JP4523802B2 - 光偏向素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光偏向素子及びこの光偏向素子を備えている画像表示装置に関する。
ホメオトロピック配向をなすキラルスメクチックC相よりなる液晶を用いた光偏向素子については、例えば、特許文献1,2に開示されている。
この種の光偏向素子は、例えば、特許文献2の図7、図9等に示されているように、光偏向が有効に機能する領域(有効領域)は矩形状をなし、光偏向方向は、この矩形状のいずれかの辺と平行な方向である。これにより、ピクセルシフトも、画像表示素子の画素をスクリーン上で、スクリーンの矩形状の辺と平行な方向、すなわちスクリーンの縦横方向にシフトすることになる。
特開2002−328402公報 特開2003−098504公報
しかしながら、前記従来の光偏向素子では、光偏向の方向を斜め方向、すなわち画像表示素子の画像形成領域の矩形状の辺と鋭角をなす方向にしようとする場合、光偏向素子を2つ組み合わせる必要がある。すなわち、それぞれの光偏向素子で縦方向、横方向に光を偏向することにより、その合成として光を斜め方向に偏向しなければならなかった。
図20は、画像表示素子204からの光をスクリーン205に投射する画像表示装置に光偏向素子を搭載した例であるが、光偏向素子としては前段の光偏向素子201で縦方向に偏向し、偏光方向切替手段202によって偏光面を切替えた後、光偏光素子203によって横方向に光偏向している。この場合、光偏向素子が2枚必要なことから、製造コストが増大するのみならず、光路長が増加し、光学系が大型化したり、光利用効率が低下したり、あるいは界面が増えることで解像特性が劣化したりするという不具合がある。
本発明の目的は、1つの光偏向素子で光の偏光方向を画像表示素子の画像形成領域の矩形状の辺と鋭角をなす方向にできるようにすることである。
本発明は、透明な一対の基板と、この基板間に設けられたキラルスメクチックC相からなりホメオトロピック配向をなす液晶を含む液晶層と、前記液晶層に対して電位勾配を与えて前記液晶層を透過する光の光路を偏向する一対の電極と、を備え、有効領域は矩形形状であり、前記電位勾配の方向は前記基板の板面方向で前記矩形形状の辺の方向と鋭角をなしており、前記一対の電極は、前記矩形形状の対角の2つの頂点にそれぞれ設けられ、前記一対の電極に接続され前記有効領域に対応して矩形形状に形成されている透光性の第1の抵抗膜を、さらに備えている、光偏向素子である。
別の面から見た本発明は、画像フィールドを時間的に更に細分割した複数個の画像サブフィールドごとに照明光を画像情報に基づいて空間光変調して画像光として出射する画像表示素子と、この画像表示素子と同期し前記光路の偏向により、前記画像サブフィールドごとに駆動される前記画像表示素子の各画素から入射されてくる画像光の光路を偏向して前記画像表示素子の見かけ上の画素数を増倍して表示する光偏向素子と、を備え、前記光偏向素子は、前記光路の偏向の方向が前記有効領域の矩形形状の辺方向であり、この辺方向が前記画像表示素子の矩形形状の画像形成領域の辺方向と鋭角をなす、画像表示装置である。
本発明によれば、1つの光偏向素子で光の偏向方向を画像表示素子の画像形成領域の矩形状の辺と鋭角をなす方向にできる。
(定義)
本明細書において、「光偏向素子」とは、外部からの電気信号により光の光路を偏向、即ち、入射光に対して出射光を平行にシフトさせるか、ある角度を持って回転させるか、或いは、その両者を組合せて光路を切換えることが可能な光学素子を意味する。この説明において、平行シフトによる光偏向に対してそのシフトの大きさを「シフト量」と呼び、回転による光偏向に対してその回転量を「回転角」と呼ぶものとする。
(光偏向素子)
本実施の形態の光偏向素子について説明する。
図1(a)は、本実施の形態の光偏向素子1の平面図、図1(b)は同断面図である。光偏向素子1は、一対の透明な基板2が対向配置した状態で設けられている。透明な基板2としては、ガラス、石英、プラスチックなどを用いることができるが、複屈折性の無い透明材料が望ましい。基板2の厚みは、例えば、数十μm〜数mm程度である。基板2の内側面には液晶層3に水平方向の電界を印加するために所定の電位勾配を形成することが可能な透明抵抗膜4が形成される。透明抵抗膜4の材料としては、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム(In)、酸化インジウム・スズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化亜鉛・アンチモン(ZnO・Sb)、酸化スズ・アンチモン(ATO)などを用いることができる。基板2に透明抵抗膜4を形成する場合、ライン電極形状の開口マスクを重ねた状態で、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法などの方法で、直接、基板2上に所定形状の膜を成長させる方法や、塗布法、浸漬法、ゾルゲル法などで基板全面に成膜させた後、所定のマスキングを施した上で、塩酸系エッチャントなどによりウェットエッチングさせたり、ドライエッチングする方法を用いることができる。
