図1は、本発明の一実施形態に係る用紙後処理装置の内部構造を説明するための側面視の説明図である。この図に示すように、用紙後処理装置10は、複写機やファクシミリ装置、さらには各種のプリンタとして適用される画像形成装置(上流側装置)19に隣設されるものであり、縦長の箱状を呈した筐体11内に、用紙搬送路Rに沿って用紙Pに綴り孔を穿孔するためのパンチング処理を施すパンチ部12と、このパンチ部12の下流側(図1の左方)に設けられて用紙Pを行き先別に振り分ける用紙退避貯留部(サブ貯留部)20と、この用紙退避貯留部20の下部に配設され排紙された用紙Pの束(用紙束Q)を一時的に貯留すると共に、用紙束Qに対してステープル処理を施すスタック部(メイン貯留部)30と、ステープル処理後の用紙束Qに中折り処理を施す中折り処理部15とが内装されてる。
一方、筐体11外には、その背面側に立設されたジョブトレイ13と、このジョブトレイ13の下方位置に配設された汎用トレイ14と、この汎用トレイ14と対向するように筐体11の下端部に配設された中折りトレイ16とが設けられている。ジョブトレイ13および汎用トレイ14には、中折り処理が施されない用紙Pや用紙束Qが排紙されるのに対し、中折りトレイ16には、中折り処理部15において中折り処理が施された用紙束Qが排出される。
前記用紙搬送路Rは、筐体11の図1における右方上部において画像形成装置19に対向して設けられた用紙受継ぎ開口111から用紙退避貯留部20へ向かう入口側搬送路R1と、この入口側搬送路R1から汎用トレイ14に向けて直進する汎用トレイ向け搬送路R2と、この汎用トレイ向け搬送路R2から上方へ分岐されて用紙退避貯留部20に形成された環状搬送路R3と、この環状搬送路R3の途中から上方へ向かいジョブトレイ13へ到達するように分岐されたジョブトレイ向け搬送路R4と、用紙退避貯留部20からスタック部30へ向けて垂下されたスタック部向け搬送路R5と、スタック部30内を上下に縦貫するように形成されたスタック部内搬送路R6と、このスタック部内搬送路R6と連通可能な状態で中折り処理部15内を斜めに貫通するように形成された中折り部内搬送路R7と、中折り処理部15内で中折り処理の施された用紙束Qを搬出するための中折り搬出搬送路R8とからなっている。
前記パンチ部12は、入口側搬送路R1の上方位置に設けられている。かかるパンチ部12は、内部にパンチ刃を昇降させるパンチ機構121を有し、入口側搬送路R1に導入された用紙Pは、搬送が一時的に停止された状態でパンチ機構121の駆動によるパンチ刃の昇降で所定の位置にパンチ孔が穿孔されるようになっている。
図2は、用紙退避貯留部20の一実施形態を示す側面視の説明図である。また、図3は、図2に示す用紙退避貯留部20の退避貯留動作を説明するための説明図であり、(イ)は、用紙Pが用紙退避貯留部20へ導入されつつある状態、(ロ)は、用紙退避貯留部20に貯留された用紙Pが排出されつつある状態をそれぞれ示している。
まず、図2に示すように、用紙退避貯留部20は、入口側搬送路R1の下流端(図2の左方)における汎用トレイ向け搬送路R2の直下流側の上方位置に設けられ、筒心が用紙搬送方向と直交した用紙幅方向に延びる円筒状の退避ドラム(環状体)21と、この退避ドラム21の図2における略右半分を所定の隙間を介して覆った円弧状カバー体22と、退避ドラム21の図2における左下を覆った第1切換ガイド23と、同右上を覆った第2切換ガイド24とを備えて構成されている。そして、前記環状搬送路R3は、これら円弧状カバー体22,第1切換ガイド23および第2切換ガイド24の内面側と、前記退避ドラム21の外周面との間に形成された環状隙間によって形成されている。
前記退避ドラム21の外周面の適所に対向した位置には、所定個数の待避コロ211が設けられ、環状搬送路R3に導入された用紙Pは、これら待避コロ211の外周面と退避ドラム21の外周面との間に挟持された状態で前進するようになっている。
また、退避ドラム21は、ドラムモータ212の駆動によってドラム心回りに駆動回転可能になっている。そして、環状搬送路R3に退避した用紙Pは、ドラムモータ212の駆動による時計方向への駆動回転によってスタック部向け搬送路R5を介しスタック部内搬送路R6へ向けて排出されることになる。かかる退避ドラム21には、複数枚の用紙Pが貯留可能になっている。
前記第1切換ガイド23は、汎用トレイ向け搬送路R2の若干上方位置に用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に延びた第1軸231回りに回動自在に軸支され、用紙Pを汎用トレイ向け搬送路R2側へ案内する汎用トレイ向け姿勢Z1(図2に二点鎖線で表示)と、用紙Pを環状搬送路R3へ案内する環状搬送路向け姿勢Z2(図2に実線で表示)との間で姿勢変更し得るようになっている。
前記第2切換ガイド24は、環状搬送路R3におけるジョブトレイ向け搬送路R4の分岐点より若干上方位置に用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に延びた第2軸241回りに回動自在に軸支され、用紙Pをジョブトレイ向け搬送路R4側へ案内するジョブトレイ向け姿勢Z3(図2に実線で表示)と、用紙Pを引き続き環状搬送路R3へ案内する環状搬送路向け姿勢Z4(図2に二点鎖線で表示)との間で姿勢変更し得るようになっている。
そして、第1切換ガイド23は、ソレノイド等を用いた第1アクチュエータ232の正逆駆動によって汎用トレイ向け姿勢Z1と環状搬送路向け姿勢Z2との間で姿勢変更すると共に、第2切換ガイド24もソレノイド等を用いた第2アクチュエータ242の正逆駆動でジョブトレイ向け姿勢Z3と環状搬送路向け姿勢Z4との間で姿勢変更し得るようになっている。
