JP2011181177A - 光ヘッド装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光源からの出射光の波面変化を面内で連続的に行える位相補正素子を備えた光ヘッド装置を得る。
【解決手段】それぞれ異なる電圧を供給できるようにされている複数の給電部がそれぞれ異なる位置に設けられ、かつ入射光の波面形状を連続的に変化させたい領域を、各給電部への配線部が形成される領域を除き覆うように形成されている1つの連続した電極が少なくとも形成された透明基板の間に異方性光学媒質が備えられている位相補正素子を光源1からの出射光を平行化するコリメートレンズ3と出射光を光記録媒体8へ集光する対物レンズ6の間に配置した光ヘッド装置とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ディスクなどの光記録媒体の記録・再生を行う光ヘッド装置に関する。
光ディスクであるDVDは、同じく光ディスクであるCDに比べディジタル情報が高密度で記録されており、DVDを再生するための光ヘッド装置は、光源の波長をCDの780nmよりも短い650nmまたは635nmとしたり、対物レンズの開口数(NA)をCDの0.45よりも大きい0.6にして光ディスク面上に集光するスポット径を小さくしている。
さらに、次世代の光記録においては光源の波長を400nm程度、NAを0.6以上とすることで、より大きな記録密度を得ることが提案されている。しかし、光源の短波長化や対物レンズの高NA化が原因で、光ディスク面が光軸に対して直角より傾くチルトの許容量や光ディスクの厚みムラの許容量が小さくなる。
これら許容量が小さくなる理由は、光ディスクのチルトの場合にはコマ収差が発生し、光ディスクの厚みムラの場合には球面収差が発生するために、光ヘッド装置の集光特性が劣化して信号の読み取りが困難になることによる。高密度記録において、光ディスクのチルトや厚みムラに対する光ヘッド装置の許容量を拡げるためにいくつかの方式が提案されている。
一つの方式として、通常光ディスクの接線方向と半径方向との2軸方向に移動する対物レンズのアクチュエータに、検出されたチルト角に応じて対物レンズを傾けるように傾斜用の軸を追加する方式がある。しかし、この追加方式では球面収差は補正できないことや、アクチュエータの構造が複雑になるなどの問題がある。
別の方式として、対物レンズと光源との間に備えた位相補正素子により波面収差を補正する方式がある。この補正方式では、アクチュエータに大幅な改造を施すことなく光ヘッド装置に素子を組み入れるだけで光ディスクのチルトの許容量や厚みムラの許容量を拡げることができる。
例えば、位相補正素子を用いて光ディスクのチルトを補正する上記の補正方式の一例として、特許文献1がある。これは、位相補正素子を構成している液晶などの複屈折性材料を挟持している一対の基板のそれぞれに、電極が分割されて形成された分割電極に電圧を印加して、複屈折性材料の実質的な屈折率を光ディスクのチルト角に応じて変化させ、この屈折率の変化により発生した透過光の位相(波面)変化により、光ディスクのチルトで発生したコマ収差を補正する方式である。
特開平10−20263号公報
しかし、従来の位相補正素子では光源からの出射光の波面を変化させて波面収差を補正するために、位相補正素子に備えられた電極を複数個に分割して各々異なる制御信号である電圧を印加する必要がある。
そのため、所望の波面形状を得るには多数の電極、配線および外部信号源(電源)が必要であり、素子構成の複雑化や多数の外部信号源(電源)使用による装置の繁雑化などの問題が生ずる。これに対し、電極、配線および外部信号源(電源)の数を、できるかぎり低減させたい要望があった。
また、1つの電極に着目すると波面の変化量は同じであるため、連続的に変化させることは困難である。特に、球面収差の周辺部分などの波面収差の変化量が大きい領域を連続的に変化させることが望まれていた。
さらに、分割された電極間の領域には外部信号を印加できないため、光散乱などによる光の透過率低下の原因になる場合もある。したがって、できるかぎり分割電極数を減らして、電極間の領域数を減らすことが望まれていた。
本発明による光ヘッド装置は、光源と、光源からの出射光を光記録媒体上に集光させるための対物レンズと、光源と対物レンズとの間に設けられた出射光の波面を変化させる位相補正素子と、波面を変化させるための電圧を位相補正素子へ出力する制御電圧発生手段とを備える光ヘッド装置であって、位相補正素子は少なくとも一方が透明な一対の基板に挟持された異方性光学媒質を備えており、一対の基板の表面には異方性光学媒質への電圧印加用の電極がそれぞれ形成されており、少なくとも一方の基板に形成される前記電極には、それぞれ異なる電圧を供給できるようにされている複数の給電部がそれぞれ異なる位置に設けられ、かつ入射光の波面形状を連続的に変化させたい領域を、各給電部への配線部が形成される領域を除き覆うように形成される1つの連続した電極が少なくとも含まれていることを特徴とする。
また、前記複数の給電部のうち少なくとも2つは、当該1つの連続した電極の領域を発生させたい収差の大きさによる段階別に分けた場合に、発生させる収差の最大値が存在する領域内と最小値が存在する領域内に設けられていてもよい。
また、前記位相補正素子の少なくとも一方の基板に形成される前記電極は、当該電極の中央部に形成される長方形状または直線状の2つの給電部と、当該電極の周辺部に形成される円弧状の2つの給電部とを有する1つの連続する電極であって少なくとも前記2つの円弧状の給電部により囲まれる領域を、各給電部への配線部が形成される領域を除き覆うように形成される1つの連続する電極であり、前記長方形状または直線状の給電部および円弧状の給電部は、それぞれ前記位相補正素子の入射光束の中心を通って前記位相補正素子面に平行で、かつ前記光記録媒体の回転方向に平行な直線に対して対称となるように形成されていてもよい。
また、前記位相補正素子は、前記一対の基板のうち、最初に光が入射する側の基板のみが透明であり、前記透明でない他方の基板の表現には高反射率の電極が形成されていてもよい。
また、前記異方性光学媒質が液晶であってもよい。
また、前記給電部を有する電極を形成する電極材料のシート抵抗が100Ω/□以上であってもよい。
