以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。ただし、本形態において例示される構成部品の寸法、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明がそれらの例示に限定されるものではない。
●撮像システムの構成
図1は、本発明の実施の形態における撮像システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態の撮像システムは、主にカメラ本体100と、交換レンズタイプのレンズユニット300により構成されている。
カメラ本体100には、図1に示すように、カメラ本体100に着脱自在であって、焦点距離可変機構および焦点合わせ機構(不図示)を有する交換レンズタイプのレンズユニット300が取り付けられている。
レンズユニット300において、310は光学レンズ、312は絞りである。306はレンズユニット300をカメラ本体100と機械的に結合するレンズマウントであり、レンズマウント306と、後述するカメラ本体100のカメラマウント106とは、例えばフランジ形状等の互いに結合可能な形状をしている。このレンズマウント306とカメラマウント106が結合することにより、カメラ本体100にレンズユニット300が装着される。
また、レンズユニット300のレンズ信号接点322がカメラ本体100のカメラ信号接点122と接触することで、レンズユニット300とカメラ本体100は電気的に接続される。レンズ信号接点322は、カメラ本体100とレンズユニット300との間で制御信号、状態信号、データ信号などを伝え合うと共に、各種電圧の電流を供給されるあるいは供給する機能も備えている。また、レンズ信号接点322は電気通信のみならず、光通信、音声通信などを伝達する構成としても良い。
340は、後述するシステム制御回路50の信号により絞り312を制御する絞り制御部である。342は焦点調節動作のために光学レンズ310の焦点距離可変機構の制御をするフォーカス制御部である。
350はレンズユニット300全体を制御するレンズシステム制御回路である。レンズシステム制御回路350は、動作用の定数、変数、プログラムなどを記憶するメモリを備えている。更に、レンズユニット300固有の番号などの識別情報、管理情報、開放絞り値や最小絞り値、焦点距離などの機能情報、現在や過去の各設定値などを保持する不揮発メモリも備えている。
絞り制御部340、フォーカス制御部342、レンズシステム制御回路350は、I/F320及びレンズ信号接点322を介して、カメラ本体100と相互に通信を行うことができる。カメラ本体100では、レンズ着脱検知回路124によりレンズユニット300の着脱が検知される。
次に、カメラ本体100の構成について説明する。
106はカメラ本体100とレンズユニット300を機械的に結合するレンズマウント、124はレンズ着脱検知回路であり、レンズ着脱検知回路124によりレンズユニット300の着脱が検知され、検知信号が後述するシステム制御回路50に入力される。130、132はミラーで、光学レンズ310に入射した光線を一眼レフ方式によって光学ファインダ104に導く。なお、ミラー130は回転可能に配設されたクイックリターンミラーの構成としても、ハーフミラーの構成としても、どちらでも構わないが、ここではクイックリターンミラーであるものとして説明する。クイックリターンミラー130は、ミラーダウン状態(図1の状態)で光学レンズ310を通過した光(以下、「入射光」と呼ぶ。)を上方へ反射する。そして、入射光はミラー132を介して被写体像を確認するための光学ファインダ104へと導かれる。なお、ミラー132の代わりに、ペンタプリズムにより構成しても良い。
また、ミラーアップ状態(不図示)では、入射光はクイックリターンミラー130に反射されることなく、シャッタ制御部40によって制御されるメカニカルシャッタ12を介して撮像素子14の方へと導かれる。このように、クイックリターンミラー130は入射光の経路を切り替える働きをする。なお、ミラー130を固定式のハーフミラーで構成した場合、入射光は分光されて、ミラー132と撮像素子14の方へそれぞれ導かれる。
