JP2002201086A - 表面被覆窒化珪素質焼結体 - Google Patents
表面被覆窒化珪素質焼結体Info
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Abstract
しても被覆層の付着力が高く、耐食性の変化の少ない被
覆層を有する表面被覆窒化珪素質焼結体を提供する。 【解決手段】窒化珪素質焼結体からなる基材と、該基材
表面に形成された被覆層とから構成された表面被覆窒化
珪素質焼結体において、前記被覆層がRE2Si2O7及
び/又はRE2SiO5(REは希土類元素)の結晶相か
らなり、該結晶相の平均結晶粒径が、0.1μm以上で
あり、且つ前記被覆層中に含まれる過剰SiO2量が1
0モル%以下であることを特徴とする。
Description
の強度特性に優れると共に破壊靱性、耐酸化性に優れた
表面被覆窒化珪素質焼結体に関するものであり、特に、
タービンロータ、タービンブレード、ノズル、コンバス
タ、スクロール、ノズルサポート、シールリング、スプ
リングリング、ディフューザ、ダクト、シュラウドなど
のガスタービンエンジン用部品に好適に使用される表面
被覆窒化珪素質焼結体に関する。
度、熱的化学的安定性に優れることからエンジニアリン
グセラミックスとして、特に熱機関構造用材料としてそ
の応用が進められている。このような窒化珪素質焼結体
は、一般には窒化珪素粉末に対してY2O3、Al2O3あ
るいはMgOなどの焼結助剤を添加して焼成することに
より製造されており、このような焼結助剤の使用によ
り、高密度で高強度の特性が得られている。このような
窒化珪素質焼結体は、例えばエンジン用部品として使用
されているが、エンジン用部品の使用条件が高温化する
にしたがい、窒化珪素焼結体の高温における強度及び耐
酸化特性のさらなる改善が求められている。
粒界相及び焼成条件等の改良や、焼結体表面での酸化保
護膜の形成を中心として、その改善が進められてきた。
は、窒化珪素またはサイアロンを主成分とする焼結体表
面を、SiO2を主体とするガラス層により被覆するこ
とにより、高温における機械的強度と耐酸化性を改善す
ることが提案されている。
酸化性の良好なSiC、Al2O3、ZrO2などをCV
Dや溶射の手法で窒化珪素表面に保護膜をコーティング
し、耐酸化性、耐エロージョン、コロージョン性を向上
する試みが行われている。
2、SiC、Al2O3、ZrO2などの表面被覆材は、耐
食性あるいは耐熱性が不十分であったり、また基材であ
る窒化珪素焼結体との熱膨張差により、使用中にクラッ
クが発生したり、剥離する問題があった。
うに、表面にガラス層を形成する方法では、静的な条件
下での特性向上の効果はあるが、実際のエンジン中で高
温高圧高速ガスに曝されるとSiO2の蒸発によりガラ
ス層が急速に消耗してしまい、ガラス層の寿命が短く、
該ガラス層が保護膜の用をなさない問題があった。
表面に、耐酸化特性の優れたダイシリケートやモノシリ
ケートなどの結晶相を有する被覆層を形成することによ
って被覆層の剥離や亀裂の発生を防止できることを提案
した。しかしながら、このような被覆層が表面に形成さ
れた窒化珪素質焼結体は、初期の耐酸化性については良
好な特性を有するものの、次第に耐食性が劣化するとい
う問題があった。
℃付近の高温域において使用しても被覆層の付着力が高
く、耐食性の変化の少ない被覆層を有する表面被覆窒化
珪素質焼結体を提供することを目的とする。
しているダイシリケートやモノシリケートの結晶相の粒
界に過剰なSiO2が存在した場合、かかるSiO2を介
して酸素が基材である窒化珪素質焼結体中に拡散侵入
し、更に粒界SiO2相が水と反応してガス化し、この
結果、被覆層がポーラスになり、基材の腐食が生じやす
くなり、さらには、被覆層の形成に当たって、原料混合
粉末におけるSiO2と希土類元素酸化物との比率を所
定の結晶相が析出するように設定したとしても、高温焼
き付け処理によって被覆層の組成が変動してしまい、例