また、前記給電部を有する電極を形成する電極材料のシート抵抗は、前記給電部を形成する給電部材料のシート抵抗の1000倍以上であってもよい。
また、前記給電部を有する電極は、ガリウムが添加された酸化亜鉛膜、またはガリウムとシリコンが添加された酸化亜鉛膜であってもよい。
本発明によれば、位相補正素子を構成する一対の基板のそれぞれに形成された電極のうち少なくとも入射光の波面形状を連続的に変化させたい領域を覆うよう形成される1つの連続した電極にそれぞれ異なる電圧を供給できるようにされている2つ以上の給電部を設けることにより、この位相補正素子により当該領域において光源からの出射光に連続的な位相(波面)変化を生じさせることができるので、光ディスクのチルトや光ディスク厚みムラなどにより発生する波面収差を効率よく補正でき、同領域の波面変化を分割電極を用いて実現する場合と比べて光散乱が低減し、ノイズの少ない良好な信号光が得られる。
本発明の光ヘッド装置の原理構成の一例を示す概念的断面図。 本発明における位相補正素子の一例を示す断面図。 例1における位相補正素子の電極パターンを示す模式的平面図。 光ディスクのチルト1゜が発生したときの波面収差を示す図。 例1の位相補正素子により発生した位相変化を示す図(レンズのシフトがない場合)。 例1の位相補正素子により発生した位相変化を示す図(右方向のレンズのシフトがある場合)。 光ディスクの厚みムラ0.03mmが発生したときの球面収差を示す図。 例2における位相補正素子の電極パターンを示す模式図。 例2の位相補正素子により発生した位相変化を示す図。 例3における位相補正素子の電極パターンを示す模式図。 例4における位相補正素子の電極パターンを示す模式図。
図1に本発明の光ヘッド装置の原理構成の一例を示す。図1に示した光ヘッド装置はCDまたはDVDなどの光ディスク8に記録された情報を再生するためのものであり、光源である例えば半導体レーザ1から出射した光は例えばホログラムタイプの偏光ビームスプリッタ2を透過した後、コリメートレンズ3により平行光となり、位相補正素子4を透過後、立ち上げミラー11で90°方向に反射され、4分の1波長板5を透過し、アクチュエータ7に設置された対物レンズ6により光ディスク8上に集光される。ここで、位相補正素子4を構成している一対の基板はともに透明である。
集光された光は光ディスク8により反射され対物レンズ6、4分の1波長板5、立ち上げミラー11、位相補正素子4、コリメートレンズ3を順次先程とは逆に透過した後、偏光ビームスプリッタ2により回折され光検出器9に入射する。前述の半導体レーザ1からの出射光が光ディスク8により反射される際、光ディスクの面上に記録された情報により反射光は振幅変調され、光検出器9により光強度信号として記録情報を読み取ることができる。
偏光ビームスプリッタ2は例えば偏光性のホログラムを備えており、異方性方向(屈折率に差がある方向)に偏光成分を有する光を強く回折して光検出器9に導く。光検出器9より得られる光ディスクの例えば再生信号の強度が最適となるように、位相補正素子4に向けて制御電圧発生手段である位相補正素子制御回路10により電圧が出力される。位相補正素子制御回路10より出力される電圧は、光ディスクのチルト量や対物レンズのシフト量に応じた電圧であり、位相補正素子4の電極に印加する実質的に変化する電圧となる。
また立ち上げミラー11は、半導体レーザ1より出射した光をほぼ90゜方向に反射させ光ディスクに入射させるものであり、光ヘッド装置の厚み(光ディスク8の面に垂直な方向)を薄くするには使用することが好ましい光学部品である。通常は、ガラス表面にアルミニウムなどの高反射膜を蒸着したものが使用される。
図1では、立ち上げミラー11を使用し、半導体レーザ1より出射した光の光路を変更したが、立ち上げミラー11を使用せずはじめから半導体レーザ1からの出射光の方向を光ディスク8の面に垂直となるようにしてもよい。
異方性光学媒質には、ニオブ酸リチウムなどの光学結晶や液晶などが使用できる。異方性光学媒質として液晶を用いることは、例えば6V程度の低い電圧によって実質的な屈折率が容易にかつ電圧の大きさに応じて連続的に制御できて好ましい。さらに、ニオブ酸リチウムなどの光学結晶などと比べて量産性が高く好ましい。したがって以下では、異方性光学媒質として液晶の材料を使用する場合について説明する。
使用する液晶材料は、ディスプレイ用途などに用いられるネマティック液晶がよく、カイラル剤の添加によりツイストさせてもよい。
また、使用する基板の材料としては、ガラス、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネートなどが使用できるが、耐久性などの点からガラスの基板が好ましい。したがって、以下では基板の材料としてガラスを使用する場合について説明する。
次に本発明において使用する位相補正素子の構成を図2を用いて説明する。ガラス基板21a、21bが、例えばエポキシ系樹脂を主成分とするシール材22により接着され液晶セルを形成している。シール材22には例えばガラス製のスペーサと例えば樹脂の表面に金などを被膜した導電性スペーサが含まれている。ガラス基板21aの内側表面には、内側表面から電極24a、シリカなどを主成分とする絶縁膜25、配向膜26がこの順に、またガラス基板21bの内側表面には、内側表面から電極24b、シリカなどを主成分とする絶縁膜25、配向膜26がこの順に被膜されている。液晶セルの外側表面には反射防止膜が被膜されていてもよい。
電極24aは電極引出部27で接続線によって位相補正素子制御回路と接続できるようパターン配線されている。また電極24bは上述の金などを被膜した導電性スペーサによりガラス基板21a上に形成された電極24aと電気的に接続しており、したがって、電極24bは電極引出部27で接続線によって位相補正素子制御回路と接続できる。図2には、電極24bと電極24aとがシール材22と接している様子が示されていないが、紙面と平行なシール材とは接しており両電極は導電性スペーサを通じて電気的に接続されている。液晶セル内部には液晶23が充填されており、図2に示した液晶分子28は、一方向に配向されたホモジニアス配向の状態にある。
