以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<1.構成概要>
図1および図2は、本発明の実施形態に係る撮像装置1の外観構成を示す図である。ここで、図1は、撮像装置1の正面外観図であり、図2は、撮像装置1の背面外観図である。この撮像装置1は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルカメラとして構成されている。
図1に示すように、撮像装置1は、カメラ本体部(カメラボディ)2を備えている。このカメラ本体部2に対して、交換式の撮影レンズユニット(交換レンズ)3が着脱可能である。
撮影レンズユニット3は、主として、鏡胴3cならびに鏡胴3cの内部に設けられるレンズ群3e(図3参照)及び絞り等によって構成される。レンズ群3e(撮影光学系)には、光軸方向に移動することによって焦点位置を変更するフォーカスレンズ等が含まれている。
カメラ本体部2は、撮影レンズユニット3が装着される円環状のマウント部Mtを正面略中央に備えている。
また、カメラ本体部2は、正面左端部に撮影者が把持するためのグリップ部14を備えている。グリップ部14の上面には露光開始を指示するためのレリーズボタン11が設けられている。グリップ部14の内部には電池収納室とカード収納室とが設けられている。電池収納室にはカメラの電源として、例えばリチウムイオン電池などの電池が収納されており、カード収納室には撮影画像の画像データを記録するためのメモリカード90(図3参照)が着脱可能に収納されるようになっている。
レリーズボタン11は、半押し状態(S1状態)と全押し状態(S2状態)との2つの状態を検出可能な2段階検出ボタンである。レリーズボタン11が半押しされS1状態になると、被写体に関する記録用静止画像(本撮影画像)を取得するための準備動作(例えば、AF制御動作等)が行われる。また、レリーズボタン11がさらに押し込まれてS2状態になると、当該本撮影画像の撮影動作が行われる。詳細には、撮像素子5(後述)を用いて被写体像(被写体の光像)に関する露光動作が行われ、その露光動作によって得られた画像信号に所定の画像処理を施す一連の動作が実行される。このように、レリーズボタン11が半押し状態S1にされると、撮像装置1は、撮影準備指令が付与されたものと判定して、撮影準備動作を開始する。また、レリーズボタン11が全押し状態S2にされると、撮像装置1は、撮影指令が付与されたものと判定して、撮影動作を開始する。
図2において、カメラ本体部2の背面略中央上部には、ファインダ窓(接眼窓)10が設けられている。撮影者は、ファインダ窓10を覗くことによって、撮影レンズユニット3から導かれた被写体の光像を視認して構図決定を行うことができる。すなわち、光学ファインダを用いて構図決めを行うことが可能である。
図2において、カメラ本体部2の背面の略中央には、背面モニタ12が設けられている。背面モニタ12は、例えばカラー液晶ディスプレイ(LCD)として構成される。
背面モニタ12は、撮影条件等を設定するためのメニュー画面を表示すること、および再生モードにおいてメモリカード90に記録された撮影画像を再生表示することなどが可能である。
<2.撮像装置の機能ブロック>
つぎに、図3を参照しながら、撮像装置1の機能の概要について説明する。図3は、撮像装置1の機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように、撮像装置1は、AFモジュール20、全体制御部101、フォーカス駆動制御部121、ミラー駆動制御部122、シャッタ駆動制御部123、およびデジタル信号処理回路53等を備える。
AFモジュール20は、ミラー機構6を介して進入してきた光を用いて、位相差方式の合焦状態検出手法により被写体の合焦状態を検出することが可能である。全体制御部101は、AFモジュール20によって検出される被写体の合焦状態に応じて、フォーカス駆動制御部121を用いてAF動作を実現する。特に、位相差方式のAFモジュール20を用いることによれば、非常に高速に合焦レンズ位置を求めることができる。
フォーカス駆動制御部121は、全体制御部101と協働して合焦制御動作を実現する。具体的には、フォーカス駆動制御部121は、全体制御部101から入力される信号に基づいて制御信号を生成し、撮影レンズユニット3のレンズ群3eに含まれるフォーカスレンズを移動する。また、フォーカスレンズの位置は、撮影レンズユニット3のレンズ位置検出部3dによって検出され、フォーカスレンズの位置を示すデータが全体制御部101に送られる。このように、フォーカス駆動制御部121は、フォーカスレンズの光軸方向の動き等を制御する。
また、ミラー駆動制御部122は、ミラー機構6が光路から退避した状態(ミラーアップ状態)とミラー機構6が光路を遮断した状態(ミラーダウン状態)との状態切替を制御する。ミラー駆動制御部122は、全体制御部101から入力される信号に基づいて制御信号を生成することによって、ミラーアップ状態とミラーダウン状態とを切り替える。
シャッタ駆動制御部123は、全体制御部101から入力される信号に基づいて制御信号を生成することによって、シャッタ装置7の動作(具体的には、「後幕」の動作)を制御する。