えば所定の結晶相以外にYAMやアパタイトなどの窒素
含有系結晶相が極微量析出してしまい、このような窒素
含有系結晶相が酸化されて被覆層中にクラックが発生
し、その結果、耐食性が徐々に低下するという新規知見
に基づくものであり、その結果、本発明は、800〜1
600℃付近の高温域において使用しても基材の窒化珪
素質焼結体に対する付着力が高く、耐食性の変化の少な
い被覆層を有する表面被覆窒化珪素質焼結体を提供する
ことができる。
は、窒化珪素質焼結体からなる基材と、該基材表面に形
成された被覆層とから構成された表面被覆窒化珪素質焼
結体において、前記被覆層がRE2Si2O7及び/又は
RE2SiO5(REは希土類元素)の結晶相からなり、
該結晶相の平均結晶粒径が、0.1μm以上であり、且
つ前記被覆層中に含まれる過剰SiO2量が10モル%
以下であることを特徴とするものである。
素量(過剰酸化珪素量)を制御することにより、被覆層
の優れた特性を長時間に渡って維持でき、800〜16
00℃付近の高温域において使用しても基材に対する被
覆層の高い付着力を確保し、且つ被覆層の耐食性の経時
的劣化を有効に回避することができる。
あることが好ましい。これにより、さらに被覆層の機械
的強度を向上でき、また、耐食性を向上することができ
る。
i2O7及び/又はRE2SiO5(REは希土類元素)の
結晶相からなる保護層が設けられ、該保護層の気孔率が
5〜30%であるとともに、前記被覆層の気孔率よりも
大きいことが好ましい。これにより、被覆層に発生する
応力を緩和し、クラックの発生を防止できると共に、全
体の厚みが厚くなるため、製品寿命を延ばすことができ
る。
結晶相を有する焼結体であることが好ましい。これによ
り、窒化珪素結晶粒子の粒界が結晶化され、粒界が非晶
質であるものに比べて、高温強度、クリープ特性が飛躍
的に向上する。
/又はRE2SiO5(REは希土類元素)であることが
好ましい。これにより、被覆層と基材との付着力がさら
に高められ、被覆層を基材表面から一層剥離しにくくす
ることができる。
〜99モル%、希土類元素(RE)を酸化物換算で0.
5〜10モル%、及び過剰酸素を、下記式: SiO2/RE2O3 式中、SiO2は換算での過剰酸素量を示し、RE2O3
は、酸化物換算での是気希土類元素含有量を示す、で表
されるモル比が2以上であることが好ましい。これによ
り、基材である窒化珪素質焼結体を緻密にし、この基材
(窒化珪素質焼結体)と被覆層との結合力を強固にし、
高温高圧高速ガスに曝されても剥離や消耗を抑制し、耐
酸化性、耐エロージョン、コロージョンを著しく改善す
ることができる。
素の酸化物換算量及び過剰酸素の酸化珪素換算量の合計
100質量部に対して、平均粒径が1〜5μmの微小硬
質粒子を50質量部以下の割合で含有することが好まし
い。この構成にすることにより、窒化珪素結晶に対して
微小硬質粒子は、粒成長を適度に抑制させる効果を有
し、これらの結晶粒子を微細な粒子としてそれぞれ分散
させることにより、通常の窒化珪素質焼結体での大きな
結晶粒子の存在により破壊が生じる現象を極力低減する
ことができ、高温強度を大きくできる。また、破壊靭性
を高め、窒化珪素質焼結体のチッピングが原因となる部
品の破壊現象を抑制することができる。
o又はWの珪化物及びSiCのうち少なくとも1種以上
であることが好適であり、その結果、窒化珪素質焼結体
の破壊靭性を顕著に向上することができる。
体は、窒化珪素質焼結体からなる基材の表面に、希土類
元素(RE)の結晶相、即ち、下記式 RE2Si2O7(ダイシリケート) 又は RE2SiO5(モノシリケート) で表される化合物の結晶相が形成されていることが重要
である。
RE2SiO5(モノシリケート)から形成されている被
覆層は、従来のSiO2、ZrO2、Al2O3、ムライ
ト、コージェライト、YAGなどの保護膜に比べて、高
温酸化性雰囲気でも非常に安定であることから、優れた
