JP2002133697A - 光ヘッド装置 - Google Patents

光ヘッド装置

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JP2002133697A
JP2002133697A JP2000327336A JP2000327336A JP2002133697A JP 2002133697 A JP2002133697 A JP 2002133697A JP 2000327336 A JP2000327336 A JP 2000327336A JP 2000327336 A JP2000327336 A JP 2000327336A JP 2002133697 A JP2002133697 A JP 2002133697A
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objective lens
electrode
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Koichi Murata
浩一 村田
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AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光源と、位相補正素子と、対物レンズとを備え
た光ヘッド装置であって、球面収差またはコマ収差と、
位相補正素子の光軸と対物レンズの光軸との位置ずれに
起因する収差とを容易に補正できる位相補正素子を搭載
した、光ヘッド装置を得る。 【解決手段】位相補正素子4は、半導体レーザ1からの
出射光に対して、球面収差またはコマ収差を補正するた
めの波面変化を発生させ、さらに位相補正素子4の光軸
と対物レンズ6の光軸との位置ずれに基く収差を補正す
るための位置ずれ量に応じた波面変化を発生させる位相
補正素子4とし、この位相補正素子4を半導体レーザ1
と対物レンズ6との間の光路中に設置した光ヘッド装置
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスクなどの
光記録媒体の記録または再生を行う光ヘッド装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】光ディスクであるDVDは、同じく光デ
ィスクであるCDに比べディジタル情報が高密度で記録
されており、DVDを再生するための光ヘッド装置は、
光源の波長をCDの780nmよりも短い650nmま
たは635nmとしたり、対物レンズの開口数(NA)
をCDの0.45よりも大きい0.6にして光ディスク
面上に集光するスポット径を小さくしている。
【0003】さらに、次世代の光記録においては光源の
波長を400nm程度、NAを0.6以上とすること
で、より大きな記録密度を得ることが提案されている。
しかし、光源の短波長化や対物レンズの高NA化が原因
で、光ディスク面が光軸に対して直角より傾くチルトの
許容量や光ディスクの厚みムラの許容量が小さくなる。
【0004】これら許容量が小さくなる理由は、光ディ
スクのチルトの場合にはコマ収差が発生し、光ディスク
の厚みムラの場合には球面収差が発生するために、光ヘ
ッド装置の集光特性が劣化して信号の読み取りが困難に
なることによる。高密度記録において、光ディスクのチ
ルトや厚みムラに対する光ヘッド装置の許容量を拡げる
ためにいくつかの方式が提案されている。
【0005】一つの方式として、通常は光ディスクの接
線方向と半径方向との2軸方向に移動する対物レンズの
アクチュエータに、検出されたチルト角に応じて対物レ
ンズを傾けるように傾斜用の軸を追加する方式がある。
しかし、この追加方式では球面収差は補正できないこと
や、アクチュエータの構造が複雑になるなどの問題があ
る。
【0006】別の方式として、対物レンズと光源との間
に備えた位相補正素子により波面収差を補正する方式が
ある。この補正方式では、アクチュエータに大幅な改造
を施すことなく光ヘッド装置に素子を組み入れるだけで
光ディスクのチルトの許容量や厚みムラの許容量を拡げ
ることができる。
【0007】例えば、位相補正素子を用いて光ディスク
のチルトを補正する上記の補正方式が特開平10−20
263に提案されている。これは、位相補正素子を構成
している液晶などの複屈折性材料を挟持している一対の
基板のそれぞれに、電極が分割されて形成された分割電
