JP2002288866A - 光ヘッド装置 - Google Patents

光ヘッド装置

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JP2002288866A
JP2002288866A JP2001085634A JP2001085634A JP2002288866A JP 2002288866 A JP2002288866 A JP 2002288866A JP 2001085634 A JP2001085634 A JP 2001085634A JP 2001085634 A JP2001085634 A JP 2001085634A JP 2002288866 A JP2002288866 A JP 2002288866A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光源からの出射光の波面変化を連続的に行える
位相補正素子を備えた光ヘッド装置を得る。 【解決手段】位相補正素子は、一対の基板に挟持された
液晶層を備え、各基板の表面には液晶層への電圧印加用
の電極が各々形成され、一方の電極は、抵抗値が103
〜108Ω/□の高抵抗電極と、抵抗値が高抵抗電極の
1000分の1以下の低抵抗電極である、円盤形と円環
形と内形が円である3低抵抗電極とからなり、3低抵抗
電極は、光軸を中心とする同心円状に配置され、各低抵
抗電極間が高抵抗電極により導電接続されている素子と
し、この位相補正素子4を、光ヘッド装置のコリメート
レンズ3と4分の1波長板5との間の光路中に設置す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスクなどの
光記録媒体の記録・再生を行う光ヘッド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスクであるDVDは、同じく光デ
ィスクであるCDに比べディジタル情報が高密度で記録
されており、DVDを再生するための光ヘッド装置は、
光源の波長をCDの780nmよりも短い650nmま
たは635nmとしたり、対物レンズの開口数(NA)
をCDの0.45よりも大きい0.6にして光ディスク
面上に集光するスポット径を小さくしている。
【0003】さらに、次世代の光記録においては光源の
波長を400nm程度、NAを0.85とすることで、
より大きな記録密度を得ることが提案されている。しか
し、光源の短波長化や対物レンズの高NA化が原因で、
光ディスクの厚み誤差の許容量が小さくなる。
【0004】これら許容量が小さくなる理由は、光ディ
スクの厚み誤差が生じた場合球面収差が発生するため
に、光ヘッド装置の集光特性が劣化して信号の読み取り
が困難になることによる。また、光ディスクの異なる層
をそれぞれ記録層とする多層記録方式の場合、各層間隔
に基く球面収差が発生するためこの収差補正機能が必要
である。
【0005】高密度記録において、球面収差を補正する
手段として以下の方式が提案されている。一つは球面収
差の量に応じてコリメートレンズの位置を機械的に変化
させて別の球面収差を発生し、この別の球面収差を用い
てディスク側で発生する球面収差を打ち消す方式(打消
方式)がある。この打消方式の場合、コリメートレンズ
の機械的可動部分を必要とするため光ヘッド装置の構成
が複雑または大きくなる欠点がある。
【0006】別の方式として、対物レンズと光源との間
の光路中に備えた位相補正素子により波面収差を補正す
る方式(補正方式)がある。この補正方式の場合、機械
的可動部分がなく、小型な光ヘッド装置にも容易に導入
できる。位相補正素子を用いて光ディスクのチルトを補
正する補正方式の例として特開平10−20263があ
る。この例では液晶などの複屈折性材料を挟持して、位
相補正素子を構成している一対の基板のそれぞれが、電
極が分割されて形成された分割電極を有している。そし
て、それぞれの分割電極に電圧を印加して、複屈折性材
料の実質的な屈折率を、光ディスクのチルト角に応じて
変化させ、この屈折率の変化により発生した透過光の位
相(波面)変化により、光ディスクのチルトで発生した
コマ収差を補正している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の位相補
