JP2006149016A - スイッチング電源回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スイッチング周波数制御により定電圧制御を行う電源回路においてスイッチング周波数制御の必要制御範囲の縮小化を図りワイドレンジ対応の構成を実現する。
【解決手段】電流共振形コンバータにおいて、二次側の整流回路の構成を両波整流回路以外とし、且つ絶縁コンバータトランスPITのコアに形成するギャップGを2.0mm程度以上とし、結合係数kについてk=0.70程度以下を設定する。これによってスイッチング周波数可変制御範囲を縮小できワイドレンジ対応の構成を実現できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種電子機器の電源として備えられるスイッチング電源回路に関する。
特開2003−235259号公報
先に本出願人は、一次側に共振形コンバータを備えた電源回路を各種提案している。
図11は、先に本出願人により出願された発明に基づいて構成される、共振形コンバータを備えるスイッチング電源回路の一例を示す回路図である。
この図11に示される電源回路のスイッチングコンバータとしては、ハーフブリッジ結合方式による他励式の電流共振形コンバータに対して、スイッチング中のターンオフ時にのみ電圧共振動作を行う部分電圧共振回路を組み合わせた構成を採る。
先ず、図11に示す電源回路においては、商用交流電源ACに対して2組のフィルタコンデンサCL、CL及び1組のコモンモードチョークコイルCMCから成るコモンモードノイズフィルタが接続されている。
そして、商用交流電源ACから直流入力電圧を生成する整流平滑回路としては、上記コモンモードノイズフィルタの後段に対して、ブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiとから成る全波整流回路が備えられる。
ブリッジ整流回路Diの整流出力は、平滑コンデンサCiに対して充電され、これによって平滑コンデンサCiの両端には、交流入力電圧VACの等倍のレベルに対応する整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)が得られることになる。
上記直流入力電圧を入力してスイッチングする電流共振形コンバータとしては、図示するようにして、MOS−FETによる2本のスイッチング素子Q1,Q2をハーフブリッジ結合により接続したスイッチング回路系を備える。スイッチング素子Q1,Q2の各ドレイン−ソース間に対しては、図示する方向により、それぞれボディダイオードによるダンパーダイオードDD1,DD2が並列に接続される。
また、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間に対しては、部分共振コンデンサCpが並列に接続される。この部分共振コンデンサCpのキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1によっては、並列共振回路(部分電圧共振回路)が形成される。この部分電圧共振回路によりスイッチング素子Q1,Q2のターンオフ時にのみ電圧共振する、部分電圧共振動作が得られるようになっている。
この電源回路においては、スイッチング素子Q1,Q2をスイッチング駆動するために、例えば汎用のICによる発振・ドライブ回路2が設けられる。この発振・ドライブ回路2は、発振回路、駆動回路を有して、所要の周波数によるドライブ信号(ゲート電圧)をスイッチング素子Q1,Q2の各ゲートに対して印加する。これにより、スイッチング素子Q1,Q2は、所要のスイッチング周波数により交互にオン/オフするようにしてスイッチング動作を行う。
絶縁コンバータトランスPIT (Power Isolation Transformer)は、スイッチング素子Q1 、Q2 のスイッチング出力を二次側に伝送する。
この場合の絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1 の一端は、一次側直列共振コンデンサC1を介してスイッチング素子Q1 のソースとスイッチング素子Q2 のドレインの接続点(スイッチング出力点)に接続されることで、スイッチング出力が得られるようにされる。
また、一次巻線N1の他端は、図示するように一次側アースに接続されている。
この場合、直列共振コンデンサC1及び一次巻線N1は直列に接続されているが、この直列共振コンデンサC1のキャパシタンス、及び絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1(直列共振巻線)のリーケージインダクタンス(漏洩インダクタンス)L1とにより、スイッチングコンバータの動作を電流共振形とするための一次側直列共振回路を形成している。
ここまでの説明によると、この図に示す一次側スイッチングコンバータとしては、一次側直列共振回路(L1−C1)による電流共振形としての動作と、前述した部分電圧共振回路(Cp//L1)とによる部分電圧共振動作とが得られることになる。
つまり、この図に示す電源回路は、一次側スイッチングコンバータを共振形とするための共振回路に対して、他の共振回路が組み合わされた形式を採っていることになる。ここでは、このようなスイッチングコンバータについて複合共振形コンバータということにする。
ここでの図示による説明は省略するが、上記した絶縁コンバータトランスPITの構造としては、例えばフェライト材によるE型コアを組み合わせたEE型コアを備える。そして、一次側と二次側とで巻装部位を分割したうえで、一次巻線N1と二次巻線N2とを、EE型コアの内磁脚に対して巻装している。
また、絶縁コンバータトランスPITのEE型コアの内磁脚に対しては1.0mm以下のギャップを形成するようにして、一次巻線N1と二次巻線N2とで0.80〜0.90程度の結合係数を得るようにしている。
実際には、ギャップG=0.8mm程度とし、また一次巻線N1と二次巻線N2の巻数(ターン数)を一次巻線N1=20T(ターン)、二次巻線N2=50T(25T+25T)とすることで、結合係数k=0.85程度を得るようにされている。
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2に対しては、図示するように二次側アースに接続されるセンタータップを施しすことで、二次巻線部N2Aと二次巻線部N2Bとに分割している。その上で、これら二次巻線部N2A、二次巻線部N2Bに対しては、それぞれ直列に整流ダイオードDo1、整流ダイオードDo2を接続し、さらにこれら整流ダイオードDo1とDo2とによる整流出力を平滑化する平滑コンデンサCoによって、両波整流回路を形成している。
これにより、平滑コンデンサCoの両端電圧として、各二次巻線部に誘起される交番電圧の等倍に対応したレベルの直流電圧である二次側直流出力電圧Eoが得られる。この二次側直流出力電圧Eoは、メイン直流電源として、図示しないメインの負荷に供給されるとともに、制御回路1に対して定電圧制御のための検出電圧としても分岐して入力される。
制御回路1は、二次側直流出力電圧Eoのレベルに対応してレベルが可変される電圧又は電流としての制御信号を発振・ドライブ回路2に出力する。
発振・ドライブ回路2では制御回路1から入力される制御信号に基づいて、発振・ドライブ回路2内の発振回路により生成する発振信号周波数を可変するようにして、スイッチング素子Q1,Q2の各ゲートに印加するスイッチング駆動信号の周波数を変化させる。これにより、スイッチング周波数が可変される。このように、二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じてスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数が可変制御されることで、一次側直列共振回路の共振インピーダンスが変化して一次側直列共振回路を形成する一次巻線N1から二次側に伝送されるエネルギーも可変され、二次側直流出力電圧Eoのレベルも可変制御される。これにより、二次側直流出力電圧Eoの定電圧制御が図られることになる。
なお、以降においては、このようにスイッチング周波数を可変制御することによって安定化を図る定電圧制御方式を「スイッチング周波数制御方式」ということにする。
図12の波形図は、図11に示した電源回路における要部の動作を示している。この図においては、図11に示した回路においての負荷電力Po=200W時と負荷電力Po=0W時の動作をそれぞれ示している。なお、負荷電力Po=200Wは、図11に示した回路の最大負荷電力(Pomax)とされ、Po=0Wは最小負荷電力(Pomin)である。
また、この図において、入力電圧条件は交流入力電圧VAC=100Vで一定としている。また、二次側直流出力電圧Eoとしては100V以上(例えばこの場合はEo=135V)を生成するようにされているものとする。
また、上記のような負荷電力、入力電圧、二次側直流出力電圧レベルの条件に対応させて、図11の回路では要部を以下のように選定している。
・絶縁コンバータトランスPIT・・・ギャップ長=0.8mm、結合係数k=0.85程度
・一次巻線N1=20T
・二次巻線N2=50T(センタータップを境に25T+25T)
・一次側直列共振コンデンサC1=0.068μF
・部分共振コンデンサCp=1000pF
先ず、図12において、矩形波状の電圧V1は、スイッチング素子Q2の両端電圧であり、スイッチング素子Q2のオン/オフタイミングを示す。
電圧V1が0レベルとなる期間が、スイッチング素子Q2が導通するオン期間であり、このオン期間においては、スイッチング素子Q2及びクランプダイオードDD2から成るスイッチング回路系には、図示する波形によるスイッチング電流IQ2が流れる。また、電圧V1が整流平滑電圧Eiのレベルでクランプされる期間は、スイッチング素子Q2がオフとなる期間であり、スイッチング電流IQ2は図示するようにして0レベルとなる。
また、図示していないが、他方のスイッチング素子Q1の両端電圧、及びスイッチング回路(Q1,DD1)に流れるスイッチング電流としては、上記電圧V1、及びスイッチング電流IQ2を180°移相した波形として得られる。つまり、前述したように、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とは、交互にオン/オフするタイミングでスイッチング動作を行う。
なお、一次側直列共振回路(C1−N1(L1))を流れる一次側直列共振電流Io(図示せず)としては、これらのスイッチング回路(Q1,DD1)(Q2,DD2)に流れるスイッチング電流が合成された波形により流れるものとなる。
また、例えばこの図に示される上記電圧V1の波形を、負荷電力Po=200W時と負荷電力Po=0W時とで比較して分かるように、スイッチング周波数としては、二次側直流出力電圧Eoが軽負荷のとき(Po=0W)よりも、重負荷の条件(Po=200W)のときのほうが、一次側のスイッチング周波数が低くなるように制御されていることがわかる。すなわち、重負荷となって二次側直流出力電圧Eoのレベルが低下するのに応じては、スイッチング周波数を低くし、また軽負荷となって二次側直流出力電圧Eoのレベルが上昇するのに応じてはスイッチング周波数を高くするようにしている。これは、スイッチング周波数制御方式として、アッパーサイド制御による定電圧制御動作が行われていることを示している。
