JP2005309160A - 光偏向装置および画像表示装置 - Google Patents

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Hiroyuki Sugimoto
浩之 杉本
Yumi Matsuki
ゆみ 松木
Masanori Kobayashi
正典 小林
Toshiharu Murai
俊晴 村井
Kenji Kameyama
健司 亀山
Takeshi Namie
健史 浪江
Toshiaki Tokita
才明 鴇田
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Abstract

【課題】 本質的に応答速度が早く、比較的簡単な構成で、光学特性に優れた光偏向装置と高精細な画像表示装置を提供する。
【解決手段】 少なくとも、一対の透明基板間に充填されたホメオトロピック配向をなすキラルスメクチックC相を形成可能な液晶層と、該液晶層の有効領域内に前記基板面に水平な電界を形成可能な電界印加手段を有する液晶素子である素子(1)、素子(2)とから成り、光の進行方向に対して両液晶素子が直列に配置され、且つ両液晶素子内の電界方向が平行となるように配置され、各液晶素子内での電界方向の切換えによって各液晶層の光学軸の傾斜方向を切換えて、電界方向に平行な直線偏光面を有する入射光に対する出射光路を平行にシフトさせる光偏向装置であり、両液晶素子での光路のシフト距離が等しく設定され、両液晶素子内での電界方向の組合せ状態として、第一〜第三の電界印加状態A〜Cを切換えることで、入射光線を3つの出射位置に平行シフトさせる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、電気信号によって光の方向を変える光偏向素子、光偏向デバイス及びこれらの光偏向素子又は光偏向デバイスを利用した画像表示装置に関する。
<定義>
本明細書において、「光偏向素子」とは、外部からの電気信号により光の光路を偏向、即ち、入射光に対して出射光を平行にシフトさせるか、或る角度を持って回転させるか、或いは、その両者を組合せて光路を切換えることが可能な光学素子を意味する。この説明において、平行シフトによる光路偏向に対してそのシフトの大きさを「シフト量」と呼び、回転による光路偏向に対してその回転量を「回転角」と呼ぶものとする。「光偏向装置」とは、このような光路偏向素子を含み、光の光路を偏向させるデバイスを意味する。
また、「ピクセルシフト素子」とは、少なくとも画像情報に従って光を制御可能な複数の画素を二次元的に配列した画像表示素子と、画像表示素子を照明する光源と、画像表示素子に表示した画像パターンを観察するための光学部材と、画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールド毎に画像表示素子と光学部材の間の光路を偏向する光偏向手段とを有し、光路偏向手段によりサブフィールド毎の光路の偏向に応じて表示位置がずれている状態の画像パターンを表示させることで画像表示素子の見掛け上の画素数を増倍して表示する画像表示装置における光路偏向手段を意味する。従って、基本的には、上記定義による光路偏向素子や光路偏向デバイスを光路偏向手段として応用することが可能といえる。
例えば、特許文献1に示されるように、表示素子に表示された画像を投写光学系によりスクリーン上に拡大投影する投影表示装置において、前記表示素子から前記スクリーンに至る光路の途中に透過光の偏光方向を旋回できる光学素子を少なくとも1個以上と複屈折効果を有する透明素子を少なくとも1個以上を有してなる投影画像をシフトする手段と、前記表示素子の開口率を実効的に低減させ、表示素子の各画素の投影領域が前記スクリーン上で離散的に投影される手段と、を備えた投影表示装置がある。
同公報例においては、偏光方向を旋回できる光学素子(旋光素子と呼ぶ)を少なくとも1個以上と複屈折効果を有する透明素子(複屈折素子と呼ぶ)を少なくとも1個以上を有してなる投影画像シフト手段(ピクセルシフト手段)によりピクセルシフトを行っているが、問題点として、旋光素子と複屈折素子とを組合せて使用するため、光量損失が大きいこと、光の波長によりピクセルシフト量が変動し解像度が低下しやすいこと、旋光素子と複屈折素子との光学特性のミスマッチから本来画像が形成されないピクセルシフト外の位置に漏れ光によるゴースト等の光学ノイズが発生しやすいこと、素子化のためのコストが大きいことが挙げられる。特に、複屈折素子に前述したようなKH2PO4(KDP),NH42PO4(ADP),LiNbO3,LiTaO3,GaAs,CdTeなど第1次電気光学効果(ポッケルス効果)の大きな材料を使用した場合、顕著である。
また、特許文献2に示される投影機においては、制御回路により、画像蓄積回路に蓄積した本来表示すべき画像を市松状に画素選択回路へサンプリングして順次空間光変調器に表示し、投影させ、さらに、制御回路により、この表示に対応させてパネル揺動機構を制御して空間光変調器の隣接画素ピッチ距離を整数分の一ずつ移動させることで、本来表示すべき画像を時間的な合成により再現するようにしている。これにより、空間光変調器の画素の整数倍の分解能で画像を表示可能にするとともに、画素の粗い空間光変調器と簡単な光学系を用いて安価に投影機を構成可能としている。
ところが、同公報例においては、画像表示用素子自体を画素ピッチよりも小さい距離だけ高速に揺動させるピクセルシフト方式が記載されており、この方式では、光学系は固定されているので諸収差の発生が少ないが、画像表示素子自体を正確かつ高速に平行移動させる必要があるため、可動部の精度や耐久性が要求され、振動や音が問題となる。
さらに、特許文献3によれば、LCD等の画像表示装置の画素数を増加させることなく、表示画像の解像度を、見掛け上、向上させるため、縦方向及び横方向に配列された複数個の画素の各々が、表示画素パターンに応じて発光することにより、画像が表示される画像表示装置と、観測者又はスクリーンとの間に、光路をフィールド毎に変更する光学部材を配し、また、フィールド毎に、前記光路の変更に応じて表示位置がずれている状態の表示画素パターンを画像表示装置に表示させるようにしている。ここに、屈折率が異なる部位が、画像情報のフィールド毎に、交互に、画像表示装置と観測者又はスクリーンとの間の光路中に現れるようにすることで、前記光路の変更が行われるものである。
同公報例においては、光路を変更する手段として、電気光学素子と複屈折材料の組合わせ機構、レンズシフト機構、バリアングルプリズム、回転ミラー、回転ガラス等が記述されており、上記旋光素子と複屈折素子を組合せてなる方式の他に、ボイスコイル、圧電素子等によりレンズ、反射板、複屈折板等の光学素子を変位(平行移動、傾斜)させ光路を切り替える方式が提案されているが、この方式においては、光学素子を駆動するために構成が複雑となりコストが高くなる。
また、特許文献4によれば、回転機械要素を不要化でき、全体の小型化、高精度・高分解能化を実現でき、しかも外部からの振動の影響を受け難い光ビーム偏向装置が提案されている。具体的には、光ビームの進行路上に配置される透光性の圧電素子と、この圧電素子の表面に設けられた透明の電極と、圧電素子の光ビーム入射面Aと光ビーム出射面Bとの間の光路長を変化させて光ビームの光軸を偏向させるために電極を介して圧電素子に電圧を印加する電圧印加手段とを備えている。
同公報例では、透光性の圧電素子を透明の電極で挟み、電圧を印加することで厚みを変化させて光路をシフトさせる方式が提案されているが、比較的大きな透明圧電素子を必要とし、装置コストがアップする等、前述の特許文献3の場合と同様の問題点がある。
そこで、本発明者らは特許文献5において、透明な一対の基板と、基板間に充填されたホメオトロピック配向をなすキラルスメクチックC相よりなる液晶と、この液晶に電界を作用させる少なくとも1組以上の電界印加手段とを備える構成とし、キラルスメクチックC相よりなる液晶を利用しているので、従来の光偏向素子に比して、構成が複雑であることに伴う高コスト、装置大型化、光量損失、光学ノイズを改善でき、かつ、従来のスメクチックA液晶やネマチック液晶などにおける応答性の鈍さも改善でき、高速応答が可能となるようにした。
また、特許文献6では、光源と、各々が光を変調可能な複数の画素領域を有する画像表示パネルと、光源からの光を波長域に応じて対応する画素領域に集光させる光制御手段と、画像表示パネルで変調された光で被投影面上に画像を形成する光学系とを備えた表示装置において、各フレーム画像のデータから複数のサブフレーム画像のデータを生成し、画像表示パネルによって複数のサブフレーム画像を時分割で表示させる回路と、サブフレーム画像を被投影面上でシフトさせる画像シフト素子とを備える。サブフレームの表示切替は画像表示パネルの線走査によって行い、画像シフト素子によるシフト動作を前記切替に同期させて実行することで、画像表示パネルの異なる画素領域で変調された異なる波長域に属する光で被投影面上の同一領域を順次照射する。
さらに、特許文献7では、画像シフト部は、第1の印加電圧のHigh/Lowに応じて、光の偏光方向を、直交する2つの方向の間で切り替える第1の液晶セルと、第2の印加電圧のHigh/Lowに応じて、光の偏光方向を、直交する2つの方向の間で切り替える第2の液晶セルと、光の偏光方向によって屈折率が異なる複屈折素子とを備えている。第1の液晶セル、第2の液晶セル、および複屈折素子は、この順序で光を透過するように配置され、第1および第2の液晶セルに含まれる液晶層の中間部のダイレクタが相互に直交するように第1および第2の液晶セルが配置されている。この構成では、電圧印加がON状態からOFF状態に切換えたときの応答遅れに起因する2重像の発生を抑制できる。
特許第2939826号公報 特開平5−313116号公報 特開平6−324320号公報 特開平10−133135号公報 特開2002−328402号公報 特開2001−356316号公報 特開2003−222832号公報
