JP2006149789A - 高圧蒸気滅菌器 - Google Patents

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Abstract

【課題】チャンバー内が外気圧と同程度に降圧するまでロックピンの摺動を抑制することができる新規な高圧蒸気滅菌器を提供する。
【解決手段】高圧蒸気滅菌が終了しても、チャンバー2内が外気圧より高圧の時は排気弁31が上昇位置にあり、ロック機構13の作動でロックピン9の摺動が規制される。チャンバー2内の排水、排気等の後処理が順次行われてチャンバー2内が外気圧と同程度まで下降すると、排気弁31がチャンバー2内に向けて下降し、これによりリミットスイッチ32からの信号が遮断され、これをオフディレータイマ36が受けて、一定時間経過後にロック機構13による摺動規制が解除され、ロックピン9の摺動操作が可能になる。チャンバー上部の排気口30と、これを開閉する上下摺動自在な排気弁31からなる単純な構造の排気装置兼用の検出手段12としたので、チャンバー2内が外気圧と同程度まで減圧されたことを検出することができ、オフディレータイマ36により、より安全な状態でのロック解除が可能になる。
【選択図】 図1

Description

本発明は高圧蒸気滅菌器に関し、詳しくは、チャンバーの開口部を開閉自在に塞ぐ蓋体のロック機構を改良した高圧蒸気滅菌器に関する。
従来から、医療用器具,歯科用器具等の被滅菌物を滅菌する際、高圧蒸気滅菌器が広く用いられている。この種高圧蒸気滅菌器は、チャンバー内に被滅菌物を入れてその開口部を蓋体で閉じた後、チャンバー内への給水、加圧昇温、蒸気置換、滅菌、排水、排気等の処理を順次自動で行うようになっている。
また、高圧滅菌工程ではチャンバー内を高圧蒸気で満たすのでその開口部を蓋体で確実に密閉する必要があり、その為、蓋体の遊端延長方向に摺動可能に設けられ開口部の他側に設けたロック孔に係合するロックピンを備え、開口部を蓋体で閉じた状態でロックピンをロック孔に係合させて、チャンバー内の高圧で蓋体が開かないようロックする手段を備えている(例えば特許文献1参照)。
このようなロック手段によれば、チャンバー内が高圧になると蓋体が開く方向に圧力が加わり、その圧力でロックピンがロック孔の内周に強く押し付けられてロックピンの摺動が規制されるので、チャンバー内が高圧の間は蓋体を開くことができない。
尚、ロックピンの先端外周に凸状段部を設けると共に、ロック孔の内周にその凸状段部が係合する凹状段部を設け、チャンバー内の高圧でロックピンがロック孔の内周に強く押し付けられた際にそれら段部同士が係合するよう形成することで、前記したロックピンの摺動規制をより確実にすることができる。
しかし、このようなロック手段は、チャンバー内の高圧力によりロックピンがロック孔の内周に強く押し付けられることを利用してロックピンの摺動を規制するものなので、チャンバー内の高圧力より大きい力で蓋体をチャンバー方向へ押し戻すことができればロックピンとロック孔の係合が外れてしまい、ロックピンの摺動により蓋体が開いてしまう。
そこで、例えば特許文献2に記載されるように、チャンバー内の温度を表示する手段を設け、使用者に注意を促すよう構成することも考えられる。
実開平7−13339号公報 特開2003−135567号公報
前述したような表示手段を備えることで、チャンバー内が100℃以上である滅菌工程中に蓋体を開けてしまうような虞れを防止することはできるが、滅菌終了後にチャンバー内温度、チャンバー内圧力が下がり始めると、高圧状態から脱したと勘違いし誤ってロックピンを摺動させてしまう虞れが無いとは言えない。
すなわち、滅菌終了後にチャンバー内温度、チャンバー内圧力が下がっても、チャンバー内がまだ外気圧より高圧で蒸気が残留している場合(排水、排気等の後処理工程の途中にある場合)にロックピンを摺動させてロック孔との係合を解除してしまうと、チャンバー内圧で蓋体が開いて残留蒸気が噴出する虞れがある。
