JP2006234125A - 燃料系ゴムホース - Google Patents
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Abstract
【課題】 非ハロゲン系材料で、燃料透過性、耐燃料性、耐オゾン性及び低温性の基本性能を全て満たすことができる燃料系ゴムホースを提供する。
【解決手段】 燃料透過性及び耐燃料性が相対的に高いポリマー組成によるNBRとACMとのブレンド材(A)を主材料とする組成物よりなる内管と、耐オゾン性及び低温性が相対的に高いポリマー組成によるNBRとACMとのブレンド材(B)を主材料とする組成物よりなる外皮とを含む燃料系ゴムホースである。好ましいブレンド材(A)は、ACMがEA若しくはMEA又はその混合を主材料とするものであり、好ましいブレンド材(B)は、ACMがBAを主材料とするものである。また、好ましい内管用の組成物は、ブレンド材(A)にフィラーを配合したものである。
【選択図】 図1
【解決手段】 燃料透過性及び耐燃料性が相対的に高いポリマー組成によるNBRとACMとのブレンド材(A)を主材料とする組成物よりなる内管と、耐オゾン性及び低温性が相対的に高いポリマー組成によるNBRとACMとのブレンド材(B)を主材料とする組成物よりなる外皮とを含む燃料系ゴムホースである。好ましいブレンド材(A)は、ACMがEA若しくはMEA又はその混合を主材料とするものであり、好ましいブレンド材(B)は、ACMがBAを主材料とするものである。また、好ましい内管用の組成物は、ブレンド材(A)にフィラーを配合したものである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、燃料(燃料油)が通るインレットホース、ブリーザーホース等の燃料系ゴムホースに関するものである。
燃料系ゴムホースには、燃料透過性、耐燃料性(サワー性を含む)、耐オゾン性、低温性等の基本性能が要求される。これらの要求を満たす現在の燃料系ゴムホースの材料の主流は、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)とPVC(ポリ塩化ビニル)とのブレンド材である。そして、ガソリン等の燃料透過性の要求に合わせて、NBRにおけるAN(アクリロニトリル)量が異なる。しかし、NBRとPVCとのブレンド材はPVCがハロゲンを含有し、製品廃棄時の焼却に伴い有害ガスを放出するため、近年のハロゲンの使用抑制の傾向に合わなくなってきた。
そこで、ハロゲンを使用しない(非ハロゲン系)で前記の基本性能(特に燃料透過性、耐オゾン性、低温性)の要求を満たす燃料系ゴムホースが検討されており、その材料としては、NBRとACM(アクリルゴム)とのブレンド材に絞られてきている。例えば、特許文献1には、(1)NBRと、MEA(メトキシエチルアクリレート)が主体としANを共重合させたACMとをブレンドした組成物と、(2)該組成物を用いた単層の燃料輸送ホースと、(3)該組成物を内管に用い、耐候性に優れたCHC(エピクロルヒドリンゴム)等を外皮に用いた燃料輸送ホースとが開示されている。
特開2001−151946公報
しかし、NBRとACMとのブレンド材を用いた単層の燃料輸送ホースは、全ての基本性能(燃料透過性、燃料抽出後の耐オゾン性、片面燃料浸漬後の低温性)を満足させるのは困難である。特に、燃料浸漬後に−40℃での衝撃試験に耐えられ、なおかつ前記の基本性能を満足するインレットホースは未だ無い。
本発明の目的は、上記課題を解決し、非ハロゲン系材料で、燃料透過性、耐燃料性、耐オゾン性及び低温性の基本性能を全て満たすことができる燃料系ゴムホースを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の燃料系ゴムホースは、燃料透過性及び耐燃料性が(外皮よりも)相対的に高いポリマー組成によるNBRとACMとのブレンド材(A)を主材料とする組成物よりなる内管と、耐オゾン性及び低温性が(内管よりも)相対的に高いポリマー組成によるNBRとACMとのブレンド材(B)を主材料とする組成物よりなる外皮とを含む。
[NBR/ACM(ブレンド比)]