正素子では光源からの出射光の波面を変化させて波面収
差を補正するために、位相補正素子に備えられた電極を
複数個に分割して各々異なる制御信号である電圧を印加
する必要がある。そのため、所望の波面形状を得るには
多数の電極、配線および外部信号源(電源)が必要であ
り、素子構成の複雑化や多数の外部信号源(電源)使用
による装置の繁雑化などの問題が生ずる。これに対し、
電極、配線および外部信号源(電源)の数を、できるか
ぎり低減させたい要望があった。
【0008】また、1つの電極に着目すると波面の変化
量は同じであるため、連続的に変化させることは困難で
ある。特に、球面収差の周辺部分などの波面収差の変化
量が大きい領域を連続的に変化させることが望まれてい
た。さらに、分割された電極間の領域には外部信号を印
加できないため、光散乱などによる光の透過率低下の原
因になる場合もある。したがって、できるかぎり分割電
極数を減らして、電極間の領域数を減らすことが望まれ
ていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するためになされたものであり、光源と、光源から
の出射光を光記録媒体上に集光させるための対物レンズ
と、光源と対物レンズとの間に設けられた出射光の波面
を変化させる位相補正素子と、波面を変化させるための
電圧を位相補正素子へ出力する制御電圧発生手段とを備
える光ヘッド装置であって、位相補正素子は透明な一対
の基板に挟持された液晶層を備えており、一対の基板の
表面には液晶層への電圧印加用の電極がそれぞれ形成さ
れており、少なくとも一方の電極は透明であって、シー
ト抵抗値が103Ω/□〜108Ω/□の高抵抗電極と、
抵抗値が高抵抗電極の1000分の1以下の低抵抗電極
である、円盤形の第1低抵抗電極と円環形の第2低抵抗
電極と少なくとも円形の開口部を有する第3低抵抗電極
とからなり、3つの低抵抗電極は、光軸を中心とする同
心円状に配置され中心より周辺に向かって第1、第2、
第3の順に配されており、かつ少なくとも各低抵抗電極
間が高抵抗電極により導電接続されていることを特徴と
する光ヘッド装置を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】図1に本発明の光ヘッド装置の原
理構成の一例を示す。図1に示した光ヘッド装置はC
D、DVDなどの光ディスク8に記録された情報を再生
するためのものであり、光源である例えば半導体レーザ
1から出射した光は例えばホログラムタイプの偏光ビー
ムスプリッタ2を透過した後、コリメートレンズ3によ
り平行光となり、位相補正素子4を透過後、4分の1波
長板5を透過し、立ち上げミラー11で90°方向に反
射され、アクチュエータ7に設置された対物レンズ6に
より光ディスク8上に集光される。集光された光は、光
ディスク8により反射され対物レンズ6、立ち上げミラ
ー11、4分の1波長板5、位相補正素子4、コリメー
トレンズ3を順次先程とは逆に透過した後、偏光ビーム
スプリッタ2により回折され光検出器9に入射する。前
述の半導体レーザ1からの出射光が光ディスク8により
反射される際、光ディスクの面上に記録された情報によ
り反射光は振幅変調され、光検出器9により光強度信号
として記録情報を読み取ることができる。
【0011】光検出器9より得られる光ディスクの、例
えば再生信号の強度が最適となるように、位相補正素子
4に向けて制御電圧発生手段である位相補正素子制御回
路10により電圧が出力される。位相補正素子制御回路
10より出力される電圧は、光ディスクの厚み誤差や対
物レンズなど光学系のズレや多層ディスクなどから発生
する球面収差に応じて位相補正素子4の電極に印加する
実質的に変化する電圧となる。
【0012】次に本発明において使用する位相補正素子
の構成を図2を用いて説明する。ガラス基板21a、2
1bが、例えばエポキシ系樹脂を主成分とするシール材
22により接着され液晶セルを形成している。使用する
基板でガラス以外の材料としては、アクリル系樹脂、エ
ポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネートな
どが挙げられるが、耐久性などの点からガラスの基板が
好ましい。
【0013】シール材22には例えばガラス製のスペー
サと例えば樹脂の表面に金などを被膜した導電性スペー
サが含まれている。ガラス基板21aの内側表面には、
内側表面から電極24a、シリカなどを主成分とする絶
縁膜25、配向膜26がこの順に、またガラス基板21
bの内側表面には、内側表面から電極24b、シリカな
どを主成分とする絶縁膜25、配向膜26がこの順に被
膜されている。液晶セルの外側表面には反射防止膜が被
膜されていてもよい。
【0014】電極24aは電極引出部27で接続線によ
って位相補正素子制御回路と接続できるようパターン配
線が施されている。また電極24bは上述の金などを被
膜した導電性スペーサによりガラス基板21a上に形成
された電極24aと電気的に接続しており、したがっ
て、電極24bは電極引出部27で接続線によって位相
補正素子制御回路と接続できる。
【0015】図2には、電極24bと電極24aとがシ
ール材22と接している様子が示されていないが、紙面
と平行なシール材とは接しており両電極は導電性スペー
サを通じて電気的に接続されている。液晶セル内部には
液晶層23が充填されている。使用する液晶層の材料
は、液晶ディスプレイなどに用いられるネマティック液
晶がよく、印加電圧により偏光が変化しないためには一
様なホモジニアス配向が好ましい。図2に示した液晶分
子28は、一方向に配向されたホモジニアス配向の状態
にある。
【0016】また配向膜の材料としては、液晶分子28
のプレチルト角が2〜10゜となれば好ましく、ポリイ
ミド膜を図2の紙面に平行で左右方向にラビングしたも
のや、シリカ膜を斜め蒸着したものなどがよい。また、
液晶の常光屈折率と異常光屈折率との差を大きくして液
晶セルの間隔を小さくした方が応答性を高くでき好まし
い。しかし、液晶セルの間隔が小さくなるほど液晶セル
の製作が困難になるため、液晶の常光屈折率と異常光屈
折率との差は0.1〜0.2、液晶セルの間隔は2〜5
μm程度とすることが好ましい。電極24a、24bの
材質は透過率が高い方が望ましく、ITO膜、酸化亜鉛
膜、酸化錫膜などの透明導電膜を使用すればよい。電極
24a、24bの材料、物性、形成方法などは後ほど詳
述する。
【0017】以上、位相補正素子を用いて波面を変化さ
せる機能に必要な構成を述べたが、波長板や偏光ホログ
ラムなどの平板光学素子を位相補正素子4に積層するこ
とにより、波長板5や偏光ビームスプリッタ2の機能を
位相補正素子4が併せ持つようにできる。この場合、光
ヘッド装置を構成する光学部品の数が減ることで組立、
調整が簡易となり、生産性が向上して好ましい。
【0018】また位相補正素子4に、回折格子を積層す
る、または光源の波長に応じて光束径を変化させるため
のダイクロイック開口制限層などを積層することもで
き、さらにガラス基板21a、21bの外側表面上に回
折格子やダイクロイック開口制限層などを直接形成する
こともでき、これらの場合も個々の部品を新たに追加す
ることに比べて生産性が向上して好ましい。波長板を積
層するときは、光ディスク側のガラス基板に直接貼り合
せるか、または波長板を別のガラス基板に貼り合わせ、
この別のガラス基板を積層すればよい。
【0019】次に、本発明における位相補正素子を用い
て球面収差を補正する方法に関して述べる。図2に示し
た電極24a、24bの少なくとも一方の電極は球面収
差を補正するための分割を施した分割電極(下記で詳し
く説明)であり、他方の電極は分割していない一様な電
極でもよく、またコマ収差や非点収差など球面収差以外
の収差を補正するための他の分割を施した電極であって
もよい。他の分割を施した電極の場合1つの位相補正素
子で球面収差とコマ収差、または球面収差と非点収差の
両方を補正することができる。以下では電極24aを球
面収差補正電極として、電極24bを一様なコモン電極
として説明する。
【0020】図3は球面収差を補正するために基板の一
面に形成された、本発明の位相補正素子の電極パターン
の一例を示す模式的平面図である。斜線部は透明導電膜
により形成された高抵抗電極30であり例えば分割のな
い一様な電極である、黒塗部分は高抵抗電極30に電圧
を印加するための低抵抗電極31〜33である。すなわ