極に電圧を印加して、複屈折性材料の実質的な屈折率を
光ディスクのチルト角に応じて変化させ、この屈折率の
変化により発生した透過光の波面変化により、光ディス
クのチルトで発生したコマ収差を補正する方式である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の位相補
正素子では波面収差をより高精度に補正するために、位
相補正素子の光軸と対物レンズの光軸との位置調整を行
う必要がある。対物レンズは、トラッキングを目的とし
て光ディスク再生時に、光ディスクの半径方向に移動す
る。もし、位相補正素子を対物レンズとともにアクチュ
エータに搭載できて、アクチュエータで位相補正素子を
光ディスクの半径方向に移動できるときは収差補正機能
の低下を招かない。
【0009】しかし、位相補正素子をアクチュエータに
搭載することが重量などの制約から困難なときは、固定
された位相補正素子とは独立に対物レンズのみをアクチ
ュエータによって動かすこととなる。このとき、位相補
正素子と対物レンズの位置ずれによって、位相補正素子
の収差補正機能が低下する。この対物レンズと位相補正
素子の位置ずれによる収差補正機能の低下を改善する必
要がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するためになされたものであり、光源と、光源から
の出射光を光記録媒体上に集光させるための対物レンズ
と、光源と対物レンズとの間に設けられた出射光の波面
変化を発生させる位相補正素子と、波面変化を発生させ
るための電圧を位相補正素子へ出力する制御電圧発生手
段とを備えた光ヘッド装置であって、位相補正素子は、
2種類の収差をそれぞれ独立に補正するように出射光の
波面変化を発生させることができ、かつ2種類の収差の
うち少なくとも一方の収差を補正するための波面変化
を、位相補正素子の光軸と対物レンズの光軸との位置ず
れ量に応じて行うことを特徴とする光ヘッド装置を提供
する。
【0011】
【発明の実施の形態】図1に示した本発明の光ヘッド装
置はCDまたはDVDなどの光ディスク8に記録された
情報を再生するためのものであり、光源である例えば半
導体レーザ1からの出射光はコリメートレンズ3により
平行光となり、位相補正素子4を透過後、4分の1波長
板5を透過し、アクチュエータ7に設置された対物レン
ズ6により光ディスク8上に集光される。ここで、位相
補正素子4を構成している例えば一対の基板はともに透
明である。以下、位相補正素子は一対の透明基板を備え
ているとする。
【0012】集光された光は光ディスク8により反射さ
れ対物レンズ6、4分の1波長板5、位相補正素子4、
コリメートレンズ3を順次先程とは逆に透過した後、図
1では省略したがホログラムやビームスプリッタにより
光路を変え光検出器に入射する。半導体レーザ1からの
出射光が光ディスク8により反射される際、光ディスク
の面上に記録された情報により反射光は振幅変調され、
光検出器により光強度信号として記録された情報を読み
取ることができる。
【0013】光検出器より得られる光ディスクの例えば
再生信号の強度が最適となるように、位相補正素子4に
向けて制御電圧発生手段である位相補正素子制御回路1
0により電圧が出力される。位相補正素子制御回路10
より出力される電圧は、光ディスクの厚み偏差量、チル
ト量、位相補正素子の光軸と対物レンズの光軸との位置
ずれなどに応じた電圧であり、位相補正素子4の電極に
印加する実質的に変化する電圧となる。この電圧を、一
対の透明基板間に挟持された例えば異方性光学媒質に印
加して実質的な屈折率を制御し入射光の波面を変化させ
る。
【0014】異方性光学媒質には、ニオブ酸リチウムな
どの光学結晶や液晶などが使用できる。異方性光学媒質
として液晶を用いることは、例えば6V程度の低い電圧
によって実質的な屈折率が容易にかつ電圧の大きさに応
じて連続的に制御できて好ましい。さらに、ニオブ酸リ
チウムなどの光学結晶などと比べて量産性が高く好まし
い。したがって以下では、異方性光学媒質として液晶の
材料を使用する場合について説明する。
【0015】使用する液晶材料は、ディスプレイ用途な
どに用いられるネマティック液晶がよく、カイラル剤の
添加によりツイストさせてもよい。また、使用する基板
の材料としては、ガラス、ポリカーボネート系樹脂、ア
クリル系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂など
が使用できるが、耐久性などの点からガラスの基板が好