撮像素子14は、その撮像面に結像された光学像を電気信号に変換して出力する。16は、撮像素子14から出力されるアナログ信号をデジタル信号(以下、「画像データ」と呼ぶ。)に変換するA/D変換器である。18は撮像素子14、A/D変換器16、D/A変換器26にそれぞれクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生回路であり、メモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御される。
撮像素子14から出力された電気信号は、A/D変換器16により画像データに変換された後に、画像処理回路20またはメモリ制御回路22に入力される。画像処理回路20は、A/D変換器16からの画像データまたはメモリ制御回路22からの画像データに対して、例えば、画素補間処理や色変換処理等の所定の画像処理を施す。
メモリ制御回路22は、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30、圧縮伸長回路32を制御する。また、メモリ制御回路22は、A/D変換器16から直接入力された画像データをメモリ30または画像表示メモリ24に書き込む処理を行うとともに、メモリ30または画像表示メモリ24から画像データを読み出す処理を行う。
24は画像表示メモリ、28はTFT方式のLCD等から成る画像表示部であり、画像表示メモリ24には画像表示部28に表示するための画像データが書き込まれる。そしてこの表示用の画像データを画像表示メモリ24から読み出し、D/A変換器26を介して画像表示部28に表示する。画像表示部28を用いて、撮像した画像データを逐次表示することで、電子ビューファインダ(EVF)機能を実現することができる。また、画像表示部28は、システム制御回路50の指示により任意に表示をON/OFFすることが可能であり、表示をOFFにした場合にはカメラ本体100の電力消費を大幅に低減することができる。
メモリ30は撮像した画像データを格納するためのメモリであり、所定枚数の画像データを格納可能な十分な記憶容量を有し、また、システム制御回路50の作業領域としても使用される。
32は適応離散コサイン変換(ADCT)等、公知の圧縮方法を用いて画像データを圧縮伸長する圧縮伸長回路である。圧縮伸長回路32は、メモリ30に格納された画像を読み込んで圧縮処理或いは伸長処理を行い、処理を終えたデータを再びメモリ30に書き込む。
50はカメラ本体100全体を制御するシステム制御回路であり、周知のCPUなどを内蔵する。システム制御回路50は、メモリ52に格納されているプログラム、定数および変数データなどに従いカメラ本体100全体を制御する。
このシステム制御回路50による制御の1つに、スルー・ザ・レンズ(TTL)のオートフォーカス(AF)処理、自動露出(AE)処理、フラッシュプリ発光(EF)処理の各処理に用いられる制御信号を生成するものがある。この制御により生成された各制御信号はシャッタ制御部40、焦点調節部42、測光制御部46、フラッシュ48に供給される。
焦点調節部42は、システム制御回路50からの制御信号に基づき、被写体像を合焦させるための信号を発生する。そして、この信号がシステム制御回路50、I/F120、各信号接点122、322、I/F320を介してフォーカス制御部342に送られ、合焦状態になるように光学レンズ310の焦点合わせ機構を駆動する。
測光制御部46は、入射光の強さを測定する。システム制御回路50は測光制御部46により測定された測光値を基に露光時間と絞り値を決定し、各制御信号をシャッタ制御部40と絞り制御部340に送信する。このシステム制御回路50からの制御信号に基づいて、シャッタ制御部40がメカニカルシャッタ12による露光時間T1を調整し、絞り制御部340が絞り312を制御することにより、露光量が制御される。
フラッシュ48は、AF補助光の投光機能、フラッシュ調光機能を有し、システム制御回路50からの制御信号に基づいて対応する光量のフラッシュ光を発光する。
また、システム制御回路50は、設定された撮影モードや動作状態などの情報や、メッセージを通知部54を介して通知するための制御を行う。この通知部54は、文字、画像、音声などを用いて動作状態やメッセージなどを通知できるように、液晶表示装置(LCD)、発音素子、発光ダイオード(LED)などのうち、1つ以上の組み合わせにより構成されている。また、通知部54の一部は光学ファインダ104内に組み込まれている。