また、透明抵抗膜4の液晶層3側には、液晶層3の配向性を確保するための配向膜5を形成するのが望ましい。配向膜5は、基板2の表面に対して液晶分子を垂直配向(ホメオトロピック配向)させることのできる材料ならば特に限定されないが、液晶ディスプレイ用の垂直配向剤やシランカップリング剤、SiO蒸着膜などを用いることができる。ここで、垂直配向(ホメオトロピック配向)とは、基板2の面に対して液晶分子が垂直に配向した状態だけではなく、数十度程度までチルトした配向状態も含む。両基板2の間隔は両基板2間にスペーサ6を挟んで規定し、基板2間に電極7と液晶層3を形成する。スペーサ6としては例えば数μm〜数mm程度の厚みを持つシート部材、あるいは同程度の粒径の粒子、などを用いることができ、素子1の有効領域8の外に設けられることが望ましい。
図1(a)に示されているように、光偏向素子1の基板2の表面上には、光偏向が制御可能な矩形形状の領域(有効領域)8が形成され、透明抵抗膜4、一対の電極7が示され、さらに一対の電極7(7a,7b)と接続され、一対の電極7には電圧を印加する電源9が接続されている。この有効領域8内を光が透過することになるが、液晶駆動に必要な所定電界を得るための電圧は電極7間の距離に比例して大きくなることから、有効領域8としては、制御対象の光をすべて透過させながらも極力小さく形成するのが低電圧化のために望ましい。光が矩形形状の開口部から出射される場合、その開口部からの光の広がりを考慮し、有効領域8の形状を定めればよい。有効領域8は、透明抵抗膜4によって液晶が駆動する際、透明抵抗膜4の境界部では電界が不均一となり液晶分子の方向が乱れるので、その乱れが無視できるほど小さくなった部分から内側部分と等価である。有効領域8を矩形形状に形成することから、透明抵抗膜4は、有効領域8に対応して矩形形状に形成され、有効領域8の矩形形状の対角に位置する2つの頂点の近傍にそれぞれ位置する一対の電極7と接続される。
一対の電極7は透明抵抗膜4との接触抵抗が低く、かつ腐食しづらい材料が望ましい。具体的には、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、金等の金属、またはそれらの合金が好適である。一対の電極7には、光の偏向方向に応じて液晶を駆動するための所定電位差が電源9から与えられる。例えば,図1(a)中の電極7aを接地し、電極7bに正電圧を印加すると、透明抵抗膜4中には平均的に電極7aから電極7bに向かう方向、すなわち、基板2の板面方向で、矩形状の有効領域8の辺方向と鋭角をなす方向に電位勾配が発生する。この電位勾配方向の有効領域の辺からの傾斜角度を、ここではθとする(図2参照)。図2においては、有効領域8の長辺側をX軸に、短辺側をY軸に平行にとり、電位勾配方向をX軸からの傾斜角により規定する。この傾斜方向に沿って電界が発生するが、後述する通りスメクチックC液晶は電界方向に対して垂直な面内でチルトするため、光偏向方向は、この電位勾配方向と垂直な方向、すなわち図2においてはX軸から“π/2−θ”及び“3π/2−θ”の角度の方向をとり、光偏向方向を矩形形状領域の辺方向以外に設定できる。
透明抵抗膜4のとるべき抵抗値について説明する。液晶を駆動するための電圧として1cm当たり数百ボルトから数キロボルトの電位差を印加することを想定する。発熱を抑えるためには抵抗値を大きくする必要があるが、単位面積当たり消費電力が0.01W/cm程度ならば、一般的な構造では温度上昇は10℃以下程度に抑えられる。例えば、素子1の透明抵抗膜4の面積を3cm×4cmとし、表面抵抗値Rs=1×108Ω/cmとした時、電極間の抵抗値は、距離5cm(=電極間距離)、幅2.4cmの長方形の長軸方向の抵抗値に近似でき、平均的に2.08×108Ωになる。この間に3000Vの電圧を印加すると14.4μAの電流が流れる。この時、全体で約0.043W、単位面積当たり約0.0036W/cmの電力を消費する。この程度ならば発熱は実用上問題無い。したがって、表記矩形形状においては、表面抵抗値が1×108Ω/cm程度以上の高抵抗の透明抵抗体を用いることが望ましい。
ここで、スメクチックC層を形成可能な液晶層3に関して詳細に説明する。「スメクチック液晶」は、液晶分子の長軸方向を層状に配列してなる液晶である。このような液晶に関し、「層状」である層の法線方向(層法線方向)と液晶分子の長軸方向とが一致している液晶を「スメクチックA相」、法線方向と一致していない液晶を「スメクチックC相」と呼んでいる。スメクチックC相よりなる強誘電液晶は、一般的に外部電界が働かない状態において各層毎に液晶ダイレクタ方向が螺旋的に回転している、いわゆる螺旋構造をとり、「キラルスメクチックC相」と呼ばれる。また、キラルスメクチックC相反強誘電液晶は各層毎に液晶ダイレクタが対向する方向を向く。これらのキラルスメクチックC相よりなる液晶は、不斉炭素を分子構造に有し、これによって自発分極しているため、この自発分極Psと外部電界Eにより定まる方向に液晶分子が再配列することで光学特性が制御される。なお、本実施の形態や後述の実施例では、液晶層3として強誘電液晶を例として光偏向素子1の説明を行うが、反強誘電液晶も同様に液晶層3に使用することができる。
キラルスメクチックC相は、ネマチック液晶に比較して極めて高速な応答性を有しており、サブmsでのスイッチングが可能である点が特徴である。電界方向に対して液晶ダイレクタ方向が一義的に決定されるため、スメクチックA相よりなる液晶に比べダイレクタ方向の制御が容易であり、扱いやすい。
