JP2006165296A - 配線基板およびその製造方法 - Google Patents

配線基板およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006165296A
JP2006165296A JP2004355135A JP2004355135A JP2006165296A JP 2006165296 A JP2006165296 A JP 2006165296A JP 2004355135 A JP2004355135 A JP 2004355135A JP 2004355135 A JP2004355135 A JP 2004355135A JP 2006165296 A JP2006165296 A JP 2006165296A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrically insulating
adhesive
wiring board
base material
insulating base
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004355135A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4349270B2 (ja
Inventor
Hideki Higashiya
秀樹 東谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2004355135A priority Critical patent/JP4349270B2/ja
Publication of JP2006165296A publication Critical patent/JP2006165296A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4349270B2 publication Critical patent/JP4349270B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)

Abstract

【課題】フィルムを用いた全層IVH構造高密度配線基板の生産性の良い製造方法を提供すると共に、配線層間の電気的接続を高い信頼性で実現する多層配線基板構造を提供すること。
【解決手段】電気絶縁性基材は、コア用の電気絶縁性基材における接着剤体積を小さくし、導電性ペーストの接着剤への広がりを抑制することにより、配線での圧縮を行なわないコア部分の電気絶縁性基材においても、他の電気絶縁性基材層と同等の電気的接続を確保する。
【選択図】図1

