JP2006144878A - マリンホース - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも樹脂層と内面ゴム層とを備え、該樹脂層が最内層を形成するマリンホース。
【選択図】なし
Description
特許文献1には、「内面ゴム層(1)、補強層(2)及びカバーゴム層(3)を積層したホース本体(A)の外側に、浮力材層(10)と外層ゴム層(11)とを積層したマリンホースにおいて、前記ホース本体(A)と浮力材層(10)との間に、流出流体バリヤー層(5)と、該流出流体バリヤー層(5)の外側に積層した補強層(6)と、流出流体バリアー層(5)とホース本体(A)で囲繞され、かつ前記補強層(6)の端部の上に巻回された端部漏洩防止ワイヤー(9)で密封された流出流体が漏洩しない流出流体吸収層(4)とを形成したことを特徴とするマリンホース。」が記載されている。
特許文献2には、「内面ゴム層の外側に設けられた耐圧コード層と、該耐圧コード層の外側を覆うカバーゴム層とを備えた液体移送用ホースにおいて、所定周波数の電波を送受信し、前記周波数の電波を受信したときに応答信号を送信すると共に移送対象の液体に接触すると発信特性が変化するトランスポンダを備え、該トランスポンダが前記内面ゴム層とカバーゴム層との間に配置されていることを特徴とする液体移送用ホース。」が記載されている。
特許文献3には、「最内層に配設されたゴムチューブ層上に、各繊維コードが互いに交差するように巻回された複数層の繊維補強コード層と、ホースの長手方向にスパイラル状に巻回したスチールワイヤー層と、この外側に複数層の前記と同様な繊維補強コード層とを順次積層させて本体耐圧コード層を形成し、最外層にカバーゴム層を被覆して成るマリンホースの構造において、前記スチールワイヤー層に最も近接する繊維補強コード層の繊維コードの配向角度を、35°以上〜55°未満の範囲に設定すると共に、層毎に変化させて構成して成るマリンホースの構造」が記載されている。
しかしながら、NBR中の結合アクリロニトリル量の増加に伴い、ゴムのぜい化温度が高く(−15〜−20℃程度)なることから、極低温(−35〜−40℃程度)下においては内面ゴム層での亀裂発生による流体漏れが懸念されるため、極寒冷地でのマリンホースの使用が困難になるといった耐寒性の問題があった。
本発明のマリンホースは、少なくとも樹脂層と内面ゴム層とを備え、該樹脂層が最内層を形成するマリンホースであり、具体的には、ホース本体および取付フランジから構成され、該ホース本体が、樹脂層と内面ゴム層と補強層と中間ゴム層と浮力材層とカバーゴム層とをこの順に備えるマリンホースが好適に例示される。
図1および図2に示すように、ホース10は、ホース本体11と取付フランジ12とから構成され、取付フランジ12は、複数のホース10を相互に連結するためにホース本体11の両端部に設けられている。
さらに、カバーゴム層115の内側には、浮力材層116が充填され、海上等に容易に浮かぶようになっている。
ホース本体11の端部は、締結ワイヤ113b、114bによって取付フランジ12のリング部122a〜122c間に固定され、ホース本体11を形成するそれぞれの層の端部が接着接合されている。締結ワイヤ113b、114bは、補強層113および中間ゴム層114の端部に設けられている。
本発明のマリンホースを構成する樹脂層は、従来公知の樹脂により形成されるものであれば特に限定されず、1層単独で形成されていても、複数層で形成されていてもよい。
このような樹脂層を形成する樹脂材料としては、具体的には、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、塩ビ系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリビニル系樹脂等が挙げられ、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリメタクリレート系樹脂としては、具体的には、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル等が挙げられ、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリビニル系樹脂としては、具体的には、例えば、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体等が挙げられ、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
必要に応じて含有させてもよい添加剤としては、具体的には、例えば、充填剤、補強剤、可塑剤、老化防止剤、軟化剤、粘着付与剤、滑剤、分散剤、加工助剤等を挙げることができる。
本発明のマリンホースを構成する内面ゴム層は、マリンホース(水中ゴム構造物)に用いられる従来公知の内面ゴム層(ゴムチューブ層)を用いることができ、1層単独で形成されていても、複数層で形成されていてもよい。
このような内面ゴム層を形成するゴム材料としては、具体的には、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレンゴム(NBIR)、アクリロニトリル−イソプレンゴム(NIR)等が挙げられ、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのうち、耐油性に優れる観点からNBRを用いることが好ましいが、本発明においては、上述したように、最内層を形成する上記樹脂層が耐油性に優れる理由から、従来公知のマリンホースの内面ゴム層に用いられている結合アクリロニトリル量が高〜極高のNBRを用いる必要はなく、結合アクリロニトリル量が18〜33質量%であるNBRを好適に用いることができる。結合アクリロニトリル量がこの範囲であれば、形成される内面ゴム層が極寒冷地においても亀裂を発生しないため、最内層を形成する樹脂層に亀裂を引き起こす原因にもならず、また、仮に樹脂層が破損し、原油等が内面ゴム層へ浸透してきた場合であっても、直ちに膨潤することはないという理由から好ましい。
必要に応じて含有させてもよい添加剤としては、具体的には、例えば、加硫剤、加硫促進剤、充填剤、補強剤、可塑剤、老化防止剤、軟化剤、粘着付与剤、滑剤、分散剤、加工助剤等を挙げることができる。
本発明のマリンホースに備えられていてもよい補強層は、マリンホースに用いられる従来公知の補強層を用いることができ、1層単独で形成されていても、複数層で形成されていてもよい。図3は、補強層の構成を説明する図である。
