JP2006141541A - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置を大型化すること無く、漏洩磁場を抑制し、かつ、磁場分布を対称とすることが可能な磁気共鳴イメージング装置を実現する。
【解決手段】計測空間9を挟み対向配置された一対のクライオ容器2a、2bと、容器2a、2bを接続する連結管51を備える。クライオ容器内2a、2bには対向配置された一対の超電導コイル3a、3bと、コイル3a、3bを超電導転移温度以下に保つヘリウム槽と、ヘリウム槽への熱輻射シールドとが配置され一対の傾斜磁場コイル4a、4bと、高周波照射コイルとが配置される。下側クライオ容器2bの底部に強磁性体の底部構造体31を備え上側クライオ容器2a内に底部構造体31が発生する不整磁場成分を補償する補助静磁場発生手段21を備える。底部構造体31はボルト等の接続手段で強固に下側クライオ容器2bと一体化させる。これにより、漏洩磁場を抑制すると共に磁場分布を対称とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、磁気共鳴イメージング装置に係わり、特に、漏洩磁場の影響の低減を図る磁気共鳴イメージング装置に関する。
現在、磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)においては、円筒型磁石を用いた水平磁場方式のものと、対向型磁石を用いた垂直磁場方式のものが使用されている。
前者は高磁場を発生するのに有利であるが、計測空間に閉塞感を伴い、被検者にとっては開放性に欠ける点では不利である。
一方、後者は被検者にとっての開放性や、術者が被検者にアクセスしやすい等の点では有利であるが、漏洩磁場を抑制するのに不利な構造である。
前述したように、対向型磁石を用いた垂直磁場方式のものは、漏洩磁場抑制には不利な構造であり、中心磁場強度が高くなった場合、円筒型磁石より漏洩磁場の広がりが大きくなる傾向にある。
磁石からの漏洩磁場を抑制するために、強磁性体により磁気回路を形成するパッシブシールド方式と、漏洩磁場を抑制する方向に電流を流すシールドコイルによるアクティブシールド方式とがある。
従来技術における、対向型磁石を用いた垂直磁場方式のものでも、これらの漏洩磁場抑制方式は採用されている。しかし、垂直磁場が大となり、漏洩磁場が大きくなるにつれ、パッシブシールド方式では強磁性体の使用量が増え、磁石重量が増加するという問題がある。
また、アクティブシールド方式においても、シールドコイルの電流値の増加に伴い、電磁力補強手段やシールドコイルの材料の制限から電流値の限界値があり、磁石設計が困難となる。このため、磁石からの漏洩磁場を抑制する手段として、磁気シールドルームを併用する手段も行なわれている。
この磁気シールドルームにあっては、磁気シールドルームの壁面や天井および床面などに、電磁鋼板(ケイ素鋼板)やパーマロイなどの強磁性体からなる磁気シールドを配置する。
通常は、ペースメーカに悪影響を与える0.5mTラインをシールドルーム内に抑制し、必要によっては、パソコンのCRTディスプレイやX線装置などの精密機器に悪影響を与える0.1mTラインも抑制する。
対向型磁石の漏洩磁場は、主磁場発生方向が鉛直方向であるため、磁石の下(上)側から出た磁束は、磁石の側方から離れた位置を経由し、磁石の上(下)側に戻る経路を特徴としている。
この漏洩磁場の特徴により、磁石からの漏洩磁場が大きく、対向型磁石の側方、すなわち磁気シールドルームの側壁面方向の漏洩磁場を抑制する場合には、磁気シールドルームの側面のみでなく、床面にも磁気シールドを配置することが効果的である。
ここで、磁気シールドルームにより漏洩磁場の抑制効果を向上するためには、磁気シールドに用いられる磁性体の厚みを大とすることが考えられる。しかし、磁性体の厚みを大とすると、磁性体の重量が大となり、磁気シールドルームの構造支持材料の重量が大となるため、望ましいことではない。
そこで、軽量でありながら、漏洩磁場を効果的に抑制可能な磁気シールドルームの構成が特許文献1に記載されている。
この特許文献1記載の技術は、磁気シールドルームの壁面又は天井面を、強磁性体リング層と、平板状の強磁性体板との二重構造とし、強磁性体リングの側面を平板状の強磁性体に対して、傾斜する構造としている。