なお、この場合、図示されるように負荷電力Po=200W時でのスイッチング電流IQ2のピークレベルは5.6Apとなり、負荷電力Po=0W時のスイッチング電流IQ2のレベルは0.8Apとなっている
また、上記した一次側の動作が得られることで、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2Aには、図示する波形による交番電圧V2が誘起される。この交番電圧V2が正極性となる一方の半周期の期間においては、二次側の整流ダイオードDo1が導通するようにされる。また、交番電圧V2が負極性となる半周期(つまり二次巻線部N2Bに励起される交番電圧が正極性となる半周期)には、整流ダイオードDo2が導通するようにされる。これによって、二次側の両波整流回路において、二次巻線N2のセンタータップと二次側アースとの間に流れる整流出力電流I2としては、図示するようにして交番電圧V2が正負のピークレベルとなる周期と同様の周期でピークレベルとなる波形が得られる。
なお、交番電圧V2のピークレベルは、二次側直流出力電圧Eoのレベルとなる。また、この場合、上記整流出力電流I2としては、各半周期でのピークレベルが図のように3Apと2Apとで異なるものとなっているが、これについては後述する。
ところで、図11に示した電源回路のように、スイッチング周波数制御方式により二次側直流出力電圧の安定化を図る共振形コンバータとしての構成を採る場合には、安定化のためのスイッチング周波数の可変制御範囲は、比較的広範囲な傾向となる。
このことについて、図13を参照して説明する。
図13は、図11に示した電源回路のように、スイッチング周波数制御方式により安定化を図るように構成された従来の電源回路の定電圧制御特性を、スイッチング周波数fsと二次側直流出力電圧Eoのレベルとの関係により示している。
なお、この図の説明にあたっては、図11の電源回路が、スイッチング周波数制御方式としていわゆるアッパーサイド制御を採用していることを前提とする。ここでのアッパーサイド制御とは、一次側直列共振回路の共振周波数foよりも高い周波数範囲でスイッチング周波数を可変制御し、これにより生じる共振インピーダンスの変化を利用して二次側直流出力電圧Eoのレベルをコントロールする制御をいう。
一般的なこととして、直列共振回路は、共振周波数foのときに最も共振インピーダンスが小さくなる。これにより、アッパーサイド制御における二次側直流出力電圧Eoとスイッチング周波数fsの関係として、二次側直流出力電圧Eoのレベルは、スイッチング周波数fsが共振周波数foに近づいていくほど上昇し、共振周波数foから離れていくのに従って低下していくものとなる。
従って、負荷電力Poを一定とした条件でのスイッチング周波数fsに対する二次側直流出力電圧Eoのレベルは、図13に示すようにして、スイッチング周波数fsが一次側直列共振回路の共振周波数foと同じときにピークとなり、共振周波数foから離れるのに応じて低下する二次曲線的な変化を示す。
また、同じスイッチング周波数fsに対応する二次側直流出力電圧Eoのレベルは、最小負荷電力Pomin時よりも最大負荷電力Pomax時のほうが、所定分低下するようにしてシフトする特性が得られる。つまり、スイッチング周波数fsを固定として考えると、重負荷の条件となるのに従って二次側直流出力電圧Eoのレベルは低下する。
そして、このような特性のもとで、アッパーサイド制御により二次側直流出力電圧Eoについて、Eo=tgとなるようにして安定化しようとした場合、必要となるスイッチング周波数の可変範囲(必要制御範囲)は、Δfsとして示される範囲となる。
図11に示す電源回路の実際としては、AC100V系としての交流入力電圧VAC=85V〜120Vの入力変動範囲と、メイン直流電源である二次側直流出力電圧Eoの最大負荷電力Pomax=200W、最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)の負荷条件に対応して、スイッチング周波数制御方式により、例えば二次側直流出力電圧Eo=135Vで安定化するように定電圧制御を行う。
このような条件に対応するとした場合、従来の一般的な電源回路にて定電圧制御のために必要となるスイッチング周波数fsの可変範囲は、およそfs=80kHz〜200kHz以上であり、Δfsとしても120kHz以上と相応に広範囲なものとなる。
ここで、電源回路として、例えば日本や米国等の交流入力電圧AC100V系の地域と欧州等のAC200V系の地域に対応するように、例えば約AC85V〜288Vの交流入力電圧範囲に対応した動作が可能に構成された、いわゆるワイドレンジ対応のものが知られている。
そこで、図11に示した電源回路を始めとして、スイッチング周波数制御を行う従来の電源回路について、上記したワイドレンジ対応として構成することを考えてみる。
ワイドレンジ対応では、上記のようにして、例えばAC85V〜288Vの交流入力電圧範囲に対応することになる。従って、例えば、AC100V系のみ、あるいはAC200V系のみの単レンジに対応する場合と比較して、二次側直流出力電圧Eoのレベル変動範囲も大きくなる。このような交流入力電圧範囲に対応してレベル変動範囲が拡大した二次側直流出力電圧Eoについて定電圧制御を行うためには、より広範囲なスイッチング周波数制御範囲が必要となる。例えば、上記した従来でのAC100V系の単レンジでのスイッチング周波数制御範囲(fs=80kHZ〜200kHz)とされる場合、ワイドレンジ対応とするにあたって必要なスイッチング周波数可変範囲としては、約80kHz〜500kHz程度にまで拡大する必要がでてきてしまう。
しかしながら、現状のスイッチング素子を駆動するためのIC(発振・ドライブ回路2)としては、対応可能な駆動周波数の上限は200kHz程度が限界である。また、仮に上記したような高い周波数での駆動が可能なスイッチング駆動用ICを構成して実装したとしても、このような高い周波数でスイッチング素子を駆動した場合には、電力変換効率が著しく低下するために、現実の電源回路として実用的ではなくなる。
このことから、従来の電源回路において、スイッチング周波数制御方式による安定化動作のみでワイドレンジ対応を実現することは非常に困難とされていた。
また、さらにこの場合、スイッチング周波数制御範囲は、図11に示した電源回路のように二次側の整流回路として両波整流回路を構成するようにした場合に、特に広範囲とされてしまうことになる。
先ず、両波整流回路とした場合、二次巻線N2はセンタータップされ、2つの二次巻線部(N2A、N2B)が形成される。そして、これら2つの二次巻線部N2A、N2Bにおいて、二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期においては、整流電流は[二次巻線部N2A→整流ダイオードDo1→平滑コンデンサCo→二次巻線部N2A]の経路で流れる。また、上記交番電圧の他方の半周期には、整流電流は[二次巻線部N2B→整流ダイオードDo2→平滑コンデンサCo→二次巻線部N2B]を介して流れる。
つまり両波整流において、2つの二次巻線部としては、一方の半周期には一方にのみ電流が流れ、他方には流れないという状態となる。
このような両波整流動作によると、絶縁コンバータトランスPITのボビンに対してそれぞれ巻装された二次巻線部N2Aと二次巻線部N2Bとの間には、所要の静電容量が存在することとなる。
そして、このように線間静電容量が存在していることにより、この場合の絶縁コンバータトランスPITの二次側においては、先の図11に示されるようにして、等価的には二次巻線N2に対して並列にコンデンサC2が接続された状態となる。
二次巻線N2に対して並列にコンデンサC2が接続されることで、この場合は二次側においても二次巻線N2のリーケージインダクタンス(L2)とコンデンサC2のキャパシタンス(C2)とによる、並列共振回路(部分共振回路)が形成されたものとなり、これによって二次側においても、一次側の部分共振回路(L1//Cp)と同様の共振動作が得られることになる。
ちなみに、上記コンデンサC2のキャパシタンスとしては、二次巻線N2として用いるリッツ線の束数と、二次巻線N2が巻装されるボビンの窓面積によって決定されるものであるが、これまでに述べた各条件とした図11の回路では、およそ100pF〜500pF程度と微少なもとなっている。
そして、このように二次側においても並列共振回路が形成されることで、先の図13に示したような二次側直流出力電圧Eoについての定電圧特性として、図11の回路の場合の実際としては、次の図14に示すような特性となってしまう。
図14において、先ず、上記のように二次側に対しても並列共振回路が形成されることで、一次側の直列共振回路の共振周波数をfo1とした場合、二次側の並列共振回路の共振周波数fo2が存在することになる。
そして、このように異なる共振点が2つ存在するようにされることで、特にPomin時における特性曲線としては、一次側の共振周波数fo1に応じてピークと二次側の共振周波数fo2に応じたピークとの2つのピークを持つ、図のような双峰曲線が得られることになる。
この場合、コンデンサC2のキャパシタンスとしては、上記もしたように比較的微少とされることで、重負荷の条件で二次側直流出力電圧Eoのレベルが比較的低くなる傾向とされているときは、二次側の共振点は顕在化しないものとなる(Pomax時の特性曲線)。しかし、軽負荷の傾向となって、無負荷の状態に近づくことによっては、二次側直流出力電圧Eoが急激な上昇傾向となることに伴って、二次側の共振点が顕在化するかの如く、図中Po=0時の特性曲線のような双峰の特性曲線が得られるものである。
この双峰の特性曲線と、先の図13における同じPo=0W時の特性曲線を比較すると、図14に示される双峰曲線の方が、単峰の曲線とされた場合よりも、無負荷時のスイッチング周波数がより高くなる傾向となることが理解できる。
そして、これによれば、各図のΔfsを比較してわかるように、図14の双峰となる方がスイッチング周波数の必要制御範囲Δfsがより広範となるものである。
図15は、二次側の整流回路を両波整流回路とした図11の回路における、負荷変動に対するスイッチング周波数fsの変動特性について示した図である。
この特性図から、上記説明のとうり、両波整流回路とした場合は、負荷電力Poが0W付近のとき、二次側の共振点が顕在化することで急激にスイッチング周波数が上昇する傾向となる。
実験によると、Pomax=200W時、スイッチング周波数fs=75.8kHz程度に対し、Pomin=0W時ではスイッチング周波数fs=172.4kHz程度にまで上昇してしまうものとなった。
このようにして、従来の電源回路の構成として、二次側に両波整流回路を構成した場合は、一次側と二次側の共振回路による2つの共振点が存在することによる必要制御範囲Δfsの拡大も加わり、さらに必要制御範囲Δfsは拡大傾向となってしまう。
