JP2006160030A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インバータ等の駆動制御部でスイッチング素子のオン異常やモータハーネスの天絡、地絡等が発生した場合に、A/D変換器数を少なくすると共に、異常判定処理を簡素化する。
【解決手段】 操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、永久磁石を配設したロータ及び該ロータと対向して複数N相の相コイルLu〜Lwを互いに結線することなく独立して配設したステータを有し、操舵系に対して操舵補助力を発生する無結線式ブラシレスモータ12と、各相コイルの両端に接続され当該各相コイルに駆動信号を供給するインバータ回路34u〜34wと、前記操舵トルク検出部で検出した操舵トルクに基づいて前記インバータ回路を駆動制御する駆動制御部15と、前記各相コイル及び前記インバータを含む通電制御系の異常を前記各相コイルの端子間電圧に基づいて検出する異常検出部41とを備えている。
【選択図】 図7

Description

本発明は、ステータの相コイルを結線することなく独立させた無結線式モータを使用した電動パワーステアリング装置に関する。
一般に、電動パワーステアリング装置は、操舵系に対して操舵補助力を発生するモータとして、永久磁石をモータに使用するブラシ付きDCモータやブラシレスDCモータなどを使用し、これらDCモータをモータ駆動回路で駆動制御するようにしている。
このような電動パワーステアリング装置では、車両の操縦性能を確保するためにモータ通電制御系の天絡事故や地絡事故を検出する必要があり、モータ通電制御系の天絡事故や地絡事故を検出するために、例えばモータの端子電圧の検出値と、モータをPWMで駆動する場合のデューティ比から推定されるモータ端子電圧との差が所定時間異常継続して所定値を超えたとき、モータ通電制御系の天絡や地絡の故障と判断してモータ出力を停止させる駆動手段を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、電源電圧が所定値異常と判定された時に、モータ1の各端子電圧VM+,VM−を検出し、検出値が設定値VTHH,VTHLを逸脱したか判定し、各端子電圧VM±が設定値VTHH,VTHLを逸脱したと判定されたときにモータに接続された配線の故障を判定するマイクロコンピュータを備えた電動パワーステアリング装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、3相ブラシレスモータにおいて、3相のコイルに同時に流れる電流の和はキルヒホップの法則に基づいて0になるはずであることに着目して、これら電流の和の絶対値が設定値以上である場合に、電流検出回路の異常であることを検出するものも知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開平11−263240号公報(第1頁、第1図) 再公表特許第WO98/588338号公報(第1頁、図1) 特開2003−237597号公報(第1頁、図5)
上記特許文献1〜3に記載の従来例にあっては、電動モータとして3相ブラシレスモータを使用する場合には、各相コイルがY結線又はΔ結線されて駆動回路とブラシレスモータとの間の配線が3本で済むことから、各配線に電流検出回路を設け、これらの検出信号を例えば制御装置を構成するマイクロコンピュータに入力して、異常判定を行う場合に、A/D変換器が3チャンネルで済み、比較的廉価なマイクロコンピュータを適用することが可能となる。
しかしながら、例えば3相ブラシレスモータの各相コイルを互いに結線することなく独立に配設した無結線式ブラシレスモータを適用する場合には、各相コイルの通電制御を行うために、各相コイルの両端にインバータ回路を接続する必要があるため、駆動回路と無結線式ブラシレスモータとの間の配線数は6本必要となり、これらの夫々について天絡及び地絡事故を検出するには6つの検出回路が必要となり、その検出信号をマイクロコンピュータ等でデジタル処理するためには、6個のA/D変換器が必要となり、廉価なマイクロコンピュータを適用することができないそれがある。また、無結線式ブラシレスモータでも通常のブラシレスモータを制御する場合に良く知られているベクトル制御を適用することが考えられるが、このベクトル制御はマイクロコンピュータにとって大きな演算負荷であり、複数のマイクロコンピュータを適用して電動パワーステアリング装置を構成する場合もある。
このため、無結線式ブラシレスモータを適用して廉価なマイクロコンピュータで制御するためには、A/D変換器数を少なくすると共に、異常判定処理の簡素化が要望されている。また、無結線式モータでは、各相コイルが結線されていないので、キルヒホッフの法則が成立せず、特許文献3に記載されているような各相電流の和に基づいて異常判定を行うことはできないので、新たな異常検出手段が要望されている。
そこで、本発明は、上記要望に着目してなされたものであり、A/D変換器数を少なくすると共に異常判定処理を簡素化することができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、永久磁石を配設したロータ及び該ロータと対向して複数N相の相コイルを互いに結線することなく独立して配設したステータを有し、操舵系に対して操舵補助力を発生する無結線式ブラシレスモータと、各相コイルの両端に接続され当該各相コイルに駆動信号を供給するインバータ回路と、前記操舵トルク検出部で検出した操舵トルクに基づいて前記インバータ回路を駆動制御する駆動制御部と、前記各相コイル及び前記インバータを含む通電制御系の異常を前記各相コイルの端子間電圧に基づいて検出する異常検出部とを備えていることを特徴としている。
また、請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記インバータ回路は、前記各相コイルの両端に夫々接続されていることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、請求項2に係る発明において、前記各相コイルの両端に夫々接続されたインバータ回路は、互いに逆位相で駆動されることを特徴としている。
さらにまた、請求項4に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1乃至3の何れか1つの発明において、前記異常検出部は、各相コイルの両端の端子電圧を加算する電圧加算部と、該電圧加算部で加算した加算電圧と前記通電制御系に供給される電源電圧に基づく設定電圧範囲とを比較して当該通電制御系に生じる天絡・地絡異常の有無を判定する異常判定部とを備えていることを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1乃至3の何れか1つの発明において、前記異常検出部は、各相コイルの両端の端子電圧を加算する電圧加算部と、該電圧加算部に供給する各相コイルの両端の端子電圧の双方に前記通電制御系における電源電圧の半分程度のバイアス電圧を高インピーダンスで印加するバイアス回路と、前記電圧加算部で加算した加算電圧と前記通電制御系に供給される電源電圧に基づく設定電圧範囲とを比較して当該通電制御系に生じる天絡・地絡異常の有無を判定する異常判定部とを備えていることを特徴としている。
また、請求項6に係る電動パワーステアリング装置は、前記請求項1乃至3の何れか1つに記載の発明において、前記異常検出部は、各相コイルの両端の端子電圧を加算する電圧加算部と、該電圧加算部に供給する各相コイルの両端の端子電圧の何れか一方に前記通電制御系における電源電圧の半分程度のバイアス電圧を高インピーダンスで印加するバイアス回路と、前記電圧加算部で加算した加算電圧と前記通電制御系に供給される電源電圧に基づく設定電圧範囲とを比較して当該通電制御系に生じる天絡・地絡異常及び開放異常の有無を判定する異常判定部とを備えていることを特徴としている。
さらに、請求項7に係る電動パワーステアリング装置は、請求項4乃至6の何れか1つの発明において、前記異常判定部は、前記電圧加算部で加算した加算電圧が前記設定電圧範囲を逸脱する状態が所定時間以上継続したときに天絡・地絡異常であると判定するように構成されていることを特徴としている。
さらにまた、請求項8に係る電動パワーステアリング装置は、請求項7に係る発明において、前記異常判定部は、前記電圧加算部で加算した加算電圧の平均値を算出し、当該平均値が前記設定電圧範囲を逸脱するか否かを判定するように構成されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項9に係る電動パワーステアリング装置は、請求項4乃至6の何れか1つの発明において、前記異常判定部は、前記電圧加算部で加算した加算電圧の電圧変化を検出し、電圧変化が発生したときに天絡・地絡異常が発生したものと判定するように構成されていることを特徴としている。
本発明によれば、永久磁石を配設したロータと、複数N相の相コイルを互いに結線することなく独立して配設したステータとを有する無結線式ブラシレスモータの各相コイル両端電圧に基づいて異常判定部で判定するようにしたので、この異常判定部で、両端電圧の加算電圧を判定基準とすることにより、少ないA/D変換器数で且つ異常判定処理を簡素化することができるという効果が得られる。
また、相コイルの両端電圧にバイアス電圧を印加するバイアス回路を設けることにより、インバータ回路が駆動停止している状態での初期診断を正確に行うことができるという効果が得られる。
さらに、相コイルの一方の両端電圧のみにバイアス回路からバイアス電圧を印加することにより、天絡、地絡故障に加えて開放故障も判定することができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を電動パワーステアリング装置に適用した場合の第1の実施形態を示す全体構成図であって、図中、1は、ステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が入力軸2aと出力軸2bとを有するステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は操舵トルク検出手段としての操舵トルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