この構造によって、天井面又は壁面に向かってくる磁束が、強磁性体リングの傾斜した側面により、平板状の強磁性体板に略平行となる。したがって、強磁性体は容易に磁化され、少ない鉄の使用量で漏洩磁場を効果的に遮蔽可能としている。
特開2002−172101号公報
しかし、磁気シールドルームの各面のうち、一般的に、床面は磁場中心に最も隣接した位置にあり、床面の強磁性体は飽和しやすく、漏洩磁場の抑制効果が減少してしまう。このため、特許文献1記載の技術を用いたとしても、床面の磁気シールドを遠ざけるか、または、床面の磁気シールドの使用量を増やす必要がある。
床面の磁気シールドを遠ざける場合、例えば、建造物の1階にMRI装置を設置する場合、床面を掘下げる、または磁石を高くする必要があり、シールドルームや磁石の設置性が悪化してしまう。
一方、床面の磁気シールドの使用量を増やした場合、磁石を据え付けた際に、床面の磁気シールドに磁場が引きつけられ、上下方向に非対称な磁場成分が現れてしまう。
一般的には、この非対称な磁場成分を、静磁場発生手段の対向面に設けるシミング機構により磁場調整することが考えられる。しかし、このシミング機構による磁場調整では、十分とは言えず、磁場調整能力を超える場合がある。
さらに、磁気シールドルーム周辺における漏洩磁場に対する抑制要求は多種多様であり、磁気シールド材の使用量も異なる。この場合、磁石内のシミング機構には、磁場調整能力の範囲が広いものが要求され、シミング機構は大規模なものとなってしまい、装置の大型化を招いてしまう。
さらに、対向型磁石を用いる垂直磁場方式におけるシミング機構は、通常、静磁場発生手段の対向面に配置されるので、大規模なシミング機構は、垂直磁場方式MRI装置の開放性を損ない、磁石構造を複雑にし、磁石設計が困難となってしまう。
本発明の目的は、垂直磁場方式MRI装置において、装置を大型化すること無く、漏洩磁場を抑制し、かつ、磁場分布を対称とすることが可能な磁気共鳴イメージング装置を実現することである。
上記目的を達成するために、本発明は次のように構成される。
(1)本発明の磁気共鳴イメージング装置は、計測空間9に均一な磁場を発生する静磁場発生手段101と、傾斜磁場発生手段102と、高周波送受信手段103、104と、画像処理手段105と、上記静磁場発生手段101を収納する収納容器2a、2bとを有する。
上記磁気共鳴イメージング装置において、上記収納容器2a、2bの下底部に接続される強磁性体を有する底部構造体31、32、35を備えた。
(2)好ましくは、上記(1)において、静磁場の上下非対称成分を補償する補助静磁場発生手段21、22、23を備える。
(3)また、好ましくは、上記(2)において、上記補助静磁場発生手段21、22を上記容器2a、2b内に収納した。
(4)また、好ましくは、上記(2)において、上記補助静磁場発生手段23を上記容器2a、2bの計測空間9側に配置した。
(5)また、好ましくは、上記(2)において、上記補助静磁場発生手段21、22、23は、超電導コイル又は強磁性体である。
(6)また、好ましくは、上記(4)において、上記補助静磁場発生手段23は、導体コイル又は強磁性体である。
(7)また、好ましくは、上記(1)において、上記底部構造体32は、同心円状の複数の円形状部材を有する。
(8)また、好ましくは、上記(7)において、上記底部構造体32は強磁性体と非磁性体による複合部材により形成される。
(9)また、好ましくは、上記(7)において、上記底部構造体32の複数の同心円状部材は、互いに間隔を持って配置され、この間隔に複数の非磁性鋼材34が配置される。
(10)また、好ましくは、上記(1)において、上記底部構造体の温度を一定にする温度制御手段を備える。
装置を大型化すること無く、漏洩磁場を抑制し、かつ、磁場分布を対称とすることが可能な磁気共鳴イメージング装置を実現することができる。
また、上記本発明の磁気共鳴イメージング装置では、予め、計算機シミュレーションにより、底部構造体による計測空間の非対称成分抑制の不足分を、補助静磁場発生手段により補償するように、磁石の磁場設計を実施しておく。