ましい。したがって、以下では基板の材料としてガラス
を使用する場合について説明する。
【0016】次に本発明において使用する位相補正素子
の構成を図2を用いて説明する。ガラス基板21a、2
1bが、例えばエポキシ系樹脂を主成分とするシール材
22により接着され液晶セルを形成している。シール材
22には例えばガラス製のスペーサと例えば樹脂の表面
に金などを被膜した導電性スペーサが含有されている。
ガラス基板21aの内側表面には、内側表面から電極2
4a、シリカなどを主成分とする絶縁膜25、配向膜2
6がこの順に、またガラス基板21bの内側表面には、
内側表面から電極24b、シリカなどを主成分とする絶
縁膜25、配向膜26がこの順に被膜されている。液晶
セルの外側表面には反射防止膜が被膜されていてもよ
い。
【0017】電極24aは電極引出部27で接続線によ
って位相補正素子制御回路と接続できるようパターン配
線されている。また電極24bは上述の金などを被膜し
た導電性スペーサによりガラス基板21a上に形成され
た電極24aと電気的に接続している。したがって、電
極24bは電極引出部27で接続線によって位相補正素
子制御回路と接続できる。図2には、電極24bと電極
24aとがシール材22と接している様子が示されてい
ないが、紙面と平行なシール材とは接しており両電極は
導電性スペーサを通じて電気的に接続されている。液晶
セル内部には液晶23が充填されており、図2に示した
液晶分子28は、一方向に配向されたホモジニアス配向
の状態にある。
【0018】位相補正素子の光軸と対物レンズの光軸と
の間に位置ずれがあると所望の収差の補正ができなくな
る。ここで、両者の光軸間の位置ずれとは光軸が互いに
平行であるが、重なっておらず離れている状態を意味し
ている。光ディスクの厚み偏差に起因する球面収差を補
正するために、位相補正素子が補正用の波面変化を発生
させる場合を一例として、まず説明する。
【0019】光ディスクに厚み偏差がある場合に、上記
のように球面収差が発生する。この球面収差による光デ
ィスク面上の集光状態を改善するために、発生する球面
収差とは反対符号の波面変化を、位相補正素子によって
入射光に発生させる。しかし、対物レンズの光軸と位相
補正素子の光軸とに位置ずれがありその量がΔxである
とき、位相補正素子の発生する波面変化が対物レンズに
対してΔxの位置ずれ量となり、位置ずれの生じた波面
変化は、光ディスクで発生する球面収差を完全には補正
できない。以下、完全に補正できないことを不完全性と
いう。この不完全性はΔxが大きくなると無視できなく
なる。
【0020】この不完全性を分析すると、コマ収差が主
原因であることがわかった。この位置ずれから発生する
コマ収差またはコマ収差を主成分とする収差量は、Δx
と光ディスクの厚み偏差に起因する球面収差量S0との
積に比例するコマ収差として発生し、さらにΔxの2乗
と球面収差量S0との積に比例する非点収差としてもわ
ずかに発生することがわかった。
【0021】この不完全性により発生するコマ収差量C
Kと非点収差量AKの関係は、CK=C1・S0・Δxおよ
びAK=C2・S0・(Δx)2と表わすことができ、Δx
は主に対物レンズの直径と比べられる。ここでC1、C2
は定数である。この位置ずれから発生するコマ収差また
はコマ収差を主成分とする収差は、CKとAKの和として
表すことができる。
【0022】本発明における位相補正素子は、球面収差
(主に補正したい収差)を補正する波面変化と、コマ収
差またはコマ収差を主成分とする収差(位置ずれにより
発生する収差)を補正する波面変化とを独立に発生する
ことが好ましい。そして、光ディスクの厚み偏差量に応
じて球面収差補正用の波面変化量を変え、さらに位置ず
れ量Δxと球面収差量S0とに比例するようにコマ収差
補正用の波面変化を発生させることで、より完全にこれ
ら収差を除去できる。さらに、コマ収差量CKに比例し
たわずかな非点収差補正用の波面変化を発生させること
が好ましい。厳密には非点収差量はΔxの2乗に比例す
るが、実際の光ヘッド装置ではΔxは小さいので、2乗
に比例する項を無視してΔxの1乗に比例する項のみと
しても、位置ずれにより発生する収差に対する十分な補
正効果が得られる。
【0023】以上、光ディスクの厚み偏差による球面収
差補正の場合について説明したが、次に光ディスクの傾
斜により発生するコマ収差補正の場合について説明す
る。この場合も光ディスクの厚み偏差の場合と同様に、
位相補正素子によりコマ収差とは反対符号の波面変化を