シャッタ装置7は、撮像素子5の被写体側において撮像素子5の近接位置に配置される。シャッタ装置7は、いわゆるフォーカル・プレーン・シャッタである。このシャッタ装置7は、撮影レンズユニット3の光軸に対して略垂直となるように配置される。詳細には、シャッタ装置7は、当該シャッタ装置7の開口部OP(後述)の中心位置が撮影レンズユニット3の光軸に一致するように配置される。このシャッタ装置7は、後述するように、機械的な後幕を備えている。
また、シャッタ装置7の背面側には、撮像素子5が撮影レンズユニット3の光軸に対して略垂直に配置される。
撮像素子(ここではCMOSセンサ)5は、撮影レンズユニット3からの被写体の光像(被写体像)を光電変換作用により電気的信号に変換する受光素子であり、本撮影画像に係る画像信号(記録用の画像信号)を生成して取得する。
撮像素子5(図4も参照)は、全体制御部101からの駆動制御信号(蓄積開始信号および蓄積終了信号)に応答して、受光面に結像された被写体像の露光(光電変換による電荷蓄積)を行い、当該被写体像に係る画像信号を生成する。また、撮像素子5は、全体制御部101からの読出制御信号に応答して、当該画像信号を信号処理部51へ出力する。
撮像素子5で取得された画像信号に対して信号処理部51により所定のアナログ信号処理が施されると、当該アナログ信号処理後の画像信号はA/D変換回路52によってデジタル画像データ(画像データ)に変換される。この画像データは、デジタル信号処理回路53に入力される。
デジタル信号処理回路53は、A/D変換回路52から入力される画像データに対してデジタル信号処理を行い、撮像画像に係る画像データを生成する。デジタル信号処理回路53は、黒レベル補正回路、ホワイトバランス(WB)回路、γ補正回路等を備え、各種のデジタル画像処理を施す。なお、デジタル信号処理回路53によって処理された画像信号(画像データ)は、画像メモリ55に格納される。画像メモリ55は、生成された画像データを一時的に記憶するための、高速アクセス可能な画像メモリであり、複数フレーム分の画像データを記憶可能な容量を有する。
本撮影時には、画像メモリ55に一時記憶される画像データは、全体制御部101において適宜画像処理(圧縮処理等)が施された後、メモリカード90に記憶される。
全体制御部101は、AFモジュール20およびフォーカス駆動制御部121等と協動して、フォーカスレンズの位置を制御する合焦制御動作を行う。
全体制御部101は、マイクロコンピュータとして構成され、主にCPU、メモリ、及びROM(例えばEEPROM)等を備える。全体制御部101は、ROM内に格納されるプログラムを読み出し、当該プログラムをCPUで実行することによって、各種機能を実現する。
具体的には、全体制御部101は、特性記憶部111およびシャッタ制御部112等を備えている。
シャッタ制御部112は、シャッタ駆動制御部123と協働して、シャッタ装置7を制御する。シャッタ制御部112は、撮像素子5に対して露光開始信号(電荷のリセット信号)を送出することなどによって、撮像素子5の電子先幕の動作を制御する。また、シャッタ制御部112は、シャッタ駆動制御部123を介してシャッタ装置7の各種駆動部を駆動することによって、機械的な後幕の駆動を制御する。
特性記憶部111は、シャッタ装置7における機械的な後幕の走行特性を記憶する記憶部である。この特性記憶部111は、後幕のバネ88(後述)の経時劣化に伴う走行特性の変化が記憶されている。
シャッタ制御部112は、特性記憶部111に記憶されている走行特性データにも基づいて、電子先幕の走行動作を制御する。この制御動作については後に詳述する。
<3.シャッタ装置の構成>
図5は、シャッタ装置7の構成を示す概略図である。また、図6および図7は、シャッタ装置7の一部(図5の左側)を示す拡大図である。なお、図5〜図7においては、後幕の構成等が主に示されており、当該後幕の駆動機構80(次述)の構成等は省略されている。
この撮像装置1においては、先幕として、いわゆる「電子先幕」を利用する。例えば、図4に示すような撮像素子5における所定単位(例えば各水平ラインLi)ごとのリセット動作を所定方向に順次に実行していく動作が、電子先幕の「走行動作」に相当する。すなわち、撮像素子5内の複数の画素を所定方向において順次にリセットすることにより、電子的な先幕(電子先幕)が露光開始位置から露光終了位置へ向けて擬似的に走行する。換言すれば、撮像素子5における各画素の露光直前のリセットタイミングを撮像素子5における所定領域(例えば水平ライン)ごとにずらすことにより、電子先幕が擬似的に走行する。
詳細には、まず、水平ラインL1の画素のリセット動作が実行され、次に水平ラインL2の画素のリセット動作が実行される。同様に、水平ラインL3以降の画素のリセット動作が各ライン毎に順次に実行される。そして、最後に最終水平ラインLnの画素のリセット動作が実行される。このように、水平ラインL1から水平ラインLnに向けて、各水平ラインLiごとに各画素のリセット動作(詳細には、各画素に関する蓄積電荷のリセット動作)が順次に実行される動作が、電子先幕の走行動作として実行される。各画素においては、リセット動作後から露光動作(電荷蓄積)が開始される。
