JP2002054768A - 燃料ホース - Google Patents

燃料ホース

Info

Publication number
JP2002054768A
JP2002054768A JP2001163872A JP2001163872A JP2002054768A JP 2002054768 A JP2002054768 A JP 2002054768A JP 2001163872 A JP2001163872 A JP 2001163872A JP 2001163872 A JP2001163872 A JP 2001163872A JP 2002054768 A JP2002054768 A JP 2002054768A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
layer
tubular body
fuel hose
fluororesin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001163872A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4126887B2 (ja
Inventor
Hiroaki Ito
弘昭 伊藤
Shinji Iio
真治 飯尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP2001163872A priority Critical patent/JP4126887B2/ja
Publication of JP2002054768A publication Critical patent/JP2002054768A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4126887B2 publication Critical patent/JP4126887B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Rigid Pipes And Flexible Pipes (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】ゴム管状体の内周にフッ素樹脂層を形成した燃
料ホース、特にフッ素樹脂層が粉体塗装に係るものにお
いて、耐ガソリン透過性、ホースの柔軟性、ゴム管状体
とフッ素樹脂層の接着性等を向上させる。 【構成】ビニリデンフルオライドとクロロトリフルオロ
エチレンとの共重合体からなるフッ素樹脂でフッ素樹脂
層を構成し、前記共重合体に金属塩を配合するか、
ゴム管状体を構成する基材ゴムにアクリルゴムを配合す
るか、ゴム管状体を構成する基材ゴムに有機アンモニ
ウム塩等を配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の燃料配
管に用いられる燃料ホースに関する。本発明は、ガソリ
ン、特にアルコール混合ガソリンやサワーガソリン等に
対して優れた耐性を持つ信頼性の高い燃料ホースを提供
できる。又、燃料電池用燃料であるアルコールや水素に
対しても好ましく使用できる。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題に関連して大気中に放出
されるガソリンの量を低減させる必要が指摘されてい
る。従って、自動車等の燃料ホースについても、ガソリ
ンの透過量に関する規制がますます厳しくなっている。
旧来のNBR/PVC(アクリロニトリルブタジエン−
ポリ塩化ビニルブレンドゴム)等からなる単層構造の燃
料ホースでは、上記のガソリン透過規制に充分に対応で
きない。
【0003】又、自動車の排ガスを清浄化する目的で用
いられるアルコール混合ガソリンは、アルコール無添加
のガソリンに比べてガソリン透過量が多い。この点から
もガソリン透過性の一層低い燃料ホースが待望されてい
る。
【0004】そこで、燃料ホースを多層構造にするこ
と、特に多層の内の一層をガソリン透過性の非常に低い
フッ素樹脂層とすることが提案されている。これらの提
案は、プロセスの違いにより2種類に大別できる。前者
は、未加硫のゴム管状体と押出成形したフッ素樹脂層と
を積層して加硫接着させるものである。後者は、加硫を
完了したゴム管状体に対して粉末塗装法によりフッ素樹
脂層を形成させるものである。
【0005】前者の一例が特開平8−118549号公
報に開示されている。即ち、有機ホスホニウム塩を配合
したエピクロルヒドリン未加硫ゴムからなるゴム管状体
と、押出成形したフッ素樹脂層とを積層して加硫する発
明が開示されている。前者の他の一例が特開平8−16
9085号公報に開示されている。即ち、未加硫の外層
ゴム管状体と未加硫の内層ゴム管状体との間に、押出成
形したフッ素樹脂層を積層して加硫する発明が開示され
ている。上記の外層ゴム管状体は、1,8−ジアザビシ
クロ〔5,4,0〕ウンデセン−7塩(DBU塩)と有
機ホスホニウム塩を配合した未加硫のエピクロルヒドリ
ンゴムからなる。又、上記の内層ゴム管状体は、DBU
塩又は有機ホスホニウム塩を配合した未加硫のNBRあ
るいは未加硫のフッ素ゴムからなる。
【0006】後者の一例が特開平6−255004号公
報に開示されている。即ち、加硫したゴム管状体の内周
面にフッ素樹脂の粉末を静電塗装した後、加熱及び冷却
することによりフッ素樹脂層を形成した燃料ホースの発
明が開示されている。この発明においては、ゴム管状体
とフッ素樹脂層との接着性を確保するため、ゴム管状体
の内周面に前処理としてナトリウムエッチング処理,コ
ロナ処理,低温プラズマ処理等を施している。
【0007】上記した前者の従来技術においては、ゴム
管状体とフッ素樹脂層とは加硫接着により良好に接着さ
れている。しかし、フッ素樹脂層を押出成形により形成
するため、フッ素樹脂層の層厚を良好な品質を以て0.
05mm〜0.2mm程度又はそれ以下に薄膜化するこ
とが困難である。従ってフッ素樹脂層を十分に薄くする
ことができないため、燃料ホースの柔軟性が損なわれ、
ホ−ス組付け時の作業性の悪化、車体振動等に伴う燃料
ホースの割れやホース層間の剥離を招くと言う問題があ
った。又、押出成形法ではフッ素樹脂層はゴム管状体の
全長にわたって略均一な厚さに形成される。このため、
フッ素樹脂層をゴム管状体の内周に形成すると、ホース
接続部のシール性が悪くなると言う問題がある。又、ホ
ース接続時に大きな挿入力を要すると言う問題がある。
更に、フッ素樹脂層をコルゲート形状に形成し難いと言
う問題もある。
【0008】これに対して上記後者の従来技術において
は、フッ素樹脂層の層厚を0.05mm〜0.2mm程
度又はそれ以下に薄膜化することは容易である。又、ゴ
ム管状体に対するフッ素樹脂粉末の塗装部位及び層厚さ