また、退避ドラム21の直下位置には、第1搬送ローラ対122を介して入口側搬送路R1から送り込まれた用紙Pの搬送先を汎用トレイ向け搬送路R2とスタック部向け搬送路R5との間で切り換える入口部切換ガイド25が設けられている。この入口部切換ガイド25は、斜辺部分が円弧状を呈した直角三角形状に形成され、入口側アクチュエータ252の正逆駆動による前記第1軸231と平行な入口側軸251回りの正逆回動によって、用紙Pを汎用トレイ向け搬送路R2へ案内する汎用トレイ向け姿勢Z5(図2に実線で表示)と、用紙Pをスタック部向け搬送路R5へ案内するスタック部向け姿勢Z6(図2に二点鎖線で表示)との間で姿勢変更可能になっている。
前記入口側軸251には、ガイドローラ253が軸支されていると共に、ガイドローラ253の直下位置には、第2搬送ローラ対254が設けられている一方、この第2搬送ローラ対254のニップ部と前記第1搬送ローラ対122のニップ部との間には、図2における左上方に向かって凸の円弧状を呈してガイドローラ253の周面と当接した円弧ガイド板255が設けられ、第1搬送ローラ対122を通過した用紙Pは、入口部切換ガイド25がスタック部向け姿勢Z6に姿勢設定された状態で円弧ガイド板255と入口部切換ガイド25とに挟持されつつスタック部向け搬送路R5を下降し、第2搬送ローラ対254を介してスタック部内搬送路R6へ導入されるようになっている。
したがって、パンチ部12から搬送されてきた用紙Pを、スタック部内搬送路R6へ向かわせるときは、入口部切換ガイド25がスタック部向け姿勢Z6に姿勢設定される。これによってパンチ部12からの用紙Pは、スタック部向け姿勢Z6に姿勢設定された入口部切換ガイド25に案内され、スタック部向け搬送路R5および第2搬送ローラ対254を介してスタック部内搬送路R6へ導入されることになる。
これに対し、入口部切換ガイド25が汎用トレイ向け姿勢Z5に姿勢設定された状態で、第1切換ガイド23が汎用トレイ向け姿勢Z1に姿勢設定されている場合には、パンチ部12から用紙退避貯留部20へ向けて搬送されてきた用紙Pは、汎用トレイ向け搬送路R2を通って汎用トレイ14へ排出される一方、第1切換ガイド23が環状搬送路向け姿勢Z2に姿勢設定されることにより、図3の(イ)に示すように、環状搬送路R3へ向かわせられることになる。
そして、第1切換ガイド23が環状搬送路向け姿勢Z2に姿勢設定されることにより環状搬送路R3へ向かわせられた用紙Pは、第2切換ガイド24がジョブトレイ向け姿勢Z3に姿勢設定されている状態で当該第2切換ガイド24に案内されてジョブトレイ13へ向かわせられる一方、第2切換ガイド24が環状搬送路向け姿勢Z4に姿勢設定されていることにより、当該第2切換ガイド24に案内されて環状搬送路R3の奥部へ導入され、退避ドラム21に巻き付いた状態でここに一時貯留されることになる。
一方、環状搬送路R3に一時貯留された用紙Pをスタック部内搬送路R6へ向けて排出させるに際しては、入口部切換ガイド25がスタック部内搬送路R6に姿勢設定される。この状態で、ドラムモータ212を駆動することにより、環状搬送路R3に貯留された用紙Pは、図3の(ロ)に示すように、退避ドラム21の環状搬送路R3から排出され、入口部切換ガイド25に案内されながらスタック部向け搬送路R5を通り、第2搬送ローラ対254を介してスタック部内搬送路R6へ向かわせられることになる。
図1に戻り、前記ジョブトレイ13は、上下に所定間隔で並設された複数枚の単位トレイ131からなり、ジョブの種類に応じていずれかの単位トレイ131を選択し得るようになっている。この選択のために、ジョブトレイ13は、筐体11の図1における左側部に立設された支柱112に沿って昇降可能に構成され、所望の単位トレイ131が選択されると、この単位トレイ131の基端側が前記ジョブトレイ向け搬送路R4の下流端と対向する位置に設定されるようになっている。したがって、ジョブトレイ向け搬送路R4を通って排紙された用紙Pは、予め選択された単位トレイ131に排紙されることになる。
前記汎用トレイ14は、特にジョブトレイ13での排紙先である単位トレイ131が選択されない用紙Pや用紙束Q、すなわち、汎用トレイ向け搬送路R2を通って排紙される一般的な用紙Pおよび一旦スタック部内搬送路R6で所定の後処理が施された用紙束Qを受けるものである。用紙Pまたは用紙束Qをかかる汎用トレイ14へ排出するに際しては、その基端側が汎用トレイ向け搬送路R2の下流端に対向配するように高さ位置が設定される。
前記スタック部30(図1)は、スタック部向け搬送路R5を通ってスタック部内搬送路R6に順次導入された用紙Pを一時貯留して用紙束Qを形成すると共に、この形成された用紙束Qに対して端部を揃える整合処理と、用紙束Qを綴結する、いわゆるステープル処理とを施すものである。スタック部向け搬送路R5は、下流端がスタック部内搬送路R6の中間位置より若干上方位置に対向されている一方、スタック部内搬送路R6の上端部は前記汎用トレイ向け搬送路R2に対向されている。
したがって、スタック部向け搬送路R5を通って一旦スタック部内搬送路R6に導入された用紙Pは、ここで所定の整合処理が施された後に用紙束Qとなってステープル処理が施される。ステープル処理が施された用紙束Qは、スタック部内搬送路R6の上端部から汎用トレイ向け搬送路R2を介して汎用トレイ14に排出されることになる。なお、スタック部30の詳細については、後に図3を説明する。
前記中折り処理部15は、スタック部30で中央部にステープル処理が施された用紙束Qに対して、同中央部を境にして折り畳む、いわゆる中折り処理を施す部位であり、中折りユニット151が設けられている。