上記の特許文献7では、電圧印加ON状態からOFF状態に切換えるときの応答時間を比較的短くできるため画像シフト動作時の2重像の発生を抑制できるが、ネマチック液晶を用いているため電圧OFFからON時の応答時間は本質的に数ミリ秒程度と遅く、フリッカーを確実に低減させてより高画質とするために、フレーム周波数をより高く設定する場合には、応答速度が不十分であるという問題がある。また、画素の配列方向に3位置のシフト動作を行なうためには、合計4枚のネマチック液晶素子と2枚の複屈折板が必要になり、基板や界面の数が多くなる。これは、基板界面での反射ロスにより透過率の低下につながる。また、例えばRGBの3原色の画素配列を有するカラー画像表示パネルを用いて、画素シフト動作によって光路を3位置にシフトさせ、3倍の解像度の画像を表示させる場合、このような入射光の偏光面を90度回転させる素子と複屈折板の組合せによる画像シフト素子では、光路のシフトを行なわない場合と、光路を最大距離シフトさせた場合の光路差が大きくなるという問題がある。
そこで、本発明では、本質的に応答速度が早く、比較的簡単な構成で、光学特性に優れた光偏向装置と高精細な画像表示装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の第1の態様は、少なくとも、一対の透明基板間に充填されたホメオトロピック配向をなすキラルスメクチックC相を形成可能な第一の液晶層と、該第一の液晶層の有効領域内に前記基板面に水平な電界を形成可能な第一の電界印加手段を有する第一の液晶素子と、同様に、一対の透明基板間に充填されたホメオトロピック配向をなすキラルスメクチックC相を形成可能な第二の液晶層と、該第二の液晶層の有効領域内に前記基板面に水平な電界を形成可能な第二の電界印加手段を有する第二の液晶素子とから成り、光の進行方向に対して両液晶素子が直列に配置され、且つ両液晶素子内の電界方向が平行となるように配置され、各液晶素子内での電界方向の切換えによって各液晶層の光学軸の傾斜方向を切換えて、電界方向に平行な直線偏光面を有する入射光に対する出射光路を平行にシフトさせる光偏向装置であり、両液晶素子での光路のシフト距離が等しく設定され、両液晶素子内での電界方向の組合せ状態として、両者が同一方向である第一の電界印加状態と、両者が互いに反対方向である第二の電界印加状態と、両者が前述の反対の同一方向である第三の電圧印加状態とを切換えることで、入射光線を3つの出射位置に平行シフトさせるものである。
すると、二つの液晶素子での光路のシフト距離が等しく設定され、両液晶素子内での電界方向の組合せ状態として、両者が同一方向である第一の電界印加状態と、両者が互いに反対方向である第二の電界印加状態と、両者が前述の反対の同一方向である第三の電圧印加状態とを切換えるので、1つの液晶素子での光路のシフト距離をSとした時、出射位置を2S、0、−2Sの3つ位置に平行シフトさせることが出来る。
このとき、前記第一の電界印加状態をA、前記第二の電界印加状態をB、前記第三の電界印加状態をCと表記したとき、両液晶素子の組合せによる電界印加状態の時間変化が「ABC」を1周期として順次繰り返すことを特徴とする。
すると、第一の電界印加状態をA、第二の電界印加状態をB、第三の電界印加状態をCと表記したとき、両液晶素子の組合せによる電界印加状態の時間変化が「ABC」を1周期として順次繰り返すので、3つの出射位置への平行シフトを周期的に繰り返すことが出来る。
又、前記第一の液晶素子および第二の液晶素子に印加される電圧が交流電圧であり、一方の液晶素子に印加される交流電圧のデューティー比が33%から34%の範囲内としたとき、他方の液晶素子に印加される交流電圧のデューティー比が66%から67%の範囲内であること特徴とする。
すると、両液晶素子に印加する交流電圧のデューティー比を最適に設定しているので、第一の電界印加状態の時間TAと、第二の電界印加状態の時間TBと、第三の電界印加状態の時間TCの期間を略等しく設定できる。
又、前記第二の電界印加状態に対して、任意の電界方向を正の方向と定義した時に、第一の液晶素子が正の電界方向で第二の液晶素子が負の電界方向である電界印加状態をB1、反対に第一の液晶素子が負の電界方向で第二の液晶素子が正の電界方向である電界印加状態をB2と表記したとき、両液晶素子の組合せによる電界印加状態の時間変化が「AB1CAB2C」を1周期として順次繰り返すことを特徴とする。
すると電界印加状態が1周期分の光偏向動作において、各液晶素子に印加される交流電界の正負の時間平均がゼロとなる(DCバランスが保たれる)ので、液晶層内のイオン電荷の偏りなどが防止でき、長期的に安定した光偏向動作を行なうことが出来る。
上記目的を達成する本発明の第2の態様は、少なくとも、一対の透明基板間に充填された第一の液晶層と、該第一の液晶層の有効領域内に電界を形成可能な第一の電界印加手段を有し、第一の電界印加手段による液晶配向状態の変化によって入射した直線偏光の偏光面を略90度回転させて出射可能な偏光面回転素子である第一の液晶素子と、一対の透明基板間に充填されたホメオトロピック配向をなすキラルスメクチックC相を形成可能な第二の液晶層と、該第二の液晶層の有効領域内に前記基板面に水平な電界を形成可能な第二の電界印加手段を有し、第二の電界印加手段の電界方向によって光学軸の傾斜方向を切り替える光学軸偏向素子である第二の液晶素子とを有し、光の進行方向に対して両液晶素子が、第一および第二の順に直列に配置され、各液晶素子内での電界印加状態の組み合わせによって直線偏光面の入射光に対する出射光路を平行にシフトさせる光偏向装置であり、第一の液晶素子の出射光の偏光方向が第二の液晶素子の電界方向と直交する状態を状態S、第一の液晶素子の出射光の偏光方向が第二の液晶素子の電界方向と平行な状態を状態Y、第二の液晶素子の光学軸の傾斜方向に対応した二つの状態をそれぞれ状態X1および状態X2とした時、第一の液晶素子が状態Sで第二の液晶素子が状態X1である光路シフト位置Aと、第一の液晶素子が状態Xで第二の液晶素子が状態X2である光路シフト位置Cと、第一の液晶素子が状態Yで第二の液晶素子が状態X1あるいは状態X2である光路シフト位置Bの3つの出射位置に入射光を平行シフトさせるものである。
すると、入射した直線偏光の出射偏光面を90度回転させる偏光面回転手段である第一の液晶素子と、電界方向によって光学軸の傾斜方向を切り替える光学軸スイッチ手段である第二の液晶素子の組み合わせによって、第一の液晶素子によって光路シフトの有無を制御し、第二液晶素子によって光路シフトの方向と距離を制御することによって、第二の液晶素子での光路のシフト距離をSとした時、出射位置をS、0、−Sの3つ位置に平行シフトさせることが出来る。
このとき、3つの出射位置A、B、Cへの光路シフト動作を周期的に行い、その一周期の時間をTとし、第一の液晶素子は、状態Yの期間をT1、状態Sの期間をT2とした時、T2=2×T1、T1+T2=Tの関係を有し、第二の液晶素子は、第一の状態X1の期間をT3、第一の状態X2の期間をT4、第二の状態X1の期間をT4、第二の状態X2の期間をT3とするT3+T4+T4+T3=2Tを一周期として駆動し、T3=T1、T4=T2の関係を有し、第一の液晶素子の状態Yから状態Sへの切替動作の内、二回毎の切替タイミングが、第二の液晶素子の状態X1から状態X2への切替タイミングと略一致するように設定したことを特徴とする。
すると、第一の液晶素子および第二の液晶素子のそれぞれの電界切替タイミングを最適に制御しているので、定常的な光路シフト状態における、電界切替動作に伴う液晶素子の光散乱現象の影響を低減し、3つの出射位置への平行シフトを等しい時間間隔で周期的に繰り返すことが出来る。
又、前記第一の液晶素子が、電界印加により液晶分子の配向方向が制御可能な表面安定型強誘電性液晶素子からなることを特徴とする。
すると、表面安定型強誘電性液晶素子の液晶分子の屈折率、電界印加時の配向方向、液晶層の厚みなどを半波長板としての最適条件に設定することで、高速に偏光面の回転が可能な偏光面回転素子が得られ、全体として高速応答の光偏向素子が得られる。
上記目的を達成する本発明の第3の態様は、一対の透明基板と、透明基板面に設けた垂直配向膜と、透明基板間で略垂直配向のスメクチックC相を形成可能な液晶層と、液晶層に対して略平行な方向に電界を印加する電極対と、液晶層の有効領域を取り囲むように分割して配置された複数の電極と、各電極に対して隣接する電極間の電位差および有効領域を挟んで略対向する電極間の電位差を制御し、有効領域内の液晶層に発生する電界の向きを制御することで、液晶層の光学軸の傾斜方向を制御する液晶素子を有し、該液晶素子へ入射する直線偏光の偏光面に対して、液晶層の光学軸の傾斜方向が前記偏光面に対して平行で互いに向きが異なる状態に対応する光路シフト位置Aおよび光路シフト位置Cと、液晶層の光学軸の傾斜方向が前記偏光面に対して垂直な状態に対応する光路シフト位置Bの3つの出射位置に入射光を平行シフトさせるものである。
すると、スメクチックC相の強誘電性あるいは反強誘電性液晶層の水平方向に電界を印加することで、液晶分子の傾斜角度や傾斜方向が変化して平均的な光学軸の傾斜方向を制御することが出来る。水平電界印加のための電極を分割構造にして有効領域の外周部に並べて配置し、各電極に対して隣接する電極間の電位差および有効領域を挟んで略対向する電極間の電位差を最適に制御することで、有効領域内の所望の方向に均一な電界を形成することが出来る。したがって、入射光の偏光面に対して光学軸の傾斜方向を平行あるいは垂直に制御可能であり、それに対応して3つの光路シフト位置を制御することが出来る。
このとき、入射光する直線偏光の偏光面に対して、液晶層の光学軸の傾斜方向が前記偏光面に対して平行で互いに向きが異なる状態を状態X1および状態X2とし、液晶層の光学軸の傾斜方向が前記偏光面に対して垂直で互いに向きが異なる状態を状態Y1および状態Y2とし、3位置の光路シフト動作の繰り返しにおける一周期をTとした時、各状態の期間はT/3であり、各状態を状態X1、Y1、X2、X1、Y2、X2の順に繰り返す期間2Tを一周期として設定したことを特徴とする。
すると、VA-FLC素子のXY2方向で4位置の電界制御が可能な素子を用いて、単純な3位置シフトを行う場合、素子のDCバランスが崩れてしまう。光路シフト動作の2周期の中で、X方向とY方向のそれぞれで電界印加タイミングの数が同じになるような最適な駆動順序を設定することで、3位置シフトに対しても、液晶素子に印加されるXY各方向での交流電界の正負の時間平均がゼロとなる(DCバランスが保たれる)ので、液晶層内のイオン電荷の偏りなどが防止出来る。したがって、長期的に安定した光路シフト動作を行うことが出来る。