Description

本発明は、インナービアホール接続により複数層の配線が電気的に接続された高密度配線基板の製造方法に関するものである。
近年、電子機器の小型化、高性能化に伴い、産業用にとどまらず広く民生用機器の分野においてもLSI等の半導体チップを高密度に実装できる多層配線回路基板が安価に供給されることが強く要望されてきている。このような多層配線回路基板では微細な配線ピッチで形成された複数層の配線パターン間を高い接続信頼性で電気的に接続できることが重要である。
また、携帯電話に代表される携帯機器においては特に、機能の集積化の傾向に加えて、より持ち運び性を良くするべく、機器の薄型化の傾向が顕著であり、多層配線回路基板にもより高密度で薄いものが要求されている。
このような市場の要望に対して従来の多層配線基板の層間接続の主流となっていたスルーホール内壁の金属めっき導体に代えて、多層配線基板の任意の電極を任意の配線パターン位置において層間接続できるインナービアホール接続法すなわち全層IVH構造樹脂多層配線基板と呼ばれるものがある(特許文献1)。
また、フィルムを電気絶縁性基材に用いた全層IVH構造樹脂多層配線基板を形成する例としては、配線の転写を用いる製造方法が特許文献2、特許文献3で提案されており、同様のフィルムを用いた構成で多層化する製造方法については、特許文献4、特許文献5で提案されている。
これらの技術によれば、多層配線基板のビアホール内に導電性ペーストを充填して必要な各層間のみを接続することが可能であり、部品ランド直下にインナービアホールを設けることができるために、基板サイズの小型化や高密度実装を実現することができる。また、インナービアホールにおける電気的接続は導電性ペーストを用いているために、ビアホールにかかる応力を緩和することができ、熱衝撃等による寸法変化に対して安定な電気的接続を実現することができる。
ここで、このフィルムを電気絶縁性基材に用いた全層IVH構造樹脂多層配線基板として代表的な従来の製造方法を説明する。図5(a)〜(g)には両面配線基板の例を、図6(a)〜(c)、図7(a)〜(i)には多層配線基板の例を示した。
図5(a)〜(g)はフィルムを電気絶縁性基材に用いた従来の両面配線基板の製造方法を示す工程断面図である。
まず図5(a)に示すように支持基材1に配線2を形成する。つぎに、図5(b)に示すフィルム3の両側に接着剤4を形成し電気絶縁性基材6が構成される。その表面には保護フィルム5が形成される。引き続き、図5(c)に示すように、電気絶縁性基材6に対し貫通孔7を形成する。貫通孔7の形成にはドリル加工、パンチ加工、レーザー加工などが用いられるが、貫通孔7が微細になり、生産性が要求される場合はレーザー加工が用いられる。
次に、図5(d)に示すようにこの貫通孔7に導電性ペースト8を充填する。導電性ペーストは圧縮された際、導電性ペースト内の樹脂が排出され、実質的に導電性ペースト内の導電性粒子成分密度を向上させ、緻密化させることができる。この緻密な導電性ペーストは安定した電気的接続を実現するものであり、導電性ペーストは印刷による充填が可能なため、生産性が非常に優れている。保護フィルム5は導電性ペースト印刷工程でのマスクとしての機能と、保護フィルム5の剥離後、貫通孔7内により多くの導電性ペーストを充填させる機能を持っている。
次に、図5(e)〜(f)に示すように、電気絶縁性基材6の両側から配線2を備えた支持基材1を加熱加圧することによって接着する。この工程で、配線2が接着剤4に埋設されることになり、前述のように導電性ペースト8を圧縮し、導電性ペーストが緻密化される。これによって導電性ペースト内部の電気的接続をより安定化させると共に、配線2と導電性ペースト8も高密度に接触し、電気的接続が安定化するのである。引き続き、表裏面の支持基材1を除去すると図5(g)に示した両面配線基板9が形成される。
また、図6(a)〜(c)は図5(g)の両面配線基板9を多層化する、従来の製造方法を示す工程断面図である。
まず、両面配線基板9は既に説明した図5(g)に示されたものであり、配線2が接着剤4に埋設され、基板表面が平坦になった構造である。電気絶縁性基材12はフィルム3と接着剤4から構成されており、両面配線基板と接する側の接着剤4を他方に比べて薄く形成したものである。さらに、この電気絶縁性基材12には既に説明した図5の例と同様の製造方法で貫通孔7、導電性ペースト8が形成されており、表面の保護フィルム5を除去した状態である。この接着剤4を備えた電気絶縁性基材12を挟んで、さらに配線2が形成された支持基材1が両面配線基板9に積層されると図6(a)に示す状態となる。
次に、図6(b)に示す加熱加圧工程で両面配線基板9と電気絶縁性基材12を接着させる。このとき、配線2は接着剤4に埋め込まれ、導電性ペースト8を圧縮することで電気的な接続を確保するのである。
次に、図6(c)に示すように配線2を残して支持基材1を除去すれば、4層配線基板が完成する。
さらに、図7(a)〜(i)はフィルムを電気絶縁性基材に用いた従来の多層配線基板の他の製造方法を示す工程断面図である。
まず、図7(a)に示すようにフィルム3の両側に接着剤4が形成されており、片側の接着剤表面には保護フィルム5が形成されている。この電気絶縁性基材の保護フィルムが形成されていない側に、支持基材1上に所望の配線2が形成されている転写基材を配置する。この状態で、ラミネートによって温度と圧力を加え接着を行うと図7(b)に示す状態が得られる。この接着工程では温度は接着剤のタック性が発生するに必要な程度にとどめ、圧力もできるだけ小さく設定し、配線2が完全に接着剤4に埋まり込まない条件設定で行うのが望ましい。このような条件設定にすることで、後のプレス工程での圧縮が確保されるのである。
次に、図7(c)に示すように電気絶縁性基材6と保護フィルム5を貫通するように貫通孔7を形成する。貫通孔7の底には配線2が部分的に露出した状態になっている。この配線2側が閉塞した貫通孔7は加工エネルギーを調整することによりレーザー加工で容易に実現することができる。
次に、図7(d)に示すように貫通孔7に対して導電性ペースト8を充填する。貫通孔7への安定した導電性ペーストの充填を実現するために、印刷は繰り返し行われるのが望ましい。この状態では導電性ペーストの表面と保護フィルム5の表面がほぼ同じ高さになっている。
次に図7(e)に示すように表面の保護フィルム5を剥離し、保護フィルムを剥離した側に配線材料10を積層配置する。この時、導電性ペースト8の表面は接着剤4の表面からほぼ保護フィルム5の厚み分突出することになる。
この状態でプレスによって加熱加圧し接着することで、図7(f)の状態を得る。このとき、配線層2が十分に接着剤4に埋まりこむこととなり、さらに導電性ペースト8を圧縮する。この圧縮によって導電性ペースト内の導電性粒子が強固に結合することとなり、また配線2、配線材料10と導電性ペースト8との界面での結合も強固となる。この強固な結合により、配線と導電性ペーストとの接続の信頼性が確保される。
引き続き、配線材料10をエッチングによってパターニングし図7(g)に示すような両面配線基板が完成する。
さらに図7(a)〜(g)の工程を繰り返し行うことで、図7(h)に示すように多層化を行い、最後に支持基材1を除去することで、図7(i)に示すような多層配線基板が形成できる。
この製造方法によれば、支持基材1上に1層ずつ多層化していくため、配線収容に必要な最適な層数で配線基板を形成できるため、材料、プロセスを必要最小限に設定でき、コスト的に有利である。また、多層化する際に、下層の配線上に電気絶縁性基材を貼り付けた後に貫通孔を形成するので、配線パターンを位置認識した後に所望の位置を狙って貫通孔加工が可能なため、配線と貫通孔の位置あわせ精度に優れる点で有利である。
