JP3903575B2 - アルデヒド類の製造方法 - Google Patents

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C45/00Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds
    • C07C45/49Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds by reaction with carbon monoxide
    • C07C45/50Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds by reaction with carbon monoxide by oxo-reactions

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアルデヒド類の製造方法に関する。詳しくはオレフィン性化合物をヒドロホルミル化反応させて対応するアルデヒド類を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン性化合物を、触媒の存在下に一酸化炭素及び水素と反応させて、アルデヒド類またはその水添物であるアルコ−ル類を製造する反応は、ヒドロホルミル化反応として知られている。ヒドロホルミル化反応の触媒としては、通常リンを含有する配位子で修飾されたロジウム等の第8族金属が用いられており、触媒の金属成分と共に用いられる配位子により反応の活性及び生成物の選択性が大きく変化することが知られている。したがってヒドロホルミル化反応を工業的に有利に実施するためには、反応活性及び生成物の選択性の向上並びに副反応によるオレフィン還元生成物の抑制などが重要な課題であり、そのための配位子の設計が盛んに行われている。このような方法として、各種のホスフィン化合物や各種のホスファイト化合物を用いるヒドロホルミル化方法が報告されている。
【0003】
ヒドロホルミル化反応の配位子として、単座ホスフィン化合物を使用した例は古くから報告されており、工業的にも多く応用されている。また、当該反応においては、単座ホスファイト化合物が使用された例も多く、例えば特表昭62−116587、特開平5−178779等が報告されている。また、多座ホスファイト化合物が使用された例も多い。
【0004】
一般的に単座配位子は、多座配位子に比べ、その触媒機能において低い選択性を持つことが知られてきた。そのため、近年では高選択性を発現する多座配位子の開発が盛んとなってきており、例えば、USP5332846(Eastman Chemical)が報告されている。同様に多座ホスファイト化合物が使用された例としては、特開昭62−116587(UCC)、特開平5−178779(MCC)等が報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来技術の流れにおいては、単一の有機リン化合物を使用するのではなく、構造の異なる有機リン化合物が共存する条件下におけるヒドロホルミル化反応の挙動に関しては、解析された例は非常に少ない。例えば、WO97/20795においては、両末端に環状構造を有する二座ホスファイト触媒系は、単座ホスファイト化合物または単座ホスフィン化合物等の単座配位子の共存下においてはRhの析出を防止できることが報告されている。
【0006】
また、特開平6−199728には、ロジウム−二座ホスファイト触媒系のヒドロホルミル化反応では、一般的に反応系中の分解生成物として単座のホスファイトが生成し、これが触媒毒として作用するために、触媒活性が低下することが記載されている。
つまり、従来技術においては、二座ホスファイト配位子を用いて工業的にオキソ反応を実施しようとした場合、特に長期間連続的に反応を実施するような場合には、反応系中にたとえ配位子の分解物であっても単座ホスファイト化合物が存在すると反応の活性に関しては好ましい影響を与えないことが予想されていた。
【0007】
更に、オレフィン性化合物のヒドロホルミル化反応において、従来開示されている種々の二座ホスフィン又は二座ホスファイトのような多座リン配位子を用いた場合の活性は必ずしも満足しうるものではなく、また副生成物の生成が商業生産において経済性の低下をもたらしていた。例えばこの副生成物として分岐型生成物は工業的にも価値が低く、このような副反応を起こさず連続的な操作においても高活性を維持しうる配位子の開発が強く望まれていた。
