JP2006144999A - エンジンおよび自動二輪車 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリンダヘッドに油圧式テンショナーを設ける構成を採りながら、エンジンの小型化を図る。
【解決手段】クランクケース19と、シリンダボディ20と、シリンダヘッド18とを備える。クランク軸5と、カム軸2,3と、前記クランク軸5の回転を前記カム軸2,3に伝達する無端伝動帯(タイミングチェーン4)と、前記無端伝動帯に張力を付与する油圧式テンショナー28とを備える。シリンダヘッド18の側部に油圧式テンショナー28を装着する取付部42が形成される。油圧式テンショナー28にオイルを供給するオイル通路孔62がシリンダボディ20とシリンダヘッド18との合面を横切って取付部42に接続するように形成される。オイル通路孔62は、前記合面と前記油圧式テンショナー28までの間を前記合面に対してシリンダーの中心側に傾斜して形成されている。
【選択図】 図2
【解決手段】クランクケース19と、シリンダボディ20と、シリンダヘッド18とを備える。クランク軸5と、カム軸2,3と、前記クランク軸5の回転を前記カム軸2,3に伝達する無端伝動帯(タイミングチェーン4)と、前記無端伝動帯に張力を付与する油圧式テンショナー28とを備える。シリンダヘッド18の側部に油圧式テンショナー28を装着する取付部42が形成される。油圧式テンショナー28にオイルを供給するオイル通路孔62がシリンダボディ20とシリンダヘッド18との合面を横切って取付部42に接続するように形成される。オイル通路孔62は、前記合面と前記油圧式テンショナー28までの間を前記合面に対してシリンダーの中心側に傾斜して形成されている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、タイミングチェーン用油圧式テンショナーがシリンダヘッドに設けられたエンジンおよび自動二輪車に関するものである。
従来のこの種のエンジンとしては、例えば特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に示されたエンジンは、クランク軸の回転を2本のタイミングチェーンによって吸気カム軸と排気カム軸とに伝達するカム軸用伝動装置が装備されている。この伝動装置は、シリンダヘッドに回転自在に支持された伝動用スプロケットと、この伝動用スプロケットにクランク軸の回転を伝達するための第1のタイミングチェーンと、前記伝動用スプロケットの回転を吸気カム軸側スプロケットと排気カム軸側スプロケットとに伝達するための第2のタイミングチェーンとを備えている。
前記第1のタイミングチェーンは、シリンダボディの一側部に設けられた油圧式テンショナーによって張力が付与され、第2のタイミングチェーンは、シリンダヘッドの一側部に設けられた油圧式テンショナーによって張力が付与されている。これらの油圧式テンショナーは、タイミングチェーンに接触するテンショナシューを押圧部材によってチェーン側へ付勢する構成が採られており、シリンダボディまたはシリンダヘッドのテンショナー用取付部に取付けられている。前記押圧部材は、オイルポンプから供給されたエンジンオイルの圧力によってテンショナシューを押圧する。
前記エンジンオイルを前記取付部に導くオイル通路は、シリンダボディの一側部内をシリンダヘッド側へシリンダーの軸線と平行に延び、シリンダボディとシリンダヘッドとの合面を横切って(合面と交差して)シリンダヘッド内に延びるように形成されている。
なお、本出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に密接に関連する先行技術文献を出願時までに見付け出すことはできなかった。
実公平7−32885号公報(第2−3頁、第1図)
なお、本出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に密接に関連する先行技術文献を出願時までに見付け出すことはできなかった。
上述したようにシリンダヘッドの側部に油圧式テンショナーを設ける場合、シリンダヘッドをシリンダボディに固定するための固定用ボルトの本数が必要以上に多くなり、エンジンが大型化するという問題があった。このように多くの固定用ボルトが必要になるのは、油圧式テンショナーにエンジンオイルを供給するオイル通路がシリンダヘッドの外側部(シリンダボアから大きく離間した位置)で前記合面を横切るように形成されているからである。すなわち、このオイル通路におけるシリンダボディとシリンダヘッドとの合わせ部分からエンジンオイルが漏洩することを防ぐために、このオイル通路より外側にも前記固定用ボルトを設けなければならないから、上述したようにエンジンのうち特にシリンダボディとシリンダヘッドとの結合部分が大型化することになる。