特開平06−268345号公報 特開2000−77800号公報 特開2000−340954号公報 特開2002−151853号公報 特開2001−345539号公報
上記した配線基板の製造方法においては、いずれも支持基材に形成された配線を転写によって電気絶縁性基材に埋設させ、導電性ペーストを圧縮し電気的な接続を確保している。つまり、従来の多層配線基板の製造方法においては、貫通孔でのビア接続を実現するのが困難な電気絶縁性基材であったために、配線を埋設させて強制的に導電性ペーストを圧縮することで電気的接続を実現していた。すなわち、従来の電気絶縁性基材には材料単体としては、導電性ペーストによる電気的接続を確保しにくいという課題があった。
また、図5、図6に示した従来の配線基板の製造方法によれば、支持基材に形成された配線の転写によってすべての配線を形成しており、フィルムを用いた剛性の低い電気絶縁性基材に対して単独でエッチング等のウエットプロセスを行なうことがないため、搬送性に優れる一方、1層の配線層を形成するために1回のパターン形成工程を行なう必要がある。つまり、一般的な配線基板の製造工程では、電気絶縁性基材の表裏面の配線を1回のパターン形成工程で同時に形成するが、上記例においては、パターン工程の生産性に劣るという課題があった。
また、図7に示した従来の配線基板の製造方法も同様に、フィルムを用いた剛性の低い電気絶縁性基材に対して単独でエッチング等のウエットプロセスを行なうことがないため、搬送性に優れる一方、多層配線基板の配線層を1層ずつ形成するため生産性に劣る課題がある。
本発明は上記課題を解決するものであり、フィルムを用いた全層IVH構造高密度配線基板の生産性の良い製造方法を提供すると共に、配線層間を高い信頼性で電気的に接続した多層配線基板構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
本発明の請求項1に記載の発明は、フィルムの両面に接着剤を備えた電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材に設けられた貫通孔と、該貫通孔に充填された導電性ペーストと、前記導電性ペーストと電気的に接続する配線を備えた多層配線基板であって、該多層配線基板は奇数の電気絶縁性基材からなり、コア用の電気絶縁性基材の接着剤体積が、他の電気絶縁性基材における接着剤体積より小さい多層配線基板であって、コア用の電気絶縁性基材における接着剤体積が小さいため、導電性ペーストの接着剤への広がりを抑制できるため、配線での圧縮を行なわないコア部分の電気絶縁性基材においても、他の電気絶縁性基材層と同等の電気的接続を確保することができる。
なお、ここで言うコア用の電気絶縁性基材とは、電気絶縁性基材の両面に配線と、この配線を電気的に接続する貫通孔を備えた所謂両面配線基板を示すものとし、多層配線基板の製造工程において該両面配線基板上に電気絶縁性基材が順次積層されることで、配線層が多層化できるものである。
本発明の請求項2に記載の発明は、コア用の前記電気絶縁性基材のフィルム厚みは、他の電気絶縁性基材におけるフィルム厚みより大きい請求項1に記載の多層配線基板であって、コア部分の電気絶縁性基材においてフィルムを厚くすることで、剛性を高めることができ、他の電気絶縁性基材と同じ材料で、搬送性良くコア部分の配線形成を行なうことができる。
本発明の請求項3に記載の発明は、コア用の前記電気絶縁性基材のフィルムの弾性率は、他の電気絶縁性基材におけるフィルムの弾性率より大きい請求項1に記載の多層配線基板であって、コア部分の電気絶縁性基材において、より剛性の高いフィルムを用いることで、搬送性をより向上させることが可能となる。
本発明の請求項4に記載の発明は、前記電気絶縁性基材のフィルムの弾性率が2.5GPa以上である請求項1に記載の多層配線基板であって、フィルムの弾性率を2.5GPa以上とすることで、貫通孔壁面が導電性ペーストの広がりを効果的に抑制することができ、導電性ペーストの圧縮を高め、結果として信頼性の高い電気的接続を実現できる。
本発明の請求項5に記載の発明は、コア用の前記電気絶縁性基材の接着剤の最低溶融粘度が、他の電気絶縁性基材における接着剤の最低溶融粘度よりも大きい請求項1に記載の多層配線基板であって、コア部分の電気絶縁性基材に形成された接着剤の最低溶融粘度を、他の電気絶縁性基材層に比べて大きくすることで、コア部分の導電性ペーストの接着剤への広がりを抑制し、配線での圧縮を行なわないコア部分の電気絶縁性基材においても、他の電気絶縁性基材層と同等の電気的接続を確保することができる。
本発明の請求項6に記載の発明は、前記多層配線基板の少なくとも一層の電気絶縁性基材は、フィルム表裏面で接着剤の最低溶融粘度が異なる請求項1に記載の多層配線基板であって、フィルム表裏面の接着剤において、配線埋め込みが必要な側の接着剤の最低溶融粘度を他方に比べて低くすることで、一方側の接着剤における配線埋め込みと、他方側の接着剤における導電性ペーストの広がり抑制を両立することができ、その結果、成形性と電気的接続性に優れた配線基板を提供することができる。
本発明の請求項7に記載の発明は、前記多層配線基板の少なくとも一層の電気絶縁性基材は、フィルム表裏面で異なる材料の接着剤を形成した請求項1に記載の多層配線基板であって、成形性と電気的接続性を両立する電気絶縁性基材の材料設計の余裕度が広がると共に、局所的に電気絶縁性基材の物性を変えることができ、多層配線基板への電子部品の実装性等の機能を高めることができる。
本発明の請求項8に記載の発明は、前記多層配線基板の電気絶縁性基材は、最低溶融粘度が100〜5000Pa・sの接着剤を含む請求項1に記載の多層配線基板であって、接着剤の最低溶融粘度を100〜5000Pa・sとすることで、導電性ペーストの広がりを抑制することによる電気的接続の確保と、配線の埋め込みを両立することができる。
本発明の請求項9に記載の発明は、フィルムの両面に接着剤を備えた第一の電気絶縁性基材に貫通孔を形成する工程と、前記第一の電気絶縁性基材の貫通孔に導電性ペーストを充填する工程と、前記第一の電気絶縁性基材の両側に配線材料を積層し、加熱加圧によって接着するプレス工程と、前記第一の電気絶縁性基材の表裏面の配線材料をパターニングする工程と、フィルムの両面に接着剤を備えた第二の電気絶縁性基材に貫通孔を形成する工程と、前記第二の電気絶縁性基材の貫通孔に導電性ペーストを充填する工程と、パターニングされた前記第一の電気絶縁性基材と、導電性ペーストが充填された第二の電気絶縁性基材と、配線材料を積層し加熱加圧によって接着するプレス工程と、前記配線材料をパターニングする工程を備えた多層配線基板の製造方法において、前記第一の電気絶縁性基材における接着剤体積が、第二の電気絶縁性基材における接着剤体積より小さい多層配線基板の製造方法であって、第一の電気絶縁性基材における接着剤体積が小さいため、導電性ペーストの接着剤への広がりを抑制できるため、配線での圧縮を行なわない第一の電気絶縁性基材においても、他の電気絶縁性基材層と同等の電気的接続を確保することができる。
本発明の請求項10に記載の発明は、前記第二の電気絶縁性基材のプレス工程では、前記第二の電気絶縁性基材に形成された接着剤の軟化温度と最低溶融粘度を示す温度の中点温度において、前記第一の電気絶縁性基材に形成された配線パターンが、第二の電気絶縁性基材に対して厚み方向に50%以上埋設される請求項9に記載の多層配線基板の製造方法であって、接着剤が最低溶融粘度となった際の導電性ペーストの広がりを抑制することができ、結果として配線の埋め込みと電気的接続を両立することができる。
本発明の請求項11に記載の発明は、前記第一の電気絶縁性基材に形成された配線の製品領域外のパターン比率が50%以上である請求項9に記載の多層配線基板の製造方法であって、製品領域以外に金属よりなる配線材料を広い面積で残存させることで、電気絶縁性基材の剛性を高め、第一の電気絶縁性基材の配線形成工程における搬送性を向上させることができる。
