JP2003302615A - 光路偏向素子、光路偏向装置、画像表示装置及び光路偏向素子の駆動方法 - Google Patents

光路偏向素子、光路偏向装置、画像表示装置及び光路偏向素子の駆動方法

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JP2003302615A
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康之 滝口
Yoshirou Futamura
恵朗 二村
Yumi Matsuki
ゆみ 松木
Masanori Kobayashi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 偏向方向の切換えに加えて、偏向対象となる
有効領域全域に亘って偏向用の電界を均一に形成できる
ようにする。 【解決手段】 液晶層の有効領域11を取り囲むように
相対向する位置に2組の電極群12,12′、13,1
3′を配設しておき、目的とする偏向方向に応じて選択
的に一方の組の電極群に電圧V1を印加して偏向用の電
界を作用させることで、偏向方向が直交する2方向に切
換えられる。また、各電極群12,12′,13,1
3′を複数の分割電極からなる分割構造とし、偏向時
に、他方の組の電極群(例えば、13,13′)に関し
ては、個々の分割電極に対して段階的に電圧値が変化す
る電圧V1〜0を印加し、当該他方の組の電極群(例え
ば、13,13′)により強制的に偏向用の電界方向の
電位勾配を持たせることで、一方の組の電極群(例え
ば、12,12′)により形成される偏向用の電界が他
方の組の電極群により乱れず、均一となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光路偏向素子、光
路偏向装置、画像表示装置及び光路偏向素子の駆動方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】光路偏向素子なる光学素子として、従来
より、KHPO(KDP),NH PO(A
DP),LiNbO,LiTaO,GaAs,Cd
Teなど第1次電気光学効果(ポッケルス効果)の大き
な材料や、KTN,SrTiO ,CS,ニトロベン
ゼン等の第2次電気光学効果の大きな材料を用いた電気
光学デバイスや、ガラス、シリカ、TeOなどの材料
を用いた音響光学デバイスが知られている(例えば、青
木昌治編;「オプトエレクトロニックデバイス」、昭晃
堂)。これらの場合、一般的に、十分大きな光偏向量を
得るためには光路長を長く取る必要があり、また、材料
が高価であるため用途が制限されている。
【0003】一方で、液晶材料を用いた光路偏向素子な
る光学素子も各種提案されており、その数例を挙げる
と、以下に示すような提案例がある。
【0004】例えば、特開平6−18940号公報によ
れば、光空間スイッチの光の損失を低減することを目的
に、人工複屈折板からなる光ビームシフタが提案されて
いる。内容的には、2枚のくさび形の透明基板を互いに
逆向きに配置し、該透明基板間に液晶層を挟んだ光ビー
ムシフタ、及びマトリクス形偏向制御素子の後面に前記
光ビームシフタを接続した光ビームシフタが提案され、
併せて、2枚のくさび形の透明基板を互いに逆向きに配
置し、該透明基板間にマトリクス駆動が可能で、入射光
ビームを半セルシフトする液晶層を挟んだ光ビームシフ
タを半セルずらして多段接続した光ビームシフタが提案
されている。
【0005】また、特開平9−133904号公報によ
れば、大きな偏向を得ることが可能で、偏向効率が高
く、しかも、偏向角と偏向距離とを任意に設定すること
ができる光偏向スイッチが提案されている。具体的に
は、2枚の透明基板を所定の間隔で対向配置させ、対向
させた面に垂直配向処理を施し、透明基板間にスメクチ
ックA相の強誘電性液晶を封入し、前記透明基板に対し
て垂直配向させ、スメクチック層と平行に交流電界を印
加できるように電極対を配置し、電極対に交流電界を印
加する駆動装置を備えた液晶素子である。即ち、スメク
チックA相の強誘電性液晶による電傾効果を用い、液晶
分子の傾斜による複屈折によって、液晶層に入射する偏
光の屈折角と変位する方向を変化できるようにしたもの
である。
【0006】前者の特開平6−18940号公報例にお
いては、液晶材料にネマチック液晶を用いているため、
応答速度をサブmsにまで速めることは困難であり、高
速なスイッチングが必要な用途には用いることはできな
い。
【0007】また、後者の特開平9−133904号公
報例においては、スメクチックA相の強誘電液晶を用い
ているが、スメクチックA相は自発分極を持たないた
め、高速動作は望めない。
【0008】次に、ピクセルシフト素子に関して従来提
案されている技術を数例挙げて説明する。
【0009】例えば、特許第2939826号公報に示
されるように、表示素子に表示された画像を投写光学系
によりスクリーン上に拡大投影する投影表示装置におい
て、前記表示素子から前記スクリーンに至る光路の途中
に透過光の偏光方向を旋回できる光学素子を少なくとも
1個以上と複屈折効果を有する透明素子を少なくとも1
個以上を有してなる投影画像をシフトする手段と、前記
表示素子の開口率を実効的に低減させ、表示素子の各画
素の投影領域が前記スクリーン上で離散的に投影される
手段と、を備えた投影表示装置がある。
【0010】同公報例においては、偏光方向を旋回でき
る光学素子(旋光素子)を少なくとも1個以上と複屈折
効果を有する透明素子(複屈折素子)を少なくとも1個
以上を有してなる投影画像シフト手段(ピクセルシフト
手段)によりピクセルシフトを行っているが、問題点と
して、旋光素子と複屈折素子とを組合せて使用するた
め、光量損失が大きいこと、光の波長によりピクセルシ
フト量が変動し解像度が低下しやすいこと、旋光素子と
複屈折素子との光学特性のミスマッチから本来画像が形
成されないピクセルシフト外の位置に漏れ光によるゴー
スト等の光学ノイズが発生しやすいこと、素子化のため
のコストが大きいこと、が挙げられる。特に、複屈折素
子に前述したようなKHPO(KDP),NH
PO(ADP),LiNbO,LiTaO,G
aAs,CdTeなど第1次電気光学効果(ポッケルス
効果)の大きな材料を使用した場合、顕著である。
【0011】また、特開平5−313116号公報に示
される投影機においては、制御回路により、画像蓄積回
路に蓄積した本来表示すべき画像を市松状に画素選択回
路へサンプリングして順次空間光変調器に表示し、投影
させ、さらに、制御回路により、この表示に対応させて
パネル揺動機構を制御して空間光変調器の隣接画素ピッ
チ距離を整数分の一ずつ移動させることで、本来表示す
べき画像を時間的な合成により再現するようにしてい
る。これにより、空間光変調器の画素の整数倍の分解能
で画像を表示可能にするとともに、画素の粗い空間光変
調器と簡単な光学系を用いて安価に投影機を構成可能と
している。
【0012】ところが、同公報例においては、画像表示
用素子自体を画素ピッチよりも小さい距離だけ高速に揺
動させるピクセルシフト方式が記載されており、この方
式では、光学系は固定されているので諸収差の発生が少
ないが、画像表示素子自体を正確かつ高速に平行移動さ
せる必要があるため、可動部の精度や耐久性が要求さ
れ、振動や音が問題となる。
【0013】さらに、特開平6−324320号公報に
よれば、LCD等の画像表示装置の画素数を増加させる
ことなく、表示画像の解像度を、見掛け上、向上させる
ため、縦方向及び横方向に配列された複数個の画素の各
々が、表示画素パターンに応じて発光することにより、
画像が表示される画像表示装置と、観測者又はスクリー
ンとの間に、光路をフィールド毎に変更する光学部材を
配し、また、フィールド毎に、前記光路の変更に応じて
表示位置がずれている状態の表示画素パターンを画像表
示装置に表示させるようにしている。ここに、屈折率が
異なる部位が、画像情報のフィールド毎に、交互に、画
像表示装置と観測者又はスクリーンとの間の光路中に現
れるようにすることで、前記光路の変更が行われるもの
である。
【0014】同公報例においては、光路を変更する手段
として、電気光学素子と複屈折材料の組合わせ機構、レ
ンズシフト機構、バリアングルプリズム、回転ミラー、
回転ガラス等が記述されており、上記旋光素子と複屈折
素子を組合せてなる方式の他に、ボイスコイル、圧電素
子等によりレンズ、反射板、複屈折板等の光学素子を変
位(平行移動、傾斜)させ光路を切換える方式が提案さ
れているが、この方式においては、光学素子を駆動する
ために構成が複雑となりコストが高くなる。
【0015】また、特開平10−133135号公報に
よれば、回転機械要素を不要化でき、全体の小型化、高
精度・高分解能化を実現でき、しかも外部からの振動の
影響を受け難い光ビーム偏向装置が提案されている。具
体的には、光ビームの進行路上に配置される透光性の圧
電素子と、この圧電素子の表面に設けられた透明の電極
と、圧電素子の光ビーム入射面Aと光ビーム出射面Bと
の間の光路長を変化させて光ビームの光軸を偏向させる
ために電極を介して圧電素子に電圧を印加する電圧印加
手段とを備えている。
【0016】同公報例では、透光性の圧電素子を透明の
電極で挟み、電圧を印加することで厚みを変化させて光
路をシフトさせる方式が提案されているが、比較的大き
な透明圧電素子を必要とし、装置コストがアップする
等、前述の特開平6−324320号公報の場合と同様
の問題点がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術の課
題を整理すると、従来のピクセルシフト素子において問
題となっているのは、 構成が複雑であることに伴う高コスト、装置大型
化、光量損失、ゴースト等の光学ノイズ又は解像度低下 特に可動部を有する構成の場合の位置精度や耐久
性、振動や音の問題 ネマチック液晶などにおける応答速度である。
【0018】の応答速度に関し、画像表示装置におけ
るピクセルシフトに必要な光偏向の速度は以下のように
見積ることができる。画像フィールド(時間t
Field)を時間的にn分割し、各n個のサブフィー
ルド毎に画像表示素子と光学部材との間の光路を偏向し
てピクセルシフトのシフト位置をn箇所に定めた場合、
1つのサブフィールドの時間tSFは、 tSF=tField/n で表される。この時間tSFの期間中に光偏向がなされ
るが、その時間をtsh iftとするとこのtshift
の期間は表示が行えないため、この期間に相当する分だ
け光利用効率が低下する。
【0019】光利用効率Eは以下の式で表される。 E=(tSF−tshift)/tSF
【0020】仮にピクセルシフト位置nがn=4、画像
フィールドtFieldが16.7msである場合に、
光利用効率Eを90%以上確保するためには、 0.9<(16.7/4−tshift)/(16.7
/4)tshift<0.42(ms) となり、光偏向を0.42msで行う必要がある。通常
のネマチック液晶は応答速度が数ms以上であるため、
ここに示すような高速ピクセルシフトのための光学素子
としては使用することはできない。
【0021】特開平6−18940号公報においては液
晶材料にネマチック液晶を用いているため、応答速度を
サブmsにまで速めることは困難であり、ピクセルシフ
トに用いることはできない。一方、キラルスメクチック
C相よりなる強誘電液晶ではその応答速度は十分0.4
2ms以下に設定することが可能である。
【0022】また、特開平9−133904号公報にお
いてはスメクチックA相の強誘電液晶を用いているが、
スメクチックA相は自発分極を持たないため、キラルス
メクチックC相に見られるような高速動作はやはり望め
ない。
【0023】このような点を考慮すると、従来の光路偏
向素子における問題点、即ち、構成が複雑であることに
伴う高コスト、装置大型化、光量損失、光学ノイズを改
善し、構成が簡単で、小型であり、光量損失、光学ノイ
ズ、解像度低下が少なく、低コスト化を図ることができ
る光路偏向素子ないしは光偏向装置の提案が待たれる。
【0024】このようなことから、本出願人によれば、
透明な一対の基板と、これらの基板間に充填されたホメ
オトロピック配向をなすキラルスメクチックC相よりな
る液晶と、この液晶に電界を作用させる1組以上の電界
印加手段とを備える構成例が提案されている。この提案
例によれば、キラルスメクチックC相よりなる液晶を利
用しているので、従来の光路偏向素子に比して、構成が
複雑であることに伴う高コスト、装置大型化、光量損
失、光学ノイズを改善でき、かつ、従来のスメクチック
A液晶やネマチック液晶などにおける応答性の鈍さも改
善でき、高速応答が可能となる。
【0025】ところが、この提案例による光路偏向素子
では、スメクチックC相強誘電液晶層を複屈折板として
用いるため、液晶層の光学軸チルト角の傾斜方向で光路
偏向の方向が決まる。一つの光路偏向素子では1方向の
みへの光路偏向動作しか行うことができないため、2方
向への光路偏向動作を行うためには、2つの光路偏向素
子と、その間に直線偏光方向を偏向方向に一致させる偏
光方向切換素子が必要である。3つの光学要素から構成
されるため、基板や界面の数が多くなり、光学素子全体
としての透過率やMTFが低下するという問題がある。
【0026】この点、例えば液晶層を通る光路の有効領
域を取り囲むように直交する2方向の位置に2組の電極
対を設け、偏向しようとする方向に応じて一方の組の電
極対間に電圧を選択的に印加して液晶層に光路に直交す
る方向の偏向用の電界を作用させることで、2方向(±
4方向)の偏向を選択的に行わせることが考えられる。
【0027】ここに、2組の電極対は、偏向方向に応じ
て択一的に電圧が印加されることにより共通の有効領域
に対して偏向用の電界を作用させるものであり、有効領
域に対しては互換性を有する構成とされる。具体的に