これにより、超電導磁石の下底部側からの漏洩磁場が小さくなり、シールドルームの側壁面方向の漏洩磁場を抑制するために配置する床面の磁気シールドの使用量を少なくすることができる。
この結果、磁気シールドルーム内への据付時と初期の磁場設計における計測空間の磁場分布の差は小さくなり、磁気シールドルームに据え付け時に使用するシミング機構は小さい範囲の磁場調整能力で十分となる。
これより、漏洩磁場による設置制限は緩和され、さらに据え付け時のシミング作業は容易となる。
静磁場発生源に超電導コイルを使用する対向型超電導磁石では、対向する中空の真空容器を複数の連結管でつないだ構成であり、振動に対し脆弱な構造である。
さらに、可能な限り開放性を向上させるため、連結管の太さや本数には制限があり、構造補強も難しい。この構造において、対向面に配置した傾斜磁場コイルは、静磁場中においてパルス電流が流される。
このため、傾斜磁場コイルにはローレンツ力が働き、振動する。この傾斜磁場コイルの振動は、真空容器の静磁場発生源に伝わり、静磁場発生源を振動させる。
静磁場発生源の振動は計測空間の均一磁場を変動させ、結果としてMR画像にアーチファクトとなって現れる。
本発明の構成では、真空容器の下底部に強磁性体からなる底部構造体を備え、かつ底部構造体を真空容器に強固に一体化させ、真空容器の剛性を向上させるようにすれば、傾斜磁場コイルから真空容器に伝わった振動を低減させることも可能である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明が適用されるMRI装置の全体概略構成図である。
図1において、MRI装置は、磁気共鳴現象を利用して被検体の断層像を得るためのものであり、静磁場発生手段101と、傾斜磁場発生手段102と、送信系103と、受信系104と、信号処理系105と、静磁場発生手段101等の動作を制御する制御部106と、中央処理装置107と、操作部108とを備える。
静磁場発生手段101は、被検体108の周りの、ある広がりを持った空間に配置された磁石から、被検体108の周囲にその体軸と直交あるいは平行な方向に均一な静磁場を発生させる。
また、傾斜磁場発生手段102は、傾斜磁場電源110と、傾斜磁場コイル109とを備え、X軸、Y軸、Z軸の3軸方向の傾斜磁場を被検体108が配置される撮像空間に発生する。この傾斜磁場の加え方により、被検体108の撮像断面が設定される。
送信系103は、高周波発振器111、変調器112、高周波増幅器113及び高周波照射コイル114を備える。この送信系103は、傾斜磁場発生手段102で設定された被検体108の撮像断面の生体組織を構成する原子の原子核を励起して核磁気共鳴を起こさせるために、高周波発振器111から出力された高周波パルスを、変調器112を介して、高周波増幅器113に供給する。そして、高周波増幅器113で増幅した後に、被検体108に近接して設置された高周波照射コイル114に供給して被検体108に高周波パルスを照射する。
また、受信系104は、高周波受信コイル115、受信回路116及びアナログ/ディジタル(以下「A/D」という)変換器117を備える。そして、送信系103の高周波照射コイル114から照射された電磁波による被検体108の生体組織の原子核の磁気共鳴によるエコー信号であるNMR信号を、被検体108に近接して配置された高周波受信コイル115で検出する。高周波受信コイル115により検出されたNMR信号は、受信回路116を介してA/D変換器117に入力し、ディジタル信号に変換される。
A/D変換器117においては、制御部106からの命令によるタイミングでサンプリングされた収集データとして、その信号を信号処理系105に送る。
制御部106は、CPU107の制御により動作し、スライスエンコード、位相エンコード、周波数エンコードの各傾斜磁場および高周波磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し発生するためのものである。そして、制御部106は、被検体108の断層像のデータ取得に必要な種々の命令を傾斜磁場発生手段102、送信系103および受信系104に送る。
また、信号処理系105は、CPU107と、信号処理装置118と、メモリ119と、磁気ディスク120と、光ディスク121と、ディスプレイ(表示手段)122とを備える。
