JP2006162686A - 光偏向素子、該素子を備えた光偏向装置及び画像表示装置 - Google Patents

光偏向素子、該素子を備えた光偏向装置及び画像表示装置 Download PDF

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由希子 平野
Toshiaki Tokita
才明 鴇田
Hiroyuki Sugimoto
浩之 杉本
Yumi Matsuki
ゆみ 松木
Masanori Kobayashi
正典 小林
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Abstract

【課題】 構成が簡単で、小型であり、光量損失、光学ノイズ、解像度低下が少なく、低コスト化を図ることができ、耐久性が高く安定して動作する光偏向素子、該素子を備えた光偏向装置及び画像表示装置を提供する。
【解決手段】 透明な一対の基板2、3と、両基板の間隔を規制する複数のスペーサ4と、少なくとも一方の基板面に設けた無機材料から成る透明抵抗体層5と、両基板の間隔内でキラルスメクチックC相を形成可能な液晶層7と、キラルスメクチックC相の層法線方向が基板面に対して略垂直となるように液晶層7を配向させる配向膜6と、透明抵抗体層5の少なくとも二個所以上に接続した複数の電極8、9と、を備えた光偏向素子1とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電気信号によって光の方向を変える光偏向素子、該素子を備えた光偏向装置及び画像表示装置に関する。
本明細書において、「光偏向素子」とは、外部からの電気信号により光の光路を偏向、即ち、入射光に対して出射光を平行にシフトさせるか、或る角度を持って回転させるか、或いは、その両者を組合せて光路を切換えることが可能な光学素子を意味する。この説明において、平行シフトによる光偏向に対してそのシフトの大きさを「シフト量」と呼び、回転による光偏向に対してその回転量を「回転角」と呼ぶものとする。「光偏向デバイス」とは、このような光偏向素子を含み、光の光路を偏向させるデバイスを意味する。
また、「ピクセルシフト素子」とは、少なくとも画像情報に従って光を制御可能な複数の画素を二次元的に配列した画像表示素子と、画像表示素子を照明する光源と、画像表示素子に表示した画像パターンを観察するための光学部材と、画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールド毎に画像表示素子と光学部材の間の光路を偏向する光偏向手段とを有し、光偏向手段によりサブフィールド毎の光路の偏向に応じて表示位置がずれている状態の画像パターンを表示させることで、画像表示素子の見掛け上の画素数を増倍して表示する画像表示装置における光偏向手段を意味する。従って、基本的には、上記定義による光偏向素子や光偏向デバイスを光偏向手段として応用することが可能といえる。
光偏向素子なる光学素子として、従来より、KH2PO4(KDP),NH42PO4(ADP),LiNbO3,LiTaO3,GaAs,CdTeなど第1次電気光学効果(ポッケルス効果)の大きな材料や、KTN,SrTiO3,CS2,ニトロベンゼン等の第2次電気光学効果の大きな材料を用いた電気光学デバイスや、ガラス、シリカ、TeO2などの材料を用いた音響光学デバイスが知られている(例えば、青木昌治編;「オプトエレクトロニックデバイス」、昭晃堂)。これらは、一般的に、十分大きな光偏向量を得るためには光路長を長く取る必要があり、また、材料が高価であるため用途が制限されている。
一方で、液晶材料を用いた光偏向素子なる光学素子も各種提案されており、その数例を挙げると、以下に示すような提案例がある。例えば、特許文献1によれば、光空間スイッチの光の損失を低減することを目的に、人工複屈折板からなる光ビームシフタが提案されている。内容的には、2枚のくさび形の透明基板を互いに逆向きに配置し、該透明基板間に液晶層を挟んだ光ビームシフタ、及びマトリクス形偏向制御素子の後面に前記光ビームシフタを接続した光ビームシフタが提案され、併せて、2枚のくさび形の透明基板を互いに逆向きに配置し、該透明基板間にマトリクス駆動が可能で、入射光ビームを半セルシフトする液晶層を挟んだ光ビームシフタを半セルずらして多段接続した光ビームシフタが提案されている。
また、特許文献2によれば、大きな偏向を得ることが可能で、偏向効率が高く、しかも、偏向角と偏向距離とを任意に設定することができる光偏向スイッチが提案されている。具体的には、2枚の透明基板を所定の間隔で対向配置させ、対向させた面に垂直配向処理を施し、透明基板間にスメクチックA相の強誘電性液晶を封入し、前記透明基板に対して垂直配向させ、スメクチック層と平行に交流電界を印加できるように電極対を配置し、電極対に交流電界を印加する駆動装置を備えた液晶素子である。即ち、スメクチックA相の強誘電性液晶による電傾効果を用い、液晶分子の傾斜による複屈折によって、液晶層に入射する偏光の屈折角と変位する方向を変化できるようにしたものである。
次に、ピクセルシフト素子に関して従来提案されている技術を数例挙げて説明する。
例えば、特許文献3に示されるように、表示素子に表示された画像を投写光学系によりスクリーン上に拡大投影する投影表示装置において、前記表示素子から前記スクリーンに至る光路の途中に透過光の偏光方向を旋回できる光学素子を少なくとも1個以上と複屈折効果を有する透明素子を少なくとも1個以上を有してなる投影画像をシフトする手段と、前記表示素子の開口率を実効的に低減させ、表示素子の各画素の投影領域が前記スクリーン上で離散的に投影される手段と、を備えた投影表示装置がある。
また、特許文献4に示される投影機においては、制御回路により、画像蓄積回路に蓄積した本来表示すべき画像を市松状に画素選択回路へサンプリングして順次空間光変調器に表示し、投影させ、さらに、制御回路により、この表示に対応させてパネル揺動機構を制御して空間光変調器の隣接画素ピッチ距離を整数分の一ずつ移動させることで、本来表示すべき画像を時間的な合成により再現するようにしている。これにより、空間光変調器の画素の整数倍の分解能で画像を表示可能にするとともに、画素の粗い空間光変調器と簡単な光学系を用いて安価に投影機を構成可能としている。
更に、特許文献5によれば、LCD等の画像表示装置の画素数を増加させることなく、表示画像の解像度を、見掛け上、向上させるため、縦方向及び横方向に配列された複数個の画素の各々が、表示画素パターンに応じて発光することにより、画像が表示される画像表示装置と、観測者又はスクリーンとの間に、光路をフィールド毎に変更する光学部材を配し、また、フィールド毎に、前記光路の変更に応じて表示位置がずれている状態の表示画素パターンを画像表示装置に表示させるようにしている。ここに、屈折率が異なる部位が、画像情報のフィールド毎に、交互に、画像表示装置と観測者又はスクリーンとの間の光路中に現れるようにすることで、前記光路の変更が行われるものである。
また、特許文献6によれば、回転機械要素を不要化でき、全体の小型化、高精度・高分解能化を実現でき、しかも外部からの振動の影響を受け難い光ビーム偏向装置が提案されている。具体的には、光ビームの進行路上に配置される透光性の圧電素子と、この圧電素子の表面に設けられた透明の電極と、圧電素子の光ビーム入射面Aと光ビーム出射面Bとの間の光路長を変化させて光ビームの光軸を偏向させるために電極を介して圧電素子に電圧を印加する電圧印加手段とを備えている。
特開平06−18940号公報 特開平09−133904号公報 特許第2939826号公報 特開平05−313116号公報 特開平06−324320号公報 特開平10−133135号公報
しかし、特許文献1においては、液晶材料にネマチック液晶を用いているため、応答速度をサブミリ秒にまで速めることは困難であり、高速なスイッチングが必要な用途には用いることはできない。また、特許文献2においては、広い温度範囲で電傾効果を安定に動作させるスメクチックA相の強誘電液晶を得ることが厳しく工業化は困難である。
また、特許文献3においては、偏光方向を旋回できる光学素子(旋光素子と呼ぶ)を少なくとも1個以上と複屈折効果を有する透明素子(複屈折素子と呼ぶ)を少なくとも1個以上を有してなる投影画像シフト手段(ピクセルシフト手段)によりピクセルシフトを行っているが、問題点として、旋光素子と複屈折素子とを組合せて使用するため、光量損失が大きいこと、光の波長によりピクセルシフト量が変動し解像度が低下しやすいこと、旋光素子と複屈折素子との光学特性のミスマッチから本来画像が形成されないピクセルシフト外の位置に漏れ光によるゴースト等の光学ノイズが発生しやすいこと、素子化のためのコストが大きいことが挙げられる。特に、複屈折素子に前述したようなKH2PO4(KDP),NH42PO4(ADP),LiNbO3,LiTaO3,GaAs,CdTeなど第1次電気光学効果(ポッケルス効果)の大きな材料を使用した場合、顕著である。
また、特許文献4においては、画像表示用素子自体を画素ピッチよりも小さい距離だけ高速に揺動させるピクセルシフト方式が記載されており、この方式では、光学系は固定されているので諸収差の発生が少ないが、画像表示素子自体を正確かつ高速に平行移動させる必要があるため、可動部の精度や耐久性が要求され、振動や音が問題となる。
