JP2006151720A - 耐熱材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温高圧の水蒸気による酸化環境下でも耐久性を発揮する保護皮膜をSi基セラミックス表面に設けた耐熱材料およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 Si基セラミックスを含んでなる基材2の表面に希土類シリサイドを含んでなる中間層3を形成し、前記中間層3の表面にルテチウムシリケートを含んでなる皮膜4を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガスタービンエンジンなどに好適に用いられ、特に高温高圧の水蒸気を含む燃焼ガスに対して優れた耐久性を有する耐熱材料およびその製造方法に関するものである。
Si基セラミックスおよびその複合材料は高温で機械的特性が良好であり、航空機エンジンや産業用ガスタービンの高温部材として有用な軽量構造材料である。しかし、水蒸気が存在する高温高圧水蒸気酸化環境下では、酸化による損耗とともに水蒸気による腐食が生じる。このため、ガスタービン燃焼環境では高温高圧水蒸気酸化により耐久性が著しく低下する。
このような高温高圧水蒸気酸化による耐久性の低下を防ぐために、Si基セラミックスおよびその複合材料に対して高融点金属酸化物の保護皮膜が形成される。しかし、金属酸化物はSi基セラミックスに対して熱膨張が大きく異なるために、皮膜形成後あるいは高温使用時での密着性が不十分となり、保護皮膜が剥離するという問題があった。
そこでSi基セラミックスと保護皮膜との密着性を高めるために、熱膨張がSi基セラミックスと近接する希土類シリケートを高温における耐酸化皮膜として応用することが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
また、Si基セラミックスのうち、炭化ケイ素繊維を強化繊維とマトリックスとした炭化ケイ素系セラミックス複合材料(SiC/SiC複合材)においても、ガスタービン燃焼環境での実用化のためには高温高圧水蒸気に耐久性のある耐環境コーティングが不可欠であり、希土類シリケート被覆した材料が開発されつつある(例えば、特許文献2および特許文献3参照)。
一方、窒化ケイ素セラミックス上にスパッタリング法とディッピング法とを組み合わせルテチウムシリケートを被覆した耐酸化/耐水蒸気腐食−窒化ケイ素が開発されつつある(例えば、非特許文献1参照)。
希土類シリケート皮膜等の保護皮膜の製造方法には、溶射、蒸着、スラリー塗布焼成、スパッタリング等の方法があるが、成膜速度、膜の気密性、大型化の適用性など工業的観点から溶射法(プラズマ溶射、ガス溶射など)が一般的である。溶射法では、Si基セラミックスと保護皮膜との密着性を高めるために、グリットブラスト、機械加工、エッチング等の方法による材料表面の粗面化が必要である。
また、Si基セラミックスと希土類シリケート皮膜とを密着させるために、Si基セラミックス表面を予め改質する方法も知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、改質によりSi基セラミックス表面にランタノイド系希土類元素、ケイ素、炭素、および酸素からなる層が形成されている。
特許第3129383号明細書(段落[0007]〜[0014]) 特開2000−355753号公報 特開2002−104892号公報 末綱倫浩(Tomohiro SUETSUNA)ほか、「Lu2Si2O7コーティングによる窒化ケイ素の高温酸化抑制効果(LutetiumDisilicate Coating on Silicon Nitride for High Temperature Oxidation Resistance)」、日本セラミックス協会学術論文誌(Journalof the Ceramic Society of Japan)、第112巻、2004年5号、p.301−304
しかしながら、グリットブラスト、機械加工、エッチング等の方法によりSi基セラミックスの表面を粗面化する方法は、Si基セラミックスが硬く、脆いため、Si基セラミックスに損傷を与えやすく、処理が困難である。
