以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。ただし、本形態において例示される構成部品の寸法、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明がそれらの例示に限定されるものではない。
●撮像システムの構成
図1は、本発明の実施の形態における撮像システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態の撮像システムは、主にカメラ本体100と、交換レンズタイプのレンズユニット300により構成されている。
カメラ本体100には、図1に示すように、カメラ本体100に着脱自在であって、焦点距離可変機構および焦点合わせ機構(不図示)を有する交換レンズタイプのレンズユニット300が取り付けられている。
レンズユニット300において、310は光学レンズ、312は絞りである。306はレンズユニット300をカメラ本体100と機械的に結合するレンズマウントであり、レンズマウント306と、後述するカメラ本体100のカメラマウント106とは、例えばフランジ形状等の互いに結合可能な形状をしている。このレンズマウント306とカメラマウント106が結合することにより、カメラ本体100にレンズユニット300が装着される。
また、レンズユニット300のレンズ信号接点322がカメラ本体100のカメラ信号接点122と接触することで、レンズユニット300とカメラ本体100は電気的に接続される。レンズ信号接点322は、カメラ本体100とレンズユニット300との間で制御信号、状態信号、データ信号などを伝え合うと共に、各種電圧の電流を供給されるあるいは供給する機能も備えている。また、レンズ信号接点322は電気通信のみならず、光通信、音声通信などを伝達する構成としても良い。
340は、後述する測光制御部46からの測光情報に基づいて、後述するカメラ本体100のシャッタ12を制御するシャッタ制御部40と連携しながら、絞り312を制御する絞り制御部である。342は焦点調節動作のために光学レンズ310の焦点距離可変機構の制御をするフォーカス制御部である。
350はレンズユニット300全体を制御するレンズシステム制御回路である。レンズシステム制御回路350は、動作用の定数、変数、プログラムなどを記憶するメモリを備えている。更に、レンズユニット300固有の番号などの識別情報、管理情報、開放絞り値や最小絞り値、焦点距離などの機能情報、現在や過去の各設定値などを保持する不揮発メモリも備えている。
絞り制御部340、フォーカス制御部342、レンズシステム制御回路350は、I/F320及びレンズ信号接点322を介して、カメラ本体100と相互に通信を行うことができる。カメラ本体100では、レンズ着脱検知回路124によりレンズユニット300の着脱が検知される。
次に、カメラ本体100の構成について説明する。
106はカメラ本体100とレンズユニット300を機械的に結合するレンズマウント、124はレンズ着脱検知回路であり、レンズ着脱検知回路124によりレンズユニット300の着脱が検知され、検知信号が後述するシステム制御回路50に入力される。130、132はミラーで、光学レンズ310に入射した光線を一眼レフ方式によって光学ファインダ104に導く。なお、ミラー130は回転可能に配設されたクイックリターンミラーの構成としても、ハーフミラーの構成としても、どちらでも構わないが、ここではクイックリターンミラーであるものとして説明する。クイックリターンミラー130は、ミラーダウン状態(図1の状態)で光学レンズ310を通過した光(以下、「入射光」と呼ぶ。)を上方へ反射する。そして、入射光はミラー132を介して被写体像を確認するための光学ファインダ104へと導かれる。なお、ミラー132の代わりに、ペンタプリズムにより構成しても良い。
また、ミラーアップ状態(不図示)では、入射光はクイックリターンミラー130に反射されることなく、シャッタ制御部40によって制御されるメカシャッタ12を介して撮像素子14の方へと導かれる。このように、クイックリターンミラー130は入射光の経路を切り替える働きをする。なお、ミラー130を固定式のハーフミラーで構成した場合、入射光は分光されて、ミラー132と撮像素子14の方へそれぞれ導かれる。また、メカニカルシャッタ(以下、「メカシャッタ」と呼ぶ。)12は、本実施の形態では、先幕と後幕とを備えたフォーカルプレレーンシャッタとする。
撮像素子14は、その撮像面に結像された光学像を電荷に変換し、対応する電気信号を出力する。撮像素子14は、変換された電荷をリセットするリセット走査により電子的に先幕を構成することができる。以下、リセット走査による先幕を「電子先幕」呼び、メカシャッタ12の先幕及び後幕を、単に「先幕」及び「後幕」、または「メカ先幕」及び「メカ後幕」と呼ぶ。
16は、撮像素子14から出力されるアナログ信号をデジタル信号(以下、「画像データ」と呼ぶ。)に変換するA/D変換器である。18は撮像素子14、A/D変換器16、D/A変換器26にそれぞれクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生回路であり、メモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御される。
撮像素子14から出力された電気信号は、A/D変換器16により画像データに変換された後に、画像処理回路20またはメモリ制御回路22に入力される。画像処理回路20は、A/D変換器16からの画像データまたはメモリ制御回路22からの画像データに対して、例えば、ゲイン補正や、画素補間処理、色変換処理等の所定の画像処理を施す。
メモリ制御回路22は、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30、圧縮伸長回路32を制御する。また、メモリ制御回路22は、A/D変換器16から直接入力された画像データをメモリ30または画像表示メモリ24に書き込む処理を行うとともに、メモリ30または画像表示メモリ24から画像データを読み出す処理を行う。
24は画像表示メモリ、28はTFT方式のLCD等から成る画像表示部であり、画像表示メモリ24には画像表示部28に表示するための画像データが書き込まれる。そしてこの表示用の画像データを画像表示メモリ24から読み出し、D/A変換器26を介して画像表示部28に表示する。画像表示部28を用いて、撮像した画像データを逐次表示することで、電子ビューファインダ(EVF)を実現することができる。また、画像表示部28は、システム制御回路50の指示により任意に表示をON/OFFすることが可能であり、表示をOFFにした場合にはカメラ本体100の電力消費を大幅に低減することができる。
メモリ30は撮像した画像データを格納するためのメモリであり、所定枚数の画像データを格納可能な十分な記憶容量を有し、また、システム制御回路50の作業領域としても使用される。