ここで、内管用のブレンド材(A)のNBR/ACM(ブレンド比)は70/30〜50/50が好ましい。外皮用のブレンド材(B)のNBR/ACM(ブレンド比)も70/30〜50/50が好ましい。何れのブレンド材(A)(B)も、相構造がNBRの海にACMが島状に分散したいわゆる海島構造であることが好ましく、ACMの粒径は0.2〜1μm程度が好ましい。このような海島構造をとることにより、後述するように、拡管時に発生する応力が短時間に緩和されるようになる。
ここで、内管用のブレンド材(A)のNBR/ACM(ブレンド比)は70/30〜50/50が好ましい。外皮用のブレンド材(B)のNBR/ACM(ブレンド比)も70/30〜50/50が好ましい。何れのブレンド材(A)(B)も、相構造がNBRの海にACMが島状に分散したいわゆる海島構造であることが好ましく、ACMの粒径は0.2〜1μm程度が好ましい。このような海島構造をとることにより、後述するように、拡管時に発生する応力が短時間に緩和されるようになる。
[内管用のブレンド材(A)と外皮用のブレンド材(B)の組み合わせ]
また、燃料透過性及び耐燃料性が相対的に高いポリマー組成による内管用のブレンド材(A)と、低温性と耐オゾン性が相対的に高いポリマー組成による外皮用のブレンド材(B)との組み合わせとしては、次の好ましい態様を例示できる。
(1)ブレンド材(A)のNBRのAN量が46〜52質量%であり、ブレンド材(B)のNBRのAN量が30〜46質量%である組み合わせ。
(2)ブレンド材(A)のACMがEA(エチルアクリレート)若しくはMEA(メトキシエチルアクリレート)又はその混合を主材料とするものであり、ブレンド材(B)のACMがBA(ブチルアクリレート)を主材料とするものである組み合わせ。ブレンド材(A)のACMのEA/MEA重量比は1/0〜1/1が好ましく、BAは0が好ましい。また、ブレンド材(B)のACMのBAは、ACM中40重量%以上であることが好ましい。
(3)ブレンド材(A)のACMのAN量が16〜30質量%であり、ブレンド材(B)のACMのAN量が0〜9質量%である組み合わせ。
(4)上記(1)(2)を共に満たす組み合わせ。
(5)上記(2)(3)を共に満たす組み合わせ。
(6)上記(1)(3)を共に満たす組み合わせ。
(7)上記(1)(2)(3)を共に満たす組み合わせ。
また、燃料透過性及び耐燃料性が相対的に高いポリマー組成による内管用のブレンド材(A)と、低温性と耐オゾン性が相対的に高いポリマー組成による外皮用のブレンド材(B)との組み合わせとしては、次の好ましい態様を例示できる。
(1)ブレンド材(A)のNBRのAN量が46〜52質量%であり、ブレンド材(B)のNBRのAN量が30〜46質量%である組み合わせ。
(2)ブレンド材(A)のACMがEA(エチルアクリレート)若しくはMEA(メトキシエチルアクリレート)又はその混合を主材料とするものであり、ブレンド材(B)のACMがBA(ブチルアクリレート)を主材料とするものである組み合わせ。ブレンド材(A)のACMのEA/MEA重量比は1/0〜1/1が好ましく、BAは0が好ましい。また、ブレンド材(B)のACMのBAは、ACM中40重量%以上であることが好ましい。
(3)ブレンド材(A)のACMのAN量が16〜30質量%であり、ブレンド材(B)のACMのAN量が0〜9質量%である組み合わせ。
(4)上記(1)(2)を共に満たす組み合わせ。
(5)上記(2)(3)を共に満たす組み合わせ。
(6)上記(1)(3)を共に満たす組み合わせ。
(7)上記(1)(2)(3)を共に満たす組み合わせ。
ここで、図2にACMのポリマー組成と耐燃料性(後述するΔV)及び低温性との関係を示す。BAは低温性に非常に優れるが、耐燃料性は比較的低い。また、安価である。MEAは低温性に優れ、耐燃料性に非常に優れる。しかし、高価である。EAは、低温性は比較的低いが、耐燃料性に優れる。また、安価である。よって、本発明では、燃料に接する内管のブレンド材(A)のACMはEA若しくはMEA又はその混合を主材料とし、外気に接する外皮のブレンド材(B)のACMはBAを主材料とすることが好ましいのである。
