JP2006251170A - カメラおよびカメラの露出制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】演算により算出された露出時間にて適正露出が得られるかを少スペース、低コストで判定可能にする。
【解決手段】演算にて得られた露出時間を基にシャッタ手段を制御する制御手段によるシャッタ手段の駆動制御時に該シャッタ手段自体に発生する電気量の変化を計測する計測手段(S134)と、計測手段にて得られる計測データと基準計測データ(S132)とを比較演算し(S134)、その結果から演算手段により得られた露出時間で適正露出が得られるか否かを判定する判定手段(S135,S136)とを有する。
【選択図】図4
【解決手段】演算にて得られた露出時間を基にシャッタ手段を制御する制御手段によるシャッタ手段の駆動制御時に該シャッタ手段自体に発生する電気量の変化を計測する計測手段(S134)と、計測手段にて得られる計測データと基準計測データ(S132)とを比較演算し(S134)、その結果から演算手段により得られた露出時間で適正露出が得られるか否かを判定する判定手段(S135,S136)とを有する。
【選択図】図4
Description
本発明は、シャッタの走行状態を制御する機能を備えたカメラおよびカメラの露出制御方法に関する。
従来より、一眼レフカメラにおいては、被写体からの光束をレンズの絞りにて絞り込み、さらにフィルム或いは撮像素子への露光時間を機械的なシャッタで制限している。一般的な一眼レフカメラに使用されているシャッタは先幕と後幕による2枚の幕からなり、露光前には先幕がアパーチャ開口を覆っている。露光制御が開始されると、まず先幕がアパーチャ開口から退避してフィルム画面或いは撮像素子への露光が開始され、所定秒時の経過後、後幕がアパーチャ開口を覆うように作動する。各幕の走行は機械的に付勢されたばね力にて行われ、走行の開始は幕を係止する電磁石への通電を解除することによって行われる。
ところで、近年、1/8000秒など、シャッタの高速化が重要となっている。このためには、前述のばね付勢力を高めて各幕の走行速度も速くし、かつ先幕、後幕の形成するスリット幅も狭くなるように制御しなくてはならない。このように各幕の走行速度が速くなり、スリット幅も狭くなると、電磁石の通電制御タイミングを正確にして露光時間を制御しても実際の露光時間は各幕の機械的走行状態に頼るしかなく、経年変化を含み機械的な変動要素によって実際の走行速度は変化してしまい、実露光時間が変化してしまう場合がある。
そこで、実際に先幕と後幕の走行状態を検出することによって露出に異常が無いかを検出し、実露光時間が正常でなかった場合、その時の制御露光時間よりも高速側の制御露光時間でのシャッタ駆動は禁止するカメラが提案されている(特許文献1参照)。
特許第3387138号(図1など)
しかしながら、上記特許文献1に開示されているカメラでは、実際の露光時間を検出する為に、先幕と後幕の走行を検出する為のセンサが必要となり、センサ配置によるスペースとコストアップを要していた。また、実露光時間が正常でなかった場合、その時の適正な制御露光時間であってもそれよりも高速側であってその制御露光時間よりも高速側の制御露光時間は設定することができないため、露光されたフィルムは異常露出となってしまうという問題を有していた。
(発明の目的)
本発明の第1の目的は、演算により算出された露出時間にて適正露出が得られるかを少スペース、低コストで判定することのできるカメラを提供しようとするものである。
本発明の第1の目的は、演算により算出された露出時間にて適正露出が得られるかを少スペース、低コストで判定することのできるカメラを提供しようとするものである。
本発明の第2の目的は、上記第1の目的を達成すると共に、実露光時間を検出しなくても、露光する前の段階で露出時間が適正でないことを判定し、露出時間に補正を加えることによって適正露出を与えることのできるカメラを提供しようとするものである。
本発明の第3の目的は、上記第1の目的を達成すると共に、適正露出とならない撮影処理を露出動作の完了前に停止することのできるカメラを提供しようとするものである。
本発明の第4の目的は、上記第3の目的を達成するとともに、適正露出とならないことを判定した際には、次の適正露光撮影を早く行うことのできるカメラを提供しようとするものである。
本発明の第5の目的は、上記第1の目的を達成するとともに、適正露出が得られないことを判定した場合には、ユーザーに知らせることのできるカメラを提供しようとするものである。
上記第1の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、露出時間を算出する演算手段と、前記演算手段にて得られた露出時間を基にシャッタ手段を制御する制御手段と、を有するカメラにおいて、前記制御手段による前記シャッタ手段の駆動制御時に該シャッタ手段自体に発生する電気量変化を計測する計測手段と、前記計測手段にて得られる計測データと基準計測データとを比較演算し、その結果から前記演算手段により得られた露出時間で適正露出が得られるか否かを判定する判定手段とを有するカメラとするものである。
また、上記第2の目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、前記判定手段により適正露出が得られないと判定された場合、前記計測データを基に前記露出時間に補正を加える露出時間補正手段を有する請求項1に記載のカメラとするものである。
また、上記第3の目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、前記判定手段により適正露出が得られないと判定された場合、前記露出時間の間に撮像素子により撮像されたデータの撮像処理を行わないようにした請求項1に記載のカメラとするものである。
また、上記第4の目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、前記撮像処理を行なわれない場合、前記演算手段にて得られる前記露出時間を変化させ、自動的に再撮影制御を実行する請求項3に記載のカメラとするものである。
また、上記第5の目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、前記判定手段により適正露出が得られないと判定された場合、警告動作を行う警告手段を有する請求項1に記載のカメラとするものである。
上記第1の目的を達成するために、請求項10に記載の発明は、露出時間を算出する演算行程と、前記演算手段にて得られた露出時間を基にシャッタ手段を制御する制御行程と、を有するカメラの露出制御方法において、前記制御行程による前記シャッタ手段の駆動制御時に該シャッタ手段自体に発生する電気量の変化を計測する計測行程と、前記計測行程にて得られる計測データと基準計測データとを比較演算し、その結果から前記演算行程により得られた露出時間で適正露出が得られるか否かを判定する判定行程とを有するカメラの露出制御方法とするものである。
本発明によれば、演算により算出された露出時間にて適正露出が得られるかを少スペース、低コストで判定することができる。
本発明を実施するための最良の形態は、以下に記載する実施例1および実施例2に示す通りである。
図1は本発明の実施例1に係わるカメラの回路構成を示すブロック図である。同図において、1は記憶部を有し、カメラの各種の回路の制御を行うカメラ制御回路、14は被写体からの光束を絞り込む為の絞り装置、2は絞り装置14を制御する為の絞り制御回路、3は被写体の輝度を測定する為の測光回路、5はカメラ制御回路1での演算結果を基に決められた露光時間で作動するフォーカルプレーンシャッタであるシャッタ(以下、SHと記す)装置、4はSH装置5の制御を行うSH制御回路である。6はSH装置5の駆動機構部のSHコイルに発生する逆起電圧を計測し、矩形波形に変換する計測回路である。8はミラー・SHチャージ機構であり、SH装置5を露光開始状態にするとともに、ミラーアップ(UP)、ダウン(DOWN)を行う。7はミラー・SHチャージ機構7の制御を行うミラー・SHチャージ制御回路である。9はカメラの使用環境温度を測定する温度センサ、10はカメラの姿勢を検出する姿勢センサ、11はカメラの各種情報及びエラー状態を表示する外部表示装置である。12(SW1)はカメラの撮影準備動作の開始を指示するスイッチであり、13(SW2)は撮影開始を指示するスイッチである。
次に、SH装置5について、図13〜図15を用いて説明する。