は、略四角形状に設定される有効領域の各辺に1辺相当
の長さを有する帯状の電極を設けるのが一般的といえ
る。この結果、一方の組の電極対間に偏向用の電界を作
用させるための電圧を印加した時、当該有効領域に臨ん
でいる他方の組の電極対の各々の電極はその全長に亘っ
て(1辺相当の長さに亘って)等電位となっているた
め、偏向用の電界の両側付近に対してその均一性を乱し
てしまうこととなり、有効領域全域に亘って均一な電界
が得られなくなってしまう。有効領域全域に亘って均一
な電界が得られないと、有効領域全域に亘って均一な偏
向特性(偏向方向の均一性)が得られなくなってしま
う。
【0028】本発明は、外部からの電気的操作により直
交する2方向に偏向方向を切換え得る構成下に、対象と
なる有効領域に対して偏向用の電界を均一に形成するこ
とができる光路偏向素子、光路偏向装置及び光路偏向素
子の駆動方法を提供することを目的とする。
【0029】本発明は、均一な電界の形成を容易に実現
できる光路偏向素子、光路偏向装置及び光路偏向素子の
駆動方法を提供することを目的とする。
【0030】本発明は、均一な電界の形成を低コストに
て実現できる光路偏向素子及び光路偏向装置を提供する
ことを目的とする。
【0031】本発明は、形成される電界の均一性を向上
させ得る光路偏向素子及び光路偏向装置を提供すること
を目的とする。
【0032】本発明は、有効領域が広い場合にも均一な
電界の形成を実現できる光路偏向素子及び光路偏向装置
を提供することを目的とする。
【0033】本発明は、光路偏向されないノイズ光の透
過を防止でき、ノイズの少ない確実な光路偏向が可能な
光路偏向装置を提供することを目的とする。
【0034】本発明は、偏向用の電界が均一に形成さ
れ、有効領域全域に亘って均一な偏向特性を示す光路偏
向装置を用いることにより、高速応答可能で、光利用効
率が高く、より高精細な画像表示が可能なピクセルシフ
ト方式の画像表示装置を提供することを目的とする。
【0035】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の光
路偏向装置は、対向間隔が規制された透明な一対の基板
と、前記基板の内面側に設けられた垂直配向膜と、前記
基板間に前記垂直配向膜を介して充填され、前記垂直配
向膜によりホメオトロピック配向をなすキラルスメクチ
ックC相よりなる液晶層と、前記液晶層を通る光路の有
効領域を取り囲むように直交する2方向の相対向する位
置に各々配設された2組の電極群と、目的とする偏向方
向に応じて選択的に一方の組の相対向する前記電極群間
に電圧を印加して前記液晶層に前記光路に直交する方向
の偏向用の電界を作用させる偏向用電圧印加手段と、を
備え、前記偏向用電圧印加手段の電圧印加による偏向時
に、他方の組の前記電極群により強制的に前記偏向用の
電界方向の電位勾配を持たせるようにした。
【0036】従って、ホメオトロピック配向をなすキラ
ルスメクチックC相の強誘電性又は反強誘電性の液晶層
に対してこの液晶層を通る光路に直交する方向の偏向用
の電界を作用させることにより、液晶分子の傾斜角度や
傾斜方向が変化して平均的な光学軸の傾斜方向を制御す
ることができる。この際、液晶層を通る光路の有効領域
を取り囲むように直交する2方向の相対向する位置に各
々配設された2組の電極群を用意しておき、目的とする
偏向方向に応じてこの偏向用の電界を作用させる電極群
の組を選択的に切換えることにより、電気的な操作によ
り直交する2方向に偏向方向を切換えることができる。
このような偏向用電圧印加手段の電圧印加による偏向時
に、他方の組の電極群に関しては、強制的に偏向用の電
界方向の電位勾配を持たせることにより、偏向用の電界
がこれらの他方の組の電極群により乱されることがなく
なり、よって、有効領域全体に亘って均一な電界が形成
される。
【0037】請求項2記載の発明は、請求項1記載の光
路偏向装置において、前記電極群の各々は、前記有効領
域を取り囲む方向に分割された複数の分割電極からな
り、前記偏向用電圧印加手段の電圧印加による偏向時
に、他方の組の前記電極群により強制的に前記偏向用の
電界方向の電位勾配を持たせるように当該他方の組の電
極群内の個々の分割電極に対して段階的に電圧値が変化
する電圧を印加する補助電圧印加手段を備える。
【0038】従って、請求項1記載の発明を実現する上
で、各電極群を複数の分割電極からなる分割構造とし、
偏向用電圧印加手段の電圧印加による偏向時に、他方の
組の電極群内の個々の分割電極に対して段階的に電圧値
が変化する電圧を印加することにより、当該他方の組の
電極群により強制的に偏向用の電界方向の電位勾配を持
たせることができ、比較的簡単に実現可能となる。
【0039】請求項3記載の発明は、請求項1記載の光
路偏向装置において、前記電極群の各々は、前記有効領
域を取り囲む方向に分割された複数の分割電極からな
り、前記電極群毎に各々隣接する分割電極間に設けられ
た抵抗を直列に接続した直列抵抗群と、前記偏向用電圧
印加手段の電圧印加による偏向時に、他方の組の前記電
極群により強制的に前記偏向用の電界方向の電位勾配を
持たせるように当該他方の組の電極群の前記直列抵抗群
の両端間に電圧を印加する補助電圧印加手段と、を備え
る。
【0040】従って、請求項1記載の発明を実現する上
で、各電極群を複数の分割電極からなる分割構造とし、
かつ、電極群毎に各々隣接する分割電極間に設けられた
抵抗を直列に接続した直列抵抗群を備える構成とし、偏
向用電圧印加手段の電圧印加による偏向時に、他方の組
の電極群の直列抵抗群の両端間に電圧を印加するだけ
で、直列抵抗群の各抵抗により抵抗分割されて段階的に
変化する電圧を各分割電極に印加させることができ、当
該他方の組の電極群により強制的に偏向用の電界方向の
電位勾配を持たせることができ、簡単かつ低コストにて
実現可能となる。
【0041】請求項4記載の発明は、請求項2又は3記
載の光路偏向装置において、各々分割された複数の分割
電極は、組をなす電極群間で、互いに位置がずれて配設
されている。
【0042】従って、有効領域内の電位分布の均一性を
向上させるためには、分割電極の電極幅は狭く、かつ、
電極数が多いことが好ましいが、素子の構成を簡略化し
て低コスト化を実現するためには分割電極の数を減らす
必要がある。分割電極の数を減らすと分割電極間の位置
での電位低下が現れるが、組をなし対向する分割電極の
位置が一致している場合には分割電極間も互いに重なる
ため、電界の均一性の低下が顕著となる。この点、本発
明では、対向する分割電極の位置が互いにずれて交互の
位置に配置することで、分割電極間の位置が対向する電
極群の分割電極に対応するので、電位低下の影響が小さ
くなり、電界の均一性が向上する。
【0043】請求項5記載の発明は、請求項1記載の光
路偏向装置において、前記電極群の各々は、前記有効領
域を取り囲む方向に連続した抵抗体電極からなり、前記
偏向用電圧印加手段の電圧印加による偏向時に、他方の
組の前記電極群により強制的に前記偏向用の電界方向の
電位勾配を持たせるように当該他方の組の電極群の前記
抵抗体電極の両端間に電圧を印加する補助電圧印加手段
を備える。
【0044】従って、請求項1記載の発明を実現する上
で、電極群として有効領域に沿った位置に抵抗体電極を
設けることにより、抵抗体電極の両端間に電圧を印加し
て通電するだけで、抵抗体電極近傍の液晶層内に連続的
な電位勾配を形成することができ、このような連続的な
電位勾配により、より均一な電界分布が得られる。
【0045】請求項6記載の発明は、請求項2ないし5
の何れか一記載の光路偏向装置において、隣接する前記
電極群の端部同士が電気的に接続され、端部同士の接続
部の電位が単一極性電位と接地とで切換え自在である。
【0046】従って、請求項2ないし5記載の発明を実
現する上で、隣接する電極群の端部同士を電気的に接続
し、その接続部の電位を接地と単一極性電位とで切換え
自在とすることにより、偏向用電圧印加手段用の電源と
補助電圧印加手段用の電源とを共用させることができ、
低コストにて実現できる。
【0047】請求項7記載の発明は、請求項1ないし6
の何れか一記載の光路偏向装置において、少なくとも一
方の前記基板上に設けられて前記電極群に電気的に接続
された透明抵抗体層を備える。
【0048】従って、請求項1ないし6記載の発明に加
えて、有効領域全面に透明抵抗体層を設けて電極群と接
続しているので、組をなす電極群から比較的離れた有効
領域にも効果的に電位分布を形成することができ、よっ
て、有効領域が比較的大きな場合でも、比較的均一な電
界を形成することができる。
【0049】請求項8記載の発明は、請求項1記載の光
路偏向装置において、前記電極群の各々は、前記有効領
域を取り囲む方向に分割された複数の分割電極からな
り、前記偏向用電圧印加手段の電圧印加による偏向時
に、他方の組の前記電極群により強制的に前記偏向用の
電界方向の電位勾配を持たせるように当該他方の組の電
極群内の個々の分割電極をフロート状態とする。
【0050】従って、請求項1記載の発明を実現する上
で、各電極群を複数の分割電極からなる分割構造とし、
偏向用電圧印加手段の電圧印加による偏向時に、他方の
組の電極群内の個々の分割電極をフロート状態とするだ
けで、当該他方の組の電極群により強制的に偏向用の電
界方向の電位勾配を持たせることができ、補助電圧印加
手段を要せず、比較的簡単に実現可能となる。
【0051】請求項9記載の発明は、請求項1ないし8
の何れか一記載の光路偏向装置において、光の入射側に
配設されて直線偏光の偏光方向を切換える偏光方向切換
手段を備え、前記液晶層における液晶の自発分極及び前
記偏向用の電界の作用により定まる液晶分子の配向を前
記偏向用電圧印加手段による電圧の印加により所定の方
向に揃う状態で、一方の基板面から他方の基板面に向か
って前記液晶分子を投影した場合に前記他方の基板上に
投影された前記液晶分子における長軸方向が、前記偏光
方向切換手段による偏光方向と同一方向となるように、
前記偏向用電圧印加手段による電圧印加を制御するよう
にした。
【0052】従って、請求項1ないし8記載の発明に加
えて、直線偏光の偏光方向を切換える偏光方向切換手段
を入射側に備えることにより、2つの素子構成により直
交する2方向の偏向方向が設定できる。即ち、従来のよ
うに、X方向光路偏向素子と偏光面回転素子とY方向光
路偏向素子との3つの素子の組合せ構成に比べて、素子
の数が少なく構成要素の界面の数が少ないので、光透過
率の低下やMTFの低下が少ない光路偏向装置が得られ
る。
【0053】請求項10記載の発明は、請求項9記載の
光路偏向装置において、前記偏光方向切換手段が、電界
の作用により液晶分子の配向方向が制御可能な表面安定
型強誘電性液晶素子である。
【0054】従って、請求項9記載の光路偏向装置を実
現する上で、偏光方向切換手段として電界の作用により
液晶分子の配向方向が制御可能な表面安定型強誘電性液
晶素子を用い、この表面安定型強誘電性液晶素子の液晶
分子の屈折率、電界印加時の配向方向、液晶層の厚みな
どを半波長板としての最適条件に設定することで、高速
に偏光面の回転が可能な偏光方向切換手段が得られ、全
体として高速応答の光路偏向装置を提供できる。
【0055】請求項11記載の発明は、請求項9又は1
0記載の光路偏向装置において、前記偏光方向切換手段
に入射する入射光の偏光方向を光路の偏向方向の何れか
一方向に一致させる偏光方向制御手段を備える。
【0056】従って、請求項9又は10記載の光路偏向
装置を実現する上で、偏光方向切換手段に入射する入射
光の偏光方向を光路の偏向方向に一致させる偏光方向制
御手段を備え、光学軸の傾斜方向に平行な直線偏光の光
のみを入射させるので、入射光が無偏光の光であっても
光路偏向されないノイズ光の透過を防止し、ノイズの少
ない確実な光路偏向を実現できる。
【0057】請求項12記載の発明の画像表示装置は、
画像情報に従って光を制御可能な複数の画素を2次元的
に配列した画像表示素子と、この画像表示素子を照明す
る照明装置と、前記画像表示素子に表示した画像パター
ンを観察するための光学装置と、画像フィールドを時間
的に分割した複数のサブフィールドで形成する表示駆動
手段と、前記画像表示素子に対応して有効領域が設定さ
れて、各画素からの出射光の光路を前記サブフィールド
毎に偏向する請求項1ないし11の何れか一記載の光路
偏向装置と、を備える。
【0058】従って、いわゆるピクセルシフトデバイス
として請求項1ないし11の何れか一記載の直交する2
方向に光路偏向可能な光路偏向装置を用いているので、
投射光路をサブフィールド画像に対応して高速に偏向さ
せることができ、見掛け上、高精細な画像表示が可能と
なる。また、当該光路偏向装置の構成要素が少ない上
に、有効領域全域に亘って均一な偏向用の電界が形成さ
れるので、基板界面などが少なく、透過率やMTFの低
下が少なくできる上に、均一な画素シフトが可能とな
る。従って、より光利用効率が高く、より高精細な表示
画像が得られる。
【0059】請求項13記載の発明の光路偏向素子は、
対向間隔が規制された透明な一対の基板と、前記基板の
内面側に設けられた垂直配向膜と、前記基板間に前記垂
直配向膜を介して充填され、前記垂直配向膜によりホメ
オトロピック配向をなすキラルスメクチックC相よりな
る液晶層と、前記液晶層を通る光路の有効領域を取り囲
むように直交する2方向の相対向する位置に各々配設さ
れ、前記有効領域を取り囲む方向に分割された複数の分
割電極を各々有する2組の電極群と、を備える。
【0060】従って、ホメオトロピック配向をなすキラ
ルスメクチックC相の強誘電性又は反強誘電性の液晶層
に対して、液晶層を通る光路の有効領域を取り囲むよう
に相対向する位置に配設させた電極群の組に外部からの
電気的な操作により電圧を印加して、この液晶層を通る
光路に直交する方向の偏向用の電界を作用させることに