を選択できる。従って、フッ素樹脂層をゴム管状体の内
周に形成する場合に、ホース接続部を避けてフッ素樹脂
層を形成することにより、上記シール性の問題を回避で
きる。又、ホース接続部のフッ素樹脂層の層厚を薄く形
成することにより、ホース接続時の挿入力を小さくする
こともできる。しかも、フッ素樹脂層をコルゲート形状
に形成することも容易である。
【0009】以上の事項を重視するならば、フッ素樹脂
層を含む多層構造の燃料ホースは、後者のプロセスによ
り製造する方が好ましい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、後者の
製造プロセスにも、上記特開平6−255004号公報
等では指摘していない問題点がある。即ち、粉体塗装さ
れた通常のフッ素樹脂は溶融温度がかなり高い。そのた
め、粉体塗装されたフッ素樹脂をゴム管状体に溶融付着
させる際に、ゴム管状体が熱劣化してしまう。この問題
を避けるため、フッ化ビニリデンホモポリマーのような
溶融温度の低いフッ素樹脂を用いることも考えられる。
しかし、溶融温度の低いフッ素樹脂は剛性が高いため、
燃料ホースの柔軟性を損ない、ゴム管状体との接着性も
不十分となる。
【0011】又、上記発明におけるナトリウムエッチン
グ処理等の接着前処理は、製造工程を複雑化させると言
う問題がある。
【0012】このような問題に対して、本件出願人は、
特願平10−196839号(特開平11−82822
号公報)において、「単層又は多層からなるゴム管状体
と、その最内層の内周面に形成されたフッ素樹脂層とを
備えた燃料ホースであって、前記フッ素樹脂層がビニリ
デンフルオライドとクロロトリフルオロエチレンの共重
合体を以て形成されている燃料ホース」の発明を提案し
ている。
【0013】上記本件出願人の出願に係る発明によれ
ば、単層又は多層のゴム管状体最内層の内周面にフッ素
樹脂層を形成しているので、アルコール混合ガソリンや
サワーガソリン,アミン系清浄剤( amine detergent)
等に対して優れた耐性と耐透過性が得られ、又、このフ
ッ素樹脂は溶融温度が比較的低いために、その溶融付着
の際のゴム管状体の熱劣化を回避できる。更にこの発明
において、ゴム管状体の少なくとも最内層に、有機アン
モニウム塩,有機ホスホニウム塩,ポリアミン系添加剤
の少なくとも一種を含有させることにより、フッ素樹脂
層を粉末塗装法によって形成する場合であっても、加硫
接着によらずしてゴム管状体とフッ素樹脂層との必要な
接着性を確保できる、と言う効果を得ている。
【0014】しかしながら、その後の研究により、フッ
素樹脂としてビニリデンフルオライドとクロロトリフル
オロエチレンの共重合体を用いると、上記の効果の反面
でガソリン透過性がやや犠牲になっていることが判明し
た。又、ゴム管状体のゴム材料に有機アンモニウム塩,
有機ホスホニウム塩又はポリアミン系添加剤を添加する
ことによる上記の接着性向上効果は、主に初期接着性に
関してであって、燃料封入後の接着性に関する向上効果
は必ずしも十分でないことが判明した。
【0015】そこで本発明は、ゴム管状体の内周にフッ
素樹脂粉末を粉末塗装により溶融付着させたフッ素樹脂
層を有する燃料ホースにおいて、前記従来技術の問題点
に加え、本願発明者の研究により新たに判明上記問題点
についても有効な対策を提供することを、解決すべき課
題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】(第1発明の構成)上記
課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の
発明)の構成は、単層又は多層からなるゴム管状体と、
その最内層の内周面の全面又は特定部に形成されたフッ
素樹脂層とを備えた燃料ホースであって、前記フッ素樹
脂層がビニリデンフルオライドとクロロトリフルオロエ
チレンの共重合体を以て形成され、かつ、該共重合体に
対して0.3重量%以下の金属塩が配合されている、燃
料ホースである。
【0017】(第2発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、
前記第1発明において、以下の(1)〜(4)の少なく
とも1条件に該当する、燃料ホースである。 (1)前記金属塩が、1価又は2価の金属の塩である。 (2)前記金属塩が、1価又は2価の金属の、ハロゲン
化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩又はその他の無機酸塩
である。 (3)前記金属塩が、塩化カリウムである。 (4)前記金属塩の配合量が、0.05〜0.3重量%
である。
【0018】(第3発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、
前記第1発明又は第2発明に係るフッ素樹脂層の層厚が
0.05〜0.2mmである、燃料ホースである。
【0019】(第4発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第4発明(請求項4に記載の発明)の構成は、
単層又は多層からなるゴム管状体と、その最内層の内周
面の全面又は特定部に形成されたフッ素樹脂層とを備え
た燃料ホースであって、前記フッ素樹脂層がビニリデン
フルオライドとクロロトリフルオロエチレンの共重合体
を以て形成され、かつ、前記ゴム管状体が基材ゴムに対
して5〜35phr( parts per hundredparts of rub
ber:即ち基材ゴム100重量部に対する重量部数であ
る)のアクリルゴムを配合したブレンドゴムを以て形成
されている、燃料ホースである。
【0020】(第5発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第5発明(請求項5に記載の発明)の構成は、
前記第4発明において、以下の(5)及び/又は(6)
に該当する、燃料ホースである。 (5)前記基材ゴムに対するアクリルゴムの配合量が5
〜25phrである。 (6)前記アクリルゴムが、いずれも架橋点を備えたア
クリル酸アルキルエステル又はアクリル酸アルコキシエ
ステルを構成要素とする。
【0021】(第6発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第6発明(請求項6に記載の発明)の構成は、
前記第4発明又は第5発明に係るフッ素樹脂層の層厚が
0.05〜0.2mmである、燃料ホースである。
【0022】(第7発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第7発明(請求項7に記載の発明)の構成は、
単層又は多層からなるゴム管状体と、その最内層の内周
面の全面又は特定部に形成されたフッ素樹脂層とを備え
