まず、本発明に係る後処理装置10を外観から説明する。図1は、本発明に係る後処理装置10の一実施形態を示す外観視の斜視図であり、(イ)は、ステープルユニット20が筐体11内に収納された状態、(ロ)は、ステープルユニット20が筐体11から引き出された状態、(ハ)は、筐体11から引き出されステープルユニット20の迂回トレーが開放された状態をそれぞれ示している。なお、図1において、X−X方向を左右方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
図1に示すように、後処理装置10は、外観視で箱形を呈した筐体(装置本体)11内に用紙Pに対し後処理を施す各種の後処理用の部材が装着されることによって構成されている。前記筐体11は、図略の底板の前縁部から立設された前板111と、底板の右縁部から立設された右側板部材112と、底板の後縁部から立設された図略の背面板と、底板の左縁部から立設された図略の左側板と、前板111、右側板部材112、左側板および背面板の上縁部を覆うように架設された天板部材113とを備えて直方体状に形成されている。
前記前板111は、底板からの高さ寸法が後処理装置10の高さ寸法の略1/3に設定され、この前板111の上部に用紙Pへステープル処理を施すステープルユニット20を収納するための収納空間Vが設けられているとともに、この収納空間Vを閉止する前面ドアー121が設けられている。因みに図1の(イ)〜(ハ)では前面ドアー121が開放された状態を示している。
前記右側板部材112の上部には、画像形成装置19から送り込まれた用紙P(図2参照)を受入れるための用紙受入れ開口13が設けられ、この用紙受入れ開口13を介して後処理装置10内に導入された用紙Pに対し締結孔を穿孔する穿孔処理や、用紙束P1(図2参照)を締結するステープル処理等が施されるようになっている。
また、前記後処理装置10の左側面には、メイントレイ14が設けられているとともに、天板部材113の左側部にはサブトレイ15が設けられている。メイントレイ14は、ステープル処理が施された用紙束P1(図2参照)を受けるためのものであり、所定の昇降手段の駆動で昇降可能に構成され、排出された用紙束P1の部数の増加に従って最上位の位置から順次下降されるようになっている。これに対し、サブトレイ15は、後処理装置10で特に後処理を施されることなく排出される用紙や、締結孔のパンチング処理だけが施された用紙を受けるためのものである。
筐体11内の上部右側には、画像形成装置19から用紙受入れ開口13を通って筐体11内に送り込まれた直後の用紙Pに対して締結孔を穿孔するためのパンチユニット16が設けられているとともに、このパンチユニット16の左側には、各種のローラを支持する上方フレーム板114が収納空間Vの前面開口に臨んで設けられている。この上方フレーム板114の下方であって後処理装置10内の左側には、略三角形状を呈した三角フレーム板115が収納空間Vの前面開口に臨んで設けられている。この三角フレーム板115は、後処理装置10内の左上から右方に向かって先下がりに傾斜して形成されている。
かかる上方フレーム板114の下方における三角フレーム板115の右方位置には、画像形成装置19から送り込まれた用紙Pの所定枚数を一時的に貯留した上で、形成された用紙束P1に対し締結針によるステープル処理を施すステープルユニット20が設けられているとともに、このステープルユニット20の下方位置には、ステープル処理が施されることなくステープルユニット20を通過した用紙Pの用紙束P1に対して、その搬送方向の中央位置にステープル処理を施した上で中央位置を境にして折り畳む、いわゆる中折り処理用の中折りユニット17が設けられている。
前記ステープルユニット20は、前記三角フレーム板115の直右側で斜めに配設されたステープルトレイ(第1トレイ)30と、このステープルトレイ30の右側の斜めの面に沿うように当該ステープルトレイ30に対し回動可能に付設された迂回トレイ(第2トレイ)40とを備えて構成されている。
前記ステープルトレイ30は、前後方向一対の第1フレーム板31と、これら一対の第1フレーム板31間に斜めに架設された中間トレイ本体32(図2参照)とを備えている。一方、前記迂回トレイ40は、前後方向一対の第2フレーム板41と、これら一対の第2フレーム板41間に中間トレイ本体32と平行に架設された迂回トレイ本体42(図2参照)とを備えている。
前記ステープルトレイ30の右側下部適所には、一対の第1フレーム板31間に架設された連結軸33が設けられ、前記迂回トレイ40は、一対の第2フレーム板41の下端部がこの連結軸33に貫通連結されることにより、連結軸33回りに正逆回動可能とされている。かかる迂回トレイ本体42は、中間トレイ本体32を閉止した図1の(ロ)に示す閉止姿勢S1と、中間トレイ本体32を開放した図1の(ハ)に示す開放姿勢S2との間で姿勢変更可能になっている。
前記中間トレイ本体32と迂回トレイ本体42との間には、用紙Pを貯留するための所定隙間寸法を備えた後処理空間V1が形成され、所定枚数の用紙Pがこの後処理空間V1内に順次送り込まれることにより形成した用紙束P1(図2参照)に対してステープル処理が施されるようになっている。
そして、ステープルユニット20の後処理空間V1で紙詰りが発生したときには、ステープルユニット20が後処理装置10の収納空間Vから引き出され(図1の(ロ))、この状態で迂回トレイ40は、オペレータの手作業で閉止姿勢S1(図1の(ロ))から開放姿勢S2(図1の(ハ))へと姿勢変更され、これによって詰った用紙Pが外部に露出した状態になるため、当該詰った用紙Pを容易に取り除くことができるようになっている。