ち円盤形の第1低抵抗電極が低抵抗電極31であり、円
環形の第2低抵抗電極が低抵抗電極32であり、内形が
円である第3低抵抗電極が低抵抗電極33である。
【0021】これら、低抵抗電極31、低抵抗電極32
および低抵抗電極33の3つの低抵抗電極は、図示しな
い光軸を中心とする同心円状に配置され、中心より周辺
に向かってこの順に配されている。また、高抵抗電極3
0によって低抵抗電極31と32、および32と33は
導電接続されている。低抵抗電極31〜33は配線によ
り位相補正素子外部の図示しない信号源と接続されてお
り各々信号1〜3によって任意の電圧を供給できる。
【0022】図4は本発明における位相補正素子により
発生した波面収差による球面収差補正の一例を示すグラ
フであり、Aは光ディスクの厚み誤差や光学系の誤差な
どにより生じた補正を要する球面収差分布、Bは位相補
正素子により発生させた補正をするための波面収差分
布、Cは補正後の波面収差分布である。また、横軸は光
軸を中心とした瞳半径であり、入射光束の半径を1とす
る。ここで、入射光束の半径を瞳半径と同じ大きさに採
ってあり、瞳半径と入射光束の半径とを同じ意味で使用
している。球面収差分布Aを補正するために信号1〜3
を適切な電圧に設定すると、位相補正素子による波面収
差分布Bが印加電圧の大きさに応じて連続的に変化す
る。図4に示すように位相補正素子により発生する波面
収差分布Bが球面収差Aと逆符号で同程度の大きさの場
合には、両者は相殺され補正後の波面収差Cに示すよう
に波面収差は補正される。
【0023】図4の位相補正素子の波面収差分布Bにお
ける領域Dと領域Eの位置は、図3に示す低抵抗電極3
1と32の位置にそれぞれ対応している。低抵抗電極3
3に相当する領域は図4の瞳半径1以上の位置に相当す
るため図示されていない。低抵抗電極31と32の位置
を変化させると発生する波面収差分布Bもまた変化す
る。したがって、高精度に補正するためには、球面収差
分布Aの形状に一致するように低抵抗電極31と32の
位置と大きさを決めることが必要である。
【0024】位相補正素子面での入射光束の半径を1と
してこれに対し、低抵抗電極31の半径を0.2〜0.
3、円環状の低抵抗電極32の内半径と外半径との平均
半径を0.7〜0.85にしたとき、球面収差を効率よ
く補正できて好ましい。特に低抵抗電極31の半径を
0.21にし、低抵抗電極32の平均半径を0.74に
したときに、最大の補正効果を得ることができ極めて好
ましい。
【0025】低抵抗電極を形成する電極材料のシート抵
抗ρLと高抵抗電極を形成する電極材料のシート抵抗ρH
の比ρL/ρHを1000分の1以下にする。ρL/ρH
大きく1000分の1を超えるとき、高抵抗電極にも比
較的大きな電流が流れ、高抵抗電極と接している低抵抗
電極内で電圧降下が生じて、所望の電圧分布を得ること
が困難となることがある。したがって、低抵抗電極材料
に比べ高抵抗電極材料のシート抵抗が高いほど、隣接す
る低抵抗電極間で電位を連続的に変化させやすく、所望
の電位分布を得ることができる。ρL/ρHを1000分
の1以下にすることが所望の電位分布を得るための条件
である。
【0026】しかしρHが大きすぎると高抵抗電極の導
電性がなくなり電位分布は発生しないためρHは103Ω
/□〜108Ω/□程度がよい。一方、ρLはできるだけ
小さくする方が高抵抗電極の許容抵抗範囲が大きくなる
ため好ましくは0.1Ω/□〜10Ω/□程度がよい。
【0027】以上の条件を満足するように、低抵抗電極
31〜33の抵抗値ρLと高抵抗電極30の抵抗値ρH
設定すると、低抵抗電極内では抵抗が低いため等電位と
なるが、高抵抗電極30の面内の電位分布は低抵抗電極
31と32、および32と33間で発生する電圧降下に
より連続的に変化する。液晶分子の配向方向は電圧値に
応じて変化するため、ほぼ電圧分布と等しい液晶の実効
屈折率分布が発生する結果、図4のBに示すような波面
収差分布が発生する。
【0028】低抵抗電極の材料としては、銅、金、アル
ミニウム、クロムなどの金属材料が導電性・耐久性の点
では好ましいが、電極部分で遮光されるため透過率が低
下する。したがって、透明導電膜を使用することが好ま
しい。例えばITO膜など比較的比抵抗の小さな透明導
