JP2003180651A - 磁気共鳴撮像装置用マグネット - Google Patents
磁気共鳴撮像装置用マグネットInfo
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Abstract
用で漏れ磁場の広がりが小さくコンパクトなマグネット
を提供する。 【解決手段】MRI用マグネットに、強磁性体による磁
束路と磁束回帰または磁束制御コイルによって形成され
る磁束路によって構成される磁気回路を備えることによ
って、静磁場強度が1テスラを超える場合でも漏れ磁場
の5ガウスラインを半径3mの球面内部に抑え、かつ、
比較的軽量なマグネットを提供することが可能となる。
また、静磁場発生源から垂直方向に逃げようとする磁束
を、強磁性体磁束路や静磁場とは逆向きの極性のコイル
を設置することによって水平方向へコンパクトに導く構
造とすることで、マグネットの全高の増大が抑えられ全
高3m以内となるマグネットを提供することができる。
Description
例えば磁気共鳴撮像装置用に適した磁石集合体、特に広
い開口部を有する開放型磁石の均一磁場発生装置に関す
る。
は均一な静磁場空間におかれた検査体に電磁波を照射し
た時に生じる核磁気共鳴現象を利用して検査体の物理
的,化学的性質を表す画像を得るもので、特に医療用と
して用いられる。
磁場を印加するための静磁場発生手段,電磁波を照射・
受信するRFコイル系,共鳴現象の位置情報を与えるた
めの勾配磁場を印加する傾斜磁場発生手段から構成され
る。
類に大別される。一つは、同軸多層に構成されたコイル
群の内部空間に撮像空間が設置される水平磁場機と、も
う一つは撮像空間を挟むようにして対抗するコイル群か
ら構成される垂直磁場機(開放型)である。後者は、そ
の開放性から被験者への精神的負担を低減し、また、検
査者の被験者に対するアクセス性が大幅に向上する。
共鳴信号強度が上がり、撮像時間の短縮,高機能撮影が
可能となることから高磁場化が進められている。高磁場
化のため単純に磁場発生源の起磁力を増大させると当然
漏洩磁場が増加する。開放型のMRI装置では磁場発生
源から漏洩する磁場を閉じ込める、もしくは打ち消すよ
うな手法で漏洩磁場の低減を図っている。
ブシールド方式,アクティブシールド方式そしてトロイ
ダルコイル方式(特開平10−4010号)の主に3つ
の形態がある。例えば、トロイダルコイル方式について
は、特開平10−4010号に記載されている。
は、高い静磁場強度のMRI装置用で漏れ磁場の広がり
が小さくコンパクトなマグネットを提供することにあ
る。
撮像能力の高性能化への要求に応えるために静磁場強度
として1テスラ以上を発生しながら、かつ、設置性の観
点から漏洩磁場の5ガウスラインの広がりが半径3.5
m程度、一般的な手術室などに設置できる程度にコンパ
クトで、比較的軽量な開放型MRI装置用マグネットを
提供することにある。
能化への要求に応え、かつ、設置性の観点からコンパク
トで、比較的軽量なMRI装置を提供することにある。
MRI用マグネットに、強磁性体による磁束路と磁束回
帰または磁束制御コイルによって形成される磁束路によ
って構成される磁気回路を備えることによって、静磁場
強度が1テスラを超える場合でも漏れ磁場の5ガウスラ
インを半径3mの球面内部に抑え、かつ、比較的軽量な
マグネットを提供することが可能となる。
向に逃げようとする磁束を、強磁性体磁束路や静磁場と
は逆向きの極性のコイルを設置することによって水平方
向へコンパクトに導く構造とすることを特徴とし、マグ
ネットの全高の増大が抑えられ全高3m以内となるマグ
ネットを提供することができる。
置された磁極およびコイルによって構成されるMRI用