本実施形態においては、ステープルユニット20は、ステープルトレイ30の上下方向中央部より若干下部に設けられた左右一対のガイド部材34に案内されることにより、後処理装置10の収納空間Vに対して挿脱可能になっている。前記ガイド部材34は、筐体11の右側板部材112および左側板部材の内面側に前後方向へ向けて延びるように固定された定置レール341と、この定置レール341と対向するようにステープルトレイ30側に固定された可動レール342と、これら定置レール341および可動レール342間に介設されたリテーナー343とを備えて構成されている。
かかるガイド部材34によれば、ステープルトレイ30を後処理装置10の収納空間Vに対して挿脱することにより、可動レール342が定置レール341および可動レール342間で移動するリテーナー343を介して定置レール341にガイドされつつ正逆移動し、これによってステープルトレイ30を収納空間Vから円滑に引き出したり、収納空間Vへ向けて円滑に収納したりすることが可能になる。
そして、前方の第1フレーム板31の適所には、合成樹脂シート等の可撓性材料からなる把手バンド311が設けられ、この把手バンド311を把持して手前に引くことにより、収納空間Vに収納されていたステープルユニット20(図1の(イ))を外部に引き出すことができる(図1の(ロ))。
ついで、後処理装置10の内部構造について説明する。図2は、本発明に係る後処理装置10の内部構造の一実施形態を示す正面断面視の説明図である。なお、図2におけるXによる方向表示は、図1の場合と同様(Xは左右向(−X:左方、+X:右方))である。図2に示すように、後処理装置10内には、画像形成装置19から送り込まれた用紙Pを、その目的に応じて各所へ搬送する用紙搬送路Rが形成されている。
この用紙搬送路Rは、後処理装置10の用紙受入れ開口13から左方に向けて後処理装置10の左右方向の略中央位置まで延びる入口側搬送路R1と、この入口側搬送路R1の下流端から分岐してサブトレイ15へ向けて延びるサブトレイ向け搬送路R2と、入口側搬送路R1の下流端から分岐してステープルユニット20の後処理空間V1へ向けて延びるステープルユニット向け搬送路R3と、前記後処理空間V1の上端からメイントレイ14へ向けて延びるメイントレイ向け搬送路R4と、前記ステープルユニット向け搬送路R3の下流端から左方へ分岐してステープルトレイ30へ向かうメイントレイ向け搬送路R5と、前記ステープルユニット向け搬送路R3の下流端から分岐して右方へ向かう迂回トレイ向け搬送路R6と、迂回トレイ40内を通過して中折りユニット17へ向かう中折りユニット向け搬送路R7とからなっている。
前記パンチユニット16は、入口側搬送路R1の上方位置に設けられ、用紙受入れ開口13を介して入口側搬送路R1へ導入された用紙Pは、一時停止された状態でパンチユニット16の駆動によるパンチング処理で適所に締結孔が穿設されるようになっている。
前記入口側搬送路R1の下流端には、用紙Pの搬送先をサブトレイ向け搬送路R2とステープルユニット向け搬送路R3との間で切り換える切換えガイド18が設けられ、用紙Pにステープル処理を施さないときには、この切換えガイド18の所定の姿勢設定によって用紙Pは、サブトレイ向け搬送路R2を介してサブトレイ15へ排出される一方、用紙Pにステープル処理を施すときには、切換えガイド18の姿勢変更によって用紙Pはステープルユニット向け搬送路R3を介してステープルユニット20へ送り込まれ、所定の枚数の用紙Pが後処理空間V1に貯留されて用紙束P1が形成された状態で当該用紙束P1にステープル処理が施されるようになっている。ステープル処理後の用紙束P1は、メイントレイ向け搬送路R4を介してメイントレイ14へ排出されることになる。
前記中折りユニット向け搬送路R7は、迂回トレイ40の上下方向の略中間位置から下方に向かって延設され、中折り処理用の用紙Pが迂回トレイ本体42上を通過した後、当該中折りユニット向け搬送路R7を通って中折りユニット17へ導入されるようになっている。かかる中折りユニット向け搬送路R7は、その下部がステープルユニット20の下端から左方に向かって先下がりに形成され中折りユニット17へ向かっている。
前記中折りユニット17は、中折りユニット向け搬送路R7の中央上部に設けられた中折り用ステープラー171と、この中折り用ステープラー171の若干下流側で中折りユニット向け搬送路R7の上方位置に設けられた中折りローラ対172と、中折りユニット向け搬送路R7の下部に中折りローラ対172と対向して設けられた中折りユニット向け搬送路R7を横断する板状の押し型173と、前記中折りローラ対172の下流側(上方側)に設けられた搬出ローラ対174と、この搬出ローラ対174の下流側で所定の軸回りに揺動可能に設けられた押え部材175とを備えて構成されている。
前記押し型173は、用紙束P1が中折りユニット向け搬送路R7に搬入された状態で、中折り用ステープラー171によりステープル処理が施されている部分を、図略の駆動手段の駆動によって中折りローラ対172間に向けて押圧するようになされている。したがって、押し型173により中央部が押圧されて中折り状態になった用紙束P1は、中折りローラ対172の駆動で中折り搬出搬送路内に押し入れられ、搬出ローラ対174および押え部材175を介して中折りトレイ176へ向けて排出されることになる。