ホメオロトピック配向をなすスメクチックC相よりなる液晶層3は、ホモジニアス配向(液晶ダイレクタが基板面に平行に配向している状態)をとる場合に比べて、液晶ダイレクタの動作が基板2からの規制力を受けにくく、外部電界方向の調整で光偏向方向の制御が行いやすく、必要電界が低いという利点を有する。また、液晶ダイレクタがホモジニアス配向している場合、電界方向だけでなく基板2の面に液晶ダイレクタが強く依存するため、光偏向素子の設置についてより位置精度が求められることになる。逆に、本実施の形態のようなホメオロトピック配向の場合は、光偏向に対して光偏向素子1のセッティング余裕度が増す。これらの特徴を活かす上で、厳密に螺旋軸を基板面に垂直に向ける必要はなく、或る程度傾いていても差し支えない。液晶ダイレクタが基板2からの規制力を受けずに2つの方向を向くことが可能であればよい。
光偏向素子1の動作原理について図3を参照して説明する。図3は、図1に示した構成に関して電界方向と液晶分子のチルト方向を模式的に示した説明図である。図3において、液晶分子3aの幅が広く描いてある側が紙面上側、幅が狭く描かれている側が紙面下側に傾いている様子を示している。また、液晶の自発分極Psを矢印で示してある。電界の向きが反転すると、略垂直配向した液晶分子3aのチルト角の方向が反転する。ここでは、自発分極が正の場合について電界印加方向と液晶分子3aのチルト方向の関係を図示している。図3は液晶分子の配向状態を模式的に示したものであり、配向膜5、スペーサ6、電極7については図示を省略している。図3では、便宜上、紙面表裏方向に電圧印加されるように描き、電界は紙面表裏方向に作用する。電界方向は目的とする光の偏向方向に対応して図1に示す電源9により切換えられる。また、光偏向素子1に対する入射光は直線偏光であり、光偏向方向、すなわち図2の“π/2−θ”方向に振動ベクトルを有する直線偏光を入射させることで、すべての光を偏向させることが可能となる。
図3(a)に示すように、紙面手前側への電界が印加された場合、液晶分子3aの自発分極が正ならば液晶ダイレクタが図右上にチルトした分子数が増加し、液晶層3としての平均的な光学軸も図右上方向にチルトして複屈折板として機能する。キラルスメクチックC相のらせん構造が解ける閾値電界以上では、すべての液晶ダイレクタがチルト角θを示し、光学軸が上側に角度θでチルトした複屈折板となる。異常光として左側から入射した直線偏光は上側に平行シフトする。ここで、液晶分子3aの長軸方向の屈折率をne、短軸方向の屈折率をno、液晶層3の厚み(ギャップ)をdとするとき、光の偏向のシフト量Sは以下の式で表される(例えば、「結晶光学」応用物理学会、光学懇話会編、p198参照)。
S=[(1/no)−(1/ne)]sin(2θ・d)
÷[2((1/ne)sinθ+(1/no)cosθ)] …… (1)
同様に、図3(b)に示すように電極7への印加電圧を反転して紙面奥側への電界が印加された場合、液晶分子3aの自発分極が正ならば液晶ダイレクタは図右下にチルトし、光学軸が下側に角度θでチルトした複屈折板として機能する。異常光として左側から入射した直線偏光は下側に平行シフトする。電界方向の反転によって、2S分の光偏向量が得られる。
以上の構成により、1つの光偏向素子1のみで斜め方向に光の向きを偏向させることが可能となる。これによって、従来のように上下左右方向に光の向きを偏向させるのに比較して、画像表示装置101(後述)の構成を簡略化できる。
次に、本発明の別の実施の形態について説明する。
図4は、この実施の形態の光偏向素子1の平面図(a)、断面図(b)、一部拡大断面図(c)である。以下の説明、及び図4以下の図面で、前述の実施の形態の説明と同一符号の部材などについては前述のとおりであるため、詳細な説明は省略する。前述の透明抵抗膜4(第1の抵抗)は、透光性の抵抗であり、一対の電極7に接続され、有効領域8を被うように有効領域8の両面に形成されている。これにより、一対の電極7のみで電界を形成する場合に比べて、有効領域8での電位勾配をリニアにすることができる。
本実施の形態の光偏向素子1では、さらに、透明抵抗膜4の周囲に透明抵抗膜4より低い表面抵抗値を有する抵抗膜であるガイド用抵抗膜11(第2の抵抗)が有効領域8の周囲を一周して形成されている。このガイド用抵抗膜11は、矩形形状のライン状であり、透明抵抗膜4と接触して形成され、一対の電極7がガイド用抵抗11膜の対角に位置する頂点に接続されている。
ガイド用抵抗膜11の表面抵抗値は均一であることが望ましく、また、光が透過する部分ではないので特に透明性の材料である必要ない。材料としては、酸化ケイ素等の誘電体に所望の抵抗値となるようCr等の金属を添加した材料等を用いることができる。ガイド用抵抗膜11の表面抵抗値は透明抵抗膜4よりも低いため、電圧印加時の電流の大部分はガイド用抵抗膜11を流れる。従って、電極7bを接地して電極7aに正電圧Vを印加した場合、図5に示す、ガイド用抵抗膜11上の位置pにおける電位Vpは、概略電極7aからの距離をL1p、電極7bからの距離をL2pとすると、“Vp=V・L2p/(L1p+L2p)”となる。図5には、電位勾配を白抜きの矢印で示し、等電位のラインlを示している。すなわち、電極7bからの距離が等しければ等電位となり、図5に示す位置pと位置p´は同電位となる。このように、ガイド用抵抗膜11を設けることで、透明抵抗膜4のみの場合に比べて電位勾配の方向や大きさの均一性が向上する。素子1の透明抵抗膜4の面積を3cm×4cmとし、ガイド用抵抗膜11の表面抵抗値をRs=1×10Ω/cm、ガイド用抵抗膜11の幅を1mmとしたとき、ガイド用抵抗膜11の電極間抵抗値は約1.2×1010Ωとなる。この間に3000Vの電圧を印加すると0.25μAの電流が流れ、この時、全体で約0.00075W、単位面積当たり約0.0063W/cmの電力を消費する。この程度ならば発熱は実用上問題が無い。したがって、有効領域8の矩形形状を想定すると、表面抵抗値が1×108Ω/cm程度以上の高抵抗のガイド用抵抗膜11を用いることが望ましい。また、この場合の透明抵抗膜4としては、ガイド用抵抗膜11よりも電極間抵抗値を二桁程度大きくとるのが望ましく、例えば、Rs=1×1012Ω/cm以上とするのがよい。