電膜を用いることは、上述した低抵抗電極の抵抗と高抵
抗電極の抵抗との比の条件を満足しかつ透過率も高いた
め好ましい。また、低抵抗電極に外部の位相補正素子制
御回路より電圧を印加するための電極引出部27上の配
線材料はITO膜のような透明導電膜でもよく、クロム
やニッケルのような金属膜でもよい。特にニッケルなど
ハンダで接続できる金属の場合、外部からの信号線を容
易にハンダで接続でき好ましい。
【0029】一方、高抵抗電極の材料としては透明であ
りかつ低抵抗電極の材料に比べシート抵抗が高い必要が
ある。例えばガリウムやアルミニウム、シリコン、イッ
トリウム、インジウムなどの元素を1種または複数種ド
ープした酸化亜鉛膜や、アンチモン、インジウム、ガリ
ウムなどの元素を1種または複数種ドープした酸化錫膜
や、ITO膜などがよい。上記の元素がドープされた酸
化亜鉛膜や酸化錫膜は、ITO膜に比べ容易に高抵抗膜
が得られるため好ましい。特に、上記の元素がドープさ
れた酸化亜鉛膜は高比抵抗でありながらエッチング性も
良好であり、光の透過率、耐久性に優れている点で本発
明の光ヘッド装置における好適な材料である。
【0030】ITO膜を低抵抗電極と高抵抗電極の両方
に用いる場合は、比抵抗が異なる膜にする方が膜厚を制
御しやすいため好ましい。一般にITO膜は成膜方法に
よりその膜の比抵抗を変えることができる。例えば、低
抵抗電極のITO膜を液晶ディスプレイなどで用いられ
るマグネトロンスパッタリング法などを用いて比抵抗1
×10-6Ω・m程度にし、高抵抗電極を電熱ガラスなど
に用いられるディップコーティングなどの方法を用いて
比抵抗1×10-4〜1Ω・m程度になるよう形成するこ
とが好ましい。
【0031】また、位相補正素子と対物レンズとが一体
に構成されている光ヘッド装置とすることが好ましい。
その理由は、トラッキングなどにより対物レンズが光軸
に対して垂直な面内で移動するレンズシフトを生じたと
き、位相補正素子と対物レンズが一体でない場合、光デ
ィスクにより発生した球面収差に対して位相補正素子が
発生した波面収差(球面収差)がレンズシフト分だけ位
置ずれを起こすことになり、球面収差を適切に補正でき
なくなるからである。
【0032】位相補正素子と対物レンズとが一体に構成
されている光ヘッド装置とするには、対物レンズを保持
しているアクチュエータに位相補正素子を固定するなど
すればよい。この場合、アクチュエータの制御特性に影
響を与えないないように、位相補正素子の重量を軽くし
たり、信号引出線をワイヤなどの軽量で接続容易なもの
を使用することが好ましい。
【0033】
【実施例】本例の光ヘッド装置は、光ディスクの厚み誤
差、対物レンズ寸法の製造誤差、光学系の調整誤差など
により生ずる球面収差を補正する位相補正素子を備えて
いる。対物レンズは光ディスクの厚さが設計値からずれ
ると球面収差を発生し信号の読み取り精度が低下する。
この球面収差を補正する位相補正素子を図1に示す光ヘ
ッド装置の位相補正素子4として組み込んだ。ただし、
位相補正素子制御回路10は本例の位相補正素子用に改
良されている。光源である半導体レーザ1の出射光の波
長は、405nmでありコリメートレンズ3により平行
光束となる。対物レンズ6のNAは0.85であり、有
効瞳径は直径3mmである。したがって、本例では直径
3mm(半径1.5mm)の光束径を有する光の球面収
差を補正する場合について述べる。
【0034】本例の位相補正素子の素子構造は図2に示
したものと同じであり、電極パターンは図3に示したも
のと同じである。厚さ0.5mmの無アルカリガラス基
板の表面上にマグネトロンスパッタリング法により比抵
抗1×10-5Ω・mのITO膜を成膜して、フォトリソ
グラフィーとエッチングの技術によりこのITO膜にパ
ターニングを行い、一様なコモン電極24bと図3に示
した低抵抗電極31〜33を形成した。
【0035】その後、低抵抗電極31〜33上には比抵
抗1×10-2Ω・mのITO膜をディップコート法によ
り成膜して透明な高抵抗電極30を形成した。その後、
電極24a、24bの表面にはシリカを主成分とする絶
縁膜25をスピンコート法により形成した後、ポリイミ
ドを主成分とする配向膜26を同じくスピンコート法に