た燃料ホ−スであって、前記フッ素樹脂層がビニリデン
フルオライドとクロロトリフルオロエチレンの共重合体
を以て形成され、かつ、該重合体に対して0.3重量%
以下の金属塩が配合され、又、前記ゴム管状体が基材ゴ
ムに対して5〜35phrのアクリルゴムを配合したブ
レンドゴムを以て形成されている、燃料ホ−スである。
【0023】(第8発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第8発明(請求項8に記載の発明)の構成は、
単層又は多層からなるゴム管状体と、その最内層の内周
面の全面又は特定部に形成されたフッ素樹脂層とを備え
た燃料ホースであって、前記フッ素樹脂層がビニリデン
フルオライドとクロロトリフルオロエチレンの共重合体
を以て形成され、前記ゴム管状体が有機アンモニウム
塩,有機ホスホニウム塩,ポリアミン系添加剤の少なく
とも一種を含有した基材ゴムに対して5〜35phrの
アクリルゴムを配合したブレンドゴムを以て形成されて
いる、燃料ホースである。
【0024】(第9発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第9発明(請求項9に記載の発明)の構成は、
単層又は多層からなるゴム管状体と、その最内層の内周
面の全面又は特定部に形成されたフッ素樹脂層とを備え
た燃料ホースであって、前記フッ素樹脂層がビニリデン
フルオライドとクロロトリフルオロエチレンの共重合体
を以て形成され、かつ、該共重合体に対して0.3重量
%以下の金属塩が配合され、又、前記ゴム管状体が有機
アンモニウム塩,有機ホスホニウム塩,ポリアミン系添
加剤の少なくとも一種を含有した基材ゴムに対して5〜
35phrのアクリルゴムを配合したブレンドゴムを以
て形成されている、燃料ホースである。
【0025】(第10発明の構成)上記課題を解決する
ための本願第10発明(請求項10に記載の発明)の構
成は、前記第1発明〜第9発明に係るフッ素樹脂層を、
前記ゴム管状体の最内層の内周面にフッ素樹脂の粉末を
粉末塗装により溶融付着して形成した、燃料ホースであ
る。
【0026】(第11発明の構成)上記課題を解決する
ための本願第11発明(請求項11に記載の発明)の構
成は、前記第1発明〜第10発明に係るフッ素樹脂を構
成するビニリデンフルオライド(A)とクロロトリフル
オロエチレン(B)のモル比がA/B=98/2〜85
/15である、燃料ホースである。
【0027】(第12発明の構成)上記課題を解決する
ための本願第12発明(請求項12に記載の発明)の構
成は、前記第8発明〜第11発明に係る有機アンモニウ
ム塩が1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセ
ン−7塩である、燃料ホースである。
【0028】
【発明の作用・効果】(第1発明の作用・効果)第1発
明においては、単層又は多層のゴム管状体最内層の内周
面の全面又は特定部に、ビニリデンフルオライドとクロ
ロトリフルオロエチレンの共重合体からなるフッ素樹脂
層を形成しているので、ガソリン、特にアルコール混合
ガソリンやサワーガソリン等に対して優れた耐性と低透
過性とを持つ信頼性の高い燃料ホースを提供することが
できる。
【0029】又、このフッ素樹脂は、その粉末がゴム管
状体を熱劣化させない程度の温度で溶融し、かつ形成さ
れたフッ素樹脂層の剛性が相対的に高くないので、フッ
素樹脂層を粉末塗装により溶融付着して形成した場合に
おいても、ゴム管状体の熱劣化を回避でき、しかも燃料
ホースの柔軟性を維持でき、結果的にゴム管状体とフッ
素樹脂層の接着性も良くなる。
【0030】更に、前記フッ素樹脂共重合体に対して
0.3重量%以下の金属塩が配合されているので、ガソ
リン低透過性が十分に確保される。この効果が得られる
理由は必ずしも明確ではないが、本願発明者は、金属塩
の配合によりフッ素樹脂共重合体の微細結晶化が促進さ
れ、このことがガソリン低透過性に貢献するのではない
か、と推定している。
【0031】(第2発明の作用・効果)第2発明の
(1)のように、前記金属塩としては、1価又は2価の
金属の塩が好ましく、特に(2)のように金属塩が1価
又は2価の金属の、ハロゲン化物、水酸化物、炭酸塩、
硫酸塩又はその他の無機酸塩であることが好ましい。と
りわけ、(3)のように金属塩が塩化カリウムであるこ
とが好ましい。金属塩は、中性塩が特に好適である。
又、前記金属塩の配合量の下限値は限定されず、0.0
1重量%程度でも効果を期待できる場合があるが、一般
的には第2発明の(4)のように、金属塩の配合量は
0.05〜0.3重量%であることが好ましい。
【0032】(第3発明の作用・効果)第1発明又は第
2発明に係る燃料ホースは、前記のようなフッ素樹脂層
とこれに対する金属塩の配合とによる優れたガソリン低
透過性を備えるので、フッ素樹脂層を0.05〜0.2
mm程度に非常に薄く形成することが可能となる。従っ
て、燃料ホースを更に柔軟化することができる。
【0033】(第4発明の作用・効果)第4発明におい
ては、前記第1発明において説明したフッ素樹脂層の利
点に加え、基材ゴムに対して5〜35phrのアクリル
ゴムを配合するので、ゴム管状体のフッ素樹脂層に対す
る接着性が、初期接着性のみでなく、燃料封入後の接着
性に関しても十分に向上する。
【0034】(第5発明の作用・効果)第5発明の
(5)のように、基材ゴムに対するアクリルゴムの配合
量は5〜25phrであることが特に好ましく、又、第
5発明の(6)のように、アクリルゴムが、いずれも架
橋点を備えたアクリル酸アルキルエステル又はアクリル
酸アルコキシエステルを構成要素とすることが特に好ま
しい。
【0035】(第6発明の作用・効果)第6発明におい
ては、フッ素樹脂層の層厚を0.05〜0.2mmとす
るので、燃料ホースの柔軟性を充分に確保することがで
きる。このような層厚でも、フッ素樹脂層による優れた
ガソリン低透過性を期待できる。
【0036】(第7発明の作用・効果)第7発明におい
ては、前記第1発明において説明したフッ素樹脂層の利
点と、フッ素樹脂共重合体に金属塩を配合することの利
点に加え、前記第4発明において説明した、基材ゴムに
対して5〜35phrのアクリルゴムを配合することに
よる利点をも期待することができる。
【0037】(第8発明の作用・効果)第8発明におい
ては、前記第1発明において説明したフッ素樹脂層の利
点と、前記第4発明において説明した、基材ゴムに対し
て5〜35phrのアクリルゴムを配合することによる
利点に加え、基材ゴムが有機アンモニウム塩,有機ホス
ホニウム塩,ポリアミン系添加剤の少なくとも一種を含
有するので、ゴム管状体とフッ素樹脂層との必要な接着
性を確保できる。
【0038】(第9発明の作用・効果)第9発明におい