そして、出力軸2bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント4を介してロアシャフト5に伝達され、さらに、ユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ8を介してタイロッド9に伝達され、図示しない転舵輪を転舵させる。ここで、ステアリングギヤ8は、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8aとこのピニオン8aに噛合するラック8bとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン8aに伝達された回転運動をラック8bで直進運動に変換している。
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する操舵補助機構10が連結されている。この操舵補助機構10は、出力軸2bに連結した減速ギヤ11と、この減速ギヤ10に連結された操舵補助力を発生する電動機としての無結線式ブラシレスモータ12とを備えている。
操舵トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位をポテンショメータで検出するように構成されている。この操舵トルクセンサ3は、図2に示すように、入力される操舵トルクが零のときには、所定の中立電圧V0 となり、この状態から右切りすると、操舵トルクの増加に応じて中立電圧V0 より増加する電圧となり、操舵トルクが零の状態から左切りすると操舵トルクの増加に応じて中立電圧V0 より減少する電圧となるトルク検出値Tを出力するように構成されている。
また、無結線式ブラシレスモータ12は、図3に示すように、ハウジング21に対して一対の軸受22,23を介して回転軸24が回転可能に支持されている。一対の軸受22,23間で回転軸24の周囲には、円板状の複数枚の電磁鋼板25,26を積層して形成されるロータコア27が装着され、このロータコア27の外周面には、ロータマグネット28が固定されている。ロータマグネット28は、界磁発生用永久磁石としてセグメントマグネットが使用されている。また、図4に示すように、ロータマグネット18の外側には、一端に形成されたフランジ部29aをロータマグネット28の端面と当接させ、ロータマグネット28の飛散及びずれを防止する円筒状のマグネットカバー29が設けられている。そして、これら回転軸24、ロータコア27、ロータマグネット28及びマグネットカバー29はロータ20を構成している。
ハウジング21内には、ロータ20と半径方向に対向するようにしてステータ31が配設されており、ハウジング21の内周面に固定された環状のステータコア32と、ステータコア32に巻回された相コイルとしての励磁コイル33とを有する。この励磁コイル33は、図5に示すように、例えば三相の励磁コイルLu、Lv及びLwで構成され、これら励磁コイルLu〜Lwは、互いに結線されることなく独立して巻装されて無結線型(開放型)のブラシレスモータ配線とされ、各励磁コイルLu、Lv及びLwの両端間にインバータ回路34u、34v及び34wが接続されて、個別に駆動電流Iu、Iv及びIwが供給される。
インバータ回路34j(j=u,v,w)は、図5に示すように、例えばNチャンネルMOSFETで構成される4つスイッチング素子Trj1〜Trj4を有し、スイッチング素子Trj1及びTrj2が直列に接続された直列回路と、スイッチング素子Trj3及びTrj4が直列に接続された直列回路とが並列に接続されてHブリッジ回路Hjが構成されている。このHブリッジ回路Hjのスイッチング素子Trj1及びTrj3の接続点がリレー回路RYを介してバッテリーBに接続され、スイッチング素子Trj2及びTrj4の接続点が電流検出用のシャント抵抗Rjを介して接地され、さらにスイッチング素子Trj1及びTrj2の接続点が無結線式ブラシレスモータ12における励磁コイルLjの一方の端子tjaに接続され、スイッチング素子Trj3及びTrj4の接続点が励磁コイルLjの他方の端子tjbに接続されている。なお、各スイッチング素子Trj1〜Trj4には、そのソース及びドレイン間にフライホイールダイオードDが順方向に接続されている。
そして、各インバータ回路34jのスイッチング素子Trj1及びTrj4に駆動制御回路15から出力されるPWM(パルス幅変調)信号Pj1が供給され、スイッチング素子Trj2及びTrj3に駆動制御回路15からPWM(パルス幅変調)信号Pj1と逆位相即ちオン・オフを反転させたPWM(パルス幅変調)信号Pj2が供給される。
ここで、各励磁コイルLu、Lv及びLwの等価回路は、図6に示すように、励磁コイルLuについては、端子tua及びtub間に抵抗R0′、インダクタンスL0′、逆起電圧eu(=ω×Kt′×sin(ωt))が直列に配列されたものとなり、端子tuaの端子電圧VuaはVua=V0×sin(ωt+α)、端子tubの端子電圧VubはVub=V0×sin(ωt−π+α)であり、端子間電圧VuabはVuab=2×V0×sin(ωt+α)となり、相電流IuはIu=I0′×sin(ωt)となる。
同様に、励磁コイルLvについては、端子tva及びtvb間に抵抗R0′、インダクタンスL0′、逆起電圧eu(=ω×Kt′×sin(ωt−2π/3))が直列に配列されたものとなり、端子tvaの端子電圧VvaはVva=V0×sin(ωt−2π/3+α)、端子tubの端子電圧VvbはVvb=V0×sin(ωt−2π/3−π+α)であり、端子間電圧VvabはVvab=2×V0×sin(ωt−2π/3+α)となり、相電流IvはIv=I0′×sin(ωt−2π/3)となる。
同様に、励磁コイルLwについては、端子twa及びtwb間に抵抗R0′、インダクタンスL0′、逆起電圧eu(=ω×Kt′×sin(ωt−4π/3))が直列に配列されたものとなり、端子twaの端子電圧VwaはVwa=V0×sin(ωt−4π/3+α)、端子tubの端子電圧VwbはVwb=V0×sin(ωt−4π/3−π+α)であり、端子間電圧VwabはVwab=2×V0×sin(ωt−4π/3+α)となり、相電流IwはIw=I0′×sin(ωt−4π/3)となる。
また、モータ定数としては従来のY結線式モータのモータ定数、従来のΔ結線式モータのモータ定数、要求性能を満たすような独自のモータ定数の何れかに設計されて、無結線式の3相ブラシレスモータが構成されている。
ここで、無結線式モータ12の誘起電圧波形は、後述するように正弦波にその3次高調波、5次高調波を重畳した疑似矩形波となるように、ロータ20の磁石の着磁、ステータ31の巻線の巻き方が設定されている。
さらに、一方の軸受22の近傍には、ロータ20の位相検知部35が配置されている。この位相検知部35は、回転軸24に取付けられた環状の位相検出用永久磁石36と、この永久磁石36と対向し、ハウジング21側に固定された位相検出素子37とから構成されている。この位相検知部35は、モータ12が機械的な整流子(ブラシとコンミテータ)を含まないブラシレスモータであるため、ロータ20の位相を検知して、駆動回路15の制御により位相に応じて励磁コイル33に通電するためのものである。また、位相検知部としては、レゾルバやエンコーダなどを用いることもできる。
そして、操舵トルクセンサ3から出力される操舵トルク検出値Tは、図1に示すようにバッテリーBからイグニッションスイッチIGを介して電力が供給される駆動制御回路15に入力される。この駆動制御回路15には、トルク検出値Tの他に車速センサ16で検出した車速検出値Vと、モータ電流検出部17u〜17wで検出した無結線式ブラシレスモータ12の各励磁コイルLu〜Lwに流れるモータ電流Idu〜Idwと、位相検知部34で検出したロータ20の位相検知信号が入力される。ここで、モータ電流検出部17u〜17wの夫々は、シャント抵抗Ru〜Rwの端子間電圧を演算増幅器OPで検出するように構成されている。
さらに、インバータ回路34u〜34wと無結線式ブラシレスモータ12の各相コイルLu〜Lwの各端子tua〜twbとの間を結ぶモータハーネスMH1〜MH6の電圧即ち無結線式ブラシレスモータ12の両端電圧を個別に検出する異常検出回路41が設けられ、この異常検出回路41から出力される異常検出信号ASが駆動制御回路15に入力される。
この異常検出回路41は、図7に示すように、モータハーネスMH1及びMH2に一端が接続された抵抗R1及びR2の他端を互いに接続して構成される加算回路42uと、モータハーネスMH3及びMH4に一端が接続された抵抗R3及びR4の他端を互いに接続して構成される加算回路42vと、モータハーネスMH5及びMH6に一端が接続された抵抗R5及びR6の他端を互いに接続して構成される加算回路42wと、各加算回路42u〜42wの各抵抗R1〜R6とモータハーネスMH1〜MH6との間にバッテリー電圧Vbを検出対象となるスイッチング素子のオン抵抗、天絡・地絡の抵抗値、モータの励磁コイル抵抗値に比較して高インピーダンスの抵抗RH1及びRH2で分圧してVb/2の電圧をバイアス電圧として印加するバイアス回路43と、加算回路42u〜42wから出力される加算出力を分圧すると共に、フィルタ処理する加算出力と接地との間に接続された抵抗Rd及びコンデンサCfの並列回路で構成される分圧兼フィルタ回路44とで構成されている。
この異常検出回路41で、インバータ回路34u〜34wのスイッチング素子Tru1〜Trw4のオン異常及びモータハーネスMH1〜MH6の異常を検出することができる理由は、後述するように、例えば正常なインバータ回路34wのスイッチング素子Trw1及びTrw4に供給されるPWM信号Pw1とスイッチング素子Trw2及びTrw3に供給されるPWM信号Pw2は、図8(b)及び(c)に示すように、PWM信号Pw1がオン状態である区間でPWM信号Pw2がオフ状態であり、両信号間に同時にオン状態となることを回避するためのデッドタイムTdが設けられている。このとき、PWM信号Pw1及びPwu2のデューティ比が、図8(b)及び(c)に示すように、Pw1>Pw2であるときには、インバータ回路34wに図8(a)に示すように、バッテリーBの正極側端子からスイッチング素子Trw1、端子twa、励磁コイルLw、端子twb、スイッチング素子Trw4を経て接地に電流が流れる。