本発明における位相補正素子では、これら電極24a、電極24bの少なくとも一方の電極の面内の異なる位置に、異なる電圧を供給するための2つ以上の給電部を形成している。すなわち、一方の電極の場合は2つ以上の給電部を、両方の電極の場合はそれぞれに2つ以上の給電部(合計4つ以上)を形成してもよい。これに関しては後に詳しく述べる。
また配向膜の材料としては、液晶分子28のプレチルト角が2〜10゜となれば好ましく、ポリイミド膜を図2の紙面に平行で左右方向にラビングしたものや、シリカ膜を斜め蒸着したものなどがよい。また、液晶の常光屈折率と異常光屈折率との差を大きくして液晶セルの間隔を小さくした方が応答性を高くでき好ましい。しかし、液晶セルの間隔が小さくなるほど液晶セルの製作が困難になるため、液晶の常光屈折率と異常光屈折率の差は0.1〜0.2、液晶セルの間隔は2〜5μm程度とすることが好ましい。
図1に示した光ヘッド装置の場合、一対の基板の両方ともが透明であり、光は位相補正素子4を透過するため、電極24a、24bの材質は透過率が高い方が望ましく、ITO、酸化亜鉛膜などの透明導電膜を使用すればよい。この場合は、位相補正素子4を透過型素子として使用している。
しかし、一対の基板の片方のみを透明な基板とする場合、電極24a、24bのいずれか一方をアルミニウム、クロムなどの反射率の高い材質を用いて作製し、位相補正素子4を反射型素子として使用できる。このとき、図1の立ち上げミラー11の代わりにこの位置に位相補正素子4を設置できる。最初に光が入射する側の電極(例えば電極24a)を高透過率の透明電極にして、他方の電極(例えば電極24b)を高反射率の電極にすれば、位相補正素子4に入射した光は、透明の電極24a、液晶を透過して電極24bで反射された後、再度、液晶、透明の電極24aを透過して光ディスク8に向かう。
上述のように位相補正素子4として反射型素子を使用すれば、すなわち位相補正素子を構成する一対の基板のうち一方が透明な基板であれば、図1の立ち上げミラー11を位相補正素子4で置き換えることができるため部品点数が減り、また光ヘッド装置の厚みを薄くできて好ましい。この場合、位相補正素子4に入射する光はほぼ45゜の角度で液晶23を2度通過するため、透過型の場合と異なる液晶セル間隔(液晶セルの中の液晶層の厚み)を設定しておけばよい。
以上、位相補正素子を用いて波面を変化させる機能に必要な構成を述べたが、波長板や偏光ホログラムを位相補正素子4に積層することにより、波長板5や偏光ビームスプリッタ2の機能を位相補正素子4が併せ持つようにできる。この場合、光ヘッド装置を構成する光学部品の数が減ることで組立、調整が簡易となり、生産性が向上して好ましい。
また位相補正素子4に、回折格子や光源の波長により光束径を変化させるためのダイクロイック開口制限層なども積層したり、ガラス基板21a、21bの外側表面上に直接形成したりすることもでき、この場合も個々の部品を新たに追加することに比べて生産性が向上して好ましい。波長板を積層する場合は、光ディスク側のガラス基板に直接貼り合せるか、または貼り合わせたガラス基板をさらに積層すればよい。
次に、本発明における位相補正素子を構成し異方性光学媒質を挟持する基板上の電極に形成される、電圧供給のための給電部について説明する。
本発明においては、一対の基板のそれぞれの基板につき1つ(1面)の電極が形成され、合計2つ(2面)の電極が形成される。電極は一対の基板の対向する面に形成されることが好ましい。これら電極の態様として、例えば下記のものが挙げられる。
(1)2面の電極がともに連続した1枚の電極である場合、一方の電極には2つ以上の給電部を異なる位置に形成し、かつ、(a)他方の電極には給電部を形成せず異なる電圧を印加できるようにする、または(b)他方の電極にも2つ以上の給電部を異なる位置に形成する。
2面の電極のそれぞれに2つ以上の給電部を形成する(b)のときは、それぞれの給電部は2つの電極間で対向する位置に形成してもよく、複数の給電部を対向しない位置に形成してもよい。
(2)2面の電極のうち、一方の電極は連続した1枚の電極とし、他方は連続した1枚の電極を複数個に分割し分割電極とした場合、(c)一方の連続した1枚の電極に2つ以上の給電部を異なる位置に形成し、かつ、他方の複数個の全ての分割電極に給電部を形成せず異なる電圧を印加できるようにする、または(d)一方の連続した1枚の電極に2つ以上の給電部を異なる位置に形成し、かつ、他方の複数個のうち1部の分割電極に2つ以上の給電部を形成する、または(e)一方の連続した1枚の電極に2つ以上の給電部を異なる位置に形成し、かつ、他方の複数個の全ての分割電極に2つ以上の給電部を形成する、または(f)一方の連続した1枚の電極には給電部を形成せず異なる電圧を印加できるようにし、かつ、他方の複数個のうち1部の分割電極に2つ以上の給電部を形成する、または(g)一方の連続した1枚の電極に給電部を形成せず異なる電圧を印加できるようにして、かつ、他方の複数個の全ての分割電極に2つ以上の給電部を形成する。
(3)2面の電極が、ともに1枚の電極を複数個に分割し分割電極とした場合、一方の複数個の分割電極の1部または分割電極の全てに2つ以上の給電部を形成し、かつ、(h)他方の複数個の分割電極に給電部を形成せず異なる電圧を印加できるようにする、または(i)他方の複数個のうち1部の分割電極に2つ以上の給電部を形成する、または(j)他方の複数個の全ての分割電極に2つ以上の給電部を形成する。
異方性光学媒質に電圧を印加する場合、各々給電部は次のように機能する。まず、2面の電極が、ともに連続した1枚の電極である場合の例を説明する。
電極の一方のみに2つ以上の給電部を形成する場合、給電部を1つだけ有する電極が共通電極C(等電位)となり、前者の電極の2つ以上の給電部(S1、S2、S3・・・)との間に、すなわちC−S1、C−S2、C−S3・・・間に異なる電圧が供給される。
2つの電極にそれぞれ2つ以上の給電部を形成し、かつ電極間でそれぞれの給電部が対向して同じ位置にある場合、一方の電極の2つ以上の給電部(S1、S2、S3・・・)と他方の電極の2つ以上の給電部(S1’、S2’、S3’・・・)との間、すなわちS1’−S1、S2’−S2、S3’−S3・・・間に異なる電圧が供給される。
2つの電極にそれぞれ2つ以上の給電部を形成し、かつ電極間でそれぞれの給電部が対向せずズレている場合、一方の電極の2つ以上の給電部(S1、S2、S3・・・)と他方の電極の2つ以上の給電部(T1、T2、T3・・・)との間、すなわちT1−S1、T2−S2、T3−S3・・・間に異なる電圧が供給される。