上記目的を達成する本発明の第4の態様は、光源と、各々が光を変調することができる複数の画素領域を有し、異なる3つの波長域を表示可能な画素が順次配列するカラー画像表示パネルと、前記カラー画像表示パネルで変調された光によって被投影面上に画像を形成する光学系と、を備えた画像表示装置であって、前記画像を構成する各フレーム画像のデータから複数のサブフレーム画像のデータを生成し、前記カラー画像表示パネルによって前記複数のサブフレーム画像を時分割で表示させる回路と、前記カラー画像表示パネルによって表示される前記複数のサブフレーム画像のうち選択されたサブフレーム画像を前記被投影面上でシフトさせる、第1〜第3のの態様の光偏向装置とを備え、前記カラー画像表示パネルの異なる画素領域で変調された異なる波長域に属する光で前記被投影面上の同一領域を順次照射する画像表示装置に関するものである。
すると、異なる3色の画素が順次配列するカラー画像表示パネルから出た光を表示画像の切換え動作に同期させながら3つの位置に平行シフトさせることで、1つの色の画素が他の色の画素位置に対応する2つの位置も順次表示することが出来る。したがって、3色の画素で空間的に色分割された通常のカラー画像表示パネルを用いて、3倍の画素数のカラー画像を表示することが出来る。
本質的に応答速度が早く、比較的簡単な構成で、光学特性に優れた光偏向装置と高精細な画像表示装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の態様について図1に基づいて説明する。図1には本実施形態で採り上げる光偏光装置の構成素子の断面図が示されている。その構成素子において、一対の透明な基板が対向配置させて設けられている。透明な基板としては、ガラス、石英、プラスチックなどを用いることが出来るが複屈折性の無い透明材料が好ましい。基板の厚みは数十μm〜数mmのモノが用いられる。基板の内側面には垂直配向膜が形成されている。垂直配向膜は基板表面に対して液晶分子を垂直配向(ホメオトロピック配向)させる材料ならば特に限定されないが、液晶ディスプレイ用の垂直配向剤やシランカップリング剤、Si02蒸着膜などを用いることが出来る。本発明で言う垂直配向(ホメオトロピック配向)とは、基板面対して液晶分子が垂直に配向した状態だけではなく、数十度程度までチルトした配向状態も含む。
両基板間隔をスペーサーを挟んで規定し、基板間に電極と液晶層を形成する。スペーサーとしては数μmから数mm程度の厚みを持つシート部材あるいは同程度の粒径の粒子、などが用いられ、素子の有効領域外に設けられることが好ましい。電極としてはアルミ、銅、クロムなどの金属、ITOなどの透明電極などが用いられるが、液晶層内に均一な水平電界を印加するためには、液晶層厚みと同程度の厚みを持つ金属シートを用いることが好ましく、素子の有効領域外に設けられる。図1ではより好ましい例として、スペーサー部材と金属シート部材が共通であり、金属シート部材の厚みにより液晶層厚みが規定される。液晶層としてはスメクチックC相を形成可能な液晶が用いられる。電極間に電圧を印加することで、液晶層の水平方向に電界が印加される。
また、より大面積に均一な水平電界を印加するために、図4の断面図および図5の平面図ように基板面上に複数本のライン状の透明電極を設け、各透明電極に順次変化する電圧値を印加して水平方向に強制的に電位勾配を形成し、均一な水平電界を形成しても良い。さらにライン状の透明電極を設けた面と液晶層との間に透明な誘電体層を設けても良い。図4のような構成では有効面積を数センチ角程度までおおきくすることが出来、画像表示装置のように比較的大面積が必要な用途に適用する場合に好ましい。
ここで、スメクチックC相を形成可能な液晶層に関して詳細に説明する。「スメクチック液晶」は液晶分子の長軸方向を層状(スメクチック層)に配列してなる液晶層である。このような液晶に関し、上記層の法線方向(層法線方向)と液晶分子の長軸方向とが一致している液晶を「スメクチックA相」、法線方向と一致していない液晶を「スメクチックC相」と呼んでいる。スメクチックC相よりなる強誘電液晶は、一般的に外部電界が働かない状態において各スメクチック層毎に液晶ダイレクタ方向が螺旋的に回転しているいわゆる螺旋構造をとり、「キラルスメクチックC相」と呼ばれる。また、キラルスメクチックC相反強誘電液晶は各層毎に液晶ダイレクタが対向する方向を向く。これらのキラルスメクチックC相よりなる液晶は、不斉炭素を分子構造に有し、これによって自発分極しているため、この自発分極Psと外部電界Eにより定まる方向に液晶分子が再配列することで光学特性が制御される。なお、本実施の形態等では、液晶層として強誘電液晶を例にとり光偏向素子の説明を行うが、反強誘電液晶の場合にも同様に使用することができる。
本発明の光路偏向素子の動作原理について図2を参照して説明する。図2は、図1に示した構成に関して電界方向と液晶分子の傾斜方向を模式的に示したものである。液晶分子の幅が広く描いてある側が紙面上側、幅が狭く描かれている側が紙面下側に傾いている様子を示している。また、液晶の自発分極Psを矢印で示してある。電界の向きが反転すると、略垂直配向した液晶分子のチルト角の方向が反転する。ここでは、自発分極が正の場合について電界印加方向と液晶分子のチルト方向の関係を図示している。ここで、チルト角の方向が反転する際、図2下段の斜視図に示したような仮想的なコーン状の面内を回転運動すると考えられる。図3は液晶分子の配向状態を模式的に示したものであり、垂直配向膜、スペーサー、電極は省略してある。図3では便宜上紙面表裏方向に電圧印加されるように描き、電界は紙面表裏方向に作用する。電界方向は目的とする光の偏向方向に対応して図示しない電源により切換えられる。また、光路偏向素子に対する入射光は直線偏光である。
図3左のように紙面手前側への電界が印加された場合、液晶分子の自発分極が正ならば液晶ダイレクタが図右上に傾斜した分子数が増加し、液晶層としての平均的な光学軸も図右上方向に傾斜して複屈折板として機能する。キラルスメクチックC相のらせん構造が解ける閾値電界以上では、すべての液晶ダイレクタがチルト角θを示し、光学軸が上側に角度θで傾斜した複屈折板となる。異常光として左側から入射した直線偏光は上側に平行シフトする。ここで、液晶分子の長軸方向の屈折率をne、短軸方向の屈折率をno、液晶層5の厚み(ギャップ)をdとするときシフト量Sは以下の式で表される(例えば、「結晶光学」応用物理学会、光学懇話会編、p198参照)。
S=[(1/no)2−(1/ne)2]sin(2θ)×d
÷[2((1/ne)2sin2θ+(1/no)2cos2θ)] ………式1
同様に図3右のように電極への印加電圧を反転して紙面奥側への電界が印加された場合、液晶分子の自発分極が正ならば液晶ダイレクタは図右下に傾斜し、光学軸が下側に角度θで傾斜した複屈折板として機能する。異常光として左側から入射した直線偏光は下側に平行シフトする。電界方向の反転によって、2S分の光路偏向量が得られる。
この液晶素子を用いて3位置のシフト動作を行なう場合、正方向の電界、無電界、負方向の電界の3つの状態に切換えれば良い。この場合、シフト位置は+S、0、−Sとなる。この時、+Sから−Sへ、あるいはその逆向きのシフト動作は、液晶分子が一方向に揃って自発分極が生じた状態からの反転動作であるため、外部電場に対して十分な電界駆動力が働き、非常に高速な応答性が得られる。また、シフト位置0から+Sあるいは−Sへのシフト動作は、キラルスメクチックC相の螺旋状態が解ける過程であるが、外部電場による電界駆動力が働くために比較的高速な応答性が得られる。しかし、+Sあるいは+Sの位置から0の位置へのシフトは、無電界下でのキラルスメクチックC相の螺旋状態を形成する過程であるため比較的遅い。したがって、上記の液晶素子を用いて3位置のシフト動作を行なうことは出来るが、応答速度が遅い状態あるという課題がある。
そこで、本発明の第一の実施の形態では、図6のように上記図1と同様な液晶素子が光の進行方向に対して二つの液晶素子が直列に配列され、且つ両液晶素子内の電界方向が平行となるように配置されており、両液晶素子での光路のシフト距離が等しく設定されていることを特徴とする。さらに、両液晶素子内での電界方向の組合せ状態として、両者が同一方向である第一の電界印加状態と、両者が互いに反対方向である第二の電界印加状態と、両者が前述の反対の同一方向である第三の電圧印加状態とを切換えることを特徴とする。
図6では二つの液晶素子を直列に接して配置しているが、二つの液晶素子は離れていても良いし、素子の間に屈折率をマッチングさせる目的や接着する目的で液体や接着剤を挟んでも良い。さらに、2つ液晶層の間に位置する二枚の透明基板を一枚として共通化して、図6中の破線部が無い構成としても良い。この場合も、二つの液晶素子の直列配置と同一構成として扱う。
二つの液晶素子のシフト量を等しく設定するためには、前述の式1に従い、それぞれの液晶層での液晶分子の長軸方向の屈折率ne、短軸方向の屈折率no、液晶層の厚み(ギャップ)d、および光学軸のチルト角θを調整する。同じ液晶材料を用いた場合には、液晶層の厚みdと光学軸のチルト角θを調整する。液晶材料と液晶層の厚みが同一の場合には、光学軸のチルト角θを一定とする。光学軸のチルト角θは電界強度と液晶の温度によって変化するため、印加電圧と液晶素子の温度を制御する。
例えば、図6のように1つの液晶素子での光路のシフト距離をSとした時、二つの液晶素子を素子1)、素子2)とし、両素子内の電界方向を紙面垂直方向とした時、素子1)および素子2)の両者に正の電界を印加した場合はシフト位置A=2S、素子1)および素子2)の両者に負の電界を印加した場合はシフト位置C=−2S、素子1)および素子2)の電界方向を互いに逆に印加した場合はシフト位置B=0となる。
この構成では、2つの液晶素子には常に電界が印加されているため、前述のような無電界状態での遅い切換え状態が無いため、スメクチックC相の自発分極に作用する静電力を効果的に利用でき、3つの位置のシフト動作時に常に高速な応答性を示すことが出来る。
本発明の第二の実施の形態では、第一の電界印加状態をA、第二の電界印加状態をB、第三の電界印加状態をCと表記したとき、両液晶素子の組合せによる電界印加状態の時間変化が「ABC」を1周期として順次繰り返すことを特徴とする。したがって、3つの出射位置への平行シフトを周期的に繰り返すことが出来、画像表示装置の高解像度表示や、画像読取り装置の高精細入力、電子写真式画像形成装置の感光体上への高解像度記録などの他のアレイ状素子の動作と同期させることが出来る。
