JP2016014793A - 光偏向器 - Google Patents

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Abstract

【課題】偏向角の時間的安定性に優れた電気光学結晶を用いた光偏向器を提供する。
【解決手段】電気光学結晶と、光軸に対して垂直方向に電界を印加するために、前記電気光学結晶の対向する面に形成された第1および第2の電極対と、前記第1および第2の電極対を介して前記電気光学結晶内に電界を形成するための電圧を出力する制御電圧源とを含む光偏向器において、前記制御電圧源は、前記光軸に沿って入射される入射光を偏向させる偏向電圧として、正極性または負極性の直流バイアス電圧が重畳された交流電圧からなる偏向電圧を出力し、前記第1の電極対の直流バイアス電圧と前記第2の電極対の直流バイアス電圧とは、逆符合であり、前記第1の電極対の交流電圧と前記第2の電極対の交流電圧とは、同一周波数、同一位相である。
【選択図】図8

Description

本発明は、電気光学結晶からなる光偏向器に関する。
光の進行方向を変える光偏向器のうち、電気光学効果を有するKTN(KTa1-xNbx3)結晶またはKLTN結晶(K1-yLiyTa1-xNbx3)(以下、KTN結晶という)を用いた光偏向器は、ガルバノミラー、ポリゴンミラー、MEMSミラー等と異なり、可動部を持たない固体素子である(例えば、特許文献1参照)。KTN結晶は、低い電圧で屈折率が大きく変わる電気光学効果が大きい物質として知られている。さらに、電極としてTi、Cr材料を用いると、結晶内に電荷を注入することができ、注入された電荷によって生じる内部電界を利用して、高速・広角な光偏向器を実現することができる。従って、レンズ、プリズム、ミラーといった一般的な光学部品を、高速で動く必要がある用途に用いる場合に、これら光学部品に代えて、KTN結晶を用いることができる(例えば、特許文献2参照)。
その応用範囲は、レーザ加工、顕微鏡、プリンタ、ディスプレイ、光通信、センシング、医療計測などと幅広い分野に及ぶと期待されている。特に医療計測への応用として、KTN光偏向器を用いたコヒーレンストモグラフィー(OCT:Optical Coherence Tomography)が近年注目されている。OCTとは、赤外・近赤外光を用いて、生体内部をin situで観察することができる可視化技術である。OCTは、X線CT、MRI、超音波断層と比較して、非侵襲・非接触・高分解能・高速に、生体情報を取得できるので、その適用領域が急速に広がっている。
OCTの基本原理によれば、光源からの出射光を2経路に分け、一方の光を画像を取得したい対象に反射させ、他方の光を参照用のミラーで反射させ、これら2つの反射光の干渉信号により、対象物の情報を得ることができる。光源として広帯域な高速波長掃引光源を用いたSS−OCT方式は、現在、最も高速・高精細なOCT画像を得ることができる。KTN光偏向器を用いてリットマン型共振器を構成し、世界最速となる周波数200kHzにおいて、OCTシステムの要求条件を満たす波長掃引幅100nm、コヒーレンス長7mm(波長1.3μm)の波長掃引光源が実現されている。OCTシステムの一例として、人間の爪の断層写真を、3次元OCT像として明瞭に取得できることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。このようにKTN光偏向器のフィージビリティが確認され、その実用化が着実に進んでいる。
図1に、従来のKTN結晶を用いた光偏向器を示す。KTN結晶1の対向する2つ面のそれぞれに、電極2,3が形成されている。2つの電極2,3の間には、制御電圧源4から電圧が印加される。入射光5は、KTN結晶1の電極2,3が形成された面と直行する面(xy平面)に入射され、KTN結晶1内をz軸方向に伝搬する。KTN結晶1内において偏向を受けて、x軸方向に進行方向を変えた出射光6が得られる。詳細は後述するが、制御電圧源4からの印加電圧に応じた偏向角が得られる。制御電圧源4からは、光偏向器の用途に応じた電圧が与えられる。例えば、印加電圧の波形は、正弦波、鋸波などであり、光偏向器の用途に応じて印加される。適切な最大偏向角を得るために、KTN結晶1へは、概ね数百V程度の電圧を印加する。