この中折りユニット151は、中折り部内搬送路R7の中央上部に設けられた中折りローラ対152と、中折り部内搬送路R7の下部に中折りローラ対152と対向して設けられた中折り部内搬送路R7を横断する板状の押し型153と、中折り搬出搬送路R8の下流端に設けられた搬出ローラ対154と、この搬出ローラ対154の下流側で所定の軸回りに揺動可能に設けられた押え部材155とを備えて構成されている。
前記押し型153は、用紙束Qが中折り部内搬送路R7に搬入された状態で、ステープル処理が施されている部分を、図略の駆動手段の駆動によって中折りローラ対152間に向けて押圧するようになされている。したがって、押し型153により中央部が押圧されて中折り状態になった用紙束Qは、中折りローラ対152の駆動で中折り搬出搬送路R8内に押し入れられ、中折り搬出搬送路R8、搬出ローラ対154および押え部材155を介して中折りトレイ16に排出されることになる。
以下、前記スタック部30について、図4を基に、必要に応じて図1を参照しながらさらに説明する。図4は、スタック部30の一実施形態を示す概略側面図である。図4に示すように、スタック部30は、スタック部向け搬送路R5からの用紙Pを受ける受けユニット40と、この受けユニット40の用紙受け面に開閉自在に被せられるカバーユニット50とを備えて構成されている。
前記受けユニット40は、上端部が前記汎用トレイ向け搬送路R2に対向すると共に、下端部が筐体11の右方下部に位置するように長さ設定されて斜めに配された幅方向(図4の紙面に直交する方向)一対の側板41間に、用紙Pを受ける用紙受け板42と、この用紙受け板42上に積層されて形成した用紙束Qを前記用紙受け板42に沿って上方位置と下方位置との間で昇降させる用紙昇降部材43と、各側板41間における上下方向の略中間位置に架設されたステープル機構44と、前記用紙昇降部材43を用紙受け板42に沿って昇降させる昇降用無端ベルト45とが介設されることによって構成されている。
前記用紙受け板42は、幅方向に複数枚が並設されていると共に、前記昇降用無端ベルト45は、並設された用紙受け板42間の隙間に嵌り込んだ状態で配設されている。前記用紙昇降部材43は、かかる用紙受け板42間に設けられた昇降用無端ベルト45に固定され、昇降用無端ベルト45の正逆周回によって用紙受け板42に沿って昇降するようになっている。
前記用紙昇降部材43は、跨いだ状態で昇降用無端ベルト45に固定される断面視がコ字状の固定部431と、この固定部431に一体に連接された、用紙束Qを受ける用紙束受け部432とからなっている。用紙束受け部432は側面視でL字状を呈し、このL字状の部分でスタック部内搬送路R6に導入された用紙Pを受けるようになっている。
前記ステープル機構44は、受けユニット40およびカバーユニット50間で前記用紙昇降部材43に支持された状態の用紙束Qに対してステープル処理を施すものであり、ステープル用の綴り針の供給機構や、供給された綴り針を用紙束Qに打ち込む打ち込み機構などが備えられている。
前記昇降用無端ベルト45は、図4に示すように、一対の側板41間に架設された所定個数のベルト支持ローラに掛け回され、側板41間であって長手方向の略中間位置に設けられたベルト用モータ451の駆動で周回するようになっている。前記ベルト支持ローラとしては、ベルト用モータ451の駆動軸に同心で固定された駆動ローラ452と、一対の側板41間の上端部、同下端部および一対の側板41間であって昇降用無端ベルト45を前記駆動ローラ452に巻き掛け得る位置にそれぞれ設けられた所定個数の従動ローラ453とが採用されている。
したがって、昇降用無端ベルト45は、ベルト用モータ451の正逆駆動により駆動ローラ452を介して各従動ローラ453間を正逆周回し、これによって当該昇降用無端ベルト45に連結されている用紙昇降部材43が用紙受け板42に沿って昇降することになる。
また、前記用紙昇降部材43は、図4に示すように、従動ローラ453の内の最下位に位置した最下位ローラ453aを介して受けユニット40およびカバーユニット50間の用紙束支持位置から一対の側板41間の下部の位置である退避位置へ向けて移動し得るようになっている。そして、用紙昇降部材43が退避位置に位置することによって、スタック部内搬送路R6が中折り部内搬送路R7に連通され、これによってステープル機構44で中折り用のステープル処理(用紙束Qの中央部がステープルされる)が施された用紙束Qが中折り部内搬送路R7へ向かい得るようになっている。
前記カバーユニット50は、用紙Pがスタック部内搬送路R6に排紙されることによって形成した用紙束Qの昇降を受けユニット40の用紙受け板42と対向してガイドするために当該受けユニット40に被せられるものであり、幅方向(図4の紙面に直交する方向)一対の側板51と、これら一対の側板51間で受けユニット40の用紙受け板42と対向するように架設された被せ板52とを備えて構成されている。
かかるカバーユニット50は、最下位ローラ453aを軸支するローラ軸453b回りに回動自在に軸支され、このローラ軸453b回りに正逆回動することによってスタック部内搬送路R6を閉止した、図4において実線で示す閉止姿勢と、スタック部内搬送路R6を開放した、図4に二点鎖線で示す開放姿勢との間で姿勢変更可能になっている。
そして、本発明においては、図4に示すように、カバーユニット50の上端部の斜め上方であって、第2搬送ローラ対254の略直下におけるスタック部向け搬送路R5の後方位置(図4の右方)に付勢部材60が設けられていると共に、この付勢部材60の上方位置であって、第2搬送ローラ対254の前方のローラの前方位置に姿勢維持部材70が設けられている。