図13は露光開始前の状態を示すSH装置5の正面図である。同図において、20はSH装置5の本体部分であるシャッタ地板、30はカメラのアパーチャである。21は複数の羽根で構成される先幕であり、アパーチャ30を覆っている。23はSH装置5の駆動機構部である。
図14は露光開始前の状態を示すSH装置5の背面図(図13に示すSH装置5を背面から見た図)である。同図において、22は先幕21と同じく複数の羽根で構成された後幕であり、撮影開始状態ではシャッタ地板20の上方アパーチャ外に重ねられて待機している。26は後幕22を上下に平行移動させる後幕リンク機構、27は先幕21を上下に移動させる先幕リンク機構である。
図15は駆動機構部23の詳細を示す図である。同図において、24は後幕駆動部であり、SH制御回路4からの電圧によって磁束を発生させる後幕コイル24d、この後幕コイル24dにより発生する磁束によってマグネットとして機能する後幕ヨーク24a、後幕リンク機構26と連動して後幕22を係止する役割をする後幕駆動レバー24c、この後幕駆動レバー24cと一体となって移動して上記後幕ヨーク24aがマグネットとなって磁化された場合にその磁力によって該後幕ヨーク24aに吸着して後幕駆動レバー24cを保持する後幕アマーチャ24b、後幕駆動レバー24cに常に後幕22が下方向へ移動するように付勢力を加えている後幕駆動レバー用スプリング24e、および、後幕駆動レバー24cの回転移動中心である後幕駆動レバー軸24fを有する。
また、25は先幕駆動部であり、SH制御回路4からの電圧によって磁束を発生させる先幕コイル25d、この先幕コイル25dにより発生する磁束によってマグネットとして機能する先幕ヨーク25a、先幕リンク機構27と連動して先幕21を係止する役割をする先幕駆動レバー25c、この先幕駆動レバー25cと一体となって移動して上記先幕ヨーク25aがマグネットとなって磁化された場合にその磁力によって該先幕ヨーク25aに吸着して先幕駆動レバー24cを保持する先幕アマーチャ25b、先幕駆動レバー25cに常に先幕21が下方向へ移動するように付勢力を加えている先幕駆動レバー用スプリング25e、および、先幕駆動レバー24cの回転移動中心である先幕駆動レバー軸25fを有する。
ここで、フォーカルプレーンシャッタであるSH装置5について説明すると、図13および図14の露光開始前状態では、先幕21がアパーチャ30を覆った状態にあり、後幕22がアパーチャ30の上面に重なった状態で待機している。その状態から後幕コイル24d、先幕コイル25dに対して電圧を加えると、後幕ヨーク24aおよび先幕ヨーク25aがマグネットとして機能するようになり、後幕ヨーク24aが後幕アマーチャ24bを、先幕ヨーク25aが先幕アマーチャ25bを、それぞれ吸着する。各アマーチャ24b,25bが吸着されると、後幕駆動レバー24cおよび先幕駆動レバー25cは係止状態となり、露光開始状態を保つ。
その後、露光を開始するために先幕駆動部25の先幕コイル25dに加えられた電圧が切られる。そうなると磁束がなくなり、先幕ヨーク25aがマグネットとして機能しなくなる。これにより係止状態となっていた先幕アマーチャ25bの吸着が解除され、先幕駆動レバー25cが先幕駆動レバー用スプリング25eによって時計回りに回転を始める。このように先幕駆動レバー25cが時計回りに回転を始めることによって先幕リンク機構27も移動を開始し、先幕21が図13,図14において下方向へ平行移動を開始する。そうなるとアパーチャ30に隙間が発生し、不図示のフィルム又は撮像素子への露光開始となる。
次に、上記先幕コイル25dへの通電が切られてから露出演算によって求められたシャッタ秒時が経過すると、後幕駆動部24の後幕コイル24dに加えられた電圧が切られる。そうなると先幕駆動部25と同じように、後幕駆動レバー24cの係止も解除され、後幕22が図14において下方向へ平行移動を開始し、アパーチャ30の前面を覆ってしまい、不図示のフィルム又は撮像素子への露光が終了となる。
ここで、本実施例1の基本的な考えを以下に説明する。
異常露出の要因として最も影響の大きいものは、マグネットとして機能する先幕ヨーク25a(以下、先幕マグネットとも記す)およびマグネットとして機能する後幕ヨーク24a(以下、後幕マグネットとも記す)に対する係止機構(先幕駆動レバー25c、後幕駆動レバー24c)の離脱速度である。その離脱速度を顕著に表すものが、先幕、後幕マグネット通電OFFにより発生する逆起電圧である。この逆起電圧は、係止機構が離脱する初期の少ない移動で発生する電圧である。
そこで、本発明の実施例1では、後述するように、先幕マグネット通電OFFにより発生する逆起電圧波形を、露出時間調整時の逆起電圧波形と比較することによって、露出が適正であるか否かの判定を行うようにしている。そして、比較演算して異常(補正可能)と判定した場合は、比較演算した結果を後幕マグネットOFF時間に反映させる、つまり補正を加えることによって、実際にフィルム又は撮像素子へ露光する前の段階で露出補正を行えるようにして、撮影の失敗を無くし、可能な限り適正露光を得ることを可能にしている。
一方、後幕マグネットに対する係止機構の離脱速度を露出時間調整時の離脱速度と比較して異常と判定したとしても、露出時間の露出補正は不可能である。また、上記のように先幕側の離脱速度を異常と判定して後幕マグネットOFF時間へ補正を加える場合でも、補正量にはおのずと限界が発生する。例えば先幕マグネットの係止機構の離脱速度が速くなり、後幕マグネットのOFF時間が短くなるように補正しようとした場合、後幕マグネットのOFF時間は、先幕マグネットの離脱速度を検出している時間より速くすることはできない。
この場合は本実施例1では、後述するように、異常露出と判定するとシャッタ制御を禁止状態とし、ユーザーに異常であることを知らしめ、再撮影を促すようにしている。これにより、特許文献1のように先幕と後幕の走行状態を検出する専用のセンサを具備する必要がなくなり、カメラをコンパクト化することができる。
図16は図15に示した後幕駆動部24の拡大図であり、同図を用いて、上記の逆起電圧について説明する。図16は、後幕コイル24dに電圧が加えられ、後幕ヨーク24aがマグネットとして機能するようになり、該後幕ヨーク24aが後幕アマーチャ24bを吸着して後幕駆動レバー24cを係止した状態を示している。この状態から後幕コイル24dへの通電が切られると磁束が弱くなり、後幕アマーチャ24bが後幕ヨーク24aから離れようとする。そうなると逆の磁束が発生し、後幕コイル24dが発電機となってコイル両端に電圧が発生する。しかし後幕アマーチャ24bが後幕ヨーク24aから所定の距離離れてしまうと磁束もなくなってしまい、電圧も小さくなってしまう。これが逆起電圧である。
図19を用いて、逆起電圧を矩形波形に変換する動作について説明する。同図(a)のように発生する逆起電圧を、同図(b)に示す計測回路6を通過させることによって、同図(c)に示すように矩形波形へと変換している。この変換回路としては、電圧の変極点を検出する公知の微分回路が良く用いられているが、別の回路を用いても良い。
ここで、詳細な実施例の説明に入る前に、先幕、後幕マグネットの逆起電圧波形と各制御のタイミングを示す図17および図18を用いて、簡単に制御の考え方について説明する。
図17(a)は、露出時間調整時の先幕コイル25aおよび後幕コイル24aへの通電OFF波形と、発生した逆起電圧と、逆起電圧を変換した矩形波形を示している。先幕コイル25aへの通電OFFによって、逆起電圧は小さくなってくるが、先幕アマーチャ25bが先幕ヨーク25aから離れ始めると逆に増加する。その時点で、先幕パルスSPLSはLowからHiへと変化する。さらに、先幕アマーチャ25bが先幕ヨーク25aから所定の距離離れると電圧は小さくなる。その時点で先幕パルスSPLSはHiからLowに変化し、通電OFFから先幕パルスSPLSがLowからHiへ変化した時間ST1と先幕パルスSPLSがHiからLowへ変化した時間ST2をカメラ制御回路1内部の記憶部に記憶する。
後幕22の逆起電圧も、先幕21と同じように、通電OFFから後幕パルスAPLSがLowからHiへ変化した時間AT1とHiからLowへ変化した時間AT2を記憶部に記憶する。
図17(b)は、実露光時の先幕コイル25aおよび後幕コイル24aへの通電OFF波形と、発生した逆起電圧波形と、逆起電圧波形を変換した矩形波形を示している。先幕コイル25aと後幕コイル24aへの通電OFFの時間差がシャッタ秒時となる。
まず、図17(a)と同じように、先幕コイル25aの逆起電圧から、通電OFFから先幕パルスSPLSがLowからHiへ変化した時間T1aと先幕パルスSPLSがHiからLowへ変化した時間T2aを計測する。その結果を基に、最終的な後幕コイル24aへの通電OFFタイミングを計算する。