[内管用の組成物のフィラー]
さらに、内管用の組成物は、ブレンド材(A)にフィラー(充填材)を配合したものが好ましい。フィラーとしては、特に限定されないが、ガラス繊維、アラミド繊維等の繊維状フィラーや、タルク、マイカ、ワラステナイト、ゼオライト、クレイ、シリカ、黒鉛等の非繊維状フィラーを例示でき、特にタルク、マイカ等の板状フィラーが好ましい。フィラーの平均粒子径は1〜20μmが好ましい。板状フィラーの場合、アスペクト比は10〜50μmが好ましい。フィラーの配合比は1〜50phrが好ましい。
さらに、内管用の組成物は、ブレンド材(A)にフィラー(充填材)を配合したものが好ましい。フィラーとしては、特に限定されないが、ガラス繊維、アラミド繊維等の繊維状フィラーや、タルク、マイカ、ワラステナイト、ゼオライト、クレイ、シリカ、黒鉛等の非繊維状フィラーを例示でき、特にタルク、マイカ等の板状フィラーが好ましい。フィラーの平均粒子径は1〜20μmが好ましい。板状フィラーの場合、アスペクト比は10〜50μmが好ましい。フィラーの配合比は1〜50phrが好ましい。
[加硫系]
また、ブレンド材(A)及びブレンド材(B)の何れにおいても、NBR、ACM共に同じ加硫系(例えば、硫黄加硫、アミン加硫)で加硫ができることが好ましい。そのためには、ACMの架橋サイトに不飽和成分(例えばジヒドロジシクロペンタジニエルオキエチル基等)をポリマーに備えることにより、硫黄加硫を可能にできる。同一加硫系で加硫できると、NBRとACMの共架橋が可能となるため、強度やオゾン性が向上する。なお、前記の特許文献1では、NBRは硫黄加硫、ACMはイミダゾール加硫である。これは、ACMの架橋サイトがエポキシ基と推測され、硫黄加硫ができないため、通常のACMの加硫系であるイミダゾール加硫としたものと考えられる。
また、ブレンド材(A)及びブレンド材(B)の何れにおいても、NBR、ACM共に同じ加硫系(例えば、硫黄加硫、アミン加硫)で加硫ができることが好ましい。そのためには、ACMの架橋サイトに不飽和成分(例えばジヒドロジシクロペンタジニエルオキエチル基等)をポリマーに備えることにより、硫黄加硫を可能にできる。同一加硫系で加硫できると、NBRとACMの共架橋が可能となるため、強度やオゾン性が向上する。なお、前記の特許文献1では、NBRは硫黄加硫、ACMはイミダゾール加硫である。これは、ACMの架橋サイトがエポキシ基と推測され、硫黄加硫ができないため、通常のACMの加硫系であるイミダゾール加硫としたものと考えられる。
以上の内管用の組成物及び外皮用の組成物の好ましい態様を、まとめて次の表1に示す。
[その他のブレンドゴム]
また、ブレンド材(A)及びブレンド材(B)に、本発明の目的を損なわない範囲で、他のゴムをブレンドして用いることができる。このような他のゴムとしては、NR(天然ゴム)、IR(イソプレンゴム)などのイソプレン系ゴム、BR(ブタジエンゴム)、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)などの共役ジエン系ゴムを挙げることができる。
また、ブレンド材(A)及びブレンド材(B)に、本発明の目的を損なわない範囲で、他のゴムをブレンドして用いることができる。このような他のゴムとしては、NR(天然ゴム)、IR(イソプレンゴム)などのイソプレン系ゴム、BR(ブタジエンゴム)、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)などの共役ジエン系ゴムを挙げることができる。
[その他の添加物]
また、内管用の組成物及び外皮用の組成物に、ゴム補強剤、フィラー(充填材)、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、加硫促進剤、有機過酸化物、架橋助剤、着色剤、分散剤、難燃剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
また、内管用の組成物及び外皮用の組成物に、ゴム補強剤、フィラー(充填材)、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、加硫促進剤、有機過酸化物、架橋助剤、着色剤、分散剤、難燃剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