また、特許文献5においては、光路を変更する手段として、電気光学素子と複屈折材料の組合わせ機構、レンズシフト機構、バリアングルプリズム、回転ミラー、回転ガラス等が記述されており、上記旋光素子と複屈折素子を組合せてなる方式の他に、ボイスコイル、圧電素子等によりレンズ、反射板、複屈折板等の光学素子を変位(平行移動、傾斜)させ光路を切り替える方式が提案されているが、この方式においては、光学素子を駆動するために構成が複雑となりコストが高くなる。
また、特許文献6では、透光性の圧電素子を透明の電極で挟み、電圧を印加することで厚みを変化させて光路をシフトさせる方式が提案されているが、比較的大きな透明圧電素子を必要とし、装置コストがアップする等、前述の特許文献5の場合と同様の問題点がある。
上述した従来技術の課題を整理すると、従来のピクセルシフト素子において問題となっているのは
(1)構成が複雑であることに伴う高コスト、装置大型化、光量損失、ゴースト等の光学ノイズ又は解像度低下
(2)特に可動部を有する構成の場合の位置精度や耐久性、振動や音の問題
(3)ネマチック液晶などにおける応答速度
である。
(3)の応答速度に関し、画像表示装置におけるピクセルシフトに必要な光偏向の速度は以下のように見積ることができる。画像フィールド(時間tField)を時間的にn分割し、各n個のサブフィールド毎に画像表示素子と光学部材との間の光路を偏向してピクセルシフトのシフト位置をn箇所に定めた場合、1つのサブフィールドの時間tSFは、以下の式で表される。
SF=tField/n
この時間tSFの期間中に光偏向がなされるが、その時間をtshiftとすると、このtshiftの期間は表示が行えないため、この期間に相当する分だけ光利用効率が低下する。
光利用効率Eは以下の式で表される。
E=(tSF−tshift)/tSF
仮にピクセルシフト位置nがn=4、画像フィールドtFieldが16.7msである場合に、光利用効率Eを90%以上確保するためには、
0.9<(16.7/4−shift)/(16.7/4)
shift<0.42(ms)
となり、光偏向を0.42msで行う必要がある。通常のネマチック液晶は応答速度が数ms以上であるため、ここに示すような高速ピクセルシフトのための光学素子としては使用することはできない。
特許文献1においては液晶材料にネマチック液晶を用いているため、応答速度をサブミリ秒にまで速めることは困難であり、ピクセルシフトに用いることはできない。一方、キラルスメクチックC相よりなる強誘電液晶ではその応答速度は十分0.42ms以下に設定することが可能である。また、特許文献2においてはスメクチックA相の強誘電液晶を用いているが、スメクチックA相は自発分極を持たないため、キラルスメクチックC相に見られるような高速動作はやはり望めない。
本発明は、上記のような問題点に鑑み、基本的には、従来の光偏向素子における問題点、即ち、構成が複雑であることに伴う高コスト、装置大型化、光量損失、光学ノイズを改善し、構成が簡単で、小型であり、光量損失、光学ノイズ、解像度低下が少なく、低コスト化を図ることができ、耐久性が高く安定して動作する光偏向素子、該素子を備えた光偏向装置及び画像表示装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、透明な一対の基板と、両基板の間隔を規制する複数のスペーサと、少なくとも一方の基板面に設けた無機材料から成る透明抵抗体層と、両基板の間隔内でキラルスメクチックC相を形成可能な液晶層と、該キラルスメクチックC相の層法線方向が前記基板面に対して略垂直となるように前記液晶層を配向させる配向膜と、前記透明抵抗体層の少なくとも二個所以上に接続した複数の電極と、を備えた光偏向素子としたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記無機材料から成る透明抵抗体層が光透過性金属酸化物である請求項1記載の光偏向素子としたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記無機材料から成る透明抵抗体層が酸化スズよりなる請求項1又は2に記載の光偏向素子としたことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記無機材料から成る透明抵抗体層が物理的堆積法(PVD法)によって形成される請求項1から3のいずれか1項に記載の光偏向素子としたことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、前記物理的堆積法がスパッタリング法である請求項1から4のいずれか1項に記載の光偏向素子としたことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、前記無機材料から成る透明抵抗体層とそれに接続する電極とが物理的堆積法によって形成された同一の金属酸化物膜から成り、各部分を形成する際の成膜条件を変えることによって抵抗率に差を生じさせた請求項1から5のいずれか1項に記載の光偏向素子としたことを特徴とする。
請求項7記載の発明は、前記無機材料から成る透明抵抗体層の上に保護層を設け、保護層と液晶層の間に配向膜を設けた請求項1から6のいずれか1項に記載の光偏向素子としたことを特徴とする。
請求項8記載の発明は、前記保護層が前記配向膜である請求項7記載の光偏向素子としたことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の光偏向素子を具備し、電圧印加手段により該複数の電極間に電圧を印加して前記無機透明抵抗体層の平面方向に電位勾配を生じさせ、該液晶層に対して略平行な方向に電界を形成し、該電界の強度および方向に応じて液晶層の平均的な光学軸の傾斜方向を変化させて直線偏光の透過光路を偏向する光偏向装置としたことを特徴とする。
請求項10記載の発明は、前記光偏向素子への入射光の偏光方向を光路の偏向方向と一致させる偏光方向制御手段を有する請求項9記載の光偏向装置としたことを特徴とする。
請求項11記載の発明は、前記光偏向素子の出射光の偏光面を略直角に回転させる偏光面回転手段と、偏光面回転後の出射光を入射光とする第二の光偏向素子と、を有し、前記光偏向素子と該第二の光偏向素子の液晶層法線方向は略一致し、光偏向素子の電界方向が略直交するように配置されてなる請求項10記載の光偏向装置としたことを特徴とする。
請求項12記載の発明は、画像情報に従って光を制御可能な複数の画素が二次元的に配列した画像表示素子と、画像表示素子を照明する光源および照明装置と、画像表示素子に表示した画像パターンを観察するための光学装置と、画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールドで形成する表示駆動手段と、各画素からの出射光の光路を偏向する前記請求項9から11のいずれか1項に記載の光路偏向装置と、を有し、サブフィールド毎の光路の偏向状態に応じて表示位置がずれている状態の画像パターンを表示することで、画像表示素子の見かけ上の画素数を増倍して表示する画像表示装置としたことを特徴とする。
請求項13記載の発明は、透明な一対の基板と、少なくとも一方の基板面に設けた透明抵抗体層と、両基板間で層法線が基板面に対して略垂直方向をとるキラルスメクチックC相の液晶層と、前記透明抵抗体層に接続した複数の電極と、を有する光偏向素子であって、前記透明抵抗体層が、高周波マグネトロンスパッタ法により前記透明基板上に形成した酸化スズを主成分とする膜である光偏向素子としたことを特徴とする。
請求項14記載の発明は、前記透明抵抗体層が、高周波マグネトロンスパッタ法により前記透明基板上に形成した酸化スズ膜である請求項13に記載の光偏向素子としたことを特徴とする。
請求項15記載の発明は、前記透明抵抗体層上に、抵抗値の変動を抑えるための保護層が形成されてなる請求項13又は14に記載の光偏向素子としたことを特徴とする。
請求項16記載の発明は、前記保護層が、前記透明抵抗体層上に形成した無機透明膜である請求項13から15のいずれか1項に記載の光偏向素子としたことを特徴とする。
請求項17記載の発明は、前記保護層が、前記透明抵抗体層上に形成した二酸化シリコン膜である請求項13から16のいずれか1項に記載の光偏向素子としたことを特徴とする。
請求項18記載の発明は、前記透明基板上に高周波マグネトロンスパッタ法により前記透明抵抗体層を形成した後、該基板を真空中に保ったまま続けて高周波マグネトロンスパッタ法により前記保護層を成膜した請求項13から17のいずれか1項に記載の光偏向素子としたことを特徴とする。
請求項19記載の発明は、前記透明抵抗体層が、前記高周波マグネトロンスパッタ法においてアルゴンガスと酸素ガスの両方を流して形成されてなる請求項13から18のいずれか1項に記載の光偏向素子としたことを特徴とする。
請求項20記載の発明は、前記透明抵抗体層が、高周波スパッタリング法において基板温度を一定温度に制御した状態で形成されてなる請求項13から19のいずれか1項に記載の光偏向素子としたことを特徴とする。
請求項21記載の発明は、前記透明抵抗体層の表面抵抗率が、107から1011Ω/□の範囲内である請求項13から20のいずれか1項に記載の光偏向素子としたことを特徴とする。
請求項22記載の発明は、前記光偏向素子を形成する前記基板の双方に、前記透明抵抗体層が形成されてなる請求項21記載の光偏向素子としたことを特徴とする。