静磁場発生マグネットにおいて、発生した磁束を回帰さ
せる磁気回路を備え、その磁気回路は強磁性体による磁
束路とコイルなどの電流によって形成される磁束路の両
者を備える構造であることを特徴とする。
どの強磁性体で構成されたものがパッシブシールド方式
であり、完全にコイルで形成されるものはトロイダルコ
イル方式である。パッシブシールド方式は重量が大きい
という課題があるものの漏洩磁場低減のためには最も効
果的である。一方、トロイダルコイル方式は重量を劇的
に低減出来るものの、対象としている直径5−6m程度
の漏れ磁場の空間スケールに対して、磁束が漏れるコイ
ルの隙間が十分に小さいようなコイル、実質的なトロイ
ダルコイルを構成することが難しいため漏れ磁場は大き
くなる傾向を考慮し、パッシブシールド方式の磁気回路
の一部を、その部分を通過する磁束量を保存するような
コイルで置き換えていくことを特徴とする。これによっ
て、パッシブシールド方式と同程度の漏れ磁場を保った
ままでマグネットの重量の低減を実現した。
路の表面には磁化電流が流れ、結果的にはトロイダルコ
イル方式と同様にc型に配置した環状の電流によって磁
場の漏洩を抑えていることになる。強磁性体を使うこと
はコイルと等価のように見えるがそうではなく、強磁性
体を使うことの利点は、磁場を収束させる環状電流の形
状を容易に制御できる点と空気よりも大きな透磁率を有
しているという点である。コイルが作る環状電流に比べ
ると強磁性体磁気路は任意形状を容易に作ることができ
るため、磁束の流れを制御するのに効果的な磁束経路を
形成することが可能であり、また、磁束は透磁率の大き
い方へ流れる傾向にあることから強磁性体によって周辺
の磁束を絞り込む効果を持つ。以上の効果によって、本
発明では、実質的トロイダルコイルとすることが困難な
トロイダルコイル方式よりも漏れ磁場を低減することが
できるという特徴を有する。
にスリットを形成したり、磁気異方性を有する素材を使
うことによって磁束の流れる方向をより積極的に制御す
ることができ効果的に漏れ磁場を低減することができる
という特徴を有する。
は高くとも2.5m−3m 程度以内に制限される。開放
型MRIマグネットでは、撮像空間に垂直に発生した磁
束を水平方向へ導きそして回帰させる必要がある。コイ
ル巻線に働く電磁力,巻き線の容易さなどの観点から一
般に円形以外のコイルを作ることは難しく、そのため、
トロイダルコイル方式では前記のスペックを満たすよう
なコンパクトなマグネットを形成することは極めて困難
である。本発明では、磁束を水平に導く磁束路を強磁性
体で形成させると、任意形状の磁束路を形成することが
できるのみならず、強磁性体の透磁率や、さらに磁気異
方性を利用することによって磁束をマグネットの近傍で
急激に絞ることができるため、全高を抑えたマグネット
を形成することが可能となることができるという特徴を
有する。
下で更に説明される。
均一な静磁場を印加するための静磁場発生手段,電磁波
を照射・受信するRFコイル系,共鳴現象の位置情報を
与えるための勾配磁場を印加する傾斜磁場発生手段から
構成される。
類に大別される。一つは、同軸多層に構成されたコイル
群の内部空間に撮像空間が設置される水平磁場機と、も
う一つは撮像空間を挟むようにして対抗するコイル群か
ら構成される垂直磁場機(開放型)である。後者は、そ
の開放性から被験者への精神的負担を低減し、また、検
査者の被験者に対するアクセス性が大幅に向上すること
から現在MRI装置の主流になりつつある。
装置の主要構成要素としては、撮像空間である撮像領域
10に均一磁場を印加するための磁極1a,1b、起磁
力源である超電導コイル5a,5b、超電導コイルを低
温に保つためのクライオスタット6a,6b、共鳴現象