以下、ステープルユニット20の構造の概要について図2を基に、必要に応じて図1を参照しながら説明する。図2に示すように、ステープルユニット20の構成要素であるステープルトレイ30には、前後方向(図2の紙面に直交する方向)一対の第1フレーム板31の適所にベルト用モータ35がその駆動軸351を前後方向に向けた状態で配設されている。駆動軸351には、駆動ローラ352が一体回転可能に装着されているとともに、前記中間トレイ本体32の上端位置および下端位置ならびに適所には従動軸が一対の第1フレーム板31間に架設された従動ローラ353が設けられ、これら駆動ローラ352および各従動ローラ353に昇降用無端ベルト(排出手段)36が掛け回されている。
そして、前記昇降用無端ベルト36の表面側には、後処理空間V1内の用紙束P1を受けて昇降させる用紙受け部材37が設けられている。また、中間トレイ本体32の下端部に対応した位置には、用紙束P1にステープル処理を施すためのステープラー38が設けられている。このステープラー38は、用紙束P1が中間トレイ本体32の下端部に位置した用紙受け部材37に支持された状態で、当該用紙束P1の縁部に対してステープル処理を施すようになっている。
そして、中間トレイ本体32の下端部で用紙受け部材37によりステープル処理が施された用紙束P1は、ベルト用モータ35の駆動による駆動ローラ352および従動ローラ353を介した反時計方向へ向かう周回による用紙受け部材37の上動によって後処理空間V1内を上昇し、メイントレイ向け搬送路R4を通ってメイントレイ14へ排出されることになる。用紙束P1を排出した後の用紙受け部材37は、ベルト用モータ35の逆駆動により次の用紙Pを受けるべく後処理空間V1内の所定の位置へ戻される。
なお、ステープルトレイ30には、後処理空間V1に導入されて用紙受け部材37に支持された用紙束P1の幅寄せを行って用紙束P1に整合処理を施す図略の整合手段が設けられているが、これについての詳細説明は省略する。
前記迂回トレイ40は、閉止姿勢S1に姿勢設定された状態で前記中間トレイ本体32との間に後処理空間V1を形成させるべく当該中間トレイ本体32と対向状態で一対の第2フレーム板41間に架設された迂回トレイ本体42と、この迂回トレイ本体42の上面側と対向するように一対の第2フレーム板41間に架設されたカバープレート43と、前記カバープレート43の上端の若干上方位置に上方に設けられたステープルユニット向け搬送路R3からの用紙Pをステープルトレイ30の後処理空間V1および迂回トレイ40の退避空間V2間で振り分ける分岐ガイド44と、カバープレート43の上端位置近傍に設けられた入口側搬送路R1からの用紙Pを分岐ガイド44へ向けて押え付ける押え部材45と、入口側搬送路R1から退避空間V2へ送り込まれた用紙Pを一時的に貯留させる一方、駆動することにより用紙Pを下方へ向けて搬送するバルブローラ対46と、このバルブローラ対46の直下位置に設けられ、迂回トレイ40へ導入された用紙Pの搬送先をステープルトレイ30の後処理空間V1と中折りユニット向け搬送路R7との間で切り換える第2切換えガイド47とを備えて構成されている。
前記分岐ガイド44は、メイントレイ向け搬送路R5と迂回トレイ向け搬送路R6との間に設けられ、第1架設軸441(図3)回りの正逆回動でステープルユニット向け搬送路R3から送り込まれた用紙Pをメイントレイ向け搬送路R5へ向かわせたり、迂回トレイ向け搬送路R6へ向かわせたりするようになっている。
前記迂回トレイ本体42は、下端部が中間トレイ本体32の上下方向の略中央部に位置するように短めに長さ設定されているのに対し、前記カバープレート43は、下端部が連結軸33の若干上方位置に位置するように長尺に寸法設定され、これによってバルブローラ対46の駆動で退避空間V2から下方へ送られた用紙Pがカバープレート43の下部に案内されて用紙受け部材37に確実に受けられるようになっている。
一方、前記入口側搬送路R1の上流端には、用紙受入れ開口13からの用紙Pを受け入れる受入れローラ対131が設けられているとともに、同下流端には、用紙Pを下流側へ払い出す払出しローラ対132が設けられている。払出しローラ対132によって払い出された用紙Pは、設定された切換えガイド18の姿勢に応じてサブトレイ向け搬送路R2およびステープルユニット向け搬送路R3のいずれかに向けて払い出される。
因みに、図2に示す例では切換えガイド18は、用紙Pをステープルユニット向け搬送路R3へ向かわせるように姿勢設定された状態が実線で示され、サブトレイ向け搬送路R2へ向かわせるように姿勢設定された状態が二点鎖線で示されている。
また、ステープルユニット向け搬送路R3の下流端には、迂回トレイ本体42の上部に臨むように設けられて入口側搬送路R1からの用紙Pをステープルユニット20の上部へ導く導入ローラ対133が設けられている。
前記迂回トレイ本体42は、その上縁部が分岐ガイド44を介して前記導入ローラ対133の略直下位置に位置し、かつ、下縁部が中間トレイ本体32の上下方向の略中間に位置するように長さ設定されている一方、前記カバープレート43は、上縁部が迂回トレイ本体42の上縁部と略同一の高さレベルに設定されているとともに、下縁部が迂回トレイ本体42の下縁部より下方に位置し、かつ、用紙Pを中間トレイ本体32上へ導き得るように寸法設定及び形状設定されている。そして、前記バルブローラ対46より上方の迂回トレイ本体42およびカバープレート43間に、迂回させた用紙Pを一時的に退避させる退避空間V2が形成されている。また、前記中折りユニット向け搬送路R7は、前記バルブローラ対46より下方位置におけるカバープレート43の裏面側に形成されている。
