JP3885414B2 - アルデヒド類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロジウム- ホスファイト系錯体触媒の存在下に、オレフィン系不飽和化合物をヒドロホルミル化反応させてアルデヒド類を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周期律表第VIII族金属錯体触媒の存在下に、オレフィン系不飽和化合物を一酸化炭素及び水素と反応させることによりアルデヒド類を製造するプロセスは広範に工業化されている。このヒドロホルミル化反応における触媒としては、ロジウム等の第VIII族金属を3価のリン化合物のような配位子で修飾した錯体触媒が用いられており、ヒドロホルミル化反応の活性や選択性を向上させるために、種々の配位子の研究がなされている。例えば、特公昭45−10730号には、トリアリールホスフィンやトリアリールホスファイト等の3価のリン配位子で修飾されたロジウム触媒が有効であることが開示されている。中でもホスファイト配位子で修飾された触媒は、ヒドロホルミル化反応において高い活性と優れた選択性を示すことが知られている。
【0003】
しかしながら、特開昭59−51229号に開示されているように、トリフェニルホスファイト等のホスファイト配位子では、ヒドロホルミル化反応系中で配位子が比較的速やかに分解し、それに伴い触媒活性が低下することが知られており、ホスファイト配位子を連続的に補給することが必要である。したがって、単に触媒の活性及び選択性を改良するためだけではなく、ホスファイト配位子の減損による触媒活性の低下を小さくするために、各種のホスファイト配位子が提案されている。例えば、特開昭59−51228号及び特開昭59−51230号には橋頭部にリン原子を含有する環式ホスファイト配位子を用いる方法が開示されている。また、特開昭57−123134号には、ベンゼン環の特定部位に置換基を有するトリアリールホスファイト配位子を用いる方法が、また、本出願人による特開平4−288033号には、ナフチル環の特定部位に置換基を有するトリアリールホスファイト配位子を用いる方法が開示されている。また、特表昭61−501268号には、分子内にリン原子を含む環状構造を有するジオルガノホスファイト配位子を用いる方法が開示されている。更に、ビスホスファイト配位子及びポリホスファイト配位子の例として、特開昭62−116535号及び特開昭62−116587号にジオルガノホスファイト配位子を用いる方法が開示されており、特開平4−290551号には環状構造を有するビスホスファイト配位子を用いる方法が開示されている。また、本出願人による特開平5−178779号には環状構造を有しないビスホスファイト配位子及びポリホスファイト配位子を用いる方法が開示されている。
【0004】
比較的反応活性が低いとされる多置換オレフィン化合物からオキソ反応により該当するアルデヒド類を製造するオキソプロセスにおいては、オキソ反応時の配位子安定性及び活性から、ベンゼン環あるいはナフタレン環の特定部位に置換基を有するトリアリールホスファイト、分子内にリン原子を含む環状構造を有するジオルガノホスファイトを配位子としたロジウム錯体触媒を使用することが有利であることが知られている。芳香族の特定部位にかさ高い置換基を有するホスファイトを配位子としたオキソ反応では、ロジウム当たり平均一つのホスファイトが配位したロジウム錯体が活性種であることが知られており(Journal of Organometallic Chemistry,421(1991)121-128)、立体障害の大きいオレフィン類のロジウム原子への配位の容易さが、特に高活性の理由として考えられている。
【0005】
一方工業的プロセスでは、高価なロジウム−錯体触媒を反応液から分離回収して循環、再使用することが不可欠である。その為、触媒分離の際のホスファイト配位子及びロジウムの安定性も重要である。触媒の分離方法としては、吸着法(特開昭50−49190号)、晶析法(特開昭57−122948号)、膜分離法(特開平2−23143号)、抽出法(特開昭56−2994号、特開昭56−5372号)等各種の分離技術を適用することができるが、工業的には蒸留により分離することが多い。
【0006】
しかし、ロジウム−ホスファイト系錯体は高い温度では分解しやすく、一酸化炭素及び水素が不在の系では更に分解し易いことが知られている。本出願人は、先に、特定の蒸留条件を採用すること(特開平8−165266号)、あるいは、蒸留時に特定のアミンを存在させること(特開平8−268947号)によりホスファイトの分解を抑制することを提案した。
特に、炭素数が多いオレフィン系不飽和化合物のヒドロホルミル化反応においては、生成するアルデヒド類の沸点が高いため、生成アルデヒドと触媒を蒸留により分離する際、高温条件が必要となり、ロジウムが著しく不安定化される。例えば特公平5−48215号には、一酸化炭素及び水素の不在下、ヒドロホルミル化循環液を加熱するとロジウムの減損現象が生じることが記載されている。
同公報では、ロジウムのメタル化を抑制するため、特定の極性官能基を有する有機重合体の存在下で加熱することを提案しており、又、ロジウム−フォスファイト系錯体触媒を含有する反応生成液から生成アルデヒドを蒸留分離するには150℃未満、好ましくは140℃未満の温度で実施することを提案している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高い活性及び優れた選択性を示すロジウムーホスファイト系錯体触媒を使用するオレフィン系不飽和化合物のヒドロホルミル化反応プロセスにおける、ロジウムの減損を抑制した工業的有利な方法を確立することを目的とするものであって、特に、分離操作時のロジウムの析出を抑制する方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、オレフィン系不飽和化合物のヒドロホルミル化反応により、対応するアルデヒド類を製造するプロセスにおいて、ロジウムの析出を伴うことのない汎用性のある分離方法につき鋭意検討した結果、ヒドロホルミル化反応生成液に、少なくとも1つの活性プロトンを有するβ−ジカルボニル化合物を共存させて分離操作を実施することにより、ロジウムの析出を伴うことなく生成アルデヒド類や高沸点物を分離し得ることを見出し、本発明に至った。