発生させる。このとき、位相補正素子の光軸と対物レン
ズの光軸との位置ずれにより発生する不完全性を分析す
ると、非点収差主原因であることがわかった。この位置
ずれにより発生する非点収差量AAは、位置ずれ量Δx
と光ディスクの傾斜により発生するコマ収差量C0の積
に比例することがわかった。この不完全性により発生す
る、非点収差量AAは、AA=C3・C0・Δxと表わすこ
とができる。ここでC3は定数である。
【0024】本発明における位相補正素子は、このコマ
収差(主に補正したい収差)を補正する波面変化と非点
収差(位置ずれにより発生する収差)を補正する波面変
化とを独立に発生させることが好ましい。そして、光デ
ィスクの傾斜量に応じてコマ収差補正用の波面変化量を
変え、また位置ずれ量Δxとコマ収差量C0とに比例す
るように非点収差補正用の波面変化を発生させること
で、より完全に収差を除去できる。
【0025】位相補正素子により2種類の波面変化を発
生させる例として、図2の電極24a、電極24bに異
なる電圧分布を発生させる素子を説明する。素子内の液
晶層に分布した電圧を印加することで、液晶層に屈折率
分布を発生させて入射光に所望の波面変化(収差補正
用)を発生させる。電極24aには光ディスクの厚み偏
差に基く球面収差補正のために、図3に示すような電極
パターンを用いて同心円状の電圧分布を発生させる。電
極24bにはコマ収差補正のために、図4に示すような
電極パターンを用いて電圧分布を発生させる。このよう
に、2つの基板に形成された電極にそれぞれ電圧分布を
発生させることで一つの素子で2つの収差補正用の波面
変化を独立に発生できる。
【0026】位置ずれ量Δxを測定する方法について説
明する。2種類、すなわち1)光ヘッド装置の組み立て
誤差により位置ずれ量Δxが発生する場合、2)光ディ
スク回転時の偏心や光ディスクトラッキング時の対物レ
ンズ移動などによる、稼動時に位置ずれ量Δxが発生す
る場合、があり、それぞれの場合に応じて、位置ずれ量
Δxの測定(検知)方法は異なる。
【0027】1)の組み立て誤差による場合は、光ヘッ
ド装置が稼動してないときであり、組み立てられたアク
チュエータに搭載された対物レンズの光軸に沿って、レ
ーザビーム光などを入射して、位相補正素子の光軸(中
心)とのずれを測定する。2)の稼動時による場合は、
対物レンズを搭載したアクチュエータは、トラッキング
やフォーカスサーボを行って移動している。このため、
位相補正素子の光軸と対物レンズの光軸が一致している
状態でのアクチュエータ駆動回路の出力信号をゼロの基
準点にとり、アクチュエータを移動させたときの出力信
号と基準点での出力信号との差から、位置ずれ量Δxを
算出する。
【0028】電圧分布を発生させるための電極の第1の
実施態様として、基板の表面にわたって薄膜の電極を形
成し、所望の電圧分布となるようにこの電極を分割して
分割電極する。この形態による電圧分布を発生させる方
法として、球面収差を例に説明する。図3のように電極
を同心円状の複数の領域に分割して(同心円は、分割線
である)分割電極とし、それぞれの分割電極と対向する
基板上の電極の間に電圧を印加し、かつ隣接する分割電
極間では異なる電圧とすることで、波面変化が離散的で
はあるが球面収差に対処できる。
【0029】コマ収差や非点収差を補正するために波面
変化を発生させるときには、それぞれの収差に対処する
形状に電極を分割しそれぞれの分割電極に球面収差の場
合と同様にして所望の電圧を印加する。図4にコマ収差
を補正するための分割電極の例を示した。ここで、41
〜45は分割電極である。
【0030】光ディスクの厚み偏差により発生する球面
収差を、位相補正素子に同心円状の電圧分布を発生させ
ることで補正する。そして、光ディスクの再生または記
録時のトラッキングにより、位相補正素子の光軸と対物
レンズの光軸との間に位置ずれが発生したときは、位置
ずれ量(アクチュエータの移動による対物レンズのトラ
ッキング方向への移動量)に比例してコマ収差を補正す
る波面変化を球面収差補正用の波面変化に合成して発生
させ収差を補正する。このような、電極の形態および駆
動方法を採ることによって、ディスクの厚み偏差より発
生する球面収差を補正できるとともに、位相補正素子と
対物レンズとの光軸にずれがある場合にも収差補正がで
きて好ましい。
【0031】電圧分布を発生させるための電極の第2の
実施態様として、基板の表面にわたって薄膜の電極を形
成し、所望の電圧分布となるようにこの分割しない電極