の位置情報を与えるための勾配磁場を印加する傾斜磁場
コイル(7a,7b、電磁波を照射・受信するRFコイ
ル系8a,8b、撮像空間の磁場均一度を調整するため
の均一度調整部9a,9b等があり、これらが計測空間
を挟んで対向するように各々配置されている。
設置することから、本来の目的であるところの撮像に関
する性能が重要であるばかりではなく、MRI装置の設
置性というものも重要となる。設置性を決める主な要素
は、MRI装置の大きさ,重量、そして、MRI装置か
ら漏洩する磁場の広がりである。装置の大きさ,重量に
関しては、コンパクト,軽量であることが有利であるこ
とは言うまでもない。漏洩磁場に関しては、ペースメー
カーや医療機器等に影響を与えない磁場強度の目安とし
て5ガウスという値が用いられ、少なくともMRIを設
置した部屋の外では5ガウス以下であるようにという要
請がある。
共鳴信号強度が上がり、撮像時間の短縮,高機能撮影が
可能となることから高磁場化が進められている。高磁場
化のため単純に磁場発生源の起磁力を増大させると当然
漏洩磁場が増加する。開放型のMRI装置では磁場発生
源から漏洩する磁場を閉じ込める、もしくは打ち消すよ
うな手法で漏洩磁場の低減を図っている。
シールド方式,アクティブシールド方式そしてトロイダ
ルコイル方式(例えば、特開平10−4010号)の主
に3つの形態がある。パッシブシールド方式は、対向す
るように配置された磁場発生源の片方からもう一方へ鉄
などをはじめとする強磁性体で繋いで磁束経路を生成さ
せ、片側の磁場発生源から発生した磁束をこの磁束経路
内部に収束させてもう一方の磁場発生源に回帰させて漏
洩磁場の低減を図るものである。アクティブシールド方
式は、対向する磁場発生源の外側に対向する逆向きの磁
場を発生するシールドコイルを配置し外側の漏洩磁場を
打ち消す形で漏洩磁場を低減するものである。トロイダ
ルコイル方式は、完全なトロイダルコイルでは漏れ磁場
が0となることから、トロイダルコイルのようにC型に
コイルを配置することによって漏洩磁場の低減を図るも
のである。
を小さくすることができ、また中心磁場強度を稼ぐこと
ができることからマグネットの起磁力を小さくすること
ができる反面、磁気回路を鉄などの強磁性体で構成する
ことからマグネット重量が非常に重くなるという特徴を
持つ。アクティブシールド方式ではマグネット重量は軽
くなるものの、撮像に必要な静磁場を打ち消す方向にシ
ールド磁場を発生させるためマグネットの起磁力は大き
くなる傾向にあり、また、漏洩磁場も比較的大きくな
る。トロイダルコイル方式では、撮像空間の静磁場を打
ち消すようには磁場を発生させない(むしろ、増加させ
る)ため起磁力の観点からは有利であり、重量も比較的
軽くて済むが、実際に完全なトロイダルコイル状にコイ
ルを配置することは難しいので、トロイダル状に配置さ
れたコイル群の隙間から磁束が漏れるため漏洩磁場はあ
まり小さくならず、また、マグネット自体の構造が複雑
となり大型化する傾向にある。
装置用マグネットの断面図および上面図を示す。本MR
I装置用マグネットでは、超電導コイル5a,5b,5
c,5dと前記超電導コイルを格納するクライオスタッ
ト6a,6b、および、前記超電導コイルを貫く磁束線
を撮像空間である撮像領域10に集中もしくは拡散させ
るように配置された磁性材料により構成される磁極1
a,1b、によって構成される静磁場発生手段が、撮像
空間を挟むように対向して配置されている。また、静磁
場発生手段が撮像空間である撮像領域10に発生する磁
場とは逆の極性の磁場を発生するように磁束回帰コイル
12a,12bおよびそれを格納するクライオスタット
13a,13bが静磁場発生手段の脇に配置され、静磁
場発生手段の端面と磁束回帰コイル端面を繋ぐように継
