JP2001163821A - アルデヒドの製造方法 - Google Patents

アルデヒドの製造方法

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JP2001163821A JP2000367006A JP2000367006A JP2001163821A JP 2001163821 A JP2001163821 A JP 2001163821A JP 2000367006 A JP2000367006 A JP 2000367006A JP 2000367006 A JP2000367006 A JP 2000367006A JP 2001163821 A JP2001163821 A JP 2001163821A
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オーヤン ライオネル
Masaki Takai
正樹 高井
Toru Tsukahara
徹 塚原
Akio Nakanishi
章夫 中西
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒドロホルミル化反応を用いてアルデヒ
ドを製造する方法であって、高沸成分の生成を最少にす
る方法の提供。 【解決手段】 触媒存在下、オレフィン性化合物を水素
および一酸化炭素と反応させるヒドロホルミル化反応シ
ステムにおいて、反応器および反応器下流の触媒移動経
路の温度を約100℃未満とすることにより、高沸点副
生物成分の生成および該触媒の分解を実質的に最少にす
ることを特徴とするアルデヒドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒドロホルミル化
反応を用いてアルデヒドを製造する方法であって、更に
詳しくは、高沸点成分の生成と触媒および特に配位子の
分解を最少にする方法に関する。アルデヒドは、最終生
成物であることが可能であり、あるいは後続の処理にお
いて用いられる中間生成物であることが可能である。
【0002】
【従来の技術】アルデヒドは、多様な目的のために、例
えば、可塑剤用の重要な原料である2−エチルヘキサノ
ール(2EH)の生成、すなわち、後続の水素添加でア
ルコールを生成させるための前駆物質として広く用いら
れている。アルデヒドは、多様な方法によって製造する
ことができる。一つの重要な製造方法はヒドロホルミル
化である。ヒドロホルミル化反応は、基本的には、触媒
が存在する状態でアルケンを一酸化炭素および水素と結
合して、供給アルケンより炭素数が1個多いアルデヒド
を生成させる。例えば、プロピレンのヒドロホルミル化
は、C4アルデヒドとも呼ばれるブチルアルデヒドを生
成させる。先行技術の幾つかのヒドロホルミル化法の例
は、米国特許第4,599,206号、第4,748,
261号、第4,885,401号、第5,059,7
10号、第5,288,918号、第5,648,55
3号、第5,663,403号および第5,672,7
66号に記載されている。
【0003】先行技術の反応システムは、代表的には液
体再循環システムである。すなわち、反応溶液の少なく
とも1部は、アルデヒド生成物と残りの反応物および触
媒を含むヒドロホルミル化反応器から連続的にまたは定
期的に抜き取られる。アルデヒド生成物と任意の1種以
上の反応物および触媒は、分離工程における装置内で分
離される。分離工程は、反応溶液からの分離および/ま
たは回収中に触媒が通る経路である反応器下流の触媒移
動経路を含む。図1は、こうした先行技術のヒドロホル
ミル化反応システムを説明する1つの例である。図1に
おいて、反応器は番号10として示され、分離工程は番
号12として一般的に示されている。一般に、反応器1
0としては、連続攪拌槽反応器(CSTR)が挙げられ
る。任意に、オレフィン化合物のアルデヒドへの転化率
を高めるために、追加の装置を反応器10の一部として
用いてもよい。C4アルデヒドを製造するために、供給
プロピレン(PPY)は、反応器10への第1の入口手
段を介して投入される。オキソガスまたは合成ガスとし
てよりよく知られ、気体混合物として供給されることが
多い水素(H2)および一酸化炭素(CO)は、一般
に、ヒドロホルミル化反応器10への第2の入口手段ま
たは反応器の関連追加装置を介して導入される。一般
に、オキソガス中のH2およびCOの濃度は約1:1の
モル比である。プロピレン転化率は、プロピレンまたは
合成ガスの純度に依存する。これらが低純度であれば、
プロピレンのC4アルデヒドへの総括の転化率はより低
くなる。低純度のプロピレンまたは合成ガスが低転化率
で用いられている場合、プロピレンまたは合成ガスの転
化率を上げるために適切な追加装置を採用することがで
きる。従って、反応器10を図1においてブロックとし
て単純に示したが、反応器は、従来のヒドロホルミル化
反応システムにおいて一般に用いられた種々の単位操作
を含むことが可能である。
【0004】アルデヒド生成物は、一般に、分離工程1
2中で反応溶液から分離され回収される。先行技術のヒ
ドロホルミル化反応システムにおいて、多くのタイプの
分離工程12が利用されている。例えば、アルデヒド生
成物は、アルデヒド除去装置14において適宜、複合膜
技術によって、あるいは任意に減圧、常圧または高圧下
における一段または多段蒸留などの、一般に用いられる
気化分離蒸留技術によってヒドロホルミル化反応溶液か
ら分離および/または回収することができる。気化され
た材料の凝縮とその分離および後続の回収を従来の手段
によって行うことができ、残りの反応物および任意では
あるが追加的に、反応溶液内に含まれる溶媒を溶媒回収
装置16において分離し、ヒドロホルミル化反応器に再
循環して戻すことができる。こうしたタイプの連続ヒド
ロホルミル化反応システムは当該技術分野において公知
である。先行技術のこうした連続システムの例は、米国
特許第5,087,763号および第5,865,95
7号に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらの連続ヒドロホ
ルミル化反応システムには、有害な副生物の蓄積があ
る。詳しくは、ヒドロホルミル化反応中に、アルデヒド
生成の他に副反応が起きる。副生物として、アルデヒド
の二量体、三量体および四量体などの、より高沸点の多
くの成分が生成する。これらの高沸点副生物成分(以後
「高沸成分」と呼ぶ)は反応工程に対して有害であり、
アルデヒドの収率をひどく低下させる。従って、先行技
術のシステムにおいては、ヒドロホルミル化反応器排出
液流れから高沸成分を除去することが必要である。例え
ば、常圧、減圧または高圧下における気化あるいは1段
または多段蒸留での蒸留を用いる、米国特許第5,64
8,554号に記載されたものなどの1つ以上の高沸成
分分離装置等を用いる必要がある。従って、高沸成分の
生成を減少および/または最少化させる方法を提供する
ことが極めて望ましい。
【0006】ヒドロホルミル化法の重要な要素は、ヒド
ロホルミル化反応を促進するために利用される触媒であ
る。配位子として有機燐化合物を有し、周期律表のVI
II〜X族から選択される元素(以後「VIII族金
属」と呼ぶ)の可溶性錯体を用いることが一般的であ
る。一般に、触媒の金属成分と合わせて用いられる配位
子は、触媒反応に実質的な影響を与える。ロジウム(R
h)は、触媒の金属成分として一般に用いられる。Rh
は、ヒドロホルミル化反応を活性化する配位子と錯体分
子を形成する。特に、米国特許第4,668,651
号、第5,113,022号、第5,663,403
号、第5,728,861号によって実証された通り、
触媒の開発に相当な努力が払われてきた。しかしなが
ら、この錯体分子は相当に速い速度で反応中に分解する
ので、消費または不活性化された触媒を反応器から除去
すると共に、活性化された新触媒と交換しなければなら
ない。先行技術の反応システムにおいて、触媒は、反応
器下流の触媒移動経路を介して分離工程12に触媒を送
ることにより分離することができ、また高沸成分分離装
置18の底部からの分割流れを用いるなどにより適切に
設計された触媒分離装置20に送ることができる。例え
ば、米国特許第4,668,651号および第5,11
3,022号には、液体反応溶液を蒸発器/分離器に通
し、そこで常圧、減圧または高圧下における1段または
多段蒸留を介してアルデヒド生成物を除去する方法、お
よび150℃未満、好ましくは130℃未満の温度にお
いて減圧下でロジウム触媒溶液から必要なアルデヒド生
成物を分離することが好ましいことが記載されている。
アルデヒド生成物がこうした方法で分離される一方で、
本発明者らは、触媒の多くがこれらの比較的高い温度で
劣化することを見出した。触媒および特に配位子化合物
を回収するために相当な努力と費用が費やされるので、
触媒/配位子化合物の劣化を最少にするヒドロホルミル
化法を提供することが望ましく、またそれは当該技術分
野における大いなる進歩であろう。
【0007】従って、本発明の目的は、アルデヒドを製
造する改善された方法を提供することである。更に詳し
くは、本発明の目的は、ヒドロホルミル化反応を用いて
アルデヒドを製造する方法であって、高沸成分の生成を
最少にする方法を提供することである。
【0008】本発明のもう一つの目的は、ヒドロホルミ
ル化によってアルデヒドを製造する方法であって、反応