本発明は、有機多座ホスファイトを含む触媒反応系の反応活性を更に向上させることのできるヒドロホルミル化反応系を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、反応活性及び目的生成物の選択性を向上するのに有効な配位子の検討を鋭意進める過程で、第8族金属と多座ホスファイトを含む触媒の存在下に、オレフィン性化合物をヒドロホルミル化反応させる場合には、特定の構造を持つ単座ホスファイトを共存させることにより、反応の活性が向上し、また、副生物の生成が抑制できることを見い出して本発明に到達した。
【0009】
即ち、本発明の要旨は、第8族金属及び有機多座ホスファイト化合物を含有する触媒の存在下に、オレフィン性化合物を一酸化炭素及び水素とヒドロホルミル化反応させて対応するアルデヒド類を製造する方法において、反応系中に下記一般式(I)で表される非環状の単座ホスファイト化合物を存在させて反応を行うことを特徴とするアルデヒド類の製造方法、に存する。
【0010】
【化2】
Figure 0003903575
【0011】
(式中、Ar1 〜Ar3 は、各々置換基を有していてもよい芳香族性有機基であり、Ar1 〜Ar3 のうち少なくとも2つは、ホスファイト性酸素原子の2つのオルト位のうち、一方に分岐状炭化水素基を有し、他方に水素原子を有する芳香族性有機基である。)
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明は、ヒドロホルミル化反応系中に、有機多座ホスファイト化合物と特定の構造を有する非環状の単座ホスファイト化合物を存在させて反応を行うものである。
【0013】
本発明において用いられる有機多座ホスファイト化合物は、2個以上のホスファイト構造を有する化合物であり、例えば2座ホスファイト、3座ホスファイト、4座ホスファイト等が挙げられる。
代表的な多座ホスファイトは例えば下記一般式(II)で表される。
【0014】
【化3】
Figure 0003903575
【0015】
一般式(I)中、mは2以上の整数であり、Wは、置換されていてもよい脂肪族基、芳香族基またはビス芳香族基を表す。Wが脂肪族基を表す場合には、Wは炭素数が2〜4のアルキレン基であるのが好ましい。Wが芳香族基を表す場合には、Wは通常、フエニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基などのアリーレン基が好ましいが、これらのうちでもo−アリーレン基が好ましい。またWがビス芳香族基を表す場合には、アリーレン基に結合する酸素原子のo−位同士が直接に、または炭化水素基、酸素原子、硫黄原子などの結合基を介して結合しているビスアリーレン基が好ましく、なかでもフェニル基またはナフチル基に結合する酸素原子のo−位同士が直接結合しているものが好ましい。また、R1 及びR2 は、置換されていてもよいアルキル基、アリール基を表し、R1 とR2 は、独立に−O−P−O−結合を含む環構造を形成していてもよい。R1 ,R2 がアルキル基を表す場合には、直鎖状または環状であり炭素数が1〜20であるのが好ましい。R1 ,R2 がアリール基を表す場合には、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。R1 とR2 で環構造を形成する場合には、形成されたR1 −R2 基は、置換されていてもよいアルキレン基、アリーレン基またはビスアリーレン基を表し、アルキレン基を表す場合にはアルキレン鎖の炭素数が2〜4であるのが好ましく、アリーレン基を表す場合には、通常、フエニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基などであり、これらのうちでもo−アリーレン基が好ましく、ビスアリーレン基を表す場合には、アリール基に結合する酸素原子のo−位同士が直接に、または炭化水素基、酸素原子、硫黄原子などの結合基を介して結合しているものが好ましい。
【0016】
一般式(II)で表わされる多座ホスファイト化合物の中でも、m=2である二座ホスファイト化合物を用いるのが好ましい。二座ホスファイト化合物の具体的な例としては、例えば、以下のような化合物が挙げられ、中でも分子内に環状構造を有しない二座ホスファイトを用いるのが好ましい。(各式中、Meはメチル基、t−Bu及び
【0017】
【化4】
Figure 0003903575
【0018】
はt−ブチル基を表す。)
【0019】
【化5】
Figure 0003903575
【0020】
【化6】
Figure 0003903575
【0021】
【化7】
Figure 0003903575
【0022】
【化8】
Figure 0003903575
【0023】
【化9】