より、液晶分子の傾斜角度や傾斜方向が変化して平均的
な光学軸の傾斜方向を制御することができる。この際、
組をなす電極群として、液晶層を通る光路の有効領域を
取り囲むように直交する2方向の相対向する位置に各々
配設された2組の電極群を用意しておき、目的とする偏
向方向に応じてこの偏向用の電界を作用させる電極群の
組を選択的に切換えるようにすれば、電気的な操作によ
り直交する2方向に偏向方向を切換えることができる。
また、各電極群を複数の分割電極からなる分割構造と
し、偏向用電圧印加手段の電圧印加による偏向時に、他
方の組の電極群に関しては、個々の分割電極に対して段
階的に電圧値が変化する電圧を印加する等の操作によ
り、当該他方の組の電極群により強制的に偏向用の電界
方向の電位勾配を持たせることにより、偏向用の電界が
これらの他方の組の電極群により乱されることがなくな
り、よって、有効領域全体に亘って均一な電界を形成さ
せることができる。
【0061】請求項14記載の発明は、請求項13記載
の光路偏向素子において、前記電極群毎に各々隣接する
分割電極間に設けられた抵抗を直列に接続した直列抵抗
群を備える。
【0062】従って、請求項13記載の発明を実現する
上で、分割電極構造の各電極群に加えて、電極群毎に各
々隣接する分割電極間に設けられた抵抗を直列に接続し
た直列抵抗群を備える構成とすることにより、一方の組
の電極群に対する電圧印加による偏向時に、他方の組の
電極群の直列抵抗群の両端間に電圧を印加するだけで、
直列抵抗群の各抵抗により抵抗分割されて段階的に変化
する電圧を各分割電極に印加させることができ、当該他
方の組の電極群により強制的に偏向用の電界方向の電位
勾配を持たせることができ、簡単かつ低コストにて実現
可能となる。
【0063】請求項15記載の発明は、請求項13又は
14記載の光路偏向素子において、各々分割された複数
の分割電極は、組をなす電極群間で、互いに位置がずれ
て配設されている。
【0064】従って、請求項13又は14記載の光路偏
向素子を実現する上で、有効領域内の電位分布の均一性
を向上させるためには、分割電極の電極幅は狭く、か
つ、電極数が多いことが好ましいが、素子の構成を簡略
化して低コスト化を実現するためには分割電極の数を減
らす必要がある。分割電極の数を減らすと分割電極間の
位置での電位低下が現れるが、組をなし対向する分割電
極の位置が一致している場合には分割電極間も互いに重
なるため、電界の均一性の低下が顕著となる。この点、
本発明では、対向する分割電極の位置を互いにずらして
交互の位置に配置させているので、分割電極間の位置が
対向する電極群の分割電極に対応することとなり、電位
低下の影響が小さくなり、電界の均一性を向上させるこ
とができる。
【0065】請求項16記載の発明の光路偏向素子は、
対向間隔が規制された透明な一対の基板と、前記基板の
内面側に設けられた垂直配向膜と、前記基板間に前記垂
直配向膜を介して充填され、前記垂直配向膜によりホメ
オトロピック配向をなすキラルスメクチックC相よりな
る液晶層と、前記液晶層を通る光路の有効領域を取り囲
むように直交する2方向の相対向する位置に各々配設さ
れ、前記有効領域を取り囲む方向に連続した抵抗体電極
を各々有する2組の電極群と、を備える。
【0066】従って、基本的には請求項13記載の発明
の光路偏向素子と同様であるが、電極群として有効領域
に沿った位置に抵抗体電極を設けることにより、外部か
らの電気的な操作として、一方の組の電極群間に電界を
作用させる電圧を印加させるとともに、他方の組の電極
群に関しては、抵抗体電極の両端間に電圧を印加して通
電するだけで、抵抗体電極近傍の液晶層内に連続的な電
位勾配を形成することができ、このような連続的な電位
勾配により、より均一な電界分布が得られるようにする
ことができる。
【0067】請求項17記載の発明は、請求項13ない
し16の何れか一記載の光路偏向素子において、隣接す
る前記電極群の端部同士が電気的に接続されている。
【0068】従って、請求項13ないし16記載の発明
を実現する上で、隣接する電極群の端部同士が電気的に
接続されているので、外部からの電気的な操作により、
この接続部の電位を接地と単一極性電位とで切換え自在
とすることにより、偏向用電圧印加手段用の電源と補助
電圧印加手段用の電源とを共用させることができ、低コ
ストにて光路偏向装置を実現できる。
【0069】請求項18記載の発明は、請求項13ない
し17の何れか一記載の光路偏向素子において、少なく
とも一方の前記基板上に設けられて前記電極群に電気的
に接続された透明抵抗体層を備える。
【0070】従って、請求項13ないし17記載の発明
に加えて、有効領域全面に透明抵抗体層が設けられて電
極群と接続されているので、外部からの電気的な操作に
よる電圧印加時に、組をなす電極群から比較的離れた有
効領域にも効果的に電位分布を形成することができ、よ
って、有効領域が比較的大きな場合でも、比較的均一な
電界を形成することができる。
【0071】請求項19記載の発明の光路偏向素子の駆
動方法は、対向間隔が規制された透明な一対の基板と、
前記基板の内面側に設けられた垂直配向膜と、前記基板
間に前記垂直配向膜を介して充填され、前記垂直配向膜
によりホメオトロピック配向をなすキラルスメクチック
C相よりなる液晶層と、前記液晶層を通る光路の有効領
域を取り囲むように直交する2方向の相対向する位置に
各々配設され、前記有効領域を取り囲む方向に分割され
た複数の分割電極を各々有する2組の電極群と、前記電
極群毎に各々隣接する分割電極間に設けられた抵抗を直
列に接続した直列抵抗群と、を備える光路偏向素子に対
して、目的とする偏向方向に応じて選択的に一方の組の
相対向する前記電極群間に電圧を印加して前記液晶層に
前記光路に直交する方向の偏向用の電界を作用させる偏
向用電圧印加ステップと、この偏向用電圧印加ステップ
の電圧印加による偏向時に、他方の組の前記電極群の前
記直列抵抗群の両端間に電圧を印加して強制的に前記偏
向用の電界方向の電位勾配を持たせる補助電圧印加ステ
ップと、を備える。
【0072】従って、有効領域全域について直交する2
方向についての光路偏向を実現する上で、液晶層を通る
光路の有効領域を取り囲むように直交する2方向の相対
向する位置に2組の電極群を配設するが、これらの各電
極群を複数の分割電極からなる分割構造とし、かつ、電
極群毎に各々隣接する分割電極間に設けられた抵抗を直
列に接続した直列抵抗群を備える構成とし、目的とする
偏向方向に応じて選択的に一方の組の相対向する電極群
間に電圧を印加して液晶層に前記光路に直交する方向の
偏向用の電界を作用させる偏向時に、他方の組の電極群
の直列抵抗群の両端間に電圧を印加するだけで、直列抵
抗群の各抵抗により抵抗分割されて段階的に変化する電
圧を各分割電極に印加させることができ、当該他方の組
の電極群により強制的に偏向用の電界方向の電位勾配を
持たせることができ、偏向方向が何れの方向であって
も、有効領域全域について均一な電界を形成することが
でき、有効領域全域について均一な光路偏向が可能とな
る。
【0073】請求項20記載の発明の光路偏向素子の駆
動方法は、対向間隔が規制された透明な一対の基板と、
前記基板の内面側に設けられた垂直配向膜と、前記基板
間に前記垂直配向膜を介して充填され、前記垂直配向膜
によりホメオトロピック配向をなすキラルスメクチック
C相よりなる液晶層と、前記液晶層を通る光路の有効領
域を取り囲むように直交する2方向の相対向する位置に
各々配設され、前記有効領域を取り囲む方向に連続した
抵抗体電極を各々有する2組の電極群と、を備える光路
偏向素子に対して、目的とする偏向方向に応じて選択的
に一方の組の相対向する前記電極群間に電圧を印加して
前記液晶層に前記光路に直交する方向の偏向用の電界を
作用させる偏向用電圧印加ステップと、この偏向用電圧
印加ステップの電圧印加による偏向時に、他方の組の前
記電極群の前記抵抗体電極の両端間に電圧を印加して強
制的に前記偏向用の電界方向の電位勾配を持たせる補助
電圧印加ステップと、を備える。
【0074】従って、有効領域全域について直交する2
方向についての光路偏向を実現する上で、液晶層を通る
光路の有効領域を取り囲むように直交する2方向の相対
向する位置に2組の電極群を配設するが、これらの各電
極群を有効領域を取り囲む方向に連続した抵抗体電極に
より構成し、目的とする偏向方向に応じて選択的に一方
の組の相対向する電極群間に電圧を印加して液晶層に前
記光路に直交する方向の偏向用の電界を作用させる偏向
時に、他方の組の電極群の抵抗体電極の両端間に電圧を
印加して通電するだけで、抵抗体電極近傍の液晶層内に
連続的な電位勾配を形成することができ、このような連
続的な電位勾配により、より均一な電界分布が得られる
ようにすることができ、偏向方向が何れの方向であって
も、有効領域全域について均一な電界を形成することが
でき、有効領域全域について均一な光路偏向が可能とな
る。
【0075】
【発明の実施の形態】本発明の第一の実施の形態を図1
ないし図6に基づいて説明する。まず、本実施の形態で
用いる光路偏向素子の前提的な構成・作用について図1
ないし図3を参照して説明する。
【0076】図1に前提的な光路偏向素子1′の断面構
成例を示す。この光路偏向素子1′では、透明な一対の
基板2,3が対向配置させて設けられている。透明な基
板2,3としては、ガラス、石英、プラスチックなどを
用いることができるが、複屈折性の無い透明材料が好ま
しい。基板2,3の厚みは数十μm〜数mmのものが用
いられる。基板2,3の内側面には垂直配向膜4,5が
形成されている。垂直配向膜4,5は基板2,3表面に
対して液晶分子を垂直配向(ホメオトロピック配向)さ
せる材料であれば特に限定されないが、液晶ディスプレ
イ用の垂直配向剤やシランカップリング剤、SiO
着膜などを用いることができる。なお、本発明で言う
「垂直配向(ホメオトロピック配向)」とは、基板面に
対して液晶分子が垂直に配向した状態だけではなく、数
十度程度までチルトした配向状態も含む。
【0077】両基板2,3間の対向間隔を規制するスペ
ーサ6が設けられており、基板2,3間に電極7と液晶
層8とが形成される。両基板2,3間の対向間隔、従っ
て、液晶層8の層厚を規制するスペーサ6としては数μ
mから数mm程度の厚みを持つシート部材或いは同程度
の粒径の粒子、などが用いられ、当該光路偏向素子1′
の有効領域外に設けられることが好ましい。電極7とし
てはアルミニウム、銅、クロムなどの金属、ITOなど
の透明電極などが用いられるが、液晶層8内に均一な水
平電界を印加するためには、液晶層8の厚みと同程度の
厚みを持つ金属シートを用いることが好ましく、当該光
路偏向素子1′の有効領域外に設けられている。図1で
はより好ましい例として、スペーサ6と金属シート部材
とが共通であり、電極兼用のスペーサとされ、金属シー
ト部材の厚みにより液晶層8の厚みが規定される。液晶
層8としてはキラルスメクチックC相を形成可能な液晶
が用いられる。電極7間に電圧を印加することで、液晶
層8の水平方向に電界が印加される。
【0078】ここで、スメクチックC相を形成可能な液
晶層8に関して詳細に説明する。「スメクチック液晶」
は液晶分子の長軸方向を層状に配列してなる液晶層であ
る。このような液晶に関し、液晶層の法線方向(層法線
方向)と液晶分子の長軸方向とが一致している液晶を
「スメクチックA相」、法線方向と一致していない液晶
を「スメクチックC相」と呼んでいる。スメクチックC
相よりなる強誘電液晶は、一般的に外部電界が働かない
状態において各層毎に液晶ダイレクタ方向が螺旋的に回
転しているいわゆる螺旋構造をとり、「キラルスメクチ
ックC相」と呼ばれる。また、キラルスメクチックC相
反強誘電液晶は各層毎に液晶ダイレクタが対向する方向
を向く。これらのキラルスメクチックC相よりなる液晶
は、不斉炭素を分子構造に有し、これによって自発分極
しているため、この自発分極Psと外部電界Eにより定
まる方向に液晶分子が再配列することで光学特性が制御
される。なお、本実施の形態等では、液晶層8として強
誘電液晶を例に採り光偏向素子1の説明を行うが、反強
誘電液晶の場合にも同様に使用することができる。
【0079】キラルスメクチックC相はスメクチックA
相やネマチック液晶に比較して極めて高速な応答性を有
しており、サブmsでのスイッチングが可能である点が
特徴である。特に、電界方向に対して液晶ダイレクタ方
向が一義的に決定されるため、スメクチックA相よりな
る液晶に比べダイレクタ方向の制御が容易であり、扱い
やすい。
【0080】ホメオロトピック配向をなすスメクチック
C相よりなる液晶層8は、ホモジニアス配向(液晶ダイ
レクタが基板面に平行に配向している状態)をとる場合
に比べて、液晶ダイレクタの動作が基板からの規制力を
受けにくく、外部電界方向の調整で光路の偏向方向の制
御が行いやすく、必要電界が低いという利点を有する。
また、液晶ダイレクタがホモジニアス配向している場
合、電界方向だけでなく基板面に液晶ダイレクタが強く
依存するため、光路偏向素子の設置についてより位置精
度が求められることになる。逆に、本実施の形態のよう
なホメオロトピック配向の場合は、光偏向に対して光路
偏向素子1′のセッティング余裕度が増す。これらの特
徴を活かす上で、厳密に螺旋軸を基板面に垂直に向ける
必要はなく、或る程度傾いていても差し支えない。液晶
ダイレクタが基板2,3からの規制力を受けずに2つの
方向を向くことが可能であればよい。
【0081】本実施の形態の光路偏向素子にも適用され
る、このような光路偏向素子1′の動作原理について図
2を参照して説明する。図2は、図1に示した構成に関
して電界方向と液晶分子9の傾斜方向との関係を模式的
に示したものである。楔形状で示す液晶分子9の幅が広
く描いてある側が紙面上側(手前側)、幅が狭く描かれ
ている側が紙面下側(奥側)に傾いている様子を示して
