JP2010248319A - ゴム組成物の製造方法、及び該製造方法により外面ゴム層を形成した油圧ホース - Google Patents

ゴム組成物の製造方法、及び該製造方法により外面ゴム層を形成した油圧ホース Download PDF

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Abstract

【課題】アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)とエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とを混合してゴム組成物を調製するにあたり、ゴム組成物中のNBR由来のアクリルニトリル含量(平均AN含量)を変化させて、ゴム組成物の耐油性を調整する場合に、ゴムの要求特性に応じて低温特性を損なうことなく耐油性を自在に調整することができるゴム組成物の製造方法、及び、該製造方法により調製されるゴム組成物を用いてなる耐油性と低温特性とを兼ね備えた油圧ホースを提供する。
【解決手段】NBRとEPDMとを混合してゴム組成物を調製するにあたり、平均AN含量を変化させて、得られるゴム組成物の耐油性を調整するゴム組成物の製造方法において、NBRとしてAN含量が26質量%以下のNBRを用い、かつNBRの配合割合を20〜75phrの範囲で調節して、平均AN含量を5〜20質量%の範囲で調整するゴム組成物の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、耐油性、耐寒性(低温特性)及び耐屈曲疲労性を兼ね備えたゴム組成物の製造方法、及び該製造方法により外面ゴム層を形成した耐油性、耐寒性及び耐屈曲疲労性に優れる、建築機械、農業機械やその他の産業機械等の油圧ホースに関する。
油圧ホースは、主としてパワーショベルやブルドーザー等の建設機械や、油圧ジャッキ、油圧パンチャー、油圧プレス、油圧ベンダー等の産業機械等の油圧で動く機械で使用され、ホース内に充填された作動油の圧力により駆動力を伝達する重要な役目を担っている。
そのため、この油圧ホースは、高圧に耐え、駆動力(圧力)を正確かつ迅速に伝達することが求められると共に、高い耐油性を有することや、圧力による体積膨張が少ないことが重要となる。また、機械の稼動中には作動油が高温になり、更には振動や屈曲等が常に加わる厳しい環境下で使用されることが多いため、高い耐熱性、耐候性(耐オゾン性等)、耐屈曲疲労性、耐摩耗性等が求められる。更に、建築機械、農業機械やその他の産業機械などは寒冷地での使用も想定されるため、上記の特性に加えて耐寒性(低温特性)も要求される。特に耐寒性については、昨今では従来の低温脆性化温度という尺度に替わって、低温弾性回復試験(TR試験)による評価が重要視されてきている。
上記油圧ホースは、その要求特性から、通常、図1に示したように、内側から作動油が充填されるゴム製の内面ゴム層2(以下「内管ゴム」という場合もある)と、作動油の圧力に耐えるための補強層3と、外部から補強層及び内面ゴム層が損傷を受けるのを防止する外面ゴム層4(以下「外被ゴム」という場合もある)とを順次積層した積層構造を有している。また、必要に応じて上記補強層を複数層設けることも一般的に行われている。
一方、従来、油圧ホースの上記外面ゴム層には、耐油性、耐候性、耐摩耗性等の要求特性のバランスからクロロプレンゴムが一般的に用いられてきたが、昨今の環境問題に対する市場の変化から、塩素系材料を使用しないことが望まれ、ハロゲンフリーの製品へのニーズが高まっている。
このクロロプレンゴムの代替品としては、上記の各性能の観点からアクリル系ゴム材料等が挙げられるが、非常に高価であることからその使用は限定的である。そのため、一般的には、耐油性を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)と、耐熱性と耐候性を有するエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)をブレンド、もしくは必要に応じて更にスチレン−ブタジエンゴム(SBR)等のその他のジエン系材料をブレンドし、各々のゴムが持つ特性をバランスよく発揮させる手法が採用されている。
この手法は、上記NBRとEPDM及びSBR等のその他のジエン系ゴムとが、極性の強弱や加硫速度等の物性の違いにより相分離を起こし、分子レベルまで均一には混ざりにくい性質を利用したものである。即ち、これらのゴム成分が相分離した状態で存在していることにより、各ゴム成分の特性が組成物中の存在比率(配合比率)に応じて発揮されるものである。なお、これらのゴムの混合については、特開昭62−172043号公報(特許文献1)、特開2001−205745号公報(特許文献2)、特開2001−206987号公報(特許文献3)等に開示されているが、混合後のゴムの相構造にまでは言及していない。
