JP3970927B6 - 改良された金属―配位子錯体で触媒作用されたプロセス - Google Patents

改良された金属―配位子錯体で触媒作用されたプロセス Download PDF

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産業上の利用分野
この発明は、アルデヒド類を製造するための、改良された金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体で触媒作用されたヒドロホルミル化プロセスに関する。特にこの発明は、二酸化炭素の存在下で有機亜リン酸エステル配位子を実質的に分解せずかつヒドロホルミル化プロセスの金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体を失活させずに作用することのできるヒドロホルミル化プロセスに関する。
従来の技術
ロジウム−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒の存在下でオレフィン系不飽和化合物を一酸化炭素及び水素と反応させてアルデヒド類を製造すること、並びに例えば米国特許第4,148,830号、同4,717,775号及び同4,769,498号に開示されているような連続でヒドロホルミル化を行い触媒溶液を再循環することを含んだ好ましい製造方法はこの分野では公知である。このようなアルデヒド類は広範囲の有用性を有し、例えば脂肪族アルコールへの水素添加用、可塑剤を製造するためのアルドール縮合用及び脂肪酸を製造するための酸化用の中間体として有効である。
しかしこのようなロジウム−有機亜リン酸エステル配位子錯体で触媒作用された液状再循環ヒドロホルミル化プロセスに伴う利点にもかかわらず、この分野においてはその触媒や有機亜リン酸エステル配位子の安定性について懸念がある。いかなる触媒を採用する場合でも触媒の安定性が重要であることは明らかである。非常に高価なロジウム触媒の好ましくない反応により触媒又は触媒の活性が失われることは所望のアルデヒドを製造するするために有害でありうる。同様に採用した有機亜リン酸エステル配位子がヒドロホルミル化プロセスの間に分解すると、有機亜リン酸エステル化合物を毒し又は抑制剤若しくは酸性副生物を生成し、ロジウム触媒の触媒活性を減ずる可能性がある。更にその触媒活性が低下するとアルデヒドの製造費がはっきりと増加する。
触媒及び/又は有機亜リン酸エステル配位子の安定性を保持するために様々な方策が提案されてきた。例えば、米国特許第5,288,918号では水及び/又は弱酸性化合物のような触媒活性増強剤を採用することが提案されている。また米国特許第5,364,950号では有機亜リン酸エステル配位子を安定化させるためにエポキシドを添加することが提案されている。また米国特許第4,774,361号では、ロジウム金属又はロジウムクラスターの形態の溶液からロジウムの沈殿を無くすか又は少なくするために、アミド、ケトン、カルバミド酸エステル、尿素及び炭酸エステル基から成る群から選択される極性基を含む有機化合物の存在下で触媒からアルデヒド生成物を回収するために蒸発分離を行うことを提案している。前記引例が教示するところの価値にもかかわらず、この分野においてはロジウム触媒及び有機亜リン酸エステル配位子を安定化させるための代替方法又はより優れて効果的な手段の探索が行われている。
例えば、有機亜リン酸エステル配位子の分解及びロジウム−有機亜リン酸エステル配位子錯体で触媒作用されたヒドロホルミル化プロセスにおける触媒の失活の主な原因は、有機亜リン酸エステル配位子の加水分解安定性の欠如によるものである。すべての有機亜リン酸エステルはある程度加水分解を受け、一般に有機亜リン酸エステルの加水分解速度はその有機亜リン酸エステルの立体化学的性質による。一般的にリン原子周囲の立体的環境がかさばると加水分解速度は遅くなる。例えば、亜リン酸トリフェニルのような三級三有機亜リン酸エステルは米国特許第4,737,588号に記載のような二有機亜リン酸エステルや米国特許第4,748,261号及び同4,769,498号に記載のような有機ポリ亜リン酸エステルよりも加水分解を受けやすい。更にこのような加水分解反応はすべて不変にその加水分解反応を触媒作用する亜リン酸化合物を生成する。例えば、三級有機亜リン酸エステルが加水分解するとホスホン酸ジエステルを生成し、それはホスホン酸モノエステルに加水分解され、更にH3PO3酸に加水分解され得る。更にホスホン酸ジエステルとアルデヒドの間又はある有機亜リン酸エステル配位子とアルデヒドの間の副反応により生成する副生成物が加水分解されて、n−C37CH(OH)P(O)(OH)2のような望ましくない強アルデヒド酸を生成する可能性がある。
実際非常に好ましい立体障害された有機ビス亜リン酸エステル配位子は、非常には加水分解性ではないが、それでもアルデヒド生成物と反応する可能性があり、触媒抑制剤であるばかりでなく更に加水分解を受け易い有機モノ亜リン酸エステルのような毒性のある有機亜リン酸エステル及び例えば米国特許第5,288,918号及び同5,364,950号に示されているようなヒドロキシアルキルホスホン酸のようなアルデヒド酸副生物を生成する。更に有機亜リン酸エステル配位子の加水分解は、H3PO3、ヒドロキシアルキルホスホン酸のようなアルデヒド酸、H3PO4等の酸性リン化合物の生成の観点から見ると自己触媒的に進行し、連続液状再循環ヒドロホルミル化プロセスの触媒系を点検せずに放置すると、系は時間の経過と共に徐々に酸性になる。従って許容できない程の量の酸性リン化合物が蓄積した場合には存在する有機亜リン酸エステルが全体的に崩壊し、ヒドロホルミル化触媒がまったく非有効(不活性)になり、高価なロジウム金属が沈殿及び/又は反応容器の壁に付着すること等により失われる。
ヒドロホルミル化プロセスにおける酸の蓄積のその他の原因には、二酸化炭素と水との反応により生成する炭酸がある。二酸化炭素は合成ガス中に存在し、一般的にはヒドロホルミル化プロセスに加えられる前に合成ガスから除去される。二酸化炭素を除去する装置ための資本投資は重である。もし二酸化炭素の除去が必要ないならば、例えば、もし有機亜リン酸エステル配位子を分解しヒドロホルミル化プロセスの金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒を失活させることに実質的に貢献又は影響することなしに、二酸化炭素の存在下でヒドロホルミル化プロセスを行うことができたならば、オキソ工場のための投資は顕著に少なくなるであろう。ヨーロッパ特許出願第160,249号には、水素、一酸化炭素及び二酸化炭素の混合物に対して0.5〜4.0容積%の二酸化炭素を反応容器に加えるてもよいような水溶性ロジウム−有機亜リン酸エステル錯体を用いたヒドロホルミル化プロセスを開示されており、二酸化炭素の濃度を上げるとヒドロホルミル化反応速度が遅くなることが開示されている。
従って、有機亜リン酸エステル配位子を分解しヒドロホルミル化プロセスの金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒を失活させることに実質的に影響することなしに二酸化炭素の存在下でヒドロホルミル化プロセスを操作できる方法はこの分野で高度に必要とされている。
発明の概要
有機亜リン酸エステル配位子を分解しヒドロホルミル化プロセスの金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒を失活させることに実質的に影響することなしに、ヒドロホルミル化プロセスが二酸化炭素及びこれを溶解させた水の存在下で行われうることが発見された。二酸化炭素は有機亜リン酸エステル配位子を加水分解する因子でありうるが、驚くべきことにヒドロホルミル化反応系は有機亜リン酸エステルの加水分解を実質的に増加させずに高濃度の炭酸に対して耐性があることが発見された。従って、二酸化炭素がヒドロホルミル化プロセス中に存在することが可能であり、そのため二酸化炭素を除去するための装置に投資する必要がない。また二酸化炭素がヒドロホルミル化プロセスに存在することが実質的にヒドロホルミル化反応速度に影響しないことも発見された。
この発明は、金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒及びそれを溶解した水並びに任意に遊離有機亜リン酸エステル配位子の存在下で一以上の反応物を反応させて一以上の生成物から成る液状反応生成物を製造することから成るプロセスであって、そのいかなる有機亜リン酸エステル配位子を実質的に分解し及び/又はその金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒を実質的に失活させることに影響しないような量の二酸化炭素の存在下で行われるプロセスに関する。
またこの発明は、金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒及びそれを溶解した水並びに任意に遊離有機亜リン酸エステル配位子の存在下で一以上のオレフィン系不飽和化合物を一酸化炭素及び水素と反応物を反応させて一以上のアルデヒドから成る液状反応生成物を製造することから成るヒドロホルミル化プロセスであって、そのいかなる有機亜リン酸エステル配位子を実質的に分解し及び/又はその金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒を実質的に失活させることに影響しないような量の二酸化炭素の存在下で行われるヒドロホルミル化プロセスに関する。
更にこの発明は、ロジウム−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒及びそれを溶解した水並びに任意に遊離有機亜リン酸エステル配位子の存在下で一以上のオレフィン系不飽和化合物を一酸化炭素及び水素と反応物を反応させて一以上のアルデヒドから成る液状反応生成物を製造することから成るヒドロホルミル化プロセスであって、全ガス混合物に対して約0.1〜約70モル%の二酸化炭素の存在下で行われるヒドロホルミル化プロセスに関する。
また更にこの発明は、(i)少なくとも一つの反応域で金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒及びそれを溶解した水並びに任意に遊離有機亜リン酸エステル配位子の存在下で一以上のオレフィン系不飽和化合物を一酸化炭素及び水素と反応物を反応させて一以上のアルデヒドから成る液状反応生成物を製造する段階と、(ii)少なくとも一つの分離域又は少なくとも一つの反応域で一以上のアルデヒドをその液状反応生成物から分離する段階とから成る改良されたヒドロホルミル化プロセスであって、その改良点がそのいかなる有機亜リン酸エステル配位子を実質的に分解し及び/又はその金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒を実質的に失活させることに影響しないような量の二酸化炭素の存在下でヒドロホルミル化プロセスを行うことにより二酸化炭素をその少なくとも一つの反応域に加える前に二酸化炭素を除去する必要をなくしたことである改良されたヒドロホルミル化プロセスに関する。
またこの発明は、(i)少なくとも一つの反応域で金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒及びそれを溶解した水並びに任意に遊離有機亜リン酸エステル配位子の存在下で一以上のオレフィン系不飽和化合物を一酸化炭素及び水素と反応物を反応させて一以上のアルデヒドから成る液状反応生成物を製造する段階と、(ii)少なくとも一つの分離域又は少なくとも一つの反応域で一以上のアルデヒドをその液状反応生成物から分離する段階とから成る改良されたヒドロホルミル化プロセスであって、その改良点が全ガス混合物に対して約0.1〜約70モル%の二酸化炭素の存在下でヒドロホルミル化プロセスを行うことにより二酸化炭素をその少なくとも一つの反応域に加える前に二酸化炭素を除去する必要をなくしたことである改良されたヒドロホルミル化プロセスに関する。
発明の実施の形態
この発明のヒドロホルミル化プロセスは非対称又は不非対称であってもよく、不非対称であることが好ましい。またこのプロセスは連続法又は半連続法であってもよく、液状及び/又は気相触媒再循環操作を含んでもよい。従って、オレフィン系不飽和化合物からこのようなアルデヒドを製造する特定のヒドロホルミル化プロセスは、反応条件やヒドロホルミル化プロセスの成分と同様にこの発明の重要な特徴ではない。ここで用いる“ヒドロホルミル化”は一以上の置換若しくは非置換のオレフィン系化合物又は一以上の置換若しくは非置換のオレフィン系化合物を含む反応混合物を一以上の置換若しくは非置換のアルデヒド又は一以上の置換若しくは非置換のアルデヒドを含む反応混合物に転換する段階を含む許容されうるすべての非対称又は不非対称のヒドロホルミル化プロセスを含むことを企図されているがこの発明はこれに限定されるわけではない。ここで用いる“液状反応生成物”は(a)金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒、(b)遊離有機亜リン酸エステル配位子、(c)反応で生成する一以上の酸性リン化合物、(d)反応で生成するアルデヒド生成物、(e)未反応の反応物、及び(f)金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒及び前記遊離有機ポリ亜リン酸エステル配位子用の有機可溶化剤のうちの一以上を一定量で含む反応混合物を含むことを企図されているがこの発明はこれに限定されるわけではない。この液状反応生成物は更に(a)反応域の反応媒体、(b)分離域への途上の反応媒体流、(c)分離域の反応媒体、(d)分離域と反応域の間の再循環流、(e)酸除去域での処理のために反応域又は分離域から回収した反応媒体、(f)酸除去域での処理された回収反応媒体、(g)反応域又は分離域へ送り返された処理済反応媒体、及び(h)外部冷却器中の反応媒体を含むがこれに限定されるわけではない。ここで全ガス混合物とはヒドロホルミル化プロセスのすべてのガス部分をいい、一酸化炭素、水素、二酸化炭素、オレフィン、反応副生成物及び反応生成物、並びに不活性分を含むがこれに限定されるわけではない。
例証となる有機亜リン酸エステル配位子を加水分解し触媒を失活させてもよいような金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体で触媒作用されたヒドロホルミル化プロセスは、例えば米国特許第4,148,830号、同4,593,127号、同4,769,498号、同4,717,775号、同4,774,361号、同4,885,401号、同5,264,616号、同5,288,918号、同5,360,938号、同5,364,950号及び同5,491,266号に記載されているプロセスを含むので、詳細についてはそれらを参照されたい。したがって、この発明のヒドロホルミル化プロセス技術はいかなる公知のプロセス技術に相当するものであってもよい。その中で触媒液体を再循環するヒドロホルミル化プロセスが好ましい。