この対向していない場合はT1とS1、T2とS2、T3とS3などの間で給電部の形状や大きさが互いに異なっていてもよく、目的に応じた適切な形状や大きさとすればよい。また、対向している場合でも、必要に応じて互いの形状や大きさを変えてもよい。
次に、2面の電極のうちの一方が複数の分割電極(U1、U2、U3・・・)に分割され、他方が連続した1枚の電極で複数の給電部(S1、S2、S3・・・)を有する場合、分割電極と給電部との間、U1−S1、U2−S2、U3−S3、・・・間に異なる電圧が供給される。
上述した他の電極の態様に対しても、各々給電部は同様に機能する。
給電部の数は目的や形状によって異なるが、1つの電極に10個程度あれば必要な量だけ波面を変化させることができる。
給電部を形成する給電部材料のシート抵抗ρSと電極を形成する電極材料のシート抵抗ρTの比ρT/ρSを1000以上にすることが好ましい。ρT/ρSが小さい場合、電極にも比較的大きな電流が流れ、電極と接している給電部内で電圧降下が生じて、所望の電圧分布を得ることが困難となることがある。したがって、給電部材料に比べ電極材料のシート抵抗が高いほど、隣接する給電部間で電位を連続的に変化させやすく、所望の電位分布を得ることができる。ρT/ρSを1000以上にすることがこの条件を満たすための目安である。
しかしρTが大きすぎると給電部の導電性がなくなり電位分布は発生しない。したがってρSをできるだけ小さくする方が望ましく、ρSは0.1〜10Ω/□程度、ρTは100〜100kΩ/□程度がよい。
以上の条件を満足し適切にρSとρTを設定すると、一方の電極のみに2つ以上の給電部を形成しこれら2つ以上の給電部にそれぞれ異なる電圧を供給した場合、給電部S1、S2、S3・・・それぞれの給電部内では等電位となるが、電極面内の電位分布は給電部間で発生する電圧降下により連続的に変化する。この連続的に変化する状況は、2つ(2面)の電極に2つ以上の給電部を形成して異なる電圧を供給しても同じである。
給電部材料としては、銅、金、アルミニウム、クロムなどの金属材料が導電性・耐久性の点から好ましいが、電気抵抗率が室温で10-8〜10-7Ω・m程度あれば金属以外の材料でもよい。
例えばITO膜などの透明導電膜を用いることもでき、金属材料を使用する場合に比べ遮光部がなくなるため光の透過率が高くなり好ましい。しかし透明導電膜は金属膜に比べ比抵抗が大きいため、シート抵抗を小さくするためには膜厚を厚くする必要がある。
また、給電部に外部の位相補正素子制御回路より電圧を印加するたの電極引き出し部27上の配線材料はITO膜のような透明導電膜でもよく、クロムやニッケルのような金属膜でもよい。特にニッケルなどハンダで接続可能な金属の場合、外部の信号線を容易にハンダで接続でき好ましい。
一方電極材料としては透明でありかつ給電部材料に比べシート抵抗が高い必要がある。透明導電膜であるITO膜などがよく、ITO膜はシート抵抗が高いほどよく100Ω/□以上が好ましい。さらに、1kΩ/□以上にした方がρSを1Ω/□程度にできるため、給電部の膜厚を薄くできるなど作製が容易になりより好ましい。
ρTを大きくするために酸化亜鉛膜やガリウムを含む酸化亜鉛膜(GZO膜)、またはガリウムとシリコンを含む酸化亜鉛膜(GZS膜)を用いることはITO膜に比べ容易に高抵抗膜を得られるため好ましい。特に、GZO膜やGZS膜は高比抵抗でありながらエッチング性も良好であり、光の透過率、耐久性に優れている点で本発明の光ヘッド装置において好適な材料である。
酸化亜鉛膜へガリウムを添加する場合、膜の透過率が変化するためその添加量を1〜10重量%にすることが好ましい。また、ガリウムとシリコンをともに添加する場合においても、膜の透過率が変化するためその合計した添加量を1〜20重量%にすることが好ましい。
給電部の形状や大きさは、上述のように状況に応じて変化させることが好ましい。すなわち位相補正素子により発生する波面の変化は、給電部の形状や大きさなどに依存し、補正したい波面収差の種類や発生させたい波面形状に応じて変化させればよい。ここで、波面収差としてはコマ収差、球面収差、非点収差などがある。
コマ収差は、上述のように光ディスクのチルトにより発生する収差であり、位相補正素子上の入射光束の中心を通って素子面に平行で、かつ光ディスクの回転方向に平行な直線の回りに180°回転したとき重なる形状を有している。したがって、給電部は、上述の平行な直線に対して対称となるように配置されるのがよい。
具体的には、例えば連続する1枚の電極の中央部には通常長方形状または直線状の給電部を設け、周辺部には電極の周辺部での形状(円弧など)の給電部を設ける。そして、それらの給電部が上述の直線に対して対称となるよう給電部を配置する。このように給電部を配置することは、最も効果的にコマ収差を補正できるので好ましい。
また、球面収差を補正する場合は、球面収差が光軸を中心とする同心円形状であるため、複数の給電部は、それぞれが円環体でありかつ相互に同心円状に配設されており、位相補正素子を通過する光源からの出射光の光束半径に対する、いずれか1つの円環体の半径の比が0.65〜0.85であり、かつ出射光の光束半径に対する上記とは異なる他の1つの円環体の半径の比が0.2〜0.4であることが好ましい。
ここで、円環体はドーナツ状であって半径には幅があるので、円環体の半径の比とは内半径の比と外半径の比との平均値を意味する。
通常、半径の比0.65の円と0.85の円によって囲まれる領域(領域A)に球面収差の最大値が存在するため、給電部である1つの円環体が、光軸と中心を合わせて領域Aに形成され、かつ、半径の比が0.2の円と0.4の円で囲まれる領域(領域C)に、精度を極めて高く球面収差を補正するため上記とは異なる1つの円環体の給電部を光軸と中心を合わせて設けることが好ましい。
また、半径の比0.65の円と0.85の円のかわりに、半径の比0.7の円と0.8の円とすることは、領域Aよりも領域は狭いが球面収差の最大値が存在する確率が高い領域に円環体が追加でき、さらに他の円環体が追加でき球面収差の微調整ができて好ましい。
また、電極が連続する1枚の電極の場合、光軸を含み半径の比が0.2より小さい光軸近傍領域(領域B)にさらに、円環体の給電部を光軸と中心を合わせて設けることにより、さらに球面収差の微調整ができてより好ましい。