上に、それぞれの収差に対処できる形状の複数の給電部
材を設ける。そして、それぞれの給電部材に上記球面収
差の場合と同様に適切な電圧を印加し、給電部材間の電
極面内での電圧降下を利用することで、給電部材間の電
極面内に連続的な電圧分布を発生させる。
【0032】すなわち、電極上に複数の給電部材を、発
生する収差を補正するように、収差の形状に合わせた形
状の給電部材を設ける。そして、例えば、給電部材が2
個ある場合、一方の給電部材と対向する基板上の電極と
の間に印加される電圧と、他方の給電部材と対向する基
板上の電極との間に印加される電圧とを異ならせる。こ
の場合、給電部材の抵抗値は電極の抵抗値より小さい。
すなわち、給電部材に電圧を印加したとき給電部材は等
電位となり、給電部材間の電極面内には連続的な電圧分
布が発生するような給電部材と電極の抵抗値とする(詳
しくは、後述する)。
【0033】この連続的な電圧分布を発生させること
で、液晶層の屈折率分布を連続的にし、出射光の波面変
化を連続的にできる。例えば給電部材を図5の中心と同
心円状に形成し、異なる適切な電圧を各給電部材81、
82、83に信号1〜3として印加すると透明電極80
にわずかな電流が流れ、透明電極80面内の電圧降下に
より連続的に変化する電圧分布を発生できる。この電圧
分布に対応した液晶層の実効的な屈折率分布を発生する
ことで、所望の波面変化が得られる。この波面変化は図
3の分割電極から得られる離散的な波面変化よりも、発
生する収差により近い連続的な波面変化となって好まし
い。特に球面収差を補正する場合には、入射光の光軸よ
り遠い周辺部分の収差の変化量が大きいために、電極の
分割を行って離散的な波面変化を発生させる場合に比べ
て、給電部材を形成する方が連続的な波面変化となっ
て、収差の変化に対応でき好ましい。
【0034】さらに、給電部材の数は目的や形状によっ
て異なるが、1つの電極上に10個程度あれば必要な量
だけ波面変化が発生できる。給電部材の材料としては、
銅、金、アルミニウム、クロムなどの金属材料が導電性
・耐久性の点から好ましいが、抵抗率が室温で10-8
10-7Ω・m程度あれば金属以外の材料でもよい。一方
電極の材料としてはITO膜やGZO(ガリウムドープ
のZnO)膜などがよく、これらの膜はシート抵抗が高
いほどよく100Ω/□以上が好ましい。シート抵抗が
高いほど、隣接する給電部材間で電圧を連続的に変化さ
せやすい。
【0035】給電部材の形状や大きさは、上述のように
発生する収差の状況に応じて変化させることが好まし
い。すなわち位相補正素子により発生する波面変化は、
給電部材の形状や大きさなどに依存し、したがって補正
したい収差の種類に応じて変化させればよい。ここで、
収差としては上述のコマ収差、球面収差、非点収差など
である。それぞれの収差の応じて、給電部材の採る形状
は以下のようにまとめられる。
【0036】例えばコマ収差の場合は、通常、位相補正
素子基板の中央部には長方形状または直線状の給電部材
を設け、周辺部には電極の周辺部の形状(円弧など)の
給電部材とすることが好ましい。球面収差の場合は、複
数個の同心円状の給電部材が好ましく、個数を増やすほ
ど所望の電圧分布が得られる。非点収差の場合には、電
極の中心部の1点を通る複数個の放射線状給電部材が好
ましく、個数を増やすほど所望の電圧分布が得られる。
【0037】さらに、コマ収差と球面収差の両方を含む
波面収差などを補正することもでき、この場合は上記の
直線状の給電部材と同心円状の給電部材とを組み合わせ
るなどすればよい。コマ収差、球面収差、非点収差など
はシステムとしての光ヘッド装置が発生するものであ
り、したがって光ヘッド装置内に本発明における位相補
正素子を組み込むことにより上記の収差を有効に補正で
きる。
【0038】
【実施例】本例の光ヘッド装置は、光ディスクの厚み偏
差により生ずる球面収差とコマ収差とを補正する位相補
正素子を備えている。対物レンズは光ディスクの厚さが
設計値からずれると、すなわち厚み偏差があると、球面
収差を発生し信号の読み取り精度が低下する。この球面
収差とコマ収差とを補正する位相補正素子を図1の光ヘ
ッド装置の位相補正素子4として組み込んだ。この位相
補正素子は、光ディスクの半径方向に位相補正素子4と
対物レンズとの光軸の位置ずれが生じコマ収差が発生し
ても、対物レンズと位相補正素子とを一体駆動させるこ
となく適切な収差補正用の波面変化が得られる特徴があ
る。
【0039】本例では、図2に示す断面構造を有する位
