JP4126887B2 - 燃料ホース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の燃料配管に用いられる燃料ホースに関する。本発明は、ガソリン、特にアルコール混合ガソリンやサワーガソリン等に対して優れた耐性を持つ信頼性の高い燃料ホースを提供できる。又、燃料電池用燃料であるアルコールや水素に対しても好ましく使用できる。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題に関連して大気中に放出されるガソリンの量を低減させる必要が指摘されている。従って、自動車等の燃料ホースについても、ガソリンの透過量に関する規制がますます厳しくなっている。旧来のNBR/PVC(アクリロニトリルブタジエン−ポリ塩化ビニルブレンドゴム)等からなる単層構造の燃料ホースでは、上記のガソリン透過規制に充分に対応できない。
【0003】
又、自動車の排ガスを清浄化する目的で用いられるアルコール混合ガソリンは、アルコール無添加のガソリンに比べてガソリン透過量が多い。この点からもガソリン透過性の一層低い燃料ホースが待望されている。
【0004】
そこで、燃料ホースを多層構造にすること、特に多層の内の一層をガソリン透過性の非常に低いフッ素樹脂層とすることが提案されている。これらの提案は、プロセスの違いにより2種類に大別できる。前者は、未加硫のゴム管状体と押出成形したフッ素樹脂層とを積層して加硫接着させるものである。後者は、加硫を完了したゴム管状体に対して粉末塗装法によりフッ素樹脂層を形成させるものである。
【0005】
前者の一例が特開平8−118549号公報に開示されている。即ち、有機ホスホニウム塩を配合したエピクロルヒドリン未加硫ゴムからなるゴム管状体と、押出成形したフッ素樹脂層とを積層して加硫する発明が開示されている。前者の他の一例が特開平8−169085号公報に開示されている。即ち、未加硫の外層ゴム管状体と未加硫の内層ゴム管状体との間に、押出成形したフッ素樹脂層を積層して加硫する発明が開示されている。上記の外層ゴム管状体は、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7塩(DBU塩)と有機ホスホニウム塩を配合した未加硫のエピクロルヒドリンゴムからなる。又、上記の内層ゴム管状体は、DBU塩又は有機ホスホニウム塩を配合した未加硫のNBRあるいは未加硫のフッ素ゴムからなる。
【0006】
後者の一例が特開平6−255004号公報に開示されている。即ち、加硫したゴム管状体の内周面にフッ素樹脂の粉末を静電塗装した後、加熱及び冷却することによりフッ素樹脂層を形成した燃料ホースの発明が開示されている。この発明においては、ゴム管状体とフッ素樹脂層との接着性を確保するため、ゴム管状体の内周面に前処理としてナトリウムエッチング処理,コロナ処理,低温プラズマ処理等を施している。
【0007】
上記した前者の従来技術においては、ゴム管状体とフッ素樹脂層とは加硫接着により良好に接着されている。しかし、フッ素樹脂層を押出成形により形成するため、フッ素樹脂層の層厚を良好な品質を以て0.05mm〜0.2mm程度又はそれ以下に薄膜化することが困難である。従ってフッ素樹脂層を十分に薄くすることができないため、燃料ホースの柔軟性が損なわれ、ホ−ス組付け時の作業性の悪化、車体振動等に伴う燃料ホースの割れやホース層間の剥離を招くと言う問題があった。又、押出成形法ではフッ素樹脂層はゴム管状体の全長にわたって略均一な厚さに形成される。このため、フッ素樹脂層をゴム管状体の内周に形成すると、ホース接続部のシール性が悪くなると言う問題がある。又、ホース接続時に大きな挿入力を要すると言う問題がある。更に、フッ素樹脂層をコルゲート形状に形成し難いと言う問題もある。
【0008】
これに対して上記後者の従来技術においては、フッ素樹脂層の層厚を0.05mm〜0.2mm程度又はそれ以下に薄膜化することは容易である。又、ゴム管状体に対するフッ素樹脂粉末の塗装部位及び層厚さを選択できる。従って、フッ素樹脂層をゴム管状体の内周に形成する場合に、ホース接続部を避けてフッ素樹脂層を形成することにより、上記シール性の問題を回避できる。又、ホース接続部のフッ素樹脂層の層厚を薄く形成することにより、ホース接続時の挿入力を小さくすることもできる。しかも、フッ素樹脂層をコルゲート形状に形成することも容易である。
【0009】
以上の事項を重視するならば、フッ素樹脂層を含む多層構造の燃料ホースは、後者のプロセスにより製造する方が好ましい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、後者の製造プロセスにも、上記特開平6−255004号公報等では指摘していない問題点がある。即ち、粉体塗装された通常のフッ素樹脂は溶融温度がかなり高い。そのため、粉体塗装されたフッ素樹脂をゴム管状体に溶融付着させる際に、ゴム管状体が熱劣化してしまう。この問題を避けるため、フッ化ビニリデンホモポリマーのような溶融温度の低いフッ素樹脂を用いることも考えられる。しかし、溶融温度の低いフッ素樹脂は剛性が高いため、燃料ホースの柔軟性を損ない、ゴム管状体との接着性も不十分となる。