通知部54のうち、LCDに表示される内容としては、以下のものがある。まず、単写/連写撮影表示、セルフタイマ表示等、撮影モードに関する表示がある。また、圧縮率表示、記録画素数表示、記録枚数表示、残撮影可能枚数表示等の記録に関する表示がある。また、シャッタスピード表示、絞り値表示、露出補正表示、フラッシュ表示、赤目緩和表示等の撮影条件に関する表示がある。その他に、マクロ撮影表示、ブザー設定表示、時計用電池残量表示、電池残量表示、エラー表示、複数桁の数字による情報表示、記録媒体200及び210の着脱状態表示がある。更に、レンズユニット300の着脱状態表示、通信I/F動作表示、日付・時刻表示、外部コンピュータとの接続状態を示す表示等も行われる。
また、通知部54の表示内容のうち、光学ファインダ104内に表示するものとしては、例えば、以下のものがある。合焦表示、撮影準備完了表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、フラッシュ充電完了表示、シャッタスピード表示、絞り値表示、露出補正表示、記録媒体書き込み動作表示等である。
さらに、通知部54の表示内容のうち、LED等により表示するものとしては、例えば、以下のものがある。合焦表示、撮影準備完了表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、フラッシュ充電完了表示、記録媒体書き込み動作表示、マクロ撮影設定通知表示、二次電池充電表示等である。
また、通知部54の表示内容のうち、ランプ等に表示するものとしては、例えば、セルフタイマ通知ランプ等がある。このセルフタイマ通知ランプはAF補助光と共用してもよい。
さらに、システム制御回路50は、通信部110を介して外部装置との間で画像データを送受するための制御を行う。この通信部110は、RS232C、USB、IEEE1394、SCSI、LAN、モデム、無線通信などによる通信機能を有し、通信部110には外部装置を接続するためのコネクタ(無線通信の場合にはアンテナ)112が備えられている。
システム制御回路50に対する動作指示の入力には、モードダイアル60、シャッタスイッチ62、操作部70、電源スイッチ76が用いられる。
60はモードダイアルで、自動撮影モード、プログラム撮影モード、シャッタ速度優先撮影モード、絞り優先撮影モード、マニュアル撮影モード、焦点深度優先(デプス)撮影モード等の各機能撮影モードを切り替え設定することができる。他に、ポートレート撮影モード、風景撮影モード、接写撮影モード、スポーツ撮影モード、夜景撮影モード、パノラマ撮影モードなどの各機能撮影モードを切り替え設定することもできる。
シャッタスイッチ62はスイッチSW1とスイッチSW2とからなる多段スイッチである。シャッタスイッチ62を所定量押し下げると(例えば半押し)スイッチSW1がオン動作し、さらにシャッタスイッチ62を押し下げると(例えば全押し)スイッチSW2がオン動作する。スイッチSW1のオン動作により、AF処理、AE処理、EF処理などの開始を指示する信号が出力される。また、スイッチSW2のオン動作により撮像素子14から読み出した信号を画像データとして記録媒体200、210に書き込むまでの、露光処理、現像処理、及び記録処理からなる一連の撮影動作の開始を指示する信号が出力される。まず、露光処理では、クイックリターンミラー130をアップし、メカニカルシャッタ12を駆動し、撮像素子14において光電変換された信号を読み出し、読み出した信号をA/D変換器16、メモリ制御回路22を介して画像データをメモリ30に書き込む。そして、現像処理では画像処理回路20やメモリ制御回路22において演算を用いた現像処理を行い、処理した画像データを再びメモリ30に書き込む。更に、記録処理では、メモリ30から画像データを読み出し、圧縮伸長回路32で圧縮を行い、圧縮後の画像データを記録媒体200あるいは210に書き込む。
操作部70は、各種ボタンやダイアルなどから構成されている。一例として、メニューボタン、セットボタン、再生ボタン、消去ボタン、ジャンプボタン、露出補正ボタン、単写/連写モード切替ボタン、測光モード切替ボタンを含む。更に、AFモード切替ボタン、WBモード切替ボタン、ISO感度設定ボタン、メイン電子ダイアル、サブ電子ダイアル、ライブビューモードボタンなども設けられている。ここで、例えばメニューボタンが押下されると、通知部54に設定画面が表示され、この設定画面上で上記ボタン等を用いて設定する項目を選択することができる。