ここで、これまでの説明のようにして、必要制御範囲Δfsが拡大傾向となってしまうことから、従来の電源回路において、実際にワイドレンジ対応とするのにあたっては、例えば下記のような構成を採るようにされていた。
1つには、商用交流電源を入力して直流入力電圧(Ei)を生成する整流回路系について、AC100V系とAC200V系の商用交流電源入力に応じて、倍電圧整流回路と全波整流回路とで切り換えを行うように機能を与えるものである。
この場合には、商用交流電源レベルを検出して、その検出されたレベルに応じて、倍電圧整流回路若しくは全波整流回路が形成されるようにして、電磁リレーを用いたスイッチにより、整流回路系における回路接続の切り換えを行うように回路を構成する。
しかしながら、このような整流回路系の切り換えの構成では、上記しているように、所要数の電磁リレーが必要になる。また、倍電圧整流回路を形成するために少なくとも2本1組の平滑コンデンサを設ける必要も生じる。このため、それだけ部品点数が増加してコストアップとなると共に、電源回路基板のマウント面積も拡大して大型化する。特に、これら平滑コンデンサや電磁リレーは、電源回路を形成する部品のうちでも大型であるから、基板サイズは相当に大きくなってしまう。
また、全波整流動作と倍電圧整流動作を切り換える構成とした場合において、AC200V系の商用交流電源が入力されているときに、瞬間停電が生じたり、また、交流入力電圧が定格以下に低下するなどして、AC200系に対応するよりも低いレベルとなると、AC100V系であると検出して倍電圧整流回路に切り換えるという誤動作が生じたとする。このような誤動作が生じると、AC200V系のレベルの交流入力電圧について倍電圧整流を行うこととなるために、例えばスイッチング素子Q1,Q2などが耐圧オーバーとなって破壊される可能性もある。
そこで、実際の回路としては、上記のような誤動作が生じないようにするために、メインとなるスイッチングコンバータの直流入力電圧だけではなく、スタンバイ電源側のコンバータ回路の直流入力電圧も検出する構成を採るようにされる。これにより、スタンバイ電源側のコンバータ回路を検出するための部品の追加などにより、上記したコストアップ、及び回路基板サイズの大型化がさらに助長されてしまうことになる。
また、誤動作防止を目的としてスタンバイ電源側のコンバータの直流入力電圧を検出するということは、整流動作切り換えのための回路を備えるワイドレンジ対応の電源回路としては、メイン電源の他にスタンバイ電源を備える電子機器でなければ、実際に使用することができないということになる。つまり、電源を実装可能な電子機器の種類が、スタンバイ電源を備えたものに限定されるわけであり、それだけ利用範囲が狭くなる。
また、ワイドレンジ対応のための構成として、AC100V系/AC200V系の商用交流電源入力に応じて、一次側の電流共振形コンバータの形式をハーフブリッジ結合とフルブリッジ結合とで切り換える構成とすることも知られている。
この構成であれば、例えば上記した瞬間停電などによって、AC200V系の交流入力電圧がAC100V系のレベルにまで低下して誤動作したとしても、スイッチング動作がハーフブリッジ動作からフルブリッジ動作となるだけであり、スイッチング素子などが耐圧オーバーになることはない。このためにスタンバイ電源側の直流入力電圧を検出する必要もなくなるので、スタンバイ電源を備えない電子機器に対しても採用することが可能となる。また、商用電源ラインにおける切り換えではないために、半導体スイッチによる回路形態の切り換えが可能であるので、電磁リレーのような大型のスイッチ部品は不要となる。
しかし、この構成では、AC100V系時に対応してフルブリッジ結合を形成するために、スイッチング素子を少なくとも4本備える必要がある。つまり、2本のスイッチング素子により形成可能なハーフブリッジ結合方式のみによるコンバータの構成と比較すれば、2本のスイッチング素子を追加する必要があることになる。
また、この構成の場合には、フルブリッジ動作では4石がスイッチング動作を行い、ハーフブリッジ動作でも3石のスイッチング素子がスイッチング動作を行う。共振形コンバータは、低スイッチングノイズではあるが、このようにしてスイッチングを行うスイッチング素子数が増加するほどスイッチングノイズに関しては不利となる。
このようにして、ワイドレンジ対応として上記した何れの構成を採った場合にも、単レンジ対応の構成と比較した場合には、部品点数の増加などによる回路規模の拡大、コストアップがさけられない。また、前者の構成では機器への利用範囲の制限、後者の構成ではスイッチングノイズの増加など、それぞれ、単レンジ対応の構成では生じなかった新たな問題が生じる。
また、スイッチング周波数の制御範囲が相応に広範囲であることによっては、二次側直流出力電圧Eoについての安定化の高速応答特性が低下するという問題も生じる。
電子機器によっては、例えば最大負荷の状態とほぼ無負荷とされる状態のとの間で、負荷条件が瞬時的に切り換わるようにして変動する動作を伴うものがある。このような負荷変動は、スイッチング負荷ともいわれる。このような機器に搭載される電源回路としては、上記スイッチング負荷とされる負荷変動にも対応して二次側直流出力電圧が適正に安定化されるようにする必要がある。
しかしながら、先の図13、図14での説明のようにスイッチング周波数の制御範囲が広範である特性を持つ場合には、上記スイッチング負荷のような負荷変動に対応して、二次側直流出力電圧を所要レベルとするためのスイッチング周波数にまで可変させるためには比較的長い時間を要することになる。つまり、定電圧制御の応答特性としては良好でない結果が得られることになる。
特に図11に示した電源回路は、図15に示したようにして、定電圧制御に応じたスイッチング周波数特性としては、負荷電力Po=25W程度以下から0Wまでの負荷範囲において、スイッチング周波数が大きく変化するものとなっており、上記したようなスイッチング負荷に対する定電圧制御応答性としては不利になっていることが分かる。
また、さらなる問題点として、先の図11に示した回路の如く二次側の整流回路を両波整流とした場合は、特に絶縁コンバータトランスPITに偏磁が生じるという問題も生じる。
つまり、二次巻線部N2A、二次巻線部N2Bとしては、絶縁コンバータトランスPITのボビンに対しどちらから先に巻き付けるかによって、一方の巻線部は長く、他方は短くなる。そして、このような巻線長の差から、一次巻線N1と二次巻線部N2A、一次巻線N1と二次巻線部N2Bとでの結合係数にも差が生じる。
図11の回路の実際として、一次巻線N1と二次巻線部N2Aとの結合係数はk=0.86、一次巻線N1と二次巻線部N2Bとの結合係数はk=0.85となっている。そして、これによって各巻線部での漏洩インダクタンスにも差が生じ、この結果として、先の図12の波形図の如く、整流出力電流I2としては各半周期でピークレベルが異なるような波形が得られることになる。
このように各半周期で整流電流のピークレベルが異なるということは、二次側の各整流ダイオード(Do1、Do2)に流れる電流のピークレベルも異なっており、結果として一方の整流ダイオードとしては、双方のダイオードに均等のピークレベルによる整流電流が流れる場合よりも、耐電流レベルを上げなければならないことになる。従って、その分、均等な整流電流のピークレベルが得られる場合よりも、耐電流レベルの高いより高価な部品を選定する必要がでてくるもので、これによって電源回路の製造上のコストアップを強いられることになる。
また、上記のようにして整流電流のピークレベルが異なるようにされることによっては、各整流ダイオードDo1、Do2における導通損にも偏りが生じてしまうという問題もある。
そこで本発明は上記した課題を考慮して、スイッチング電源回路として次のように構成する。
つまり、先ず、直流入力電圧を入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段とを備える。
また、上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線により交番電圧が誘起される二次巻線とが巻装されて形成される絶縁コンバータトランスを備える。
また、少なくとも、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、上記一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、上記スイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路を備える。
さらに、両波整流回路以外の整流回路を備えるようにされて上記二次巻線に得られる交番電圧について整流動作を行って、その整流出力を二次側平滑コンデンサにより平滑化して二次側直流出力電圧を生成する二次側直流出力電圧生成手段を備える。
そして、上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング駆動手段を制御して、上記スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、上記二次側直流出力電圧について定電圧制御を行う定電圧制御手段を備える。
その上で、上記絶縁コンバータトランスは、一次側と二次側との結合係数が所定以下となるようにして、コアの所定位置に形成されるギャップ長が設定されているものである。
上記構成によるスイッチング電源回路では、一次側のスイッチング動作を電流共振形とする一次側直列共振回路が形成されたスイッチングコンバータの構成が採られた上で、二次側の整流回路としては、両波整流回路以外の整流回路を備えるものとしている。そして、二次側直流出力電圧の安定化は、一次側のスイッチング素子のスイッチング周波数を可変制御することで行うスイッチング周波数制御方式により行われる。
このようにして、スイッチング周波数制御方式による安定化動作を行う場合において、二次側の整流回路が両波整流回路以外とされることで、両波整流回路とされた場合に二次巻線に存在することになる線間静電容量をなくすことができ、二次側において並列共振動作が行われることはなくなる。先ずはこの点で、安定化のために必要なスイッチング周波数の可変制御範囲(必要制御範囲)の縮小化を図ることができる。
その上で、本発明においては、絶縁コンバータトランスの一次側と二次側との結合係数を所定以下にまで低下させていることで、さらに必要制御範囲の縮小化を図ることができる。
このようにして本発明によれば、定電圧制御に必要なスイッチング周波数の可変制御範囲(必要制御範囲)を従来よりも縮小することができることから、スイッチング周波数制御方式による安定化動作のみによるワイドレンジ対応の電源回路が、容易に実現化可能となる。
このようにして、スイッチング周波数制御によるワイドレンジ対応が実現化されることで、例えば、商用交流電源の定格レベルに応じて、整流回路系を切り換えたり、あるいは、例えばハーフブリッジ結合とフルブリッジ結合との間で回路を切り換えるための構成を採る必要はなくなる。