【0011】
又、上記発明におけるナトリウムエッチング処理等の接着前処理は、製造工程を複雑化させると言う問題がある。
【0012】
このような問題に対して、本件出願人は、特願平10−196839号(特開平11−82822号公報)において、「単層又は多層からなるゴム管状体と、その最内層の内周面に形成されたフッ素樹脂層とを備えた燃料ホースであって、前記フッ素樹脂層がビニリデンフルオライドとクロロトリフルオロエチレンの共重合体を以て形成されている燃料ホース」の発明を提案している。
【0013】
上記本件出願人の出願に係る発明によれば、単層又は多層のゴム管状体最内層の内周面にフッ素樹脂層を形成しているので、アルコール混合ガソリンやサワーガソリン,アミン系清浄剤( amine detergent)等に対して優れた耐性と耐透過性が得られ、又、このフッ素樹脂は溶融温度が比較的低いために、その溶融付着の際のゴム管状体の熱劣化を回避できる。更にこの発明において、ゴム管状体の少なくとも最内層に、有機アンモニウム塩,有機ホスホニウム塩,ポリアミン系添加剤の少なくとも一種を含有させることにより、フッ素樹脂層を粉末塗装法によって形成する場合であっても、加硫接着によらずしてゴム管状体とフッ素樹脂層との必要な接着性を確保できる、と言う効果を得ている。
【0014】
しかしながら、その後の研究により、フッ素樹脂としてビニリデンフルオライドとクロロトリフルオロエチレンの共重合体を用いると、上記の効果の反面でガソリン透過性がやや犠牲になっていることが判明した。又、ゴム管状体のゴム材料に有機アンモニウム塩,有機ホスホニウム塩又はポリアミン系添加剤を添加することによる上記の接着性向上効果は、主に初期接着性に関してであって、燃料封入後の接着性に関する向上効果は必ずしも十分でないことが判明した。
【0015】
そこで本発明は、ゴム管状体の内周にフッ素樹脂粉末を粉末塗装により溶融付着させたフッ素樹脂層を有する燃料ホースにおいて、前記従来技術の問題点に加え、本願発明者の研究により新たに判明上記問題点についても有効な対策を提供することを、解決すべき課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、単層又は多層からなるゴム管状体と、その最内層の内周面の全面又は特定部に形成されたフッ素樹脂層とを備えた燃料ホースであって、前記フッ素樹脂層がビニリデンフルオライドとクロロトリフルオロエチレンの共重合体を以て形成され、かつ、該共重合体に対して0.05〜0.3重量%の金属塩が配合されている、燃料ホースである。
【0017】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、前記第1発明において、以下の(1)〜(3)の少なくとも1条件に該当する、燃料ホースである。
(1)前記金属塩が、1価又は2価の金属の塩である。
(2)前記金属塩が、1価又は2価の金属の、ハロゲン化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩又はその他の無機酸塩である。
(3)前記金属塩が、塩化カリウムである。
【0018】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、前記第1発明又は第2発明に係るフッ素樹脂層の層厚が0.05〜0.2mmである、燃料ホースである。
【0019】
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明(請求項4に記載の発明)の構成は、単層又は多層からなるゴム管状体と、その最内層の内周面の全面又は特定部に形成されたフッ素樹脂層とを備えた燃料ホースであって、前記フッ素樹脂層がビニリデンフルオライドとクロロトリフルオロエチレンの共重合体を以て形成され、かつ、前記ゴム管状体が基材ゴムに対して5〜35phr( parts per hundred parts of rubber:即ち基材ゴム100重量部に対する重量部数である)のアクリルゴムを配合したブレンドゴムを以て形成されている、燃料ホースである。
【0020】
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明(請求項5に記載の発明)の構成は、前記第4発明において、以下の(5)及び/又は(6)に該当する、燃料ホースである。
(5)前記基材ゴムに対するアクリルゴムの配合量が5〜25phrである。
(6)前記アクリルゴムが、いずれも架橋点を備えたアクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸アルコキシエステルを構成要素とする。