前記付勢部材60は、第2搬送ローラ対254を介してスタック部内搬送路R6へ排紙された用紙Pの後端縁部(上縁部)を、受けユニット40の用紙受け板42へ向けて付勢するためのものである。この付勢が行われた状態で、用紙昇降部材43が上昇されることにより、用紙束Qの上端部が姿勢維持部材70と用紙受け板42との間に誘導され、これによって直前にスタック部内搬送路R6に到達した用紙Pが次に送られてくる用紙Pと干渉しないようになっている。
そして、本発明においては、1束の用紙束Qに所定の後処理(本実施形態においてはステープル処理)と、画像形成装置19から用紙後処理装置10への所定搬送ピッチによる用紙送込みとのタイミング上のアンバランスを解消するために(すなわち両者の時間合わせをするために)、所定の時間ピッチで画像形成装置19から送り込まれた用紙Pの所定枚数(1組の一括搬送組の枚数)を用紙退避貯留部20に一時的に貯留し、次に画像形成装置19から搬送されてくる用紙Pに同伴させてスタック部30へ導入するようにしている。
このようにされるのは、以下の理由による。すなわち、近年、画像形成装置19の画像処理能力の高速化が図られるようになり、画像形成装置19から用紙後処理装置10へ順次搬送されてくる用紙Pの時間ピッチが短くなってきいるのに対し、用紙Pがスタック部30に搬入される都度行なわれるスタック部30における用紙束Qの整合処理には所定の時間が必要であり、この整合処理が前記用紙搬送ピッチに追い付かなくなってきているためである。
そして、例えば、画像形成装置19から用紙後処理装置10へ順次搬送されてくる用紙Pの奇数枚目のものを用紙退避貯留部20へ搬入して一時貯留し、1枚が用紙退避貯留部20に貯留された状態で続いて搬送されてくる偶数枚目の用紙Pに貯留されている用紙Pを同伴させ、2枚合わせでスタック部30へ導入させるようにすれば、スタック部30における用紙昇降部材43を昇降させることによって行なわれる用紙束Qの整合処理を、用紙搬送ピッチの2倍の時間内で行なうことが可能になり、これによって画像形成装置19での画像形成処理の高速化を実現することができる。
なお、用紙退避貯留部20に一時貯留される用紙Pの枚数は、1枚であることに限定されるものではなく、画像形成装置19における画像処理速度と、スタック部30における用紙束Qの整合処理速度とを勘案して2枚あるいは3枚等が適宜設定される。
このような用紙Pのスタック部30に対する複数枚同時一括搬送方式が採用された場合、用紙退避貯留部20に一時貯留される用紙Pの枚数mと、一時貯留されている用紙Pの次に画像形成装置19から搬送されてきて貯留用紙を同伴させる1枚の用紙Pとの合計枚数(一括搬送枚数)、すなわち1組の一括搬送組の枚数をT(T=m+1)とすると、画像形成装置19から搬送されてくる1束の用紙束Qの枚数が当該一括搬送枚数Tの整数倍になっていない場合には、用紙PのT枚ずつを合わせてスタック部30に導入していくと、その束の用紙の最後の方に枚数が「T(=m+1)」に満たない余りの用紙P(残留用紙)が残ることになる。
例えば、奇数枚目の用紙Pの1枚を用紙退避貯留部20に一時貯留し、その次に来る偶数枚目の用紙Pに同伴させてスタック部30へ給紙(搬送)する2枚同時一括搬送方式が採用された場合、その1束の用紙Pの枚数が奇数枚の場合、最後に1枚が余ることになる。この余った1枚については、用紙退避貯留部20に一時貯留する訳にはいかない(すなわち、次の束の1枚目の用紙Pが迫っており、この用紙Pと合わせて2枚をスタック部30へ給紙する訳にはいかないため)。
そこで、この最後に余った1枚の用紙Pについては、用紙退避貯留部20を経由することなくスタック部30へ直接給紙されることになるが、このようにすると、スタック部30における用紙束Qに対して整合処理やステープル処理を施すための時間を確保することができなくなる。かかる不都合を解消するために、上記特許文献1に記載の発明においては、次の束の用紙Pの搬送を用紙退避貯留部20の手前の適所で一時停止させ、これによって先の用紙束Qに対する後処理のための時間を確保するようになされている。
しかしながら、次の束の用紙Pの搬送を一時停止させるとなると、画像形成装置19における画像形成処理そのものをも一時停止させなければならず、これによって画像形成処理の処理効率が低下するという不都合が生じるのであるが、本発明は、かかる不都合を解消するものである。
図5および図6は、本発明に係る複数枚同時一括搬送方式の基本である第1実施形態(退避枚数1枚、かつ、2枚合わせでスタック部30へ一括搬送)を説明するための説明図であり、図5は、用紙Pの1束の枚数が偶数枚Xの場合、図6は、用紙Pの1束の枚数が奇数枚Yの場合をそれぞれ示している。なお、図5および図6中の四角図形は用紙Pを示し、四角図形中の数字はその束の用紙Pの搬送の順番を示している。この実施形態においては、用紙退避貯留部20に一時貯留(退避)される用紙Pの枚数(一時待避枚数)mは1枚である。
まず、図5に示すように、処理対象の用紙Pの枚数が偶数枚Xである場合、画像形成装置19から用紙受継ぎ開口111を介して用紙後処理装置10に給紙された図中に二点鎖線で示す1枚目の用紙P(四角図形内に「1」で表示)は、パンチ部12でパンチング処理が施された後、汎用トレイ向け姿勢Z5に姿勢設定された入口部切換ガイド25(図2)、環状搬送路向け姿勢Z2に姿勢設定された第1切換ガイド23および環状搬送路向け姿勢Z4に姿勢設定された第2切換ガイド24を介して用紙退避貯留部20における退避ドラム21の環状搬送路R3に搬入され(図5ではB欄に二点鎖線で示す)、1回目のA欄に示すように、ここに一時貯留される。