請求項23記載の発明は、請求項13から22のいずれか1項に記載の光偏向素子と、前記光偏向素子の複数の電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、を有し、前記電圧印加手段により前記複数の電極間に電圧を印加して前記透明抵抗体層の平面方向に電位勾配を生じさせ、前記液晶層に対して略平行な方向に電界を形成し、該電界の強度及び方向に応じて液晶層の平均的な光学軸の傾斜方向を変化させて直線偏光の透過光路を偏向する光偏向装置としたことを特徴とする。
請求項24記載の発明は、少なくとも画像情報に従って光を制御可能な複数の画素が二次元的に配列した画像表示素子と、画像表示素子を照明する光源および照明装置と、画像表示素子に表示した画像パターンを観察するための光学装置と、画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールドで形成する表示駆動手段と、各画素からの出射光の光路を偏向する前記請求項23に記載の光偏向装置と、を有し、光偏向装置によりサブフィールド毎の光路の偏向に応じて表示位置がずれている状態の画像パターンを表示することで、画像表示素子の見かけ上の画素数を増倍して表示する画像表示装置としたことを特徴とする。
本発明によれば、基本的には、従来の光偏向素子における問題点、即ち、構成が複雑であることに伴う高コスト、装置大型化、光量損失、光学ノイズを改善し、構成が簡単で、小型であり、光量損失、光学ノイズ、解像度低下が少なく、低コスト化を図ることができ、耐久性が高く安定して動作する光偏向素子、該素子を備えた光偏向装置及び画像表示装置を実現することができる。
本発明を実施するための最良の形態は、透明な一対の基板と、両基板の間隔を規制する複数のスペーサと、少なくとも一方の基板面に設けた無機材料から成る透明抵抗体層と、両基板の間隔内でキラルスメクチックC相を形成可能な液晶層と、該キラルスメクチックC相の層法線方向が前記基板面に対して略垂直となるように前記液晶層を配向させる配向膜と、前記透明抵抗体層の少なくとも二個所以上に接続した複数の電極と、を備えた光偏向素子とする。
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
(第1の実施形態)
本実施形態を図1に基づいて説明する。図1に示すように、この光偏向素子1においては、一対の透明な基板2,3がスペーサ4を介して対向配置させて設けられている。そして、少なくとも一方の基板、ここでは基板2側の内面に透明抵抗体層5が形成されている。また、少なくとも一方の基板、ここでは基板3側の内面に配向膜6が形成されている。スペーサ4によって厚さを設定された二枚の基板間隔内にはキラルスメクチックC相を形成可能な液晶層7が充填されている。ここで、配向膜6は液晶分子を配向膜に対して垂直方向に配向させる垂直配向膜であり、キラルスメクチックC相を形成する液晶分子の層構造の層法線方向が基板面に対してほぼ垂直となるように構成されている。基板上に形成された透明抵抗体層の少なくとも2個所以上に電気的に接続された電極8、9が設けられている。電極8,9は互いに間隔が一定となるように配置される。
スペーサ4としては、数μm〜百μm程度の厚さのフィルムや、この直径の球状体などを用いることが出来る。電極としては金属板や金属箔、導電ペーストなどを用いることが出来る他、導電膜を成膜してもよい。ここで、電源10により電極8、9間に電圧を印加すると、透明抵抗体層5に電流が流れ、透明抵抗体層5の内部および表面に電位勾配が発生する。この時、透明抵抗体の抵抗値が均一であれば、透明抵抗体表面の電位は図2(a)のように直線的な分布となる。この電位勾配によって液晶層7内部の平面方向に電界(水平電界)を発生させる。この時、透明抵抗体表面近傍の液晶層内の水平電界は図2(b)のように均一となる。印加する電圧の極性などを切換えることで、液晶層7内部の水平電界の向きを切換えることが出来る。この水平電界の切換えによって、後述する原理によって光路を切換えることが出来る。
ここで、液晶層7に関して詳細に説明する。「スメクチック液晶」は液晶分子の長軸方向を層状に配列してなる液晶層である。このような液晶に関し、上記層の法線方向(層法線方向)と液晶分子の長軸方向とが一致している液晶を「スメクチックA相」、法線方向と一致していない液晶を「スメクチックC相」と呼んでいる。スメクチックC相よりなる強誘電液晶は、一般的に外部電界が働かない状態において各層毎に液晶ダイレクタ方向が螺旋的に回転しているいわゆる螺旋構造をとり、「キラルスメクチックC相」と呼ばれる。また、キラルスメクチックC相反強誘電液晶は各層毎に液晶ダイレクタが対向する方向を向く。これらのキラルスメクチックC相よりなる液晶は、不斉炭素を分子構造に有し、これによって自発分極しているため、この自発分極Psと外部電界Eにより定まる方向に液晶分子が再配列することで光学特性が制御される。
なお、本実施形態では、液晶層7として強誘電液晶を例にとり光偏向素子1の説明を行うが、反強誘電液晶の場合にも同様に使用することができる。キラルスメクチックC相よりなる強誘電液晶の構造は、主鎖、スペーサ、骨格、結合部、キラル部などよりなる。主鎖構造としてはポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシロキサン、ポリオキシエチレンなどが利用可能である。スペーサは分子回転を担う骨格、結合部、キラル部を主鎖と結合させるためのものであり、適当な長さのメチレン鎖等が選ばれる。また、カイラル部とビフェニル構造など剛直な骨格とを結合する結合部には−COO−結合等が選ばれる。
キラルスメクチックC相よりなる強誘電液晶7は配向膜6により基板2,3面に垂直に分子螺旋回転の回転軸が向いており、いわゆるホメオトロピック配向をなす。配向膜6としては、シランカップリング剤や市販の液晶用垂直配向材などを用いることが出来る。本実施形態の光偏向素子1の特徴の1つは、構成が簡単で製造コストが抑制できる点にある。また、キラルスメクチックC相は、スメクチックA相やネマチック液晶に比較して極めて高速な応答性を有しており、サブmsでのスイッチングが可能である点も特徴である。特に、電界方向に対して液晶ダイレクタ方向が一義的に決定されるため、スメクチックA相よりなる液晶に比べダイレクタ方向の制御が容易であり、扱いやすい。
ホメオロトピック配向をなすキラルスメクチックC相よりなる液晶層7は、ホモジニアス配向(液晶ダイレクタが基板面に平行に配向している状態)をとる場合に比べて、液晶ダイレクタの動作が基板2,3からの規制力を受けにくく、外部電界方向の調整で光偏向方向の制御が行いやすく、必要電界が低いという利点を有する。また、液晶ダイレクタがホモジニアス配向している場合、電界方向だけでなく基板面に液晶ダイレクタが強く依存するため、光偏向素子の設置についてより位置精度が求められることになる。逆に、本実施の形態のようなホメオロトピック配向の場合は、光偏向に対して光偏向素子1のセッティング余裕度が増す。これらの特徴を活かす上で、厳密に螺旋軸を基板面に垂直に向ける必要はなく、或る程度傾いていても差し支えない。液晶ダイレクタが基板2,3からの規制力を受けずに2つの方向を向くことが可能であればよい。
次に、光偏向素子1の動作原理について図3及び図4を参照して説明する。なお、透明抵抗体層に発生する電位勾配によって形成される電界の印加方向を分かり易くするために、ここでは仮想的な電極12を図示している。図3は、図1に示した構成に関して液晶分子の配向状態を模式的に示したものである。図3では電界は紙面表裏方向に発生するものとする。また、電界方向は目的とする光の偏向方向に対応して電源10により切換えられる。また、当該光偏向素子1に対する入射光は直線偏光であり、その偏光方向は図3中上下の矢印に示す通り上下方向であって、その偏光方向に電界方向が直交するように配置される。また、図示しないが、光偏向素子からの漏洩電界が周辺の機器に悪影響を及ぼさないように電磁シールドを設けるのが好ましい。
図3においてXYZ直交座標系を図示する通りにとったとき、液晶層7内のXZ断面において図4に示す通り液晶ダイレクタ11は、その電界方向によって第1の配向状態又は第2の配向状態の何れかの状態(図4(b)参照)をとって分布する。θは液晶回転軸からの液晶ダイレクタ11の傾き角であり、以後、単に「傾き角」と呼ぶ。液晶分子の自発分極Psが正でありY軸正方向(紙面上向き)に電界Eがかかっているものとすると、液晶ダイレクタ11は液晶回転軸が略基板垂直方向であるためXZ面内にある。液晶分子の長軸方向の屈折率をne、短軸方向の屈折率をnoとすると、入射光として、偏光方向をY軸方向に持つ直線偏光を選びX軸正方向に入射光が進むとき、光は液晶層7内で常光として屈折率noを受け直進し、図4(a)中のa方向に進む。即ち、光偏向は受けない。
一方、偏光方向がZ軸方向である直線偏光が入射するとき、入射方向の屈折率は液晶ダイレクタ11の方向及び屈折率no,neの両者から求められる。より詳しくは、屈折率no,neを主軸に持つ屈折率楕円体において楕円体中心を通過する光の方向との関係から求められるが、ここでは詳細は省略する。光は屈折率no,ne及び液晶ダイレクタ11の方向(傾き角θ)に対応した偏向を受け、図4(a)中のb(第1の配向状態の場合)に示す方向にシフトする。
液晶層7の厚み(ギャップ)をdとするときシフト量Sは以下の式で表される(例えば、「結晶光学」応用物理学会、光学懇話会編、p198参照)。