そして、「走行中の電子先幕」の先端位置を追いかけるように、機械的な後幕が露光開始位置から露光終了位置へ向けて走行することによって、後幕による遮光動作が実現され、微小期間における露光動作が実現される。このとき、撮像素子5内の或る画素に注目すると、当該撮像素子5における当該画素のリセット動作直後の時刻T1から、「後幕」が当該画素を覆って遮光する時刻T2までの期間TE(=T2−T1)にわたって、当該画素に関する露光動作が行われる。この期間TEの長さ(例えば、1/100秒)がシャッタスピードに対応する。
また、このシャッタ装置7は、先幕と後幕とのうち、機構的には後幕のみを備えており、機構的な先幕を備えていない。
図5に示すように、シャッタ装置7は、シャッタ地板71と、後羽根群73a,73b,73cと、アーム75a,75bとを備える。また、シャッタ装置7は、シャッタ地板71の裏側に、シャッタ地板71と略同形状の補助地板72(図10)をも備えている。両地板71,72は、所定の間隙を有する状態で対向して設けられる。
シャッタ地板71は、略中央に露光用の開口部OP(図7等も参照)を有している。同様に、補助地板72も、略中央に露光用の開口部OPを有している。シャッタ地板71の開口部OPと補助地板72の開口部OPとは、略同形状(略長方形形状)を有するとともに互いに対応する位置に設けられる。これらの開口部は、シャッタ装置7の組立状態では一体化してシャッタ装置7における露光用の開口部OPを形成する。
また、シャッタ地板71には、2つの円弧状の長孔71g,71h(図6参照)が設けられている。長孔71gは、後述する軸AX3(図11参照)を中心とする所定半径r1の円弧に沿って設けられており、長孔71hは、後述する軸AX1を中心とする所定半径r2の円弧に沿って設けられている。
シャッタ地板71と補助地板72との間には、後羽根群73a,73b,73cが設けられている。換言すれば、後羽根群73a,73b,73cは、シャッタ地板71の裏側に設けられている。後羽根群73a,73b,73cは、それぞれ、遮光性を有する薄板状部材である。これらの後羽根群73a,73b,73cは、「後幕」を構成する。なお、ここでは、3枚の後羽根群73a,73b,73cによって「後幕」が構成される場合を例示するが、これに限定されず、2枚以下或いは4枚以上の羽根によって後幕が構成されるようにしてもよい。
後羽根群73a,73b,73cは、いずれも、アーム75aに回転可能に結合されるとともに、アーム75bにも回転可能に結合される。アーム75aは軸AX5を中心に回動可能であり、アーム75bは軸AX6を中心に回動可能である。なお、ここでは軸AX6は軸AX1(後述)と同じ軸である。
図5および図6に示すように、アーム75aとアーム75bとが所定の位置に存在するときには、後羽根群73a,73b,73cで構成される後幕が開口部OPを閉鎖しており、後幕による「開口部OPの閉鎖状態」が実現される。一方、この状態から、アーム75bが軸AX6を中心に反時計回りに回転すると、アーム75aも軸AX5を中心に反時計回りに回転し、図7に示されるように、後羽根群73a,73b,73cで構成される後幕が開口部OPから退避する。すなわち、後幕による「開口部OPの開放状態」が実現される。また逆に、図7に示す状態から、アーム75bが軸AX6を中心に時計回りに回転すると、アーム75aも軸AX5を中心に時計回りに回転し、図6の「開口部OPの閉鎖状態」に移行する。
なお、図6における各後羽根群73a,73b,73cの位置を「露光終了位置」とも称し、図7における各後羽根群73a,73b,73cの位置を「露光開始位置」とも称する。「後幕」は、露光開始位置から露光終了位置へと走行した後には開口部OPを覆い(図6)、露光終了位置から露光開始位置へと走行した後には開口部OPを開放する(図7)。換言すれば、露光開始位置においては開口部OPが後幕によって覆われておらず開放されており、露光終了位置においては開口部OPが後幕によって覆われている。
また、上記のアーム75a,75bおよび後幕は、次述する駆動機構80によって駆動される。図8および図9は、それぞれ、駆動機構80の一部の構成部品81,83を示す図である。図10は、図11の平面図におけるI−I断面を示す断面図である。また、図11〜図13は、駆動機構80の一連の動作を示す平面図である。なお、図11〜図13においては、駆動機構80が主に示されており、後幕(後羽根群73a,73b,73c)等は省略されている。
図11に示すように、駆動機構80は、駆動部材81(図8)とチャージ部材83(図9)とを備える。
駆動部材81およびチャージ部材(セット部材とも称する)83は、シャッタ地板71の表(おもて)側(図5および図11等の紙面に対する手前側)に設けられる。
駆動部材81は、軸AX1を中心に回動することが可能な略板状の回転体である。シャッタ地板71に立設された突出部材71cと駆動部材81とはバネ88(図10参照)によって結合されており、当該バネ88は時計回りの付勢力を駆動部材81に対して付与している。