CPU117は、収集データに対してフーリエ変換およびシーケンサ106の制を行う。また、信号処理装置118は、補正計算や収集データを断層像に再構成するために必要な処理を行う。
メモリ119は、経時的な画像解析処理および指定された計測のシーケンスのブログラムやその実行の際に用いられるパラメータ等を記憶し、被検体に対して行った事前の計測で得た計測パラメータや受信系104で検出したNMR信号からの収集データおよび関心領域設定に用いる画像を一時保管すると共にその関心領域を設定するためのパラメータ等を記億する。
また、磁気ディスク120及び光ディスク121は、再構成された画像データを記憶するデータ格納部である。ディスプレイ122は、受信系104で検出したNMR信号を用いて画像再構成演算を行うとともに、その画像表示を行う。
操作部108は、トラックボールまたはマウス、キーボード等からなり信号処理系105で行う処理の制御情報を入力するためのものである。
ディスプレイ122に受信系104で検出したNMR信号を画像再構成した画像を順次表示する。その連続表示されている画像上で次の撮像の位置、角度を操作部108により設定する。設定した情報は、ディスプレイ122に表示する。
本発明は、上述したMRI装置に適用されるが、本発明の比較例として、磁気シールドルームのみを用いた場合の漏洩磁場の分布について説明する。
図13は、対向型の超電導磁石を用いる垂直磁場方式のMRI装置(本発明とは異なる例である)を磁気シールドルーム内に設置した例を示す図である。
図13において、側壁面方向の漏洩磁場の0.5mTライン8を抑制するために、磁気シールドルームの側面と床面方向に磁気シールド5、6を配置している。
磁気シールドルームの床面には、床面の磁気シールド6の磁気飽和を低減するために、補助磁気シールド61も配置している。磁気シールド5、6および補助磁気シールド61の材質は、電磁鋼板(ケイ秦鋼板)、パーマロイなどの強磁性体を使用する。
図13において、傾斜磁場コイル4a、4bは、計測空間9を間にして互いに対向して配置されている。また、2aはクライオ容器の上側であり、2bはクライオ容器の下側である。クライオ容器2a、2b内には、超電導コイル3a、3bが配置されている。
次に、図13に示した装置を磁気シールドルームに設置する前の計測空間9の磁場分布を図14に示す。
また、図13に示した装置を磁気シールドルームに設置した場合の計測空間9の磁場分布を図15に示す。
図14には、例えば直径400cmの球面の断面における±数10ppmの磁場等高線10を示し、図15には、例えば直径400cmの球面の断面における±数1000ppmの磁場等高線11を示している。
図14に示した高均一な磁場分布では、磁場等高線10は、正負が交互に現れ、±数10ppmの値は計測空間9の外側となる。
一方、図15では、床面の強磁性体(6及び61)の影響により、磁場等高線は、上下に非対称となり、さらに計測空間の内側で数1000ppmと磁場の均一性は悪くなっている。
このように、磁気シールドルーム内にMRI装置を設置した場合の漏洩磁場の抑制及び対称化を以下の実施形態により図るものである。
図2は、本発明の第1の実施形態であるMRI装置用対向型超電導磁石のクライオ容器2a、2bの概略外観形状を示す図である。また、図3は、図2に示したクライオ容器2a、2bの概略断面図である。
対向型超電導磁石は、図2、図3に示すように、計測空間9を挟んで、上下に互いに対向して配置された一対のクライオ容器2a、2bと、これら一対の容器2a、2bを接続する1本以上の連結管51を備えている。
クライオ容器内2a、2bには、静磁場発生手段として、上下に互いに対向して配置された一対の超電導コイル3a、3bと、これら超電導コイル3a、3bを収納するとともに、超電導転移温度以下に保つヘリウム槽(図示せず)と、ヘリウム槽への熱輻射を遮断する輻射シールド(図示せず)とが配置される。
また、クライオ容器2a、2bの、計測空間9への対向面側に一対の傾斜磁場コイル4a、4bと、互いに対向する一対の高周波照射コイル(図示せず)を配置する。