S=[(1/no)2−(1/ne)2]sin(2θ・d)
÷[2((1/ne)2sin2θ+(1/no)2cos2θ)] ………式1
また、電界方向を反転させた時、液晶ダイレクタ11は図4においてX軸を中心とした線対称の配置(第2の配向状態)を取り、偏光方向がZ軸方向である直線偏光の進行方向は図4(a)中のb′に示す通りとなる。
従って、この直線偏光に対して液晶5に作用させる電界方向を制御することで、bとb′との2位置、即ち、2S分の光偏向が可能となる。
例えば、液晶7の材料の代表的物性値(no=1.6,ne=1.8)に対して得られる光偏向量について光偏向量Sを計算した場合、液晶ダイレクタ8の傾き角θが22.5°、液晶の厚みが32μmのとき、2S=5(μm)の偏向量が得られる。また、ホメオトロピック配向強誘電液晶において、約700V/cmの電界に対して0.1msの応答速度が報告されており(Ozaki 他、J.J.Appl.Physics、Vol.30、No.9B、pp2366-2368(1991)参照)、サブmsオーダの十分高速な応答速度が得られる。
また、キラルスメクチックC相よりなる液晶においては、傾き角θは温度Tにより変化し、相転移点をTcとすると、θ∝(T−Tc)βなる関係がある。βは材料により異なるが0.5程度の値をとる。この特性を利用した温度制御で光偏向量を制御することも可能である。例えば、仮に傾き角θとして上記の22.5°を設定し、これに対応する温度をTθ=22.5°とすれば、T>Tθ=22.5°ではθ<22.5°であり、T<Tθ=22.5°ではθ>22.5°であるため、温度により傾き角θを制御でき、これによって光偏向量を制御できることとなる。また、位置制御に関しては、電界による微調を同様に行うことができ、温度、電界或いはその両者の組合せにより適切な光偏向を達成できる。
本実施形態では、液晶層内の広い範囲に渡って均一な水平電界を印加するための透明抵抗体層を、無機材料を用いて形成したことを特徴とする。本実施形態の透明抵抗体層の機能は、基板面に沿って所望の電位勾配を形成させるためのものであり、通電した時の発熱量が小さい条件で使用することが好ましい。ここで、透明抵抗体の表面抵抗をRs(Ω/□)、電極間の距離をa(cm)、電極の長さをb(cm)とすると、透明抵抗体全体の抵抗R(Ω)は R=a/b×Rs になる。この抵抗体にE(V)の電圧を印加すると E×E/Rの電力P(W)を消費する。電流I(A)は、I=E/Rで求められる。透明抵抗体の面積はa×bだからP/(a×b)で得られる単位面積当たりの消費電力Pd(W/cm2)は、温度上昇を予測するための特性値となる。
本実施形態では1cm当たり数百ボルトから数キロボルトの電位差を印加するため、発熱を抑えるためには抵抗値を大きくする必要がある。単位面積当たり消費電力が0.01W/cm2程度ならば、温度上昇は10℃以下程度に抑えられる。例えば、素子の面積を3cm×4cmとし、表面抵抗値Rs=1×108Ω/□、電極8と9の距離3cm、電極8と9の長さ4cmとした時、透明抵抗体の抵抗値は1.33×108Ωになる。この3cmの間に3000Vの電圧を印加すると22.5μAの電流が流れる。この時、全体で約0.07W、単位面積当たり約0.006W/cm2の電力を消費する。この程度ならば発熱は実用上問題無い。したがって、表面抵抗値が1×108Ω/□程度以上の高抵抗の透明抵抗体を用いることが好ましい。これに対応した体積抵抗値を考える場合、抵抗体の膜厚が0.1μmの時は103Ωcm以上、膜厚が1μmの時は104Ωcm以上、膜厚が10μmの時は105Ωcm以上であることが好ましい。
以上のような構成により、図1では、電極8から9の向きに電界が印加されると第一の出射光となり、電極9から8の向きに電界が印加されると第二の出射光となる。交流電源10により電界の向きを高速に切換えることで、光路をシフトすることが出来る。透明抵抗体層の劣化は不均一な電界の発生につながり、素子の全体にわたって等しい光偏向量を得ることが出来なくなる。従って、透明抵抗体層は、長時間にわたって通電されたり光にさらされたりする場合であっても、経時変化せずに安定した電気的特性を持つ必要がある。同一出願人の出願による「光偏向素子およびそれを用いた光偏向装置、ならびに画像表示装置」(特開2003−098504号)では、透明抵抗体として帯電防止塗料などと同様の材料を用いることが出来ると述べられているが、塗料には一般的に樹脂等の有機物が含まれていることが多く、耐久性並びに耐光性に問題がある。本実施形態では、透明抵抗体層の材料として無機材料を用いている為、比較的長期にわたって安定した電気的特性が得られる。
具体的には、透明抵抗体として光透過性金属酸化物を用いることが出来る。金属酸化物は成膜時の条件によってその抵抗率が大きく変化する場合がある為、成膜条件を意図的に変えて抵抗率を制御することにより、上記のような透明抵抗体として望ましい抵抗率を実現することが可能である。例えば2元系化合物としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化インジウム、酸化鉛、酸化ガリウム、3元系化合物としては、マグネシウムインジウム酸化物、ガリウムインジウム酸化物、亜鉛インジウム酸化物、亜鉛スズ酸化物、などを用いることができる。これらの中に添加物、例えば酸化スズにアンチモン、フッ素、酸化インジウムにスズ、酸化亜鉛にアンチモン、ガリウム、ホウ素等を加えてもよい。
同一出願人の出願による「光偏向素子およびそれを用いた光偏向装置、ならびに画像表示装置」(特開2003−098504号)によると、透明抵抗体層に酸化スズ系の導電性粉末をポリエステル樹脂に分散させた膜を用いた場合、導電性粒子が数十μm程度の領域に凝集することに起因した電界ムラが生じうるが、透明抵抗体層と液晶層の間に誘電体層を形成することにより電界ムラを鈍らせ均一化することが出来るとされている。透明抵抗体層として、上記のような組成が均一な金属酸化物を薄膜化し用いれば、前記構造に起因した電界ムラは存在しない為、誘電体層を設けなくとも均一な電界が得られる。
上記金属酸化物においては、毒性が無く、化学的安定性が高く、さらに材料が比較的安価であることから酸化スズが優れている。
また、素子の全体にわたって均一な光偏向量を得る為には、透明抵抗体層の表面抵抗率が場所によらず一定である必要があり、透明抵抗体層の膜厚と組成は極力均一でなければならない。金属酸化物から成る透明抵抗体層の形成方法として物理的堆積法を用いれば、比較的低温状態で原子・分子レベルから膜を成長させていくことが可能である為、基板選択自由度が広く、広い面積にわたって厚さと組成が均一な膜が得られる。物理的堆積法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等が工業的にも広く利用されている。本金属酸化物を形成する場合、膜付着強度が高く、ソース(膜材料となる原料)からの組成変動も少ないため、スパッタリング法が特に適しており、デバイス間の特性変動が少なく安定した透過率と抵抗値を有する透明抵抗体送を得ることができる。
(第2の実施形態)
図5に示した本実施形態では、両方の基板面に電気特性が略等しい透明抵抗体層5,5′を設け、両基板面での透明抵抗体層と電極との接触位置を略等しくしている。上下の電極に等しく電圧を印加すれば液晶層の厚さ方向の電位が比較的均一となり、液晶層全体の液晶ダイレクターの傾斜が均一になる為に、効率のよい光偏向を行うことが出来る。図5の電極8,8′,9,9′は透明抵抗体層と同じ金属酸化物を用いて形成されている。例えば、酸化スズは、成膜時の条件に依存して体積抵抗率が10-4から107Ωcm以上まで変化する。
従って、成膜時の条件を変えることにより、電極と透明抵抗体のそれぞれに求められる抵抗率を持つ酸化スズ膜を形成することが可能である。図5の構成は、基板2の上に高抵抗酸化物層5を物理的堆積法によって形成したのち、マスクパターンと成膜条件を変え、電極8,9の部分にのみ低抵抗の酸化物膜を形成することによって実現される。同一材料を用いて電極と透明抵抗体層の両方を形成することにより、少ない材料で光偏向素子を構成することが可能となり、素子の製造プロセスが簡略化される。
(第3の実施形態)
本実施形態を図6に示す。透明抵抗体層5の上に保護層13を設け、保護層13と液晶層7の間に配向膜6を設けた。保護層13としては、厚さ数μmから数百μmのガラスなど透明性の高いものを用いることが出来る。また、保護層13と液晶層7の間にホメオトロピック配向用の配向膜を設けるため、配向膜の形成時に保護層を劣化させないような形成方法を設定することが好ましい。保護層を設けることにより、複数の試料を作製した際の透明抵抗体層の抵抗値のバラツキを低減することが出来る。
(第4の実施形態)
本実施形態を図7に示す。図7では透明抵抗体上に配向膜6を設け、配向膜6に保護層の機能を持たせる。この構成では、素子の層構成が簡単なため、製造プロセスを簡略化できる。
(第5の実施形態)