これにより、その分回路構成部品の削減及び基板面積の削減が図られるほか、電子機器への電源回路の適用範囲が拡がったり、また、スイッチングノイズにも有利となったりするなどの効果が得られる。
また、このような本発明の構成を実現するためには、基本的には、絶縁コンバータトランスのコアに形成するギャップについて従来よりも拡大すればよいものであることから、実質的には従来の構成から追加部品なしでワイドレンジ対応の構成を実現することが可能となる。
また、上記のようにしてスイッチング周波数の必要制御範囲が縮小されれば、例えば負荷電力が最大/無負荷で高速に変動する場合には、定電圧制御の応答性も向上されることとなり、この点で、より高い信頼性を得ることができる。
図1は、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態ともいう)としてのスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。この図に示す電源回路としても、一次側の基本構成として、ハーフブリッジ結合方式による他励式の電流共振形コンバータに対して部分電圧共振回路が組み合わされた構成を採る。
先ず、この図1に示す電源回路において、商用交流電源ACに対しては、フィルタコンデンサCL、CL、及びコモンモードチョークコイルCMCによるコモンモードノイズフィルタが形成されている。
そして、上記ノイズフィルタの後段となる商用交流電源ACに対しては、ブリッジ整流回路Di及び1本の平滑コンデンサCiから成る全波整流平滑回路が接続される。
この全波整流平滑回路が商用交流電源ACを入力して全波整流動作を行うことによって、平滑コンデンサCiの両端には整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)が得られる。この場合の整流平滑電圧Eiは、交流入力電圧VACの等倍に対応したレベルとなる。
上記直流入力電圧を入力してスイッチング(断続)する電流共振形コンバータとしては、図示するようにして、MOS−FETによる2本のスイッチング素子Q1,Q2をハーフブリッジ結合により接続したスイッチング回路を備える。スイッチング素子Q1,Q2の各ドレイン−ソース間に対しては、ダンパーダイオードDD1,DD2が並列に接続される。ダンパーダイオードDD1のアノード、カソードは、それぞれスイッチング素子Q1のソース、ドレインと接続される。同様にして、ダンパーダイオードDD2のアノード、カソードは、それぞれスイッチング素子Q2のソース、ドレインと接続される。ダンパーダイオードDD1,DD2は、それぞれスイッチング素子Q1,Q2が備えるボディダイオードとされる。
また、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間に対しては、一次側部分共振コンデンサCpが並列に接続される。この一次側部分共振コンデンサCpのキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1によっては並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成する。そして、スイッチング素子Q1,Q2のターンオフ時にのみ電圧共振する、部分電圧共振動作が得られるようになっている。
また、スイッチング素子Q1,Q2をスイッチング駆動するために、発振・ドライブ回路2が設けられる。この発振・ドライブ回路2は、発振回路、駆動回路を有しており、例えばこの場合には、汎用のICを用いることができる。発振・ドライブ回路2の発振回路は、所要周波数の発振信号を発生させ、駆動回路は、上記発振信号を利用してMOS−FETをスイッチング駆動するためのゲート電圧であるスイッチング駆動信号を生成して、スイッチング素子Q1,Q2のゲートに印加するようにされる。これにより、スイッチング素子Q1,Q2は、スイッチング駆動信号の周期に応じたスイッチング周波数に従って、交互となるタイミングで連続的にオン/オフするようにしてスイッチング動作を行う。
絶縁コンバータトランスPITは、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力を二次側に伝送するために設けられる。
この絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の一方の端部は、一次側直列共振コンデンサC1の直列接続を介して、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとの接続点(スイッチング出力点)に接続されることで、スイッチング出力が伝達されるようになっている。また、一次巻線N1の他方の端部は一次側アースと接続される。
ここで、絶縁コンバータトランスPITは、図2の断面図に示すような構造とされる。
この図に示されるように、絶縁コンバータトランスPITは、フェライト材によるE型コアCR1、CR2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コア(EE字形コア)を備える。
そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成されるボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線N1を巻装する。また、他方の巻装部に対して、二次巻線N2を巻装する。このようにして一次側巻線(N1)及び二次側巻線(N2)が巻装されたボビンBを上記EE型コア(CR1,CR2)に取り付けることで、一次側巻線及び二次側巻線とがそれぞれ異なる巻装領域により、EE型コアの内磁脚に巻装される状態となる。このようにして絶縁コンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。
そのうえで、EE型コアの内磁脚に対しては、図のようにしてギャップGを形成する。この場合のギャップGとしては、例えばギャップ長2.0mm程度以上を設定し、一次側と二次側との結合係数kとしては、例えばk=0.70程度以下による疎結合の状態を得るようにしている。なお、実際の結合係数kとしては、ギャップ長=2.8mm程度を設定してk=0.625を設定した。また、ギャップGは、E型コアCR1,CR2の内磁脚を2本の外磁脚よりも短くすることで形成することができる。
ちなみに、先の図11に示した電源回路をはじめ、従来の電流共振形コンバータを備えた電源回路においては、絶縁コンバータトランスPITのコアに形成するギャップとして、先にも述べたように例えば1.0mm程度を設定することで、結合係数kとしてk=0.8〜0.9程度を得るようにされていた。
つまり、本実施の形態においては、絶縁コンバータトランスPITの一次側と二次側の結合度について、従来よりもさらに低い状態を設定しているものである。
説明を図1に戻す。
絶縁コンバータトランスPITは、図2により説明した構造によって一次巻線N1に所定のリーケージインダクタンスL1を生じさせる。また、先に説明したように、一次巻線N1と一次側直列共振コンデンサC1とは直列に接続されている。従って、上記一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1と一次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンスとによっては直列共振回路(一次側直列共振回路)が形成されることになる。
そのうえで、上記一次側直列共振回路は、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力点に対して接続されており、従って、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力は、一次側直列共振回路に伝達されることになる。一次側直列共振回路では、伝達されたスイッチング出力により共振動作を行うことで、一次側スイッチングコンバータの動作を電流共振形とする。
ところで、これまでの説明によると、この図に示す一次側スイッチングコンバータとしては、一次側直列共振回路(L1−C1)による電流共振形としての動作と、前述した一次側部分電圧共振回路(Cp//L1)とによる部分電圧共振動作とが得られることになる。
つまり、この図に示す電源回路の一次側においては、一次側スイッチングコンバータを共振形とするための共振回路に対して、他の共振回路とが組み合わされた構成を採っている。ここでは、このように2つの共振回路が組み合わされて成るスイッチングコンバータを、「複合共振形コンバータ」ということにする。
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2には、一次巻線N1に伝達されたスイッチング出力に応じた交番電圧が励起(誘起)される。
この場合、二次巻線N2に対しては、整流ダイオードDo1〜Do4を図示するようにして接続して成るブリッジ整流回路と、1組の平滑コンデンサCoとによる全波整流平滑回路が設けられる。
この全波整流平滑回路において、二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期では、ブリッジ整流回路の整流ダイオード[Do1,Do4]の組が導通して、平滑コンデンサCoに対して整流電流を充電する動作が得られる。また、二次巻線N2に励起される交番電圧の他方の半周期では、整流ダイオード[Do2,Do3]の組が導通して平滑コンデンサCoに対して整流電流を充電する動作が得られる。
これにより、平滑コンデンサCoの両端電圧(二次側直流出力電圧Eo)としては、二次巻線N2に励起される交番電圧レベルの等倍に対応したレベルが得られることになる。
このようにして平滑コンデンサCoに得られた二次側直流出力電圧Eoは、図示しない負荷に供給されるとともに、次に説明する制御回路1のための検出電圧としても分岐して入力される。
制御回路1は、二次側直流出力電圧Eoをスイッチング周波数制御方式により安定化するために設けられる。
この場合の制御回路1は、検出入力である二次側直流出力電圧Eoのレベル変化に応じた検出出力を発振・ドライブ回路2に供給する。発振・ドライブ回路2では、入力された制御回路1の検出出力に応じてスイッチング周波数が可変されるようにしてスイッチング素子Q1,Q2を駆動する。このためには、内部の発振回路により生成する発振信号の周波数を可変することになる。
スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数が可変されることで、一次側直列共振回路の共振インピーダンスが変化し、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1から二次巻線N2側に伝送される電力量が変化するが、これにより二次側直流出力電圧Eoのレベルを安定化させるように動作する。
ここで、一般的な電流共振形コンバータにおいては、スイッチング周波数制御方式として、一次側直列共振回路の共振周波数foよりも高い周波数範囲をスイッチング周波数の可変範囲として設定するようにされた、いわゆるアッパーサイド制御の方式を採る。
