JP3794202B2 - ロジウムの回収方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホスファイト及びロジウムを含有する溶液からロジウムを分離、回収する方法に関する。詳しくは、例えばオキソ反応触媒液等から触媒として使用されたロジウムを分離、回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
第8族金属錯体を触媒として用いる合成法のうち、一酸化炭素を用いるカルボニル化反応としては、オキソ反応(アルデヒドの製造)、レッペ反応(アルコールの製造)、ヒドロカルボキシル化反応、ヒドロエステル化反応等が知られている。これらの反応は工業的規模で実施されているものも多く、そのプロセスは当業者に良く知られている。例えば、工業的規模で実施されるオキソ反応においては、現在、高選択性を有し、比較的温和な条件を設定できるという理由で、価格が高いにも関わらず、専らロジウムが触媒金属として使用されている。これらのプロセスを工業的に優位に実施するためには、反応溶液から高価な金属を効率良く回収することが必須である。
ロジウム錯体を触媒とする反応混合物や蒸留残留物などからロジウムを回収する方法は、これまでもオキソ反応を対象に種々研究されている。例えば、特開昭51−63388号に示される方法は、オキソ反応の蒸留残留物を、鉱酸および過酸化水素で処理し、含有するロジウムを水相に抽出し、次いで、その金属含有水溶液を第3級ホスフィンとハロゲン化水素酸あるいはハロゲン化アルカリの存在下、一酸化炭素で処理し、再生された錯体を晶析により回収する方法である。この方法は、回収の際ハロゲン化物を使用するため、装置に耐ハロゲン材料を使用しなければならず、設備のコスト面で不利である。また、非ハロゲン系の触媒系を使用する場合はハロゲンが触媒の失活要因となるため本法は適用できない。
【0003】
特開昭54−26218号に示されるトリアリールホスファイトを配位子とするオキソ反応の蒸留残留物からのロジウムの回収法は、酸素ガスを用いた酸化によりゼロ価のロジウムを沈殿物として回収する方法であるが、回収した金属を活性な触媒に再生するためには繁雑な化学処理が必要である。特開昭57−72995号に示される方法は、第8族貴金属を含有する有機溶液を極性有機溶剤と水およびアルカリの存在下、空気酸化し、金属錯体を晶析により回収する方法であるが、これらのように晶析や沈殿により回収する方法は、ろ過設備を必要とし工業的に不利である。
特開平2−145439号に示される方法は、トリフェニルホスフィンモノスルホン酸塩等の水溶性ホスフィンを含有する水溶液でオキソ反応残留物を抽出処理し、水相にロジウムを回収する方法であるが、水溶性ホスフィンは高価であり、限られた系にしか適用できないという欠点がある。特開平3−146423号に示される方法は、オキソ反応の蒸留残留物をカルボン酸およびカルボン酸のアルカリ塩の存在下、酸素ガスで処理し、その後、水で抽出することによりロジウムを回収する方法である。一般に工業的に回収した触媒金属をリサイクル使用する場合、反応系への混入成分に留意しなければならない。例えば、オキソ反応においてアルカリ金属塩の混入は高沸点物の生成を促進することが知られている。従って、上記方法で回収した触媒金属をリサイクルするにあたっては、その前段階でほぼ完全な脱アルカリ金属をしなければならないが、実質的に反応系に影響を与えない様な完全な脱アルカリ金属処理は容易でない。
【0004】
米国特許第4390473号に示される方法は、触媒として低圧オキソ法において使用されたロジウム及びコバルトを含有する溶液をギ酸水溶液と接触させ、酸素を含有するガスを導通した後、相分離し、水相にロジウム及びコバルトを回収する方法である。しかし、この方法では実際上はギ酸が還元的に作用するため、ロジウムが部分的に金属の形で分離し、ここで分離した金属ロジウムは実質上損失となるため、工業的には不利となることも知られている。
更に、ドイツ特許第381203号に示される方法は、エチレンのヒドロカルボキシル化反応で生成する炭素数3〜10の脂肪族カルボン酸の混合溶液に含有される金属成分を水洗により抽出回収する方法であるが、オキソ反応のように非水溶性リン配位子を含有した溶液については、カルボン酸の系中での有無に関わらず、水洗だけでは回収できない。
【0005】
本発明者等の1部は、先に、炭素数2〜4のカルボン酸を含有する極性溶媒とオキソ反応により得られたロジウムを含む触媒液を酸素等の安価な酸化剤で処理し、水相にロジウムを溶解状態で回収する方法を提案した(特開平10−85615)。この方法はこれまでの問題点を解決するロジウムの回収方法であるが、抽出操作1回あたりのロジウム回収率は十分でなく、高い回収率を実現するためには、複数回の抽出操作を必要とし操作上の煩雑さを伴うものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる現状に鑑み成されたものであって、ホスファイトを含むロジウム溶液を、カルボン酸を含有する極性溶媒の存在下に酸化剤と接触させた後、極性溶媒相とより非極性の有機相との2相に相分離させ、極性溶媒相中にロジウムを抽出して回収する方法において、抽出単位操作あたりのロジウム回収率を向上させた、工業的により有利なロジウム回収方法を提供することを目的とする。