いる。また、液晶の自発分極Psを矢印で示してある。
電界の向きが反転すると、略垂直配向した液晶分子9の
チルト角の方向が反転する。ここでは、自発分極Psが
正の場合について矩形電圧電源10からの電界印加方向
と液晶分子9のチルト方向との関係を図示している。
【0082】図3は光路偏向動作の原理を説明するため
に、液晶分子9の配向状態を模式的に示したものであ
り、垂直配向膜4,5、スペーサ6、電極7は省略して
ある。図3では便宜上紙面表裏方向に電圧印加されるよ
うに描き、電界は紙面表裏方向に作用する。電界方向は
目的とする光の偏向方向に対応して矩形電圧電源10
(図2参照)により切換えられる。また、光路偏向素子
1′に対する入射光は直線偏光である。
【0083】図3(a)のように紙面奥側から手前側方
向への電界が印加された場合、液晶分子9の自発分極P
sが正ならば液晶ダイレクタが図右上がりに傾斜した分
子数が増加し、液晶層8としての平均的な光学軸も図右
上がり方向に傾斜して複屈折板として機能する。キラル
スメクチックC相のらせん構造が解ける閾値電界以上で
は、全ての液晶ダイレクタがチルト角θを示し、光学軸
が上側に角度θで傾斜した複屈折板となる。異常光とし
て左側から入射した直線偏光は上側に平行シフトする。
ここで、液晶分子9の長軸方向の屈折率をne、短軸方
向の屈折率をno、液晶層8の厚み(ギャップ)をdと
するときシフト量Sは、 S=[{(1/no)2−(1/ne)2}sin(2θ)・d] ÷[2((1/ne)2sin2θ+(1/no)2cos2θ)] ………(1) の式で表される(例えば、「結晶光学」応用物理学会、
光学懇話会編、p198参照)。
【0084】同様に、図3(b)のように電極への印加
電圧を反転して紙面奥側へ向けた電界が印加された場
合、液晶分子9の自発分極Psが正ならば液晶ダイレク
タは図右下がりに傾斜し、光学軸が下側に角度θで傾斜
した複屈折板として機能する。異常光として左側から入
射した直線偏光は下側に平行シフトする。電界方向の反
転によって、2S分の光路偏向量が得られる。
【0085】このような光路偏向方式では、一対の電極
に対応した一方向のみの光路偏向動作しか行うことがで
きない。例えば、X方向とY方向との2方向への偏向動
作を行う場合には、少なくもと2つの光路偏向素子1′
が必要であり、基板の数が増えることによる透過率の低
下や解像度の低下が懸念される。
【0086】そこで、本実施の形態では、基板2,3、
配向膜4,5、液晶層8、電極7などは上述の図1と同
様なものを用いることができるが、電極の形状、数、配
置並びに電圧印加方法などに特徴がある。図4を参照し
て本実施の形態の光路偏向素子1の構成例について説明
する。
【0087】まず、本実施の形態では、後述する画像表
示装置等への適用を想定し、液晶層8を通る光路の有効
領域11が例えば矩形状に設定された光路偏向素子1へ
の適用例を示し、基板2,3等も有効領域11よりも一
回り大きな矩形形状のものが用いられている。もっと
も、基板2,3の形状が有効領域11の形状と同じであ
る必要はない。また、このような液晶層8の有効領域1
1を取り囲むように直交する2方向(X,Y方向とす
る)の相対向する位置には2組(=4個)の電極群1
2,12′、13,13′が配設されている。各電極群
12,12′、13,13′は、有効領域11の各辺に
沿って各々形成されたもので、何れも当該有効領域11
を取り囲む方向(辺に沿う方向)にn個に分割された複
数の分割電極により構成されている。即ち、電極群12
は、分割電極X1,X2,…,Xnより構成され、同様
に、電極群12′は分割電極X′1,X′2,…,X′
n、電極群13は分割電極Y1,Y2,…,Yn、電極
群13′は分割電極Y′1,Y′2,…,Y′nにより
構成されている。
【0088】このような構成の光路偏向素子1に対し
て、外部からの電気的な操作により、各電極群12,1
2′,13,13′内の個々の分割電極には、独立かつ
択一的に、略一定な単一極性電位、接地電位或いは段階
的に変化する電位となるような電圧印加が可能とされて
いる。
【0089】いま、一例として、図5に例示するよう
に、目的とする偏向方向に応じて電極群12の分割電極
X1〜Xnの全てに印加する電圧が単一極性電圧V1
(一定値)に設定された場合、相対向して組をなす電極
群12′の分割電極X'1〜X'nの全ても略一定電圧値
に設定される。ここでは分割電極X'1〜X'nの電位は
ゼロボルト(接地)に設定される。このようにY方向に
対向してX方向に組をなす電極群12,12′間への電
位差V1の電圧印加により、図5中に矢印で示すよう
に、液晶層8には光路に直交する方向の偏向用の電界が
作用することになる。このような偏向用の電界を作用さ
せるための電圧印加が偏向用電圧印加手段(ここでは、
図示せず)により行われる。この場合の動作原理は、分
割電極構造の場合であっても、図2により説明した場合
と基本的には同様である。このようなX方向に組をなす
2つの電極群12,12′間に電位差によって電界が発
生するが、電極群12,12′の間隔が比較的広い場合
には均一な電界を形成することは困難になる。特に、電
極群13,13′がY方向に沿って連続した1枚電極の
場合には、有効領域11に臨んでいる当該1枚電極の全
長に亘って(1辺相当の長さに亘って)等電位となって
しまうため、偏向用の電界の両側付近に対してその均一
性を乱してしまうこととなり、有効領域11全域に亘っ
て均一な電界が得られなくなってしまう。
【0090】そこで、本実施の形態では、目的とする偏
向方向に応じて選択的に一方の組の相対向する電極群、
例えば12,12′間に電圧を印加して液晶層8に光路
に直交する方向の偏向用の電界を作用させる偏向時に
は、他方の組の電極群、例えば13,13′により強制
的に偏向用の電界方向の電位勾配を持たせることを基本
とする。その一例として、例えば、図5中に示すよう
に、他方の組の電極群、例えば13,13′内の各分割
電極Y1〜Yn及びY'1〜Y'nに対して図中、上側か
ら段階的に電圧値がV1からゼロに変化するような段階
的に電圧値が変化する電圧を印加することで、有効領域
11の周囲及び内部に強制的に所望の電位分布を形成さ
せるものである。このような電圧印加は、補助電圧印加
手段(ここでは、図示せず)により行われる。
【0091】ここで、より詳細には、有限の幅を持った
各分割電極近傍では電位は一定となり分割電極間のみ電
界が発生するため、電極群13,13′の分割電極Y1
〜Yn及びY'1〜Y'nの近傍では図5中に示すように
階段状の電位分布が形成されてしまう。しかし、電極群
13,13′からある程度の距離が離れた有効領域11
内ではこのような階段状の電位分布が鈍り、縦方向(Y
方向)に略均一な電界が形成される。また、電極群1
2,12′の各分割電極X1〜Xn及びX'1〜X'nで
は略均一な電圧が印加されているが、各分割電極間では
周囲の電位の影響を受けて僅かに電位変化が生じるた
め、厳密には図5中に示すように僅かに不均一な電位分
布となる。しかし、電極群12,12′からある程度の
距離が離れた有効領域11内では電位分布が鈍り、横方
向の電界は発生しない。従って、有効領域11内にはそ
の全域に亘って図中下方向に均一な電界が発生する。こ
こで、図2の場合と同様に液晶分子9の傾斜状態をモデ
ル的に図示すると、図5中、左側に光学軸が傾斜した状
態となる(自発分極Psが正の場合)。
【0092】図5に示す状態は、一例を示すものであ
り、図5に示す例に加えて、2組(4つ)の電極群1
2,12′,13,13′への電圧印加状態を3種類切
換えることで、図6(a)〜(c)に示すように光学軸
の傾斜方向、従って、光路偏向素子1による光路偏向方
向を上下左右(±X,±Y方向)の4方向に切換えるこ
とができる。
【0093】即ち、図6(a)は組をなす電極群13,
13′については偏向用電圧印加手段により電極群13
の分割電極Y1〜Ynの全てに単一極性電圧V1(一定
値)、電極群13′の分割電極Y′1〜Y′nの全てに
ゼロボルト(接地)を印加し、他方の組をなす電極群1
2,12′については補助電圧印加手段により各分割電
極X1〜Xn及びX'1〜X'nに対して図中、左側から
段階的に電圧値がV1からゼロに変化するような段階的
に電圧値が変化する電圧を印加した場合を示す。これに
より、図6中、光学軸が下側に傾斜した状態となる(自
発分極Psが正の場合)。
【0094】図6(b)は組をなす電極群12,12′
については偏向用電圧印加手段により電極群12′の分
割電極X′1〜X′nの全てに単一極性電圧V1(一定
値)、電極群12の分割電極X1〜Xnの全てにゼロボ
ルト(接地)を印加し、他方の組をなす電極群13,1
3′については補助電圧印加手段により各分割電極Y1
〜Yn及びY'1〜Y'nに対して図中、下側から段階的
に電圧値がV1からゼロに変化するような段階的に電圧
値が変化する電圧を印加した場合を示す。これにより、
図6中、光学軸が右側に傾斜した状態となる(自発分極
Psが正の場合)。
【0095】図6(c)は組をなす電極群13,13′
については偏向用電圧印加手段により電極群13′の分
割電極Y′1〜Y′nの全てに単一極性電圧V1(一定
値)、電極群13の分割電極Y1〜Ynの全てにゼロボ
ルト(接地)を印加し、他方の組をなす電極群12,1
2′については補助電圧印加手段により各分割電極X1
〜Xn及びX'1〜X'nに対して図中、右側から段階的
に電圧値がV1からゼロに変化するような段階的に電圧
値が変化する電圧を印加した場合を示す。これにより、
図6中、光学軸が上側に傾斜した状態となる(自発分極
Psが正の場合)。
【0096】つまり、どの組の電極群間に偏向用の電圧
を印加させるかは、目的とする偏向方向に応じて選択的
かつ択一的なものであり、この結果に応じて他方の組の
電極群に対する段階的な電圧印加も設定される。
【0097】なお、特に図示しないが、各電極群12,
12′,13,13′が本実施の形態のような分割電極
構成の場合、偏向用の電界を形成するための電圧が印加
されない方の他方の組の電極群に関しては、各分割電極
に段階的に変化する電圧を印加せずに、フロート状態に
浮かすだけでもよい。この場合でも、各電極群が連続し
た1枚電極ではなく、有効領域11に沿って複数の分割
電極に分割されているので、このような分割電極が有効
領域11に臨んでいても当該他方の組の電極群により強
制的に偏向用の電界方向の電位勾配を階段状に持たせる
ことができ、有効領域11内の電界の均一化を図れる。
これによれば、補助電圧印加手段を要せず、比較的簡単
に実現可能となる。
【0098】本発明の第二の実施の形態を図7及び図8
に基づいて説明する。第一の実施の形態で示した部分と
同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する(以
降の各実施の形態でも同様とする)。
【0099】本実施の形態の光路偏向素子21では、図
5に示したような光路偏向素子1の構成に加えて、各電
極群12,12′,13,13′の各分割抵抗間に同一
抵抗値の抵抗Rが設けられ、これらの抵抗Rを直列に接
続した直列抵抗群22,22′,23,23′が設けら
れている。即ち、n個の分割電極からなる各電極群1
2,12′,13,13′に対応させて、各直列抵抗群
22,22′,23,23′は、(n−1)個の抵抗R
を直列に接続した構成とされている。各直列抵抗群2
2,22′,23,23′の両端の端子間には電圧印加
回路24,24′,25,25′が接続されている。こ
のような光路偏向素子21及び電圧印加回路24,2
4′,25,25′により光路偏向装置26が構成され
ている。
【0100】ここに、何れの電圧印加回路24,2
4′,25,25′も同じ回路構成であって、偏向用電
圧印加手段と補助電圧印加手段との機能を併せ持ち、電
気的な切換えにより何れか一方の手段の機能を択一的に
発揮するように構成されている。
【0101】例えば、一例として電圧印加回路25の構
成例を説明する。まず、電極群13(直列抵抗群23)
の両端の端子T1,T2間に交流電圧を印加するには、
一端を接地し他端に正負極性の電圧を印加する方式が一
般的であるが、本実施の形態では、図5(図6(a),
(c))で説明したように、偏向用電圧印加手段として
機能させ電極群13(直列抵抗群23)の両端の端子T
1,T2間に同一の電位V1又は0Vを与える必要があ
り、一般的な交流電源では対応できない。そこで、本実
施の形態では、電圧印加回路25は電圧V1の直流電源
27と4つのスイッチSW1〜SW4との組合せ回路と
して構成され、スイッチSW1〜SW4の開閉の組合せ
により、端子T1,T2に電圧V1の印加と接地とを独
立して切換え制御できるように構成されている。即ち、
スイッチSW1は端子T1に電圧V1を印加させるか否
かを切換え、スイッチSW2は端子T1を接地に接続す
るか否かを切換え、スイッチS3は端子T2に電圧V1
を印加させるか否かを切換え、スイッチSW4は端子T
2を接地に接続するか否かを切換えるものである。これ
により、スイッチSW1,SW3が共に閉じられた時、
又は、スイッチSW2,SW4が共に閉じられた時に
は、当該電圧印加回路25は偏向用電圧印加手段として
機能し、スイッチSW1,S4が共に閉じられ、又は、
スイッチSW3,S2が共に閉じられた時には、当該電
圧印加回路25は補助電圧印加手段として機能すること
となる。
【0102】ちなみに、図7に示す例では、スイッチS
W1,SW4が共に閉じられており、電圧印加回路25
は補助電圧印加手段として機能する場合を示している
(図5に示した場合に類似する)。これにより、直列抵
抗群23の両端間に電圧V1を印加すれば、この電圧V
1が(n−1)個の抵抗Rにより分圧されるので、その
まま各分割電極Y1〜Ynに対して段階的に変化する電
圧を印加することができる。この結果、各分割電極Y1