一般的にこのような触媒液体を再循環するヒドロホルミル化プロセスは、触媒と配位子のための溶媒を含んだ液状媒体中で金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒の存在下でオレフィン系不飽和化合物を一酸化炭素及び水素と反応させてアルデヒドを製造する段階を含む。この液状ヒドロホルミル化反応媒体が遊離有機亜リン酸エステル配位子を含むことが好ましい。“遊離有機亜リン酸エステル配位子”は錯体触媒の金属(例えば金属原子)と錯体を形成していない(又は金属と結合していない)有機亜リン酸エステル配位子を意味する。この再循環手順は一般的に連続的又は断続的に触媒及びアルデヒド生成物を含んだ液状反応媒体の一部をヒドロホルミル化反応容器(即ち反応域)から回収する段階並びにそこからアルデヒド生成物を回収する段階を含む。このアルデヒド生成物の回収段階は米国特許第5,430,194号及び米国同時継続特許出願第08/430,790号に記載されているような複合材膜を使用するか又は米国特許第5,288,918号に記載されているようなより因襲的で好ましい方法である、通常圧、減圧又は加圧状態で適当ならば別の蒸留域において、残渣を含んだ不揮発性金属触媒を反応域に再循環しながら、蒸留(即ち、蒸発分離)を行うことにより行う。これらの詳細についてはそれらを参照されたい。揮発した物質の凝縮及び分離並びにそれの更なる回収は、例えば更なる蒸留により、従来の方法で行うことが可能であり、粗アルデヒド生成物に更なる精製や必要なら異性体分離を行ってもよく、例えばオレフィン系出発物質と合成ガスのようないかなる回収された反応物もいかなる所望の方法でヒドロホルミル化域(反応容器)に再循環することができる。この回収された膜分離の抽残液を含んだ金属触媒又は蒸発分離の残渣を含んだ不揮発性金属触媒をいかなる所望の通常の方法でヒドロホルミル化域(反応容器)に再循環することができる。
好ましい具体化例によれば、ここで用いることのできるヒドロホルミル化反応生成物液体はいかなる相応するヒドロホルミル化プロセスから誘導されたいかなる液体をも含み、四つの異なる主成分(即ち、アルデヒド生成物、金属−有機亜リン酸塩配位子錯体触媒、遊離有機亜リン酸エステル配位子及びこの触媒とこの遊離配位子用の有機可溶化剤)のうちの少なくとも一つをある量含む。この成分は用いられたか又はこのヒドロホルミル化プロセスで生成したものに相当し、ヒドロホルミル化反応混合物の出発物質がこれに由来するものであってもよい。ここで用いることのできるヒドロホルミル化反応混合組成物は、ヒドロホルミル化プロセスで計画的に採用されたか又はこのプロセスの間にそのまま生成したもののような少量の追加的成分を含んでもよい。このような成分の例として未反応オレフィン出発物質、一酸化炭素、水素ガス、飽和炭化水素及び/又はオレフィン出発物質に相当する未反応異性化オレフィン、高沸点液状アルデヒド凝縮副生物、その他の不活性補助溶剤型材料又は炭化水素添加物が挙げられる。
例証となるこの発明に含まれるヒドロホルミル化反応及びそれらの準備のために用いることのできる金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒はこの分野で公知であり上記の特許に開示されているものをも含む。一般的にこのような触媒は上記の引例に記載されているようにそのままで機能し又は生成するものであり、有機亜リン酸エステル配位子と結合した錯体中の金属を必須に含む。一酸化炭素はまた活性種の中にの存在しその金属と錯体を形成している。この活性種はまたその金属に直接結合している水素を含む。
ヒドロホルミル化プロセスに有用な触媒として、光学活性又は非光学活性であってもよい金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒がある。この金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒を形成する許容可能な金属として、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)及びこれらの混合物からなる群から選択される8、9又は10属の金属があり、この中でロジウム、コバルト、イリジウム及びルテニウムが好ましく、ロジウム、コバルト及びルテニウムがより好ましく、特にロジウムが好ましい。この他の許容可能な金属として、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)及びこれらの混合物からなる群から選択される6属の金属がある。この発明では6、8、9及び10属の金属の混合物を用いてもよい。この金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体を形成する許容可能な有機亜リン酸エステル配位子及び遊離有機亜リン酸エステル配位子として、モノ−、ジ−、トリ−及び更に高度のポリ有機亜リン酸エステル配位子がある。金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒及び/又は遊離配位子に望まれるならばこのような配位子の混合物を用いてもよく、その混合物は同じであっても異なっていてもよい。この発明はこれら許容可能な有機亜リン酸エステル配位子又はこれらの混合物にいかなる方法によらず限定されるものではない。この発明の成功した実施例が、単核、二核及び/又は更に高度な核の形態で存在していてもよい金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体種の正確な構造に依存するものではないことは特記されておくべきである。実際その正確な構造は分からない。この触媒種はその最も簡単な形において基本的に有機亜リン酸エステル配位子並びに一酸化炭素及び/又は用いた場合には水素と組み合わされた錯体中の金属からなる。
ここ及びクレームで用いる“錯体”は、一以上の独立して存在できる電的に富んだ分子又は原子と一以上の独立して存在できる電的に乏しい分子又は原子の結合により生成した配位化合物を意味する。例えば、ここで用いることのできる有機亜リン酸エステル配位子は一以上のリンドナー原子を有してもよく、その原子はそれぞれ有効な一つ又は不可分な二つの電子を有し、その電子は独立して配位共有結合を形成するか又はその金属と会合(例えば、キレートにより)することができる。これもまた配位子として分類されている一酸化炭素もまた存在しこの金属と錯体を形成している。この錯体触媒の究極の組成もまた例えば、水素又は金属の配位位置若しくは核電荷を満たすアニオンなどの付加的な配位子を含んでもよい。例証となる付加的な配位子には例えばハロゲン(Cl,Br,I)、アルキル、アリール、置換アリール、アシル、CF3、C2F5、CN、(R)2PO及びRP(O)(OH)O(ここで各Rは同じか又は異なってもよく、置換又は非置換のアルキルはアリール等の炭化水素基である。)、酢酸エステル、アセチル酢酸エステル、SO4、PF4、PF6、NO2、NO3、CH3O、CH2=CHCH2、CH3CH=CHCH2、C6H5CN、CH3CN、NH3、ピリジン、(C2H53N、モノオレフィン、ジオレフィン及びトリオレフィン、テトラヒドロフラン、並びにこれらの類似物がある。もちろんこの錯体種は触媒を毒するか又は触媒性能に過度の悪影響を及ぼすようないかなる付加的な有機配位子若しくはアニオンを含んでいないことが好ましいことは理解されるべきである。この金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体で触媒作用されたヒドロホルミル化プロセス中で、活性触媒がその金属に直接結合したハロゲン及びイオウを、それらが絶対的には必要ではないが、有していないことが好ましい。
このような金属についての有効な配位位置の数はこの分野ではよく知られている。従ってこの触媒種は、金属(例えば、ロジウム)から成る一分子あたり少なくとも一つの有機亜リン酸エステルで錯体形成された分子であることが好ましい、単量体、二量体又はそれ以上の核形態の複合触媒混合物から成ってもよい。例えば、ヒドロホルミル化プロセスに採用されることが好ましい触媒種は、一酸化炭素と水素ガスがヒドロホルミル化反応に用いられているという観点に鑑みると、有機亜リン酸エステル配位子に加えて一酸化炭素及び水素と錯体形成してもよい。
金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒及び/又はヒドロホルミル化プロセスの遊離配位子として働く有機亜リン酸エステル並びにこの発明の反応生成物液体はアキラル(光学的に不活性)又はキラル(光学的に活性)であってもよく、この分野ではよく知られている。特にアキラルの有機亜リン酸エステルが好ましい。
反応生成物液体を含む金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒の配位子として働いてもよい有機亜リン酸エステル及び/又はこの反応生成物液体中に存在してもよいヒドロホルミル化プロセスのいかなる遊離有機亜リン酸エステル配位子の中には、モノ有機亜リン酸エステル、ジ有機亜リン酸エステル、トリ有機亜リン酸エステル及び有機ポリ亜リン酸エステル化合物がある。この発明に用いてもよいこのような有機亜リン酸エステル配位子及び/又はそれらの製法はこの分野ではよく知られている。
代表的なモノ有機亜リン酸エステルは下式の化合物を含む。
Figure 0003970927
式中R1は、炭素数が4〜40又はそれ以上である置換又は非置換の、三価の非環式又は環式基のような三価炭化水素基を表わし、例えば1,2,2−トリメチロールプロパン等から誘導されるような三価アルキレン基又は1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン等から誘導されるような三価シクロアルキレン基である。このようなモノ有機亜リン酸エステルは例えば米国特許第4,567,306号に詳しく記載されているので参照されたい。
代表的なジ有機亜リン酸エステルは下式の化合物を含む。
Figure 0003970927
式中R2は、炭素数が4〜40又はそれ以上である置換又は非置換の二価の炭化水素基を表わし、Wは炭素数が1〜18又はそれ以上である置換又は非置換の一価の炭化水素基を表わす。
上式(II)中のWで表わされる置換又は非置換の一価の炭化水素基の代表例としてアルキル又はアリール基が含まれ、R2で表わされる置換又は非置換の二価の炭化水素基には二価の非環式基及び二価の芳香族基が含まれる。例証となる二価の非環式基には例えばアルキレン、アルキレン−オキシ−アルキレン、アルキレン−NR4−アルキレン(ここでR4は水素又は置換若しくは非置換の一価炭化水素基を表わし、例えば炭素数が1〜4であるアルキル基である。)、アルキレン−S−アルキレン及びシクロアルキレン基等が挙げられる。より好ましい二価の非環式基は米国特許第3,415,906号及び同4,567,302号により詳細に記載されているような二価のアルキレン基等であり、詳細についてはその記載を参照されたい。また例証となる二価の芳香族には例えばアリーレン(arylene)、ビスアリーレン、アリーレン−アルキレン、アリーレン−アルキレン−アリーレン、アリーレン−オキシ−アリーレン、アリーレン−NR4−アリーレン(ここでR4は上記の定義のとりである。)、アリーレン−S−アリーレン及びアリーレン−S−アルキレン等が挙げられる。より好ましいR2は、米国特許第4,599,206号、同4,717,775号及び同4,835,299号により詳細に記載されているような二価の芳香族基等であり、詳細についてはその記載を参照されたい。
より好ましいジ有機亜リン酸エステルの代表例は下式の化合物である。
Figure 0003970927
式中Wは上記に定義したとりであり、それぞれのArは同じか又は異なっていてもよく置換又は非置換のアリール基を表わし、それぞれのyは同じか又は異なっていてもよく0又は1であり、Qは−C(R32−、−O−、−S−、−NR4−、−Si(R52−及び−CO−から成る群から選択される二価の架橋基を表わし(ここでR3は同じか又は異なっていてもよく水素、炭素数が1〜12のアルキル基、フェニル、トリル又はアニシルを表わし、R4は上記に定義したとりであり、R5は同じか又は異なっていてもよく水素又はメチル基である。)、mは0又は1である。
代表的なトリ有機亜リン酸エステルは下式の化合物を含む。
Figure 0003970927
式中R6は同じか又は異なっていてもよく置換又は非置換の一価の炭化水素基を表わし、例えば、炭素数が1〜24であるアルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール又はアルアルキル基である。例証となるトリ有機亜リン酸エステルには例えばトリアルキル亜リン酸エステル、ジアルキルアリール亜リン酸エステル、アルキルジアリール亜リン酸エステル、トリアリール亜リン酸エステル等があり、具体的にはトリメチル亜リン酸エステル、トリエチル亜リン酸エステル、ブチルジエチル亜リン酸エステル、トリ−n−プロピル亜リン酸エステル、トリ−n−ブチル亜リン酸エステル、トリ−2−エチルヘキシル亜リン酸エステル、トリ−n−オクチル亜リン酸エステル、トリ−n−ドデシル亜リン酸エステル、ジメチルフェニル亜リン酸エステル、ジエチルフェニル亜リン酸エステル、メチルジフェニル亜リン酸エステル、エチルジフェニル亜リン酸エステル、トリフェニル亜リン酸エステル、トリナフチル亜リン酸エステル、ビス(3,6,8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル)メチル亜リン酸エステル、ビス(3,6,8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル)シクロヘキシル亜リン酸エステル、トリ(3,6−ジ−t−ブチル−2−ナフチル)亜リン酸エステル、ビス(3,6,8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル)(4-ビフェニル)亜リン酸エステル、ビス(3,6,8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル)フェニル亜リン酸エステル、ビス(3,6,8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル)(4−ベンゾイルフェニル)亜リン酸エステル、ビス(3,6,8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル)(4−スルホニルフェニル)亜リン酸エステル等が挙げられる。特に好ましいトリ有機亜リン酸エステルはトリフェニル亜リン酸エステルである。このようなトリ有機亜リン酸エステルは例えば米国特許第3,527,809号及び同5,277,532号により詳細に記載されているのでその記載を参照されたい。
代表的な有機ポリ亜リン酸エステル化合物は二以上の三級(三価)のリン原子を含み、下式の化合物を含む。
Figure 0003970927
式中Xは炭素数が2〜40である置換又は非置換のn価の有機架橋基を表わし、R7は同じか又は異なっていてもよい炭素数が4〜40である二価の有機基を表わし、R8は同じか又は異なっていてもよい炭素数が1〜24である置換又は非置換の一価の炭化水素基を表わし、a及びbは同じか又は異なっていてもよく0〜6の値であり(但しa+bは2〜6の値である。)、nはa+bに等しい。もちろんaが2以上の場合に各R7が同じか又は異なっていてもよいことは理解されるべきであり、いかなる化合物においても各R8は同じか又は異なっていてもよい。