【0021】
(第6発明の構成)
上記課題を解決するための本願第6発明(請求項6に記載の発明)の構成は、前記第4発明又は第5発明に係るフッ素樹脂層の層厚が0.05〜0.2mmである、燃料ホースである。
【0022】
(第7発明の構成)
上記課題を解決するための本願第7発明(請求項7に記載の発明)の構成は、単層又は多層からなるゴム管状体と、その最内層の内周面の全面又は特定部に形成されたフッ素樹脂層とを備えた燃料ホ−スであって、前記フッ素樹脂層がビニリデンフルオライドとクロロトリフルオロエチレンの共重合体を以て形成され、かつ、該重合体に対して0.05〜0.3重量%の金属塩が配合され、又、前記ゴム管状体が基材ゴムに対して5〜35phrのアクリルゴムを配合したブレンドゴムを以て形成されている、燃料ホ−スである。
【0023】
(第8発明の構成)
上記課題を解決するための本願第8発明の構成は、単層又は多層からなるゴム管状体と、その最内層の内周面の全面又は特定部に形成されたフッ素樹脂層とを備えた燃料ホースであって、前記フッ素樹脂層がビニリデンフルオライドとクロロトリフルオロエチレンの共重合体を以て形成され、前記ゴム管状体が有機アンモニウム塩,有機ホスホニウム塩,ポリアミン系添加剤の少なくとも一種を含有した基材ゴムに対して5〜35phrのアクリルゴムを配合したブレンドゴムを以て形成されている、燃料ホースである。
【0024】
(第9発明の構成)
上記課題を解決するための本願第9発明の構成は、単層又は多層からなるゴム管状体と、その最内層の内周面の全面又は特定部に形成されたフッ素樹脂層とを備えた燃料ホースであって、前記フッ素樹脂層がビニリデンフルオライドとクロロトリフルオロエチレンの共重合体を以て形成され、かつ、該共重合体に対して0.05〜0.3重量%の金属塩が配合され、又、前記ゴム管状体が有機アンモニウム塩,有機ホスホニウム塩,ポリアミン系添加剤の少なくとも一種を含有した基材ゴムに対して5〜35phrのアクリルゴムを配合したブレンドゴムを以て形成されている、燃料ホースである。
【0025】
(第10発明の構成)
上記課題を解決するための本願第10発明の構成は、前記第1発明〜第9発明に係るフッ素樹脂層を、前記ゴム管状体の最内層の内周面にフッ素樹脂の粉末を粉末塗装により溶融付着して形成した、燃料ホースである。
【0026】
(第11発明の構成)
上記課題を解決するための本願第11発明の構成は、前記第1発明〜第10発明に係るフッ素樹脂を構成するビニリデンフルオライド(A)とクロロトリフルオロエチレン(B)のモル比がA/B=98/2〜85/15である、燃料ホースである。
【0027】
(第12発明の構成)
上記課題を解決するための本願第12発明の構成は、前記第8発明〜第11発明に係る有機アンモニウム塩が1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7塩である、燃料ホースである。
【0028】
【発明の作用・効果】
(第1発明の作用・効果)
第1発明においては、単層又は多層のゴム管状体最内層の内周面の全面又は特定部に、ビニリデンフルオライドとクロロトリフルオロエチレンの共重合体からなるフッ素樹脂層を形成しているので、ガソリン、特にアルコール混合ガソリンやサワーガソリン等に対して優れた耐性と低透過性とを持つ信頼性の高い燃料ホースを提供することができる。
【0029】
又、このフッ素樹脂は、その粉末がゴム管状体を熱劣化させない程度の温度で溶融し、かつ形成されたフッ素樹脂層の剛性が相対的に高くないので、フッ素樹脂層を粉末塗装により溶融付着して形成した場合においても、ゴム管状体の熱劣化を回避でき、しかも燃料ホースの柔軟性を維持でき、結果的にゴム管状体とフッ素樹脂層の接着性も良くなる。
【0030】
更に、前記フッ素樹脂共重合体に対して0.3重量%以下の金属塩が配合されているので、ガソリン低透過性が十分に確保される。この効果が得られる理由は必ずしも明確ではないが、本願発明者は、金属塩の配合によりフッ素樹脂共重合体の微細結晶化が促進され、このことがガソリン低透過性に貢献するのではないか、と推定している。
【0031】
(第2発明の作用・効果)
第2発明の(1)のように、前記金属塩としては、1価又は2価の金属の塩が好ましく、特に(2)のように金属塩が1価又は2価の金属の、ハロゲン化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩又はその他の無機酸塩であることが好ましい。とりわけ、(3)のように金属塩が塩化カリウムであることが好ましい。金属塩は、中性塩が特に好適である。又、前記金属塩の配合量の下限値は限定されず、0.01重量%程度でも効果を期待できる場合があるが、一般的には第2発明の(4)のように、金属塩の配合量は0.05〜0.3重量%であることが好ましい。
【0032】
(第3発明の作用・効果)