本発明が適用される対向型超電導磁石では、下側クライオ容器2bの下底部に、電磁鋼板、純鉄、一般圧延鋼材(SS400)などの強磁性体からなる底部構造体31を備え、上側クライオ容器2a内に底部構造体31が計測空間9内に発生する不整磁場成分(上下非対称成分)を補償する補助静磁場発生手段21とを備える。さらに、底部構造体31は、ボルト締結や溶接等の接続手段により、強固に下側クライオ容器2bと一体化させる。
この構成により、クライオ容器2a、2bの剛性を向上させることができる。つまり、特に下側クライオ容器2bの剛性を向上させ、傾斜磁場コイル4a、4bの振動に対する影響を軽減することが可能である。
また、図3に示すように、上側クライオ容器2aの上部(計測空間9側とは反対側の面)側に構造補強部材41を配置している。この構造補強部材41の材質は、ステンレス鋼などの非磁性部材が望ましい。この構成により、クライオ容器2a、2bの構造をより強固にすることができる。
また、MRI装置の輸送時には、底部構造体31を下側クライオ容器2bから取外し、据付時に現地にて、下側クライオ容器2bに取り付け、ボルト締結しても良い。この構成により、輸送時の重量制限を緩和することが可能となる。
なお、図3に示した例では、補助静磁場発生手段として、補助超電導コイル21を使用しているが、図4に示すように、電磁鋼板(ケイ素鋼板)、純鉄などの補助強磁性体22や、図5に示すように、銅などの補助導体コイル23等を、補助静磁場発生手段として使用してもよい。
これら、補助静磁場発生手段21、22、23の配置位置については、以下のようにすることが望ましい。
すなわち、補助超電導コイル21は、ヘリウム槽内に配置する。補助強磁性体22は、計測空間9の開放性を損なわないことと、温度による強磁性体31の磁気特性が変化しないようにするため、ヘリウム槽内などのクライオ容器2a内部に収納することが望ましい。また、補助導体コイル23は、計測空間9の開放性を損なわないように、クライオ容器2aの対向面内に配置する。
これらの補助静磁場発生手段21、22、23の配置位置や、体積、電流値は予め計算機シミュレーションにより求め、場合によっては複数個で構成しても良い。
また、図3、図5に示した例では、補助超電導コィル21、補助導体コイル23は、上側クライオ容器2a側に配置しているが、計算機シミュレーションの結果によっては、電流の向きを逆にすることで、下側クライオ容器2b側に配置される場合もある。
さらに、補助静磁場発生手段21、22、23は、その体積や電流値を小さくするために、できるだけ計測空間9に近い位置が望ましい。図6は、上側クライオ容器2aの計測空間9に対向する面側に位置する傾斜磁場コイル4aの内部断面図である。
図6において、傾斜磁場コイル4aは、X、Y、Z成分を発生するメイン傾斜磁場コイル群401と、これらメイン傾斜磁場コイル群401の漏洩磁場をキャンセルするシールド傾斜磁場コイル群402とを備えている。
この他、図示はしないが、シムコイルや傾斜磁場コイルを冷却する冷却管もMRI装置は備えている。なお、メイン傾斜磁場コイル群401とシールド傾斜磁場コイル群402との層間を広げたほうが、傾斜磁場の発生効率は高くなる。したがて、メイン傾斜磁場コイル群401とシールド傾斜磁場コイル群402との間には空間が設けられている。この空間に、補助強磁性体22や補助導体コイル23を配置しても良い。
上記構成により、計測空間9の開放性を損なうことがない。ただし、補助強磁性体22を使用する場合は、強磁性体31の非線形性やマイナーループの影響があるため、飽和させるなどの工夫が必要である。また、補助導体コイル23では、ジュール熱による発熱を考慮し、冷却構造を設置することが望ましい。
本発明の第2の実施形態であるMRI装置におけるクライオ容器の概略断面図である。この第2の実施形態においては、底部構造体が同心円状の同心円状底部構造体32となっている点が第1の実施形態と異なるところである。
図8は、図7に示した同心円状底部構造体32の平面図である。図8に示すように、同心円状底部構造体32は、複数の同心円状の強磁性体と、これら、複数の同心円状の強磁性体間に配置される非磁性樹脂材33とを備えている。
本発明の第2の実施形態においては、計測空間9の磁場成分に相当するターン数から同心円状底部構造体32の同心円パターンを決定する。この同心円のパターンにより、補助静磁場発生手段の機能(高次項抑制)を有することとなる。