このため、例えばモータハーネスMH5で検出される無結線式ブラシレスモータ12の励磁コイルLwの端子twaにおける端子電圧Vwaは、図8(d)に示すように、PWM信号Pw1がオン状態の区間で約バッテリー電圧Vb〔V〕正確にはバッテリー電圧Vbからスイッチング素子Tru1のオン抵抗Ronにモータ電流Imを乗算した電圧Ron×Imを減算した電圧Vb−Ron×Imとなり、PWM信号Pw1がオン状態からオフ状態に切換わったデッドタイムTd区間で僅かに負値となる−Vfとなり、その後のPWM信号Pw2がオン状態を維持する区間で約0〔V〕正確には−Ron×Imとなり、次のデッドタイムTd区間で再度負値となる−VfとなってからPWM信号Pw1がオン状態に復帰すると再度約バッテリー電圧Vb正確にはVb−Ron×Imとなることを繰り返す。
これに対して、モータハーネスMH6で検出される無結線式ブラシレスモータ12の励磁コイルLwの端子twbにおける端子電圧Vwbは、図8(e)に示すように、PWM信号Pw2がオン状態である区間で約バッテリー電圧正確にはバッテリー電圧Vbにオン抵抗Ronにモータ電流Imを乗算した電圧Ron×Imを加算した電圧となり、PWM信号Pw2がオン状態からオフ状態に切換わったデッドタイムTd区間で、バッテリー電圧Vbに僅かな電圧Vfを加算した値となり、その後PWM信号Pw1がオン状態を維持する区間で約0〔V〕正確にはRon×Imとなる。
このため、スイッチング素子Trw1〜Trw4が正常であり、モータハーネスMH5及びMH6に天絡及び地絡が発生していない正常状態では加算回路42wで端子電圧Vwa及びVwbを加算して異常検出回路41から出力される加算電圧Vwsは、図8(f)に示すように、PWM信号Pw1及びPw2のデューティ比にかかわらずバッテリー電圧Vbと一致する。
ところが、図9(a)に示すように、インバータ回路34wのスイッチング素子Trw4がオン状態を継続するオン異常が発生した場合には、端子電圧Vwaについてはスイッチング素子Trw1が正常であるので、図9(d)に示すように、図8(d)と同様に略バッテリー電圧Vb〔V〕と略0〔V〕との間で交互に変化するが、端子電圧Vwbについては図9(e)に示すように略0〔V〕に固定される。
このため、加算回路42wから出力され分圧された加算電圧Vwsは図9(f)に示すように、端子電圧Vwaがそのまま現れることになる。
したがって、加算電圧の平均値を算出するか又は波形のレベル変化を計測することにより、端子電圧異常を正確に検出することが可能となる。
駆動制御回路15は、図5及び図7に示すように、入力信号に対してA/D変換を行うA/D変換入力端子を有するマイクロコンピュータ18と、このマイクロコンピュータ18から出力されるPWMデューティ指令値Du、Dv及びDwが入力されて各インバータ回路34u、34v及び34wのスイッチング素子Tru1〜Trw4に対するPWMデューティ指令値Du、Dv及びDwに応じたデューティ比のPWM信号Pu1、Pv1、Pw1及びそのオン・オフが反転されたPWM信号Pu2、Pv2、Pw2を出力するFETゲート駆動回路19とで構成されている。
マイクロコンピュータ18にはそのA/D変換入力端子にモータ電流検出部17u〜17wで検出したモータ電流Idu〜Idwが入力されると共に、操舵トルクセンサ3から出力される操舵トルク検出値T及び異常検出回路41から出力される加算電圧Vus〜Vwsが入力されている。また、マイクロコンピュータ18の他の入力端子に車速センサ16で検出した車速検出値Vと、位相検知部34で検出した位相検知信号が電気角変換部50で電気角θに変換されて入力されると共に、回転速度検出部としてモータ角速度変換部51で電気角θを微分して算出したモータ角速度ωが入力されている。
そして、マイクロコンピュータ18では、図10に示す操舵制御処理を実行すると共に、図13に示す異常検出処理を実行する。
操舵制御処理は、図10に示すように、先ず、ステップS1で、操舵トルクセンサ3で検出したトルク検出値Tを読込み、次いでステップS2に移行して、トルク検出値Tから中立電圧V0 を減算して操舵トルクTs(=T−V0 )を算出する。次いで、ステップS3に移行して、車速センサ16で検出した車速検出値Vを読込み、次いでステップS4に移行して、操舵トルクTs及び車速検出値Vに基づいて図11に示す操舵補助指令値算出マップを参照して、モータ電流指令値となる操舵補助指令値ITを算出する。
ここで、操舵補助指令値算出マップは、図11に示すように、横軸に操舵トルク検出値Tをとり、縦軸に操舵補助指令値ITをとり、車速検出値Vをパラメータとした特性線図で構成され、操舵トルクTsが“0”から正方向に増加して第1の設定値Ts1に達するまでの間は車速検出値Vにかかわらず比較的緩い勾配で延長する直線部L1と、操舵トルクTaが第1の設定値Ts1より増加したときに、車速検出値Vが比較的速い状態では、比較的緩やかな勾配で延長する直線部L2及びL3と操舵トルク検出値Tsが第1の設定値Ts1より大きい第2の設定値Ts2に近傍で横軸と平行となる直線部L4及びL5と、車速検出値Vが遅い状態では、比較的勾配の大きい直線部L6及びL7と、これら直線部L6及びL7より勾配の大きい直線部L8及びL9と、直線部L8より勾配の大きい直線部L10と、直線部L9及びL10の終端から横軸と平行に延長する直線部L11及びL12とで構成される4本の特性線が形成され、同様に操舵トルクTsが負方向に増加する場合には、上記と原点を挟んで点対象となる4本の特性線が形成された構成を有する。
次いで、ステップS5に移行して、モータ角速度変換部51で算出したモータ加速度ωを読込み、次いでステップS6に移行して、モータ角速度ωに慣性ゲインKi を乗算して、モータ慣性を加減速させるトルクを操舵トルクTsから排除し、慣性感のない操舵感覚を得るための慣性補償制御用の慣性補償値Ii (=Ki ・ω)を算出すると共に、操舵補助指令値ITの絶対値に摩擦係数ゲインKf を乗算して、動力伝達部や電動モータの摩擦が操舵力に影響することを排除するため摩擦補償制御用の摩擦補償値If (=Kf ・|IT|)を算出する。ここで、摩擦補償値If の符号は操舵トルクTsの符号とこの操舵トルクTsにより操舵の切り増し/切り戻しを判定する操舵方向信号とに基づいて決定する。
次いで、ステップS7に移行して、操舵トルクTsを微分演算処理してアシスト特性不感帯での安定性確保、静摩擦の補償を行うセンタ応答性改善指令値Irを算出し、次いでステップS8に移行して、算出した慣性補償値Ii 、摩擦補償値If 及びセンタ応答性改善指令値Irを操舵補助指令値ITに加算して操舵補助補償値IT′(=IT+Ii +If +Ir)を算出してからステップS9に移行する。
このステップS9では、電気角変換部50で変換したモータ電気角θを読込み、次いでステップS10に移行して、モータ電気角θをもとに図12(a)〜(c)に示すU〜W相電流算出マップを参照してU〜W相の相電流指令値Iu〜Iwを算出する。
ここで、相電流算出マップは、図12(a)〜(c)に示すように、正弦波に3次、5次高調波を重畳して角を丸くした台形波状の疑似矩形波に形成された無結線式ブラシレスモータ12の相コイルLu〜Lwの誘起電圧波形と同一波形となる相電流指令値Iu〜Iwと電気角θとの関係が表され、各相電流指令値Iu〜Iwは互いに120°位相がずれている。
次いで、ステップS11に移行して、操舵補助補償値IT′と相電流指令値Iu〜Iwとを乗算して相電流目標値ITU * 〜ITW * を算出し、次いでステップS12に移行して、モータ電流検出部17u〜17wからモータ電流Idu〜Idwを読込み、次いでステップS13に移行して、相電流目標値ITU * 〜ITW * からモータ電流Idu〜Idwを減算して電流偏差ΔIu〜ΔIwを算出してからステップS14に移行する。
このステップS14では、下記(1)〜(3)式のPI演算を行って電圧指令値Vv〜Vwを算出する。
Vu=Kp×ΔIu+Ki∫ΔIudt …………(1)
Vv=Kp×ΔIv+Ki∫ΔIvdt …………(2)
Vw=Kp×ΔIw+Ki∫ΔIwdt …………(3)
ここで、Kpは比例ゲイン、Kiは積分ゲインである。
次いで、ステップS15に移行して、ステップS14で算出した電圧指令値Vu〜Vwの夫々を正及び負のバッテリー電圧±Vbで制限する電圧制限処理を行ってからステップS16に移行する。
このステップS16では、電圧制限された電圧指令値Vu〜Vwに基づいて下記(4)〜(6)式の演算を行ってU〜W相のデューティ指令値Du〜Dwを算出する。
Du=50+(Vu/2Vb)×100 …………(4)
Dv=50+(Vv/2Vb)×100 …………(5)
Dw=50+(Vw/2Vb)×100 …………(6)
次いで、ステップS17に移行して、後述する異常検出処理で設定される異常フラグAFが“0”以外の値に設定されているか否かを判定し、異常フラグAFが“0”に設定されているときにはインバータ回路34u〜34w、モータハーネスMH1〜MH6、相コイルLu〜Lwのモータ駆動系に異常がないものと判断してステップS18に移行して、前記ステップS16で算出したデューティ指令値Du〜Dwをゲート駆動回路19に出力してから前記ステップS1に戻る。
一方、ステップS17の判定結果が、異常フラグAFが“0”以外の“1”〜“3”であるときには、インバータ回路34u〜34w、モータハーネスMH1〜MH6、相コイルLu〜Lwのモータ駆動系に異常が発生したものと判断して、ステップS19に移行して、異常フラグAFが“1”であるときにはU相駆動系の異常であると判断して、U相PWM信号Pu1及びPu2の出力を停止させるPWM信号出力停止指令をゲート駆動回路19に出力してからステップS20に移行する。