において用いられる触媒および特に配位子化合物の劣化
および/または分解を最少にする方法を提供することで
ある。本発明の更なる目的は、アルデヒドなどの低沸点
溶媒を用いてアルデヒドを製造する方法を提供すること
である。
【0009】本発明の関連目的は、製造の運転コストを
削減すると共に、工程を実施するために必要な単位操作
の数を削減し、よって運転および保全コストを更に削減
するアルデヒドを製造する方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
ついて鋭意研究を重ねた結果、反応器内および下流の触
媒循環経路の温度を約100℃未満とすれば、高沸点副
生物成分の生成および該触媒の分解を実質的に最少にし
うることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに
至った。
【0011】即ち本発明の要旨は、触媒存在下、オレフ
ィン性化合物を水素および一酸化炭素と反応させるヒド
ロホルミル化反応システムにおいて、反応器内および反
応器下流の触媒移動経路の温度を約100℃未満とする
ことにより、高沸点副生物成分の生成および該触媒の分
解を実質的に最少にすることを特徴とするアルデヒドの
製造方法に存する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の方法により製造されるア
ルデヒドは、最終製品として用いることができ、あるい
は後続の処理によりその他の必要な最終製品を得る中間
製品として用いることができる。相当な研究および努力
の後、本発明者らは、操作温度を低温にすることによ
り、ヒドロホルミル化反応および任意であるが追加的に
反応器下流の触媒移動経路および/または分離ステップ
を、約100℃未満、好ましくは約85℃以下、更に好
ましくは約80℃以下の温度で実施し、約45℃〜70
℃の範囲がヒドロホルミル化反応のために最も好まし
く、約40℃〜80℃の範囲が反応器下流の触媒移動経
路および分離ステップのために最も好ましく、高沸成分
の生成および触媒の分解を実質的に最少にし、よってア
ルデヒドを製造する方法として大きな利点を与えること
を発見した。特に、反応器下流の触媒移動経路を上記し
た低温とすることで、ヒドロホルミル化反応システム全
体にわたって触媒の安定性を高め、触媒および特に配位
子の劣化および分解を最少にすることが可能となった。
更に、本発明は、ヒドロホルミル化工程およびシステム
の大幅な単純化を促進し、その単純化は建設費および運
転コストの両方において大幅なコスト節減を可能にする
と共に、単純化に伴うすべての効率化を実現する。
【0013】本発明は、約100℃未満、好ましくは約
85℃以下、更に好ましくは約80℃以下の温度でヒド
ロホルミル化反応および反応器下流の触媒移動経路およ
び/または分離ステップを実施することを考慮してお
り、その実施に際して約45℃〜70℃の範囲がヒドロ
ホルミル化反応のために最も好ましく、約40℃〜80
℃の範囲が反応器下流の触媒移動経路および分離ステッ
プのために最も好ましい。反応器下流の触媒移動経路お
よび/または分離ステップならびにヒドロホルミル化反
応を同じ温度で行う必要はない。このように反応システ
ム中の各工程は、独立に、異なる温度および/または別
個の温度で実施することができる。
【0014】先行技術の反応システムは、一般に100
℃以上の温度で運転し、ヒドロホルミル化反応および付
随する分離工程と反応器下流の触媒移動経路の両方にお
いて大量の高沸成分を生成しがちである。実際に、先行
技術の反応器下流の触媒移動経路および分離工程は、1
30℃以上の温度などの非常に高い温度に達することが
多い。本発明者らは、ヒドロホルミル化反応および分離
工程における反応器下流の触媒移動経路の運転温度をよ
り低い温度に維持する時、高沸成分の生成が大幅に減少
することを発見した。さらに、ヒドロホルミル化反応器
および反応器下流の触媒移動経路(すなわち、触媒が存
在する場所)におけるより低い運転温度は、触媒および
特に触媒の配位子化合物の劣化および/または分解を減
少させる。
【0015】本発明の、「反応器下流の触媒移動経路」
とは、反応器の下流でヒドロホルミル化反応システム全
体にわたって触媒が移動する経路である。換言すると、
反応器下流の触媒移動経路は、触媒が反応器の下流で存
在する一切の場所であり、一般に反応器への再循環経路
を含む。また、反応器下流の触媒移動経路は、分離工程
における装置の一部、あるいは全部を通過する。反応器
下流の触媒移動経路は、用いられる装置の型式および反
応システムの構成に応じて異なる。例えば、図1に示し
た先行技術のシステムにおいて、反応器下流の触媒移動
経路(図1において太線で示している)は、アルデヒド
分離装置14、溶媒回収装置16、高沸成分分離装置1
8および触媒分離装置20、すなわち、分離工程12全
体を通る経路によって定義される。触媒がこれらの装置
のそれぞれ一つを通過するからである。
【0016】あるいは、図2に示した通り、本発明によ
ると、触媒は、反応器の下流で流れ119およびアルデ
ヒド除去装置114を通り、再循環流れ115を介して
反応器112に再循環して戻る。従って、反応器下流の
触媒移動経路は、流れ119、アルデヒド除去装置11
4および再循環流れ115(図2において太線で示して
いる)を通る経路を包含する。従って、当業者にとって
明らかなように、本発明の反応器下流の触媒移動経路と
は、多様な異なる経路を包含することが可能であるが、
包括的に、ヒドロホルミル化反応システム内で、反応器
の下流を触媒が移動する経路として定義される。
【0017】高沸成分は、ヒドロホルミル化反応の副生
物として生成する。詳しくは、高沸成分は主に、ヒドロ
ホルミル化反応において生成されるアルデヒド生成物の
副反応によって生成する。このような副反応は分離工程
全体にわたって付加的に生じる。例えば、プロピレンの
ヒドロホルミル化反応において、n−ブチルアルデヒド
およびイソブチルアルデヒドが生成する。これらのアル
デヒド生成物は反応性が高く、触媒が存在する状態で徐
々に重合または縮合を受けて高沸成分を生成するもので
ある。ブチルアルデヒドからのこれらの高沸成分の代表
的な例としては、その自己縮合重合体としての二量体、
三量体、四量体等や、縮合二量体としての2−エチルヘ
キセナール、その水素化生成物としての2−エチルヘキ
サナール、2−エチルヘキサノール等が挙げられる。こ
れらの高沸成分は、ヒドロホルミル化工程に対して有害
であり、n−ブチルアルデヒドの収率をひどく低下させ
る。
【0018】先行技術において、こうした高沸成分の除
去に相当な努力がなされてきた。高沸成分は触媒溶液の
沸点を高める原因になり、高沸成分の濃度が高まるにつ
れて経時的に、少なくともある程度除去しなければなら
ない。高沸成分を抜き取るために通常、蒸留が用いられ
るが、蒸留中に触媒も除去されることがあるので問題が
ある。本発明により、長期にわたって高沸成分を除去す
る必要がない程度にまで高沸成分の生成を最少にするこ
とが可能となるため、本発明は、これらの問題を解決
し、費用面でも有利となる。
【0019】高沸成分の生成は、ヒドロホルミル化反応
の温度および種々の分離ステップおよび/または工程に
おいて用いられる温度と強い相関がある。先行技術のシ
ステムにおいて、高沸成分は、ヒドロホルミル化反応器
内並びにアルデヒド除去用の蒸留塔のリボイラー及び溶
媒回収塔のリボイラー等の分離工程内で生成する。本発
明の方法は高沸成分の生成を大幅に減少させる。特に、
本発明の方法は、反応器においてオレフィン化合物(こ
の場合プロピレン)に対する収率で2%未満、更に好ま
しくは約1.0%以下、最も好ましくは約0.10%以
下に高沸成分を減少させることを考慮している。
【0020】ヒドロホルミル化反応器内および用いられ
る反応器下流の触媒移動経路と一切の多様な分離工程の
有利な温度を達成するために、本発明の方法と合わせて
いかなる個数の適する機械的温度調節手段を用いること
ができる。従って、適する運転温度を達成するために用
いられる方式および/または装置には限定がないが、例
えば、熱交換器の使用が挙げられる。別の例としては、
ヒドロホルミル化反応および任意ではあるが追加的に反
応器下流の触媒移動経路と分離工程の適する温度を達成
するために用いることができるクーラーまたはチラーが
挙げられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
上記した手段により、ヒドロホルミル化反応システムの
温度は、約100℃未満、好ましくは約85℃以下、更
に好ましくは約80℃以下に維持される。最も好ましく
は、ヒドロホルミル化反応システム内のヒドロホルミル
化反応は約45℃〜70℃の範囲の温度で実施され、ヒ
ドロホルミル化反応システム内の反応器下流の触媒移動
経路と分離工程は約40〜80℃の範囲の温度で実施さ
れる。
【0021】本発明のもう一つの態様において、本発明
のヒドロホルミル化反応システムの温度を達成する他の
手段としては、例えば、低沸点の溶媒を用いることであ
る。あるいは、低沸点溶媒に加えて機械的温度調節手段
を用いるなどの手段を組合せて用いることができる。低
沸点溶媒を用いる時、溶媒の種類は限定されないが、ヒ
ドロホルミル化反応の運転圧力および任意であるが追加
的に分離工程の運転圧力において低い沸点を示すことが