駆動部材81は、バネ88による付勢力を用いて、「後幕」を露光開始位置から露光終了位置へと走行させることが可能である。また特に、駆動部材81は「後幕」の走行開始前に反時計回りに回転され、バネ88の時計回りの付勢力がさらに増大される。この状態は、バネ88がオーバーチャージされた状態である、とも表現される。バネ88をオーバーチャージすることによれば、駆動部材81を非常に高速に回転移動し、後幕を非常に高速に移動することが可能である。
図10に示されるように、駆動部材81は、シャッタ地板71の上側に積層されて設けられる。詳細には、シャッタ地板71には、図10の上側に向けて略垂直に伸びる軸部材86が立設されており、駆動部材81の孔81hは軸部材86に嵌合(遊嵌)する。このような構成により、駆動部材81は、当該軸部材86(より詳細には軸部材86の中心軸AX1)を中心に回動することが可能である。
駆動部材81は、板部81pと軸部81uとを有している。軸部81uは、軸部材86に嵌合するように孔81hの周囲に設けられている。
この軸部81uには、上述のバネ(詳細にはトーションバネ)88が巻回されて設けられている。
また、図8に示すように、駆動部材81の板部81pは平面視において略扇形形状を有している。
また、板部81pは、略扇形形状の2つの半径部のうち、図8における下側の半径部において接触面81eを有している。この接触面81eは、後述するように、バネ88に関するオーバーチャージ動作時(後述)においてチャージ部材83の腕部83bに接触する。そして、チャージ部材83からの回転駆動力が腕部83bおよび接触面81eを介して伝達され、バネ88のオーバーチャージ動作が行われる。
さらに、板部81pは、略扇形形状の外周部付近において突出部81cを有している。この突出部81cは、板部81pの表(おもて)面からさらにおもて側(図8の紙面に対する手前側)に突出している。この突出部81cには鉄片部材81dが固定されている。また、図10における高さ方向において鉄片部材81dと同じ位置(すなわち同じ高さ)には、電磁石95が設けられている。駆動部材81が図13(後述)に示す回転角度を有するときには、電磁石95に対向する鉄片部材81dが当該電磁石95によって吸着され得る。そのため、後述するように、電磁石95によって鉄片部材81dを吸着することによっても、駆動部材81の回転移動は抑止され得る(図13参照)。
また、板部81pは、略扇形形状の外周部側においてリンクピン81fを有している。このリンクピン81fは、駆動部材81の裏面からさらに奥側(裏側)に突出して設けられる。特に、リンクピン81fは、図10に示すように、シャッタ地板71の長孔71h、およびアーム75bに設けられた孔75h(図11も参照)を貫通して設けられる。また、円弧状の長孔71hの円弧方向(長手方向)においては、孔75hの径とリンクピン81fの径とはほぼ同一である。そのため、駆動部材81の軸AX1回りの回動動作に伴ってリンクピン81fが移動すると、アーム75bが軸AX6(=AX1)を中心に回動し、後羽根群73a,73b,73cの移動動作、すなわち「後幕」の開閉動作が実現される。このように、リンクピン81fに連動して「後幕」が動作することによって、図7の閉鎖状態と図8の開放状態とが実現される。
図9に示すように、チャージ部材83は、軸AX3を中心に回動することが可能な回転体である。詳細には、シャッタ地板71には、図11に示すように、紙面手前側に向けて略垂直に伸びる軸部材87が、軸部材86とは異なる平面位置に立設されている。また、チャージ部材83の孔83h(図9)は当該軸部材87に嵌合(遊嵌)する。このような構成により、チャージ部材83は、当該軸部材87(より詳細には軸部材87の中心軸AX3)を中心に回動することが可能である。
また、チャージ部材83は、凹部83v(図9)を有している。この凹部83vには、所定の駆動源(モータ等)85d(不図示)に機械的に接続されたリンク部材84の先端部84pが係合する。
リンク部材84の先端部84pが図9の上下方向(図9の両矢印方向)に移動すると、チャージ部材83が軸AX3回りに回動して、チャージ部材83の回転角度が変更される。
また、チャージ部材83は、軸AX3を挟んで凹部83vの略反対側に外側に突出した腕部83bを有している。略板状のチャージ部材83は、図10における上下方向において、駆動部材81と同じ位置(同じ高さ)に配置されており、腕部83bも駆動部材81と同じ高さに配置されている。そのため、後述するように、チャージ部材83がリンク部材84の先端部84pからの力を受けて軸AX3を中心に時計回りに回転すると、チャージ部材83の腕部83bは駆動部材81の接触面81eを押して、駆動部材81を反時計回りに回転移動させる。これにより、バネ88の時計回りの付勢力がさらに増大され、バネ88がオーバーチャージされる。腕部83bは、接触面81eを押し動かす「押動部」であるとも表現され、接触面81eは、腕部83bによって押し動かされる「被押動部(被押動面)」であるとも表現される。
さらに、チャージ部材83は、ピン83eを有している。ピン83eは、チャージ部材83の軸AX3から約距離r2離れた位置において、当該チャージ部材83の裏面からさらに奥側(裏側)に突出して設けられる。このピン83eは、シャッタ地板71の長孔71gに挿入して設けられる。