即ち本発明の要旨は、ロジウムーホスファイト系錯体触媒の存在下、液相で、オレフィン系不飽和化合物を一酸化炭素及び水素と反応させてオレフィン系不飽和化合物をヒドロホルミル化してアルデヒド類を製造する方法に於いて、反応終了後反応生成液から、少なくとも1つの成分を分離する際、反応生成液中に、該液中のロジウム量の1.01モル倍以上の下記一般式(1)
【0009】
【化2】
【0010】
(式中、R1 、R2 、R3 は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、アリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリール基を表す。また、R1 、R2 、R3 の少なくとも2つが結合し環を形成してもよい。)
で示されるβージカルボニル化合物を存在させることを特徴とするアルデヒド類の製造方法に存する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
前述の如く、ホスファイトを配位子とするロジウム錯体触媒を用い、オレフィン系不飽和化合物を一酸化炭素及び水素と反応させてオレフィン系不飽和化合物をヒドロホルミル化する反応は良く知られている。本発明方法は、後述するように、これら公知の方法を何れも適用することができる。特に、反応液からホスファイト配位子を含むロジウム触媒液を分離し、連続的に循環する液体触媒循環プロセスに有利に適用できる。
【0012】
反応終了後のヒドロホルミル化反応生成液には、少なくとも1)ロジウム及びホスファイトを含む錯体触媒、2)生成アルデヒド類が含まれ、その他、未反応オレフィン系不飽和化合物、反応溶媒、一酸化炭素及び水素、副生物等が含まれている。かかる反応生成液から、少なくとも1)と2)が分離され、1)は触媒液として循環使用され、2)は要すれば更に精製されて製品とされる。その他の成分も必要に応じ、分離される。
本発明方法は、ヒドロホルミル化反応液から、上記の成分の1つあるいは複数を分離する際に、あるいは事前に、反応生成液に、前記一般式(1)で示される少なくとも1つの活性プロトンを有するβージカルボニル化合物を存在させることにより、液中のロジウムを安定化させ、ロジウムの析出を伴うことなく、分離操作を実施することが出来る。
【0013】
本発明方法に採用される分離操作は、特に限定されるものではなく、あらゆる分離方法を採用することができる。具体的には、蒸留(単蒸留、減圧蒸留、薄膜蒸留、水蒸気蒸留等)、蒸発(エバポレーション)、ガスストリッピング、気液分離、ガス吸収、抽出、晶析、吸着、膜分離等の分離操作が挙げられ、2つ以上の操作を組み合わせてもよい。各分離操作は、各々独立の工程で行ってもよく、2つ以上の成分の分離を同時に行ってもよい。本発明方法は特に熱処理を伴う分離操作に好ましく適用され、代表的な分離操作としては、蒸留及び蒸発が挙げられる。これらの操作は特に制限されないが、一般に50℃以上の高温操作時にロジウムの析出損失が顕著となることは周知であり、本発明はより高温での分離操作に対し特に有効である。具体的には70℃以上の分離操作、より好ましくは110℃以上の分離操作に適用され得る。一方200℃以上の高温は好ましくない。かかる高温においてもβーカルボニル化合物の添加による効果はあるものの、ロジウムの析出を完全に抑制することは出来ない。
【0014】
本発明方法で使用されるβージカルボニル化合物は前記一般式(1)で示される。一般式(1)において、R1 、R2 、R3 としては、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−アミル、sec−アミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等の直鎖、分岐鎖及び環状のアルキル基;上記アルキル基に対応するアルコキシ基;フェニル、ナフチル、2−トリル、3−トリル、4−トリル、2,4−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−t−ブチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、2−t−ブチル−4−メチルフェニル、2,6−ジメチル−4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル等のアリール基;フェノキシ、ナフトキシ等のアリールオキシ基;、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ等のジアルキルアミノ基あるいはジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ、メチルフェニルアミノ、エチルフェニルアミノ、メチルベンジルアミノ、エチルベンジルアミノ等の置換アミノ基;2−ピリジル、3ーピリジル、4−ピリジル等のヘテロアリール基が挙げられる。これらの基は更にヒドロホルミル化反応を阻害しない置換基により置換されていてもよい。置換基としては、炭素数1ー20のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、アシル基、カルボアルコキシ基、オキシカルボニル基等が挙げられる。一般式(1)で示されるβージカルボニル化合物の具体例としては、例えば、2、4ーペンタンジオン、2、4−ヘキサンジオン、3、5−ヘプタンジオン、3−メチル−2、4−ペンタンジオン、1、3−ジフェニル−1、3−プロパンジオン等のジケトン類;メチル−3−オクソ−ブチレート、エチル−3−オクソ−ブチレート、プロピル−3−オクソ−ブチレート、フェニル−3−オクソ−ブチレート等のケトエステル類;ジメチル−3−オクソ−ブチルアミド、ジエチル−3−オクソ−ブチルアミド、ジプロピル−3−オクソ−ブチルアミド、ジフェニル−3−オクソ−ブチルアミド等のケトアミド類;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル等のジエステル類等が挙げられる。