本発明の第三の実施の形態では、第一の液晶素子および第二の液晶素子に印加される電圧が交流電圧であり、一方の液晶素子に印加される交流電圧のデューティー比が33%から34%の範囲内としたとき、他方の液晶素子に印加される交流電圧のデューティー比が66%から67%の範囲内であること特徴とする。図7に、交流電界の印加パターンの例を示す。図7の左上側は液晶素子1)、左下側は液晶素子2)のそれぞれの電界印加パターンを示す。ここで、交流電圧の1周期の時間に対する正極性の時間の比率をデューティ−比とすると、液晶素子1)はデューティー比が66%から67%の範囲内に設定しており、液晶素子2)はデューティー比が33%から34%の範囲内に設定している。ここで、両液晶素子の電界切換えタイミングの一部で同期させることによって、図7のように両素子が正極性のシフト位置A、両素子が互いに逆極性のシフト位置B、両素子が負極性のシフト位置Cの3つのシフト状態の時間をほぼ均一に3等分することが出来る。すなわち、両液晶素子に印加する交流電圧のデューティー比を最適に設定しているので、第一の電界印加状態の時間TAと、第二の電界印加状態の時間TBと、第三の電界印加状態の時間TCの期間を略等しく設定できる。したがって、上述のアレイ状素子の動作が周期的にある場合に同期させることが容易となる。
但し、図7のような電界印加パターンの場合、各液晶素子内の正極性の電界印加時間と負極性の電界印加時間が異なる。これは所謂DCバランスが崩れている状態であるので、長期的に見ると液晶層内のイオン電荷の偏りなどが生じて配向性が悪化する場合がある。各液晶素子のDCバランスを保つためにデューティー比を50%として、両液晶素子の駆動タイミングを半周期ずらすと、シフト位置は3位置ではあるが、シフト順がABCBを1周期とする繰り返しになってしまう。
そこで、本発明の第四の実施の形態では、第二の電界印加状態に対して、任意の電界方向を正の方向と定義した時に、第一の液晶素子が正の電界方向で第二の液晶素子が負の電界方向である電界印加状態をB1、反対に第一の液晶素子が負の電界方向で第二の液晶素子が正の電界方向である電界印加状態をB2と表記したとき、図9のように、両液晶素子の組合せによる電界印加状態の時間変化が「AB1CAB2C」を1周期として順次繰り返すことを特徴とする。この場合、1周期の間に各液晶素子に印加される交流電界の正負の時間平均がゼロとなる(DCバランスが保たれる)ので、液晶層内のイオン電荷の偏りなどが防止でき、長期的に安定した光偏向動作を行なうことが出来る。
まず、本発明の他の態様について図10に基づいて説明する。本発明の光偏向装置は偏光面回転手段である第一の液晶素子と、光学軸偏向素子である第二の液晶素子を有し、光の進行方向に対して両液晶素子が第一および第二の順に直列に配置されている。入射光は直線偏光である。
第一の液晶素子は、一対の透明基板間に充填された液晶層と、液晶層の有効領域内に電界を形成可能な電極を有し、外部からの電圧印加により液晶の配向状態を変化させることが出来る。透明な基板としては、ガラス、石英、プラスチックなどを用いることが出来るが複屈折性の無い透明材料が好ましい。基板の厚みは数十μm〜数mmのモノが用いられる。基板の内側面には水平配向膜が形成されている。水平配向膜は基板表面に対して液晶分子を水平配向(ホモジニアス配向)させる材料ならば特に限定されないが、液晶ディスプレイ用の配向剤などを用いることが出来る。本発明で言う水平配向(ホモジニアス配向)とは、基板面対して液晶分子が水平に配向した状態だけではなく、数十度程度までチルトした配向状態も含む。
両基板間隔をスペーサーを挟んで規定し、基板間に電極と液晶層を形成する。スペーサーとしては数μmから数mm程度の厚みを持つシート部材あるいは同程度の粒径の粒子、などが用いられ、素子の有効領域外に設けられることが好ましい。電極としてはITOなどの透明電極などが用いられる。電極間に電圧を印加することで、液晶層の厚み方向に電界が印加される。本発明では、入射した直線偏光の偏光面を略90度回転させて出射可能となるように液晶の配向方向、液晶材料の複屈折、液晶層の厚みなどが適宜設定される。偏光面を回転可能な液晶素子としては、図11に示すようなツイストネマチック液晶素子を用いることが好ましい。両基板間に交流電界を印加し場合は偏光面を回転させない垂直配向状態となり、無電界時には偏光面を回転させるツイスト配向状態となる。両基板の配向処理方向を適宜設定することで所望のツイスト角を示す液晶配向状態を得ることができる。本発明ではツイスト角を90度に設定することが好ましい。
第二の液晶素子は、図1に示した構成素子のように一対の透明基板間に充填されたホメオトロピック配向をなすキラルスメクチックC相を形成可能な液晶層と、液晶層の有効領域内に基板面に水平な電界を形成可能な電極を有し、外部からの電圧印加時の極性反転によって光学軸の傾斜方向を切り替えることが出来る。前記構成素子に関しては既に図1、4、5を参照して説明したとおりなので、ここではその説明を省略する。
又光学軸偏向素子である第二の液晶素子の動作原理については、既に図2、3を参照した説明と同様であるためその説明を省略する。したがって、同様に上記の液晶素子を用いて3位置のシフト動作を行なうことは出来るが、応答速度が遅い状態が生じるという課題がある。
そこで、本発明の第五の実施の形態では、光学軸偏向素子である第二の液晶素子は、常にプラスまたはマイナス極性が印加された状態にすることで、比較的高速な光軸の切替動作を可能とし、それに加えて、入射光の偏向面の角度を所定のタイミングで略90度切り替えることで光路シフト現象が生じない状態を作り、3つの位置の光路シフト動作を可能にする。例えば、図10の(1)では偏光面回転素子である第一の液晶素子は偏光面回転を行わない状態Sであり、光は偏光面の方向を維持して光学軸偏向素子である第二の液晶素子に入射する。第二の液晶素子では紙面の下向きの電界が印加された状態X1であり、液晶層の光学軸は紙面左前方に傾斜しているので、出射光は左側の位置Aにシフトする。このような各液晶素子の動作と光路シフト位置のタイミングを図12に示す。図12中の(1)〜(4)の期間をそれぞれ図10の(1)〜(4)の状態に対応している。
次に図10の(2)のように、第二の液晶素子は状態X1を維持し、第一の液晶素子を偏光面回転状態に切替えると、第二の液晶素子内の電界方向と入射光の偏光面が平行な状態Y、すなわち第二の液晶素子の光学軸の傾斜方向と入射光の偏光面が直交して光路シフトしない状態となる。したがって、出射光はシフトしない位置Bとなる。ここで、図10の(3)のように第一の液晶素子は偏光面回転状態のままで、第二の液晶素子の電界方向のみを紙面上側に反転させた状態にすると、光路シフトしない状態Yが維持されるので、出射光はシフトしない位置Bのままとなる。次に、図10の(4)のように、第二の液晶素子はそのままの状態で第一の液晶素子を偏光面を維持する状態に切替えると、第二の液晶素子の液晶層の光学軸は紙面右前方に傾斜しているので、出射光は右側の位置Cにシフトした状態X2となる。このように各液晶素子の動作タイミングを制御することで、3つの位置A、B、Cの光路シフト動作が可能となる。
図10の第二の液晶素子は図4および図5の分割されたライン電極を想定して図示してある。また、図10では二つの液晶素子を直列に接して配置しているが、二つの液晶素子は離れていても良いし、素子の間に屈折率をマッチングさせる目的や接着する目的で液体や接着剤を挟んでも良い。さらに、2つ液晶層の間に位置する二枚の透明基板を一枚として共通化しても良い。この場合も、二つの液晶素子の直列配置と同一構成として扱う。
上記の動作タイミングでは、シフト位置Bの安定状態の期間中に第二の液晶素子の電界反転動作が発生する。この電界反転動作によって液晶層の配向状態が一瞬乱れて光散乱する過渡光散乱現象が生じる。したがって、安定期間中に一瞬の過渡光散乱現象が生じ、透過光の品質が低下する恐れがある。
そこで、本発明の第六の形態では、図13のタイミングチャートのように、3つの出射位置A、B、Cへの光路シフト動作を周期的に行う場合に、その一周期の期間をTとし、第一の液晶素子は、状態Yの期間をT1、状態Sの期間をT2とした時、T2=2×T1、T1+T2=Tの関係を有し、第二の液晶素子は、第一の状態X1の期間をT3、第一の状態X2の期間をT4、第二の状態X1の期間をT4、第二の状態X2の期間をT3とするT3+T4+T4+T3=2Tを一周期として駆動し、T3=T1、T4=T2の関係を有し、第一の液晶素子の状態Sから状態Yへの切替動作の内、二回毎の切替タイミングが、第二の液晶素子の状態X1から状態X2への切替タイミングと一致するように設定した。このタイミングの例を図13に○印で示した。
このように各液晶素子の動作タイミングを設定すると、3つのシフト位置の期間が等しく設定できるため光偏向装置を画像表示装置などの周期的表示動作を行うモノと組み合わせる場合に適している。また、各液晶素子の切替えタイミングは光路シフト位置の切替えタイミングと一致するため、前述のような光路位置の安定期間中に過渡光散乱の影響を受けなくなる。また、第二の液晶素子の動作タイミングを上記のように2Tを一周期となるように設定することで、この2Tの期間毎に強誘電性液晶層に印加される電界のDCバランスが保たれ、長期的に安定した光路シフト動作を行うことが出来る。
ここまでの実施形態では、偏光面回転素子である第一の液晶素子がツイストネマチック液晶である場合を例示してきた。しかし、ツイストネマチック液晶の場合、電界印加時の偏光面維持状態(状態S)から無電界時の偏光面回転状態(状態Y)の切替え時間が数ミリ秒から十数ミリ秒と比較的遅いという問題がある。これは、電界オン時は液晶分子に外部からの静電力が働くため、比較的早く垂直配向状態が転移するが、電界オフ時は液晶層の粘弾性特性によってツイスト配向状態に戻るため比較的遅くなる。
そこで本発明の第七の形態では、第一の液晶素子として電界印加により液晶分子の配向方向が制御可能な表面安定型強誘電性液晶素子を用いる。表面安定型強誘電性液晶セルは、一対の基板と、透明電極と、水平配向膜と、基板間のスペーサーと、キラルスメクチックC相を形成可能な液晶とから成る。液晶層の厚みをキラルスメクチックC相の螺旋ピッチ以下に設定すると、螺旋が解けて表面安定型の配向状態となる。