しかしながら、偏向を生じさせるための印加電圧のみで光偏向器を制御すると、駆動速度の高速化に伴って以下の問題が生じてきた。高速化によって印加電圧によって電極から注入された電子の移動距離が電極間の距離より短くなるため、理想的な空間電荷制御状態が実現されず、偏向角が減少する。この問題点に対しては、偏向を生じさせるための印加電圧を印加する前に、KTN結晶1にバースト状の波形の電圧を印加することによって、結晶中へ電子を注入し、予めトラップ準位に電子を捕捉させる制御法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。すなわち、KTN結晶1中のトラップに、予め電子を充填することによって、偏向を生じさせるための電圧の印加に際しては、KTN結晶1中に電界の分布または傾斜を生じさせることが可能となり、光偏向を実現することができる。
図2に、従来の光偏向器における電圧印加方法を示す。KTN結晶のトラップに、予め電子を充填するためのトラップ充填時間を設けた電圧印加方法である。横軸は時間を示し、縦軸は印加電圧を示している。電圧を印加する時間は、トラップを充填するための充填電圧11を印加する時間(トラップ充填時間)と、偏向を生じさせるための偏向電圧12を印加する時間(偏向時間)とに分けられる。ここでは、トラップ充填時間の充填電圧11として、正負の一定のDC電圧を印加する方法を示している。正または負のいずれかの一定の電圧を印加してもよい。偏向電圧12は、正弦波信号としているが、三角波、鋸波、他の任意の電圧波形でもよい。
図2に示したように、トラップ充填時間を設けることにより、偏向電圧を印加して偏向動作をさせる際に、KTN結晶への電子の注入が無くても、トラップ充填動作中にトラップに捕獲された電子により電界の傾斜が発生する。その結果、電気光学効果による屈折率の傾斜が生じるため、高速で広角な光偏向を実現することができる。
国際公開第2006/137408号 特開2010−074597号公報 特開2011−186218号公報
岡部他: 「KTNスキャナを用いたOCT用200kHz波長掃引光源」, 信学総大D-7-17, p. 109, 2012 J. Miyazu et al.: "New beam scanning model for high-speed operation using KTa1-xNbxO3 Crystals", APEX, Vol. 4, Issue 11, pp. 115101-1-111501-3, 2011.
しかしながら、図2に示したように、トラップ充填時間と偏向時間とに分けて、電圧を印加する場合、偏向時間の長さによって、または偏向動作の繰り返し数によって、偏向角に変動が生じ、偏向角の再現性が悪いという問題があった。これは、トラップ充填時間において、トラップされた電子が熱的に励起されて束縛状態から解放され、トラップされた電子が減少するためと考えられている。従って、数時間以上という長時間で偏向動作させた場合、徐々に偏向角が減少するという問題があった。
KTN結晶のトラップに充填された電子密度をNtrapとすると、偏向電圧として最大振幅Vmaxである正弦波電圧を印加したときの、KTN結晶を光信号が通過するときに得られるx軸方向の偏向角の最大振れ幅θp−pは、次式で表される(例えば、非特許文献2参照)。
Figure 2016014793
上式において、nはKTN結晶の屈折率であり、Lは図1におけるz軸方向のKTN結晶の長さである。g11は電気光学定数であり、eは電気素量、εは誘電率である。dは図1におけるx軸方向のKTN結晶の厚さである。式(1)からわかるように、偏向角の最大振れ幅θp−pは、トラップに充填された電子密度Ntrapに比例する。
図3に、従来の光偏向器におけるトラップ電子密度の時間変動を示す。横軸は時間を示し、縦軸はKTN結晶内のトラップに充填された電子密度Nを示している。電圧印加からトラップ充填時間(Ttrap)の間、トラップ電子密度Ntrapは、充填電圧が印加されることによって0からN1まで増加する。その後、偏向時間(Tscan)の間、例えば正弦波の制御電圧を印加して偏向すると、トラップ電子密度は次第に減少し、それに伴い偏向角も減少する。