【0015】
本発明方法においては、βージカルボニル化合物は、分離操作前のヒドロホルミル化反応生成液中に存在させればよく、反応液に直接βージカルボニル化合物を添加しもよいし或いは反応液中でβージカルボニル化合物を形成させてもよい。 βージカルボニル化合物は、反応終了後、一酸化炭素及び水素をパージし、不安定化されたロジウム錯体と加熱条件下接触させることによりロジウムの析出前に安定且つ再活性化可能なロジウム錯体に変換する。βージカルボニル化合物とロジウム錯体の接触方法は、一酸化炭素及び水素が減じられた加熱処理工程であれば特に制限は無く、加熱処理によるロジウムの析出現象よりも、βージカルボニル化合物と不安定化されたロジウム錯体との反応が速いため、βージカルボニル化合物を共存させるのみで、実質的に所望の効果が達成できる。具体的な操作としては、一酸化炭素及び水素を系外に放出した後のバッチ反応、流通反応、あるいは蒸留操作の際に、βージカルボニル化合物を添加し、加熱する方法が挙げられる。従って、加熱処理と蒸留等の分離操作を同時に行うことが出来る。
【0016】
一般式(1)のβージカルボニル化合物の存在量は、反応生成液中に存在するロジウムに対し少なくとも1.01モル倍以上、好ましくは1.05モル倍以上、更に好ましくは1.1モル倍以上であり、上限は1000モル倍以下、好ましくは100モル倍以下、更に好ましくは10モル倍以下である。
また、一般式(1)のβージカルボニル化合物は、上記の如き、反応終了後のヒドロホルミル化反応液に存在させる方法以外に、ヒドロホルミル化反応、分離操作、再循環等からなる一連の触媒液再循環式反応プロセスを通じて、反応液中に共存させておいてもよい。
【0017】
この場合、βージカルボニル化合物は、ヒドロホルミル化反応プロセスにおいて、生成アルデヒド類との縮合反応、あるいは自己縮合反応等により減損していく。それ故、触媒が存在する液中に上記のβージカルボニル化合物量を維持するため、連続的あるいは間欠的にβージカルボニル化合物を補給することが必要である。βージカルボニル化合物の補給方法は特に限定されるものでは無く、プロセス上、好ましい方法で添加すればよいが、一酸化炭素及び水素が減じられた工程でのロジウム析出の防止という目的から、ヒドロホルミル化反応の前後に添加することが好ましい。
【0018】
本発明方法が適用される、ヒドロホルミル化反応方法につき以下に説明する。
本発明のヒドロホルミル化反応に使用されるロジウムーホスファイト系錯体触媒には、種々のロジウム化合物とホスファイト化合物を使用することが出来る。
反応系にフィードされるロジウム形態としては、特に規定はなく任意の形態で反応系に供給できる。本発明に使用できる原料ロジウム種としては、酢酸ロジウム、ギ酸ロジウム等の有機酸塩、Rh4(CO)12 、Rh6(CO)16 、Rh(CO)2(acac) 、[Rh(cod)Cl]2、[Rh(OAc)(cod)]2 、[Rh(OAc)(CO)2]2 等のカルボニル錯化合物、塩化ロジウム酸ナトリウム、塩化ロジウム酸カリウム等無機塩基酸塩等(ここでacacはアセチルアセトナート基、Acはアセチル基、cod はシクロオクタジエンを各々表す)が挙げられる。ロジウム- ホスファイト系錯体触媒は、ロジウムとホスファイト化合物とを直接ヒドロホルミル化反応器に供給してヒドロホルミル化反応系内で形成させてもよいが、反応器外で一酸化炭素、水素及びホスファイト化合物と共に、溶媒中で高い温度・圧力の条件下で反応させて、あらかじめ錯体触媒を調製しておくこともできる。調製条件は通常、圧力が常圧〜100Kg/cm2 G、温度が常温〜150℃である。
【0019】
本発明方法に使用されるホスファイト化合物は、特に限定されるものではなく、トリアリールホスファイト、トリアルキルホスファイト、アリールアルキルホスファイト等の任意のホスファイト化合物が使用される。また、これらの組合せを同一分子内にもつビスホスファイト、ポリホスファイト化合物等も包含する。
より具体的にモノホスファイト化合物としては、以下のような2つの化合物群に分類することができる。すなわち、このうちの1つの群の化合物としては、環状構造を持ち、リン原子がその環状構造中に含まれるホスファイト化合物であり、もう1つ群の化合物としてはリン原子を含む環状構造を持たないホスファイト化合物である。
第1群のホスファイト、すなわちリン原子を含む環状構造を持たないホスファイト化合物の中で、好ましい化合物の例としては、下記一般式(2)のホスファイト化合物が挙げられる。
【0020】
【化3】
P(OR1 )(OR2 )(OR3 ) (2)
【0021】
(式中、R1 、R2 およびR3 は炭素数1から20の置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基を表す。)。上記の置換基としては、ヒドロホルミル化反応を阻害しない基であれば限定されるものではないが、炭素数1から20のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、アルキルアミノ基、アシル基、カルボアルコキシ基、オキシカルボニル基等が挙げられる。
