JP5293105B2 - ホース内管用ゴム組成物及び油圧ホース - Google Patents
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Description
(ビニル結合含量)≦0.25×{(シス−1,4結合含量)−97}(%)…(I)
の関係を満たすことを特徴とするものである。
また、本発明では、前記シス−1,4結合含量と前記ビニル結合含量とが、下記式(I):
(ビニル結合含量)≦0.25×{(シス−1,4結合含量)−97}(%)…(I)
の関係を満たすことが好ましい。この場合、ホース内管用ゴム組成物の耐疲労性がさらに向上する。
本発明のホース内管用ゴム組成物は、少なくとも高シス−ブタジエンゴムとアクリロニトリルブタジエンゴムとを含み、ホース内管用ゴム組成物全体のニトリル含有量が26〜35重量%であることを特徴とするものである。
本発明で用いる高シス−ブタジエンゴムは、1,3−ブタジエン単量体単位を含み、該1,3−ブタジエン単量体単位中のフーリエ変換赤外分光法で測定したシス−1,4結合含量が98.0%以上且つビニル結合含量が0.3%以下で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.6〜3.5である。ここで、シス−1,4結合含量及びビニル結合含量は、FT−IRで測定される値であり、具体的には、以下の方法で測定される。
同一セルの二硫化炭素をブランクとして、5mg/mLの濃度に調製したブタジエン系重合体の二硫化炭素溶液のFT−IR透過率スペクトルを測定し、該スペクトルの1130cm−1付近の山ピーク値をa、967cm−1付近の谷ピーク値をb、911cm−1付近の谷ピーク値をc、736cm−1付近の谷ピーク値をdとしたとき、下記行列式(II):
(シス−1,4結合含量)=e/(e+f+g)×100(%)・・・(III)
(トランス−1,4結合含量)=f/(e+f+g)×100(%)・・・(IV)
(ビニル結合含量)=g/(e+f+g)×100(%)・・・(V)
に従ってシス−1,4結合含量、トランス−1,4結合含量及びビニル結合含量を求める。なお、上記スペクトルの1130cm−1付近の山ピーク値aはベースラインを、967cm−1付近の谷ピーク値bはトランス−1,4結合を、911cm−1付近の谷ピーク値cはビニル結合を、736cm−1付近の谷ピーク値dはシス−1,4結合を示す。
(ビニル結合含量)≦0.25×{(シス−1,4結合含量)−97}(%)…(I)
の関係を満たすのが好ましい。この場合、高シス−ブタジエンゴムの伸張結晶性が更に向上し、ホース内管用ゴム組成物の耐疲労性、耐摩耗性、耐亀裂成長性及び耐オゾン劣化性を更に向上させることができる。
上記高シス−ブタジエンゴムは、以下に詳述する(A)成分、(B)成分及び(C)成分からなる触媒系の存在下、25℃以下の温度で少なくとも1,3−ブタジエンを含む単量体を重合させることで得られる。ここで、単量体としては、1,3−ブタジエンの他、上述した1,3−ブタジエンと共重合可能なその他の単量体が挙げられる。
(R4−CO2)3M・・・(VI)
(式中、R4は炭素数1〜20の炭化水素基で、Mは周期律表の原子番号57〜71の希土類元素である)で表される化合物が挙げられる。ここで、R4は、飽和又は不飽和でもよく、アルキル基及びアルケニル基が好ましく、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでもよい。また、カルボキシル基は、1級、2級又は3級の炭素原子に結合している。該カルボン酸塩として、具体的には、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸[シェル化学(株)製の商品名であって、カルボキシル基が3級炭素原子に結合しているカルボン酸]等の塩が挙げられ、これらの中でも、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ナフテン酸、バーサチック酸の塩が好ましい。
(R5O)3M・・・(VII)
(式中、R5は炭素数1〜20の炭化水素基で、Mは周期律表の原子番号57〜71の希土類元素である)で表される化合物が挙げられる。R5Oで表されるアルコキシ基としては、2−エチル−ヘキシルアルコキシ基、オレイルアルコキシ基、ステアリルアルコキシ基、フェノキシ基、ベンジルアルコキシ基等が挙げられる。これらの中でも、2−エチル−ヘキシルアルコキシ基、ベンジルアルコキシ基が好ましい。