引き続き、図5のB欄の四角図形内に「2」で示す2枚目の用紙Pが画像形成装置19から送り込まれて来るが、この2枚目の用紙Pが用紙退避貯留部20に到達するまでの間に汎用トレイ向け姿勢Z5姿勢に姿勢設定されていた入口部切換ガイド25(図2)がスタック部向け姿勢Z6に姿勢変更されると共に、ドラムモータ212が駆動される。これによる退避ドラム21のドラム心回りの時計方向に向かう回転によって退避ドラム21の環状搬送路R3に一時貯留されて退避していた図5のA欄に「1」で示す1枚目の用紙Pは、入口部切換ガイド25を介し、図5のB欄に「2」で示す2枚目の用紙Pに同伴して2枚が同時にスタック部30へ給紙される(図5のC欄)。
そして、スタック部30へ給紙された2枚の用紙Pは、用紙昇降部材43により受けられた後、当該用紙昇降部材43の上下動によって整合処理が施される。
以後同様に、画像形成装置19から用紙後処理装置10に搬送されて来た奇数枚目の用紙Pは、一旦用紙退避貯留部20に一時貯留され、その次に搬送されてくる偶数枚目の用紙Pに同伴して2枚が同時にスタック部30へ向けて順次送り込まれることになる。そして図5のB欄に「X」で示す最後の偶数枚目の用紙Pが画像形成装置19から送り込まれてくると、この「X」枚目の用紙Pは、先の用紙退避貯留部20に貯留されている「X−1」枚目の用紙と同伴してスタック部30へ給紙され、これによって1束の用紙束Qに対するスタック部30への給紙が完了する。
スタック部30に給紙された用紙束Qは、所定の整合処理が施されたのちステイプル処理が施され、引き続き用紙昇降部材43の上昇により汎用トレイ14(図1)へ向けて搬出されると同時に次の束の用紙Pが画像形成装置19から用紙後処理装置10へ搬入され、用紙後処理装置10は、アイドルタイムを設けることなく引き続き先の用紙束Qの場合と同様の搬送ピッチで次の用紙束Qの最初の用紙Pを受け入れた上で続く用紙Pを順次受け入れ、所定の後処理を行なうことになる。
このように、用紙退避貯留部20への用紙Pの退避枚数が1枚であり、かつ、2枚合わせで用紙Pをスタック部30へ給紙する場合において、用紙束Qの用紙Pの枚数が偶数枚Xである場合には、1回目のスタック部30への給紙からn回目のスタック部30への給紙の全てについて2枚合わせで行なわれるため、その分スタック部30における整合処理およびステイプル処理に必要な時間が確保される。
因みに、その用紙束Qにおける全ての用紙Pがスタック部30に供給された後に施されるステープル処理の時間およびこの処理が完了した後の用紙束Qの排出時間の合計時間は、整合処理のみの時間より長いため、次の用紙束Qの最初の用紙Pを一時停止させることなく用紙後処理装置10に受け入れるためには、画像形成装置19における単位時間当たりの用紙処理枚数があまり多いと(すなわち、画像形成装置19が相当の高速処理を行なうものである場合には)対応することができなくなるので、2枚合わせの給紙を行なう第1実施形態は、画像形成装置19がある程度低速処理のものである場合に適用される。
ついで図6に示すように、第1実施形態(用紙Pの退避枚数が1枚、給紙2枚合わせ)において、用紙束Qの用紙Pの枚数が奇数枚(「Y」枚)である場合には、用紙Pを2枚合わせでスタック部30へ給紙していくと、最後には1枚が余ることになる。この余った1枚は、次の用紙束Qの最初の1枚が迫って来ていることから用紙退避貯留部20へ退避させることができないため、本発明においては、最後の用紙Pの直前の用紙Pとその前の用紙Pとの2枚を用紙退避貯留部20へ退避させ、これら2枚の用紙Pと最後の余りの用紙Pとの3枚を合わせてスタック部30へ給紙する、所謂3枚合わせ給紙が採用される。この場合、合わせ給紙(一括搬送)の回数nは、n=(Y−1)/2となる。
このように、給紙2枚合わせで、かつ、用紙束Qの用紙Pの枚数が奇数枚の場合、n回目の合わせ給紙時に用紙退避貯留部20へ3枚の合わせ給紙を行なうことにより、この用紙束Qにおいて最後の1枚が余る不都合が解消され、これによって画像形成装置19の処理を一時中断させることなく後の用紙束Qに対する後処理を同一の搬送ピッチで連続的に実行することが可能になる。
ついで、本発明に係る複数枚同時一括搬送方式の第2実施形態(退避枚数2枚、かつ、3枚合わせでスタック部30へ給紙)について図7〜図9を基に説明する。図7〜図9は、本発明に係る複数枚同時一括搬送方式の第2実施形態を説明するための説明図であり、図7は、1束の用紙P(用紙束Q)の枚数が3の倍数の場合、図8は、1束の用紙P(用紙束Q)の枚数が3の倍数+1枚の場合、図9は、1束の用紙P(用紙束Q)の枚数が3の倍数+2枚の場合をそれぞれ示している。
まず、図7に示すように、用紙Pの枚数Zが3の倍数枚である場合には、1回目(n=1)の3枚合わせ給紙において、まず、1枚目および2枚目の用紙Pが用紙退避貯留部20に退避され、これら2枚の用紙Pは、3枚目の用紙Pに同伴されてスタック部30へ給紙され、以後同様に3枚合わせの一括搬送が行なわれ、n回目(Z=Z/3)の3枚合わせ給紙が行なわれることにより、この用紙束Qの後処理が完了する。
これに対し、図8に示すように、その用紙束Qの用紙Pの枚数が「3の倍数+1」枚の場合には、最後のn回目(n=(Z−1)/3)の合わせ給紙において、「Z−3」枚目、「Z−2」枚目および「Z―1」枚目の合計3枚が用紙退避貯留部20に退避された後、これら退避された3枚が最後のn枚目の用紙Pに同伴して4枚給紙でスタック部30へ搬入されるようになっている。
また、図9に示すように、その用紙束Qの用紙Pの枚数が「3の倍数+2」枚の場合には、最後のn回目(n=(Z−2)/3)の合わせ給紙において、「Z−4」枚目、「Z−3」枚目、「Z−2」枚目および「Z―1」枚目の合計3枚が用紙退避貯留部20に退避された後、これら退避された4枚が最後のn枚目の用紙Pに同伴して5枚給紙でスタック部30へ給紙されるようになっている。