〜Ynに対して個別に独立して電圧値の異なる電源を接
続して段階的に変化する電圧を印加する構成に比べて、
回路構成が簡単で済み、低コストにて実現可能となる。
【0103】つまり、本実施の形態の光路偏向素子21
の場合、目的とする偏向方向に応じて選択的に一方の組
の相対向する電極群間に電圧印加回路により電圧V1を
印加して液晶層8に光路に直交する方向の偏向用の電界
を作用させる偏向用電圧印加ステップと、この偏向用電
圧印加ステップの電圧印加による偏向時に、他方の組の
電極群の直列抵抗群の両端間に電圧印加回路により電圧
V1を印加して強制的に偏向用の電界方向の電位勾配を
持たせる補助電圧印加ステップとを実行させることによ
り、偏向方向が何れの方向であっても、有効領域11全
域について均一な電界を形成することができ、有効領域
11全域について均一な光路偏向が可能となる。
【0104】ところで、電圧印加回路25中に設けるス
イッチSW1〜SW4としては、耐電圧が高く、高速動
作が可能なものを用いることが好ましい。その具体例を
挙げると、例えば、図8に示すようにスイッチSW1〜
SW4をフォトカプラPC1〜PC4により構成すれば
よい。
【0105】本発明の第三の実施の形態を図9に基づい
て説明する。本実施の形態は、前述した第二の実施の形
態を改良したもので、光路偏向素子21に関しては、隣
接する電極群(直列抵抗群)の端部同士が電気的に接続さ
れている。即ち、直列抵抗群22,23の端部同士、直
列抵抗群23,22′の端部同士、直列抵抗群22′,
23′の端部同士、直列抵抗群23′,22の端部同士
が各々接続部28a〜28dとして電気的に接続されて
いる。これらの接続部28a〜28dに対しては、電圧
V1なる単一極性電位と接地とで切換え自在とされてい
る。具体的には、図7中に示した電圧印加回路24,2
4′が省略され、電圧印加回路25,25′のみとされ
ている(逆に、電圧印加回路25,25′を省略し、電
圧印加回路24,24′のみとしてもよい)。電圧印加
回路25,25′自体の構成は図7の場合と同様であ
る。
【0106】この結果、電圧印加回路25,25′は、
電極群12,12′(直列抵抗群22,22′)に対し
て偏向用電圧印加手段として機能する時には、電極群1
3,13′(直列抵抗群23,23′)に対しては補助
電圧印加手段として機能し、逆に、電極群13,13′
(直列抵抗群23,23′)に対して偏向用電圧印加手
段として機能する時には、電極群12,12′(直列抵
抗群22,22′)に対しては補助電圧印加手段として
機能するものであり、2つの電極群に対して兼用される
こととなる。
【0107】即ち、図7に示した構成例では、各電極群
12,12′,13,13′毎に4つの電圧印加回路2
4,24′,25,25′を設けたが、図5に示した原
理のように電界を印加する場合は、光路偏向素子21の
4隅の電位を独立に設定できれば良いので、図9に示す
ように、隣接する電極群の端部の電極間を各々接続部2
8a〜28dとして電気的に接続することで、電源回路
の数を2組に減らすことができる。また、図9では直流
電源27と4つのスイッチSW1〜SW4からなる回路
を一つの電圧印加回路25,25′としているが、これ
らの電圧印加回路25,25′に関して直流電源27を
共用し、4つのスイッチSW1〜SW4部分のみを別個
に2組設ける構成としてもよい。これによれば、より一
層電源を減らすことができる。
【0108】本発明の第四の実施の形態を図10に基づ
いて説明する。前述したように、各電極群12,1
2′,13,13′を複数の分割電極により構成する場
合、有効領域11内の電位分布の均一性を向上させるた
めには、各分割電極の電極幅は極力狭くて電極数は極力
多いことが好ましい。しかし、光路偏向素子1又は21
の構成を簡略化して低コスト化を実現するためは、分割
電極の数を減らす必要がある。分割電極の数を減らす
と、分割電極間の位置での電位低下が現れるが、対向す
る分割電極の位置が全く一致している場合には分割電極
間の位置同士も重なるため、電界の均一性の低下が顕著
となる。そこで、本実施の形態では、図10に示すよう
に、相対向して組をなす電極群12,12′内、電極群
13,13′内の個々の分割電極が互いにずれた交互の
位置に配置させるようにしたものである。
【0109】このような構成によれば、分割電極間の位
置が対向する分割電極の位置に対応することとなり、電
位低下の影響が小さくなり、有効領域11内の電界の均
一性が向上する。
【0110】本発明の第五の実施の形態を図11に基づ
いて説明する。前述したように、各電極群12,1
2′,13,13′を複数の分割電極により構成する場
合、有効領域11内の電位分布の均一性を向上させるた
めには、各分割電極の電極幅は極力狭くて電極数及び抵
抗Rの数は極力多いことが好ましい。
【0111】本実施の形態の光路偏向素子31では、こ
のような点を考慮し、理想的に電極幅を極限まで狭く
し、抵抗数を無限大に増やすために、有効領域11を取
り囲む方向に各々連続させた抵抗体電極32により各電
極群12,12′,13,13′を構成したものであ
る。各抵抗体電極32の両端には電圧印加用の電極33
が各々設けられている。つまり、各電極群を抵抗体とし
て連続的に形成したものである。
【0112】抵抗体電極32としては、カーボンブラッ
ク、酸化スズ系、酸化インジウム系などの導電性粉末の
樹脂分散膜やITO膜を用いることができる。本実施の
形態の抵抗体層の機能は、有効領域11の周囲に沿って
所望の電位勾配を形成させるためのものであり、通電し
た時の発熱量が小さい条件で使用することが好ましい。
【0113】有効領域11に沿った位置に抵抗体電極3
2を設けているので、抵抗体電極32の両端部に電極3
3を通じて電圧を印加して通電することで、抵抗体電極
32が電極群として機能し、抵抗体電極32近傍の液晶
層8内(有効領域11)に図11中に示すような連続的
な電位勾配を形成することができる。この連続的な電位
勾配により有効領域11には均一な電界分布が得られ
る。
【0114】つまり、本実施の形態の光路偏向素子31
によれば、目的とする偏向方向に応じて選択的に一方の
組の相対向する電極群間に電圧V1を印加して液晶層8
に光路に直交する方向の偏向用の電界を作用させる偏向
用電圧印加ステップと、この偏向用電圧印加ステップの
電圧印加による偏向時に、他方の組の電極群の抵抗体電
極32の両端間に電圧V1を印加して強制的に偏向用の
電界方向の連続的な電位勾配を持たせる補助電圧印加ス
テップとを実行させるだけで、偏向方向が何れの方向で
あっても、有効領域11全域について均一な電界を形成
することができ、有効領域11全域について均一な光路
偏向が可能となる。
【0115】本発明の第六の実施の形態を図12に基づ
いて説明する。
【0116】前述した各実施の形態では、有効領域11
周囲の電極群12,12′,13,13′に電位分布を
与えることで有効領域11内の電位分布を制御している
が、有効面積が大きくなると電極群12,12′,1
3,13′からの距離が離れた位置での制御性が悪くな
り電界の均一性が低下する。
【0117】そこで、本実施の形態の光路偏向素子41
は、図12に示すように、基板2,3と垂直配向膜4,
5との間に透明抵抗体層42,43を全面的に設け、各
電極群12,12′,13,13′と透明抵抗体層4
2,43とを電気的に接続した構成とされている。な
お、透明抵抗体層42,43は何れか一方のみでもよ
い。
【0118】透明抵抗体層42,43としては、酸化ス
ズ系、酸化インジウム系などの導電性粉末の樹脂分散膜
やITO膜を用いることができる。本実施の形態の透明
抵抗体層42,43の機能は、有効領域11内部の基板
面に沿って所望の電位勾配を形成させるためのものであ
り、通電した時の発熱量が小さい条件で使用することが
好ましい。ここで、透明抵抗体層42,43の表面抵抗
をRs[Ω/□]、電極群間の距離をa[cm]、電極
群の長さをb[cm]とすると、透明抵抗体層42,4
3全体の抵抗R[Ω]はR=a/b×Rsになる。この
ような透明抵抗体層42,43にE[V]の電圧を印加
すると、E/Rの電力P[W]を消費する。電流I
[A]は、I=E/Rで求められる。透明抵抗体層4
2,43の面積はa×bだからP/(a×b)で得られ
る単位面積当たりの消費電力Pd[W/cm]は、温
度上昇を予測するための特性値となる。本実施の形態で
は、1cm当たり数百ボルトから数キロボルトの電位差
を印加するため、発熱を抑えるためには抵抗値を大きく
する必要がある。単位面積当たり消費電力が0.01W
/cm程度ならば、温度上昇は10℃以下程度に抑え
られる。
【0119】例えば、素子の面積を3cm×4cmと
し、表面抵抗値Rs=1×10Ω/□、電極群間の距
離を3cm、電極群の長さを4cmとした時、透明抵抗
体層42,43の抵抗値は1.33×10Ωになる。
この距離3cmの間に3000Vの電圧を印加すると2
2.5μAの電流が流れる。この時、全体で約0.07
W、単位面積当たり約0.006W/cmの電力を消
費する。この程度ならば発熱は実用上問題ない。従っ
て、表面抵抗値が1×10Ω/□程度以上の高抵抗の
透明抵抗体層42,43を用いることが好ましい。これ
に対応した体積抵抗値を考える場合、透明抵抗体層4
2,43の膜厚が0.1μmの時は10Ωcm以上、
膜厚が1μmの時は10Ωcm以上、膜厚が10μm
の時は10Ωcm以上であることが好ましい。このよ
うな高抵抗値の透明抵抗体層42,43としては、帯電
防止塗料などと同様の材料を用いることができる。この
時、透明抵抗体層42,43の時定数はマイクロ秒以下
であり、数百マイクロ秒周期で電圧を切換えるような用
途では実用上問題ない値である。
【0120】このように透明抵抗体層42,43の周囲
に電極群12,12′,13,13′を接続して通電す
ることで、透明抵抗体層42,43の表面近傍の液晶層
8内(有効領域11)に連続的な電位勾配を形成するこ
とができ、有効面積が比較的広い場合でも、比較的簡単
な構成で有効領域11内の液晶層8の水平方向に均一な
電界分布を与えることができる。
【0121】本発明の第七の実施の形態を図13ないし
図15に基づいて説明する。本実施の形態は、より実際
的な光路偏向装置51の構成例を示すもので、光路偏向
素子52の入射面側に電気的操作によって直線偏光の偏
光方向を回転変更可能な偏光方向切換素子(偏光方向切
換手段)53を付加したものである。ここに、光路偏向
素子52としては、前述した各実施の形態における光路
偏向素子(電圧印加回路を含めて)の何れであってもよ
い。また、液晶層8における液晶の自発分極Ps及び偏
向用の電界の作用により定まる液晶分子9の配向を電圧
印加回路による電圧V1の印加により所定の方向に揃う
状態で、一方の基板面から他方の基板面に向かって液晶
分子9を投影した場合に他方の基板上に投影された液晶
分子9における長軸方向が、この偏光方向切換素子53
により切換え制御される偏光方向と同一方向となるよう
に、電圧印加回路による電圧V1の印加が同期して制御
される。なお、液晶分子9の投影された長軸方向とは、
投影光学軸方向である。図14には一方の基板3(図示
せず)から他方の基板2に投影された液晶分子9の方向
(Cダイレクタ)9bを示す。各液晶分子9が均一な方
向に配向している場合、投影光学軸方向はCダイレクタ
方向9bと一致する。
【0122】例えば、入射光が水平方向の直線偏光の場
合、図13(a)では偏光方向切換素子53は偏光方向
を維持するように動作させ、光路偏向素子52の有効領
域11には下向きの電界が作用するように電圧が印加さ
れている。液晶の自発分極Psが正の場合、光学軸は図
の左側に傾斜する。この時、偏光方向切換素子53を出
た偏光方向と光学軸の傾斜方向(液晶分子9を投影した
場合に他方の基板上に投影された液晶分子9における長
軸方向)とが一致しているので、光路が左側にシフトし
た状態となる。この時のシフト量は上述の(1)式で求
められる。
【0123】次に、図13(b)では偏光方向切換素子
53を偏光方向が90度回転するように動作を切換える
と同時に、光路偏向素子52の有効領域11には右向き
の電界が作用する電圧を印加するように電圧印加回路の
動作を切換える。液晶の自発分極Psが正の場合、光学
軸は図の下側に傾斜する。この時、偏光方向切換素子5
3を出た偏光方向と光学軸の傾斜方向(液晶分子9を投
影した場合に他方の基板上に投影された液晶分子9にお
ける長軸方向)とが一致しているので、光路が下側にシ
フトした状態となる。同様にして、偏光方向切換素子5
3による直線偏光の偏光方向及び光路偏向素子52に対
する電界の作用方向を図13(c),(d)の状態に切
換えることで、光路をX,Yの2方向(±4方向)に平
行シフトさせることができる。
【0124】このように、直線偏光の偏光方向を切換え
る偏光方向切換素子53を光路偏向素子52の入射側に
備えることにより、2つの素子52,53による構成に
より直交するX,Y2方向(±4方向)の偏向方向が設
定できる。即ち、従来のように、X方向光路偏向素子と
偏光面回転素子とY方向光路偏向素子との3つの素子の
組合せ構成に比べて、素子の数が少なく構成要素の界面
の数が少ないので、光透過率の低下やMTFの低下が少
ない光路偏向装置51が得られる。
【0125】偏光方向切換素子53としては、磁場によ
り直線偏光の偏光面が回転するファラデー回転素子や、
図15に示すようなツイスト構造を有する液晶セル54
を用いることができる。この液晶セル54では、2枚の
基板55,56の配向処理方向が直交に配置されてお
り、液晶セル54に電界が印加されていない状態ではツ
イストネマチック液晶層の液晶分子57は厚み方向に9
0度ねじれて配向している。入射基板55側の液晶配向
方向に平行な直線偏光を入射すると、液晶分子57のね
じれに沿って偏光面が回転して出射する。液晶セル54
の厚み方向に電界を印加すると、液晶分子57が基板面