本発明はこのような従来事情に鑑みてなされたもので、その主たる目的とする処は、チャンバー内が外気圧と同程度に下降するまでは蓋体の開動が規制される、新規な高圧蒸気滅菌器を提供することにある。また本発明は、チャンバー内が外気圧と同程度に下降したことを、簡単な構造の検出手段で確実に検出し得るようにすることを目的とする。また本発明は、前記蓋体の開動規制をロックピンの摺動規制でなすことを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る高圧蒸気滅菌器は、高圧蒸気滅菌が終了した後のチャンバー内圧が外気圧と同程度になったことを検出する検出手段と、前記蓋体による閉蓋状態を解除可能にロックするロック機構を備え、前記検出手段が、前記チャンバーの上部に上下摺動自在に備えられ前記チャンバー内圧が外気圧と同程度になったときにチャンバー内に向けて下降する摺動子と、該摺動子の下降を検出する検出器からなり、前記摺動子の下降を前記検出器が検出した後に前記ロック機構によるロックが解除されるよう形成したことを特徴とする。
このように構成した場合、高圧蒸気滅菌が終了しても、チャンバー内圧が外気圧より高い状態では摺動子が上昇位置にあり、ロック機構の作動により蓋体の開動が規制される。チャンバー内の排水、排気等の後処理が順次行われチャンバー内が外気圧と同程度まで下降すると、摺動子がチャンバー内に向けて下降し、これを検出器が検出して、ロック機構による規制が解除され、蓋体の開動が可能になる。よって、チャンバー内圧が外気圧より高い状態では蓋体が開動せず、誤って蓋体を開いてしまう虞れが無い。
また、チャンバー上部に上下摺動自在に備えた摺動子による単純な構造の検出手段を用いたので、作動設定の調整が必要で高価な割には誤作動の虞れがある複雑な構造の圧力センサーや温度センサーなどを用いること無く、チャンバー内圧が外気圧と同程度まで減圧されたことを確実に検出することができる。
前記摺動子が、前記チャンバー内の蒸気をチャンバー外へ排出する排気弁を兼ねており、該排気弁は、チャンバー内圧が外気圧より高い時は上昇位置にあって排気口を閉じ、チャンバー内圧が外気圧と同程度まで減圧すると下降位置まで下がって前記排気口を開くものであることが好ましい。
この場合、排気弁に検出手段を兼用させるので、滅菌終了後の排水、排気などの後処理工程に連動してより確実にチャンバー内圧を検出することができる。また、検出手段を別途設ける必要が無いので、高圧蒸気滅菌器の組み立てに係る部品点数の増加や組み立て工数の増加を防いで、前述の効果を有する新規な高圧蒸気滅菌器を可及的安価に提供することができる。
前記検出器がリミットスイッチからなり、前記排気弁が上昇位置にある時は該リミットスイッチから発せられる検出信号に基づき前記ロック機構が作動して前記蓋体による閉蓋状態がロックされ、前記排気弁が下降位置に下がると前記検出信号が遮断され、これをオフディレータイマが受けて、一定時間経過後に、前記ロック機構による閉蓋状態のロックが解除されるよう構成することが好ましい。
この場合、チャンバー内が外気圧と同程度まで減圧し、一定時間経過後に、ロック機構による閉蓋状態のロックが解除されるので、該一定時間を、チャンバー内が外気圧と等しくなるまでの時間に予め設定しておくことで、より安全な状態でのロック解除が可能になり、前述の効果をより実効あるものとし得る。
前記ロック機構は、ロック孔に係合したロックピンに係合して該ロックピンの摺動を規制する規制位置と、前記ロックピンとの係合が外れて該ロックピンの摺動規制を解除する解除位置との間を変位自在とした係止部材と、該係止部材を適時に変位させる駆動機構を備えていることが好ましい。
このような構成とした場合、前記蓋体の開動規制を、ロックピンの摺動規制でなすことができるので、蓋体自体の開動を規制するよう構成する場合に比べ、比較的簡単、小型な構造により本発明の課題を達成することができる。