以上の第1から第4の実施形態では、光路の偏向方向、すなわち電界印加時の液晶分子の傾斜方向に平行な偏光方向の直線偏光のみが光路の偏向を受け、これに直交した直線偏光は直進したままである。したがって、無偏光の光を入射した場合、出射光には偏向を受けない成分を含むため、光路偏向の有無に対するコントラストが低下してしまう。そこで、本実施形態では、光偏向素子への入射光の偏光方向を光路の偏向方向と一致させる偏光方向制御手段を設ける。偏光方向制御手段としては、直線偏光板を用いることが出来る。直線偏光板の偏光方向をスペーサ兼用電極4の長手方向に平行に合わせて、素子の入射面側に設置する。入射光が無偏光の場合でも、液晶分子の傾斜による光路偏向作用を受けない光成分をカットするので、確実に光路偏向による光スイッチングを行うことが出来る。
(第6の実施形態)
本実施形態を図8に基づいて説明する。本実施形態は、前述した実施形態のように構成された2つの光偏向素子1A,1Bと1/2波長板とを組み合わせて構成された光偏向素子に関する。図8では、スペーサや透明抵抗体、配向膜などは省略してある。また、図2と同様に電界の向きが分かりやすい様に仮想的な電極12を図示してあるが、本来は透明抵抗体表面の電位勾配の方向に基づいて電界向きが決定される。光偏向素子1A,1Bは各々の電界発生方向を直交させて光進行方向に直列に配列されており、これらの光偏向素子1A,1B間に1/2波長板15が配設されている。
1/2波長板15は通常市販されている可視光用のものをそのまま適用できる。この光偏向素子に入射する光は図8に示す通り、Z軸方向に偏光方向を有しており、光進行方向に対して前段側の光偏向素子1Aにおいて上下方向(Z軸方向)に偏向を受けた後、1/2波長板15によって偏光方向を90°回転させてY軸方向の偏光方向とすることで、後段の光偏向素子1Bで左右方向(Y軸方向)の偏向を受ける。このような光偏向素子14によれば、光偏向素子1Aにおいて上下方向(Z軸方向)に2位置、光偏向素子1Bにおいて左右方向(Y軸方向)に2位置の光シフトが行われるため、素子全体としては合計4位置に光をシフトさせることが可能となる。
(第7の実施形態)
本実施形態を図9に基づいて説明する。本実施形態は、画像表示装置への適用例を示す。図9において、光源81はLEDランプを2次元アレイ状に配列した光源であり、この光源81からスクリーン86に向けて発せられる光の進行方向には拡散板82、コンデンサレンズ83、画像表示素子としての透過型液晶パネル84、画像パターンを観察するための光学部材としての投射レンズ85が順に配設されている。87は光源81に対する光源ドライブ部、88は透過型液晶パネル84に対するドライブ部である。ここに、透過型液晶パネル84と投射レンズ85との間の光路上にはピクセルシフト素子として機能する光偏向手段89が介在されており、ドライブ部90に接続されている。このような光偏向手段89として、前述したような光偏向素子1が用いられている。
光源ドライブ部87で制御されて光源81から放出された照明光は、拡散板82により均一化された照明光となり、コンデンサレンズ83により液晶ドライブ部88で照明光源と同期して制御されて透過型液晶パネル84をクリティカル照明する。この透過型液晶パネル84で空間光変調された照明光は、画像光として光偏向手段89に入射し、この光偏向手段89によって画像光が画素の配列方向に任意の距離だけシフトされる。この光は投射レンズ85で拡大されスクリーン86上に投射される。
ここに、光偏向手段89により画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールド毎の光路の偏向に応じて表示位置がずれている状態の画像パターンを表示させることで、透過型液晶パネル84の見掛け上の画素数を増倍して表示する。
このように光偏向手段89によるシフト量は透過型液晶パネル84の画素の配列方向に対して2倍の画像増倍を行うことから、画素ピッチの1/2に設定される。シフト量に応じて透過型液晶パネル84を駆動する画像信号をシフト量分だけ補正することで、見掛け上高精細な画像を表示することができる。この際、光偏向手段89として、前述した各実施形態のような光偏向素子を用いているので、光の利用効率を向上させ、光源の負荷を増加することなく観察者により明るく高品質の画像を提供できる。光偏向位置制御を、当該光偏向素子1における透明抵抗体層に対する電界印加方向及び電界強度により行うことで、適切なピクセルシフト量が保持され良好な画像を得ることができる。
(第8の実施形態)
本実施形態を以下に説明する。図10に本実施形態の光偏向素子101の構成を示す。図10(a)は、正面図、図10(b)は側面図、図10(c)は断面図である。この光偏向素子101においては、一対の透明な基板102,103がスペーサ104を介して対向配置させて設けられている。そして、ここでは基板102,103のそれぞれの内面に透明抵抗体層105および105’が形成されている。また、透明抵抗体層105,105’の内面に、保護層106,106’と配向膜107,107’が形成されている。スペーサ104によって厚さを設定された二枚の基板間隔内にはキラルスメクチックC相を形成可能な液晶層108が充填されている。
ここで、配向膜107,107’は液晶分子を配向膜に対して垂直方向に配向させる垂直配向膜であり、キラルスメクチックC相を形成する液晶分子の層構造の層法線方向が基板面に対してほぼ垂直となるように構成されている。基板上に形成された透明抵抗体層の少なくとも2個所以上に電気的に接続された電極109,109’および110,110’が設けられている。電極109と110、および電極109’と110’は互いに間隔が一定となるように配置される。また、特に図示していないが、電極109と109’、電極110と110’は、対向する部分で互いに導通している。スペーサ104としては、数μm〜百μm程度の厚さのフィルムや、この直径の球状体などを用いることが出来る。電極としては金属板や金属箔、導電ペーストなどを用いることが出来る他、導電膜を成膜してもよい。
ここで、電源111により電極109、110間に電圧を印加すると、透明抵抗体層105,105’に電流が流れ、透明抵抗体層105,105’の内部および表面に電位勾配が発生する。この時、透明抵抗体の抵抗値が均一であれば、透明抵抗体表面の電位は図10(a)中のZ方向に対して直線的な分布となる。この電位勾配によって液晶層108内部の平面方向(Z方向)に均一な電界(水平電界)が発生する。印加する電圧の極性などを切換えることで、液晶層108内部の水平電界の向きを切換えることが出来る。この水平電界の切換えによって、液晶層の平均的な光学軸の傾斜方向が変化し、Y方向に直線偏光した入射光は液晶層厚および液晶分子の常光/異常光屈折率に応じた光路シフトを受ける。その結果として、図10(b)に示した第一出射光と第二出射光のように、電界方向を反転させることで光路を切り換えることが可能となる。
ここで、液晶層108に関して詳細に説明する。「スメクチック液晶」は液晶分子の長軸方向を層状に配列してなる液晶層である。このような液晶に関し、上記層の法線方向(層法線方向)と液晶分子の長軸方向とが一致している液晶を「スメクチックA相」、法線方向と一致していない液晶を「スメクチックC相」と呼んでいる。スメクチックC相よりなる強誘電液晶は、一般的に外部電界が働かない状態において各層毎に液晶ダイレクタ方向が螺旋的に回転しているいわゆる螺旋構造をとり、「キラルスメクチックC相」と呼ばれる。また、キラルスメクチックC相反強誘電液晶は各層毎に液晶ダイレクタが対向する方向を向く。これらのキラルスメクチックC相よりなる液晶は、不斉炭素を分子構造に有し、これによって自発分極しているため、この自発分極Psと外部電界Eにより定まる方向に液晶分子が再配列することで光学特性が制御される。
なお、本実施形態では、液晶層108として強誘電液晶を例にとり光偏向素子101の説明を行うが、反強誘電液晶の場合にも同様に使用することができる。キラルスメクチックC相よりなる強誘電液晶の構造は、主鎖、スペーサ、骨格、結合部、キラル部などよりなる。主鎖構造としてはポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシロキサン、ポリオキシエチレンなどが利用可能である。スペーサは分子回転を担う骨格、結合部、キラル部を主鎖と結合させるためのものであり、適当な長さのメチレン鎖等が選ばれる。また、カイラル部とビフェニル構造など剛直な骨格とを結合する結合部には−COO−結合等が選ばれる。キラルスメクチックC相よりなる強誘電液晶108は配向膜107により基板102,103面に垂直に分子螺旋回転の回転軸が向いており、いわゆるホメオトロピック配向をなす。配向膜107としては、シランカップリング剤や市販の液晶用垂直配向材などを用いることが出来る。
本実施形態では、液晶層内の広い範囲に渡って均一な水平電界を印加するための透明抵抗体層が、高周波マグネトロンスパッタ法により形成された酸化スズを主成分とする膜であることを特徴とする。高周波マグネトロンスパッタ法により形成される酸化スズを主成分とする膜は、成膜条件に依存してその抵抗値が大きく変化し、成膜条件の最適化によって所望の抵抗値を実現することが出来る。膜の抵抗値は成膜時の基板の温度にも依存するため、成膜中は基板が所定の温度に保たれることが望ましい。スパッタ中の基板温度の自然上昇が激しい場合は、基板加熱及び冷却機構によって基板温度を制御することが困難となるが、マグネトロンスパッタ法によればスパッタ中の基板温度の自然上昇を抑えることができる為、基板温度の制御が容易となり所望の抵抗値を持つ膜の形成が容易となる。また、高周波マグネトロンスパッタ法は比較的高速成膜が可能であり、効率よく素子を作製することが出来る。