第1発明又は第2発明に係る燃料ホースは、前記のようなフッ素樹脂層とこれに対する金属塩の配合とによる優れたガソリン低透過性を備えるので、フッ素樹脂層を0.05〜0.2mm程度に非常に薄く形成することが可能となる。従って、燃料ホースを更に柔軟化することができる。
【0033】
(第4発明の作用・効果)
第4発明においては、前記第1発明において説明したフッ素樹脂層の利点に加え、基材ゴムに対して5〜35phrのアクリルゴムを配合するので、ゴム管状体のフッ素樹脂層に対する接着性が、初期接着性のみでなく、燃料封入後の接着性に関しても十分に向上する。
【0034】
(第5発明の作用・効果)
第5発明の(5)のように、基材ゴムに対するアクリルゴムの配合量は5〜25phrであることが特に好ましく、又、第5発明の(6)のように、アクリルゴムが、いずれも架橋点を備えたアクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸アルコキシエステルを構成要素とすることが特に好ましい。
【0035】
(第6発明の作用・効果)
第6発明においては、フッ素樹脂層の層厚を0.05〜0.2mmとするので、燃料ホースの柔軟性を充分に確保することができる。このような層厚でも、フッ素樹脂層による優れたガソリン低透過性を期待できる。
【0036】
(第7発明の作用・効果)
第7発明においては、前記第1発明において説明したフッ素樹脂層の利点と、フッ素樹脂共重合体に金属塩を配合することの利点に加え、前記第4発明において説明した、基材ゴムに対して5〜35phrのアクリルゴムを配合することによる利点をも期待することができる。
【0037】
(第8発明の作用・効果)
第8発明においては、前記第1発明において説明したフッ素樹脂層の利点と、前記第4発明において説明した、基材ゴムに対して5〜35phrのアクリルゴムを配合することによる利点に加え、基材ゴムが有機アンモニウム塩,有機ホスホニウム塩,ポリアミン系添加剤の少なくとも一種を含有するので、ゴム管状体とフッ素樹脂層との必要な接着性を確保できる。
【0038】
(第9発明の作用・効果)
第9発明においては、前記第1発明において説明したフッ素樹脂層の利点と、フッ素樹脂共重合体に金属塩を配合することの利点に加え、前記第4発明において説明した、基材ゴムに対して5〜35phrのアクリルゴムを配合することによる利点と、基材ゴムが有機アンモニウム塩,有機ホスホニウム塩,ポリアミン系添加剤の少なくとも一種を含有することによる利点をも期待することができる。
【0039】
(第10発明〜第12発明の作用・効果)
第10発明のように粉末塗装によるときは、フッ素樹脂層を所望の厚さで、ポア等の欠陥なく形成することができる。
【0040】
第11発明のようにA)と(B)のモル比を設定することで、フッ素樹脂粉末の溶融温度の低下及びフッ素樹脂層の柔軟性の維持と、低ガソリン透過性とを両立させ易い。
【0041】
第12発明のように有機アンモニウム塩がDBU塩であると、ゴム管状体とフッ素樹脂層との接着性を特に確保し易い。
【0042】
【発明の実施の形態】
次に、第1発明〜第12発明の実施の形態について説明する。以下において単に「本発明」と言う時は、第1発明〜第12発明を一括して指している。
【0043】
〔燃料ホース〕
本発明の燃料ホースは、単層又は多層からなるゴム管状体と、その最内層の内周面の全面又は特定部に形成されたフッ素樹脂層とを備え、自動車その他の燃料配管に用いられるホースを限定なく含む。燃料ホースの用途は限定されないが、ガソリン、特にアルコール混合ガソリンやサワーガソリン等に対して優れた耐性を持つ燃料配管として、及びアルコールや水素等の燃料配管として、好ましく用いられる。
【0044】
〔ゴム管状体〕
ゴム管状体は単層構造又は多層構造のいずれであっても良く、これを構成する基材ゴムも燃料ホースの分野で使用されている任意のゴム材料、例えばエピクロルヒドリンゴム,NBR,フッ素ゴム,NBR−PVC,クロロスルホン化ポリエチレンゴム,塩素化ポリエチレンゴム,アクリルゴム,エチレン−プロピレンゴム等を適宜に選択すれば良い。
【0045】
但し、ゴム管状体とフッ素樹脂層との接着性を高めるためには、単層構造のゴム管状体、又は多層構造のゴム管状体における少なくとも最内層を、エピクロルヒドリンゴム,NBR,フッ素ゴム,NBR−PVCのいずれかを以て形成することが好ましい。
【0046】
エピクロルヒドリンゴムの種類は限定されず、燃料ホースの分野で使用されている任意のものを適宜に選択すれば良いが、より好ましくは、エピクロルヒドリンの単独重合体(CO),エピクロルヒドリンとエチレンオキシドとの共重合体(ECO)あるいはこれらの各々に対してアリルグリシジルエーテルを共重合させたもの(GECO)を用いることができる。
【0047】
NBRの種類も限定されないが、結合アクリロニトリル量が15〜45%、とりわけ25〜40%のものが好適である。
【0048】