図14に配向状態の模式図を示す。紙面垂直方向の電界の向きを切換えると、液晶分子固有のチルト角をθとした場合、コーン角2θだけ配向方向が切り換る。ここで、入射光の偏光方向と液晶分子の配向方向が一致している状態(a)では偏光面は回転せずそのまま出射する。一方、電界を反転させて液晶分子を2θ傾斜した状態に切換えると液晶層が半波長板として機能し、偏光面が4θだけ回転して出射される。ここでは、偏光面を90度回転させるために、入射光の偏光方向に対して液晶分子の配向方向が平行状態と約45度傾斜した状態に切り替えられるように配向処理方向および液晶材料(チルト角θ=22.5度)を設定することが好ましいが、実用上問題無い範囲であれば、この角度に限定されない。セル厚みは入射光の波長と液晶分子の複屈折に応じて適宜設定される。このような表面安定型強誘電性液晶セルを用いた場合、高速に偏光面の回転が可能な偏光面回転素子が得られ、全体として高速応答の光路偏向装置が得られる。但し、表面安定型強誘電性液晶素子を図12あるいは図13の第一液晶素子の動作タイミングによって駆動する場合、正極性と負極性の時間が等しくないため、DCバランスがくずれてしまい、長期的動作では液晶層の配向性が不安定になる場合がある。そこで、正極性と負極性における電界強度と印加時間の積が等しくなるように設定し、液晶層内のイオン流の移動量のバランスを保つようにすることが好ましい。
本発明の他の態様では、一対の透明基板と、透明基板面に設けた垂直配向膜と、透明基板間で垂直配向のスメクチックC相を形成可能な液晶層と液晶層の有効領域を取り囲むように分割して配置された複数の電極と、各電極に対して隣接する電極間の電位差および有効領域を挟んで略対向する電極間の電位差を制御し、有効領域内の液晶層に発生する電界の向きを制御することで、液晶層の光学軸の傾斜方向を制御する液晶素子を有し、該液晶素子へ入射する直線偏光の偏光面に対して、液晶層の光学軸の傾斜方向が前記偏光面に対して平行で互いに向きが異なる状態に対応する光路シフト位置Aおよび光路シフト位置Cと、液晶層の光学軸の傾斜方向が前記偏光面に対して垂直な状態に対応する光路シフト位置Bの3つの出射位置に入射光を平行シフトさせる。この液晶素子では、基板、配向膜、液晶、電極などは上述の図1と同様なモノを用いることが出来るが、電極の形状、数、配置などに特徴があり、図15のように液晶層の有効領域を取り囲むように分割して配置された複数の電極a〜xを有している。図15では有効領域が円形となっているがこの形に限定されない。また、基板の形状と有効領域の形状が異なっていても良い。各電極には独立に電圧値を印加可能に電源が接続されている。隣接する電極間の電位差および有効領域を挟んで略対向する電極間の電位差を最適に設定することで、有効領域内に均一な電界を発生させることが出来る。
例えば、図15のように上下方向に均一な電界を印加させる場合、電極間の距離が最も大きなa−m間には最も大きな電位差を与える。電極aに隣接するbとxにはaよりも小さな電圧を印加し、mに隣接するlとnにはmよりも大きな電圧を印加する。すなわち、b−l間およびx−n間はa−m間に比べて電極間距離が小さいため、電界強度が一定となるように小さな電位差を与えている。また、a−m方向に対して左右対称となるように電圧を印加するので、左右方向での電位差は無く、上下方向のみに電界が発生する。このように電界方向に対して電界強度が一定となるように隣接する電極間の電位差と対向する電極間の電位差を最適に設定することで、有効領域内に比較的均一な電界を発生させることが出来る。そこで、各電極間の相対的な電圧印加パターンは固定したまま、最も大きな電位差を印加する電極対の位置を切りかえることで、電界の方向を自在に変化させることが出来る。したがって、一対の基板からなる一つの光学素子に対して電気的操作によって光学軸の傾斜方向をXY方向に自在に制御することが出来る。
また、図16のように光学素子の有効領域が略四角形であり、分割して配置された複数の電極を四つの電極郡とし、各電極郡を有効領域の四辺に対応させて略平行に配置しても良い。図16のA−A'断面は図1と同様であり、基板、配向膜、液晶などは図1と同様なモノが用いられる。各電極郡内の個々の電極に印加する電圧値は、略一定値あるいは段階的に電圧値が変化するように設定可能であることを特徴とする。図17(a)に例示するように、電極郡X1〜Xnの全ての電極が一定電圧値V1に設定された場合、対向する電極郡X'1〜X'nも略一定電圧値に設定される。ここでは電極郡X'1〜X'nはゼロボルトに設定される。この二つの電極郡の間に電位差によって電界が発生するが、電極郡の間隔が比較的広い場合には均一な電界を形成することは困難になる。そこで、この二つの電極郡に直交する二辺の電極郡Y1〜YnおよびY'1〜Y'nは図上側から段階的に電圧値がV1からゼロに変化するように設定することで、有効領域の周囲及び内部に強制的に所望の電位分布を形成することが出来る。ここで、有限の幅を持った電極近傍では電位は一定となり電極間のみ電界が発生するため、電極郡Y1〜YnおよびY'1〜Y'nの近傍では図17(a)に示すように階段状の電位分布が形成されてしまう。しかし、電極郡からある程度の距離が離れた有効領域内では階段状の電位分布が鈍り、縦方向に略均一な電界が形成される。電極郡X1〜XnおよびX'1〜X'nでは略均一な電圧が印加されているが、電極間では周囲の電位の影響を受けて僅かに電位変化が生じるため、厳密には図17(a)のように僅かに不均一な電位分布となる。しかし、電極郡からある程度の距離が離れた有効領域内では電位分布が鈍り、横方向の電界は発生しない。したがって、有効領域内には図中下方向に均一な電界が発生する。ここで、図2と同様に液晶分子の傾斜状態をモデル的に図示すると図中左側に光学軸が傾斜した状態となる。
四つの電極郡への電圧印加状態を切換えることで、図17(b)、(c)、(d)のように光学軸の傾斜方向を上下左右の四方向に切換えることが出来る。したがって、図18のように入射光の偏光面が一定の場合、(a)では入射光偏光面と液晶素子の電界印加方向が垂直、すなわち入射偏光面と光学軸の傾斜方向が平行となり、紙面左側の位置Aにシフトする。(b)および(d)では入射偏光面と液晶素子の電界印加方向が平行、すなわち入射偏光面と光学軸の傾斜方向が垂直となり、光路シフトされず位置Bに出射する。(C)では(a)と逆になり紙面右側の位置Cにシフトする。このように電界印加方向を制御することで高速に3つのシフト位置を切り替えることが出来る。この実施の形態では、偏光面回転手段である前述の第一の液晶素子が不要となる。
上記のように各電極郡に均一な電位あるいは段階的な電位を切換え可能に印加するためには、個々の電極に独立して電源を接続することも出来るが、構成が複雑になる。そこで、電極郡がN個の電極から成る場合、各電極間を(N-1)個の抵抗で直列に接続し、直列抵抗の両端部に電圧を印加する。図19に電圧印加手段の概略図を示す。図19では一つの電極郡は10個の電極から成り、各電極は9個の抵抗で電気的に直列に接続されている。直列抵抗の両端部に電圧が印加可能になっている。図19では四つの電極郡にそれぞれ電源(図中破線で表示)を接続している。電極郡の両端部に交流電圧を印加するには、一端を接地して他端に正負極性の電圧を印加する方法が一般的であるが、両端部に同一の電位を与える必要があり、一般的な交流電源では対応できない。そこで、本発明に適した電源回路の例を図19に図示した。一つの電源回路は直流電源V1と四つのスイッチSW1〜SW4とから成り、スイッチの開閉の組み合わせを適宜組み合わせることで、端子1と端子2を独立に電圧印加と接地に切換えることが出来る。図19では、SW1が閉じて端子1に電圧V1が印加され、SW4が閉じて端子2が接地されている。スイッチは耐電圧が高く、高速動作が可能なモノを用いることが好ましく、図20に示すようなフォトカプラーを用いることがより好ましい。このように、電極間を抵抗で直列に接続して、電極郡の両端に印加する電位を抵抗分割することによって、各電極に段階的に変化する電圧値を印加する回路を低コストで提供できる。
上記の形態では、有効領域周囲の電極郡に電位分布を与えることで有効領域内の電位分布を制御しているが、有効面積が大きくなると電極郡からの距離が離れた位置での制御性が悪くなり電界の均一性が低下する。そこで、本発明の第八の形態では、図21のように素子の透明基板と垂直配向膜の間に透明抵抗体層を設け、各電極と透明抵抗体層を電気的に接続している。透明抵抗体としては、酸化スズ系、酸化インジウム系などの導電性粉末の樹脂分散膜やITO膜を用いることが出来る。本発明の透明抵抗体層の機能は、有効領域内部の基板面に沿って所望の電位勾配を形成させるためのものであり、通電した時の発熱量が小さい条件で使用することが好ましい。このような比較的高抵抗値の透明抵抗体としては、帯電防止塗料などと同様の材料を用いることが出来る。この時、抵抗体の時定数はマイクロ秒以下であり、数百マイクロ秒周期で電圧を切換えるような用途では実用上問題無い値である。このように透明抵抗体層の周囲に電極郡を接続して通電することで、透明抵抗体表面近傍の液晶層内に連続的な電位勾配を形成することが出来、比較的簡単な構成で有効面積が比較的広い場合でも、有効領域内の液晶層の水平方向に均一な電界分布を与えることが出来る。
ここで、液晶素子の電界方向のタイミングを、図18の(a)、(b)、(c)の順に一周期として繰り替えすことで、3つのシフト位置A、B、Cを順次繰り返すことが出来るが、(a)と(c)の状態の間では電界は紙面の上下方向に等しく印加されるためDCバランスが保たれているが、(b)の状態に関しては、紙面右方向の電界のみが印加されるためDCバランスが保たれていない。
そこで、本発明の第九の形態では、図22に示すように入射光する直線偏光の偏光面に対して、液晶層の光学軸の傾斜方向が前記偏光面に対して平行で互いに向きが異なる状態を状態X1および状態X2とし、液晶層の光学軸の傾斜方向が前記偏光面に対して垂直で互いに向きが異なる状態を状態Y1および状態Y2とし、3位置の光路シフト動作の繰り返しにおける一周期をTとした時、各状態の期間はT/3であり、各状態を状態X1、Y1、X2、X1、Y2、X2の順に繰り返す期間2Tを一周期として設定する。この場合、一周期2Tの中では、X方向もY方向もDCバランスが保たれており、長期的に安定した3つの位置の光路シフト動作を行うことが出来る。
本発明の他の態様を図23に基づいて説明する。本実施の形態は、画像表示装置への適用例を示す。図23において、画像表示装置は、ランプ光源、ミラー、集光光学系、画像表示素子としての透過型液晶パネル、画像表示素子で空間変調された光の画像パターンを観察するための投射光学系、スクリーンとから成る。透過型液晶パネルは、図25の(1)に示すように、赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色に対応する3つのサブピクセルを繰り返し配列してある。ここで、サブピクセル間の配列ピッチをpとする。従来の画像表示装置では、RGB3つのサブピクセルで1つのピクセルとなるので,ピクセルピッチは3pとなる。ここで、液晶パネルの各サブピクセルにRGBの三原色を表示させる方法としては、カラーフィルターを塗布形成する方法の他に、白色光源からの光を傾斜角度が異なる3原色の色選択性反射フィルターにより分離し、液晶パネルへの入射角度が異なる3原色の光をマイクロレンズアレイを通して波長毎に異なる位置のサブピクセルに集光透過させる方法などがある。
