記憶した演算結果を用いて、オートホワイトバランス(AWB)処理、ガンマ変換処理、色変換処理を含む各種現像処理を行う。
さらに、現像処理においては、公知のダーク取り込み処理において取り込んだダーク画像データを用いて減算処理を行うことにより、撮像素子106の暗電流ノイズ等を打ち消すダーク補正演算処理も併せて行う。
ステップS44では、記録処理回路133は、現像処理された画像データに対して、設定したモードに応じた画像圧縮処理を不図示の圧縮・伸長回路により行う。そして、不図示のメモリの画像記憶バッファ領域の空き画像部分に、撮影して一連の処理を終えた画像データの書き込みを行う。
ステップS45では、一連の撮影の実行に伴い、記録処理回路133はメモリの画像記憶バッファ領域に記憶した画像データを読み出す。そして、不図示のインタフェースやコネクタを介して、メモリカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)カード等の記録媒体へ書き込みを行う記録処理を開始する。この記録開始処理は、メモリの画像記憶バッファ領域の空き画像部分に、撮影して一連の処理を終えた画像データの書き込みが新たに行われる度に、その画像データに対して実行される。
ステップS46では、カメラシステム制御回路135は、スイッチSW1がONであるかどうかを判断する。OFFであれば、ステップS10に戻り、ONであれば、ステップS33に戻って、スイッチSW1がOFFになるまで上記処理を繰り返す。
次に、OVFモードでの撮影動作について、図18を参照して説明する。なお、図18において、図19に示す処理と同様の処理には同じ参照番号を付し、一部説明を省略する。
ステップS31では、シャッタースイッチが押され、スイッチSW1がONになっているかどうかを判断し、ONになっていないならば、図15のステップS10に戻る。
ステップS31でスイッチSW1がONであれば、ステップS32に進む。ステップS32ではカメラシステム制御回路135は、測距処理を行って結像光学系103の焦点を被写体に合わせると共に、測光処理を行って、絞り値及びシャッター時間を決定する。ここでは、OVFモードであるため、焦点検出装置121により測距を行うと共に、公知の測光装置(不図示)を用いて測光処理を行い、ステップS34に進む。また、測光処理に於いて、必要であればフラッシュの設定も行う。
以下、ステップS34からステップS46では、図17で説明した各処理と同様の処理を行う。しかしながら、OVFモードではディスプレイ装置107はオフされているので、ディスプレイ装置107への画像表示に関する処理であるステップS33、S38、S41、S42の処理は行わない。
次に、図17及び図18のステップS40で行われる撮影処理について、図19を参照して説明する。
ステップS301において、カメラシステム制御回路135は、ステップS32で取得した測光値に基づいてレンズシステム制御回路141によって絞りを所定の絞り値まで駆動する。次に、ステップS302において、図14を参照して上述したようにしてシャッター駆動部81を制御して、撮像素子106のリセット走査及びシャッタ113の後幕の駆動制御を行い、撮像素子106の露光を開始する。なお、OVFモードにおいて、後羽根群10〜13により図5及び図9に示すようにシャッタ露光開口1a及び40aが閉じている場合には、図14に示すシャッタ駆動制御に先立って、後羽根群10〜13を図4及び図6に示す位置に戻す。
次に、ステップS303でフラッシュ・フラグによりフラッシュが必要か否かを判断し(ステップS303)、必要な場合は不図示のフラッシュ(閃光発光装置)を発光させる(ステップS304)。
そして、カメラシステム制御回路135は、測光データに従って撮像素子106の露光終了を待ち、シャッタ113が閉じたのを確認し(ステップS305)、撮像素子106の露光を終了する。
次に、カメラシステム制御回路135は、レンズシステム制御回路141によって絞りを開放の絞り値まで駆動する(ステップS306)。
設定した時間の経過後(ステップS307でYES)、ステップS309において撮像素子106から電荷信号を読み出す。そして、A/D変換器130、RGB画像処理回路131、YC処理回路132、記録処理回路133を介してメモリの所定領域への撮影画像データを書き込む(ステップS309)。