ここで上記ゴムの耐油性は、NBRの配合によって発揮されるが、特にゴム組成物全体のアクリロニトリル含量(以下「平均AN含量」と表記することもある)と相関関係にある。従って、このゴムの耐油性を向上させるためには、平均AN含量を高めることが必要であり、通常はNBRの配合比率を高めたり、高いアクリロニトリル含量(以下「AN含量」と表記することもある)を有するグレードのNBRを用いたりすることが行われる。しかしながら、図2中の従来処方(比較例)のゴム組成物のグラフに示されるように、平均AN含量の増加に従って耐油性は向上するが、相対的に低温特性(特にTR試験による評価)が低下し、耐油性と耐寒性とは二律背反的関係にある。そのため、要求される耐油性を実現しようとした場合、所望する低温特性(特にTR試験による評価)が得られなくなるおそれがある。即ち、現状ではクロロプレンゴムの代替として、NBR/EPDM系、あるいはNBR/EPDM/SBR系等のゴム組成物を調製した場合に、上記クロロプレンゴムと同等の耐油性が得られるだけの平均AN含量とすると、要求される低温特性を達成できない場合があり、市場の要求に十分に応える油圧ホースを得ることが難しい。
このように、少なくともNBRとEPDMとを含むゴム組成物において、耐油性及び耐寒性を兼ね備え、油圧ホースの市場や使用現場の要求を十分に満足させるゴム組成物は得られていない。特に、従来の含NBR,EPDMゴムでは、可塑剤を添加することにより脆性化温度を低下させる(従来の尺度による低温特性を向上させる)ことは可能であるが、耐油性とTR試験による低温特性とを両立させ、かつ該低温特性を損なうことなく耐油性を自在に調整して市場や現場の要求に応えることができる油圧ホース用のゴム組成物を供給することは難しい。
特開昭62−172043号公報 特開2001−205745号公報 特開2001−206987号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)とエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とを混合してゴム組成物を調製するにあたり、該ゴム組成物中の上記NBR由来のアクリルニトリル含量(平均AN含量)を変化させて、得られるゴム組成物の耐油性を調整する場合に、ゴムの要求特性に応じて低温特性を損なうことなく耐油性を自在に調整することができるゴム組成物の製造方法、及び、該製造方法により調製されるゴム組成物を用いてなる耐油性と低温特性とを兼ね備えた油圧ホースを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)とエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とを含むゴム組成物を調製するにあたり、特定のAN含量のNBRを用いることにより、これまでの手法で相分離を起こしていた各ゴム成分が、分子レベルまで均一に混合された単相となることを知見し、更にこの手法で得られる該ゴム組成物は、耐油性を向上させるために平均AN含量を増やしても、加硫後にTR試験による耐寒性を大きく損ねることなく維持されていること、更に繰り返し伸長疲労における耐久性が、従来の相分離したゴム組成物に比較して顕著に優れることを見出した。ここで、ゴムの相構造は、例えば、所定の温度範囲で粘弾性測定を行うことにより得られる損失正接(tan−δ)のピークの数により判断することができるものである。即ち、図3及び図4に示されているように−70〜+70℃の範囲で粘弾性測定を行うと、従来処方では二相に相分離しているためtan−δピークは二山として得られる(比較例)が、分子レベルまで均一に混合されて単相となった場合には、そのピークは一山として得られる(実施例)。
そこで本発明者らは、更に検討を進めた結果、NBRとしてアクリロニトリル含量(AN含量)が26質量%以下のNBRを特定の配合割合で用いて平均AN含量を特定範囲に調整することにより、粘弾性測定におけるtan−δピークが一山となり、各ゴム成分が分子レベルで均一に混合された単相構造のゴム組成物が得られること、ゴムの要求特性に応じてTR試験による低温特性を損なうことなく耐油性を自在に調整することができること、及び繰り返し伸長疲労耐久性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の製造方法により得られるゴム組成物は、ゴムの要求特性に応じてTR試験による低温特性を損なうことなく耐油性を自在に調整することができるため、耐油性と低温特性という二律背反的な要求特性を共に満足させることができ、更に疲労耐久性にも優れることから油圧ホースの外被ゴムに好適に使用することができる。