耐食性が発揮される。また、融点も1600〜1800
℃と高いために耐熱性に優れ、高温での寿命が長い。
前記結晶相の平均結晶粒径が、0.1μm以上、特に好
適には10〜100μm、更には30〜70μmの範囲
にあり、かつ前記被覆層中に含まれる過剰SiO2量が
10モル%以下、特に好適には5モル%以下、更には2
モル%以下、最も好ましくは1モル%以下であることが
重要である。
(ダイシリケート)或いはRE2SiO5(モノシリケー
ト)の結晶相自体が非常に優れた耐食性を有することか
ら、被覆層は、優れた耐食性を有する。しかしながら、
かかる結晶相の耐食性が良好であっても、この被覆層は
多結晶体からなるものであって、その結晶粒界が存在
し、この結晶粒界に、このような結晶相に寄与しない不
純物的な酸素(過剰酸素)がSiO2として存在する場
合、このSiO2(即ち、過剰SiO2)がSiO2が水
等と反応して気化し、燃焼ガスで流され、その結果粒界
相が抜け落ち、被覆層が破壊されやすくなり、また、空
隙となった粒界相を介して窒化珪素質焼結体が腐食され
やすくなる。
よる粒界相の過剰SiO2量を前記範囲に低減すること
により、かかる粒界相の生成を抑制できる結果、被覆層
中の結晶の粒界を経由した酸素あるいは水蒸気の拡散を
防止することができる。
ことが最も望ましいが、被覆層全体におけるSiO2量
がダイシリケートやモノシリケートの化学量論組成より
も少ないと、ダイシリケートやモノシリケート以外にY
AMやアパタイトなどの窒素含有系結晶相が析出する場
合がある。したがって、より望ましくは、被覆層がダイ
シリケートのみからなる場合には、被覆層中のSiO2
/RE2O3比(モル比)が1.9〜2.3にあることが
好ましく、被覆層がモノシリケートのみからなる場合に
は0.9〜1.2であることが望ましく、更に被覆層が
ダイシリケートとモノシリケートとの混合結晶である場
合には、SiO2/RE2O3比(モル比)が0.9〜
2.3の範囲にあることが好適である。
前記範囲よりも小さいと、破壊靭性が低下し、高速で飛
来する微粒子の衝突による衝撃を受けたとき、被覆層に
発生したクラックが進展しやすく、破壊が促進される。
従って、被覆層のクラック発生及び剥離を防ぐため、被
覆層を形成する結晶の平均粒径が0.1μm以上である
ことが重要である。
ある希土類元素は、周期律表第3a族元素であり、具体
的にはY、Lu、Yb、Er、Dy、Ho、Sm、T
b、Sc、Gd及びTmなどが挙げられる。これらの中
でも、Lu、Yb、Er、Yが好適であり、Lu、Y
b、Er、Yのダイシリケート相及びモノシリケート相
は、いずれも融点が高いため、優れた高温強度と耐酸化
性を提供できる。また、Yは原料が入手し易く、Smは
安価な点であること、並びにYb、Lu及びErは、易
焼結性、高強度の点で有利である。
%以下、特に好適には5%以下、さらには2%以下、最
も好適には1%以下であるのがよい。気孔率をこのよう
な範囲に制御することにより、被覆層は閉気孔が主とな
るため、被覆層の機械的強度をさらに向上するととも
に、耐食性を向上することができる。
護層を設けても良い。この保護層は、希土類元素(R
E)の結晶相、即ち、下記式 RE2Si2O7(ダイシリケート) 又は RE2SiO5(モノシリケート) で表される化合物の結晶相からなることが望ましく、さ
らに好適には、保護層と被覆層が高い付着力を有するた
めに、被覆層を構成する希土類元素と同一であるのが良
い。
%、特に10〜25%とするとともに、保護層の気孔率
を被覆層の気孔率よりも大きいすることが好ましい。こ
のように保護層と被覆層の気孔率を制御することによ
り、被覆層に発生する応力を一層緩和することができ、
保護層へのクラック発生を効果的に防止することができ
るとともに、実質的に上記の結晶相の厚みが増えるた
め、被覆層の寿命を延ばすことができる。
る基材が、主相である窒化珪素結晶粒子の粒界に、結晶
相を有する窒化珪素質焼結体であることが好ましい。