Xで表わされるn価(二価が好ましい。)の有機架橋基及びR7で表わされる二価の有機基の代表例として非環式基及び芳香族基の両方があり、例えばアルキレン、アルキレン−Qm−アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、ビスアリーレン、アリーレン−アルキレン、及び(CH2y−Qm−(CH2y−アリーレン(ここで各Q、y及びmは式(III)で定義したとりである。)基等がある。X及びR7で表わされる非環式基としては二価のアルキレン基がより好ましく、X及びR7で表わされる芳香族基としては二価のアリーレン基及びビスアリーレン基がより好ましく、それらは例えば米国特許第4,769,498号、同4,774,361号、同4,885,401号、同5,179,055号、同5,113,022号、同5,202,297号、同5,235,113号、同5,264,616号及び同5,364,950号並びにヨーロッパ特許出願公開第662,468号により詳細に記載されているので、その記載を参照されたい。R8で表わされる一価の炭化水素基としてはアルキル基又は芳香族基が好ましい。
例証となる好ましい有機ポリ亜リン酸エステル化合物には式(VI)〜(VIII)で表わされるものがある。
Figure 0003970927
Figure 0003970927
Figure 0003970927
式(VI)〜(VIII)中R7、R8及びXは上式(V)で定義したとりである。R7及びXはアルキレン、アリーレン、アリーレン−アルキレン−アリーレン及びビスアリーレンから成る群から選択される二価の炭化水素を表わすのが好ましく、R8はアルキル基及びアリール基から成る群から選択される一価の炭化水素を表わすのが好ましい。この式(V)〜(VIII)の有機亜リン酸エステル配位子は例えば米国特許第4,668,651号、同4,748,261号、同4,769,498号、同4,774,361号、同4,885,401号、同5,113,022号、同5,179,055号、同5,202,297号、同5,235,113号、同5,254,741号、同5,264,616号、同5,312,996号、同5,364,950号及び同5,391,801号に詳細に記載されているので、その記載を参照されたい。
より好ましい有機ビス亜リン酸エステルの代表例は式(IX)〜(XI)の化合物である。
Figure 0003970927
Figure 0003970927
Figure 0003970927
式中Ar、Q、R7、R8、X、m及びyは上で定義したとりである。Xは二価のアリール−(CH2y−Qm−(CH2y−アリール基(ここで各yは0は1であり、mは0又は1であり、Qは−O−、−S−又は−C(R32−(ここでR3は同じか又は異なっていてもよく水素又はメチル基を表わす。)である。)を表わすことが最も好ましい。上記に定義したR8の各アルキル基の炭素数が1〜24であって上式(IX)〜(XI)で定義したAr、Q、R7及びR8の各アリール基の炭素数が6〜18であることがより好ましく、これらの基は同じか又は異なっていてもよい。一方Xで表わされるアルキレン基の炭素数は2〜18であってR7で表わされるアルキレン基の炭素数は5〜18であることが好ましい。更に上式の二価のAr基及びXで表わされる二価アリール基はフェニレン基であることが好ましく、(CH2y−Qm−(CH2yで表わされる架橋基は式中の酸素原子に対してオルト位でそのフェニレン基に結合しており、その酸素原子は式中のリン原子に結合している。このフェニレンに置換基が存在する場合には、その置換基は常に、その置換フェニレン基をリン原子に結合する酸素原子に対して、フェニレン基のパラ位及び/又はオルト位に結合していることが好ましい。
更に式(I)〜(XI)の有機ポリ亜リン酸エステルはイオン性亜リン酸エステルであってもよく、即ち
−SO3M(ここでMは無機又は有機のカチオンを表わす。)
−PO3M(ここでMは無機又は有機のカチオンを表わす。)
−N(R93X1(ここでR9は同じか又は異なっていてもよく、アルキル、アリール、アルキルアリール、アルアルキル又はシクロアルキル基のような炭素数が1〜30である炭化水素基を表わし、X1は無機又は有機のアニオンを表わす。)
−CO2M(ここでMは無機又は有機のカチオンを表わす。)
から成る群から選択される一以上のイオン性部分を含んでもよい。これらは例えば米国特許第5,059,710号、同5,113,022号、同5,114,473号、同5,449,653号及びヨーロッパ特許出願公開第435,084号に記載されているので参照されたい。従って望むならば、このような有機ポリ亜リン酸エステル配位子は1〜3のイオン性部分を含んでもよく、この配位子が一より多いイオン性部分を含む場合には有機亜リン酸エステル配位子のアリール部分にこのようなイオン性部分が一つだけ置換されていることが好ましい。このイオン性有機亜リン酸エステルのアニオン部分に適当な対イオンM及びX1として、水素(即ちプロトン)、アルカリ金属及びアルカリ土類金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム及びストロンチウム)のカチオン、アンモニウムカチオン及び第四アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、アルソニウムカチオン並びにイミニウムカチオンが挙げられる。適当なアニオンとして硫酸イオン、炭酸イオン、リン酸イオン、塩素イオン、酢酸イオン、シュウ酸イオン等がある。
もちろん式(I)〜(XI)のこのようなイオン性又は非イオン性有機亜リン酸エステルにおけるR1、R2、R6、R7、R8、R9、W、X、Q及びArのいずれの基も、望むならば、この発明のプロセスの好ましい結果に過度の悪影響を及ぼさないような炭素数が1〜30のいかなる適当な置換基で置換されていてもよい。これらの基への置換基は、アルキル、アリール、アルキルアリール、アルアルキル又はシクロヘキシル置換基のような当然の炭化水素に加えて、例えば、−Si(R102のようなシリル基、−N(R102のようなアミノ基、−アリール−P(R102のようなホスフィン基、−C(O)R10のようなアシル基、−OC(O)R10のようなアシルオキシ基、−CON(R102及び−N(R10)COR10のようなアミド基、−SO2R10のようなスルホニル基、−OR10のようなアルコキシ基、−SOR10のようなスルフィニル基、−P(O)(R102のようなホスホニル基、並びにハロゲン、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、水酸基等を含む(ここで各R10は、同じか又は異なってもよく、炭素数が1〜18の一価炭化水素基(例えば、アルキル、アリール、アルキルアリール、アルアルキル又はシクロヘキシル基である。)であり、−N(R102のようなアミノ置換基の場合にはR10は窒素原子を含むヘテロ環基をも表わし、−CON(R102及び−N(R10)COR10のようなアミド置換基の場合には窒素原子に結合した各R10は水素であってもよい。)。もちろん特定有機亜リン酸エステルを形成するいずれの置換又は非置換の炭化水素基も同じか又は異なってもよい。
特に例証となる置換基はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、t−ブチル、neo−ブチル、n−ヘキシル、アミル、sec−アミル、t−アミル、iso−オクチル、ドデシル及びオクタドデシル等の一級、二級及び三級アルキル基、フェニル及びナフチル等のアリール基、ベンジル、フェニルエチル及びトリフェニルメチル等のアルアルキル基、トリル及びキシリル等のアルキルアリール基、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−メチルチクロヘキシル、シクロオクチル及びシクロヘキシルエチル等の脂環式基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、t−ブトキシ、−OCH2CH2OCH3、−O(CH2CH22OCH3及び−O(CH2CH23OCH3等のアルコキシ基、フェノキシ等のアリールオキシ基、並びに−Si(CH33、−Si(OCH33及び−Si(C3H73等のシリル基、−NH2、−N(CH32、−NHCH3及び−NH(C2H5)等のアミノ基、−P(C6H52等のアリールホスフィン基、−C(O)CH3、−C(O)C2H5及び−C(O)C6H5等のアシル基、−O(O)OCH3等のカルボニルオキシ基、−C(CO)C6H5等のオキシカルボニル基、−CONH2、−CON(CH32及び−NHC(O)CH3等のアミド基、−S(O)2C2H5等のスルホニル基、−S(O)CH3等のスルフィニル基、−SCH3、−SC2H5及び−SC6H5等のスルフェニル基、−P(O)(C6H52、−P(O)(CH32、−P(O)(C2H52、−P(O)(C3H72、−P(O)(C4H92、−P(O)(C6H132−P(O)CH3(C6H5)及び−P(O)(H)(C6H5)等のホスホニル基である。
特に例証となるこのような有機亜リン酸エステル配位子には下式
Figure 0003970927
を有する2−t−ブチル−4−メトキシフェニル(3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメトキシ−1,1'−ビフェニル−2,2'−ジイル)亜リン酸エステル、下式
Figure 0003970927
を有するメチル(3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメトキシ−1,1'−ビフェニル−2,2'−ジイル)亜リン酸エステル、下式
Figure 0003970927
を有する6,6'−[[4,4'−ビス(1,1'−ジメチルエチル)−[1,1'−ビナフチル]−2,2'−ジイル]ビス(オキシ)]ビス−ジベンゾ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン、下式
Figure 0003970927
を有する6,6'−[[3,3−ビス(1,1'−ジメチルエチル)−5,5'−ジメトキシ−[1,1'−ビフェニル]−2,2'−ジイル]ビス(オキシ)]ビス−ジベンゾ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン、下式
Figure 0003970927
を有する6,6'−[[3,3',5,5'−テトラキス(1,1'−ジエテルプロピル)−[1,1'−ビフェニル]−2,2'−ジイル]ビス(オキシ)]ビス−ジベンゾ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン、下式
Figure 0003970927
を有する6,6'−[[3,3',5,5'−テトラキス(1,1'−ジメチルエチル)−[1,1'−ビフェニル]−2,2'−ジイル]ビス(オキシ)]ビス−ジベンゾ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン、下式
Figure 0003970927
を有する(2R,4R)−ジ[2,2'−(3,3',5,5'−テトラキス−tert−アミル−1,1'−ビフェニル)]−2,4−ペンチルジ亜リン酸エステル、下式
Figure 0003970927
を有する(2R,4R)−ジ[2,2−(3,3',5,5'−テトラキス−tert−ブチル−1,1'−ビフェニル)]−2,4−ペンチルジ亜リン酸エステル、下式
Figure 0003970927
を有する(2R,4R)−ジ[2,2'−(3,3'−ジアミル−5,5'−ジメトキシ−1,1'−ビフェニル)]−2,4−ペンチルジ亜リン酸エステル、下式
Figure 0003970927
を有する(2R,4R)−ジ[2,2'−(3,3'−ジ−tert−ブチルー5,5'−ジメチル−1,1'−ビフェニル)]−2,4−ペンチルジ亜リン酸エステル、下式
Figure 0003970927
を有する(2R,4R)−ジ[2,2'−(3,3'−ジ−tert−ブチル−5,5'−ジエトキシ−1,1'−ビフェニル)]−2,4−ペンチルジ亜リン酸エステル、下式
Figure 0003970927
を有する(2R,4R)−ジ[2,2'−(3,3'−ジ−tert−ブチル−5,5'−ジエチル−1,1'−ビフェニル)]−2,4−ペンチルジ亜リン酸エステル、下式
Figure 0003970927
を有する(2R,4R)−ジ[2,2'−(3,3'−ジ−tert−ブチル−5,5'−ジメトキシ−1,1'−ビフェニル)]−2,4−ペンチルジ亜リン酸エステル、下式
Figure 0003970927
を有する6−[[2'−[(4,6−ビス(1,1'−ジメチルエチル)−1,3,2−ベンゾジオキサホスホル−2イル)オキシ]−3,3−ビス(1,1'−ジメチルエチル)−5,5'−ジメトキシ[1,1'−ビフェニル]−2イル]オキシ]−4,8−ビス(1,1'−ジメチルエチル)−2,10−ジメトキシジベンゾ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン、下式
Figure 0003970927
を有する6−[[2'−[(1,3,2−ベンゾジオキサホスホル−2イル)オキシ]−3,3'−ビス(1,1'−ジメチルエチル)−5,5'−ジメトキシ[1,1'−ビフェニル]−2イル]オキシ]−4,8−ビス(1,1'−ジメチルエチル)−2,10−ジメトキシジベンゾ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン、下式
Figure 0003970927
を有する6−[[2'−[(5,5'−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2イル)オキシ]−3,3'−ビス(1,1'−ジメチルエチル)−5,5'−ジメトキシ[1,1'−ビフェニル]−2イル]オキシ]−4,8−ビス(1,1'−ジメチルエチル)−2,10−ジメトキシジベンゾ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン、下式
Figure 0003970927
を有する2'−[[4,8−ビス(1,1'−ジメチルエチル)−2,10−ジメトキシジベンゾ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン−6イル]オキシ]−3,3'−ビス(1,1'−ジメチルエチル)−5,5'−ジメトキシ[1,1'−ビフェニル]−2−イルビス(4−ヘキシルフェニル)の亜リン酸エステル、下式
Figure 0003970927
を有する2−[[2−[[4,8−ビス(1,1'−ジメチルエチル),2,10−ジメトキシジベンゾ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン−6イル]オキシ]−3−(1,1'−ジメチルエチル)−5−メトキシフェニル]メチル]−4−メトキシ,6−(1,1−ジメチルエチル)フェニルジフェニルの亜リン酸エステル、下式
Figure 0003970927
を有する3−メトキシ−1,3−シクロヘキサメチレンテトラキス[3,6−ビス(1,1'−ジメチルエチル)−2−ナフタレニル]の亜リン酸エステル、下式
Figure 0003970927
を有する2,5−ビス(1,1'−ジメチルエチル)−1,4−フェニレンテトラキス[2,4−ビス(1,1'−ジメチルエチル)フェニル]の亜リン酸エステル、下式
Figure 0003970927
を有するメチレンジ−2,1−フェニレンテトラキス[2,4−ビス(1,1'−ジメチルエチル)フェニル]の亜リン酸エステル、及び下式
Figure 0003970927
を有する[1,1'−ビフェニル]−2,2'−ジイルテトラキス[2−(1,1'−ジメチルエチル)−4−メトキシフェニル]の亜リン酸エステルが含まれる。