また、電極が分割電極であって、領域Bが他の領域(領域A、領域Cなど)と分割されている場合でも、上述のように精度を極めて高くして球面収差を補正できるので充分である。
また、非点収差の場合には、連続する1枚の電極に設ける、電極の中心部の1点を通る複数個の放射線状給電部が好ましく個数を増やすほど所望の電位分布が得られる。
さらに、コマ収差と球面収差の両方を含む波面収差などを補正することもでき、この場合は上記の直線状の給電部と同心円状の給電部とを組み合わせるなどすればよい。
また上述したように、一対の連続する電極のそれぞれに異なる形状の給電部を設けて、一方の電極がコマ収差を補正し、他方の電極が球面収差を補正するようにもできる。
同様に、一対の電極の一方を給電部を有する連続する1枚の電極にして、他方を複数個に分割した分割電極とすることにより、連続した収差分布と階段状の収差分布の両方を発生させることもできる。
波面収差であるコマ収差、球面収差、非点収差などはシステムとしての光ヘッド装置が発生させるものであり、したがって光ヘッド装置内に本発明における位相補正素子を組み込むことにより波面収差を有効に補正できる。
また、本発明における位相補正素子は透過する光の波面形状を変化させる機能を有しているため、波面収差を補正するだけでなく光の焦点位置を変えるなど他の目的においても同様な原理により使用できる。例えば、単に光学倍率を変化させて透過する光の焦点位置を変化させる目的に使用したり、また透過する波面を傾けて出射させることで光の進行方向を変える目的にも使用できる。
また、波面収差を補正する場合においても、上記のコマ収差、球面収差、非点収差などのより高次の波面収差も補正できる。これらの場合においても、所望する波面の変化に応じて給電部の形状や数、位置、または電極の分割方法などを適宜設定すればよい。
「例1」
本例の光ヘッド装置は、光ディスクのチルトにより発生するコマ収差を補正する位相補正素子を備えており、またこの位相補正素子は光ディスクの半径方向に対物レンズのシフトが生じても、対物レンズと位相補正素子とを一体駆動させることなく適切な補正用の位相(波面)分布が得られることが特徴である。本例における位相補正素子を組み込んだ光ヘッド装置は、図1に示したものである。
図3は本例における位相補正素子の電極パターンを示し、斜線部はITO膜により形成された、連続した1枚の電極である透明電極30であり、太線部分は給電部であるメタル電極31〜36である。また、メタル電極31〜36は給電用のメタル配線37により位相補正素子外部の図示しない信号源と接続されており各々信号1〜6によって任意の電圧を供給できる。
メタル電極32〜35の幅は100μm、長さは1.5mm、またメタル電極31と36の幅は100μm、円弧の長さは6mmであった。
電極パターンは以下のように形成した。まず、ガラス基板にスパッタリング法にてITO膜を形成した後、フォトリソグラフィーの技術を用いてパターニングした。このとき、メタル電極部はITO膜を残し、メタル配線部は透明電極30と絶縁されるようエッチングによりメタル配線部周囲のITO膜を除去した。次にリフトオフ法により図3のメタル電極およびメタル配線を形成した。ここで使用したメタル電極材はアルミニウムであった。
また、図3中の破線で示した領域内が対物レンズのシフトのないときに光線が通過する有効瞳であり、電極の形状は対物レンズのシフト方向(図の左右方向)に沿ってレンズのシフト量の分だけ長くなっている。
次に、対物レンズのシフトが生じた場合においても、本例の位相補正素子を用いて良好に光ディスクのチルトを補正できることを説明する。対物レンズのNAが0.6、光源の波長が0.65μmの光ヘッド装置において、厚みが0.6mmの光ディスクが1゜チルトしたときに発生する位相変化である波面収差(主にコマ収差)を図4に示す。ここで、位相補正素子による位相変化が図4の波面収差量と逆相であれば、光ディスクのチルトにより発生する波面収差を打ち消すことができる。
本例の位相補正素子では以下のようにして波面収差を打ち消すための位相変化を得た。
まずレンズのシフトがない場合に、位相補正素子により発生した位相変化を図5に示す。図5では位相変化をnm単位で表してあり、例えば左半分の領域の140nm(ほぼ長方形の部分)と−140nm(有効瞳の周辺部)とは反対方向にそれぞれの数値の大きさで位相変化が発生し、これらの領域の間の曲線は等高線であってこの図では1本の等高線が約47nmを表す。
本例においてレンズのシフトがない場合には、図3のメタル電極31に1.5V、メタル電極32、33に2.7V、メタル電極34、35に1.9V、メタル電極36に3.2Vの電圧を供給した。本例の場合、6つの給電部(メタル電極)を有する電極に対向する電極は給電部が1つの連続した1枚の透明電極で構成されており、常に0Vの電位になっている。
高抵抗の透明電極30は異なる電位を有するメタル電極31〜36と電気的に接続されているため場所により電位が異なり一様でない電圧分布を生じる。また、位相補正素子内部の液晶分子は電圧の印加により配向方向が変化し、上記の一様でない電圧分布に応じて配向方向にバラツキが発生する結果、入射光の位相変化δn・dが場所により異なる。ここで、dは液晶セルの基板間隔であり、δnは液晶セルの各点での実質的な屈折率差であり印加電圧に応じて変化する。
本例では以上のように、メタル電極31〜36に電圧を供給して得た図5の位相変化が、図4の波面収差を打ち消した。
次に図3の右方向にレンズのシフトが生じた場合を説明する。レンズのシフト量0.3mm、ディスクチルト角1゜で発生する波面収差(主にコマ収差)を補正するために、位相補正素子により生ずる位相変化を図6に示す。この場合には電極31に1.5V、電極33に2.6V、電極35に1.8V、電極36に2.7Vを供給し、電極32、34には電圧を供給しないよう信号1〜6を設定した。位相補正素子上の有効瞳はレンズのシフトに従い右方向に移動する。したがって、メタル電極32、33とメタル電極34、35の組のうち右側のメタル電極33、35に電圧を供給することにより、位相変化の最大位置もレンズのシフトに追従するように移動できるため、図4に示した波面収差を補正できた。