また、ロック機構のより具体的な態様として、前記係止部材が前記規制位置と解除位置の間を摺動自在とした係止ピンであり、前記駆動機構が、蓋体表面に設けたクロスバーの外面に設置されたソレノイドと、該ソレノイドへの通電/通電遮断により摺動する摺動杆と、前記クロスバーの外側にて回動自在に支持され一端に前記係止ピンの後端を回動自在に軸止し、他端に前記摺動杆の先端を回動自在に軸止したクランクアームを備え、前記ソレノイドへの通電により、クランクアームが正方向へ回動して係止ピンが前記規制位置に摺動する一方、ソレノイドへの通電遮断により、クランクアームが逆方向へ回動して係止ピンが前記解除位置に摺動するよう形成したロック機構をあげることができる。
さらに、前記ロックピンを、クロスバーの遊端部に設けた摺動孔に摺動自在に収納して、蓋体の遊端延長方向に対し出没自在とすることがより好ましい。
このような構成とした場合、蓋体表面に配設されるクロスバー周りにロック機構を配設できると共に、そのクロスバーの上面に設置可能なコンパクトなロック機構として、高圧蒸気滅菌器の大型化、複雑化を防止すると共に、高圧蒸気滅菌器の組み立てに係る部品点数の増加や組み立て工数の増加を防いで、前述の効果を奏する高圧蒸気滅菌器を安価に提供することができる。
本発明に係る高圧蒸気滅菌器は以上説明したように構成したので、高圧蒸気滅菌の終了後であっても、チャンバー内が高圧である間は蓋体を開動することができない。したがって、誤操作により蓋体が開いてしまい高温の残留蒸気が噴出するような虞れを防いで、安全に使用することができる。また、単純な構造の検出手段を用いて、チャンバー内が外気圧と同程度まで減圧されたことを確実に検出することができ、安全性の高い高圧蒸気滅菌器を安価に提供することができる。
また、検出手段として排気弁を用いた場合、蓋体の開動規制手段としてロックピンの摺動を規制するようにした場合は、既存の高圧蒸気滅菌器の構造を大幅に変更すること無く簡素な構成により安全性を高めて、前述の効果をより実効あるものとし得るなど、多くの効果を有する。
以下、本発明の実施形態の例を図面を参照しながら説明する。
図1において、1は滅菌器本体、2はこの滅菌器本体1内に収納されたチャンバー、3はチャンバー2の開口部4を開閉する蓋体を示し、蓋体3は、開口部4の一側に設けたヒンジ機構5により一側を固定されたクロスバー6の裏面に配設され、開口部4を密閉し得るよう形成されている。
クロスバー6の表面には開閉扉7が配設されると共に、開口部4の他側に設けたロック孔8に係脱自在に係合するロックピン9を摺動操作するための操作摘み10が配設されており、開口部4を蓋体3(開閉扉7)で閉じた状態で操作摘み10を操作してロックピン9をロック孔8に係合させることで、チャンバー2内の高圧で蓋体3が開かない(蓋体3による閉蓋状態がロックされる)よう形成されている。
滅菌器本体1内には、一部図示を省略するが、チャンバー2内に一定量の給水を行うための給水装置、チャンバー2内に供給された水を加熱して高圧蒸気を発生させると共に高圧蒸気滅菌終了後のチャンバー2内を乾燥するための加熱ヒーター11、高圧蒸気滅菌終了後にチャンバー2内の熱湯を排出する排水装置、高圧蒸気滅菌終了後のチャンバー2内の残留蒸気を排出するための排気装置12(高圧蒸気滅菌が終了した後のチャンバー2内が外気圧と同程度になったことを検出する検出手段を兼用する)、ロックピン9の摺動を解除可能に規制するロック機構13などの各要素と、これら要素の作動開始、停止を適時制御する制御部Cなどが配設されている。また、滅菌器本体1の前面には操作パネル1aが配設されており、該操作パネル1aのスタートボタンを押すと、チャンバー2内において給水、加圧昇温、蒸気置換、滅菌、排水、排気、乾燥等の各処理が順次遂行されると共に、開口部4を蓋体3で閉じた状態のロックと該ロックの解除を自動で行うよう構成されている。