このステップS20では、モータ角速度ωの絶対値|ω|が予め設定した駆動トルクが発生できない電気角区間が生じる高速転舵であることを判定する各設定値ωsを超えているか否かを判定し、ω≦ωsであるときには、全ての電気角区間で駆動トルクを発生することができる低速回転領域であると判断して、ステップS21に移行し、正常な2相分の前記ステップS16で設定されたデューティ指令値をゲート駆動回路19に出力してから前記ステップS1に戻り、|ω|>ωsであるときには、高速転舵領域であるものと判断して、ステップS22に移行し、正常な2相のデューティ指令値を低速転舵領域の最大速度近傍に対応する50%を挟んで対称的なデューティ指令値DL〜DHの範囲に制限し、制限したデューティ指令値をゲート駆動回路19に出力してから前記ステップS1に戻る。
この図10の処理で、ステップS1〜ステップS18の処理が駆動制御部を構成し、ステップS19〜S21の処理が異常時制御部を構成し、ステップS20及びS22の処理がモータ速度抑制部を構成している。
また、マイクロコンピュータ18では、図13に示すインバータ回路34u〜34wスイッチング素子異常、モータハーネスMH1〜MH6及び相コイルLu〜Lwの天絡、地絡による異常を検出する異常検出処理を実行する。
この異常検出処理は、図13に示すように、所定時間例えば10msec毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS31で、異常検出回路41から出力される現在の加算電圧Vus(n)〜Vws(n)を読込み、次いでステップS32に移行して、読込んだ加算電圧Vus(n)〜Vws(n)に基づいて下記(7)〜(9)式の移動平均演算を行って移動平均値Vusm(n)〜Vwsm(n)を算出する。
Vusm(n)=(1−a)Vusm(n-1)+a・Vus(n) …………(7)
Vvsm(n)=(1−a)Vvsm(n-1)+a・Vvs(n) …………(8)
Vwsm(n)=(1−a)Vwsm(n-1)+a・Vws(n) …………(9)
ここで、 n=1,2,3……、初期値Vusm(0)=Vvsm(0)=Vwsm(0)=Vb、aはデータの重み係数であり、0<a<1、Vusm(n-1)は前回の移動平均値である。
次いで、ステップS33に移行して、移動平均値Vusm(n)からバッテリー電圧Vbを減算した値(Vusm(n)−Vb)の絶対値が予め設定した閾値Vmsを超えているか否かを判定し、|Vusm(n)−Vb|>Vmsであるときには、U相にインバータ回路34uのスイッチング素子Tru1〜Tru4がオン状態に固定されるオン異常、モータハーネスMH1,MH2及び相コイルLuに天絡、地絡が発生したU相駆動系の異常と判断してステップS34に移行し、異常フラグAFをU相の異常であることを表す“1”に設定してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
また、ステップS33の判定結果が、|Vusm(n)−Vb|≦Vmsであるときには、U相駆動系が正常であると判断してステップS35に移行し、移動平均値Vvsm(n)からバッテリー電圧Vbを減算した値(Vvsm(n)−Vb)の絶対値が予め設定した閾値Vmsを超えているか否かを判定し、|Vvsm(n)−Vb|>Vmsであるときには、V相にインバータ回路34vのスイッチング素子Trv1〜Trv4がオン状態に固定されるオン異常、モータハーネスMH3,MH4及び相コイルLvに天絡、地絡が発生したV相駆動系の異常と判断してステップS36に移行し、異常フラグAFをV相の異常であることを表す“2”に設定してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
さらに、ステップS37の判定結果が、|Vvsm(n)−Vb|≦Vmsであるときには、V相駆動系が正常であると判断してステップS37に移行し、移動平均値Vwsm(n)からバッテリー電圧Vbを減算した値(Vwsm(n)−Vb)の絶対値が予め設定した閾値Vmsを超えているか否かを判定し、|Vwsm(n)−Vb|>Vmsであるときには、W相にインバータ回路34vのスイッチング素子Trw1〜Trw4がオン状態に固定されるオン異常、モータハーネスMH5,MH6及び相コイルLwに天絡、地絡が発生したW相駆動系の異常と判断してステップS38に移行し、異常フラグAFをW相の異常であることを表す“3”に設定してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
さらにまた、ステップS37の判定結果が、|Vwsm(n)−Vb|≦Vmsであるときには、U相駆動系〜W相駆動系の全てが正常であるものと判断して、ステップS39に移行して、異常フラグAFを“0”にリセットしてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
この図13の処理が異常判定部を構成し、この異常判定部と異常検出回路41とで異常検出部を構成している。
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
今、車両が停車していると共に、イグニッションスイッチIGがオフ状態にあって、駆動制御回路15にバッテリーBからの電力が供給されていないものとする。
この状態で、駆動制御回路15に電力が供給されていないので、マイクロコンピュータ18も停止状態にあり、図10及び図13の処理も停止されている。
この状態から、イグニッションスイッチIGをオン状態とすると、これによってバッテリーBの電力がイグニッションスイッチIGを介して駆動制御回路15に供給され、この駆動制御回路15を構成するマイクロコンピュータ18及びゲート駆動回路19に電源が投入される。
このため、異常検出回路41では、バイアス回路42から通電制御系のインピーダンスに比較して高インピーダンスで且つ電源電圧としてのバッテリー電圧Vbにおける半分のバイアス電圧Vb/2が加算回路42u〜42wとモータハーネスMH1〜MH6との間に印加されているので、インバータ回路34u〜34wがゲート駆動回路19からのPWM信号Pu1〜Pw2が全てオフしている初期診断期間中であっても、無結線式ブラシレスモータ12が外力によって回転され、誘起電圧が発生した場合に、各相コイルLu〜Lwの両端に、バイアス電圧Vb/2を中心とした逆位相の端子電圧として発生する。つまり、相コイルLu〜Lwの両端電圧の加算電圧値は、バイアス電圧の2倍で一定値となる。
このため、インバータ回路34u〜34wにスイッチング素子のオン異常が発生しておらず、モータハーネスMH1〜MH6及び相コイルLu〜Lwに地絡及び天絡故障が発生していない状態では、加算回路42u〜42wから出力される加算電圧Vus〜Vwsは略バッテリー電圧Vbとなる。
したがって、加算電圧Vus〜Vwsがマイクロコンピュータ18のA/D変換用入力端子に供給されて、図13の異常検出処理が実行されたときに、ステップS32で算出される各相コイルLu〜Lwに対応する加算電圧Vus〜Vuwの移動平均値Vusm(n)〜Vwsm(n)も略バッテリー電圧Vbとなり、ステップS23、S35及びS37で算出される|Vusm(n)−Vb|、|Vvsm(n)−Vb|及び|Vwsm(n)−Vb|が共に略“0”となって、各相コイルに対する通電制御系が正常であると判断してステップS39に移行して、異常フラグAFを“0”にリセットする。
ところが、インバータ回路34u〜34wのスイッチング素子Tru2,Tru4〜Trw2,Trw4の何れかにオン状態を継続するオン異常が発生している場合には、加算回路42u〜42wの何れかがスイッチング素子を通じて接地に接続されることになるため、加算回路42u〜42wの何れか一方が接地電位となり、加算回路42u〜42wの何れかの加算電圧がVb/2となる。
このため、異常が発生した加算回路42jの移動平均値VsjmがVb/2となり、|Vjsm(n)−Vb|が設定値Vmsを超えることになって、インバータ回路34jのスイッチング素子Tru4のオン異常を検出することができる。
同様に、モータハーネスMH1〜MH6や相コイルLu〜Lwに地絡故障が生じた場合にも、地絡故障が生じた側の端子電圧が略接地電位となるので、上記と同様に地絡故障を検出することができる。
また、逆に、インバータ回路34u〜34wのバッテリー電源側のスイッチング素子Tru1,Tru2〜Trw1,Trw2がオン異常となったり、モータハーネスMH1〜MH6や相コイルLu〜Lwに天落故障が発生したりした場合には、異常となった側の加算回路42u〜423に供給される端子電圧が略バッテリー電圧Vbとなることから、該当する加算回路42jの加算電圧Vjsが3Vb/4となり、その移動平均値Vjsm(n)も3Vb/4となって、|Vjsm(n)−Vb|>Vmsとなって、該当する異常フラグAFが“1”〜“3”に設定され、異常の発生を正確に検出することができる。
この初期診断の結果が、通電制御系が正常であり、車両が停車していると共に、無結線式モータ12も停止しており、ステアリングホイール1が操舵されておらず、操舵トルクセンサ3で検出される操舵トルク検出値Tが電圧V0であるものとし、この状態で、マイクロコンピュータ18で図10に示す操舵制御処理を実行すると、操舵トルク検出値Tが電圧V0であるので、ステップS2で算出される操舵トルクTsが“0”となり、車両が停車していて車速検出値Vも“0”であるので、図11の制御マップを参照して算出される操舵補助指令値ITも“0”となり、各種補償値Ii、If及びIrも“0”となるので、操舵補助補償値IT′も“0”となる。
このとき、無結線式モータ12の位相検知部35で検出されるロータ20の位相が電気角変換部50に供給されて、このときの電気角θが例えば0°であるものとすると、図12(a)〜(c)に示す相電流指令値算出マップを参照して算出されるU相の相電流指令値Iuは“0”、V相の相電流指令値Ivは相電流指令値Iuに対して位相が120°遅れているので−Imaxとなり、W相の相電流指令値Iwは相電流指令値Iuに対して位相が120°進んでいるので+Imaxとなっている。
そして、これら相電流指令値Iu、Iv及びIwと操舵補助指令値ITとが乗算されて相電流目標値ITU * 、ITV * 及びITW * が算出されるが、これらも全て“0”となる(ステップS11)。