このとき、直列共振回路は、共振周波数において最も共振インピーダンスが低くなる。このことから、本実施の形態のようにして直列共振回路の共振周波数に基づくアッパーサイド制御方式を採る場合には、スイッチング周波数fsが高くなっていくのに応じて、共振インピーダンスを高くすることになる。
従って、例えば重負荷の傾向となって二次側直流出力電圧Eoが低下するのに応じては、上記スイッチング周波数を低くするように制御することになる。これは共振インピーダンスを低くすることとなり、一次側から二次側への電力伝送量が増加することになるために、二次側直流出力電圧Eoが上昇する。
これに対して、軽負荷の傾向となって二次側直流出力電圧Eoが上昇するのに応じては、上記スイッチング周波数を高くするように制御する。これにより、共振インピーダンスは高くなって上記電力伝送量が低減するために、二次側直流出力電圧Eoは低下する。このようにして、スイッチング周波数が可変されることによって、二次側直流出力電圧Eoが安定化されることになる。
図3、図4には、図1に示した電源回路における要部の動作波形を示す。
ここで、図1に示した電源回路としては、後述もするようにワイドレンジ対応の構成が採られるものである。これに対応して、図3では交流入力電圧VAC=100V時での、また図4では交流入力電圧VAC=230V時での動作波形をそれぞれ示すものとする。また、これらの図を参照してわかるように、この場合、図3、図4の各図では、さらに負荷電力Po=200W時と、負荷電力Po=0W時との動作波形をそれぞれ示している。
なお、負荷電力Po=200Wは、図1の電源回路の最大負荷電力(Pomax)であるとする。また、負荷電力Po=0Wは最小負荷電力(Pomin)となる。
なお、これらの図に示される実験結果を得るにあたっては、図1の回路の各部を以下のように選定した。
・絶縁コンバータトランスPIT・・・ギャップG=2.8mm、一次巻線N1=35T、二次巻線N2=25T、結合係数k=0.625、
・一次側直列共振コンデンサC1=0.033μF
なお、上記一次巻線N1の巻数と一次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンスの設定により、この場合の一次側直列共振回路の共振周波数foとしてはfo=55kHz程度を設定した。
また、この場合、上記各部の選定によって、二次巻線N2の1ターンあたりの誘起電圧レベルは5V/Tを設定した。
先ず、図3、図4において、矩形波状の電圧V1は、スイッチング素子Q2の両端電圧であり、スイッチング素子Q2のオン/オフタイミングを示す。この電圧V1は、スイッチング素子Q2が導通してオンとなるオン期間では0レベルとなり、非導通となるオフ期間においては、整流平滑電圧Eiのレベルでクランプされる波形となる。
スイッチング素子Q2のオン期間においては、スイッチング素子Q2及びクランプダイオードDD2から成るスイッチング回路系には、図示する波形によるスイッチング電流IQ2が流れる。また、スイッチング電流IQ2は、スイッチング素子Q2のオフ期間においては0レベルとなる。
また、図示していないが、他方のスイッチング素子Q1の両端電圧、及びスイッチング回路(Q1,DD1)に流れるスイッチング電流としては、上記電圧V1、及びスイッチング電流IQ2を180°移相をシフトした波形として得られる。つまり、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とは、交互にオン/オフするようにして同じ周期タイミングでスイッチング動作を行う。
なお、一次側直列共振回路(L1−C1)を流れる一次側直列共振電流Io(図示せず)としては、これらのスイッチング回路(Q1,DD1)(Q2,DD2)に流れるスイッチング電流が合成された成分として流れる。
なお、交流入力電圧VAC=100V時において、スイッチング電流IQ2のピークレベルとしては、図3に示されるように、負荷電力Pomax=200W時には6.0Ap程度となる結果が得られている。また、負荷電力Pomin=0W時では4.0Ap程度が得られる。
また、交流入力電圧VAC=230V時のスイッチング電流IQ2のピークレベルは、図4に示されるように、負荷電力Pomax=200W時では5.0Ap程度、負荷電力Pomin=0W時では3.4Ap程度となる結果が得られた。
そして、上記した電圧V1及びスイッチング電流IQ2により示される一次側の動作が得られることで、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2には、図示する波形による交番電圧V2が励起される(各図Pomax時参照)。この交番電圧V2は二次側直流出力電圧Eoのレベルでクランプされる波形が得られる。
さらに、このような波形による交番電圧V2が得られることで、二次側のブリッジ整流回路において、上記交番電圧V2が正極性となる半周期には整流ダイオードDo1、Do4の組が導通して平滑コンデンサCoに整流電流を充電する動作が得られる。また、交番電圧V2が負極性となる半周期には整流ダイオードDo2、Do3の組が導通して平滑コンデンサCoに整流電流を充電する。
このような動作が行われることで、図1に示される二次巻線N2を流れる二次側整流電流I2としては、図のように交番電圧V2が正極性のピークレベルとなる期間では正極性により流れ、負極性となる期間では同様に負極性により流れる波形が得られる。
ここで、上記二次側整流電流I2の波形を参照してわかるように、図1の回路の二次側に流れる整流電流としては、それぞれ正負のピークレベルが同等のレベルで得られるものとなる。具体的には、図示するように交流入力電圧VAC=100V時、負荷電力Pomax時での正負のピークレベルは3.0Apで同等となる。また、交流入力電圧VAC=230V時、負荷電力Pomax時での正負のピークレベルは共に2.5Apである。
このように二次側の整流電流の正負のピークレベルが同等となるのは、図1の回路では二次側の整流回路としてブリッジ整流回路を備え、両波整流回路以外の整流回路としたことによる。
つまり、図1の回路の場合では、図11の両波整流回路を備える場合のように絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2に偏磁が生じるといったことはなく、これによって二次巻線N2に励起される交番電圧の各半周期で整流電流のピークレベルが異なるといった事態が防止されるものである。
これによれば、二次側の各整流ダイオードに流れる整流電流のピークレベルが異なることはなくなり、よって同じ耐電流レベル品を選定することができる。そして、この結果、回路製造コストとしてもその分削減が図られる。
また、このように二次側の整流電流が各半周期で同等のピークレベルとなることで、各整流ダイオードDoでの導通損に偏りが生じるという問題も解決される。
また、図1の回路では二次側の整流回路をブリッジ整流回路による全波整流回路としていることで、同じ二次側直流出力電圧Eoのレベルを得るにあたっての二次巻線N2の巻数は、両波整流とした場合の半分とすることができる。具体的に、二次側直流出力電圧Eo=135Vを得るにあたり、従来の図11の回路では二次巻線N2=50T(25T+25T)であったのに対し、図1の回路では上述の如く二次巻線N2=25Tとできるものである。
二次巻線N2の巻数の削減が図られることで、絶縁コンバータトランスPITのコアサイズを小型化でき、これによって回路の小型化も図ることができる。
ここで、図1に示した電源回路としては、先の図2においても説明したように、絶縁コンバータトランスPITにおける結合係数kについて、従来よりも低い値に設定するものとしている。また、上記もしているように二次側の整流回路としては、両波整流回路以外の整流回路を備えるものとしている。
実施の形態では、このような構成によって、AC100V系とAC200V系との入力に対応して動作可能な、いわゆるワイドレンジ対応の構成を実現する。このことについて、次の図5を参照して説明する。
図5は、図1の電源回路の定電圧制御特性を、スイッチング周波数fsと二次側直流出力電圧Eoのレベルとの関係により示している。
なお、この図では同時に、絶縁コンバータトランスPITにおける結合係数kを従来の設定とした場合の電源回路の定電圧制御特性を一点鎖線により示している。
また、確認のために述べておくと、図1の電源回路としても、スイッチング周波数制御方式としていわゆるアッパーサイド制御を採用していることを前提とする。
先の図13においても述べたが、直列共振回路は、共振周波数foのときに最も共振インピーダンスが小さくなる。これにより、アッパーサイド制御における二次側直流出力電圧Eoとスイッチング周波数fsの関係として、二次側直流出力電圧Eoのレベルは、スイッチング周波数fsが共振周波数foに近づいていくほど上昇し、共振周波数foから離れていくのに従って低下していくものとなる。
従って、負荷電力Poを一定とした条件でのスイッチング周波数fsに対する二次側直流出力電圧Eoのレベルは、図示するようにして、スイッチング周波数fsが一次側直列共振回路の共振周波数foと同じときにピークとなり、共振周波数foから離れるのに応じて低下する二次曲線的な変化を示す。
また、同じスイッチング周波数fsに対応する二次側直流出力電圧Eoのレベルは、最小負荷電力Pomin時よりも最大負荷電力Pomax時のほうが、所定分低下するようにしてシフトする特性が得られる。つまり、スイッチング周波数fsを固定として考えると、重負荷の条件となるのに従って二次側直流出力電圧Eoのレベルは低下する。
ここで、この図に示される図1の回路の場合での最大負荷電力Pomax(Po=200W)時の特性曲線(特性曲線1)と、従来の回路でのPomax時の特性曲線(特性曲線2)とを比較してわかるように、最大負荷電力時での双方の特性曲線としては、およそ同様の比較的急峻な二次曲線が得られていることがわかる。これに対し、最小負荷電力Pomin(Po=0W)時では、特性曲線3と示される図1の回路の曲線と、特性曲線4と示される従来の曲線とを比較すると、従来での非常になだらかな曲線に対し、図1の回路では急峻となる特性が得られていることが理解できる。
そして、このような特性が得られている下で、アッパーサイド制御により二次側直流出力電圧Eoについて、Eo=tgとなるようにして安定化しようとした場合、従来の電源回路において必要となるスイッチング周波数の可変範囲(必要制御範囲Δfs)は、特に上記のようにして最小負荷電力Pomin時の特性曲線がなだらかであることから、図のように比較的広範なΔfsBと示される範囲となる。
これに対し、図1に示した電源回路における安定化のための必要制御範囲Δfsは、従来よりも最小負荷電力Pomin時の特性曲線が急峻とされたことで、上記ΔfsBよりも縮小されたΔfsAとして示される範囲となる。
このようにして、結合係数kについて従来よりも低い所定以下の値を設定した実施の形態では、特に最小負荷電力Pomin時でのスイッチング周波数の上昇が抑制されることで、安定化のための必要制御範囲Δfsが大幅に縮小されたものとなる。