ロックピン9は、図2に示すように、蓋体3の表側に配設されたクロスバー6の遊端部に設けた摺動孔14に摺動自在に収納されて、蓋体3の遊端(開閉扉7の遊端)延長方向に対し出没自在となっている。クロスバー6の遊端部には溝15が形成され、この溝15に摺動可能に遊挿された固定ビス16により、ロックピン9と操作摘み10が連結され、操作摘み10を摺動操作することで、開口部4の他側に設けたロック孔8にロックピン9が係脱するようになっている。
ロックピン9の先端外周には凸状段部9’が形成されると共に、ロック孔8の内周にはその凸状段部9’が係合する凹状段部8’が形成されており、チャンバー2内の高圧力で蓋体3が開く方向に力が加わり、ロックピン9がロック孔8の内周に強く押し付けられた際にそれら段部8’,9’同士が係合することでロックピン9の摺動を規制して、チャンバー2内が高圧の間は、その高圧力より大きな力で蓋体3をチャンバー2方向へ押し戻さない限り、蓋体3を開くことができないようになっている。
ロック機構13は、図3に示すように、ロック孔8に係合したロックピン9の後端部に係合する係止部材としての係止ピン20を、クロスバー6に設けた貫通孔21に摺動自在に挿入し、該係止ピン20を、先端部20aが摺動孔14内に突出して前記ロックピン9の後端部に係合しロックピン9の摺動(後退)を規制する規制位置と、先端部20aが貫通孔21内に没入して前記ロックピン9との係合が外れロックピン9の摺動(後退)規制を解除する解除位置との間を、適時に摺動させ得るようになっている。
前記係止ピン20を摺動させる駆動機構は、クロスバー6の外側に配設したクランク台22に回動自在に軸止されたクランクアーム23の一端に前記係止ピン20の後端を回動自在に軸止し、他端に摺動杆24の先端を回動自在に軸止し、この摺動杆24を前後摺動させるソレノイド25をクロスバー6の外側に配設すると共に、クランクアーム23を上方へ回動させて係止ピン20を前記解除位置に向けて付勢するスプリング26をクランクアーム23の一端とクロスバー6の間に配設してなる。そうして、ソレノイド25への通電(ソレノイドON)により摺動杆24が後退してクランクアーム23が下方へ回動し、スプリング26の付勢力に抗して係止ピン20を下方へ押して、係止ピン20が前記規制位置に摺動する一方、ソレノイド25への通電遮断(ソレノイドOFF)により、スプリング26の付勢力でもってクランクアーム23が上方へ回動して、係止ピン20が前記規制解除位置に摺動するよう構成されている。
ソレノイド25への通電は、ロック孔8内に設けたリミットスイッチ等の検出器(図示せず)にロックピン9の先端が接触して、蓋体3による開口部4の閉蓋状態をロックしたことが検出されると共に、操作パネル1aのスタートボタンを押すことで発せられる後述のリミットスイッチ32からの通電信号でなされるよう構成されている。
また、ソレノイド25への通電遮断は、排気装置(検出手段)12により、高圧蒸気滅菌が終了した後のチャンバー2内が外気圧と同程度になったことを検出されてから一定時間経過後になされるよう構成されている。
排気装置12は、図4に示すように、チャンバー2の上部に設けた排気口30と、この排気口30内に上下摺動自在に備えられ、チャンバー2内が外気圧より高い時は上昇位置にあって排気口30を塞ぐ一方、チャンバー2内が外気圧と同程度の時は下降位置にあって排気口30を開く摺動子としての排気弁31と、この排気弁31が下降位置にある(チャンバー2内が外気圧と同程度になった)ことを検出する検出器としてのリミットスイッチ32を備えている。
排気弁31は、排気通路40内に装填した圧縮スプリング39によって下方へ付勢されており、チャンバー2内が外気圧と同程度の時はその付勢力で下降位置にあって、排気口30を開く状態が維持されるようになっている。また排気弁31は、後述する駆動手段により上昇位置まで適時に摺動して、排気口30を塞ぐようになっている。