一連の処理を終えると、撮影処理を終了する。
上記の通り、本第1の実施形態によれば、撮像素子106のリセット走査によりフォーカルプレーンシャッタ113の先幕を不要とすることができるため、シャッタを小型化することができると共に、先幕を駆動する必要が無くなる。このため、シャッターレリーズラグを短縮することが可能になる。更に、シャッタ助走領域に配置された2つのフォトリフレクタ51及び52によりフォーカルプレーンシャッタ113の後幕の走行状態を検出する。これにより、露光が開始される前の段階で、走行状態の検出結果を即座に撮像素子106のリセット走査に反映させることが可能となり、シャッタ露光秒時の高精度なシャッタ制御を実現することが可能となる。
なお、本第1の実施形態では、2つのフォトリフレクタ51及び52を用いる場合について説明したが、シャッタ助走領域への配置が可能であれば、3つ以上のフォトリフレクタを用いるようにしても良いことは言うまでもない。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本第2の実施形態では、フォーカルプレーンシャッタ113として、上記第1の実施形態と異なる構成のもの用いる。図20〜図22は、本発明の第2の実施形態におけるフォーカルプレーンシャッタ113の構成を示す図である。
図20は本発明の第2の実施形態のフォーカルプレーンシャッタ113において、シャッタ地板1から撮影レンズユニット102側の構成を示す模式的平面図で、シャッタ助走区間の走行開始状態を表す。図21及び図22は特に後羽根の構成を示す平面図であって、シャッタ地板1より後ろ側の構成を示す。図21はシャッタ走行開始前の状態、図22はシャッタ走行完了後の状態を示している。なお、図20〜図22において、第1の実施形態における図4〜図9と同じ構成には同じ参照番号を付し、説明を省略する。以下、第1の実施形態と異なる箇所のみを説明する。
図20において、210fは後羽根スリット形成羽根10のカシメダボ16aで第1のアーム14と連結された根元近傍上部に設けられた突出部である。210hは突出部210fに設けられた被検出用穴で、シャッタ(後幕)走行完了時、シャッタ開口1a、40a内に入り込むが、図22に示すように遮光性や運動機能上問題ない場所に設けられている。
また、図21及び図22において、210eは、フォトリフレクタ51で実際にシャッタ(後幕)の過時点として検出される被検出用穴端部である。
上述した第1の実施形態では、後羽根スリット形成端10aの動きを2個のフォトリフレクタ51、52を近接して並べる配置で検出していたが、狭いスペースへの配置や実装等設計上の制約があった。これに対し、上記シャッタ構成を有する本第2の実施形態では、フォトリフレクタ51を上方向へ大きくずらして配置し、設計の自由度を向上させた。
なお、フォトリフレクタ51とフォトリフレクタ52がシャッタ(後幕)を検知する位置と時間の関係は、第1の実施形態と同様である。
上記の通り、本第2の実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様の効果に加え、設計の自由度を向上させることができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
本第3の実施形態では、フォーカルプレーンシャッタ113として、上記第1及び第2の実施形態と異なる構成のもの用いる。図23〜図25は、本発明の第3の実施形態におけるフォーカルプレーンシャッタ113の構成を示す図である。
図23は本発明の第3の実施形態のフォーカルプレーンシャッタ113において、シャッタ地板1から撮影レンズユニット102側の構成を示す模式的平面図で、シャッタ助走区間の走行開始状態を表す。図24及び図25は特に後羽根の構成を示す平面図であって、シャッタ地板1より後ろ側の構成を示す。図24はシャッタ走行開始前の状態、図25はシャッタ走行完了後の状態を示している。なお、図23〜図25において、第1の実施形態における図4〜図9と同じ構成には同じ参照番号を付し、説明を省略する。以下、第1の実施形態と異なる箇所のみを説明する。
図23において、310fは後羽根スリット形成羽根10の先端上部に設けられた突出部である。310hは突出部310fに設けられた被検出用穴で、シャッタ(後幕)走行のいかなる状態でも、シャッタ露光開口1a、40a内には入り込まない場所に設けられている。従って遮光性には何ら問題ない。また、運動機能上も問題ない場所に設けられている。