モードダイアル60や操作部70などで設定された変数、モードなどは、EEPROMなどからなる不揮発性メモリ56に格納される。
また、操作部70に含まれる標準設定状態設定部を操作することで、使用者が所望の設定状態(撮影モード、露出補正値、単写/連写モード、測光モード、AFモード、WBモード、ISO感度等の設定状態)を標準設定状態として設定することができる。このカメラの標準設定状態データは、不揮発性メモリ56に格納される。
72は電源スイッチであり、カメラ本体100の電源オン、電源オフの各モードを切り替え設定することができる。また、カメラ本体100に接続されたレンズユニット300、外部フラッシュ、記録媒体200、210等の各種付属装置の電源オン、電源オフの設定も合わせて切り替え設定可能である。
システム制御回路50には、電源制御部80から電力が供給される。電源制御部80はシステム制御回路50からの指示に基づき電源86からの電力を各部へ供給する。電源制御部80と電源86とは、接点82、84を介して接続されている。電源86としては、例えば、アルカリ電池等の一次電池、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池、ACアダプタなどを使用することができる。
400は後幕の開口部における任意の位置での通過を検出するための検出手段である、発光部と受光部とを有するフォトインタラプタ(PI)であり、遮蔽状態でH信号、露光状態でL信号を出力する。勿論、遮蔽状態でL信号、露光状態でH信号を出力するようにしても構わない。検出手段はフォトインタラプタ(PI)に限らず、フォトリフレクター(PI)等でも良い。
メモリ30に書き込まれた画像データ(圧縮後の画像データ)は、各インターフェース(I/F)90、94およびコネクタ92、96を介して接続される記録媒体200、210に書き込まれる。
記録媒体200、210は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体である。この記録媒体200及び210は、それぞれ、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部202及び212、カメラ本体100とのインタフェース204及び214、カメラ本体100と接続を行うコネクタ206及び216を備えている。
なお、本実施の形態では、2つの記録媒体200、210を装着可能に構成しているが、これに限定されることはなく、1つまたは3つ以上の記録媒体を装着可能に構成しても良い。
なお、本実施の形態における撮像装置として、レンズ交換式の一眼レフタイプのデジタルカメラであるものとして説明したが、レンズや鏡筒が本体と一体化されたカメラであってもよい。
●メカニカルシャッタの構成
次に、メカニカルシャッタ12の構成について図2〜図5を参照しながら説明する。図2〜図5は、いずれもメカニカルシャッタ12がカメラ本体100に組み込まれた状態において、被写体側から見た略左半分を示した平面図である。図2はオーバーチャージ状態、すなわち、後述するチャージレバーによって先幕と後幕がチャージされた状態を示している。また、図3は後述するヨークとコイルによって先幕と後幕が電力にて初期位置に保持されている走行前待機状態、図4は先幕走行完了状態、図5は後幕走行完了状態を示している。
図2〜図5において、1はシャッタ地板であり、先幕羽根群2aおよび後幕羽根群6a(図5)の駆動機構を構成する各部品が取り付けられている。1aは被写体光束が通過するアパーチャであり、シャッタ地板1に形成されている。
シャッタ地板1の表面に設けられた先幕軸1bには、先幕駆動レバー2が回動可能に支持されている。先幕軸1bの外周にはねじりコイルバネ(不図示)が配置されており、このねじりコイルバネは先幕駆動レバー2を図2中の時計回り方向(先幕羽根群2aを走行させる方向)に付勢している。
先幕駆動レバー2の先端部には先幕駆動ピン(不図示)が形成されており、先幕駆動ピンはシャッタ地板1に形成された先幕溝部1cを貫通して不図示の先幕駆動アームと係合している。先幕駆動アームは、リンク機構を介して先幕羽根群2aと連結している。先幕羽根群2aは複数のシャッタ羽根で構成されている。