排気弁31を上昇させるための本例の駆動手段は、ソレノイド38、該ソレノイド38への通電/通電遮断により昇降するプランジャ38a、軸37aで揺動自在に支持されると共に一端部37bが引張りスプリング38bでプランジャ38aに連結され他端部37cが弁軸31aに回動自在に軸止め35される揺動杆37などからなり、前述の操作パネル1aのスタートボタンを押した時に制御部Cを介してソレノイド38への通電がなされ、プランジャ38aの下降と共に揺動杆37の一端部37bが下方に引っ張られて、軸37aを支点に揺動杆37が揺動し、他端部37cの上昇と共に弁軸31aが上方に引っ張られて排気弁31を上昇位置まで引き上げ、排気口30を閉じるようになっている。
ソレノイド38への通電は、後述する排気工程で遮断されるよう制御部Cで制御されている。ソレノイド38への通電が遮断すると、排気弁31を上方に引っ張る力は失われるが、チャンバー2内の残留圧力が高い間は、その圧力に押され続けて排気弁31が上昇位置にあり、排気口30を閉じた状態が維持される。
チャンバー2内の残留圧力は、不図示の排水電磁弁の開放により排水と同時に外部へ排出され、それによりチャンバー2内圧が外気圧と同程度に下降して初めて、排気弁31が自重と圧縮スプリング39の付勢力で下降位置まで下がり、排気口30が開くようになっている。
弁軸31aの上端には、支軸33aで揺動自在とされたアーム33の一端部33bが当接しており、排気弁31が上昇位置にある時はアーム33の他端部33cがリミットスイッチ32の接点34を押下げてリミットスイッチ32から信号が発せられるようになっている。リミットスイッチ32から発せられた通電信号は、オフディレイタイマ36を介して制御部Cに送られ、ロック機構13を作動させる(ソレノイド25への通電を行う)信号として機能するようになっている。
アーム33の他端部33cは、排気弁31が下降位置に下がった時(チャンバー2内が外気圧と同程度になった時)はリミットスイッチ32の接点34から離れ、リミットスイッチ32からの通電信号が遮断されるようになっている。リミットスイッチ32からの通電信号が遮断されると、これを、チャンバー2内が外気圧と同程度まで減圧したとオフディレータイマ36が検出し、チャンバー2内が外気圧と等しくなるまでの一定時間経過後にソレノイド25への通電が遮断され、ロック機構13によるロックが解除されるようになっている。
すなわち、排気弁31が上昇位置にある時はアーム33が接点34を押下げており、この状態から排気弁31が下降するに伴い接点34の押下げが解放され、リミットスイッチ32からの通電遮断を排気弁31の下降として検出し、この検出に基づき一定時間経過後に、制御部Cがソレノイド25への通電遮断を行い、ロック機構13によるロックピンの摺動規制が解除されるよう構成されている。
以上の構成になる本例の高圧蒸気滅菌器により滅菌を行う際には、まず、チャンバー2内に被滅菌物を入れ、開閉扉7(蓋体3)で開口部4を閉じると共に操作摘み10の操作でロックピン9をロック孔8に係合させて、蓋体3による開口部4の閉蓋状態をロックする。その後、操作パネル1aのスタートボタンを押すと、制御部Cからの指令でソレノイド38が通電され、プランジャ38aの下降により揺動杆37の他端部37cが上方へ回動し、排気弁31を引き上げて排気口30を閉じる。この時、弁軸31aがアーム33の一端部33bを押し上げ、他端部33cが接点34を押してリミットスイッチ32から通電信号が発せられ、ソレノイド25への通電がなされることで、係止ピン20が規制位置に摺動しその先端部20aが摺動孔14内に突出して、ロックピン9の後端部に係合しロックピン9の摺動(後退)を規制する。
この状態で、チャンバー2内において給水、加圧昇温、蒸気置換、滅菌、排水、排気、乾燥等の各工程が順次自動的に遂行される。この間、排気弁31が上昇位置にあってリミットスイッチ32からの通電信号が発せられ続け、ロック孔8に係合するロックピン9の摺動を係止ピン20が阻止する状態が維持されるので、ロック孔8との係合が外れる方向にロックピン9を摺動させることはできない。よって、使用者が誤って蓋体3を開いてしまうことによる高圧蒸気の噴出を防ぐことができる。