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、シリンダヘッドに油圧式テンショナーを設ける構成を採りながら、エンジンの小型化を図ることを目的とする。
この目的を達成するために、本発明に係るエンジンは、クランクケースと、クランクケースに取付けられたシリンダボディと、シリンダボディに取付けられたシリンダヘッドと、前記クランクケースに支持されたクランク軸と、前記シリンダヘッドに支持されたカム軸と、前記クランク軸の回転を前記カム軸に伝達する無端伝動帯と、前記無端伝動帯に張力を付与する油圧式テンショナーとを備えたエンジンであって、前記シリンダヘッドの側部には前記油圧式テンショナーを装着する取付部が形成され、油圧式テンショナーにオイルを供給するオイル通路孔が前記シリンダボディとシリンダヘッドとの合面を横切って前記取付部に接続するように形成され、前記オイル通路孔は、前記合面と前記油圧式テンショナーまでの間を前記合面に対してシリンダーの中心側に傾斜して形成したものである。
請求項2に記載した発明に係るエンジンは、請求項1に記載した発明に係るエンジンにおいて、前記シリンダボディの前記シリンダヘッドとの合面には、前記カム軸にオイルを供給するためのオイル供給用凹部が形成され、前記オイル通路孔は、前記オイル供給用凹部に連通させたものである。
請求項3に記載した発明に係るエンジンは、請求項1に記載した発明に係るエンジンにおいて、前記合面に対するオイル通路孔は、その中心線と前記合面とのなす角度がシリンダボディの外側方向に鋭角になるように傾斜して形成されたものである。
請求項4に記載した発明に係る自動二輪車は、車体フレームと、この車体フレームに形成され、請求項1に記載したエンジンを懸架するエンジン懸架用ブラケットとを備えた自動二輪車であって、前記油圧式テンショナーは、前記エンジンの前記シリンダヘッドに着脱自在に取付け、前記油圧式テンショナーの上方に前記エンジン懸架用ブラケットを配設したものである。
請求項5に記載した発明に係る自動二輪車は、請求項4に記載した発明に係る自動二輪車において、前記シリンダボディの気筒軸は前方に傾斜し、前記油圧式テンショナーの中心軸は車体後方に傾斜し、前記エンジン懸架用ブラケットは、前記シリンダボディと油圧式テンショナーの間に配置されたものである。
本発明によれば、シリンダヘッドに油圧式テンショナーが装着されているから、油圧式テンショナー取付部の加工を容易に行うことができる。
また、本発明によれば、油圧式テンショナーにオイルを供給するオイル通路におけるシリンダボディとシリンダヘッドとの合わせ部分を横切る部分は、油圧式テンショナーの外端部よりシリンダーの中心側に傾斜して設けられる。このため、シリンダ孔の周囲で固定用ボルトによりシリンダヘッドをシリンダボディに固定する構成を採りながら、シリンダボディとシリンダヘッドの合わせ部分からオイルが漏洩することを確実に防ぐことができる。したがって、前記オイル通路より外側にてシリンダヘッドをシリンダボディに固定可能になるから、従来のエンジンに較べて小型化・軽量化を図ることができる。
また、本発明によれば、油圧式テンショナーにオイルを供給するオイル通路におけるシリンダボディとシリンダヘッドとの合わせ部分を横切る部分は、油圧式テンショナーの外端部よりシリンダーの中心側に傾斜して設けられる。このため、シリンダ孔の周囲で固定用ボルトによりシリンダヘッドをシリンダボディに固定する構成を採りながら、シリンダボディとシリンダヘッドの合わせ部分からオイルが漏洩することを確実に防ぐことができる。したがって、前記オイル通路より外側にてシリンダヘッドをシリンダボディに固定可能になるから、従来のエンジンに較べて小型化・軽量化を図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、カム軸にオイルを供給するための既存の凹部にオイル通路孔を連通させ開口させているから、オイル通路孔の加工を容易に行うことができる。
請求項3記載の発明によれば、油圧式テンショナーにオイルを供給するオイル通路におけるシリンダボディとシリンダヘッドとの合わせ部分を横切る部分を一層シリンダーに近接できる。