第2実施形態(退避枚数2枚で、かつ、3枚合わせ給紙)の場合には、2枚の用紙Pが用紙退避貯留部20に退避して相当の時間を稼ぐことができるため、スタック部30における整合処理およびステイプル処理に相当の長時間を確保することが可能になり、これによって用紙後処理装置10は、画像形成装置19の高速処理化に対応し得るようになる。
なお、用紙Pの退避枚数(m枚)を3枚以上に設定することも可能であり、この場合、スタック部30に対し1組の枚数、すなわち「T=m+1」枚の同時一括搬送が行なわれるが、これについては、mが4以上に増えているだけで考え方は第2実施形態の場合と同様である。
つぎに、図10を基に用紙後処理装置10における用紙Pの複数枚合わせ給紙(同時一括搬送)の制御について説明する。図10は、用紙後処理装置10における制御部による同時一括搬送の制御の一実施形態を示すブロック図である。図10に示すように、制御部80は、中央演算処理装置であるCPU81と、このCPU81に付設された読み出し専用のROM82と、同読み書き自在のRAM83とを備えた基本構成を有している。ROM82には、本制御を実行するためのプログラムが記憶されており、用紙後処理装置10に電源が入れられる都度、プログラムがCPU81に読み込まれるようになっている。これに対し、RAM83は、制御に必要な一時的なデータを読み書きするために使用されるものであり、例えば、現にカウントされつつある用紙Pの枚数等が更新記憶されるようになっている。
前記CPU81は、給紙枚数判別部(用紙特定判別部)811と、この給紙枚数判別部811の判別結果に基づいて所定の機器に制御信号を出力する制御信号出力部812とを備えている。
前記給紙枚数判別部811は、画像形成装置19から搬送されてくる用紙Pが同一の用紙束Qのものであるのか否か、および現に今搬送されてきた用紙Pがその束における何枚目のものであるのかを判別するようになされており、この判別結果に基づいて制御信号出力部812へ指令信号を出力する。
そのために、入口側搬送路R1の適所(例えば用紙受継ぎ開口111の近傍)には用紙Pが排紙口191から用紙後処理装置10へ受け渡されたことを検出する用紙受入れセンサ(枚数センサ)801(図1)が設けられ、この用紙受入れセンサ801が用紙を検出する度に当該検出信号が給紙枚数判別部811へ入力される。給紙枚数判別部811は、この検出信号が入力される度に用紙Pが用紙後処理装置10へ受け入れられたと判別するとともに、受け入れ枚数をカウントするようになっている。
一方、画像形成装置19からは、予め後処理の対象になっている1束当たりの用紙Pの枚数が給紙枚数判別部811へ向けて出力される。従って、給紙枚数判別部811は、この画像形成装置19からの枚数情報と用紙受入れセンサ801が検出した検出情報とによって、現に今画像形成装置19から用紙後処理装置10へ搬送されてきた用紙Pがその束における何枚目のものであるのかを判別することができる。
なお、1束当たりの用紙Pの枚数は、画像形成装置19が複写機であるときは、当該複写機に設けられた自動原稿読取装置が読み取るときにカウントした枚数情報が給紙枚数判別部811に入力されることによって設定され、画像形成装置19がファクシミリ装置であるときは、発信元のファクシミリ装置がカウントした枚数情報が給紙枚数判別部811に入力されることによって設定され、画像形成装置19がプリンタであるときは、所定のコンピュータから出力される枚数情報が給紙枚数判別部811に入力されることによって設定されるようになされている。
前記制御信号出力部812は、画像形成装置19からの用紙Pが用紙後処理装置10に受け入れられたこと、およびその束の用紙Pの枚数を給紙枚数判別部811からの信号によって認識した後、その用紙Pがその束における何枚面のものであるかに応じて当該用紙Pを用紙退避貯留部20に退避させるか、あるいはそのままスタック部30へ送り込むかを判別し、その判別結果に基づいて所定の制御信号を出力するようになされている。かかる制御信号出力部812は、ガイド切換信号出力部812aと、退避ドラム駆動信号出力部812bとを備えている。
前記ガイド切換信号出力部812aは、現に今画像形成装置19から用紙後処理装置10へ送り込まれた用紙Pがその束における何枚目のものであるかによって入口部切換ガイド25、第1切換ガイド23および第2切換ガイド24に所定の姿勢設定を行なわせるべく入口側アクチュエータ252、第1アクチュエータ232および第2アクチュエータ242(具体的にはアクチュエータを構成するソレノイド)へ向けて制御信号を出力するものであり、この制御信号によって各ガイド25,23,24が所定の姿勢に設定され、これによって用紙Pは、用紙退避貯留部20の退避ドラム21に貯留されたり、この貯留されている用紙Pが次に搬送されてきた用紙Pに同伴してスタック部30へ給紙されたりするようになっている。
具体的には、例えば用紙後処理装置10での処理が「2枚退避3枚合わせ給紙」で行なわれる場合、その束における1枚目および3の倍数枚目の用紙P、並びに2枚目および3の倍数+1枚目の用紙Pについては、ガイド切換信号出力部812aからの制御信号による各アクチュエータ251,232,242ガイドの駆動によって入口部切換ガイド25は汎用トレイ向け姿勢Z5(図2)に、第1切換ガイド23は環状搬送路向け姿勢Z2に、第2切換ガイド24は環状搬送路向け姿勢Z4にそれぞれ姿勢設定される(なお、当初からその姿勢になっている場合はそのアクチュエータは駆動しない)と共に、その束における3枚目の用紙Pおよび3の倍数+2枚目の用紙Pについては、ガイド切換信号出力部812aからの制御信号による入口側アクチュエータ252の駆動によって入口部切換ガイド25が汎用トレイ向け姿勢Z5からスタック部向け姿勢Z6へ姿勢変更され、これによって用紙退避貯留部20に貯留されていた用紙Pが次に搬送されてくる用紙Pに同伴してスタック部30へ向かい得るようになる。