鉄11a,11bが配置されて磁気回路を形成してい
る。
空間である撮像領域10に垂直方向上向きに発生された
磁束は、上部の静磁場発生手段を通過し、上部の継鉄1
1aによって水平方向へ導出され、磁束回帰コイル12
a,12bを下向きに通過し、下部の継鉄11bによっ
て水平方向に下部の静磁場発生手段まで収束させられ、
下部静磁場発生手段を上向きに通過し、一周する。静磁
場発生手段によって発生される磁束量を通過させること
ができるように強磁性体磁気路の断面積を設計し、か
つ、磁束回帰コイル12a,12bが発生する磁束量、
すなわち磁束回帰コイルの起磁力および断面積を設計す
ることによって、静磁場発生手段により発生した磁束を
この磁気回路内部に閉じ込めることができることがで
き、したがって、漏洩磁場を小さくすることができる。
を2つ配置して、静磁場強度が1.5テスラ、かつ、漏洩
磁場の5ガウスラインが半径2.9m の球面内部となる
ようなマグネットを実現することができた。また、継鉄
11a,11bを利用することによって漏洩する磁場を
静磁場発生手段近傍に収束することができ、かつ、この
形状を最適化することによって、上記のスペックを満た
すマグネットの全高を2.4m 以内に収めることができ
た。磁気回路を継鉄と磁束回帰電流によって形成したた
め継鉄の総重量はおよそ42トンと抑えることができ、
市場に現存する静磁場強度0.7 テスラかつ総重量40
トンの開放型MRI装置を考えた場合、静磁場強度が2
倍になったのにかかわらず重量を同程度に抑えることが
でき、実質的に軽量化が実現されている。
直に回帰させる部分、すなわち柱の部分、を強磁性体磁
気路ではなくコイルで構成しているところに特徴があ
る。この柱を強磁性体で構成すると静磁場強度の増加に
比例してこの柱の断面積を増加させる必要がありマグネ
ット開口部における開放度が減少する。この柱を磁束回
帰コイルで構成すると静磁場強度の増加に応じてコイル
起磁力を増加すればよいためマグネット開放度に及ぼす
影響を小さくすることができる。
使われている超伝導材料であるNbTiを用いた内径80cm
の2つの磁束回帰コイル12a,12bを配置した。こ
の場合磁束回帰コイルが経験する最大磁場は4テスラ以
下である。マグネットの開放度を上げるためには磁束回
帰コイル柱の径を小さくすることが効果的であるが、そ
の場合でも磁束回帰コイル柱を通過する磁束量を確保し
ないといけないため磁束回帰コイル柱の経験する最大磁
場が増加する。おおまかには磁束回帰コイルの径に対し
て経験磁場はその2乗に反比例する。例えば、磁場に対
してより強い耐性を持つNb3Sn を使って磁束回帰コ
イルを構成するとその径は60cmとなりマグネットの開
放度を更に向上させることができる。
な電流値が制限されるため、磁束回帰コイルの径を小さ
くするためには、より高い磁場中で通電可能な超伝導材
料を選択する必要がある。そのような材料としては、N
b3Sn,Nb3Al,MgB2の金属系超伝導材やBi
系,Y系,Hg系,Tl系をはじめとする酸化物超伝導
材がある。また、臨界温度の高い材料を使って磁束回帰
コイルを保持するクライオスタットの構造を簡略化して
柱部を小径化することも考えられる。そのような材料と
してはBi系,Y系,Hg系,Tl系をはじめとする酸
化物超伝導材や金属系材料でも比較的高い臨界温度を有
するMgB2がある。
れ、かつ、マグネットの運転に液体ヘリウム,液体窒素
などの冷媒を必要とする場合、冷媒槽,熱交換器,冷凍
機などの冷却関係機器が必要となるが、磁束回帰用コイ
ル状電流の内部空間にこれらを配置することによって余
分な空間を必要とせずコンパクトなマグネットとするこ
とができる。