したがって、この第2の実施形態は、図3に示した第1の実施形態に比較して、補助静磁場発生手段の構成を簡略することが可能である。つまり、この同心円状底部構造体32により、補助超電導コイル21等の補助静磁場発生手段における磁場調整の効率を向上させることが可能となる。
図9は、第2の実施形態における同心円状底部構造体32の変形例を示す図である。図9に示すように、複数の同心円状強磁性体間は、放射状に配置された複数の非磁性鋼材34で補強されている(底部構造体が井桁構造となっている)。なお、非磁性鋼材34としては、ステンレス鋼等を使用することができる。
このように、底部構造体の形状を井桁構造にすることで、さらに、底部構造体の重量を軽減することができる。
図8に示した底部構造体32の、その他の変形例としては、磁束通過量を径方向で異なる部分が形成されるように、互いに透過磁率が異なる材料を同心円状に配置して構成することもできる。また、透磁率は同一な材料であるが、互いに厚みが異なる円形部分を同心円状に配置することもできる。
なお、上述した例において、底部構造体31、32は、クライオ容器2bと別体として、製作され、MRI装置の使用箇所にて据付時に、ボルト等により底部構造体31、32をクライオ容器2bに接続する構成でもよいし、図10に示すように、底部構造体31、32を、クライオ容器2bと一体として製造することもできる(クライオ容器2a、2bの底部35)。このように構成することにより、クライオ容器2bとの一体化を強めることが可能となり、剛性を向上させることが可能となる。
ここで、底部構造体(31、32、35)の透磁率が、周囲温度により変化するという温度特性を有する場合は、この温度特性を補償するために、底部構造体の温度を略一定とすることが好ましい。
このため、底部構造体を断熱材で覆い、温度センサにより底部構造体の温度を検出し、その温度が一定となるように、ヒータ又は冷却手段を制御する温度制御手段を備えることが可能である。この温度制御手段による温度制御は、図1に示した制御部106で行っても良いし、中央処理装置107で行なうことも可能である。また、これらとは別個の手段により温度制御を行なうこともできる。
図11は、本発明(第2の実施形態)による漏洩磁場抑制効果をシミュレーションにより得た結果を示す図である。
また、図12は、本発明とは異なり、底部構造体を設けない場合の漏洩磁場抑制効果をシミュレーションにより得た結果を示す図である。
図11に示した例の場合は、0.5mTラインは、垂直(上下)方向で、シールドルーム36の底面から約2.5m、水平(左右)方向で、シールドルーム36の水平方向寸法(約5.5m)とほぼ同等内となっている。
また、0.1mTラインは、垂直(上下)方向で、シールドルーム36の底面から約3.0m、水平(左右)方向で、約7.5m内となっている。
一方、図11に示した例の場合は、0.5mTラインは、垂直(上下)方向で、シールドルーム36の底面から約3.5m、水平(左右)方向で、約6.5mとなっている。
また、0.1mTラインは、垂直(上下)方向で、シールドルーム36の底面から約4.0mを超え、水平(左右)方向で、約10.0m内となっている。
図11、図12に示すように、本発明による底部構造体(31、32、35)により、漏洩磁場抑制効果が向上される。
本発明が適用されるMRI装置の全体概略構成図である。 本発明の第1の実施形態であるMRI装置用対向型超電導磁石のクライオ容器概略外観形状図である。 図2に示したクライオ容器の概略断面図である。 本発明の第1の実施形態の変形例を示す図である。 本発明の第1の実施形態の他の変形例を示す図である。 本発明の第1の実施形態のさらに他の変形例を示す図である。 本発明の第2の実施形態であるMRI装置用対向型超電導磁石のクライオ容器概略外観形状図である。 図7に示した例の同心円状底部構造体の平面図である。 図7に示した例の同心円状底部構造体の変形例の平面図である。 本発明において底部構造体をクライオ容器と一体化した場合の例を示す図である。 本発明による漏洩磁場抑制効果をシミュレーションにより得た結果を示す図である。 本発明とは異なり、底部構造体を設けない場合の漏洩磁場抑制効果をシミュレーションにより得た結果を示す図である。 本発明とは異なる例であり、垂直磁場方式のMRI装置を磁気シールドルーム内に設置した例を示す図である。 図13に示した装置を磁気シールドルームに設置する前の計測空間の磁場分布図である。 図13に示した装置を磁気シールドルームに設置した場合の計測空間の磁場分布図である。