Figure 0003903575
【0024】
【化10】
Figure 0003903575
【0025】
【化11】
Figure 0003903575
【0026】
【化12】
Figure 0003903575
【0027】
【化13】
Figure 0003903575
【0028】
【化14】
Figure 0003903575
【0029】
【化15】
Figure 0003903575
【0030】
【化16】
Figure 0003903575
【0031】
【化17】
Figure 0003903575
【0032】
【化18】
Figure 0003903575
【0033】
【化19】
Figure 0003903575
【0034】
【化20】
Figure 0003903575
【0035】
【化21】
Figure 0003903575
【0036】
【化22】
Figure 0003903575
【0037】
【化23】
Figure 0003903575
【0038】
【化24】
Figure 0003903575
【0039】
【化25】
Figure 0003903575
【0040】
【化26】
Figure 0003903575
【0041】
【化27】
Figure 0003903575
【0042】
本発明で使用する単座ホスファイトは、下記一般式(I)で表される非環状の単座ホスファイト化合物である。
【0043】
【化28】
Figure 0003903575
【0044】
一般式(I)中、Ar1 〜Ar3 は、各々置換基を有していてもよい一価の芳香族性有機基であり、互いに異なっていてもよく、Ar1 〜Ar3 のうち少なくとも2つは、ホスファイト性酸素原子の2つのオルト位のうち、一方に分岐状炭化水素基を有し、他方に水素原子を有する芳香族性有機基である。ここで、分岐状炭化水素とは炭素数3以上の炭化水素基であり、炭素数4以上の分岐状炭化水素基であるのが好ましい。
【0045】
芳香族性有機基Ar1 〜Ar3 としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ピリジル基等が挙げられ、中でも、フェニル基、ナフチル基が反応活性が向上するという点で好ましい。
また、一般式(I)で表される単座ホスファイト化合物の中でも、Ar1 〜Ar3 の少なくとも2つが、各々少なくとも3つの炭素数4以上の分岐状炭化水素基で置換された芳香族性有機基である化合物を使用すると、特に反応活性向上効果が著しいという点で好ましい。
【0046】
芳香族性有機基であるAr1 、Ar2 およびAr3 は、上述した要件を満たせば、更に別の置換基を有していてもよく、その置換基としては、炭素数1〜30、好ましくは1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、炭素数6〜22、好ましくは6〜14のアリ−ル基、炭素数6〜22、好ましくは6〜14のアリ−ルオキシ基、炭素数1〜30、好ましくは1〜8のアルコキシ基、炭素数7〜30のアルキルアリ−ル基、アリ−ルアルキル基、アシル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、シリル基、アルキルアミノ基、さらには水酸基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0047】
置換基であるアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基などが例示され、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが例示され、アルケニル基としてはビニル基、アリル基、2−シクロヘキセニル基などが例示される。また、アリ−ル基としてはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が例示され、アリ−ルオキシ基としてはフェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等が例示される。これらの置換基は、Ar1 、Ar2 およびAr3 のそれぞれの炭化水素基に対して複数個置換していてもよく、かつ、各々の置換基は同じでも異なっていてもよい。また、置換基としてのアリ−ル基には、さらに上述した置換基が置換していてもよい。
【0048】