これらの中でも好ましい化合物としては、一般式(2)におけるR1 、R2 及びR3 の少なくとも1つが下記一般式(3)で表される置換アリール基であるホスファイトである。
【0022】
【化4】
【0023】
(式中、R4 は−C(R9 )(R10)R11基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R9 、R10およびR11はそれぞれ、水素原子、フッ素化炭化水素基または炭化水素基を表し、互いに異なっていてもよい。)
好ましくはR4 が全体としてイソプロピル基以上の立体障害を持つ基、即ち、R9 、R10およびR11の少なくとも2つがフッ素化炭化水素基または炭化水素基である。R5 、R6 、R7 および、R8 はそれぞれ、互いに異なってもよく、水素原子または有機基であり、隣接する置換基、例えばR6 とR7 が互いに結合してベンゼン環と縮合して芳香環または複素環を形成しても良い。
【0024】
これらの化合物の具体例としては、ジフェニル(2,4ージターシャリーブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニル(2ーイソプロピルフェニル)ホスファイト、ビス(2ーターシャリーブチルー4ーメチルフェニル)フェニルホスファイト、ジフェニル(3、6ージターシャリーブチルー2ーナフチル)ホスファイト、ビス(2ーナフチル)(3、6ージターシャリーブチルー2ーナフチル)ホスファイト、ビス(3、6、8ートリターシャリーブチルー2ーナフチル)フェニルホスファイト、ビス(3、6、8ートリターシャリーブチルー2ーナフチル)(2ーナフチル)ホスファイト等が挙げられる。
【0025】
より好ましいホスファイトとしては、一般式(2)におけるR1 、R2 およびR3 のすべてが、前記一般式(3)で表される置換アリール基である有機ホスファイト化合物である。具体例としては、トリス(2,4ージターシャリーブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2ーターシャリーブチルー4ーメチルフェニル)ホスファイト、トリス(2ーターシャリーブチルー4ーメトキシフェニル)ホスファイト、トリス(o−フェニルフェニル)ホスファイト、トリス(o−メチルフェニル)ホスファイト、ビス(3、6ージターシャリーブチルー2ーナフチル)(2、4ージターシャリーブチルフェニル)ホスファイト、ビス(3、6ージターシャリーブチルー2ーナフチル)(2ーターシャリーブチルフェニル)ホスファイト、トリス(3、6ージターシャリーブチルー2ーナフチル)ホスファイト、トリス(3、6ージターシャリーアミルー2ーナフチル)ホスファイト等が挙げられる。
他の1群のモノホスファイト化合物、即ち、環状構造を持ち、リン原子がその環状構造中に含まれるホスファイト化合物としては、下記一般式(4)で示される化合物が挙げられる。
【0026】
【化5】
【0027】
(ここでZは二価の有機基を表し、Yは置換若しくは非置換の一価有機基を表す)。
一般式(4)中、Zで示される代表的二価基は、二価の脂肪族基若しくは二価の芳香族基である。二価脂肪族基の例は、例えばアルキレン、アルキレンオキシアルキレン、アルキレン−NR12−アルキレン(R12は水素原子又は一価炭化水素基)、アルキレン−S−アルキレンおよびシクロアルキレン基並びに類似の基である。二価芳香族基の例はアリーレン、ビアリーレン、アリーレンアルキレン、アリーレンアルキレンアリーレン、アリーレンオキシアリーレン、アリーレンオキシアルキレン、アリーレン−NR12−アリーレンおよびアリーレン−NR12−アルキレン(R12は水素または一価炭化水素基)、アリーレン−S−アルキレンおよびアリーレン−S−アリーレン基である。
一般式(4)で示されるホスファイト化合物の好ましい例としては、下記一般式(5)で表されるホスファイト化合物が挙げられる。
【0028】
【化6】
【0029】
(式中、R13、R13' は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表し、nは0から4の数を表す。Yは置換若しくは非置換の一価有機基を表す。)
一般式(5)において、R13、R13' の代表例としては、メチル基、エチル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、ナフチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
また、より好ましくは、一般式(5)におけるYが、一般式(3)で表されるような、酸素原子に結合する炭素原子の隣接炭素原子に置換基を有するアリール基であるものが望ましい。
また、一般式(4)で示されるホスファイト化合物の別の好ましい例としては、下記一般式(6)のホスファイト化合物が挙げられる。
【0030】
【化7】
【0031】
(ここでR14はo,m,p位の任意の置換基を示し、またはR14が元のベンゼン環と縮合したナフチル環等の縮合芳香環を表す。Yは一般式(4)と同一の意義を有す。)
一般式(6)の代表的なR14は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、および置換基を有していてもよいアリール基等であり、縮合芳香環としてはナフチル基等が挙げられる。
より好ましくは、一般式(6)におけるYが、一般式(3)で表されるような、置換基として酸素原子に結合する炭素原子の隣接炭素原子に置換基を有するアリール基であるものが望ましい。
また、好ましいホスファイト化合物の別の例としては、一般式(7)で表されるジオルガノホスファイトが挙げられる。
【0032】
【化8】
【0033】