本発明の目的は、偏向角の時間的安定性に優れた電気光学結晶を用いた光偏向器を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、第1の実施態様は、電気光学結晶と、光軸に対して垂直方向に電界を印加するために、前記電気光学結晶の対向する面に形成された2つの電極と、前記電極を介して前記電気光学結晶内に電界を形成するための電圧を出力する制御電圧源とを含む光偏向器において、前記制御電圧源は、前記光軸に沿って入射される入射光を偏向させる偏向電圧として、正極性または負極性の直流バイアス電圧が重畳された交流電圧からなる偏向電圧を出力することを特徴とする。
第2の実施態様は、電気光学結晶と、光軸に対して垂直方向に電界を印加するために、前記電気光学結晶の対向する面に形成された第1および第2の電極対と、前記第1および第2の電極対を介して前記電気光学結晶内に電界を形成するための電圧を出力する制御電圧源とを含む光偏向器において、前記制御電圧源は、前記光軸に沿って入射される入射光を偏向させる偏向電圧として、正極性または負極性の直流バイアス電圧が重畳された交流電圧からなる偏向電圧を出力し、前記第1の電極対の直流バイアス電圧と前記第2の電極対の直流バイアス電圧とは、逆符合であり、前記第1の電極対の交流電圧と前記第2の電極対の交流電圧とは、同一周波数、同一位相であることを特徴とする。
第1の実施態様によれば、交流電圧を印加中にも直流バイアス電圧を印加することによって、常に電気光学結晶に電子を供給し、トラップされた電子が熱的に励起されて束縛状態から解放され、トラップされた電子が減少することを抑制し、時間的に安定した偏向角を得ることができる。さらに、伝導帯にも電子を供給することにより、直流バイアス電圧を印加しない時よりも偏向特性を改善することができる。
第2の実施態様によれば、偏向電圧に直流バイアス電圧を印加した場合に、直流バイアス電圧に応じて偏向したオフセットを中心に、重畳した交流電圧に応じて出射光が偏向するので、電気光学結晶内を伝搬する光が、内部の電極面にぶつかってしまう。本発明は、直流バイアス電圧の極性の異なる2つの電極対を用いて、オフセットを打ち消すことにより、広角な偏向器を実現することができる。
従来のKTN結晶を用いた光偏向器を示す図である。 従来の光偏向器における電圧印加方法を示す図である。 従来の光偏向器におけるトラップ電子密度の時間変動を示す図である。 本発明の第1の実施形態にかかる光偏向器を示す図である。 本実施形態の光偏向器における電圧印加方法を示す図である。 本実施形態の光偏向器におけるDCバイアス電圧印加時の電子の授受を示す図である。 本実施形態の光偏向器におけるDCバイアス電圧印加時の偏向ビームの様子を示す図である。 本発明の第2の実施形態にかかる光偏向器を示す図である。 実施例3にかかる光偏向器を示す図である。 実施例4にかかる光偏向器を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図4に、本発明の第1の実施形態にかかる光偏向器を示す。電気光学効果を有する結晶21の対向する2つ面のそれぞれに、光軸に対して垂直方向に電界を印加するための電極22,23が形成されている。電気光学結晶21は、電気光学効果を有するKTN(KTa1-xNbx3)結晶またはKLTN結晶(K1-yLiyTa1-xNbx3)(以下、KTN結晶という)であり、ここでは、矩形状のKTN結晶チップを用いる。2つの電極22,23の間には、制御電圧源24から電圧が印加される。制御電圧源24は、電気光学結晶21に対して実用的な偏向角を生じ得るような数百V程度の電圧を印加できる駆動能力を持つ。入射光25は、電気光学結晶21の電極2,3が形成された面と直行する面(xy平面)に入射され、電気光学結晶21内をz軸(光軸)方向に伝搬する。電気光学結晶21内において偏向を受けて、x軸方向に進行方向を変えた出射光26が得られる。
光偏向器は、さらに、電気光学結晶21と熱的に結合された温度調節器27を有している。温度調節器27は、電気光学結晶21の温度を任意の温度に設定することができ、かつ所定の温度変化速度により電気光学結晶21の温度を制御することができる。図4では、電気光学結晶21を物理的に保持するものとして記載されているが、電気光学結晶21の温度を制御できるものである限り、どのような構成であってもよい。温度調節器27は、例えば、ペルチエ素子であり、温度を制御するための付随する制御回路なども当然に存在する。次に、本実施形態の光偏向器における電圧印加方法について詳細に説明する。