X=SHT+Z1*(T1a−ST1)+Z2*(T2a−ST2)
X :補正後の露出時間
SHT :演算されたシャッタ秒時
Z1:補正係数(先幕アマーチャ25bが先幕ヨーク25aから離れ始めるまでの時間を補正するための係数)
Z2:補正係数(先幕アマーチャ25bが先幕ヨーク25aから所定距離だけ離れるまでの時間を補正するための係数)
以上の式からも解るように、先幕21の露出時間調整時の逆起電圧と実露光制御時の逆起電圧の時間差(離脱速度差)を演算し、演算結果を後幕コイル24aへの通電OFFタイミングへ露出時間の補正として加えている。
X :補正後の露出時間
SHT :演算されたシャッタ秒時
Z1:補正係数(先幕アマーチャ25bが先幕ヨーク25aから離れ始めるまでの時間を補正するための係数)
Z2:補正係数(先幕アマーチャ25bが先幕ヨーク25aから所定距離だけ離れるまでの時間を補正するための係数)
以上の式からも解るように、先幕21の露出時間調整時の逆起電圧と実露光制御時の逆起電圧の時間差(離脱速度差)を演算し、演算結果を後幕コイル24aへの通電OFFタイミングへ露出時間の補正として加えている。
図18は露光が異常であると判定する場合である。図18(a)は図17(a)と同じであるのでその詳細は省略する。
図18(b)は、実露光時の先幕コイル25aおよび後幕コイル24aへの通電OFF波形と、発生した逆起電圧波形と、逆起電圧波形を変換した矩形波形を示している。先幕コイル25aと後幕コイル24aへの通電OFFの時間差がシャッタ秒時となる。まず、図18(a)と同じように、後幕コイル24aの逆起電圧から、通電OFFから後幕パルスAPLSがLowからHiへ変化した時間T1bと後幕パルスAPLSがHiからLowへ変化した時間T2bを計測する。その結果を基に下記の計算により露出の異常を判定する。
H2max≦Z3*(T1b−AT1)+Z4*(T2b−AT2)
H2min≧Z3*(T1b−AT1)+Z4*(T2b−AT2)
H2max :最大補正不要秒時(最大正常秒時)
H2min :最小補正不要秒時(最小正常秒時)
Z3 :補正係数(後幕アマーチャ24bが後幕ヨーク24aから離れ始めるでの時間を補正するための係数)
Z4 :補正係数(後幕アマーチャ24bが後幕ヨーク24aから所定距離だけ離れるまでの時間を補正するための係数)
以上の式からも解るように、露出時間の補正限界値または露出許容の限界値を超えていないかを、後幕22の露出時間調整時の逆起電圧波形と実露光制御時の逆起電圧波形の時間差(離脱速度差)から演算し、超えた場合は異常と判定し、禁止処理、再露光処理を実行する。
H2min≧Z3*(T1b−AT1)+Z4*(T2b−AT2)
H2max :最大補正不要秒時(最大正常秒時)
H2min :最小補正不要秒時(最小正常秒時)
Z3 :補正係数(後幕アマーチャ24bが後幕ヨーク24aから離れ始めるでの時間を補正するための係数)
Z4 :補正係数(後幕アマーチャ24bが後幕ヨーク24aから所定距離だけ離れるまでの時間を補正するための係数)
以上の式からも解るように、露出時間の補正限界値または露出許容の限界値を超えていないかを、後幕22の露出時間調整時の逆起電圧波形と実露光制御時の逆起電圧波形の時間差(離脱速度差)から演算し、超えた場合は異常と判定し、禁止処理、再露光処理を実行する。
以下、本発明の実施例1に係わるカメラの露出制御動作について、図2ないし図6のフローチャートを用いて説明する。
図2は本発明の実施例1におけるカメラのメイン動作を示すフローチャートである。カメラ制御回路1は、図2のステップS101から動作を開始し、まずステップS102では、スイッチSW1がONか否かを判定し、ONしていなければこのステップに留まる。その後、スイッチSW1がONしたことを判定するとステップS103へ進み、測光回路3を用いて被写体の測光を行う測光制御を実行する。次のステップS104では、カメラに設定されているISO感度を確認する。続くステップS105では、姿勢センサ10からの信号よりカメラの姿勢を検出する。そして、次のステップS106にて、温度センサ9からの信号よりカメラの使用環境温度を検出する。
ステップS107では、カメラ制御回路1は、シャッタの作動回数を確認する。そして、次のステップS108にて、上記ステップS103,S104にて得た測光、ISO感度データを用いて、シャッタ秒時(SHT)及びレンズ絞り(Fno)の演算を行う。続くステップS109では、実際のレリーズ開始を検出する為のスイッチSW2がONか否かを判定する。スイッチSW2がONしていなければステップS117へ進み、スイッチSW1の状態を判定し、もしスイッチSW1がOFFしていれば露光制御を中止するためにステップS102に戻る。スイッチSW1がONのままであればステップS109に戻り、同様の動作を繰り返す。
上記ステップS109にてスイッチSW2がONしていた場合はステップS110へ進み、カメラ制御回路1は、上記ステップS108での演算結果に基づいて、絞り制御回路2を介して絞り装置14を制御して所定の絞りとなるようにレンズ絞り制御を行う。次のステップS111では、先幕コイル25dと後幕コイル24dへ電圧を加え、先幕駆動部25と後幕駆動部24を係止状態とする。そしてステップS112へ進み、ミラー・SHチャージ制御回路7を介してミラー・SHチャージ機構8により光路中にあるミラーを待避状態とする。次のステップS113では、不図示のフィルム又は撮像素子へのシャッタ秒時を制御、つまりSH制御(詳細は後述する)を行う。そして、次のステップS114にて、撮像素子にて得られた画像の画像演算記憶処理を行い(フィルムの場合は何もせずに次のステップへ進む)、続くステップS115にて、上記ステップS113の処理後のシャッタが安定するまでの20msの間待機し(フィルムの場合は撮影した1駒巻上げを行う)、次のステップS116にて、ミラー・SHチャージ制御回路7を介してミラー・SHチャージ機構8によってSH装置5を露光開始状態とするためのSHチャージ、ミラーダウン制御を行う。そして、ステップS102に戻る。
次に、上記ステップS113にて実行されるSH制御について、図3〜図6のフローチャートを用いて説明する。
図3のステップS120からSH制御を開始し、まずステップS121では、図2のステップS108にてSH制御演算で求めたシャッタ秒時SHTを入力する。次のステップS122では、SH制御で使用する各タイマおよび各データをクリアする。続くステップS123では、先幕コイル25dへの通電をOFFにして露光を開始する。そして、次のステップS124にて、シャッタ秒時を計測する為のタイマ3(T3)をスタートさせ、その後はステップS125以降と、ステップS161以降の処理を平行して行う。
まず、ステップS125以降の処理について説明する。ステップS125では、先幕コイル25dに発生する先幕逆起電圧を矩形波形に変換する時間を測定する為のタイマ1(T1)をスタートさせ、次のステップS126にて、先幕パルスSPLSがLow→Hiへ変化するのを待つ。先幕パルスがLow→Hiへ変化するとステップS127へ進み、上記タイマ1をストップさせ、先幕コイル25dへの通電OFFから先幕パルスSPLSがLowからHiへ変化した時間T1a(図17参照)を得てこれを記憶部に記憶する。続くステップS128では、先幕逆起電圧を矩形波形に変換する時間を測定する為のタイマ2(T2)をスタートさせ、次のステップS129にて、先幕パルスSPLSがHi→Lowへ変化するのを待つ。先幕パルスがHi→Lowへ変化するとステップS130へ進み、上記タイマ2をストップさせ、先幕パルスSPLSがHiからLowへ変化した時間T2a(図17参照)を得てこれを記憶部に記憶する。
次のステップS131では、後ほど実行するシャッタ秒時の比較演算結果が、正常な範囲か、補正の可能な範囲か、それとも補正可能範囲外の異常な範囲かを判定する為の異常判定データH1a,H1b,HL1max,HL1min
H1a :シャッタ秒時SHTにおける最大補正不要秒時(最大正常秒時)
H1b :シャッタ秒時SHTにおける最小補正不要秒時(最小正常秒時)
HL1max:シャッタ秒時SHTにおける最大異常秒時
HL1min:シャッタ秒時SHTにおける最小異常秒時
を記憶部から読み出す。これら異常判定データH1a,H1b,HL1max,HL1minは、ステップS121にて入力したシャッタ秒時SHTに応じてそれぞれ複数の値が用意されている。
H1a :シャッタ秒時SHTにおける最大補正不要秒時(最大正常秒時)