ここで、図5の特性図においては、AC100V系又は200V系の一方の単レンジの場合での必要制御範囲Δfsについて示しているが、他方のレンジにおいても、同様に必要制御範囲Δfsの大幅な縮小化が図られるものとなる。すなわち、同様に最小負荷電力Pomin時でのスイッチング周波数の上昇が特に抑制されることで、AC100V系とAC200V系の双方の単レンジにおいて、従来よりも必要制御範囲Δfsの大幅な縮小化が図れるものである。
そして、このように各単レンジでの必要制御範囲Δfsの縮小化が図られるということは、AC100V系からAC200V系までの入力に対応するとした場合にも、その必要制御範囲Δfsとしては従来よりも大幅に縮小することができる。
このように、AC100V系からAC200V系の入力に対応する場合の必要制御範囲Δfsについても大幅な縮小化が図られることで、図1の電源回路によれば、スイッチング周波数制御方式による安定化動作のみによるワイドレンジ対応の構成を、より容易に実現することができるようになる。
ところで、上記もしているように実施の形態としては、二次側の整流回路としてブリッジ整流回路による全波整流動作を行うものとし、図11の回路のような両波整流回路以外の整流回路としているが、ここで仮に、図2にて説明した絶縁コンバータトランスPITの結合係数kの設定の下で、二次側の整流回路として両波整流回路を備えた場合について考察してみる。
先ず、両波整流回路とされることで、この場合としてもセンタータップによって分割された各二次巻線部の間には、線間静電容量が存在することに変わりはなく、従って二次側には等価的に並列共振回路が形成され、これによって、この場合としても定電圧制御についての特性曲線は、特に負荷電力Po=0W時のものは先の図14に示した双峰の曲線が得られることになる。
このようにして、特性曲線自体が単峰でなく双峰の特性となることから、両波整流回路とした場合には、実施の形態の結合係数kの設定によっても、スイッチング周波数の必要制御範囲Δfsの縮小化が図られないものとなる。これは、特性曲線が双峰であることで、無負荷近辺でのスイッチング周波数としては、先の図15に示したような急激に上昇する特性が維持されてしまうことによる。そして、これに伴って必要制御範囲Δfsとしても有効な縮小化を図ることがほぼ不可能となり、結果的に結合係数kについて所定以下に設定したとしても必要制御範囲Δfsは変化しないことになる。
これに対し、二次側に並列共振回路が形成されず、定電圧制御の特性曲線が単峰であれば、先の図5の特性図から理解されるように、結合係数kの設定によって、無負荷時(Pomin時)のスイッチング周波数は、従来の結合係数の設定とされた場合よりも低い値とすることができ、従って無負荷付近でのスイッチング周波数の急激な上昇特性は有効に改善が図られる。
このような理由から、二次側の整流回路を両波整流回路以外とし、結合係数kについて所定以下に低下させた実施の形態によれば、必要制御範囲Δfsの有効な縮小化を図ることができ、これによってスイッチング周波数制御方式による安定化動作のみでのワイドレンジ対応の構成をより容易に実現することができる。
次の図6では、図1の電源回路について、実際にスイッチング周波数fsについて実験を行った結果を示しておく。
この図6においては、交流入力電圧VACを100Vと230Vとでそれぞれ一定としたときの、負荷変動に対するスイッチング周波数fsの変化特性について示している。この場合、交流入力電圧VAC=100V時での特性は実線、VAC=230V時での特性は破線により示している。
先ず、スイッチング周波数fsは、図示するように交流入力電圧VAC=100V時、230V時で共に、負荷電力Poの低下に応じて上昇する特性が得られる。そして、特に交流入力電圧VAC=100V時の特性としては、先の図15にて示した同じ交流入力電圧VAC=100V時での従来の特性として比較して、負荷電力Po=0W(最小負荷電力)付近での急減な上昇が大幅に抑制されたものとなる。
実験によると、負荷電力Po=200W〜0Wの変動に対するスイッチング周波数fsとしては、交流入力電圧VAC=100V時にfs=78.1kHz〜80.6kHz、交流入力電圧VAC=230Vの条件ではfs=100.0kHz〜109.0kHzとなる結果が得られた。
これによると、AC100V系の単レンジでの必要制御範囲Δfsはおよそ2.5kHz程度、AC200V系の単レンジでの必要制御範囲Δfsは9.9kHz程度となる。
そして、ワイドレンジ対応とするにあたっての必要制御範囲Δfsとしては、およそ78.1kHz〜109.0kHzの範囲となり、Δfs=約30kHz程度となる結果となった。
このようなスイッチング周波数の必要制御範囲は、現状のスイッチング駆動IC(発振・ドライブ回路2)の周波数可変制御範囲に充分収まるものであり、このことから実施の形態の電源回路によれば、スイッチング周波数可変制御によるワイドレンジ対応の構成を実用レベルで実現できることが理解できる。
これまでで説明してきたようにして、図1に示した本実施の形態の電源回路としては、スイッチング周波数制御方式による安定化動作のみによってワイドレンジ対応を可能としている。
これにより、例えばワイドレンジ対応化にあたって、商用交流電源の定格レベルに応じて、直流入力電圧(Ei)を生成するための整流回路系について整流動作を切り換えたり、あるいは、ハーフブリッジ結合方式とフルブリッジ結合方式との間でスイッチングコンバータの形式を切り換える構成を採る必要はなくなる。
そして、このような回路切り換えのための構成が不要となれば、例えば平滑コンデンサCiは1つのみとすることができ、またスイッチング素子としては少なくともハーフブリッジ結合に必要な2つのみとすることが可能となって、その分回路構成部品の削減、回路規模の縮小、及びスイッチングノイズの低減などが図られる。
また、回路切換の構成が不要となれば、切り換えによる誤動作防止のために特別な構成を備えるような必要もなくなり、この点でも構成部品の増加とコストアップの抑制が図られる。さらには、誤動作防止のためにスタンバイ電源を必須としないので、電源回路が使用可能な機器範囲を広げることができる。
また、このような実施の形態としての効果を得るのにあたっては、従来における電流共振形コンバータの構成について、少なくとも絶縁コンバータトランスPITのコアに形成するギャップ長を変更するのみでよい。つまり、従来の電流共振形コンバータの構成に対し、特別な追加部品なしでワイドレンジ対応を実現することができるものである。
また、先の説明のようにしてスイッチング周波数の必要制御範囲Δfsが大幅に縮小されることによっては、ワイドレンジ対応の場合と単レンジ対応の場合とに関わらず、定電圧制御の応答性も大幅に改善されることになる。
つまり、電子機器においては、負荷電力Poについて、いわゆるスイッチング負荷といわれる、最大と無負荷とで比較的高速にスイッチングする(切り替わる)ようにして変動させるような動作を行うものがある。このようなスイッチング負荷としての動作を行う機器として、例えば、パーソナルコンピュータの周辺機器であるプリンタを挙げることができる。
このようなスイッチング負荷としての動作が行われる機器に対して、例えば図11に示したような必要制御範囲Δfsが比較的広範な電源回路を搭載した場合には、前述もしたように、急峻な負荷電力の変化に追随して相応に多くの変化量によるスイッチング周波数fsの可変制御を行うことになる。このために、高速な定電圧制御の応答性を得ることが困難とされていた。
これに対して、本実施の形態では、上記もしたように特に単レンジごとの領域で必要制御範囲Δfsが大幅に縮小されていることから、負荷電力Poの最大と無負荷とでの急峻な変動に対して、高速に応答して二次側直流電圧Eoを安定化することが可能である。つまり、スイッチング負荷に対する定電圧制御の応答性能を大幅に向上することができる。
続いて、次の図7には、図1に示した実施の形態としての電源回路の二次側の変形例の構成について示す。
なお、図7において、一次側の構成は先の図1に示したものと同様であることからここでの図示による説明は省略する。
この図7に示される変形例では、二次側の整流回路として、倍電圧半波整流回路を構成するようにしたものである。
先ず、上記倍電圧半波整流回路としては、図示するようにして整流ダイオードDo1と整流ダイオードDo2、及び平滑コンデンサCo1と平滑コンデンサCo2との2組の平滑コンデンサCoを備えている。
この倍電圧半波整流回路において、先ず二次巻線N2の一方の端部(巻き終わり端部)に対しては、整流ダイオードDo1のアノードが接続される。そして、整流ダイオードDo1のカソードは平滑コンデンサCo1の正極端子に接続される。
この平滑コンデンサCo1の負極端子は、図示するようにしてもう一方の平滑コンデンサCo2の正極端子に対して接続され、平滑コンデンサCo2の負極端子は二次側アースに接続されている。その上で、二次巻線N2の他方の端部(巻き始め端部)が、これら平滑コンデンサCo1の負極端子と平滑コンデンサCo2の正極端子との接続点に対して接続されている。
さらに、図示するようにして上記二次巻線N2の一方の端部と整流ダイオードDo1のアノードとの接続点と、二次側アースとの間に、整流ダイオードDo2が挿入される。この整流ダイオードDo2は、アノード側が二次側アースに接続されるようにして挿入される。
上記構成による倍電圧半波整流回路では、先ず二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期に整流ダイオードDo1が導通して、整流電流を平滑コンデンサCo1に対して充電する。これによって平滑コンデンサCo1の両端には、二次巻線N2に励起される交番電圧レベルの等倍に対応したレベルによる電圧が生成される。そして、他方の半周期では、整流ダイオードDo2が導通して平滑コンデンサCo2に整流電流を充電し、この平滑コンデンサCo2の両端に、二次巻線N2に励起される交番電圧レベルの等倍に対応したレベルによる電圧を生成する。
これによって二次巻線N2に励起される交番電圧の1周期には、平滑コンデンサCo1−Co2の直列接続の両端に、二次巻線N2に励起される交番電圧レベルの2倍に対応したレベルによる二次側直流出力電圧Eoが得られることになる。
このようにして図7に示す構成によっては、平滑コンデンサCoの各々にはそれぞれ二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期にのみ充電が行われ、且つ平滑コンデンサCo(Co1−Co2)に得られる電圧レベルとしては上記交番電圧レベルの2倍に対応したレベルを得るようにされた、倍電圧半波整流動作が得られる。
なお、この場合も上記二次側直流出力電圧Eoは、図1に示したものと同様の制御回路1の検出入力としても分岐して供給される。
ここで、確認のために述べておくと、この場合も二次側の整流回路としては両波整流回路以外の構成が採られるので、図1の回路の場合と同様の結合係数k(ギャップ長)の設定により、ワイドレンジ対応の構成が実現される。
また、このように両波整流回路以外の構成が採られたことで、二次側の各整流ダイオードDoの耐電流レベルと導通損を同等とすることができる。