図2および図3に示すように、複数の補強層113は、それぞれ、ホース本体11の長手方向に対して傾斜して配列したコード113aを複数有している。また、補強層113は、ホース長手方向に対する配向角度(θ1)の異なるコード113aが互いに交差するように積層され、積層数がそれぞれ等しくなるように構成されている。
本発明のマリンホースに備えられていてもよい中間ゴム層は、マリンホースに用いられる従来公知の中間ゴムを用いることができ、1層単独で形成されていても、複数層で形成されていてもよい。
このような中間ゴム層を形成するゴム材料としては、具体的には、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)等が挙げられ、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのうち、天然ゴム(NR)を用いることが得られるマリンホースの強度を保つという理由から好ましい。
必要に応じて含有させてもよい添加剤としては、内面ゴム層を形成するゴム組成物として上記で例示した各種添加剤が挙げられる。
本発明のマリンホースに備えられていてもよい浮力材層は、マリンホースに用いられる従来公知の浮力材層を用いることができ、1層単独で形成されていても、複数層で形成されていてもよい。
このような浮力材層を形成する材料としては、具体的には、例えば、発泡性のフローター等が挙げられる。
本発明のマリンホースに備えられていてもよいカバーゴム層は、マリンホースに用いられる従来公知のカバーゴム層を用いることができ、1層単独で形成されていても、複数層で形成されていてもよい。
このようなカバーゴム層を形成するゴム材料としては、具体的には、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)等が挙げられ、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのうち、天然ゴム(NR)を用いることが、得られるマリンホースの耐磨耗性および強度の保持に優れるという理由から好ましい。
必要に応じて含有させてもよい添加剤としては、内面ゴム層を形成するゴム組成物として上記で例示した各種添加剤が挙げられる。
具体的には、マンドレル上に、上記樹脂層、上記内面ゴム層、上記補強層、上記中間ゴム、上記浮力材層および上記カバーゴム層をこの順に積層させた後に、加硫させて製造する方法が好適に例示される。
特に、樹脂層が0.1〜2mm厚程度のフィルム状のものである場合は、該樹脂層をマンドレル上に巻き付け、その外周に接着剤を介して上記内面ゴム層を積層させるのが好ましい。
内面ゴム層を形成するためのゴム組成物として、下記表1に示すNBR(括弧内の数値は結合アクリルニトリル量)100質量部に対して、下記表1に示す組成成分(質量部)を配合したものを用い、148℃×60分の加硫条件で、面圧3.0MPaでプレス加硫させた内面ゴム層試験体(サイズ:40mm×20mm×2mm)を作製した。
・NBR(18%):perburan1845(Bayer社製)
・NBR(29%):Nipol 1043(日本ゼオン社製)
・NBR(33%):Nipol 1042(日本ゼオン社製)
・NBR(41%):Nipol 1041(日本ゼオン社製)
・NBR(44%):Nipol DN005(日本ゼオン社製)
・カーボンブラック:FT(旭カーボン社製)
・亜鉛華:酸化亜鉛3種(正同化学工業社製)
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸(日本油脂社製)
・可塑剤:フタル酸ジオクチル(チッソ社製)
・硫黄:油処理硫黄(軽井沢精練所)
・加硫促進剤:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(ノクセラーCZ、大内新興化学工業社製)
最内層を形成する樹脂層として、下記表2に示す樹脂からなる樹脂層試験体(サイズ:40mm×20mm×0.2mm)を作製した。
・ポリアミド系樹脂2:ザイテルST(デュポン社製)
・ポリエチレン系樹脂1:ポリエチレン(三井住友ポリオレフィン社製)
・ポリプロピレン系樹脂1:ポリプロピレン(出光石油化学社製)
・ポリエステル系樹脂1:ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績社製)
・フッ素系樹脂1:ポリテトラフルオロエチレン(デュポン社製)
・塩ビ系樹脂1:ポリ塩化ビニル(信越化学工業社製)
耐油性の評価は、得られた各種試験体を流体(FuelB)に室温下で1週間浸漬させ、浸漬前後の質量変化率(%)を測定することにより行った。浸漬前後の質量変化率が20%以下であれば、マリンホースとしての耐油性が優れる。
耐寒性の評価は、得られた各種試験体が−35℃下で、外力を加え、完全に(180度)折り曲げた際に亀裂が発生するか否かを確認することにより行った。なお、上記表1および2には、亀裂の有無を記載し、亀裂がある場合は耐寒性に劣ることになり、亀裂がない場合は耐寒性に優れることとなる。
11:ホース本体
12:取付フランジ
111:樹脂層
112:内面ゴム層
113:補強層
113a:コード
113b:締結ワイヤ
114:中間ゴム層
114a:ボディワイヤ
114b:締結ワイヤ
115:カバーゴム層
116:浮力材層
121:円筒部
122a、122b、122c:リング部
Claims (4)
- 少なくとも樹脂層と内面ゴム層とを備え、該樹脂層が最内層を形成するマリンホース。
- 前記樹脂層が、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂および塩ビ系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂からなる請求項1に記載のマリンホース。
- 前記ポリアミド系樹脂が、ナイロン6(N6)および/またはナイロン11(N11)である請求項2に記載のマリンホース。
- 前記内面ゴム層が、結合アクリロニトリル量が18〜33質量%であるアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)からなる請求項1〜3のいずれかに記載のマリンホース。
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