フッ素ゴムの種類も限定されないが、より好ましくは、フッ化ビニリデンと6−フッ化プロピレンとの共重合体,フッ化ビニリデンと4−フッ化エチレン及び6−フッ化プロピレンの三元共重合体,4−フッ化エチレンとプロピレンとの共重合体,フッ化ポリビニリデンとアクリルゴムとのブレンド物等を用いることができる。
【0049】
NBR−PVCの種類も限定されないが、より好ましくは、結合アクリロニトリル量が25〜45%、とりわけ30〜40%で、かつPVCブレンド量が15〜40%、とりわけ25〜35%のものを用いることができる。
【0050】
〔ゴム管状体の添加物〕
単層構造のゴム管状体、又は多層構造のゴム管状体における少なくとも最内層を構成する基材ゴムには、有機アンモニウム塩,有機ホスホニウム塩,ポリアミン系添加剤の一種又は二種以上を含有させることが、ゴム管状体とフッ素樹脂層との接着性を高めるために好ましい。二種以上を含有させる場合においては、有機アンモニウム塩と有機ホスホニウム塩の少なくとも一方と、ポリアミン系添加剤との組合せが特に好ましい。ポリアミン系添加剤については、ヒドリンゴム又はフッ素ゴムに対して配合された場合に、加硫剤としても作用すると言う好ましい性質がある。
【0051】
これらの添加剤の上記所定の基材ゴムへの配合割合に特段の限定はないが、有機アンモニウム塩と有機ホスホニウム塩については、好ましくはゴム100重量部に対して0.5〜10重量部、特に好ましくは0.5〜7重量部である。これらの配合割合が0.5重量部未満であると効果が不足し勝ちであり、10重量部を超えると機械的強度の悪化や圧縮永久歪の悪化を招く懸念がある。
【0052】
一方、ポリアミン系添加剤の配合割合については、好ましくはゴム100重量部に対して0.1〜10重量部、特に好ましくは0.5〜6重量部である。この配合割合が0.5重量部未満であると効果が不足し勝ちであり、10重量部を超えるとガソリン接触状態での亀裂成長性が悪化すると言う懸念がある。
【0053】
ゴム管状体とフッ素樹脂層との接着性を高めるために、基材ゴムに対して5〜35phr、特に好ましくは5〜25phrのアクリルゴムを配合することが、特に望ましい。又、基材ゴムに対して上記アクリルゴムを配合した場合には、逆に、基材ゴムに対する有機アンモニウム塩,有機ホスホニウム塩,ポリアミン系添加剤の配合を省略しても、ゴム管状体とフッ素樹脂層との初期接着性ばかりでなく、燃料封入後の接着性も良好となる。
【0054】
このアクリルゴムは、いずれも架橋点を備えたアクリル酸アルキルエステル又はアクリル酸アルコキシエステルを構成要素とするものが好ましい。例えばアクリル酸アルキルエステルとしてはメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートが好ましく例示される。例えばアクリル酸アルコキシエステルとしてはメトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレートが好ましく例示される。
【0055】
上記架橋点としては、2−クロロエチルビニルエーテルの場合のような塩素基、クロロ酢酸ビニルやサイクロールクロロアセテートの場合のような活性塩素基、アリルグリシジルエーテルやグリシジルメタアクリレートの場合のようなエポキシ基、エチリデンノルボルネンの場合のような不飽和基、アクリル酸の場合のようなカルボキシル基等が例示され、又、アクリル酸アルキルエステルやアクリル酸アルコキシエステルにアクリロニトリル,エチレン又は酢酸ビニルを共重合させたものも例示される。
【0056】
上記の添加剤やアクリルゴムを基材ゴムに配合するに当たっては、通常の又は公知のゴム配合混合機を用いて行うことができるが、特にバンバリーミキサー,ニーダー等を用いることが好ましい。
【0057】
上記した有機アンモニウム塩の種類は限定されないが、例えば、フッ素樹脂の活性化の点で、カルボン酸のDBU塩やフェノール樹脂のDBU塩等の各種DBU塩を好ましく用いることができる。カルボン酸のDBU塩としては、次の「化1」に示すナフトエ酸のDBU塩や、ソルビン酸のDBU塩を単独で、あるいは組合わせて用いることが、接着性を高めるために特に好ましい。
【0058】
有機アンモニウム塩としては他にも、硫酸水素テトラブチルアンモニウム,硫酸水素テトラメチルアンモニウム,硫酸水素テトラエチルアンモニウム,硫酸水素トリオクチルメチルアンモニウム,硫酸水素トリドデシルメチルアンモニウム,硫酸水素トリメチルベンジルアンモニウム等を単独で、又は相互に組合わせて、更には上記DBU塩と組合わせて、好ましく用いることができる。
【0059】
【化1】
上記した有機ホスホニウム塩の種類も限定されないが、例えば、テトラブチルホスホニウムクロライド,テトラブチルホスホニウムブロマイド,トリブチル(メトキシプロピル)ホスホニウムクロライド,ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド,ベンジルトリオクチルホスホニウムクロライド,テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾール,トリオクチルエチルホスホニウムベンゾトリアゾール,テトラフェニルホスホニウムブロマイド等を単独で、あるいは組合わせて用いることができる。