ては、前記第1発明において説明したフッ素樹脂層の利
点と、フッ素樹脂共重合体に金属塩を配合することの利
点に加え、前記第4発明において説明した、基材ゴムに
対して5〜35phrのアクリルゴムを配合することに
よる利点と、基材ゴムが有機アンモニウム塩,有機ホス
ホニウム塩,ポリアミン系添加剤の少なくとも一種を含
有することによる利点をも期待することができる。
【0039】(第10発明〜第12発明の作用・効果)
第10発明のように粉末塗装によるときは、フッ素樹脂
層を所望の厚さで、ポア等の欠陥なく形成することがで
きる。
【0040】第11発明のようにA)と(B)のモル比
を設定することで、フッ素樹脂粉末の溶融温度の低下及
びフッ素樹脂層の柔軟性の維持と、低ガソリン透過性と
を両立させ易い。
【0041】第12発明のように有機アンモニウム塩が
DBU塩であると、ゴム管状体とフッ素樹脂層との接着
性を特に確保し易い。
【0042】
【発明の実施の形態】次に、第1発明〜第12発明の実
施の形態について説明する。以下において単に「本発
明」と言う時は、第1発明〜第12発明を一括して指し
ている。
【0043】〔燃料ホース〕本発明の燃料ホースは、単
層又は多層からなるゴム管状体と、その最内層の内周面
の全面又は特定部に形成されたフッ素樹脂層とを備え、
自動車その他の燃料配管に用いられるホースを限定なく
含む。燃料ホースの用途は限定されないが、ガソリン、
特にアルコール混合ガソリンやサワーガソリン等に対し
て優れた耐性を持つ燃料配管として、及びアルコールや
水素等の燃料配管として、好ましく用いられる。
【0044】〔ゴム管状体〕ゴム管状体は単層構造又は
多層構造のいずれであっても良く、これを構成する基材
ゴムも燃料ホースの分野で使用されている任意のゴム材
料、例えばエピクロルヒドリンゴム,NBR,フッ素ゴ
ム,NBR−PVC,クロロスルホン化ポリエチレンゴ
ム,塩素化ポリエチレンゴム,アクリルゴム,エチレン
−プロピレンゴム等を適宜に選択すれば良い。
【0045】但し、ゴム管状体とフッ素樹脂層との接着
性を高めるためには、単層構造のゴム管状体、又は多層
構造のゴム管状体における少なくとも最内層を、エピク
ロルヒドリンゴム,NBR,フッ素ゴム,NBR−PV
Cのいずれかを以て形成することが好ましい。
【0046】エピクロルヒドリンゴムの種類は限定され
ず、燃料ホースの分野で使用されている任意のものを適
宜に選択すれば良いが、より好ましくは、エピクロルヒ
ドリンの単独重合体(CO),エピクロルヒドリンとエ
チレンオキシドとの共重合体(ECO)あるいはこれら
の各々に対してアリルグリシジルエーテルを共重合させ
たもの(GECO)を用いることができる。
【0047】NBRの種類も限定されないが、結合アク
リロニトリル量が15〜45%、とりわけ25〜40%
のものが好適である。
【0048】フッ素ゴムの種類も限定されないが、より
好ましくは、フッ化ビニリデンと6−フッ化プロピレン
との共重合体,フッ化ビニリデンと4−フッ化エチレン
及び6−フッ化プロピレンの三元共重合体,4−フッ化
エチレンとプロピレンとの共重合体,フッ化ポリビニリ
デンとアクリルゴムとのブレンド物等を用いることがで
きる。
【0049】NBR−PVCの種類も限定されないが、
より好ましくは、結合アクリロニトリル量が25〜45
%、とりわけ30〜40%で、かつPVCブレンド量が
15〜40%、とりわけ25〜35%のものを用いるこ
とができる。
【0050】〔ゴム管状体の添加物〕単層構造のゴム管
状体、又は多層構造のゴム管状体における少なくとも最
内層を構成する基材ゴムには、有機アンモニウム塩,有
機ホスホニウム塩,ポリアミン系添加剤の一種又は二種
以上を含有させることが、ゴム管状体とフッ素樹脂層と
の接着性を高めるために好ましい。二種以上を含有させ
る場合においては、有機アンモニウム塩と有機ホスホニ
ウム塩の少なくとも一方と、ポリアミン系添加剤との組
合せが特に好ましい。ポリアミン系添加剤については、
ヒドリンゴム又はフッ素ゴムに対して配合された場合
に、加硫剤としても作用すると言う好ましい性質があ
る。
【0051】これらの添加剤の上記所定の基材ゴムへの
配合割合に特段の限定はないが、有機アンモニウム塩と
有機ホスホニウム塩については、好ましくはゴム100
重量部に対して0.5〜10重量部、特に好ましくは
0.5〜7重量部である。これらの配合割合が0.5重
量部未満であると効果が不足し勝ちであり、10重量部
を超えると機械的強度の悪化や圧縮永久歪の悪化を招く
懸念がある。
【0052】一方、ポリアミン系添加剤の配合割合につ
いては、好ましくはゴム100重量部に対して0.1〜
10重量部、特に好ましくは0.5〜6重量部である。
この配合割合が0.5重量部未満であると効果が不足し
勝ちであり、10重量部を超えるとガソリン接触状態で
の亀裂成長性が悪化すると言う懸念がある。
【0053】ゴム管状体とフッ素樹脂層との接着性を高
めるために、基材ゴムに対して5〜35phr、特に好
ましくは5〜25phrのアクリルゴムを配合すること
が、特に望ましい。又、基材ゴムに対して上記アクリル
ゴムを配合した場合には、逆に、基材ゴムに対する有機
アンモニウム塩,有機ホスホニウム塩,ポリアミン系添
加剤の配合を省略しても、ゴム管状体とフッ素樹脂層と
の初期接着性ばかりでなく、燃料封入後の接着性も良好
となる。
【0054】このアクリルゴムは、いずれも架橋点を備
えたアクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸アルコ
キシエステルを構成要素とするものが好ましい。例えば
アクリル酸アルキルエステルとしてはメチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、ブチルアクリレートが好まし
く例示される。例えばアクリル酸アルコキシエステルと
してはメトキシエチルアクリレート、エトキシエチルア
クリレートが好ましく例示される。
【0055】上記架橋点としては、2−クロロエチルビ
ニルエーテルの場合のような塩素基、クロロ酢酸ビニル
やサイクロールクロロアセテートの場合のような活性塩
素基、アリルグリシジルエーテルやグリシジルメタアク
リレートの場合のようなエポキシ基、エチリデンノルボ
ルネンの場合のような不飽和基、アクリル酸の場合のよ
うなカルボキシル基等が例示され、又、アクリル酸アル
キルエステルやアクリル酸アルコキシエステルにアクリ
ロニトリル,エチレン又は酢酸ビニルを共重合させたも
のも例示される。
【0056】上記の添加剤やアクリルゴムを基材ゴムに
配合するに当たっては、通常の又は公知のゴム配合混合
機を用いて行うことができるが、特にバンバリーミキサ
ー,ニーダー等を用いることが好ましい。
【0057】上記した有機アンモニウム塩の種類は限定