望ましい。
【0022】約100℃以下の標準沸点を有する溶媒が
好ましいが、その種類については限定されるものではな
く、従来の方法において今まで用いられた一切の公知の
溶媒で実施することができる。より好ましい溶媒は、ア
ルデヒド生成物の沸点以上である標準沸点を示し、更に
好ましい溶媒としては、アルデヒド自体である。この場
合、分離の必要がないために、ヒドロホルミル化反応シ
ステムに対してより少ないエネルギー投入ですむ。これ
は、比較的少ないエネルギーの投入で反応混合物からの
アルデヒド生成物の比較的簡単な分離を考慮したもので
ある。
【0023】溶媒がアルデヒド自体である時、C4アル
デヒドを製造する反応において、アルデヒド溶媒は実質
的にn−ブチルアルデヒドであることが最も好ましい。
しかし、アルデヒド溶媒は、n−ブチルアルデヒド、イ
ソブチルアルデヒド、n−ブチルアルコールおよびイソ
ブチルアルコールの混合物、あるいはヒドロホルミル化
反応中に生成する上述のあらゆるものの混合物であるこ
とも可能である。
【0024】ヒドロホルミル化反応生成物、すなわち、
ヒドロホルミル化反応から生成したアルデヒドおよび/
またはアルコールは、従来の溶媒に比べ低沸点を示すの
で、ヒドロホルミル化反応システム用の溶媒として用い
た場合、システム全体の運転温度を従来の溶媒に比べて
下げられる。溶媒として用いられるアルデヒドおよび/
またはアルコールは、出発物質への初期投入物として供
給することができる。
【0025】上記した方法とは別に本発明の運転温度を
達成する方法としては、例えば、低沸点溶媒の使用に加
えて、運転温度を低下させる装置を用いることもでき
る。運転温度には実用的な下方限界温度が存在し、その
温度では、ヒドロホルミル化反応速度が遅くなりすぎて
経済的には生成物を生成しなくなると共に、熱除去に費
用がかかりすぎる。従って、運転温度が約35℃〜40
℃より低くないことが好ましい。
【0026】本発明を達成するために好ましい溶媒とし
ては、溶媒としてアルデヒドまたはアルコール、好まし
くは、ヒドロホルミル化反応において生成した1種以上
のアルデヒド生成物を、少なくとも部分的に且つ任意で
はあるが実質的に用いる。アルデヒド溶媒は、本発明の
温度範囲においてヒドロホルミル化反応および反応器下
流の触媒移動経路の両方の運転を促進する従来の溶媒よ
り低い沸点を示す。先行技術の方法では、アルデヒド生
成物およびヒドロホルミル化反応溶液からの溶媒の分離
および除去に多大の努力を払ってきた。例えば、トルエ
ンなどの従来の溶媒を用いる場合、図1における分離工
程には、アルデヒド生成物および/またはヒドロホルミ
ル化反応溶液からのトルエンの分離のために必要なトル
エン塔を設けなければならなかった。溶媒として、1種
以上のアルデヒドおよび任意に1種以上のアルデヒド生
成物を用いることにより、溶媒分離工程に関連する装置
への投資は実質的に軽減される。
【0027】また、別の実施形態として、溶媒は、少な
くとも部分的に、1種以上のアルデヒドからなり、且つ
さらに残部として、高沸成分、芳香族炭化水素、ケト
ン、エーテル、エステル、オレフィン出発物質およびそ
れらのいずれかの混合物のいずれか1つからなる。この
場合、溶媒分離工程は必ずしも排除する必要はなく、分
離負荷の減少のために実質的に縮小することができる。
最も好ましくは、溶媒は約50重量%以上のアルデヒド
および約50重量%以下の高沸成分の組成を有する。本
発明の方法は特に、プロピレンから主としてn−ブチル
アルデヒドを製造することに好適に用いられる。
【0028】溶媒の使用量は、特に限定されるものでは
なく、ヒドロホルミル化反応溶液に触媒を溶解するため
に十分な量であればよい。適する溶媒量は、反応の開始
時におけるヒドロホルミル化反応溶液の出発物質の総重
量に対して約5重量%〜99重量%の範囲である。溶媒
使用の具体的な態様のひとつとして、少なくとも部分的
に、あるいは任意ではあるが実質的に、溶媒がヒドロホ
ルミル化反応の1種以上のアルデヒド生成物からなる
時、溶媒が最初に導入され、その後ヒドロホルミル化反
応が進むにつれて、必要な量のアルデヒド生成物は反応
器から取り出され、溶媒として反応器に再循環して戻さ
れる。イニシャルチャージ量又は再循環量は特に限定さ
れず、触媒および任意に反応物の溶液への溶解を促進す
るために必要な適する量であればよい。溶媒としてアル
デヒドを用いる場合、先行技術のシステムに付随する溶
媒回収装置は、サイズの縮小等、回収負荷の軽減あるい
は装置自体を不要とすることさえできる。
【0029】アルデヒドは、従来の溶媒より低沸点なの
で、これを溶媒として用いることにより、反応器、反応
器下流の触媒移動経路および分離工程全体の温度は下げ
られる。従って、ヒドロホルミル化反応システム用の溶
媒としてアルデヒドおよび/またはヒドロホルミル化反
応生成物を用いることにより、システム全体の運転温度
は、従来の溶媒に比べて下げられる。
【0030】従来のヒドロホルミル化反応システムは、
通常100℃以上で動作し、特に従来の分離工程は、1
30℃以上という非常に高い温度に達することが多かっ
た。そのため、ヒドロホルミル化反応及び付随する分離
工程等において大量の高沸成分を生成していた。これに
対し、少なくとも部分的に溶媒としてアルデヒドを、あ
るいは任意ではあるが少なくとも部分的にアルデヒド生
成物を用いることにより、より低い温度で運転でき、よ
ってシステム全体を通して高沸成分の生成を減少させる
と共に、触媒および配位子の劣化を最少にすることがで
きる。
【0031】ヒドロホルミル化反応中、高沸成分は時間
と共に生成するが、本発明の方法では高沸成分の生成が
抑制されるため、その除去作業も年一回以下でよい。こ
れは、高沸成分を頻繁に除去する必要がある先行技術の
方法とは全く対照的である。別の高沸成分除去方法とし
ては、アルデヒド除去流れと合わせて小量の高沸成分を
取り除くこともできる。従って、特定の高沸成分分離装
置を必要とすることが多い先行技術のシステムとは対照
的に、十分な量の高沸成分を容易に除去することができ
る。
【0032】本発明の方法において、出発物質、触媒あ
るいは反応条件等については、決定的な特徴ではないの
で、特に制限されることはない。本発明の方法を用いる
ことにより、分離工程における装置の多くを縮小または
排除することができるが、既知のヒドロホルミル化反応
システム中の装置のあらゆる構造や配置に対応すること
ができ、それらと合わせて用いることができる。
【0033】出発物質(原料とも呼ばれる)であるオレ
フィン化合物としては、特に決定的な限定はないが、例
えば、単一オレフィンまたはオレフィンの混合物等が挙
げられる。また、これらのオレフィン化合物は高純度の
ものであってもよく、パラフィンなどの他の炭化水素を
含有することによる低純度のものであってもよい。好ま
しいオレフィン化合物としては、炭素数2〜20、より
好ましくは、炭素数2〜8のものであり、中でもプロピ
レンが最も好ましい。オレフィン化合物としてプロピレ
ンを用いる時、ヒドロホルミル化反応は、ノルマルおよ
びイソ形態の両方のブチルアルデヒドを生成し、また任
意に、ブチルアルコールも生成する。
【0034】触媒としては、本発明のヒドロホルミル化
反応温度で活性であれば特に制限はないが、有用な触媒
としては、金属有機燐配位子錯体触媒が挙げられる。な
お、ここで「活性」という用語は、触媒がヒドロホルミ
ル化反応器中で触媒活性を示すことを表す。触媒活性の
量または大きさは限定されないが、本発明のヒドロホル
ミル化反応条件で約1時間以下の反応半減期を示すよう
に触媒を選択することが経済的条件に関して好ましい。
1時間より長い反応半減期を示す触媒も用いることがで
きるが、反応容積および滞留時間が増加する。
【0035】好適な触媒としては、周期律表のVIII
〜X族から選択される金属化合物からなり、配位子とし
て有機燐化合物を有する触媒が挙げられる。有機燐化合
物としては、例えば、トリアルキルホスフィン、トリア
リールホスフィン、水素原子がスルホン酸基またはハロ
ゲン原子で置換されたトリアリールホスフィン、トリシ
クロアルキルホスフィン、アルキルジアリールホスフィ
ン、ジアルキルアリールホスフィン、シクロアルキルジ
アリールホスフィン、ジシクロアルキルジアリールホス
フィン、アルキルシクロジアルキルホスフィン、ジアル
キルシクロアルキルホスフィン、トリアルキルホスファ
イト、トリアリールホスファイト、ビスホスフィン、お
よびビスホスファイト等が挙げられる。より好ましく
は、ビスホスフィンおよびビスホスファイト配位子であ
る。
【0036】以下に、触媒を更に詳しく説明する。本発
明の方法において用いることができるホスファイト化合
物の例には、トリアリールホスファイト、トリアルキル
ホスファイト、アリールアルキルホスファイト、または
その他の一切のホスファイトが挙げられるが、それらに
特に限定されない。同一分子中にこれらの混合物を有す
るビスホスファイト化合物およびポリホスファイト化合
物なども挙げられる。
【0037】更に詳しくは、モノホスファイト化合物
は、以下の2つの化合物群に分類することができる。す
なわち、化合物の一方の群は、環式構造中に燐原子を含
む環式構造を有するホスファイト化合物からなる。化合
物の他方の群は、燐原子を含む環式構造をもたないホス
ファイト化合物からなる。本発明に包含されるヒドロホ
ルミル化反応において用いることができるモノホスファ