請求項3記載の発明によれば、油圧式テンショナーにオイルを供給するオイル通路におけるシリンダボディとシリンダヘッドとの合わせ部分を横切る部分を一層シリンダーに近接できる。
請求項4記載の発明によれば、エンジンを車体フレームに搭載した状態で車体フレームに干渉することなく油圧式テンショナーをエンジンから着脱することができる。したがって、油圧式テンショナーのメンテナンスを容易に行うことができる。
請求項5記載の発明によれば、車体フレームの高さを低く抑えながら着脱可能な油圧式テンショナーを装備することができる。
請求項5記載の発明によれば、車体フレームの高さを低く抑えながら着脱可能な油圧式テンショナーを装備することができる。
以下、本発明に係るエンジンおよび自動二輪車の一実施の形態を図1ないし図3によって詳細に説明する。
図1は本発明に係るエンジンの構成を示す側面図で、同図はカムチェーン室が露出するようにシリンダヘッドを破断するとともにシリンダボディのカムチェーン用カバーを取外した状態で描いてある。図2は本発明の要部を拡大して示す断面図、図3はヘッドガスケットが装着されたシリンダヘッドの一部の底面図で、同図は吸・排気弁および点火プラグを省略した状態で描いてある。
図1は本発明に係るエンジンの構成を示す側面図で、同図はカムチェーン室が露出するようにシリンダヘッドを破断するとともにシリンダボディのカムチェーン用カバーを取外した状態で描いてある。図2は本発明の要部を拡大して示す断面図、図3はヘッドガスケットが装着されたシリンダヘッドの一部の底面図で、同図は吸・排気弁および点火プラグを省略した状態で描いてある。
これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態による自動二輪車用エンジンを示す。このエンジン1は、いわゆるDOHC型のエンジンで、吸気カム軸2と排気カム軸3とに1本のタイミングチェーン4によってクランク軸5の回転を伝達する伝動装置6を装備している。この伝動装置6は、クランク軸5に設けられた駆動スプロケット(図示せず)と、前記両カム軸2,3にそれぞれ設けられた従動スプロケット7,8と、これらのスプロケット7,8に巻掛けられた前記タイミングチェーン4とによって構成されている。このタイミングチェーン4によって、本発明でいう無端伝動帯が構成されている。
このエンジン1は、クランク軸5の軸線が図示していない自動二輪車の車体の左右方向を指向する状態で車体フレーム11に搭載されている。前記車体フレーム11は、フロントフォーク(図示せず)を操舵自在に支持するヘッドパイプ部12と、このヘッドパイプ部12から後下がりに延びる左右一対のメインフレーム13と、このメインフレーム13の後端部にそれぞれ設けられたリヤアームブラケット14などによって構成されている。
前記メインフレーム13の長手方向の中央部の下面には、エンジン1の上部を支持するためのエンジン懸架用ブラケット15が下方に向けて突設されている。このブラケット15は、側面視において下方に向けて凸になる三角形状に形成されており、頂部にエンジン懸架用ボルト16を介してエンジン1のマウント用部材17が取付けられている。このマウント用部材17は、エンジン1のシリンダヘッド18の後端部であって車幅方向の両端部に後方に向けて突出するように一体に形成されている。
このエンジン1は、図1に示すように、上下方向に分割可能に形成されたクランクケース19と、このクランクケース19の上半部に一体に形成されたシリンダボディ20と、このシリンダボディ20の上端部に取付けられた前記シリンダヘッド18およびヘッドカバー21などによって構成されている。シリンダヘッド18は、図3に示すように、シリンダ孔22の周囲に設けられたヘッドボルト23によってシリンダボディ20に固定されている。
このエンジン1の車体右側の端部には、図1に示すように、前記タイミングチェーン4を収容するためのチェーン室24が形成されている。このチェーン室24は、クランクケース19とシリンダボディ20の車体右側の側壁に取付けられたカバー(図示せず)の内側に形成された空間25と、シリンダヘッド18の車体右側の端部内に下方に向けて開放するように形成された空間26(図3参照)とによって構成されており、クランク軸側から両カム軸側まで一連に延びるように形成されている。この実施の形態によるエンジン1は、前記チェーン室24内をタイミングチェーン4が図1に示す側面視において時計方向に回転するように構成されている。