されないが、例えば、フッ素樹脂の活性化の点で、カル
ボン酸のDBU塩やフェノール樹脂のDBU塩等の各種
DBU塩を好ましく用いることができる。カルボン酸の
DBU塩としては、次の「化1」に示すナフトエ酸のD
BU塩や、ソルビン酸のDBU塩を単独で、あるいは組
合わせて用いることが、接着性を高めるために特に好ま
しい。
【0058】有機アンモニウム塩としては他にも、硫酸
水素テトラブチルアンモニウム,硫酸水素テトラメチル
アンモニウム,硫酸水素テトラエチルアンモニウム,硫
酸水素トリオクチルメチルアンモニウム,硫酸水素トリ
ドデシルメチルアンモニウム,硫酸水素トリメチルベン
ジルアンモニウム等を単独で、又は相互に組合わせて、
更には上記DBU塩と組合わせて、好ましく用いること
ができる。
【0059】
【化1】 上記した有機ホスホニウム塩の種類も限定されないが、
例えば、テトラブチルホスホニウムクロライド,テトラ
ブチルホスホニウムブロマイド,トリブチル(メトキシ
プロピル)ホスホニウムクロライド,ベンジルトリフェ
ニルホスホニウムクロライド,ベンジルトリオクチルホ
スホニウムクロライド,テトラブチルホスホニウムベン
ゾトリアゾール,トリオクチルエチルホスホニウムベン
ゾトリアゾール,テトラフェニルホスホニウムブロマイ
ド等を単独で、あるいは組合わせて用いることができ
る。
【0060】更に例えば、テトラブチル基,テトラオク
チル基,メチルトリオクチル基,ブチルトリオクチル
基,フェニルトリブチル基,ベンジルトリブチル基,ベ
ンジルトリシクロヘキシル基,ベンジルトリオクチル
基,ブチルトリフェニル基,オクチルトリフェニル基,
ベンジルトリフェニル基,ジフェニルジ(ジエチルアミ
ノ)基,フェニルベンジルジ(ジメチルアミノ)基,ト
リフルオロメチルベンジル基,テトラフルオロプロピル
トリオクチル基の内の一つの基を持つホスホニウムベン
ゾトリアゾレート又はトリルトリアゾレート等も用いる
ことができる。
【0061】上記したポリアミン系添加剤の種類も限定
されないが、例えば、1,6−ヘキサメチレンジアミ
ン,トリエチレンテトラミン,テトラエチレンペンタミ
ン,トリエチレンジアミン,パラフェニレンジアミン,
ヘキサメチレンジアミンカルバメート,エチレンジアミ
ンカルバメート,N,N’−ジシンナミリデン−1,6
−ヘキサンジアミン,4,4’−ビス(アミノシクロヘ
キシル)メタンカルバメート,4,4’−ジアミノジフ
ェニルエーテル,4,4’−ジアミノジフェニルメタン
等を単独で、あるいは組合わせて用いることができる。
【0062】〔フッ素樹脂層〕本発明において、フッ素
樹脂層はビニリデンフルオライド(A)とクロロトリフ
ルオロエチレン(B)の共重合体からなり、単層又は多
層のゴム管状体における最内層の内周面の全面又は特定
部に形成される。フッ素樹脂層は、ゴム管状体の内周面
全面に形成しても良く、ゴム管状体の内周面の特定の部
分(例えば、ホース接続部)を避けて形成しても良い。
【0063】この共重合体において、上記A,B両者の
モル比は特段に限定されるものではないが、そのモル比
がA/B=98/2〜85/15であることが、フッ素
樹脂の溶融温度を適度に低くでき、かつフッ素樹脂層の
柔軟性を維持するために、より好ましい。
【0064】上記モル比の限定範囲に対して、ビニリデ
ンフルオライドの割合が過剰側へ外れ過ぎると、フッ素
樹脂の溶融温度が高くなると共に、フッ素樹脂層の剛性
が高くなり、燃料ホースの剛性アップ及びゴム管状体と
フッ素樹脂層との接着性悪化と言う不具合を招く懸念が
ある。又、ビニリデンフルオライドの割合が不足側へ外
れ過ぎると、フッ素樹脂の溶融温度が低くなり過ぎるた
め、使用温度に耐えられなくなると共に、耐ガソリン透
過性が悪化すると言う不具合を招く懸念がある。
【0065】上記フッ素樹脂の共重合体に対しては、
0.3重量%以下の金属塩が配合されていることが、特
に好ましい。金属塩の配合量は、0.05〜0.3重量
%が特に好適である。この金属塩は、1価又は2価の金
属の塩であることが好ましく、又は中性金属塩であるこ
とが好ましく、とりわけ、1価又は2価の金属のハロゲ
ン化物,水酸化物,炭酸塩,硫酸塩又はその他の無機酸
塩であり、特にとりわけ、塩化カリウムであることが好
ましい。
【0066】金属塩を配合する方法は任意である。例え
ば溶融状態のフッ素樹脂に粉末の金属塩を配合しても良
いし、粉末塗装に供するフッ素樹脂粉末を予め金属塩の
溶液に浸漬して金属塩を付着させ、これを乾燥させて用
いても良い。
【0067】フッ素樹脂層の層厚は特段に限定されない
が、燃料ホースの柔軟性の維持と耐ガソリン透過性の観
点より、層厚を0.5mm以下とすることがより好まし
く、0.05〜0.2mmとすることがとりわけ好まし
い。フッ素樹脂の共重合体に対して上記の金属塩を配合
した場合には、更にフッ素樹脂層の層厚を薄くして、
0.03〜0.15mmとすることができる。
【0068】フッ素樹脂層を構成するフッ素樹脂には、
本発明の作用・効果を阻害しない限りにおいて、酸化防
止剤,造核剤,可塑剤,着色剤,難燃剤等の各種の添加
剤を任意に添加しても構わない。
【0069】〔燃料ホースの製造〕本発明に係る燃料ホ
ースの製造方法は、実質的に可能な方法である限りにお
いて限定されないが、以下に製造方法の一実施形態を例
示する。この実施形態例は、ゴム管状体が単層構造で、
かつ図1に示すように両端部が円筒状でほぼ中央部が蛇
腹形状になっており、該ゴム管状体の内周面にフッ素樹
脂層を形成した燃料ホースの製造例である。
【0070】まず、エピクロルヒドリンゴム,NBR,
フッ素ゴム,NBR−PVCのいずれかの未加硫ゴム材
料に所定量のアクリルゴムを含有させ、射出成形機によ
り射出し、加硫成形して、図1の形状の単層構造のゴム
管状体1を作製する。
【0071】次に、このゴム管状体1の内周面の所定部
分(開口両端から一定幅の内周面を除いた部分)に、金
属塩を配合したフッ素系樹脂の粉末を粉末塗装により付
着溶融させる。具体的には、高電圧発生装置に接続され
たスプレーガンにエア管、樹脂粉末の供給管を通じてエ
アとフッ素系樹脂粉末とを供給し、スプレーガンに取付
けたノズルの噴射口から負又は正に帯電させたフッ素系
樹脂粉末を噴射して付着させ、加熱溶融してフッ素系樹
脂粉末を薄膜化する。
【0072】この時の加熱方法としては、例えば、内周
面がフッ素系樹脂粉末で塗装されたゴム管状体1を加熱
オーブンに入れて全体的に加熱する方法や、内周面がフ
ッ素系樹脂粉末で塗装されたゴム管状体1の内側に棒状
の加熱装置を挿入して内側から加熱する方法等がある。
加熱条件は、使用するフッ素系樹脂粉末やゴム管状体1
を構成するゴムの種類に応じて適宜に設定されるが、通
常は150〜250°Cで2〜40分間であり、より好
ましくは170〜240°Cで3〜35分間である。
【0073】最終工程で、上記加熱によりフッ素系樹脂