に被覆層を設けたとしても、長い期間にわたって被覆層
中の粒界等を介して酸素が内部に拡散し、窒化珪素質焼
結体に到達し、該焼結体が酸化されると、その機械的特
性が劣化してしまうことがある。例えば、窒化珪素結晶
は酸化珪素に変化し、最終的にはSiOとなって飛散し
てしまうため、減肉の原因となる。しかるに、窒化珪素
質焼結体における窒化珪素結晶の粒界に結晶相を存在さ
せることにより、窒化珪素結晶を酸化や腐食から保護す
ることができ、例えば、窒化珪素質焼結体の酸化速度を
遅くし、上記酸素の焼結体内部への拡散による酸化に起
因する機械的特性の低下や減肉を効果的に制御し、窒化
珪素質焼結体の特性を最大限に引き出すとともに、その
寿命を飛躍的に延ばすことができる。
結晶相は、例えば希土類元素(RE)、Si(珪素)及
びO(酸素)からなる結晶であることが好ましく、さら
に好適には、前記被覆層と同様、化学式:RE2Si2O
7或いはRE2SiO5で表されるダイシリケート相もし
くはモノシリケート相であることが望ましい。即ち、こ
のような結晶相を窒化珪素結晶粒子の粒界に存在させる
ことにより、窒化珪素質焼結体からなる基材に対する前
記被覆層の濡れ性が良好となり、粒界結晶相が基材から
被覆層に連続しているので、両者の付着力が強固とな
り、また、基材と被覆層間の熱膨張差を低減でき、被覆
層の剥がれを一層効果的に防止できる。
素質焼結体は、主成分である窒化珪素以外に、希土類元
素及び過剰酸素を含有することが好適である。
を十分に発現させるために、70〜99モル%、特に8
5〜99モル%の範囲にあることが望ましい。また、こ
の窒化珪素中には、AlやOが固溶して、サイアロン
(SIALON)を形成していても良い。
のであり、また上述した粒界結晶相の構成成分である。
かかる希土類元素としては、被覆層を形成する結晶相中
に存在するものと同じ物を例示することができ、焼結体
基材中の希土類元素含有量は、緻密で高温強度と高温ク
リープに優れた窒化珪素質焼結体を得るために、酸化物
換算で0.5〜10モル%が適する。特に1〜7モル%
が望ましい。例えば、希土類元素含有量が、上記範囲よ
りも少ないと、焼結性が低下し、緻密な窒化珪素質焼結
体からなる基材をえることが困難となり、また、上記範
囲よりも多量に希土類元素を含有する場合には、高温強
度及び高温クリープの特性が劣化する傾向がある。
して存在するものであり、窒化珪素質焼結体中の全酸素
量より、希土類元素の酸化物に使用する酸素量を差し引
いた酸素量を意味する。本発明において、この過剰酸素
量は、下記式: SiO2/RE2O3 式中SiO2は、SiO2換算での過剰酸素量(モル)を
示し、RE2O3は、酸化物換算での前記希土類元素含有
量(モル)を示す、で表されるモル比が2以上、特に2
〜3.5、更には2.1〜2.7の範囲にあることが望
ましい。即ち、このような量で過剰酸素を含むことによ
り、酸化及び腐食に対する耐性の高いダイシリケート相
やモノシリケート相を粒界に形成することができる。例
えば、過剰酸素量が上記範囲よりも少ないと、このよう
な結晶相を粒界に析出することが難しい。
化珪素質焼結体は、上述した成分以外に、平均粒径が1
〜5μmの微小硬質粒子を含有していても良い。この微
小硬質粒子としては、例えば、Ta、Nb、Mo、Wの
珪化物及びSiCから選ばれる少なくとも1種を用いる
ことができ、これらの微小硬質粒子と窒化珪素主結晶の
適度な熱膨張差により発生する残留応力により、クラッ
クの進展を阻止し、破壊靭性を改善し、且つ高温強度を
高めることができる。このような微小硬質粒子は、通常
窒化珪素、希土類元素の酸化物換算量及び過剰酸素量
(酸化珪素換算量)の合計量100質量部当たり、50
質量部以下、特に1〜40重量部の量で用いることが好
ましい。この微小硬質粒子の平均粒径が上記の範囲外で
あったり、或いはその使用量が上記範囲よりも少ない
と、クラックの進展を阻止することによる破壊靭性の改
善や高温強度向上効果が不満足なものとなる。