前記チェーン室24内であって車体前側(図1においては右側)の端部には、タイミングチェーン用ガイド27が設けられ、車体後側には、後述するテンショナー28と協働してタイミングチェーン4に張力を付与するテンショナシュー29が設けられている。
前記タイミングチェーン用ガイド27は、上下方向に延びる棒状に形成されており、シリンダボディ20とシリンダヘッド18とに保持されている。
前記タイミングチェーン用ガイド27は、上下方向に延びる棒状に形成されており、シリンダボディ20とシリンダヘッド18とに保持されている。
前記テンショナシュー29は、エンジン1の内側に向けて凸になるように弓状に形成されており、その下端部を貫通する支軸によってシリンダボディ20に車体の左右方向の軸線回りに揺動自在に支持されている。このテンショナシュー29の上端部には、後述する油圧式テンショナー28の押圧力を受けるプラスチック製の受圧部材30が取付けられている。
前記油圧式テンショナ28は、タイミングチェーン4に張力を付与するとともにタイミングチェーン4の振動を減衰させるためのもので、図1および図2に示すように、前記受圧部材30を押圧するプランジャ31と、このプランジャ31を支持するプランジャボディ32などによって構成されている。
前記プランジャ31は、前記受圧部材30に接触する底壁33を有する有底円筒状に形成され、プランジャボディ32の円形孔34内に移動自在に嵌合されている。プランジャ31の前記底壁33には、プランジャ31の軸線方向と平行に延びる貫通孔35が穿設されるとともに、この貫通孔35の内端部を開閉するボールチェック弁36が設けられている。このボールチェック弁36は、ボール37と圧縮コイルばね38とを備え、プランジャ31の内部の油圧が圧縮コイルばね38の弾発力からなる押圧力より大きくなったときにプランジャ31内のエンジンオイルが前記貫通孔35に排出され、それ以外の場合は前記貫通孔35とプランジャ31内との連通が絶たれるように構成されている。
前記プランジャ31は、前記受圧部材30に接触する底壁33を有する有底円筒状に形成され、プランジャボディ32の円形孔34内に移動自在に嵌合されている。プランジャ31の前記底壁33には、プランジャ31の軸線方向と平行に延びる貫通孔35が穿設されるとともに、この貫通孔35の内端部を開閉するボールチェック弁36が設けられている。このボールチェック弁36は、ボール37と圧縮コイルばね38とを備え、プランジャ31の内部の油圧が圧縮コイルばね38の弾発力からなる押圧力より大きくなったときにプランジャ31内のエンジンオイルが前記貫通孔35に排出され、それ以外の場合は前記貫通孔35とプランジャ31内との連通が絶たれるように構成されている。
前記プランジャボディ32は、前記プランジャ31と対向する底壁41を有する有底円筒状に形成され、シリンダヘッド18のテンショナー用取付座42に固定されている。この取付座42は、チェーン室24内とシリンダヘッド18の外とを連通する円筒状に形成されており、その中空部内に前記プランジャボディ32が嵌挿されている。この取付座42は、図1に示すように、車体フレーム11にエンジン1が搭載された状態で側面視においてエンジン懸架用ブラケット15の下方近傍に位置付けられ、プランジャボディ32が後上方から着脱できるように形成されている。この実施の形態においては、図1中に二点鎖線で示すように、側面視において、油圧式テンショナー28が前記エンジン懸架用ブラケット15の下面に沿って着脱できるように構成されている。
前記プランジャボディ32は、前記取付座42に挿入された状態で、図示していない固定用ボルトによってシリンダヘッド18に固定されている。この取付座42によって、本発明でいう取付部が構成されている。プランジャボディ32の外周部における取付座42内に嵌挿される部分には、オイルのシリンダヘッド18外への漏洩を防ぐためにOリング43が装着されている。
プランジャボディ32の内部は、チェック弁44が設けられており、このチェック弁44によって、前記プランジャ31が装填されたプランジャ側油室45と入口側油室46とに画成されている。このチェック弁44は、プランジャボディ32内に嵌挿された隔壁部材47と、この隔壁部材47の貫通孔47aを開閉するボール48と、このボール48を覆うキャップ49を介してボール48を閉方向に付勢する圧縮コイルばね50とによって構成されている。