酸化スズを用いて透明抵抗体層を形成すると、成膜条件を最適化して所望の抵抗値を得ることが容易であり、また、可視光に対する透過率が高いために光利用効率の高い素子が得られる。所望の電気的性質を持つ透明抵抗体層をより安定して得るためには、透明抵抗体層の抵抗値の変動を抑えるための保護層を、透明抵抗体層と配向膜との間に形成するとよい。保護層を設けることによって、複数回同条件で素子を作製した際の透明抵抗体層の抵抗値のバラツキが低減される。該保護層を、透明抵抗体層上に形成した無機透明膜とすることにより、光の照射や時間の経過による保護層の劣化を少なく抑え、安定して動作可能な素子を得ることができる。無機透明膜の材料としては、Ta25、TiO2、SiO2、MgF2、MgO、Al23、HfO2、ZrO2等を用いることができる。特に、二酸化シリコン(SiO2)は材料費が安く、可視光に対する透過率も高いために、保護層の材料に適している。
透明基板上に透明抵抗体層となる酸化スズを主成分とする膜を高周波マグネトロンスパッタ法によって形成した後、基板を真空中に保ったまま続けて保護層を高周波マグネトロンスパッタ法で形成することにより、保護層の効果を高めることが出来る。すなわち、基板が真空中に保たれる為に二つの過程の間で汚染が生じる危険性が低くなり、透明抵抗体層が直接空気に触れることによる影響も防ぐことができる。ここで、「真空に保つ」とは、直接空気に触れることのない状態に保つことを指す。同装置内で続けて二つの工程を行うことが出来るため、少ない作業工程で光偏向素子の作製が可能となる。
高周波マグネトロンスパッタ法により酸化スズを主成分とする膜を成膜する際に、アルゴンガスと酸素ガスの両方を流すことによって、所望の抵抗値を持つ抵抗体層を形成することが可能となる。これは、成膜雰囲気中に酸素ガスを導入することによって、膜の酸素欠乏度が変化する為である。酸素ガスの量が多いほど酸素欠乏度は減少し、キャリアである電子の密度が減ることで高抵抗となる。
酸素ガス流量比に依存した酸化スズを主成分とする膜の体積抵抗率の変化は非常に急峻である。僅かな条件の変化で大きく抵抗率が変わってしまう為、実験条件を極力一定に保たない限り再現性は悪い。成膜時の基板温度をパラメータとすることによって、より精度良く所望の抵抗率を実現することが可能となる。基板温度が高い状態で成膜された酸化スズを主成分とする膜は、多結晶構造の結晶粒が大きくなりキャリアの移動度が増加する為、抵抗は低くなる。基板温度によって抵抗率を調整する場合は、基板温度をモニターできる仕組と基板の冷却・加熱機構を備えた装置を用い、成膜中は基板を所定の温度に保つことが望ましい。
抵抗体層の抵抗値が高過ぎる場合、発生する電界は不均一となり、光路全体を均一に偏向することはできなくなる。これは、抵抗体層以外を流れるリーク電流が増加し、抵抗体としての機能を果たさなくなる為と考えられる。実験の結果によると、電界の均一性を確保する為には、抵抗体層の表面抵抗率が1011Ω/□以下、特に1010Ω/□以下が好ましい。一方、抵抗体層の抵抗値が低い場合は、消費電力が増加して発熱が問題となる。20度以上の極端な温度上昇を防ぐ為には、抵抗体層の表面抵抗率は107Ω/□以上、より好ましくは108Ω/□以上である必要がある。
素子を形成する基板の双方に、前述の範囲内の表面抵抗率を有する透明抵抗体層を形成することにより、より均一な水平電界が形成できる。両方の基板に透明抵抗体層を設けることで、透明抵抗体層の対向する部分の電位を等しく保つことが可能となり、基板表面に対して垂直な電界成分の発生を防ぐことができるためである。前述の光偏向素子の複数の電極間に電圧を印加して透明抵抗体層の平面方向に電位勾配を生じさせ、液晶層に対して略平行な方向の電界を形成し、この電界の強度および方向に応じて液晶層の平均的な光学軸の傾斜方向を変化させることにより、直線偏光の透過光路を効率良く偏向することが可能な光偏向装置が得られる。
(第9の実施形態)
本実施形態を図11に基づいて説明する。本実施形態は、画像表示装置への適用例を示す。図11において、光源112はLEDランプを2次元アレイ状に配列した光源であり、この光源112からスクリーン117に向けて発せられる光の進行方向には拡散板113、コンデンサレンズ114、画像表示素子としての透過型液晶パネル115、画像パターンを観察するための光学部材としての投射レンズ116が順に配設されている。118は光源112に対する光源ドライブ部、119は透過型液晶パネル115に対するドライブ部である。ここに、透過型液晶パネル115と投射レンズ116との間の光路上にはピクセルシフト素子として機能する光偏向手段120が介在されており、ドライブ部121に接続されている。このような光偏向手段120として、前述したような光偏向素子101が用いられている。
光源ドライブ部118で制御されて光源112から放出された照明光は、拡散板113により均一化された照明光となり、コンデンサレンズ114により液晶ドライブ部119で照明光源と同期して制御されて透過型液晶パネル115をクリティカル照明する。この透過型液晶パネル115で空間光変調された照明光は、画像光として光偏向手段120に入射し、この光偏向手段120によって画像光が画素の配列方向に任意の距離だけシフトされる。この光は投射レンズ116で拡大されスクリーン117上に投射される。
ここに、光偏向手段120により画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールド毎の光路の偏向に応じて表示位置がずれている状態の画像パターンを表示させることで、透過型液晶パネル115の見掛け上の画素数を増倍して表示する。このように光偏向手段120によるシフト量は透過型液晶パネル115の画素の配列方向に対して2倍の画像増倍を行うことから、画素ピッチの1/2に設定される。シフト量に応じて透過型液晶パネル115を駆動する画像信号をシフト量分だけ補正することで、見掛け上高精細な画像を表示することができる。この際、光偏向手段120として、前述した実施形態のような光偏向素子101を用いているので、画像全体にわたって均一なシフト量を安定して得ることができ、良好な画像を得ることができる。
(実施例1)
大きさ3cm×4cm、厚さ1mmのガラス基板上に、高周波マグネトロンスパッタ法により厚さ0.1μmの酸化スズ膜を形成した。ターゲットには酸化スズの焼結体を用いた。スパッタ中はアルゴンガスと酸素を流し、その流量比が約1:4となるようにした。基板の加熱や冷却は行っていない。この条件の下で形成される酸化スズ膜の体積抵抗率は約5×103Ωcmと高抵抗であり、厚さ0.1μmの場合の表面抵抗率は5×108Ωである。この酸化スズ膜の可視光透過率は90%以上であった。次に、基板の長軸に沿って端から5mmまでの部分以外をマスクし、再び酸化スズをスパッタした。この時のガスの流量比をアルゴン:酸素=5:1としたところ、体積抵抗率は約0.2Ωcmとなった。
この低抵抗酸化スズ層と透明抵抗体層との抵抗率の差は十分大きい為、低抵抗酸化スズ層は電極として機能する。電極の厚さは0.1μmとし、二つの電極はそれらの間隔が2cmとなるよう平行に配置した。透明抵抗体層の表面をシランカップリング剤で処理し、垂直配向膜を形成した。厚さ50μmのマイラーシートをスペーサとし、垂直配向膜を内面にして同じ二枚の基板を張り合わせ、セルを作成した。
セルを約90度に加熱した状態で、二枚の基板間に強誘電性液晶(チッソ製CS1029)を毛管法にて注入した。冷却後、接着剤で封止し、図5に類似の光偏向素子を作成した。
光偏向素子の入射面側に5μm幅のライン/スペースのマスクパターンを設け、このマスクパターンを通して直線偏光で照明した。直線偏光の向きは、電極の長手方向と同一に設定した。マスクパターンを透過した光を顕微鏡で観察したところ、無電界時にはマスクパターンがそのまま観察された。二つの電極の一方を接地し、もう一方に+2000Vの電圧を印加したところ、ライン/スペースパターンがア電極の長手方向に約2.5μmシフトして観察された。マスクパターンや光偏向素子、顕微鏡は機械的に静止しているので、電気的に光路がシフトしていることが確認できた。もう一方に−2000Vの電圧を印加したところ、逆方向に約2.5μmシフトした。パルスジェネレータと高速パワーアンプを用いて、±2000Vの矩形波電圧を印加したところ、ピーク対ピークで約5μmの光路シフトが確認できた。
ライン/スペースの幅が5μmであるため、あたかもラインとスペースの明暗が反転するように観察された。すなわち、5μm幅のスペース部分をライトバルブのピクセルとすれば、簡単な構成の光偏向素子により、一つピクセルが見かけ上2つのピクセルに増倍することを確認できた。また、素子の温度を約40℃に加熱して応答速度を測定した結果、約0.3msecであり、ネマチック液晶に比べて充分速いことを確認した。なお、応答速度の確認は、直線偏光板のクロスニコル中に素子の電極方向を45度回転させ、かつ、素子を光路に対して10度程度傾斜させた状態で、透過光量の時間変化を測定して求めた。素子面積の複数個所に対して同様の測定を行ったところ、素子の全体にわたって一定のシフト量が得られており、そのバラツキは5%以内であった。また、ピンホール的にシフト量が小さい部分等は存在しなかった。
(比較例1)