また、特許文献1に記載されている、Si基セラミックス表面を予め改質する方法は、界面が汚染されやすく、工業的観点から安定性、大型化への適用性に欠ける。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、高温高圧の水蒸気による酸化環境下でも耐久性を発揮する保護皮膜をSi基セラミックス表面に設けた耐熱材料およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の耐熱材料は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる耐熱材料は、Si基セラミックスを含んでなる基材と、ルテチウムシリケートを含んでなる皮膜と、前記基材および前記皮膜との間に介在し希土類シリサイドを含んでなる中間層とを備えている。
この耐熱材料において、中間層中に存在する希土類シリサイドは、基材中のSi基セラミックスと皮膜中のルテチウムシリケートの両方に対して活性金属として作用する。従って、基材と皮膜の密着性を高めることができる。
上記希土類シリサイドは、ルテチウムシリサイドであることが好ましい。
皮膜中にはルテチウムシリケートとしてルテチウム元素が含まれているため、中間層中の希土類シリサイドもルテチウム化合物であるルテチウムシリサイドを用いると中間層と皮膜とのなじみが良くなる。従って、中間層と皮膜の密着性をより高めることができる。
本発明の耐熱材料において、前記中間層と前記皮膜は、いずれも溶射法で連続的に形成されたものが好ましい。
希土類シリサイドは容易に酸化されて変質しやすいが、溶射法により中間層と皮膜が連続的に形成された場合、希土類シリサイドが変質しにくい。
また、本発明の耐熱材料の製造方法は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる耐熱材料の製造方法は、Si基セラミックスを含んでなる基材の表面に希土類シリサイドを含んでなる中間層を形成する工程と、前記中間層の表面にルテチウムシリケートを含んでなる皮膜を形成する工程とを有する。
この製造方法によれば、中間層中に存在する希土類シリサイドが、基材中のSi基セラミックスと皮膜中のルテチウムシリケートの両方に対して活性金属として作用する。従って、基材と皮膜の密着性を高めるために基材に対して前処理を行う必要がない。
前記皮膜を形成する工程は、溶射により行うことが好ましい。
溶射法は、成膜速度、膜の気密性、大型化の適用性など工業的観点から優れた方法だからである。
また、前記耐熱材料の製造方法において、前記中間層を形成する工程と前記皮膜を形成する工程とを、同一チャンバ内で連続的に溶射により行うことが好ましい。
希土類シリサイドは容易に酸化されて変質しやすいが、溶射法で中間層と皮膜を連続的に形成することにより、希土類シリサイドが酸化され変質するのを防ぐことができる。
本発明の耐熱材料の製造方法において、前記皮膜を形成する工程の後に、1000℃以上1200℃以下の温度で熱処理を行うことが好ましい。
このような熱処理を行うことにより、皮膜の熱膨張を抑え、剥離を防ぐことができる。
また、本発明の耐熱材料の製造方法では、前記皮膜を形成する工程において溶射材料におけるLuとSiOのモル比Lu:SiOが30:70ないし40:60であることが好ましい。
溶射材料の組成を上記範囲とすることで、熱膨張が少なく、高温高圧水蒸気環境下での耐久性に優れたルテチウムシリケートを有する皮膜を形成することができる。
本発明によれば、高温高圧水蒸気環境での耐久性に優れた耐熱材料を提供することができる。また、基材を損傷するおそれがある粗面化処理を行うことなく耐熱材料を製造する方法を提供することができる。
以下に、本発明の耐熱材料にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の耐熱材料の断面を示す模式図である。Si基セラミックスを含んでなる基材2の上に希土類シリサイドを含んでなる中間層3が形成され、さらにその上にルテチウムシリケートを含んでなる皮膜4が形成されて、耐熱材料1が構成されている。
本発明の耐熱材料において基材2に用いられるSi基セラミックスは、ケイ素化合物を含有するセラミックスであって耐熱材料の基材に通常用いられるものであれば良く、例えばシリコンカーバイド(炭化ケイ素)、シリコンナイトライド(窒化ケイ素)、炭素繊維で強化された炭化ケイ素マトリックス複合材料、炭化ケイ素繊維で強化された炭化ケイ素マトリックス複合材料の中から選ばれる少なくとも一つのケイ素化合物を含有するセラミックスが挙げられる。これらの中でも、窒化ケイ素や炭化ケイ素繊維で強化された炭化ケイ素マトリックス複合材料は耐熱構造材料として工業的に認知されたSi基セラミックスなので好ましい。