図6は、本実施の形態の光偏向素子1における電位差の変化を示す説明図である。すなわち、交流電源9は、ある期間Tsf1において、電極7aの電位をΔV、電極7bの電位を0とし、電極7aと電極7bの電位差(電極7bに対する電極7aの電位)をΔVに設定し、別の期間(Tsf2とする)において、電極7bの電位をΔV、電極7aの電位を0とすることで、電極7aと電極7bの電位差(電極7bに対する電極7aの電位)を−ΔVに設定し、これらの設定を交互に繰り返す。すなわち、電極7aと電極7bとの間には矩形波の交番電圧を印加するようにする。
なお、期間Tsf1とTsf2とは等しい時間とすることが、素子1の電荷を中性に保つために望ましい。また、ΔVを形成するために、図6では、電極7a,7bの電位を交互に0、ΔV間でスイッチしているが、これに限定する必要は無く、例えば、電極7bの電位をグランドレベルに固定し、Tsf1において電極7aの電位をΔVに、Tsf2において電極7aの電位を−ΔVに設定する、あるいは、期間Tsf1において電極7aの電位をΔV/2に、電極7bの電位を−ΔV/2に設定し、期間Tsf2において電極7aの電位を−ΔV/2に電極7bの電位をΔV/2に設定するなど、利用する電源9の性質に応じて選択してよい。
この光偏向素子1によれば、図1の構成のものに比較して、電位勾配方向の均一性を向上させることが可能となる。
本発明の別の実施の形態について説明する。
図7は、本実施の形態の光偏向素子1の平面図(a)、断面図(b)、一部拡大断面図(c)である。以下の説明、及び図7以下の図面で、前述の実施の形態の説明と同一符号の部材などについては前述のとおりであるため、詳細な説明は省略する。この光偏向素子1は、透明抵抗膜4と離間した状態で別にガイド用抵抗膜11が形成され、ガイド用抵抗膜11と透明抵抗膜4は第1の導体となる導体12を介して接続されている。この導体12は、有効領域8を一周するガイド用抵抗膜11に沿って所定間隔を空けて複数個形成されている。
この実施の形態では、透明抵抗膜4とガイド用抵抗膜11の接触抵抗が大きい場合に、線形な電位勾配が得にくいという不具合を解決するために導体12を形成するものである。すなわち、導体12は間隔を空けて並べられ、ガイド用抵抗膜11と透明抵抗膜4を接続するので、導体12のそれぞれの接触抵抗を小さくでき、良好な電位勾配を得やすい。ただし、局所的に見ると導体12上と導体12間で周期的な電位の増減があるため、液晶層3内ではそれらが馴れるよう、液晶層3と透明抵抗膜4の間に誘電体層を設けるのが望ましい。
なお、ガイド用抵抗膜11における所望の表面抵抗値は、図4以下を参照して説明した前述の実施の形態における表面抵抗値と同様に求めることができるので、ここでは説明を省略する。また、電位差の形成法についても前述の実施の形態と同様に設定できるため、説明を省略する。
この光偏向素子1によれば、前述の光偏向素子1に比べて、接触抵抗による電位不均一性を低減し、電位勾配方向の均一性を向上させることが可能となる。
本発明の別の実施の形態について説明する。
図8は、本実施の形態の光偏向素子1の平面図である。以下の説明、及び図8以下の図面で、前述の実施の形態の説明と同一符号の部材などについては前述のとおりであるため、詳細な説明は省略する。前述の図4を参照して説明した実施の形態では、一対の電極7a,7bが、有効領域8の矩形形状の対角の2つの頂点の近傍にそれぞれ設けられているが、本実施の形態では、同様の電極を2組(一対の電極7a,7bと、一対の電極7c,7d)用い、一対の電極7a,7bが有効領域8の矩形形状の対角の2つの頂点の近傍にそれぞれ設けられている他に、別の一対の電極7c,7dも有効領域8の矩形形状の別の対角の2つの頂点の近傍にそれぞれ設けられている。一対の電極7a,7bと、一対の電極7c,7dには、それぞれ異なる電源9により、矩形波の交番電圧が印加される。図8の例では、交互に電圧ΔV/2と−ΔV/2とが入れ替わる波形の電圧が各電源9により生成される。交番電圧の周期や、そのオン、オフのタイミングは、図示しないマイクロコンピュータなどの制御装置により制御される。この制御により、まず、次に説明するように一対の電極7a,7b間と、一対の電極7c,7d間にそれぞれ印加される電圧は、電源9の電圧がΔV/2と−ΔV/2との間で切り替わる際に、一定期間0Vとすることができる(第1の制御手段)。
図9は、この場合の各電極7a,7b,7c,7dの電位を示すタイミングチャートである。
すなわち、ある期間(Tsf1とする)、電極7aをΔV/2、電極7bを−ΔV/2に電位設定し、電極7aと7bの電位差をΔVにする。電極7c、電極7dは、ΔV/2、7bと−ΔV/2の中間電位、ここでは0Vに設定する。
同様に、次のある期間(Tsf2とする)、電極7cをΔV/2、電極7dを−ΔV/2、電極7a,7bを0Vに設定する。
そして、次のある期間(Tsf3とする)、電極7bをΔV/2、電極7aを−ΔV/2、電極7c,7dを0Vに設定する。
さらに、次のある期間(Tsf4とする)、電極7dをΔV/2、電極7cを−ΔV/2、電極7a,7bを0Vに設定する。