は、Al、Mg、Ca、Fe等の金属成分を含むことが
あるが、これらの金属は、低融点の酸化物を形成して粒
界の結晶化を阻害するとともに高温強度を劣化させるた
め、酸化物換算量で1モル%以下、特に0.5モル%以
下、さらに望ましくは0.1モル%以下に制御すること
がよい。
の製造方法について説明する。本発明によれば、基材を
製造し、次いで該基材表面に上述した被覆層を形成する
ことにより表面被覆窒化珪素質焼結体が製造される。
末と希土類元素(周期律表第3a族元素)の酸化物(R
E2O3)粉末との混合粉末が使用されるが、この混合粉
末には、必要により、粒界結晶相を析出させるためのS
iO2粉末や前述した微小硬質粒子が混合される。
使用することができ、その粒径は0.4〜1.2μm、
陽イオン不純物量は1質量%以下、特に0.5質量%以
下、不純物酸素量が0.5〜2質量%が適当であり、直
接窒化法、イミド分解法などのいずれの製法によるもの
であってもかまわない。また、サイアロン粉末を用いる
こともできる。
りに、RE2O3とSiO2との複合酸化物の粉末を使用
することもできるし、窒化珪素とRE2O3とSiO2と
の化合物粉末を用いることもできる。
た基材の組成を満足するように、各粉末の混合比率が調
整される。例えば、過剰酸素量が所定のSiO2/RE2
O3モル比を満足するためには、窒化珪素中に不可避に
含まれる酸素あるいは製造過程で吸着される酸素分等を
SiO2分として考慮して、Lu2O3などの希土類酸化
物量やSiO2粉末の添加量を調整する。
回転ミル、バレルミルなどで十分に混合した後、得られ
た混合粉末を所望の成形手段、例えば、金型プレス、鋳
込み成形、排泥成形、押し出し成形、射出成形、冷間静
水圧プレス等により任意の形状に成形し、この成形体を
焼成することにより、本発明で使用する基材を得ること
ができる。
われ、焼成温度は、1800〜2000℃の範囲が適当
である。このような条件での焼成によって、相対密度が
98%以上に緻密化した焼結体を得ることができる。焼
成温度が2000℃を越えると窒化珪素結晶が粒成長
し、強度劣化を引き起こす恐れがあり、焼成温度が18
00℃よりも低いと、緻密化が困難になることがある。
IP)法で処理し、さらに緻密化することができる。さ
らに、上記の焼成後の冷却過程で徐冷するか、または焼
結体を1000〜1700℃で熱処理することにより粒
界の結晶化を図り特性のさらなる改善を行うことが出来
る。また、場合によっては、ガラスカプセル熱間静水圧
プレス(HIP)法あるいはガラス浴熱間静水圧プレス
(HIP)法により焼結体を得ることも可能である。
は、窒化珪素粉末の一部をSi粉末に置き換えて成形体
を作製し、これを窒素含有雰囲気中、800〜1500
℃で熱処理しSi3N4に変換して成形体密度を高めたう
えで、前述した焼成条件で焼成することにより、焼成時
の収縮を小さくすることが出来る。
面に、前述した希土類元素のモノシリケート相或いはダ
イシリケート相からなる被覆層を形成する。
スパッタ法等の薄膜形成法、溶射法、スラリー塗布法を
用いて行うことができるが、本発明では、被覆層中の過
剰SiO2量が厳密に制御されていなければならない。
従って、溶射法、スラリー塗布法が望ましく、さらには
簡単に形成できる点でスラリーディップ法が望ましい。
粉末、或いはSiO2とRE2O3との混合粉末を用い、
こられの粉末中の過剰SiO2量を所定の範囲に調整
し、薗粉末のスラリーを調製する。このスラリーを、上
記で製造された機材表面に塗布法、即ち、スプレーによ
りスラリーを吹き付けるか、或いはディッピング法によ
り焼結体表面にスラリーを均一に塗布し、次いで熱処理
することにより、目的とする結晶相からなる被覆層を形
成することができる。
よるが、一般的には、1300〜1800℃、特に14
00〜1750℃の温度とするのが良い。熱処理温度が
上記範囲よりも低いと、所望の結晶相を析出させること
が困難となり、或いは得られう被覆層には、気孔が多数