なお、用紙Pが用紙退避貯留部20に何枚退避されるのか(すなわちmの値)については、画像形成装置19の画像形成の処理速度および用紙後処理装置10のスタック部30における処理速度に応じてこれらの装置固有のものとして予め設定されており、機能のグレードアップ等が施されない限り一旦決められた値が変更されることはない。
前記退避ドラム駆動信号出力部812bは、用紙退避貯留部20に退避貯留されている用紙Pをスタック部30へ給紙するために入口側アクチュエータ252およびドラムモータ212へ向けて制御信号を出力するものである。
そして、入口側アクチュエータ252へ制御信号が出力されることにより、スタック部向け姿勢Z6に姿勢設定されていた入口部切換ガイド25は、入口側アクチュエータ252の駆動により汎用トレイ向け姿勢Z5に姿勢変更され、この状態でドラムモータ212が駆動されることによる退避ドラム21の時計方向へ向かう回転で退避ドラム21の周面に巻き付いていた用紙Pは、次に搬送されてきた用紙Pに同伴して入口部切換ガイド25に案内されつつ第2搬送ローラ対254および付勢部材60を介し、スタック部向け搬送路R5を通ってスタック部30へ搬入されることになる。
以下、図11を基に用紙Pの退避制御のフローについて説明する。図11は、スタック部30に対する用紙Pの一括搬送制御のフローの一実施形態を示すフローチャートである。このフローチャートによる説明に先立ってまず用語の定義を行なう。すなわち、用紙後処理装置10で処理される1束の用紙束Qの用紙Pの枚数をN枚とし、順次搬送されてくる用紙Pの内で用紙退避貯留部20に退避される枚数をm枚(設定退避枚数)とする。従って、退避されていたm枚と、次に搬送されてきた1枚との合計であるT枚(「m+1」枚)が合わさってスタック部30へ給紙されることになる。
また、最終的な合わせ給紙(一括搬送)の回数をn回とする。この回数の値は、「n=N/(m+1)」で求められる。なお、このnの値は、用紙Pの枚数Nが「m+1」の整数倍でないときは、小数点以下を切り下げた値である。このことは、用紙Pの枚数が「m+1」の倍数であるときは、第1回目から第n回目の全ての各回数において合わせ給紙の枚数が「m+1」枚である一方、用紙Pの枚数が「m+1」の倍数でないとき(すなわち余り(余りの枚数をr枚とする)が出るとき)は、n回目の合わせ給紙の枚数は、「m+1+r」枚になるということを示している。
一括搬送制御がスタートすると、まず、ステップS1において、初期値の設定が行なわれる。初期値としては、最終合わせ給紙の回数「n」の値、設定退避枚数「m」の値、処理対象の束の用紙Pの枚数「N」の値の他に、用紙受入れセンサ801によって検出される用紙Pの検出枚数「N1」の初期値「0」、および実際に実行された合わせ給紙の回数「n1」の初期値「0」が設定される。
設定退避枚数mは、画像形成装置19および用紙後処理装置10の処理能力に応じて予め設定された値である。用紙枚数Nは、画像形成装置19から入力された既知の値である。最終合わせ給紙回数(一括搬送組の組数)nは、N/(m+1)によって算出された値における小数点以下を切り捨てた値である。また、用紙検出枚数N1は、用紙受入れセンサ801が用紙Pを検出する都度加算される数値であり、画像形成装置19から用紙後処理装置10へ実際に搬送された用紙の枚数を示すものである。さらに、合わせ給紙回数n1は、スタック部30への合わせ給紙が実行される都度1ずつ加算される数値であり、現時点までに何回の合わせ給紙が行なわれたかを示すものである。
ついで、ステップS2でフラグFに初期値である「0」が入力される。フラグFは、各回における用紙Pの待避枚数を示すものであり、その回において待避が行なわれる都度1ずつ加算され、設定退避枚数mに到達するとクリアされるものである。
引き続きステップS3において用紙受入れセンサ801が用紙Pを検出したか否かが判別され、用紙Pが検出されると(ステップS3でYES)、ステップS4で「N1=N1+1」が実行されて用紙Pの枚数が加算され、引き続きステップS5で「F=F+1」が実行されて待避の回数が1だけ加算される。
ついで、ステップS6で実際に行なわれた合わせ給紙の回数が、予め設定された最終合わせ給紙回数nより大きくなっているか(用紙検出枚数N1を合わせ枚数(m+1)で除したときに余りが出るか否か、すなわち「N1/(m+1)>n」を満足するか否か)が判別され、大きくなっていない場合(ステップS6でNO)には、ステップS7でフラグFの値が設定退避枚数mより大きくなっているか(F>m)が判別された上で、大きくなっていない場合には、ステップS8で用紙Pが退避ドラム21へ退避されるのに対し、ステップS6で給紙の回数が最終合わせ給紙回数nより大きくなっている場合(ステップS6でYES)には、ステップS8へスキップされる。
また、ステップS7でフラグFの値が設定退避枚数mより大きくなっているときには、すでに予め設定された枚数の用紙Pが退避ドラム21へ退避していると判断されてステップS10が実行され、現に今搬送されてきた用紙Pは退避されることなく、すでに退避している用紙Pと同伴してスタック部30への合わせ給紙が実行される。
そして、ステップS8において用紙Pが退避ドラム21へ退避された後にはステップS9が実行されて用紙検出枚数N1が用紙枚数Nと一致している(N1=N)か否かが判別され、一致していない場合、すなわちその用紙Pがその束における最終紙でない場合(ステップS9でNO)には、次に搬送されてくる用紙Pを対象としてステップS3にスキップされる一方、最終紙の場合(ステップS9でYES)は、この束で後処理するべき用紙が存在しなくなっているのであるから、ステップS10が実行される。