【0007】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ホスファイトを含むロジウム溶液から、ロジウムをカルボン酸を含有する極性溶媒に酸化処理により抽出する際、回収率を向上させる共存物としてホスファイトのモノ加水分解物であるホスホネートが有効であるとの知見を得て本発明に到達した。即ち、本発明の要旨は、ホスファイトおよびロジウムを含有する溶液を、カルボン酸を含有する極性溶媒及び下記一般式(1)
【0008】
【化2】
HP(O)(OX1)(OX2) (1)
【0009】
(式中、X1及びX2は、それぞれ独立して、1価の有機基を示す。またはX1とX2が互いに結合してPを1員とする環を形成してもよい。)で表されるホスホネートの存在下、酸化剤で処理した後、極性溶媒相と、より非極性の有機溶媒相に相分離し、極性溶媒相中にロジウムを回収することを特徴とするロジウム回収方法に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の回収方法の対象となるホスファイトとロジウムを含有する溶液の形態を成しているロジウム回収原料液としては、特に限定されるものではないが、ロジウム触媒、特にホスファイトを錯体形成配位子とするロジウム触媒を使用する合成反応の反応混合物から分離されたホスファイト及びロジウムを含有する有機溶液である。かかる合成反応の代表例としてオキソ反応(ヒドロホルミル化反応)が挙げられる。ロジウム回収原料液としてはホスファイトとロジウムから成る反応後の触媒液そのものでも良いし、また未反応ガスによるストリッピングあるいは蒸留等の触媒金属と粗生成物との分離操作後の触媒濃縮液を用いることもできる。特に触媒リサイクル反応では失活した触媒金属あるいは副生する高沸点副生物の蓄積をさけるために反応域に残留させたままの触媒濃縮液、あるいは諸工程を経て反応域に再循環される触媒濃縮液の一部を間欠的または連続的に反応域外に廃触媒液として抜き出し、ロジウム回収原料液とすることができる。例えばオキソ反応に用いられたホスファイトとロジウムを含有する溶液の場合、生成アルデヒドを含有した反応液、ストリッピングあるいは蒸留によりアルデヒドを留去した後の触媒濃縮液、更に反応溶媒を除去あるいは高沸点副生物を濃縮した後の高沸点生成物を媒体とする触媒濃縮液、これら触媒液から配位子あるいは金属錯体を晶析等従来の回収方法により一部あるいは大部分回収した後の残金属含有液などがホスファイトとロジウムを含有したロジウム回収原料液となる。本発明のロジウム回収法において対象となる触媒反応の形態は、任意の溶媒存在下あるいは非存在下に実施されたもので良く特に制限はない。工業的なリサイクル反応でしばしば適用される高沸点副生成物をリサイクル溶媒とした反応でも良い。
【0011】
本発明に用いられるロジウム回収原料液は、未反応原料、反応生成物および副生成物、反応溶媒、希釈溶媒等が任意の割合からなる媒体にロジウムおよびホスファイトが溶解している溶液である。ロジウム回収原料液に含有されるロジウム濃度は0.1ppm〜10wt%、好ましくは1ppm〜1wt%であり、より好ましくは、10ppm〜0.1wt%である。本発明に用いられるロジウム回収原料液に含有されるホスファイト配位子の量は、特に制限はないが、過剰の配位子を含有する場合、本発明の方法においては酸化処理によりホスファイトが酸化による配位子損失を受けるので、予め許容される量に調整しておくことが好ましい。ロジウム回収原料液中のホスファイトの量は、ロジウムモル数に対し、1〜200等量、好ましくは1〜50等量である。
【0012】
ロジウム回収液中のホスファイトしては、特に限定されるものではなく、オキソ反応その他の反応の触媒形成配位子として使用できるものであり、トリアリールホスファイト、トリアルキルホスファイト、アリールアルキルホスファイト等の任意のホスファイト化合物を包含する。また、これらの組合せを同一分子内に持つビスホスファイト、ポリホスファイト化合物等も包含する。
より具体的にモノホスファイト化合物としては、以下のような2つの化合物群に分類することができる。すなわち、第1の群の化合物としては、リン原子を含む環状構造を持たないホスファイト化合物であり、他の1群の化合物としては、環状構造を持ち、リン原子がその環状構造中に含まれるホスファイト化合物である。
第1群のホスファイト、すなわちリン原子を含む環状構造を持たないホスファイト化合物の中で、好ましい化合物の例としては、下記一般式(2)のホスファイト化合物が挙げられる。
【0013】
【化3】
P(OR1)(OR2)(OR3) (2)
【0014】
(式中、R1、R2およびR3は炭素数1から30の置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基を表す。)。上記の置換基としては、ヒドロホルミル化反応を阻害しない基であれば限定されるものではないが、炭素数1から20のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、アルキルアミノ基、アシル基、カルボアルコキシ基、オキシカルボニル基等が挙げられる。
これらの中でも好ましい化合物としては、一般式(2)におけるR1、R2及びR3の少なくとも1つが下記一般式(3)で表される置換アリール基であるホスファイトである。
【0015】
【化4】
【0016】