ゴム補強剤としては、特に限定されないが、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラック、シランカップリング剤などにより表面処理が施されているこれらのカーボンブラック、微粉ケイ酸、シリカなどを例示できる。
フィラーについては、前述したとおりであり、外皮用の組成物に配合することもできる。但し、内管用の組成物への配合量より少ないことが好ましい。
可塑剤としては、フタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、ポリエーテルエステル等の1種類以上を使用できる。軟化剤としては、潤滑油、プロセスオイル、ひまし油、なたね油等の1種類以上を使用できる。
老化防止剤としては、例えばフェニレンジアミンなどが挙げられるが、これらの老化防止剤は、上述したように、本発明の目的を損なわない範囲で用いられる。
加工助剤としては、通常のゴムの加工に使用される化合物を使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸の塩;リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸のエステル類などが挙げられる。
本発明の燃料系ゴムホースによれば、非ハロゲン系材料で、燃料透過性、耐燃料性、耐オゾン性及び低温性の基本性能を全て満たすことができる。
燃料透過性及び耐燃料性が相対的に高いポリマー組成によるNBRとACMとのブレンド材(A)を主材料とする組成物よりなる内管と、耐オゾン性及び低温性が相対的に高いポリマー組成によるNBRとACMとのブレンド材(B)を主材料とする組成物よりなる外皮とを含む燃料系ゴムホースである。
好ましいブレンド材(A)は、NBR/ACMブレンド比は70/30〜50/50であり、NBRのAN量が46〜52質量%であり、ACMがEA若しくはMEA又はその混合を主材料とするものであり、ACMのEA/MEA重量比は1/0〜1/1であり、ACMのAN量が16〜30質量%である。
好ましいブレンド材(B)は、NBR/ACMブレンド比は70/30〜50/50であり、NBRのAN量が30〜46質量%であり、ACMがBAを主材料とするものであり、BAはACM中40重量%以上であり、ACMのAN量が0〜9質量%である。
また、好ましい内管用の組成物は、ブレンド材(A)にフィラーを配合したものである。好ましいフィラーはタルク、マイカ等の板状フィラーであり、平均粒子径が1〜20μm、アスペクト比が10〜50μmである。
さらに、ブレンド材(A)及びブレンド材(B)の何れにおいても、NBR、ACM共に同じ加硫系で加硫ができるポリマー組成であることが好ましい。
好ましいブレンド材(A)は、NBR/ACMブレンド比は70/30〜50/50であり、NBRのAN量が46〜52質量%であり、ACMがEA若しくはMEA又はその混合を主材料とするものであり、ACMのEA/MEA重量比は1/0〜1/1であり、ACMのAN量が16〜30質量%である。
好ましいブレンド材(B)は、NBR/ACMブレンド比は70/30〜50/50であり、NBRのAN量が30〜46質量%であり、ACMがBAを主材料とするものであり、BAはACM中40重量%以上であり、ACMのAN量が0〜9質量%である。
また、好ましい内管用の組成物は、ブレンド材(A)にフィラーを配合したものである。好ましいフィラーはタルク、マイカ等の板状フィラーであり、平均粒子径が1〜20μm、アスペクト比が10〜50μmである。
さらに、ブレンド材(A)及びブレンド材(B)の何れにおいても、NBR、ACM共に同じ加硫系で加硫ができるポリマー組成であることが好ましい。
実施例並びに比較例1・比較例2・比較例3として、下記の表2に示す各組成物を用いて、図1に示すような燃料系ゴムホースを作成した。