粉末を溶融薄膜化したゴム管状体1をオーブンから取出
し冷却することにより、図2(A)及び図2(B)に示
すように、ゴム管状体1の内周面の所定部分にフッ素系
樹脂層2を形成した燃料ホース3を得ることができる。
燃料ホース3は、ほぼ中央域に位置する蛇腹部3aと、
その両端に位置する円筒形状の端部3bとから構成され
ている。そして、使用時には、例えば図3に示すよう
に、一方の端部3bに相手側である金属製パイプ4を挿
入し接続することにより、燃料ホースとして使用され
る。図2(A)及び図3においては、ホースの接続部に
は内周面のフッ素系樹脂層が存在しない例を示すが、こ
れらの例においてホースの内周面の全面にフッ素系樹脂
層を形成することもできる。
【0074】燃料ホース3におけるフッ素系樹脂層2の
厚さは、通常は0.05〜0.2mmの範囲に設定され
る。又、ゴム管状体1のゴム層の厚さは、通常は2〜6
mmの範囲に、より好ましくは2〜4mmの範囲に設定
される。
【0075】なお、上記製造工程において、ゴム管状体
1の成形方法として射出成形機による射出成形を挙げて
いるが、これに限定されるものではなく、ゴム管状体1
の形状等に応じて例えば押出成形等の成形方法も用いる
ことができる。
【0076】又、ゴム管状体は図1に示すような蛇腹形
状であることに限定されず、直管形状あるいは曲管形状
であっても良く、更に図1に示すような単層構造のもの
に限定されるものではなく、好ましくは最内層がエピク
ロルヒドリンゴム,NBR,フッ素ゴム,NBR−PV
Cのいずれかで構成された、2層以上のゴム層からなる
多層構造のものであっても良い。
【0077】上記ゴム管状体が2層以上のゴム層からな
る多層構造のものは、ゴム管状体1の外周に、ゴム管状
体1の形状に沿って、前述の他のゴム材料からなるゴム
層を形成することにより作製される。このゴム層の形成
方法としては、第1層目を射出成形した後その外周に第
2層目を射出成形する方法や、多層を同時に押出成形す
る方法が挙げられる。
【0078】
【実施例】末尾の表1〜表4に示す単層構造のゴム管状
体に係る各実施例及び比較例、表5〜表7に示す複層構
造(内層と外層に区別)のゴム管状体に係る各実施例及
び比較例において、それらのゴム管状体を構成するゴム
材料の配合を、例えば「A1」,「A12」,「S
1」,「B1」,「C3」,「V1」等の記号で示し、
これらの記号に相当する具体的のゴム材料の配合内容を
末尾の表8〜表11に重量部表記で示す。
【0079】表1〜表7の各実施例及び比較例につい
て、それぞれ上記配合のゴム組成物を準備し、これを射
出成形機により180°Cで5分間加硫成形し、内径3
5mm、厚さ4mm、長さ200mmの蛇腹形状を持つ
ゴム管状体を作製した。なお、表1〜表7に表記した
「無機金属塩」は、いずれも塩化カリウムである。
【0080】次に、表1〜表7には表記していないが、
上記各実施例及び比較例に係るゴム管状体の内周面に、
ビニリデンフルオライド:クロロトリフルオロエチレン
のモル比が95:5であるフッ素樹脂の粉末を厚さ0.
2mmとなるように静電塗装した。この静電塗装は、6
0kv/10μAのコロナ放電(マイナス・チャージ)
により行った。更に、これらフッ素樹脂粉末を塗装した
ゴム管状体をオーブンに入れて、220°C/25分間
の条件で加熱溶融した後、オーブンから取出して冷却
し、これによってゴム管状体の内周面にフッ素樹脂層を
形成してなるホースを得た。 〔ホースの評価〕以上の、ゴム管状体が単層構造又は多
層構造である各実施例及び比較例に係るホースについ
て、燃料不透過性、及び、ゴム管状体(ゴム管状体が多
層構造の場合は、その最内層)とフッ素系樹脂層との接
着性を、下記のようにして調べ、結果を表に示した。
【0081】(燃料不透過性)まず、JIS K 62
58に規定するFuel C{トルエン/イソオクタン
=50/50(体積混合比)}、M15〔メタノール/
Fuel C=15/85(体積混合比)〕及びE10
〔エタノール/Fuel C=10/90(体積混合
比)〕の三種類の試験用ガソリンを準備し、これらのそ
れぞれを各例に係るホースに封入して温度60°Cで1
68時間放置した。次いで同一の新しいガソリンに入替
えた後、更に温度60°Cで72時間放置して、この更
新ガソリンの放置前後の重量変化から一日当たりの燃料
透過量を算出し、表に記した。
【0082】(接着性)JIS K 6256に準じて
接着性試験を行った。即ち、各例のホースの端部を幅2
5mmのリング状に切断し、リングの1ケ所を軸方向に
切開して試験サンプルとした。この試験サンプルの切開
面の部分から、ゴム層とフッ素系樹脂層とを一定の長さ
だけ互いに剥がし、その剥がしたゴム層とフッ素系樹脂
層の端を、それぞれ引張試験機のつかみ治具に固定し
て、引張速度25mm/min.で引張試験を行い、得
られた測定荷重から二層間の剥離強度を求めて初期値と
した。
【0083】次に、同一例に係るホースの中にFuel
Cを封入し、40°Cで72時間放置した後、このホ
ースから上記同様に試験サンプルを得て、同上の引張試
験を行い、求められた剥離強度を燃料封入後の値とし
た。
【0084】これらの剥離強度の初期値と燃料封入後の
値から、ゴム管状体(ゴム管状体が多層構造の場合は、
その内層)とフッ素系樹脂層との接着性を評価した。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】
【0090】
【表6】
【0091】
【表7】
【0092】
【表8】
【0093】
【表9】
【0094】
【表10】
【0095】
【表11】
【図面の簡単な説明】
【図1】ゴム管状体の一例を示す斜視図である。
【図2】図2(A)は本発明の燃料ホースの一例を示す
断面図であり、図2(B)はそのX−X線矢視断面図で
ある。
【図3】本発明の燃料ホースの使用用途を説明する断面
図である。
【符号の説明】
1 ゴム管状体 2 フッ素系樹脂層 3 燃料ホース 4 金属製パイプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 3/16 C08K 3/16 C08L 27/16 C08L 27/16 Fターム(参考) 3H111 AA02 BA12 BA15 BA31 BA34 CA47 CA52 CB02 CB03 CB22 CB29 DA26 DB08 EA05 4F100 AA00A AK17A AK17J AK18J AK19A AK19J AK25B AL01A AL05B AN00B DA11 GB32 JB07 JB12B JD05 4J002 BD141 DD026 DD056 DE056 DE066 DE216 DG046 FD206 GT00 4J100 AC24P AC31Q CA04 JA28