H1b :シャッタ秒時SHTにおける最小補正不要秒時(最小正常秒時)
HL1max:シャッタ秒時SHTにおける最大異常秒時
HL1min:シャッタ秒時SHTにおける最小異常秒時
を記憶部から読み出す。これら異常判定データH1a,H1b,HL1max,HL1minは、ステップS121にて入力したシャッタ秒時SHTに応じてそれぞれ複数の値が用意されている。
その後は図4のステップS132へ進み、工場出荷時等での事前の露出時間調整時に求めた、通電OFFから先幕パルスSPLSがLowからHiへ変化した時間ST1と、先幕パルスSPLSがHiからLowへ変化した時間ST2、つまり基準先幕釈放時間を記憶部から入力する。
そして、次のステップS133にて、上記ステップS131で入力されたH1a,H1bと、姿勢センサ10、温度センサ9、シャッタ作動回数の各データを基に、露光制御において露出時間の補正が可能か否かの判定時間となる下記の秒時H1max,H1minを演算する。
H1max=H1a*Y1*Y2*Y3
H1min=H1b*Y1*Y2*Y3
H1max:最終最大補正不要秒時
H1min:最終最小補正不要秒時
Y1 :姿勢係数
Y2 :温度係数
Y3 :シャッタ作動回数係数
なお、先幕21の離脱速度は姿勢、温度、シャッタ作動回数によって影響を受ける。
H1min=H1b*Y1*Y2*Y3
H1max:最終最大補正不要秒時
H1min:最終最小補正不要秒時
Y1 :姿勢係数
Y2 :温度係数
Y3 :シャッタ作動回数係数
なお、先幕21の離脱速度は姿勢、温度、シャッタ作動回数によって影響を受ける。
続くステップS134では、先幕21の補正時間Aの比較演算
A=Z1*(T1a−ST1)+Z2*(T2a−ST2)
を実施する。
A=Z1*(T1a−ST1)+Z2*(T2a−ST2)
を実施する。
次のステップS135では、補正時間Aが最終最大補正不要秒時(H1max)以上であるか否かを判定する。この結果、最終最大補正不要秒時(H1max)より補正時間Aが小さい場合は露出時間の補正は不要と判定してステップS136へ進み、最大補正不要秒時以上の場合は露出時間の補正が必要と判定してステップS166へと進む。
ステップS136へ進むと、補正時間Aが最終最小補正不要秒時(H1min)以下であるかを判定する。ここで最終最小補正不要秒時(H1min)より補正時間Aが大きい場合は補正は不要と判定してステップS137へ進み、最小補正不要秒時以下の場合は露出時間の補正が必要と判定してステップS168へと進む。
ステップS137へ進むと、露出時間の補正が不要と判定された為にここではシャッタ秒時SHTを計測しているタイマ3のタイマ時間T3が該シャッタ秒時SHTに達するまで待機し、タイマ時間T3が所定のシャッタ秒時に達するとステップS138へと進む。そして、ステップS138では、Bの値が1であるかを判定する。この判定は、ステップS125以降とステップS161以降で同時に処理している為、どちらの処理が先に終了したかを判定する為であり、後述する図3のステップS164でB=1が、図4のステップS169でB=2が、それぞれ設定される。ここで、もしB=1の場合は、図3のステップS161以降の処理が先に終了したと判定してステップS172へ進み、シーケンスを停止させる。一方、B=1でない場合はステップS139へと進み、後幕コイル24dの通電をOFFし、図5のステップS140以降の動作を開始する。
次に、図3のステップS161以降、つまりシャッタ秒時が短い場合について説明する。 ステップS161で、タイマ時間T3がシャッタ秒時SHT以上になると所定のシャッタ秒時が終了したと判定してステップS162へと進む。そして、ステップS162にて、後に説明するステップS169にて入力されるBの値の確認を行う。ここで、B=2の場合はシャッタ秒時に補正が可能であると判定してステップS163へ進み、シーケンスを停止させる。
また、上記ステップS162にてB=2でないと判定した場合はステップS164へ進み、ステップS138で判定する為のBへデータ1を入力し、図4のステップS139へと進む。
図4に戻り、ステップS135にて補正時間Aが最終最大補正不要秒時(H1max)以上で、露出時間の補正が必要と判定してステップS166へ進んだ場合は、露出時間の補正可能範囲であるか否かを判定するために補正時間Aとシャッタ秒時SHTにおける最大異常秒時HL1maxを比較し、もし補正時間Aがシャッタ秒時SHTにおける最大異常秒時HL1max以上の場合はシャッタ秒時が異常であると判定してステップS167へ進み、禁止制御(詳細は後述する)を行う。
また、上記ステップS136にて補正時間Aが最終最小補正不要秒時(H1min)以下で、露出時間の補正が必要と判定してステップS168へ進んだ場合は、露出時間の補正可能範囲であるか否かを判定するために補正時間Aとシャッタ秒時SHTにおける最小異常秒時HL1minを比較し、もし補正時間Aがシャッタ秒時SHTにおける最小異常秒時HL1min以下の場合はシャッタ秒時異常と判定してステップS167進み、禁止制御(詳細は後述する)を行う。
上記ステップS166またはステップS168にて、補正範囲内と判定した場合はいずれもステップS169へ進み、Bへ2を入力して、補正演算を実行していることを、図3のステップS162にて判定させる。そして、次のステップS170にて、シャッタ秒時SHTへ補正時間Aを加え、新シャッタ秒時SHT2
SHT2=SHT+A
を演算する。そして、次のステップS171で、タイマ時間T3が新シャッタ秒時SHT2以上になるまで待機し、新シャッタ秒時SHT2に達するとステップS138へ進み、ここではB=2なのでステップS139へと進み、後幕コイル24dの通電をOFFし、図5のステップS140以降の動作を開始する。
SHT2=SHT+A
を演算する。そして、次のステップS171で、タイマ時間T3が新シャッタ秒時SHT2以上になるまで待機し、新シャッタ秒時SHT2に達するとステップS138へ進み、ここではB=2なのでステップS139へと進み、後幕コイル24dの通電をOFFし、図5のステップS140以降の動作を開始する。
図5のステップS140以降は、後幕動作の異常について判定するシーケンスである。図5のステップS140では、SH制御で使用する各タイマおよび各データをクリアする。そして、次のステップS141にて、後幕コイル24dに発生する後幕逆起電圧を矩形波形に変換する時間を測定する為のタイマ1(T1)をスタートさせ、次のステップS142にて、後幕パルスAPLSがLow→Hiへ変化するのを待つ。その後、後幕パルスがLow→Hiへ変化するとステップS143へ進み、上記タイマ1をストップさせ、後幕パルスAPLSがHiからLowへ変化した時間T1b(図18参照)を得てこれを記憶部に記憶する。そして、次にステップS144にて、後幕逆起電圧を矩形波形に変換する時間を測定する為のタイマ2(T2)をスタートさせ、続くステップS145にて、後幕パルスAPLSがHi→Lowへ変化するのを待つ。その後信号がHi→Lowへ変化するとステップS146へ進み、タイマ2をストップさせ、後幕パルスAPLSがHiからLowへ変化した時間T2b(図18参照)を得てこれを記憶部に記憶する。
次のステップS147では、後ほど実行するシャッタ秒時の比較演算結果が異常な範囲かを判定する為の異常判定データH2a,H2bを記憶部から読み出す。これら異常判定データH2a,H2bはシャッタ秒時SHTに応じてそれぞれ複数の値が用意されている。
H2a:シャッタ秒時SHTにおける最大異常秒時
H2b:シャッタ秒時SHTにおける最小異常秒時
そして、次のステップS148にて、露出時間調整時に求めた、通電OFFから後幕パルスAPLSがLowからHiへ変化した時間AT1と後幕パルスAPLSがHiからLowへ変化した時間AT2、つまり基準後幕釈放時間を記憶部から入力する。
H2b:シャッタ秒時SHTにおける最小異常秒時
そして、次のステップS148にて、露出時間調整時に求めた、通電OFFから後幕パルスAPLSがLowからHiへ変化した時間AT1と後幕パルスAPLSがHiからLowへ変化した時間AT2、つまり基準後幕釈放時間を記憶部から入力する。
続くステップS149では、上記ステップS147にて入力した秒時H2a,H2bと、姿勢センサ10、温度センサ9、シャッタ作動回数の各データを基に、露光制御において露出時間が異常であるかの判定時間となる下記の秒時H2max,H2minを演算する。
H2max=H2a*Y1*Y2*Y3
H2min=H2b*Y1*Y2*Y3
H2max:最終最大異常秒時
H2min:最終最小異常秒時
Y1 :姿勢係数
Y2 :温度係数