図1(b)に示すように、比較例1は、NBR/PVCのブレンド材の組成物よりなる単層の燃料系ゴムホース51であり、比較例2及び比較例3はNBR/ACMのブレンド材を主材料とし各種添加物を配合した組成物よりなる単層の燃料系ゴムホース51である。これら単層のホース51は、内径34mm、厚さ5mmである。
図1(a)に示すように、実施例は、NBR/ACMのブレンド材を主材料としフィラーその他の各種添加物を配合した内管用の組成物よりなる内管2と、NBR/ACMのブレンド材を主材料とし各種添加物を配合した外皮用の組成物よりなる外皮3とが、積層及び接合されてなる二層構造の燃料系ゴムホース1である。内管2は内径34mm、厚さ4mmであり、外皮3は厚さ1mmである。
図1(b)に示すように、比較例1は、NBR/PVCのブレンド材の組成物よりなる単層の燃料系ゴムホース51であり、比較例2及び比較例3はNBR/ACMのブレンド材を主材料とし各種添加物を配合した組成物よりなる単層の燃料系ゴムホース51である。これら単層のホース51は、内径34mm、厚さ5mmである。
図1(a)に示すように、実施例は、NBR/ACMのブレンド材を主材料としフィラーその他の各種添加物を配合した内管用の組成物よりなる内管2と、NBR/ACMのブレンド材を主材料とし各種添加物を配合した外皮用の組成物よりなる外皮3とが、積層及び接合されてなる二層構造の燃料系ゴムホース1である。内管2は内径34mm、厚さ4mmであり、外皮3は厚さ1mmである。
表2において、タルクとしてのミクロエースK−1は日本タルク社の商品名であり、平均粒子径は約8μm、アスペクト比は約30である。プロセスオイルとしてのアデカサイザーRS107、アデカサイザーRS107はそれぞれ旭電化工業株式会社の商品名である。
[燃料系ゴムホースの製造方法]
比較例1〜3の単層の燃料系ゴムホースは、一台の押出機を使用して押出成形した後、硫黄加硫した。実施例の二層の燃料系ゴムホースは、2台の押出機と両押出機から吐出された組成物をホース状に成形するダイスとを使用して、共押出成形した後、硫黄加硫した。
比較例1〜3の単層の燃料系ゴムホースは、一台の押出機を使用して押出成形した後、硫黄加硫した。実施例の二層の燃料系ゴムホースは、2台の押出機と両押出機から吐出された組成物をホース状に成形するダイスとを使用して、共押出成形した後、硫黄加硫した。
そして、実施例及び各比較例について、以下の材料物性の測定と製品性能の測定を行った。これらの測定結果を表2中に示す。
[材料物性の測定]
1.常温物性として、試験片の硬さHA(Duro-A)、引張強さTb、伸びEbを測定した。
2.耐燃料性として、イソオクタン/トルエンを体積比で40/60で調合した試験燃料に、試験片を40℃にて48時間浸漬した後、硬さの変化ΔHA、引張強さの変化ΔTb、伸びの変化ΔEb、体積の変化ΔVを測定した。
3.低温性として、試験片の衝撃脆化試験を行い、脆化温度を求めた。
1.常温物性として、試験片の硬さHA(Duro-A)、引張強さTb、伸びEbを測定した。
2.耐燃料性として、イソオクタン/トルエンを体積比で40/60で調合した試験燃料に、試験片を40℃にて48時間浸漬した後、硬さの変化ΔHA、引張強さの変化ΔTb、伸びの変化ΔEb、体積の変化ΔVを測定した。
3.低温性として、試験片の衝撃脆化試験を行い、脆化温度を求めた。
4.燃料透過性を求めるため、図3に示す測定方法を実施した。図3(a)に示すような、内径35mm・カップ内高さ25mmでフランジ付きのカップ11と、カップ11の内径及びフランジ外径に合致する大きさのリング状で厚さ3mm以上のふた12と、16〜30メッシュ程度の網13とを準備した。試験片Sは、カップ11のフランジ外径に合致する大きさの円板状で厚さ2±0.2mmのものを作成した。カップ11にその内容積の75%の試験燃料(イソオクタン/トルエン=40/60)を入れ、図3(b)に示すように、カップ11の上に試験片Sを被せ、さらに網13及びふた12を載せて組み付けた。このとき、組み合わせたカップ11を逆さまにしたとき、組み合わせ境界面から試験燃料が漏れないようにボルトなどでしっかり締め付けた。そして、逆さまにして試験片Sに試験燃料を接触させた状態で40℃の恒温槽に入れ、放置後、7日目及び10日目の質量を測定した。次の式1により日当たりの透過量を求めるとともに、、式2により単位面積当りの透過量を求めて燃料透過性として規定した。透過量は膜厚補正を含み、膜厚は、初期品の試験片の中央1箇所とその周辺4箇所の合計5箇所の平均とした。