先幕駆動レバー2の回動によって先幕駆動ピンが先幕溝部1cに沿って移動すると、先幕駆動アームが回動して先幕羽根群2aを展開させたり、重畳させたりする。なお、先幕駆動レバー2は、先幕溝部1cによって回動範囲が制限されている。
また、先幕駆動レバー2には先幕アマチャ支持部2bが設けられている。先幕アマチャ支持部2bに形成された不図示の貫通孔部には、貫通孔部の内径よりも大きなフランジ部を有し、先幕アマチャ3に対して一体的に取り付けられた先幕アマチャ軸3aが係合している。先幕アマチャ軸3aは、先幕アマチャ3の吸着面に対して略直交方向に延びている。
先幕アマチャ3と先幕アマチャ支持部2bの間であって、先幕アマチャ軸3aの外周には、圧縮バネ(不図示)が配置されており、先幕アマチャ3およびアマチャ支持部2bを互いに離す方向(図2の上下方向)に付勢している。
3bは弾性変形可能な先幕衝撃吸収ゴムであり、先幕アマチャ支持部2bと先幕アマチャ軸3aとの間であって、先幕アマチャ軸3aの長手方向と略直交する面内に配置されている。先幕衝撃吸収ゴム3bは、オーバーチャージ状態から走行開始状態に移行する際に先幕アマチャ支持部2bが先幕アマチャ軸3aに直接突き当たるのを阻止し、弾性変形する。これにより先幕アマチャ支持部2bから先幕アマチャ軸3aに加わる衝撃を吸収する。
4は先幕ヨーク、5は先幕ヨーク4の外周に設けられた先幕コイルである。先幕コイル5に電圧を印加すると、先幕ヨーク4に磁力を発生させることができ、この磁力によって先幕アマチャ3を吸着することができる。
先幕アマチャ3、先幕ヨーク4及び先幕コイル5で先幕保持機構を構成する。
シャッタ地板1の表面に設けられた後幕軸1dには、後幕駆動レバー6が回動可能に支持されている。後幕軸1dの外周にはねじりコイルバネ(不図示)が配置されており、このねじりコイルバネは後幕駆動レバー6を図2中の時計回り方向(後幕羽根群を走行させる方向)に付勢している。
後幕駆動レバー6の先端部には後幕駆動ピン(不図示)が形成されており、後幕駆動ピンはシャッタ地板1に形成された後幕溝部1eを貫通して不図示の後幕駆動アームと係合している。後幕駆動アームは、リンク機構を介して後幕羽根群6a(図2〜4では重畳状態にある)と連結している。後幕羽根群6aは複数のシャッタ羽根で構成されている。
後幕駆動レバー6の回動によって後幕駆動ピンが後幕溝部1eに沿って移動すると、後幕駆動アームが回動して後幕羽根群6aを展開させたり、重畳させたりする。上述した先幕羽根群2aの動作と、この後幕羽根群6aの動作とによって、アパーチャ1aを開き状態(被写体光束を通過させる状態)にしたり、閉じ状態(被写体光束を概ね遮断する状態)にしたりすることができる。なお、後幕駆動レバー6は、後幕溝部1eによって回動範囲が制限されている。
また、後幕駆動レバー6には後幕アマチャ支持部6bが設けられている。後幕アマチャ支持部6bに形成された不図示の貫通孔部には、貫通孔部の内径よりも大きなフランジ部を有し、後幕アマチャ7に対して一体的に取り付けられた後幕アマチャ軸7aが係合している。後幕アマチャ軸7aは、後幕アマチャ7の吸着面に対して略直交方向に延びている。
また、後幕駆動レバー6には遮光部6wが設けられており、図2の状態ではPI400を遮蔽しているため、PI400はH信号を出力している。
後幕アマチャ7と後幕アマチャ支持部6bの間であって、後幕アマチャ軸7aの外周には、圧縮バネ(不図示)が配置されており、後幕アマチャ7および後幕アマチャ支持部6bを互いに離す方向(図2の上下方向)に付勢している。
7bは弾性変形可能な後幕衝撃吸収ゴムであり、後幕アマチャ支持部6bと後幕アマチャ軸7aとの間であって、後幕アマチャ軸7aの長手方向と略直交する面内に配置されている。後幕衝撃吸収ゴム7bは、オーバーチャージ状態から走行開始状態に移行する際に後幕アマチャ支持部6bが後幕アマチャ軸7aに直接突き当たるのを阻止し、弾性変形することによって後幕アマチャ支持部6bから後幕アマチャ軸7aに加わる衝撃を吸収する。
8は後幕ヨーク(電磁部材)、9は後幕ヨーク8の外周に設けられた後幕コイル(電磁部材)である。後幕コイル9に電圧を印加すると、後幕ヨーク8に磁力を発生させることができ、この磁力によって後幕アマチャ7を吸着することができる。