【0060】
更に例えば、テトラブチル基,テトラオクチル基,メチルトリオクチル基,ブチルトリオクチル基,フェニルトリブチル基,ベンジルトリブチル基,ベンジルトリシクロヘキシル基,ベンジルトリオクチル基,ブチルトリフェニル基,オクチルトリフェニル基,ベンジルトリフェニル基,ジフェニルジ(ジエチルアミノ)基,フェニルベンジルジ(ジメチルアミノ)基,トリフルオロメチルベンジル基,テトラフルオロプロピルトリオクチル基の内の一つの基を持つホスホニウムベンゾトリアゾレート又はトリルトリアゾレート等も用いることができる。
【0061】
上記したポリアミン系添加剤の種類も限定されないが、例えば、1,6−ヘキサメチレンジアミン,トリエチレンテトラミン,テトラエチレンペンタミン,トリエチレンジアミン,パラフェニレンジアミン,ヘキサメチレンジアミンカルバメート,エチレンジアミンカルバメート,N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン,4,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタンカルバメート,4,4’−ジアミノジフェニルエーテル,4,4’−ジアミノジフェニルメタン等を単独で、あるいは組合わせて用いることができる。
【0062】
〔フッ素樹脂層〕
本発明において、フッ素樹脂層はビニリデンフルオライド(A)とクロロトリフルオロエチレン(B)の共重合体からなり、単層又は多層のゴム管状体における最内層の内周面の全面又は特定部に形成される。フッ素樹脂層は、ゴム管状体の内周面全面に形成しても良く、ゴム管状体の内周面の特定の部分(例えば、ホース接続部)を避けて形成しても良い。
【0063】
この共重合体において、上記A,B両者のモル比は特段に限定されるものではないが、そのモル比がA/B=98/2〜85/15であることが、フッ素樹脂の溶融温度を適度に低くでき、かつフッ素樹脂層の柔軟性を維持するために、より好ましい。
【0064】
上記モル比の限定範囲に対して、ビニリデンフルオライドの割合が過剰側へ外れ過ぎると、フッ素樹脂の溶融温度が高くなると共に、フッ素樹脂層の剛性が高くなり、燃料ホースの剛性アップ及びゴム管状体とフッ素樹脂層との接着性悪化と言う不具合を招く懸念がある。又、ビニリデンフルオライドの割合が不足側へ外れ過ぎると、フッ素樹脂の溶融温度が低くなり過ぎるため、使用温度に耐えられなくなると共に、耐ガソリン透過性が悪化すると言う不具合を招く懸念がある。
【0065】
上記フッ素樹脂の共重合体に対しては、0.3重量%以下の金属塩が配合されていることが、特に好ましい。金属塩の配合量は、0.05〜0.3重量%が特に好適である。この金属塩は、1価又は2価の金属の塩であることが好ましく、又は中性金属塩であることが好ましく、とりわけ、1価又は2価の金属のハロゲン化物,水酸化物,炭酸塩,硫酸塩又はその他の無機酸塩であり、特にとりわけ、塩化カリウムであることが好ましい。
【0066】
金属塩を配合する方法は任意である。例えば溶融状態のフッ素樹脂に粉末の金属塩を配合しても良いし、粉末塗装に供するフッ素樹脂粉末を予め金属塩の溶液に浸漬して金属塩を付着させ、これを乾燥させて用いても良い。
【0067】
フッ素樹脂層の層厚は特段に限定されないが、燃料ホースの柔軟性の維持と耐ガソリン透過性の観点より、層厚を0.5mm以下とすることがより好ましく、0.05〜0.2mmとすることがとりわけ好ましい。フッ素樹脂の共重合体に対して上記の金属塩を配合した場合には、更にフッ素樹脂層の層厚を薄くして、0.03〜0.15mmとすることができる。
【0068】
フッ素樹脂層を構成するフッ素樹脂には、本発明の作用・効果を阻害しない限りにおいて、酸化防止剤,造核剤,可塑剤,着色剤,難燃剤等の各種の添加剤を任意に添加しても構わない。
【0069】
〔燃料ホースの製造〕
本発明に係る燃料ホースの製造方法は、実質的に可能な方法である限りにおいて限定されないが、以下に製造方法の一実施形態を例示する。この実施形態例は、ゴム管状体が単層構造で、かつ図1に示すように両端部が円筒状でほぼ中央部が蛇腹形状になっており、該ゴム管状体の内周面にフッ素樹脂層を形成した燃料ホースの製造例である。
【0070】
まず、エピクロルヒドリンゴム,NBR,フッ素ゴム,NBR−PVCのいずれかの未加硫ゴム材料に所定量のアクリルゴムを含有させ、射出成形機により射出し、加硫成形して、図1の形状の単層構造のゴム管状体1を作製する。
【0071】