上記のようにこの発明で使用可能な金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒をこの分野で公知の方法で作ってもよい。この金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒は均一系又は不均一系であってもよい。例えば、ロジウムヒドリド−カルボニル−有機亜リン酸エステル配位子触媒を合成し、ヒドロホルミル化プロセスの反応混合物に加えてもよい。より好ましくは、このロジウム−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒を、その反応媒体に加えるとそのまま活性触媒を形成するロジウム触媒前駆体から誘導することもできる。例えば、ロジウムジカルボニルアセチルアセトネート、Rh2O3、Rh4(CO)12、Rh6(CO)16、Rh(NO33等のロジウム触媒前駆体を有機亜リン酸エステル配位子と共に反応混合物に加えるとそのまま活性触媒を形成する。この発明の好ましい具体化例によれば、ロジウムジカルボニルアセチルアセトネートをロジウム前駆体として採用し、これを溶剤の存在下で有機亜リン酸エステル配位子と反応させて触媒性ロジウム−有機亜リン酸エステル配位子錯体前駆体を形成させ、それを過剰な(遊離)有機亜リン酸エステル配位子と共に反応容器に加えてそのまま活性触媒を形成させる。いかなる場合にも、一酸化炭素、水素及び有機亜リン酸エステル化合物が金属と錯体形成できる可能性のある配位子のすべてであること、並びにヒドロホルミル化反応に用いられる条件下で反応混合物中に活性な金属−有機亜リン酸エステル配位子触媒が存在することがこの発明の目的にとっての十分条件である。
特に触媒前駆体化合物を、本質的に可溶化された金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体前駆体触媒、有機溶媒及び遊離有機亜リン酸エステル配位子から形成することができる。ここに定義するような有機亜リン酸エステル配位子と組み合せて錯体形成するか又はしなくてもよい酸化ロジウム、水素化ロジウム、ロジウムカルボニル若しくは硝酸塩等のロジウム塩のようなロジウム出発物質の溶液を形成することによりこのような前駆体組成物を合成してもよい。ロジウムジカルボニルアセチルアセトネート、Rh2O3、Rh4(CO)12、Rh6(CO)16、Rh(NO33及び有機亜リン酸エステル配位子ロジウムカルボニルヒドリドのようないかなる適当なロジウム出発物質を用いてもよい。カルボニル及び有機亜リン酸エステル配位子は、もし最初のロジウムと既に錯体形成をしていないならば、ヒドロホルミル化プロセスの前又はその最中にそのままこのロジウムと錯体形成してもよい。
例証によれば、好ましい触媒前駆体組成物は、ここに定義したロジウムジカルボニルアセチルアセトネート、有機溶媒及び有機亜リン酸エステル配位子からなる溶液から合成された、本質的に可溶化されたロジウムカルボニル有機亜リン酸エステル配位子錯体前駆体触媒、溶媒及び任意の遊離有機亜リン酸エステル配位子から成る。この有機亜リン酸エステル配位子は、室温でロジウムジアセチルアセトネート錯体前駆体のカルボニル配位子のうちの一つを直ちに置換し、その際一酸化炭素の放出が観測されている。この置換反応は望むならばその溶液を加熱することにより促進される。ロジウムジアセチルアセトネート錯体前駆体及びロジウム有機亜リン酸エステル配位子錯体前駆体が溶解可能ないかなる適当な有機溶剤を用いてもよい。ロジウム錯体前駆体、有機溶剤及び有機亜リン酸エステル配位子の量並びにこのような触媒前駆体組成物中に存在する好ましいそれらの具体例は、この発明のヒドロホルミル化プロセスに採用可能なこれらの量に相当するものであってもよい。経験によれば、この前駆体触媒のアセチルアセトネート配位子はヒドロホルミル化プロセスが始まった後に水素、一酸化炭素又は有機亜リン酸エステル配位子等の別の配位子で置換され上記で説明した活性な複合触媒を形成する。ヒドロホルミル化プロセスの条件下で前駆体触媒から遊離したアセチルアセトネートはアルデヒド生成物として反応媒体から除去され、このヒドロホルミル化プロセスに有害とはならない。このような好ましいロジウム錯体触媒性前駆体組成物を用いることは、ロジウム前駆体の取り扱いと及びヒドロホルミル化の開始のための簡単な経済的で効果的な方法を提供するものである。
従って、この発明のプロセスで使用される金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒は本質的に一酸化炭素と錯体形成した金属及び有機亜リン酸エステル配位予から成り、その配位子はキレートを形成した形態及び/又はキレートを形成しない形態でその金属に結合(錯体形成)する。更にここで用いた“本質的に---から成る”という言葉は、一酸化炭素及び有機亜リン酸エステル配位子に加えてその金属と錯体形成した水素を除外せずに含む。更に、この言葉はこの金属と錯体形成するかもしれないこの他の有機配位子及び/又はアニオンを含む可能性を排除するものでもない。この触媒を過度に反対に毒したり過度に不活性化するような量の材料は望ましくなく、そのためこの触媒は金属に結合したハロゲン(塩素等)のような不純物を、それらは必ず必要なものでもないが、含まないことが最も好ましい。活性金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒のハロゲン及び/又はカルボニル配位子は、前駆体触媒に結合した配位子であることの結果及び/又はこの発明のヒドロホルミル化プロセスに採用された水素及び一酸化炭素ガスからそのまま生成した結果存在してもよい。
既に記したようにこの発明のヒドロホルミル化プロセスでは、ここに記載した金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒を使用する。もちろん所望ならばこのような触媒の混合物を用いてもよい。この発明の反応媒体中の金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒の量は、採用される所望の金属濃度を与えるような必要最小限の量でよく、それにより特定のヒドロホルミル化プロセスを触媒作用するのに必要な金属の少なくとも触媒として働く量の基礎を提供する。一般的にヒドロホルミル化反応媒体中に、フリーロジウムとして計算して、約10〜約1000ppmの範囲のロジウム等の金属濃度がほとんどのプロセスについて十分であり、約10〜500ppmの範囲が好ましく、約25〜350ppmの範囲がより好ましい。
この金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒に加えて、遊離有機亜リン酸エステル配位子(即ち、その金属と錯体形成していない配位子)がヒドロホルミル化反応媒体中に存在していてもよい。この遊離有機亜リン酸エステル配位子は、ここで用いることのできるものとして議論された上記に定義したいかなる有機亜リン酸エステル配位子に相当するものであってもよい。この遊離有機亜リン酸エステル配位子が採用された金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒の有機亜リン酸エステル配位子と同じであることが好ましい。しかし、このような配位子はいかなるプロセスにおいても同じである必要はない。この発明のヒドロホルミル化プロセスでは、ヒドロホルミル化反応媒体中に、金属1モルあたり約0.1〜約100モルの遊離有機亜リン酸エステル配位子を含んでもよい。この発明のヒドロホルミル化プロセスは約1〜約50モルの有機亜リン酸エステル配位子の存在下で行われることが好ましく、約1.1〜約4モルがより好ましい。この有機亜リン酸エステル配位子の量は金属に結合(錯体形成)ている有機亜リン酸エステル配位子の量及び遊離(錯体形成していない)有機亜リン酸エステル配位子の量の合計である。アキラルなオレフィンをヒドロホルミル化して光学不活性なアルデヒドを製造することが好ましいので、アキラルタイプの有機亜リン酸エステル配位子が好ましい有機亜リン酸エステル配位子であり、特に式(V)以降、より特には(VI)及び(IX)以降、の有機亜リン酸エステル配位子がより好ましい。もちろん望むならばメータアップ又は付加的な有機亜リン酸エステル配位子をヒドロホルミル化プロセスの反応媒体に、いかなる時点においても又いかなる適当な方法によっても(例えば、反応媒体中の遊離配位子の濃度を維持するために)、供給することは可能である。
上記のように、ヒドロホルミル化触媒はその反応の最中及び/又は生成物を分離する最中に不均一形態であってもよい。このような触媒は特にオレフィンをヒドロホルミル化して高沸点又は温度検知性アルデヒドを製造するのに有利であり、その触媒はろ過又は低温のデカンテーションにより製品から分離することができる。例えば、その触媒がヒドロホルミル化プロセス及び分離段階の間に固体形態を維持するように又は高温で液状反応媒体に可溶であり冷却時に沈殿するように、ロジウム触媒を支持体に付着させてもよい。
例証のように、このロジウム触媒を、無機酸化物(即ち、アルミナ、シリカ、チタニア又はジルコニア)、炭素又はイオン交換樹脂のようないかなる固体の支持体に含浸してもよい。ゼオライト、ガラス又はクレイをこの触媒の支持体としてもよいし、これらの細孔内部にこの触媒を挿入してもよい。またこの触媒をこのゼオライトやガラスの細孔に塗布する液状フィルムに溶解させてもよい。このようなゼオライトに支持された触媒は特に一以上の位置異性体アルデヒドを高度に選択的に製造するのに有利である(この高度な選択性はこのゼオライトの細孔径で定まる。)。当業者に知られている初期湿潤法(incipient wetness)等の触媒を固体上に支持させる技術を用いてもよい。このように形成された固体触媒は一以上の上記に定義した配位子と錯体形成していてもよい。このような固体触媒に関する記載は、例えば、J.Mol.Cat.1991,70,363-368;Catal.Lett.1991,8,209-214;J.Organomet.Chem,1991,403,221-227;Nature,1989,339,454-455;J.Catal.1985,96,563-573;J.Mol.Cat.1987,39,243-259に見られる。
ロジウム等の金属の触媒を、J.Mol.Cat.1990,63,213-221に記載されているような酢酸セルロース又はポリフェニルスルホン等の薄いフィルム又は薄膜の支持体に付着させてもよい。
またロジウム等の金属の触媒を、高分子に取り入れられた亜リン酸エステルのような有機亜リン含有配位子を経由して不溶性高分子支持体に付着させてもよい。この支持された触媒は、それに取り入れられた高分子又はリン含有種により制限されない。高分子に支持された触媒に関する記載は、例えば、J.Mol.Cat.1993,83,17-35;Cmentech 1983,46;J.Am.Chem.Soc.,1978,109,7122-7127に見られる。
上記に記載された不均一触媒中に触媒がヒドロホルミル化及び触媒分離の全行程中の間不均一形態のままであってもよい。この発明の別の好ましい具体化例において、この触媒は、その分子量の性質により高温で反応媒体に可溶であるが冷却時には沈殿するポリマーで支持されてもよく、そのため反応媒体から触媒を分離することが促進される。この“可溶”なポリマーで支持された触媒は例えば、Polymer,1992,33,161;J.Org.Chem.1989,54,2726-2730に記載されている。
この反応は生成物が高沸点のため生成物のアルデヒドの分解を避けるためにスラリー相で行われるのがより好ましい。次にこの触媒を例えばろ過又はデカンテーションにより生成物混合物から分離する。この反応生成物は例えばスラリー状の不均一金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒を含んでいてもよい。又はヒドロホルミル化プロセスの間この反応生成物の一部が固定された不均一金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒に接触していてもよい。この発明の具体化例によれば、この金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒は反応生成物液体中でスラリー状であってもよい。
この発明のヒドロホルミル化プロセスに採用してもよい置換又は非置換のオレフィン系出発反応物は炭素数が2〜40の、好ましくは4〜20の、光学活性(プロキラル及びキラル)及び光学不活性(アキラル)のオレフィン系不飽和化合物の双方を含む。このようなオレフィン系不飽和化合物はその端末又はその鎖の内部(途中)が不飽和であってもよく、直鎖、分枝又は環状構造であってもよく、(米国特許第4,518,809号及び同4,528,403号に開示されているようなプロピレンの二量体、三量体又は四量体等と呼ばれるような)プロペン、ブテン、イソブテン等をオリゴマー化して得たようなオレフィンの混合物であってもよい。更にこのようなオレフィン系化合物が一以上のエチレン系不飽和基を含んでもよく、もちろん望むならば一以上の異なったオレフィン系不飽和化合物の混合物をヒドロホルミル化の出発物質として用いてもよい。例えば市販の炭素数が4以上のα−オレフィンは微量の相当する内部オレフィン及び/又はそれらに相当する不飽和炭化水素を含んでいてもよく、このような市販のオレフィンをヒドロホルミル化される前に精製する必要はない。例証となるヒドロホルミル化プロセスに採用されてもよいオレフィン出発物質の混合物は例えばラフィネートI及びIIのような混合ブテンを含む。更にこのようなオレフィン系不飽和化合物及びこれから誘導されたアルデヒド生成物は、例えば米国特許第3,527,809号及び同4,769,498号等に記載されているような、ヒドロホルミル化プロセス又はこの発明のプロセスに過度の悪影響を与えないような一以上の基若しくは置換基を含んでもよい。
より好ましくはこの主発明は特に、炭素数が2〜30、好ましくは4〜20、のアキラルなα−オレフィン又は炭素数が4〜20のアキラルな内部オレフィンを、このようなα−オレフィン及び内部オレフィンの混合物を出発物質として用いて、ヒドロホルミル化することによる光学不活性なアルデヒドの製造に有効である。
例証となるα−オレフィン及び内部オレフィンには例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、2−ブテン、2−メチルプロペン(イソブチレン)、2−メチルブテン、2−ペンテン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、2−ヘプテン、2−オクテン、シクロヘキセン、プロピレン二量体、プロピレン三量体、プロピレン四量体、ブタジエン、ピペリレン、イソプレン、2−エチル−1−ヘキセン、スチレン、4−メチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、4−tert−ブチル−α−メチルスチレン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、3−シクロヘキシル−1−ブテン等、ブタジエン等の1,3−ジエン、メチルペンテノエート等のアルキルアルケノエート、アルケニルアルカノエート、アルケニルアルキルエーテル、ペンテノール等のアルケノール、ペンテナール等のアルケナール、アリルアルコール、アリルブチレート、ヘキサ−1−エン−4−オール、オクタ−1−エン−4−オール、酢酸ビニル、酢酸アリル、酢酸−3−ブテニル、ビニルプロピオネート、アリルプロピオネート、メチルメタクリレート、ビニルエチルエーテル、ビニルメチルエーテル、アリルエチルエーテル、n−プロピル−7−オクタノエート、3−ブテンニトリル、5−ヘキセンアミド、オイゲノール、イソ−オイゲノール、サフロール、イソ−サフロール、アネトール、4−アリルアニソール、インデン、リモネン、β−ピネン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン、カンフェン、リナロオール等がある。