従って、本発明は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)とエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とを混合してゴム組成物を調製するにあたり、該ゴム組成物中の上記NBR由来のアクリルニトリル含量(平均AN含量)を変化させて、得られるゴム組成物の耐油性を調整するゴム組成物の製造方法において、上記NBRとしてアクリロニトリル含量(AN含量)が26質量%以下のNBRを用い、かつ前記NBRの配合割合を20〜75phrの範囲で調節して、平均AN含量を5〜20質量%の範囲で調整することを特徴とするゴム組成物の製造方法、及び、該製造方法により調製したゴム組成物で外面ゴム層を形成した油圧ホースを提供するものである。
上記のように、本発明のゴム組成物の製造方法は、NBRとEPDMとを含むゴム組成物を製造する場合に、特定のAN含量のNBRを使用することにより、複数種のゴム成分を配合しても相分離を起こすことなく均一に混合することができ、これまで問題とされた高い耐油性と良好な低温特性という二律背反的な課題を解決し、ゴムの要求特性に応じて両特性をバランスよく兼ね備え、更に疲労耐久性にも優れるゴム組成物を製造することができるものである。また、本発明の製造方法により得られるゴム組成物は、耐油性、低温特性及び疲労耐久性が求められる用途に好適に用いることができ、とりわけ油圧ホースの外面ゴム層として用いた場合には耐油性及び低温特性を要求特性に応じてバランスよく兼ね備えた製品を提供することができる。
本発明の油圧ホースの構造の一実施例を示す概略斜視図である。 本発明の製造方法により得られたゴム及び従来手法で調製したゴムの低温弾性回復試験結果(TR10)を平均AN含量に対してプロットして得たグラフである。 実施例1,4及び比較例1,4のゴム組成物の粘弾性測定より得られたtan−δ曲線を示すグラフである。 実施例3,6及び比較例3,6のゴム組成物の粘弾性測定より得られたtan−δ曲線を示すグラフである。
本発明のゴム組成物の製造方法は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)とエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とを混合してゴム組成物を調製するにあたり、該ゴム組成物中の上記NBR由来のアクリルニトリル含量(AN含量)を変化させて、得られるゴム組成物の耐油性を調整する場合に、特定のAN含量を有するNBRを使用するものである。なお、後述する各成分の混合手段については、特に制限されるものではなく、公知のロール、インターナルミキサー、バンバリーローター等の混練機を用いることができる。
ゴム成分としては、少なくともNBR及びEPDMを含む。その際、NBRのゴム成分中における配合割合は、特に制限されるものではないが、通常、油圧ホースの外被ゴムとする場合には、耐油性等の観点から20〜75phrとすることが好ましく、より好ましくは40〜70phr、更に好ましくは45〜65phrである。該NBRの割合が20phr未満になると、ゴム組成物の平均AN含量が低くなるため、十分な耐油性が得られないおそれがあり、一方75phrを超えると、配合可能なEPDM量が減少し、十分な耐候性が得られないおそれがある。
上記NBRは、公知のものを適宜選択して使用すればよく、特に制限されるものではないが、NBRに含まれるアクリロニトリル含量(AN含量)については26質量%以下であることが必要であり、好ましくは15〜26質量%、更に好ましくは20〜26質量%の範囲のものが用いられる。AN含量が26質量%を超えるNBRを用いた場合、EPDMとの相構造が二相となり、低温弾性回復試験(TR試験)による低温特性が損なわれると共に、耐屈曲疲労性などの物理特性の低下を招くおそれがある。
また、ゴム組成物全体の上記NBR由来のAN含量(平均AN含量)も要求される耐油性に応じて適宜調整され、特に制限されるものではないが、特に油圧ホースの外被ゴムとする場合には5〜20質量%とすることが好ましく、より好ましくは13〜20質量%とされる。上記平均AN含量が20質量%を超えると、EPDMが配合されている場合においては特に耐候性で不都合はないが、ゴム組成物としてのゴム弾性が低下して、油圧ホースとした場合に加締め性が阻害される場合があり、一方5質量%未満となると、油圧ホースの外被ゴムとして十分な耐油性が得られない場合がある。
上記EPDMのゴム成分中における配合割合は、特に制限されるものではないが、通常は25〜50phrとされ、好ましくは30〜40phr、より好ましくは30〜35phrである。EPDMの配合割合が25phr未満であると、耐候性に劣るものとなるおそれがあり、一方50phrを超えると、NBRの配合量が相対的に低下することにより、低温特性と耐油性、耐候性をバランスよく成立させることが困難となり好ましくない。