チャンバー2内の排気工程においては、制御部Cからの指令でソレノイド38への通電が遮断されるが、チャンバー2内が高圧の間はその圧力で排気弁31が押され、排気弁31は引き続き上昇位置にある。前述の排水、排気等の各工程により、チャンバー2内の圧力が外気圧と同等程度まで下降すると、排気弁31は自重と圧縮スプリング39により下降位置まで下がる。
排気弁31が下降位置まで下がると、排気口30が開いてチャンバー2内の残留蒸気等が排出されると共に、アーム33の回動に伴い接点34の押下げが解放され、リミットスイッチ32からの通電信号が遮断される。これをオフディレータイマ36が受けて、チャンバー2内が外気圧と等しくなるまでの一定時間が経過した後、制御部Cからの指令でソレノイド25への通電が遮断され、クランクアーム23が回動して係止ピン20が規制解除位置に摺動するをもって、ロックピン9の摺動規制が解除される。これにより、ロックピン9の摺動操作が可能になり、蓋体3を開いてチャンバー2内の滅菌済みの被滅菌物を取り出すことができる。
以下、上述したロック機構13の変形例を示すが、それ以外の構成部分は上記説明と同様のため、重複する説明と図示は省略する。
図5に示すロック機構13’は、ロック孔8に係合したロックピン9の先端部9aがロック孔8を貫通してその外側まで突出するよう形成し、この先端部9aに係合溝9bを周設すると共に、該係合溝9bに係脱自在に係合する凹部41aを備えた係止部材としての係止杆41を、チャンバー2の側方にて回動自在に支持し、該係止杆41を、凹部41aが係合溝9bに係合しロックピン9の摺動(後退)を規制する規制位置と、凹部41aが係合溝9bから外れてロックピン9の摺動(後退)規制を解除する解除位置との間を、適時に回動させ得るようになっている。
係止杆41を回動させる駆動機構は、図示を一部省略するが、係止杆41の後部に配設した支軸42を適時に正回転又は逆回転させるモータ等の駆動手段で構成される。その駆動手段による係止杆41の作動は、ロック孔8内に設けた不図示の検出器にロックピン9の先端側が接触して、蓋体3による開口部4の閉蓋状態をロックしたことが検出されると共に、操作パネル1aのスタートボタンを押すことに伴うリミットスイッチ32からの通電信号に基づきモータが駆動し、係止杆41が前記規制位置まで回動するよう、制御部Cで制御される。また、排気装置12により、高圧蒸気滅菌が終了した後のチャンバー2内が外気圧と同程度になったことを検出された後に、係止杆41が前記解除位置まで回動するよう、オフディレータイマ36と制御部Cでモータの駆動が制御される。
それ以外の作動は前述の例と同様のため、重複する説明を省略する。
図6に示すロック機構13”は、開閉扉7の遊端部に、滅菌器本体1の内部空間44に挿入される鉤片45を突設すると共に、この鉤片45の先端45aに係脱自在に係合する係止部材としての係止杆46を、前記内部空間44にて上下揺動自在に支持し、該係止杆46を、その先端部46aが、前記鉤片の先端45aに係合して蓋体3(開閉扉7)の閉蓋状態をロックする規制位置と、前記先端45aから外れて蓋体3(開閉扉7)の開閉を自在とする解除位置との間を、適時に揺動させ得るようになっている。
係止杆46を揺動させる駆動機構は、係止杆46の後部に設けた支軸47と、この支軸47を適時に正方向又は逆方向に回動させるモータ等の駆動手段(不図示)で構成される。その駆動手段による係止杆46の作動は、ロック孔8内に設けた不図示の検出器にロックピン9の先端側が接触して、蓋体3による開口部4の閉蓋状態をロックしたことが検出されると共に、操作パネル1aのスタートボタンを押すことに伴うリミットスイッチ32からの通電信号に基づきモータが駆動し、係止杆46が前記規制位置まで回動するよう、制御部Cで制御される。また、前記排気装置12により、高圧蒸気滅菌が終了した後のチャンバー2内が外気圧と同程度になったことを検出された時に、係止杆46が前記解除位置まで回動するよう、オフディレータイマ36と制御部Cでモータの駆動が制御される。
それ以外の作動は前述の例と同様のため、重複する説明を省略する。