(式中、R4は−C(R9)(R10)R11基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R9、R10およびR11はそれぞれ、水素原子、フッ素化炭化水素基または炭化水素基を表し、互いに異なっていてもよい。好ましくはR4が全体としてイソプロピル基以上の立体障害を持つ基、即ち、R9、R10およびR11の少なくとも2つがフッ素化炭化水素基または炭化水素基である。R5、R6、R7および、R8はそれぞれ、互いに異なってもよく、水素原子または有機基であり、隣接する置換基、例えばR6とR7が互いに結合してベンゼン環と縮合して芳香環または複素環を形成しても良い。)
これらの化合物の具体例としては、ジフェニル(2,4−ジターシャリ−ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニル(2−イソプロピルフェニル)ホスファイト、ビス(2−ターシャリ−ブチル−4−メチルフェニル)フェニルホスファイト、ジフェニル(3,6−ジターシャリ−ブチル−2−ナフチル)ホスファイト、ビス(2−ナフチル)(3,6−ジターシャリ−ブチル−2−ナフチル)ホスファイト、ビス(3,6,8−トリターシャリ−ブチル−2−ナフチル)フェニルホスファイト、ビス(3,6,8−トリターシャリ−ブチル−2−ナフチル)(2−ナフチル)ホスファイト等が挙げられる。
【0017】
より好ましいホスファイトとしては、一般式(2)におけるR1、R2およびR3のすべてが、前記一般式(3)で表される置換アリール基である有機ホスファイト化合物である。具体例としては、トリス(2,4−ジターシャリ−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−ターシャリ−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−ターシャリ−ブチル−4−メトキシフェニル)ホスファイト、トリス(o−フェニルフェニル)ホスファイト、トリス(o−メチルフェニル)ホスファイト、ビス(3,6−ジターシャリ−ブチル−2−ナフチル)(2,4−ジターシャリ−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(3,6−ジターシャリ−ブチル−2−ナフチル)(2−ターシャリ−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(3,6−ジターシャリ−ブチル−2−ナフチル)ホスファイト、トリス(3,6−ジターシャリ−アミル−2−ナフチル)ホスファイト等が挙げられる。
他の1群のモノホスファイト化合物、即ち、環状構造を持ち、リン原子がその環状構造中に含まれるホスファイト化合物としては、下記一般式(4)で示される化合物が挙げられる。
【0018】
【化5】
【0019】
(ここでZは二価の有機基を表し、Yは置換若しくは非置換の一価有機基を表す)。
一般式(4)中、Zで示される代表的二価基は、二価の脂肪族基若しくは二価の芳香族基である。二価脂肪族基の例は、例えばアルキレン、アルキレンオキシアルキレン、アルキレン−NR12−アルキレン(R12は水素原子又は一価炭化水素基)、アルキレン−S−アルキレンおよびシクロアルキレン基並びに類似の基である。二価芳香族基の例はアリーレン、ビアリーレン、アリーレンアルキレン、アリーレンアルキレンアリーレン、アリーレンオキシアリーレン、アリーレンオキシアルキレン、アリーレン−NR12−アリーレンおよびアリーレン−NR12−アルキレン(R12は水素または一価炭化水素基)、アリーレン−S−アルキレンおよびアリーレン−S−アリーレン基である。
一般式(4)で示されるホスファイト化合物の好ましい例としては、下記一般式(5)で表されるホスファイト化合物が挙げられる。
【0020】
【化6】
【0021】
(式中、R13、R13'は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表し、nは0から4の数を表す。Yは置換若しくは非置換の一価有機基を表す。)
一般式(5)において、R13、R13'の代表例としては、メチル基、エチル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、ナフチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
また、より好ましくは、一般式(5)におけるYが、一般式(3)で表されるような、酸素原子に結合する炭素原子の隣接炭素原子に置換基を有するアリール基であるものが望ましい。
また、一般式(4)で示されるホスファイト化合物の別の好ましい例としては、下記一般式(6)のホスファイト化合物が挙げられる。
【0022】
【化7】
【0023】
(ここでR14はo,m,p位の任意の置換基を示し、またはR14が元のベンゼン環と縮合したナフチル環等の縮合芳香環を表す。Yは一般式(4)と同一の意義を有す。)
一般式(6)の代表的なR14は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、および置換基を有していてもよいアリール基等であり、縮合芳香環としてはナフチル基等が挙げられる。
より好ましくは、一般式(6)におけるYが、一般式(3)で表されるような、置換基として酸素原子に結合する炭素原子の隣接炭素原子に置換基を有するアリール基であるものが望ましい。