チャージ部材83には、不図示のバネ93によって反時計回りに回転するための付勢力が付与されている。図11に示すように、ピン83eが長孔71gの下端に当接することによって、チャージ部材83の反時計回りの回転が抑止され、チャージ部材83が所定位置に停止する。
<4.シャッタ装置の動作>
つぎに図11〜図13等を参照しながら、シャッタ装置7の動作について説明する。
図11は、或る本撮影画像に関する露光動作の完了直後の状態STaを示している。図11においては、後幕が露光終了位置に存在し、後幕が開口部OPを覆っている(閉鎖状態(図6参照))。一方、図12および図13においては、後幕が露光開始位置に存在し、後幕が開口部OPから退避している(開放状態(図7参照))。図12は、セット状態STs(後述)を示し、図13は次の本撮影画像に係る露光動作の開始直前の状態STbを示している。
図11に示すように、或る露光動作が完了した直後の状態STaにおいては、バネ88の付勢力によって駆動部材81が軸AX1を中心に時計回りに付勢されており、駆動部材81のリンクピン81fが長孔71hの下端に当接して停止する。そのため、図11に示すような状態で各構成部品81,83が停止する。なお、リンクピン81fが長孔71hの下端に衝突する際の衝撃を和らげるため、長孔71hの下端には緩衝材を設けることが好ましい。
また、図11においては、ピン83eが長孔71gの下端に当接してチャージ部材83の反時計回りの回転が抑止され、チャージ部材83が所定位置に停止している。なお、ピン83eが長孔71gの下端に衝突する際の衝撃を和らげるため、長孔71gの下端には緩衝材を設けることが好ましい。
次に、図11の状態STaから図12の状態STsへと遷移する動作について説明する。
まず、駆動源85dによってリンク部材84の先端部84pが図11の下向きに移動し、チャージ部材83が軸AX3を中心に時計回りに回転移動される。このとき、腕部83bが接触面81eを押し、駆動部材81に押圧力が伝達される。そのため、接触面81eに伝達された押圧力によって、駆動部材81が軸AX1を中心に反時計回りに回転する。
そして、チャージ部材83が図12の状態STsになるまで軸AX3を中心に時計回りに所定角度回転すると、駆動部材81は軸AX1を中心に反時計回りに所定角度回転し、腕部83bによって接触面81eが支持された状態で停止する。これにより、バネ88の時計回りの付勢力をさらに増大させること、換言すれば、バネ88の蓄積エネルギーをさらに増大させることができる。すなわちバネエネルギーをチャージすることができる。この図12の状態STsにおいては、バネ88による付勢力が図11の状態STaに比べてさらに増大されているため、バネ88がオーバーチャージされている、とも表現される。このようにして、バネ88のオーバーチャージ動作が実行される。
また、駆動部材81の回転動作に応じて、リンクピン81fが円弧状の長孔71hに沿って移動すると、アーム75bが軸AX6(=AX1)を中心に反時計回りに回動する。これにより、後羽根群73a,73b,73cが露光開始位置(換言すれば、開口部OPの開放位置)にまで移動する。すなわち「後幕」の開放動作が実現される(図7および図12参照)。
また、このとき、チャージ部材83の腕部83bは駆動部材81の接触面81eに接触しており、駆動部材81が腕部83bによって支持される。このようにして、駆動部材81の回転移動動作が抑止される。
以上のように、状態STsから状態STsへの遷移動作が行われる。これにより、バネ88のオーバーチャージ状態が形成されるとともに、後幕が露光開始位置に移動され、後幕による開口部の開放状態が形成される。
次に、図12の状態(第2のセット状態)STsから図13の状態(露光開始直前の状態)STbへと遷移する動作について説明する。
図12の状態STsにおいてレリーズボタン11がS2状態にまで押下されると、電磁石95(図13参照)への通電が開始される。すなわち、撮影指令の入力に応じて、電磁石95への通電が開始される。電磁石95は、駆動部材81の鉄片部材81dに対向する位置に設けられている。この電磁石95への通電によって、当該鉄片部材81dが電磁石95に吸着され、駆動部材81の時計回りの回動動作が抑止される。
その後、リンク部材84の先端部84pが上向きに駆動されると、チャージ部材83がバネ93の付勢力によって軸AX3を中心に反時計回りに回動する。この回動動作に応じて、チャージ部材83の腕部83bは駆動部材81の接触面81eとの接触を解消し、チャージ部材83は、駆動部材81との接触を回避する回避位置(退避位置ないし基準位置とも称する)(図13参照)へと移動する。なお、この状態は、チャージ部材83による駆動部材81の係止状態が解除された状態であるため、「係止解除状態」とも称される。
以上のようにして、図13の状態STbへの遷移が終了する。図13の状態は、露光開始直前の状態である。
図13の状態STbへの遷移終了後において、まず電子先幕が走行する。より詳細には、例えば図4に示すような撮像素子5における各水平ラインLiごとのリセット動作が、所定方向に順次に実行される。これにより、電子先幕が露光開始位置から露光終了位置へ向けて、図4の下向きに(擬似的に)走行する。