図3は、分岐ガイド44および押え部材45の一実施形態を示す斜視図である。なお、図3におけるXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。図3に示すように、前記分岐ガイド44は、その下端部が一対の第2フレーム板41間に架設された第1架設軸(支持軸)441回りに回動可能に軸支され、図3に実線で示す直進姿勢T1と、図3に二点鎖線で示す迂回姿勢T2との間で姿勢変更可能になっている。
そして、分岐ガイド44が直進姿勢T1に姿勢設定された状態では、導入ローラ対133から分岐ガイド44へ向けて排出された用紙Pは、図3に実線矢印で示すように、分岐ガイド44と干渉することなく当該分岐ガイド44の左方を通って後処理空間V1へ向かわせられる一方、分岐ガイド44が迂回姿勢T2に姿勢設定された状態では、導入ローラ対133から分岐ガイド44へ向けて排出された用紙Pは、図3に二点鎖線の矢印で示すように、分岐ガイド44の右面側に案内されて退避空間V2へ向かわせられるようになされている。
かかる分岐ガイド44は、第1架設軸441の一方の端部が、例えばソレノイドが内装されてなる分岐ガイド用アクチュエータ442に連結され、この分岐ガイド用アクチュエータ442の駆動による第1架設軸441の軸心回りの正逆回転によって中間トレイ本体32から離間した直進姿勢T1と、上端部が中間トレイ本体32に当接する迂回姿勢T2との間で姿勢変更し得るようになっている。
かかる分岐ガイド44は、用紙Pの状況に応じて当該用紙Pをステープルトレイ30および迂回トレイ40のいずれかへの振り分ける前記のような用紙振分け機能と、振り分けられた用紙Pの搬送を案内する用紙案内機能と、用紙Pがステープルトレイ30へ振り分けられた場合、当該用紙Pの後端が浮き上がらないように押さえることで次に送り込まれてくる用紙Pとの間で頁狂いが生じないようにする頁狂い防止機能と、ステープルトレイ30から上方に向けて排出される用紙Pがステープルトレイ30から浮き上がって導入ローラ対133等と干渉し、これによって用紙Pの排出が円滑に行われなくなるのを防止する用紙円滑排出機能とを兼ね備えている。
前記押え部材45は、分岐ガイド44が迂回姿勢T2に姿勢設定された状態で先に退避空間V2に退避されている用紙Pの上に重ねられるように次の用紙Pが供給される場合に、当該次の用紙Pが先の用紙Pの下に潜り込んで頁狂いが生じるような不都合の発生を防止するためのものであり、先に収納空間Vに退避されている用紙Pを押え部材45へ向けて緩く押えた上で、次の用紙Pを退避空間V2へ導入し得るように構成され、これによって退避空間V2内での頁狂いの発生を防止することができるようになっている。
押え部材45は、所定の径寸法を有する金属製あるいは合成樹脂製の棒体をU字状に成形することによって形成されており、一対のアーム部451と、これら一対のアーム部451の先端部間に架設された押え部452と、前記一対のアーム部451の各基端部から互いに反対方向に向けて突設された一対の軸部453とを備えて構成されている。前記各軸部453は、カバープレート43の上縁部の近傍位置で第2フレーム板41に貫通支持され、これによって押え部材45は、軸部453回りに正逆回動可能になっている。
このような押え部材45は、一方の軸部453が、例えばソレノイドが内装されてなる所定の押え部材用アクチュエータ454の駆動によって軸部453回りに正逆回動し、これによって押え部452が分岐ガイド44から離間した開放姿勢U1(図3に実線で表示)と、押え部452が用紙Pを分岐ガイド44へ押圧する押圧姿勢U2(図3に二点鎖線で表示)との間で姿勢変更し得るようになっている。
かかる押え部材45は、1枚目の用紙Pが退避空間V2へ導入されるとき開放姿勢U1に姿勢設定されている。そして、1枚目の用紙Pが退避空間V2に導入された後に軸部453回りに図3における反時計方向に回動して押え部452が分岐ガイド44の表面に向かい、先に迂回トレイ本体42上に供給された1枚目の用紙Pを押える押圧姿勢U2に姿勢設定されるようになっている。従って、次に迂回トレイ本体42へ向けて供給される2枚目の用紙Pは、一対のアーム部451間を通り抜け、これによって2枚目の用紙Pがすでに分岐ガイド44上に存在する1枚目の用紙Pの下に潜り込むことが確実に防止されるようになっている。
ついで3枚目の用紙Pが退避空間V2へ導入されるときは、予め先の2枚の用紙Pがバルブローラ対46の駆動で一旦下降されて2枚目の用紙Pが押え部452から外され、この状態で押え部材用アクチュエータ454の駆動により押え部材45が開放姿勢U1に戻されてからバルブローラ対46の逆駆動で押え部452を超えるまで上昇されるようになっている。そして、この上昇した2枚の用紙Pが押え部452によって押えられてから、3枚目の用紙Pが一対のアーム部451間を通って退避空間V2に導入されるため、3枚目の用紙Pが先の2枚の用紙Pの下に潜り込んだり間に挟まったりする頁狂いは確実に防止される。
以後、収納空間Vに導入される用紙Pの枚数が増加する度に、先に後処理空間V1に貯留されている用紙Pの昇降と、押え部材45の姿勢変更とが上記のように同期しながら繰り返され、これによって退避空間V2には所定枚数の用紙Pが頁狂いのない状態で先の用紙束P1に対するステープル処理が終了するまでの間退避させられることになる。先の用紙束P1に対するステープル処理が完了すると、退避空間V2に退避されていた用紙束P1は、バルブローラ対46の駆動で後処理空間V1へ導入されてステープル処理が施される。