に垂直に配向して入射光に対して等方的になり、偏光面
は回転せずに出射する。特にツイスト構造を有する液晶
セル54は、波長による偏光面回転角のバラツキを比較
的小さく設定可能であるため、多波長よりなる光を扱う
場合に好適である。
【0126】本発明の第八の実施の形態を図16に基づ
いて説明する。本実施の形態は、例えば図13に示した
偏光方向切換素子53として、電界の作用により液晶分
子の配向方向が制御可能な表面安定型強誘電性液晶素子
58を用いるようにしたものである。表面安定型強誘電
性液晶素子58は、特に図示しないが、一対の基板と透
明電極と水平配向膜と基板間のスペーサとキラルスメク
チックC相を形成可能な液晶とにより構成されている。
液晶層の厚みをキラルスメクチックC相の螺旋ピッチ以
下に設定すると、螺旋が解けて表面安定型の配向状態と
なる。
【0127】図16に表面安定型強誘電性液晶素子58
の配向状態の模式図を示す。紙面垂直方向の電界の向き
を切換えると、強誘電性液晶分子59に固有のチルト角
をθとした場合、コーン角2θだけ配向方向が切換わ
る。ここで、図16(a)に示すように入射光の偏光方
向と強誘電性液晶分子59の配向方向とが一致している
状態では、偏光方向は回転せずそのまま出射する。一
方、図16(b)に示すように電界を反転させて強誘電
性液晶分子59を2θ傾斜した状態に切換えると、液晶
層が半波長板として機能し、偏光面が4θだけ回転して
出射される。ここでは、偏光面を90度回転させるため
に、入射光の偏光方向に対して強誘電性液晶分子59の
配向方向が平行状態と約45度傾斜した状態に切換えら
れるように配向処理方向及び液晶材料(チルト角θ=2
2.5°)を設定することが好ましいが、実用上問題な
い範囲であれば、この角度に限定されない。セル厚みは
入射光の波長と強誘電性液晶分子59の複屈折に応じて
適宜設定される。
【0128】このような表面安定型強誘電性液晶素子5
8を用いた場合、高速に偏光方向の切換えが可能な偏光
方向切換素子53が得られ、全体として高速応答の光路
偏向装置51が得られる。
【0129】本発明の第九の実施の形態を図17に基づ
いて説明する。本実施の形態は、前述した第七又は第八
の実施の形態の光路偏向装置51に関して、より実際的
に構成したものである。即ち、前述の第七又は第八の実
施の形態では、偏光方向切換素子53に入射する光が直
線偏光であることを前提に説明したが、無偏光の光を入
射した場合、出射光には偏向を受けない成分を含むた
め、光路偏向の有無に対するコントラストが低下してし
まう。
【0130】そこで、本実施の形態の光路偏向装置51
では、図16のように光路偏向素子52(偏光方向切換
素子53)への入射光の偏光方向を光路の偏向方向(±
4方向のうちの何れか一つの方向)と一致させる偏光方
向制御手段60を設けたものである。偏光方向制御手段
60としては、ヨウ素系偏光板、染料系偏光板、ワイヤ
グリッド偏光板などの直線偏光板を用いることができ
る。また、入射光が円偏光の場合や偏光方向が所望の方
向と異なっている場合には、1/4波長板や1/2波長
板などの位相差板を用いる。直線偏光板と位相差板とを
組合せても良い。位相差板としては水晶や雲母をガラス
板で挟んだものや液晶性ポリマフィルムを用いることが
できる。
【0131】入射光が無偏光或いは円偏光の場合でも、
液晶分子9の傾斜による光路偏向作用を受けない光成分
をカットするので、確実に光路偏向による光スイッチン
グを行うことができる。
【0132】本発明の第十の実施の形態を図18に基づ
いて説明する。本実施の形態は、画像表示装置への適用
例を示す。図18において、71はLEDランプを2次
元アレイ状に配列した照明装置用の光源であり、この光
源71からスクリーン72に向けて発せられる光の進行
方向には拡散板73、コンデンサレンズ74、画像表示
素子としての透過型液晶パネル75、画像パターンを観
察するための光学装置としての投射レンズ76が順に配
設されている。77は光源71に対する光源ドライブ
部、78は透過型液晶パネル75に対する表示駆動手段
としての液晶ドライブ部である。
【0133】ここに、透過型液晶パネル75と投射レン
ズ76との間の光路上にはピクセルシフト素子として機
能する光路偏向装置79が介在されている。この光路偏
向装置79は、前述した各実施の形態で説明したような
構成からなるものであり、その光路偏向素子の有効領域
は透過型液晶パネル75に対応するように設定されてい
る。この光路偏向装置79には電圧印加回路及びこの電
圧印加回路中のスイッチ等を開閉制御する機能を果たす
ドライブ制御部80が接続されている。
【0134】光源ドライブ部77で制御されて光源71
から放出された照明光は、拡散板73により均一化され
た照明光となり、コンデンサレンズ74により液晶ドラ
イブ部78で照明光源と同期して制御されて透過型液晶
パネル75をクリティカル照明する。この透過型液晶パ
ネル75で空間光変調された照明光は、画像光として光
路偏向装置79の有効領域に入射し、この光路偏向装置
79によって画像光が画素の配列方向に任意の距離だけ
シフトされる。この光は投射レンズ76で拡大されスク
リーン72上に投射される。
【0135】ここに、光路偏向装置79により投射光路
をXY2方向の4位置にシフトさせるタイミングと、シ
フト位置に対応した4つのサブフィールド画像を透過型
液晶パネル75に順次表示させるタイミングとを同期さ
せることで、見掛け上4倍に画素数が増倍した高精細な
画像を表示することができる。この場合、光路偏向装置
79によるシフト量は透過型液晶パネル75の画素ピッ
チの1/2に設定される。この際、光路偏向装置79と
して、前述した各実施の形態のような光偏向装置を用い
ているので、光の利用効率を向上させ、光源の負荷を増
加することなく観察者に対してより明るく高品質の画像
を提供できる。光路偏向位置制御を、当該光路偏向素子
における組をなす電極群による電界印加方向及び電界強
度により行うことで、適切なピクセルシフト量が保持さ
れ良好な画像を得ることができる。特に、本発明の光路
偏向素子ないしは光路偏向装置は少ない部品構成でXY
2方向(±4方向)へのシフトが可能であるため、素子
全体の透過率が高く、MTFの劣化も少ないため、高効
率で高解像度の表示画像が得られる。また、有効領域全
域に亘って均一な電界が形成されるので、この電界の作
用による偏向動作も有効領域全域、即ち、透過型液晶パ
ネル75により空間光変調される画像全体について均一
に行わせることができ、より高精細な画像表示に寄与す
る。
【0136】
【実施例】[実施例1] (光路偏向素子及び装置の作製)大きさ3cm×4cm、
厚さ1mmのガラス基板の表面に厚み0.06μmの垂
直(ホメオトロピック)配向膜を形成した。厚み60μ
m、幅0.5mm、長さ1〜2cmのアルミニウム電極
シートをスペーサ兼電極とし、有効領域が約1cm角と
なるように、その周囲の各辺に0.5mm間隔で10本
ずつ配置し、2枚の基板間に挟み込んで、図4に示した
場合と類似の電極群配置のセルを作製した。セルを約9
0℃に加熱した状態で、基板間の空間に強誘電性液晶
(チッソ製CS1029:複屈折Δn=0.16、チル
ト角θ=25°、自発分極Ps=−40nC/cm
を毛管法にて注入した。冷却後、接着剤で封止し、液晶
厚み60μm、有効面積1cm角の光路偏向素子を作製
した。各辺のアルミニウム電極群の分割電極間に対して
図9に示したように200kΩの抵抗Rで接続し、図8
に示したようなフォトカプラを用いた電圧印加回路に接
続した。
【0137】(光学軸の観察)無電界の状態で、この光路
偏向素子の有効領域内の液晶層のコノスコープ像を観察
したところ、十字形と円環の画像が中心部に観察され
た。従って、無電界下では光学軸が液晶層に垂直である
ことを確認できた。この状態では液晶分子のチルト方向
が基板面に垂直方向に対して回転する螺旋構造をとって
おり、平均的な光学軸は螺旋軸の方向である基板面に垂
直な方向として観察される。
【0138】次に、直流電源V1の出力を2000Vに
設定し、パルスジェネレータからフォトカプラの駆動信
号を発生させ、図5で説明したように素子の4隅の内の
上側左右2箇所に2000Vが印加され、下側左右2箇
所が接地される状態とした。同様にコノスコープ像を観
察すると十字と円環の位置が右側にシフトした。これは
本実施例では用いた強誘電性液晶の自発分極Psが負で
あるため、図5の場合とは反対側に光学軸が傾斜してい
ることを示している。顕微鏡の対物レンズのNA値と液
晶の屈折率と十字位置のシフト量から光学軸の傾斜角度
を計算すると約25°となり、この液晶材料固有のチル
ト角θと一致していることが確かめられた。従って、2
00V/mm程度の電界強度では螺旋構造が解けて一様
な方向に液晶分子が配向した状態であると考えられる。
【0139】同様にして4隅に印加する電圧のパターン
を変化させたところ、コノスコープ像の十字と円環の位
置も対応して上下左右に移動し、光学軸がXY2方向の
4位置に傾斜可能であることが確認できた。有効面積内
の数箇所について同様な観察を行ったところ、位置によ
って光学軸の傾斜方向と傾斜角度に10%以内のバラツ
キがあったが、実用上問題ないレベルと判断した。
【0140】従って、単一セルで2方向(±4方向)以
上への光学軸の偏向が可能な光路偏向素子及び光路偏向
装置が得られた。
【0141】[実施例2] (光路偏向素子及び装置の作製)大きさ3cm×4cm、
厚さ1mmのガラス基板の表面に厚さ1μmの透明導電
性塗料を塗布した。透明導電性塗料には、1次粒径が
0.01μm以下の酸化スズ系粉末をポリエステル樹脂
に分散したものを用いた。分散濃度や塗布後の乾燥条件
を調整し、表面抵抗値が1×10Ωとなるように設定
した。この透明導電性膜の可視光透過率は90%以上で
あった。この表面に厚み0.06μmの垂直(ホメオト
ロピック)配向膜を形成した。その後、基板端部の配向
膜を除去し、透明導電性膜が表面に出ている部分を形成
した。厚み60μm、幅0.5mm、長さ0.5〜1c
mのアルミニウム電極シートをスペーサ兼電極とし、有
効領域が約2cm角となるように、その周囲の各辺に
0.5mm間隔で20本ずつ配置し、2枚の基板間に挟
み込んで、図12に示した場合と類似の電極群配置のセ
ルを作製した。セルを約90℃に加熱した状態で、基板
間の空間に強誘電性液晶(チッソ製CS1029:複屈
折Δn=0.16、チルト角θ=25°、自発分極Ps
=−40nC/cm)を毛管法にて注入した。冷却
後、接着剤で封止し、液晶厚み60μm、有効面積2c
m角の光路偏向素子を作製した。各辺のアルミニウム電
極群を200kΩの抵抗で接続し、図8に示したような
フォトカプラを用いた電圧印加回路に接続した。
【0142】(光学軸の観察)直流電源V1の出力を40
00Vに変更した以外は実施例1と同様にして光学軸の
傾斜状態を観察した。コノスコープ像の十字と円環の位
置も対応して上下左右に移動し、光学軸がXY2方向の
4位置に傾斜可能であることが確認できた。また、有効
面積内の数箇所について同様な観察を行ったところ、位
置によって光学軸の傾斜方向と傾斜角度に5%以内のバ
ラツキがあったが、実用上問題ないレベルと判断した。
有効領域の面積が大きいにも関わらず、面内での光学軸
傾斜方向の均一性が向上していることが確かめられた。
【0143】[実施例3] (偏光方向切換素子の作製)大きさ3cm×4cm、厚さ
1mmのITO付きガラス基板のITO面に厚み0.1
μmの絶縁膜と厚み0.06μmの水平(ホモジニア
ス)配向膜を形成した。配向膜をラビング処理後、2枚
の基板間に直径1.7μmの球形スペーサを100個/
mmの密度で散布し、有効領域が2cm角のセルを作
製した。セルを約90℃に加熱した状態で、基板間の空
間に上記と同様の強誘電性液晶(チッソ製CS102
9)を毛管法にて注入した。冷却後、接着剤で封止し偏
光面回転素子を作製した。2枚の基板のITO電極間に
±10Vが印加可能な電源を接続した。直交した偏光板
の間で液晶分子の配向方向の切換え状態を観察したとこ
ろ、電界の反転により基板に平行配向した液晶分子の配
向方向が約50°傾斜し、この液晶材料固有のチルト角
の2倍のコーン角2θと一致していることが確かめられ
た。偏光面を90°回転させるためにはコーン角が45
°あることが理想であるが、50°でも実用上問題ない
と判断した。また、電界反転時の配向方向の切換え時間
は10V印加時に0.12msecであり、高速応答で
あることが確かめられた。
【0144】(光路偏向動作の確認)このような偏光方向
切換素子と光路偏向素子とを図13に示したような配置
関係で貼り合わせて、光路偏向装置を作製した。この
際、偏光方向切換素子の液晶配向方向の一方と、光路偏
向素子の電界印加方向の一方とが一致するように配置し
た。光路偏向素子の入射面側に開口部5μm角、ピッチ
20μmのマスクパターンを設け、このマスクパターン
を通して直線偏光で照明した。直線偏光の向きは、偏光
面回転素子の液晶配向方向の一方と同一となるように設
定した。実施例1と同様に光路偏向素子への電圧印加パ
ターンを切換えると同時に、偏光方向切換素子への電圧
極性を切換えながら、マスクパターンを透過した光を光
路偏向素子の有効領域を通して顕微鏡で観察した。
【0145】電圧印加パターンは図13(a)から図1
3(d)のように1秒毎に順次切換えた。素子中央部で
は開口パターンが上下左右の方向に約9μmのシフト量
で揺動して観察された。マスクパターンや光路偏向素
子、顕微鏡は機械的に静止しているので、電気光学的に
XY2方向への光路シフトが可能であることが確認でき
た。また、高速度カメラを用いて開口パターンが移動す
る様子を観察して応答時間を測定したところ、0.4m
sであった。強誘電性液晶材料を用いているため充分速
い応答速度が得られることが確かめられた。
【0146】[実施例4]図18に示したような画像表