この発明のエナンチオマーアルデヒド混合物を製造するために使用可能な非対称ヒドロホルミル化に有用なプロキラル及びキラルオレフィンには下式で表わされるオレフィンが含まれる。
Figure 0003970927
式中R1、R2、R3及びR4は同じか又は異なっていてもよく(但し、R1はR2と異なるか又はR3はR4と異なる。)、水素、アルキル、置換アルキル(この置換基はベンジルアミノ及びジベンジルアミノ等のジアルキルアミノ、メトキシ及びエトキシ等のアルコキシ、アセトキシ等のアシルオキシ、ハロ、ニトロ、ニトリル、チオ、カルボニル、カルボキシアミド、カルボキシアルデヒド、カルボキシル及びカルボン酸エステルから成る群から選択される。)、アリール(フェニルを含む。)、置換アリール(置換フェニルを含み、この置換基はアルキル、アルキルアミノ並びにベンジルアミノ及びジベンジルアミノを含むジアルキルアミノ、水酸基、メトキシ及びエトキシ等のアルコキシ、アセトキシ等のアシルオキシ、ハロ、ニトリル、ニトロ、カルボキシル、カルボキシアルデヒド、カルボン酸エステル、カルボニル及びチオから成る群から選択される。)、アシルオキシ(アセトキシ等)、アルコキシ(メトキシ及びエトキシ等)、アミノ(アルキルアミノ並びにベンジルアミノ及びジベンジルアミノ等のジアルキルアミノを含む。)、アシルアミノ及びジアシルアミノ(アセチルベンジルアミノ及びジアセチルアミノ等)、ニトロ、カルボニル、ニトリル、カルボキシル、カルボキシアミド、カルボキシアルデヒド、カルボン酸エステル及びアルキルメルカプト(メチルメルカプト等)から成る群から選択される。この定義のプロアキラル及びキラルオレフィンは上記一般式の分子(但し、Rは3−メチル−1−シクロヘキセン等の環状化合物に結合している。)を含むことを理解されたい。
例証となる非対称ヒドロホルミル化プロセスに有用な光学活性又はプロアキラルのオレフィン化合物は例えば、p−イソプロピルスチレン、2−ビニル−6−メトキシ−2−ナフチレン、3−エチレンフェニルフェニルケトン、4−エチレンフエニル−2−チエニルケトン、4−エテニル−2−フルオロビフェニル、4−(1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−イソインドル−2−イル)スチレン、2−エテニル−5−ベンゾイルチオフェン、3−エテニルフェニルフェニルエーテル、プロペニルベンゼン、イソブチル−4−プロペニルベンゼン、フェニルビニルエーテル等を含む。この他のオレフィン系化合物は米国特許第4,329,507号、同5,360,938号及び同5,491,226号に記載されているような置換アリールエチレンを含み、詳細についてはその記載を参照されたい。
例証となる適当な置換及び非置換のオレフィン系出発物質はカークオスマー、エンサイクロペディア オブ ケミカルテクノロジー、四版、1996に記載されているので、詳細についてはその記載を参照されたい。
この発明のヒドロホルミル化プロセスの反応条件は光学活性及び/又は光学不活性なアルデヒドを製造するために採用されるいかなる適当なタイプのヒドロホルミル化の条件を含んでもよい。例えば、水素、一酸化炭素及びヒドロホルミル化プロセスのオレフィン系出発化合物の全ガス圧は1〜10,000psia(0.07〜703kg/cm2(絶対圧、以下同様))、好ましくは2,000psia(140.6kg/cm2)以下、より好ましくは500psia(35.1kg/cm2)以下であってもよい。この全圧の最低値は主に所望の反応速度を得るために必要な反応物の量により制限される。より特にはこの発明のヒドロホルミル化プロセスの一酸化炭素の分圧は約1〜1,000psia(0.07〜70.3kg/cm2)が好ましく、約3〜800psia(0.21〜56.2kg/cm2)がより好ましい。一方水素の分圧は約5〜500psia(0.35〜35.1kg/cm2)が好ましく、約10〜300psia(0.70〜21.1kg/cm2)がより好ましい。一般的に水素と一酸化炭素のモル比(H2:CO)は約1:10〜100:1が好ましく、約1:10〜10:1がより好ましい。更にヒドロホルミル化プロセスは−25〜200℃で行ってもよい。一般にはオレフィン系出発物質を用いる場合にはすべて50〜120℃で行われることが好ましい。もちろん光学不活性アルデヒドが所望される場合にはアキラルタイプのオレフィン系出発物質と有機亜リン酸エステル配位子が用いられ、光学活性アルデヒドが所望される場合にはプロキラル又はキラルタイプのオレフィン系出発物質と有機亜リン酸エステル配位子が用いられることは理解されたい。もちろんヒドロホルミル化プロセス反応条件が所望のアルデヒドのタイプに支配されることも理解されたい。
この発明のヒドロホルミル化プロセスに有用な二酸化炭素の分圧は有機亜リン酸エステル配位子を実質的に分解し及び/又は金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒を失活させることに影響を及ぼさないようなものである。この二酸化炭素の分圧は全ガス圧に対して約0.1〜70モル%が好ましく、約5〜70モル%がより好ましく、典型的には約5モル%である。ここで用いた“有機亜リン酸エステル配位子を実質的に分解し及び/又は金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒を失活させる”とは有機亜リン酸エステル配位子の50%以上の分解(この有機亜リン酸エステル配位子の初期濃度で連続30日間操作した場合)及び金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒の50%以上の失活(この金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒の最高活性レベルで連続30日間操作した場合)をいう。
この発明は二酸化炭素を採用するヒドロホルミル化プロセスの経済性を改善するために有効である。典型的にはオキソ反応系に加えられる前に二酸化炭素は合成ガスから除去される。上記のように二酸化炭素除去装置のための資本投資は重要である。この発明では二酸化炭素の除去は必要無いので、オキソプラントにおける投資は顕著に削減される。即ち、この発明のヒドロホルミル化プロセスは、有機亜リン酸エステル配位子を実質的に分解し金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒を失活させることに影響を及ぼさずに、二酸化炭素の存在下で行うことができる。この発明はオキソ反応系に典型的に必要とされる高い資本コストを顕著に下げる。
正確な理論や機械の論文に束縛されることは望まないが、スルホン化トリアル
正確な理論や機械の論文に束縛されることは望まないが、スルホン化トリアルキルホスフィンを用いた場合の二酸化炭素の抑制効果は、二酸化炭素を触媒水溶液に溶解した場合に生成する比較的高濃度の炭酸によるものである。米国特許第3,555,098号は酸がヒドロホルミル化速度を遅くする可能性があることを開示している。この酸は水素化ロジウム配位子錯体の量を減らすことにより抑制効果を及ぼすのかもしれない。この発明で用いる金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒と共に、二酸化炭素から生じて触媒水溶液に溶解している炭酸の濃度はヒドロホルミル化速度に検知可能なほどに影響を及ぼすには十分ではない。
この発明は水の使用も含み、触媒性活性促進添加剤の存在下でこのプロセスを行う段階から成る米国特許第5,288,918号の発明を採用するような連続液状触媒再循環ヒドロホルミル化プロセスにおける使用に適しており、その添加剤は加えられた水、弱酸性化合物(例えば、ビスフェノール)又は水と弱酸性化合物の双方から成る群から選択される。この促進添加剤は望ましくないモノ亜リン酸エステル副生物を選択的に加水分解することを援助し、その生成を防止するために用いられる。この副生物は特定プロセス中に生成しここで説明した金属触媒を毒する。この発明の好ましいヒドロホルミル化プロセスは本質的に“非水性”プロセスであると考えられる。即ち、ヒドロホルミル化反応媒体中に存在するいかなる水も溶解された水であり、例えば水はヒドロホルミル化反応媒体等を有機相に加えて分離した水又は水性相若しくは層を含むようにするに十分な量では存在しない。
従って、この発明のヒドロホルミル化プロセスで用いることのできるこのような水の量は、米国特許第5,288,918号に記載されたような有機亜リン酸エステル配位子副生物の所望の選択的加水分解を達成するために必要な最小量であることのみが必要である。このような水の量はヒドロホルミル化反応媒体の全重量に対して約0.01〜10重量%又は望むならばそれ以上である。もちろん所望の有機亜リン酸エステル配位子を好ましくない速度で逆加水分解するかもしれない水の量は避けるべきである。上記のように従来の望まれる一相(有機性)ヒドロホルミル化反応媒体に反して二相(有機性−水性)のヒドロホルミル化反応媒体をもたらす水の量は避けるべきである。一般的にヒドロホルミル化反応媒体の全重量に対して約0.05〜10重量%の範囲の水の量を採用するのが好ましい。
この発明のヒドロホルミル化プロセスは金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒及び遊離有機亜リン酸エステル配位子のための有機溶剤の存在下で行ってもよい。この溶媒はまた溶解された水を飽和限界まで含んでもよい。採用した触媒及び反応物によって、適当な有機溶媒が例えばアルコール、アルカン、アルケン、アルキン、エーテル、アルデヒド、高沸点アルデヒド縮合副生物、ケトン、エステル、アミド、三級アミン、芳香族等を含んでもよい。過度にヒドロホルミル化反応に悪影響を与えない適当な溶剤ならなんでも用いることが可能であって、このような溶媒には公知の金属で触媒作用されたヒドロホルミル化反応で一般に採用されていてここで開示されたものを含んでもよい。所望ならば一以上の異なる溶剤の混合物を用いてもよい。一般的にアキラルな(光学不活性な)アルデヒドの製造に関して、この分野で公知の主有機溶剤として製造することが好ましいアルデヒド生成物及び/又は高沸点アルデヒド液状縮合副生物を採用することが好ましい。このようなアルデヒド液状縮合副生物を望むならば予め生成し使用することも可能である。アルデヒドの製造に使用可能な例証となる好ましい溶剤にはケトン(例えば、アセトン及びメチルエチルケトン)、エステル(例えば、酢酸エチル)、炭化水素(例えば、トルエン)、ニトロ化炭化水素(例えば、ニトロベンゼン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF))及びスルホランが含まれる。適当な溶剤は米国特許第5,312,996号に開示されている。採用される溶剤の量は主発明にとって重要なものではなく、処理すべきヒドロホルミル化反応混合物の触媒及び遊離配位子を溶解するに十分な量のみが必要である。一般的に溶剤の量はヒドロホルミル化反応混合出発物質の全重量に対して約5〜99重量%の範囲であるのが好ましい。
従って例証となる光学不活性アルデヒド生成物には例えば、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−メチル−1−ブチルアルデヒド、ヘキサナール、ヒドロキシヘキサナール、2−メチルバレルアルデヒド、ヘプタナール、2−メチル−1−ヘキサナール、オクタナール、2−メチル−1−ヘプタナール、ノナナール、2−メチル−1−オクタナール、2−エチル−1−ヘプタナール、3−プロピル−1−ヘキサナール、デカナール、アジポアルデヒド、2−メチルグルタルアルデヒド、2−メチルアジポアルデヒド、3−メチルアジポアルデヒド、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド、6−ヒドロキシヘキサナール、2−,3−及び4−ペンタナール等のアルケナール、アルキル−5−ホルミルバレレート、2−メチル−1−ノナナール、ウンデカナール、2−メチル−1−デカナール、ドデカナール、2−メチル−1−ウンデカナール、トリデカナール、2−メチル−1−トリデカナール、2−エチル−1−ドデカナール、3−プロピル−1−ウンデカナール、ペンタデカナール、2−メチル−1−テトラデカナール、ヘキサデカナール、2−メチル−1−ペンタデカナール、ヘプタデカナール、2−メチル−1−ヘキサデカナール、オクタドデカナール、2−メチル−1−ヘプタデカナール、ノノデカナール、2−メチル−1−オクタデカナール、2−エチル−1−ヘプタデカナール、3−プロピル−1−ヘキサデカナール、エイコサナール、2−メチル−1−ノナデカナール、ヘネエイコサナール、2−メチル−1−エイコサナール、トリコサナール、2−メチル−1−ドコサナール、テトラアコサナール、2−メチル−1−トリコサナール、ペンタコサナール、2−メチル−1−テトラコサナール、2−エチル−1−トリコサナール、3−プロピル−1−ドコサナール、ヘプタコサナール、2−メチル−1−オクタコサナール、ノナコサナール、2−メチル−1−オクタコサナール、ヘントリアコンタナール、2−メチル−1−トリアコンタナール等がある。
光学不活性活性アルデヒド生成物には、この発明の非対称ヒドロホルミル化プロセスにより生成した(エナンチオ)アルデヒド生成物が含まれる。例えば、S−2−(p−イソブシルフェニル)−プロピオンアルデヒド、S−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオンアルデヒド、S−2−(3−ベンゾイルフェニル)−プロピオンアルデヒド、S−2−(p−チエノイルフェニル)−プロピオンアルデヒド、S−2−(3−フルオロ−4−フェニル)−フェニルプロピオンアルデヒド、S−2−[4−(1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]−プロピオンアルデヒド、S−2−(2−メチルアセトアルデヒド)−5−ベンゾイルチオフェン等がある。
例証となる適当な置換又は非置換のアルデヒド生成物には、カークオスマー、エンサイクロペディア オブ ケミカル テクノロジー、四版、1996に記載されている透過性置換又は非置換のアルデヒド化合物が含まれるので、詳細についてはその記載を参照されたい。
上記のように、一般的にはこの発明のヒドロホルミル化プロセスを連続法で実施することが好ましい。一般的に、連続ヒドロホルミル化プロセスはこの分野で公知であり、(a)溶剤、金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒及び遊離有機亜リン酸エステル配位子の液状均一反応混合物の中で、オレフィン系出発物質を一酸化炭素及び水素でヒドロホルミル化する段階、(b)そのオレフィン系出発物質のヒドロホルミル化に有利な反応温度及び圧力を維持する段階、(c)オレフィン系出発物質、一酸化炭素及び水素の製造量を反応媒体に供給しそれらを消費する段階、並びに(d)所望のアルデヒドヒドロホルミル化生成物をいずれかの所望の方法で回収する段階とから成る。連続プロセスをシングルパスモードで行ってもよい。即ち、未反応オレフィン系出発物質及び気化したアルデヒド生成物の気相混合物をその液状反応混合物から除去し、そこからアルデヒド生成物を回収して、未反応オレフィン系出発物質を再循環しないで次のシングルパスのためにオレフィン系出発物質、一酸化炭素及び水素を液状反応媒体に供給する。このタイプの再循環方法はこの分野で公知であり、米国特許第4,148,830号に記載されているような所望のアルデヒド反応生成物から分離された金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒を液状で再循環する方法、又は米国特許第4,247,830号に記載されているような気体再循環方法、又はこれらの組み合わせが含まれる。この詳細は前記米国特許第4,148,830号及び同4,247,486号に記載されているので参照されたい。最も好ましいこの発明のヒドロホルミル化プロセスは連続液状触媒再循環プロセスである。適当な液状触媒再循環プロセスは例えば米国特許第4,668,651号、同4,774,361号、同5,102,505号及び同5,110,990号に記載されている。