置して、磁束回帰経路を2つ確保したが本形態に限定さ
れるべきものではない。漏れ磁場の形状の設計やマグネ
ット開口部における開放度の観点から、磁気回路が1
つ、いわゆるc型、であってもよいし、さらに多くの磁
束回帰コイルを配置しても良い。本実施例の磁気回路を
有するマグネットにおける漏洩磁場の主な原因は、強磁
性体磁束路と回帰コイルの間の隙間の存在である。漏洩
磁場5ガウスラインを小さくするには複数の磁束回帰路
を配置して分散させることが有効になる。また、磁束回
帰コイル12a,12bと静磁場発生手段は上面から見
ると一直線上に並んでいるが、図4に示すように磁束回
帰コイルをずらすことにより、利用の多い側のマグネッ
ト開口部をより広く確保することが可能となる。
の磁束回帰路をバランス良く配置することによって、磁
束回帰コイルが熱的不安定性によって常伝導転移し磁束
回帰経路が遮断される際に、強磁性体内に残留する磁化
による漏れ磁場の広がりおよび減衰時定数を制御するこ
とが可能となる。
重要となるが、本実施例では図中に示されるように2対
のコイルと溝を形成した磁極によって磁場均一度を確保
している。磁場均一度を確保する手段は本実施例の形態
に限定されるものではなく任意の形態であってよい。例
えば、図5に示されるように、溝が形成された磁極の代
わりに複数のコイルによって均一磁場を発生させてもよ
い。
に均一な磁場を得ることができるため、磁束経路におけ
る磁束の流れを特に調整したり静磁場発生手段に導入さ
れる磁束の流れを均一化する必要はない。しかしなが
ら、磁極部の構造を簡略化するために、磁束経路の形状
の調整や空隙,磁気的異方性を有する材料を配置するな
どして磁束の流れを制御してもよく、また補助的な磁場
を発生する強磁性体,永久磁石などを磁束路に配置して
もよい。
は、マグネット近傍に磁束を絞り込んで回帰させること
が重要であることから、本実施形態では静磁場発生手段
の上下に強磁性体による継鉄11a,11bを配置し
た。この継鉄を、磁束の絞り込みのために、より有効に
活用するために図6に示されるように継鉄中に水平方向
のスリットを形成した。図中では上下それぞれ2つずつ
スリット14a,14bを図示しているが、実際には厚
さ5mmのスリットを4つずつ配置した。スリットの位置
は静磁場発生手段の中心上から磁束線の向きが平行に曲
がる程度の位置までとした。
あるので、静磁場発生手段から上向きに出る磁束は空気
の層と平行になるように曲がって流れる。そのため上部
に逃げようとする磁束を効率良く水平方向へ磁束を絞り
込むことが可能となる。磁束のコンパクトに絞り込める
と磁束を通過させるために必要な強磁性体磁束路の体積
を低減することが可能となるために重量を低減すること
が可能となる。上記のスリットを利用することによって
継鉄11a,11bの重量をおよそ39トンに低減する
ことができた。
流れを制御することは非常に有効である。同様のことを
透磁率の異方性を有する積層鋼板などでも実現すること
が可能である。本実施例ではスリットを継鉄の一部分に
配置したが、図7のように所望の磁束の流れを形成する
ように継鉄の全長にわたってスリットを形成することも
もちろん有効である。このようなスリットを有する継鉄
はそれぞれを構成するパーツを組み合わせることによっ
て形成することが可能である。
グネットを提供するために、静磁場発生手段から垂直方
向に漏れる磁場を水平方向へ導く強磁性体磁束路を静磁
場発生源の上下に配置したが、その他の方法としては図
8に示すように静磁場発生手段と逆向きの極性の磁場を
発生させる磁束制御コイル15a,15bを静磁場発生
源の上下に対向するように配置する方法がある。静磁場
発生源がつくる磁束と磁束制御コイルがつくる磁束はぶ
つかり、水平方向へ湧き出すように磁束の流れが形成さ