示装置を作製した。画像表示素子として対角0.9イン
チXGA(1024×768ドット)のポリシリコンT
FT液晶パネルを用いた。画素ピッチは縦横ともに約1
8μmである。画素の開口率は約50%である。また、
画像表示素子の光源側にマイクロレンズアレイを設けて
照明光の集光率を高める構成とした。本実施例では、光
源としてRGB3色のLED光源を用い、上記の1枚の
液晶パネルに照射する光の色を高速に切換えてカラー表
示を行う、いわゆるフィールドシーケンシャル方式を採
用している。本実施例では、画像表示のフレーム周波数
が30Hz、ピクセルシフトによる4倍の画素増倍のた
めのサブフィールド周波数が4倍の120Hzとした。
1つのサブフレーム内をさらに3色分に分割するため、
各色に対応した画像を360Hzで切換える。液晶パネ
ルの各色の画像の表示タイミングに合わせて、対応した
色のLED光源をON/OFFすることで、観察者には
フルカラー画像が見える。
【0147】光路偏向素子の構成は実施例3と同様であ
るが、液晶パネルを出射した光の偏光方向が偏光方向切
換素子の液晶配向方向の一方と同一となるように設置し
た。また、光路偏向素子への入射光の偏光度を確実にす
るために、光路偏向素子の入射面側に直線偏光板を設け
た。
【0148】パルスジェネレータによってフォトカプラ
のスイッチングタイミングを制御して、電圧印加パター
ンが図13(a)から図13(d)のように8.3ms
ec毎に順次切換えるように設定した。光路シフト位置
の切換えタイミングに同期して、画像表示素子に表示す
るサブフィールド画像を120Hzで書き換えること
で、縦横2方向に見掛け上の画素数が4倍に増倍した高
精細画像が表示できた。光路偏向素子の切換え時間は約
0.4msecであり、充分な光利用効率が得られた。
また、フリッカーなどは観測されなかった。また、スク
リーン面にCCDを配置して、CCD上に画像を結像さ
せて画素の形状を観察した。ここで、2画素周期のライ
ン/スペース画像(1画素幅の白表示ラインと1画素幅
の黒表示ラインが交互に並んだ画像)を表示し、白部の
輝度をImax、黒部の輝度をIminとして、コント
ラスト・トランスファー・ファンクション(CTF)=
(Imax−Imin)/(Imax−Imin)を求
めた。一般に光学素子の変調伝達関数(MTF)の値が
小さいと画素の形状が鈍って、隣接した表示画素部と非
表示画素部の輝度コントラストが低下し、CTF値が小
さくなる。本実施例ではCTF値は0.8であり、画素
形状が比較的シャープな高精細画像が表示できることが
確かめられた。
【0149】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、基本的
に、ホメオトロピック配向をなすキラルスメクチックC
相の強誘電性又は反強誘電性の液晶層に対してこの液晶
層を通る光路に直交する方向の偏向用の電界を作用させ
ることにより、液晶分子の傾斜角度や傾斜方向が変化し
て平均的な光学軸の傾斜方向を制御することができ、こ
の際、液晶層を通る光路の有効領域を取り囲むように直
交する2方向の相対向する位置に各々配設された2組の
電極群を用意しておき、目的とする偏向方向に応じてこ
の偏向用の電界を作用させる電極群の組を選択的に切換
えることにより、電気的な操作により直交する2方向に
偏向方向を切換えることができ、また、このような偏向
用電圧印加手段の電圧印加による偏向時に、他方の組の
電極群に関しては、強制的に偏向用の電界方向の電位勾
配を持たせることにより、偏向用の電界がこれらの他方
の組の電極群により乱されることがなくなり、よって、
有効領域全体に亘って均一な電界を形成することができ
る。
【0150】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の発明を実現する上で、各電極群を複数の分割電極か
らなる分割構造とし、偏向用電圧印加手段の電圧印加に
よる偏向時に、他方の組の電極群内の個々の分割電極に
対して段階的に電圧値が変化する電圧を印加するように
したので、当該他方の組の電極群により強制的に偏向用
の電界方向の電位勾配を持たせることができ、比較的簡
単に実現することができる。
【0151】請求項3記載の発明によれば、請求項1記
載の発明を実現する上で、各電極群を複数の分割電極か
らなる分割構造とし、かつ、電極群毎に各々隣接する分
割電極間に設けられた抵抗を直列に接続した直列抵抗群
を備える構成とし、偏向用電圧印加手段の電圧印加によ
る偏向時に、他方の組の電極群の直列抵抗群の両端間に
電圧を印加するようにしたので、直列抵抗群の各抵抗に
より抵抗分割されて段階的に変化する電圧を各分割電極
に印加させることができ、当該他方の組の電極群により
強制的に偏向用の電界方向の電位勾配を持たせることが
でき、簡単かつ低コストにて実現することができる。
【0152】請求項4記載の発明によれば、請求項2又
は3記載の光路偏向装置において、対向する分割電極の
位置を互いにずらして交互の位置となるように配置させ
たので、分割電極間の位置が対向する電極群の分割電極
に対応することとなり、電位低下の影響が小さくなり、
電界の均一性を向上させることができる。
【0153】請求項5記載の発明によれば、請求項1記
載の発明を実現する上で、電極群として有効領域に沿っ
た位置に抵抗体電極を設けるようにしたので、抵抗体電
極の両端間に電圧を印加して通電するだけで、抵抗体電
極近傍の液晶層内に連続的な電位勾配を形成することが
でき、このような連続的な電位勾配により、より均一な
電界分布を得ることができる。
【0154】請求項6記載の発明によれば、請求項2な
いし5記載の発明を実現する上で、隣接する電極群の端
部同士を電気的に接続し、その接続部の電位を接地と単
一極性電位とで切換え自在としたので、偏向用電圧印加
手段用の電源と補助電圧印加手段用の電源とを共用させ
ることができ、低コストにて実現することができる。
【0155】請求項7記載の発明によれば、請求項1な
いし6記載の発明に加えて、有効領域全面に透明抵抗体
層を設けて電極群と接続したので、組をなす電極群から
比較的離れた有効領域にも効果的に電位分布を形成する
ことができ、よって、有効領域が比較的大きな場合で
も、比較的均一な電界を形成することができる。
【0156】請求項8記載の発明によれば、請求項1記
載の発明を実現する上で、各電極群を複数の分割電極か
らなる分割構造とし、偏向用電圧印加手段の電圧印加に
よる偏向時に、他方の組の電極群内の個々の分割電極を
フロート状態とするだけで、当該他方の組の電極群によ
り強制的に偏向用の電界方向の電位勾配を持たせること
ができ、補助電圧印加手段を要せず、比較的簡単に実現
することができる。
【0157】請求項9記載の発明によれば、請求項1な
いし8記載の発明に加えて、直線偏光の偏光方向を切換
える偏光方向切換手段を入射側に備えるので、2つの素
子構成により直交する2方向の偏向方向が設定できる。
即ち、従来のように、X方向光路偏向素子と偏光面回転
素子とY方向光路偏向素子との3つの素子の組合せ構成
に比べて、素子の数が少なく構成要素の界面の数が少な
いので、光透過率の低下やMTFの低下が少ない光路偏
向装置を提供することができる。
【0158】請求項10記載の発明によれば、請求項9
記載の光路偏向装置を実現する上で、偏光方向切換手段
として電界の作用により液晶分子の配向方向が制御可能
な表面安定型強誘電性液晶素子を用いたので、この表面
安定型強誘電性液晶素子の液晶分子の屈折率、電界印加
時の配向方向、液晶層の厚みなどを半波長板としての最
適条件に設定することで、高速に偏光面の回転が可能な
偏光方向切換手段を得ることができ、全体として高速応
答の光路偏向装置を提供することができる。
【0159】請求項11記載の発明によれば、請求項9
又は10記載の光路偏向装置を実現する上で、偏光方向
切換手段に入射する入射光の偏光方向を光路の偏向方向
に一致させる偏光方向制御手段を備え、光学軸の傾斜方
向に平行な直線偏光の光のみを入射させるようにしたの
で、入射光が無偏光の光であっても光路偏向されないノ
イズ光の透過を防止し、ノイズの少ない確実な光路偏向
を実現することができる。
【0160】請求項12記載の発明の画像表示装置によ
れば、いわゆるピクセルシフトデバイスとして請求項1
ないし11の何れか一記載の直交する2方向に光路偏向
可能な光路偏向装置を用いたので、投射光路をサブフィ
ールド画像に対応して高速に偏向させることができ、見
掛け上、高精細な画像表示が可能となり、また、当該光
路偏向装置の構成要素が少ない上に、有効領域全域に亘
って均一な偏向用の電界が形成されるので、基板界面な
どが少なく、透過率やMTFの低下が少なくできる上
に、均一な画素シフトが可能となり、従って、より光利
用効率が高く、より高精細な表示画像を得ることができ
る。
【0161】請求項13記載の発明の光路偏向素子によ
れば、基本的に、ホメオトロピック配向をなすキラルス
メクチックC相の強誘電性又は反強誘電性の液晶層に対
して、液晶層を通る光路の有効領域を取り囲むように相
対向する位置に配設させた電極群の組に外部からの電気
的な操作により電圧を印加して、この液晶層を通る光路
に直交する方向の偏向用の電界を作用させることによ
り、液晶分子の傾斜角度や傾斜方向が変化して平均的な
光学軸の傾斜方向を制御することができ、この際、組を
なす電極群として、液晶層を通る光路の有効領域を取り
囲むように直交する2方向の相対向する位置に各々配設
された2組の電極群を用意しておき、目的とする偏向方
向に応じてこの偏向用の電界を作用させる電極群の組を
選択的に切換えるようにすれば、電気的な操作により直
交する2方向に偏向方向を切換えることができ、また、
各電極群を複数の分割電極からなる分割構造とし、偏向
用電圧印加手段の電圧印加による偏向時に、他方の組の
電極群に関しては、個々の分割電極に対して段階的に電
圧値が変化する電圧を印加する等の操作により、当該他
方の組の電極群により強制的に偏向用の電界方向の電位
勾配を持たせることにより、偏向用の電界がこれらの他
方の組の電極群により乱されることがなくなり、よっ
て、有効領域全体に亘って均一な電界を形成させること
ができる。
【0162】請求項14記載の発明によれば、請求項1
3記載の発明を実現する上で、分割電極構造の各電極群
に加えて、電極群毎に各々隣接する分割電極間に設けら
れた抵抗を直列に接続した直列抵抗群を備える構成とし
たので、一方の組の電極群に対する電圧印加による偏向
時に、他方の組の電極群の直列抵抗群の両端間に電圧を
印加するだけで、直列抵抗群の各抵抗により抵抗分割さ
れて段階的に変化する電圧を各分割電極に印加させるこ
とができ、当該他方の組の電極群により強制的に偏向用
の電界方向の電位勾配を持たせることができ、簡単かつ
低コストにて実現することができる。
【0163】請求項15記載の発明によれば、請求項1
3又は14記載の光路偏向素子を実現する上で、対向す
る分割電極の位置を互いにずらして交互の位置に配置さ
せたので、分割電極間の位置が対向する電極群の分割電
極に対応することとなり、電位低下の影響が小さくな
り、電界の均一性を向上させることができる。
【0164】請求項16記載の発明の光路偏向素子によ
れば、基本的には請求項13記載の発明の光路偏向素子
と同様な効果が得られるが、電極群として有効領域に沿
った位置に抵抗体電極を設けたので、外部からの電気的
な操作として、一方の組の電極群間に電界を作用させる
電圧を印加させるとともに、他方の組の電極群に関して
は、抵抗体電極の両端間に電圧を印加して通電するだけ
で、抵抗体電極近傍の液晶層内に連続的な電位勾配を形
成することができ、このような連続的な電位勾配によ
り、より均一な電界分布が得られるようにすることがで
きる。
【0165】請求項17記載の発明によれば、請求項1
3ないし16記載の発明を実現する上で、隣接する電極
群の端部同士を電気的に接続したので、外部からの電気
的な操作により、この接続部の電位を接地と単一極性電
位とで切換え自在とすることにより、偏向用電圧印加手
段用の電源と補助電圧印加手段用の電源とを共用させる
ことができ、低コストにて光路偏向装置を実現すること
ができる。
【0166】請求項18記載の発明によれば、請求項1
3ないし17記載の発明に加えて、有効領域全面に透明
抵抗体層を設けて電極群と接続したので、外部からの電
気的な操作による電圧印加時に、組をなす電極群から比
較的離れた有効領域にも効果的に電位分布を形成するこ
とができ、よって、有効領域が比較的大きな場合でも、
比較的均一な電界を形成することができる。
【0167】請求項19記載の発明の光路偏向素子の駆
動方法によれば、有効領域全域について直交する2方向
についての光路偏向を実現する上で、液晶層を通る光路
の有効領域を取り囲むように直交する2方向の相対向す
る位置に2組の電極群を配設するが、これらの各電極群
を複数の分割電極からなる分割構造とし、かつ、電極群
毎に各々隣接する分割電極間に設けられた抵抗を直列に
接続した直列抵抗群を備える構成とし、目的とする偏向
方向に応じて選択的に一方の組の相対向する電極群間に
電圧を印加して液晶層に前記光路に直交する方向の偏向
用の電界を作用させる偏向時に、他方の組の電極群の直
列抵抗群の両端間に電圧を印加するだけで、直列抵抗群
の各抵抗により抵抗分割されて段階的に変化する電圧を
各分割電極に印加させることができ、当該他方の組の電
極群により強制的に偏向用の電界方向の電位勾配を持た
せることができ、偏向方向が何れの方向であっても、有
効領域全域について均一な電界を形成することができ、
有効領域全域について均一な光路偏向が可能となる。
【0168】請求項20記載の発明の光路偏向素子の駆
動方法によれば、有効領域全域について直交する2方向
についての光路偏向を実現する上で、液晶層を通る光路
の有効領域を取り囲むように直交する2方向の相対向す