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単層又は多層からなるゴム管状体と、そ
    の最内層の内周面の全面又は特定部に形成されたフッ素
    樹脂層とを備えた燃料ホースであって、 前記フッ素樹脂層がビニリデンフルオライドとクロロト
    リフルオロエチレンの共重合体を以て形成され、かつ、
    該共重合体に対して0.3重量%以下の金属塩が配合さ
    れていることを特徴とする燃料ホース。
  2. 【請求項2】 以下の(1)〜(4)の少なくとも1条
    件に該当することを特徴とする請求項1に記載の燃料ホ
    ース。 (1)前記金属塩が、1価又は2価の金属の塩である。 (2)前記金属塩が、1価又は2価の金属の、ハロゲン
    化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩又はその他の無機酸塩
    である。 (3)前記金属塩が、塩化カリウムである。 (4)前記金属塩の配合量が、0.05〜0.3重量%
    である。
  3. 【請求項3】 前記フッ素樹脂層の層厚が0.05〜
    0.2mmであることを特徴とする請求項1又は請求項
    2に記載の燃料ホース。
  4. 【請求項4】 単層又は多層からなるゴム管状体と、そ
    の最内層の内周面の全面又は特定部に形成されたフッ素
    樹脂層とを備えた燃料ホースであって、 前記フッ素樹脂層がビニリデンフルオライドとクロロト
    リフルオロエチレンの共重合体を以て形成され、かつ、
    前記ゴム管状体が基材ゴムに対して5〜35phrのア
    クリルゴムを配合したブレンドゴムを以て形成されてい
    ることを特徴とする燃料ホース。
  5. 【請求項5】 以下の(5)及び/又は(6)に該当す
    ることを特徴とする請求項4に記載の燃料ホース。 (5)前記基材ゴムに対するアクリルゴムの配合量が5
    〜25phrである。 (6)前記アクリルゴムが、いずれも架橋点を備えたア
    クリル酸アルキルエステル又はアクリル酸アルコキシエ
    ステルを構成要素とする。
  6. 【請求項6】 前記フッ素樹脂層の層厚が0.05〜
    0.2mmであることを特徴とする請求項4又は請求項
    5に記載の燃料ホース。
  7. 【請求項7】 単層又は多層からなるゴム管状体と、そ
    の最内層の内周面の全面又は特定部に形成されたフッ素
    樹脂層とを備えた燃料ホ−スであって、 前記フッ素樹脂層がビニリデンフルオライドとクロロト
    リフルオロエチレンの共重合体を以て形成され、かつ、
    該重合体に対して0.3重量%以下の金属塩が配合さ
    れ、又、前記ゴム管状体が基材ゴムに対して5〜35p
    hrのアクリルゴムを配合したブレンドゴムを以て形成
    されていることを特徴とする燃料ホ−ス。
  8. 【請求項8】 単層又は多層からなるゴム管状体と、そ
    の最内層の内周面の全面又は特定部に形成されたフッ素
    樹脂層とを備えた燃料ホースであって、 前記フッ素樹脂層がビニリデンフルオライドとクロロト
    リフルオロエチレンの共重合体を以て形成され、かつ、
    前記ゴム管状体が有機アンモニウム塩,有機ホスホニウ
    ム塩,ポリアミン系添加剤の少なくとも一種を含有した
    基材ゴムに対して5〜35phrのアクリルゴムを配合
    したブレンドゴムを以て形成されていることを特徴とす
    る燃料ホース。
  9. 【請求項9】 単層又は多層からなるゴム管状体と、そ
    の最内層の内周面の全面又は特定部に形成されたフッ素
    樹脂層とを備えた燃料ホースであって、 前記フッ素樹脂層がビニリデンフルオライドとクロロト
    リフルオロエチレンの共重合体を以て形成され、かつ、
    該共重合体に対して0.3重量%以下の金属塩が配合さ
    れ、又、前記ゴム管状体が有機アンモニウム塩,有機ホ
    スホニウム塩,ポリアミン系添加剤の少なくとも一種を
    含有した基材ゴムに対して5〜35phrのアクリルゴ
    ムを配合したブレンドゴムを以て形成されていることを
    特徴とする燃料ホース。
  10. 【請求項10】 前記フッ素樹脂層を、前記ゴム管状体
    の最内層の内周面にフッ素樹脂の粉末を粉末塗装により
    溶融付着して形成したことを特徴とする請求項1〜請求
    項9のいずれかに記載の燃料ホース。
  11. 【請求項11】 前記フッ素樹脂を構成するビニリデン
    フルオライド(A)とクロロトリフルオロエチレン
    (B)のモル比がA/B=98/2〜85/15である
    ことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記
    載の燃料ホース。
  12. 【請求項12】 前記有機アンモニウム塩が1,8−ジ
    アザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7塩であるこ
    とを特徴とする請求項8〜請求項11のいずれかに記載
    の燃料ホース。
JP2001163872A 2000-05-31 2001-05-31 燃料ホース Expired - Fee Related JP4126887B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001163872A JP4126887B2 (ja) 2000-05-31 2001-05-31 燃料ホース