相補正素子を用いた。この位相補正素子の外形寸法は6
mm×6mmで厚みは1mmであった。この位相補正素
子の球面収差補正用の波面変化を発生させるための電極
パターンは図5に示したものであり、図2の電極24a
はこの電極パターンを有している。図5の斜線部は厚み
0.02μmのGZO(ガリウムドープのZnO)膜に
より形成された電極である透明電極80であり、太線部
分(中心部と同心円部)は給電部材であるメタル電極8
1〜83である。メタル電極81、82の直径はそれぞ
れ3.9mm、2.48mmであり、メタル電極83の
直径は20μmであった。また、メタル電極81〜83
は給電用のメタル配線84により位相補正素子外部の図
示しない信号源と接続されており、おのおのの信号1〜
3によって所望の電圧を供給できる。
【0040】また、電極24aの透明電極80と液晶層
を層挟んで対向する電極24bにはコマ収差を補正する
ために図4に示した分割電極を形成した。図4の分割電
極の外側の円の直径は3.9mmであった。このように
対向する基板の一方には球面収差、他方にはコマ収差を
補正する電極を形成し、それぞれの分割電極41〜45
に所望の電圧を印加することで、独立に2つの収差を補
正できる波面変化を発生できた。
【0041】光ディスクの厚み偏差が10μmのとき、
0.07λrmsの球面収差が発生した。この球面収差を
打ち消すように、メタル電極81、82および83に適
切な電圧を印加することで、すなわち位相補正素子によ
る波面変化が球面収差と逆相となるようにしてこの球面
収差を打ち消した。このように、位相補正素子と対物レ
ンズとの光軸間に位置ずれがないときは、球面収差を打
ち消すことにより、良好な光ディスクの再生特性が得ら
れた。
【0042】また、光ヘッド装置の組み立て誤差、光デ
ィスク回転時の偏心、光ディスクトラッキング時の対物
レンズ移動などにより、対物レンズの光軸と位相補正素
子の光軸とに位置ずれが発生する場合がある。位置ずれ
量Δxが0.1mmのときに、光ディスクの厚み偏差に
起因する球面収差を補正するために発生させた、位相補
正素子による波面変化の光軸と対物レンズの光軸との位
置ずれにより、約0.035λrmsのコマ収差が発生し
た。このコマ収差を補正するための波面変化を、球面収
差を補正のための波面変化に加えて、コマ収差と逆符号
の約0.035λrmsのコマ収差補正用の波面変化を発
生させることで、対物レンズとの位置ずれが生じた場合
にも収差を補正でき、良好な光ディスクの再生特性が得
られた。
【0043】位置ずれにより発生したコマ収差を補正す
るために使用された電極パターンは、上述の図4に示さ
れたものであった。分割電極42と45とは同じ電気信
号が印加され、また分割電極41と44とは同じ電気信
号が印加されたが、前者と後者の電気信号は異なってい
た。さらに、分割電極43に印加された電気信号は前記
2つの電気信号のいずれとも異なるものであった。
【0044】また対物レンズとの位置ずれが上記と反対
方向に0.1mm発生した場合には前記のコマ収差補正
用の波面変化とは反対符号の波面変化を発生させること
でコマ収差を補正できた。位置ずれが発生しない場合
は、図4に示された分割電極41〜45には同一の電気
信号が印加された。
【0045】前述のように、位置ずれから発生するコマ
収差またはコマ収差を主成分とする収差は、コマ収差量
Kと非点収差量AKの和として表すことができる。この
Kは、Δxが対物レンズの径に対して小さいときには
無視できる。すなわち、このAKはΔxの2乗に比例す
るので、実際の光ヘッド装置で求められるΔxの値
(0.1〜0.2mm)と対物レンズの直径(約3.5
mm)の値から考えると、Δxの2乗に比例する項を無
視し、Δxの1乗に比例するCKのみと近似しても充分
補正できる。しかし、Δxが大きく非点収差量AKが無
視できないときには、電極24bに形成したコマ収差補
正用の分割電極形状を適切にして、コマ収差に対して一
定比率の非点収差補正用の波面変化を発生させることも
できる。
【0046】以上のように対物レンズの光軸と位相補正
素子の光軸との位置ずれ量Δxと、球面収差量S0とに
比例するコマ収差量CKを補正する波面変化を発生させ
るように電圧を印加することで、光ディスクの厚み偏差
に起因する球面収差と球面収差の補正時に対物レンズと
位相補正素子との光軸ずれにより発生するコマ収差また
はコマ収差を主成分とする収差を十分に低減できた。
【0047】
【発明の効果】光ディスクの情報の再生および記録を行