32は適応離散コサイン変換(ADCT)等、公知の圧縮方法を用いて画像データを圧縮伸長する圧縮伸長回路である。圧縮伸長回路32は、メモリ30に格納された画像を読み込んで圧縮処理或いは伸長処理を行い、処理を終えたデータを再びメモリ30に書き込む。
50はカメラ本体100全体を制御するシステム制御回路であり、周知のCPUなどを内蔵する。システム制御回路50は、メモリ52に格納されているプログラム、定数および変数データなどに従いカメラ本体100全体を制御する。
このシステム制御回路50による制御の1つに、スルー・ザ・レンズ(TTL)のオートフォーカス(AF)処理、自動露出(AE)処理、フラッシュプリ発光(EF)処理の各処理に用いられる制御信号を生成するものがある。この制御により生成された各制御信号はシャッタ制御部40、焦点調節部42、測光制御部46、フラッシュ48に供給される。
焦点調節部42は、システム制御回路50からの制御信号に基づき、被写体像を合焦させるための信号を発生する。そして、この信号がシステム制御回路50、I/F120、各信号接点122、322、I/F320を介してフォーカス制御部342に送られ、合焦状態になるように光学レンズ310の焦点合わせ機構を駆動する。
測光制御部46は、入射光の強さ(撮影する被写体の明るさ)を測定する。システム制御回路50は測光制御部46により測定された測光値を基に露光時間と絞り値を決定し、各制御信号をシャッタ制御部40と絞り制御部340に送信する。このように、システム制御回路50が決定手段として機能する。このシステム制御回路50からの制御信号に基づいて、シャッタ制御部40がメカシャッタ12による露光時間を調整し、絞り制御部340が絞り312を制御することにより、露光量が制御される。更に、電子シャッタを用いて露光量を制御する場合には、タイミング発生回路18を制御して撮像素子14をリセット走査する。即ち、システム制御回路50、シャッタ制御部40、タイミング発生回路18により露光制御手段が構成される。
フラッシュ48は、AF補助光の投光機能、フラッシュ調光機能を有し、システム制御回路50からの制御信号に基づいて対応する光量のフラッシュ光を発光する。
また、システム制御回路50は、設定された撮影モードや動作状態などの情報や、メッセージを通知部54を介して通知するための制御を行う。この通知部54は、文字、画像、音声などを用いて動作状態やメッセージなどを通知できるように、液晶表示装置(LCD)、発音素子、発光ダイオード(LED)などのうち、1つ以上の組み合わせにより構成されている。また、通知部54の一部は光学ファインダ104内に組み込まれている。
通知部54のうち、LCDに表示される内容としては、以下のものがある。まず、単写/連写撮影表示、セルフタイマ表示等、撮影モードに関する表示がある。また、圧縮率表示、記録画素数表示、記録枚数表示、残撮影可能枚数表示等の記録に関する表示がある。また、シャッタスピード表示、絞り値表示、露出補正表示、フラッシュ表示、赤目緩和表示等の撮影条件に関する表示がある。その他に、マクロ撮影表示、ブザー設定表示、時計用電池残量表示、電池残量表示、エラー表示、複数桁の数字による情報表示、記録媒体200及び210の着脱状態表示がある。更に、レンズユニット300の着脱状態表示、通信I/F動作表示、日付・時刻表示、外部コンピュータとの接続状態を示す表示等も行われる。
また、通知部54の表示内容のうち、光学ファインダ104内に表示するものとしては、例えば、以下のものがある。合焦表示、撮影準備完了表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、フラッシュ充電完了表示、シャッタスピード表示、絞り値表示、露出補正表示、記録媒体書き込み動作表示等である。
さらに、通知部54の表示内容のうち、LED等により表示するものとしては、例えば、以下のものがある。合焦表示、撮影準備完了表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、フラッシュ充電完了表示、記録媒体書き込み動作表示、マクロ撮影設定通知表示、二次電池充電表示等である。
また、通知部54の表示内容のうち、ランプ等に表示するものとしては、例えば、セルフタイマ通知ランプ等がある。このセルフタイマ通知ランプはAF補助光と共用してもよい。
さらに、システム制御回路50は、通信部110を介して外部装置との間で画像データを送受するための制御を行う。この通信部110は、RS232C、USB、IEEE1394、SCSI、LAN、モデム、無線通信などによる通信機能を有し、通信部110には外部装置を接続するためのコネクタ(無線通信の場合にはアンテナ)112が備えられている。
58はタイマー(時間計測手段)であり、操作部70で設定されたシャッタ秒時に合わせてシャッタ制御部40を制御して、露光時間を制御するのに用いられる。また、シャッタ制御部40で制御されるメカシャッタ12の後幕コイルの通電開始から通電解除までの通電時間、後幕コイルの通電解除から次の露光開始(SW2ON)までの経過時間をカウント(計測)することもできる。さらに、カウントした時間を不揮発性メモリ56(EEPROM)に一時的に記憶保持させることもできる。
システム制御回路50に対する動作指示の入力には、モードダイアル60、シャッタスイッチ62、操作部70、電源スイッチ72が用いられる。
60はモードダイアルで、自動撮影モード、プログラム撮影モード、シャッタ速度優先撮影モード、絞り優先撮影モード、マニュアル撮影モード、焦点深度優先(デプス)撮影モード等の各機能撮影モードを切り替え設定することができる。他に、ポートレート撮影モード、風景撮影モード、接写撮影モード、スポーツ撮影モード、夜景撮影モード、パノラマ撮影モードなどの各機能撮影モードを切り替え設定することもできる。
シャッタスイッチ62はスイッチSW1とスイッチSW2とからなる多段スイッチである。シャッタスイッチ62を所定量押し下げると(例えば半押し)スイッチSW1がオン動作し、さらにシャッタスイッチ62を押し下げると(例えば全押し)スイッチSW2がオン動作する。スイッチSW1のオン動作により、AF処理、AE処理、EF処理などの開始を指示する信号が出力される。また、スイッチSW2のオン動作により撮像素子14から読み出した信号を画像データとして記録媒体200、210に書き込むまでの、露光処理、現像処理、及び記録処理からなる一連の撮影動作の開始を指示する信号が出力される。まず、露光処理では、クイックリターンミラー130をアップし、メカシャッタ12を駆動し、撮像素子14において光電変換された信号を読み出し、読み出した信号をA/D変換器16、メモリ制御回路22を介して画像データをメモリ30に書き込む。そして、現像処理では画像処理回路20やメモリ制御回路22において演算を用いた現像処理を行い、処理した画像データを再びメモリ30に書き込む。更に、記録処理では、メモリ30から画像データを読み出し、圧縮伸長回路32で圧縮を行い、圧縮後の画像データを記録媒体200あるいは210に書き込む。
操作部70は、各種ボタンやダイアルなどから構成されている。一例として、メニューボタン、セットボタン、再生ボタン、消去ボタン、ジャンプボタン、露出補正ボタン、単写/連写モード切替ボタン、測光モード切替ボタンを含む。更に、AFモード切替ボタン、WBモード切替ボタン、ISO感度設定ボタン、メイン電子ダイアル、サブ電子ダイアル、EVFにより被写体をEVFを用いて観察する(以下、「ライブビューモード」と呼ぶ。)ためのライブビューモードボタンなども設けられている。ここで、例えばメニューボタンが押下されると、通知部54や画像表示部28に設定画面が表示され、この設定画面上で上記ボタン等を用いて設定する項目を選択することができる。
また、本実施の形態では、設定画面において、後述する通常撮影モード、電子先幕撮影モード、メカ先幕・メカ後幕モードのいずれかを選択、設定することができる。
モードダイアル60や操作部70などで設定された変数、モードなどは、EEPROMなどからなる不揮発性メモリ56(EEPROM)に格納される。
また、操作部70に含まれる標準設定状態設定部を操作することで、使用者が所望の設定状態(撮影モード、露出補正値、単写/連写モード、測光モード、AFモード、WBモード、ISO感度等の設定状態)を標準設定状態として設定することができる。このカメラの標準設定状態データは、不揮発性メモリ56(EEPROM)に格納される。
72は電源スイッチであり、カメラ本体100の電源オン、電源オフの各モードを切り替え設定することができる。また、カメラ本体100に接続されたレンズユニット300、外部フラッシュ、記録媒体200、210等の各種付属装置の電源オン、電源オフの設定も合わせて切り替え設定可能である。
システム制御回路50には、電源制御部80から電力が供給される。電源制御部80はシステム制御回路50からの指示に基づき電源86からの電力を各部へ供給する。電源制御部80と電源86とは、接点82、84を介して接続されている。電源86としては、例えば、アルカリ電池等の一次電池、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池、ACアダプタなどを使用することができる。
メモリ30に書き込まれた画像データ(圧縮後の画像データ)は、各インターフェース(I/F)90、94およびコネクタ92、96を介して接続される記録媒体200、210に書き込まれる。
記録媒体200、210は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体である。この記録媒体200及び210は、それぞれ、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部202及び212、カメラ本体100とのインターフェース204及び214、カメラ本体100と接続を行うコネクタ206及び216を備えている。
なお、本実施の形態では、2つの記録媒体200、210を装着可能に構成しているが、これに限定されることはなく、1つまたは3つ以上の記録媒体を装着可能に構成しても良い。
なお、本実施の形態における撮像装置として、レンズ交換式の一眼レフタイプのデジタルカメラであるものとして説明したが、レンズや鏡筒が本体と一体化されたカメラであってもよい。
●メカシャッタの構成
次に、メカシャッタ12の構成について図2〜図5を参照しながら説明する。図2〜図5は、いずれもメカシャッタ12がカメラ本体100に組み込まれた状態において、被写体側から見た略左半分を示した平面図である。図2はオーバーチャージ状態、すなわち、後述するチャージレバーによって先幕と後幕がチャージされた状態を示している。また、図3は後述するヨークとコイルによって先幕と後幕が電磁力により初期位置に保持されている走行前待機状態、図4は先幕走行完了状態、図5は後幕走行完了状態を示している。
図2〜図5において、1はシャッタ地板であり、先幕羽根群2aおよび後幕羽根群6a(図5)の駆動機構を構成する各部品が取り付けられている。1aは被写体光束が通過するアパーチャであり、シャッタ地板1に形成されている。
シャッタ地板1の表面に設けられた先幕軸1bには、先幕駆動レバー(駆動部材)2が回動可能に支持されている。先幕軸1bの外周にはねじりコイルバネ(不図示)が配置されており、このねじりコイルバネは先幕駆動レバー2を図2中の時計回り方向(先幕羽根群2aを走行させる方向)に付勢している。
先幕駆動レバー2の先端部には先幕駆動ピン(不図示)が形成されており、先幕駆動ピンはシャッタ地板1に形成された先幕溝部1cを貫通して不図示の先幕駆動アームと係合している。先幕駆動アームは、リンク機構を介して先幕羽根群2aと連結している。先幕羽根群2aは複数のシャッタ羽根で構成されている。
先幕駆動レバー2の回動によって先幕駆動ピンが先幕溝部1cに沿って移動すると、先幕駆動アームが回動して先幕羽根群2aを展開させたり、重畳させたりする。なお、先幕駆動レバー2は、先幕溝部1cによって回動範囲が制限されている。
また、先幕駆動レバー2には先幕アマチャ支持部2bが設けられている。先幕アマチャ支持部2bに形成された不図示の貫通孔部には、貫通孔部の内径よりも大きなフランジ部を有し、先幕アマチャ3に対して一体的に取り付けられた先幕アマチャ軸3aが係合している。先幕アマチャ軸3aは、先幕アマチャ3の吸着面に対して略直交方向に延びている。
先幕アマチャ3と先幕アマチャ支持部2bの間であって、先幕アマチャ軸3aの外周には、圧縮バネ(不図示)が配置されており、先幕アマチャ3およびアマチャ支持部2bを互いに離す方向(図2の上下方向)に付勢している。
3bは弾性変形可能な先幕衝撃吸収ゴム(衝撃吸収部材)であり、先幕アマチャ支持部2bと先幕アマチャ軸3aとの間であって、先幕アマチャ軸3aの長手方向と略直交する面内に配置されている。先幕衝撃吸収ゴム3bは、オーバーチャージ状態から走行開始状態に移行する際に先幕アマチャ支持部2bが先幕アマチャ軸3aに直接突き当たるのを阻止し、弾性変形する。これにより先幕アマチャ支持部2bから先幕アマチャ軸3aに加わる衝撃を吸収する。
4は先幕ヨーク(電磁部材)、5は先幕ヨーク4の外周に設けられた先幕コイル(電磁部材)である。先幕コイル5に電圧を印加すると、先幕ヨーク4に磁力を発生させることができ、この磁力によって先幕アマチャ3を吸着する。これにより、図2に示すオーバーチャージ後にチャージレバー10が反時計回りに回動した後も、先幕羽根群2aによりアパーチャ1を遮蔽する初期位置(図3の走行前待機状態)に保つことができる。このように、先幕アマチャ3、先幕ヨーク4、先幕コイル5からなる先幕保持機構により、先幕羽根群2a(先幕)を初期位置に保持することができる。
シャッタ地板1の表面に設けられた後幕軸1dには、後幕駆動レバー(駆動部材)6が回動可能に支持されている。後幕軸1dの外周にはねじりコイルバネ(不図示)が配置されており、このねじりコイルバネは後幕駆動レバー6を図2中の時計回り方向(後幕羽根群を走行させる方向)に付勢している。