上記基材2と後述するルテチウムシリケートを含んでなる皮膜4との間に、希土類シリサイドを含んでなる中間層3を介在させることにより、希土類シリサイドがSi基セラミックスとルテチウムシリケートの両方に対して活性金属として作用するので、基材2の粗面化不要で基材2と皮膜4との密着性が確保される。
中間層3の希土類シリサイドは、Y,Yb,Luなどの希土類元素とSiとの化合物である。とりわけLuとSiとの化合物は、皮膜のルテチウムシリケートと共通の元素を含むので中間層3と皮膜4とのなじみが特に良くなり、最も都合が良い。
希土類シリサイドにおける希土類元素とSiの組成比は、原子比で1:1〜1:2である。
希土類シリサイドを含んでなる中間層3の厚さは5〜50μmであり、特に10〜20μmが望ましい。なお、希土類シリサイドは高温の熱サイクルを受けたり、高温で加熱されたりすることにより容易に皮膜4から酸素拡散が起こり、中間層3と皮膜4との境界が不明瞭になる。本発明の耐熱材料を使用していくにつれて中間層3の厚さが上記の範囲未満となったり、中間層3が不連続な希土類シリサイドから構成される場合があるが、このような中間層3を有する耐熱材料1も基材2と皮膜4との密着性確保を指し示しているので、本発明の耐熱材料に含まれるものとする。
上記中間層3の表面には、希土類シリケートの中でも、高融点、低熱膨張であるルテチウムシリケートを含んでなる皮膜4が形成される。
ルテチウムシリケートは、ルテチウムとケイ素の複合酸化物であり、Lu:SiO(モル比;特に断りがない限り以下同じ)が1:1のLuSiOや、1:2のLuSi等がある。
ルテチウムシリケートを含んでなる皮膜4の厚さは50〜500μmである。中間層3の厚さと皮膜4の厚さの比は特に制限がないが、例えば中間層3の厚さは皮膜4の厚さの1/10程度で良い。
次に、本発明の耐熱材料1の製造方法について説明する。
ルテチウムシリケート含んでなる皮膜4は、中間層3を形成した基材2上に、溶射法により形成される。皮膜4を形成する方法としては、成膜速度、膜の気密性、大型化の適用性など工業的観点から、プラズマ溶射やガス溶射などの溶射法が採用される。本発明においては、中間層3に存在する希土類シリサイドが基材2中のSi基セラミックスおよび皮膜4中のルテチウムシリケートの両方に対して活性金属として作用して密着するため、基材2と皮膜4との密着性を確保できる。従って、従来溶射法で皮膜4を形成する前に必要とされていたグリットブラスト、機械加工、エッチング等の方法による基材表面の粗面化は不要である。
希土類シリサイドを含んでなる中間層3は、溶射法やスパッタリング等で形成することができる。しかし、希土類シリサイドは容易に酸化され変質しやすいため、中間層3と皮膜4を同一チャンバ内で連続的に溶射法で形成することが好ましい。
中間層3形成するための溶射材料としては、希土類金属(YやYb,Luなど)とSiの割合が以下の範囲となる組成の合金粉末を作製して用いることができる。
希土類金属:Si=1:1〜1:2
溶射法による中間層3の形成は、予めSi基セラミックス基材2を300〜600℃に加熱し、50〜600Torrのアルゴン雰囲気もしくは大気雰囲気で、出力30〜50kwの条件にしたプラズマトーチに希土類シリサイド粉末を供給して行うことができる。
上記中間層3を形成した後に、直ちにその表面にルテチウムシリケートを含んでなる皮膜4が溶射法により形成される。
複合酸化物皮膜を溶射で形成する場合は、溶射材料(原料)と皮膜の組成が変化することが明らかになっている。例えば、ルテチウムシリケートの材料組成がLuSiO(Lu:SiO=50:50)の原料で溶射した場合の皮膜組成はLu:SiO=69:31となり、熱膨張係数は7.38×10−6/Kとなる。この熱膨張係数は、焼結体LuSiOの熱膨張係数(5.4×10−6/K)よりも大きく、より剥離しやすい皮膜となることが判明している。
また皮膜を溶射形成した後の熱処理により結晶化が促進され、溶射直後の皮膜に存在する非晶質相とルテチア(Lu)相が、Lu相とLuSiO相になることが判明している。
溶射直後の最初の熱履歴により結晶化が起こることと、溶射の前後でルテチウムシリケートの材料組成変化が起こることは、皮膜の熱膨張挙動に影響を与える。これらの観点から最適な皮膜材料と熱処理条件を選択するために、以下の試験を行った。
(溶射皮膜の作製)
Lu:SiOが50:50、40:60、33:67の溶射材料をそれぞれ黒鉛基材上にプラズマ溶射し、厚さ0.3mmの皮膜を作製した。それぞれの組成の皮膜について、熱処理を行わないものと、1000℃、1100℃、または1200℃で10時間熱処理を行ったものとを用意した。皮膜の寸法調整後に基材を除去して供試体となる皮膜を採取した。