[式1]
日当たりの透過量(mg/日)=(7日目の質量(g)−10日目の質量(g))×1000/3
[式2]
単位面積当りの透過量(mg・mm/cm2・日)=日当たりの透過量(mg/日)×試験片の膜厚(mm)/透過面積(cm2)
[式1]
日当たりの透過量(mg/日)=(7日目の質量(g)−10日目の質量(g))×1000/3
[式2]
単位面積当りの透過量(mg・mm/cm2・日)=日当たりの透過量(mg/日)×試験片の膜厚(mm)/透過面積(cm2)
5.耐オゾン性として、標準燃料に試験片を40℃にて72時間浸漬した後、乾燥させ、100℃にて48時間保持して熱老化させ、濃度50pphmのオゾンに試験片を50%伸長させた状態で40℃にて15日保持した後、試験片のクラックの発生の有無を調べた。(表2中の※1)
[製品性能の測定]
1.耐オゾン性として、上記材料物性の測定における耐オゾン性と同様の方法で、ゴムホースについてクラックの発生の有無を調べた。
2.低温衝撃性として、前処理としてゴムホース中に標準燃料(イソオクタン/トルエン=50/50)/エタノール=90/10を入れて密栓し、40℃にて7日放置し、その後さらに、−40℃にて5時間放置した後、低温衝撃試験を実施して、ゴムホースのキズの有無を調べた。(表2中の※2)
1.耐オゾン性として、上記材料物性の測定における耐オゾン性と同様の方法で、ゴムホースについてクラックの発生の有無を調べた。
2.低温衝撃性として、前処理としてゴムホース中に標準燃料(イソオクタン/トルエン=50/50)/エタノール=90/10を入れて密栓し、40℃にて7日放置し、その後さらに、−40℃にて5時間放置した後、低温衝撃試験を実施して、ゴムホースのキズの有無を調べた。(表2中の※2)
3.燃料透過性を求めるため、図4に示す測定方法を実施した。図4(a)に示すような、カップ状の内容積50mlの密栓21と、図4(b)に示すような、内容積300ml以上の燃料タンク22を準備した。燃料タンク22に試験燃料(ガソリン)を、試験するゴムホースの内容積に200ml加えた量だけ入れ、図4(c)に示すように、燃料タンク22の口部と密栓21の口部とに試験するゴムホースSを嵌め、クランプ23にてシール面から燃料が漏れないように組み付けた。そして、組み付けた図4(c)の状態で、エア抜きを十分に行った後、40℃の恒温槽に入れ、168時間放置後、燃料を入れ替え、入れ替え直後及びさらに40℃恒温槽に72時間放置後の質量を測定した(最小読取単位は1/100g)。次の式3により単位内表面積当りの透過量を求めて燃料透過性として規定した。
[式3]
単位内表面積当りの透過量(mg/cm2・日)=(入れ替え直後の質量(g)−72時間放置後の質量(g))/(3×A)
ここで、A:ホースの挿入部を除外した燃料接触部の内表面積
[式3]
単位内表面積当りの透過量(mg/cm2・日)=(入れ替え直後の質量(g)−72時間放置後の質量(g))/(3×A)
ここで、A:ホースの挿入部を除外した燃料接触部の内表面積
実施例の燃料系ゴムホース1によれば、次の作用効果が得られる。
(1)PVCを廃止した、非ハロゲン系の燃料系ゴムホースを実現することができる。
(2)表2の測定結果の通り、耐燃料性及び低温性に劣る比較例2や、燃料透過性に劣る比較例3と比べて、実施例は燃料透過性、耐燃料性、耐オゾン性及び低温性の基本性能を全て満たすことができる。
(3)内管2と外皮3とは、共にNBR/ACMを主材料としているので、接着剤を介したり含有させたりしなくても、自己接着により十分な層間接着力で接合する。
(4)押出→ホース端部の拡管(拡径)→加硫の成形方式をとる場合、従来のNBR/PVCでは、NBRのマトリックスにPVCが微分散した相構造になるためと考えられるのであるが、拡管時に発生した応力がその後も長時間残留するため、拡管部分に割れが発生しやすい。これに対し、実施例のNBR/ACMでは、NBRの海にACMが島状に分散したいわゆる海島構造になるためと考えられるのであるが、拡管時に発生した応力が比較的短時間で緩和されて実質的に無くなるため、割れが発生しない。
