JP2006151890A - ヒドロホルミル化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】8〜10族金属−有機リン系錯体触媒の存在下に、オレフィンを水素及び一酸化炭素と反応させてアルデヒドを生成させるヒドロホルミル化方法において、高沸点副生物の蓄積した反応液を反応系から抜き出し、これを水処理した後、貧溶媒及び水素を混合して該錯体触媒を晶出させ、晶出した錯体触媒を混合液から回収することを特徴とするヒドロホルミル化方法。
【効果】錯体触媒中の高価な8〜10族金属を高い割合で回収できる。
【選択図】なし
Description
しかしながら、ヒドロホルミル化反応においては、種々の高沸点副生物が生成して蓄積するので、反応液の一部を連続的に又は間欠的に反応系外へ抜き出すことが必要である。抜き出された反応液には触媒、特に高価な8〜10族金属が含まれているので、これを効率よく回収することは経済的に極めて重要である。
しかしながら、この方法では、錯体触媒を十分に回収できなかった。
即ち、本発明の要旨は、8〜10族金属−有機リン系錯体触媒の存在下に、オレフィンを水素及び一酸化炭素と反応させてアルデヒドを生成させるヒドロホルミル化方法において、高沸点副生物の蓄積した反応液を反応系から抜き出し、これを水処理した後、貧溶媒及び水素を混合して該錯体触媒を晶出させ、晶出した錯体触媒を混合液から回収することを特徴とするヒドロホルミル化方法に存する。
本発明において、8〜10族金属とは、1983年の周期表で第8族金属といわれていたものである。なかでも、ルテニウム、コバルト、ロジウム、パラジウム、白金、特にロジウムが好ましく用いられる。
ホスフィンとしては、トリス(p−トリル)ホスフィン、トリキシリルホスフィン、トリス(p−エチルフェニル)ホスフィン等のアルキル基で置換されたフェニル基を有するホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン等のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有するホスフィン等、フェニル基上にヒドロホルミル化反応条件下で不活性な置換基を有していてもよいトリアリールホスフィン等が挙げられ、中でもトリフェニルホスフィンは入手の容易さから好ましい。
式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、n−ブチルジエチルホスファイト、トリ−n−ブチルホスファイト、トリ−n−プロピルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、トリ−n−オクチルホスファイト、トリ−n−ドデシルホスファイト等のトリアルキルホスファイト;トリフェニルホスファイト、トリナフチルホスファイト等のトリアリールホスファイト;ジメチルフェニルホスファイト、ジエチルフェニルホスファイト、エチルジフェニルホスファイト等のアルキルアリールホスファイト等が挙げられる。これらのホスファイトのアリール基には置換基が存在していてもよい。また、例えば、特開平6−122642号公報に記載されているビス(3,6,8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル)フェニルホスファイト、ビス(3,6,8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル)(4−ビフェニル)ホスファイト等を用いてもよい。これらの中で最も好ましいものはトリフェニルホスファイトである。
式(4)で表される化合物の具体例としては、例えば、4−エチル−2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ−[2,2,2]−オクタン等の米国特許第4567306号公報に記載されている化合物等が挙げられる。
いに異なっていてもよく、Xは置換されていてもよいm価の炭化水素基を示す。)
有機リン化合物としては、ホスフィンが好ましい。
連続反応の方式として主なものに、ストリッピング方式と液循環方式がある。
ストリッピング方式(図1)は、触媒を含む反応液4を反応器3内に保持し、オレフィン2、オキソガス1を連続的に供給し、反応によって生成したアルデヒドを反応器内で気化させ、系外に取り出す方法である。