この発明の好ましい具体化例では、いかなる適当な方法によりアルデヒド混合物がその中で製造された粗反応混合物中の他の成分からアルデヒド生成物混合物を分離してもよい。適当な分離方法には例えば、溶剤抽出、結晶化、蒸留、蒸発、掃引フィルム蒸発、落下フィルム蒸発、相分離、ろ過等がある。公開されたPCT国際出願WO88/08835に記載されている補足剤を使用して粗反応混合物からアルデヒド生成物を除去することが望まれてもよい。粗反応混合物中の他の成分からアルデヒド生成物混合物を分離するための好ましい方法には膜分離による方法がある。このような膜分離は米国特許第5,430,194号及び1995年5月5日に出願された同時継続米国特許出願第08/430,790号に記載されているように行ってもよい。
上記のように、この発明のプロセスを終了するときに(又はその最中に)、この発明で用いた反応混合物から所望のアルデヒドを回収してもよい。例えば米国特許第4,148,830号及び同4,247,486号に記載されている回収技術を用いてもよい。例えば、連続液状触媒再循環プロセスでは、液状反応混合物(アルデヒド生成物、触媒等を含む)、即ち反応生成物の液体、の一部を反応域から除去して分離域(例えば、蒸発器/分離機)に移送し、そこで所望のアルデヒドを通常圧、減圧又は加圧下で一以上の蒸留段階により分離し、製品受け器中に濃縮して集め、望むならば更に生成することもできる。次に液状反応混合物を含むこの残留非蒸発触媒を例えば蒸留により濃縮アルデヒド生成物から分離した後に反応生成物液体に溶解している水素及び一酸化炭素と共に反応容器に再循環する。一般的に有機亜リン酸エステル配位子及び反応生成物の分解の可能性を防ぐために減圧下及び低温で触媒を含んだ反応混合物から所望のアルデヒドを分離することが好ましい。α−モノ−オレフィン反応物をまた用いる場合には、そのアルデヒド誘導体を上記の方法で分離してもよい。
より特には反応生成物液体を含む金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒から所望のアルデヒド生成物を蒸留及び分離する段階はいかなる所望の温度で行ってもよい。一般的にこのような蒸留を比較的低温で、例えば150℃以下で、より好ましくは50〜140℃で行ってもよい。又一般的にはこのようなアルデヒドの蒸留を減圧下で行ってもよい。例えば低沸点アルデヒド(例えば炭素数が4〜6)を用いる場合には全ガス圧をヒドロホルミル化プロセス中の全ガス圧より低くするか又は高沸点アルデヒド(例えば炭素数が7以上)を用いる場合には真空で行ってもよい。例えば、ヒドロホルミル化反応容器から取出された反応生成物液体媒体を減圧し液状媒体中に溶解している未反応ガスを気化させる。その媒体はヒドロホルミル化反応媒体中に存在していたときよりもはるかに少ない合成ガスを含む。そしてそれを所望のアルデヒドを蒸留する蒸留域(例えば、蒸発器/分離機)に移送する。一般的に真空から50psia(3.5kg/cm2)の蒸留圧力がほとんどの目的に適している。
上記のように、亜リン酸化合物及び炭酸を含む反応生成物液体を酸除去域で十分処理して少なくともその反応生成物化合物から亜リン酸化合物及び炭酸のある量を除去してもよい。この発明の具体化例では、配位子の分解並びに触媒の失活及び/又は沈殿を防止又は最小化する手段として米国同時継続特許出願第D-17245-1号(米国特許第5,741,944号)及び同D-17646号(米国特許第5,741,942号)に記載の方法があり、水性緩衝溶液及び任意にそこで開示されている有機窒素化合物を用いる。詳細についてははその記載を参照されたい。
例えば、前記水性緩衝溶液の発明は、前記ヒドロホルミル化プロセスから生成して亜リン酸化合物及び炭酸を含んだ反応生成物液体を含む金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒の少なくとも一部を水性緩衝溶液で処理してその反応生成物化合物から亜リン酸化合物及び炭酸の少なくともある量を除去する段階並びにその後その処理後の反応生成物液体をヒドロホルミル化反応域又は分離域に戻す段階とから成る。
例証となる亜リン酸化合物には例えば、H3PO3、ヒドロキシアルキルホスホン酸のようなアルデヒド酸、H3PO4等がある。この水性緩衝溶液による反応生成物液体を含む金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒の処理は過度に(前記反応生成物液体をもたらした)ヒドロホルミル化反応に悪影響を与えないような適当な方法ならいかなる方法で行ってもよい。
従って例えば、そのアルデヒド生成物の分離の前又は後のいかなる時点においてその反応域から取出された連続液状触媒再循環ヒドロホルミル化プロセスの反応媒体の全部又は一部を処理するために、この水性緩衝溶液を用いてもよい。より好ましくはこの水性緩衝処理は所望のアルデヒド生成物を蒸留した後で得られる反応生成物液体の全部又は一部を、例えば、この反応生成物液体を反応域に再循環する前又はその最中に、処理する段階を含む。例えば、好ましい方法はその触媒を含んだ残渣が反応域に再び入る前に液状抽出機を通して反応域に再循環されて水性緩衝溶液を含んだ再循環反応生成物液体の全部又は一部(例えば、スリップ流)を連続的に通過させることである。
従って水性緩衝溶液と反応させるべき反応生成物液体を含む金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒が、触媒錯体及びその有機溶剤に加えて、この反応生成物液体をもたらしたヒドロホルミル化プロセスの反応媒体と調和したアルデヒド生成物、遊離亜リン酸エステル配位子、未反応オレフィン及びその他の成分又は添加剤を含んでもよいことは理解されるべきである。
典型的には水性緩衝溶液の最大濃度は実際的な考察によるものである。既に記したように、温度、圧力及び接触時間のような処理条件は大きく変動してもよく、これらの条件のいかなる適当な組み合せを採用してもよい。一般的に液体の温度は約20〜80℃、好ましくは約25〜60℃がほとんどの場合に適しているが、所望されるならばそれ以上又は以下の温度を用いてもよい。普通その処理は外気圧から反応圧力の間の圧力の下で行われ、接触時間は数秒若しくは数分から数時間又はそれ以上の時間範囲の中で可変である。
更に、反応生成物液体からの亜リン酸化合物の除去に成功するかどうかはヒドロホルミル化反応媒体中に存在する有機亜リン酸エステル配位子の分解(消費)速度を測定することにより定められる。更に、亜リン酸化合物を水性緩衝溶液に加えて中和及び抽出が進むのに加えて、その緩衝溶液のpHは減少しより酸性になる。この緩衝溶液が受け入れられないほどの酸性になったら新しい緩衝溶液と交換してもよい。
この発明で使用可能な水性緩衝溶液はオキシ酸の塩を含むいかなる適当な緩衝混合液から成ってもよく、その水性溶液のpHは3〜9、好ましくは4〜8、より好ましくは4.5〜7.5である。ここで適当な緩衝系はリン酸塩、炭酸塩、クエン酸塩及びホウ酸塩化合物から成る群から選択されるアニオン並びにアンモニウム及びナトリウム、カリウム等のアルカリ金属から成る群から選択されるカチオンを含んでもよい。このような緩衝系及び/又はその製法はこの分野で公知である。
好ましい緩衝系は例えば、アルカリ金属の一塩基リン酸塩/二塩基リン酸塩及びアルカリ金属のクエン酸塩のような、リン酸塩緩衝液及びクエン酸塩緩衝液である。ナトリウム又はカリウムの一塩基リン酸塩及び二塩基リン酸塩の混合物から成る緩衝溶液がより好ましい。
任意に、米国特許第4,567,306号に記載されているように有機窒素化合物をヒドロホルミル化反応生成物液体に添加して、有機亜リン酸エステル配位子の加水分解で生成する酸性加水分解副生物を補足してもよい。このような有機窒素化合物をこの酸性化合物と反応させて中和させるために用いてもよい。即ちそれにより変換生成物塩を生成し、ロジウムがその酸性加水分解副生物と錯体形成するのを防止し、従って金属(ロジウム)触媒がヒドロホルミル化条件下で反応域に存在する間にその活性を保護することを助ける。この機能を発揮するための有機窒素化合物の選択は、反応媒体に可溶であって、アルドール及びその他の縮合生成物を顕著な速度で生成することを触媒作用せず、過度にアルデヒド生成物と反応しないような塩基性物質を用いることが好まれるか否かに部分的に支配される。
このような有機窒素化合物の炭素数は2〜30、好ましくは2〜24である。一級アミンは前記有機窒素化合物として使用することから除外されるべきである。好ましい有機窒素化合物は有機相への溶解に有利な分布係数を有すべきである。この発明のヒドロホルミル化反応生成物液体中に存在する亜リン酸化合物を補足するのに有効な有機窒素化合物は、そのpKa値が用いた水性緩衝溶液のpHの±3以内であるようなものであることが好ましく、そのpKa値が用いた水性緩衝溶液のpHと同じであることが最も好ましい。もちろんいかなるヒドロホルミル化プロセスにおいても一時にたった一つのこのような有機窒素化合物を用いることが好ましかろうが、所望ならば二以上の異なる有機窒素化合物の混合物を用いてもよい。
例証となる有機窒素化合物には例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−イソ−ブチルアミン、トリ−イソ−プロピルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−オクチルアミン、ジメチル−イソ−プロピルアミン、ジメチル−ヘキサデシルアミン及びメチル−ジ−n−オクチルアミン等のトリアルキルアミン、並びにトリエタノールアミン、N−メチル−ジ−エタノールアミン及びトリ−(3−ヒドロキシプロピル)−アミン等の水酸基のような一以上の非干渉置換基を含んだこれらの置換誘導体がある。またピリジン、ピコリン、ルチジン、コリジン、N−メチルモルホリン、N−2'−ヒドロキシエチルモルホリン、キノリン、イソ−キノリン、キノキサリン、アクリジン、キヌクリジン、ジアゾール、トリアゾール、ジアジン、トリアジン化合物等のヘテロ環アミンを用いてもよい。またN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N−メチルジフェニルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン及びN,N−ジメチル−1−ナフチルアミン等の四級アミンも可能な使用に適している。N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミンやトリエチレンジアミン(即ち、1,4−ジアザビシクロ−[2,2,2]−オクタン)等の二以上のアミノ基を含む化合物にも注目してもよい。
この発明のヒドロホルミル化反応生成物液体中に存在する亜リン酸化合物を補足するのに有効な有機窒素化合物は米国同時継続特許出願第D-17423-1号(米国特許第5,731,472号)に記載されているジアゾール、トリアゾール、ジアジン及びトリアジンから成る群から選択されるヘテロ環化合物が好ましい。詳細についてはその記載を参照されたい。このような使用のための候補としては例えばベンゾイミダゾール及びベンゾトリアゾールが好ましい。
例証となる適当な有機窒素化合物にはカークオスマー、エンサイクロペディア オブ ケミカル テクノロジー、四版、1996に記載されている透過性有機窒素化合物が含まれるので、詳細についてはその該当部分の記載を参照されたい。
この発明のヒドロホルミル化反応生成物液体中に存在する亜リン酸塩化合物を補足するためにその反応生成物液体中に存在する有機窒素化合物の量は、典型的には反応生成物液体1リットルあたり少なくとも遊離有機窒素化合物が0.0001モルの濃度になるに十分なものである。一般的な全有機亜リン酸エステル配位子(ロジウムと結合しているか又は遊離有機亜リン酸エステルとして存在している)に対する有機窒素化合物の比は少なくとも約0.1:1、より好ましくは少なくとも約0.5:1である。使用する有機窒素化合物の量の上限は主に経済的観点からの考察により支配される。ほとんどの場合に、有機窒素化合物:有機亜リン酸エステルのモル比は1:1〜5:1で十分である。
前記亜リン酸塩化合物を補足するために採用された有機窒素化合物は、上記の米国同時継続特許出願第D-17423-1号(米国特許第5,731,472号)に教示されているように、アルデヒド蒸発器−分離機中の過酷な条件下で金属触媒を保護するために用いられているヘテロ環窒素化合物と同じである必要はない。しかしある与えられたプロセスにおいて前記有機窒素化合物及び前記ヘテロ環窒素化合物が同じであって両方の機能を発揮することが望まれている場合には、ヒドロホルミル化プロセス(例えば、蒸発器−分離機)に十分な量の遊離ヘテロ環窒素化合物をもたらすためにその反応媒体中に十分な量のヘテロ環窒素化合物が存在していることを確認することに注意すべきである。それにより所望の双方の機能が達成されるであろう。
従って、この発明の水性緩衝溶液処理は単に反応生成物液体を含む金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒から遊離亜リン酸化合物を除去するばかりでなく、驚くべきことに有機窒素化合物補足剤を用いることにより生成した変換生成物塩の亜リン酸物質を除去する。即ち、処理された反応生成物液体は再活性された(遊離)有機窒素化合物と共にヒドロホルミル化反応域に戻されるが、この変換生成物塩の亜リン酸は水性緩衝溶液中に残存する。
有機亜リン酸エステル配位子で促進された金属触媒をアルデヒドを蒸発器/分離機で回収するような過酷な条件を含むヒドロホルミル化プロセスに用いる場合のこの他の問題(即ちその触媒の触媒活性が徐々に失われること等)は少なくとも部分的には反応生成物液体からアルデヒド生成物を分離し回収する場合に使用された蒸発器中の過酷な条件によるものであると考えられる。例えば、有機亜リン酸エステルで促進されたロジウム触媒が高温及び低一酸化炭素濃度のような過酷な条件下に置かれた場合、その触媒が時間と共に加速された速度で失活することが観測された。それは恐らく不活性又は低活性のロジウム種が生成してこのような過酷な条件下に長期に曝された結果沈殿するようになったためであろう。このような観察結果は、ヒドロホルミル化条件下でロジウム、有機亜リン酸エステル、一酸化炭素及び水素の錯体から成ると信じられている活性触媒が、このような過酷な条件に曝されている間に配位した一酸化炭素配位子が蒸発して失われ、触媒的に不活性又は低活性なロジウム種を生成する道筋を提供するという見解と調和するものである。このような触媒の失活及び/又は沈殿を防止するか又は最小化する手段には、上記の米国同時継続特許出願第D-17423-1号に教示されているような発明を実施することが含まれる。即ち、そこに開示されているような遊離ヘテロ環窒素化合物の存在下で低一酸化炭素分圧の条件下でヒドロホルミル化プロセスを実施する段階を含む。