符号の説明
2a、2b クライオ容器
3a、3b 超電導コイル
4a、4b 傾斜磁場コイル
9 計測空間
21、22、23 補助静磁場発生手段
31、32、35 底部構造体
33 非磁性体材料
34 非磁性鋼材の構造補強部材
41 上部補強構造体
51 連結管
101 静磁場発生手段
102 傾斜磁場発生手段
103 送信系
104 受信系
105 信号処理系
106 制御部
107 中央処理装置
108 操作部

Claims (10)

  1. 計測空間に均一な磁場を発生する静磁場発生手段と、傾斜磁場発生手段と、高周波送受信手段と、画像処理手段と、上記静磁場発生手段を収納する収納容器とを有する磁気共鳴イメージング装置において、
    上記収納容器の下底部に接続される強磁性体を有する底部構造体を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  2. 請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、静磁場の上下非対称成分を補償する補助静磁場発生手段を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  3. 請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記補助静磁場発生手段を上記容器内に収納したことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  4. 請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記補助静磁場発生手段を上記容器の計測空間側に配置したことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  5. 請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記補助静磁場発生手段は、超電導コイルは強磁性体であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  6. 請求項4記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記補助静磁場発生手段は、導体コイル又は強磁性体であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  7. 請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記底部構造体は、同心円状の複数の円形状部材を有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  8. 請求項7記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記底部構造体は強磁性体と非磁性体による複合部材により形成されたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  9. 請求項7記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記底部構造体の複数の同心円状部材は、互いに間隔を持って配置され、この間隔に複数の非磁性鋼材が配置されたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  10. 請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、上記底部構造体の温度を一定にする温度制御手段を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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