同様に、左方向にレンズのシフトが発生した場合でも、電極31に1.5V、電極32に2.4V、電極34に1.6V、電極36に2.7Vを供給し、電極33、35には電圧を供給しないよう信号1〜6を設定したので、右方向と同様に波面収差を補正できた。
本例におけるレンズのシフト量の最大値は0.4mmであり、レンズのシフト量が最大値の場合でも波面収差が補正できるように、メタル電極32、33の間隔およびメタル電極34、35の間隔を0.6mmにした。この間隔は、考慮すべきレンズのシフト量の70〜80%程度に設定することが好ましい。
レンズのシフト量が0.3mmより大きいか、小さい場合では、メタル電極32〜35に供給する電圧を適宜変化させればよく、光ディスクのチルトおよびレンズのシフトに対して連続的に波面収差の補正を行うことができた。
また、上記においてメタル電極32、34に電圧を供給しない場合を説明したが、メタル電極31と33の中間の電圧をメタル電極32に、メタル電極35と36の中間の電圧をメタル電極34に供給することにより、図6と同様な位相変化を得ることもできる。
上述のように、本例における光ヘッド装置を用いることで、対物レンスが移動した場合においても、光ディスクのチルトにより発生するコマ収差を良好に補正できる。また、電極を分割した従来の位相補正素子と比べ、分割領域での光散乱が抑えられた結果、透過率が3%向上した。
「例2」
本例の光ヘッド装置は、光ディスクの厚みムラにより生ずる球面収差を補正する位相補正素子を備えている。対物レンズは光ディスクの厚みが設計値からずれると球面収差を発生し信号の読み取り精度が低下する。この球面収差を補正する位相補正素子を図1の光ヘッド装置の位相補正素子4として組み込んだ。ただし、位相補正素子制御回路10は本例の位相補正素子用に改良されている。
本例の位相補正素子の素子構造は図2に示したものと同じで、以下に述べる電極パターンのみが異なる。したがって位相補正素子の製造方法や構成材料などは例1と同じものを使用した。以下に本例の位相補正素子により球面収差を補正する原理を説明する。
図7は対物レンズのNAが0.65、光源の波長が0.4μmの光学系において、光ディスクの厚みが設計値の0.6mmより0.03mm厚くなった場合に発生する波面収差(球面収差)を示す図である。光ディスクが設計値より厚い場合は有効瞳の中心と有効瞳の周辺部の位相に対して、その両者に挟まれた中間部の位相が進んだ状態となり、厚みが薄い場合は位相が遅れた状態となる。本例における位相補正素子の電極パターンを図8に示す。
図8中の斜線部はITO膜で形成された、連続した1枚の透明電極80であり太線部分はメタル電極81〜83である。メタル電極81〜83はメタル配線84によりそれぞれ外部の信号源に接続されており、信号1〜3より各々任意の電圧を供給できる。電極パターンの材質、製造方法は上述のとおり例1と同様であり、本例ではメタル電極82、83に接続されているメタル配線部の周囲の透明電極80の部分はエッチングにより除去されている。
図8のメタル電極81と82の外径はそれぞれ4mmと3mm、幅はいずれも100μmまたメタル電極83の直径は200μmであった。
0.03mmの光ディスク厚みムラにより発生する球面収差を位相補正素子により補正するために、メタル電極81、83に2.3V、メタル電極82に2.0V供給した。ここでも、例1と同様に3個の給電部(メタル電極)を有する電極に対向する電極は給電部が1つの連続した1枚の透明電極で構成されており、常に0Vの電位になっている。
図9に位相補正素子により発生した位相変化を示す。図9も図5と同様に位相変化をnm単位で表してあり、円の中心部と外周部は位相変化が0nmで、位相変化が−100nmの領域が中間部にある。また、複数個ある実線の円は等高線であって、−100nmの領域の内側では1本の等高線が20nmを表し、外側では約30nmを表す。
透明電極80は各メタル電極の電圧にしたがって電圧分布を生じる。前述の説明と同様に、電圧分布により液晶の実質的な屈折率分布が生じる結果、位相補正素子は図9に示す同心円状の位相変化を発生できる。
一方、光ディスク厚が0.03mmだけ薄い場合には、図7とは正負が逆転した球面収差を補正するために、メタル電極81、83に2.0V、メタル電極82に2.3Vを供給すればよい。これにより、位相補正素子によって発生する位相変化も図9の正負を逆転した形になるため、球面収差を相殺できる。以上のようにメタル電極81、82、83に適切な電圧を供給することにより図7の球面収差を補正できる。また、メタル電極81、83に常に等しい電圧を供給しても、光学特性上大きく影響しないために、両者を導通させて1つの電源に接続させてもよい。
上述のように、本例における光ヘッド装置を用いることで、光ディスクの厚みムラにより発生する球面収差を良好に補正できた。また、電極を分割した従来の位相補正素子と比べ、分割領域での光散乱が抑えられた結果、透過率が3%向上した。さらに、従来と比べ少ない外部信号源により動作させることができたため、低いコストで光ヘッド装置を作製できた。
「例3」
本例の光ヘッド装置は、光ディスクの厚みムラにより生ずる球面収差と光ディスクのチルトにより発生するコマ収差との両収差を補正する位相補正素子を備えている。この位相補正素子を図1の光ヘッド装置の位相補正素子4として組み込んだ。ただし、位相補正素子制御回路10は本例の位相補正素子用に改良されている。本例の位相補正素子の素子構造は図2に示したものと同じで、以下に述べる電極パターンおよび材料が異なる。
図2の電極24aとして、図8に示した例2と同様な電極パターンが形成されており球面収差を補正できる。本例の場合、図8の連続した1枚の透明電極80の材料としてGZO膜を用い、メタル電極81〜83にはクロムを用いた。メタル電極81、82は円環体であり相互に同心円状に配設されている。GZO膜のシート抵抗値は100kΩ/□であり、クロムのシート抵抗値は1Ω/□である。
一方電極24bとして、図10に示すように分割電極91〜95が形成されていてコマ収差を補正できる。図10の分割電極は、ガラス基板にスパッタリング法によりITO膜を成膜し、フォトリソグラフィーおよびエッチングの技術を用いてパターンを形成した。図10の太線は分割電極間ギャップを示しており、この部分はエッチングの技術によりITO膜が取り除かれているため電圧印加されない。分割電極間ギャップの幅は5μmであった。