また、図24及び図25において、310eはフォトリフレクタ51で実際にシャッタ(後幕)の過時点として検出される被検出用穴端部である。
上述した第1の実施形態では、後羽根スリット形成端10aの動きを2個のフォトリフレクタ51、52を近接して並べる配置で検出していたが、狭いスペースへの配置や実装等設計上の制約があった。これに対し、上記シャッタ構成を有する本第3の実施形態では、フォトリフレクタ51を羽根先端上方向へ大きくずらして配置することで、設計の自由度を向上させた。
なお、フォトリフレクタ51とフォトリフレクタ52がシャッタ(後幕)を検知する位置と時間の関係は、第1の実施形態と同様である。
上記の通り、本第3の実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様の効果に加え、設計の自由度を向上させることができる。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図26及び図27は、本第4の実施形態におけるフォーカルプレーンシャッタ113において、シャッタ地板1から撮影レンズユニット102側の構成を示す模式的平面図であり、シャッタ走行中の状態を示す。なお、図26及び図27において、第1の実施形態における図4〜図9と同じ構成には同じ参照番号を付し、説明を省略する。本第4の実施形態では、フォトリフレクタ51、52に、更に3つのフォトリフレクタ453、454、455を加えた構成を持つ。フォトリフレクタ453、454、455は投光部と受光部とをそれぞれ有し、シャッタ露光開口1aの脇、シャッタ駆動機構側のシャッタ地板1上に設けられる。
また、不図示であるが、カバー板40上の、フォトリフレクタ453〜455と対向する位置には反射板がそれぞれ設けられている。フォトリフレクタ453〜455の各投光部からの射出光が反射板でそれぞれ反射されてフォトリフレクタ453〜455の各受光部で受光され、電気信号に変換されるように構成されている。上述したように、後羽根群10〜13は反射板と比べて反射率が極めて低く、後羽根群10〜13が反射板を覆っているときには、投光部からの光がシャッタ後羽根で遮られるため、受光部の受光量は少ない。したがって、受光部から出力される電気信号の急激な変化を検出することで、後羽根スリット形成端10aが反射板の位置を通過したことを検知することができる。
上述した第1の実施形態では、後羽根スリット形成端10aを検出するための2個のフォトリフレクタを近接して並べる配置にしていたが、狭いスペースへの配置や実装等設計上の制約があった。これに対し、本第4の実施形態では、露光区間に更に設けられた3組のフォトリフレクタ453〜455は助走区間の2組のフォトリフレクタ51、52ほどの制約がない。よって、後羽根の走行方向と直交する長手方向(図26、図27の横方向)にずらさずに配置できる。
本第4の実施形態においては、フォトリフレクタ453を露光開始位置側に、フォトリフレクタ454をシャッタ露光開口1aのシャッタ走行方向距離の中間よりも前半位置に配置する。これにより、できるだけシャッタ先幕の役目をする撮像素子のリセット走査へのフィードバックが早めにできるようにするとともに、500分の1秒や250分の1秒の中速秒時にも補正制御可能とする。そして、フォトリフレクタ455はシャッタ露光開口1aのシャッタ走行方向距離の中間よりも後半位置に、少なくともシャッタ露光開口終端から最高速露光秒時を補正できるよう配置される。いずれのフォトリフレクタもシャッタ後羽根スリット形成端10aを検出可能な位置に設けられる。このように配置することで、最も精度の要求される最高速露光秒時を安定して高精度に制御できるようにする。勿論、上記以外の位置に配置しても良いことは言うまでもない。
図28は、図26及び図27に示す構成を有するフォーカルプレーンシャッタ113において、静止画撮影時のシャッタ制御を説明する図であり、縦軸は撮像素子106の撮像面の垂直方向の位置を示し、横軸は時間を表している。図11とは、フォトリフレクタ453〜455によりシャッタ(後幕)が検出された時点td3、td4、td5が追加されているところが異なるが、それ以外は図11と同様であるため、ここでは詳細説明を省略する。