れる。磁束制御コイルの形状は円形に限定されるもので
なく、また、完全に水平であることに限定されるもので
はない。トロイダルコイル方式では回帰される磁束はす
べてのコイルに鎖交するように流れるが、この方式では
磁束制御コイルには回帰する磁束は鎖交していない点が
特徴的である。磁束制御コイルがつくる逆向きの極性の
磁場が撮像空間の静磁場強度を低下させる効果は継鉄の
存在によって緩和され、また、磁極部は依然として静磁
場強度を強める効果をもつ。磁束制御コイルと静磁場発
生手段の間に継鉄が存在するとクライオスタットの個数
が増え構造が複雑になる課題があるが、これを解消する
方法としては図9のように継鉄部,磁極部を廃し磁束制
御コイルと静磁場発生手段を構成するコイル群を同一の
クライオスタット内に格納するという方法もある。この
構造では、磁束制御コイルが大型化する傾向にあり、ま
た、磁束制御コイルがつくる逆向きの磁場の影響が撮像
空間に大きく及ぶので静磁場発生手段の起磁力が増大す
る。しかしこの方式はマグネット重量を低減するのに効
果が大きい。
態から磁束回帰コイルを継鉄柱16a,16bに置き換え
たものである。MRI装置ではマグネットの振動によっ
て撮像空間の磁場が変動し撮影される画像の画質に大き
な影響を与える。磁束回帰コイルを継鉄柱16a,16
bに置き換えてマグネットの剛性を上げることによって
共振周波数は高周波数側にシフトし振幅を小さくするこ
とができる。マグネット重量は重くなるものの、振動に
よる影響を低減しかつ漏れ磁場の大きさは他の形態のマ
グネットと同程度となる。
性体による磁束路と磁束回帰または磁束制御コイルによ
って形成される磁束路によって構成される磁気回路を有
することによって静磁場強度が1テスラを超える場合で
もマグネットの重量増加を抑えながら漏れ磁場の5ガウ
スラインを半径3.5mの球面内部に制限することが可
能となる。また、静磁場発生源から垂直方向に逃げよう
とする磁束を水平方向へコンパクトに導く構造を採用す
ることによりマグネットの全高の増大が抑えられ全高3
m以内となるマグネットを提供することができる。
装置は、例えば、概ね対向して配置された複数の静磁場
発生手段と該磁場発生手段が対向することにより形成さ
れる撮像空間と該静磁場発生手段によって発生した磁束
を回帰させる磁気回路を有し、該磁気回路は鉄などをは
じめとする強磁性体によって構成される磁束経路とコイ
ル状電流をはじめとする電流の配置によって形成される
磁束経路の両者によって構成されている。本明細書で
は、電流の配置は、例えば、上記したような超電導材料
で構成されるが、その形状は、コイル状の電流,シート
状の電流,バルク超電導体又はこれらの組み合わせであ
ってもよい。
I装置用で漏れ磁場の広がりが小さくコンパクトなマグ
ネットを提供することができる。
化への要求に応え、かつ、設置性の観点からコンパクト
で、比較的軽量なMRI装置を提供できる。
図。
成を示す上面図。
ト構成を示す上面図。
ト構成を示す断面図。
ト構成を示す断面図。
ト構成を示す断面図。
ト構成を示す断面図。
ト構成を示す断面図。
ット構成を示す断面図。
6b,13a,13b…クライオスタット、7a,7b
…傾斜磁場コイル、8a,8b…RFコイル系、9a,
9b…均一度調整部、10…撮像領域、11a,11b
…継鉄、12a,12b…磁束回帰コイル、14a,1
4b…スリット、15a,15b…磁束制御コイル、1
6a,16b…継鉄柱。
Claims (13)
- 【請求項1】概ね対向して配置された複数の静磁場発生
手段と該磁場発生手段が対向することにより形成される
撮像空間と該静磁場発生手段によって発生した磁束を回
帰させる磁気回路を有し、 該磁気回路は鉄などをはじめとする強磁性体によって構