後幕アマチャ7、後幕ヨーク8及び後幕コイル9で後幕保持機構を構成する。
10はチャージレバーであり、シャッタ地板1に設けられたチャージレバー軸1fによって回動可能に支持されている。チャージレバー10は、チャージピン10aを介して不図示の駆動レバー部材に連結されており、この駆動レバー部材は駆動源からの駆動力を受けて回動する。
チャージレバー10、チャージピン10a及び駆動レバー部材によりチャージ機構を構成する。
チャージレバー10に形成されたカム部10bは、チャージレバー10の回動に応じて、先幕駆動レバー2に設けられた先幕チャージコロ2cに当接して、先幕駆動レバー2を回動させる。具体的には、チャージレバー10のカム部10bは、図4に示すように先幕羽根群2aの走行を完了させた状態にある(先幕羽根群2aを重畳状態とさせたときの)先幕駆動レバー2を、反時計回り方向に回動させる。これによって、図3に示す走行前待機状態を経て、図2に示すオーバーチャージ状態にする。
チャージレバー10に形成されたカム部10cは、チャージレバー10の回動に応じて、後幕駆動レバー6に設けられた後幕チャージコロ6cに当接して、後幕駆動レバー6を回動させる。具体的には、チャージレバー10のカム部10cは、図5に示すように後幕羽根群6aの走行を完了させた状態にある(後幕羽根群6aを展開状態とさせたときの)後幕駆動レバー6を、反時計回り方向に回動させる。これによって、図3に示す走行前待機状態を経て、図2に示すオーバーチャージ状態にする。
次に、ライブビューモードで撮影を行う際の動作について、図2〜図8を用いて説明する。
図2に示すオーバーチャージ状態において操作部70の一つであるライブビューモードボタンが押されると(ステップS1でYES)、先ず、ステップS2においてクイックリターンミラー130のアップ動作を行う。そして、先幕コイル5、後幕コイル9への通電を開始するとともに(ステップS3)、チャージレバー10が反時計回りに回転する(ステップS4)。すると、チャージレバー10のカム部10b、10cから、先幕チャージコロ2c、後幕チャージコロ6cが離れ、図3に示す走行前待機状態へと移行する。
次に、先幕コイル5の通電をオフして(ステップS5)先幕のみ走行することで(ステップS6)、メカニカルシャッタ12は、撮像素子14へ被写体光を導く状態(図4の先幕走行完了状態)になる。この状態で、撮像素子14が画像の取り込みを行い、画像表示部28に画像を逐次表示することで、EVF動作を開始する(ステップS7)。EVF動作の実行中は後幕コイル9の通電を継続して電磁力により後幕を吸着保持し続ける。
次に、ステップS8においてEVF動作状態において、シャッタスイッチ62が押されたか(ここでは、スイッチSW2がONされたか)を判定する。スイッチSW2がONされていなければ、ステップS8のシャッタスイッチ62の判定を繰り返す。
スイッチSW2がONされた場合はステップS9に進み、撮像素子14が画像の取り込みを中止し、画像表示部28が画像表示を中止し、EVF動作を中止する。そして、後幕コイル9の通電をオフして(ステップS10)、後幕の第一の走行を行なう(ステップS11)。これにより、図5に示す後幕走行完了状態となる。
この後幕の走行に伴い、後幕の走行途中で、PI400は図4に示す後幕駆動レバー6の遮光部6wに遮光されている状態から図5に示す光を透過する状態に変化する。従って、図4の状態から図5の状態に変化すると、PI400の信号はH信号からL信号に変化する。ステップS12では、この後幕コイル9の通電をオフする時から、PI400の信号がH信号からL信号に変化するまでの時間T(第1の時間)を測定する。図7にこの時間Tを示す。
そしてあらかじめ求めておいた、この後幕コイル9の通電をオフする時から、PI400の信号がH信号からL信号に切り替わる時点までの基準時間T0(第2の時間)と、測定した時間Tから補正量△Tを下式から求める(ステップS13)。
△T=T0‐T
なお、上述の基準時間T0は不図示の計時手段により計時する。
なお△Tは先に述べた電磁石の離反タイミングの変化量に相当する。
次に、チャージレバー10が時計回りに回転し、カム部10b、10cが先幕チャージコロ2c、後幕チャージコロ6cを押す(チャージ動作)ことで図2のオーバーチャージ状態に移行する(ステップS14)。