この圧縮コイルばね50は、前記キャップ49と前記プランジャ31との間に弾装されており、上述したようにボール48を付勢するとともに、プランジャ31をテンショナシュー29側へ付勢している。すなわち、このチェック弁44は、プランジャボディ32内の前記入口側油室46の油圧が圧縮コイルばね50の弾発力からなる押圧力より大きくなったときに開き、入口側油室46からプランジャ側油室45にエンジンオイルが流入するように構成されている。
プランジャボディ32内の前記入口側油室46は、図2に示すように、プランジャボディ32の径方向に延びる連通路51と、プランジャボディ32の外周部に形成された環状溝52とを介して後述するシリンダヘッド18のオイル孔53に接続されている。このオイル孔53の一端部は、前記円筒状の取付座42の内周面に開口し、他端部は、シリンダヘッド18におけるシリンダボディ20との合面54に形成された凹部55に接続されている。この凹部55は、下方(シリンダボディ側)へ向けて開口するように形成されている。
この実施の形態においては、プランジャボディ32を取付座42に固定することによって、前記環状溝52の一部が前記オイル孔53の開口と重なり、環状溝52とオイル孔53とが互いに連通される。このオイル孔53は、図1に示すように、前記合面54から離間するにしたがって次第にシリンダーの軸線C1から離間するように傾斜している。この実施の形態によるオイル孔53は、図2に示すように、その中心線C2と前記合面54とのなす角度が鋭角になるように形成されている。
前記凹部55は、図3に示すように、シリンダヘッド18におけるシリンダボディ20側の端部に車体の後側(図3においては上側)へ突設された突部56に形成されている。この突部56は、図2に示すように、前記取付座42の一部を構成している。また、前記凹部55は、図2および図3に示すように、ヘッドガスケット57に形成された連通孔58によって、シリンダボディ20におけるカム軸にオイルを供給するためのオイル供給用凹部59(図2参照)に接続されている。
このオイル供給用凹部59は、シリンダボディ20の上端面に上方に向けて開口するように形成されている。この凹部59の一端部には、シリンダーの軸線C1と略並行にクランク軸側へ延びる縦孔60が接続されている。また、この縦孔60の下端部には傾斜孔61の一端部が接続されている。この傾斜孔61の他端部には、クランク軸等を潤滑するオイル孔を介して図示していないオイルポンプからエンジンオイルが供給される。シリンダヘッド18の前記凹部55と、シリンダボディ20の前記凹部59および縦孔60は、それぞれシリンダヘッド18またはシリンダボディ20を鋳造する型(図示せず)により鋳造によって成形される。前記オイル孔53と傾斜孔61は、ドリルによって穿設される。
このように構成された油圧式テンショナー28は、プランジャ31が圧縮コイルばね50の弾発力と油圧とによって付勢され、受圧部材30を介してテンショナシュー29を押すことによって、このテンショナシュー29がタイミングチェーン4を押し、タイミングチェーン4に張力を付与する。前記油圧は、図示していないオイルポンプからシリンダボディ20内の傾斜孔61と、縦孔60と、凹部59と、ヘッドガスケット57の連通孔58と、シリンダヘッド18の凹部55およびオイル孔53と、プランジャボディ32の環状溝52と、連通孔51と、入口側油室46と、チェック弁44とからなるオイル通路孔62によってプランジャ31内に伝達される。
一方、この油圧式テンショナー28は、エンジン1の負荷変動などによりタイミングチェーン4によってテンショナシュー29が押し戻されたときには、プランジャ31に設けられているボールチェック弁36が開き、プランジャ31内のエンジンオイルがボールチェック弁36と、プランジャ31と押圧部材30との間の隙間とを通ってチェーン室24内に排出される。すなわち、このテンショナー28においては、上述したようにエンジンオイルが排出されるときに減衰力が発生することになり、タイミングチェーン4の振動を減衰させることができる。
この油圧式テンショナー28を備えたエンジン1においては、シリンダヘッド18のオイル孔53が前記合面54に対して傾斜しているから、前記オイル通路孔62におけるシリンダボディ20とシリンダヘッド18との合わせ部分を横切る部位は、油圧式テンショナー28の外端部よりシリンダーの中心側に位置付けられる。
したがって、このエンジン1においては、シリンダ孔22の周囲に配設されたヘッドボルト23のみによってシリンダボディ20とシリンダヘッド18との合わせ部分からのオイルの漏洩を防ぐことができる。このため、この実施の形態によるエンジン1は、前記オイル通路孔62よりエンジン1の外側にヘッドボルト(シリンダヘッド固定用のボルト)を設ける必要がないから、従来のエンジンに較べて小型化、軽量化を図ることができた。