本発明では、1フレームを時間分解した3つのサブフレームの合成画像として形成するため、透過型液晶パネルとしては、サブフレーム周波数が90Hzから180Hzに対応可能な数msec程度の高速応答性を示す液晶動作モードを用いることが好ましい。また、液晶パネルをアクティブマトリックス駆動するTFTとしては、アモルファスシリコンTFT、ポリシリコンTFT、連続粒界結晶シリコンTFTなどを用いることが出来る。さらに、光の利用効率を向上させるために液晶パネルの画素配列に対応したマイクロレンズアレイを組み合わせても良い。また、本発明の形態では透過型液晶パネルを用いた場合について主に例示しているが、図24に示すように偏光ビームスプリッタを用いることで、反射型液晶パネルを用いた場合の画像表示装置にも適用することが出来る。反射型液晶パネルとしてはシリコン基板上に駆動回路と液晶素子を作製したLCOSを用いることが出来る。
ここで、透過型液晶パネルと投射光学系との間の光路上にはピクセルシフト素子として機能する光偏向装置が介在されており、駆動制御部に接続されている。このような光偏向装置として、前述した光偏向装置を用いることが好ましい。
ランプ光源とミラーから放出された光は、フライアイレンズ、拡散板、コンデンサレンズなどの組合せによる集光光学系によって均一化された照明光となり、透過型液晶パネルを照明する。液晶パネル駆動部で制御されてこの透過型液晶パネルで空間光変調された照明光は、画像光として光偏向装置に入射し、この光偏向装置によって画像光がサブピクセルの配列方向にpまたは2pの距離だけ平行にシフトされる。この光は投射光学系で拡大されスクリーン上に投射される。
ここに、光偏向装置により投射光路の全体をX方向の3位置にシフトさせるタイミングと、シフト位置に対応した3つサブフィールド画像を透過型液晶パネルに順次表示するタイミングを同期することで、見掛け上3倍に画素数が増倍した高精細な画像を表示することができる。この場合、図25の(2)および(3)のように、光偏向装置によるシフト量は透過型液晶パネルのサブピクセルピッチpおよび2pに設定される。この際、光偏向装置として、前述した各実施の形態のような光偏向装置を用いているので、3つのサブフレームの切換えタイミングに合わせて光路シフト位置をA、B、Cの順に常に高速に切換えることができる。光路を平行にシフトしているので、最終的なスクリーン面から見ると液晶パネルの位置がシフトしている状態と等価である。ここで、図25(1)の矢印で示したRのサブピクセルに着目すると、シフト位置AでRのサブピクセルが表示していた画素位置は、シフト位置Bには隣のBのサブピクセルが表示されている。次のシフト位置Cではその隣のGのサブピクセルが表示されている。したがって、時間順次に見ると、矢印のサブピクセルの位置は、R、B、Gの三原色を表示することが出来、すなわち、1つのサブピクセルサイズが、そのまま1つピクセルとして機能している。
一方、前述のRのサブピクセルはシフト位置Bでは右隣のサブピクセル位置を表示し、シフト位置Cではその右隣のサブピクセル位置を表示している。この表示位置に対応した画像を元の透過型液晶パネルに時間順次に表示することで、観察者には画素数が3倍に増加した高精細画像として認識される。すなわち、一枚の液晶パネルを用いた単板式でも、3枚の液晶パネルを用いた3板式と同等な高精細画像を表示できる。ここで、表示画像のフリッカーを防止するために、フレーム周波数を60Hzとすると、1サブフレームは3倍の180Hzで、1サブフレームの期間は約5.6msecとなる。この時、光偏向素子による光路シフト動作の切換え時間が長い場合、光路位置が切り替わってからサブフレーム期間として表示できる有効期間が短くなってしまい、光の利用効率が低下してしまう。
本発明で用いる光偏向装置は、強誘電性液晶を用いているため、1msec以下の高速な切換え時間が可能であり、光利用効率が向上できる。また、3つのシフト位置間での光路長の差が比較的少ないため、投射レンズの設計が比較的容易になり、スクリーン上での解像度の低下を低減できる。
(光偏向装置の作成)
厚さ1.1mmのガラス基板の表面に幅10μmの透明電極ラインを平行に100μmピッチで100本形成した。透明電極ラインの長さは有効長さが10mmとし、それ以上の長さの部分は徐々に幅とピッチを広げていき、各電極ラインとの接点が大きくなるように設定した。この透明電極ライン郡の有効面積は10ミリ角であり、この上に厚み150μmのガラスを紫外線硬化接着剤によって張り合わせた。接着剤の厚みは10μm程度とした。図4の素子断面図のように透明ガラスの内部に透明ライン電極が埋め込まれている形となり、これを基板とした。この基板表面に厚み0.06μmのポリイミド化合物の垂直(ホメオトロピック)配向膜を形成した。ポリイミド配向膜は、ポリアミック酸溶液をスピンコートにより塗布し、約180℃に加熱処理よるイミド化処理によりポリイミド膜を得た。70μmのスペーサーシートを有効面積外に挟んで、二枚の基板を対向させて、セルを作成した。この時、上下基板の有効面積内の透明電極ラインが上から見て互いに交互の位置になるように張り合わせた。セルを約90度に加熱した状態で、基板間の空間に強誘電性液晶(チッソ製CS1029:複屈折Δn=0.16、チルト角θ=25度、自発分極Ps=−40nC/cm2)を毛管法にて注入した。冷却後、接着剤で封止し、液晶厚み70μm、有効面積10mm角の光偏向素子を作成した。
図5のように素子基板の各透明電極ラインに独立に電圧印加可能なように分割されたフレキシブル基板を上下それぞれの基板に接続し、各フレキ基板の他端を直列抵抗アレイの抵抗間に接続した。なお、どちらか一方の基板の両端の透明ライン電極は抵抗アレイの両端に接続し、上下基板間で交互に配置された透明電極ラインの位置に対応して電圧値も交互に印加されるように他方の基板に接続する抵抗アレイの端部の抵抗値を調整した。抵抗アレイの両端部にパルスジェネレータと高速アンプとからなる電源を接続することで、抵抗アレイに電流が流れて電圧が分配され、有効面積内部に電位分布が形成される。
(光路シフト量の測定)
光源からの光を偏光板を通して微小開口マスク板に照明し、顕微鏡付き高速度カメラで開口マスクからの透過光を観察した。開口部の大きさは10μm、開口部のピッチは30μmとし、光偏向素子の駆動周波数は50Hzとした。矩形波交流電圧の印加によって光シフトが生じ、開口部の位置が変位する様子が観察された。高速度カメラで光シフトの過程を記録し、シフト量と応答時間を解析した。抵抗アレイに±3000Vの矩形波交流電圧を印加し、液晶層の内部に±300V/mmの矩形波水平電界を印加した状態では、光路シフト量が13μmで、応答時間は0.5msecだった。
この液晶素子を2枚準備し、二枚の素子間の空気層を除去するためにマッチングオイルを介して電界方向が互いに平行になるように張り合わせたて光偏向装置を作製した。この光偏向装置を構成する二つの液晶素子部に独自の抵抗アレイと電源を接続した。二つの液晶素子部の駆動タイミングを図8のようにずらして設定し、±300V/mm、50Hzの矩形波交流電界を印加した。同様に光路シフト量と応答時間を解析したところ、開口部がA=+13μm、B=±0μm、C=−13μm、B=±0μmの順を1周期として3つの位置を移動した。また、各状態間の切換え時間はいずれも0.5msecと高速であった。各位置での滞在時間は理想的には50Hzの1周期である20msecを4等分した5msecであるが、実際には切換え時間のロスを引いた約4.5msecであった。1つの開口部のシフト動作に着目すると、開口部がステップ的に往復運動しているように観測された。
実施例1の光偏向装置を用いて、各パルスジェネレータの矩形波波形のデューティー比を調整して、二つの液晶素子部の駆動タイミングを図7のように設定した。
一方の液晶素子では+300V/mmの電界印加状態が長く、デューティー比を60%とし、他方の液晶素子では+300V/mmの電界印加状態が短く、デューティー比を40%とした。周波数は両液晶素子と共に50Hzとし、両液晶素子の電界反転タイミングの一部が同期するように設定した。上記と同様に光路シフト量と応答時間を解析したところ、開口部がA=+13μm、B=±0μm、C=−13μmの順を1周期として3つの位置を移動した。また、各状態間の切換え時間はいずれも0.5msecと高速であった。1つの開口部のシフト動作に着目すると、開口部がステップ的に一方向に移動し、また元の位置に戻るように観測された。但し、開口部が各位置に滞在している時間は、Aが7.5msec、Bが3.5msec、Cが3.5msecと3つの位置で不均一になった。
実施例2と同様な光偏向装置を用いて、各液晶素子のデューティー比を変更した。一方の液晶素子では+300V/mmの電界印加状態が長く、デューティー比を34%とし、他方の液晶素子では+300V/mmの電界印加状態が短く、デューティー比を67%とした。周波数は両液晶素子と共に50Hzとし、両液晶素子の電界反転タイミングの一部が同期するように設定した。上記と同様に光路シフト量と応答時間を解析したところ、開口部がA=+13μm、B=±0μm、C=−13μmの順を1周期として3つの位置を移動した。また、各状態間の切換え時間はいずれも0.5msecと高速であった。1つの開口部のシフト動作に着目すると、開口部がステップ的に一方向に移動し、また元の位置に戻るように観測された。但し、開口部が各位置に滞在している時間は、Aが約6.3msec、Bが約6.1msec、Cが約6.1msecと3つの位置でほぼ均一になった。しだかって、画像表示装置のような切換え動作が周期的であるデバイスとの同期が容易になる。但し、この光偏向装置を数時間連続駆動したところ、光路切換え時の光散乱が大きくなった。これは、各液晶素子の印加される交流電界のDCバランスが崩れているため、液晶層内のイオンの偏りなどが生じているためと考えられる。
実施例3と同様な光偏向装置を用いて、各液晶素子の駆動タイミングを図9のように変更した。