また、この図7に示した構成の如く二次側の整流回路を倍電圧半波整流回路とすることによっては、同じ二次側直流出力電圧Eoのレベルを得るにあたり、二次巻線N2の巻数は、図1のブリッジ整流回路とした場合からさらに半減することができる。
つまり、これによれば、従来の図11の回路との比較では二次巻線N2の巻数は1/4にまで削減され、このことから図7の二次側の構成を採用した場合はさらなる絶縁コンバータトランスPITの小型化が図られる。
なお、以下に図7の二次側の構成とした場合の実施の形態の電源回路について、実際にワイドレンジ対応の構成とするにあたっての要部の選定条件の一例を示しておく。
・絶縁コンバータトランスPIT・・・EER−39のフェライト磁心、ギャップ長=2.4mm、一次巻線N1=37T、二次巻線N2=13T、
・一次側直列共振コンデンサC1=0.039μF
このような要部の選定によって、先の図1の回路について説明したものとほぼ同様の特性(図5、図6)を得ることができる。
図8は、実施の形態の電源回路の二次側の構成についての、他の変形例を示している。
なお、この図においても一次側の構成は先の図1に示したものと同様であることから図示による説明は省略する。
この図8に示す変形例は、二次側の整流回路として、倍電圧全波整流回路を備えるようにしたものである。
先ず、この場合、二次巻線N2についてはセンタータップを施すことで、二次巻線部N2A/N2Bに分割する。ここで、二次巻線N2の全体に対しては、図1の回路が備えていたものと同様の接続形態によるブリッジ整流回路が接続される。
具体的には、二次巻線N2の巻終わり端部となる、二次巻線部N2A側の端部が、整流ダイオードDo1のアノードと整流ダイオードDo2のカソードとの接続点に対して接続される。また、二次巻線N2の巻始め端部となる二次巻線部N2B側の端部が、整流ダイオードDo3のアノードと整流ダイオードDo4のカソードとの接続点に対して接続される。
そして、上記整流ダイオードDo1のカソードと整流ダイオードDo3のカソードの接続点が、平滑コンデンサCoの正極端子に対して接続される。この場合も、平滑コンデンサCoの負極端子は二次側アースに接続される。
その上でこの場合は、上記した二次巻線N2のセンタータップに対し、コンデンサCcの正極端子が接続される。さらに、このコンデンサCcの負極端子が、上記した整流ダイオードDo2とDo4の各アノードの接続点に対して接続されている。
図示するように、この整流ダイオードDo2とDo4の各アノードの接続点は二次側アースに接続される。
上記構成による倍電圧全波整流回路では、二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期において、整流電流は[二次巻線部N2A→平滑コンデンサCc→整流ダイオードDo2→二次巻線部N2A]の循環経路により流れる。また、二次巻線N2に励起される交番電圧の他方の半周期では、整流電流は[二次巻線部N2B→平滑コンデンサCc→整流ダイオードDo4→二次巻線部N2B]の循環経路により流れる。つまりこの場合、平滑コンデンサCcに対しては、各半周期において二次巻線部N2A、二次巻線部N2Bにそれぞれ励起される交番電圧レベルの等倍に対応したレベルによる直流電圧が得られるようになっている。
その上で、二次巻線N2に励起される交番電圧の上記した一方の半周期では、整流電流は上記循環経路から分岐して[二次巻線部N2B→整流ダイオードDo3→平滑コンデンサCo→整流ダイオードDo2]の経路によっても流れる。
これにより当該半周期には、平滑コンデンサCoに対し、二次巻線部N2Bの交番電圧と、上記のように平滑コンデンサCcに得られた両端電圧が重畳したレベルにより充電が行われる。すなわち、平滑コンデンサCoの両端電圧としては、二次巻線部に得られる交番電圧レベルの2倍に対応するレベルが得られる。
また、二次巻線N2に励起される交番電圧の他方の半周期としても、整流電流は上記の循環経路から分岐して[二次巻線部N2A→整流ダイオードDo1→平滑コンデンサCo→整流ダイオードDo4]の経路によっても流れ、従ってこの場合も平滑コンデンサCoの両端電圧としては、二次巻線部N2Aの交番電圧とコンデンサCcの充電電荷とにより、二次巻線部に得られる交番電圧レベルの2倍に対応するレベルが得られることになる。
このような整流動作から、この場合の整流回路においては、平滑コンデンサCoに対し、二次巻線N2に得られる交番電圧の各半周期に充電を行う動作が得られることになる。そして、その充電電位としては、上記のようにして二次巻線部に誘起される交番電圧の2倍に対応するレベルが得られる。
このことより、図8に示す二次側の整流回路によっては倍電圧全波整流動作が得られていることが理解できる。
なお、このように二次側の整流回路として倍電圧全波整流回路を設ける場合としても、同じ二次側直流出力電圧Eoのレベルを得るにあたっては、二次巻線N2全体の巻数を図1に示した回路の場合と同等とすることができる。従って、図8の構成を採る場合にも図1の回路の場合と同様の絶縁コンバータトランスPITの小型化を図ることができる。
また、ここで確認のために述べておくと、この図8に示す二次側の構成としても、先の図11の回路の場合と同様に二次巻線N2にセンタータップを施すようにされているが、この図8の構成においては、従来の両波整流回路の場合のように二次側にて並列共振動作(部分電圧共振動作)が起こらないものとなる。これは、図8の構成では、上記説明から理解されるように、各二次巻線部には交番電圧の各半周期で整流電流が流れ、従来の両波整流の場合とは異なり一方の巻線部に整流電流が流れない期間が存在しないことから、各二次巻線部間で線間静電容量が存在しないためである。
このように二次側において並列共振動作が生じないことから、図8の構成によっても、図2において説明した結合係数kの設定によって図1の場合と同様の必要制御範囲Δfsの縮小化を図ることができるものである。
さらに、図11の回路の場合、二次巻線N2に対してセンタータップが施されることで、絶縁コンバータトランスPITに偏磁が生じるものとされていたが、図8の構成では上述の整流電流経路の説明から理解されるように、各半周期で二次巻線N2全体に整流電流が流れるようにされていることから、偏磁は生じないものとなっている。すなわち、このことから図8の構成によっても、図1の回路の場合と同様に整流電流のピークレベルが各半周期で偏ることはないものとすることができる。
図9には、実施の形態の電源回路の二次側の構成についての、さらに他の変形例について示す。
この図9としても、一次側の構成は先の図1の場合と同様となることからここでの図示による説明は省略する。
この図9の変形例は、二次側の整流回路として4倍圧整流回路を備えるようにしたものである。
この4倍圧整流回路としては、図示するようにして整流ダイオードDo1〜Do4による4つの整流ダイオードDoと、コンデンサCc1、Cc2、平滑コンデンサCo1、Co2とを備えて形成される。
この場合、二次巻線N2の一方の端部(巻き終わり端部)に対しては、図示するようにコンデンサCc1(負極端子→正極端子)→整流ダイオードDo1(アノード→カソード)の直列接続を介し、平滑コンデンサCo1の正極端子が接続される。そして、この平滑コンデンサCo1の負極端子は、二次巻線N2の他方の端部(巻き終わり端部)に対して接続される。
また、これら平滑コンデンサCo1の負極端子と二次巻線N2の他方端部の接続点に対しては、平滑コンデンサCo2の正極端子が接続され、この平滑コンデンサCo2の負極端子が二次側アースに接続されている。
さらに、二次巻線N2の上記した一方の端部と二次側アースとの間には、コンデンサCc2(正極端子→負極端子)→整流ダイオードDo4(カソード→アノード)の直列接続回路を挿入している。
これらコンデンサCc2と整流ダイオードDo4との接続点に対しては、図示するようにして整流ダイオードDo3のアノードが接続される。そして、この整流ダイオードDo3のカソードは、上記した平滑コンデンサCo1・Co2の接続点と、二次巻線N2の上記した他方の端部との接続点に対して接続される。
さらに、この整流ダイオードDo3のカソードと二次巻線N2の他方の端部の接続点に対しては、整流ダイオードDo2のアノードが接続される。そして、整流ダイオードDo2のカソードは、上記したコンデンサCc1と整流ダイオードDo1の接続点に対して接続されている。
上記構成による4倍圧整流回路において、二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期では、整流電流は[二次巻線N2→整流ダイオードDo2→コンデンサCc1→二次巻線N2]の循環経路によって流れる。また、同様に上記交番電圧の他方の半周期においても、整流電流は循環経路によって[二次巻線N2→コンデンサCc2→整流ダイオードDo3→二次巻線N2]を流れる。
つまり、この場合としても、コンデンサCc1、Cc2の両端には、それぞれ対応する半周期に、二次巻線N2に励起される交番電圧レベルの等倍に対応したレベルの直流電圧が得られることになる。
そして、この場合としても、各半周期において、整流電流は上記循環経路から分岐して、以下のような経路によっても流れる。
先ず、交番電圧の上記した一方の半周期では、整流電流は分岐して[平滑コンデンサCo2→整流ダイオードDo4→コンデンサCc2→二次巻線N2]の経路によっても流れる。このとき、先の循環経路により、この期間には上記コンデンサCc2の両端に充電電荷が得られている。このため、上記のような整流電流経路によっては、上記平滑コンデンサCo2に対し、二次巻線N2に得られる交番電圧とこのコンデンサCc2の充電電荷の重畳分とによる電位により充電が行われることになる。
つまり、これによって平滑コンデンサCo2には、二次巻線N2に励起される交番電圧レベルの2倍に対応したレベルによる直流電圧が生成されることになる。
また、上記交番電圧の他方の半周期では、整流電流は分岐して[コンデンサCc1→整流ダイオードDo1→平滑コンデンサCo1→二次巻線N2]の経路によっても流れ、この場合は先の循環経路によってコンデンサCc1に得られた充電電荷の重畳分を受けた二次巻線N2の交番電圧について、平滑コンデンサCo1に対する充電を行うようにされることになる。
すなわち、これによって平滑コンデンサCo1としても、その両端電圧としては二次巻線N2に得られる交番電圧レベルの2倍に対応したレベルによる直流電圧が得られる。
このようにして、平滑コンデンサCo1と平滑コンデンサCo2の各両端には、それぞれ二次巻線N2に励起される交番電圧レベルの2倍に対応したレベルによる直流電圧が生成される。そして、これによって平滑コンデンサCo1と平滑コンデンサCo2との直列接続の両端には、二次巻線N2に励起される交番電圧レベルの4倍に対応したレベルによる二次側直流出力電圧Eoが得られることになる。
なお、このような4倍圧整流回路を採用する場合は、二次巻線N2の巻数については図1の場合の1/4程度に削減でき、これによってさらなる絶縁コンバータトランスPITの小型化を図ることが可能となる。