本発明の請求項12に記載の発明は、前記第一の電気絶縁性基材は略四角形のシート状であり、少なくとも2つの角が切り落とされている請求項9に記載の多層配線基板の製造方法であって、エッチングや洗浄等のウエット処理の製造工程において、搬送用のローラーでの基板の折れ曲がりや破損を抑制することができ生産性を高めることができる。
本発明によれば、コア部分の電気絶縁性基材における接着剤体積が小さく、導電性ペーストの接着剤への広がりを抑制できるため、配線での圧縮を行なわないコア部分の電気絶縁性基材においても、他の電気絶縁性基材層と同等の接続性を備えた多層配線基板を提供できると共に、コア部分の電気絶縁性基材の剛性を高めることで、搬送性良くコア部分の配線形成を行なうことができ、生産性に優れた製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1(a)〜(j)に示したのは、本発明にかかる多層配線基板の主要製造工程の断面図である。まず、図1(a)に示した電気絶縁性基材6はフィルム3の両面に接着剤4が形成されたものであり、さらにその表裏面には保護フィルム5が形成されている。
フィルム3としては屈曲性のあるフレキシブル配線基板用の材料を用いることができ、材質としては高耐熱の材料がより好ましい。具体的にはポリイミドフィルム、アラミドフィルム、LCPフィルムが耐熱性の点で好ましく、ポリイミドフィルムとしては、“カプトン”(東レ・デュポン(株)の商標)、“ユーピレックス”(宇部興産(株)の商標)、“アピカル”(鐘淵化学(株)の商標)、アラミドフィルムとしては“アラミカ”(旭化成(株)の商標)、“ミクトロン”(東レ(株)の商標)が好適である。厚みとしては、ポリイミドフィルムであれば9ミクロン程度、アラミドフィルムであれば4ミクロン程度の極薄の材料を用いることが可能であり、これらを用いれば、極薄の多層配線基板を形成することができる。一例としてユーピレックスの25ミクロンのフィルムを用いれば、弾性率が9.1GPaであり搬送性を確保するのに充分な剛性が得られる。
接着剤としては、熱硬化性の樹脂が用いられ、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂を主成分とする材料を用いることができる。材料としては、配線材料との密着性や耐熱性を付与するために、可塑成分やフィラを添加しても構わない。フィラについては、シリカやアルミナ等の無機フィラを用いることで、接着剤の硬度を高める、吸湿率を下げるといった物性の調整が可能となる。接着剤4の形成方法としては、フィルム3上に接着剤ワニスを直接塗布しても良いし、保護フィルム5上に接着剤ワニスを塗布し、それをフィルムに貼り付けて転写しても良い。なお、フィルム表面は接着剤との密着性を向上させるために、コロナ処理やプラズマ処理が施されるのが一般的である。ここでは、一例としてエポキシ系の接着剤を25ミクロン厚みのポリイミドフィルムの両側に3ミクロン厚みで、直接塗布して形成した。
電気絶縁性基材6の表裏面に形成する保護フィルム5は、PET(poly ethylene terephthalate)やPEN(poly ethylene naphthalate)を主成分とするフィルムを用い、ラミネートによって電気絶縁性基材6の両面に貼り付けるのが簡便で生産性のよい製造方法である。ラミネート条件は接着剤4が軟化する温度で行なわれ、熱硬化性樹脂の硬化を進めないようにラミネートのような短時間で貼り付ける工法が好適なのである。また、前述のように、保護フィルム5上に接着剤4を塗布した後に、フィルム3にラミネートで貼り付けることもできる。ここで、保護フィルムとしてPENやPETフィルムを用いれば、引っ張り強度に優れるため9ミクロンの厚みでも、電気絶縁性基材6上にラミネートによってしわなく貼り付けることができた。また、PENフィルムは351nmの波長を吸収できるため、3倍高調波のYAGレーザー加工性に優れるという利点がある。
次に図1(b)に示すように保護フィルム5、電気絶縁性基材6を貫通する貫通孔7を形成する。貫通孔7はパンチ加工、ドリル加工、レーザー加工によって形成することができるが、炭酸ガスレーザーやYAGレーザーを用いれば小径の貫通孔を短時間で形成することができ生産性に優れた加工を実現できる。一例として炭酸ガスレーザーを用いた場合には25ミクロン厚みのポリイミドフィルムの両面に3ミクロンずつ接着剤を形成し、さらに9ミクロンのPETフィルムを貼り付けた合計約50ミクロンの電気絶縁性基材6に対して100ミクロン径の貫通孔を加工することができた。また、YAGレーザーの3倍高調波を用いた場合には、総厚み40ミクロン程度の電気絶縁性基材に30μm径の貫通孔を加工することができた。
続いて図1(c)に示すように貫通孔7に導電性ペースト8を充填する。導電性ペースト8は銅、銀、等の金属導電性粒子と樹脂成分から構成される。導電性粒子として略球形のものを用いると、導電性ペースト内の導電性粒子比率が高くなった場合でもペースト粘度を低く抑えることができるためより好ましい。
このとき、保護フィルム5は導電性ペースト8が電気絶縁性基材表面に付着するのを防ぐ保護の役割と導電性ペーストの充填量を確保する役割を果たす。導電性ペーストは印刷による充填が可能なため、生産性に優れているという利点も有する。
次に、前記保護フィルム5を剥離することで、図1(d)に示す状態を得る。導電性ペースト8は保護フィルム5によって充填量を確保している。つまり、導電性ペースト8は保護フィルム5の厚み程度の高さ分だけ電気絶縁性基材6の表面より突出した状態となっている。ここで、この保護フィルム5の厚みをビア径の5〜25%程度に設定すると、保護フィルム5の剥離の際に導電性ペーストが保護フィルム側に取られる量を抑制できるためより好ましい。一例として、前述の25ミクロンポリイミドフィルムを用い、9ミクロンの保護フィルムを用いた総厚み約50ミクロンの電気絶縁性基材については、50ミクロンの貫通孔径においても、突出量を確保することができた。
この保護フィルム5を剥離した後、図1(e)に示すように電気絶縁性基材6の両面に配線材料10を積層し、熱プレスによる加熱加圧で配線材料10を電気絶縁性基材6に貼り付けると共に、導電性ペースト8を圧縮すると図1(f)の状態となる。ここで、配線材料10としては9ミクロンの電解銅箔を用いたが、さらに、多層配線基板を薄くする場合には5ミクロン厚みのキャリア付きの電解銅箔や5ミクロンの圧延銅箔を用いることもできる。
また、この導電性ペースト8については、充填後は導電性ペースト内の導電性粒子9の間に樹脂10が多く存在し、充分な電気的接続が確保されていない。これに対して加熱加圧工程で、導電性ペースト4に圧縮が加わり導電性ペースト内の導電性粒子が密に接触することとなり導電性ペースト内の電気的接続を確保することができる。この導電性ペースト内の樹脂成分は、充填工程の際に導電性ペーストの粘度を下げ、微細な貫通孔へ安定して充填を行なう点で不可欠のものであり、加熱加圧工程の圧縮でこの樹脂成分を効果的に排出させることが、電気的接続を確保する上で重要である。
ここで、導電性ペーストの樹脂として熱硬化性樹脂を用いることがより好ましく、熱プレスの際にその粘度が低下し、導電性ペーストの圧縮により貫通孔外に熱硬化性樹脂が排出され、結果として導電性ペースト内の導電性粒子の接触をより高密度なものにすることができる。
また、図1(f)では、配線材料10が平坦な箔であるため、接着剤4としては配線を埋め込む必要がなく、配線材料との密着性が確保できればよいので、前述の一例では接着材厚みを3ミクロンと設定している。このように接着剤厚みを、密着性を損ねない最低の厚みにすることが好ましく、導電性ペースト8を圧縮した際の接着剤への広がりを抑制している。すなわち、保護フィルム5を剥離することで形成した導電性ペースト8の突出部が、積層接着の際に周辺に広がりにくいため、効果的に貫通孔内の導電性ペーストが圧縮されるのである。なお、この接着剤厚みは3ミクロンに限定されるものではなく、接着剤の材料や貫通孔の径に応じて調整できるものである。