AlR1R2R3・・・(VIII)
(式中、R1及びR2は同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよい)
で表される有機アルミニウム化合物である。
式(VIII)の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。以上に述べた(B)成分としての有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。
上記活性ハロゲンを含む有機化合物としては、ベンジルクロライド等が挙げられる。
本発明に用いられるNBRとしては、アクリロニトリル含有量が15重量%から55重量%程度のもので数平均分子量が5万〜20万程度特に8万〜12万程度の、固形NBRが好適である。数平均分子量が上記下限未満であると物性が低下し、上記上限を超えると加工性が悪くなる。また、この固形NBRとともに、数平均分子量が3000から1万程度の液状NBRが用いられてもよい。液状NBRが配合されることにより、ホース内管用ゴム組成物の柔軟性が向上する。液状NBRは分子量が小さいことを除いては固形NBRと同等のゴムであるので、これが配合されてもホース内管用ゴム組成物の他の性能に大きな悪影響を与えることがない。
本発明では、上記高シス−ブタジエンゴムとアクリロニトリルブタジエンゴムとの配合割合を10/90〜40/60(重量比)、特に20/80〜30/70(重量比)とすることが好ましい。
本発明のホース内管用ゴム組成物は、高シス−ブタジエンゴムとアクリロニトリルブタジエンゴム以外に、例えばポリクロロプレン(CR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム(FKM)等の共重合体を本発明の主旨が損なわれない範囲で併用してもよい。
上記ホース内管用ゴム組成物には、上述のゴム成分、充填材の他、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、軟化剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、シランカップリング剤等のゴム業界で通常使用される配合剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択し配合することができる。これら配合剤は、市販品を好適に使用することができる。なお、上記ホース内管用ゴム組成物は、ゴム成分に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
上記高シス−ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム等の混合物の好ましいムーニー粘度は50〜80ML1+4(127℃)程度、特に60〜70ML1+4(127℃)程度である。
ホース内管用ゴム組成物を製造するには、上記の高シス−ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、配合剤等をバンバリーミキサー等の混練機を用いて混練する。混練を開始する際の温度としては30〜80℃程度が好ましく、混練物を排出する際の温度としては100〜150℃程度が好ましい。
このゴム組成物を架橋して架橋ゴム組成物を得ても良いし、架橋せずにそのまま押出成形などの方法で成形してもよい。
本発明の油圧ホースの代表的な構造の一例を図1に示す。
この油圧ホース1は内管2の外周に、中間ゴム層3a、補強層4a、中間ゴム層3b、補強層4b、中間ゴム層3c、補強層4c、中間ゴム層3d、補強層4d及び外被ゴム層5をこの順に積層したものである。なお、図1では補強層が4層用いられているが、これより少なくても、また多くてもよい。
内管2は、前記ホース内管用ゴム組成物よりなる。内管2の厚さは1.0〜5.0mmとすることが好ましい。ホースの内径は、用途に応じて選択される。