図5に、本実施形態の光偏向器における電圧印加方法を示す。横軸は時間を示し、縦軸は印加電圧を示している。最初に、電気光学結晶21内のトラップ準位に電子を捕捉させるために、所定の時間(トラップ充填時間)、正負の一定のDC電圧である充填電圧31を印加する。その後、光軸に沿って入射される入射光を偏向させるため、DCバイアス電圧を重畳したAC電圧を、偏向動作の間(偏向時間)偏向電圧32として印加する。
図6に、DCバイアス電圧印加時の電子の授受を示す。トラップ充填時間において、負電極より注入された電子は、電気光学結晶のある準位のトラップサイトに捕捉される。充填電圧をoffにすると、トラップされた電子は、熱再放出によって束縛状態から解放されて、トラップ電子は消失してしまう。しかし、DCバイアス電圧を印加し続けると、熱再放出される電子を補うように電子が負電極から供給されるため、長時間経過しても一定の電子が結晶内に残留することになる。従って、長時間経過しても偏向角が減少しない偏向器を実現することができる。
図7に、DCバイアス電圧印加時の偏向ビームの様子を示す。偏向動作の間、DCバイアス電圧を印加して偏向させると、DCバイアス電圧に応じて偏向したオフセットを中心に、重畳した交流電圧に応じて出射光が偏向する。例えば、図7(a)に示すように、オフセット41があるために、出射光の偏向角を最大触れ幅となるように偏向電圧を印加すると、電気光学結晶21内を伝搬する光が、内部の電極面にぶつかってしまうという欠点があった。
(第2の実施形態)
図8に、本発明の第2の実施形態にかかる光偏向器を示す。電気光学効果を有する結晶51の対向する2つ面のそれぞれに、光軸に対して垂直方向に電界を印加するための電極52,53および電極54,55が形成されている。図8(a)に示すように、光の入射側に第1の電極対(電極52,53)、光の出射側に第2の電極対(電極54,55)が形成され、図8(b),(c)に示すように、充填電圧と偏向電圧とが印加される。トラップ充填時間において、第1の電極対に印加されるDC電圧61と、第2の電極対に印加されるDC電圧63とは逆符号となっている。偏向時間において、第1の電極対に印加されるDCバイアス電圧と、第2の電極対に印加されるDCバイアス電圧とは逆符号であり、AC電圧62,64は同一周波数、同一位相である。
入射光は、第1の電極対に印加されたDCバイアス電圧の負電極側に偏向することになり、偏向しながら電気光学結晶内をz軸(光軸)方向に伝搬する。次に、第2の電極対のDCバイアス電圧の負電極側に偏向することになるが、第1の電極対とは逆方向のDCバイアス電圧が印加されているため、電気光学結晶の中心の光軸に向けて偏向することなる。第1および第2の電極対のDCバイアス電圧による偏向角が等しければ、オフセットを打ち消すことができ、図7(b)に示すように、出射端面において、最大振れ幅の出射光を得ることができる。
以下に具体的な実施例を示すが、KTN結晶の物理サイズ、印加電圧、入射波長、ビーム径は、ここに記載された数値に限定されたものではなく、適用先に応じて変更しても同様にその効果を奏する。また、1個のチップを用いて記載したが、本願の効果を奏するチップを基本単位として、複数のチップを用いてもよい。
図8に示した光偏向器を、KTN結晶を用いて作製する。KTN結晶(電気光学結晶21)のサイズは、4.0x3.2x1.2mm3となるよう加工する。4x3.2mm2の対向する面上に、Ti/Pt/Auを蒸着することにより、2組の電極対(電極52,53および電極54,55)を形成する。第1および第2の電極対は、それぞれ同じ面積・形状となるよう形成することが望ましい。KTN結晶の誘電率は、立方晶の領域で17.500となるように温度調節する。温度調節後、KTN結晶に制御電圧を印加する。
最初に、トラップ充填時間において、第1および第2の電極対に正負同一の300VのDC電圧を60秒間交互に印加して、KTN結晶をトラップ充填状態にした。ここで、第1および第2の電極対に印加するDC電圧は逆符号である。正負交互に印加したが、正の電圧のみ、または負の電圧のみであってもよい。続いて、第1の電極対にDCバイアス電圧300Vを重畳した200kHzの交流電圧(振幅300V)を印加し、第2の電極対にDCバイアス電圧−300Vを重畳した200kHzの交流電圧(振幅300V)を印加する。第1および第2の電極対に印加するAC電圧は、同相とする。