(熱膨張計測)
採取した皮膜をAr雰囲気中で1500℃まで加熱した後に冷却し、この加熱・冷却過程での寸法変化を半導体レーザ光を用いた非接触測長方式により計測した。
(材料組成分析)
溶射材料および溶射皮膜の組成については、ICP法および重量法により、検出元素を全て酸化物と換算して分析を行った。また、各溶射皮膜についてX線回折試験を行った。
表1は、溶射材料と得られた溶射皮膜におけるLu:SiOおよび溶射皮膜の熱膨張係数αを示している。
Figure 2006151720
図2は、Lu:SiOが50:50の溶射材料を用いて溶射形成した、ルテチウムシリケートを含んでなる皮膜の試験結果を示すものであり、(a)はX線回折チャート、(b)は供試体の熱膨張計測の結果を示すグラフである。熱膨張計測結果を示すグラフにおいて、各供試体の寸法変化は、加熱の際に1100℃付近で結晶化による熱膨張挙動を示し、1500℃の加熱温度に達した後の冷却過程では単調に減少している。
図2(a)および図2(b)から、Lu:SiOが50:50の溶射材料を用いて溶射形成した皮膜は、1100℃以上の熱処理温度で非晶質のハローパターンが消えるが、熱膨張挙動変化が大きいことがわかる。
図3は、Lu:SiOが40:60の溶射材料を用いて溶射形成した、ルテチウムシリケートを含んでなる皮膜の試験結果を示すものであり、(a)はX線回折チャート、(b)は供試体の熱膨張計測の結果を示すグラフである。熱膨張計測結果を示すグラフにおいて、各供試体の寸法変化は、加熱の際に1100℃付近で結晶化による熱膨張挙動を示し、1500℃の加熱温度に達した後の冷却過程では単調に減少している。
図3(a)および図3(b)から、Lu:SiOが40:60の溶射材料を用いて溶射形成した皮膜は、1200℃での熱処理で熱膨張挙動が安定するが、この熱処理温度は1回目の熱履歴で急激な膨張が発生する温度領域に相当することがわかる。
図4は、Lu:SiOが33:67の溶射材料を用いて溶射形成した、ルテチウムシリケートを含んでなる皮膜の試験結果を示すものであり、(a)はX線回折チャート、(b)は供試体の熱膨張計測の結果を示すグラフである。熱膨張計測結果を示すグラフにおいて、各供試体の寸法変化は、加熱の際に1100℃付近で結晶化による熱膨張挙動を示し、1500℃の加熱温度に達した後の冷却過程では単調に減少している。
図4(a)および図4(b)から、Lu:SiOが40:60の溶射材料を用いて溶射形成した皮膜は、1100℃での熱処理で熱膨張挙動が安定し、この熱処理温度は1回目の熱履歴でも急激な膨張が発生する前の温度領域に相当することがわかる。
以上の試験結果から、ルテチウムシリケートの熱膨張を最小にする溶射材料と熱処理温度は次の通りであることを見出した。すなわち、溶射材料組成はLu:SiO=40:60〜30:70が好ましく、33:67が最適である。溶射材料組成におけるLu:SiOが33:67のときに溶射形成されるルテチウムシリケートの組成は、Lu:SiO=46:54である。また、熱処理温度は1000〜1200℃が好ましく、1100℃が最適である。溶射材料組成におけるLu:SiOが33:67であり、熱処理温度が1100℃のときに溶射形成されるルテチウムシリケートの熱膨張係数は、4.42×10−6/Kである。X線回折チャートから、本発明の皮膜中には、LuSi(第1相)およびLuSiO(第2相)が結晶相として形成されていることがわかる。
また、高温高圧水蒸気酸化環境下での使用に適した皮膜を検証するために、以下に列記する溶射皮膜について、1400℃、9.5気圧で100時間、水蒸気酸化試験を実施した。
LuSi
LuSiO
Si
Lu
ZrO−8%Y
ZrSiO
但し、「LuSi」はLu:SiO=33:67の組成の溶射材料を用いて溶射形成後、1100℃で熱処理をした皮膜であり、「LuSiO」はLu:SiO=50:50の組成の溶射材料を用いて溶射皮膜形成、1100℃で熱処理をした皮膜である。「YSi」はY:SiO=33:67の組成、LuはLuのみの組成、ZrO−8%YはZrO:Y=92:8(重量比)の組成、ZrSiOはZrO:SiO=50:50の組成の溶射材料を用いて溶射皮膜形成後、1100℃で熱処理した皮膜である。
水蒸気酸化試験前後の皮膜の質量変化率を図5に示す。