一方の液晶素子には、13.2msecの+300V/mm、6.8msecの−300V/mm、6.8msecの+300V/mm、13.2msecの−300V/mmの順を1周期とした。他方の液晶素子には、6.6msecの+300V/mm、13.4msecの−300V/mm、13.4msecの+300V/mm、6.6msecの−300V/mmの順を1周期とした。したがって、1周期の間では、各液晶素子に印加される交流電界のプラス状態の時間とマイナス状態の時間の合計がほぼゼロなり、DCバランスはほぼ保たれている。上記と同様に光路シフト量と応答時間を解析したところ、開口部がA=+13μm、B=±0μm、C=−13μmの順を1周期として3つの位置を移動した。但し、光路シフトの1周期は上記の電界印加パターンの1周期の半分の時間であった。
この駆動タイミングでは、光偏向装置を数時間連続駆動しても、光路切換え時の光散乱が発生しなかった。
(偏光面回転素子の作成)
大きさ3cm×4cm、厚さ1mmのITO付きガラス基板のITO面に厚み0.8μmの絶縁膜と厚み0.06μmの水平(ホモジニアス)配向膜を形成した。配向膜をラビング処理後、二枚の基板間に直径1.7μmの球形スペーサーを100個/mm2の密度で散布し、有効領域が2cm角のセルを作成した。セルを約90度に加熱した状態で、基板間の空間に上記と同様の強誘電性液晶(チッソ製CS1029)を毛管法にて注入した。冷却後、接着剤で封止し偏光面回転素子である第一の液晶素子を作製した。二枚の基板のITO電極間に±10Vが印加可能な電源を接続した。直交した偏光板の間で液晶分子の配向方向の切換え状態を観察したところ、電界の反転により基板に平行配向した液晶分子の配向方向が約50度傾斜し、この液晶材料固有のチルト角の二倍のコーン角2θと一致していることが確かめられた。偏光面を90度回転させるためにはコーン角が45度あることが理想であるが、50度でも実用上問題無いと判断した。また、電界反転時の配向方向の切換え時間は10V印加時に0.12msecであり、高速応答であることが確かめられた。また、この素子の一方の液晶配向方向に一致するような直線偏光を入射して、スイッチングしたところ、出射光の偏光面が略90度回転しており、半波長板として機能していることが確認できた。
(光学軸偏向素子の作成)
大きさ3cm×4cm、厚さ1.1mmのガラス基板の表面に幅10μmの透明電極ラインを平行に100μmピッチで100本形成した。透明電極ラインの長さは有効長さが10mmとし、それ以上の長さの部分は徐々に幅とピッチを広げていき、各電極ラインとの接点が大きくなるように設定した。この透明電極ライン郡の有効面積は10ミリ角であり、この上に厚み150μmのガラスを紫外線硬化接着剤によって張り合わせた。接着剤の厚みは10μm程度とした。図4の素子断面図のように透明ガラスの内部に透明ライン電極が埋め込まれている形となり、これを基板とした。この基板表面に厚み0.06μmのポリイミド化合物の垂直(ホメオトロピック)配向膜を形成した。ポリイミド配向膜は、ポリアミック酸溶液をスピンコートにより塗布し、約180℃に加熱処理よるイミド化処理によりポリイミド膜を得た。70μmのスペーサーシートを有効面積外に挟んで、二枚の基板を対向させて、セルを作成した。この時、上下基板の有効面積内の透明電極ラインが上から見て互いに交互の位置になるように張り合わせた。セルを約90度に加熱した状態で、基板間の空間に強誘電性液晶(チッソ製CS1029:複屈折Δn=0.16、チルト角θ=25度、自発分極Ps=−40nC/cm2)を毛管法にて注入した。冷却後、接着剤で封止し、液晶厚み70μm、有効面積10mm角の光偏向素子を作成した。
図5のように素子基板の各透明電極ラインに独立に電圧印加可能なように分割されたフレキシブル基板を上下それぞれの基板に接続し、各フレキ基板の他端を直列抵抗アレイの抵抗間に接続した。なお、どちらか一方の基板の両端の透明ライン電極は抵抗アレイの両端に接続し、上下基板間で交互に配置された透明電極ラインの位置に対応して電圧値も交互に印加されるように他方の基板に接続する抵抗アレイの端部の抵抗値を調整した。抵抗アレイの両端部にパルスジェネレータと高速アンプとからなる電源を接続することで、抵抗アレイに電流が流れて電圧が分配され、有効面積内部に電位分布が形成される。
(光路シフト量の測定)
光源からの光を偏光板を通して微小開口マスク板に照明し、顕微鏡付き高速度カメラで開口マスクからの透過光を観察した。開口部の大きさは10μm、開口部のピッチは30μmとし、光偏向素子の駆動周波数は60Hzとした。矩形波交流電圧の印加によって光シフトが生じ、開口部の位置が変位する様子が観察された。高速度カメラで光シフトの過程を記録し、シフト量と応答時間を解析した。抵抗アレイに±3000Vの矩形波交流電圧を印加し、液晶層の内部に±300V/mmの矩形波水平電界を印加した状態では、光路シフト量が13μmで、応答時間は0.5msecだった。
(3つの位置への光路シフト動作の確認)
この偏光面回転素子である第一の液晶素子と、光学軸偏向素子である第二の液晶素子の二枚の素子間の空気層を除去するためにマッチングオイルを介して張り合わせたて光偏向装置を作製した。二つの液晶素子部の駆動タイミングを図12のようにずらして設定し、±300V/mm、60Hzの矩形波交流電界を印加した。同様に光路シフト量と応答時間を解析したところ、開口部がA=+13μm、B=±0μm、C=−13μmの順を1周期として3つの位置を移動した。また、各状態間の切換え時間はいずれも0.5msecと高速であった。各位置での滞在時間は理想的には60Hzの1周期である16.67msecを3等分した5.56msecであるが、実際には切換え時間のロスを引いた約5.0msecであった。1つの開口部のシフト動作に着目すると、開口部がステップ的に一方向に移動し、また元の位置に戻るように観測された。しかし、開口部が位置Bにある状態で0.5msec程度の期間の光散乱が発生した。
実施例5の光偏向装置を用いて、各パルスジェネレータの矩形波波形を調整して、二つの液晶素子部の駆動タイミングを図13のように設定した。
第一の液晶素子では実施例1と同様であるが、の第二の液晶素子の駆動タイミングのみを変化させ、両者の駆動タイミングを同期調整した。上記と同様に光路シフト量と応答時間を解析したところ、開口部がA=+13μm、B=±0μm、C=−13μmの順を1周期として3つの位置を移動し、各状態間の切換え時間はいずれも0.5msecと高速であった。1つの開口部のシフト動作に着目すると、開口部がステップ的に一方向に移動し、また元の位置に戻るように観測された。この場合、上記で見られたような位置Bにある状態での光散乱現象は観測されなかった。
(光学軸偏向素子の作成)
大きさ3cm×4cm、厚さ1mmのガラス基板の表面に厚み0.06μmの垂直(ホメオトロピック)配向膜を形成した。厚み60μm、幅0.5mm、長さ1から2cmのアルミ電極シートをスペーサー兼電極とし、有効領域が約1cm角となるように、その周囲の各辺に0.5mm間隔で10本づつ配置し、二枚の基板間に挟みこんで、図16に類似の電極配置のセルを作成した。セルを約90度に加熱した状態で、基板間の空間に強誘電性液晶(チッソ製CS1029:複屈折Δn=0.16、チルト角θ=25度、自発分極Ps=−40nC/cm2)を毛管法にて注入した。冷却後、接着剤で封止し、液晶厚み70μm、有効面積1cm角の光学軸偏向素子である光学素子を作成した。各辺のアルミ電極郡を図19のように200kΩの抵抗で接続し、図20のようなフォトカプラー用いた電源回路に接続した。
(光学軸の観察)
無電界の状態で、この光学素子の有効領域内の液晶層のコノスコープ像を観察したところ、十字形と円環の画像が中心部に観察された。したがって、無電界下では光学軸が液晶層に垂直であることを確認できた。この状態では液晶分子のチルト方向が基板面に垂直方向に対して回転する螺旋構造を取っており、平均的な光学軸は螺旋軸の方向である基板面に垂直な方向して観察される。次に、直流電源の出力を3000Vに設定し、パルスジェネレータからフォトカプラーの駆動信号を発生させ、図17のように素子の四隅に内の上側左右二ヶ所に3000Vが印加され、下側左右二ヶ所が接地される状態とした。同様にコノスコープ像を観察すると十字と円環の位置が右側にシフトした。これは本実施例では用いた強誘電性液晶の自発分極が負であるため、図17とは反対側に光学軸が傾斜していることを示している。顕微鏡の対物レンズのNA値と液晶の屈折率と十字位置のシフト量から光学軸の傾斜角度を計算すると約25度となり、この液晶材料固有のチルト角θと一致していることが確かめられた。したがって、300V/mm程度の電界強度では螺旋構造が解けて一様な方向に液晶分子が配向した状態であると考えられる。同様にして四隅に印加する電圧のパターンを変化させたところ、コノスコープ像の十字と円環の位置も対応して上下左右に移動し、光学軸がXY二方向の四位置に傾斜可能であることが確認できた。有効面積内の数カ所について同様な観察を行ったところ、位置によって光学軸の傾斜方向と傾斜角度に10%以内のバラツキがあったが、実用上問題無いレベルと判断した。したがって、単一セルで二方向以上への光学軸の偏向が可能な、光学軸偏向素子が得られた。
(3つの位置への光路シフト動作の確認)
図18のように入射光の偏光面を一定にして、電界印加方向を(a)、(b)、(c)の順に切替え、上記と同様に光路シフト量と応答時間を解析したところ、開口部がA=+13μm、B=±0μm、C=−13μmの順を1周期として3つの位置を移動した。また、各状態間の切換え時間はいずれも0.5msecと高速であった。各位置での滞在時間は理想的には60Hzの1周期である16.67msecを3等分した5.56msecであるが、実際には切換え時間のロスを引いた約5.0msecであった。1つの開口部のシフト動作に着目すると、開口部がステップ的に一方向に移動し、また元の位置に戻るように観測された。しかし、数時間の連続動作後に液晶層の配向性にムラが生じた。これは、図18での紙面左右方向の電界印加のDCバランスが崩れていたためと考えられる。
実施例8の光偏向装置を用いて、各フォトカプラー動作タイミングを調整して図22のような電界印加方向のタイミングを設定した。上記と同様に数時間の連続動作を行ったところ、液晶層の配向性は均一に維持されていた。この場合、図18での紙面左右方向でも電界印加のDCバランスが保たれているためと考えられる。