(1)PVCを廃止した、非ハロゲン系の燃料系ゴムホースを実現することができる。
(2)表2の測定結果の通り、耐燃料性及び低温性に劣る比較例2や、燃料透過性に劣る比較例3と比べて、実施例は燃料透過性、耐燃料性、耐オゾン性及び低温性の基本性能を全て満たすことができる。
(3)内管2と外皮3とは、共にNBR/ACMを主材料としているので、接着剤を介したり含有させたりしなくても、自己接着により十分な層間接着力で接合する。
(4)押出→ホース端部の拡管(拡径)→加硫の成形方式をとる場合、従来のNBR/PVCでは、NBRのマトリックスにPVCが微分散した相構造になるためと考えられるのであるが、拡管時に発生した応力がその後も長時間残留するため、拡管部分に割れが発生しやすい。これに対し、実施例のNBR/ACMでは、NBRの海にACMが島状に分散したいわゆる海島構造になるためと考えられるのであるが、拡管時に発生した応力が比較的短時間で緩和されて実質的に無くなるため、割れが発生しない。
実施例の変更例を、次の表3に示す。実施例の内管用の組成物(表2のNBR/ACM(3))は、表3のNBR/ACM(5)〜(9)の何れにも置き換えることができる。また、実施例の外皮用の組成物(表2のNBR/ACM(4))は、表3のNBR/ACM(10)〜(12)の何れにも置き換えることができる。また、これらの全ての組み合わせが可能である。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)内管の樹脂組成物を導電化すること。
(2)内管2と外皮3との間に別の中間層を追加すること。
(1)内管の樹脂組成物を導電化すること。
(2)内管2と外皮3との間に別の中間層を追加すること。
1 燃料系ゴムホース
2 内管
3 外皮
2 内管
3 外皮
Claims (9)
- 燃料透過性及び耐燃料性が相対的に高いポリマー組成によるNBRとACMとのブレンド材(A)を主材料とする組成物よりなる内管と、耐オゾン性及び低温性が相対的に高いポリマー組成によるNBRとACMとのブレンド材(B)を主材料とする組成物よりなる外皮とを含む燃料系ゴムホース。
- ブレンド材(A)のNBR/ACMブレンド比は70/30〜50/50であり、ブレンド材(B)のNBR/ACMブレンド比は70/30〜50/50である請求項1記載の燃料系ゴムホース。
- ブレンド材(A)のNBRのAN量が46〜52質量%であり、ブレンド材(B)のNBRのAN量が30〜46質量%である請求項1又は2記載の燃料系ゴムホース。
- ブレンド材(A)のACMがEA若しくはMEA又はその混合を主材料とするものであり、ブレンド材(B)のACMがBAを主材料とするものである請求項1、2又は3記載の燃料系ゴムホース。
- ブレンド材(A)のACMのEA/MEA重量比は1/0〜1/1であり、ブレンド材(B)のACMのBAはACM中40重量%以上である請求項4記載の燃料系ゴムホース。
- ブレンド材(A)のACMのAN量が16〜30質量%であり、ブレンド材(B)のACMのAN量が0〜9質量%である請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃料系ゴムホース。
- 内管用の組成物は、ブレンド材(A)にフィラーを配合したものである請求項1〜6のいずれか一項に記載の燃料系ゴムホース。
- フィラーはタルク、マイカ等の板状フィラーであり、平均粒子径が1〜20μm、アスペクト比が10〜50μmである請求項7記載の燃料系ゴムホース。
- ブレンド材(A)及びブレンド材(B)の何れにおいても、NBR、ACM共に同じ加硫系で加硫ができるポリマー組成である請求項1〜8のいずれか一項に記載の燃料系ゴムホース。
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2005
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