本発明では、特に制限されるものではないが、ゴム成分として上記NBR及びEPDMに加えて、更にEPDM以外のジエン系ゴムを配合することができ、特に上記NBRとEPDMとの相溶性を向上させると共に、得られるゴム成分の耐摩耗性を向上させる目的で、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を配合することが好ましい。このジエン系ゴムの配合量は、特に制限されるものはなく、必要とされる耐候性レベルに対応したEPDM配合量と、必要とする耐油性レベルに対応したNBR配合量とのバランスによって適宜設定されるが、本発明においてSBRを配合する場合、そのゴム成分中における配合割合は0.1〜45phrとされ、好ましくは20〜35phrである。
なお、SBR以外のジエン系ゴムとしては、公知の天然ゴム(NR)や、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、エポキシ化天然ゴム等の合成ゴム、及びこれら天然ゴム又は合成ゴムの分子鎖末端が変性されたものなどが例示される。
本発明においては、特に制限されるものではないが、通常、加硫剤(架橋剤)として硫黄が用いられ、その配合割合は特に制限されるものでなはく、通常は0.5〜3.5phr、好ましくは1〜3.5phrとすることができる。
ここで、本発明において「phr」とは、NBRとEPDM、更に他のゴムを配合する場合は他のゴムも加えたゴム成分の合計量100質量部に対する配合部数(ただし、上記のNBR、EPDM及びSBR等のゴム成分については、ゴム成分中における配合部数を表す)であり、以降の他の配合成分についての「phr」も同様である。
加硫促進剤としては、特に制限されるものではないが、チウラム系化合物を好適に用いることができる。具体的には、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)、2−エチルヘキシルチウラムジスルフィド(TOT−N)等の公知の加硫促進剤を好適に用いることができ、これらの中から1種又は2種以上を用いることができる。
このチウラム系加硫促進剤の配合割合は、有効量とされ特に制限されるものではないが、通常は0.5〜2.5phrとすることが好ましく、特に好ましくは1〜2phrとされる。配合量が0.5phr未満であると、十分な加硫速度向上効果が得られず、生産性の悪化を引き起こすおそれがあり、一方2.5phrを超えると、加硫速度が速くなり、特にスコーチが起こりやすくなるため、加工面での不具合を引き起こすおそれがある。
本発明の製造方法で得られるゴム組成物には、特にホースの補強に用いられるブラスメッキワイヤー等のスチールコードに対する接着性を向上させる目的で有機酸コバルトを配合することができる。この有機酸コバルトとしては、特に制限はなく、例えばナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、バーサチック酸コバルト、及びこれらの有機酸コバルトのホウ素化物などが例示され、これらの1種又は2種以上を用いることができる。上記有機酸コバルトの配合割合は1〜5phrとされ、好ましくは1.5〜3phrとされる。有機酸コバルトの配合量が1phrに満たないと十分な接着性向上効果を得ることができず、5phrを超えた場合にはゴム組成物のタッキネス(粘着性)が強くなるため、加工性を悪化させるおそれがある。また、加硫ゴム物性の低下を引き起こすおそれもある。
更に、上記ゴム組成物には、接着性の更なる向上を目的として、上記有機酸コバルトに加えてフェノール樹脂、レゾルシンのいずれか一方又は両方を配合することもできる。
本発明の製造方法により得られるゴム組成物には、必要に応じて上記以外の添加剤を配合することができる。例えば上記以外の加硫剤、加硫促進剤及び加硫促進助剤や、通常使用されているカーボン、老化防止剤、可塑剤、石油樹脂、加硫遅延剤、ワックス類、酸化防止剤、充填剤、発泡剤、オイル、滑剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤、分散剤、相溶化剤、均質化剤等の添加剤を適宜配合することができる。
本発明のゴム組成物を得る際、上記各成分の配合方法に特に制限はなく、全ての成分原料を一度に配合して混練しても良いし、2段階あるいは3段階に分けて各成分を配合して混練を行ってもよい。なお、混練に際しては上述した通りロール、インターナルミキサー、バンバリーローター等の混練機を用いることができる。