5時間以上にわたって偏向角を測定したところ、ほぼ一定の偏向角が得られ、偏向角の時間的変動が極めて少ないことを確認した。比較のために、同じKTN結晶チップを用いて、偏向時間にDCバイアス電圧を重畳しないで測定したところ、徐々に偏向角は減少した。また、偏向時間にDCバイアスを重畳しない場合、偏向角は波長1.3μmにおいて100mradであったが、偏向時間にDCバイアスを重畳すると、偏向角は120mradに増加した。また、出射ビームをIRカメラで測定したところ、出射端の中央部を中心として偏向することを確認した。
実施例1では、第1および第2の電極対に印加する電圧として、正負のDC電圧(充填電圧)を印加した後、正または負のDCバイアス電圧を重畳した同相のAC電圧(偏向電圧)を印加した。実施例2では、トラップ充填電圧を印加することなく、すなわちトラップ充填時間を設けずに、偏向動作を行う。
実施例1と同じく、図8に示した光偏向器を、KTN結晶を用いて作製する。第1の電極対にDCバイアス電圧300Vを重畳した200kHzの交流電圧(振幅300V)を印加し、第2の電極対にDCバイアス電圧−300Vを重畳した200kHzの交流電圧(振幅300V)を印加する。第1および第2の電極対に印加するAC電圧は、同相とする。
偏向電圧を印加した直後から数分程度偏向角が徐々に増加する初期変動が確認された。その後は、偏向角は一定となり、5時間以上にわたって偏向角を測定したところほぼ一定であり、偏向角の時間的変動が極めて少ないことを確認した。従って、トラップ充填電圧となる「正負のDC電圧」を印加しなくとも、出射端の中央部を中心として偏向させることができる。
比較のために、同じKTN結晶チップを用いて、偏向時間にDCバイアス電圧を重畳しないで測定したところ、徐々に偏向角は減少した。偏向角は波長1.3μmにおいて120mradであった。また、出射ビームをIRカメラで測定したところ、出射端の中央部を中心として偏向することを確認した。
図9に、実施例3にかかる光偏向器を示す。実施例1,2は、1個のKTN結晶チップ上に、極性の異なるDCバイアス電圧を印加するための電極を作製した。実施例3では、2個のKTN結晶チップを用いて光偏向器を作製する。ここでは、実施例1,2で用いたKTN結晶チップを第1および第2の電極対の間で切断して、2つのKTN結晶チップを作製した。
図9(a)に示すように、光の入射側に第1の電極対(電極62,63)が形成された電気光学結晶61を配置し、光の出射側に第2の電極対(電極65,66)が形成された電気光学結晶64を配置する。図9(b),(c)に示すように、充填電圧と偏向電圧とが印加される。トラップ充填時間において、第1の電極対に印加されるDC電圧71と、第2の電極対に印加されるDC電圧73とは逆符号となっている。偏向時間において、第1の電極対に印加されるDCバイアス電圧と、第2の電極対に印加されるDCバイアス電圧とは逆符号であり、AC電圧72,74は同一周波数、同一位相である。
実施例1,2と同一の電圧印加方法により、同一の効果を得ることができた。
図10に、実施例4にかかる光偏向器を示す。実施例1,2は、1個のKTN結晶チップ上に、極性の異なるDCバイアス電圧を印加するための電極を2組作製した。実施例4では、n組の電極対を用いる。電気光学効果を有する結晶81の対向する2つ面のそれぞれに、電極82−1,83−1から電極82−n,83−nまで、n組の電極対が形成されている。トラップ充填時間において、光の入射側から奇数番目の電極対に印加されるDC電圧と、偶数番目の電極対に印加されるDC電圧とは逆符号となっている。偏向時間において、奇数番目の電極対に印加されるDCバイアス電圧と、偶数番目の電極対に印加されるDCバイアス電圧とは逆符号であり、AC電圧は同一周波数、同一位相である。実施例4においても、実施例1,2と同様の効果を奏することができる。
本発明は、レーザ加工、顕微鏡、プリンタ、ディスプレイ、光通信、センシング、医療計測のなどの光学機器に利用することができる。
1 KTN結晶
2,3,22,23,52,53,54,55,62,63,65,66,82,83 電極
4,24 制御電圧源
5,25 入射光
6,26 出射光
11,31,61,63,71,73 充填電圧