実施例1における酸化スズ膜の代わりに、一次粒径が0.01μm以下の酸化スズ系粉末をポリエステル樹脂に分散させた透明導電性塗料を用いて透明抵抗体層を形成した。分散濃度や塗布後の乾燥条件を調整し、表面抵抗値が1×108Ωとなるように設定した。この透明導電性膜の可視光透過率は90%以上であった。電極にはアルミシートを用い、実施例1と同じ場所に電極を配置した。以上の点以外は実施例1と同様に素子を作成した。この素子では、応答速度が約0.3msec、シフト量は約5μmであり、実施例1と同等の性能が見られたが、シフト量のバラツキは10%以内と大きかった。また、導電性粒子の局所的な凝集に起因して、数十μm程度のピンホール的にシフト量が小さい部分が散在していることが見出された。
(実施例2)
実施例1と同様にしてガラス基板上に酸化スズ膜からなる透明抵抗体層を形成したのち、電極を形成する部分以外をマスクしてクロムを真空蒸着した。次に、酸化スズ層の上に二酸化シリコンをスパッタし、これを保護層とした。保護層の厚さは約0.1μmである。以上の過程を複数の基板に対して同時に行ったところ、それらの電気的性質は似たものとなり、電極間抵抗値の差は10%以内であった。
また、成膜時の条件を制御できる範囲内で等しくし、別の基板に同じ手順で透明抵抗体層、電極、及び保護層を形成した場合も、電極間抵抗値のバラツキは10%以内におさまっていた。それらの中から2枚を選び、保護層上に市販の垂直配向液晶用の配向膜を塗布したのち、実施例1と同様にして光偏向素子を作製した。この素子では、応答速度が約0.3msec、シフト量は約5μmであり、シフト量のバラツキは5%以内であった。
(比較例2)
実施例2と同様に酸化スズ膜と電極を形成したが、保護層を設けなかった。同時に作製した複数の抵抗膜付基板の電極間抵抗値を比較したところ、値が一桁以上にわたってばらついていた。
(実施例3)
図9のような画像表示装置を作成した。画像表示素子として対角0.9インチXGA(1024×768ドット)のポリシリコンTFT液晶パネルを用いた。画素ピッチは縦横ともに約18μmである。画素の開口率は約50%である。また、画像表示素子の光源側にマイクロレンズアレイを設けて照明光の集光率を高める構成とした。本実施例では、光源としてRGB三色のLED光源を用い、上記の一枚の液晶パネルに照射する光の色を高速に切換えてカラー表示を行う、いわゆるフィールドシーケンシャル方式を採用している。本実施例では、画像表示のフレーム周波数が60Hz、ピクセルシフトによる4倍の画素増倍のためのサブフィールド周波数が4倍の240Hzとする。一つのサブフレーム内をさらに3色分に分割するため、各色に対応した画像を720Hzで切換える。液晶パネルの各色の画像の表示タイミングに合わせて、対応した色のLED光源をON/OFFすることで、観察者にはフルカラー画像が見える。
光偏向素子の基本構成は実施例2と同様であるが、スペーサの厚さを90μmとして、光路シフト量が約9μmになるように設定した。クロム電極に、パルスジェネレータと高速パワーアンプを用いて、±2000Vの矩形波電圧を印加可能とした。この素子を2枚用い、入射側を第一の光偏向素子、出射側を第二の光偏向素子とした。互いの電極の方向が直交し、画像表示素子の画素の配列方向に一致するように配置した。さらに、第一および第二の光偏向素子の間に偏光面回転素子を設けた。偏光面回転素子は、薄いガラス基板(3cm×4cm、厚さ0.15mm)上にポリイミド系の配向材料をスピンコートし、約0.1μmの配向膜を形成した。ガラス基板のアニール処理後、ラビング処理を行った。二枚のガラス基板の間の周辺部に8μm厚のスペーサを挟み、ラビング方向が直交するように上下基板を張り合わせて空セルを作製した。
このセルの中に、誘電率異方性が正のネマチック液晶にカイラル材を適量混合した材料を常圧下で注入し、液晶分子の配向が90度捻じれたTN液晶セルを作成した。このセルには電極を設けていないため、単なる偏光回転素子として機能する。第一の光偏向素子から出射した光の偏光面と偏光回転素子の入射面のラビング方向が一致するように、二つの光路偏向手段の間に挟んで配置した。偏光面回転素子により第一の光偏向素子からの出射光の偏光面が90度回転し、第二の光偏向素子の偏向方向に一致する。第偏向素子、偏光面回転素子、第二偏向素子からなる光路偏向装置を液晶ライトバルブの直後に設置した。
また、本実施例では液晶表示素子からの出射光が既に直線偏光であり、その偏光方向が第一の光偏向素子の光路偏向方向と一致するように配置されているが、光偏向素子への入射光の偏光度を確実にするために、光偏向素子の入射面側に直線偏光板を設けた。光偏向素子を駆動する矩形波電圧の周波数を120Hzとし、二枚の縦と横の位相を90度ずらして、4方向に画素シフトするように駆動タイミングを設定した。画像表示素子に表示するサブフィールド画像を240Hzで書き換えることで、縦横二方向に見かけ上の画素数が4倍に増倍した高精細画像が表示できた。光偏向素子の切換え時間は約0.4msecであり、充分な光利用効率が得られた。また、フリッカーなどは観測されなかった。
(実施例4)
大きさ3cm×4cm、厚さ1mmのガラス基板上に、Crからなる一対の電極を形成した。電極は基板の長辺に平行で、2cmの間隔をあけて配置されている。次に、高周波マグネトロンスパッタ法により厚さ0.1μmの酸化スズ膜を形成した。ターゲットには酸化スズの焼結体を用いた。スパッタ中はアルゴンガスと酸素を流し、酸素流量比を約81%に保った。基板の加熱や冷却は行っていない。同装置内で続けて二酸化シリコンをスパッタし、厚さ約0.1μmの保護層を形成した。電極間の抵抗値から酸化スズ膜の表面抵抗率を見積もったところ、5×108Ω/□であった。この酸化スズ膜の可視光透過率は90%以上である。全く同じ条件で複数回酸化スズ膜を成膜したところ、そのうちの約半分は108Ω/□台の表面抵抗率を持っていたが、約15%は1011Ω/□以上の表面抵抗率を示し、約5%は107Ω/□以下であった。
抵抗膜の表面抵抗率が5×108Ω/□前後であった基板を二枚選び、セルを作製した。まず、保護層の表面をシランカップリング剤で処理し、垂直配向膜を形成した。次に、厚さ50μmのマイラーシートをスペーサとし、垂直配向膜を内面にして二枚の基板を張り合わせた。セルを約90度に加熱した状態で、二枚の基板間に強誘電性液晶(チッソ製CS1029)を毛管法にて注入した。冷却後、接着剤で封止し、図10に類似の光偏向素子を得た。光偏向素子の入射面側に5μm幅のライン/スペースのマスクパターンを設け、このマスクパターンを通して直線偏光で照明した。直線偏光の向きは、電極の長手方向と同一に設定した。
マスクパターンを透過した光を顕微鏡で観察したところ、無電界時にはマスクパターンがそのまま観察された。二つの電極の一方を接地し、もう一方に+2000Vの電圧を印加したところ、ライン/スペースパターンがア電極の長手方向に約2.5μmシフトして観察された。マスクパターンや光偏向素子、顕微鏡は機械的に静止しているので、電気的に光路がシフトしていることが確認できた。もう一方に−2000Vの電圧を印加したところ、逆方向に約2.5μmシフトした。パルスジェネレータと高速パワーアンプを用いて、±2000Vの矩形波電圧を印加したところ、ピーク対ピークで約5μmの光路シフトが確認できた。
ライン/スペースの幅が5μmであるため、あたかもラインとスペースの明暗が反転するように観察された。すなわち、5μm幅のスペース部分をライトバルブのピクセルとすれば、簡単な構成の光偏向素子により、一つピクセルが見かけ上2つのピクセルに増倍することを確認できた。素子面積の複数個所に対してシフト量の測定を行ったところ、素子の全体にわたって一定のシフト量が得られており、そのバラツキは5%以内であった。
(実施例5)
二酸化シリコンを形成せず、それ以外は実施例4と同様にして、光偏向素子を作製した。二枚の基板上の酸化スズ膜の表面抵抗率は、共に約5×1011Ω/□であった。実施例4と同様にして光路シフトを調べたところ、±2000Vを印加した電極の近くでは実施例4と同様に約2.5μmのシフト量が観測された。しかし、アースされた電極近傍ではシフト量が減少し、最も小さいところでは約1.5μmであった。高電圧電極側では十分大きな電界が発生しており、液晶の平均的な光学軸の傾斜角は飽和していて約2.5μmのシフト量が得られているが、アース電極側では電界が小さい為にシフト量も小さくなっていると考えられる。このような電界の不均一性は、抵抗値が高過ぎる為に抵抗体が機能していないことに起因していると考えられる。
(比較例3)
酸化スズ膜を形成する際の酸素ガス流量比を50%とした以外は実施例4と同様にして、光偏向素子を作製した。二枚の基板上の酸化スズ膜の表面抵抗率は、共に約5×106Ω/□であった。この素子を±2000Vの矩形波交流電圧で駆動したところ、時間と共に温度上昇によって液晶が白濁し、正常な連続動作を行うことは出来なかった。
(実施例6)
酸素ガス流量比を95%とし、基板温度を90度に保った状態で酸化スズ膜を形成した。それ以外は実施例1と同様にして、光偏向素子を作製した。酸化スズ膜の表面抵抗率は5×108Ω/□であり、同条件で複数回成膜を行った場合でも、各試料の表面抵抗率は全て108Ω/□台となっていた。
実施例4と同様にして光路シフトを調べたところ、素子の全体にわたって比較的均一な2.5μm前後のシフト量が得られ、バラツキは5%以内であった。