そして、本実施形態においては、退避空間V2を迂回して後処理空間V1へ導入される用紙Pは、縦送り(用紙Pの短尺側の縁部が搬送方向と平行になるような送り方)で搬送されるA4サイズまたはB5サイズの用紙である。これに対し、横送り(用紙Pの長尺側の縁部が搬送方向と平行になるような送り方)で搬送されるA4サイズ、B5サイズ、A3サイズおよびB4サイズの用紙Pについては、分岐ガイド44が直進姿勢T1に設定されることで退避空間V2を迂回することなく直接後処理空間V1へ導入されるようになされている。
図4は、制御手段50による押え部材45の動作制御の一実施形態を示すブロック図である。また、図5は、ステープルユニット20に供給される用紙Pに対し目的に応じて採られる分岐ガイド44の姿勢を説明するための説明図であり、(イ)〜(ニ)は、分岐ガイド44が第1〜第4姿勢に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。
まず、図4に示すように、制御手段50は、中央演算処理装置であるCPU(central processing unit)51と、このCPU51に付設された読み出し専用のROM(read only memory)52と、同読み書き自在のRAM(random access memory)53とを備えた基本構成を有している。
ROM52には、本制御を実行するためのプログラムが記憶されており、後処理装置10に電源が入れられる都度、当該プログラムがCPU51に読み込まれ、以後このプログラムに基づいて押え部材45の動作制御が行われるようになっている。
これに対し、RAM53は、制御動作において 用いられるデータを一時的に書き込んだり読み出したりする領域として使用されるものであり、例えば、現にカウントされつつある用紙Pの枚数等が更新記憶されたりするようになっている。
前記CPU51は、後処理可否判別部511と、この後処理可否判別部511の判別結果に基づいて前記分岐ガイドの姿勢を第1〜第4姿勢のいずれに設定するかを判別する分岐ガイド姿勢判別部512と、前記後処理可否判別部511および分岐ガイド姿勢判別部512の判別結果に基づいて所定の機器に制御信号を出力する制御信号出力部513とを備えている。
前記後処理可否判別部511は、画像形成装置19から搬送されてくる用紙Pの向け先、すなわち、当該用紙Pが後処理に供されるべきものであるのか否か、並びに後処理に供されるものである場合には、同一の組の用紙束P1のものであるのか否か、および現に今搬送されてきた用紙Pがその用紙束P1における何枚目のものであるのかを判別するようになされており、この判別結果を分岐ガイド姿勢判別部512および制御信号出力部513へ指令信号として出力するようになっている。
そのために、入口側搬送路R1の適所(例えば用紙受継ぎ用紙受入れ開口13の近傍)には用紙Pが排紙口191から後処理装置10へ受け渡されたことを検出する用紙受入れセンサ501(図2参照)が設けられ、この用紙受入れセンサ501が用紙を検出する度に当該検出信号が後処理可否判別部511へ入力される。後処理可否判別部511は、この検出信号が入力される度に用紙Pが後処理装置10へ受け入れられたと判別するとともに、受け入れ枚数をカウントするようになっている。
一方、画像形成装置19からは、予め後処理の対象になっている1束当たりの用紙Pの枚数が後処理可否判別部511へ向けて出力される。従って、後処理可否判別部511は、この画像形成装置19からの枚数情報と用紙受入れセンサ501が検出した検出情報とによって、現に今画像形成装置19から後処理装置10へ搬送されてきた用紙Pが後処理(ステープル処理)の対象となっているものであるのか否かおよび後処理を行うべきものである場合には、その束における何枚目のものであるのかを判別することができる。
なお、1束当たりの用紙Pの枚数は、画像形成装置19が複写機であるときは、当該複写機に設けられた自動原稿読取装置が読み取るときにカウントした枚数情報が後処理可否判別部511に入力されることによって設定され、画像形成装置19がファクシミリ装置であるときは、発信元のファクシミリ装置がカウントした枚数情報が後処理可否判別部511に入力されることによって設定され、画像形成装置19がプリンタであるときは、所定のコンピュータから出力される枚数情報が後処理可否判別部511に入力されることによって設定されるようになされている。
前記分岐ガイド姿勢判別部512は、画像形成装置19からの用紙Pが後処理装置10に受け入れられたこと、およびその束の用紙Pの枚数を後処理可否判別部511からの信号によって認識した後、その用紙Pがその束における何枚目のものであるかに応じて当該用紙Pをそのままステープルトレイ30へ送り込むか、あるいは迂回トレイ40へ一旦退避させるかを判別し、その判別結果に基づいて分岐ガイド44が採るべき姿勢および押え部材45が採るべき姿勢を判別するようになっている。この判別結果は、指令信号として制御信号出力部513へ向けて出力されるようになっている。
前記制御信号出力部513は、分岐ガイド姿勢判別部512からの指令信号に基づき、現に今画像形成装置19から後処理装置10へ送り込まれた用紙Pが後処理用のものである場合には、切換えガイド18へ向けて当該切換えガイド18がステープルユニット20向けの姿勢になるような制御信号を出力する一方、後処理装置10へ送り込まれた用紙Pが後処理用のものでない場合には、切換えガイド18へ向けてサブトレイ15向けの姿勢になるような制御信号を出力する。