チャージ動作が完了すると、先幕コイル5及び後幕コイル9の通電を開始するとともに(ステップS15)、チャージレバー10が反時計回りに回転する(ステップS16)。すると、チャージレバー10のカム部10b、10cから、先幕チャージコロ2c、後幕チャージコロ6cが離れ、図3に示す走行前待機状態へと移行する。図3の状態では、先幕アマチャ3と後幕アマチャ7が電磁力により吸着保持されているため、先幕駆動レバー2と後幕駆動レバー6は回転しない。
そして、先幕コイル5(ステップS17)の通電をオフして、先幕を走行させ(ステップS18)、図4の先幕走行完了状態に移行する。その後、シャッタ制御部40が演算した露光時間T1に補正量△Tを加えた通電時間の制御時間(T1+△T)の経過後に、後幕コイル9の通電をオフして(ステップS19)、後幕を走行させる(ステップS20)。これにより、図5に示す後幕走行完了状態に移行する。
図8は、上述したシャッター制御を行うための先幕及び後幕の電圧制御タイムチャートを示す。シャッタスイッチ62が押される(SW2はONされる)と、図5の後幕走行完了状態を介して、先幕コイル5と後幕コイル9の通電を開始し、図2のオーバーチャージ状態を介して、図3の走行前待機状態へと移行する。そして、SW2ONから所定時間後に先幕コイル5の通電をオフし、先幕コイル5の通電オフからさらに補正後の制御時間(T1+△T)後に、後幕コイル9の通電をオフする。
上述したようにして、先幕コイル5への通電をオフしてから後幕コイル9への通電をオフするまでの制御時間を後幕第一の走行時に求めた補正量で補正する。後幕第一の走行は露光のための後幕の走行の直前に行なわれており、コイル通電カットからアマチャとヨークが離反するまでの時間は露光のための後幕の走行とほぼ等しくなる。これにより、先幕コイル5への通電をオフしてから、後幕コイル9の通電オフにより後幕が実際に走行開始するまでの時間が、適正な露光時間となるように制御することができる。
従って、本実施の形態によれば、ライブビューなどの長時間開口後であっても、精度の高い露出制御を行うことが可能となる。
なお、上記実施の形態においては、メカニカルシャッタ12が先幕及び後幕を共に有し、ライブビュー時においては、先幕のみを走行し、後幕を走行前状態に保つ場合について説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、メカニカルシャッタ12が後幕のみを有し、電子先幕を用いる構成にすることも勿論可能である。
1:シャッタ地板、1a:アパーチャ、1b:先幕軸、1c:先幕溝部、1d:後幕軸、1e:後幕溝部、1f:チャージレバー軸、2:先幕駆動レバー、2a:先幕羽根群、2b:先幕アマチャ支持部、2c:先幕チャージコロ、3:先幕アマチャ、3a:先幕アマチャ軸、3b:先幕衝撃吸収ゴム、4:先幕ヨーク、5:先幕コイル、6:後幕駆動レバー、6a:後幕羽根群、6b:後幕アマチャ支持部、6c:後幕チャージコロ、6w:遮光部、7:後幕アマチャ、7a:後幕アマチャ軸、7b:後幕衝撃吸収ゴム、8:後幕ヨーク、9:後幕コイル、10:チャージレバー、10a:チャージピン、10b、10c:カム部、12:メカニカルシャッタ、14:撮像素子、16:A/D変換器、18:タイミング発生回路、20:画像処理回路、22:メモリ制御回路、24:画像表示メモリ、26:D/A変換器、28:画像表示部、30:メモリ、32:圧縮伸長回路、40:シャッタ制御部、42:焦点調節部、46:測光制御部、48:フラッシュ、50:システム制御回路、52:メモリ、54:通知部、56:不揮発性メモリ、60:モードダイアルスイッチ、62:シャッタスイッチ、70:操作部、72:電源スイッチ、80:電源制御部、82、84:接点、86:電源、90、94:I/F、92、96:コネクタ、100:カメラ本体、104:光学ファインダ、106:カメラマウント、110:I/F、112:コネクタ、122、322:信号接点、124:レンズ着脱検知回路、130、132:ミラー、200、210:記録媒体、202、212:記録部、204、214:I/F、206、216:コネクタ、300:レンズユニット、306:レンズマウント、310:光学レンズ、312:絞り、320:I/F、340:絞り制御部、342:フォーカス制御部、350:レンズシステム制御回路、400:フォトインタラプタ