イト化合物の中で、式(1):
【0038】
【化1】P(OR1)(OR2)(OR3) (式中、R1、R2およびR3は、任意にC1〜C30置換基
を含むアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基およびヘテロアリール基である)によって表
されるホスファイト化合物は、後者の化合物、すなわ
ち、燐原子を含む環式構造をもたないホスファイト化合
物の中で好ましい。置換基の例は、反応を抑制しないか
ぎり特に限定されず、その例には、C1〜C20アルキル
基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、アル
キルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基およびアルコ
キシカルボニル基が挙げられる。
【0039】これらの中で好ましい化合物は、一般式
(1)におけるR1、R2またはR3の少なくとも1つが
独立に以下の一般式(2)
【0040】
【化2】
【0041】(式中、R4は、−C(R9)(R10)R11
または任意に置換されたアリール基であり(R9、R10
およびR11はそれぞれ独立に、水素原子、フッ化炭化水
素基または炭化水素基である)、R4は、好ましくは、
全体としてイソプロピル基に等しいかそれより大きい立
体障害を有し、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立
に、水素原子または有機基であり、互いに結合されたR
6とR7などの隣接置換基と縮合した芳香族環またはヘテ
ロ環であることも可能である)によって表される置換ア
リール基である有機ホスファイト化合物である。
【0042】こうした化合物の具体的な例としては、ジ
フェニル(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファ
イト、ジフェニル(2−イソプロピルフェニル)ホスフ
ァイト、ビス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)
フェニルホスファイト、ジフェニル(3,6−ジ−t−
ブチル−2−ナフチル)ホスファイト、ビス(2−ナフ
チル)(3,6−ジ−t−ブチル−2−ナフチル)ホス
ファイト、ビス(3,6,8−トリ−t−ブチル−2−
ナフチル)フェニルホスファイトおよびビス(3,6,
8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル)(2−ナフチ
ル)ホスファイトが挙げられる。
【0043】これらの中で好ましい化合物には、一般式
(1)におけるR1、R2およびR3のすべてが前述した
一般式(2)によって表される置換アリールである有機
ホスファイト化合物が挙げられる。こうした化合物の具
体的な例としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−
メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチ
ル−4−メトキシフェニル)ホスファイト、トリス(o
−フェニルフェニル)ホスファイト、トリス(o−メチ
ルフェニル)ホスファイト、ビス(3,6−ジ−t−ブ
チル−2−ナフチル)(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイト、ビス(3,6−ジ−t−ブチル−2
−ナフチル)(2−t−ブチルフェニル)ホスファイ
ト、トリス(3,6−ジ−t−ブチル−2−ナフチル)
ホスファイトおよびトリス(3,6−ジ−t−アミル−
2−ナフチル)ホスファイトが挙げられる。
【0044】本発明に包含される反応において用いるこ
とができるその他のモノホスファイト化合物には、以下
の一般式(3)
【0045】
【化3】
【0046】(式中、Zは二価有機基であり、Yは任意
に置換された一価有機基である)の環式構造中に燐原子
を含む環式構造を有する化合物の他方の群のホスファイ
ト化合物である後続の式によって表されるホスファイト
化合物が挙げられる。一般式(3)においてZによって
表される代表的な二価基には、Zが二価アルキル基また
は二価芳香族基であるものが挙げられる。二価アルキル
基の例には、アルキレン、アルキレンオキシアルキレ
ン、アルキレン−NR12−アルキレン(ここでR12は水
素または一価炭化水素基である)、アルキレン−S−ア
ルキレン、シクロアルキレンおよび類似の基が挙げられ
る。二価芳香族基の例には、アリーレン、ビアリーレ
ン、アリーレンアルキレン、アリーレンアルキレンアリ
ーレン、アリーレンオキシアリーレン、アリーレンオキ
シアルキレン、アリーレン−NR12−アリーレン、アリ
ーレン−NR12−アルキレン(ここでR12は水素または
一価炭化水素基である)、アリーレン−S−アルキレン
およびアリーレン−S−アリーレンが挙げられる。
【0047】一般式(3)によって表される好ましいホ
スファイト化合物の例には、一般式(4)
【0048】
【化4】
【0049】(式中、R13はそれぞれ独立に、水素、任
意に置換されたアルキル基、シクロアルキル基または任
意に置換基を含むアリール基であり、nは0〜4の整数
であり、Yは、任意に置換された一価有機基である)に
よって表されるホスファイト化合物が挙げられる。式
(4)におけるR13は、一般に、メチル基、エチル基、
フェニル基、トリル基、ベンジル基、ナフチル基、ヒド
ロキシメチル基、ヒドロキシエチル基またはトリフルオ
ロメチル基などである。
【0050】一般式(4)におけるYは、好ましくは、
酸素原子に結合された炭素原子の隣接炭素原子において
置換基を有する、一般式(2)によって表されるものな
どのアリール基である。好ましいホスファイト化合物の
その他の例には、以下の一般式(5)
【0051】
【化5】
【0052】(式中、R14は、o、mまたはp位にある
一切の置換基であるか、もしくは元の隣接フェニル環と
のナフチル環などの縮合芳香族環を形成し、Yは、任意
に置換された一価有機基である)のものが挙げられる。
式(5)におけるR14は、一般に、アルキル基、シクロ
アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ
基、または任意に置換基を含むアリール基である。ナフ
チルなどは縮合芳香族環の例である。
【0053】一般式(5)におけるYは、好ましくは、
酸素原子に結合された炭素原子の隣接炭素原子において
置換基を有する、一般式(2)によって表されるものな
どのアリール基である。好ましいホスファイト化合物の
その他の例には、一般式(6)
【0054】
【化6】
【0055】(これは二有機ホスファイト化合物であ
り、式中、Arはそれぞれ独立に、任意に置換されたア
リール基であり、yはそれぞれ独立に0または1であ
り、Qは、−CR1516−、−O−、−S−、−NR17
−、SiR1819−および−CO(ここでR15および
16はそれぞれ独立に、水素、C1〜C12アルキル基、
フェニル、トリルおよびアニシルからなる群から選択さ
れ、R17、R18およびR19はそれぞれ独立に水素または
メチル基である)からなる群から選択される二価架橋基
であり、nは0または1であり、Yは、任意に置換され
た一価有機基である)によって表されるものが挙げられ
る。
【0056】一般式(6)におけるYは、好ましくは、
1〜C20アルキル基(メチル、エチル、n−プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、
t−ブチルエチル、t−ブチルプロピル、n−ヘキシ
ル、アミル、s−アミル、t−アミル、イソオクチル、
2−エチルヘキシル、デシル、オクタデシルなどの第
一、第二および第三アルキル基)、およびα−ナフチル
およびβ−ナフチルを含む、任意に置換基を含むアリー
ル基などのアリール基からなる群から選択される任意に
置換された一価炭化水素が挙げられる。アリール基に対
する置換基の例としては、C1〜C20アルキル基、シク
ロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、アルキルアミ
ノ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニ
ル基が挙げられる。
【0057】一般式(6)によって表される更に好まし
いホスファイト化合物の例には、一般式(7)または
(8)
【0058】
【化7】
【0059】(式中、Q、Yおよびnは、前述の式
(6)と同じように定義され、R20、R21、R22
23、R24およびR25は、C1〜C20アルキル基、シク
ロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、アルキルアミ
ノ基、アシル基、アシルオキシ基およびアルコキシカル
ボニル基である)によって表されるものが挙げられる。
こうした化合物の具体的な例としては、以下の式によっ
て表されるものが挙げられる。
【0060】
【化8】
【0061】本発明に包含される反応において用いるこ
とができるビスホスファイトおよびポリホスファイト配
位子の例には、以下の一般式(9)
【0062】
【化9】
【0063】(Zは、上述の一般式(3)において定義
されたものと同じ二価有機基を表し、R26およびR27