また、好ましいホスファイト化合物の別の例としては、一般式(7)で表されるジオルガノホスファイトが挙げられる。
【0024】
【化8】
【0025】
{式中、Arは同じまたは異って、置換若しくは非置換アリール基であり、各yは個々に0または1の数を示し、Qは−CR15R16−、−O−、−S−、−NR17−、−SiR18R19−および−CO−(R15およびR16は個々に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル、トリル、又はアシル基を示す。R17、R18およびR19は、個々に水素原子またはメチル基を示す。)よりなる群から選ばれる二価のブリッジ基であり、nは0または1の数を示し、Yは一般式(4)と同一の意義を有す。}。
より好ましくは、一般式(7)におけるYは、炭素数1〜20のアルキル基(第一、第二および第三アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、t−ブチルエチル、t−ブチルプロピル、n−ヘキシル、アミル、sec−アミル、t−アミル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、デシル、オクタデシル等)、ベンジル基、o−トリル基、p−トリル基等のアリール基よりなる群から選ばれる非置換若しくは置換一価炭化水素基並びに、置換基を有していてもよいアリール基(例えばα−ナフチル、β−ナフチル等)である。アリール基の置換基としては、炭素数1から20のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、アシル基、カルボアルコキシ基、オキシカルボニル基などが挙げられる。一般式(7)で示されるジオルガノホスファイトの中、より好ましくは、一般式(8)または(9)で表されるホスファイト化合物が挙げられる
【0026】
【化9】
【0027】
(式中、QおよびYは前記式(7)で定義したものと同じである。R20、R21、R22、R23、R24及びR25は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1から20のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、アシル基、カルボアルコキシ基、オキシカルボニル基等を示す。)
更に、本発明のホスファイトとしては、以下に示すビスホスファイト、ポリホスファイトも使用出来る。
【0028】
【化10】
【0029】
(ここでZは前記一般式(4)で定義したのと同様の二価の有機基を表し、R26およびR27は炭素数1から30の置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基を表す。Wは置換若しくは非置換のm価炭化水素基を表す。各ZおよびR26およびR27Rは互いに同じまたは異なっていても構わない。m1およびm2はそれぞれ0から6の値を有し、m=m1+m2は2から6の値を有する)。
アルキル基等の置換基としては、ヒドロホルミル化反応を阻害しないものであれば特に限定されるものではないが、具体的には炭素数1から20のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、アシル基、カルボアルコシ基、オキシカルボニル基等が挙げられる。R26およびR27によって表される末端部有機基の例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、t−ヘキシル基等の炭素数1〜20個の直鎖または分岐のアルキル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アダマンチル基のような炭素数3〜20個のシクロアルキル基、フェニル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、カルボメトキシフェニル基、シアノフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、メチルナフチル基、メトキシナフチル基、クロロナフチル基、ニトロナフチル基、テトラヒドロナフチル基等の置換基を有していてもよいアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、ピリジル基、メチルピリジル基、ニトロピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ベンゾフリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンズイミダゾリル基、インドリル基等のヘテロ元素含有芳香族基等が挙げられる。
【0030】
より好ましいホスファイト化合物としては、一般式(10)におけるZが、前記式(5)、(6)または(7)におけるZに相当する基及び、各Zが前記式の組合せで表されるホスファイト化合物が挙げられる。また、R26およびR27はそれぞれ互いに同じまたは異なって置換基を有していてもよいアリール基であるものが望ましい。具体例としては、フェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2, 4-ジメチルフェニル基、2, 5-ジメチルフェニル基、2, 6-ジメチルフェニル基、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、2, 4-ジメトキシフェニル基、2, 5-ジメトキシフェニル基、2, 6-ジメトキシフェニル基、α-ナフチル基、3-メチル-α-ナフチル基、3, 6-ジメチル-α-ナフチル基、β-ナフチル基、1-メチル-β-ナフチル基、3-メチル-β-ナフチル基等が挙げられる。