以上、本発明に係る高圧蒸気滅菌器の実施形態の例を図面を参照して説明したが、本発明は図示例に限定されず、特許請求範囲記載の技術的思想の範疇において種々の変更が可能であることは言うまでもない。
本発明に係る高圧蒸気滅菌器の実施形態の一例を示す斜視図で、チャンバーを開いた状態を表す。 チャンバーを閉じた状態の要部を一部断面で示す平面図。 ロック機構の一例を示す斜視図。 検出手段の一例を示す要部拡大断面図。 ロック機構の他例を示す斜視図。 ロック機構の他例を示す平面図。
符号の説明
1:滅菌器本体
2:チャンバー
3:蓋体
4:開口部
5:ヒンジ機構
8:ロック孔
9:ロックピン
12:排気装置(検出手段)
13,13’,13”:ロック機構
20:係止ピン(係止部材)
30:排気口
31:排気弁(摺動子)
32:リミットスイッチ(検出器)
36:オフディレータイマ
41,46:係止杆(係止部材)

Claims (5)

  1. 被滅菌物を収納するチャンバーと、該チャンバーの開口部の一側に設けたヒンジ機構により一側を固定され前記開口部を開閉自在とする蓋体と、該蓋体の遊端延長方向に摺動可能に設けられ前記開口部の他側に設けたロック孔に係脱自在なロックピンを有し、前記開口部を蓋体で閉じると共に前記ロックピンを前記ロック孔に係合させてチャンバー内の高圧で前記蓋体が開かないようロックし、その状態でチャンバー内に蒸気を充満させて高圧蒸気滅菌を行った後、チャンバー内の排水、排気等の後処理を順次自動で行う高圧蒸気滅菌器であって、
    前記高圧蒸気滅菌が終了した後のチャンバー内圧が外気圧と同程度になったことを検出する検出手段と、前記蓋体による閉蓋状態を解除可能にロックするロック機構を備え、
    前記検出手段が、前記チャンバーの上部に上下摺動自在に備えられ前記チャンバー内圧が外気圧と同程度になったときにチャンバー内に向けて下降する摺動子と、該摺動子の下降を検出する検出器からなり、
    前記摺動子の下降を前記検出器が検出した後に前記ロック機構によるロックが解除されるよう形成したことを特徴とする高圧蒸気滅菌器。
  2. 前記摺動子が、前記チャンバー内の残留蒸気をチャンバー外へ排出する排気弁を兼ねており、該排気弁は、チャンバー内圧が外気圧より高い時は上昇位置にあって排気口を閉じ、チャンバー内圧が外気圧と同程度まで減圧すると下降位置まで下がって、前記排気口を開くことを特徴とする請求項1記載の高圧蒸気滅菌器。
  3. 前記検出器がリミットスイッチからなり、前記排気弁が上昇位置にある時は該リミットスイッチから発せられる検出信号に基づき前記ロック機構が作動して前記蓋体による閉蓋状態がロックされ、前記排気弁が下降位置に下がると前記検出信号が遮断され、これをオフディレータイマが受けて、一定時間経過後に、前記ロック機構による閉蓋状態のロックが解除されるよう構成したことを特徴とする請求項2記載の高圧蒸気滅菌器。
  4. 前記ロック機構が、ロック孔に係合したロックピンの摺動を規制する規制位置と、該ロックピンの摺動規制を解除する解除位置との間を変位自在とした係止部材と、該係止部材を適時に変位させる駆動機構を備えていることを特徴とする請求項1又は2又は3記載の高圧蒸気滅菌器。
  5. 前記係止部材が前記規制位置と規制解除位置の間を摺動自在とした係止ピンであり、前記駆動機構が、蓋体表面に設けたクロスバーの外面に設置されたソレノイドと、該ソレノイドへの通電/通電遮断により摺動する摺動杆と、前記クロスバーの外側にて回動自在に支持され一端に前記係止ピンの後端を回動自在に軸止し、他端に前記摺動杆の先端を回動自在に軸止したクランクアームを備え、
    前記ソレノイドへの通電により、クランクアームが正方向へ回動して係止ピンが前記規制位置に摺動する一方、ソレノイドへの通電遮断により、クランクアームが逆方向へ回動して係止ピンが前記解除位置に摺動するよう形成した請求項4記載の高圧蒸気滅菌器。
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