図23のような画像表示装置を作製した。画像表示素子として対角1.6インチSVGA(RGB×800×600ドット)の透過型ポリシリコンTFT液晶パネルを用いた。画素ピッチは縦横ともに約39.2μmである。この1画素は図25のような3つのサプピクセルから成り、サブピクセルの配列方向のピッチはp=13.1μmである。画素の開口率は約70%である。本実施例では、画像表示のフレーム周波数が60Hz、ピクセルシフトによる3倍の画素増倍のためのサブフレーム周波数は3倍の180Hzとした。
ピクセルシフト素子として実施例4の光偏向装置を用い、図22の光路シフト動作の1周期Tはフレーム周波数の60Hzに対応する約16.7msecとした。実施例4の光偏向装置のシフト量は、シフト位置Aを基準位置とした場合、シフト位置Bは13μm、シフト位置Cは26μmであり、サプピクセルピッチp=13.1μmと2p=26.2μmにほぼ一致している。そのため、サブフレームの表示タイミングに同期して図22のようにシフト位置を切換えることで、3倍の画素数(2400×600ドット)の高精細画像を表示することが出来た。
なお、上述した内容は本発明を実施するための形態の一例であって、これに限定するものではない。従って、本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形することが可能である。
本発明の光偏向装置および画像表示装置を搭載したプロジェクションディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイなどの電子ディスプレイ装置等の開発が望まれる。
光偏光装置の構成素子の一つの断面図である。 電界方向と液晶配向方向の関係模式図である。 光路偏向動作の原理図である。 光偏光装置の構成素子の一つの断面図である。 光偏光装置の構成素子の一つの平面図である。 二つの液晶素子を素子1)、素子2)に電界を印加したときの光路シフトA〜Cの電界印加状態を表したものである。 液晶素子1)、液晶素子2)のそれぞれの交流電界印加パターンの一例である。 液晶素子1)、液晶素子2)のそれぞれの交流電界印加パターンの一例である。 液晶素子1)、液晶素子2)のそれぞれの交流電界印加パターンの一例である。 偏光面回転素子と光学軸偏光素子の組合せを表した図である。 ツイストネマチック液晶による偏光面回転素子である。 各液晶素子の動作タイミングと光路シフト動作タイミングを表したものの一例である。 各液晶素子の動作タイミングと光路シフト動作タイミングを表したものの一例である。 表面安定型強誘電性液晶による偏光面回転素子である。 本発明の素子の一つの構成図である。 本発明の素子の一つの構成図である。 電圧印加状態と液晶分子傾斜方向の概念図である。 入射偏光と液晶素子電界方向の組合せを表した図である。 電圧印加手段の一例の概略図である。 フォトカプラーを用いた電圧切換回路の一例の概略図である。 基板面に透明抵抗体層を配置した例である。 XY方向4位置の光学軸傾斜タイミングである。 光路偏向装置を用いた画像表示装置の構成の一つである。 光路偏向装置を用いた画像表示装置の構成の一つである。 赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色に対応する3つのサブピクセルを繰り返し配列パターンである。

Claims (10)

  1. 少なくとも、一対の透明基板間に充填されたホメオトロピック配向をなすキラルスメクチックC相を形成可能な第一の液晶層と、該第一の液晶層の有効領域内に前記基板面に水平な電界を形成可能な第一の電界印加手段を有する第一の液晶素子と、同様に、一対の透明基板間に充填されたホメオトロピック配向をなすキラルスメクチックC相を形成可能な第二の液晶層と、該第二の液晶層の有効領域内に前記基板面に水平な電界を形成可能な第二の電界印加手段を有する第二の液晶素子とから成り、光の進行方向に対して両液晶素子が直列に配置され、且つ両液晶素子内の電界方向が平行となるように配置され、各液晶素子内での電界方向の切換えによって各液晶層の光学軸の傾斜方向を切換えて、電界方向に平行な直線偏光面を有する入射光に対する出射光路を平行にシフトさせる光偏向装置であり、
    両液晶素子での光路のシフト距離が等しく設定され、両液晶素子内での電界方向の組合せ状態として、両者が同一方向である第一の電界印加状態と、両者が互いに反対方向である第二の電界印加状態と、両者が前述の反対の同一方向である第三の電圧印加状態とを切換えることで、入射光線を3つの出射位置に平行シフトさせることを特徴とする光偏向装置。
  2. 請求項1において、前記第一の電界印加状態をA、前記第二の電界印加状態をB、前記第三の電界印加状態をCと表記したとき、両液晶素子の組合せによる電界印加状態の時間変化が「ABC」を1周期として順次繰り返すことを特徴とする光偏向装置。
  3. 請求項1および2において、前記第一の液晶素子および第二の液晶素子に印加される電圧が交流電圧であり、一方の液晶素子に印加される交流電圧のデューティー比が33%から34%の範囲内としたとき、他方の液晶素子に印加される交流電圧のデューティー比が66%から67%の範囲内であること特徴とする光偏向装置。
  4. 請求項2および3において、前記第二の電界印加状態に対して、任意の電界方向を正の方向と定義した時に、第一の液晶素子が正の電界方向で第二の液晶素子が負の電界方向である電界印加状態をB1、反対に第一の液晶素子が負の電界方向で第二の液晶素子が正の電界方向である電界印加状態をB2と表記したとき、両液晶素子の組合せによる電界印加状態の時間変化が「AB1CAB2C」を1周期として順次繰り返すことを特徴とする光偏向装置。
  5. 少なくとも、一対の透明基板間に充填された第一の液晶層と、該第一の液晶層の有効領域内に電界を形成可能な第一の電界印加手段を有し、第一の電界印加手段による液晶配向状態の変化によって入射した直線偏光の偏光面を略90度回転させて出射可能な偏光面回転素子である第一の液晶素子と、一対の透明基板間に充填されたホメオトロピック配向をなすキラルスメクチックC相を形成可能な第二の液晶層と、該第二の液晶層の有効領域内に前記基板面に水平な電界を形成可能な第二の電界印加手段を有し、第二の電界印加手段の電界方向によって光学軸の傾斜方向を切り替える光学軸偏向素子である第二の液晶素子とを有し、光の進行方向に対して両液晶素子が、第一および第二の順に直列に配置され、各液晶素子内での電界印加状態の組み合わせによって直線偏光面の入射光に対する出射光路を平行にシフトさせる光偏向装置であり、
    第一の液晶素子の出射光の偏光方向が第二の液晶素子の電界方向と直交する状態を状態S、第一の液晶素子の出射光の偏光方向が第二の液晶素子の電界方向と平行な状態を状態Y、第二の液晶素子の光学軸の傾斜方向に対応した二つの状態をそれぞれ状態X1および状態X2とした時、第一の液晶素子が状態Sで第二の液晶素子が状態X1である光路シフト位置Aと、第一の液晶素子が状態Xで第二の液晶素子が状態X2である光路シフト位置Cと、第一の液晶素子が状態Yで第二の液晶素子が状態X1あるいは状態X2である光路シフト位置Bの3つの出射位置に入射光を平行シフトさせることを特徴とする光偏向装置。
  6. 請求項5において、3つの出射位置A、B、Cへの光路シフト動作を周期的に行い、その一周期の時間をTとし、
    第一の液晶素子は、状態Yの期間をT1、状態Sの期間をT2とした時、T2=2×T1、T1+T2=Tの関係を有し、
    第二の液晶素子は、第一の状態X1の期間をT3、第一の状態X2の期間をT4、第二の状態X1の期間をT4、第二の状態X2の期間をT3とするT3+T4+T4+T3=2Tを一周期として駆動し、T3=T1、T4=T2の関係を有し、
    第一の液晶素子の状態Yから状態Sへの切替動作の内、二回毎の切替タイミングが、第二の液晶素子の状態X1から状態X2への切替タイミングと略一致するように設定したことを特徴とする光偏向装置。
  7. 請求項5および6において、前記第一の液晶素子が、電界印加により液晶分子の配向方向が制御可能な表面安定型強誘電性液晶素子からなることを特徴とする光偏向装置。
  8. 一対の透明基板と、透明基板面に設けた垂直配向膜と、透明基板間で略垂直配向のスメクチックC相を形成可能な液晶層と、液晶層に対して略平行な方向に電界を印加する電極対と、液晶層の有効領域を取り囲むように分割して配置された複数の電極と、各電極に対して隣接する電極間の電位差および有効領域を挟んで略対向する電極間の電位差を制御し、有効領域内の液晶層に発生する電界の向きを制御することで、液晶層の光学軸の傾斜方向を制御する液晶素子を有し、該液晶素子へ入射する直線偏光の偏光面に対して、液晶層の光学軸の傾斜方向が前記偏光面に対して平行で互いに向きが異なる状態に対応する光路シフト位置Aおよび光路シフト位置Cと、液晶層の光学軸の傾斜方向が前記偏光面に対して垂直な状態に対応する光路シフト位置Bの3つの出射位置に入射光を平行シフトさせることを特徴とする光偏向装置。
  9. 請求項8において、入射光する直線偏光の偏光面に対して、液晶層の光学軸の傾斜方向が前記偏光面に対して平行で互いに向きが異なる状態を状態X1および状態X2とし、液晶層の光学軸の傾斜方向が前記偏光面に対して垂直で互いに向きが異なる状態を状態Y1および状態Y2とし、3位置の光路シフト動作の繰り返しにおける一周期をTとした時、各状態の期間はT/3であり、各状態を状態X1、Y1、X2、X1、Y2、X2の順に繰り返す期間2Tを一周期として設定したことを特徴とする光偏向装置。
  10. 光源と、各々が光を変調することができる複数の画素領域を有し、異なる3つの波長域を表示可能な画素が順次配列するカラー画像表示パネルと、前記カラー画像表示パネルで変調された光によって被投影面上に画像を形成する光学系と、を備えた画像表示装置であって、前記画像を構成する各フレーム画像のデータから複数のサブフレーム画像のデータを生成し、前記カラー画像表示パネルによって前記複数のサブフレーム画像を時分割で表示させる回路と、前記カラー画像表示パネルによって表示される前記複数のサブフレーム画像のうち選択されたサブフレーム画像を前記被投影面上でシフトさせる、請求項1から9のいずれかに記載の光偏向装置とを備え、
    前記カラー画像表示パネルの異なる画素領域で変調された異なる波長域に属する光で前記被投影面上の同一領域を順次照射する画像表示装置。
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