Y3 :作動回数係数
次のステップS150では、後幕22の離脱時間差の比較演算
C=Z3×(T1b−AT1)+Z4×(T2b−AT2)
C :離脱時間差
を実施する。
H2min=H2b*Y1*Y2*Y3
H2max:最終最大異常秒時
H2min:最終最小異常秒時
Y1 :姿勢係数
Y2 :温度係数
Y3 :作動回数係数
次のステップS150では、後幕22の離脱時間差の比較演算
C=Z3×(T1b−AT1)+Z4×(T2b−AT2)
C :離脱時間差
を実施する。
次のステップS151では、離脱時間差Cが最終最大異常秒時(H2max)以上であるかを判定する。最終最大異常秒時(H2max)より離脱時間差Cが小さい場合は禁止制御は必要ないと判定してステップS153へ進み、最終最大異常秒時(H2max)以上の差の場合は異常と判定してステップS152へ進み、禁止制御(詳細は後述する)を行う。
また、ステップS153へ進むと、離脱時間差Cが最終最小異常秒時(H2min)以下であるかを判定する。最終最小異常秒時(H2min)より大きい場合は禁止制御が不要であると判定してステップS154へ進み、図2のステップS114に戻る。また、最小異常秒時(H2min)以下の場合は異常と判定してステップS152へ進み、禁止制御(詳細は後述する)を行う。
次に、上記図4のステップS167または図5のステップS152にて実行される禁止制御について、図6のフローチャートを用いて説明する。
ステップS180から禁止制御を開始し、まずステップS181では、異常制御の為に後幕コイル24dへの通電をOFFする。そして、次のステップS182にて、外部表示装置11にてエラー表示を行い、続くステップS183にて、ユーザーが異常を確認してエラーを解除する為に全ての外部操作スイッチのうち一つでもON操作されるかを確認する。この外部操作スイッチは、スイッチSW1,SW2のみならず、不図示のその他操作スイッチでも構わない。ここで、外部操作スイッチがONされるとステップS184へと進み、外部表示装置11に表示していたエラー表示を解除する。そしてステップS185へ進み、ミラー・SHチャージ制御回路7を介してミラー・SHチャージ機構8によってSH装置5を露光開始状態とするためのSHチャージ、ミラーダウン制御を行う。その後は図2のステップS102へ戻る。したがって、図2のステップS114〜S116を通らないので、この時の画像処理はなされない。
上記の実施例1によれば、先幕マグネット通電OFFにより発生する逆起電圧波形を、露出時間調整時の逆起電圧波形と比較することによって、露出が適正であるか否かの判定を行う(図4のステップS134〜S136,S166,S168)ようにし、その判定の結果、異常(補正可)と判定した場合は、比較演算した結果を後幕マグネットOFF時間へ補正を加える(図4のステップS170)ことによって、実際のフィルム或は撮像素子へ露光する前の段階で露出補正を行うようにしている。よって、失敗撮影を無くし、適正露光を得ることを可能にしている。
一方、後幕マグネットに対する係止機構の離脱速度を露出時間調整時の離脱速度と比較して異常と判定しても、露出時間の露出補正は不可能である。また、上記のように先幕側の離脱速度を異常と判定して後幕マグネットOFF時間へ補正を加えようとしても、補正量にはおのずと限界が発生する。例えば先幕マグネットの係止機構の離脱速度が速くなり、後幕マグネットのOFF時間が短くなるように補正しようとした場合、後幕マグネットのOFF時間は、先幕マグネットの離脱速度を検出している時間より速くすることはできない。そこで、本実施例1では、従来のように先幕、後幕の走行を検出する為の専用のセンサを設けることなく、異常露出になると判定すると(図4のステップS166,S168のYES)ユーザーに異常であることを知らしめ(図5のステップS182)、再撮影を促すようにしている。よって、大切な撮影シーンが異常露出となってしまうことを防ぐことができる。
つまり、実際の露光時間を検出しなくても(少スペース、低コスト化を可能)、露光する前の段階で露出時間の異常を検出し、露出補正を加え、適正露出を得ることができる。また、異常を検出した場合はユーザーに対して異常を知らしめることができる。
さらに、露出の異常を検出した場合は、撮像素子により撮像されたデータを用いた撮像処理(図2のステップ114での画像演算記録処理を意味する)は行わないようにしているので、適正露出とならない撮影処理を事前に停止することができる。
さらに、露出が異常であるかを判定する為の判定データを、露光制御時間、カメラの姿勢、使用環境温度、シャッタの作動回数によって設定するようにしているので、シャッタ特性による細かな設定が可能となり、より高精度の露出制御が可能となる。
次に、本発明の実施例2に係わるカメラについて説明する。なお、カメラの回路構成は図1と同様であるものとする。
最近のデジタルカメラはフィルムの巻き上げ制御が不要となり、撮影時間に大きく影響している制御は撮像素子のデータを演算記憶処理する時間とシャッタ機構を露出制御開始状態へと導くシャッタチャージ制御時間となっている。
そこで、本発明の実施例2では、上記実施例1と同様の制御に加え、後述するように、異常露出を検出して露出時間の補正が不可能であった場合は、撮像素子のデータ演算記憶処理を停止し、直ちにシャッタチャージ制御を実行し、露出時間を再計算して再露出制御を自動で行うようにすることによって、少ない時間差で適正露出の画像を得ることを可能にするものである。例えばレンズの絞りを1段もしくは2段小さくし、その分の露出時間を長くして異常露出時の露出時間の補正値を加味することによって、離脱速度の変化による影響を少なくし、適性露出の画像を得るようにするものである。
以下、本発明の実施例2に係わるカメラの露出制御動作について、図7ないし図12のフローチャートを用いて説明する。
図7は本発明の実施例2におけるカメラのメイン動作を示すフローチャートである。カメラ制御回路1は、図7のステップS201から動作を開始し、まずステップS202では、スイッチSW1がONか否かを判定し、ONしていなければこのステップに留まる。その後、スイッチSW1がONしたことを判定するとステップS203へ進み、測光回路3を用いて被写体の測光を行う測光制御を実行する。次のステップS204では、カメラに設定されているISO感度を確認する。続くステップS205では、姿勢センサ10からの信号よりカメラの姿勢を検出する。そして、次のステップS206にて、温度センサ9からの信号よりカメラの使用環境温度を検出する。
ステップS207では、カメラ制御回路1は、シャッタの作動回数を確認する。そして、次のステップS208にて、上記ステップS203,S204にて得た測光、ISO感度データを用いて、シャッタ秒時(SHT)及びレンズ絞り(Fno)の演算を行う。続くステップS209では、実際のレリーズ開始を検出する為のスイッチSW2がONか否かを判定する。スイッチSW2がONしていなければステップS216へ進み、スイッチSW1の状態を判定し、もしスイッチSW1がOFFしていれば後述のステップS217へ進む。スイッチSW1がONのままであればステップS209に戻り、同様の動作を繰り返す。
上記ステップS209にてスイッチSW2がONしていた場合はステップS210へ進み、カメラ制御回路1は、上記ステップS208での演算結果に基づいて、絞り制御回路2を介して絞り装置14を制御して所定の絞りとなるようにレンズ絞り制御を行う。次のステップS211では、先幕コイル25dと後幕コイル24dへ電圧を加え、先幕駆動部25と後幕駆動部24を係止状態とする。そしてステップS212へ進み、ミラー・SHチャージ制御回路7を介してミラー・SHチャージ機構8により光路中にあるミラーを待避状態とする。次のステップS213では、撮像素子へのシャッタ秒時を制御、つまりSH制御(詳細は後述する)を行う。そして、次のステップS300にて、撮像素子にて得られた画像の画像演算記憶処理を行い、続くステップS214にて、上記ステップS213の処理後のシャッタが安定するまでの20msの間待機し、次のステップS215にて、ミラー・SHチャージ制御回路7を介してミラー・SHチャージ機構8によってSH装置5を露光開始状態とするためのSHチャージ、ミラーダウン制御を行う。
その後はステップS217へ進み、後述するように図11および図12のシャッタの禁止制御1もしくは禁止制御2を実行することでBに10が入力されるが、ここではBが10であるかを判定する。B=10の場合は禁止制御1もしくは禁止制御2を実行したと判定してステップS218へ進み、B=10以外の場合は禁止制御1もしくは禁止制御2を実行しないと判定してステップS202に戻る。