また、Wは置換若しくは未置換のm-価炭化水素基であって、例えばm=2の場合はアルキレン、アリーレンおよびアリーレン−(CH2)y−(Q)n−(CH2)y−アリーレン−{各アリーレン基は同じかまたは別異の置換若しくは未置換アリーレン基であり、Qは個々に−CR28R29−、−O−、−S−、−NR30−、−SiR31R32−および−CO−(R28およびR29は個々に水素原子又はアルキル基を表し、R30、R31およびR32は個々に水素原子またはメチル基である)よりなる群から選ばれるブリッジ基を表し、各yおよびnは個々に0または1の値を有する基を表す。}基である。
Wによって表される二価有機基の具体例としては、例えば1, 2-エチレン基、1, 3-プロピレン基、1,3-ジメチル-1,3-プロピレン基、1, 4-ブチレン基、1, 5-ペンチレン基、1, 6-ヘキシレン基、1, 8-オクチレン基、1, 2-フェニレン基、1, 3-フェニレン基、2, 3-ナフチレン基、1, 8-ナフチレン基、1, 1'-ビフェニル-2, 2'-ジイル基、1, 1'-ビナフチル-7, 7'-ジイル基、1, 1'-ビナフチル-2, 2'-ジイル基、2, 2'-ビナフチル-1, 1'-ジイル基、2, 2'-ビナフチル-3, 3'-ジイル基等が包含される。
更に好ましくは、一般式(10)におけるZが前記一般式(7)で定義したZである化合物であって、かつWが一般式(11)である化合物である。
【0031】
【化11】
【0032】
(ここでR37およびR38はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アルコシキ基、シリル基、シロキシ基、またはハロゲン原子もしくは水素原子である。R33からR36はそれぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アルコシキ基、シリル基、シロキシ基、またはハロゲン原子もしくは水素原子である。)
R37およびR38の例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、R33からR36の例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、t−ヘキシル基、ノニル基、デシル基、メトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基等が挙げられる。また、一般式(11)で示される基の特別な例として、R35及びR37および/またはR36及びR38が、各々独立に、互いに結合して炭素数3〜40個からなる環状構造の一部分を形成した基が挙げられ、具体的には、1, 1'-ビナフチル-2, 2'-ジイル基などである。
【0033】
さらにより好ましくは、一般式(10)におけるR26およびR27はそれぞれ互いに同じまたは異なって、置換基を有していてもよいアリール基であって、かつWが一般式(11)におけるR33及びR34がそれぞれ独立して炭素数3〜20の分岐型アルキル基であり、かつ、R35及びR36がそれぞれ独立して炭素数1〜20の分岐型アルキル基またはアルコキシ基である、1, 1'-ビフェニル-2, 2'-ジイル骨格、もしくは、1, 1'-ビナフチル-2, 2'-ジイル骨格を有する置換アリーレン-アリーレン基である。 具体例としては、3,3′−ジ−t−ブチル−1,1′−ビナフチル−2,2′−ジイル基、3,3′,6,6′−テトラ−t−ブチル−1,1′−ビナフチル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル−6,6′−ジ−t−ブトキシ−1,1′−ビナフチル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ペンチル−1,1′−ビナフチル−2,2′−ジイル基、3,3′,6,6′−テトラ−t−ペンチル−1,1′−ビナフチル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ペンチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメトキシ−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′,6,6′−テトラメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−6,6′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ペンチル−6,6′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメトキシ−6,6′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−6,6′−ジクロロ−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基等が挙げられる。