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000166452 2000-05-31
JP2000-166452 2000-05-31
JP2001163872A JP4126887B2 (ja) 2000-05-31 2001-05-31 燃料ホース

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002054768A true JP2002054768A (ja) 2002-02-20
JP4126887B2 JP4126887B2 (ja) 2008-07-30

Family

ID=26593245

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001163872A Expired - Fee Related JP4126887B2 (ja) 2000-05-31 2001-05-31 燃料ホース

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4126887B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006144878A (ja) * 2004-11-18 2006-06-08 Yokohama Rubber Co Ltd:The マリンホース
WO2013089200A1 (ja) * 2011-12-16 2013-06-20 ダイキン工業株式会社 積層体
WO2018123448A1 (ja) * 2016-12-27 2018-07-05 ダイキン工業株式会社 積層体
WO2021090713A1 (ja) * 2019-11-05 2021-05-14 ダイキン工業株式会社 積層体および押出成形品

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05138820A (ja) * 1991-11-22 1993-06-08 Denki Kagaku Kogyo Kk 積層体およびその成型体
JPH1182822A (ja) * 1997-07-17 1999-03-26 Tokai Rubber Ind Ltd 燃料ホース
JPH11323052A (ja) * 1998-03-12 1999-11-26 Kureha Chem Ind Co Ltd ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物
JPH11344165A (ja) * 1998-03-31 1999-12-14 Tokai Rubber Ind Ltd 耐熱ホ―ス

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05138820A (ja) * 1991-11-22 1993-06-08 Denki Kagaku Kogyo Kk 積層体およびその成型体
JPH1182822A (ja) * 1997-07-17 1999-03-26 Tokai Rubber Ind Ltd 燃料ホース
JPH11323052A (ja) * 1998-03-12 1999-11-26 Kureha Chem Ind Co Ltd ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物
JPH11344165A (ja) * 1998-03-31 1999-12-14 Tokai Rubber Ind Ltd 耐熱ホ―ス

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006144878A (ja) * 2004-11-18 2006-06-08 Yokohama Rubber Co Ltd:The マリンホース
WO2013089200A1 (ja) * 2011-12-16 2013-06-20 ダイキン工業株式会社 積層体
JPWO2013089200A1 (ja) * 2011-12-16 2015-04-27 ダイキン工業株式会社 積層体
CN110087878A (zh) * 2016-12-27 2019-08-02 大金工业株式会社 层积体
JPWO2018123448A1 (ja) * 2016-12-27 2019-06-27 ダイキン工業株式会社 積層体
KR20190082889A (ko) * 2016-12-27 2019-07-10 다이킨 고교 가부시키가이샤 적층체
WO2018123448A1 (ja) * 2016-12-27 2018-07-05 ダイキン工業株式会社 積層体
JP7004916B2 (ja) 2016-12-27 2022-01-21 ダイキン工業株式会社 積層体
KR102389664B1 (ko) 2016-12-27 2022-04-22 다이킨 고교 가부시키가이샤 적층체
US11673376B2 (en) 2016-12-27 2023-06-13 Daikin Industries. Ltd. Laminate
WO2021090713A1 (ja) * 2019-11-05 2021-05-14 ダイキン工業株式会社 積層体および押出成形品
JP2021075053A (ja) * 2019-11-05 2021-05-20 ダイキン工業株式会社 積層体および押出成形品
JP7032676B2 (ja) 2019-11-05 2022-03-09 ダイキン工業株式会社 積層体および押出成形品

Also Published As

Publication number Publication date
JP4126887B2 (ja) 2008-07-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6682796B2 (en) Fuel hose
US5941286A (en) Composite fuel and vapor barrier tube and process for making same
JP5482790B2 (ja) 積層体
US20050208248A1 (en) Automotive fuel hose and method for producing the same
US6467509B1 (en) Fuel hose
US7478653B2 (en) Resin composite fuel hose
EP0716632B1 (en) Composite fuel and vapor barrier tube and process for making same
JP2005522639A (ja) 燃料給油ホース
US6759109B2 (en) Process for manufacturing a multilayer rubber hose and a product thereof
JP3695158B2 (ja) 燃料ホース
JP2002054768A (ja) 燃料ホース
JP6126462B2 (ja) 積層ゴムホース
US20070227605A1 (en) Resin Composite Hose of Curved Shape and Method for Producing the Same
JP3246254B2 (ja) 燃料ホースおよびその製法
JP2004150457A (ja) 燃料用ホース
JP2000006317A (ja) ゴム積層体及びホース
JP2002210892A (ja) 接着積層体及び燃料ホース
JP3246255B2 (ja) 燃料ホースおよびその製法
JP3831965B2 (ja) 燃料ホースの製法
US20050000582A1 (en) Fuel hose
JP3659215B2 (ja) 燃料ホース
JP3166495B2 (ja) 積層構造ホース
JP2007270877A (ja) コネクター一体型燃料用ホースおよびその製法
JP2001074174A (ja) 燃料ホース
JP2007291329A (ja) コネクター一体型燃料用ホースおよびその製法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040615

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061017

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070910

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071017

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080205

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080327

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080422

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080505

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110523

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4126887

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110523

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120523

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120523

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130523

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140523

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees