JP3675039B2 - 焦点調節装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮影光学系の焦点調節を行う焦点調節装置に関し、特に、撮影光学系の焦点情報のゆらぎに適応して、撮影光学系の再駆動開始の閾値を決定する焦点調節装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カメラなどの光学機器には、撮影光学系の焦点を自動調節するために、焦点調節装置が搭載されている。
これらの焦点調節装置では、公知の焦点検出方式(位相差検出方式や外光パッシブ方式など)を使用して、デフォーカス量や測距値などの焦点情報が逐次検出される。
【0003】
焦点調節装置は、このようなデフォーカス量などに基づいて、撮影光学系の目標駆動位置を逐次更新し、その目標駆動位置に到達するように、撮影光学系を駆動制御する。
理想的には、撮影光学系が目標駆動位置に到達した時点で、デフォーカス量はゼロとなり、その目標駆動位置に撮影光学系が静止する。
【0004】
しかしながら、実際上は、焦点検出用CCDに発生するノイズなどのために、撮影光学系が目標駆動位置に到達しても、デフォーカス量の検出値はゼロとならず、軽微なゆらぎが生じる。そのため、目標駆動位置は小刻みに更新され、撮影光学系には小刻みな振動(ハンチング)が生じる。
このようなハンチング現象は、撮影者側において「焦点調節動作の迷い、ふらつき」と認識されるため、その抑制が強く望まれる。
【0005】
そこで、この種の焦点調節装置では、図12(a)に示すような合焦幅が予め設定される。
この設定では、デフォーカス量の大きさが100μmを下回った状態で、「合焦状態」と一律に判定する。焦点調節装置は、このような合焦状態の判定に伴って、目標駆動位置の更新を中止する。
【0006】
したがって、合焦幅の範囲内でデフォーカス量が変動しても、目標駆動位置は一切更新されず、撮影光学系はその目標駆動位置に到達した時点で静止する。
このように、デフォーカス量のゆらぎが合焦幅内に限定されるような場合、撮影光学系にはハンチングが生じない。
一方、デフォーカス量が合焦幅を超えて変化すると、焦点調節装置は「非合焦状態」と一律に判定する。焦点調節装置は、このような非合焦状態の判定に伴って、目標駆動位置の更新を再び開始し、新しい目標駆動位置に向けて撮影光学系を駆動する。
【0007】
また、図12(b)に示すように、合焦幅にヒステリシスを設けたものも知られている。
このような設定では、デフォーカス量が合焦幅の範囲内に一旦入ると、合焦幅が広がる。そのため、デフォーカス量のゆらぎが合焦幅の範囲外に出ることが少なくなり、撮影光学系のハンチングを強力に防止することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
通常、低輝度または低コントラストの被写体については、焦点検出の精度が低下し、焦点情報(デフォーカス量や測距値)のゆらぎが大きく生じる。
しかしながら、図12(a)および図12(b)に示した従来例では、被写体の種類にかかわらず、合焦幅またはヒステリシス余裕が一律に設定される。
【0009】
そのため、極端に低コントラストもしくは低輝度の被写体に対して焦点調節を行った場合、合焦幅の余裕を超えて焦点情報のゆらぎが生じ、ハンチングが発生してしまうという問題点があった。
【0010】
このようなハンチングは、合焦幅またはヒステリシス余裕を極端に広げることにより改善される。
しかしながら、この状態では、合焦幅またはヒステリシス余裕を広げた分だけ、被写体の変更や移動に伴う撮影光学系の再駆動開始が遅れてしまうという問題点があった。
【0011】
その結果、焦点調節の即応性および追従性が著しく損なわれ、撮影時の一瞬に貴重なシャッタチャンスを逃してしまうという問題点があった。
さらに、僅かに焦点がずれた被写体については、合焦幅またはヒステリシス余裕を超えて焦点情報が変化しないため、撮影光学系の再駆動が行われず、焦点調節が動作しないという問題点があった。
【0012】
その結果、撮影者が僅かに焦点位置のずれた被写体を捉えても、焦点調節装置は感知せず、その被写体について精細かつ微妙な焦点調節を行うことができないという問題点があった。
以上のように、多様な被写体状況に応じて、「ハンチングの抑制」と「焦点調節の性能」とを両立させることは、非常に困難であった。
【0013】
そこで、被写体の輝度やコントラスト量に応じて、合焦幅またはヒステリシス余裕を逐次変更する方策が考えられる。
しかしながら、焦点情報のゆらぎは、多種多様な被写体像の像パターンなどによって予測不可能に変化する。そのため、上述の方策では、焦点情報のゆらぎが正確に判断できず、合焦幅またはヒステリシス余裕を適正かつ柔軟に変更することが十分にできないという問題点があった。
【0014】
請求項1,2に記載の発明では、このような問題点を解決するために、多種多様な被写体状況の変化に柔軟に適応して、「ハンチングの抑制」と「焦点調節の性能」との両立を的確に図ることができる焦点調節装置を提供することを目的とする。
【0015】
請求項3に記載の発明では、請求項1の目的と併せて、「ハンチングの抑制」と「焦点調節の性能」との両立をより迅速かつ正確に図ることができる焦点調節装置を提供することを目的とする。
請求項4,5に記載の発明では、請求項1の目的と併せて、被写体状況の急変にも対応して、再駆動開始の閾値を即座に変更することができる焦点調節装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
図1は、請求項1〜3に記載の発明を説明するブロック図である。以下、図1に対応付けて、本発明の解決手段を説明する。
請求項1に記載の発明は、撮影光学系1の焦点情報を検出する焦点検出手段2と、焦点検出手段2により検出された焦点情報に基づいて、撮影光学系1を合焦状態まで駆動する焦点制御手段3と、複数時点の焦点情報について統計演算を行い、焦点情報の分散を算出する統計演算手段4とを備えてなり、焦点制御手段3は、「撮影光学系1の駆動停止中」もしくは「焦点制御手段3における目標駆動位置の更新停止中」に、上記の分散に対応する閾値を焦点情報が超えると、撮影光学系1の駆動を再開することを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の焦点調節装置において、統計演算手段4は、焦点情報の平均値を中心値として焦点情報の分散を算出することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の焦点調節装置において、統計演算手段4は、焦点情報の動向中心を中心値として焦点情報の分散を算出することを特徴とする。
【0018】
図2は、請求項4,5に記載の発明を説明するブロック図である。以下、図2に対応づけて、本発明の解決手段を説明する。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の焦点調節装置において、焦点情報の信頼性にかかわる信頼性情報に応じて、上記の閾値を選択もしくは補正する信頼性対処手段5を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の焦点調節装置において、上記の信頼性情報とは、被写体像の明るさ,もしくは被写体像の空間周波数分布,もしくは被写体像のコントラスト,もしくは被写体の移動速度,もしくは被写体光束を分割結像させた一組の光像について相関演算を行った際の相関曲線の急峻度,もしくは最小相関量であることを特徴とする。
【0020】
(作用)
請求項1にかかわる焦点調節装置では、焦点検出手段2を介して、デフォーカス量や測距値その他の焦点情報が検出される。
焦点制御手段3は、この焦点情報に基づいて、撮影光学系1を合焦状態まで駆動する。
【0021】
統計演算手段4は、複数時点の焦点情報について統計演算を行い、焦点情報の分散を算出する。
焦点制御手段3は、この「焦点情報の分散の算出値」に対応して、予め定められる閾値を求める。
一般に、「撮影光学系1が合焦状態に到達した」と判定される段階で、焦点制御手段3は、撮影光学系1の駆動を停止するか、もしくは、目標駆動位置の更新を停止する。
【0022】
このような停止状態において、焦点制御手段3は、焦点情報が上述の閾値を超えるか否かを判定し、超えた段階で撮影光学系1の駆動を再開する。
ここで、統計演算により算出された分散は、焦点情報のゆらぎ具合を示す値である。
【0023】
特に、焦点情報のゆらぎ要因の一つに過ぎない被写体輝度やコントラスト量とは異なり、分散は焦点情報のゆらぎ具合を直接的に示す値であるので、現在の被写体状況における「ハンチングの発生余裕」をより正確に把握できる。
すなわち、焦点情報のゆらぎ具合を示す確率密度分布(例えば正規分布など)が予め判明しているので、分散の算出値から「焦点情報のゆらぎが収まる範囲」を確率的に特定することができる。このような範囲と相関して、再駆動開始の閾値が決定されることにより、「焦点情報の変化がゆらぎによるものか、あるいは、有意な変化であるか」を確率的に正確に判定し、再駆動するか否かを適正に判断することができる。
【0024】
例えば、焦点情報の確率密度分布が正規分布であった場合、分散σ2 に対して、焦点情報のゆらぎが、下記の閾値外に位置する確率は次のようになる。
閾値 閾値外のゆらぎ確率
±σ 31.74%
±2σ 4.55%
±3σ 0.27%
±4σ 0.006%
したがって、上記のゆらぎ確率を超える頻度で閾値外の焦点情報が検出されたり、十分低いゆらぎ確率であるにもかかわらず閾値外の焦点情報が検出された場合には、「焦点情報の変化はゆらぎによるものではなく、有意な変化である」と正確に判定できる。このような正確な判定に基づいて、再駆動を的確に開始することができる。
【0025】
そのため、従来例とは異なり、被写体状況の多様な変化を見込んで、閾値を余分に引き上げる必要が無くなるので、焦点調節の性能低下を最小限に抑えることができる。
【0026】
以上のように、分散に基づいて再駆動開始の閾値を定めることにより、現在の被写体状況における「ハンチングの発生余裕」が、確率的な裏付けのもとに正確に把握され、「ハンチングの抑制効果」と「焦点調節の性能」との均衡を適正に図ることができる。
請求項2にかかわる焦点調節装置では、統計演算手段4が、焦点情報の平均値を中心値として焦点情報の分散を算出する。
【0027】
通常、合焦状態と判定される直前は、撮影光学系1が目標駆動位置に接近しているため、撮影光学系1の移動速度が十分に減速されている。
このような状態では、撮影光学系1の移動により生じる「焦点情報の変化」は小さく、焦点情報の平均値をゆらぎ中心とみなすことができる。
したがって、合焦状態と判定される直前に標本区間が限定されるような場合には、焦点情報の平均値を中心値として分散を算出することにより、焦点情報のゆらぎ具合を簡便かつ的確に検出することができる。
【0028】
また、合焦状態と判定された後は、撮影光学系1の駆動が停止されたり、目標駆動位置の更新が停止されるために、移動速度が更に減速される。
したがって、合焦状態の判定直前から判定後にかけて標本区間が設定されるような場合にも、焦点情報の平均値を中心値として分散を算出することにより、焦点情報のゆらぎ具合を簡便かつ的確に検出することができる。
【0029】
一般に、平均値を求める演算処理は、動向中心を求める演算処理(移動平均や回帰分析など)に比べ、演算処理量が格段に小さく、高速処理が可能となる。
なお、焦点情報の標本区間を長く設定すると、標本数が増すために分散の精度が高くなる。その一方では、標本区間が長くなることにより、ゆらぎ中心の移動が顕著になり、分散の値が「焦点情報のゆらぎ具合」を示す以上に大きく算出される。
【0030】
このような点に関しては、「ゆらぎ中心の移動」を見込んで、分散の算出値を低めに判断してもよい。また、標本区間を予め設定する際に、「分散の精度」と「ゆらぎ中心の移動」との2点を重み付け評価することにより、最適な標本区間を設定することもできる。
請求項3にかかわる焦点調節装置では、統計演算手段4は、例えば統計演算(移動平均や回帰分析など)を用いて、焦点情報の動向中心を求める。
【0031】
この動向中心を中心値として、統計演算手段4は、焦点情報の分散を算出する。
このように、動向中心を中心値とすることにより、分散の算出値に含まれる「ゆらぎ中心の移動」の影響が確実に排除され、分散の値が正確に算出される。
したがって、焦点情報の標本区間を長く設定しても、「分散の値」と「焦点情報のゆらぎ具合」との相関が良好に保たれるので、「焦点情報のゆらぎ具合」をより正確に判断することができる。
【0032】
また、合焦状態の判定前にさかのぼって分散を予め算出しておくことができるので、合焦状態の判定直後に、「再駆動開始の閾値判定」を即座に開始することが可能となる。
請求項4にかかわる焦点調節装置では、信頼性対処手段5が、焦点情報の信頼性にかかわる信頼性情報に応じて、再駆動開始の閾値を選択もしくは補正する。
【0033】
したがって、再駆動開始の閾値は、「焦点情報の分散」および「焦点情報の信頼性情報」などの複数の値に基づいて設定される。
「焦点情報の分散」は、上述したように、焦点情報のゆらぎ具合を直接示す値であり、再駆動開始の閾値をより正確に設定することができる。
しかしながら、分散の変化には、焦点情報の数時点の変化が必要となるため、被写体状況が急変するようなケースでは、閾値の変更が若干遅れる。
【0034】
一方、被写体輝度やコントラスト量その他の信頼性情報は、焦点情報のゆらぎ要因の1つに過ぎないため、閾値を正確に設定することができない。
しかしながら、これらの信頼性情報は、被写体状況の急変に即応して変化する値である。したがって、このような信頼性情報に応じて、再駆動開始の閾値を選択もしくは補正することにより、被写体状況の急変に即応して、閾値を即座に変更することが可能となる。
【0035】
なお、上述したように、信頼性情報による閾値変更は、急場しのぎの変更であるから、時間の経過と共に閾値の変化が元に戻るようにしておいてもよい。このような構成により、時間の経過と共に、焦点情報の分散に基づいた「より正確な閾値設定」に円滑に移行することが可能となる。
また、信頼性情報から予想される分散と、実際の分散との間に大きなズレが生じる場合は、焦点情報のゆらぎの原因は、測定系にあるのではなく、被写体側に有ることが予想される。例えば、遠近競合被写体(近接した範囲内に遠近の撮影対象が併存する被写体)や周期被写体(像パターンに周期性を有するために、位相差検出の相関曲線に櫛歯特性を生じ、偽のデフォーカス量を誤検出してしまう被写体)などが予想される。
【0036】
したがって、信頼性情報と分散との相関分析を行うことにより、両者の相関性が極端に下がった場合に、遠近競合被写体などの被写体であることを検出することができる。このような被写体の種類検出に適応して、カメラの撮影モード,焦点調節のパラメータなどを適宜に変更することもできる。
請求項5にかかわる焦点調節装置では、焦点情報の信頼性にかかわる信頼性情報として、下記の値の少なくとも1つを採用する。
【0037】
(1)被写体像の明るさ
被写体像の明るさが低い場合は、焦点検出用受光素子のS/Nが低くなり、焦点情報のゆらぎが大きくなる。
例えば、このような明るさは、周辺光量の測光値,被写体の測光値,焦点検出用受光素子の蓄積時間などにより検出することができる。
【0038】
(2)被写体像の空間周波数分布
空間周波数分布が低域中心に分布している場合は、例えば位相差検出方式の相関演算において、像パターンの残差が大きく変化しないため、空間上の位相差の検出精度が低くなる。その結果、焦点情報のゆらぎが大きくなる。
例えば、このような空間周波数分布は、トランスバーサルフィルタその他の空間フィルタの出力レベルから検出することができる。
【0039】
(3)被写体像のコントラスト
また、被写体像のコントラストが低い場合は、像パターンに高域かつ大振幅の周波数成分が含まれていないため、像パターンの残差が大きく変化しない。その結果、空間上の位相差の検出精度が低くなり、焦点情報のゆらぎが大きくなる。
(4)被写体の移動速度
被写体像の移動速度が大きい場合は、被写体像の露出流れが大きくなり、像パターンに含まれる高域の空間周波数成分が欠落する。そのため、像パターンの残差が大きく変化せず、空間上の位相差の検出精度が低くなる。その結果、焦点情報のゆらぎが大きくなる。
【0040】
(5)相関曲線の急峻度
相関曲線の急峻度(図3に示す)が低い場合は、空間上の位相差の検出精度が低くなり、焦点情報のゆらぎが大きくなる。
(6)相関曲線の最小相関量
最小相関量(図3に示す)が大きい場合は、分割結像された一組の光像について像パターンの相関性が低いケースである。このような場合は、空間上の位相差の検出精度が低くなり、焦点情報のゆらぎが大きくなる。
【0041】
以上のような(1)〜(6)のいずれかの信頼性情報を調べることにより、被写体状況の急変に伴う「焦点情報のゆらぎ具合」を簡便に推測することができる。したがって、被写体状況の急変に遅れることなく、再駆動開始の閾値を即座に変更することが可能となる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明における実施の形態を説明する。
図4は、第1の実施形態(請求項1,2に対応する)の構成を説明する図である。
図4において、カメラ11には撮影光学系12が装着され、撮影光学系12の光軸に沿ってクイックリターンミラー13およびサブミラー14が順に配置される。
【0043】
このサブミラー14の反射方向に焦点検出部15が配置され、焦点検出部15の出力は、マイクロプロセッサ16に接続される。
マイクロプロセッサ16の第2の入力にはレンズ情報記憶部17が接続され、第3の入力には、モータ20の駆動軸に配置されたエンコーダ18が接続される。
一方、マイクロプロセッサ16の出力は、駆動回路19を介してモータ20に接続され、モータ20の動力は、カメラマウントを介して撮影光学系12内のレンズ駆動機構21に伝達される。
【0044】
なお、図4では、マイクロプロセッサ16の内部機能を、ブロック図として示している。
すなわち、上述した焦点検出部15の出力は焦点演算部23に与えられ、焦点演算部23の演算結果は、目標位置更新部24およびメモリ25に取り込まれる。このメモリ25の出力は統計演算部26に与えられる。
【0045】
統計演算部26の演算結果は目標位置更新部24に与えられ、目標位置更新部24の更新結果はモータ操作量算出部28に与えられる。モータ操作量算出部28のPWM出力(パルス幅変調出力)は、上述の駆動回路19を介してモータ20に与えられる。
また、上述のレンズ情報記憶部17のレンズ情報は目標位置更新部24に与えられ、上述のエンコーダ18のパルス出力は、目標位置更新部24およびモータ操作量算出部28に与えられる。
【0046】
ここで、請求項1,2に記載の発明と第1の実施形態との対応関係については、焦点検出手段2が焦点検出部15および焦点演算部23に対応し、焦点制御手段3が駆動回路19、目標位置更新部24およびモータ操作量算出部28に対応し、統計演算手段4が統計演算部26に対応する。
図5は、第1の実施形態の動作を説明する流れ図である。
【0047】
以下、これらの図を用いて第1の実施形態の動作を説明する。
まず、カメラ11のレリーズ(図示せず)が半押しされると(図5S1)、焦点検出部15において光電荷の蓄積が開始される(図5S2)。
焦点演算部23は、焦点検出部15の光電出力を取り込み、公知の位相差検出演算によりデフォーカス量を算出する(図5S3)。
【0048】
目標位置更新部24は、エンコーダ18から求めたレンズ位置とデフォーカス量とに基づいて、撮影光学系12が到達すべき目標駆動位置を算出する(図5S4)。
ここで、目標駆動位置の更新を前回行っていた場合(図5S5)、デフォーカス量の大きさが所定の合焦幅以下で(図5S6)、かつレンズ速度が所定値以下か否かを判定する(図5S7)。
【0049】
目標位置更新部24は、この判定結果が真ならば、合焦状態に到達したと判断し、目標駆動位置の更新を停止する(図5S8)。
このような場合、モータ操作量算出部28は、更新の停止された目標駆動位置と現在のレンズ位置との位置偏差に基づいてモータ20を駆動し、撮影光学系12を目標駆動位置まで駆動して停止する。(図5S9)。
【0050】
また、上述の判定結果が偽ならば、非合焦状態にあると判断し、目標駆動位置を最新値に更新する(図5S12)。
このような場合、モータ操作量算出部28は、最新の目標駆動位置と現在のレンズ位置との位置偏差などに基づいてモータ20を駆動し、撮影光学系12を最新の目標駆動位置に向けて漸次駆動する(図5S9)。
【0051】
一方、目標駆動位置の更新を前回行っていないときは(図5S5)、下記の手順により、デフォーカス量の最新の変化がゆらぎによるものか、有意な変化によるものかを判定する。
まず、統計演算部26は、過去N時点のデフォーカス量bfをメモリ25から取り込み、
【数1】
Figure 0003675039
を用いて、N回分の平均値bfave を算出する。
【0052】
この平均値bfave を中心値として各デフォーカス量bfとの差分を求め、この差分について二乗平均を求めることにより、
【数2】
Figure 0003675039
上式のように、デフォーカス量の分散σ2 を算出する(図5S10)。
このような演算結果に基づいて、目標位置更新部24は、再駆動開始の閾値を3σ(標準偏差σの3倍)と定める。
【0053】
次に、目標位置更新部24は、最新のデフォーカス量の大きさが3σ以内に入るか否かを判定する(図5S11)。
デフォーカス量のゆらぎが正規分布である場合、この3σを超えてデフォーカス量がゆらぐ確率は「0.27%程度」である。
したがって、このように低い確率であるにもかかわらず、3σを超えてデフォーカス量が変化した場合は、ゆらぎによる変化ではなく、被写体に有意な変化(例えば、被写体の移動など)が生じたと判定できる。
【0054】
この判定結果に基づいて、目標位置更新部24は、目標駆動位置の更新を再開する(図5S12)。その結果、撮影光学系12の再駆動が開始し、新しい合焦点に向かって駆動が開始される。
また、最新のデフォーカス量の大きさが3σ以内である場合、目標位置更新部24は、デフォーカス量のゆらぎによる変化であると判定し、前回の目標駆動位置をそのまま維持する(図5S8)。その結果、撮影光学系12の駆動は再開されず、デフォーカス量のゆらぎに起因するハンチングが防止される。
【0055】
これらの動作を、ステップS1に戻って繰り返す。
以上説明したような動作により、第1の実施形態では、デフォーカス量の分散に応じて、再駆動開始の閾値が適宜に設定される。
すなわち、図6(a)に示すように、デフォーカス量のゆらぎが小さい場合には、分散σ2 が小さくなるため、再駆動開始の閾値3σが小さくなる。したがって、デフォーカス量の有意な変化(図中のP点)を敏感に捉え、目標駆動位置の更新(撮影光学系12の再駆動)を迅速に再開することができる。
【0056】
一方、図6(b)に示すように、デフォーカス量のゆらぎが大きい場合には、分散σ2 が大きくなるため、再駆動開始の閾値3σが大きくなる。したがって、デフォーカス量のゆらぎが閾値3σを超えることが滅多になく、ハンチングを強力に防止することができる。
以上のように、デフォーカス量の分散に基づいて再駆動開始の閾値が適宜に設定されるので、ハンチングの発生を必要十分かつ確実に防止しつつ、焦点調節の即応性および追従性の低下を最小限に抑えることができる。
【0057】
また、焦点情報の平均値を中心値として、デフォーカス量の分散を算出するので、デフォーカス量の動向を求める演算処理(移動平均や回帰分析など)に比べ、演算処理量が格段に小さくなる。したがって、デフォーカス量の分散σ2 を簡便かつ高速に算出することが可能となる。
以下、別の実施形態について説明する。
【0058】
図7は、第2の実施形態(請求項1,3に対応する)の構成を示す図である。第2の実施形態における構成上の特徴点は、マイクロプロセッサ16の内部機能として、統計演算部32を備えた点である。
なお、第1の実施形態と同じ構成要素については、同一の参照番号を付与して図7に示し、ここでの説明を省略する。
【0059】
ここで、請求項1,3に記載の発明と第2の実施形態との対応関係については、焦点検出手段2が焦点検出部15および焦点演算部23に対応し、焦点制御手段3が駆動回路19、目標位置更新部24およびモータ操作量算出部28に対応し、統計演算手段4が統計演算部32に対応する。
図8は、第2の実施形態の動作を説明する流れ図である。
【0060】
以下、これらの図を用いて、第2の実施形態の動作を説明する。
まず、カメラ11のレリーズ(図示せず)が半押しされると(図8S1)、焦点検出部15において光電荷の蓄積が開始される(図8S2)。
焦点演算部23は、焦点検出部15の光電出力を取り込み、公知の位相差検出演算によりデフォーカス量bfを算出する(図8S3)。このデフォーカス量bfは、「エンコーダ18から求めたレンズ位置Y」および「検出時刻t」と共に、メモリ25に順次記憶される。
【0061】
目標位置更新部24は、デフォーカス量bfとレンズ位置Yとに基づいて、撮影光学系12が到達すべき目標駆動位置を算出する(図8S4)。
ここで、統計演算部26は、次の手順に従って、デフォーカス量bfの動向中心を求める。
まず、統計演算部26は、過去N時点のデフォーカス量bf,レンズ位置Y(デフォーカス量bfと同じ単位)および検出時刻tをメモリ25から順次取り込み、
【数3】
Figure 0003675039
【数4】
Figure 0003675039
を用いて、平均像面位置Zave と平均検出時刻tave を算出する。
【0062】
これらの平均値を用いて積和演算を行い、
【数5】
Figure 0003675039
【数6】
Figure 0003675039
積和Szt,Sttを算出する。
これらの積和Szt,Sttの値を用いて、
【数7】
Figure 0003675039
【数8】
Figure 0003675039
を算出し、一次回帰式の傾きaと切片bとを求める。
【0063】
以上の統計演算(回帰分析)により、デフォーカス量bfの動向中心X(t)は、
X(t)=a・t+b−Y ・・・(9)
となる(図8S5)。
この動向中心X(t)を中心値として各デフォーカス量bfとの差分を求め、この差分について二乗平均を求めることにより、
【数9】
Figure 0003675039
上式のように、デフォーカス量の分散σ2 を算出する(図8S6)。
【0064】
ここで、目標駆動位置の更新を前回行っていた場合(図8S7)、目標位置更新部24は、デフォーカス量の大きさが所定の合焦幅以下で(図8S8)、かつレンズ速度が所定値以下か否かを判定する(図8S9)。
目標位置更新部24は、この判定結果が真ならば、合焦状態に到達したと判断し、目標駆動位置の更新を停止する(図8S10)。
【0065】
このような場合、モータ操作量算出部28は、更新の停止された目標駆動位置と現在のレンズ位置との位置偏差に基づいてモータ20を駆動し、撮影光学系12を目標駆動位置まで駆動して停止する。(図8S11)。
また、上述の判定結果が偽ならば、非合焦状態にあると判断し、目標駆動位置を最新値に更新する(図8S13)。
【0066】
このような場合、モータ操作量算出部28は、最新の目標駆動位置と現在のレンズ位置との位置偏差などに基づいてモータ20を駆動し、撮影光学系12を最新の目標駆動位置に向けて駆動する(図8S11)。
一方、目標駆動位置の更新を前回行っていないときは(図8S7)、下記の手順により、デフォーカス量の最新値の変化がゆらぎによるものか、有意な変化によるものかを判定する。
【0067】
まず、目標位置更新部24は、デフォーカス量の分散σ2 に基づいて、再駆動開始の閾値を3σ(標準偏差σの3倍)と定める。
次に、目標位置更新部24は、最新のデフォーカス量の大きさが3σ以内に入るか否かを判定する(図8S12)。
デフォーカス量のゆらぎが正規分布である場合、この3σを超えてデフォーカス量がゆらぐ確率は「0.27%程度」である。
【0068】
したがって、このように低い確率であるにもかかわらず、3σを超えてデフォーカス量が変化した場合は、ゆらぎによる変化ではなく、被写体に有意な変化(例えば、被写体の移動など)が生じたと判定できる。
この判定結果に基づいて、目標位置更新部24は、目標駆動位置の更新を再開する(図8S13)。その結果、撮影光学系12の再駆動が開始し、新しい合焦点に向かって駆動される。
また、最新のデフォーカス量の大きさが3σ以内である場合、目標位置更新部24は、デフォーカス量のゆらぎによる変化であると判定し、前回の目標駆動位置をそのまま維持する(図8S10)。その結果、撮影光学系12の駆動は再開されず、デフォーカス量のゆらぎに起因するハンチングが防止される。
【0069】
これらの動作を、ステップS1に戻って繰り返す。
以上説明したような動作により、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
さらに、第2の実施形態に特有な効果としては、デフォーカス量の動向中心を中心値として、デフォーカス量の分散σ2 を算出するので、「ゆらぎ中心の移動」の影響を一切排除することができる。
また、動向中心X(t)を中心値として分散σ2 を算出しているので、デフォーカス量の標本区間を長く設定するような場合においても、分散σ2 と「デフォーカス量のゆらぎ具合」との相関が良好に保たれ、「デフォーカス量のゆらぎ具合」をより正確に判断することができる。その結果、再駆動開始の閾値3σをより正確に設定することができる。
【0071】
すなわち、図9(a)に示すように、デフォーカス量のゆらぎが小さい場合には、動向中心X(t)を中心とした分散σ2 が小さくなるため、再駆動開始の閾値3σが小さくなる。したがって、デフォーカス量の有意な変化(図中のR点)を敏感に捉え、目標駆動位置の更新(撮影光学系12の再駆動)を迅速に再開することができる。
【0072】
一方、図9(b)に示すように、デフォーカス量のゆらぎが大きい場合には、動向中心X(t)を中心値とした分散σ2 が大きくなるため、再駆動開始の閾値3σが大きくなる。したがって、デフォーカス量のゆらぎが閾値3σを超えることが滅多になく、ハンチングを強力に防止することができる。
また、合焦幅に入る以前から前もって分散σ2 を算出しておくことができるので、合焦幅に入った直後に閾値3σを定め、「再駆動開始の閾値判定」を迅速に開始することができる。
【0073】
次に、別の実施形態について説明する。
図10は、第3の実施形態(請求項1,2,4,5に対応する)の構成を説明する図である。
第3の実施形態における構成上の特徴については、マイクロプロセッサ16の内部機能において、焦点演算部23から焦点検出時の信頼性情報(コントラスト量)を取り込み、再駆動開始の閾値を補正する信頼性対処部42を備えた点である。
【0074】
なお、第1の実施形態と同じ構成要素については、同一の参照番号を付与して図10に示し、ここでの説明を省略する。
ここで、請求項1,2に記載の発明と第3の実施形態との対応関係については、焦点検出手段2が焦点検出部15および焦点演算部23に対応し、焦点制御手段3が駆動回路19、目標位置更新部24およびモータ操作量算出部28に対応し、統計演算手段4が統計演算部26に対応する。
【0075】
請求項4,5に記載の発明と第3の実施形態との対応関係については、信頼性対処手段5が信頼性対処部42に対応する。
図11は、第3の実施形態の動作を説明する流れ図である。
以下、第3の実施形態における動作上の特徴点を説明する。
まず、カメラ11のレリーズ(図示せず)が半押しされると(図11S1)、焦点検出部15において光電荷の蓄積が開始される(図11S2)。
【0076】
焦点演算部23は、焦点検出部15の光電出力を取り込み、公知の相関演算によりデフォーカス量を算出する。
一方、信頼性対処部42では、相関演算により求めた相関曲線(図3)の急峻度などに基づいて、被写体像のコントラスト量を算出する(図11S3)。
目標位置更新部24は、エンコーダ18から求めたレンズ位置とデフォーカス量とに基づいて、撮影光学系12が到達すべき目標駆動位置を算出する(図11S4)。
【0077】
ここで、目標駆動位置の更新を前回行っていた場合は(図11S5)、第1の実施形態と同様の動作を行う(図11S6〜7)。
一方、目標駆動位置の更新を前回行っていない場合は(図11S5)、駆動停止してから所定回数以上を経過したか否かを判定する(図11S10)。
【0078】
所定回数を経過していない場合、信頼性対処部42は、コントラスト量に対応して閾値を求め、目標位置更新部24に出力する。
一方、所定回数を経過している場合、統計演算部26は、デフォーカス量の平均値を中心値として、デフォーカス量の分散σ2 を算出する(図11S12)。この分散σ2 とコントラスト量とに基づいて、テーブル処理により閾値を求める(図11S13)。
【0079】
目標位置更新部24は、最新のデフォーカス量の大きさが、上述の閾値を超えた場合(図11S14)、被写体に有意な変化(例えば、被写体の移動など)が生じたと判定して、目標駆動位置の更新を再開する(図11S15)。その結果、撮影光学系12の駆動が再開され、新しい合焦点に向かって駆動される。
また、最新のデフォーカス量の大きさが閾値以内である場合、目標位置更新部24は、ハンチングを防止するために、前回の目標駆動位置をそのまま維持する(図11S8)。
【0080】
これらの動作を、ステップS1に戻って繰り返す。
以上説明した動作により、第3の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、第3の実施形態では、コントラスト量に応じて、再駆動開始の閾値を選択もしくは補正している。このコントラスト量は、被写体状況に即応して変化する値なので、焦点情報の数時点分をかけて徐々に変化する分散値の変化を待つことなく、被写体状況の急変に応じて閾値を即座に変更することが可能となる。
【0081】
なお、上述した実施形態では、再駆動開始の閾値を3σ(標準偏差の3倍)として設定しているが、それに限定されるものではなく、焦点情報の分散に対応した閾値を適宜に設定すればよい。
また、上述した実施形態では、再駆動開始の閾値を常時3σとしているが、分散σ2 が格段に小さい場合には、撮影光学系の光学性能という面から考えて、3σが無効な値をとる場合がある。そこで、再駆動開始の閾値に所定の下限値fdを定めてもよい。
【0082】
さらに、上述した実施形態では、焦点情報の分散σ2 を求めているが、その構成に限定されるものではなく、焦点情報の分散に変換可能な数値を求めればよい。例えば、数時点の焦点情報を標本として、標準偏差σ,変動係数,度数分布などを求めてもよい。
また、上述した実施形態では、焦点情報としてデフォーカス量を使用しているが、その構成に限定されるものではなく、焦点状態を表す検出値もしくは算出値であれば、焦点情報として使用することができる。例えば、被写体までの測距値,被写体像面の位置,撮影光学系の合焦距離,外光パッシブ式の像間隔,撮影光学系の目標駆動位置,外光アクティブ式の受光角度または受光位置などを焦点情報として使用してもよい。
【0083】
また、上述の実施形態では、回帰分析の予測関数として、時間tを入力変数とする関数X(t)を採用しているが、それに限定されるものではない。一般に、焦点情報と相関を有する変数を入力変数とする予測関数を使用することができる。また、入力変数は2種類以上でもよく、その場合には、多重回帰分析の手法を使用することができる。
【0084】
さらに、上述の実施形態では、回帰分析の予測関数として、一次関数を採用しているが、それに限定されるものではない。一般的に、所定の関数を仮定して、最小二乗誤差を得るパラメータを特定すればよいので、予測関数としては、二次関数,指数関数その他の多様な関数を採用することができる。
また、上述の実施形態では、回帰分析を使用して焦点情報の動向中心を求めているが、それに限定されるものではない。一般的には、数時点の焦点情報を標本データとして、焦点情報の動向を求めればよい。例えば、移動平均(moving average)や自己回帰(auto regressive)などの統計演算を使用してもよい。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明では、統計演算により焦点情報の分散を算出するので、現在の被写体状況における「焦点情報のゆらぎ具合」を確率的に正確に検出することができる。
したがって、多様な被写体状況に適応して、焦点情報のゆらぎ発生が確率的に無視できる範囲に、再駆動開始の閾値を適正かつ正確に設定することができる。
【0086】
その結果、多様な被写体状況のほぼすべてについて、ハンチングの発生を確実に防止することが可能となる。
また、焦点情報のゆらぎが閾値外に発生する確率を正確に把握できるので、多様な被写体状況にかかわらず、ハンチングの周期を綿密にコントロールすることができる。したがって、撮影者がハンチングを感知しない程度、もしくは不快に感じない程度に、ハンチングの周期を低く抑えることもできる。
【0087】
さらに、ゆらぎの確率分布を超える頻度で閾値外の焦点情報が検出されたり、十分低い確率分布であるにもかかわらず閾値外の焦点情報が検出された場合には、「焦点情報の変化はゆらぎによるものではなく、有意な変化である」と適正に判定することができる。したがって、多様な被写体状況に適応して、再駆動開始の判定を正確かつ適正に行うことができる。
【0088】
また、多様な被写体状況に応じて、焦点情報のゆらぎが確率的に超えない限度ぎりぎりに、再駆動開始の閾値を正確に設定することができる。
したがって、ハンチングを必要十分なレベルで抑制しつつ、焦点調節の即応性や追従性などの低下を最小限に抑えることができる。
その結果、焦点調節の動作遅れなどは解消され、撮影者は、貴重なシャッタチャンスを的確にとらえることができる。
【0089】
特に、僅かに焦点がずれた被写体については、焦点調節の動作が敏感に開始されるため、精細かつ微妙な焦点調節を行うことが可能となる。
請求項2に記載の発明では、焦点情報の平均値を中心値として、焦点情報の分散を算出する。
一般に、平均値を求める演算処理は、動向中心などを求める演算処理(移動平均や回帰分析など)に比べ、演算処理量が格段に小さい。したがって、このような平均値を中心値とすることにより、焦点情報の分散を簡便かつ高速に算出することが可能となる。その結果、請求項1の構成を簡易に実現することができる。
【0090】
請求項3に記載の発明では、動向中心を中心値として焦点情報の分散を算出するので、「ゆらぎ中心の移動」の影響を一切排除し、分散の値を正確に求めることができる。
したがって、焦点情報の標本区間を長く設定するような場合においても、「分散の値」と「焦点情報のゆらぎ具合」との相関が良好に保たれ、「焦点情報のゆらぎ具合」をより正確に判断することができる。その結果、再駆動開始の閾値をより正確に設定することが可能となる。
【0091】
また、合焦状態の判定前から分散を予め算出しておくことができるので、合焦状態の判定直後においても「再駆動開始の閾値判定」を即座に開始することが可能となる。
請求項4に記載の発明では、信頼性情報に応じて、再駆動開始の閾値を選択もしくは補正する。信頼性情報は、被写体状況に即応して変化する値なので、焦点情報の数時点にわたって徐々に変化する分散値の変化を待つことなく、被写体状況の急変に応じて閾値を即座に変更することが可能となる。
【0092】
また、信頼性情報と分散との相関分析などを行うことにより、信頼性情報から予想される分散と、実際の分散との間に大きなズレが生じるような場合に、焦点情報のゆらぎの原因は、測定系にあるのではなく、被写体側に有ると判定することができる。
すなわち、このような場合には、遠近競合被写体(近接した範囲に遠近の撮影対象が位置する被写体)や周期被写体(像パターンに周期性を有するために、位相差検出時の相関曲線に櫛歯特性を生じ、偽のデフォーカス量を誤検出してしまう被写体)などが予想される。したがって、このような被写体の種類検出に適応して、カメラの撮影モードまたは焦点調節のパラメータなどを適宜に変更することもできる。
【0093】
請求項5に記載の発明では、焦点情報のゆらぎと相関が強く、かつ被写体状況の変化に即応して変化する値を選んで、信頼性情報として採用しているので、焦点情報のゆらぎ具合を簡便かつ即座に修正することができる。したがって、被写体状況の急変に応じて閾値を簡便かつ即座に変更することが可能となる。
以上説明したように、本発明を適用した焦点調節装置では、焦点情報のゆらぎ具合に柔軟に応じて、「再駆動開始の閾値」を確率的に適正な値に設定することができるので、「ハンチングの抑制」と「焦点調節の性能」とを適正に両立させた焦点調節装置を実現することができる。
【0094】
特に、低輝度時または低コントラスト時においては、撮影光学系の動作が格段に安定し、非常に安定した操作感を与える焦点調節装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1〜3に記載の発明を説明するブロック図である。
【図2】請求項4,5に記載の発明を説明するブロック図である。
【図3】相関曲線を説明する図である。
【図4】第1の実施形態(請求項1,2に対応する)の構成を説明する図である。
【図5】第1の実施形態の動作を説明する流れ図である。
【図6】第1の実施形態におけるデフォーカス量を示す説明図である。
【図7】第2の実施形態(請求項1,3に対応する)の構成を示す図である。
【図8】第2の実施形態の動作を説明する流れ図である。
【図9】第2の実施形態におけるデフォーカス量を示す説明図である。
【図10】第3の実施形態(請求項1,2,4,5に対応する)の構成を説明する図である。
【図11】第3の実施形態の動作を説明する流れ図である。
【図12】従来例の合焦幅を示す図である。
【符号の説明】
1 撮影光学系
2 焦点検出手段
3 焦点制御手段
4 統計演算手段
5 信頼性対処手段
11 カメラ
12 撮影光学系
13 クイックリターンミラー
14 サブミラー
15 焦点検出部
16 マイクロプロセッサ
17 レンズ情報記憶部
18 エンコーダ
19 駆動回路
20 モータ
21 レンズ駆動機構
23 焦点演算部
24 目標位置更新部
25 メモリ
26 統計演算部
28 モータ操作量算出部
32 統計演算部
42 信頼性対処部

Claims (5)

  1. 撮影光学系の焦点情報を検出する焦点検出手段と、
    前記焦点検出手段により検出された焦点情報に基づいて、前記撮影光学系を合焦状態まで駆動する焦点制御手段と、
    複数時点の焦点情報について統計演算を行い、前記焦点情報の分散を算出する統計演算手段とを備えてなり、
    前記焦点制御手段は、
    「前記撮影光学系の駆動停止中」もしくは「前記焦点制御手段における目標駆動位置の更新停止中」に、前記分散に対応して予め定められる閾値を前記焦点情報が超えると、前記撮影光学系の駆動を再開する
    ことを特徴とする焦点調節装置。
  2. 請求項1に記載の焦点調節装置において、
    前記統計演算手段は、
    前記焦点情報の平均値を中心値として焦点情報の分散を算出する
    ことを特徴とする焦点調節装置。
  3. 請求項1に記載の焦点調節装置において、
    前記統計演算手段は、
    前記焦点情報の動向中心を中心値として焦点情報の分散を算出する
    ことを特徴とする焦点調節装置。
  4. 請求項1に記載の焦点調節装置において、
    前記焦点情報の信頼性にかかわる信頼性情報に応じて、前記閾値を選択もしくは補正する信頼性対処手段を備えた
    ことを特徴とする焦点調節装置。
  5. 請求項4に記載の焦点調節装置において、
    前記信頼性情報とは、
    被写体像の明るさ,もしくは被写体像の空間周波数分布,もしくは被写体像のコントラスト,もしくは被写体の移動速度,もしくは被写体光束を分割結像させた一組の光像について相関演算を行った際の相関曲線の急峻度,もしくは最小相関量である
    ことを特徴とする焦点調節装置。
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