また、図10の回路図には、実施の形態の電源回路の一次側についての変形例の構成を示す。
この一次側の変形例としては、図示するようにして、スイッチングコンバータの構成をハーフブリッジ結合方式からフルブリッジ結合方式に変更したものである。
なお、図10において、既に図1にて説明した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図10において、フルブリッジ結合方式としては、図示するようにして、スイッチング素子Q1,Q2のハーフブリッジ接続に対して、スイッチング素子Q3,Q4のハーフブリッジ接続を並列に接続するようにされる。
スイッチング素子Q3,Q4についても、スイッチング素子Q1,Q2と同様にして、それぞれボディダイオードであるダンパーダイオードDD3、ダンパーダイオードDD4をドレイン−ソース間に対して並列に接続している。
そのうえで、この場合には、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1、一次側直列共振コンデンサC1の直列接続から成る一次側直列共振回路について次のようにして接続している。
先ず、一次側直列共振回路の一方の端部となる一次巻線N1の一端(巻始め端部)を、スイッチング素子Q3のソースとスイッチング素子Q4のドレインの接続点と接続する。スイッチング素子Q3のソースとスイッチング素子Q4のドレインの接続点は、フルブリッジ結合のスイッチング回路系における一方のスイッチング出力点となる。
また、一次側直列共振回路の他方の端部側については、一次巻線N1の他端(巻き終わり端部)を、一次側直列共振コンデンサC1の直列接続を介して、他方のスイッチング出力点であるスイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとの接続点に対して接続する。
また、この場合には、スイッチング素子Q4のソース−ドレイン間に対して並列に一次側部分共振コンデンサCp2が接続されている。この一次側部分共振コンデンサCp2としても、自身のキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1とにより並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成し、スイッチング素子Q3,Q4のターンオフ時にのみ電圧共振する部分電圧共振動作を得る。
この場合の発振・ドライブ回路2は、スイッチング素子Q1〜Q4の4石のスイッチング素子を駆動するようにされている。この発振・ドライブ回路2によっては、スイッチング素子[Q1,Q4]の組と、スイッチング素子[Q3,Q4]の組とが交互にオン/オフするようにしてスイッチング駆動が行われる。
ここで、例えば負荷条件が重負荷の傾向となるのに従っては、スイッチングコンバータに流れる電流が増加して、回路部品への負担も重くなり、また、電力損失も増加していくことになる。そこで、上記のようにしてフルブリッジ結合とすれば、必要な負荷電流を4つのスイッチング素子によりまかなうこととなるために、例えば2本のスイッチング素子から成るハーフブリッジ結合方式の場合よりも、各部品への負担は軽くなり、また、電力損失も低減され、重負荷の条件に有利とすることができる。
なお、本発明はこれまで説明した実施の形態に限定されるべきものではない。
例えば、絶縁コンバータトランスPITについては、コア形式などをはじめとして、その構造については適宜変更されて構わない。
また、実施の形態で例示したスイッチングコンバータは、他励式による電流共振形コンバータをその基礎としているが、例えば自励式による電流共振形コンバータを備えて構成することも可能である。また、スイッチングコンバータにおいて選定されるスイッチング素子としても、例えばバイポーラトランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などをはじめとしてMOS−FET以外の素子が採用されて構わない。
また、先に説明した各部品素子の定数なども、実際の条件等に応じて適宜変更されて構わないものである。
また、重負荷対応の構成として、商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)を入力して整流平滑電圧Eiを生成するための整流電流回路系を、交流入力電圧VACの2倍に対応するレベルの整流平滑電圧Eiを生成する倍電圧整流回路により構成することもできる。ただし、このようにして整流平滑電圧Eiを生成する整流平滑回路系を倍電圧整流回路とする構成は、AC100V系のみの単レンジ対応としての構成となる。
さらには、二次側の整流回路の構成としても、実施の形態で例示したものに限らず、両波整流回路以外の構成であって二次巻線に線間静電容量を生じさせない構成とされていれば、他の整流回路の構成を採ることも可能である。
本発明における実施の形態としての電源回路の構成を示す回路図である。 実施の形態のスイッチング電源回路が備える絶縁コンバータトランスの構造例を示す断面図である。 実施の形態の電源回路におけるAC100V時での要部の動作波形を示す波形図である。 実施の形態の電源回路におけるAC230V時での要部の動作波形を示す波形図である。 実施の形態の電源回路の定電圧制御特性として、負荷変動に応じたスイッチング周波数制御範囲(必要制御範囲)を示す図である。 実施の形態の電源回路についての負荷変動に対するスイッチング周波数の変化特性について示す特性図である。 実施の形態の電源回路の二次側の構成についての変形例について示した回路図である。 実施の形態の電源回路の二次側の構成についての他の変形例について示した回路図である。 実施の形態の電源回路の二次側の構成についてのさらに他の変形例について示した回路図である。 実施の形態の電源回路の一次側の構成についての変形例について示した回路図である。 先行技術としての電源回路の構成例を示す回路図である。 図11に示す電源回路における要部の動作を示す波形図である。 一次側と二次側との結合係数を従来の設定とした場合での定電圧制御特性について示した図である。 二次側の整流回路を両波整流回路とした図11に示す電源回路についての定電圧制御特性について示した図である。 図11に示す電源回路についての負荷変動に対するスイッチング周波数の変化特性について示した特性図である。
符号の説明
1 制御回路、2 発振・ドライブ回路、Di ブリッジ整流回路、Ci 平滑コンデンサ、Q1,Q2,Q3,Q4 スイッチング素子、PIT 絶縁コンバータトランス、C1 一次側直列共振コンデンサ、Cp、Cp1、Cp2 一次側部分共振コンデンサ、N1 一次巻線、N2 二次巻線、N2A、N2B 二次巻線部、Do1〜Do4 (二次側)整流ダイオード、Co (二次側)平滑コンデンサ、Cc、Cc1、Cc2 コンデンサ

Claims (7)

  1. 直流入力電圧を入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、
    上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段と、
    上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線により交番電圧が誘起される二次巻線とが巻装されて形成される絶縁コンバータトランスと、
    少なくとも、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、上記一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、上記スイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路と、
    両波整流回路以外の整流回路を備えるようにされて上記二次巻線に得られる交番電圧について整流動作を行って、その整流出力を二次側平滑コンデンサにより平滑化して二次側直流出力電圧を生成する二次側直流出力電圧生成手段と、
    上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング駆動手段を制御して、上記スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、上記二次側直流出力電圧について定電圧制御を行う定電圧制御手段と、を備えると共に、
    上記絶縁コンバータトランスは、一次側と二次側との結合係数が所定以下となるようにして、コアの所定位置に形成されるギャップ長が設定されている、
    ことを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. 上記二次側直流出力電圧生成手段は、
    上記整流動作として、ブリッジ整流回路による全波整流動作を行うように構成される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  3. 上記二次側直流出力電圧生成手段は、
    上記整流動作として、
    二次巻線に励起される交番電圧の一方の半周期にのみ上記二次側平滑コンデンサに対する充電を行うと共に、上記交番電圧レベルの2倍に対応するレベルによる上記二次側直流出力電圧を生成するようにされた倍電圧半波整流動作を行うように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  4. 上記絶縁コンバータトランスは、上記二次巻線にセンタータップが施されて第1の二次巻線部と第2の二次巻線部が形成されると共に、
    上記二次側直流出力電圧生成手段は、上記整流動作として、
    上記二次巻線に励起される交番電圧の各半周期に上記二次側平滑コンデンサに対する充電を行うと共に、上記二次側平滑コンデンサの両端に、上記第1の二次巻線部と上記第2の二次巻線部とのそれぞれに得られる交番電圧レベルの2倍に対応するレベルによる上記二次側直流出力電圧を生成するようにされた倍圧全波整流動作を行うように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  5. 上記二次側直流出力電圧生成手段は、
    上記整流動作として、
    上記二次巻線に励起される交番電圧レベルの4倍に対応するレベルによる上記二次側直流出力電圧を生成するようにされた4倍圧整流動作を行うように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  6. 上記スイッチング手段は、2つのスイッチング素子がハーフブリッジ結合方式により接続されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  7. 上記スイッチング手段は、4つのスイッチング素子がフルブリッジ結合方式により接続されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
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