後幕駆動レバー6の先端部には後幕駆動ピン(不図示)が形成されており、後幕駆動ピンはシャッタ地板1に形成された後幕溝部1eを貫通して不図示の後幕駆動アームと係合している。後幕駆動アームは、リンク機構を介して後幕羽根群6a(図2〜図4では重畳状態にある)と連結している。後幕羽根群6aは複数のシャッタ羽根で構成されている。
後幕駆動レバー6の回動によって後幕駆動ピンが後幕溝部1eに沿って移動すると、後幕駆動アームが回動して後幕羽根群6aを展開させたり、重畳させたりする。上述した先幕羽根群2aの動作と、この後幕羽根群6aの動作とによって、アパーチャ1aを開き状態(被写体光束を通過させる状態)にしたり、閉じ状態(被写体光束を概ね遮断する状態)にしたりすることができる。なお、後幕駆動レバー6は、後幕溝部1eによって回動範囲が制限されている。
また、後幕駆動レバー6には後幕アマチャ支持部6bが設けられている。後幕アマチャ支持部6bに形成された不図示の貫通孔部には、貫通孔部の内径よりも大きなフランジ部を有し、後幕アマチャ7に対して一体的に取り付けられた後幕アマチャ軸7aが係合している。後幕アマチャ軸7aは、後幕アマチャ7の吸着面に対して略直交方向に延びている。
後幕アマチャ7と後幕アマチャ支持部6bの間であって、後幕アマチャ軸7aの外周には、圧縮バネ(不図示)が配置されており、後幕アマチャ7および後幕アマチャ支持部6bを互いに離す方向(図2の上下方向)に付勢している。
7bは弾性変形可能な後幕衝撃吸収ゴムであり、後幕アマチャ支持部6bと後幕アマチャ軸7aとの間であって、後幕アマチャ軸7aの長手方向と略直交する面内に配置されている。後幕衝撃吸収ゴム7bは、オーバーチャージ状態から走行開始状態に移行する際に後幕アマチャ支持部6bが後幕アマチャ軸7aに直接突き当たるのを阻止し、弾性変形することによって後幕アマチャ支持部6bから後幕アマチャ軸7aに加わる衝撃を吸収する。
8は後幕ヨーク(電磁部材)、9は後幕ヨーク8の外周に設けられた後幕コイル(電磁部材)である。後幕コイル9に電圧を印加すると、後幕ヨーク8に磁力を発生させることができ、この磁力によって後幕アマチャ7を吸着する。これにより、図2に示すオーバーチャージ後にチャージレバー10が反時計回りに回動した後も、後幕羽根群6aがアパーチャ1を開放する初期位置(図3の走行前待機状態)に保つことができる。このように、後幕アマチャ7、後幕ヨーク8、後幕コイル9からなる後幕保持機構により、後幕羽根群6a(後幕)を初期位置に保持することができる。
10はチャージレバーであり、シャッタ地板1に設けられたチャージレバー軸1fによって回動可能に支持されている。チャージレバー10は、チャージピン10aを介して不図示の駆動レバー部材に連結されており、この駆動レバー部材は駆動源からの駆動力を受けて回動する。
チャージレバー10に形成されたカム部10bは、チャージレバー10の回動に応じて、先幕駆動レバー2に設けられた先幕チャージコロ2cに当接して、先幕駆動レバー2を回動させる。具体的には、チャージレバー10のカム部10bは、図4に示すように先幕羽根群2aの走行を完了させた状態にある(先幕羽根群2aを重畳状態とさせたときの)先幕駆動レバー2を、反時計回り方向に回動させる。これによって、図3に示す走行前待機状態を経て、図2に示すオーバーチャージ状態にする。
チャージレバー10に形成されたカム部10cは、チャージレバー10の回動に応じて、後幕駆動レバー6に設けられた後幕チャージコロ6cに当接して、後幕駆動レバー6を回動させる。具体的には、チャージレバー10のカム部10cは、図5に示すように後幕羽根群6aの走行を完了させた状態にある(後幕羽根群6aを展開状態とさせたときの)後幕駆動レバー6を、反時計回り方向に回動させる。これによって、図3に示す走行前待機状態を経て、図2に示すオーバーチャージ状態にする。
●動作
次に、上記構成を有する撮像システムの本実施の形態における動作、特に、撮影時のシャッタ制御について詳細に説明する。
上述したように、通知部54や画像表示部28に表示される設定画面から選択、設定できる撮影モードとして、通常撮影モード、電子先幕撮影モード、メカ先幕・メカ後幕モードを含む。通常撮影モードでは、被写体を光学ファインダ104により観察している状態で、メカシャッタ12の先幕と後幕により露光時間の制御を行う。電子先幕撮影モードでは、被写体をEVFを用いて観察している状態(ライブビューモード)で、電子先幕とメカ後幕により露光時間の制御を行う。メカ先幕・メカ後幕モードでは、被写体をEVFを用いて観察している状態(ライブビューモード)で、メカシャッタ12の先幕と後幕により露光時間の制御を行う。
●光学ファインダを用いた撮影
まず、光学ファインダを用いた通常撮影モードにおけるメカシャッタ12の動作について、図2〜図5、図6、図9、図12を用いて説明する。図6は通常撮影モードにおけるメカシャッタ12の制御に関する処理を示すフローチャートである。
通常撮影モードにおいては、シャッタスイッチ62の全押しによりスイッチSW2がオンされ、撮影が開始される前は、図2に示すオーバーチャージ状態に設定されている(ステップS11)。ステップS12において、シャッタスイッチ62が押されたか(ここでは、SW2がオンされたか)を判定する。スイッチSW2がオンされていなければ、ステップS12のシャッタスイッチ62の判定を繰り返す。
スイッチSW2がオンされた場合はステップS13に進み、クイックリターンミラー130のアップ動作を行い、先幕コイル5、後幕コイル9への通電を開始するとともに、チャージレバー10が反時計回りに回転する。すると、チャージレバー10のカム部10b、10cから、先幕チャージコロ2c、後幕チャージコロ6cが離れ、図3に示す走行前待機状態へと移行する。図3の状態では、先幕アマチャ3と後幕アマチャ7が電磁的に吸着保持されているため、先幕駆動レバー2と後幕駆動レバー6は回転しない。
通電開始と同時に、シャッタ秒時(Tv値、ここではT1)が所定の秒時(例えば、1秒)よりも大きいかどうかを判別する(ステップS14)。シャッタ秒時が所定の秒時(例えば、1秒)以下の場合は後幕コイル9の温度上昇が小さく、シャッタ精度への影響は少ないため、ステップS16に進む。
シャッタ秒時が所定の秒時(例えば、1秒)よりも大きい場合はステップS15に進み、システム制御回路50がタイマー58にカウント開始指示を出し、後幕コイル9の通電時間toiのカウントを開始する。次にステップS16に進み、以下の処理を行う。先ず、直近m回(少なくとも1回)の撮影時における後幕コイル9の通電時間toiの和SUMtoi(i=1〜m)を求める。なお、tom(つまり、i=m)は現撮影のための後幕コイル9への通電予測時間であり、ここではシャッタ秒時T1を用いる。次に、直近m−1回(少なくとも1回)の撮影後に後幕コイル9を通電オフしてから次回の撮影で後幕コイル9の通電を開始するまでの経過時間tcjの和SUMtcj(j=1〜m−1)を求める。そして、求めた2つの和の差分値SUMtoi−SUMtcj(i=1〜m,j=1〜m−1)を演算し、所定の閾値th(例えば、30秒)よりも大きいかどうかを判別する。そして、所定の閾値th(例えば、30秒)を超える場合は、システム制御回路50は、補正時間α(t)を演算する(ステップS17)。そして、測光制御部46による測光結果に基づいて設定した露光時間(シャッタ秒時)T1に補正時間α(t)を加算し(ステップS18)、補正後のシャッタ秒時をT1+α(t)とする。即ち、システム制御回路50は露光時間調整手段として機能する。ここで、補正時間α(t)は、通電時間toと経過時間tcの関数(補正関数)であり、次式で表される。