ホスファイト性酸素原子の2つのオルト位のうち、一方に分岐状炭化水素基を有し、他方に水素原子を有する、Ar1 〜Ar3 のうち少なくとも2つの芳香族性有機基としては、具体的には、2−イソプロプル−4−メチルフェニル基、2−シクロヘキシル−4−メチルフェニル基、2−t−ブチルフェニル基、2−t−ブチル−4−メトキシフェニル基、2−t−ブチル−4−メトキシー5ーメチルフェニル基、2−t−ブチル−4−メチルフェニル基、2−t−ブチル−5−メチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル基、2,4−ジ−t−アミルフェニル基、2,4−ジ−t−アミル−5−メチルフェニル基、3,6−ジ−t−ブチル−2−ナフチル基、3,6、8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル基等が挙げられる。中でも2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル基、3,6、8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル基が好適である。
一般式(I)で表わされる非環状の単座ホスファイト化合物の代表例を次に示す。
【0049】
【化29】
Figure 0003903575
【0050】
【化30】
Figure 0003903575
【0051】
【化31】
Figure 0003903575
【0052】
【化32】
Figure 0003903575
【0053】
【化33】
Figure 0003903575
【0054】
上述した本発明の一般式(I)で表される単座ホスファイトは、反応系中に新たに供給してもよいし、反応系中で分解して副生したものでもよい。
本発明の反応系における詳細な反応機構は明らかではないが、本発明において系中に存在させる単座ホスファイトが特定の非環状構造を有する場合には、リン原子の周囲の立体障害が反応活性に影響を与えているのではないかと考えられる。
【0055】
本発明のヒドロホルミル化反応において、反応原料として使用されるオレフィン性化合物は、分子内にオレフィン性二重結合を少なくとも一つ有する有機化合物であれば特に制限は無く、具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、ペンテン、ヘキセン、ヘキサジエン、オクテン、オクタジエン、デセン、ヘキサデセン、オクタデセン、イコセン、ドコセン、スチレン、α−メチルスチレン、シクロヘキセン、および、プロピレン−ブテン混合物、n−ブテン−2−ブテン−イソブチレン混合物、n−ブテン−2−ブテン−イソブチレン−ブタジエン混合物等の低級オレフィン混合物、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン等の低級オレフィンの二量体〜四量体のようなオレフィン性オリゴマ−異性体混合物等のオレフィン性炭化水素、アクリロニトリル、アリルアルコ−ル、1−ヒドロキシ−2,7−オクタジエン、3−ヒドロキシ−1,7−オクタジエン、オレイルアルコ−ル、1−メトキシ−2,7−オクタジエン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、オレイン酸メチル等のヘテロ原子基置換オレフィン類等が挙げられる。中でも、炭素数3〜8のオレフィンを用いるのが好ましく、特にプロピレンを用いるのが好ましい。
【0056】
本発明に使用される第8族金属化合物としては第8族金属である、ロジウム、コバルト、白金、イリジウム、パラジウム、ルテニウム、及びこれらの混合物より選ばれる金属の化合物が挙げられ、好ましい金属の種類としてはロジウム、コバルト、白金が挙げられ、特に好ましいのはロジウムである。第8族金属化合物としては、例えば、塩化ロジウム、硝酸ロジウム、酢酸ロジウム、ギ酸ロジウム、塩化ロジウム酸ナトリウム、塩化ロジウム酸カリウムのようなロジウムの無機または有機酸塩、アルミナ、シリカ、活性炭などの担体に坦持されたロジウム金属、ロジウムジカルボニルアセチルアセトナ−トのようなロジウムのキレ−ト性化合物、テトラロジウムドデカカルボニル、ヘキサロジウムヘキサデカカルボニル、μ,μ′−ジクロロロジウムテトラカルボニル、[Rh(OAc)(COD)]2 (CODは1,5−シクロオクタジエンを表わす。)、[Rh(μ−S−t−Bu)(CO)2 ]2 のようなロジウムのカルボニル錯化合物が挙げられる。その他の第8族金属化合物としては、例えば、ジコバルトオクタカルボニル、ステアリン酸コバルト等のコバルト化合物、白金酸、ヘキサクロロ白金酸ナトリウム、第二白金酸カリウム等の白金化合物、三塩化イリジウム、イリジウムカルボニル等のイリジウム化合物、三塩化ルテニウム、テトラアンミンヒドロキソクロロルテニウムクロリド等のルテニウム化合物等が挙げられる。また、第8族金属化合物の添加形態は特に制限されない。