上記のステップS217にて禁止制御1もしくは禁止制御2を実行したと判定するとステップS218へ進み、ここではユーザーが異常を確認してエラーを解除する為に全ての外部操作スイッチのうち一つでもON操作されたかを確認するまで待機し、外部操作スイッチがONされるとステップS219へ進み、外部表示装置11に表示されているエラー表示を解除し、ステップS202に戻る。
次に、上記ステップS213にて実行されるSH制御について、図8〜図12のフローチャートを用いて説明する。
図8のステップS220からSH制御を開始し、まずステップS221では、図7のステップS108にてSH制御演算で求めたシャッタ秒時のデータであるSHTを入力する。次のステップS222では、SH制御で使用する各タイマおよび各データをクリアする。続くステップS223では、先幕コイル25dへの通電をOFFにして露光を開始する。そして、次のステップS224にて、シャッタ秒時を計測する為のタイマ3(T3)をスタートさせ、その後はステップS225以降と、ステップS261以降の処理を平行して行う。
まず、ステップS225以降の処理について説明する。ステップS225では、先幕コイル25dに発生する先幕逆起電圧を矩形波形に変換する時間を測定する為のタイマ1(T1)をスタートさせ、次のステップS226にて、先幕パルスSPLSがLow→Hiへ変化するのを待つ。先幕パルスがLow→Hiへ変化するとステップS227へ進み、上記タイマ1をストップさせ、先幕コイル25dへの通電OFFから先幕パルスSPLSがLowからHiへ変化した時間T1a(図17参照)を得てこれを記憶部に記憶する。続くステップS228では、先幕逆起電圧を矩形波形に変換する時間を測定する為のタイマ2(T2)をスタートさせ、次のステップS229にて、先幕パルスSPLSがHi→Lowへ変化するのを待つ。先幕パルスがHi→Lowへ変化するとステップS230へ進み、上記タイマ2をストップさせ、先幕パルスSPLSがHiからLowへ変化した時間T2a(図17参照)を得てこれを記憶部に記憶する。
次のステップS231では、後ほど実行するシャッタ秒時の比較演算結果が、正常な範囲か、補正の可能な範囲か、それとも補正可能範囲外の異常な範囲かを判定する為の異常判定データH1a,H1b,HL1max,HL1min
H1a :シャッタ秒時SHTにおける最大補正不要秒時(最大正常秒時)
H1b :シャッタ秒時SHTにおける最小補正不要秒時(最小正常秒時)
HL1max:シャッタ秒時SHTにおける最大異常秒時
HL1min:シャッタ秒時SHTにおける最小異常秒時
を記憶部から読み出す。これら異常判定データH1a,H1b,HL1max,HL1minは、ステップS221にて入力したシャッタ秒時SHTに応じてそれぞれ複数の値が用意されている。
H1a :シャッタ秒時SHTにおける最大補正不要秒時(最大正常秒時)
H1b :シャッタ秒時SHTにおける最小補正不要秒時(最小正常秒時)
HL1max:シャッタ秒時SHTにおける最大異常秒時
HL1min:シャッタ秒時SHTにおける最小異常秒時
を記憶部から読み出す。これら異常判定データH1a,H1b,HL1max,HL1minは、ステップS221にて入力したシャッタ秒時SHTに応じてそれぞれ複数の値が用意されている。
その後は図9のステップS232へ進み、工場出荷時等での事前の露出時間調整時に求めた、通電OFFから先幕パルスSPLSがLowからHiへ変化した時間ST1と、先幕パルスSPLSがHiからLowへ変化した時間ST2、つまり基準先幕釈放時間を記憶部から入力する。そして、次のステップS233にて、上記ステップS131で入力されたH1a,H1bと、姿勢センサ10、温度センサ9、シャッタ作動回数の各データを基に、露光制御において露出時間の補正が可能か否かの判定時間となる下記の秒時H1max,H1minを演算する。
H1max=H1a*Y1*Y2*Y3
H1min=H1b*Y1*Y2*Y3
H1max:最終最大補正不要秒時
H1min:最終最小補正不要秒時
Y1 :姿勢係数
Y2 :温度係数
Y3 :シャッタ作動回数係数
続くステップS234では、先幕21の補正時間Aの比較演算
A=Z1*(T1a−ST1)+Z2*(T2a−ST2)
を実施する。
H1min=H1b*Y1*Y2*Y3
H1max:最終最大補正不要秒時
H1min:最終最小補正不要秒時
Y1 :姿勢係数
Y2 :温度係数
Y3 :シャッタ作動回数係数
続くステップS234では、先幕21の補正時間Aの比較演算
A=Z1*(T1a−ST1)+Z2*(T2a−ST2)
を実施する。
次のステップS235では、補正時間Aが最終最大補正不要秒時(H1max)以上であるか否かを判定する。この結果、最終最大補正不要秒時(H1max)より補正時間Aが小さい場合は露出時間の補正は不要と判定してステップS236へ進み、最大補正不要秒時以上の場合は露出時間の補正が必要と判定してステップS266へと進む。
ステップS236へ進むと、補正時間Aが最終最小補正不要秒時(H1min)以下であるか否かを判定する。ここで最終最小補正不要秒時(H1min)より補正時間Aが大きい場合は補正は不要と判定してステップS237へ進み、最小補正不要秒時以下の場合は露出時間の補正が必要と判定してステップS268へと進む。
ステップS237へ進むと、露出時間の補正が不要と判定された為にここではシャッタ秒時SHTを計測しているタイマ3のタイマ時間T3が該シャッタ秒時SHTに達するまで待機し、タイマ時間T3が所定のシャッタ秒時に達するとステップS238へと進む。そして、ステップS238では、Bの値が1であるかを判定する。この判定は、ステップS225以降とステップS261以降で同時に処理している為、どちらの処理が先に終了したかを判定する為であり、後述の図8のステップS264でB=1が、図9のステップS269でB=2が、それぞれ設定される。ここで、もしB=1の場合は、図8のステップS261以降の処理が先に終了したと判定してステップS272へ進み、シーケンスを停止させる。一方、B=1でない場合はステップS239へと進み、後幕コイル24dの通電をOFFし、図10のステップS240以降の動作を開始する。
次に、図8のステップS261以降、つまりシャッタ秒時が短い場合について説明する。ステップS261で、シャッタ秒時SHTにタイマ時間T3が達すると所定のシャッタ秒時が終了したと判定してステップS262へと進む。そして、ステップS262にて、後に説明するステップS269にて入力されるBの値の確認を行う。ここで、B=2の場合はシャッタ秒時に補正が必要であると判定してステップS263へ進み、シーケンスを停止させる。
また、上記ステップS262にてB=2でないと判定した場合はステップS264へ進み、ステップS238で判定する為のBへデータ1を入力し、図9のステップS239へと進む。
図9に戻り、ステップS235にて補正時間Aが最終最大補正不要秒時(H1max)以上で、露出時間の補正が必要と判定してステップS266へ進んだ場合は、露出時間の補正可能範囲であるか否かを判定するために補正時間Aとシャッタ秒時SHTにおける最大異常秒時HL1maxを比較し、もし補正時間Aがシャッタ秒時SHTにおける最大異常秒時HL1max以上の場合はシャッタ秒時が異常であると判定してステップS267へ進み、禁止制御1(詳細は後述する)を行う。
また、上記ステップS236にて補正時間Aが最終最小補正不要秒時(HL1min)以下で、露出時間の補正が必要と判定してステップS268へ進んだ場合は、露出時間の補正可能範囲であるか否かを判定するために補正時間Aとシャッタ秒時SHTにおける最小異常秒時HL1minを比較し、もし補正時間Aがシャッタ秒時SHTにおける最小異常秒時HL1min以下の場合はシャッタ秒時異常と判定してステップS267進み、禁止制御1(詳細は後述する)を行う。
上記ステップS266またはステップS268にて、補正範囲内と判定した場合はいずれもステップS269へ進み、Bへ2を入力して、補正演算を実行していることを、図8のステップS262にて判定させる。そして、次のステップS270にて、シャッタ秒時SHTへ補正時間Aを加え、新シャッタ秒時SHT2
SHT2=SHT+A
を演算する。そして、次のステップS271で、シャッタ秒時を計測するタイマ3が新シャッタ秒時SHT2を計測するまで待機し、新シャッタ秒時SHT2に達するとステップS238へ進み、ここではB=2なのでステップS239へと進み、後幕コイル24dの通電をOFFし、図10のステップS240以降の動作を開始する。
SHT2=SHT+A