更に説明すると、遊離ヘテロ環窒素化合物は失われた一酸化炭素を置換する配位子としての役割を果たし、そのような過酷な条件下で(例えば、蒸発器/分離機)金属、有機亜リン酸エステル、ヘテロ環窒素化合物及び水素の錯体から成る中性金属種を形成し、上記のような触媒性の不活性化又は低活性の金属種の生成を生成を防止又は最小化する。このような連続液状再循環ヒドロホルミル化におけるその触媒性活性の保持又はその失活の最小化は、特定ヒドロホルミル化プロセスの反応容器(即ち、ヒドロホルミル化反応域)中の前記中性中間体金属種から活性な触媒が再生したことによるものであると理論付けられている。反応容器中における、より高圧の合成ガスヒドロホルミル化条件下では、反応合成ガス中の一酸化炭素が再循環された中性中間体ロジウム種のヘテロ窒素配位子を置換する結果、ロジウム等の金属、有機亜リン酸エステル、一酸化炭素及び水素から成る活性触媒錯体が再生される。即ち、ロジウムにより強い親和性を有する一酸化炭素が、上記の蒸発分離の間に生成した再循環された中性中間体ロジウム種のより弱く結合したヘテロ窒素配位子を置換し、ヒドロホルミル化反応域で活性な触媒を再形成する。
従って、このような過酷な条件による金属触媒の失活の可能性は、反応生成物液体を含む金属−有機亜リン酸エステル触媒から所望のアルデヒドを蒸留する場合に、炭素原子を2〜5及び窒素原子を2〜3含みその窒素原子が二重結合を含む5〜6員環のヘテロ環を有する遊離ヘテロ環窒素化合物の存在下で行えば、防止又は最小化されるといえる。このような遊離ヘテロ環窒素化合物は、例えばベンズイミダゾール又はベンズトリアゾールのように、ジアゾール、トリアゾール、ジアジン及びトリアジン化合物から成る群から選択されてもよい。ここで前記ヘテロ環窒素化合物の用いられた“遊離”とは、ヒドロホルミル化反応生成物液体中に存在するいかなる亜リン酸化合物が上記のヘテロ環窒素化合物と反応した結果生じる塩化合物のようなヘテロ環窒素化合物の酸塩を除外することを意味する。
いかなるヒドロホルミル化プロセスにおいても一時にたった一つのこのような遊離ヘテロ環窒素化合物を用いることが好ましかろうが、所望ならば二以上の異なる遊離ヘテロ環窒素化合物の混合物を用いてもよい。さらに蒸発工程のような過酷な条件下で存在するこのような遊離ヘテロ環窒素化合物の量は、アルデヒド生成物を蒸発分離する間にいかなる遊離ヘテロ環窒素化合物が存在しない基本的に同等の条件下で、同等の金属で触媒作用された液城再循環ヒドロホルミル化プロセスを行う結果起こるかもしれないようなこのような触媒の失活を少なくともある程度最小化する基礎を提供するに必要な量であればよい。このような遊離ヘテロ環窒素化合物の量はヒドロホルミル化反応生成物液体の全重量に対して0.01〜10重量%、もし望むならばそれ以上の、範囲であればほとんどの目的に十分である。
ヒドロホルミル化反応生成物液体から水性部分に酸性度を移転する代替方法の一つはヘテロ環アミンを中間的に使用することである。そのヘテロ環アミンはヒドロホルミル化反応生成物液体及び水性部分の双方に混和しない十分なサイズのフルオロカーボン又はシリコン側鎖を有する。このヘテロ環アミンはまずヒドロホルミル化反応生成物液体にに接触し、そこで反応生成物液体中の酸性度がヘテロ環アミンに窒素に移転する。次に水性部分に接触する前にこのヘテロ環アミン層をデカンテーション又はその他の方法で反応生成物液体から分離し、そこではそれが再び分離層として存在する。次にこのヘテロ環アミン層をヒドロホルミル化反応生成物液体に戻して接触させる。
この発明で有用な配位子の分解並びに触媒の失活及び/又は沈殿を防止又は最小化するこの他の手段としては、米国同時継続特許出願第D-17648号(米国特許第5,744,649号)及び同D-17649号(米国特許第5,786,517号)に開示されているような発明を実行することがあり、水及び任意にそこに記載されている有機窒素化合物を使用することから成る。詳細についてはその記載を参照されたい。
例えば、ヒドロホルミル化プロセスで生成しそのヒドロホルミル化プロセスの間に形成した亜リン酸化合物を含む反応生成物液体の少なくとも一部を、その反応生成物液体から少なくともある程度の亜リン酸化合物を除去するのに十分な水で処理することにより、ここで記載した加水分解及びロジウム触媒の失活を防止又は最小化することが可能であることが分かった。水と酸の双方は有機亜リン酸エステル配位子を加水分解する因子ではあるが、ヒドロホルミル化反応系がより高レベルの酸よりもより高レベルの水に対して寛容であることが分かった。従って驚くべきことに、この水は酸を除去し、加水分解により有機亜リン酸エステル配位子が失われる速度を遅くすることができることが分かった。
この発明で有用な配位子の分解並びに触媒の失活及び/又は沈殿を防止又は最小化する更に他の手段としては、米国同時継続特許出願第D-17652号(米国特許第5,763,671号)及び同D-17685号(米国特許第5,789,625号)に開示されているような発明を実行することがあり、水を酸除去物質及び任意にそこに記載されている有機窒素化合物と共に使用することから成る。詳細についてはその記載を参照されたい。
例えば、ヒドロホルミル化プロセスで生成しそのヒドロホルミル化プロセスの間に形成した亜リン酸化合物を含む反応生成物液体の少なくとも一部を、その反応生成物液体から少なくともある程度の亜リン酸化合物を除去するのに十分な酸除去物質と共に水で処理することにより、ここで記載した加水分解及びロジウム触媒の失活を防止又は最小化することが可能であることが分かった。この酸除去物質としては例えば、2,11及び12族の金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩及びカルボン酸塩がある。反応生成物液体に含まれる鉄、亜鉛、カルシウム塩等の金属塩の不純物はアルデヒド自己縮合を促進して好ましくないので、その有利な点といえば金属塩をヒドロホルミル化反応生成物液体へ最小限で移転することによりある酸除去物質の酸除去能力を用いることができることである。
この発明で有用な配位子の分解並びに触媒の失活及び/又は沈殿を防止又は最小化する更に他の手段としては、米国同時継続特許出願第D-17650号(米国特許第5,763,677号)及び同D-17651号(米国特許第5,763,680号)に開示されているような発明を実行することがあり、イオン交換樹脂及び任意にそこに記載されている有機窒素化合物を使用することから成る。詳細についてはその記載を参照されたい。
例えば、(a)少なくとも一つのスクラバー域で、前記ヒドロホルミル化プロセスで生成しそのヒドロホルミル化プロセスの間に形成した亜リン酸化合物を含む前記反応生成物液体の少なくとも一部を、その反応生成物液体から少なくともある程度の亜リン酸化合物を除去するのに十分な水で処理し、(b)少なくとも一つのイオン交換域で、前記反応生成物液体から取出された亜リン酸化合物を含む水の少なくとも一部を、その水から少なくともある程度の亜リン酸化合物を除去するのに十分な一以上のイオン交換樹脂で処理することにより、ここで議論した加水分解及びロジウム触媒の失活を防止又は最小化することが可能であることが分かった。ヒドロホルミル化反応生成物液体を直接イオン交換樹脂を通過させるとイオン交換樹脂の表面及びその細孔にロジウムが沈殿してそれによりプロセスを面倒にする可能性があるので、その有利な点といえば本質的にロジウムを失わずにイオン交換樹脂の酸除去能力を用いることができることである。
望むならばこの発明の反応生成物液体から亜リン酸化合物を除去するためにこの他の手段を用いてもよい。この反応生成物液体から亜リン酸化合物を除去するために許される手段によりこの発明が制限されることは企図していない。
ヒドロホルミル化プロセスに加えてこの発明に有用な他のプロセスには、有機亜リン酸エステルで促進された金属触媒が加水分解によりその触媒活性を失うようなプロセスが含まれる。例証となるプロセスには例えば、ヒドロアシル化(分子間及び分子内)、ヒドロアミド化、ヒドロエステル化、カルボニル化等のプロセスが含まれる。二酸化炭素及び触媒性を有する量の金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒の存在下で、有機化合物を一酸化炭素又は一酸化炭素及び第三の反応物(例えば、水素)と反応させるようなプロセスが好ましい。特にヒドロホルミル化プロセス及びカルボニル化プロセスが最も好ましい。
ヒドロホルミル化の場合のように、これらの他のプロセスも非対称又は不非対称であってもよく、不非対称であることが好ましい。またこのプロセスは連続法又は半連続法であってもよく、液状及び/又は気相触媒再循環操作を含んでもよい。従って、一以上の反応生成物液体物から生成物を製造する特定のプロセスは反応条件やプロセスの成分と同様にこの発明の重要な特徴ではない。この発明のプロセス技術は従来のプロセスで採用されていたいかなる公知の技術と同じでもよい。例えば、そのプロセスを液体状態又は気体状態で行ってもよく、連続法、半連続法又はバッチ法で行ってもよい。また、液状若しくは/又は気相触媒再循環操作又はこれらの組み合わせを含んでもよい。同様に反応成分、触媒及び溶剤の添加の方法や順序も重要ではなく、いかなる従来の方法で行ってもよい。この発明は金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒を採用する従来の合成を従来の方法で実施することをも含む。
この発明のヒドロホルミル化プロセスを例えば固定床反応容器、液体床反応容器、連続攪拌タンク反応容器(CSTR)、又はスラリー反応容器を用いて実施してもよい。この触媒の最適なサイズ及び形状は使用する反応容器のタイプによる。一般的に液体床反応容器を用いる場合には、流動が容易なため小球状触媒粒子が好ましい。固定床反応容器を用いる場合には、反応容器の中のは背圧を合理的に低く保つために大触媒粒子が好ましい。この発明で採用する少なくとも一つの反応域は単一容器であってもよく、二以上の別の容器から成ってもよい。この発明で採用する少なくとも一つの分離域は単一容器であってもよく、二以上の別の容器から成ってもよい。この発明で採用する少なくとも一つのスクラバー域は単一容器であってもよく、二以上の別の容器から成ってもよい。ここで採用する反応域及び分離域は同じ容器中又は複数の異なる容器中に存在してもよい。例えば、反応性蒸留や反応性膜分離等の反応性分離技術をその反応域で用いてもよい。
この発明のヒドロホルミル化プロセスを望むならば未反応の出発物質を再循環して連続法又はバッチ法で行ってもよい。この反応を単一反応域又は複数の反応域で行うことも可能であり、一連に連続又は平衡で行ってもよく、バッチ法又はこのような域の長いチューブ状域の連続若しくは一連の連続であってもよい。用いた構成物質は反応の間に出発物質に対して不活性であるべきであり、装置は反応温度と反応圧力に耐えられるべきである。出発物質又はその反応の間に反応域にバッチ若しくは連続で加えられる成分を加える手段及び/又はその量を調節する手段は、出発物質の所望のモル比を保持するために特にこのプロセスで従来から用いられているものでもよい。この反応段階は次々に出発物質を増加的に加えることにより影響を受ける。またこの反応段階を出発物質を合わせて添加することと組み合せてもよい。完全な転換が望めないか又は達成できない場合には、例えば蒸留により、この出発物質を生成物から分離し、次にその出発物質を反応域に再循環することができる。
このヒドロホルミル化プロセスを、内側がガラス張りのステンレス又は同等材料の反応装置で行ってもよい。過剰な温度変動を制御し、いかなる反応温度の暴走を防止するために、この反応域に一以上の内部及び/又は外部熱交換器を取り付けてもよい。
この発明のヒドロホルミル化プロセスを一以上の段階又は工程で行ってもよい。反応段階又は工程の正確な数は資本コストと触媒が高い選択性、活性、寿命及び操作容易性を有すること、問題となる出発物質の固有反応性並びにその反応条件における出発物質及び所望の反応性生成物の安定性との間の最もよい妥協点により定まる。
ある具体化例において、この発明に有用なヒドロホルミル化プロセスを上記の米国同時継続特許出願第D-17425-1号(米国特許第5,728,893号)に教示されているような多段階の反応容器で行ってもよい。その詳細についてはその記載を参照されたい。このような多段階反応容器を、内部に容器ごとに一以上の理論的反応段階を作る物理的障壁を持つように設計してもよい。実際それは単一の連続攪拌単反応容器の内部に複数の反応容器を有することに似ている。単一の反応容器内部の多段反応段階は反応容器の容積をコストの面から効果的にする一つの方法である。それはそうでなければ同じ効果を達成するために必要な数多くの反応容器の数を顕著に減らす。少ない数の反応容器は、分離した反応容器及び攪拌器について必要な資本と保全の関心を削減する。
この発明の目的にとって、“炭化水素”とは、少なくとも一つの水素原子及び少なくとも一つの炭素原子を有するすべての許されうる化合物を含む。このような許されうる化合物はまた一以上のヘテロ原子を含んでもよい。この許されうる化合物は非環式(ヘテロ原子を含んでもよいし含まなくてもよい。)及び環式、分枝があるか及びない、炭素環式及びヘテロ環式並びに芳香族及び非芳香族の置換又は非置換の有機化合物を含む。
ここで用いた“置換”は他で特に示されていない限り有機化合物のすべての許されうる置換基を含む。この許されうる置換基は非環式及び環式、分枝があるか及びない、炭素環式及びヘテロ環式並びに芳香族及び非芳香族の置換基を含む。例証となる置換基には例えば、炭素数が1〜20、好ましくは1〜12であってもよいアルキル、アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、水酸基、ヒドロキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、ハロゲン等が含まれる。この許されうる置換基は有機化合物ごとに一以上であってもよく、また同じか又は異なってもよい。この発明は有機化合物の許されうる置換基により制限されるものではない。
以下の実施例により更にこの発明を例証する。特に示さない限りすべての操作は窒素雰囲気で行われた。
実施例1
磁気的に攪拌する100ミリリットルのステンレス製オートクレーブに、68ppmのロジウム、0.1重量%の配位子F(本明細書中に記載されている)及び0.49重量%の水を含んだテトラグリム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)溶液を入れた。この溶液を攪拌し、次に反応容器の温度を79度にした。次にこの反応容器に60psig(4.2kg/cm2(ゲージ圧、以下同様))の窒素を導入し、それに続いて60psigのH2:CO:プロピレンの比が1:1:1の混合物を導入した。次に、H2:CO:プロピレンの比が1:1:1の混合物で約125psig(8.8kg/cm2)まで加圧し、反応容器を密封し、圧力が120psig(8.4kg/cm2)から115psig(8.1kg/cm2)まで5psig(0.35kg/cm2)低下するのに要する時間を測定することにより反応速度を求めた。3回の平均反応速度は1.39g/モル/リットル/時であった。これは有機亜リン酸エステルで変更されたロジウムヒドロホルミル化反応において二酸化炭素の不活性な性質を示すための対照実験である。実施例1はヒドロホルミル化ガスに窒素を加えた場合の対照実験速度を提供するものである。
実施例2