それぞれ独立に、任意にC1〜C30置換基を含むアルキ
ル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基お
よびヘテロアリール基である)によって表される化合物
が挙げられる。置換基の例は、反応を抑制しない限り特
に限定されず、それらには、C1〜C20アルキル基、シ
クロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、アルキルア
ミノ基、アシル基、アシルオキシ基およびアルコキシカ
ルボニル基が挙げられる。R26およびR27によって表さ
れる末端有機基の例には、メチル、エチル、n−プロピ
ル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチ
ル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−
ペンチルおよびt−ヘキシルなどのC1〜C20直鎖また
は分岐アルキル基、シクロプロピル、シクロヘキシル、
シクロオクチルおよびアダマンチルなどのC3〜C20
クロアルキル基、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチ
ル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、メトキシ
カルボニルフェニル、シアノフェニル、ニトロフェニ
ル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、ペンタフルオ
ロフェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、ジメチ
ルフェニル、トリフルオロメチルフェニル、メチルナフ
チル、メトキシナフチル、クロロナフチル、ニトロナフ
チルおよびテトラヒドロナフチルなどの任意に置換基を
含むアリール基、ベンジルなどのアラルキル基ならびに
ピリジル、メチルピリジル、ニトロピリジル、ピラジ
ル、ピリミジル、ベンゾフリル、キノリル、イソキノリ
ル、ベンズイミダゾリルおよびインドリルなどのヘテロ
環式芳香族基が挙げられる。Wは、任意に置換されたm
価炭化水素基である。m1およびm2はそれぞれ独立に
0〜6の整数であり、ここでm=m1+m2は2〜6の
値を有する。m1およびm2がそれぞれ2以上である
時、Z、R26およびR27は、互いに同じであってもよ
く、あるいは異なってもよい。
【0064】更に好ましいホスファイト化合物の例に
は、一般式(9)においてZが式(4)、(5)および
(6)において定義されたZである化合物およびZが前
述の式の組合せによって表されるホスファイト化合物が
挙げられる。R26およびR27は、好ましくは、それぞれ
独立に、任意に置換基を含むアリール基である。特定の
例には、フェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフ
ェニル、4−メチルフェニル、2,4−ジ−メチルフェ
ニル、2,5−ジ−メチルフェニル、2,6−ジ−メチ
ルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェ
ニル、4−メトキシフェニル、2,4−ジメトキシフェ
ニル、2,5−ジメトキシフェニル、2,6−ジメトキ
シフェニル、α−ナフチル、3−メチル−α−ナフチ
ル、3,6−ジメチル−α−ナフチル、β−ナフチル、
1−メチル−β−ナフチルおよび3−メチル−β−ナフ
チルが挙げられる。
【0065】これらは、Wが任意に置換されたm価炭化
水素基である化合物である。但し、このm価炭化水素基
は、アルキレン、アリーレンであるか、またはアリーレ
ン−(CH2y−(Q)n−(CH2y−アリーレン
(ここでアリーレンはそれぞれ独立に、任意に置換され
たアリーレンであり、Qはそれぞれ独立に、−CR28
29−、−O−、−S−、−NR30−、SiR3132−お
よび−CO−(ここでR 28およびR29はそれぞれ独立
に、水素およびアルキルからなる群から選択され、
30、R31およびR32はそれぞれ独立に、−Hまたは−
CH3である)からなる群から選択される架橋基であ
り、yおよびnはそれぞれ独立に0または1である)に
よって表される。
【0066】Wによって表された二価有機基の特定の例
には、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,3
−ジメチル−1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、
1,5−ペンチレン、1,6−ヘキシレン、1,8−オ
クチレン、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、
2,3−ナフチレン、1,8−ナフチレン、1,1’−
ビフェニル−2,2’−ジイル、1,1’−ビナフチル
−7,7’−ジイル、1,1’−ビナフチル−2,2’
−ジイル、2,2’−ビナフチル−1,1’−ジイルお
よび2,2’−ビナフチル−3,3’−ジイル基が挙げ
られる。
【0067】より更に好ましい化合物には、一般式
(9)においてZが、前述した一般式(6)において定
義されたZである化合物およびWが一般式(10)によ
って表される化合物が挙げられる。
【0068】
【化10】
【0069】R37およびR38はそれぞれ独立に、C1
12アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シ
リル基、シロキシ基あるいはハロゲン原子または水素原
子である。その例には、水素原子、またはメチル、エチ
ル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、メトキ
シ、エトキシおよびn−プロポキシ基、ならびに弗素、
塩素、臭素またはヨウ素原子が挙げられる。R33からR
36はそれぞれ独立に、C1〜C20アルキル、シクロアル
キル、アルコキシ、シリルまたはシロキシ基あるいはハ
ロゲンまたは水素原子である。その例には、水素、メチ
ル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチ
ル、t−ブチル、t−ペンチル、ネオペンチル、t−ヘ
キシル、ノニル、デシル、メトキシ、エトキシおよびt
−ブトキシ基が挙げられる。式10の特定の例には、R
35およびR37および/またはR36およびR38がそれぞ
れ独立に互いに結合して3〜40個の炭素原子からなる
環式構造の一部を形成するものが挙げられる。特定の例
は1,1’−ビナフチル−2,2’−ジイルである。
【0070】更に好ましくは、一般式(9)においてR
26およびR27はそれぞれ独立に、任意に置換されたアリ
ールであり、Wは、1,1’−ビフェニル−2,2’−
ジイル骨格、または1,1’−ビフェニル−2,2’−
ジイル骨格を有する置換されたアリーレン−アリーレン
であり、一般式(10)においてR33およびR34はそれ
ぞれ独立に、C3〜C20分岐アルキルであり、R35およ
びR36はそれぞれ独立に、C1〜C20分岐アルキルまた
はアルコキシである。従って、特定の例には、3,3’
−ジ−t−ブチル−1,1’−ビナフチル2,2’−ジ
イル、3,3’−6,6’−テトラ−t−ブチル−1,
1’−ビナフチル−2,2’−ジイル、3,3’−ジ−
t−ブチル−6,6’−ジ−t−ブトキシ−1,1’ビ
ナフチル−2,2’−ジイル、3,3’−ジ−t−フェ
ニル−1,1’−ビナフチル−2,2’−ジイル、3,
3’,6,6’−テトラ−t−ペンチル−1,1’−ビ
ナフチル−2,2’−ジイル、3,3’−ジ−t−ブチ
ル−5,5’−ジメチル−1,1’−ビフェニル−2,
2’−ジイル、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチ
ル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル、3,
3’,5,5’−テトラ−t−ペンチル−1,1’−ビ
フェニル−2,2’−ジイル、3,3’−ジ−t−ブチ
ル−5,5’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル−
2,2’−ジイル、3,3’−ジ−t−ブチル−5,
5’,6,6’−テトラメチル−1,1’−ビフェニル
−2,2’−ジイル、3,3’,5,5’−テトラ−t
−ブチル−6,6’−ジメチル−1,1’−ビフェニル
−2,2’−ジイル、3,3’,5,5’−テトラ−t
−ペンチル−6,6’−ジメチル−1,1’−ビフェニ
ル−2,2’−ジイル、3,3’−ジ−t−ブチル−
5,5’−ジメトキシ−6,6’−ジメチル−1,1’
−ビフェニル−2,2’−ジイルおよび3,3’,5,
5’−テトラ−t−ブチル−6,6’−ジクロロ−1,
1’−ビフェニル−2,2’−ジイルが挙げられる。
【0071】最も好ましい例において、Wは上述のもの
に限定され、R37およびR38はそれぞれ独立に、C1
3アルキル、アルコキシまたはハロゲンである。それ
らの置換基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、
イソプロピル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシお
よびイソプロポキシ基ならびに弗素、塩素、臭素および