さらに、電子先幕が走行した後に、所定のタイミングで電磁石95への通電が停止される。この通電停止に応じて、電磁石95の吸着力が作用しなくなった駆動部材81は、バネ88による付勢力によって、軸AX1を中心に時計回りに回転する。このとき、バネ88はオーバーチャージされているため、駆動部材81は非常に高速に移動することが可能である。この駆動部材81の移動動作に伴って、後幕が露光開始位置から露光終了位置へ向けて、図4の下向きに(機械的に)走行する。
具体的には、駆動部材81の時計回りの移動動作に伴ってリンクピン81fが長孔71hに沿って下向きに移動する。当該リンクピン81fは当該長孔71hの下端部にまで移動すると停止する(図11参照)。このリンクピン81fの移動に伴って、アーム75bが軸AX6(=AX1)を中心に時計回りに回動し、後羽根群73a,73b,73cが露光終了位置(換言すれば、開口部OPの閉鎖位置)にまで移動する。これにより、図11の状態STaに戻り、「後幕」の閉鎖動作が実現される。
このように、電子先幕が走行を開始した後に、所定のタイミングで電磁石95への通電が停止されることによって、さらに後幕(詳細にはメカニカル後幕(メカ後幕とも略称する))が走行を開始する。このようにして、いわゆる「電子先幕」および「メカ後幕」によるシャッタ動作が実行され、撮像素子5を所定期間TEにわたって露光する露光動作を実現することが可能である。
以上のようにして、図13の露光開始直前の状態STbから図11の露光終了直後の状態STaへの遷移動作が実現される。
<5.電子先幕の制御動作>
<5−1.高速シャッタ>
つぎに、電子先幕の制御動作について説明する。この実施形態に係る撮像装置1は、シャッタスピードが比較的低速である場合とシャッタスピードが比較的高速である場合とで、若干異なる制御動作を実行する。以下では、シャッタスピードが所定の閾値よりも高速である場合(例えば、シャッタスピードが1/500秒である場合)について先ず説明する。
図14は、電子先幕の走行状態とメカ後幕の走行状態とを示す図である。横軸は時間tを示し、縦軸は、走行する幕の先端位置を示している。曲線CA1は、電子先幕の走行状態を示しており、曲線CB1,CB2,CB3は、メカ後幕の走行状態を示している。
曲線CB1は、シャッタ装置7の初期状態(具体的には、バネ88の伸縮回数Nが非常に少ないとき(N=N1))におけるメカ後幕の走行曲線を示している。図13の状態STbにおいて電磁石95への通電が停止されると、駆動部材81が回転して後羽根群73a,73b,73c(後幕)が露光開始位置P1から露光終了位置P2へ向けて移動を開始する。このとき、後幕の先端部は、曲線CB1に示すような位置変化曲線にしたがって移動する。具体的には、後幕の先端部は露光開始位置P1近傍では非常に低速であり、その後、バネ88の付勢力による加速度が作用して当該先端部の速度が徐々に上昇する。そして、露光終了位置P2を通過するときには当該先端部は非常に高速になっている。
このとき、電子先幕の先端部が曲線CA1に従って走行するように、撮像素子5における各水平ラインLiのリセット動作が適時に行われる。これによれば、全ての水平ラインLiに属する画素のそれぞれにおいて、所定の露光期間TE(=TE1)にわたる露光動作が実現される。
ところで、後幕が走行動作(開閉動作)を繰り返し、バネ88が伸縮動作を繰り返すと、バネ88の付勢力が低下する。そのため、後幕の走行速度が低下する。例えば、曲線CB2は、回数N2(例えば3万回)走行後における後幕の走行曲線を示している。また、曲線CB3は、回数N3(例えば10万回)(N3>N2)走行後における後幕の走行曲線を示している。このように、後幕の走行特性は、後幕の走行回数に応じて変化する。具体的には、後幕の走行加速度は後幕の走行回数の増大に応じて低減し、後幕の走行速度も後幕の走行回数の増大に応じて低減する。
仮に、後幕が曲線CB2に沿って移動するときにも、上記と同様に電子先幕を曲線CA1に沿うように走行させるものとすると、次のような問題が生じる。
具体的には、図14の曲線CB2に示すように、露光終了位置P2近傍の水平ライン(例えばLn)においては、バネ88の付勢力の低下に起因して、後幕の到達時刻が本来の到達時刻よりも遅れる。このとき、電子先幕を曲線CA1に沿って走行させると、当該水平ライン(Ln)の画素は、期間TE2にわたって露光される。この期間TE2は、本来の露光期間TE(=TE1)よりも長い期間である。すなわち、露光終了位置P2近傍での露光期間が本来の露光期間よりも長くなる。一方、露光開始位置P1近傍での露光期間TEは常に理論値TE1とほぼ同じである。
この結果、露光終了位置P2近傍での露光期間TE2は、露光開始位置P1近傍での露光期間TEよりも長くなる。すなわち、撮像領域内での各位置における先幕の通過時刻と後幕の通過時刻との間の時間差、すなわち露光期間(シャッタスピード)が、撮像領域内でばらついてしまうという問題が生じる。