本発明のゴム組成物を用いて、補強層を有するゴムホースを製造する場合には、通常の方法を採用することができ、例えば、図1に示すような内面ゴム層2、スチールコードを有する補強層3、外面ゴム層4からなる油圧ホース1を製造する場合は以下の方法を例示することができる。この場合、本発明のゴム組成物は、上記外面ゴム層4を形成するゴムとして用いられる。
まず、ホース内径と同程度の直径を有する芯体(マンドレル)の外側に内面ゴム層(内管ゴム)2用のゴム組成物を押出成形して該マンドレルを被覆し、内面ゴム層2を形成する(内管押出工程)。次に、該内管押出工程で形成した内面ゴム層2の外側に、所定本数のブラスめっきワイヤを編み上げて補強層3を積層し(編上げ工程)、該補強層3の外側にホースの外被となるゴム組成物として、上述した本発明の製造方法により得られたゴム組成物を押出成形し、外面ゴム層(外被ゴム)4を形成する(外被押出工程)。更に、該外被押出工程で形成した外面ゴム層4の外側をナイロン繊維からなる帯状の織物(ラッピングシーツ)で被覆し(モールド被覆工程)、これを所定の条件で加硫する(加硫工程)。加硫後、上記ラッピングシーツを剥離し(モールド剥離工程)、マンドレルを取り除く(マンドレル抜出工程)ことにより、内管ゴム2と外被ゴム4との間に補強層3を有する油圧ホース1となる。
なお、油圧ホース1の構造は、上記のように内側から内管ゴム2、補強層3及び外被ゴム4を順次積層した3層構造としてもよいし、更に強度等が必要な場合は、特に図示しないが、上記補強層を2層とした4層構造や、更にこの2層の補強層の間に中間層(中間ゴム)を配した5層構造とすることもでき、これらの構造はホースの要求特性等に応じて適宜設定すればよい。
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
[実施例1〜6、比較例1〜10]
まず、下記表1に示すゴム成分及び適量の有機酸コバルト(架橋剤及び加硫促進剤を除く全ての原材料)をインターナルミキサーに投入して、混練物の温度が170℃になるまで混練りした後、40℃以下程度まで冷却した。次いで、架橋剤(硫黄)及び加硫促進剤を適量投入し、混練物の温度が110℃になるまで混練して、油圧ホース外被用のゴム組成物を調製した。その後、得られたゴム組成物を150℃×60分間の条件で加硫硬化させて、油圧ホース外被用ゴム試料を作製した。
この場合、表1中のゴム成分、及び添加剤の詳細は次の通りである。
EPDM:住友化学株式会社製「エスプレン505A」
NBR(AN20質量%):JSR株式会社製「N250S」
NBR(AN26質量%):JSR株式会社製「N240S」
NBR(AN35質量%):JSR株式会社製「N230S」
NBR(AN41質量%):JSR株式会社製「N220S」
SBR:JSR株式会社製「SL556」
有機酸コバルト:ナフテン酸コバルト、DIC株式会社製
スルフェンアミド系加硫促進剤:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーNS―F」
チウラム系加硫促進剤:テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーTT」
混練調製した上記ゴム組成物及び得られた油圧ホース外被用ゴム試料につき、下記方法により相構造を確認すると共に、下記性能を評価した。結果を表1に示した。
《低温特性(低温弾性回復試験)》
JIS K 6261:2006に準拠し、試験片I形状、伸長率50%、冷媒としてIPA変性アルコールを用いた条件で測定した。なお、本試験では、低温特性を試験片の初期長さから10%回復した時点の温度(TR10)により評価した。また、図2にTR10を組成物の平均AN含量に対してプロットした結果を示した。
《相構造》
東洋精機社製スペクトロメーターを用いて、−70〜+70℃の温度領域の粘弾性測定を行った。この場合、得られる損失正接(tan−δ)のピークが一山である場合は単相、二山である場合は二相と判断した。また、実施例1,4及び比較例1,4の測定チャートを図3に、実施例3,6及び比較例3,6の測定チャートを図4に示した。
《耐油性》
幅20mm×長さ40mm×厚さ2mmの試験片をディーゼルエンジンオイル「SAE−10WクラスCD」に80℃×72時間浸後の体積膨潤率を測定し、以下の基準により評価した。
○:59%以下
△:60〜79%
×:80%以上
《繰り返し伸長疲労耐久性(耐屈曲疲労性)》
DIN3号ダンベル試験片を作製し、該試験片に25℃、繰返し速度50cpmの条件で、0〜100%の繰り返し伸長を与え、破断するまでの回数を測定した。表1では、実施例1の破断回数を100とした指数で表記した。
Figure 2010248319
ここで、表1の結果を詳細に検討するため、実施例及び比較例のTR10を平均AN含量に対してプロットして得たグラフを図2に示した。また、図3に実施例1,4及び比較例1,4の粘弾性測定結果を示し、図4に実施例3,6及び比較例3,6の粘弾性測定結果を示した。