る位置に2組の電極群を配設するが、これらの各電極群
を有効領域を取り囲む方向に連続した抵抗体電極により
構成し、目的とする偏向方向に応じて選択的に一方の組
の相対向する電極群間に電圧を印加して液晶層に前記光
路に直交する方向の偏向用の電界を作用させる偏向時
に、他方の組の電極群の抵抗体電極の両端間に電圧を印
加して通電するだけで、抵抗体電極近傍の液晶層内に連
続的な電位勾配を形成することができ、このような連続
的な電位勾配により、より均一な電界分布が得られるよ
うにすることができ、偏向方向が何れの方向であって
も、有効領域全域について均一な電界を形成することが
でき、有効領域全域について均一な光路偏向が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】前提となる光路偏向素子を示す断面構成図であ
る。
【図2】その電界方向と液晶配向方向との関係を示す模
式図である。
【図3】光路偏向動作の原理を説明するための模式図で
ある。
【図4】本発明の第一の実施の形態の光路偏向素子の電
極群の構成例を示し、(a)は平面図、(b)はその側
面図である。
【図5】その電圧印加状態と液晶分子傾斜方向との関係
を示す概念図である。
【図6】電界方向を切換えた場合の様子を示す概念図で
ある。
【図7】本発明の第二の実施の形態の光路偏向装置の構
成例を示す平面図である。
【図8】その電圧印加回路の構成例を示す回路図であ
る。
【図9】本発明の第三の実施の形態の光路偏向装置の構
成例を示す平面図である。
【図10】本発明の第四の実施の形態の光路偏向素子の
構成例を示す平面図である。
【図11】本発明の第五の実施の形態の光路偏向装置の
構成例を示す平面図である。
【図12】本発明の第六の実施の形態の光路偏向装置の
構成例を示し、(a)は平面図、(b)はその縦断側面
図である。
【図13】本発明の第七の実施の形態の光路偏向装置の
構成例を示す斜視図である。
【図14】液晶分子の長軸方向の投影部分を説明するた
めの斜視図である。
【図15】偏光方向切換素子の構成例を示す側面図であ
る。
【図16】本発明の第八の実施の形態の偏光方向切換素
子の動作を説明するための正面図である。
【図17】本発明の第九の実施の形態の光路偏向装置の
構成例を示す斜視図である。
【図18】本発明の第十の実施の形態の画像表示装置の
構成例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 光路偏向素子 2,3 基板 4,5 配向膜 8 液晶層 9 液晶分子 11 有効領域 12,12′ 電極群の組 13,13′ 電極群の組 21 光路偏向素子 22,22′,23,23′ 直列抵抗群 24,24′,25,25′ 偏向用電圧印加手
段、補助電圧印加手段 26 光路偏向装置 28a〜28d 接続部 31 光路偏向素子 32 抵抗体電極 41 光路偏向素子 42,43 透明抵抗体層 51 光路偏向装置 52 光路偏向素子 53 偏光方向切換手段 58 表面安定型強誘電性液晶素子 60 偏光方向制御手段 71 照明装置 75 画像表示素子 76 光学装置 78 表示駆動手段 79 光路偏向装置 X1〜Xn,X′1〜X′n,Y1〜Yn,Y′1〜
Y′n 分割電極 R 抵抗
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 滝口 康之 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 二村 恵朗 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 松木 ゆみ 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 小林 正典 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H088 EA45 GA04 GA17 JA17 MA10 MA20 2H089 HA16 HA29 QA11 QA16 RA13 TA02 2K002 AB04 BA06 CA14 DA14

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向間隔が規制された透明な一対の基板
    と、 前記基板の内面側に設けられた垂直配向膜と、 前記基板間に前記垂直配向膜を介して充填され、前記垂
    直配向膜によりホメオトロピック配向をなすキラルスメ
    クチックC相よりなる液晶層と、 前記液晶層を通る光路の有効領域を取り囲むように直交
    する2方向の相対向する位置に各々配設された2組の電
    極群と、 目的とする偏向方向に応じて選択的に一方の組の相対向
    する前記電極群間に電圧を印加して前記液晶層に前記光
    路に直交する方向の偏向用の電界を作用させる偏向用電
    圧印加手段と、を備え、 前記偏向用電圧印加手段の電圧印加による偏向時に、他
    方の組の前記電極群により強制的に前記偏向用の電界方
    向の電位勾配を持たせるようにした光路偏向装置。
  2. 【請求項2】 前記電極群の各々は、前記有効領域を取
    り囲む方向に分割された複数の分割電極からなり、 前記偏向用電圧印加手段の電圧印加による偏向時に、他
    方の組の前記電極群により強制的に前記偏向用の電界方
    向の電位勾配を持たせるように当該他方の組の電極群内
    の個々の分割電極に対して段階的に電圧値が変化する電
    圧を印加する補助電圧印加手段を備える請求項1記載の
    光路偏向装置。
  3. 【請求項3】 前記電極群の各々は、前記有効領域を取
    り囲む方向に分割された複数の分割電極からなり、 前記電極群毎に各々隣接する分割電極間に設けられた抵
    抗を直列に接続した直列抵抗群と、 前記偏向用電圧印加手段の電圧印加による偏向時に、他
    方の組の前記電極群により強制的に前記偏向用の電界方
    向の電位勾配を持たせるように当該他方の組の電極群の
    前記直列抵抗群の両端間に電圧を印加する補助電圧印加
    手段と、を備える請求項1記載の光路偏向装置。
  4. 【請求項4】 各々分割された複数の分割電極は、組を
    なす電極群間で、互いに位置がずれて配設されている請
    求項2又は3記載の光路偏向装置。
  5. 【請求項5】 前記電極群の各々は、前記有効領域を取
    り囲む方向に連続した抵抗体電極からなり、 前記偏向用電圧印加手段の電圧印加による偏向時に、他
    方の組の前記電極群により強制的に前記偏向用の電界方
    向の電位勾配を持たせるように当該他方の組の電極群の
    前記抵抗体電極の両端間に電圧を印加する補助電圧印加
    手段を備える請求項1記載の光路偏向装置。
  6. 【請求項6】 隣接する前記電極群の端部同士が電気的
    に接続され、端部同士の接続部の電位が単一極性電位と
    接地とで切換え自在である請求項2ないし5の何れか一
    記載の光路偏向装置。
  7. 【請求項7】 少なくとも一方の前記基板上に設けられ
    て前記電極群に電気的に接続された透明抵抗体層を備え
    る請求項1ないし6の何れか一記載の光路偏向装置。
  8. 【請求項8】 前記電極群の各々は、前記有効領域を取
    り囲む方向に分割された複数の分割電極からなり、 前記偏向用電圧印加手段の電圧印加による偏向時に、他
    方の組の前記電極群により強制的に前記偏向用の電界方
    向の電位勾配を持たせるように当該他方の組の電極群内
    の個々の分割電極をフロート状態とする請求項1記載の
    光路偏向装置。
  9. 【請求項9】 光の入射側に配設されて直線偏光の偏光
    方向を切換える偏光方向切換手段を備え、 前記液晶層における液晶の自発分極及び前記偏向用の電
    界の作用により定まる液晶分子の配向を前記偏向用電圧
    印加手段による電圧の印加により所定の方向に揃う状態
    で、一方の基板面から他方の基板面に向かって前記液晶
    分子を投影した場合に前記他方の基板上に投影された前
    記液晶分子における長軸方向が、前記偏光方向切換手段
    による偏光方向と同一方向となるように、前記偏向用電
    圧印加手段による電圧印加を制御するようにした請求項
    1ないし8の何れか一記載の光路偏向装置。
  10. 【請求項10】 前記偏光方向切換手段が、電界の作用
    により液晶分子の配向方向が制御可能な表面安定型強誘
    電性液晶素子である請求項9記載の光路偏向装置。
  11. 【請求項11】 前記偏光方向切換手段に入射する入射
    光の偏光方向を光路の偏向方向の何れか一方向に一致さ
    せる偏光方向制御手段を備える請求項9又は10記載の
    光路偏向装置。
  12. 【請求項12】 画像情報に従って光を制御可能な複数
    の画素を2次元的に配列した画像表示素子と、 この画像表示素子を照明する照明装置と、 前記画像表示素子に表示した画像パターンを観察するた
    めの光学装置と、 画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィール
    ドで形成する表示駆動手段と、 前記画像表示素子に対応して有効領域が設定されて、各
    画素からの出射光の光路を前記サブフィールド毎に偏向
    する請求項1ないし11の何れか一記載の光路偏向装置
    と、を備える画像表示装置。
  13. 【請求項13】 対向間隔が規制された透明な一対の基
    板と、 前記基板の内面側に設けられた垂直配向膜と、 前記基板間に前記垂直配向膜を介して充填され、前記垂
    直配向膜によりホメオトロピック配向をなすキラルスメ
    クチックC相よりなる液晶層と、 前記液晶層を通る光路の有効領域を取り囲むように直交
    する2方向の相対向する位置に各々配設され、前記有効
    領域を取り囲む方向に分割された複数の分割電極を各々
    有する2組の電極群と、を備える光路偏向素子。
  14. 【請求項14】 前記電極群毎に各々隣接する分割電極
    間に設けられた抵抗を直列に接続した直列抵抗群を備え
    る請求項13記載の光路偏向素子。
  15. 【請求項15】 各々分割された複数の分割電極は、組
    をなす電極群間で、互いに位置がずれて配設されている
    請求項13又は14記載の光路偏向素子。
  16. 【請求項16】 対向間隔が規制された透明な一対の基
    板と、 前記基板の内面側に設けられた垂直配向膜と、 前記基板間に前記垂直配向膜を介して充填され、前記垂
    直配向膜によりホメオトロピック配向をなすキラルスメ
    クチックC相よりなる液晶層と、 前記液晶層を通る光路の有効領域を取り囲むように直交
    する2方向の相対向する位置に各々配設され、前記有効
    領域を取り囲む方向に連続した抵抗体電極を各々有する
    2組の電極群と、を備える光路偏向素子。
  17. 【請求項17】 隣接する前記電極群の端部同士が電気
    的に接続されている請求項13ないし16の何れか一記
    載の光路偏向素子。
  18. 【請求項18】 少なくとも一方の前記基板上に設けら
    れて前記電極群に電気的に接続された透明抵抗体層を備
    える請求項13ないし17の何れか一記載の光路偏向素
    子。
  19. 【請求項19】 対向間隔が規制された透明な一対の基
    板と、前記基板の内面側に設けられた垂直配向膜と、前
    記基板間に前記垂直配向膜を介して充填され、前記垂直
    配向膜によりホメオトロピック配向をなすキラルスメク
    チックC相よりなる液晶層と、前記液晶層を通る光路の
    有効領域を取り囲むように直交する2方向の相対向する
    位置に各々配設され、前記有効領域を取り囲む方向に分
    割された複数の分割電極を各々有する2組の電極群と、
    前記電極群毎に各々隣接する分割電極間に設けられた抵
    抗を直列に接続した直列抵抗群と、を備える光路偏向素
    子に対して、 目的とする偏向方向に応じて選択的に一方の組の相対向
    する前記電極群間に電圧を印加して前記液晶層に前記光
    路に直交する方向の偏向用の電界を作用させる偏向用電
    圧印加ステップと、 この偏向用電圧印加ステップの電圧印加による偏向時
    に、他方の組の前記電極群の前記直列抵抗群の両端間に
    電圧を印加して強制的に前記偏向用の電界方向の電位勾
    配を持たせる補助電圧印加ステップと、を備える光路偏
    向素子の駆動方法。
  20. 【請求項20】 対向間隔が規制された透明な一対の基
    板と、前記基板の内面側に設けられた垂直配向膜と、前
    記基板間に前記垂直配向膜を介して充填され、前記垂直
    配向膜によりホメオトロピック配向をなすキラルスメク
    チックC相よりなる液晶層と、前記液晶層を通る光路の
    有効領域を取り囲むように直交する2方向の相対向する
    位置に各々配設され、前記有効領域を取り囲む方向に連
    続した抵抗体電極を各々有する2組の電極群と、を備え
    る光路偏向素子に対して、 目的とする偏向方向に応じて選択的に一方の組の相対向
    する前記電極群間に電圧を印加して前記液晶層に前記光
    路に直交する方向の偏向用の電界を作用させる偏向用電
    圧印加ステップと、 この偏向用電圧印加ステップの電圧印加による偏向時
    に、他方の組の前記電極群の前記抵抗体電極の両端間に
    電圧を印加して強制的に前記偏向用の電界方向の電位勾
    配を持たせる補助電圧印加ステップと、を備える光路偏
    向素子の駆動方法。
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