また、この電気絶縁性基材6の接着剤の最低溶融粘度は、後に述べる積層用の電気絶縁性基材12の接着剤の最低溶融粘度よりも高いことがより好ましい。前述のように電気絶縁性基材6は多層配線基板のコア部分となり、配線材料10の積層工程において配線を埋め込む必要がない。そこで、最低溶融粘度を高く設定することで、配線材料が電気絶縁性基材に貼り付けられる際の、接着剤部での導電性ペーストの広がりをさらに抑制し、良好な電気的接続を得ることができる。具体的には、フィルム3上に接着剤4を塗布した後に、加熱を行い接着剤の硬化を進めることができる。これによって接着剤の溶融粘度を容易に高くすることができる。また、接着剤の材料としてゴム成分や熱可塑成分を低減させ、溶融粘度を高く設定しても勿論構わない。
また、フィルム3としては、弾性率が2.5GPa以上であることがより好ましく、貫通孔壁面のフィルム部分が、前述の導電性ペーストの圧縮によって広がることを抑制できる。すなわち、貫通孔内の導電性ペーストにかかる圧縮応力の緩和を低減でき、結果として導電性ペースト内の導電性粒子の接触密度を高め、信頼性の高い電気的接続を実現できる。
次に、配線材料10をエッチングによってパターニングし配線2を形成すると図1(g)に示す状態となり、配線2が電気絶縁性基材6から突出した両面配線基板11が形成できる。
ここで、エッチングによってパターニングする際に、電気絶縁性基材に形成された配線の製品領域外のパターン比率が0.5以上であることが好ましい。ここでパターン比率とは特定領域内の配線層面積比率を示すものであり、特定領域の表裏面の配線層面積を、特定領域面積の2倍で除算して算出する。
また、製品領域とは、電子機器等に固定され、最終的に電子回路を機能させる該配線基板の領域を示すものとする。一般的に配線基板の製造方法としては、図3(a)に示すように大判の両面配線基板11に複数の製品領域13を形成した後に、切り出して個片化することが多い。
上記したように、製品領域以外に金属よりなる配線材料をパターン比率0.5以上の広い面積で残存させることで、電気絶縁性基材の剛性を高め、配線形成工程における搬送性を向上させることができる。
一例として図3(b)に示すように、製品領域外をパターン比率0.75のメッシュ状の配線パターンとすることで、シャワーエッチングの搬送ローラーへの巻きつきを抑制し、ポリイミドの25ミクロン厚みのフィルムを500mm×300mmのカットシートでシャワーエッチングすることができた。
なお、図3(b)では配線基板の乾燥を想定し、水分の抜け易いメッシュパターンを用いた例を示しているが、パターンとしてはベタパターンでも差し支えなく、同様の効果を得ることができる。
また、カットシート状の両面配線基板11として図4に示すように、エッチングの搬送方向に対して先行する2つの角が少なくとも切り落とされた形状にすることがより好ましい。これによって、エッチングや洗浄等のウエット処理の製造工程において、配線基板の端部の反りによる、基板端部の搬送用のローラーでの折れ曲がり、搬送中の基板詰まり、基板の破損が低減され、配線基板の生産性を高めることができる。
なお、図4では製品領域外におけるパターン率を1.0とした例で説明したが、製品領域外におけるパターンはこれに限定されるものではなく、別のパターンにおいても同様の効果を得ることができる。
引き続き図1(h)に示すように、両面配線基板11の両側に電気絶縁性基材12と配線材料10を位置決め積層した後に、熱プレス工程による加熱加圧で材料間を接着させ、成形を行なうと図1(i)に示す状態となる。なお、熱プレスの際に配線埋め込みを補うPE等の樹脂プレスシートを用いても構わない。
ここで、電気絶縁性基材12はフィルム3の両面に接着剤4が形成されており、貫通孔7、導電性ペースト8が設けられ、表面の保護フィルム5が除去されたものである。この電気絶縁性基材12として前述の電気絶縁性基材6と基本的には同種の材料を用いることができるが、電気絶縁性基材に必要な機能が異なるため、材料や構成を異なるものに設定するのである。つまり、この電気絶縁性基材12については、配線2を埋め込む必要があるため表裏面の接着剤量の総和である接着剤体積を、電気絶縁性基材6の接着剤体積に比べて大きく設定している。接着剤体積としては、配線2のパターンによって調整できるものである。
一例として50%の領域にパターンが形成された9ミクロンの配線2に対しては、片側に10ミクロンずつ合計20ミクロン厚みで接着剤を形成した電気絶縁性基材12を用いた。ここで、接着剤体積が電気絶縁性基材6で示した例に比べて大きくても、配線2が接着剤4に埋設され、導電性ペースト8を圧縮するため、電気的接続は確保できるのである。つまり、接着剤4に多少の導電性ペーストが広がったとしても、配線2が電気絶縁性基材12に配線2の厚み分埋設されるので、実質的に導電性ペーストは大きく圧縮され電気的接続がなされるのである。
なお、接着剤4の最低溶融粘度については、上記配線の埋め込みと導電性ペーストの広がり抑制を両立させるため、最低溶融粘度が100〜5000Pa・Sであることが好ましい。この範囲の溶融粘度であれば、後の加熱加圧による熱プレス成形の際に、最低溶融粘度の温度において、接着剤が導電性ペーストの広がりを抑制しつつ、充分にフローし、電気絶縁性基材12と両面配線基板11の隙間を埋めることができる。
また、電気絶縁性基材12のフィルム3としては、配線埋め込みを行なうために剛性を低く設定することがより好ましく、電気絶縁性基材6のフィルム3に比べて薄い材料を用いることができる。つまり、配線2を電気絶縁性基材12に埋設する際に、フィルム3が配線2による凹凸に追従し易くし、それによって、電気絶縁性基材12の表裏面の接着剤の移動を促進する。
一例として、電気絶縁性基材12の接着剤4を、配線2を埋め込む側に7ミクロン、他方に7ミクロン形成した場合には、配線を埋め込む側の接着剤で9ミクロン厚みの配線2を埋め込むためには接着剤のフローを極端に低くする必要がある。
しかしながら、他方の接着剤が配線2による圧力によって移動し、あわせてフィルム3が変形することで、配線を埋め込む側の接着剤のフローを抑制しつつ、電気絶縁性基材12全体で配線2を埋め込むのである。
一例として両側に7ミクロンの接着剤が形成されたユーピレックス(宇部興産(株)の商標)の12.5ミクロン厚みのフィルムを用いた場合に、前述の9ミクロン厚みの配線2に合わせて追従することができた。また、両側に7ミクロンの接着剤が形成された、さらに薄いアラミカ(旭化成(株)の商標)の4.5ミクロン厚みのフィルムを用いても同様に追従によって配線埋め込みを実現でき、結果として20ミクロン厚み以下の極薄の電気絶縁性基材12を形成することができた。
また、電気絶縁性基材12のフィルム3として、電気絶縁性基材6のフィルムに比べて弾性率の低い材料を用いることがさらに好ましい。一例として、電気絶縁性基材12のフィルムとしてカプトンフィルム(東レ・デュポン(株)の商標)を用いた場合は弾性率が5.7GPaであり、前述のユーピレックス(宇部興産(株)の商標)の弾性率9.1GPaに比べて、配線への追従性が良好であった。
このように電気絶縁性基材12のフィルム3の剛性を低くすることで、配線2への追従性を良好にし、その結果、多層配線基板を形成する際の、配線埋め込み不良の発生を抑制するのである。