この期間Tsf1〜Tsf4の切り替えは連続的に繰返す。これにより、一対の電極7a,7b間と、一対の電極7c,7d間には、それぞれ、山(この例でΔV/2)と谷(この例で−ΔV/2)との切替えの際に当該山と谷の中間電圧(この例で0)を所定期間(Tsf2,Tsf4)維持する矩形波の交番電圧が印加され、一方の交番電圧が山と谷にあるときに他方の交番電圧は中間電圧をとることになる。
このような駆動を行なうことにより、図10に示すように、それぞれの期間(Tsf1〜Tsf4)において、4方向に電位勾配を切り替えることが可能となり(その方向を、図10に白抜きの矢印で示す)、光を4方向に偏向することができる。
また、図示しない制御装置で、0Vの中間電圧をとることなく、交番電圧の周期を変えることにより(第2の制御手段)、同様の装置構成で、図9のような印加電圧の波形の他に図11のような波形もとることができる。
すなわち、期間Tsf1には、電極7a,7cを電位ΔV/2とし、電極7b,7dを電位−ΔV/2とする。
同様に、期間Tsf2には、電極7c,7bを電位ΔV/2とし、電極7a,7dを電位−ΔV/2に設定する。
さらに、期間Tsf3には、電極7b,7dを電位ΔV/2とし、電極7a,7cを電位−ΔV/2に設定する。
そして、期間Tsf4には、電極7a,7dを電位ΔV/2とし、電極7c,7bを電位−ΔV/2に設定する。
以上の期間Tsf1〜Tsf4の切り替えは連続的に繰返す。この駆動によって、一対の電極7a,7b間と、一対の電極7c,7d間に、それぞれ印加される電界が合成された合成電界は、有効領域8の矩形形状のいずれかの辺と平行な方向になる。
図10のような電位勾配とは別に、図12に示すように、それぞれの期間Tsf1〜Tsf4において、有効領域8の矩形形状の各辺に平行な4方向に電位勾配(その方向を白抜きの矢印で示している)を形成することが可能となる。
本発明の別の実施の形態について説明する。
図13は、本実施の形態の光偏向素子1の平面図である。以下の説明、及び図13以下の図面で、前述の実施の形態の説明と同一符号の部材などについては前述のとおりであるため、詳細な説明は省略する。
本実施の形態の光偏向素子1では、前述の透明抵抗膜4に代えて、両基板2の内面側の有効領域8に所定ピッチ間隔で平行に設けられた、複数の透光性でライン状の導体である第2の導体となるライン状透明導電膜14を備え、各ライン状透明導電膜14に接続してなるガイド用抵抗膜11と、ガイド用抵抗膜11に電圧を印加することで各ライン状透明導電膜14に電位勾配を生じせしめる一対の電極7とを備えている。ガイド用抵抗膜11は、前述のように有効領域8の周囲を一周し電極7に接続されている。ライン状透明導電膜14は、有効領域8を横断して設けられ、両端側がガイド用抵抗膜11に接続されている。そして、ライン状透明導電膜14は、その長さ方向が有効領域8の矩形形状の各辺と鋭角をなすように形成されている。
ライン状透明導電膜14としては、酸化スズ系、酸化インジウム系などの導電性粉末の樹脂分散膜やITO膜を用いることができ、前述の透明抵抗膜4と類似の材料ながら、組成、成膜条件を変えることではるかに低抵抗の膜を形成するが可能であり、その方法はスパッタ法等、工業的に確立している。同様にライン状透明導電膜14をライン状に形成するためのエッチングも一般的に確立しているウェットエッチング法などを用いることができる。
ガイド用抵抗膜11の表面抵抗値は均一であることが望ましく、ガイド用抵抗膜11はライン状透明導電膜14が形成されている周囲に沿ってライン形状に設けるのが望ましい。
本実施の形態では、有効領域8の電位勾配方向は図2のθでいうとπ/4に固定される。また、ライン状透明導電膜14の長さ方向が有効領域8の矩形形状となす角度を所望に設定することで、このθを自在に設定できる。ただし、局所的に見るとライン状透明導電膜14上で周期的な電位の増減があるため、液晶層3内ではそれらが馴れるよう液晶層3とライン状透明導電膜14の間に誘電体層を設けるのが望ましい。
ガイド用抵抗膜11における所望の表面抵抗値は、前述の図4以下を参照して説明した実施の形態における表面抵抗値と同様に求めることができるので、ここでは説明を省略する。
この光偏向素子1によれば、前述の光偏向素子1に比べて、電位勾配方向の均一性を向上させることが可能となる。また、ライン状透明導電膜14のライン形成方向を選ぶことで電位勾配方向の設定が容易に可能となる。
前述した各実施の形態では、図3を参照して前述したように、光偏向素子1への入射光の偏光方向と電界方向を直交する方向に設定することで、入射光を良好に偏向させることができる。すなわち、前述の光偏向素子1を用いる画像表示装置101(後述)において、光偏向素子1への入射光の偏光方向と電位勾配方向が垂直となるよう設定することで、ゴースト像を低減し高精細の画像を得ることが可能となる。この設定方法としては、例えば、光偏向素子1の光入射側に90度位相差板を配置し、光の偏光方向を電位勾配方向に合わせて回転させればよい。
本発明の別の実施の形態について説明する。
図14は、本実施の形態の光偏向素子1の平面図である。以下の説明、及び図14以下の図面で、前述の実施の形態の説明と同一符号の部材などについては前述のとおりであるため、詳細な説明は省略する。
この光偏向素子1は、一対の基板2と基板2間に充填された液晶層3とからなり入射する直線偏光の偏光方向を切り替える偏光方向切替手段21と、偏光方向切替手段21からの光の進行方向をその偏光方向に応じて偏向する複屈折性媒体(一軸光学結晶)22とを備え、矩形形状の有効領域8で光偏向動作する。そして、一軸光学結晶22の光学結晶軸方向を基板2の面に投影して得られる光学結晶軸投影方向が、有効領域8の辺方向から傾斜してなる。