ヨウ素原子が挙げられる。従って、最も好ましい架橋二
価有機基の例には、3,3’−ジ−t−ブチル−5,
5’,6,6’−テトラメチル−1,1’−ビフェニル
−2,2’−ジイル、3,3’,5,5’−テトラ−t
−ブチル−6,6’−ジメチル−1,1’−ビフェニル
−2,2’−ジイル、3,3’,5,5’−テトラ−t
−ブチル−6,6’−ジエチル−1,1’−ビフェニル
−2,2’−ジイル、3,3’,5,5’−テトラ−t
−ブチル−6,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニ
ル−2,2’−ジイル、3,3’−ジ−t−ブチル−
5,5’−ジメトキシ−6,6’−ジクロロ−1,1’
−ビフェニル−2,2’−ジイルおよび3,3’,5,
5’−テトラ−t−ブチル−6,6’−ジフルオロ−
1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイルが挙げられ
る。
【0072】本発明に包含される反応において用いるこ
とができるホスファイト化合物の中で、以下に記載した
化合物は、更に好ましいものの特定の例である。
【0073】
【化11】
【0074】
【化12】
【0075】
【化13】
【0076】
【化14】
【0077】
【化15】
【0078】
【化16】
【0079】
【化17】
【0080】
【化18】
【0081】
【化19】
【0082】
【化20】
【0083】
【化21】
【0084】
【化22】
【0085】
【化23】
【0086】
【化24】
【0087】
【化25】
【0088】
【化26】
【0089】
【化27】
【0090】
【化28】
【0091】
【化29】
【0092】
【化30】
【0093】
【化31】
【0094】これらのホスファイト配位子は、個々にま
たは組合せて用いることができる。例えば、モノホスフ
ァイトとビスホスファイトとの混合系またはポリホスフ
ァイトを用いてもよい。ホスファイト化合物の使用量は
特に限定されないが、その量は、好ましくは所望の触媒
活性と選択性に必要な量を用いればよい。例えば、VI
II族貴金属モル当たり、通常、約0.1〜500モ
ル、好ましくは0.1〜100モル、より更に好ましく
は1〜30モルである。
【0095】本発明において用いられるVIII族貴金
属化合物は、VIII族貴金属化合物、予め前形成され
た燐化合物との錯体、あるいは反応系の中で生成された
VIII族貴金属化合物と燐化合物からの錯体であるこ
とが可能である。こうした錯体は、VIII族貴金属化
合物および燐化合物から一般的な方法によって容易に調
製できる。好ましいVIII族貴金属化合物はロジウム
化合物である。ロジウム化合物の例としては、塩化ロジ
ウム、硝酸ロジウム、酢酸ロジウム、蟻酸ロジウム、ク
ロロロジン酸ナトリウムおよびクロロロジン酸カリウム
などのロジウムの無機酸塩または有機酸塩、アルミナ、
シリカ、または活性炭などの担体に担持された金属ロジ
ウム、ロジウムジカルボニルアセチルアセトナートおよ
びロジウム(1,5−シクロオクタジエン)アセチルア
セトナートなどのロジウムキレート化剤化合物、および
テトラロジウムドデカカルボニル、ヘキサロジウムヘキ
サデカカルボニル、μ、μ’−ジクロロロジウムテトラ
カルボニル、{Rh(OAc)(COD)}2(式中、
CODは1,5−シクロオクタジエン)および{Rh
(μ−S−t−Bu)(CO)22などのロジウムのカ
ルボニル錯体が挙げられる。
【0096】VIII族貴金属化合物の使用量は特に限
定されず、触媒の活性および選択性を考慮して閾値は決
定されるが、例えば、反応域における金属原子に関する
濃度は、1リットルの反応溶媒に対して、通常0.05
mg〜5g、好ましくは0.5mg〜1g、理想的には
10mg〜500mgの範囲である。本発明におけるヒ
ドロホルミル化反応において用いることができるオレフ
ィン化合物の例は、分子当たり少なくとも一つのオレフ
ィン系二重結合を有する有機化合物であるかぎり限定さ
れない。その例には、直鎖、分岐鎖または環式の構造を
有するオレフィン化合物、および内部または端末で不飽
和のオレフィン化合物が挙げられる。こうしたオレフィ
ンは、炭素数2〜20、好ましくは2〜8であり、カル
ボニル、カルボニルオキシ、オキシ、ヒドロキシ、オキ
シカルボニル、ハロゲン、アルコキシ、アリール、アル
キルおよびハロアルキルなどの、ヒドロホルミル化に本
質的に影響を及ぼさない基または置換基を含むことが可
能である。オレフィン化合物の例には、α−オレフィ
ン、内部オレフィン、アルキルアルケネート、アルケニ
ルアルカネート、アルケニルアルキルエーテルおよびア
ルケノールが挙げられる。
【0097】具体的には、エチレン、プロピレン、ブテ
ン、ブタジエン、ペンテン、ヘキセン、ヘキサジエン、
オクテン、オクタジエン、ノネン、デセン、ヘキサデセ
ン、オクタデセン、エイコセン、ドコセン、スチレン、
α−メチルスチレン、シクロヘキセンなどの単一オレフ
ィン;プロピレンとブテンの混合物、1−ブテン、2−
ブテン及びイソブチレンの混合物、1−ブテン、2−ブ
テン、イソブチレン及びブタジエンの混合物ならびにそ
の他の低級オレフィン混合物;プロピレン、n−ブテ
ン、イソブチレンおよびその他の低級オレフィンの二量
体から四量体、ならびに類似のオレフィンオリゴマー異
性体混合物;3−フェニル−1−プロペン、1,4−ヘ
キサジエン、1,7−オクタジエンおよび3−シクロヘ
キシル−1―ブテンなどの炭化水素オレフィン;アクリ
ロニトリル、アリルアルコール、1−ヒドロキシ−2,
7−オクタジエン、3−ヒドロキシ−1,7−オクタジ
エン、オレイルアルコール、1−メトキシ−2,7−オ
クタジエン、メチルアクリレート、メチルメタクリレー
ト、オレイン酸メチルオクタ−1−エン−4−オール、
酢酸ビニル、酢酸アリル、酢酸3−ブテニル、プロピオ
ン酸アリル、ビニルエチルエーテル、ビニルメチルエー
テル、アリルエチルエーテル、n−プロピル−7−オク
テノエート、3−ブテンニトリル、5−ヘキセンアミド
およびその他のこうした極性基置換オレフィン等が挙げ
られる。
【0098】これらのオレフィン化合物のいずれも用い
ることができる。分子当たり一個のオレフィン系二重結
合を有するモノオレフィン化合物がより好ましい。炭素
数2〜20の炭化水素オレフィンは更に好ましい。これ
らの中でもプロピレン、または1−ブテン、2−ブテ
ン、イソブテンおよびそれらの混合物、ならびに1−オ
クテンとオクテンの混合物は特に好ましい。
【0099】ビスホスファイト化合物は、米国特許第
5,910,600号において、その調製方法を含め具
体的に記載されている。本発明は、この米国特許に開示
されたビスホスファイト化合物のいずれも適切に用いる
ことができる。用いられる配位子化合物の量は、特に限
定されず、触媒を形成するために用いられる配位子化合
物の量としては、選択された反応温度および圧力で触媒
の必要な活性および選択性を示すのに必要な量であり、
また、所望の配位子濃度を形成するために必要な量であ
ればよい。
【0100】触媒は、ヒドロホルミル化反応の温度およ
び圧力において約1時間以下の反応半減期を示す。ここ
で「1時間の反応半減期」とは、ヒドロホルミル化反応
が1時間にわたり進行した後に、オレフィンの半分が残
留するという意味を包含するものである。この特定の基
準は、本発明の方法において用いられる触媒の活性の代
表的なものである。ビスホスファイト化合物配位子対金
属化合物のモル比の値は、通常、約0.1対500の範
囲、好ましくは約0.1対100の範囲、更に好ましく
は約1対30の範囲である。
【0101】高N/I比のアルデヒド生成物の必要な収
率をもたらすために必要な触媒活性のために、有機燐配
位子の量は、触媒組成においてVIII族金属の量より
多いことが好ましい。一般に、ヒドロホルミル化反応
は、触媒が存在する状態でオレフィンを水素(H2)お
よび一酸化炭素(CO)の混合物と反応させることによ
り行われる。水素および一酸化炭素は通常は合成ガスま
たは「オキソガス」として供給される。代表的には、オ
キソガスは約1:1のH2対COの等モル比で反応器に
供給される。オキソガスは、通常、約100:1〜1:
10のH2対COの範囲、好ましくは約10:1〜1:
10のH2対COの範囲のモル比で反応器に供給するこ
とが可能である。ヒドロホルミル化反応の反応時間は、
反応器の温度、圧力、構成および濃度などに特に限定さ
れるわけではないが、それらに少なくともある程度依存
する。
【0102】前述したように、本発明の方法は通常用い
られるヒドロホルミル化反応用の溶媒を用いることがで
きる。前述したように、好ましい実施形態において、ア
ルデヒドおよび/またはアルコールなどの低沸点溶媒が
溶媒として用いられる。しかし、本発明が、溶媒のいか
なる特定のタイプにも限定されないことは理解されるべ
きである。従来の溶媒は、本発明と合わせて用いること
ができ、この場合、本発明の必要な温度範囲を達成する
ために温度調節手段を用いることができる。従って、本
発明において適切に利用される溶媒としては、トルエ
ン、キシレンおよびドデシルベンゼン等の芳香族炭化水
素;アセトン、ジエチルケトンおよびメチルエチルケト
ンなどのケトン;テトラヒドロフランおよびジオキサン
などのエーテル;酢酸エチルおよびジ−n−オクチル−
フタレートなどのエステル;アルデヒドの縮合生成物な
どのヒドロホルミル化反応中に副生物として生成する高