【0034】
最も好ましいものとしては、Wが上記制限に加えて、更にR37及びR38が、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子、具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等である場合である。従って、最も好ましい架橋部二価有機基の例としては、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′,6,6′−テトラメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−6,6′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−6,6′−ジエチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−6,6′−ジメトキシ−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメトキシ−6,6′−ジクロロ−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−6,6′−ジフルオロ−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基等が挙げられる。
【0035】
本発明方法に使用されるホスホネートは前記一般式(1)に示される構造を有するものである。ホスホネートはホスファイトの加水分解により生成する。一般式(1)で示されるホスホネートにつき、具体的に説明するため、元のホスファイト化合物と関連して説明するが、本発明方法に使用されるホスホネートは、反応に用いるホスファイト由来の構造を有している必要はなく、反応に用いられているホスファイトの種類に左右されることなく、以下に示す広範囲なホスホネートから、有利なものを回収に際し添加することができる。勿論、反応中にホスファイトの加水分解反応により生じたものをそのまま適用することも可能であり、またロジウム回収の前処理としてロジウム回収液中の残存ホスファイトに加水分解処理を施し、ホスホネートを生成せしめても構わない。これら用いるホスホネートの選択、調達は望む反応の形態あるいは性状により任意にでき得るものである。
前記一般式(2)の構造を持つホスファイト化合物からは、以下のいずれかの構造を有するホスホネート化合物が生成する。
【0036】
【化12】
HPO(OR1)(OR2) (12−1)
HPO(OR2)(OR3) (12−2)
HPO(OR1)(OR3) (12−3)
【0037】
(式中、R1、R2、R3は一般式(2)の定義と同じである。)
前記一般式(4)の構造を持つホスファイト化合物からは、以下の構造を有するホスホネート化合物が生成する。
【0038】
【化13】
【0039】
(式中、Zは一般式(4)で定義したと同じ意義を有する。)。
前記一般式(10)の構造を持つホスファイト化合物からは、以下のいずれかの構造を有するホスホネート化合物が生成する。
【0040】
【化14】
【0041】
(式中、Z、W、R26、R27は何れも、一般式(10)で定義したと同じ意義を有する。)
一般式(15)で表される化合物に関しては、元のホスファイト化合物の単純な加水分解では生成しないと考えられるが、おそらくは反応条件下ホスファイト化合物のP−O結合の切断および再結合が起こる結果、このような化合物が生成すると考えられる。本発明におけるホスホネート化合物とは、単純なホスファイト化合物の加水分解により生成する化合物だけでなく、このようなプロセス内において生成するホスホネート化合物をも包含する。
本発明方法に於いて、酸化処理の際に共存させるこれらホスホネートの使用量は、ロジウム回収原料液中のロジウムモル数に対し、0.05〜100モル倍、好ましくは0.1〜50モル倍、さらに好ましくは1〜20モル倍である。
【0042】
本発明は、上記のホスファイトとロジウムを含有する溶液を、カルボン酸を含有する極性溶媒及びホスホネートの存在下、酸化剤で処理した後、該極性溶媒相とより非極性の有機相との2相に相分離させて、極性溶媒相中にロジウムを回収するものである。本発明に用いる極性溶媒は、水、あるいは水と極性有機溶剤の混合液である。混合溶媒の場合、水とそれに混合した極性有機溶剤は均一相であり、かつロジウム回収原料液とは二相に分離するように極性有機溶剤の含有量が決められ、極性溶媒の組成は上記前提の下、用いるロジウム回収原料液の性状により決定される。水と混合させ得る極性有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、2ーペンタノン、3ーペンタノン、ジエチルケトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、トリグライムなどのエーテル類であり、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノールなどが挙げられる。極性溶媒としては水を用いるのが好ましい。
【0043】
本発明においては、ロジウム回収原料液と極性溶媒との容量比が0.1〜10、好ましくは0.5〜4の条件下で、ロジウム回収原料液を酸化剤と接触させるのがよい。この極性溶媒に、カルボン酸を溶解させ、ロジウム回収原料液と接触させる。極性溶媒中のカルボン酸の濃度が5〜50wt%、好ましくは20〜40wt%の範囲で回収が行われる。