次に、このゴム管状体1の内周面の所定部分(開口両端から一定幅の内周面を除いた部分)に、金属塩を配合したフッ素系樹脂の粉末を粉末塗装により付着溶融させる。具体的には、高電圧発生装置に接続されたスプレーガンにエア管、樹脂粉末の供給管を通じてエアとフッ素系樹脂粉末とを供給し、スプレーガンに取付けたノズルの噴射口から負又は正に帯電させたフッ素系樹脂粉末を噴射して付着させ、加熱溶融してフッ素系樹脂粉末を薄膜化する。
【0072】
この時の加熱方法としては、例えば、内周面がフッ素系樹脂粉末で塗装されたゴム管状体1を加熱オーブンに入れて全体的に加熱する方法や、内周面がフッ素系樹脂粉末で塗装されたゴム管状体1の内側に棒状の加熱装置を挿入して内側から加熱する方法等がある。加熱条件は、使用するフッ素系樹脂粉末やゴム管状体1を構成するゴムの種類に応じて適宜に設定されるが、通常は150〜250°Cで2〜40分間であり、より好ましくは170〜240°Cで3〜35分間である。
【0073】
最終工程で、上記加熱によりフッ素系樹脂粉末を溶融薄膜化したゴム管状体1をオーブンから取出し冷却することにより、図2(A)及び図2(B)に示すように、ゴム管状体1の内周面の所定部分にフッ素系樹脂層2を形成した燃料ホース3を得ることができる。燃料ホース3は、ほぼ中央域に位置する蛇腹部3aと、その両端に位置する円筒形状の端部3bとから構成されている。そして、使用時には、例えば図3に示すように、一方の端部3bに相手側である金属製パイプ4を挿入し接続することにより、燃料ホースとして使用される。図2(A)及び図3においては、ホースの接続部には内周面のフッ素系樹脂層が存在しない例を示すが、これらの例においてホースの内周面の全面にフッ素系樹脂層を形成することもできる。
【0074】
燃料ホース3におけるフッ素系樹脂層2の厚さは、通常は0.05〜0.2mmの範囲に設定される。又、ゴム管状体1のゴム層の厚さは、通常は2〜6mmの範囲に、より好ましくは2〜4mmの範囲に設定される。
【0075】
なお、上記製造工程において、ゴム管状体1の成形方法として射出成形機による射出成形を挙げているが、これに限定されるものではなく、ゴム管状体1の形状等に応じて例えば押出成形等の成形方法も用いることができる。
【0076】
又、ゴム管状体は図1に示すような蛇腹形状であることに限定されず、直管形状あるいは曲管形状であっても良く、更に図1に示すような単層構造のものに限定されるものではなく、好ましくは最内層がエピクロルヒドリンゴム,NBR,フッ素ゴム,NBR−PVCのいずれかで構成された、2層以上のゴム層からなる多層構造のものであっても良い。
【0077】
上記ゴム管状体が2層以上のゴム層からなる多層構造のものは、ゴム管状体1の外周に、ゴム管状体1の形状に沿って、前述の他のゴム材料からなるゴム層を形成することにより作製される。このゴム層の形成方法としては、第1層目を射出成形した後その外周に第2層目を射出成形する方法や、多層を同時に押出成形する方法が挙げられる。
【0078】
【実施例】
末尾の表1〜表4に示す単層構造のゴム管状体に係る各実施例及び比較例、表5〜表7に示す複層構造(内層と外層に区別)のゴム管状体に係る各実施例及び比較例において、それらのゴム管状体を構成するゴム材料の配合を、例えば「A1」,「A12」,「S1」,「B1」,「C3」,「V1」等の記号で示し、これらの記号に相当する具体的のゴム材料の配合内容を末尾の表8〜表11に重量部表記で示す。
【0079】
表1〜表7の各実施例及び比較例について、それぞれ上記配合のゴム組成物を準備し、これを射出成形機により180°Cで5分間加硫成形し、内径35mm、厚さ4mm、長さ200mmの蛇腹形状を持つゴム管状体を作製した。なお、表1〜表7に表記した「無機金属塩」は、いずれも塩化カリウムである。
【0080】
次に、表1〜表7には表記していないが、上記各実施例及び比較例に係るゴム管状体の内周面に、ビニリデンフルオライド:クロロトリフルオロエチレンのモル比が95:5であるフッ素樹脂の粉末を厚さ0.2mmとなるように静電塗装した。この静電塗装は、60kv/10μAのコロナ放電(マイナス・チャージ)により行った。更に、これらフッ素樹脂粉末を塗装したゴム管状体をオーブンに入れて、220°C/25分間の条件で加熱溶融した後、オーブンから取出して冷却し、これによってゴム管状体の内周面にフッ素樹脂層を形成してなるホースを得た。
〔ホースの評価〕
以上の、ゴム管状体が単層構造又は多層構造である各実施例及び比較例に係るホースについて、燃料不透過性、及び、ゴム管状体(ゴム管状体が多層構造の場合は、その最内層)とフッ素系樹脂層との接着性を、下記のようにして調べ、結果を表に示した。
【0081】
(燃料不透過性)
まず、JIS K 6258に規定するFuel C{トルエン/イソオクタン=50/50(体積混合比)}、M15〔メタノール/Fuel C=15/85(体積混合比)〕及びE10〔エタノール/Fuel C=10/90(体積混合比)〕の三種類の試験用ガソリンを準備し、これらのそれぞれを各例に係るホースに封入して温度60°Cで168時間放置した。次いで同一の新しいガソリンに入替えた後、更に温度60°Cで72時間放置して、この更新ガソリンの放置前後の重量変化から一日当たりの燃料透過量を算出し、表に記した。