図29及び図30は本第4の実施形態におけるシャッタ制御処理を示すフローチャートである。なお、図29及び図30において、図14を参照して第1の実施形態で説明した処理と同様の処理には同じ参照番号を付し、説明を適宜省略する。図14の処理と異なる点は以下の通りである。すなわち、新たに加えられたフォトリフレクタ453〜455により検出される後羽根スリット形成端10aの通過時点td3、td4、td5に応じて、シャッタ(後幕)の走行状態を判断し、判断に応じてリセット走査を調整制御することである。
まず、図29のステップS401において、シャッタ113の制御が開始されると、以下の処理が行われる。まず、露出時間Texとシャッタ(後幕)のレリーズ信号が出されてから後羽根スリット形成端10aがシャッタ露光開口1aに顔を出すまでの遅れ時間Tdsの大小関係を比較する。前述した一般的な高速秒時に対応したフォーカルプレーンシャッタを適用した一例では遅れ時間Tdsが3msなので、露出時間Texの方がそれよりも長いか同じときは、ステップS502へ進む。
ステップS502では、設定された露出時間Texが、シャッタ(後幕)の走行にかかる時間Tarn(250分の1秒)よりも長いかどうかを判断する。つまり、シャッタ(後幕)がシャッタ露光開口1aに到達してから、シャッタ露光開口1aの遮蔽を終了するのにかかる時間Tarn(250分の1秒)よりも長いかどうかを判断する。長いか同じときには、ステップ402へ進む。
以下、図14と同様の方法にて、ステップS402〜S404の処理を行う。これは、Tex≧Tarnの場合、シャッタ(後幕)が走行を開始する時点でシャッタ先幕の役目をする撮像素子は、既に画面全体のリセット走査が終了している。そのため、シャッタ(後幕)の運動を検出して、走行特性曲線を推定してもシャッタ先幕の役目をする撮像素子へのフィードバックはできない。また、250分の1秒より長秒時のときは露光秒時が充分長いので、実際のシャッタ(後幕)の走行特性と撮像素子のリセット走査が微妙に異なっていても、露出誤差への寄与率が小さい。従って、撮像素子のリセット走査は、予め記憶された所定のシャッタ走行特性に合わせたもので構わない。ステップS502ではTex≧Tarnを判断したが、フォトリフレクタ455がシャッタ(後幕)を最後に検出するのはシャッタ露光開口1aの底辺よりも手前であるので、実際にはTarnよりも短く設定することが好ましい。
一方、ステップS502で、TexよりもTarnの方が大きいときには、ステップ506へ進む。
ステップS506では、予め記憶された所定のシャッタ走行特性に合わせたリセット走査を開始する。ステップS507では、露出時間Texから遅れ時間Tdsを引いた時間だけ待機する。
ステップS508では、シャッタ(後幕)のレリーズ信号を出す。ステップS509では、助走区間でのシャッタ(後幕)の検出を行い、シャッタ先幕の役目をする撮像素子106のリセット走査へのフィードバックを行う。
ここで、ステップS509で行われる処理を図31のフローチャートを参照して説明する。
ステップS601では、後羽根スリット形成端10aがフォトリフレクタ51を通過した時点(td1)を検出して記憶する。ステップS602では、フォトリフレクタ51の通過時点から、既に行われている撮像素子106のリセット走査に修正が必要かを判断する。つまり、予め記憶されていた走行特性曲線に応じた平行リンク系の運動方程式(多項式)によるフォトリフレクタ51の通過予定時間と、実際のフォトリフレクタ51の通過時間を比較し、その結果が所定値より大きければ修正を行う。修正が必要な場合はステップS603へ進み、修正が不要な場合はS604へ進む。ステップS603では、予め記憶されていた走行特性曲線に応じた平行リンク系の運動方程式と、フォトリフレクタ51の通過時間とのずれを解消するように途中から補正を加えたリセット走査を行う。