を演算する。そして、次のステップS271で、シャッタ秒時を計測するタイマ3が新シャッタ秒時SHT2を計測するまで待機し、新シャッタ秒時SHT2に達するとステップS238へ進み、ここではB=2なのでステップS239へと進み、後幕コイル24dの通電をOFFし、図10のステップS240以降の動作を開始する。
図10のステップS240以降は、後幕動作の異常について判定するシーケンスである。図10のステップS240では、SH制御で使用する各タイマおよび各データをクリアする。そして、次のステップS241にて、後幕コイル24dに発生する後幕逆起電圧を矩形波形に変換する時間を測定する為のタイマ1(T1)をスタートさせ、次のステップS242にて、後幕逆起動矩形変換波形(APLS)がLow→Hiへ変化するのを待つ。その後、後幕パルスがLow→Hiへ変化するとステップS243へ進み、上記タイマ1をストップさせ、後幕パルスAPLSがHiからLowへ変化した時間T1b(図18参照)を得てこれを記憶部に記憶する。そして、次にステップS244にて、後幕逆起電圧を矩形波形に変換する時間を測定する為のタイマ2(T2)をスタートさせ、続くステップS245にて、後幕パルスAPLSがHi→Lowへ変化するのを待つ。その後、後幕パルスがHi→Lowへ変化するとステップS246へ進み、タイマ2をストップさせ、後幕パルスAPLSがHiからLowへ変化した時間T2b(図18参照)を得てこれを記憶部に記憶する。
次のステップS247では、後ほど実行するシャッタ秒時の比較演算結果が異常な範囲かを判定する為の異常判定データH2a,H2b,HL2max,HL2minを記憶部から読み出す。これら異常判定データH2a,H2bはシャッタ秒時SHTに応じてそれぞれ複数の値が用意されている。
H2a:シャッタ秒時SHTにおける最大異常秒時
H2b:シャッタ秒時SHTにおける最小異常秒時
HL2max:シャッタ秒時SHTにおける最大超異常秒時
HL2min:シャッタ秒時SHTにおける最小超異常秒時
そして、次のステップS248にて、シャッタ秒時調整時に求めた、通電OFFから後幕パルスAPLSがLowからHiへ変化した時間AT1と後幕パルスAPLSがHiからLowへ変化した時間AT2、つまり基準後幕釈放時間を記憶部から入力する。
H2b:シャッタ秒時SHTにおける最小異常秒時
HL2max:シャッタ秒時SHTにおける最大超異常秒時
HL2min:シャッタ秒時SHTにおける最小超異常秒時
そして、次のステップS248にて、シャッタ秒時調整時に求めた、通電OFFから後幕パルスAPLSがLowからHiへ変化した時間AT1と後幕パルスAPLSがHiからLowへ変化した時間AT2、つまり基準後幕釈放時間を記憶部から入力する。
続くステップS249では、上記ステップS247にて入力した秒時H2a,H2bと、姿勢センサ10、温度センサ9、シャッタ作動回数の各データを基に、露光制御において露出時間が異常であるかの判定時間を演算する。
H2max=H2a*Y1*Y2*Y3
H2min=H2b*Y1*Y2*Y3
H2max:最終最大異常秒時
H2min:最終最小異常秒時
Y1 :姿勢係数
Y2 :温度係数
Y3 :作動回数係数
次のステップS250では、後幕22の離脱時間差の比較演算
C=Z3×(T1−AT1)+Z4×(T2−AT2)
を実施する。
H2min=H2b*Y1*Y2*Y3
H2max:最終最大異常秒時
H2min:最終最小異常秒時
Y1 :姿勢係数
Y2 :温度係数
Y3 :作動回数係数
次のステップS250では、後幕22の離脱時間差の比較演算
C=Z3×(T1−AT1)+Z4×(T2−AT2)
を実施する。
続くステップS251では、離脱時間差Cが最終最大異常秒時(H2max)以上であるか否かを判定する。最終最大異常秒時(H2max)より離脱時間差Cが小さい場合は禁止制御1または禁止制御2は不要であると判定してステップS253へ進み、最終最大異常秒時(H2max)以上の場合は禁止制御1または2が必要であると判定してステップS252へ進む。
ステップS253では、離脱時間差Cが最終最小異常秒時(H2min)以下であるか否かを判定する。最終最小異常秒時(H2min)より大きい場合は禁止制御1または2は不要であると判定してステップS256へ進み、メインフローへリターンする。また、最小異常秒時(H2min)以下の場合は禁止制御1または2が必要であると判定してステップS255へ進む。
上記ステップS251からステップS252へ進んだ場合は、離脱時間差Cが超異常範囲であるか否か(C≧HL2max)を判定する。もし離脱時間差Cがシャッタ秒時SHTにおける最大超異常秒時(HL2max)以上の場合はシャッタ秒時異常と判定してステップS254の禁止制御1へと進む。
また、上記ステップS255へ進んだ場合は、離脱時間差Cが超異常範囲であるか否か(C≦HL2min)を判定する。もし離脱時間差Cがシャッタ秒時SHTにおける最小超異常秒時(HL2min)以下の場合はシャッタ秒時異常と判定してステップS254の禁止制御1へと進む。
また、上記ステップS252またはステップS255にて露出時間の異常範囲内と判定した場合はいずれもステップS257へと進み、禁止制御2(詳細は後述する)を実行する。
次に、上記図9のステップS267および図10のステップS254にて実行される禁止制御1について、図11のフローチャートを用いて説明する。この禁止制御1は、シャッタ秒時の離脱時間差データが正常範囲以上に変化した場合の制御である。
ステップS280から禁止制御1を開始し、まずステップS281にて、異常制御の為に後幕コイル24dへの通電をOFFする。そして、次のステップS282では、外部表示装置11にエラー表示を行い、続くステップS283にて、禁止制御1を実行したのでBへ10を入力する。その後はステップS284へ進み、図7のステップS208にて実行したSH制御演算の再計算を行う。この再計算を行う場合は、シャッタ秒時の影響を少なくする為にレンズ絞りデータFnoを、上記ステップS208にて演算した絞りデータより例えば2段絞った状態で演算を行う。2段絞ることによってシャッタ秒時は4倍長くなり、先幕係止機構、後幕係止機構の離脱速度による影響を少なくすることが可能となる。
次のステップS285では、ミラー・SHチャージ制御回路7を介してミラー・SHチャージ機構8によってSH装置5を露光開始状態とするためのSHチャージ、ミラーダウン制御を行い、図7のステップS210へ戻る。図7のステップS210以降を実行することによって、ユーザーの露光開始操作であるスイッチSW2のONが無くても、自動的に露光制御を実行することになる。
次に、上記図10のステップS257にて実行される禁止制御2について、図12のフローチャートにより説明する。この禁止制御2は、先幕係止機構の離脱時間は問題なかったが、後幕係止機構の離脱時間が比較的小さな異常範囲内の変化であった場合の制御である。
ステップS290から禁止制御2を開始し、まずステップS291にて、異常制御の為に後幕コイル24dへの通電をOFFする。次のステップS292では、外部表示装置11へエラー表示を行い、続くステップS293にて、禁止制御2を実行したのでBへ10を入力する。その後はステップS294へ進み、図7のステップS208にて実行したSH制御演算の再計算を行う。この再計算を行う場合は、シャッタ秒時の影響を少なくする為にレンズ絞りデータFnoを、上記ステップS208にて演算した絞りデータより例えば1段絞った状態で演算を行う。1段絞ることによってシャッタ秒時は2倍長くなり、先幕係止機構、後幕係止機構の離脱速度による影響を少なくすることが可能となる。
次のステップS295では、上記ステップS208にて演算されたシャッタ秒時SHTから図10のステップS250で計算した後幕離脱時間差Cを減算(1段絞るだけでは、せっかく測定したT1b,T2bを反映させることはできないため、後幕離脱時間差Cを減算している)して、シャッタ秒時SHTの再計算を実行する。そして、次のステップS296にて、ミラー・SHチャージ制御回路7を介してミラー・SHチャージ機構8によってSH装置5を露光開始状態とするためのSHチャージ、ミラーダウン制御を行い、図7のステップS210に戻る。図7のステップS210以降を実行することによって、ユーザーの露光開始操作であるスイッチSW2のONが無くても、自動的に露光制御を実行することになる。