【0057】
第8族金属化合物の使用量は特に制限されるものではなく、触媒活性及び経済性等から考慮される限界はあるが、通常ヒドロホルミル化反応帯域における濃度が金属原子換算で、反応溶媒1リットルに対し0.05mg〜5g、好ましくは0.5mg〜1gの範囲から選ばれる。
本発明の有機多座ホスファイト化合物は、予め上記の第8族金属化合物と錯体を形成させて用いることができる。有機多座ホスファイト化合物を含む第8族金属錯体は、第8族金属化合物と有機多座ポリホスファイト化合物物とから公知の錯体形成方法により容易に調製することができる。また、場合によっては第8族金属化合物と有機多座ホスファイト化合物とをヒドロホルミル化反応帯域に供給し、そこで錯体を形成させて用いることもできる。また、本発明で存在させる単座のホスファイトの第8族金属化合物に対する配位状態はどのような形態でもよく、本発明においては単座のホスファイトが系中にごく微量であっても存在していればよい。
【0058】
本発明の有機多座ホスファイト化合物の使用量は特に制限されるものではなく、通常は第8族金属1モル当たり約0.001〜1000モル、好ましくは0.01〜200モルの範囲から選ばれる。本発明の単座ホスファイトの使用量は特に制限されるものではなく、通常は第8族金属1モル当たり約0.001〜1000モル、好ましくは0.01〜200モルの範囲から選ばれる。また、反応系中における、有機多座ホスファイト化合物に対する単座ホスファイトの存在モル比は、0.01〜100、好ましくは0.01〜20、更に好ましくは0.05〜2とするのがよい。ここで上記の存在モル比は、錯体に配位したホスファイトと遊離の状態で存在するホスファイトの両方の合計量として規定する。
【0059】
ヒドロホルミル化反応を行うにあたって反応溶媒の使用は必須ではないが、必要ならばヒドロホルミル化反応に不活性な溶媒を存在させることが出来る。好ましい溶媒の具体例は、トルエン、キシレン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ−テル類、酢酸エチル、ジ−n−オクチルフタレ−ト等のエステル類、アルデヒド縮合体等のヒドロホルミル化反応時に副生する高沸点成分等が挙げられ、オレフィン性化合物自体を溶媒として用いることもできる。
【0060】
本発明のヒドロホルミル化反応を行う際の反応条件としては、従来用いられてきた条件が使用でき、反応温度は、通常15〜200℃、好ましくは50〜150℃の範囲から選ばれ、反応圧力は、通常常圧〜200気圧、好ましくは5〜100気圧、特に好ましくは5〜50気圧の範囲から選ばれる。水素と一酸化炭素のモル比(H2 /CO)は通常10/1〜1/10、好ましくは1/1〜6/1の範囲から選択される。
【0061】
ヒドロホルミル化反応の方式としては、例えば撹拌型反応槽または気泡塔型反応槽中で、連続方式又は回分方式のいずれでも行うことができる。また、生成するアルデヒド類と触媒とを分離する方法としては、蒸留や抽出等の公知の方法によって行うことができ、分離された触媒液を用いて、さらにオレフィン性化合物のヒドロホルミル化反応を繰り返し行うことができる。更に、連続的にオレフィン性化合物をアルデヒドに転化する際に、生成するアルデヒドの一部又は全部を分離した残りの反応液を、連続的にヒドロホルミル化反応槽に循環して使用することもできる。
【0062】
【実施例】
本発明の実施の態様を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。
【0063】
実施例1
内容積200mlのステンレス鋼製上下撹拌型オ−トクレ−ブに、窒素雰囲気下で、溶媒としてトルエンを55ml、内部標準としてヘプタンを5ml、[Rh(OAc)(COD)]2 を19.7mg、下記に示した二座ホスファイト化合物(27)をロジウム1グラム原子当たり2.0molおよび下記の示した単座ホスファイト(22)をロジウム1モル当たり4.0mol仕込み、オ−トクレ−ブを密閉した。このオ−トクレ−ブ内を窒素ガスで十分に置換した後に放圧し、プロピレン4.50gを圧入した。次いで70℃まで昇温した後、オ−トクレ−ブ内に水性ガス(H2 /CO)を圧入して全圧力を10.0気圧とし、反応を開始させた。反応に使用したオ−トクレ−ブ内の圧力は、自動圧力調整器を通して水性ガスを補給することにより反応終了時まで一定圧力に保たれ、1.03〜2.60時間反応させた。反応終了後、反応器を室温まで冷却した。オ−トクレ−ブ内の気相及び液相についてガスクロマトグラフィ−により成分分析を行い、生成したアルデヒド類、未反応のプロピレン、還元反応生成物であるプロパン等の定量分析を行い、反応活性、n体生成物の選択率を求めた。結果を表−1に示す。