また、モータ電流検出部17u、17v及び17wで検出されるモータ電流Idu、Idv及びIdwも“0”となっているので、電流偏差ΔIu、ΔIv及びΔIwも“0”となり、これらに基づいて算出される電圧指令値Vu、Vv及びVwも“0”となって、デューティ指令値Du、Dv及びDwが全て50%となり、無結線式ブラシレスモータ12及びその駆動系が正常であるものとすると、50%のデューティ指令値Du、Dv及びDwがゲート駆動回路19に出力される。
このため、ゲート駆動回路19から出力されるPWM信号Pu1,Pv1,Pw1及びPu2,Pv2,Pw2のオン・オフ比が略等しくなり、例えばインバータ回路34uでみると、スイッチング素子Tru1及びTru4がオン状態となる時間とスイッチング素子Tru2及びTru3がオン状態となる時間とが等しくこれらが交互に行われるので、電子機巻線Luには電流が流れず、他のインバータ回路34v及び34wでも同様に相コイルLv及びLwに電流が流れないので、無結線式ブラシレスモータ12が停止状態を維持する。
この車両の停車状態での無結線式ブラシレスモータ12の停止状態から運転者がステアリングホイール1を例えば右操舵する所謂据え切りを行うと、これに応じて操舵トルクセンサ3から運転者の操舵トルクに対応する操舵トルク検出値Tが電圧V0より高くなり、操舵トルクTsが正の大きな値となる。
このため、図11の操舵補助指令値算出マップを参照して算出される操舵補助指令値ITが正の比較的大きな値となり、これに補償値Ii、If、Irを加算した操舵補助補償値IT′が算出され(ステップS8)、これに図12(a)〜(c)に示す相電流算出マップを参照して算出される正の相電流指令値Iu、Iv及びIwが乗算されるので、振幅を操舵補助指令値ITとする相電流目標値ITU * 、ITV * 及びITW * が算出される(ステップS11)。
このとき、モータ電流Idu、Idv及びIdwは“0”を維持しているので、電流偏差ΔIu、ΔIv及びΔIwは、相電流目標値ITU * 、ITV * 及びITW * がそのまま算出されることなり、これに基づいて正の比較的大きな電圧指令値Vu、Vv及びVwが算出され、このときの電圧指令値Vu、Vv及びVwがバッテリー電圧+Vbを超える場合にはバッテリー電圧+Vbに制限される(ステップS15)。
そして、制限された電圧指令値Vu、Vv及びVwに基づいてデューティ指令値Du、Dv及びDwが算出されるので、これらデューティ指令値Du、Dv及びDwが50%より大きい値となり、これがゲート駆動回路19に出力されるので、図8(a)に示すようにインバータ回路34u〜34wでスイッチング素子Trj1から端子tja、相コイルLj、端子tjb、スイッチング素子Trj4を通じて接地に電流が120°位相が異なり、無結線式ブラシレスモータ12の誘起電圧波形と等しく、正弦波に3次高調波及び5次高調波を重畳した角が丸みを帯びた台形波状態の疑似矩形波電流が流れ、無結線式ブラシレスモータ12が例えば時計方向に回転駆動される。このため、無結線式モータ12で操舵トルクTに基づく目標補助操舵トルクTtに応じた補助操舵力を発生し、この補助操舵力を、減速ギヤ11を介してステアリングシャフト2に伝達することができ、運転者が軽い操舵を行うことができる。
同様に、運転者がステアリングホイール1を据え切り状態で左操舵した場合には、操舵補助指令値ITが負値となるので、図10の操舵制御処理におけるステップS16で算出されるデューティ指令値Du、Dv及びDwが50%より小さく0%に近い値となり、励磁コイルLu〜Lwに流れる電流が上述とは逆に流れることになり、無結線式ブラシレスモータ12が例えば反時計方向に逆転駆動される。
一方、図13に示す異常検出処理では、前述したように異常検出回路41から出力される加算電圧Vus〜Vwsを所定時間毎に読込み、これらを移動平均処理することにより、平均値Vusm(n)〜Vwsm(n)を算出しており、インバータ回路34u〜34w、モータハーネスMH1〜MH6及び励磁コイルLu〜Lwが正常である場合には、前述したように、インバータ回路34jの端子電圧Vja及びVjbがデューティ指令値Du〜Dwに応じたデューティ比で交互にオン・オフを繰り返しており、両端子電圧Vja及びVjbの加算値は、図8(f)に示すように、PWM信号Pj1及びPj2のデューティ比にかかわらずバッテリー電圧Vbに略一致する。
このため、移動平均値Vjsm(n)からバッテリー電圧Vbを減算した絶対値|Vjsm(n)−Vb|は、略“0”となって、閾値Vmsより小さい値となるので、図13の処理において、ステップS33からステップS35、ステップS37を経てステップS39に移行して、異常フラグAFを正常であることを表す“0”にリセットする。
しかしながら、前述したように、据え切り状態でステアリングホイール1を右操舵している状態で、インバータ回路34wのスイッチング素子Trw4が、PWM信号Pw2がオフ状態となってもオン状態を継続するオン異常となったときには、端子電圧Vwbが常時略接地電位即ちスイッチング素子Trw4のオン抵抗R0にモータ電流Imを乗算した電位を継続することになるため、異常検出回路41の加算回路42wから出力される加算電圧Vwsが図9(f)に示すように、略バッテリー電圧Vbと略零接地電圧とを繰り返すことになり、加算電圧Vwsの移動平均値Vwsm(n)がバッテリー電圧Vbより大幅に小さくなる。このため、図13のステップS33で、|Vusm(n)−Vb|>Vmsとなって、ステップS34に移行し、異常フラグAFが“3”にセットされる。
このため、図10の操舵制御処理におけるステップS17でからステップS19に移行し、ゲート駆動回路19に対してU相のインバータ回路34wを駆動するPWM信号Pw1及びPw2の出力を停止させるPWM信号出力停止指令を出力する。このため、インバータ回路34wの駆動が停止されて、励磁コイルLwに対する通電制御が停止される。
しかしながら、残りの正常な2つのU相及びV相のインバータ回路34u及び34vについては、無結線式ブラシレスモータ12が低速回転領域にある状態では、ステップS16で算出されるデューティ指令値Du及びDvに基づくPWM信号Pu1,Pu2及びPv1,Pv2の出力が継続される。
このときの、励磁コイルLu〜Lwに通電されるU相電流、V相電流及びW相電流は、説明を簡単にするためにU相電流、V相電流及びW相電流が正弦波であるものとすると、図14(a)に示すようになり、異常が発生したW相電流についてはスイッチング素子Trw2と並列なフライホイールダイオードD−端子twa−相コイルLw−端子twb−スイッチング素子Trw4−フライホイールダイオードDの閉ループが形成されるので、ロータ20の回転に伴う誘導起電力による電流が流れ、この電流によってモータを制動させる方向のモータ制動トルクを発生させる。
しかしながら、無結線式ブラシレスモータ12が低速転舵領域で回転駆動されている状態では、異常となったW相で発生するモータ制動トルクは図14(b)において曲線Laで示すように僅かなものであり、正常なU相及びV相で発生するモータ駆動トルクは図14(b)において曲線Lnで示すように脈動するが駆動トルクを発生できない電気角区間はなく、ステアリングホイール1が振動することにはなるが操舵補助力を十分に発揮することができる。前述した初期診断時に相コイルLjの異常を検出した場合も同様である。
ところが、ステアリングホイール1が急操舵される高速転舵領域で無結線式ブラシレスモータ12が駆動される状態では、上記と同様にW相のインバータ34wにおけるスイッチング素子Trw4がオン異常になった場合には、インバータ34wに形成される閉ループによって発生する誘導起電力に基づくW相電流が図15(a)に示すように負方向の振幅が大きくなり、これによって図15(b)に示すようにW相によるモータ制動トルクが増加し、これによって正常なU相及びV相によって発生されるモータ駆動トルクが相殺されて駆動トルクを発揮できない電気角区間が存在することになり、ステアリングホイール1に引っ掛かり感が発生し、運転者に違和感を与えることなる。
このため、本実施形態では、無結線式ブラシレスモータ12のモータ角速度ωを検出し、このモータ角速度ωの絶対値が低速転舵領域の上限近傍のモータ角速度に対応する設定値ωsを超えたときに、図10の処理において、ステップS20からステップS22に移行して、そのときの正常なU相及びV相のデューティ指令値Du及びDvを低速転舵領域の上限近傍のモータ角速度となるデューティ指令値を、50%を挟んで対称なデューティ指令値DL〜DHの範囲に制限することにより、無結線式ブラシレスモータ12が高速転舵領域で回転することを抑制し、低速転舵領域で駆動して操舵補助力の発生状態を継続させる。
また、モータハーネスMH6や励磁コイルLwに地絡故障が発生した場合も上記と同様に検出することができ、バッテリー電源側のスイッチング素子Tj1がオン異常となった場合には、端子電圧Vjaが略バッテリー電圧Vbを維持することになるので、端子電圧Vjbは略接地電圧と略バッテリー電圧Vbとを繰り返すので、加算電圧がバッテリーVbとその2倍の状態とを繰り返すことになり、移動平均値Vjsm(n)がバッテリー電圧Vbより高くなることにより、|Vjsm(n)−Vb|>Vmsとなって異常状態と判断することができる。同様に、モータハーネスMH5や励磁コイルLwに天絡故障が発生した場合も上記と同様に検出することができる。
さらに、他のU相又はV相で、インバータ回路34u又は34vのスイッチング素子のオン異常やモータハーネスMH1,MH3又はMH2,MH4に地絡又は天絡故障が発生した場合も上記と同様に検出することができる。
また、上記第1の実施形態のように、相コイルの両端電圧の夫々にバイアス回路43から高インピーダンスのバイアス電圧を印加することにより、インバータ回路34u〜34wが停止している状態即ち相コイルに対する通電制御を行っていない状態でも、インバータ回路34u〜34wのオン異常やモータハーネスMH1〜MH6及び相コイルLu〜Lwの天絡故障・地絡故障を確実に検出することができ、イグニッションスイッチIGをオン状態とした時点で、初期診断して、通電制御系の異常を短時間で正確に検出することができる。