図5から、高温高圧水蒸気酸化環境下でLu:SiO=33:67の組成の溶射材料を用いて溶射形成したルテチウムシリケート皮膜は、安定性に優れた皮膜であることがわかる。このルテチウムシリケート皮膜の高温高圧水蒸気酸化環境下での安定性は、工業的に耐食材料であるジルコニア(もしくは8%イットリア安定化ジルコニア)と同程度であるが、ジルコニア(もしくは8%イットリア安定化ジルコニア)は熱膨張が大きい(8〜10×10−6/K)ため、Si基セラミックスの皮膜としては不適合である。
(実施例1)
Si基セラミックス系複合材料からなる基材2aの表面にYSiからなる中間層3aを溶射法により形成した。次に、同一チャンバ内で連続的に、Lu:SiO=33:67の組成の溶射材料を用いて溶射法により皮膜4aを形成し、1100℃で熱処理を行って耐熱材料1aを得た。
この耐熱材料1aに対し、1350℃×10回の熱サイクル試験を行った。熱サイクル試験後の試験片断面の光学顕微鏡写真を図6に示す。図6の光学顕微鏡写真から、基材2aと皮膜4aとが密着し、皮膜4aの剥離がないことが観察される。
なお、図6において、YSiからなる中間層3aは、熱サイクル試験の過程で皮膜4aから酸素拡散されて大部分が酸化物化しているため、白い点状に散在している。
(実施例2)
Si基セラミックス系複合材料からなる基材2bの表面にLuSiからなる中間層3bを溶射法により形成した。次に、同一チャンバ内で連続的に、Lu:SiO=33:67の組成の溶射材料を用いて溶射法により皮膜4bを形成し、1100℃で熱処理を行って耐熱材料1bを得た。
この耐熱材料1bに対し、1350℃×10回の熱サイクル試験を行った。熱サイクル試験後の試験片断面の光学顕微鏡写真を図7に示す。図7の光学顕微鏡写真から、基材2bと皮膜4bとが密着し、皮膜4bの剥離がないことが観察される。
なお、図7において、LuSiからなる中間層3bは、熱サイクル試験の過程で皮膜4bから酸素拡散されて大部分が酸化物化しているため、白い点状に散在している。
本発明の耐熱材料の断面を示す模式図である。 皮膜の試験結果を示すものであり、(a)はX線回折チャート、(b)は供試体の熱膨張計測の結果を示すグラフである。 皮膜の試験結果を示すものであり、(a)はX線回折チャート、(b)は供試体の熱膨張計測の結果を示すグラフである。 皮膜の試験結果を示すものであり、(a)はX線回折チャート、(b)は供試体の熱膨張計測の結果を示すグラフである。 水蒸気酸化試験前後の皮膜の質量変化率を示すグラフである。 実施例1の耐熱材料断面の、熱サイクル試験後の光学顕微鏡写真である。 実施例2の耐熱材料断面の、熱サイクル試験後の光学顕微鏡写真である。
符号の説明
1,1a,1b 断熱材料
2,2a,2b 基材
3,3a,3b 中間層
4,4a,4b 皮膜

Claims (9)

  1. Si基セラミックスを含んでなる基材と、
    ルテチウムシリケートを含んでなる皮膜と、
    前記基材および前記皮膜との間に介在し希土類シリサイドを含んでなる中間層とを備えた耐熱材料。
  2. 前記希土類シリサイドがルテチウムシリサイドである請求項1に記載の耐熱材料。
  3. 前記中間層および皮膜が、溶射により連続的に形成された請求項1または2に記載の耐熱材料。
  4. 前記Si基セラミックスが、シリコンカーバイド、シリコンナイトライド、炭素繊維強化炭化ケイ素マトリックス複合材料、および炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素マトリックス複合材料からなる群より選ばれる少なくとも一つを含んでなる請求項1から3のいずれか一項に記載の耐熱材料。
  5. Si基セラミックスを含んでなる基材の表面に希土類シリサイドを含んでなる中間層を形成する工程と、
    前記中間層の表面にルテチウムシリケートを含んでなる皮膜を形成する工程とを有する耐熱材料の製造方法。
  6. 前記皮膜を形成する工程を溶射により行う請求項5記載の耐熱材料の製造方法。
  7. 前記中間層を形成する工程と前記皮膜を形成する工程とを、同一チャンバ内で連続的に溶射により行う請求項6記載の耐熱材料の製造方法。
  8. 前記皮膜を形成する工程の後に、1000℃以上1200℃以下の温度で熱処理を行う工程を有する請求項5から7のいずれか一項に記載の耐熱材料の製造方法。
  9. 前記皮膜を形成する工程において溶射材料におけるLuとSiOのモル比Lu:SiOが30:70ないし40:60である請求項6から8のいずれか一項に記載の耐熱材料の製造方法。
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