そして、前述の光偏向素子1と同様に、基板2、液晶層3、配向膜5、スペーサ6などから構成されているが、次のような違いがある。まず、液晶層3としては、前述のスメクチックC液晶やネマチック液晶を用いることができる。配向膜5と基板2との間には透明導電膜15が設けられ、液晶層3に垂直方向に電界が印加される。液晶層3は入射する直線偏光の偏光方向を切替えるために設けるので、スメクチックC液晶は特に垂直に配向させる必要はなく、水平方向の配向でよい。ネマチック液晶としてツイストネマティック液晶を用いた場合は、ツイストネマティック液晶の旋光性を利用してツイスト角を90度に設定し、電圧無印加時は入射偏光方向が90度回転して出射し、電圧印加時は入射偏光方向を保った状態で出射するように設定すればよい。また、ツイストのないネマチック液晶の場合は、液晶の屈折率異方性を利用していわゆるECBモードによって入射光の偏光方向を切り替えればよい。スメクチックC液晶の場合も同様に屈折率異方性を利用した偏光方向切替えを行うようにする。液晶分子の電圧無印加時の長軸方向は後述する入射偏光方向と平行あるいは直交する方向に設定する。電源9は、2枚の透明導電膜15間に電圧を印加する。よって、2枚の透明導電膜15が一対の電極として機能する。
一軸光学結晶は、KHPO(KDP),NHPO(ADP),LiNbO,LiTaO,GaAs,CdTeなど、第1次電気光学効果(ポッケルス効果)の大きな材料や、KTN,SrTiO,CS,ニトロベンゼン等の第2次電気光学効果の大きな材料を用いることができる。光学結晶軸方向は有効領域8から傾斜した方向に設定する。図15には、一軸光学結晶22の光学結晶軸方向を基板2の面に投影して得られる光学結晶軸投影方向を示す。投影図において有効領域8の長軸方向をX軸、短軸方向をY軸として、一軸光学結晶22のX軸からの傾斜角はφ(≠0)である。この時入射させる直線偏光の方向は、傾斜角φに平行または直交方向に設定する。これによって、ゴースト光の発生を抑えて良好な偏向制御が可能となる。また、基板2の面からの光学結晶軸の傾きψ及び一軸光学結晶22の厚さtは、偏向量に合わせて設定する。
以上の構成により、1つの光偏向素子1のみで斜め方向に光の向きを偏向させることが可能となる。これによって、従来のように上下左右方向に光の向きを偏向させるのに比較して、画像表示装置101(後述)の構成を簡略化できる。しかも、前述の光偏向素子1と比べて、低電圧で大面積の動作を可能とすることができる。
(画像表示装置)
前述のいずれかの光偏向素子1を備えている、本実施の形態の画像表示装置について説明する。
図16は、本実施の形態の画像表示装置101の構成を説明する説明図である。符号81はLEDランプを2次元アレイ状に配列した光源であり、この光源81からスクリーン86に向けて発せられる光の進行方向には、拡散板82、コンデンサレンズ83、一対の偏光フィルタ(図示せず)、および偏光フィルタ間に位置する画像表示素子としての透過型液晶パネル84、画像パターンを観察するための光学部材としての投射レンズ85が、順に配設されている。符号87は光源81に対するドライブ装置、符号88は透過型液晶パネル84に対するドライブ装置である。
ここに、透過型液晶パネル84と投射レンズ85との間の光路上には、ピクセルシフト素子として機能する前述の光偏向素子1が設けられており、ドライブ装置90に接続されている。
ドライブ装置87で制御されて光源81から放出された照明光は、拡散板82により均一化された照明光となり、コンデンサレンズ83によりドライブ装置88で照明光源と同期して制御されて、画像表示素子となる透過型液晶パネル84をクリティカル照明する。この透過型液晶パネル84は、画像フィールドを時間的に更に細分割した複数個の画像サブフィールドごとに照明光を画像情報に基づいて空間光変調して画像光として出射する。この画像光は光偏向素子1に入射し、この光偏向素子1によって画像光が画素の配列方向に任意の距離だけシフトされる。そして、この光は投射レンズ85で拡大され、スクリーン86上に投射される。
ここに、図17に示すように、光偏向素子1による投射光路をX方向の画素ピッチをPX、Y方向の画素ピッチをPyとしたとき、斜方向に画素ピッチの半分、すなわち(PX/2,Py/2)の長さだけシフトさせることで、画素配列ピッチが一定となり高精細な画像が得られる。この方向は各画素の対角を結ぶ方向と一致しており、有効領域8の矩形形状の辺方向からの傾斜方向が各画素の対角を結ぶ方向と一致している場合に、上記高精細の画像が得られる。
また、透過型液晶パネル84から出射し光偏向素子1に入射する光の偏光方向を、有効領域8の矩形形状の辺方向からの傾斜方向と一致させることで良好なシフトが得られる。これにより、ゴースト像を低減し、高精細の画像を得ることが可能となる。
このような画像表示装置101では、シフト位置に対応した2つサブフィールド画像を透過型液晶パネル84に順次表示するタイミングを、シフトタイミングと同期することで、見掛け上2倍に画素数が増倍した高精細な画像を表示することができる。この際、光偏向素子1として、前述した各実施の形態のような光偏向素子1を用いているので、光の利用効率を向上させ、光源81の負荷を増加することなく観察者により明るく高品質の画像を提供することができる。
さらに、透過型液晶パネル84で画像が形成される領域である画素形成領域が矩形形状である場合、その縦横比を光偏向素子1における有効領域8の縦横比と等しくすることで、電位勾配形成のための印加電圧を低減することが可能である。