【0082】
(接着性)
JIS K 6256に準じて接着性試験を行った。即ち、各例のホースの端部を幅25mmのリング状に切断し、リングの1ケ所を軸方向に切開して試験サンプルとした。この試験サンプルの切開面の部分から、ゴム層とフッ素系樹脂層とを一定の長さだけ互いに剥がし、その剥がしたゴム層とフッ素系樹脂層の端を、それぞれ引張試験機のつかみ治具に固定して、引張速度25mm/min.で引張試験を行い、得られた測定荷重から二層間の剥離強度を求めて初期値とした。
【0083】
次に、同一例に係るホースの中にFuel Cを封入し、40°Cで72時間放置した後、このホースから上記同様に試験サンプルを得て、同上の引張試験を行い、求められた剥離強度を燃料封入後の値とした。
【0084】
これらの剥離強度の初期値と燃料封入後の値から、ゴム管状体(ゴム管状体が多層構造の場合は、その内層)とフッ素系樹脂層との接着性を評価した。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】
【0090】
【表6】
【0091】
【表7】
【0092】
【表8】
【0093】
【表9】
【0094】
【表10】
【0095】
【表11】
【図面の簡単な説明】
【図1】ゴム管状体の一例を示す斜視図である。
【図2】図2(A)は本発明の燃料ホースの一例を示す断面図であり、図2(B)はそのX−X線矢視断面図である。
【図3】本発明の燃料ホースの使用用途を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 ゴム管状体
2 フッ素系樹脂層
3 燃料ホース
4 金属製パイプ
Claims (8)
- 単層又は多層からなるゴム管状体と、その最内層の内周面の全面又は特定部に形成されたフッ素樹脂層とを備えた燃料ホースであって、
前記フッ素樹脂層がビニリデンフルオライドとクロロトリフルオロエチレンの共重合体を以て形成され、かつ、該共重合体に対して0.05〜0.3重量%の金属塩が配合されていることを特徴とする燃料ホース。 - 以下の(1)〜(3)の少なくとも1条件に該当することを特徴とする請求項1に記載の燃料ホース。
(1)前記金属塩が、1価又は2価の金属の塩である。
(2)前記金属塩が、1価又は2価の金属の、ハロゲン化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩又はその他の無機酸塩である。
(3)前記金属塩が、塩化カリウムである。 - 前記フッ素樹脂層の層厚が0.05〜0.2mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料ホース。
- 単層又は多層からなるゴム管状体と、その最内層の内周面の全面又は特定部に形成されたフッ素樹脂層とを備えた燃料ホ−スであって、
前記フッ素樹脂層がビニリデンフルオライドとクロロトリフルオロエチレンの共重合体を以て形成され、かつ、該共重合体に対して0.05〜0.3重量%の金属塩が配合され、又、前記ゴム管状体が基材ゴムに対して5〜35phrのアクリルゴムを配合したブレンドゴムを以て形成されていることを特徴とする燃料ホ−ス。 - 単層又は多層からなるゴム管状体と、その最内層の内周面の全面又は特定部に形成されたフッ素樹脂層とを備えた燃料ホースであって、
前記フッ素樹脂層がビニリデンフルオライドとクロロトリフルオロエチレンの共重合体を以て形成され、かつ、該共重合体に対して0.05〜0.3重量%の金属塩が配合され、又、前記ゴム管状体が有機アンモニウム塩,有機ホスホニウム塩,ポリアミン系添加剤の少なくとも一種を含有した基材ゴムに対して5〜35phrのアクリルゴムを配合したブレンドゴムを以て形成されていることを特徴とする燃料ホース。 - 前記フッ素樹脂層を、前記ゴム管状体の最内層の内周面にフッ素樹脂の粉末を粉末塗装により溶融付着して形成したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の燃料ホース。
- 前記フッ素樹脂を構成するビニリデンフルオライド(A)とクロロトリフルオロエチレン(B)のモル比がA/B=98/2〜85/15であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の燃料ホース。
- 前記有機アンモニウム塩が1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7塩であることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれかに記載の燃料ホース。
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