以下に本例の位相補正素子により球面収差とコマ収差を補正する原理を説明する。本例では、分割電極91〜95およびメタル電極81〜83に入力する信号として、周波数1kHz、デューティ比が1/2の矩形交流波信号を印加した。交流信号の位相は分割電極91〜95内、およびメタル電極81〜83内では揃っているが、分割電極91〜95とメタル電極81〜83との間では位相が180°ずれている。
ここで、位相補正素子制御回路のコモン電圧(例えば0V)に対するメタル電極81〜83の電圧をVn(M)(n=1〜3)、分割電極91〜95の電圧をVm(D)(m=1〜5)とすれば、位相は両電圧間で180°ずれているから、ある瞬間ではVn(M)>0、Vm(D)<0であり、またある瞬間ではVn(M)<0、Vm(D)>0になる。したがって、液晶分子28を駆動する実効電圧Vnm(E)は、[Vn(M)−Vm(D)]rmsであり、Vn(M)とVm(D)の差のrms値(振幅の自乗の時間的平均の平方根)になる。ただし、n=1〜3、m=1〜5である。
本例の場合、周波数、デューティ比が1/2で位相が180°ずれた矩形交流波であるので、単に差の絶対値|Vn(M)−Vm(D)|に一致する。印加する電圧Vn(M)、Vm(D)は補正する収差分布により異なる。
まず球面収差だけを補正する場合、コマ収差補正用の分割電極91〜95は固定電圧を印加して、本例ではVm(D)=1V(m=1〜5)とした。球面収差補正用のメタル電極81、83は同じく固定電圧を印加し、メタル電極82には光ディスクの厚みムラに対応する電圧を印加して、本例ではVn(M)=1V(n=1、3)、V2(M)=0.5〜1.5Vを印加した。
よって実効電圧Vnm(E)は、メタル電極81、83では常に2Vrmsになり、メタル電極81では光ディスクの厚みムラの大きさに応じて1.5〜2.5Vの範囲で変化した。その結果、例2と同様にメタル電極間に発生する連続的な電位分布により、実効電圧も連続的に変化するため、図9に示すような位相変化を得ることができた。
次にコマ収差だけを補正する場合、前述の場合とは逆に球面収差補正用のメタル電極Vn(M)(n=1〜3)には固定電圧1Vを印加し、コマ収差補正用の分割電極93には固定電圧1Vを印加した。分割電極91と94、92と95はおのおの等しい電圧を光ディスクのチルト量に応じて0.5〜1.5Vの電圧を、(V1(D)+V2(D))/2=V3(D)の関係を満足するよう印加した。ここで、添字1を4に、2を5に置き換えてもこの関係式は成立する。
よって実効電圧Vnm(E)は、分割電極93では常に2Vrmsになり、分割電極91、92、94、95では光ディスクのチルト量に応じて1.5〜2.5Vまで変化する。その結果、図10に示した電極パタ−ンに等しい電位分布が発生し、同様な位相変化を得ることができた。
次に球面収差とコマ収差を同時に補正する場合について述べる。この場合、分割電極93とメタル電極81、83には固定電圧1Vを印加し、分割電極91、92、94、95は光ディスクのチルト量に応じて0.5〜1.5Vを、メタル電極82には光ディスクの厚みムラの大きさに応じて0.5〜1.5Vを印加する。これにより、前述の場合と同様にコマ収差および球面収差の収差量に応じた電位分布が発生する。
液晶は電圧応答により実効的な屈折率が変化するため、電位分布に応じた屈折率分布が形成されて、位相補正素子を通過する光の位相が変化する。
したがって、厚みムラのある光ディスクがチルトしても、球面収差とコマ収差の両方を同時に補正することにより、良好な再生信号を得ることができた。
以上は、コマ収差補正用の電極を分割電極としたが、これとは異なり例1のようにコマ収差用で連続した1枚の電極を給電部であるメタル電極にして、さらに球面収差用の電極を同心円状に分割した分割電極としてもよい。
また、光ディスクのラジアル(半径)方向のコマ収差補正とタンジェンシャル(接線)方向のコマ収差補正の電極パターンを対にして組み合わせてもよく、球面収差と非点収差、コマ収差と非点収差を各々補正する電極パターンを対にしてもよい。いずれの場合にも2種類の収差や波面変化を同時に補正できる。
上述のように、本例における光ヘッド装置を用いることで、光ディスクの傾きにより発生するコマ収差と光ディスクの厚みムラにより発生する球面収差の両方を同時に補正できた。また、電極を分割した従来の位相補正素子と比べ、分割領域での光散乱が抑えられた結果、透過率が5%向上した。さらに、従来と比べ少ない外部信号源により動作させることができたため、低いコストで光ヘッド装置を作製できた。
「例4」
本例の光ヘッド装置は、光ディスクの厚みムラにより生ずる球面収差を補正する位相補正素子を備えている。この位相補正素子を図1の光ヘッド装置の位相補正素子4として組み込んだ。ただし、位相補正素子制御回路10は本例の位相補正素子用に改良されている。
本例の位相補正素子の素子構造は図2に示したものと同じで、以下に述べる電極パターンのみが異なる。したがって位相補正素子の製造方法や構成材料などは例1と同じものを使用した。
図2の電極24aは図11に示すように分割電極101、102、103と分割電極103に形成した給電部104、105により構成されている。分割電極101〜103の材質はGZS膜であり、給電部104、105の材質はITO膜である。GZS、ITOのシート抵抗はそれぞれ1000kΩ/□、10kΩ/□とした。
電極24aはまず、ガラス基板上にITO膜をスパッタリング法により成膜しフォトリソグラフィーおよびエッチングの技術を用いて給電部104、105を形成した。次にITO膜をスパッタリング法により成膜し、上記と同様にフォトリソグラフィーおよびエッチングの技術を用いて分割電極101〜103を形成した。分割間隔は例3と同様5μmとした。
図11の信号1〜4はそれぞれ、分割電極101、102、給電部104、105に印加される信号であり、位相補正素子制御回路10により発生した。図11では信号1の配線は分割電極102を通過しているよう図示されているが、本例ではエッチングにより両者は絶縁されるよう分割電極102がパターニングされている。
一方、図2の電極24bはITO膜により形成した、連続した1枚の電極とした。
次に本例の位相補正素子により球面収差を補正する原理を説明する。本例の場合、印加する信号は周波数1kHz、デューティ比が1/2の矩形交流波信号であり、信号の位相は分割電極101、102、給電部104、105のすべてに対し揃っている。対向する電極24bは位相補正素子制御回路のコモン電圧(例えば0V)に固定されている。