α(t)=C1(A(SUMtoi3)+B(SUMtoi2)+C(SUMtoi)+D)−C2×ln(SUMtcj)
ただし、(i=1〜m,j=1〜m−1)
(A,B,C,D,C1,C2は時間補正係数)
一方、ステップS16において、差分値SUMtoi−SUMtcj(i=1〜m,j=1〜m−1)が所定の閾値以下(例えば、閾値th≦30秒)の場合には、シャッタ秒時T1をそのまま用いる(ステップS19)。
ここで、通電時間と経過時間との差分値SUMtoi−SUMtcjの閾値thとしては、シャッタ精度に影響を及ぼす後幕コイル9の温度上昇の大きさを考慮した値とすることが望ましい。
そして、ステップS18またはS19により得られたシャッタ秒時により、先幕コイル5、後幕コイル9の通電を順次オフして、撮像素子14を露光する(ステップS20)。ステップS21で今回の撮影の通電時間toiを不揮発性メモリ56(EEPROM)に記憶させる。次に、ステップS22でシステム制御回路50がタイマー58にカウント開始指示を出し、今回の撮影終了から次回の撮影までの経過時間tcjのカウントを開始する。また、撮影の終了に伴って、チャージレバー10が時計回りに回転し、カム部10b、10cが先幕チャージコロ2c、後幕チャージコロ6cを押す(チャージ動作)ことで、図2の状態に戻る(ステップS11)。
ここで、ステップS22において、経過時間tcjが所定時間tcmax(例えば、30分)以上になった場合は、不揮発性メモリ56(EEPROM)に記憶された通電時間toi及び経過時間tcjの値を消去するリセット動作を実行する。また、電源スイッチ72のオフ動作時にも、同様に不揮発性メモリ56(EEPROM)に記憶された通電時間toi及び経過時間tcjの値を消去するリセット動作を実行する。
図12は光学ファインダを用いた撮影において、横軸を時間tとした時のカメラ動作の一例を示した図である。図12(a)は連写撮影時のカメラ動作を表しており、この場合に図中撮像1〜3において図6のステップS16で用いられる判別式の左項は、
撮像1:to1
撮像2:to1+to2
撮像3:to1+to2+to3
で表される。ここで、連写時は撮像間における後幕コイルの通電オフ時間は十分短いため、省略して表現していない。
また、図12(b)は単写撮影時のカメラ動作を表しており、図中撮像1〜3における図6のステップS16で用いられる判別式の左項は、それぞれ
撮像1:to1
撮像2:to1+to2−tc1
撮像3:to1+to2+to3−(tc1+tc2)
で表される。
図9は、ステップS20で制御される先幕及び後幕の電圧制御タイムチャートを示す。
シャッタスイッチ62のスイッチSW2がオンされると、先幕コイル5と後幕コイル9の通電を開始してチャージレバー10を解除する。これにより、メカシャッタ12は図3に示す走行前待機状態となる。
通電時間と経過時間の差分値SUMtoi−SUMtcjが所定の閾値以下(例えば、閾値th≦30秒)の場合は、次のように制御する。即ち、スイッチSW2がオンしてから所定時間(以下、「シャッタゲタ」と呼ぶ。)設けて先幕コイル5の通電をオフする(図9中、「先幕コイル」の点線の立ち下がりタイミング)。これにより、メカシャッタ12は図4に示す先幕走行完了状態となる。そして、先幕コイル5の通電オフからステップS19で求めたシャッタ秒時T1が経過してから、後幕コイル9の通電をオフする。これにより、メカシャッタ12は図5に示す後幕走行完了状態となる。
一方、通電時間と経過時間の差分値SUMtoi−SUMtcjが所定の閾値th(例えば、30秒)より大きい場合には、次のように制御する。即ち、閾値以下(例えば、閾値th≦30秒)の場合のシャッタゲタよりもα(t)短いタイミングで、先幕コイル5の通電をオフする(図9中、「先幕コイル」の実線の立ち下がりタイミング)。これにより、メカシャッタ12は図4に示す先幕走行完了状態となる。そして、先幕コイル5の通電オフから、ステップS18で求めた補正後のシャッタ秒時T1+α(t)が経過してから、後幕コイル9の通電をオフする。これにより、メカシャッタ12は図5に示す後幕走行完了状態となる。
なお、ここで、シャッタゲタよりもα(t)短いタイミングで、先幕コイル5の通電をオフする理由は次の通りである。即ち、通電時間と経過時間の差分値SUMtoi‐SUMtcjが所定の閾値th以上の場合は、電磁石の発熱により後幕用の電磁石の離反タイミングが変化する(早くなる)為、その分、先幕コイル5の通電オフのタイミングも早くする必要があるからである。
●EVFを用いた撮影
次に、EVFを用いたライブビューモードにおけるメカシャッタ12及び撮像素子14の電子先幕の動作について、図2〜図5、図7、図10、図11、図13を用いて説明する。ライブビューモードでは、電子先幕撮影モードとメカ先幕・メカ後幕モードとのいずれか設定されたモードにより、シャッタ制御される。図7はライブビューモードにおけるメカシャッタ12及び撮像素子14の電子先幕の制御に関する処理を示すフローチャートである。
図2に示すオーバーチャージ状態(ステップS31)で、操作部70の一つであるライブビューモードボタンによりライブビューモードが設定されているかどうかを判定する(ステップS32)。ライブビューモードが設定されていない場合は、ライブビューモードボタンによるライブビューモードの判定を繰り返す。ステップS32において、ライブビューモードが設定されている場合は、クイックリターンミラー130のアップ動作を行い、先幕コイル5、後幕コイル9への通電を開始する(ステップS33)。さらに、システム制御回路50はタイマー58に後幕コイル9の通電時間toiのカウント開始指示をする(ステップS34)。次に、チャージレバー10が反時計回りに回転する。すると、チャージレバー10のカム部10b、10cから、先幕チャージコロ2c、後幕チャージコロ6cが離れ、図3に示す走行前待機状態へと移行する。
次に、先幕コイル5の通電をオフして先幕のみ走行することで、メカシャッタ12は、撮像素子14へ被写体光を導く状態(図4の先幕走行完了状態)になる(ステップS35)。この状態で撮像素子14が画像の取り込みを行うことで、ライブビュー動作を開始する。ライブビュー実行中は後幕コイル9の通電を継続して後幕を吸着保持し続ける。