また、電気絶縁性基材12のフィルム3に形成された接着剤4として、配線2を埋め込む側に充分な接着剤体積がある場合には、接着剤は表裏面で最低溶融粘度が異なることがより好ましい。つまり、電気絶縁性基材12のフィルム3表裏面の接着剤4において、配線埋め込みが必要な側の接着剤の最低溶融粘度を他方に比べて低くすることで、一方側の接着剤における配線埋め込みと、他方側の接着剤における導電性ペーストの広がり抑制を両立することができ、電気絶縁性基材の成形性と電気的接続性に優れた配線基板を提供することができる。つまり、主として配線の埋め込みに寄与する配線2と接する側の接着剤は溶融粘度を下げてフロー性を良くし、充分な配線の埋め込み性を確保する。
このように接着剤がフローしても配線2が接着剤4に埋め込まれるため、高い圧縮が得られ、電気的接続は確保できる。一方、他方側では配線を埋め込まないため、接着剤の溶融粘度を高く設定し、接着剤4での導電性ペーストの広がりを抑制するのである。
このような電気絶縁性基材の形成方法について以下に示す。
電気絶縁性基材12の形成工程において、フィルム3の片面に接着剤を塗布乾燥し、さらに他面に接着剤を塗布乾燥する際に、1回目に塗布した接着剤は2回の乾燥による熱にさらされる。そこで、1回目に塗布した接着剤にかかる熱量と2回目にかかる熱量差を制御することにより、1回目に塗布した側の最低溶融粘度を高く設定することができ、簡便な方法で、表裏面で溶融粘度の異なる電気絶縁性基材を提供することができる。
また、電気絶縁性基材12のフィルム3に形成された接着剤は表裏面で材料を異なるものとしても良い。接着剤の材料配合が異なるものを表裏面に形成することで、より広い設計余裕度で前述の最低溶融粘度を制御することができることとなる。
一例として、配線基板の最表面においては、電子部品を高い信頼性で実装する必要があり、配線の密着強度は強いものが要求される。そこで、配線基板の最外層に相当する接着剤4として配線材料10との密着性の良い材料と設定することができる。具体的には、フィルム3の外層側には低Tgの成分を含むエポキシ樹脂を形成することで、配線材料とのピール強度を1.0kg/cm以上に保ちつつ、内層側に高Tgのエポキシ樹脂を形成することで、配線基板全体の耐熱性を確保することができた。
他の例として、多層配線基板にACF等のバンプを用いた加圧実装によって半導体のベアチップを実装する場合には、最外層に相当する接着剤4として高Tgで高密度に無機フィラが分散されたエポキシ樹脂を用いた。これによって、ベアチップ実装時の配線基板側の接続パッドの沈みこみを抑制し、良好な実装性を確保することができた。
また、電気絶縁性基材12の熱プレス工程では、電気絶縁性基材12に形成された接着剤4の軟化温度と最低溶融粘度を示す温度の中点温度において、両面配線基板11に形成された配線2が、電気絶縁性基材12に対して厚み方向に50%以上埋設されることがより好ましい。
ここで、図2(a)〜(d)に図1(h)、(i)の工程における貫通孔7周辺の断面状態の時間変化を拡大して模式的に示し、プレス成形について詳しく説明する。
図2(a)に示したのは、図1(h)におけるA部の拡大図である。両面配線基板11上に配線2が形成されており、基板表面から突出した形状である。電気絶縁性基材12には貫通孔7に導電性ペースト8が充填されている。この電気絶縁性基材12はフィルム3とその両面に形成された接着剤4で構成されている。配線材料10は電気絶縁性基材12のさらに外側に配置され、引き続きプレス工程で加熱加圧を行ない両面配線基板11と電気絶縁性基材12、配線材料10の接着と成形を行なうのである。
ここで、プレス工程の温度については毎分3℃〜7℃の昇温速度範囲内で昇温していく、この範囲であればプレス装置内で配線基板を多段に積層し、複数基板を一度に成形する際にも、制御性良く温度をコントロールすることができる。
プレス工程の初期段階では、図2(b)に示すように配線基板11上の配線2は接着剤4には、埋め込まれていない。引き続き昇温をつづけ、接着剤4の軟化温度に達すると配線2の接着剤4への埋め込みが顕著になる。さらに昇温を続けると、図2(c)に示すように、接着剤4の軟化温度と接着剤4の最低溶融粘度を示す湿度の中点温度において、両面配線基板11に形成された配線2が、電気絶縁性基材12に対して厚み方向に50%以上埋設される。この状態では、接着剤4は軟化し配線2が埋設されているものの、プレス圧力で接着剤4がフローする状態ではない。さらに昇温を続けると最低溶融粘度を示す温度において接着剤4がフローし、微細な隙間にも接着剤4が浸透し、それと同時に接着剤の硬化反応が顕著化し、成形が完了すると図2(d)、図1(i)B部の状態となる。
ここで、成形の温度プロファイル、圧力プロファイルについては、接着剤4の軟化温度と接着剤4の最低溶融粘度を示す温度の中点温度において、両面配線基板11に形成された配線2が、電気絶縁性基材12に対して厚み方向に50%以上埋設されるように設定されるものであり、一例として、接着剤厚みを10ミクロンとし、最低溶融粘度が120℃で600p、軟化温度が60℃であるエポキシ樹脂を用いた場合に、プレス圧力50kg/cm、毎分3℃昇温で加熱したとき、90℃において9ミクロン厚の配線2が深さ方向に90%まで接着剤4に埋設されていた。
このように、最低溶融粘度を示す温度での配線2の埋め込み量を少なくすることによって、貫通孔付近の樹脂の流れを少なくすることができ、結果として、接着剤4が最低溶融粘度を示す状態でも、樹脂のフローによる導電性ペーストの広がりを抑制し、導電性ペーストの効果的な圧縮が実現できるのである。
なお、成形条件については、上記例に限定されるものではなく、電気絶縁性基材の材料構成に併せて、前述の埋め込み量が確保できるように多段の温度、圧力プロファイルを設定してもよい。
引き続き、最表面の配線材料10をエッチング等によってパターニングすると図1(j)に示した多層配線基板が得られる。なお、ここでは、多層配線基板の例として4層基板を用いて説明したが、配線層数はこれに限定されるものではなく、同様の工程を繰り返すことで、さらに多層化できるものである。
このように、上記したように本発明の配線基板およびその製造方法においては、配線の形成に転写を用いずに電気絶縁性基材の両面を同時にパターン形成するので生産性に優れる。また、配線を埋め込まないために導電性ペーストの圧縮がかかりにくいコア部分については、電気絶縁性基材の材料構成を積層用の電気絶縁性基材と異なるように別途設定することで、導電性ペーストの広がりを抑制し、実質的な導電性ペーストの圧縮を確保し、電気的接続を実現しているのである。
本発明にかかる配線基板の製造方法によれば、コア部分の電気絶縁性基材における接着剤体積が小さく、導電性ペーストの接着剤への広がりを抑制できるため、配線での圧縮を行なわないコア部分の電気絶縁性基材においても、他の電気絶縁性基材層と同等の接続性を備えた多層配線基板を提供できると共に、コア部分の電気絶縁性基材の剛性を高めることで、搬送性良くコア部分の配線形成を行なうことができ、生産性に優れた製造方法を提供することができる。すなわち、本発明はフィルム材料を用いた高密度多層配線基板に有用である。
(a)〜(j)本発明の実施の形態1における配線基板の製造方法を主要工程ごとに示した工程断面図 (a)〜(d)本発明の実施の形態1における配線基板の製造方法の主要工程を拡大して示した工程断面図 (a)〜(b)本発明の実施の形態1に両面配線基板の概観図 本発明の実施の形態1における両面配線基板の概観図 (a)〜(g)従来の両面配線基板の製造方法を主要工程ごとに示した工程断面図 (a)〜(c)従来の多層配線基板の製造方法を主要工程ごとに示した工程断面図 (a)〜(i)従来の多層配線基板の製造方法を主要工程ごとに示した工程断面図
符号の説明
1 支持基材
2 配線
3 フィルム
4 接着剤
5 保護フィルム
6 電気絶縁性基材
7 貫通孔
8 導電性ペースト
9 両面配線基板
10 配線材料
11 両面配線基板
12 電気絶縁性基材
13 製品領域