したがって、このエンジン1においては、シリンダ孔22の周囲に配設されたヘッドボルト23のみによってシリンダボディ20とシリンダヘッド18との合わせ部分からのオイルの漏洩を防ぐことができる。このため、この実施の形態によるエンジン1は、前記オイル通路孔62よりエンジン1の外側にヘッドボルト(シリンダヘッド固定用のボルト)を設ける必要がないから、従来のエンジンに較べて小型化、軽量化を図ることができた。
この実施の形態によるエンジン1のオイル孔53は、その中心線C2と前記合面54とのなす角度が鋭角になるように穿設されているから、油圧式テンショナー28にエンジンオイルを供給するオイル通路孔62におけるシリンダボディ20とシリンダヘッド18との合わせ部分を横切る部位をより一層シリンダーの中心に接近させることができる。
この実施の形態においては、前記シリンダヘッド18の後端部に油圧式テンショナー28が車体の後方から着脱されるように取付けられ、この油圧式テンショナー28の上方に、メインフレーム13のエンジン懸架用ブラケット15が設けられているから、エンジン1を車体フレーム11に搭載した状態で車体フレーム11に干渉されることなく油圧式テンショナー28をエンジン1に対して着脱することができる。このため、この実施の形態による油圧式テンショナー28を装備した自動二輪車においては、油圧式テンショナー28のメンテナンスを容易に行うことができる。
この実施の形態においては、前記シリンダヘッド18の後端部に油圧式テンショナー28が車体の後方から着脱されるように取付けられ、この油圧式テンショナー28の上方に、メインフレーム13のエンジン懸架用ブラケット15が設けられているから、エンジン1を車体フレーム11に搭載した状態で車体フレーム11に干渉されることなく油圧式テンショナー28をエンジン1に対して着脱することができる。このため、この実施の形態による油圧式テンショナー28を装備した自動二輪車においては、油圧式テンショナー28のメンテナンスを容易に行うことができる。
1…エンジン、4…タイミングチェーン、11…車体フレーム、15…エンジン懸架用ブラケット、18…シリンダヘッド、20…シリンダボディ、23…ヘッドボルト、28…油圧式テンショナー、31…プランジャ、32…プランジャボディ、42…取付座、53…オイル孔、54…合面、62…オイル通路孔。
Claims (5)
- クランクケースと、クランクケースに取付けられたシリンダボディと、シリンダボディに取付けられたシリンダヘッドと、前記クランクケースに支持されたクランク軸と、前記シリンダヘッドに支持されたカム軸と、前記クランク軸の回転を前記カム軸に伝達する無端伝動帯と、前記無端伝動帯に張力を付与する油圧式テンショナーとを備えたエンジンであって、前記シリンダヘッドの側部には前記油圧式テンショナーを装着する取付部が形成され、油圧式テンショナーにオイルを供給するオイル通路孔が前記シリンダボディとシリンダヘッドとの合面を横切って前記取付部に接続するように形成され、前記オイル通路孔は、前記合面と前記油圧式テンショナーまでの間を前記合面に対してシリンダーの中心側に傾斜して形成したことを特徴とするエンジン。
- 請求項1記載のエンジンにおいて、前記シリンダボディの前記シリンダヘッドとの合面には、前記カム軸にオイルを供給するためのオイル供給用凹部が形成され、前記オイル通路孔は、前記オイル供給用凹部に連通させたことを特徴とするエンジン。
- 請求項1記載のエンジンにおいて、前記合面に対するオイル通路孔は、その中心線と前記合面とのなす角度がシリンダボディの外側方向に鋭角になるように傾斜して形成されたことを特徴とするエンジン。
- 車体フレームと、この車体フレームに形成され、請求項1に記載したエンジンを懸架するエンジン懸架用ブラケットとを備えた自動二輪車であって、前記油圧式テンショナーは、前記エンジンの前記シリンダヘッドに着脱自在に取付け、前記油圧式テンショナーの上方に前記エンジン懸架用ブラケットを配設したことを特徴とする自動二輪車。
- 請求項4記載の自動二輪車において、前記シリンダボディの気筒軸は前方に傾斜し、前記油圧式テンショナーの中心軸は車体後方に傾斜し、前記エンジン懸架用ブラケットは、前記シリンダボディと油圧式テンショナーの間に配置されたことを特徴とする自動二輪車。
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