同様に、さらに後幕の開閉動作が繰り返され、後幕が曲線CB3に沿って移動するときに電子先幕を曲線CA1に沿うように走行させると、同様の問題が生じる。特に、後幕の更なる開閉動作に応じてバネ88の劣化が進行するため、露光期間の撮像素子内におけるばらつき量は更に大きくなる。
そこで、この実施形態の撮像装置1は、後幕の走行特性の経時変化(経時劣化)を示すデータDTを特性記憶部111に記憶しておき、当該データDTに基づき、電子先幕の走行特性を後幕の走行特性の経時変化に応じて変更する。
なお、ここでは、後幕の走行特性の経時変化を示すデータDTとして、後幕の走行回数に応じた位置変化曲線を格納するものとする。すなわち、データDTは、後幕の走行回数Nと走行特性(位置変化曲線)との関係を示すデータである。例えば、複数の値N(N=N1,N2,N3,...)のそれぞれに対応する各位置変化曲線を格納するようにすればよい。
詳細には、図15に示すように、シャッタ制御部112は、後幕の走行回数の増大に応じて電子先幕の走行速度を低減する。より詳細には、シャッタ制御部112は、電子先幕の走行加速度を、後幕の走行回数の増大に応じて低減する。換言すれば、電子先幕の位置変化曲線における速度変化の大きさが後幕の走行回数の増大に応じて低減される。
例えば、後幕が回数N2の開閉動作を繰り返したと判定される場合には、シャッタ制御部112は、曲線CA1よりも速度および加速度を低減させた曲線CA2に沿うように、電子先幕を走行させる。具体的には、シャッタ制御部112は、曲線CA2に沿うように、各水平ラインのリセット動作の時間間隔(隣接水平ライン相互間のリセット動作時間間隔)を変更(増大)する。より詳細には、露光開始位置から露光終了位置に向けて進むにつれて、シャッタ制御部112は、各水平ラインのリセット時間間隔の増大幅を徐々に大きくする。なお、撮像装置1は、所定の記憶部(全体制御部101内の不揮発性記憶部、あるいは全体制御部101とは別個の不揮発性記憶部等)において、後幕の開閉回数(作動回数)を記憶しておくものとする。
後幕が回数N2の開閉動作を繰り返したときには、後幕はほぼ曲線CB2に沿って移動する。このとき、露光終了位置P2近傍の水平ライン(例えばLn)における露光期間TE12は、本来の露光期間TEに非常に近い値になる。したがって、撮像領域内における露光期間のばらつきを解消ないし抑制することができる。
同様に、後幕が回数N3の開閉動作を繰り返したと判定される場合には、シャッタ制御部112は、曲線CA2よりも速度および加速度をさらに低減させた曲線CA3に沿うように、電子先幕を走行させる。具体的には、シャッタ制御部112は、曲線CA3に沿うように、各水平ラインのリセット動作の時間間隔を変更(増大)する。より詳細には、露光開始位置から露光終了位置に向けて進むにつれて、シャッタ制御部112は、各水平ラインのリセット時間間隔の増大幅を徐々に大きくする。
後幕が回数N3の開閉動作を繰り返したときには、後幕はほぼ曲線CB3に沿って移動する。このとき、露光終了位置P2近傍の水平ライン(例えばLn)における露光期間TE13は、本来の露光期間TEに非常に近い値になる。したがって、撮像領域内における露光期間のばらつきを解消ないし抑制することができる。
また、上記においては、回数N2と回数N3とにおける電子先幕の動作について説明したが、他の回数経過後においても同様に、後幕の開閉回数(走行回数)に応じた位置変化曲線CAに沿って電子先幕が走行するように制御すればよい。詳細には、後幕の走行回数に応じた位置変化曲線CAに沿って電子先幕が走行するように、各水平ラインのリセット動作の時間間隔を変更すればよい。なお、全ての値Nについて各位置変化曲線を予め準備しておくことを要しない。例えば、実際の走行回数Naに応じた位置変化曲線を、近傍の2つの値N2,N3(N2<Na<N3)にそれぞれ対応する2つの位置変化曲線CA2,CA3に基づいて、補間処理によって求めるようにしてもよい。
以上のように、シャッタスピードが所定の閾値よりも高速である場合には、電子先幕の位置変化曲線における速度変化の大きさが後幕の走行回数の増大に応じて低減される。換言すれば、後幕の走行回数の増大に応じて電子先幕の走行速度および走行加速度が低減される。これによれば、後幕のバネ特性の経時変化(経時劣化)を考慮して、露光期間をより正確に且つ簡易に制御することができる。換言すれば、バネ88の伸縮による経時変化(経時劣化)を考慮して、撮影領域内の各位置(後幕の進行方向における各位置)に依存した「(露光期間の)ばらつき」を簡易に抑制することができる。
<5−2.低速シャッタ>
つぎに、シャッタスピードが所定の閾値よりも低速である場合(例えばシャッタスピードが1/10秒である場合)について説明する。
シャッタスピードが比較的低速である場合、すなわち、露光期間TEが比較的長い場合には、露光開始位置P1から露光終了位置P2まで後幕が走行する時間(例えば数ミリ秒)は、露光期間TEに対して相対的に小さくなる。そこで、必ずしも図15に示すような曲線CAに沿って、電子先幕を走行させることを要しない。
例えば、図16に示すように、1次近似曲線(直線)CSに沿うように電子先幕を走行させるようにしてもよい。また、ここでは、当該直線CSとして、後幕の走行回数の増大に応じた複数の直線を用いるものとする。