{式中、Arは同じまたは異って、置換若しくは非置換アリール基であり、各yは個々に0または1の数を示し、Qは−CR15R16−、−O−、−S−、−NR17−、−SiR18R19−および−CO−(R15およびR16は個々に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル、トリル、又はアシル基を示す。R17、R18およびR19は、個々に水素原子またはメチル基を示す。)よりなる群から選ばれる二価のブリッジ基であり、nは0または1の数を示し、Yは一般式(4)と同一の意義を有す。}。
【0034】
より好ましくは、一般式(7)におけるYは、炭素数1〜20のアルキル基(第一、第二および第三アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、t−ブチルエチル、t−ブチルプロピル、n−ヘキシル、アミル、sec−アミル、t−アミル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、デシル、オクタデシル等)、ベンジル基、o−トリル基,p−トリル基等のアラルキル基よりなる群から選ばれる非置換若しくは置換一価炭化水素基並びに、置換基を有していてもよいアリール基(例えばα−ナフチル、β−ナフチル等)である。アリール基の置換基としては、炭素数1から20のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、アシル基、カルボアルコキシ基、オキシカルボニル基などが挙げられる。
一般式(7)で示されるジオルガノホスファイトの中、より好ましくは、一般式(8)または(9)で表されるホスファイト化合物が挙げられる
【0035】
【化9】
【0036】
(式中、QおよびYは前記式(7)で定義したものと同じである。R20、R21、R22、R23、R24及びR25は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1から20のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、アシル基、カルボアルコキシ基、オキシカルボニル基等を示す。)
更に、本発明のホスファイトとしては、以下に示すビスホスファイト、ポリホスファイトも使用出来る。
【0037】
【化10】
【0038】
(ここでZは前記一般式(4)で定義したのと同様の二価の有機基を表し、R26およびR27は炭素数1から30の置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基を表す。Wは置換若しくは非置換のm価炭化水素基を表す。各ZおよびR26およびR27は互いに同じまたは異なっていても構わない。m1 およびm2 はそれぞれ0から6の値を有し、m=m1 +m2 は2から6の値を有する)。
【0039】
アルキル基等の置換基としては、ヒドロホルミル化反応を阻害しないものであれば特に限定されるものではないが、具体的には炭素数1から20のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、アシル基、カルボアルコシ基、オキシカルボニル基等が挙げられる。R26およびR27によって表される末端部有機基の例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、t−ヘキシル基等の炭素数1〜20個の直鎖または分岐のアルキル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アダマンチル基のような炭素数3〜20個のシクロアルキル基、フェニル基、α- ナフチル基、β- ナフチル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、カルボメトキシフェニル基、シアノフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、メチルナフチル基、メトキシナフチル基、クロロナフチル基、ニトロナフチル基、テトラヒドロナフチル基等の置換基を有していてもよいアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、ピリジル基、メチルピリジル基、ニトロピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ベンゾフリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンズイミダゾリル基、インドリル基等のヘテロ元素含有芳香族基等が挙げられる。
【0040】
より好ましいホスファイト化合物としては、一般式(10)におけるZが、前記式(5)、(6)または(7)におけるZに相当する基及び、各Zが前記式の組合せで表されるホスファイト化合物が挙げられる。 また、R26およびR27はそれぞれ互いに同じまたは異なって置換基を有していてもよいアリール基であるものが望ましい。具体例としては、フェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2, 4- ジメチルフェニル基、2, 5- ジメチルフェニル基、2, 6- ジメチルフェニル基、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、2, 4- ジメトキシフェニル基、2, 5- ジメトキシフェニル基、2, 6- ジメトキシフェニル基、α- ナフチル基、3-メチル- α- ナフチル基、3, 6- ジメチル- α- ナフチル基、β- ナフチル基、1-メチル- β- ナフチル基、3-メチル- β- ナフチル基等が挙げられる。
【0041】
また、Wは置換若しくは未置換のm- 価炭化水素基であって、例えばm=2の場合はアルキレン、アリーレンおよびアリーレン−(CH2 )y−(Q)n−(CH2 )y−アリーレン−{各アリーレン基は同じかまたは別異の置換若しくは未置換アリーレン基であり、Qは個々に−CR28R29−、−O−、−S−、−NR30−、−SiR31R32−および−CO−(R28およびR29は個々に水素原子又はアルキル基を表し、R30、R31およびR32は個々に水素原子またはメチル基である)よりなる群から選ばれるブリッジ基を表し、各yおよびnは個々に0または1の値を有する基を表す。}基である。