次に、ステップS36において、シャッタスイッチ62が押されたか(ここでは、スイッチSW2がオンされたか)を判定する。スイッチSW2がオンされていなければ、ステップS36のシャッタスイッチ62の判定を繰り返す。
スイッチSW2がONされた場合はステップS37に進み、直近m回(少なくとも1回)のライブビューによる後幕コイル9の通電時間の和SUMtoi(i=1〜m)が所定の閾値th(例えば、30秒)よりも大きいかを判別する。なお、tom(つまり、i=m)は現撮影のための後幕コイル9への通電時間であり、ここではステップS34で開始されたカウント値を用いる。通電時間の和SUMtoiが所定の閾値th(例えば、30秒)を超える場合は、システム制御回路50は、補正時間β(t)を演算する(ステップS38)。そして、測光制御部46による測光結果に基づいて設定した露光時間(シャッタ秒時)T1に補正時間β(t)を加算し(ステップS39)、補正後のシャッタ秒時をT1+β(t)とする。即ち、システム制御回路50は露光時間調整手段として機能する。ここで、補正時間β(t)は、通電時間toに基づき算出され、以下に示す関数(補正関数)で表される。
β(t)=C1(A(SUMtoi3i)+B(SUMtoi2i)+C(SUMtoi)+D)
ただし、(i=1〜m)
(A,B,C,Dは時間補正係数)
一方、ステップS37において、直近m回(少なくとも1回)のライブビューによる後幕コイル9の通電時間の和SUMtoi(i=1〜m)が所定の閾値以下(例えば、閾値th≦30秒)の場合には、シャッタ秒時T1をそのまま用いる(ステップS40)。
ここで、通電時間の和SUMtoiの閾値thは、シャッタ精度に影響を及ぼす後幕コイル9の温度上昇の大きさを考慮した値とすることが望ましい。
そして、ステップS41に進み、電子先幕撮影モードが設定されているかどうかを判別する。電子先幕撮影モードに設定されていない(つまり、メカ先幕・メカ後幕撮影モードが設定されている)場合には後幕コイル9の通電をオフして後幕を走行させる(図5に示す後幕走行完了状態)。次に、チャージレバー10が時計回りに回転し、カム部10b、10cが先幕チャージコロ2c、後幕チャージコロ6cを押す(チャージ動作)ことで図2のオーバーチャージ状態に移行する(ステップS42)。
チャージ動作が完了すると、ステップS43において、先幕コイル5、後幕コイル9への通電を開始するとともに、チャージレバー10が反時計回りに回転する。すると、チャージレバー10のカム部10b、10cから、先幕チャージコロ2c、後幕チャージコロ6cが離れ、図3に示す走行前待機状態へと移行する。
そして、ステップS39またはS40により得られたシャッタ秒時により、先幕コイル5、後幕コイル9の通電を順次オフして、撮像素子14を露光する(ステップS44)。撮影が終了すると、ステップS46に進む。
一方、ステップS41において、電子先幕撮影モードが選択されている場合には、まず、撮像素子14をリセットする(電子先幕)。さらに、ステップS39またはS40により得られたシャッタ秒時経過後、後幕コイル9の通電をオフして、撮像素子14を遮光し(ステップS45)、ステップS46に進む。
ステップ46では、ライブビューによる後幕コイル9の通電時間toiを不揮発性メモリ56(EEPROM)に記憶してから、ステップS47においてメカシャッタ12をオーバーチャージ状態にし、ステップS32に戻る。ここでは、ライブビューモードが設定されたままであるのでステップS33に進み、上述した手順により図4に示す先幕走行完了状態に制御してライブビュー動作を継続する。
なお、電源スイッチ72がオフされた場合は、不揮発性メモリ56(EEPROM)に記憶された通電時間toiの値を消去するリセット動作が実行される。
図13(a)はEVFを用いたライブビュー撮影において、横軸を時間tとした時のカメラ動作の一例を示した図である。図13(a)において、撮像1〜3における図7のステップS37で用いる判別式の左項は、それぞれ
撮像1:to1
撮像2:to1+to2
撮像3:to1+to2+to3
で表される。ここで、ライブビュー撮影における露光時の後幕コイル9の通電オフ時間は十分短いため省略して表現していない。
図10は、ステップS44で制御されるメカシャッタ12の先幕及び後幕の電圧制御タイムチャートを示す。
ライブビュー状態(図4の先幕走行完了状態)においてシャッタスイッチ62のスイッチSW2がオンされると、後幕コイル9の通電をオフし、チャージ動作を行う。次に、先幕コイル5及び後幕コイル9の通電を開始して、チャージレバー10を解除する。これにより、メカシャッタ12は図3に示す走行前待機状態に移行する。
直近m回(現在の通電時間を含む。少なくとも1回)のライブビューによる後幕コイル9の通電時間の和SUMtoi(i=1〜m)が所定の閾値以下(例えば、閾値th≦30秒)の場合は、次のように制御する。即ち、スイッチSW2がオンしてから所定時間(シャッタゲタ)設けて先幕コイル5の通電をオフする。(図10中、「先幕コイル」の点線の立ち下がりタイミング)。これにより、メカシャッタ12は図4に示す先幕走行完了状態となる。そして、先幕コイル5の通電オフからさらにステップS40で求めたシャッタ秒時T1が経過してから、後幕コイル9の通電をオフする。これにより、メカシャッタ12は図5に示す後幕走行完了状態となる。
一方、直近m回(少なくとも1回)のライブビューによる後幕コイル9の通電時間の和SUMtoi(i=1〜m)が所定の閾値th(例えば、30秒)より大きい場合には、次のように制御する。即ち、閾値以下(例えば、閾値th≦30秒)の場合のシャッタゲタよりもβ(t)短いタイミングで、先幕コイル5の通電をオフする(図10中、「先幕コイル」の実線の立ち下がりタイミング)。これにより、メカシャッタ12は図4に示す先幕走行完了状態となる。そして、先幕コイル5の通電オフからさらにステップS39で求めたシャッタ秒時T1+β(t)が経過してから、後幕コイル9の通電をオフする。これにより、メカシャッタ12は図5に示す後幕走行完了状態となる。
次に、チャージ動作を行って図2のオーバーチャージ状態にしてから、先幕コイル5、後幕コイル9の通電を開始して、チャージレバー10を解除し(図3の走行前待機状態)、所定時間経過後に先幕コイル5の通電をオフして、図4の先幕走行完了状態に戻す。この状態で撮像素子14が画像を取り込むことにより、ライブビュー動作が再開される。
図11はステップS45で制御される電子先幕及びメカ後幕の電圧制御タイムチャートを示す。
ライブビュー状態(図4の先幕走行完了状態)においてシャッタスイッチ62のスイッチSW2がオンされると、以下の動作が行われる。まず、直近m回(少なくとも1回)のライブビューによる後幕コイル9の通電時間の和SUMtoi(i=1〜m)が所定の閾値以下(例えば、閾値th≦30秒)の場合は、次のように制御する。即ち、スイッチSW2がオンしてから所定時間(以下、「電子先幕ゲタ」と呼ぶ。)設けてから、撮像素子14の画素のリセット走査(電子先幕の走行)を開始する(図11中、「撮像素子」の点線の立ち下がりタイミング)。そして、電子先幕の走行開始からさらにステップS40で求めたシャッタ秒時T1が経過してから、後幕コイル9の通電をオフする。これにより、メカシャッタ12は図5に示す後幕走行完了状態となる。