一方、液循環方式(図2)は、オレフィン2、オキソガス1と触媒を含む反応媒体、即ち反応液4を連続的に反応器3に供給する方法で、生成したアルデヒド、触媒、反応媒体等を含む反応液7が連続的に反応器外に抜き出される。この反応器から抜き出された反応液は、例えば未反応ガスによるストリッピング、蒸留等の分離操作8によって、生成アルデヒド5と触媒を含む反応液4に分離される。得られた生成アルデヒド5は系外に抜き出され、触媒を含む反応液4は反応器3に循環される。
通常、反応系外に反応液を抜き出した場合には、抜き出された反応液に含まれる触媒及び有機リン化合物に対応する量の触媒と有機リン化合物が新たに反応帯域に供給される。
本発明では、反応系外に抜き出された反応液から触媒を晶析・回収するに先立ち、これを水処理する。水処理の方法としては水洗が挙げられ、水洗は反応液に水を混合した後、静置して水相と油相の2相に分け、油相を回収することにより行う。水洗には、静置した時に溶液が油水の2相に分かれる程度の量の水を用いる必要がある。反応液の組成によって2相を形成しうる水の最低量は変化するが、反応液:水の重量比は、通常1:0.1〜1:10、好ましくは1:0.5〜1:5である。水洗は通常5〜90℃で行う。水洗の回数は特に制限されないが、通常1〜5回程度である。回数が多すぎても水洗の効果は頭打ちになる。
水洗することにより錯体触媒の回収率が向上する理由は明らかではないが、錯体触媒の晶析を阻害する物質が水相に抽出されるためと推察される。
反応系外に抜き出された反応液はそのまま水洗に供してもよいが、蒸留などにより反応媒体を留去し、錯体触媒を濃縮しておいてもよい。
水素を混合する方法としては、まず反応液と貧溶媒を混合し、得られた混合液に水素ガスと接触させる方法、水素雰囲気下において反応液と貧溶媒を混合する方法などがある。この場合の水素分圧は通常0.1〜10MPa、水素ガスの接触時間は通常数分〜数時間である。
晶出した8〜10族金属−有機リン系錯体触媒は、通常用いられる固液分離の方法で液体と分離される。具体的には、デカンテーション、遠心分離、濾過等の方法があり、工業的には遠心濾過が使われることが多い。
このようにして回収された8〜10族金属−有機リン系錯体触媒は、通常反応媒体に溶解して、反応帯域に供給される。
実施例1
8〜10族金属化合物として酢酸ロジウム、有機リン系配位子としてトリフェニルホスフィンを用いて、プロピレンのヒドロホルミル化反応を行い、反応液を抜き出した。蒸留により反応溶媒を除去して、下記組成の釜残液を得た。
ロジウム錯体(ロジウム原子換算値) 630wtppm
トリフェニルホスフィン 38.2重量%
トリフェニルホスフィンオキサイド 2.4重量%
高沸点副生物 59.3重量%
このようにして得られた2回水洗された油相73g及び33重量%の水を含有するイソプロピルアルコールと水の混合溶媒192gを、不活性ガスの雰囲気にて、容量0.5Lの電磁誘導撹拌型のオートクレーブに入れた。オートクレーブを密閉した後、ゆるやかに撹拌しつつ、温度5℃で、水素ガスを圧力2Mpaとなるよう圧入し、この圧力、温度で4時間保持した後、温度を保持したまま水素ガスをパージした後、通常の減圧濾過により固液分離し、ロジウム錯体を回収した。
ロジウム錯体の回収率は、ロジウム原子換算で85.9%であった。
実施例1において、釜残液の水洗を行わず、油相の代わりに釜残液73gをイソプロピルアルコールと水の混合溶媒192gとともにオートクレーブに仕込んだ他は、実施例1と同様に行った。
ロジウムの回収率は、ロジウム原子換算で75.8%であった。
2 オレフィン
3 反応器
4 触媒と反応媒体を含む反応液
5 生成アルデヒド
6 パージガス
7 反応生成物、触媒及び反応媒体などを含む反応液
8 分離器
Claims (4)
- 8〜10族金属−有機リン系錯体触媒の存在下に、オレフィンを水素及び一酸化炭素と反応させてアルデヒドを生成させるヒドロホルミル化方法において、高沸点副生物の蓄積した反応液を反応系から抜き出し、これを水処理した後、貧溶媒および水素を混合して該錯体触媒を晶出させ、晶出した錯体触媒を混合液から回収することを特徴とするヒドロホルミル化方法。
- 回収した錯体触媒をヒドロホルミル化反応帯域に供給することを特徴とする請求項1に記載のヒドロホルミル化方法。
- 8〜10族金属がロジウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒドロホルミル化方法。
- 貧溶媒が水とアルコールの混合物であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のヒドロホルミル化方法。
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