【0042】
Wによって表される二価有機基の具体例としては、例えば1, 2- エチレン基、1, 3- プロピレン基、1,3-ジメチル-1,3- プロピレン基、1, 4- ブチレン基、1, 5- ペンチレン基、1, 6- ヘキシレン基、1, 8- オクチレン基、1, 2- フェニレン基、1, 3- フェニレン基、2, 3- ナフチレン基、1, 8- ナフチレン基、1, 1'-ビフェニル-2, 2'- ジイル基、1, 1'-ビナフチル-7, 7'- ジイル基、1, 1'-ビナフチル-2, 2'- ジイル基、2, 2'-ビナフチル-1, 1'- ジイル基、2, 2'-ビナフチル-3, 3'- ジイル基等が包含される。
更に好ましくは、一般式(10)におけるZが前記一般式(7)で定義したZである化合物であって、かつWが一般式(11)である化合物である
【0043】
【化11】
【0044】
(ここでR37およびR38はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜1 2のアルキル基、シクロアルキル基、アルコシキ基、シリル基、シロキシ基、またはハロゲン原子もしくは水素原子である。R33からR36はそれぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アルコシキ基、シリル基、シロキシ基、またはハロゲン原子もしくは水素原子である。)
【0045】
R37およびR38の例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、R33からR36の例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、t−ヘキシル基、ノニル基、デシル基、メトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基等が挙げられる。また、一般式(11)で示される基の特別な例として、R35及びR37および/またはR36及びR38が、各々独立に、互いに結合して炭素数3〜40個からなる環状構造の一部分を形成した基が挙げられ、具体的には、1, 1'-ビナフチル-2, 2'- ジイル基などである。
【0046】
さらにより好ましくは、一般式(10)におけるR26およびR27はそれぞれ互いに同じまたは異なって、置換基を有していてもよいアリール基であって、かつWが一般式(11)におけるR33及びR34がそれぞれ独立して炭素数3〜20の分岐型アルキル基であり、かつ、R35及びR36がそれぞれ独立して炭素数1〜20の分岐型アルキル基またはアルコキシ基である、1, 1'-ビフェニル-2, 2'- ジイル骨格、もしくは、1, 1'-ビナフチル-2, 2'- ジイル骨格を有する置換アリーレン- アリーレン基である。具体例としては、3,3′−ジ−t−ブチル−1,1′−ビナフチル−2,2′−ジイル基、3,3′,6,6′−テトラ−t−ブチル−1,1′−ビナフチル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル−6 ,6 ′−ジ−t−ブトキシ−1,1′−ビナフチル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ペンチル−1,1′−ビナフチル−2,2′−ジイル基、3,3′,6,6′−テトラ−t−ペンチル−1,1′−ビナフチル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ペンチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメトキシ−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′,6,6′−テトラメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−6,6′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ペンチル−6,6′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメトキシ−6,6′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−6,6′−ジクロロ−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基等が挙げられる。
【0047】
最も好ましいものとしては、Wが上記制限に加えて、更にR37及びR38が、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子、具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等である場合である。従って、最も好ましい架橋部二価有機基の例としては、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′,6,6′−テトラメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−6,6′−ジメチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−6,6′−ジエチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−6,6′−ジメトキシ−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメトキシ−6,6′−ジクロロ−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基、3,3′,5,5′−テトラ−t−ブチル−6,6′−ジフルオロ−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル基等が挙げられる。