ステップS604では、後羽根スリット形成端10aがフォトリフレクタ52を通過した時点(td2)を検出して記憶する。ステップS605では、フォトリフレクタ52の通過時点から、既に行われている撮像素子106のリセット走査に修正が必要かを判断する。ここでは、最新の平行リンク系の運動方程式(多項式)によるフォトリフレクタ52の通過予定時間と、実際のフォトリフレクタ52の通過時間を比較し、その結果が所定値より大きければ修正を行う。修正が必要な場合はステップS606へ進み、最新の平行リンク系の運動方程式と、フォトリフレクタ51の通過時間とのずれを解消するように途中から補正を加えたリセット走査を行う。最新の平行リンク系の運動方程式とは、予め記憶されていた所定の走行特性曲線に応じた平行リンク系の運動方程式に補正が施されていれば、最新の補正が施された平行リンク系の運動方程式を指す。平行リンク系の運動方程式に補正が施されていなければ、予め記憶されていた所定の走行特性曲線に応じた平行リンク系の運動方程式を指す。ステップS606及び、修正が不要な場合は図29のステップS510へ進む。
ステップS510では、後羽根スリット形成端10aが、露光区間にあるフォトリフレクタ453を通過した時点(td3)を検出して記憶する。ステップS511では、フォトリフレクタ453の通過時点から、ステップS605と同様に、既に行われている撮像素子106のリセット走査に修正が必要かを判断する。修正が必要な場合はステップS512へ進み、最新の平行リンク系の運動方程式と、フォトリフレクタ453の通過時間とのずれを解消するように途中から補正を加えたリセット走査を行う。
なお、フォトリフレクタ454を後羽根スリット形成端10aが通過した時点(Td4)では、シャッタ先幕の役目をする撮像素子106のリセット走査は終了している。そのため、フォトリフレクタ454以降は撮像素子106のリセット走査へのフィードバックはできない。
一方、ステップS401で、遅れ時間Tdsの方が大きいときは、ステップS405へ進む。ステップS405で、設定された露出時間Texが、遅れ時間Tdsから時間Td1を引いた時間より長いか同じときは、ステップS408まで図14と同様の処理を行う。ステップS408の処理後、ステップS517に進む。ステップS517では、ステップS509と同様に、図31に示すようにして助走区間でのシャッタ(後幕)の検出を行い、シャッタ先幕の役目をする撮像素子106のリセット走査へのフィードバックを行う。
次に、ステップS518では、露光区間にあるフォトリフレクタ453を後羽根スリット形成端10aが通過した時点(Td3)を検出し、記憶する。ステップS519では、フォトリフレクタ453の通過時点から、ステップS605と同様の方法で、既に行われている撮像素子106のリセット走査に修正が必要かを判断する。修正が必要な場合はステップS520で、最新の平行リンク系の運動方程式と、フォトリフレクタ453の通過時間とのずれを解消するように途中から修正を加えたリセット走査を行ってからステップS521に進む。修正が必要無い場合は、そのままステップS521へ進む。
ステップS521では、露光区間にあるフォトリフレクタ454を後羽根スリット形成端10aが通過した時点(Td4)を検出し、記憶する。ステップS522では、ステップS605と同様の方法で、フォトリフレクタ454の通過時点から、既に行われている撮像素子106のリセット走査に修正が必要かを判断する。修正が必要な場合はステップS523へ進んで、最新の平行リンク系の運動方程式と、フォトリフレクタ454の通過時間とのずれを解消するように途中から修正を加えたリセット走査を行う。
なお、フォトリフレクタ455を後羽根スリット形成端10aが通過した時点(Td5)では、シャッタ先幕の役目をする撮像素子106のリセット走査は終了している。よって、フォトリフレクタ455では撮像素子106のリセット走査へのフィードバックができない。
ステップS405で、設定された露出時間Texが遅れ時間Tdsから時間Td1を引いた時間より短いと判断されると、図30のステップS409へ進む。遅れ時間Tdsから時間Td2を引いた時間より長いか同じときは、ステップS418まで図14と同様の処理を行い、ステップS534に進む。更に、ステップS409でTexが遅れ時間Tdsから時間Td2を引いた時間より短いと判断されると、ステップS419へ進み、ステップS424まで図14と同様の処理を行った後、ステップS534に進む。