また、上記第1の実施形態のように、ベクトル制御を用いることなく、無結線式ブラシレスモータ12を駆動制御することにより、複雑なベクトル制御演算を省略して簡易なフードバック演算処理とすることができ、マイクロコンピュータ18の演算負荷を大幅に低減させることができる。
しかも、異常検出回路41で相コイルLu〜Lwの両端電圧Vua,Vub〜Vwa,Vwbを42u〜42wで加算するので、マイクロコンピュータ18のA/D変換入力端子に供給するセンサ入力は従来の3相ブラシレスモータと同様の3つで済み、廉価なマイクロコンピュータを適用することができる。
なお、上記第1の実施形態においては、バイアス回路43でバッテリー電圧Vbの半分のバイアス電圧Vb/2を加算回路42u〜42w及びモータハーネスMH1〜MH6間に印加する場合について説明したが、これに限定されるもではなく、初期診断時の異常検出を行わない場合には、バイアス回路43を省略するようにしてもよい。
また、バイアス電圧としては厳密にVb/2に設定する必要はなく、Vb/2の近傍の値に設定すればよいが、バイアス電圧がバッテリー電圧Vbに対して低すぎたり、高すぎたりすると、誘起電圧によるモータ端子電圧が接地電位またバッテリー電位でクランプされてしまい、加算値が変化するおそれがあるため、バイアス電圧はバッテリー電圧Vbの略半分程度に設定することが好ましい。また、インバータ回路34u〜34wの通電制御中の相コイルLu〜Lwの両端電圧の加算電圧値は、バッテリー電圧Vbとなるので、インバータ回路34u〜34wの通電制御中であるか否かで故障判定閾値Vmsを共通とするためにもバイアス電圧の2倍=バッテリー電圧Vbの関係を満足するバイアス電圧に設定することが好ましい。
さらに、上記第1の実施形態では、図13の異常検出処理で、加算電圧Vjsの移動平均値を算出するようにした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、所定個数の加算電圧を平均する単純平均処理を行うようしてもよい。
さらにまた、上記第1の実施形態においては、図13の異常処理におけるステップS32で移動平均値を算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、加算回路42u〜42wの出力側に平均値を算出するローパスフィルタを設け、このローパスフィルタの平均値出力をマイクロコンピュータ18に入力するようしてもよい。この場合、ローパスフィルタの時定数は2次的な事故が発生しない程度の時定数に設定することが好ましい。
なおさらに、上記第1の実施形態においては、地絡故障、天絡故障が発生した場合に、無結線式ブラシレスモータ12の駆動を継続して、操舵補助力を発生するようにした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、地絡故障、天絡故障等の異常を検出したときに図10の操舵制御処理においてステップS19〜S22を省略し、これらに代えて直ちにリレー回路RYをオフ状態とするステップを設けることにより、インバータ回路34u〜34wからのPWM信号の出力を停止して無結線式ブラシレスモータ12の回転駆動を停止するようにしてもよく、さらには2つ以上の通電制御系で異常が発生した場合に、リレー回路RYをオフ状態とするか又はPWM信号Pu1〜Pw2をオフ状態とするようにしてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態を図16について説明する。
この第2の実施形態では、加算回路42u〜42wから出力される加算電圧の平均値を算出する場合には、マイクロコンピュータ18で演算処理するときにはA/D変換周期、演算処理周期が遅延時間となり、アナログ的にローパスフィルタで処理したときには時定数による所定の遅延時間が必要となるので、これらに代えて、より迅速に異常検出を行うことができるようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図16に示すように、加算回路42j(j=u、v、w)、バイアス回路43j及び分圧兼フィルタ回路44jを有する各相別の異常検出回路41jが設けられ、且つ異常検出回路41jの分圧兼フィルタ回路44jの出力側にエッジ検出回路61jを設け、このエッジ検出回路61jのエッジ検出信号を異常検出信号ASjとしてマイクロコンピュータ18の外部割込端子及びゲート駆動回路19の駆動停止入力端子に供給し、マイクロコンピュータ18では異常検出信号が低レベルとなったときに外部割込処理を実行して、前述した図10の操舵制御処理を終了し、ゲート駆動回路19では異常検出信号が低レベルとなったときに、PWM信号Pu1〜Pw2の出力を停止するように構成されていることを除いては第1実施形態における図7と同様の構成を有し、図7との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
ここで、エッジ検出回路61jは、コンデンサCe1及び抵抗Re1で構成されるハイパスフィルタHFと、このハイパスフィルタHFから出力される微分信号がベースに入力されるスイッチングトランジスタSTと、このスイッチングトランジスタSTのコレクタと電源との間に接続されたプルアップ抵抗Repと、プルアップ抵抗Repとコレクタとの接続点と接地との間に接続された充放電用コンデンサCe2とで構成されている。
この第2の実施形態によると、前述したように、例えばインバータ回路34wが正常な場合には、異常検出回路41wの加算回路42wから出力される加算電圧は図8(f)に示すようにバッテリー電圧Vbを継続するので、ハイパスフィルタHFの出力は低レベルを継続する。このため、スイッチングトランジスタSTはオフ状態を維持するので、充放電用コンデンサCe2は充電状態を維持し、マイクロコンピュータ18及びゲート駆動回路19に高レベルのエッジ検出信号が入力されており、マイクロコンピュータ18で図10の操舵制御処理を継続すると共に、ゲート駆動回路19によって操舵制御処理で出力されるデューティ指令値Du〜Dwに基づいてPWM信号Pu1〜Pw2のインバータ回路34u〜34wへの出力を継続して、無結線式ブラシレスモータ12の回転駆動を継続し、操舵トルクTsに基づく操舵補助力を発生する。
ところが、インバータ回路34wのスイッチング素子Trw4にオン異常が発生したり、モータハーネスMH2に地絡故障が発生したりしたときには、異常検出回路41wの加算回路42wから前述した図9(f)に示すように、相コイルLwの端子電圧Vwaのオン・オフ動作に同期した加算電圧が得られ、その立ち上がりエッジで、ハイパスフィルタHFの出力が高レベルとなり、これによってスイッチングトランジスタSTがオン状態となって充放電用コンデンサCe2の充電電荷がスイッチングトランジスタSTを介して急速放電されることになり、マイクロコンピュータ18の外部割込端子が低レベルとなって、外部割込処理が開始され、図10の操舵制御処理が停止される。
これと同時に、ゲート駆動回路19でも異常検出信号が低レベルとなることにより、各インバータ回路34u〜34wに出力するPWM信号Pu1〜Pw2の出力が停止される。
このため、無結線式ブラシレスモータ12の各相コイルLu〜Lwへの通電が瞬時に停止されて、無結線式ブラシレスモータ12が停止される。
また、インバータ回路34u〜34wのバッテリー電源側のスイッチング素子Trj1がオン異常となったり、モータハーネスMH1,MH3,MH5又は相コイルLu〜Lwが天絡故障したりした場合にも、天絡を生じた端子電圧がバッテリー電圧Vbとなるので、加算電圧Vjsは正常な端子電圧のオン・オフに同期して変化することになるので、上述した地絡故障の場合と同様に加算電圧の立ち上がりで、異常検出信号が低レベルとなり、マイクロコンピュータ18で操舵制御処理が終了されると共に、ゲート駆動回路19でPWM信号Pu1〜Pw2の出力が停止されて、無結線式ブラシレスモータ12が停止される。
なお、上記第2の実施形態では、エッジ検出回路61jを設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、前述した図13の異常検出処理で、加算電圧Vjsのタイマ割込周期(サンプリング周期)毎の加算電圧Vjsの変化量を算出し、この変化量が所定値以上であるときには、異常であると判断するようにしてもよい。
次に、本発明の第3の実施形態を図17について説明する。
この第3の実施形態では、地絡故障及び天絡故障の検出に加えてモータハーネスMH1〜MH6及び相コイルLu〜Lwの断線による開放異常も検出可能としたものである。
すなわち、第3の実施形態では、図17に示すように、前述した第2の実施形態における各相コイルLu〜Lwの両方の端子電圧に印加されているバイアス電圧Vb/2の一方が省略されていることを除いては図16と同様の構成を有し、図16との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第3の実施形態によれば、インバータ回路34u〜34wの駆動が停止している状態で、インバータ回路34u〜34w、モータハーネスMH1〜MH6及び相コイルLu〜Lwが正常である状態では、一方の端子電圧側に印加されたバイアス電圧Vb/2が相コイルLu〜Lwを通じて他方の端子電圧側にも印加されることになり、相コイルLu〜Lwの両方の端子電圧にバイアス電圧が印加されて、前述した第2の実施形態と同様に異常検出信号が高レベルを維持する。
このインバータ回路34u〜34wの駆動停止状態で、モータハーネスMH1〜MH6及び相コイル34u〜34wに断線が生じて開放故障が発生すると、バイアス電圧Vb/2が一方の端子電圧のみに印加される状態となり、端子電圧に対するバイアス電圧がアンバランスとなることから、加算回路42jから出力される加算電圧Vjsにエッジが形成されることになり、エッジ検出回路61jで異常検出信号が低レベルとなって、無結線式ブラシレスモータ12を停止させることができる。また、加算回路42jの加算電圧Vjsが変化することにより、平均値Vjsm(n)も変化することにより、|Vjsm(n)−Vb|>Vmsとなって、異常フラグAFが“1”〜“3”に設定されて、異常が発生した相コイルLjに対する通電制御処理を停止させるか、全ての相コイルLu〜Lwに対する通電制御処理を停止させることができる。