上記の実施例2によれば、先幕マグネット通電OFFにより発生する逆起電圧波形を、露出時間調整時の逆起電圧波形と比較することによって、露出が適正であるか否かの判定を行うようにし(図9のステップS234〜S236,S266,S268)、その判定の結果、適正でない(補正可)と判定した場合は、比較演算した結果を後幕マグネットOFF時間へ補正を加える(図9のステップS270)ことによって、実際の撮像素子へ露光する前の段階で露出補正を行うようにしている。よって、失敗撮影を無くし、適正露光を得ることを可能にしている。
また、従来のように先幕、後幕の走行を検出する為の専用のセンサを設けることなく異常露出となることを検出可能とする(図10のステップS235,S236のYES)とともに、異常露出となることを検出して露出時間の補正を行おうとしても補正ができない場合には、撮像素子のデータ演算記憶処理を行わず、直ちにシャッタチャージ制御を実行し、露出時間を再計算して再露出制御を自動的に行うようにしている(図9のステップS267、図10のステップS254,S257)ので、少ない時間差(タイムラグ)で適正露出の画像を得ることが可能である。
つまり、実際の露光時間を検出しなくても、露光する前の段階で露出時間の異常を検出し、露出補正を加え、適正露出を得ることができ、露出異常になることを検出した場合はユーザーに対して異常を知らしめると共に、検出されたデータを基に自動的に再露出制御を実行するようにしているので、適正露光の撮影を行うことが可能となる。
さらに、露出が異常であるかを判定する為の判定データを、露光制御時間、カメラの姿勢、使用環境温度、シャッタの作動回数によって設定するようにしているので、シャッタ特性による細かな設定が可能となり、より高精度の露出制御が可能となる。
1 カメラ制御回路
2 絞り制御回路
3 測光回路
4 SH制御回路
5 SH装置
6 計測回路
7 ミラー・SHチャージ制御回路
8 ミラー・SHチャージ機構
9 温度センサ
10 姿勢センサ
11 外部表示装置
14 絞り制御装置
21 先幕
22 後幕
23 SH駆動部
24 後幕駆動部
25 先幕駆動部
2 絞り制御回路
3 測光回路
4 SH制御回路
5 SH装置
6 計測回路
7 ミラー・SHチャージ制御回路
8 ミラー・SHチャージ機構
9 温度センサ
10 姿勢センサ
11 外部表示装置
14 絞り制御装置
21 先幕
22 後幕
23 SH駆動部
24 後幕駆動部
25 先幕駆動部
Claims (13)
- 露出時間を算出する演算手段と、
前記演算手段にて得られた露出時間を基にシャッタ手段を制御する制御手段と、
を有するカメラにおいて、
前記制御手段による前記シャッタ手段の駆動制御時に該シャッタ手段自体に発生する電気量の変化を計測する計測手段と、
前記計測手段にて得られる計測データと基準計測データとを比較演算し、その結果から前記演算手段により得られた露出時間で適正露出が得られるか否かを判定する判定手段と、
を有することを特徴とするカメラ。 - 前記判定手段により適正露出が得られないと判定された場合は、前記計測データを基に前記露出時間に補正を加える露出時間補正手段を有することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
- 前記判定手段により適正露出が得られないと判定された場合は、前記露出時間の間に撮像素子により撮像されたデータの撮像処理を行わないようにしたことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
- 前記撮像処理が行われなかった場合、前記演算手段にて得られる前記露出時間を変化させ、自動的に再撮影制御を実行することを特徴とする請求項3に記載のカメラ。
- 前記判定手段により適正露出が得られないと判定された場合、警告動作を行う警告手段を有することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
- 前記シャッタ手段は、先幕用アクチュエータと後幕用アクチュエータを具備し、該各アクチュエータは通電オンで先幕及び後幕を吸着保持、通電オフで釈放する構成のフォーカルプレーンシャッタであり、
前記シャッタ手段の駆動制御時に該シャッタ手段自体に発生する電気量の変化とは、前記通電オフされることにより前記各アクチュエータから釈放される先幕及び後幕の離脱速度に相応した、前記各アクチュエータの構成部品であるコイルに発生する逆起電圧の変化であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のカメラ。 - 前記判定手段は、露出時間調整時に得られた先幕用の基準計測データと露出制御時の先幕用の計測データを比較演算し、比較演算結果が最小側のしきい値である第1所定値と最大側のしきい値である第2所定値の範囲内にない場合に、前記演算手段により得られた露出時間では適正露出が得られないと判定することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のカメラ。
- 前記第1所定値及び第2所定値は、露出制御時間、カメラの姿勢を検出する姿勢検出手段で検出された姿勢データ、温度検出手段で検出されたカメラの使用時の温度データ、前記シャッタ手段の作動回数データ、のうちの少なくとも一つに対応して変化することを特徴とする請求項7に記載のカメラ。
- 前記露出時間補正手段は、前記後幕用アクチュエータの通電オフのタイミングを変化させることにより前記露出時間を補正することを特徴とする請求項7に記載のカメラ。
- 露出時間を算出する演算行程と、
前記演算手段にて得られた露出時間を基にシャッタ手段を制御する制御行程と、
を有するカメラの露出制御方法において、
前記制御行程による前記シャッタ手段の駆動制御時に該シャッタ手段自体に発生する電気量の変化を計測する計測行程と、
前記計測行程にて得られる計測データと基準計測データとを比較演算し、その結果から前記演算行程により得られた露出時間で適正露出が得られるか否かを判定する判定行程と、
を有することを特徴とするカメラの露出制御方法。 - 前記判定行程により適正露出が得られないと判定された場合は、前記計測データを基に前記露出時間に補正を加える露出時間補正行程を有することを特徴とする請求項10に記載のカメラの露出制御方法。
- 前記判定行程により適正露出が得られないと判定された場合、前記演算行程にて得られる前記露出時間を変化させ、自動的に再撮影制御を実行することを特徴とする請求項10に記載のカメラの露出制御方法。
- 前記判定行程により適正露出が得られないと判定された場合、警告動作を行う警告行程を有することを特徴とする請求項10に記載のカメラの制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005065529A JP2006251170A (ja) | 2005-03-09 | 2005-03-09 | カメラおよびカメラの露出制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005065529A JP2006251170A (ja) | 2005-03-09 | 2005-03-09 | カメラおよびカメラの露出制御方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2006251170A true JP2006251170A (ja) | 2006-09-21 |
Family
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2005065529A Pending JP2006251170A (ja) | 2005-03-09 | 2005-03-09 | カメラおよびカメラの露出制御方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006251170A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008271284A (ja) * | 2007-04-23 | 2008-11-06 | Canon Inc | 撮像装置 |
JP2009092889A (ja) * | 2007-10-05 | 2009-04-30 | Canon Inc | 撮像装置及びその制御方法 |
JP2009288706A (ja) * | 2008-05-30 | 2009-12-10 | Canon Inc | 撮像装置及びその制御方法 |
-
2005
- 2005-03-09 JP JP2005065529A patent/JP2006251170A/ja active Pending
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