さらに、制御信号出力部513は、分岐ガイド姿勢判別部512からの指令信号に基づき切換えガイド18がステープルユニット20向けに姿勢設定される場合において、用紙Pの状況に応じて分岐ガイド用アクチュエータ442および押え部材用アクチュエータ454へ向けて制御信号を出力し、これによってアクチュエータ442,454は、その姿勢が状況に応じた適正なものになるように制御される。また、所定のタイミングで制御信号出力部513は、バルブローラ対46へ向けて制御信号(駆動信号)を出力し、これによるバルブローラ対46の駆動で迂回トレイ40の退避空間V2に一時的に退避されていた用紙Pが次に送り込まれる用紙Pより先にステープルトレイ30の後処理空間V1へ送り込まれるようになっている。
具体的には、ステープルユニット20へ向かう用紙Pがその用紙束P1における予め設定された最初の数枚以降のものである場合には、分岐ガイド44は直進姿勢(第1姿勢)T1(図5の(イ))に姿勢設定され、これによって導入ローラ対133からステープルユニット20へ供給されたその用紙束P1における最初の数枚を除く後続の用紙Pは、分岐ガイド44にガイドされてステープルトレイ30へ振り向けられることになる。
これに対し、ステープルユニット20へ向かう用紙Pがその用紙束P1における予め設定された最初の数枚である場合には、分岐ガイド44は迂回姿勢(第2姿勢)T2(図5の(ロ))に姿勢設定され、これによってステープルユニット20へ送り込まれた用紙Pは、分岐ガイド44にガイドされてステープルトレイ30の退避空間V2へ向かってここで一次貯留されることになる。
また、分岐ガイド44が直進姿勢T1に姿勢設定されたことにより用紙Pがステープルトレイ30へ向けて搬送されつつある状態で、分岐ガイド44が用紙Pの後端(上端)を叩くように一時的に迂回姿勢(第3姿勢)T2(図5の(ハ))に姿勢変更され(実線)、即座に直進姿勢T1に戻される(に点鎖線)ことにより、当該用紙Pは、その後端が中間トレイ本体32に押し付けられる。従って、後続の用紙Pは、先の用紙Pと干渉することなく頁狂いが生じない状態でステープルトレイ30の後処理空間V1へ供給されることになる。
さらに、ステープルトレイ30の後処理空間V1でステープル処理が施された後の用紙束P1が排出されるに際しては、分岐ガイド44が用紙束P1を第1フレーム板31へ向けて押さえ付けるべく迂回姿勢(第4姿勢)T2に姿勢設定され、これによっては退避空間V2から排出される用紙Pが導入ローラ対133等の周りの環境と干渉することなく円滑に送り出されるようになっている。
なお、本実施形態では、分岐ガイド44の本発明に係る第2姿勢、第3姿勢および第4姿勢は、はいずれも同一の迂回姿勢T2になっているが、直進姿勢T1を起点とした分岐ガイド44の第1姿勢の回動角度を最大とし、順次第2姿勢から第3姿勢に向かうに従い回動角度を小さくしていく等の差を設けてもよい。
このように、本発明においては、分岐ガイド44の姿勢を種々変更させることにより、当該1つの部材である分岐ガイド44に
(i)用紙Pの搬送方向の切り換え
(ii)所定の方向に振り向けられた後の用紙Pの搬送ガイド
(iii)用紙Pが所定の搬入先に搬入された後の後端の押さえ処理
(iv)ステープル処理後の用紙束P1が排出されるときの浮き上がりの防止
という4つの機能を担わせることができるため、個々の機能にそれぞれ別の部材を当てる場合に比較し、部品点数の削減に貢献することができるばかりか、後処理装置10の筐体11内部の省スペース化、延いては後処理装置10のコンパクト化にも寄与することができる。
以下、図6を基に用紙Pの退避制御のフローについて説明する。図6は、ステープルユニット20における用紙Pの退避制御の一実施形態を示すフローチャートである。このフローチャートによる説明に先立ってまず用語の定義を行なう。すなわち、後処理装置10で処理される1束の用紙束P1の用紙Pの枚数をN枚とし、順次搬送されてくる用紙Pの内で退避空間V2に退避される枚数をm枚(設定退避枚数)とする。従って、退避されていたm枚と、次に搬送されてきた1枚との合計であるT枚(「m+1」枚)が合わさって後処理空間V1へ給紙されることになる。
また、1ジョブにおける合わせ給紙(1ジョブにおける複数組の用紙束P1の後処理において退避した用紙Pが次に送り込まれてくる用紙Pを合わせて後処理空間V1へ給紙されること)の回数をn回とする。この回数の値は、「n=N/(m+1)」で求められる。なお、このnの値は、用紙Pの枚数Nが「m+1」の整数倍でないときは、小数点以下を切り下げた値である。このことは、用紙Pの枚数が「m+1」の倍数であるときは、第1回目から第n回目の全ての各回数において合わせ給紙の枚数が「m+1」枚である一方、用紙Pの枚数が「m+1」の倍数でないとき(すなわち余り(余りの枚数をr枚とする)が出るとき)は、n回目の合わせ給紙の枚数は、「m+1+r」枚になるということを示している。
まず、ステップS1において、初期値の設定が行なわれる。初期値としては、最終合わせ給紙の回数「n」の値、設定退避枚数「m」の値、処理対象の束の用紙Pの枚数「N」の値の他に、用紙受入れセンサ501によって検出される用紙Pの検出枚数「N1」の初期値「0」、および実際に実行された合わせ給紙の回数「n1」の初期値「0」が設定される。
設定退避枚数mは、画像形成装置19および後処理装置10の処理能力に応じて予め設定された値である。用紙枚数Nは、画像形成装置19から入力された既知の値である。最終合わせ給紙回数(一括搬送組の組数)nは、N/(m+1)によって算出された値における小数点以下を切り捨てた値である。また、用紙検出枚数N1は、用紙受入れセンサ501が用紙Pを検出する都度加算される数値であり、画像形成装置19から後処理装置10へ実際に搬送された用紙の枚数を示すものである。さらに、合わせ給紙回数n1は、後処理空間V1への合わせ給紙が実行される都度1ずつ加算される数値であり、現時点までに何回の合わせ給紙が行なわれたかを示すものである。