中間ゴム層3a、3b、3c、3dを構成するゴム成分としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴム(EPDM)、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ヒドリンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、イソブチレン−イソプレン共重合体ゴム(IIR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ウレタン系ゴム、シリコーン系ゴム、フッ素系ゴム、等が挙げられる。これらのゴム成分は1種を単独でも、2種以上の任意のブレンド物としても使用できる。
本発明の油圧ホースを構成する金属繊維を含んで編成してなる補強層4a、4b、4c、4dとしては、その材質及び構造等に特に制限は設けられず、目的及び必要等に応じて適宜に選択できる。
本発明の油圧ホースには、補強層の外側にさらに外被ゴム層を設ける。外被ゴム層は従来の油圧ホースホースに使用されているものと同様に、例えば熱可塑性樹脂等からなる層で構成することができるし、前記各種ゴムにより構成してもよい。外皮ゴム層を設けることで、補強層を構成する繊維が保護され、補強層の外傷を防止することができるとともに外観上も好ましいものとなる。
外皮ゴム層の一般的な肉厚は、0.3mm〜2.0mmの範囲であることが好ましい。
次に、本発明の油圧ホースの製造方法について説明する。
本発明の油圧ホースの製造は、例えば(1)弾性体マンドレルの外周面上に前記内管を押出し被覆する工程、(2)前記内管の外周面上に中間ゴム層を被覆する工程、(3)被覆された中間ゴム層の外周面上に前記補強層を巻装する工程、(4)巻装された補強層の外周面上に前記外被ゴム層を押出し被覆する工程、(5)中間ゴム層と補強層と外被ゴム層を有する未加硫ホースを加硫する工程、(6)加硫ホースからマンドレルを引抜く工程、を経ることにより行われる。
(1)ホース内管用ゴム組成物の製造
ホース内管用ゴム組成物の製造に用いた材料は次の通りであり、実施例及び比較例のホース内管用ゴム組成物を構成する各材料の配合量(重量部)は表1,2に示す通りである。
<アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)>
極高ニトリル JSR製「N215L」 アクリロニトリル含有量48重量%
高ニトリル JSR製「N220S」 アクリロニトリル含有量41重量%
中高ニトリル JSR製「N230S」 アクリロニトリル含有量35重量%
低ニトリル JSR製「N250S」 アクリロニトリル含有量20重量%
<ポリブタジエンゴム(BR)>
VCR(1) 宇部興産製「UBEPOL−VCR412」
シス1,4結合含量98%,ビニル結合含量1.0%
VCR(2) 宇部興産製「UBEPOL−VCR617」
シス1,4結合含量98%,ビニル結合含量1.0%
BR 宇部興産製「UBEPOL 150L」
シス1,4結合含量98%,ビニル結合含量1.0%
高シス−ブタジエンゴム 下記製造方法に従って製造したもの
シス1,4結合含量98.43%,ビニル結合含量0.13%,
Mw/Mn=2.3
(1)触媒の調製
乾燥及び窒素置換された容積100mLのゴム栓付きガラスビンに、順次、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:15.2重量%)7.11g、ネオジムネオデカノエートのシクロヘキサン溶液(ネオジム濃度:0.56M)0.59mL、メチルアルミノキサン(MAO)[東ソーファインケム製PMAO]のトルエン溶液(アルミニウム濃度:3.23M)10.32mL、水素化ジイソブチルアルミニウム[関東化学製]のヘキサン溶液(0.90M)7.77mLを投入し、室温で2分間熟成した後、塩化ジエチルアルミニウム[関東化学製]のヘキサン溶液(0.95M)1.45mLを加え、室温で時折撹拌しながら15分間熟成した。こうして得られた触媒溶液中のネオジム濃度は、0.011M(mol/L)であった。
(2)高シス−ブタジエンゴムの製造
乾燥及び窒素置換された容積約1Lのゴム栓付きガラスビンに、乾燥精製された1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液及び乾燥シクロヘキサンをそれぞれ投入し、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:5.0重量%)400gが投入された状態とし、10℃の水浴中で十分に冷却した。次に、上記のようにして調製した触媒溶液1.56mL(ネオジム換算で0.017mmol)を加え、10℃の水浴中で3.5時間重合を行った。引き続き、老化防止剤2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)のイソプロパノール溶液(NS−5濃度:5重量%)2mLを加えて反応を停止させ、更に、微量のNS−5を含むイソプロパノール溶液中で再沈澱させた後、常法にて乾燥して、ほぼ100%の収率で高シス−ブタジエンゴムを得た。