う光ヘッド装置において、光ディスクの厚み偏差、傾き
または反りにより発生する球面収差やコマ収差を補正す
る位相補正素子の光軸が、対物レンズの光軸との間に位
置ずれを生じた場合にも収差補正特性の劣化を招くこと
なく良好な再生および記録特性を得ることができる。ま
た、光ヘッド装置の組み立て時に、対物レンズの光軸と
位相補正素子の光軸との間に位置ずれが生じた場合に
も、位置ずれ量に対応した収差補正を行うことで、十分
な再生および記録特性を得ることができる。
【0048】さらに、対物レンズを搭載したアクチュエ
ータとは独立にこの位相補正素子を光ヘッド装置に設置
したときに、トラッキングなどによる対物レンズの動的
位置変動により生ずる、対物レンズの光軸と位相補正素
子の光軸との位置ずれ量に応じた制御電圧をこの位相補
正素子にフィードバックする。これにより、位置ずれが
生じた場合にも収差補正機能を劣化させることなく、十
分に収差補正ができ良好な再生および記録特性を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ヘッド装置の原理構成の一例を示す
概念的断面図。
【図2】本発明における位相補正素子の一例を示す断面
図。
【図3】球面収差を補正する本発明における位相補正素
子の分割電極パターンを示す模式的平面図。
【図4】コマ収差を補正する本発明における位相補正素
子の分割電極パターンを示す模式的平面図。
【図5】球面収差を補正する本発明における位相補正素
子の電極および給電部材パターンを示す模式的平面図。
【符号の説明】
1:半導体レーザ 3:コリメートレンズ 4:位相補正素子 5:4分の1波長板 6:対物レンズ 7:アクチュエータ 8:光ディスク 10:位相補正素子制御回路 21a、21b:ガラス基板 22:シール材 23:液晶 24a、24b:電極 25:絶縁膜 26:配向膜 27:電極引出部 28:液晶分子 41〜45:分割電極 80:透明電極 81〜83:メタル電極 84:メタル配線

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光源と、光源からの出射光を光記録媒体上
    に集光させるための対物レンズと、光源と対物レンズと
    の間に設けられた出射光の波面変化を発生させる位相補
    正素子と、波面変化を発生させるための電圧を位相補正
    素子へ出力する制御電圧発生手段とを備えた光ヘッド装
    置であって、 位相補正素子は、2種類の収差をそれぞれ独立に補正す
    るように出射光の波面変化を発生させることができ、か
    つ2種類の収差のうち少なくとも一方の収差を補正する
    ための波面変化を、位相補正素子の光軸と対物レンズの
    光軸との位置ずれ量に応じて行うことを特徴とする光ヘ
    ッド装置。
  2. 【請求項2】前記2種類の収差のうち、一方が球面収差
    であり他方がコマ収差またはコマ収差を主成分とする収
    差であって、かつコマ収差またはコマ収差を主成分とす
    る収差の補正を前記位置ずれ量に応じて行う請求項1に
    記載の光ヘッド装置。
  3. 【請求項3】前記2種類の収差のうち、一方がコマ収差
    であり他方が非点収差であって、かつ前記非点収差の補
    正を前記位置ずれ量に応じて行う請求項1に記載の光ヘ
    ッド装置。
  4. 【請求項4】前記位相補正素子は、一対の基板に挟持さ
    れた液晶層を備えており、かつ一対の基板の対向する2
    つの表面には、液晶層に電圧を印加するための電極が設
    けられている請求項1、2または3に記載の光ヘッド装
    置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005091059A1 (ja) * 2004-03-24 2005-09-29 Pioneer Corporation 液晶パネル、収差補正装置、収差補正方法、および、光ピックアップ
US7821919B2 (en) 2003-04-21 2010-10-26 Nec Corporation Data processing apparatus and data processing method
JP2011108359A (ja) * 2011-03-07 2011-06-02 Canon Inc 光学式情報記録再生装置

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