ついで、ステップS2でフラグFに初期値である「0」が入力される。フラグFは、各回における用紙Pの待避枚数を示すものであり、その回において待避が行なわれる都度1ずつ加算され、設定退避枚数mに到達するとクリアされるものである。
引き続きステップS3において用紙受入れセンサ501が用紙Pを検出したか否かが判別され、用紙Pが検出されると(ステップS3でYES)、ステップS4で「N1=N1+1」が実行されて用紙Pの枚数が加算され、引き続きステップS5で「F=F+1」が実行されて待避の回数が1だけ加算される。
ついで、ステップS6で実際に行なわれた合わせ給紙の回数が、予め設定された最終合わせ給紙回数nより大きくなっているか(用紙検出枚数N1を合わせ枚数(m+1)で除したときに余りが出るか否か、すなわち「N1/(m+1)>n」を満足するか否か)が判別され、大きくなっていない場合(ステップS6でNO)には、ステップS7でフラグFの値が設定退避枚数mより大きくなっているか(F>m)が判別された上で、大きくなっていない場合には、ステップS8で用紙Pが迂回トレイ40の退避空間V2へ退避されるのに対し、ステップS6で給紙の回数が最終合わせ給紙回数nより大きくなっている場合(ステップS6でYES)には、ステップS8へスキップされる。
また、ステップS7でフラグFの値が設定退避枚数mより大きくなっているときには、すでに予め設定された枚数の用紙Pが退避空間V2へ退避していると判断されてステップS10が実行され、現に今搬送されてきた用紙Pは退避されることなく、すでに退避している用紙Pと同伴して後処理空間V1への合わせ給紙が実行される。
そして、ステップS8において用紙Pが退避空間V2へ退避された後にはステップS9が実行されて用紙検出枚数N1が用紙枚数Nと一致している(N1=N)か否かが判別され、一致していない場合、すなわちその用紙Pがその束における最終紙でない場合(ステップS9でNO)には、次に搬送されてくる用紙Pを対象としてステップS3にスキップされる一方、最終紙の場合(ステップS9でYES)は、この束で後処理するべき用紙が存在しなくなっているのであるから、ステップS10が実行される。
ついで、ステップS11において再度用紙検出枚数N1が用紙枚数Nと一致しているか否かが判別され、一致していない場合(すなわち、未だ待避させるべき用紙Pが存在している場合)には、ステップS2へスキップされ、フラグFが0にクリアされて以後のステップS3〜ステップS10が再度実行されるのに対し、一致している場合(すなわち、その用紙Pがその束の最終紙である場合)には、すでに後処理空間V1で形成されているその用紙束P1に対して所定の後処理(ステイプル処理)が実行され(ステップS12)た後、当該用紙束P1は、メイントレイ14へ向けて排出される。
ついで、ステップS14において次の束の用紙Pが存在するか否かが判別され、引き続き次の束の用紙Pが搬送されてくる場合(ステップS14でYES)には、ステップS1にスキップされて次の束の用紙Pを対象として上記の各ステップが実行される一方、次の束の用紙がない場合(ステップS14でNO)には当該制御が終了する。
以上詳述したように、本発明に係る後処理装置10は、画像形成装置19から供給された用紙Pの所定枚数を重ね合わせて貯留したのち用紙束P1に所定の後処理を施してから当該用紙束P1を排出するステープルトレイ30と、画像形成装置19から供給された用紙Pを状況に応じてステープルトレイ30へ直接向かわせる前に迂回させたのちステープルトレイ30へ向かわせる迂回トレイ40と、ステープルトレイ30および迂回トレイ40の上方に位置した分岐ガイド44とが筐体11内に備えられ、分岐ガイド44は、ステープルトレイ30および迂回トレイ40のいずれかへ用紙Pを振り分ける第1の機能と、振り分けられた用紙Pの搬送を案内する第2の機能、ステープルトレイ30に振り分けられた用紙Pの後端が浮き上がらないように押さえる第3の機能と、ステープルトレイ30から上方に向けて排出される用紙Pがステープルトレイ30から浮き上がらないように押さえる浮き上がり防止の第4の機能との4つの機能を兼ね備えたものとしている。
かかる構成によれば、画像形成装置19から分岐ガイド44を介してステープルトレイ30に送り込まれて重ね合わされた複数枚の用紙Pは、当該ステープルトレイ30においてステープル処理等の所定の後処理が施された後、外部へ排出される。そして、状況に応じ(具体的には、例えばステープルトレイ30内で用紙束P1に対して後処理が施されている場合)、画像形成装置19から送り込まれた用紙Pを分岐ガイド44の切り換え操作によって迂回トレイ40へ搬入し、次に送り込まれる用紙Pを伴ってステープルトレイ30に搬入するような操作を行うことができるため、たとえ用紙束P1に対する後処理に時間を要しても、画像形成装置19から送り込まれる用紙Pの搬送ピッチとして予め設定された所定のピッチを維持することができ、これによって後処理を含めた画像形成処理の効率化に貢献することができる。
そして、ステープルトレイ30および迂回トレイ40の上方に設けられた、用紙Pをステープルトレイ30および迂回トレイ40間で振り分ける分岐ガイド44は、上記4つの機能を合わせ持っているため、それぞれの機能のために専用の部材を設けた場合に比較し、1つの部材で各機能を果たすことができ、その分部品点数を少なくすることで部品コストの低減化に貢献することができるとともに、その分筐体11の小スペース化に貢献することが可能となり、後処理装置のコンパクト化に寄与することができる。