沸成分;ならびにオレフィンを含め、その他の従来の溶
媒が挙げられる。従って溶媒は限定されない。しかしな
がら、ヒドロホルミル化反応において用いられる触媒が
活性であるように、また選択されたヒドロホルミル化温
度および圧力で溶媒の作用を受けた時、触媒が好ましく
は約1時間以下の反応半減期を示すように、溶媒を選択
することが好ましい。
【0103】ヒドロホルミル化反応は多様な圧力で行う
ことができる。圧力の範囲は、適切に反応システムに適
応され、また一般に、触媒のタイプ、特に用いられる配
位子のタイプならびに反応器配列構造に応じて異なる。
例えば、従来の金属有機燐配位子錯体触媒を用いる時、
ヒドロホルミル反応は、約1〜200気圧の範囲、好ま
しくは約1〜100気圧の範囲の総気体圧力で行うこと
ができ、約3〜50気圧の範囲は最も好ましい。配位子
がビスホスファイト化合物の形態である時、ヒドロホル
ミル化反応の圧力は、1気圧以上の圧力で行われ、1〜
100気圧の範囲が好ましい。更に好ましくは、約3〜
50気圧の範囲の総気体圧力でヒドロホルミル化反応を
行うことである。
【0104】本発明の効果のひとつは、高沸成分の大量
生成を防止しつつ反応器中において比較的高いアルデヒ
ド濃度で運転することである。これは、比較的高いアル
デヒド濃度が高沸成分の生成を加速する先行技術の方法
とは全く異なる。更に詳しくは、アルデヒドを製造する
方法は、約100OC未満の温度において触媒が存在す
る状態でヒドロホルミル化において、少なくとも約30
重量パーセントのアルデヒド生成物を含む組成の反応混
合物中でオレフィン化合物を水素および一酸化酸素と反
応させることからなり、反応からの高沸成分の生成を実
質的に最少にするものである。前記反応混合物の組成
は、好ましくは約35〜99重量%の範囲、更に好まし
くは約50〜95重量%の範囲でアルデヒド生成物を含
む。
【0105】本発明の別の効果は、触媒、特に触媒の配
位子化合物の劣化を減少させるアルデヒドの製造方法を
提供する。詳しくは、触媒の分解が1時間当たり0.2
重量%程度の遅い速度に減少することである。実際、実
験によると、本発明の方法により70OCの反応温度に
おいて1時間当たり0.002重量%程度の遅い触媒/
配位子の分解速度の達成が可能であることが示された。
【0106】本発明の好ましい実施形態を用いると、多
数の高価な装置を任意に削減および/または排除するこ
とができる大幅に単純化されたヒドロホルミル化反応シ
ステムへの対応を可能にする。図2は、本発明の好まし
い実施形態と共に用いることができるヒドロホルミル化
反応システムの図示された一つ実施形態の概略図を示し
ている。好ましい実施形態において、ヒドロホルミル化
反応システム110は、単純に、反応器112およびア
ルデヒド除去蒸留塔114からなる。従って、図1にお
ける先行技術のシステムの高沸成分/触媒分離工程1
8、およびそのすべての多様性、実施形態、型式、修飾
および複雑さは、本発明の好ましい方法によって排除す
ることができる。あるいは、先行技術において記載され
た分離工程装置の全部または一部を、任意に、本ヒドロ
ホルミル化反応システムに装備することができる。代表
的な実施形態は、図1に示し上述したような高沸成分分
離装置の使用を含むが、本発明よる高沸点副生物成分生
成の削減のおかげで、こうした装置をより小さい負荷に
適応して設計し、よって装置のサイズを縮小し、複雑さ
を少なくすることができる。好ましい実施形態を図2に
示している一方で、もちろん、本発明は図示した実施形
態に決して限定されないし、本発明の方法は図1に示し
たような先行技術のヒドロホルミル化反応システムにお
いて実施でき、また今まで公知のいかなる従来のヒドロ
ホルミル化反応システムにおいても適用できることは理
解されるべきである。好ましくは、本発明において有用
な反応器112は、十分に制御されたプラグフロー型反
応器である。
【0107】上述のように、反応温度は約100OC未
満、好ましくは約85OC以下、更に好ましくは約80O
C以下であり、約45OC〜70OCの範囲の温度が最も
好ましい。この温度範囲を維持するために、反応器に
は、当該技術分野で公知の水クーラーなどの温度調節手
段を適切に備えることができる。代表的な温度調節手段
は、反応器112と共に適応して用いられる複数の段ま
たはクーラーを含む。この設備は、反応器容積にわたっ
て実質的に均一な温度調節をもたらすために有利であ
る。あるいは、熱交換器などの他のタイプの冷却装置を
用いることができる。冷却装置の特定のタイプおよびサ
イズは、当業者にとってよく知られている公知の熱交換
の計算および原理に基づいて選択される。
【0108】ヒドロホルミル化反応は反応器112の中
で行われ、アルデヒド生成物は、任意に、生成物出口ラ
イン119を介して除去される。気体は、パージライン
120を介して反応器112の頂部からパージすること
ができ、オキソガスは、任意に、反応器112に再循環
して戻される。アルデヒド生成物は、その後、アルデヒ
ド除去蒸留塔114に送られる。
【0109】
【実施例】以下の実施例は本発明を説明するためにのみ
示すものであり、本発明をいかなる点においても限定し
ようとするものではない。 実施例1および2 実施例1および2は、溶媒としてNBD単独を用いるこ
とにより、トルエン(従来公知の溶媒)と同様の結果が
得られることを示す。
【0110】半回分式反応器の代表的なオートクレーブ
を用いて、プロピレンのブチルアルデヒドへのヒドロホ
ルミル化を行った。オートクレーブ反応器に操作できる
ように取付けられた圧力制御入口ラインを経由して容器
からオートクレーブ反応器にプロピレンを添加し、オキ
ソガスを供給した。オートクレーブ反応器の圧力および
温度を維持し、反応を半回分方式で行った。2つの実験
に関する実験条件および結果の表を表1(表中、PPY
はプロピレンであり、NBDはn−ブチルアルデヒドで
あり、IBDはイソブチルアルデヒドであり、Tolは
トルエンであり、HBは高沸成分である)に示してい
る。
【0111】
【表1】
【0112】実施例1の初期投入溶媒は、従来公知の溶
媒であるトルエン(Tol)を用いた。実施例2の初期
投入溶媒は、n−ブチルアルデヒド(NBD)を用い
た。また、[Rh(1,5−シクロオクタジエン)(μ
−CH3COO)]2および以下の配位子Aを用いること
により触媒を製造して、表1に示した濃度を得た。
【0113】
【化32】
【0114】各触媒は、30分より短い反応半減期を示
した。 実施例3〜8及び比較例1〜5 高沸成分の生成に対する温度の影響を評価するために実
験を行った。[Rh(1,5−シクロオクタジエン)
(μ−CH3COO)]2および配位子Aを溶解し、オキ
ソガスで処理した溶液を反応溶液として用いた。その結
果を以下の表2、3および4に示している。表中の溶媒
タイプに関する呼称「Tol」は、反応溶媒として初期
投入したトルエンを表わしている。トルエン対NBD約
1:1の体積比で反応物としてのNBDを添加する。表
中の溶媒タイプに関する呼称「NBD」は、溶媒として
反応において初期投入した単独のNBDを表わす。反応
をオートクレーブ反応器中で行った。反応器を油浴に
て、加温した。反応器に含まれた溶液からサンプルを長
時間にわたり定期的に採取した。サンプルの組成をガス
クロマトグラフィー(GC)で評価して、生成した高沸
成分の量を測定した。類似の反応時間について示した結
果および実験条件を以下の表2〜5に示した。
【0115】
【表2】
【0116】比較例1および2を130℃の温度で行っ
た。わずか約73時間の後、相当量の高沸成分を生成し
た。比較例3では合計で90時間反応を行った。比較例
4では110℃で137時間にわたり実施した。実施例
3および4を70℃でそれぞれ116時間、145時間
で行った。結果および実験条件を以下の表3に示した。
【0117】
【表3】
【0118】表3に示したように、相当量の高沸成分が
110および130℃で生成した。70℃では、より長
い反応時間でさえ、高沸成分の生成は少量であった。比
較例5、実施例5および6をそれぞれ167,359お
よび359時間にわたり実施した。比較例5は110℃
で実施した。結果および実験条件を以下の表4に示し
た。
【0119】
【表4】
【0120】実施例7および8を70℃で、それぞれ1
100および1120時間実施した。実験結果および実
験条件を以下の表5に示している。
【0121】
【表5】
【0122】各実験は比較的高い触媒濃度で実施され、
実際のヒドロホルミル化設備における長時間運転での高
沸成分の蓄積の加速を模擬実験した。表2から5におい
て示したように、高沸成分の生成は反応温度の低下につ
れて劇的に減少する。比較例1および2で示されたよう
に、130℃における高沸成分の収率は、わずか約73
時間後でも極めて高かった。それに対して、表5におけ
る実施例7および8で示した70℃において、高沸成分
の収率は大幅に低下している。それぞれ1000時間よ
り長時間後に約19モル%、1100時間より長時間後
に25モル%未満であった。
【0123】ヒドロホルミル化製造設備にこれらの結果
(例えば、代表的な反応速度の8倍において1100時
間で19モル%HB)を当てはめると、本発明の方法に
よって、前記設備が高沸成分の有害濃度を形成せずに約
1年にわたり運転できることを示している。これらの数