ステップS534では、露光区間にあるフォトリフレクタ453を後羽根スリット形成端10aが通過した時点(Td3)を検出し、記憶する。ステップS535では、ステップS605と同様の方法で、フォトリフレクタ453の通過時点から、既に行われている撮像素子106のリセット走査に修正が必要かを判断する。修正が必要な場合はステップS536で、最新の平行リンク系の運動方程式と、フォトリフレクタ453の通過時間とのずれを解消するように途中から修正を加えたリセット走査を行ってからステップS537に進む。修正が必要無い場合は、そのままステップS537へ進む。
ステップS537では、露光区間にあるフォトリフレクタ454を後羽根スリット形成端10aが通過した時点(Td4)を検出し、記憶する。ステップS538では、ステップS605と同様の方法で、フォトリフレクタ454の通過時点から、既に行われている撮像素子106のリセット走査に修正が必要かを判断する。修正が必要な場合はステップS539で、最新の平行リンク系の運動方程式と、フォトリフレクタ454の通過時間とのずれを解消するように途中から修正を加えたリセット走査を行ってからステップS540に進む。修正が必要無い場合は、そのままステップS540に進む。
ステップS540では、露光区間にあるフォトリフレクタ455を後羽根スリット形成端10aが通過した時点(Td5)を検出し、記憶する。ステップS541では、ステップS605と同様の方法で、フォトリフレクタ455の通過時点から、既に行われている撮像素子106のリセット走査に修正が必要かを判断する。修正が必要な場合はステップS542で、最新の平行リンク系の運動方程式と、フォトリフレクタ455の通過時間とのずれを解消するように途中から補正を加えたリセット走査を行う。
上述したシャッタ制御処理は、第1の実施形態で説明した図19のステップS302において、図14に変えて行われる。
上記の通り、本第4の実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様の効果に加え、更に精度の高いシャッタ制御を行うことが可能になる。
なお、上記第4の実施形態では、フォトリフレクタ51、52に加えて3つのフォトリフレクタ453〜455を配置したが、追加するフォトリフレクタの数は3組に限るものではなく、1組以上あれば良い。
<他の実施形態>
なお、本実施形態では後羽根の走行を検出する手段をフォトリフレクタとして示したが、これに限るものではない。フォトインタラプタや、投光系をラインセンサーやエリアセンサで受光する構成、或いは後羽根スリット形成端に部分的に磁力を持たせ、半導体MR素子等の磁気センサで検出する構成など、様々な検出手段を用いることが可能である。
更に、後羽根スリット形成羽根10や後羽根覆い羽根11〜13を連結するアーム14、15や更にアームに連結される後羽根駆動部材29の動きを検出するようにしても構わない。
また、本発明の目的は、以下の様にして達成することも可能である。まず、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。また、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。ここでプログラムコードを記憶する記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、不揮発性のメモリカード、CD−ROM、CD−R、DVD、光ディスク、光磁気ディスクなどが考えられる。また、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)やWAN(ワイド・エリア・ネットワーク)などのコンピュータネットワークを、プログラムコードを供給するために用いることができる。
さらに、本発明の目的は、以下の様にして達成することも可能である。まず、記憶媒体から読み出されたプログラムコードを、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込む。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行う。この処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も、本発明に含まれることは言うまでもない。
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した図14または図29〜図31に示すフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。