一方、直近m回(少なくとも1回)のライブビューによる後幕コイル9の通電時間の和SUMtoi(i=1〜m)が所定の閾値th(例えば、30秒)より大きい場合には、次のように制御する。閾値以下(例えば、閾値th≦30秒)の場合の電子先幕ゲタよりもβ(t)短いタイミングで、撮像素子14のリセット走査(電子先幕の走行)を開始する(図11中、「撮像素子」の実線の立ち下がりタイミング)。そして、電子先幕の走行開始からさらにステップS39で求めたシャッタ秒時T1+β(t)が経過してから、後幕コイル9の通電をオフする。これにより、メカシャッタ12は図5に示す後幕走行完了状態となる。
次に、チャージ動作を行って図2のオーバーチャージ状態にしてから、先幕コイル5、後幕コイル9の通電を開始して、チャージレバー10を解除し(図3の走行前待機状態)、所定時間経過後に先幕コイル5の通電をオフして、図4の先幕走行完了状態に戻す。この状態で撮像素子14が画像を取り込むことにより、ライブビュー動作が再開される。
●EVF(ライブビュー状態)解除後の光学ファインダを用いた撮影
次に、EVFを用いたライブビュー状態からライブビューモードを解除した後の撮影におけるメカシャッタ12の動作について、図2〜図5、図8、図13を用いて説明する。図8はライブビュー状態からライブビューモードを解除した後の撮影におけるメカシャッタ12の制御に関する処理を示すフローチャートである。
図2に示すオーバーチャージ状態(ステップS51)で、操作部70の一つであるライブビューモードボタンによりライブビューモードが設定されているかどうかを判定する(ステップS52)。ライブビューモードが設定されていない場合は、ライブビューモードボタンによるライブビューモードの判定を繰り返す。ステップS42において、ライブビューモードが設定されている場合は、クイックリターンミラー130のアップ動作を行い、先幕コイル5、後幕コイル9への通電を開始する(ステップS53)。さらに、システム制御回路50はタイマー58に後幕コイル9の通電時間toiのカウント開始を指示する(ステップS54)。次に、チャージレバー10が反時計回りに回転する。すると、チャージレバー10のカム部10b、10cから、先幕チャージコロ2c、後幕チャージコロ6cが離れ、図3に示す走行前待機状態へと移行する。
次に、先幕コイル5の通電をオフして先幕のみ走行することで、メカシャッタ12は、撮像素子14へ被写体光を導く状態(図4の先幕走行完了状態)になる(ステップS55)。この状態で撮像素子14が画像の取り込みを行うことで、ライブビュー動作を開始する。ライブビュー実行中は後幕コイル9の通電を継続して後幕を吸着保持し続ける。
次に、ステップS56において、操作部70の操作部材が操作されたかを判定する。操作部70の操作部材が操作されていなければライブビュー動作を継続する。
操作部70の操作部材が操作された場合はステップS57に進み、後幕コイル9の通電をオフして後幕を走行させ、図5に示す後幕走行完了状態にする。次に、システム制御回路50はタイマー58に後幕コイル9の通電時間toiのカウント終了指示し(ステップS58)、チャージ動作を行って図2のオーバーチャージ状態に移行する(ステップS59)。
次に、ステップS60において、ライブビュー実行中の通電時間toiを不揮発性メモリ56(EEPROM)に記憶した後、システム制御回路50はタイマー58に後幕コイル9の通電オフからの経過時間tcjのカウント開始指示をする(ステップS61)。
次に、オーバーチャージ状態でシャッタスイッチ62が押されたか(ここでは、スイッチSW2がオンされたか)を判定する(ステップS62)。スイッチSW2がオンされていなければ、ステップS62でシャッタスイッチ62の判定を繰り返す。
スイッチSW2がオンされた場合はステップS63に進み、以下の処理を行う。先ず、直近m回(少なくとも1回)撮影における後幕コイル9の通電時間の和SUMtoi(i=1〜m)を求める。なお、tom(つまり、i=m)は現撮影のための後幕コイル9への通電予測時間であり、ここではシャッタ秒時T1を用いる。次に、直近m‐1回(少なくとも1回)の撮影後に後幕コイル9を通電オフしてから次回の撮影で後幕コイル9の通電を開始するまでの経過時間の和SUMtcj(j=1〜m‐1)を求める。そして、求めた2つの和の差分値SUMtoi‐SUMtcj(i=1〜m,j=1〜m‐1)を演算し、所定の閾値th(例えば、30秒)よりも大きいかどうかを判別する。そして、所定の閾値th(例えば、30秒)を超える場合は、システム制御回路50は、補正時間α(t)を演算する(ステップS64)。そして、測光制御部46による測光結果に基づいて設定した露光時間(シャッタ秒時)T1に補正時間α(t)を加算し(ステップS65)、補正後のシャッタ秒時=T1+α(t)とする。即ち、システム制御回路50は露光時間調整手段として機能する。ここで、補正時間α(t)は、通電時間toと経過時間tcに基づき算出され、以下に示す関数(補正関数)で表される。
α(t)=C1(A(SUMtoi3)+B(SUMtoi2)+C(SUMtoi)+D)‐C2×ln(SUMtcj)
(i=1〜m,j=1〜m−1)
(A,B,C,D,C1,C2は時間補正係数)
一方、ステップS63において、差分値SUMtoi−SUMtcj(i=1〜m,j=1〜m−1)が所定の閾値以下(例えば、閾値th≦30秒)の場合には、シャッタ秒時T1をそのまま用いる(ステップS66)。
ここで、通電時間と経過時間との差分値SUMtoi−SUMtcjの閾値thとしては、シャッタ精度に影響を及ぼす後幕コイル9の温度上昇の大きさを考慮した値とすることが望ましい。
そして、ステップS65またはS66により得られたシャッタ秒時により、先幕コイル5、後幕コイル9の通電を順次オフして、撮像素子14を露光する(ステップS67)。撮影が終了すると、チャージレバー10が時計回りに回転し、カム部10b、10cが先幕チャージコロ2c、後幕チャージコロ6cを押す(チャージ動作)ことで、図2の状態に戻る(ステップS51)。
ここで、ステップS61において、経過時間tcjが所定時間tcmax(例えば、30分)以上になった場合は、不揮発性メモリ56(EEPROM)に記憶された通電時間toi及び経過時間tcjの値を消去するリセット動作を実行する。また、電源スイッチ72のオフ動作時にも、同様に不揮発性メモリ56(EEPROM)に記憶された通電時間toi及び経過時間tcjの値を消去するリセット動作を実行する。
図13(b)はEVFを用いたライブビュー撮影及びライブビュー解除後の光学ファインダを用いた撮影において、横軸を時間tとした時のカメラ動作の一例を示した図である。撮影1〜3における図8のステップS62で用いられる判別式の左項は、それぞれ
撮影1:to1
撮像2:to1+to2+to3−tc1