本発明に用いるカルボン酸は、炭素数2から4のモノカルボン酸またはジカルボン酸が好ましい。具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸などの炭素数2から4個の脂肪族モノカルボン酸あるいはジカルボン酸あるいはその混合物が挙げられ、好ましくは酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸であり、より好ましくは酢酸が用いられる。
【0044】
本発明方法に使用される酸化剤としては、過酸化水素などの無機酸化剤、t−ブチルパーオキサイド、オクテンパーオキサイドなどの有機過酸化物、あるいは酸素または酸素含有ガスから選ぶことができる。好ましくは過酸化水素、あるいは酸素または酸素含有ガスであり、過酸化水素と酸素または酸素含有ガスの併用も可能である。より好ましくは酸素含有ガスの使用である。本発明に用いる酸素含有ガスの酸素濃度に本質的な制限はなく、任意に選ぶことができ、酸素を不活性ガスで希釈したものを使用できる。工業的には空気の使用が好ましい。
酸素含有ガスのフィード形式および過酸化物類の添加形式は特に限定されるものではなく、バッチ方式、連続方式、いずれでも行うことができる。必要酸素量あるいは必要過酸化物量は金属含有液中の金属、配位子、あるいは有機物などの被酸化物量によって決まり、これらに対して原則過剰量あればよい。ただし、酸素含有ガスを酸化剤として使用する場合、回収速度は酸素の液相への溶存量に依存するため、ある程度の分圧を保持することが好ましく、実質的には加圧系でロジウム回収処理を行うのが好ましい。反応圧力はガス中の酸素濃度などの条件によって変わるが、通常、空気(酸素/窒素=20/80)のとき1〜150K/Gで、好ましくは10から100K/Gである。
【0045】
ホスファイトとロジウムを含有するロジウム回収原料液と酸化剤との接触は、ロジウム回収原料液とカルボン酸、ホスホネート及び極性溶媒を十分な撹拌状態に維持しつつ、60〜160℃で行うことができ、好ましくは、70〜150℃、より好ましくは80〜140℃で行うことができる。また、ロジウム回収原料液と極性溶媒との接触方式は特に限定されるものではなく、バッチ方式でも連続方式でも行うことができる。また、一度ロジウムを極性溶媒中に回収し、相分離した後のロジウム回収原料液を、再度カルボン酸を含有した極性溶媒と接触させ、酸化処理を繰り返し行うことが、ロジウム回収率を向上させるために有効である。ロジウム回収操作を繰り返す場合も、ホスホネートを存在させることが好ましい。
【0046】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の例においてロジウムの分析はゼーマン原子吸光法により行った。又、下式により、ロジウム回収率を計算した。
【0047】
【数1】
ロジウム回収率
=(水相に抽出されたロジウム量)/(原料中のロジウム量)×100
【0048】
[ロジウム回収原料液の調製]
Rh(acac)(CO)2 (ロジウムジカルボニルアセチルアセトナート)0.0705g、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト1.91g、オクテン(異性体混合物)225.8g及びオキソ反応高沸点副生成物(生成ノニルアルデヒドおよび生成ノニルアルコールに由来した炭素数18、炭素数27、炭素数36、炭素数45等から成る高沸点化合物の混合物)56.5gをステンレス製の500mlオートクレーブに仕込み、水素/一酸化炭素1:1(モル比)混合ガスにより5MPaを保ちながら、130℃で5時間加熱撹拌した。室温に戻した後、水素及び一酸化炭素をパージした。パージ後、反応液を窒素下密閉容器に採取し、110℃、35mmHgの減圧下で2時間の単蒸留、さらに110℃、35mmHgの減圧下で1時間の水蒸気蒸留により未反応オクテン、生成ノニルアルデヒド、生成ノニルアルコールを、それぞれ1%以下となるまで反応液から除去し、残留物をロジウム回収原料液とした。
なお、得られたロジウム回収原料液中のノニルアルデヒド量は蒸留操作毎に若干変化するが、上記の方法で調製した全てのロジウム回収原料液でその含有量は1wt%以下であった。
又、ホスファイト配位子であるトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトは水蒸気蒸留時に分解し、ロジウム回収原料液中のトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト含有量は原料調整毎に若干変化する。しかしながら上記の方法で調製した全てのロジウム回収原料液中のホスファイト分解物としてのホスホネートあるいはロジウム/ホスホネート錯体は、31P−NMRの検出限界以下であり、分解物として確認できるのは、ヒドロキシアルキルホスホン酸類およびリン酸エステルであった。
【0049】
実施例1