例えば、初期段階においては、後幕が未だ走行しておらず、バネ88も劣化していないため、理論値に近い近似曲線CS1を用いる。すなわち、直線CS1に沿うような電子先幕の走行動作を行う。
また、後幕が回数N2の開閉動作を繰り返していると判定されるときには、直線CS2に沿うような電子先幕の走行動作を行う。具体的には、直線CS2に沿って電子先幕が走行するように、各水平ラインのリセット動作の時間間隔を変更(増大)する。ここにおいて、直線CS2の傾きは直線CS1の傾きよりも小さく、直線CS2は、直線CS1よりも速度を低減させた走行特性曲線を示している。このような動作によれば、直線CS1に沿って電子先幕を走行させる場合に比べて、露光終了位置P2近傍の水平ライン(例えばLn)における露光期間は、露光開始位置P1近傍の水平ライン(例えばL1)における露光期間に比較的近い値になる。したがって、撮像領域内における露光期間のばらつきを解消ないし抑制することができる。
さらに、後幕が回数N3の開閉動作を繰り返していると判定されるときには、直線CS3に沿うような電子先幕の走行動作を行う。具体的には、直線CS3に沿って電子先幕が走行するように、各水平ラインのリセット動作の時間間隔を変更(増大)する。直線CS3の傾きは直線CS2の傾きよりも小さく、直線CS3は、直線CS2よりも速度を低減させた走行特性曲線を示している。このような動作によれば、直線CS1に沿って電子先幕を走行させる場合に比べて、露光終了位置P2近傍の水平ライン(例えばLn)における露光期間は、露光開始位置P1近傍の水平ライン(例えばL1)における露光期間に比較的近い値になる。したがって、撮像領域内における露光期間のばらつきを解消ないし抑制することができる。
なお、上記においては、回数N2と回数N3とにおける電子先幕の動作について説明したが、他の回数経過後においても同様に、後幕の開閉回数(走行回数)に応じた位置変化曲線(直線)CSに沿って電子先幕が走行するようにすればよい。
以上のように、シャッタスピードが所定の閾値よりも低速である場合には、電子先幕が一定速度で走行されるとともに、後幕の走行回数の増大に応じて当該電子先幕の一定速度が低減される。すなわち、後幕の走行回数の増大に応じて電子先幕の走行速度が低減される。これによれば、後幕のバネ特性の経時変化を考慮して露光期間をより正確に且つ簡易に制御することができる。特に、近似曲線(直線)CSに沿うように電子先幕を走行させる場合において、バネ88の伸縮による経時変化(経時劣化)を考慮して、撮影領域内の各位置(後幕の進行方向における各位置)に依存した「(露光期間の)ばらつき」を簡易に抑制することができる。
<6.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
たとえば、上記実施形態においては、低速シャッタ時には、直線CSに沿って電子先幕を走行させる場合を例示したが、これに限定されない。例えば、低速シャッタ時においても、高速シャッタ時と同様に、曲線CA(詳細にはCA1,CA2,CA3,...)に沿って電子先幕を走行させるようにしてもよい。あるいは逆に、低速シャッタ時には上記のような補正動作を実行せず、高速シャッタ時にのみ上記のような補正動作を実行するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、高速シャッタ時には、滑らかに変化する位置変化曲線CAに沿って電子先幕を走行させる場合を例示したが、これに限定されない。例えば、図17に示すように、当該位置変化曲線を複数の範囲Ra,Rb,Rcに区分して各範囲の変化曲線を直線で近似するようにしてもよい。そして、このような近似曲線CF(詳細にはCF1,CF2,CF3,...)に沿うように電子先幕を走行させるようにしてもよい。より詳細には、後幕の走行回数が値N1に近いときには、近似曲線CF1(曲線CA1を近似した曲線)に沿うように、電子先幕を走行させるようにすればよい。そして、後幕の走行回数が値N2に到達したときには、近似曲線CF2(曲線CA2を近似した曲線)に沿うように、電子先幕を走行させるようにすればよい。また、後幕の走行回数が値N3に到達したときには、近似曲線CF3(曲線CA3を近似した曲線)に沿うように電子先幕を走行させるようにすればよい。なお、近似曲線CF2の速度および加速度は、それぞれ、近似曲線CF1の速度および加速度よりも小さい。また、近似曲線CF3の速度および加速度は、それぞれ、近似曲線CF2の速度および加速度よりも小さい。
また、上記実施形態においては、撮像素子5内の複数の画素を所定方向において順次にリセットする際に、水平ラインLi単位でタイミングをずらしてリセット動作を実行する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、複数本の水平ライン単位でタイミングをずらしてリセット動作を実行するようにしてもよい。または、一の水平ライン単位あるいは複数の水平ライン単位でタイミングをずらしてリセット動作を実行するようにしてもよい。これらの手法によっても、撮像素子5内の複数の画素を所定方向において順次にリセットし、電子先幕を露光開始位置から露光終了位置へ向けて擬似的に走行させることが可能である。