Claims (12)

  1. フィルムの両面に接着剤を備えた電気絶縁性基材と、
    前記電気絶縁性基材に設けられた貫通孔と、
    該貫通孔に充填された導電性ペーストと、
    前記導電性ペーストと電気的に接続する配線を備えた多層配線基板であって、
    前記多層配線基板におけるコア用の電気絶縁性基材の接着剤体積が、他の電気絶縁性基材における接着剤体積より小さい多層配線基板。
  2. コア用の前記電気絶縁性基材のフィルム厚みは、他の電気絶縁性基材におけるフィルム厚みより大きい請求項1に記載の多層配線基板。
  3. コア用の前記電気絶縁性基材のフィルムの弾性率は、他の電気絶縁性基材におけるフィルムの弾性率より大きい請求項1に記載の多層配線基板。
  4. 前記電気絶縁性基材のフィルムの弾性率が2.5GPa以上である請求項1に記載の多層配線基板。
  5. コア用の前記電気絶縁性基材の接着剤の最低溶融粘度が、他の電気絶縁性基材における接着剤の最低溶融粘度よりも大きい請求項1に記載の多層配線基板。
  6. 前記多層配線基板の少なくとも一層の電気絶縁性基材は、フィルム表裏面で接着剤の最低溶融粘度が異なる請求項1に記載の多層配線基板。
  7. 前記多層配線基板の少なくとも一層の電気絶縁性基材は、フィルム表裏面で異なる材料の接着剤を形成した請求項1に記載の多層配線基板。
  8. 前記多層配線基板の電気絶縁性基材は、最低溶融粘度が100〜5000Pa・sの接着剤を含む請求項1に記載の多層配線基板。
  9. フィルムの両面に接着剤を備えた第一の電気絶縁性基材に貫通孔を形成する工程と、
    前記第一の電気絶縁性基材の貫通孔に導電性ペーストを充填する工程と、
    前記第一の電気絶縁性基材の両側に配線材料を積層し、加熱加圧によって接着するプレス工程と、
    前記第一の電気絶縁性基材の表裏面の配線材料をパターニングする工程と、
    フィルムの両面に接着剤を備えた第二の電気絶縁性基材に貫通孔を形成する工程と、
    前記第二の電気絶縁性基材の貫通孔に導電性ペーストを充填する工程と、
    パターニングされた前記第一の電気絶縁性基材と、導電性ペーストが充填された第二の電気絶縁性基材と、配線材料を積層し加熱加圧によって接着するプレス工程と、
    前記配線材料をパターニングする工程を備えた多層配線基板の製造方法において、
    前記第一の電気絶縁性基材における接着剤体積が、第二の電気絶縁性基材における接着剤体積より小さい多層配線基板の製造方法。
  10. 前記第二の電気絶縁性基材のプレス工程では、前記第二の電気絶縁性基材に形成された接着剤の軟化温度と最低溶融粘度を示す温度の中点温度において、前記第一の電気絶縁性基材に形成された配線パターンが、第二の電気絶縁性基材に対して厚み方向に50%以上埋設される請求項9に記載の多層配線基板の製造方法。
  11. 前記第一の電気絶縁性基材に形成された配線の製品領域外のパターン比率が50%以上である請求項9に記載の多層配線基板の製造方法。
  12. 前記第一の電気絶縁性基材は略四角形のシート状であり、少なくとも2つの角が切り落とされている請求項9に記載の多層配線基板の製造方法。
JP2004355135A 2004-12-08 2004-12-08 配線基板およびその製造方法 Active JP4349270B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004355135A JP4349270B2 (ja) 2004-12-08 2004-12-08 配線基板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004355135A JP4349270B2 (ja) 2004-12-08 2004-12-08 配線基板およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006165296A true JP2006165296A (ja) 2006-06-22
JP4349270B2 JP4349270B2 (ja) 2009-10-21