【0048】
これらのホスファイト配位子については単独で使用してもかまわないし、それぞれの混合物として用いてもかまわない。たとえばモノホスファイトとビスホスファイトまたはポリホスファイト化合物が共存する系であっても構わない。またホスファイト化合物の使用量に関しては特に制限されるものではないが、触媒の活性及び選択性に対して望ましい結果が得られるように設定された量が望ましい。一般に、ロジウム化合物1 モル当たり約0.1 〜500 モル、好ましくは0.1 〜100 モル、より好ましくは1から30モルの範囲から選ばれる量である。
【0049】
本発明で用いられるオレフィン系不飽和化合物としては、単品でも混合物としても用いることができ、直鎖状、分岐鎖状又は環状構造でもよい。好適なオレフィン系不飽和化合物は炭素数2〜20のオレフィンであり、2個以上のエチレン性不飽和基を含んでいてもよい。ヒドロホルミル化反応に実質的に悪影響を与えないカルボニル基、カルボニルオキシ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、オキシカルボニル基、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、ハロアルキル基等で置換されていてもよい。オレフィン系不飽和化合物の例としては、α−オレフィン、内部オレフィン、アルケン酸アルキル、アルカン酸アルケニル、アルケニルアルキルエーテル、アルケノール等が挙げられ、具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、オクタデセン、シクロヘキセン、プロピレン2量体混合物、プロピレン3量体混合物、プロピレン4量体混合物、ブテン2量体混合物、ブテン3量体混合物、スチレン、3−フェニル−1−プロペン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、3−シクロヘキシル−1−ブテン、アリルアルコール、1−ヘキセン−4−オール、1−オクテン−4−オール、酢酸ビニル、酢酸アリル、酢酸−3−ブテニル、プロピオン酸アリル、メタクリル酸メチル、酢酸−3−ブテニル、ビニルエチルエーテル、ビニルメチルエーテル、アリルエチルエーテル、n−プロピル−7−オクテノエート、3−ブテンニトリル、5−ヘキセンアミド等が挙げられる。
【0050】
ヒドロホルミル化反応の溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸ブチルなどのエステル類、ケトン類あるいは原料オレフィン自体を用いてもよく、2種以上の混合物を用いることもできる。一般にアルデヒド生成物及び/又は反応系中で生成される高沸点のアルデヒド液体縮合副生物を用いることが好ましい。例えば、連続プロセスの開始時には任意の一次溶剤を用いた場合でも、連続プロセスという性格上、一次溶剤は通常最終的にはアルデヒド生成物と高沸点のアルデヒド液体縮合副生物とからなる。所望により、このアルデヒド縮合副生物は予備形成させてもよい。溶剤の使用量は本発明にとって重要な問題でなく、所定プロセスに望まれる特定のロジウム濃度を維持し、かつ反応媒体としての役割を果たすのに十分な量であればよい。一般に溶剤量は、反応媒体の総重量に対し約5重量%〜約95重量%が用いられる。
【0051】
ヒドロホルミル化反応は、溶媒中にロジウムーホスファイト系錯体触媒、オレフィン系不飽和化合物を仕込み、一酸化炭素及び水素を通じて行われる。ヒドロホルミル化反応条件としては、水素、一酸化炭素及びオレフィン系不飽和化合物の総気体圧力が500Kg/cm2 G未満でヒドロホルミル化プロセスを作動させることが好ましく、200Kg/cm2 G未満がより好ましい。最低限の総気体圧力は、反応の初期速度を達成するのに必要な反応体量により限定される。更に、本発明のヒドロホルミル化反応における一酸化炭素分圧は、好ましくは0.1〜100Kg/cm2 G、より好ましくは1〜50Kg/cm2 Gであり、また水素分圧は好ましくは0.1〜100Kg/cm2 G、より好ましくは1〜50Kg/cm2 Gである。一般に水素と一酸化炭素ガスのモル比は(H2 :CO)は1:10〜100:1であり、より好ましくは1:1〜10:1である。また、反応は通常常温〜150℃の温度で実施でき、ロジウム濃度が1〜1000ppm 、好ましくは10〜500ppm 、さらに好ましくは25〜350ppm で実施される。
【0052】
【実施例】
以下、本発明を実施例及比較例により具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の例においては、ロジウム- ホスファイト系錯体触媒を使用するヒドロホルミル化プロセスにおいて、ロジウムの減損を抑制する方法として、分離工程に供する反応生成液中にβ−ジカルボニル化合物を存在させることが効果的であることを明確に立証するため、ロジウムの減損テストを採用した。この方法は、ロジウム- ホスファイト系錯体触媒溶液を過酷な条件下に置くことからなり、一般的に分析誤差が±3%程となる恐れのあるロジウムの分析精度の問題を回避し、ロジウム減損の度合いを明確にするものである。
【0053】
実施例1