球面収差が発生していない場合、信号1〜4の電圧はすべて2Vにした。すると、電極24aは2Vの等電位になり位相変化は発生しない。
次に光ディスクの厚みムラにより球面収差が発生した場合は、信号1、信号4の電圧V1、V4を2Vに固定して、信号2、信号3の電圧V2、V3を厚みムラの大きさに応じて1〜3Vの範囲の値に設定した。V1〜V4の関係は、(V2−V1)=α・(V3−V1)およびV1=V4とした。ここでαは0<α<1の比例定数で分割電極101、給電部104の直径により決められる。本例ではα=0.5とした場合、最も光ディスクの再生信号が良好であった。また、球面収差を補正する場合にはV1=V4である必要はなく、給電部104、105の形状によってはV1とV4とで異なる電圧を印加した方が波面収差をよく補正できることもあり、このときは良好な再生信号を得ることができる。
以上のようにして発生する位相補正素子全体の電位分布は、分割電極101、102の内部では電位が一定で階段状の分布となり、また分割電極103の内部では連続的に変化する分布となる。このように位相変化が生じた結果、厚みムラのある光ディスクにおいても球面収差を補正でき良好な再生信号を得ることができた。
上述のように、本例における光ヘッド装置を用いることで、従来と比べ少ない外部信号源により動作させることができ、低いコストで光ヘッド装置を作製できた。
また、分割電極の一部を複数の給電部を有する構成にした結果、従来の位相補正素子と比べ分割電極数が減ったため、分割領域での光散乱が低減し、透過率が3%向上した。
すなわち、本発明の光ヘッド装置においては、位相補正素子を構成する一対の基板のそれぞれに形成された電極のうち少なくとも入射光の波面形状を連続的に変化させたい領域を覆うよう形成される1つの連続した電極にそれぞれ異なる電圧を供給できるようにされている2つ以上の給電部を設けることにより、この位相補正素子により当該領域において光源からの出射光に連続的な位相(波面)変化を生じさせることができるので、光ディスクのチルトや光ディスク厚みムラなどにより発生する波面収差を効率よく補正でき、同領域の波面変化を分割電極を用いて実現する場合と比べて光散乱が低減し、ノイズの少ない良好な信号光が得られる。
また、光記録媒体の半径方向への対物レンズのシフトが生じた場合でも位相補正素子を対物レンズと一体駆動させずに波面収差(主にコマ収差)を補正できる。さらに、光ディスクの厚みムラにより生ずる球面収差も補正できる。
本発明の効果は、基板に形成された電極が連続した1枚の電極であっても、複数個に分割されていても、本発明の要件を満たしているかぎり効果に大きな差を生じない。
1 半導体レーザ
2 偏光ビームスプリッタ
3 コリメートレンズ
4 位相補正素子
5 4分の1波長板
6 対物レンズ
7 アクチュエータ
8 光ディスク
9 光検出器
10 位相補正素子制御回路
21a、21b ガラス基板
22 シール材
23 液晶
24a、24b 電極
25 絶縁膜
26 配向膜
27 電極引出部
28 液晶分子
30、80 透明電極
31〜36 メタル電極
37 メタル配線
81〜83 メタル電極
84 メタル配線
91〜95 分割電極
101〜103 分割電極
104、105 給電部

Claims (8)

  1. 光源と、光源からの出射光を光記録媒体上に集光させるための対物レンズと、光源と対物レンズとの間に設けられた出射光の波面を変化させる位相補正素子と、波面を変化させるための電圧を位相補正素子へ出力する制御電圧発生手段とを備える光ヘッド装置であって、
    位相補正素子は少なくとも一方が透明な一対の基板に挟持された異方性光学媒質を備えており、一対の基板の表面には異方性光学媒質への電圧印加用の電極がそれぞれ形成されており、少なくとも一方の基板に形成される前記電極には、それぞれ異なる電圧を供給できるようにされている複数の給電部がそれぞれ異なる位置に設けられ、かつ入射光の波面形状を連続的に変化させたい領域を、各給電部への配線部が形成される領域を除き覆うように形成される1つの連続した電極が少なくとも含まれている
    ことを特徴とする光ヘッド装置。
  2. 前記複数の給電部のうち少なくとも2つは、当該1つの連続した電極の領域を発生させたい収差の大きさによる段階別に分けた場合に、発生させる収差の最大値が存在する領域内と最小値が存在する領域内に設けられている
    請求項1に記載の光ヘッド装置。
  3. 前記位相補正素子の少なくとも一方の基板に形成される前記電極は、当該電極の中央部に形成される長方形状または直線状の2つの給電部と、当該電極の周辺部に形成される円弧状の2つの給電部とを有する1つの連続する電極であって少なくとも前記2つの円弧状の給電部により囲まれる領域を、各給電部への配線部が形成される領域を除き覆うように形成される1つの連続する電極であり、前記長方形状または直線状の給電部および円弧状の給電部は、それぞれ前記位相補正素子の入射光束の中心を通って前記位相補正素子面に平行で、かつ前記光記録媒体の回転方向に平行な直線に対して対称となるように形成されている
    請求項1または請求項2に記載の光ヘッド装置。
  4. 前記位相補正素子は、前記一対の基板のうち、最初に光が入射する側の基板のみが透明であり、前記透明でない他方の基板の表現には高反射率の電極が形成されている
    請求項1、2または3に記載の光ヘッド装置。
  5. 前記異方性光学媒質が液晶である
    請求項1〜4のいずれかに記載の光ヘッド装置。
  6. 前記給電部を有する電極を形成する電極材料のシート抵抗が100Ω/□以上である請求項1〜5のいずれかに記載の光ヘッド装置。
  7. 前記給電部を有する電極を形成する電極材料のシート抵抗は、前記給電部を形成する給電部材料のシート抵抗の1000倍以上である
    請求項1〜6のいずれかに記載の光ヘッド装置。
  8. 前記給電部を有する電極は、ガリウムが添加された酸化亜鉛膜、またはガリウムとシリコンが添加された酸化亜鉛膜である
    請求項1〜7のいずれかに記載の光ヘッド装置。
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