撮像3:to1+to2+to3+to4−(tc1+tc2)
で表される。ここで、ライブビュー撮影における露光時の後幕コイル9の通電オフ時間は十分に短いため、省略している。
●通電時間及び経過時間と後幕コイル温度の関係
次に、後幕コイル9の通電時間to、後幕コイル9の通電オフから次の通電開始までの経過時間tcと後幕コイル9の温度の関係について、図14を用いて説明する。
図14において、横軸はライブビュー開始からの時間t[s]、縦軸は後幕コイル9の温度[℃]を表している。後幕コイル9の通電時間toの増加と共に後幕コイル9の温度が3次関数的に上昇する。一方、ライブビュー動作の解除から次の後幕コイル9の通電開始までの経過時間tcの増加と共にライブビューにより上昇した後幕コイル9の温度が対数関数的に下降する。
●通電時間及び経過時間と補正量の関係
次に、後幕コイル9の通電時間to、後幕コイル9の通電オフから次の通電開始までの経過時間tcとシャッタ秒時の補正量の関係について、図15を用いて説明する。
図15において、横軸は後幕コイル9の通電時間toあるいは、後幕コイル9の通電時間toと事前の撮影での後幕コイル9の通電オフから次回の撮影での後幕コイル9の通電開始までの経過時間の差分値to−tcを表している。縦軸はシャッタ秒時の補正量β(t)あるいは、α(t)を表している。また、実線はライブビュー実行中のシャッタ秒時の補正量を、破線はライブビュー解除後のシャッタ秒時の補正量の一例をそれぞれ表している。
ライブビュー実行中(図15の実線)は、toあるいは、to−tcが閾値th以下の時はシャッタ時間の補正量β(t)あるいは、α(t)を0として補正しない。一方、toあるいは、to−tcが閾値thより大きい場合は、toあるいは、to−tcの増加と共にシャッタ秒時の補正量β(t)あるいは、α(t)を3次関数的に増加する。
また、ライブビュー解除後(図15の破線)の場合は、toあるいはto−tcが閾値thより大きい場合は、toあるいは、to−tcの減少と共にシャッタ秒時の補正量β(t)あるいは、α(t)が対数関数的に減少している。一方、toあるいはto−tcが閾値th以下の時はシャッタ秒時の補正量β(t)あるいは、α(t)を0として補正しない。
ただし、図14及び図15は、ライブビュー動作中はライブビューを中断せず、ライブビュー解除後(後幕通電オフ後)はライブビュー動作を一切行わない状態での変化を示している。
ライブビュー状態が長く続くと(あるいは長秒時撮影では)、図14に示すようにライブビュー動作時間の増加に伴って後幕コイル9の温度が上昇し、後幕コイル9の抵抗値が大きくなる。抵抗値が大きくなると、後幕コイル9に流れる電流が減少するため、後幕アマチャ7と後幕ヨーク8が離反するタイムラグが早くなる。一方、先幕コイル5には通電していないため、先幕コイル5の温度はあまり上昇せず、先幕アマチャ3と先幕ヨーク4が離反するタイムラグは、環境温度が一定であればほとんど変化しない。したがって、実際の露光時間は短くなる。そこで、図6〜図8のように後幕コイル9の通電時間toと、事前の撮影での後幕コイル9の通電オフから次回の撮影での後幕コイル9の通電開始までの経過時間tcに対応して、シャッタの制御時間(シャッタゲタ)の補正量α(t)及びβ(t)を決定する。なお、シャッタの制御時間(シャッタゲタ)の補正量α(t)及びβ(t)は、後幕コイル9の通電による温度上昇を考慮した通電時間toと経過時間tcをパラメータとする関数補正関数である。よって、この補正関数の値を用いることで、後幕コイル9の近傍に新たに温度計等を搭載することなく、既存のタイマー58を利用してライブビューなどによる長時間開口後においても、精度の高い露出制御を行うことが可能となる。
また、本実施の形態では、上述したように、通電時間と経過時間との差分値SUMtoi−SUMtcj(i=1〜m,j=1〜m−1)に対して所定の閾値thを設ける。これにより、間隔を空けて複数回断続的にライブビュー動作を行ったり、複数回断続的に撮影動作を行った場合であっても、シャッタのゲタ補正の必要性を適切に判別することが可能となる。
また、本実施の形態では、シャッタの制御時間(シャッタゲタ)の補正量α(t)及びβ(t)を、通電時間の和SUMtoi(i=1〜m)と、経過時間の和SUMtcj(j=1〜m−1)とをパラメータとする関数補正関数とする。これにより、間隔を空けた複数回の断続的なライブビュー動作及び複数回の断続的な撮影動作を行った場合であっても、精度の高い露出制御を行うことが可能となる。
なお、本実施の形態においては、シャッタの制御時間(シャッタゲタ)の補正を行うことによって露光時間の補正を行ったが、本発明はこれに限るものではない。例えば、シャッタの制御時間(シャッタゲタ)は変更せずに、撮像した画像の現像時に、システム制御回路50(ゲイン調整手段)が画像処理回路20で用いられるゲイン値をシャッタの制御時間の補正量に相当するように調整する構成としても構わない。また、上記実施の形態においては、メカシャッタ12が先幕及び後幕を共に有し、メカ先幕を利用するか、電子先幕を利用するかを選択可能としたが、本発明はこれに限るものではない。メカシャッタ12が後幕のみを有し、常に電子先幕を用いる構成にすることも勿論可能である。
1:シャッタ地板、1a:アパーチャ、1b:先幕軸、1c:先幕溝部、1d:後幕軸、1e:後幕溝部、1f:チャージレバー軸、2:先幕駆動レバー、2a:先幕羽根群、2b:先幕アマチャ支持部、2c:先幕チャージコロ、3:先幕アマチャ、3a:先幕アマチャ軸、3b:先幕衝撃吸収ゴム、4:先幕ヨーク、5:先幕コイル、6:後幕駆動レバー、6a:後幕羽根群、6b:後幕アマチャ支持部、6c:後幕チャージコロ、7:後幕アマチャ、7a:後幕アマチャ軸、7b:後幕衝撃吸収ゴム、8:後幕ヨーク、9:後幕コイル、10:チャージレバー、10a:チャージピン、10b、10c:カム部、12:メカシャッタ、14:撮像素子、16:A/D変換器、18:タイミング発生回路、20:画像処理回路、22:メモリ制御回路、24:画像表示メモリ、26:D/A変換器、28:画像表示部、30:メモリ、32:圧縮伸長回路、40:シャッタ制御部、42:焦点調節部、46:測光制御部、48:フラッシュ、50:システム制御回路、52:メモリ、54:通知部、56:不揮発性メモリ、58:タイマー、60:モードダイアルスイッチ、62:シャッタスイッチ、70:操作部、72:電源スイッチ、80:電源制御部、82、84:接点、86:電源、90、94:I/F、92、96:コネクタ、100:カメラ本体、104:光学ファインダ、106:カメラマウント、110:I/F、112:コネクタ、122、322:信号接点、124:レンズ着脱検知回路、130、132:ミラー、200、210:記録媒体、202、212:記録部、204、214:I/F、206、216:コネクタ、300:レンズユニット、306:レンズマウント、310:光学レンズ、312:絞り、320:I/F、340:絞り制御部、342:フォーカス制御部、350:レンズシステム制御回路