成される磁束経路と電流の配置によって形成される磁束
経路の両者によって構成されることを特徴とする磁気共
鳴撮像装置用マグネット装置。 - 【請求項2】概ね対向して配置された複数の静磁場発生
手段と該磁場発生手段が対向することにより形成される
撮像空間と該静磁場発生手段によって発生した磁束を回
帰させる磁気回路を有し、 該静磁場発生手段は該撮像空間に垂直方向の磁場を発生
するように配置されており、該撮像空間から見て該静磁
場発生手段の反対側に該静磁場発生手段が発生した垂直
方向の磁束を水平方向へ導く鉄などをはじめとする強磁
性体による強磁性体磁束経路が概ね対向するように設置
され、かつ、該強磁性体磁束経路を繋ぐように電流の配
置によって形成される磁束経路を備えることを特徴とす
る磁気共鳴撮像装置用マグネット装置。 - 【請求項3】磁束経路を形成する電流の配置が、NbT
i,Nb3Sn,Nb3Al,MgB2などをはじめとする
金属系超伝導材料、またはBi系,Y系,Tl系,Hg
系などをはじめとする酸化物系超伝導材料などの超伝導
材料によって構成されることを特徴とする請求項1又は
請求項2記載の磁気共鳴撮像装置用マグネット装置。 - 【請求項4】電流の配置がコイル状の電流,シート状の
電流,バルク超電導体又はこれらの組み合わせである請
求項1乃至請求項3のいずれか記載の磁気共鳴撮像装置
用マグネット装置。 - 【請求項5】強磁性体磁束経路中に空隙,スリットなど
をはじめとする透磁率の異なる領域を配置、もしくは積
層鋼板などをはじめとする透磁率の異方性を有する素材
を使用するなどして、マクロ的な透磁率の異方性を持つ
強磁性体磁束経路を備えることを特徴とした請求項1乃
至請求項4のいずれか記載の磁気共鳴撮像装置用マグネ
ット装置。 - 【請求項6】複数の磁気回帰経路を有することを特徴と
する請求項1乃至請求項5のいずれか記載の磁気共鳴撮
像装置用マグネット装置。 - 【請求項7】磁束経路を形成する環状電流のうち、回帰
する磁束の大部分とは鎖交しないような環状電流を備え
ることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか記
載の磁気共鳴撮像装置用マグネット装置。 - 【請求項8】電流の配置によって形成される磁束経路中
に鉄などの強磁性体を配置することを特徴とする請求項
1乃至請求項7のいずれか記載の磁気共鳴撮像装置用マ
グネット装置。 - 【請求項9】磁束経路を形成する電流の内側の空間にコ
イルを冷却する冷媒,冷却装置を保持する容積を備える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか記載
の磁気共鳴撮像装置用マグネット装置。 - 【請求項10】システムギャップ430mm以上、かつ、
静磁場強度が1テスラを超え、かつ、漏洩磁場の5ガウ
スラインが半径3.5m の球の内側にある開放型磁気共
鳴撮像装置用マグネット。 - 【請求項11】マグネットの全高が3.0m 以内である
請求項10記載の開放型磁気共鳴撮像装置用マグネッ
ト。 - 【請求項12】請求項1乃至請求項8のいずれか記載の
磁気共鳴撮像装置用マグネット又は請求項9乃至請求項
11のいずれか記載の開放型磁気共鳴撮像装置用マグネ
ットを有する磁気共鳴撮像装置。 - 【請求項13】複数の静磁場発生手段と該静磁場発生手
段によって発生した磁束を回帰させる磁気回路を有する
マグネットにおいて、 該磁気回路は強磁性体によって構成される磁束経路と電
流の配置によって形成される磁束経路とを有することを
特徴とするマグネット。
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