また、上記第1〜第3の実施形態では、モータが従来のY結線式モータやΔ結線式モータのように励磁コイルの一端又は両端を互いに接続したものではなく、3相ブラシレスモータを形成する各励磁コイルLu〜Lwが互いに結線されることなく独立して巻装された無結線式ブラシレスモータ12であるので、各励磁コイルLu〜Lwで個別に通電制御を行うことが可能であることから、3次及び5次高調波を含む疑似矩形波電流を、何ら制限を受けることなく通電することができる。したがって、モータ電流波形は、逆起電圧波形と同様の正弦波に対して幅広で角を落として丸みのある疑似矩形波としている。
このため、無結線式モータ12の出力は、出力=電流×電圧=トルク×回転速度であるので、正弦波の逆起電圧及び駆動電流を使用する場合に比較して実効値を格段に向上させることができ、大きな出力を得ることができる。
これに対して、従来の結線式ブラシレスモータでは、逆起電圧波形は、本実施形態と略同様の疑似矩形波とすることができるが、モータの相コイルに3次高調波成分を流すことができないので、電流波形は図18(a)に示すように、幅狭の疑似矩形波となり、面積が小さくなって実効値が正弦波よりは良いが本実施形態に比較すると低下することになり、出力もその分減少することになる。
なお、従来の結線式ブラシレスモータで3次高調波成分を相コイルに流すことができない理由は、以下の通りである。
すなわち、励磁コイルがY結線又はΔ結線された3相モータでは、各相に電流を流すためには各励磁コイルの各端子に電圧を印加する必要があり、U、V、Wの各相に1次成分(正弦波)の電流を流すための各端子電圧は以下のようになる。
Iu=I0sinθ Vu=V0sinθ
Iv=I0sin(θ−2π/3) Vv=V0sin(θ−2π/3)
Iw=I0sin(θ+2π/3) Vw=V0sin(θ+2π/3)
そして、3次高調波を重畳した電流を印加するための各端子電圧は以下のようになる。
Vu=V0sinθ+V1sin3θ
Vv=V0sin(θ−2π/3)+V1sin{3(θ−2π/3)}
=V0sin(θ−2π/3)+V1sin(3θ−2π)
=V0sin(θ−2π/3)+V1sin3θ
Vw=V0sin(θ+2π/3)+V1sin{3(θ+2π/3)}
=V0sin(θ+2π/3)+V1sin(3θ+2π)
=V0sin(θ+2π/3)+V1sin3θ
このように、各端子にV1sin3θという同じ電圧を印加することになるため、U、V、Wの各相に3次高調波電流を流すことができない。同様に5相モータでは各相に5次高調波電流を流すことはできない。
ここで、正弦波に3次高調波及び5次高調波を重畳した相電流指令値Iu〜Iwを算出するためには、入力を操舵補助指令値ITと、無結線式モータ12の電気角θとし、これらに基づいて内部演算で出力の式(出力=トルク×回転速度=電流×電圧)を満たすように各相電流目標値Iu〜Iwを演算する。
ところで、無結線式モータの性能を最大限に引き出すには、正弦波に3次高調波を重畳する必要があるが、従来のベクトル制御では、3相モータで3n次成分の電流を流すことができないように、従来の2相/3相変換を有するベクトル制御では3n相次成分の電流指令値を算出することができない。
そこで、モータの出力はトルク×回転速度=電流×電圧であるので、逆起電圧波形と電流波形との正弦波に3次高調波及び5次高調波を重畳した疑似矩形波は以下のように表される。
Eu=E1*sin(θ)+E3*sin(3*θ)+E5*sin(5*θ)
Ev=E1*sin(θ-2/3*PI)+E3*sin(3*(θ-2/3*PI))+E5*sin(5*(θ-2/3*PI))
Ew=E1*sin(θ+2/3*PI)+E3*sin(3*(θ+2/3*PI))+E5*sin(5*(θ+2/3*PI))
Iu=I1*sin(θ)+I3*sin(3*θ)+I5*sin(5*θ)
Iv=I1*sin(θ-2/3*PI)+I3*sin(3*(θ-2/3*PI))+I5*sin(5*(θ-2/3*PI))
Iw=I1*sin(θ+2/3*PI)+I3*sin(3*(θ+2/3*PI))+I5*sin(5*(θ+2/3*PI))
一方、モータの出力は、
Figure 2006160030
となる。出力が一定値であればトルクリップルがない。つまり、cos(6θ)を含む項が“0”になればトルクリップルのない一定出力が得られる。
逆起電圧波形はモータを設計する時点で決定するため、逆起電圧の1,3,5次成分E1,E3,E5は既知である。
したがって、cos(6θ)を含む項を“0”にするように電流の1,3,5次成分I1,I3,I5を決めれば、トルクリップルのない相電流指令値を算出することができる。
相電流指令値の1,3,5次成分I1,I3,I5の振幅は操舵補助指令値ITによって決まるが、その比I1:I3:I5は逆起電圧の1,3,5次成分E1,E3,E5とcos(6θ)を含む項を“0”にする条件より、予め求めることができる。
具体例として、図18(b)は図18(c)に示す3次及び5次高調波を含む逆起電圧波形に対してトルクリップルのない電流波形を予め求めた例であり、前述した図12(a)〜(c)に示す相電流指令値算出マップに記憶されている特性線と同一波形である。
より具体的に説明すると、cos(6θ)を含む項を“0”にする条件、E1・E3+E3・I3+E5・I1=0を満たす相電流目標値は一意に求まらない。
そこで、電流波形と逆起電圧波形とを同一形状にするという条件で拘束する。
すなわち、I1=aE1,I3=aE3,I5=aE5として、
aE1・E5+aE3・E3+aE5・E1=0
E32=−2E1・E5
上記関係式を満足するようにモータの逆起電圧波形を設計し、これと同じ電流波形を出力すれば、トルクリップルのない相電流目標値を得ることができる。
逆起電圧E1〜E5はモータ回転速度ωに比例するので、モータの出力の式は以下のように表すことができる。
T=K1・I1+K3・I3+K5・I5
ここで、K1〜K5は上述の手順で予め求められる定数である。
このように、第1の実施形態では、無結線モータ20の励磁コイルLu〜Lwの逆起電圧波形及び駆動電流波形を共に3次高調波を含む疑似矩形波とすることができ、実効値を向上させて、大きな出力を得ることができる。すなわち、3次高調波は、疑似矩形波をフーリエ級数展開した際の係数が1次成分の次に大きいので、正弦波にその3次高調波を重畳することにより、実効値を上げるための効率が最もよくなり、大きな出力を得ることができる。
また、無結線式ブラシレスモータ12を使用して、各励磁コイルの両端に夫々インバータ回路34u、34v及び34wを接続し、これら励磁コイルLu、Lv及びLwの両端を逆位相駆動することにより、前述したように各励磁コイルの端子間電圧Vuab、Vvab及びVwabは、下記(10)式、(11)式及び(12)式で表される。
Vuab=2×V0×sin(ωt+α) …………(10)
Vvab=2×V0×sin(ωt−2π/3+α) …………(11)
Vwab=2×V0×sin(ωt−2π/3+α) …………(12)
一方、同一構成のY結線モータの場合は等価回路が図19に示すように、各励磁コイルLu、Lv及びLwの一端が互いに接続された中性点の電圧VnがVn=0(V)であるので、各励磁コイルLu、Lv、Lwの端子間電圧Vun、Vvn及びVwnは下記(13)式、(14)式及び(15)式で表される。
Vun=V0×sin(ωt+α) …………(13)
Vvn=V0×sin(ωt−2π/3+α) …………(14)
Vwn=V0×sin(ωt−2π/3+α) …………(15)
このため、励磁コイルLuを例にとると、本発明による無結線式モータ12の端子電圧Vua、Vub、端子間電圧Vuabは図20(a)に示すようになり、従来のY結線式モータの場合の端子電圧Vu、端子電圧Vv、端子間電圧Vuv及び中性点電圧Vnは図20(b)に示すようになる。一方、本発明による無結線式モータ12の端子間電圧Vuab、Vvab、Vwabは図21(a)に示すようになり、従来のY結線式モータの場合のコイル両端電圧Vun、Vvn、Vwnは図21(b)に示すようになる。
これら図20及び図21から明らかなように、励磁コイルの両端に印加できる電圧振幅を比較した場合、無結線式モータ12はY結線式モータを2倍の電源電圧で駆動した場合と同等の効果が得られる。したがって、バッテリー電圧Vbを同一とした場合、無結線式モータでは励磁コイルLu〜Lwの駆動電圧を向上できるので、ステアリングホイール1を急操舵した場合に、電圧不足を生じることなく、最適な操舵補助力を発生させて円滑な操舵を行うことができる。
同様に、従来のΔ結線式モータの場合は、等価回路が図22に示すようになり、端子間電圧Vuv、Vvw及びVwuはY結線式モータの√3倍となるが、端子間電流が1/√3となり、本発明による無結線式モータ12の励磁コイルLu〜Lwのコイル電流が図23(a)に示すように規定電流を有効に使用できるのに対し、Δ結線式モータのコイル電流Iuv、Ivw、Iwu及び相電流Iu、Iv、Iwは図23(b)に示すようになり、各相電流Iu、Iv、Iwが規定電流の1/√3となり、結局無結線式モータ12ではΔ結線式モータを√3倍のモータ電流で通電したことと同等の効果が得られる。この結果、無結線式モータは励磁コイルのコイル電流を向上できるので、高トルク化を図ることができる。
したがって、Y結線式モータとΔ結線式モータとを等価変換すると下記表1に示す関係式で表すことができる。
Figure 2006160030
この関係式を用いて、等価交換されたY結線式モータ及びΔ結線式モータを、無結線式モータとした場合のモータ出力と電流特性は、Y結線式モータのモータ定数で、無結線式モータに変更した場合のモータ出力特性は、図24に示すように、破線図示のY結線式モータの回転速度に対して無結線式モータの回転速度は実線図示のように最大電流で規制された最大トルクからトルクが減少するに応じて回転速度の増加分が多くなることになり、回転速度を向上させることができる。