図2中、比較例では平均AN含量の増加に伴いTR10が上昇する傾向にあり、ゴムの耐油性を向上させようとすると低温特性を損なってしまうことが確認できる。これに対し、本発明の製造方法により得られたゴムでは、平均AN含量を増加させてもTR10は実質的に変化しておらず、低温特性を損なうことなく良好な耐油性を得られることが確認された。この実施例の傾向は、上記の比較例が示す傾向とは明らかに相違するものであり、本発明の製造方法を用いることで、ゴムの要求特性に応じて低温特性と耐油性を自在に調整できることが確認された。
図3は、AN含量が26質量%以下のNBRを30.0phr配合したゴム組成物(実施例1及び4)、及び26質量%を超えるNBRを30.0phr配合したゴム組成物(比較例1及び4)についての粘弾性測定結果である。ここで、従来の製造方法で調製した比較例1及び4では、−10℃付近に現れたNBRに由来する高温側のピークと、−45℃付近に現れたEPDM及びSBRに由来する低温側のピークのふたつのピークが観測された。この結果は、ゴム成分中のNBRとEPDM及びSBRの物性がそのまま現れたものであり、各ゴム成分が相分離した状態で組成物中に存在していることを示している。これに対し、実施例1及び4では上記比較例に対し、NBRに由来する高温側のピークが低温側にシフトすると共に、EPDM及びSBRに由来する低温側のピークが消滅し、tan−δピークが完全に一山になっている。従って、本発明の製造方法を用いることで、各ゴム成分が分子レベルまで均一に混合された単相構造のゴム組成物を得られることが確認された。
また、図4は、AN含量が26質量%以下のNBRを65.0phr配合したゴム組成物(実施例3及び6)、及び26質量%を超えるNBRを65.0phr配合したゴム組成物(比較例3及び6)についての粘弾性測定結果である。その結果、上記図3と同様、実施例においてtan−δピークが完全に一山になっていることが確認でき、各ゴム成分が分子レベルまで均一に混合された単相構造のゴム組成物が得られることが確認された。
一方、耐屈曲疲労性については、単相構造を有する実施例1〜6及び比較例7,8が、二相に相分離した比較例1〜6,9及び10に対して顕著に優れていることから、各ゴム成分を分子レベルまで均一に混合したことが耐屈曲疲労性の向上に大きく寄与していることが確認できた。
このように、本発明の製造方法を用いることで、ゴム成分が分子レベルで均一に混合された単相構造を有するゴム組成物を調製することができ、従来、二律背反的な特性とされていた低温特性(TR10)と耐油性とを互いに損なうことなくバランスよく発揮し、更には耐屈曲疲労性にも優れたゴム組成物を得ることができることが確認された。
なお、本発明のゴム組成物の製造方法により得られたゴム組成物は、耐油性、低温特性及び耐屈曲疲労性の観点から油圧ホースの外被用ゴムに好適に用いられるものであるが、該ゴム組成物はこれに限られず、耐油性、低温特性及び耐屈曲疲労性を必要とするあらゆる用途において使用できるものである。
1 油圧ホース
2 内面ゴム層(内管ゴム)
3 補強層
4 外面ゴム層(外被ゴム)

Claims (5)

  1. アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)とエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とを混合してゴム組成物を調製するにあたり、該ゴム組成物中の上記NBR由来のアクリルニトリル含量(平均AN含量)を変化させて、得られるゴム組成物の耐油性を調整するゴム組成物の製造方法において、上記NBRとしてアクリロニトリル含量(AN含量)が26質量%以下のNBRを用い、かつ前記NBRの配合割合を20〜75phrの範囲で調節して、平均AN含量を5〜20質量%の範囲で調整することを特徴とするゴム組成物の製造方法。
  2. 上記EPDMの配合割合を、25〜50phrの範囲とする請求項1記載のゴム組成物の製造方法。
  3. 上記NBR及びEPDMと共にスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を0.1〜45phr混合する請求項1又は2記載のゴム組成物の製造方法。
  4. 相構造が単相構造のゴム組成物を得る請求項1〜3のいずれか1項記載のゴム組成物の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法により調製したゴム組成物で外面ゴム層を形成したことを特徴とする油圧ホース。
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