より形成した。このとき、高抵抗電極のシートの抵抗値
が1×105Ω/□であり、低抵抗電極の抵抗値は、こ
の値の1000分の1であった。
【0036】作製した2枚の基板を4μmのガラス製ス
ペーサが混入したエポキシ系のシール材を介してセル構
造になるよう重ね合わせた。そのセルの基板間には常光
屈折率と異常光屈折率との差Δnが0.15のネマティ
ック液晶を注入して液晶セルを形成した。なお、配向膜
は液晶層がホモジニアス配向になるよう事前にラビング
処理されており、ガラス基板の液晶層とは反対の表面に
反射防止膜をコートした。
【0037】低抵抗電極31は直径0.63mm(半径
0.315mm)の円盤状であり、低抵抗電極32は内
径2.22mm、外形2.42mmの円環状であり円環
の平均直径は2.32mm(平均半径1.16mm)で
あり、低抵抗電極33は内径3.1mm(内半径1.5
5mm)の円環状であり円環の太さは0.6mmであ
り、すべて光軸を中心とした同心円に配置されている。
したがって、光束半径に対する比は、それぞれ0.2
1、0.77および1.08であった。低抵抗電極31
〜33は配線によりそれぞれ外部の信号源に接続されて
おり、信号1〜3により各々低抵抗電極に任意の電圧を
供給できる。
【0038】以下に本例の位相補正素子により球面収差
を補正する原理を説明する。図5は対物レンズのNAが
0.85、光源の波長が405nmの光学系において、
光ディスクの厚さが設計値の0.1mmより0.01m
m厚くなった場合に発生する波面収差(球面収差)を示
す図である。光ディスクが設計値より厚い場合は有効瞳
の中心部(内側の0〜40nmと記載した領域)と有効
瞳の周辺部(外側の0〜40nmと記載した領域)の位
相に対して、その両者に挟まれた中間部(80〜120
nmと記載した領域)の位相が進んだ状態となり、厚み
が薄い場合は中間部の位相が遅れた状態となる。
【0039】0.01mmの光ディスク厚み誤差により
発生する球面収差を位相補正素子により補正するため
に、低抵抗電極31、33に2.3V、低抵抗電極32
に2.0V供給した。ここで電極24bには0Vを印加
している。高抵抗電極30は低抵抗電極の電圧差に応じ
て電圧分布を生じる。前述の説明と同様に、電圧分布に
より液晶の実質的な屈折率分布が生じる結果、位相補正
素子は同心円状の位相変化を発生することができて、そ
の半径方向分布は図4のBのようになる。
【0040】ここで球面収差Aの大きさに応じて信号1
〜3の電圧を決めているので、球面収差Aと位相補正素
子により発生する球面収差Bは相殺する結果、光ディス
ク面上での波面収差をCのようにに低減する。本例の場
合、補正前の球面収差は約0.1λrmsであったが、位
相補正素子を用いて補正した結果、約0.018λrms
に減少した。
【0041】一方、光ディスクの厚さが0.01mmだ
け薄い場合には、図5とは正負が逆転した球面収差を補
正するために、低抵抗電極31、33に2.0V、低抵
抗電極32に2.3Vを印加すればよい。これにより、
位相補正素子によって発生する位相変化も図4のBの正
負を逆転した形になるため、球面収差を相殺できる。以
上のように低抵抗電極31、32、33に適切な電圧を
印加することにより図5に示す球面収差を補正できる。
また、低抵抗電極31、33は常に等しい電圧を印加し
ても、光学特性上大きく影響しないために、両者を導通
させて1つの電源に接続させてもよく、この場合2つの
信号で動作させることができる。
【0042】上述のように、本例の光ヘッド装置を用い
ることで、光ディスクの厚みムラにより発生する球面収
差を良好に補正できた。また、電極を分割した従来の位
相補正素子において、電極間の電圧を印加できない領域
近傍で発生した光散乱が、本例では低く抑えられた結
果、透過率が3%向上した。さらに、従来と比べ少ない
外部信号源により動作させることができたため、低いコ
ストで光ヘッド装置を作製できた。
【0043】
【発明の効果】以上のように、本発明の光ヘッド装置に
おいては、液晶を挟持して位相補正素子を構成する一対
の基板のそれぞれに形成された電極の少なくとも1つの
電極を、同心円状に配列された3つの低抵抗電極と、各
々の低抵抗電極間を導電接続する高抵抗電極とで構成す