回収原料液30.6g(ロジウム498ppm、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト2.17wt%)、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスホネート0.165gおよび20wt%の酢酸水溶液37.65gを、200mlの誘導攪拌式SUS製オートクレーブに仕込み、空気を20K/Gに加圧した状態で、40Nl/hのガス流量で空気を流通させながら、回転数1000rpmで、120℃、2時間処理した。室温に降温した後、空気を放圧し、静置後、油水を分離し水相を回収した。ロジウムの分析はゼーマン原子吸光法により行った。その結果、ロジウムの回収率は95.4%であった。
【0050】
比較例1
回収原料液30.6g(ロジウム498ppm、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト2.17wt%)および20wt%の酢酸水溶液35.77gを、200mlの誘導攪拌式SUS製オートクレーブに仕込み、空気を20K/Gに加圧した状態で、 40Nl/hのガス流量で空気を流通させながら、回転数1000rpmで、120℃、2時間処理した。室温に降温した後、空気を放圧し、静置後、油水を分離し水相を回収した。ロジウムの分析はゼーマン原子吸光法により行った。その結果、ロジウムの回収率は59.4%であった。
【0051】
比較例2
回収原料液26.1g(ロジウム555ppm、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト3.21wt%)および20wt%の酢酸水溶液31.78gを、200mlの誘導攪拌式SUS製オートクレーブに仕込み、空気を20K/Gに加圧した状態で、 40Nl/hのガス流量で空気を流通させながら、回転数1000rpmで、80℃、2時間処理した。室温に降温した後、空気を放圧し、静置後、油水を分離し水相を回収した。ロジウムの分析はゼーマン原子吸光法により行った。その結果、ロジウムの回収率は88.4%であった。
【0052】
実施例2
回収原料液32.14g(ロジウム498ppm、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト2.17wt%)、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスホネート0.168g、酢酸7.71gおよび0.03Mリン酸水溶液30.9gを、200mlの誘導攪拌式SUS製オートクレーブに仕込み、空気を20K/Gに加圧した状態で、 40Nl/hのガス流量で空気を流通させながら、回転数1000rpmで、120℃、2時間処理した。室温に降温した後、空気を放圧し、静置後、油水を分離し水相を回収した。ロジウムの分析はゼーマン原子吸光法により行った。その結果、ロジウムの回収率は88.7%であった。
【0053】
比較例3
回収原料液35.14g(ロジウム541ppm、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト2.23wt%)、酢酸8.14gおよび0.03Mリン酸水溶液32.5gを、200mlの誘導攪拌式SUS製オートクレーブに仕込み、空気を20K/Gに加圧した状態で、 40Nl/hのガス流量で空気を流通させながら、回転数1000rpmで、120℃、2時間処理した。室温に降温した後、空気を放圧し、静置後、油水を分離し水相を回収した。ロジウムの分析はゼーマン原子吸光法により行った。その結果、ロジウムの回収率は40.6%であった。
【0054】
【発明の効果】
実施例と比較例を対比すれば明らかなように、本発明方法によりホスホネートを存在させることによりロジウムの回収率を著しく向上させることができる。
Claims (9)
- ホスファイト及びロジウムを含有する溶液と極性溶媒との容量比が0.1〜10であることを特徴とする請求項1に記載のロジウムの回収方法。
- ホスホネートの存在量が、ロジウム含有溶液中のロジウムの0.05〜100モル倍であることを特徴とする請求項1又は2に記載のロジウムの回収方法。
- 相分離後のより非極性の有機溶媒相を、再度カルボン酸を含有する極性溶媒と接触させ、再度酸化処理することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のロジウムの回収方法。
- カルボン酸が炭素数2〜4の脂肪族モノカルボン酸又はジカルボン酸であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のロジウムの回収方法。
- カルボン酸が酢酸であることを特徴する請求項1乃至5の何れかに記載のロジウムの回収方法。
- 極性溶媒が、水であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のロジウムの回収方法。
- 酸化剤が、酸素、あるいは酸素含有ガスであることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のロジウムの回収方法。
- ホスファイトおよびロジウムを含有する溶液が、炭素数2から20のオレフィン系炭化水素をロジウム錯化合物およびホスファイトの存在下、一酸化炭素及び水素と反応させて、オレフィンをヒドロホルミル化するオキソ反応により得られる溶液であることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載のロジウムの回収方法。
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