第1の実施形態の光偏向素子を示した図である。 (a)は、第1の実施形態の光偏向素子における透明抵抗体層の表面の電位を示す図である。(b)は、第1の実施形態の光偏向素子における透明抵抗体層の表面近傍の液晶層内の水平電界を示す図である。 第1の実施形態の光偏向素子の動作原理を説明するための図である。 (a)は、第1の実施形態の光偏向素子の動作原理を説明するための図である。(b)は、第1の実施形態の光偏向素子の動作原理を説明するための図である。 第2の実施形態の光偏向素子を示した図である。 第3の実施形態の光偏向素子を示した図である。 第4の実施形態の光偏向素子を示した図である。 第6の実施形態の光偏向素子を説明するための図である。 第7の実施形態の画像表示装置を示した図である。 (a)は、第8の実施形態の光偏向素子を示した正面図である。(b)は、第8の実施形態の光偏向素子を示した側面図である。(c)は、第8の実施形態の光偏向素子を示した断面図である。 第9の実施形態の画像表示装置を示した図である。
符号の説明
1 光偏向素子
1A 光偏向素子
1B 光偏向素子
2 透明基板
3 透明基板
4 スペーサ
5 透明抵抗体層
5’ 透明抵抗体層
6 配向膜
7 液晶層
8 電極
8’ 電極
9 電極
9’ 電極
10 電源
11 液晶ダイレクタ
12 電極
13 保護層
15 1/2波長板
81 光源
82 拡散板
83 コンデンサレンズ
84 透過型液晶パネル
85 投射レンズ
86 スクリーン
87 光源ドライブ部
88 ドライブ部
89 光偏向手段
90 ドライブ部
101 光偏向素子
102 基板
103 基板
104 スペーサ
105 透明抵抗体層
105’ 透明抵抗体層
106 保護層
106’ 保護層
107 配向膜
107’ 配向膜
108 液晶層
109 電極
109’ 電極
110 電極
110’ 電極
112 光源
113 拡散板
114 コンデンサレンズ
115 透過型液晶パネル
116 投射レンズ
117 スクリーン
118 光源ドライブ部
119 ドライブ部
120 光偏向手段
121 ドライブ部
d 液晶層の厚み(ギャップ)
S 光偏向量
θ 液晶ダイレクタの傾き角

Claims (24)

  1. 透明な一対の基板と、
    両基板の間隔を規制する複数のスペーサと、
    少なくとも一方の基板面に設けた無機材料から成る透明抵抗体層と、
    両基板の間隔内でキラルスメクチックC相を形成可能な液晶層と、
    該キラルスメクチックC相の層法線方向が前記基板面に対して略垂直となるように前記液晶層を配向させる配向膜と、
    前記透明抵抗体層の少なくとも二個所以上に接続した複数の電極と、
    を備えたことを特徴とする光偏向素子。
  2. 前記無機材料から成る透明抵抗体層が光透過性金属酸化物であることを特徴とする請求項1記載の光偏向素子。
  3. 前記無機材料から成る透明抵抗体層が酸化スズよりなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光偏向素子。
  4. 前記無機材料から成る透明抵抗体層が物理的堆積法(PVD法)によって形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光偏向素子。
  5. 前記物理的堆積法がスパッタリング法であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光偏向素子。
  6. 前記無機材料から成る透明抵抗体層とそれに接続する電極とが物理的堆積法によって形成された同一の金属酸化物膜から成り、各部分を形成する際の成膜条件を変えることによって抵抗率に差を生じさせたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光偏向素子。
  7. 前記無機材料から成る透明抵抗体層の上に保護層を設け、保護層と液晶層の間に配向膜を設けたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の光偏向素子。
  8. 前記保護層が前記配向膜であることを特徴とする請求項7記載の光偏向素子。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の光偏向素子を具備し、
    電圧印加手段により該複数の電極間に電圧を印加して前記無機透明抵抗体層の平面方向に電位勾配を生じさせ、該液晶層に対して略平行な方向に電界を形成し、該電界の強度および方向に応じて液晶層の平均的な光学軸の傾斜方向を変化させて直線偏光の透過光路を偏向することを特徴とする光偏向装置。
  10. 前記光偏向素子への入射光の偏光方向を光路の偏向方向と一致させる偏光方向制御手段を有することを特徴とする請求項9記載の光偏向装置。
  11. 前記光偏向素子の出射光の偏光面を略直角に回転させる偏光面回転手段と、
    偏光面回転後の出射光を入射光とする第二の光偏向素子と、を有し、
    前記光偏向素子と該第二の光偏向素子の液晶層法線方向は略一致し、光偏向素子の電界方向が略直交するように配置されてなることを特徴とする請求項10記載の光偏向装置。
  12. 画像情報に従って光を制御可能な複数の画素が二次元的に配列した画像表示素子と、
    画像表示素子を照明する光源および照明装置と、
    画像表示素子に表示した画像パターンを観察するための光学装置と、
    画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールドで形成する表示駆動手段と、
    各画素からの出射光の光路を偏向する前記請求項9から11のいずれか1項に記載の光路偏向装置と、を有し、
    サブフィールド毎の光路の偏向状態に応じて表示位置がずれている状態の画像パターンを表示することで、画像表示素子の見かけ上の画素数を増倍して表示することを特徴とする画像表示装置。
  13. 透明な一対の基板と、
    少なくとも一方の基板面に設けた透明抵抗体層と、
    両基板間で層法線が基板面に対して略垂直方向をとるキラルスメクチックC相の液晶層と、
    前記透明抵抗体層に接続した複数の電極と、
    を有する光偏向素子であって、
    前記透明抵抗体層が、高周波マグネトロンスパッタ法により前記透明基板上に形成した酸化スズを主成分とする膜であることを特徴とする光偏向素子。
  14. 前記透明抵抗体層が、高周波マグネトロンスパッタ法により前記透明基板上に形成した酸化スズ膜であることを特徴とする請求項13に記載の光偏向素子。
  15. 前記透明抵抗体層上に、抵抗値の変動を抑えるための保護層が形成されてなることを特徴とする請求項13又は14に記載の光偏向素子。
  16. 前記保護層が、前記透明抵抗体層上に形成した無機透明膜であることを特徴とする請求項13から15のいずれか1項に記載の光偏向素子。
  17. 前記保護層が、前記透明抵抗体層上に形成した二酸化シリコン膜であることを特徴とする請求項13から16のいずれか1項に記載の光偏向素子。
  18. 前記透明基板上に高周波マグネトロンスパッタ法により前記透明抵抗体層を形成した後、該基板を真空中に保ったまま続けて高周波マグネトロンスパッタ法により前記保護層を成膜したことを特徴とする請求項13から17のいずれか1項に記載の光偏向素子。
  19. 前記透明抵抗体層が、前記高周波マグネトロンスパッタ法においてアルゴンガスと酸素ガスの両方を流して形成されてなることを特徴とする請求項13から18のいずれか1項に記載の光偏向素子。
  20. 前記透明抵抗体層が、高周波スパッタリング法において基板温度を一定温度に制御した状態で形成されてなることを特徴とする請求項13から19のいずれか1項に記載の光偏向素子。
  21. 前記透明抵抗体層の表面抵抗率が、107から1011Ω/□の範囲内であることを特徴とする請求項13から20のいずれか1項に記載の光偏向素子。
  22. 前記光偏向素子を形成する前記基板の双方に、前記透明抵抗体層が形成されてなることを特徴とする請求項21記載の光偏向素子。
  23. 請求項13から22のいずれか1項に記載の光偏向素子と、
    前記光偏向素子の複数の電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、を有し、
    前記電圧印加手段により前記複数の電極間に電圧を印加して前記透明抵抗体層の平面方向に電位勾配を生じさせ、前記液晶層に対して略平行な方向に電界を形成し、該電界の強度及び方向に応じて液晶層の平均的な光学軸の傾斜方向を変化させて直線偏光の透過光路を偏向することを特徴とする光偏向装置。
  24. 少なくとも画像情報に従って光を制御可能な複数の画素が二次元的に配列した画像表示素子と、
    画像表示素子を照明する光源および照明装置と、
    画像表示素子に表示した画像パターンを観察するための光学装置と、
    画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールドで形成する表示駆動手段と、
    各画素からの出射光の光路を偏向する前記請求項23に記載の光偏向装置と、
    を有し、
    光偏向装置によりサブフィールド毎の光路の偏向に応じて表示位置がずれている状態の画像パターンを表示することで、画像表示素子の見かけ上の画素数を増倍して表示することを特徴とする画像表示装置。
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