<配合剤>
カーボンブラック 東海カーボン製「シーストF」
可塑剤 THIKOL CHEMICAL製「TP−95」
表1,2に示す材料を各配合量(重量部)に従ってバンバリーミキサーを用いて120℃で約5分間撹拌し、均一な混合物を得た。
得られたサンプルについて、伸張疲労性、耐油性、セット性、低温性を評価した。結果を表1,2に示す。
<伸張疲労性>
25℃において、得られたサンプルを0〜50%の割合で伸張を繰り返し行い、破断までの回数を計測した。
<耐油性(体積変化率(%))>
JIS K 6301に準じて測定した。
<セット性>
JIS K 6262の5に準じて測定した。
<低温性>
JIS K 6301に規定する衝撃脆化試験に準じて測定した。
実施例1〜10、比較例1〜9で得られたゴム組成物を押出成形することにより内管(ただし未加硫)を製造した。得られたチューブ状内管の厚さは1.6mmであった。
次いで、得られた内管に中間ゴム層(CR系ゴム組成物)を押出被覆した(厚さ:0.3mm)。
さらに中間ゴム層上に補強層として、ワイヤー(直径0.60mmブラスメッキワイヤー)を打ち込み本数95本でスパイラルに編み上げた。
同様に上記中間ゴム層と補強層をそれぞれ4層積層した後、最外周の補強層上に外被ゴム層(CR系ゴム配合物)を押出して被覆した(厚さ:1.2mm)。その後、熱風中150℃で60分間加硫を行って油圧ホースとした。
得られた油圧ホースの内径が25mm、外径が37mmであった。
この油圧ホースについて、耐衝撃性をJIS K 6330−8に従って評価した結果を表1,2に示す。
2 内管
3a,3b,3c,3d 中間ゴム層
4a,4b,4c,4d 補強層
5 外被ゴム層
Claims (9)
- 少なくとも1,3−ブタジエン単量体単位を含むブタジエン系重合体と、アクリロニトリルブタジエンゴムとを含むホース内管用ゴム組成物であって、
該1,3−ブタジエン単量体単位中のフーリエ変換赤外分光法で測定したシス−1,4結合含量が98.0%以上且つビニル結合含量が0.3%以下で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.6〜3.5であり、
該ホース内管用ゴム組成物全体のニトリル含有量が26〜35重量%であることを特徴とするホース内管用ゴム組成物。 - 請求項1において、前記シス−1,4結合含量と前記ビニル結合含量とが、下記式(I):
(ビニル結合含量)≦0.25×{(シス−1,4結合含量)−97}(%)…(I)
の関係を満たすことを特徴とするホース内管用ゴム組成物。 - 請求項1又は2において、前記重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.6〜2.7であることを特徴とするホース内管用ゴム組成物。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ブタジエン系重合体が1,3−ブタジエン単量体単位80〜100重量%と1,3−ブタジエンと共重合可能なその他の単量体単位20〜0重量%とからなることを特徴とするホース内管用ゴム組成物。
- 請求項4において、前記ブタジエン系重合体が1,3−ブタジエン単量体単位のみからなることを特徴とするホース内管用ゴム組成物。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記数平均分子量(Mn)が100,000〜500,000であることを特徴とするホース内管用ゴム組成物。
- 請求項6において、前記数平均分子量(Mn)が150,000〜300,000であることを特徴とするホース内管用ゴム組成物。
- 請求項1ないし7のいずれか1項において、前記ブタジエン系重合体と、前記アクリロニトリルブタジエンゴムとの配合割合が10/90〜40/60(重量比)であることを特徴とするホース内管用ゴム組成物。
- 請求項1ないし8のいずれか1項に記載のホース内管用ゴム組成物よりなる内管を有する油圧ホース。
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