実施例1の窒素の代わりに60psig(4.2kg/cm2)の二酸化炭素を用いた点以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。3回の平均反応速度は1.40g/モル/リットル/時であり、ヒドロホルミル化ガスと共に窒素が存在した場合のヒドロホルミル化速度と基本的に同じである。従って有機亜リン酸エステル変性のロジウム触媒を用いた場合には、二酸化炭素が存在する場合にヒドロホルミル化速度が下がることはない。
実施例3
148ppmのロジウム、0.5重量%の配位子F及び0.70重量%の水を含んだ溶液を用いた点以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。2回の平均反応速度は2.47g/モル/リットル/時であった。この対照実施例は二酸化炭素が無い場合のヒドロホルミル化反応を例証するものである。
実施例4
窒素の代わりに60psig(4.2kg/cm2)の二酸化炭素を用いた点以外は実施例3と同様の操作を繰り返した。3回の平均反応速度は2.44g/モル/リットル/時であった。実施例4の結果を実施例3の結果と比較すると、系で二酸化炭素は不活性であり、ヒドロホルミル化速度が下がることはないことは明らかである。
比較例A
機械的に攪拌する100ミリリットルのステンレス製オートクレーブに、946ppmのロジウム、1.6重量%のトリ(3−ルホネートフェニル)ホスフィンテトラヒドレート三ナトリウム塩を含んだ水溶液を入れた。この反応容器に窒素を入れ80度に加熱した。次にこの反応容器に5.0gのプロピレンを入れ、470psig(33.0kg/cm2)のH2:COの比が1:1の混合物で880psig(61.9kg/cm2)まで加圧し、密封した。
時間の経過に対するその圧力の低下を測定し、その反応容器をH2:COの比が1:1の混合物で再加圧し、測定を繰り返した。13分後における反応速度は5.38psig/分であった。この比較例は二酸化炭素を存在させずに水溶性ホスフィン変性のロジウム触媒系を用いたヒドロホルミル化反応を例証するものである。
比較例B
この比較例は、二酸化炭素の存在下で水溶性ホスフィン変性のロジウム触媒系を用いて、二酸化炭素の抑制効果を例証するものである。915ppmのロジウム、1.5重量%のトリ(3−ルホネートフェニル)ホスフィンテトラヒドレート三ナトリウム塩を含んだ水溶液及び窒素の代わりに149psig(10.5kg/cm2)の二酸化炭素を用いた点以外は比較例Aと同様の操作を繰り返した。14分後における反応速度は3.80psig/分であった。二酸化炭素が存在しない場合の速度は二酸化炭素が存在しない場合の速度の71%にしか過ぎない。この系では二酸化炭素がヒドロホルミル化反応を抑制している。
実施例5
二酸化炭素及びそれを溶解した水は、有機亜リン酸エステル配位子の加水分解安定性に悪影響を与えない様な炭酸を与える。以下の実験は二酸化炭素が配位子Fの加水分解安定性に悪影響を与えないことを示す。窒素雰囲気の下で、0.2重量%の配位子F(本明細書中に記載されている)及び0.44重量%の水を含んだテトラグリム溶液を用意した。トリフェニルホスフィンオキシド(0.05重量%)を内部標準として働くように含ませた。その溶液の25ミリリットル分割量を2psig(0.14kg/cm2)の窒素雰囲気の磁気的攪拌棒を備えた3つの別々のフィッシャーポーター反応容器に入れる。この溶液を95℃に加熱し、次にそれぞれ0psig、10psig(0.7kg/cm2)、90psig(6.3kg/cm2)の二酸化炭素で置換した。95℃の各反応容器から2.0ミリリットル分割量を取り出し31P NMRにより分析した。配位子Fの量を31P NMRスペクトルのリン原子のピーク高さを測定することにより監視した。このピークの高さを前記の内部標準により標準化した。表Aは時間の経過に対するその高さを示す。
Figure 0003970927
実験誤差の範囲内で配位子Fの濃度に変化はない。従ってこのデータは二酸化炭素が配位子Fの加水分解安定性に悪影響を与えないことを示す。
実施例6
以下の実験は二酸化炭素がロジウムの存在下で配位子Fの酸化安定性と加水分解安定性のいずれにも悪影響を与えないことを例証する。2.0重量%の配位子F、1.0重量%の水及び400ppmのロジウムを含んだテトラグリム溶液を用意した。1.0重量%のトリオクチルホスフィンオキシドを内部対照として働くように加えた。その溶液の25ミリリットル分割量をフィッシャーポーター容器に入れた。このフラスコを二酸化炭素で2回パージし、40psig(2.8kg/cm2)の二酸化炭素をで置換した。次にこの溶液を100℃で24時間加熱した。この二酸化炭素雰囲気下で加熱した溶液のサンプルを31P NMRにより分析した。二酸化炭素を添加しても配位子Fの酸化も加水分解も増加しなかった。
実施例7
以下の実験は二酸化炭素の存在が、ロジウム、ブチルアルデヒド及び配位子Fの混合物中の配位子Fの酸化を促進しないことを例証する。溶剤としてテトラグリムとブチルアルデヒド(容積比25:75)の混合液を用いた以外は実施例6と同じ手順を繰り返した。ロジウム及びブチルアルデヒドの存在下で二酸化炭素の添加により配位子Fの酸化が増加しないことが観察された。
実施例8〜12はベンゾイミダゾールのような添加剤を含む窒素のそのままの(in situ)緩衝効果及びこれらの添加剤の水性緩衝溶液に酸性度を移転しない能力を例証する。
実施例8
この対照実施例は、酸又はベンゾイミダゾールを添加せずに、0.39重量%の配位子F及び200ppmのロジウムを含んだブチルアルデヒド(アルデヒドの二量体及び三量体を含む。)の溶液中の、配位子Fの安定性を例証する。清潔で乾燥した25ミリリットルの小壜に上記のブチルアルデヒドを12g入れた。高速液体クロマトグラフィーで24時間後と72時間後のサンプルの配位子Fを分析した。高速液体クロマトグラフィーによりキャリブレーションカーブを用いて配位子Fの重量%を求めた。24時間後及び72時間後の両方とも配位子Fの濃度に変化はなかった。
実施例9
この実施例は、有機亜リン酸エステルの加水分解の間に形成するタイプの酸を模擬するために亜リン酸を添加した以外は実施例8と同様である。12gの溶液に0.017gの亜リン酸(H3PO3)を加えた以外は実施例8の操作を繰り返した。24時間後に配位子Fの濃度は0.39重量%から0.12重量%へ減少し、72時間後には配位子Fの濃度は0.04重量%へ減少した。このデータは強酸が配位子Fの分解を触媒作用していることを示す。
実施例10
この実施例は、亜リン酸及びベンゾイミダゾールを添加した以外は実施例8と同様である。その溶液に0.018gの亜リン酸及び0.0337gのベンゾイミダゾールを加えた以外は実施例8の操作を繰り返した。24時間後及び72時間後の両方とも配位子Fの分解は観察されなかった。これはベンゾイミダゾールの添加が強酸の効果を効果的に緩衝し配位子Fの分解を防止することを示す。
実施例11
この実施例は、水性緩衝溶液が窒素塩基緩衝液の酸性を回復し窒素塩基を有機相に移動させそこでそれがヒドロホルミル化域に再循環されうることを示す。250ミリリットルのビーカーに1.18g(10ミリモル)のベンゾイミダゾールを入れ、そのベンゾイミダゾールを30ミリリットルのテトラヒドロフランに溶解させて固体(ベンゾイミダゾール)(H3PO4)を作った。この溶液に86重量%のリン酸(H3PO4)0.5gを添加した。この酸を添加すると沈殿が形成した。この沈殿を半融ガラスフリットの上に集めてテトラヒドロフランで洗浄した。その結果生じた固体を真空状態で風乾し、それ以上精製せずに使用した。前段階で作った水溶性の(ベンゾイミダゾール)(H3PO4)固体0.109g(0.504ミリモル)を10gの0.1MpH7のリン酸ナトリウム緩衝溶液に溶解させた。その結果生じた溶液を10gのバレルアルデヒドで抽出した。次に分離漏斗を用いてこの有機相を水相から分離した。次に蒸留によりこの有機相から揮発性成分を除去すると、固体が生成した。この固体は溶離液としてクロロホルムとアセトンの容積比が1:1の混合液及び固定相としてシリカを用いた薄層クロマトグラフィーで示された標準ベンゾイミダゾールに一致した。この固体の回収に基づき、ベンゾイミダゾールは完全に有機相に移転した。
このデータは強酸塩として存在する有機可溶性窒素塩基が水性緩衝溶液と接触することにより再生することが出来、有機相に戻ることを示している。
実施例12
この実施例は、緩衝溶液が弱塩基と強酸の有機可溶性塩を中和し、その塩基を有機相に戻し、この有機相から効果的にその酸を除去することに効果的であることを示す。
ベンゾトリアゾールを1.0重量%含むブチルアルデヒド溶液を用意した。次にこの溶液をガスクロマトグラフィーで分析し、ベンゾトリアゾール含量を求め、対照サンプルとした。前段階で用意した溶液に0.25モル当量の亜リン酸(H3PO3)を加えた。1パイント(0.473リットル)のガラスボトルにベンゾトリアゾールを含むブチルアルデヒド溶液を50gとpH7、0.2モルのリン酸ナトリウム緩衝溶液50gを加えた。この混合液を15分間攪拌した後分離漏斗に移した。水層がアルデヒド層から分離した。この水層をイオンクロマトグラフィーを用いてH3PO3の含量を分析した。アルデヒド層をガスクロマトグラフィーを用いてベンゾイミダゾールの含量を分析し、イオンクロマトグラフィーを用いてH3PO3の含量を分析した。このH3PO3が完全に水層に移動していることが分かった。同様にベンゾイミダゾールがブチルアルデヒド層に完全に戻っていることとも分かった。
このデータは弱塩基と強酸から成る有機可溶性塩が、その有機相が水性緩衝溶液と接触することにより、完全に中和され、遊離塩基がその有機相に戻ることを示している。

Claims (16)

  1. 金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒及びそれを溶解した水並びに任意に遊離有機亜リン酸エステル配位子の存在下で、一以上の、炭素数が2〜40の、光学活性又は光学不活性のオレフィン系不飽和化合物であり、その端末又はその鎖の内部(途中)が不飽和であ、直鎖又は分枝構造である不飽和化合物を反応させて一以上の生成物から成る反応生成物液体を製造することから成るプロセスであって、
    上記有機亜リン酸エステル配位子は二以上の三級(三価)のリン原子を含む有機ポリ亜リン酸エステルから選ばれ、
    全ガス混合物に対して5〜70モル%の二酸化炭素の存在下で行われる、
    ヒドロホルミル化プロセス、ヒドロアシル化(分子間及び分子内)プロセス、ヒドロアミド化プロセス、ヒドロエステル化プロセス又はカルボニル化プロセス。
  2. 請求項1に記載のプロセスであって、金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒及びそれを溶解した水並びに任意に遊離有機亜リン酸エステル配位子の存在下で一以上のオレフィン系不飽和化合物を一酸化炭素及び水素と反応させて一以上のアルデヒドから成る反応生成物液体を製造することから成るヒドロホルミル化プロセス。
  3. (i)少なくとも一つの反応域で金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒及びそれを溶解した水並びに任意に遊離有機亜リン酸エステル配位子の存在下で一以上のオレフィン系不飽和化合物を一酸化炭素及び水素と反応物を反応させて一以上のアルデヒドから成る反応生成物液体を製造する段階及び(ii)少なくとも一つの分離域又は少なくとも一つの反応域で一以上のアルデヒドをその反応生成物液体から分離する段階とから成る請求項1又は2に記載のヒドロホルミル化プロセスを改良したプロセスであって、その改良点が前記の少なくとも一つの反応域に加える前に一酸化炭素及び水素の混合物から二酸化炭素を除去する必要をなくしたことである改良されたヒドロホルミル化プロセス。
  4. 前記触媒がロジウム−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒である請求項1〜3のいずれか一の請求項に記載のプロセス。
  5. 前記溶解した水がヒドロホルミル化反応生成物液体の全重量に対して0.01〜10重量%で存在する請求項1〜4のいずれか一の請求項に記載のプロセス。
  6. 連続液体再循環プロセスから成る請求項2又は3に記載のヒドロホルミル化プロセス。
  7. 前記金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒が均一系又は不均一系である請求項1〜6のいずれか一の請求項に記載のプロセス。
  8. 前記反応生成物液体が均一若しくは不均一の金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒を含むか又は前記プロセスの間に前記反応生成物液体の少なくとも一部が固定された不均一金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒に接触する請求項1〜6のいずれか一の請求項に記載のプロセス。
  9. 前記金属−有機亜リン酸エステル配位子錯体触媒が、式(IX)〜(XI)の有機ビス亜リン酸エステルから選ばれる請求項1〜8のいずれか一の請求項に記載のプロセス;
    Figure 0003970927
    Figure 0003970927
    Figure 0003970927
    式中、それぞれのArは同じか又は異なっていてもよく置換又は非置換のアリール基を表わし、
    それぞれのyは同じか又は異なっていてもよく0又は1であり、
    Qは−C(R32−、−O−、−S−、−NR4−、−Si(R52−及び−CO−から成る群から選択される二価の架橋基を表わし(ここでR3は同じか又は異なっていてもよく水素、炭素数が1〜12のアルキル基、フェニル、トリル又はアニシルを表わし、R4は水素又は置換若しくは非置換の一価炭化水素基を表わし、R5は同じか又は異なっていてもよく水素又はメチル基である。)、
    mは0又は1であり、
    7は同じか又は異なっていてもよい炭素数が4〜40である二価の有機基を表わし、
    それぞれのR8は同じか又は異なっていてもよい炭素数が1〜24である置換又は非置換の一価の炭化水素基を表わし、
    Xは炭素数が2〜40である置換又は非置換のn価の有機基を表わす。
  10. 前記反応生成物液体が亜リン酸化合物を含む請求項1〜9のいずれか一の請求項に記載のプロセス。
  11. 前記反応生成物液体中に存在する前記亜リン酸化合物が水性緩衝溶液で処理される請求項10に記載のプロセス。
  12. 前記水性緩衝溶液がpHが3〜9のオキシ酸塩の混合物から成る請求項11に記載のプロセス。
  13. 前記水性緩衝溶液がリン酸塩、炭酸塩、クエン酸塩及びホウ酸塩化合物から成る群から選択されるアニオン並びにアンモニウム及びアルカリ金属から成る群から選択されるカチオンの混合物を含む請求項12に記載のプロセス。
  14. 前記反応生成物液体中に存在する前記亜リン酸化合物が前記反応生成物液体中に存在する有機窒素化合物に捕捉され、かつ前記亜リン酸化合物と前記有機窒素化合物の反応生成物である前記亜リン酸化合物が前記水性緩衝溶液処理により除去される請求項10に記載のプロセス。
  15. 前記有機窒素化合物がジアゾール、トリアゾール、ジアジン及びトリアジンから成る群から選択される請求項14に記載のプロセス。
  16. 前記有機窒素化合物がベンゾイミダゾール又はベンゾトリアゾールである請求項15に記載のプロセス。
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