12,32,62,64,72,74 偏向電圧
21,51,61,63,81 電気光学結晶
27 温度調節器

Claims (8)

  1. 電気光学結晶と、光軸に対して垂直方向に電界を印加するために、前記電気光学結晶の対向する面に形成された第1および第2の電極対と、前記第1および第2の電極対を介して前記電気光学結晶内に電界を形成するための電圧を出力する制御電圧源とを含む光偏向器において、
    前記制御電圧源は、前記光軸に沿って入射される入射光を偏向させる偏向電圧として、正極性または負極性の直流バイアス電圧が重畳された交流電圧からなる偏向電圧を出力し、前記第1の電極対の直流バイアス電圧と前記第2の電極対の直流バイアス電圧とは、逆符合であり、前記第1の電極対の交流電圧と前記第2の電極対の交流電圧とは、同一周波数、同一位相であることを特徴とする光偏向器。
  2. 前記制御電圧源は、前記電気光学結晶のトラップ準位に電子を捕捉させるためのトラップ充填電圧として、正極性または負極性の直流電圧を出力した後、前記偏向電圧を出力し、前記第1の電極対の直流電圧と前記第2の電極対の直流電圧とは、逆符合であることを特徴とする請求項1に記載の光偏向器。
  3. 電気光学結晶と、光軸に対して垂直方向に電界を印加するために、前記電気光学結晶の対向する面に形成された複数の電極対と、前記複数の電極対を介して前記電気光学結晶内に電界を形成するための電圧を出力する制御電圧源とを含む光偏向器において、
    前記制御電圧源は、前記光軸に沿って入射される入射光を偏向させる偏向電圧として、正極性または負極性の直流バイアス電圧が重畳された交流電圧からなる偏向電圧を出力し、光の入射側から奇数番目の電極対の直流バイアス電圧と偶数番目の電極対の直流バイアス電圧とは、逆符合であり、前記奇数番目の電極対の交流電圧と前記偶数番目の電極対の交流電圧とは、同一周波数、同一位相であることを特徴とする光偏向器。
  4. 前記制御電圧源は、前記電気光学結晶のトラップ準位に電子を捕捉させるためのトラップ充填電圧として、正極性または負極性の直流電圧を出力した後、前記偏向電圧を出力し、前記奇数番目の電極対の直流電圧と前記偶数番目の電極対の直流電圧とは、逆符合であることを特徴とする請求項3に記載の光偏向器。
  5. 前記電気光学結晶は、電気光学効果を有するKTN(KTa1-xNbx3)結晶またはKLTN結晶(K1-yLiyTa1-xNbx3)(以下、KTN結晶という)のいずれかであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光偏向器。
  6. 第1の電気光学結晶からなり、光軸に対して垂直方向に電界を印加するために、前記第1の電気光学結晶の対向する面に形成された第1の電極対を有する第1の偏向器と、
    第2の電気光学結晶からなり、前記光軸に対して垂直方向に電界を印加するために、前記第2の電気光学結晶の対向する面に形成された第2の電極対を有する第2の偏向器と、
    前記第1および第2の電極対を介して前記第1および第2の電気光学結晶内に電界を形成するための電圧を出力する制御電圧源とを含む光偏向器において、
    前記制御電圧源は、前記光軸に沿って入射される入射光を偏向させる偏向電圧として、正極性または負極性の直流バイアス電圧が重畳された交流電圧からなる偏向電圧を出力し、前記第1の電極対の直流バイアス電圧と前記第2の電極対の直流バイアス電圧とは、逆符合であり、前記第1の電極対の交流電圧と前記第2の電極対の交流電圧とは、同一周波数、同一位相であることを特徴とする光偏向器。
  7. 前記制御電圧源は、前記電気光学結晶のトラップ準位に電子を捕捉させるためのトラップ充填電圧として、正極性または負極性の直流電圧を出力した後、前記偏向電圧を出力し、前記第1の電極対の直流電圧と前記第2の電極対の直流電圧とは、逆符合であることを特徴とする請求項6に記載の光偏向器。
  8. 前記第1および第2の電気光学結晶は、電気光学効果を有するKTN(KTa1-xNbx3)結晶またはKLTN結晶(K1-yLiyTa1-xNbx3)(以下、KTN結晶という)のいずれかであることを特徴とする請求項6または7に記載の光偏向器。
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