【0064】
【化34】
Figure 0003903575
ビスホスファイト化合物(27)
【0065】
【化35】
Figure 0003903575
【0066】
実施例2
単座ホスファイト化合物として下記に示した単座ホスファイト化合物(9)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。結果を表−1に示す。
【0067】
【化36】
Figure 0003903575
【0068】
比較例1
単座ホスファイトを使用しなかったこと以外は実施例1と同様に反応を行った。結果を表−1に示す。
【0069】
比較例2及び3
単座ホスファイトとして下記に示したホスファイト化合物(比1)及び(比2)を用いたこと以外は実施例1と同様に反応を行った。結果を表−1に示す。
【0070】
【化37】
Figure 0003903575
【0071】
【表1】
Figure 0003903575
【0072】
実施例3
二座ホスファイト化合物(27)の代わりに下記に示した二座ホスファイト化合物(43)を用い、単座ホスファイト化合物として下記に示した単座ホスファイト化合物(18)を使用したこと以たこと以外は、実施例1と同様にして反応を行い、反応活性、n体生成物の選択率を求めた。結果を表−2に示す。
【0073】
【化38】
Figure 0003903575
ビスホスファイト化合物(43)
【0074】
【化39】
Figure 0003903575
【0075】
比較例4
単座ホスファイトを使用しなかったこと以外は実施例3と同様に反応を行った。結果を表−2に示す。
【0076】
比較例5〜7
単座ホスファイトとして下記に示したホスファイト化合物(比3)〜(比5)を用いたこと以外は実施例3と同様に反応を行った。結果を表−2に示す。
【0077】
【化40】
Figure 0003903575
【0078】
【表2】
Figure 0003903575
【0079】
表−1から明らかなように、Ar1 〜Ar3 のうち少なくとも2つが、ホスファイト性酸素原子の2つのオルト位のうち、一方に分岐状炭化水素基を有し、他方に水素原子を有する単座ホスファイト化合物を、有機多座ホスファイト化合物と共存させることにより、反応活性を向上させることができる。また、多座ホスファイトと単座ホスファイトとをヒドロホルミル化反応系中に共存させることにより、n体生成物の選択率を一定に維持することができることが分かる。
【0080】
【発明の効果】
本発明の特定の単座ホスファイト化合物を、第8族金属および有機多座ホスファイトを含む触媒系に共存させることにより、高い反応活性を達成することが可能となるため、工業的にも有用な直鎖アルデヒドを安定に製造することが可能である。また副反応であるオレフィン性化合物の還元を抑制することができる。

Claims (5)

  1. 第8族金属及び有機多座ホスファイト化合物を含有する触媒の存在下に、オレフィン性化合物を一酸化炭素及び水素とヒドロホルミル化反応させて対応するアルデヒド類を製造する方法において、反応系中に下記一般式(I)で表される非環状の単座ホスファイト化合物を存在させて反応を行うことを特徴とするアルデヒド類の製造方法。
    Figure 0003903575
    (式中、Ar1 〜Ar3 は、各々置換基を有していてもよい芳香族性有機基であり、Ar1 〜Ar3 のうち少なくとも2つは、ホスファイト性酸素原子の2つのオルト位のうち、一方に分岐状炭化水素基を有し、他方に水素原子を有する芳香族性有機基である。)
  2. 一般式(I)で表される単座ホスファイト化合物のAr1 〜Ar3 の少なくとも2つが、ホスファイト性酸素原子の2つのオルト位のうち、一方に炭素数4以上の分岐状炭化水素基を有する芳香族性有機基である請求項1に記載のアルデヒド類の製造方法。
  3. 一般式(I)で表される単座ホスファイト化合物のAr1 〜Ar3 の少なくとも2つが、各々少なくとも3つの炭素数4以上の分岐状炭化水素基で置換された芳香族性有機基である請求項2に記載のアルデヒド類の製造方法。
  4. 有機多座ホスファイトが、二座ホスファイト化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のアルデヒド類の製造方法。
  5. 有機多座ホスファイトが、非環状の二座ホスファイト化合物である請求項4に記載のアルデヒド類の製造方法。
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