残存し、この被覆層が基材の保護膜としての用をなさな
い。また、熱処理温度が上記範囲よりも高いと、SiO
2が揮散してしまい、所定の結晶相を析出することがで
きず、また、粘性が低くなりすぎ、被覆層が形成されに
くくなってしまう。
素、Arなどの不活性雰囲気であればよいが、例えば、
1300℃以上もの高温下で窒素或いはAr雰囲気で熱
処理する場合、SiO2が揮散してしまい、被覆層の組
成が大きく変動してしまう恐れがある。従って、この場
合には、被覆層の組成を出発組成と実質的に同一にする
上で、高温熱処理時の雰囲気にSiOガスを発生させて
おくことが望ましい。このSiOガスを発生させるため
には、Si/SiO2の混合粉末を熱処理炉内に配置し
ておけばよい。
RE2O3粉末等は、いずれも純度99.9%以上である
ことが望ましい。また、被覆層の過剰SiO2を低減
し、耐食性の変化の少ない被覆層を実現するため、懇望
粉末等の組成は、SiO2/RE2O3モル比を1.9〜
3.0、特に2.0〜2.5、さらには2.1〜2.3
に設定することが好ましい。
製造工程で作成された成形体表面に、上記と同様の方法
で均一塗布し、これを焼成することにより、基材と表面
被覆層とを同時に形成させることも可能である。
することができる。保護層は、被覆層を作製する場合と
同様の方法で、被覆層の表面に上述のスラリーを塗布
し、次いで熱処理することにより、目的とする結晶相か
らなる保護層を形成することができる。
よるが、一般的には、1200〜1700℃、特に13
00〜1600℃の温度とするのが良い。そして、保護
層の気孔率が5〜30%、且つ保護層の気孔率が被覆層
の気孔率よりも大きくなるように熱処理時間を調整す
る。
窒化珪素質焼結体は、被覆層と焼結体基材との付着力が
高く、優れた耐酸化性、耐コロージョン性、耐エロージ
ョン性、機械的特性を示し、例えば800〜1500℃
付近の高温域において長時間使用されるエンジン用部品
として、極めて有用である。
素酸化物粉末及び酸化珪素粉末を用いた。 窒化珪素粉末: BET比表面積;9m2/g 窒化珪素のα率;99% 酸素量;1.1質量% Al、Mg、Ca、Feなどの陽イオン金属不純物量;
30ppm以下 希土類元素酸化物(RE2O3)粉末: RE;Yb 純度;99% 平均粒径;1.5μm 酸化珪素粉末: 純度;99.9% 平均粒径;2μm 上記の窒化珪素粉末89.5モル%と、RE2O3粉末3
モル%と、酸化珪素粉末7.5モル%とからなる混合粉
末を調合し、バインダー及び溶媒のメタノールを添加
し、窒化珪素ボールを用いて50時間回転ミルで混合粉
砕し、スラリーを調製した。
aの圧力でラバープレス成形し、直径60mm、厚み2
0mmの形状の成形体を作製した。
成条件にて焼成し、基材を得た。いずれの基材にも、粒
界にRE2Si2O7(ダイシリケート)の結晶相が析出
していた。
「G」は、ガス圧焼成(GPS)を示し、「H」は、ガ
ラス浴熱間静水圧プレス(HIP)による焼成を示し、
「G+H」は、1900℃でガス圧焼成を行った後、1
700℃、窒素圧196MPaで1時間HIP焼成した
ことを示す(焼成のトータル時間は10時間)。
材を粉砕し、化学分析によって全酸素量を求め、添加し
た希土類酸化物中の酸素量を除いた酸素量をSiO2換
算して算出した値である。
=Lu)粉末とSiO2粉末との混合粉末を、それぞれ
メタノールに分散させてスラリーを作製し、スプレーに
よって前記で得られた基材表面に、厚みが120μmと
なるように均一に塗布した。次いで乾燥した後、窒素雰
囲気中、Si/SiO2混合粉末が配置された炉内で、
表1に示す条件で熱処理し、表面被覆窒化珪素質焼結体
を得た(試料No.1〜12)。
粒径1.5μmのものを用いた。
りに、SiO2粉末、ZrO2粉末又はAl2O3粉末を使
用し、上記と同様にして表面被覆窒化珪素質焼結体を得
た(試料No.13〜16)。
種特性等を測定し、その結果を表1に示した。