そして、分岐ガイド44は、第1架設軸441回りに回動することで用紙Pをステープルトレイ30へ振り分けて導く第1姿勢(直進姿勢T1)と、用紙Pを迂回トレイ40へ振り分けて導く第2姿勢(迂回姿勢T2)と、ステープルトレイ30に振り分けられた用紙Pの後端が浮き上がらないように押さえる第3姿勢(迂回姿勢T2)と、ステープルトレイ30から上方に向けて排出される用紙Pがステープルトレイ30から浮き上がらないように押さえる第4姿勢(迂回姿勢T2)との間で姿勢変更可能に構成されているため、分岐ガイド44を第1架設軸441回りの回動ですることで第1姿勢に設定することにより用紙Pはステープルトレイ30へ振り分けられ、同第2姿勢に設定することにより用紙Pは迂回トレイ40へ振り分けられ、同第3姿勢に設定することによりステープルトレイ30に振り分けられた用紙Pの後端が浮き上がらないように押さえられ、第4姿勢に設定することによりステープルトレイ30から上方に向けて排出される用紙Pがステープルトレイ30から浮き上がらないように押さえられることになる。
このように、分岐ガイド44を第1架設軸441回りに回動操作することで当該分岐ガイド44を目的に合った姿勢に姿勢変更させることが可能になり、分岐ガイド44の姿勢変更機構の簡素化を実現することができる。
また、分岐ガイド44の姿勢変更を制御する制御手段50が設けられ、この制御手段50は、画像形成装置19から供給された用紙Pがステープルトレイ30で後処理に供されるものであるのか否かを判別する後処理可否判別部511と、後処理可否判別部511の判別結果に基づいて分岐ガイド44の姿勢を第1〜第4姿勢のいずれに設定するかを判別する分岐ガイド姿勢判別部512と、分岐ガイド姿勢判別部512の判別結果に基づいて分岐ガイド44へ制御信号を出力する制御信号出力部513とを備えて構成されている。
従って、後処理可否判別部511は、画像形成装置19から供給された用紙Pがステープルトレイ30で後処理に供されるものであるのか否かを判別し、引き続き分岐ガイド姿勢判別部512は、この後処理可否判別部511の判別結果に基づいて分岐ガイド44の姿勢を第1〜第4姿勢のいずれに設定するかを判別するとともに、制御信号出力部513は、分岐ガイド姿勢判別部512の判別結果に基づき分岐ガイド44へ向けて当該分岐ガイド44が第1〜第4姿勢のいずれかの姿勢になるように制御信号を出力する。
このように、分岐ガイド44の姿勢変更を制御する制御手段50に、用紙Pに対する後処理の要否を判別する後処理可否判別部511、分岐ガイド44の姿勢を第1〜第4姿勢のいずれに設定するかを判別する分岐ガイド姿勢判別部512および分岐ガイド44に制御信号を出力する制御信号出力部513を設けることにより、分岐ガイド44は、画像形成装置19から後処理装置に送り込まれてきた用紙Pの状況に応じて自動的に第1〜第4姿勢のいずれかに設定されるため、当該用紙Pを、分岐ガイド44を介して適正な状態で目的の位置に向けて搬送することができる。
そして、迂回トレイ40は、画像形成装置19から供給された用紙Pの所定枚数をステープルトレイ30へ向かわせる前に一時的に貯留可能に構成され、かつ、後処理が完了した先の用紙束P1がステープルトレイ30から排出された後に迂回トレイ40に一時的に貯留されていた複数枚の用紙Pを重ね合わせた状態でステープルトレイ30に向けて搬送し得るように構成されているため、先の用紙束P1がステープルトレイ30に一時貯留されて後処理に供されている間つぎの用紙Pを迂回トレイ40に退避させることができる。従って、後処理が完了して用紙束P1が排出された後に退避させていた用紙Pをステープルトレイ30に供給することにより、画像形成装置19から送り込まれてくる用紙Pの搬送ピッチを一定に維持することが可能になり、これによって後処理も含めた画像形成処理の効率化を図ることができる。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
(1)上記の実施形態においては、分岐ガイド44が迂回姿勢T2に姿勢設定された状態で退避空間V2へ向かう用紙Pの頁狂いを防止するべく、開放姿勢U1と押圧姿勢U2との間で姿勢変更する押え部材45が設けられているが、導入ローラ対133と分岐ガイド44との位置関係を適正に設定することにより、特に押え部材45を設けることなく、用紙Pを退避空間V2へ確実に導き得るようにすることができる。
(2)上記の実施形態においては、後処理装置10として用紙束P1にステープル処理を施すステープルユニット20の他にパンチユニット16および中折りユニット17が設けられているが、本発明は、後処理装置10にパンチユニット16および中折りユニット17を設けることに限定されるものではなく、ステープルユニット20さえ存在すれば、パンチユニット16および中折りユニット17のいずれか一方または双方が存在しなくても本発明として成立する。
(3)上記の実施形態においては、ステープルトレイ30および迂回トレイ40の双方が用紙搬送方向と交差する用紙幅方向に向けて前記後処理装置10に対し挿脱可能に構成されているが、他とは独立していずれか一方ずつを挿脱可能にしてもよい。こうすることによって、紙詰りの状況に応じてステープルトレイ30および迂回トレイ40のいずれか一方のみを後処理装置10から引き出すことができ、紙詰りのないものが引き出されるような無駄が排除される。