また、Δ結線モータのモータ定数で、無結線式モータに変更した場合のモータ出力特性は、図25に示すように、破線図示のΔ結線式モータのトルク特性に対して、無結線式モータでは回転数が最大回転数から減少するに応じてトルクの増加分が多くなることになり、この分トルクを向上させることができる。
さらに、Y結線式モータとΔ結線式モータの中間モータ定数で、無結線式モータに変更した場合のモータ出力特性は図26に示すように、破線図示の従来モータの回転速度特性に対して、無結線式モータの場合には実線図示のように回転速度及びトルクの双方を向上させることができる。
このため、電動パワーステアリング装置に無結線式モータ12を適用した場合に、必要とする特性に合わせてモータ定数を設定することにより、必要とする任意のモータ出力特性を得ることができる。
なお、上記第1〜第3の実施形態においては、インバータ回路34u〜34wを使用して無結線式ブラシレスモータ12の励磁コイルLu〜Lwを通電制御する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図27に示すように、励磁コイルLu〜Lwの両端側に個別にインバータ回路34a及び34bを接続するようにしても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記第1〜第3の実施形態においては、異常検出回路41として、加算回路42u〜42w、バイアス回路43及び分圧兼フィルタ回路44を設けた場合について説明したが、分圧兼フィルタ回路44を省略し、これに代えて図13の異常検出処理の閾値Vmsの値を変更するようにしてもよく、さらに、始動時の異常検出を行わない場合には、バイアス回路43を省略するようにしてもよい。
なおさらに、上記第1〜第3の実施形態においては、無結線式モータの誘起電圧波形と駆動電流波形とを同一の疑似矩形波状とする場合について説明したが、これに限定されるものではなく、誘起電圧波形又は駆動電流波形を位相及び形状は変化させず、振幅のみを変化させるようにしても上記第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記実施形態においては、疑似矩形波を正弦波に3次及び5次高調波を重畳して形成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、2次以上の高次高調波を任意の組合せで重畳するようにしても良く、高調波を重畳しない正弦波のみの電流波形としてもよく、この場合には、相電流算出用マップを3相正弦波とすればよい。
さらに、上記実施形態においては、駆動制御部を簡易な構成とした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ベクトル制御の優れた特性を利用してベクトル制御d、q成分の電流指令値を決定した後、この電流指令値を各励磁コイルLu〜Lwに対応した各相電流指令値に変換することにより、相電流目標値ITU * 、ITV * 及びITW * を算出するようにしてもよく、さらには全てをベクトル制御で行うようにしてもよい。
なおさらに、上記各実施形態においては、本発明を無結線式の3相ブラシレスモータに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、複数N(Nは3以上の整数)相のブラシレスモータ又は他のモータに適用することもできる。
本発明の第1の実施形態を示すシステム構成図である。 操舵トルクセンサから出力される操舵トルク検出値の出力特性を示す特性図である。 無結線式モータを示す断面図である。 図3のロータを示す斜視図である。 無結線式モータの駆動回路を示すブロック図である。 無結線式モータの等価回路を示す回路図である。 無結線式モータの異常検出回路を示すブロック図である。 インバータ回路が正常時における異常検出回路の動作の説明に供するタイムチャートである。 インバータ回路のオン異常時における異常検出回路の動作の説明に供するタイムチャートである。 マイクロコンピュータで実行する操舵制御処理手順の一例を示すフローチャートである。 操舵補助指令値算出マップを示す特性線図である。 相電流指令値算出マップを示す特性線図である。 マイクロコンピュータで実行する異常検出処理手順の一例を示すフローチャートである。 低速操舵領域での相電流及びトルクを示すタイムチャートである。 高速操舵領域での相電流及びトルクを示すタイムチャートである。 本発明の第2の実施形態を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態を示すブロック図である。 モータ電流波形及び逆起電圧波形を示すタイムチャートである。 従来のY結線式モータの等価回路を示す回路図である。 無結線式モータの端子電圧とY結線式モータの端子電圧とを示す特性線図である。 無結線式モータのコイル両端電圧とY結線モータのコイル両端電圧とを示す特性線図である。 従来のΔ結線式モータの等価回路を示す回路図である。 無結線式モータのコイル電流とΔ結線式モータの相電流及コイル電流とを示す特性線図である。 無結線式モータのモータ定数をY結線式モータのモータ定数に設定した場合のモータ特性を示す特性線図である。 無結線式モータのモータ定数をΔ結線式モータのモータ定数に設定した場合のモータ特性を示す特性線図である。 無結線式モータのモータ定数をY結線式モータ及びΔ結線式モータのモータ定数の中間に設定した場合のモータ特性を示す特性線図である。 インバータ回路の他の例を示す回路図である。
符号の説明
1…ステアリングホイール、2…ステアリングシャフト、3…操舵トルクセンサ、8…ステアリングギヤ、10…操舵補助機構、12…無結線式モータ、15…駆動制御回路、B…バッテリー、IG…イグニッションキー、16…車速センサ、17u〜17w…モータ電流検出部、18…マイクロコンピュータ、19…ゲート駆動回路、20…ロータ、21…ハウジング、27…ロータコア、28…ロータマグネット、31…ステータ、33…励磁コイル、Lu,Lv,Lw…三相励磁コイル、34u〜34w,34a,34b…インバータ回路、35…位相検知部、41…異常検出回路、42u〜42w…加算回路、43…バイアス回路、44…分圧兼フィルタ回路、50…電気角変換部、51…モータ角速度変換部、61はエッジ検出回路

Claims (9)

  1. 操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、永久磁石を配設したロータ及び該ロータと対向して複数N相の相コイルを互いに結線することなく独立して配設したステータを有し、操舵系に対して操舵補助力を発生する無結線式ブラシレスモータと、各相コイルの両端に接続され当該各相コイルに駆動信号を供給するインバータ回路と、前記操舵トルク検出部で検出した操舵トルクに基づいて前記インバータ回路を駆動制御する駆動制御部と、前記各相コイル及び前記インバータを含む通電制御系の異常を前記各相コイルの端子間電圧に基づいて検出する異常検出部とを備えていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記インバータ回路は、前記各相コイルの両端に夫々接続されていることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記各相コイルの両端に夫々接続されたインバータ回路は、互いに逆位相で駆動されることを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記異常検出部は、各相コイルの両端の端子電圧を加算する電圧加算部と、該電圧加算部で加算した加算電圧と前記通電制御系に供給される電源電圧に基づく設定電圧範囲とを比較して当該通電制御系に生じる天絡・地絡異常の有無を判定する異常判定部とを備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記異常検出部は、各相コイルの両端の端子電圧を加算する電圧加算部と、該電圧加算部に供給する各相コイルの両端の端子電圧の双方に前記通電制御系における電源電圧の半分程度のバイアス電圧を高インピーダンスで印加するバイアス回路と、前記電圧加算部で加算した加算電圧と前記通電制御系に供給される電源電圧に基づく設定電圧範囲とを比較して当該通電制御系に生じる天絡・地絡異常の有無を判定する異常判定部とを備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 前記異常検出部は、各相コイルの両端の端子電圧を加算する電圧加算部と、該電圧加算部に供給する各相コイルの両端の端子電圧の何れか一方に前記通電制御系における電源電圧の半分程度のバイアス電圧を高インピーダンスで印加するバイアス回路と、前記電圧加算部で加算した加算電圧と前記通電制御系に供給される電源電圧に基づく設定電圧範囲とを比較して当該通電制御系に生じる天絡・地絡異常及び開放異常の有無を判定する異常判定部とを備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  7. 前記異常判定部は、前記電圧加算部で加算した加算電圧が前記設定電圧範囲を逸脱する状態が所定時間以上継続したときに天絡・地絡異常であると判定するように構成されていることを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  8. 前記異常判定部は、前記電圧加算部で加算した加算電圧の平均値を算出し、当該平均値が前記設定電圧範囲を逸脱するか否かを判定するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の電動パワーステアリング装置。
  9. 前記異常判定部は、前記電圧加算部で加算した加算電圧の電圧変化を検出し、電圧変化が発生したときに天絡・地絡異常が発生したものと判定するように構成されていることを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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