200ccのステンレス製オートクレーブに、オクテン混合物93.58g、オクテンのオキソ反応高沸点副生物18.44g、Rh(CO)2 (acac)18.及びトリス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(以下DBPO)455.2mgを窒素下仕込んだ。撹拌しながらオートクレーブを150℃まで昇温し、その後水素及び一酸化炭素混合ガス(混合比1:1)をオートクレーブ内に導入し、5.0MPaで150℃、2時間撹拌操作を継続した。冷却後水素及び一酸化炭素混合ガスをパージし、オートクレーブから一部ヒドロホルミル化反応後液を抜きだし、ゼーマン原子吸光法によるロジウムの定量分析を実施した。次いで、オートクレーブ内のヒドロホルミル化反応後液に、オクテンのオキソ反応高沸点副生物10g及び2,4−ペンタジオン(アセチルアセトン)7.72mgを圧入し、110℃で1時間加熱撹拌処理を行い再度室温まで冷却した。その後、本混合物を冷却管、温度計を取り付けた300ml三つ口フラスコに移し、150℃(内温)で40分間加熱撹拌を実施した。室温まで冷却し、ゼーマン原子吸光法によるロジウムの定量分析を実施した。反応終了後から150℃の加熱撹拌終了後までのロジウム残存率は100%であった。
【0054】
比較例1
200ccステンレス製オートクレーブに、オクテン混合物93.71g、オクテンのオキソ反応高沸点副生物18.35g、Rh(CO)2(acac) 18.1mg、及びDBPO457.8mgを窒素下仕込んだ。撹拌しながらオートクレーブを150℃まで昇温し、その後水素及び一酸化炭素混合ガス(混合比1:1)をオートクレーブ内に導入し、5.0MPaで150℃、2時間撹拌操作を継続した。冷却後水素及び一酸化炭素混合ガスをパージし、オートクレーブから一部ヒドロホルミル化反応後液を抜きだし、ゼーマン原子吸光法によるロジウムの定量分析を実施した。その後本混合物を冷却管、温度計を取り付けた300ml三つ口フラスコに移し、150℃(内温)で40分間加熱撹拌を実施した。室温まで冷却し、ゼーマン原子吸光法によるロジウムの定量分析を実施した。反応終了後から150℃の加熱撹拌終了後までのロジウム残存率は76%であった。
【0055】
実施例2
窒素下、冷却管、温度計を取り付けた300ml三つ口フラスコに、テトラロジウムドデカカルボニル(Rh4(CO)12 )6.60mg(0.0116mmol)、DBPOを0.0301g(0.465mmol) 、2,4−ペンタジオン(アセチルアセトン)5.12mg(0.0512mmol)、及びo-キシレン120mlを仕込み、室温で内容物を溶解させた。溶解した内容物をゼーマン原子吸光法によるロジウムの定量分析を実施した。その後、本混合物を窒素下3時間還流処理(内温144 ℃)を実施し、冷却後内容物を0.2μmのフィルターで濾過し、ゼーマン原子吸光分析を実施した。加熱撹拌処理前後のロジウム残存率は98%であった。
【0056】
比較例2
窒素下、冷却管、温度計を取り付けた300ml三つ口フラスコに、テトラロジウムドデカカルボニル(Rh4(CO)12 )6.60mg(0.0116mmol)、DBPOを0.0301g(0.465mmol) 、及びo-キシレン120mlを仕込み、室温で内容物を溶解させた。溶解した内容物をゼーマン原子吸光法によるロジウムの定量分析を実施した。その後、本混合物を窒素下3時間加熱還流処理(内温144 ℃)をした後、冷却し、内容物を0.2μmのフィルターで濾過し、ゼーマン原子吸光法によるロジウムの定量分析を実施した。ゼーマン原子吸光法による加熱処理後のロジウム残存率は13%であった。
【0057】
【発明の効果】
実施例から明らかな様に、本発明方法により、βージカルボニル化合物を存在させたヒドロホルミル化反応液は、加熱された場合のロジウムの析出による減損が大幅に抑制される。従って、本発明方法によれば、ヒドロホルミル化反応液から生成アルデヒドを分離する際に生じるロジウムの減損を大幅に低下させることが可能である。
Claims (7)
- ロジウムーホスファイト系錯体触媒の存在下、液相で、オレフィン系不飽和化合物を一酸化炭素及び水素と反応させてオレフィン系不飽和化合物をヒドロホルミル化してアルデヒド類を製造する方法に於いて、反応終了後、反応生成液から、少なくとも1つの成分を分離する際、反応生成液中に、該液中のロジウム量の1.01モル倍以上の下記一般式(1)
で示されるβージカルボニル化合物を存在させることを特徴とするアルデヒド類の製造方法。 - ヒドロホルミル化反応終了後、一酸化炭素及び水素を系外に除去した後、βージカルボニル化合物を存在させた反応液を加熱して反応液中の少なくとも1つの成分の分離操作を実施することを特徴とする請求項1記載のアルデヒド類の製造方法。
- βージカルボニル化合物の量が、液中のロジウム量の1.05〜100モル倍の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルデヒド類の製造方法。
- ヒドロホルミル化反応液から、触媒を分離し、循環再使用することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のアルデヒド類の製造方法。
- ヒドロホルミル化反応液からの触媒の分離を、110℃以上で実施することを特徴とする請求項4に記載のアルデヒド類の製造方法。
- βージカルボニル化合物が、2,4−ペンタンジオンであることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のアルデヒド類の製造方法。
- ヒドロホルミル化反応の際、該反応液中に、ロジウム量の1.01モル倍以上のβージカルボニル化合物が存在するように、連続的あるいは間欠的にβージカルボニル化合物を反応液に添加することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のアルデヒド類の製造方法。
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