ついで、ステップS11において再度用紙検出枚数N1が用紙枚数Nと一致しているか否かが判別され、一致していない場合(すなわち、未だ待避させるべき用紙Pが存在している場合)には、ステップS2へスキップされ、フラグFが0にクリアされて以後のステップS3〜ステップS10が再度実行されるのに対し、一致している場合(すなわち、その用紙Pがその束の最終紙である場合)には、すでにスタック部30で形成されているその用紙束Qに対して所定の後処理(ステイプル処理)が実行され(ステップS12)た後、当該用紙束Qは、汎用トレイ14へ向けて排出される。
ついで、ステップS14において次の束の用紙Pが存在するか否かが判別され、引き続き次の束の用紙Pが搬送されてくる場合(ステップS14でYES)には、ステップS1にスキップされて次の束の用紙Pを対象として上記の各ステップが実行される一方、次の束の用紙がない場合(ステップS14でNO)には、用紙Pの一括搬送制御が終了される。
以上詳述したように、本発明に係る用紙後処理装置10は、上流側装置である画像形成装置19から供給された用紙Pを順次受け入れることにより形成された用紙束Qに所定の後処理を施すものであり、画像形成装置19から順次受け入れた用紙Pに後処理を施すべく積層状態で貯留するスタック部30と、スタック部30の直上流位置に設けられてスタック部30へ向かう所定枚数の用紙Pを一時的に待避させた後、次に送り込まれた用紙Pに同伴させてスタック部30へ一括搬送する用紙退避貯留部20と、用紙退避貯留部20に貯留される用紙Pの枚数と、用紙束Qの最後の用紙Pとの合計枚数が予め設定された一括搬送枚数に満たないとき、この一括搬送枚数に満たない用紙Pをすでに用紙退避貯留部20に貯留されている一時待避用紙Pに同伴させてスタック部30へ一括搬送する制御を行なう制御部80とを備えて構成されている。
かかる構成によれば、画像形成装置19から後処理装置に順次搬送されてくる用紙Pは、その所定枚数が一旦用紙退避貯留部20に貯留された後、次に搬送されてくる用紙Pに同伴してスタック部30へ供給され、かかる処理が繰り返されるため、1枚ずつの用紙Pが直接スタック部30へ導入される場合に比較し、スタック部30内で順次形成されていく用紙束Qの整合処理時間に左右されることなく画像形成装置19からの用紙Pを所定の搬送速度で後処理装置へ搬送することが可能になり、画像形成装置19の用紙処理の高速化に対応することができる。
そして、制御部80は、用紙退避貯留部20に貯留される用紙Pの枚数と、用紙束Qの最後の用紙Pとの合計枚数が予め設定された一括搬送枚数に満たないとき、この一括搬送枚数に満たない用紙Pをすでに用紙退避貯留部20に貯留されている一時待避用紙に同伴させてスタック部30へ一括搬送するように制御するため、その束の用紙Pの合計枚数が、当該合計枚数を一括搬送枚数で除することにより余りが出るような枚数であっても、この余りの用紙Pのみを単独でスタック部30へ供給しなければならなくなるような不都合が解消され、これによって次の用紙束Qにおける最初の用紙Pの搬送を一時停止させる必要がなくなり、画像形成装置19を含めた全体的な用紙処理効率の向上に貢献することができる。
また、画像形成装置19から受け入れた用紙Pの枚数を検出する用紙受入れセンサ801が備えられ、制御部80は、予め入力された用紙Pの枚数と、用紙受入れセンサ801が検出した用紙Pの枚数とから余分に同伴させる用紙Pを特定する給紙枚数判別部811を有していることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、給紙枚数判別部811は、予め入力された用紙束Qの枚数と、用紙受入れセンサ801が検出した用紙Pの枚数とから一時退避用紙に対して余分に同伴させる用紙Pを特定するため、この特定結果に基づいてその用紙束Qにおけるラスト前〜ラストの余りの用紙Pを用紙退避貯留部20へ適正に給紙することができる。
そして、本実施形態においては、このような用紙後処理装置10が画像形成装置19の後処理用として適用されているため、各用紙束Qを構成する用紙Pの枚数が設定退避枚数m+1枚の整数倍になっているか否かに拘らず、画像処理装置19における画像形成処理を一時中断させることなく、所定の処理ピッチで実行することが可能になり、画像形成装置19の処理効率を向上させることができ、これによって画像形成装置19の高速化に対応することができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
(1)上記の実施形態においては、上流側装置として画像形成装置19が適用されているが、本発明は、上流側装置が画像形成装置19であることに限定されるものではなく、通常の印刷機等、用紙に対して所定の処理を施す各種の装置出会ってもよい。
(2)上記の実施形態においては、設定退避枚数mが1枚または2枚(設定退避枚数mとその後に続く1枚との合計枚数(一括搬送枚数)Tが2枚または3枚)の場合について図5〜図9を基に具体的に説明したが、本発明は、設定退避枚数mが1枚または2枚であることに限定されるものではなく、設定退避枚数mが3枚以上であってもよい。
(3)上記の実施形態においては、サブ貯留部としての用紙退避貯留部20は、用紙Pを周面に貯留する退避ドラム21を備えて構成されているが、本発明は、サブ貯留部が退避ドラム21を備えた用紙退避貯留部20で構成されることに限定されるものではなく、直線上の退避トレイを設け、この退避トレイに用紙Pを退避させた後、スイッチバック方式で次の用紙Pに同伴させてスタック部30へ搬入するようにしてもよい。