る。この構成により、位相補正素子によって光源からの
出射光に連続的な位相(波面)変化を生じさせることが
できるので、光ヘッド装置は、光ディスク厚み誤差に起
因する球面収差を効率よく補正でき、ノイズの少ない良
好な信号光を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ヘッド装置の原理構成の一例を示す
概念的断面図。
【図2】本発明における位相補正素子の構成の一例を示
す断面図。
【図3】本発明における位相補正素子の電極パターンの
一例を示す模式的平面図。
【図4】本発明における位相補正素子により発生した波
面収差による球面収差補正の一例を示すグラフ(Aは補
正を要する球面収差、Bは位相補正素子により発生した
波面収差、Cは補正後の波面収差、Dは低抵抗電極31
に相当する領域、Eは低抵抗電極32に相当する領
域)。
【図5】対物レンズのNAが0.85、光源の波長が4
05nmの光学系において、光ディスクの厚み誤差0.
01mmが発生したときの球面収差を示す図。
【符号の説明】
1:半導体レーザ 2:偏光ビームスプリッタ 3:コリメートレンズ 4:位相補正素子 5:4分の1波長板 6:対物レンズ 7:アクチュエータ 8:光ディスク 9:光検出器 10:位相補正素子制御回路 21a、21b:ガラス基板 22:シール材 23:液晶層 24a、24b:電極 25:絶縁膜 26:配向膜 27:電極引出部 28:液晶分子 30:高抵抗電極 31〜33:低抵抗電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光源と、光源からの出射光を光記録媒体上
    に集光させるための対物レンズと、光源と対物レンズと
    の間に設けられた出射光の波面を変化させる位相補正素
    子と、波面を変化させるための電圧を位相補正素子へ出
    力する制御電圧発生手段とを備える光ヘッド装置であっ
    て、 位相補正素子は透明な一対の基板に挟持された液晶層を
    備えており、一対の基板の表面には液晶層への電圧印加
    用の電極がそれぞれ形成されており、少なくとも一方の
    電極は透明であって、シート抵抗値が103Ω/□〜1
    8Ω/□の高抵抗電極と、抵抗値が高抵抗電極の10
    00分の1以下の低抵抗電極である、円盤形の第1低抵
    抗電極と円環形の第2低抵抗電極と少なくとも円形の開
    口部を有する第3低抵抗電極とからなり、 3つの低抵抗電極は、光軸を中心とする同心円状に配置
    され中心より周辺に向かって第1、第2、第3の順に配
    されており、かつ少なくとも各低抵抗電極間が高抵抗電
    極により導電接続されていることを特徴とする光ヘッド
    装置。
  2. 【請求項2】前記光源からの出射光の位相補正素子面に
    おける光束半径に対する、前記第1低抵抗電極の半径と
    の比が0.2〜0.3であり第2低抵抗電極の平均半径
    との比が0.7〜0.85であり、第3低抵抗電極の内
    半径との比が1.0以上であることを特徴とする請求項
    1記載の光ヘッド装置。
  3. 【請求項3】前記位相補正素子と前記対物レンズとが一
    体に構成されている請求項1または2記載の光ヘッド装
    置。
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WO2004038712A1 (ja) * 2002-10-24 2004-05-06 Sony Corporation 位相調整液晶デバイス、光ピックアップ及び光記録再生装置
JP2006162686A (ja) * 2004-12-02 2006-06-22 Ricoh Co Ltd 光偏向素子、該素子を備えた光偏向装置及び画像表示装置
JP2006267907A (ja) * 2005-03-25 2006-10-05 Ricoh Co Ltd 光偏向素子・画像表示装置
JP2007250168A (ja) * 2006-02-16 2007-09-27 Asahi Glass Co Ltd 光ヘッド装置

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