すなわち、図18において、画像表示素子である透過型液晶パネル84の画像形成領域の縦横のサイズをLX,Lyとすると、光偏向素子1の有効領域の縦横のサイズをa・LX,a・Lyとする。
このような構成により、電位勾配形成の為の印加電圧を低減することができる。
別の実施の形態について説明する。
図19の画像表示装置101は、画像フィールドを時間的に更に細分割した複数個の画像サブフィールドごとに照明光(光源は図示せず)を画像情報に基づいて空間光変調して画像光として出射する画像表示素子である透過型液晶パネル84と、この画像光を偏光する偏光方向切替手段91と、透過型液晶パネル84と同期し、光路の偏向により、画像サブフィールドごとに駆動される透過型液晶パネル84の各画素から入射されてくる画像光の光路を偏向して透過型液晶パネル84の見かけ上の画素数を増倍して表示する光偏向素子92とを備え、偏向後の画像をスクリーン86に表示する装置である。
この画像表示装置101で用いる光偏向素子92は前述の光偏向素子1とは異なる構成で、例えば、特許文献1,2などに開示の周知構成の光偏向素子を用いている(よって、その詳細な構成や動作は省略する)。よって、この光偏向素子92は、その有効領域の矩形形状の辺の方向と光の偏向方向が一致している。但し、透過型液晶パネル84で画像が形成される領域である画素形成領域が矩形形状であり、この矩形形状の辺の方向と、光偏向素子92の有効領域の矩形形状の辺の方向とは鋭角をなすように、光偏向素子92は傾いて配置されている。
このような構成によっても、1つの光偏向素子92のみで斜め方向に光の向きを偏向させることが可能となる。これによって、従来のように上下左右方向に光の向きを偏向させるのに比較して、画像表示装置101の構成を簡略化できる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
<光偏向素子の作成>
大きさ4cm×6cm、厚さ1mmのガラス基板の表面に、有効領域が約3cm×4cmとなるように、3.2cm×4.2cmの範囲に透明抵抗膜4として酸化スズ膜をスパッタ法により形成した。そして、4探針法で表面抵抗を測定したところ、約1×108Ω/cmであった。図1に示す有効領域8の対向する頂点にクロム膜をスパッタ法にて形成し,電極7と透明抵抗膜4を電気的に接続した。電極7間の距離は約5cmである。クロム膜は有効領域8の頂点から基板2の端部まで配線パターンを施し、そこで導線と結線し、外部の直流電源と接続した。さらに、透明抵抗膜4の上に厚み0.6μmの垂直(ホメオトロピック)配向膜5をスピンコート法により形成した。厚み60μm、幅0.5mm、のマイラーシートをスペーサ6とし、二枚の基板2を張りあわせてなるセルを約90度に加熱した状態で、基板2の間の空間に強誘電性液晶(チッソ製CS1029を使用。複屈折Δn=0.16、チルト角θ=25度、自発分極Ps=−40nC/cm)を毛管法にて注入した。これを冷却後、接着剤で封止し、図1に示す光偏向素子1とした。
<光学軸の観察>
この光偏向素子1を用い、無電界の状態で、この有効領域8内の中心部において液晶層3のコノスコープ像を観察したところ、十字形と円環の画像が中心部に観察された。したがって、無電界下では光学軸が液晶層3に垂直であることを確認できた。この状態では液晶分子3aのチルト方向が基板2の面に垂直方向に対して回転する螺旋構造を取っており、平均的な光学軸は螺旋軸の方向である基板2の面に垂直な方向して観察される。次に、直流電源の出力を3000Vに設定し、電圧を印加した。同様にコノスコープ像を観察すると十字と円環の位置が図2の“π/2−θ”方向にシフトした。これは、本実施例では用いた強誘電性液晶の自発分極が負であるため、θ方向の電界に対して光学軸が“π/2−θ”方向にチルトしていることを示している。この結果から、本光偏向素子1において、液晶を駆動するための電位勾配が、有効領域の辺方向から傾斜して発生していることが確認できた。ただし、観察位置を変化させたところ、コノスコープ像の十字と円環の位置が観察場所によって変化することも同時に確認された。
(実施例2)
<光偏向素子の作成>
実施例1で説明した光偏向素子1の製造工程中において、透明抵抗膜4を形成した後、その周囲に酸化ケイ素にクロムを5%添加した材料により、図4に示すガイド用抵抗膜11を形成した。このガイド用抵抗膜11の上に電極7を形成し、その後は、実施例1と同様の方法で光偏向素子を作製した。ガイド用抵抗膜11の表面抵抗値は1×108Ω/cm、透明抵抗膜4の表面抵抗値は1×1012Ω/cmとした。
<光学軸の観察>
実施例1と同様の方法でコノスコープ象を観察した。光偏向素子1の中心部で有効領域8から電位勾配が実施例1と同様に傾斜していることが確認できた。さらに観察位置を変化させたところ、実施例1と比較してコノスコープ像の十字と円環の位置についての均一性が向上していることが確かめられた。
(実施例3)
<光偏向素子の作成>
実施例1で説明した光偏向素子1の製造工程中において、透明抵抗膜4を形成した後、その周囲に酸化ケイ素にクロムを5%添加した材料により、図7に示すガイド用抵抗膜11を形成した。このガイド用抵抗膜11と透明抵抗膜4を接続する導体12を、電極7の材料と同じクロムにより形成した。クロムの幅は10μm、ピッチは100μmとした。この際、同時に実施例1に示す電極7を形成した。この基板2の上に、厚さ150μmのカバーガラスを貼った。その後の配向膜5の形成以降の処理は実施例1と同様の方法で行い、光偏向素子1を作製した。ガイド用抵抗膜11の表面抵抗値は1×108Ω/cm、透明抵抗膜4の表面抵抗値は1×1012Ω/cmとした。 <光学軸の観察>