鏡(SEM)観察写真から粒子の長径と短径の平均値を
平均粒子とし、50個の粒子の平均値として算出した。
の形状に切断後、研磨し、JIS−R1601に基づい
て、室温及び1500℃(表1においてHTで示す)で
の4点曲げ抗折強度を測定して評価した。なお、測定
は、それぞれ、10個の試料について行い、その平均値
を表1に示した。
て、ビッカース圧痕を用いる方法で測定した。
て、試料の焼結体を1500℃の大気中に100時間保
持した後の酸化質量増を測定した。
0.4MPa、ガス流速50m/sのガス気流中に10
0時間曝し、その減肉量を測定した。
層の結晶を、X線回折測定により同定した。表1におい
て、モノシリケート相をRS、ダイシリケート相をR2
Sで示した。
室温強度が800MPa以上、高温強度(HT)が54
0MPa以上、破壊靭性が5.8MPa・m1/2以上、
酸化質量増が0.03mg/cm2以下、減肉量が10
μm以下であった。
ケートで形成されていない本発明の範囲外のNo.13
〜16は、減肉量が200μm以上と大きく、耐腐食性
が著しく劣っている。
本発明の範囲外のNo.4は、減肉量が300μm以上
と大きく、耐腐食性が著しく劣っている。
05μmと小さく、本発明の範囲外のNo.5は、室温
強度が720MPa、高温強度(HT)が490MP
a、破壊靭性が5.1MPa・m1/2と機械特性に劣
り、クラックの発生しやすいものであった。 実施例2 実施例1で用いたものと同じ窒化珪素粉末及び酸化珪素
粉末を使用し、これらの粉末に、表2に示すように、S
i粉末或いは平均粒径1.5μmの各種の希土類酸化物
粉末を混合し、実施例1と同様にしてスラリーの調製、
乾燥及び成形を行い、直径60mm、厚み20mmの成
形体を作製した。
0℃で10時間焼成し、基材を得た。
とSiO2粉末との混合粉末をメタノールに分散させて
スラリーを作製し、スプレーによって上記基材の表面に
均一に塗布した(厚み:120μm)。次いで、乾燥
後、1500〜1700℃で熱処理し、表面被覆窒化珪
素質焼結体を得た(試料No.17〜45)。
評価し、その結果を表2に示した。なお、基材の相対比
重はアルキメデス法により算出した。
組成を変えた本発明の試料No.17〜27は、室温強
度が760MPa以上、高温強度(HT)が530MP
a以上、破壊靭性が5.8MPa・m1/2以上、酸化増
量が0.03mg/cm2以下、減肉量が5μm以下で
あった。
て基材が作製された本発明の試料No.28〜35は、
室温強度が810MPa以上、高温強度(HT)が60
0MPa以上、破壊靭性が6.0MPa・m1/2以上、
酸化増量が0.03mg/cm2以下、減肉量が4μm
以下であった。
の試料No.36〜45は、室温強度が790MPa以
上、高温強度(HT)が500MPa以上、破壊靭性が
5.8MPa・m1/2以上、酸化増量が0.03mg/
cm2以下、減肉量が5μm以下であった。
覆層に用いた試料No.30及び39は、室温強度が8
50MPa以上、高温強度(HT)が550MPa以
上、破壊靭性が6.3MPa・m1/2以上と機械特性に
優れ、剥離しにくく、クラックの発生しにくいものであ
った。 実施例3 実施例1で用いた窒化珪素粉末89.5モル%に対し、
下記のLu2O3粉末3モル%及び酸化珪素粉末7.5モ
ル%を混合して混合粉末を調製した。希土類元素酸化物
(RE2O3)粉末: RE;Lu 純度;99% 平均粒径;1.5μm 酸化珪素粉末: 純度;99% 平均粒径;2μm 上記の混合粉末100質量部に、炭化珪素粉末(純度;
99%、平均粒径;0.8μm)及び珪化物粉末(純
度;99%、平均粒径;1.4μm)を、表3に示す割
合で加え、実施例1と同様にして表面被覆窒化珪素質焼
結体を作製し(試料No.46〜54)、同様に評価を
行った。その結果を表3に示す。
び被覆層はRE2O3・2SiO2(ダイシリケート)か
らなっていた。
本発明の試料No.46〜50は、室温強度が760M
Pa以上、高温強度(HT)が570MPa以上、破壊
靭性が6.5MPa・m1/2以上と機械特性に優れ、剥
離しにくく、クラックの発生しにくいものであった。
の試料No.51〜54は、室温強度が790MPa以
上、高温強度(HT)が580MPa以上、破壊靭性が
7.0MPa・m1/2以上と機械特性に優れ、剥離しに
くく、クラックの発生しにくいものであった。 実施例4 実施例1で用いた窒化珪素粉末89.5モル%に対し、
実施例1で用いたYb 2O3粉末又は実施例3で用いたL
u2O3粉末3モル%及び酸化珪素粉末7.5モル%を混
合して混合粉末を調製し、実施例1と同様にしてスラリ
ーの調製、乾燥、成形を行い、得られた成形体をGPS
にて窒素中1900℃で焼成し、基材を得た。
とSiO2粉末との混合粉末をSiO2/RE2O3モル比
が2になるように調製し、実施例2と同様にしてスラリ
ーの調製、基材への塗布を行い、1700℃で熱処理し
て被覆層を作製した。
末とSiO2粉末との混合粉末をSiO2/RE2O3モル
比が2になるように調製し、上記被覆層の作製と同様に
して、保護層を作製した。なお、熱処理温度は1500
℃で1時間行った。
評価し、その結果を表4に示した。
度が800MPa以上、高温強度(HT)が570MP
a以上、破壊靭性が6.0MPa・m1/2以上と機械特
性に優れ、剥離しにくく、クラックの発生しにくいもの
であった。
被覆層と焼結体基材との付着力が高く、優れた耐酸化
性、耐コロージョン性、耐エロージョン性、機械的特性
を示し、例えば800〜1500℃付近の高温域におい
て長時間使用されるエンジン用部品として、好適に用い
ることができる。
Claims (8)
- 【請求項1】窒化珪素質焼結体からなる基材と、該基材
表面に形成された被覆層とから構成された表面被覆窒化
珪素質焼結体において、前記被覆層がRE2Si2O7及
び/又はRE2SiO5(REは希土類元素)の結晶相か
らなり、該結晶相の平均結晶粒径が、0.1μm以上で
あり、且つ前記被覆層中に含まれる過剰SiO2量が1
0モル%以下であることを特徴とする表面被覆窒化珪素
質焼結体。 - 【請求項2】前記被覆層の気孔率が10%以下であるこ
とを特徴とする請求項1記載の表面被覆窒化珪素質焼結
体。 - 【請求項3】前記被覆層の上に、更にRE2Si2O7及
び/又はRE2SiO5(REは希土類元素)の結晶相か
らなる保護層が設けられ、該保護層の気孔率が5〜30
%であるとともに、前記被覆層の気孔率よりも大きいこ
とを特徴とする請求項1又は2記載の表面被覆窒化珪素
質焼結体。 - 【請求項4】前記基材が、窒化珪素粒子の粒界に結晶相
を有する焼結体であることを特徴とする請求項1乃至3
のいずれかに記載の表面被覆窒化珪素質焼結体。 - 【請求項5】前記結晶相がRE2Si2O7及び/又はR
E2SiO5(REは希土類元素)であることを特徴とす
る請求項4のいずれかに記載の表面被覆窒化珪素質焼結
体。 - 【請求項6】前記基材が、窒化珪素を70〜99モル
%、希土類元素(RE)を酸化物換算で0.5〜10モ
ル%、及び過剰酸素を、下記式: SiO2/RE2O3 式中、SiO2は換算での過剰酸素量を示し、 RE2O3は、酸化物換算での是気希土類元素含有量を示
す、で表されるモル比が2以上であることを特徴とする
請求項1乃至5のいずれかに記載の表面被覆窒化珪素質
焼結体。 - 【請求項7】前記基材は、窒化珪素量、希土類元素の酸
化物換算量及び過剰酸素の酸化珪素換算量の合計100
質量部に対して、平均粒径が1〜5μmの微小硬質粒子
を50質量部以下の割合で含有することを特徴とする請
求項1乃至6のいずれかに記載の表面被覆窒化珪素質焼
結体。 - 【請求項8】前記微小硬質粒子がTa、Nb、Mo又は
Wの珪化物及びSiCのうち少なくとも1種以上である
ことを特徴とする請求項7記載の表面被覆窒化珪素質焼
結体。
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