値は、オレフィン化合物(この場合プロピレン)の約
0.1%の収率に相当し、それは高沸成分の組成の極め
て大幅な減少である。実施例9〜10及び比較例6〜8
低温反応により触媒劣化の減少および特に配位子劣化の
減少を示すために実験を行った。[Rh(1,5−シク
ロオクタジエン)(μ−CH3COO)]2および配位子
Aを溶解し、オキソガスで処理した溶液を反応溶液とし
て用いた。表中の溶媒タイプに関する呼称「Tol」
は、反応溶媒として初期投入したトルエンを表わしてい
る。トルエン対NBD約1:1の体積比で反応物として
NBDを添加する。表中の溶媒タイプに関する呼称「N
BD」は、溶媒として反応において初期投入した単独の
NBDを表わす。反応を反応器中で行った。反応器を油
浴にて、加温した。反応器に含まれた溶液からサンプル
を長時間わたり定期的に採取した。サンプルの組成をガ
スクロマトグラフィー(GC)で評価して、生成した高
沸成分の量を測定した。装置と手順は実施例3〜8及び
比較例1〜5と同様に実施した。サンプルを定期的に採
取し、発生した配位子の分解の量を測定するためにLC
技術を用いて試験した。実験条件および実験結果を以下
の表6に示している。
【0124】
【表6】
【0125】すべての実施例において、[Rh(1,5
−シクロオクタジエン)(μ−CH 3COO)]2および
以下の配位子Aを用いることにより触媒を調製して、表
6に示した濃度を得た。
【0126】
【化33】
【0127】図示したように実施例9および10に示し
た本発明の方法は、比較例6〜8に示した高温のプロセ
スに比べ、触媒の分解速度を大幅に減少させている。実
施例1〜10及び比較例1〜8は、本発明の方法によっ
て高沸成分の生成および配位子の劣化の減少の両方を確
認するために実施された。以下の比較例9および実施例
11は、反応器下流の触媒移動経路の代表的な例とし
て、蒸留塔中の触媒溶液の濃度の影響を確認する実験を
記載している。比較例9および実施例11比較例9およ
び実施例11は、反応器下流の触媒移動経路における触
媒の劣化および高沸成分の生成に対する影響を実証して
いる。詳しくは、比較例9および実施例11において、
反応器下流の触媒移動経路は蒸留工程によって代表され
ている。両方の実験における蒸留塔は大気圧である。比
較例9において、130℃(トルエン/C18以上のアル
デヒドの凝縮液混合溶媒)で蒸留を行った。この高温で
の蒸留は先行技術のシステムを代表するものである。詳
しくは、トルエンおよびC18以上のアルデヒド凝縮液混
合溶媒(重量比6:4)に、窒素雰囲気において、Rh
(acac)(CO)2錯体を添加し溶解し、125m
l/lのRh濃度を生じさせた。配位子(実施例1にお
いて用いたもの)のモル比は、Rhのそれの4倍であっ
た。得られた溶液(29ml)を500ml垂直攪拌型
オートクレーブに移し、19.6gのプロピレン(反応
溶液100ml当たり用いたプロピレン約6.7g)を
添加した。内容物を攪拌しながら約70℃の温度に保持
した。オキソガスを導入し、オートクレーブに5kg/
cm2Gの圧力を生じさせ、圧力を維持しながらオキソ
反応を約2.5時間にわたって行った。
【0128】オートクレーブを冷却し、蒸留用の冷却管
を装着した丸底フラスコに反応溶液を窒素雰囲気下で移
した。常圧で内容物を約50分にわたり130℃の液温
に加熱し、温度を1時間にわたり維持した。その間に生
成したブチルアルデヒドを蒸留除去した。その後、温度
を維持しながら内圧を70mmHgにして、トルエンを
蒸留除去した。液体クロマトグラフィーで残留物中の配
位子を分析した結果、配位子の0.8%が分解したこと
が示された。
【0129】トルエンと分解した量の配位子を残留物に
添加し、触媒濃度を初期レベルに戻し、前述した反応お
よび蒸留を二回繰り返した。その結果、用いた配位子の
2.3%が分解した。実施例11では77℃で蒸留し
た。この実施例において、溶媒としてNBDを用いるこ
とにより、より低い温度を達成している。しかし、上述
したように、必要な温度を達成するために他の手段を用
いてもよい。詳しくは、n−ブチルアルデヒドに窒素雰
囲気下、Rh(acac)(CO)2錯体を添加し溶解
し、125mg/lのRh濃度の溶液を調製した。配位
子(実施例1において用いたもの)のモル比は、Rhの
それの4倍であった。得られた溶液(313ml)を5
00ml垂直攪拌型オートクレーブに移し、20.0g
のプロピレン(反応溶液100ml当たり用いたプロピ
レン約6.7g)を添加した。内容物を攪拌しながら約
70℃の温度に保持した。オキソガスを導入し、オート
クレーブに5kg/cm2Gの圧力を生じさせ、圧力を
維持しながらオキソ反応を2.5時間にわたって行っ
た。
【0130】オートクレーブを冷却し、蒸留用の冷却管
を装着した丸底フラスコに反応溶液を窒素雰囲気下で移
した。内容物を77℃の液温に加熱し、当量の生成アル
デヒド量(液の10%)に達した時に蒸留側の蓋を閉
じ、内容物を加熱して約2時間にわたり環流した。その
後、内容物を冷却し、液体クロマトグラフィーで残留物
中の配位子を分析した結果、配位子の0.3%が分解し
たことが示された。これは、比較例9における分解に比
べると大幅な減少である。
【0131】分解した量の配位子を残留物に添加し、触
媒濃度を初期レベルに戻し、前述した運転を二回繰り返
した。その結果、用いた配位子の0.7%が分解した。
比較例9および実施例11は、反応器下流の触媒移動経
路の温度の意義および本発明の方法によって達成される
重要な効果を実証している。前述の説明および実施例に
よって示したように、本発明の方法によって、極めて優
れたアルデヒドの製造方法が提供される。本発明の特定
の実施形態および実施例は、例示および説明の目的のた
めに提示されたものである。本発明は、それらの実施例
によって限定されるものと解釈されるべきではない。そ
れらの実施例は網羅しようとするものではなく、また、
開示した厳密な形態に本発明を限定しようとするもので
もない。上述の教示を考慮すると明らかに多くの修飾、
実施形態および多様化が可能である。本発明の範囲は、
本明細書において開示した一般的部分、本明細書に添付
したクレームおよびそれらの均等物によるものを包含し
ようとするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】先行技術のヒドロホルミル化反応システムを示
す概略図である。
【図2】本発明の一つの実施形態により実施することが
できるヒドロホルミル化反応システムを示す概略図であ
る。
【符号の説明】
10、112 反応器 12 分離工程 14 アルデヒド除去 16 溶媒回収 18 高沸成分除去 20 触媒除去 114 アルデヒド除去 115 再循環流れ 119 下流流れ 120 パージライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塚原 徹 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化学 株式会社水島事業所内 (72)発明者 中西 章夫 神奈川県横浜市青葉区鴨志田1000番地 三 菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触媒存在下、オレフィン性化合物を水素
    および一酸化炭素と反応させるヒドロホルミル化反応シ
    ステムにおいて、反応器内および反応器下流の触媒移動
    経路の温度を約100℃未満とすることにより、高沸点
    副生物成分の生成および該触媒の分解を実質的に最少に
    することを特徴とするアルデヒドの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ヒドロホルミル化反応システムが分
    離工程を備え、前記分
  3. 【請求項3】 前記ヒドロホルミル化反応システムの運
    転圧力で前記アルデヒドの沸点と同じまたはそれ以上の
    沸点を示す溶媒を前記反応器に供給する請求項1に記載
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記高沸点副生物成分の収率がオレフィ
    ン化合物の約2%未満である、請求項1に記載の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 反応中の前記触媒の配位子化合物の分解
    が1時間当たり0.2重量%以下の速度である、請求項
    1に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 反応器内および反応器下流の触媒移動経
    路における温度約100℃未満でのヒドロホルミル化反
    応において触媒が存在する状態でオレフィン性化合物を
    水素および一酸化炭素と反応させて、1種以上のアルデ
    ヒド生成物および高沸点副生物成分を含む反応溶液を生
    成させるステップと、少なくとも1種以上のアルデヒド
    からなる溶媒を反応に供給するステップとを含み、高沸
    点副生物成分の生成および前記触媒の分解を実質的に最
    少にする、反応器および反応器下流の触媒移動経路を備
    えるヒドロホルミル化反応システム中でアルデヒドを製
    造する方法。
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