実施例1と同様の方法でコノスコープ象を観察した。光偏向素子1の中心部で有効領域8から電位勾配が実施例1と同様に傾斜していることが確認できた。さらに観察位置を変化させたところ、実施例1と比較してコノスコープ像の十字と円環の位置についての均一性が向上していることが確かめられた。
(実施例4)
図16に示す画像表示装置101を作製した。画像表示素子としての透過型液晶パネル84は、対角0.9インチXGA(1024×768ドット)のポリシリコンTFT液晶パネルを用いた。画素ピッチは縦横ともに約18μmである。画素の開口率は約50%である。また、透過型液晶パネル84の光源81側にマイクロレンズアレイを設けて照明光の集光率を高める構成とした。本実施例では、光源81としてRGB三色のLED光源を用い、一枚の透過型液晶パネル84に照射する光の色を高速に切換えてカラー表示を行う、いわゆる、フィールドシーケンシャル方式を採用している。本実施例では、画像表示のフレーム周波数が30Hz、ピクセルシフトによる2倍の画素増倍のためのサブフィールド周波数が2倍の60Hzとした。一つのサブフレーム内をさらに3色分に分割するため、各色に対応した画像を180Hzで切換える。透過型液晶パネル84の各色の画像の表示タイミングに合わせて、対応した色のLED光源をON/OFFすることで、観察者にはフルカラー画像が見える。
光偏向素子1の構成は実施例3と同様であるが、透過型液晶パネル84から出射した光の偏光方向が偏光面を回転する素子の液晶配向方向の一方と同一に設置した。また、光偏向素子1への入射光の偏光度を確実にするために、光偏向素子1の入射面側に直線偏光板を設けた。
光路シフト位置の切換えタイミングに同期して、透過型液晶パネル84に表示するサブフィールド画像を60Hzで書き換えることで、二方向に見かけ上の画素数が2倍に増倍した高精細画像が表示できた。光偏向素子1の切換え時間は約0.4msecであり、充分な光利用効率が得られた。また、フリッカーなどは観測されなかった。また、スクリーン面にCCDを配置して、CCD上に画像を結像させて画素の形状を観察した。ここで、二画素周期のライン/スペース画像(一画素幅の白表示ラインと一画素幅の黒表示ラインが交互に並んだ画像)を表示し、白部の輝度をImaX、黒部の輝度をIminとして、“コントラスト・トランスファー・ファンクション(CTF)=(ImaX−Imin)/(ImaX−Imin)”を求めた。一般に光偏向素子1の変調伝達関数(MTF)の値が小さいと画素の形状が鈍って、隣接した表示画素部と非表示画素部の輝度コントラストが低下し、CTF値が小さくなる。本実施例では、CTF値は0.8であり、画素形状が比較的シャープな高精細画像が表示できることが確かめられた。
本発明の一実施の形態である光偏向素子の平面図(a)と断面図(b)である。 電位勾配方向と光偏向方向との関係を説明する説明図である。 光偏向動作の原理を説明する説明図である。 本発明の別の実施の形態である光偏向素子の平面図(a)、断面図(b)、拡大断面図(c)である。 図4の光偏向素子の電位勾配を説明する説明図である。 図4の光偏向素子における電極電位を説明する説明図である。 本発明の別の実施の形態である光偏向素子の平面図(a)、断面図(b)、拡大断面図(c)である。 本発明の別の実施の形態である光偏向素子の平面図である。 図8の光偏向素子の電極電位を説明するタイミングチャートである。 図8の光偏向素子の電位勾配の説明図である。 図8の光偏向素子の別の例の電極電位を説明するタイミングチャートである。 図11の場合の光偏向素子の電位勾配の説明図である。 本発明の別の実施の形態である光偏向素子の平面図である。 本発明の別の実施の形態である光偏向素子の平面図(a)、断面図(b)である。 図14の光偏向素子における一軸結晶軸方向と偏光方向との関係を説明する説明図である。 本発明の一実施の形態である画像表示装置の構成の説明図である。 図16の画像表示装置で画素ピッチの半分だけ光路を偏光する場合の説明図である。 図16の画像表示装置で透過型液晶パネルの画像形成領域と光偏向素子の有効領域とのサイズの関係を説明する説明図である。 本発明の別の実施の形態である画像表示装置の構成の説明図である。 従来の画像表示装置の構成の説明図である。
符号の説明
1 光偏向素子
2 基板
3 液晶層
4 第1の抵抗
7 電極
7a 電極
7b 電極
8 有効領域
9 電源
11 第2の抵抗
12 第1の導体
14 第2の導体
22 複屈折性媒体
84 画像表示素子
84a 画像形成領域
92 光偏向素子

Claims (1)

  1. 透明な一対の基板と、
    この基板間に設けられたキラルスメクチックC相からなりホメオトロピック配向をなす液晶を含む液晶層と、
    前記液晶層に対して電位勾配を与えて前記液晶層を透過する光の光路を偏向する一対の電極と、
    を備え、
    有効領域は矩形形状であり、
    前記電位勾配の方向は前記基板の板面方向で前記矩形形状の辺の方向と鋭角をなしており、
    前記一対の電極は、前記矩形形状の対角の2つの頂点にそれぞれ設けられ、
    前記一対の電極に接続され前記有効領域に対応して矩形形状に形成されている透光性の第1の抵抗膜を、さらに備えていることを特徴とする光偏向素子。
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