Family

ID=36666965

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004355135A Active JP4349270B2 (ja) 2004-12-08 2004-12-08 配線基板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4349270B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008227302A (ja) * 2007-03-14 2008-09-25 Sony Chemical & Information Device Corp 多層プリント配線板製造用の積層シート、多層プリント配線板及び多層プリント配線板の製造方法
JP2008244091A (ja) * 2007-03-27 2008-10-09 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 多層配線基板用層間接続ボンディングシート
JP2008244061A (ja) * 2007-03-27 2008-10-09 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 多層配線基板用層間接続ボンディングシート
JP2009290081A (ja) * 2008-05-30 2009-12-10 Ngk Spark Plug Co Ltd 多層配線基板の中間製品、多層配線基板の製造方法
CN103260360A (zh) * 2012-02-17 2013-08-21 宏达国际电子股份有限公司 线路板及其构造单元与制作工艺
EP2639821A3 (en) * 2012-02-17 2015-03-04 HTC Corporation Circuit board, structural unit thereof and manufacturing method thereof

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008227302A (ja) * 2007-03-14 2008-09-25 Sony Chemical & Information Device Corp 多層プリント配線板製造用の積層シート、多層プリント配線板及び多層プリント配線板の製造方法
JP2008244091A (ja) * 2007-03-27 2008-10-09 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 多層配線基板用層間接続ボンディングシート
JP2008244061A (ja) * 2007-03-27 2008-10-09 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 多層配線基板用層間接続ボンディングシート
JP2009290081A (ja) * 2008-05-30 2009-12-10 Ngk Spark Plug Co Ltd 多層配線基板の中間製品、多層配線基板の製造方法
CN103260360A (zh) * 2012-02-17 2013-08-21 宏达国际电子股份有限公司 线路板及其构造单元与制作工艺
EP2639821A3 (en) * 2012-02-17 2015-03-04 HTC Corporation Circuit board, structural unit thereof and manufacturing method thereof

Also Published As

Publication number Publication date
JP4349270B2 (ja) 2009-10-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4876272B2 (ja) 印刷回路基板及びその製造方法
JP2007165888A (ja) 電子素子内蔵印刷回路基板及びその製造方法
JP2002064271A (ja) 複合配線基板及びその製造方法
JP2007266196A (ja) 多層プリント配線板及びその製造方法
JP2003086949A (ja) プリント基板の製造方法およびその製造方法によって形成されるプリント基板
JP2009170753A (ja) 多層プリント配線板とこれを用いた実装体
KR20180090941A (ko) 가고정형 접착소재를 이용한 연성 회로기판의 제조 방법
JP4349270B2 (ja) 配線基板およびその製造方法
JP2009272608A (ja) 印刷回路基板及びその製造方法
JP2001352171A (ja) 接着シート、接着シートを用いた回路基板及びその製造方法
TW201025535A (en) Semiconductor element-mounting package substrate, and method for manufacturing package substrate
JP4538513B2 (ja) 多層配線板の製造方法
JP2002246745A (ja) 三次元実装パッケージ及びその製造方法、三次元実装パッケージ製造用接着材
JP2003347738A (ja) 多層配線基板及びその製造方法
JP5186927B2 (ja) 立体プリント配線板
JP2011243947A (ja) 多層基板とその製造方法
JP4429712B2 (ja) 基板前駆体の製造方法
JP5303532B2 (ja) プリント配線板、その製造方法、多層プリント配線板、及びその製造方法
JP2004172533A (ja) プリント基板の製造方法およびその製造方法によって形成されるプリント基板
JP5251212B2 (ja) 立体プリント配線板
JP4492071B2 (ja) 配線基板の製造方法
JP2005150447A (ja) 配線基板とその製造方法
JP2005032739A (ja) 電子部品埋込み用の窪みを備える多層プリント配線板及びその製造方法
JP2006041299A (ja) 半導体装置用テープキャリアおよびその製造方法
JP2009060019A (ja) 立体プリント配線板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071105

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20071212

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090630

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090713

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120731

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4349270

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120731

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130731

Year of fee payment: 4

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250