JP2006141149A - スイッチング電源回路、プリンタ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複数のコンバータ部を備え、複数の直流電源を出力するようにされた電源回路において、各コンバータ部の構成部品の共通化を図ることで製造効率の向上を図る。
【解決手段】最も高圧な直流電源E1について、第1コンバータ部CVT−1にて生成される二次側直流出力電圧Eo1に対し、第2コンバータ部CVT−2において生成される二次側直流出力電圧Eo2を積み上げて生成する。これによって第1コンバータ部CVT−1のみが単独で直流電源E1を生成するとした場合よりも各コンバータ部の対応負荷電力の差が縮小される傾向となり、この結果各コンバータ部の構成部品と共通の素子を用いることが可能となって電源回路の製造効率の向上を図ることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、各種電子機器の電源として備えられるスイッチング電源回路に関する。また、スイッチング電源回路を電源として備えたプリンタ装置に関する。
特開2003−143854号公報 特開平6−327246号公報(第11図)
先に本出願人は、一次側に共振形コンバータを備えた電源回路を各種提案している。
図12は、先に本出願人により出願された発明に基づいて構成される、共振形コンバータを備えるスイッチング電源回路の一例を示す回路図である。
この図12に示されるスイッチング電源回路としては、パーソナルコンピュータ等において扱われる文字データや画像データ等を印刷出力するようにされる、例えばインクジェット式プリンタ等のプリンタ装置の電源として備えられるものである。
そして、この電源回路によって生成される、メイン出力としての直流電源E1(二次側直流出力電圧Eo1)は、プリンタ装置において印刷動作時にのみその動作が必要とされる、例えば印刷動作用モータ等の所定の駆動機構部の動作電源として供給するものとされる。
ここで、上記のような印刷動作用モータ等の、印刷動作時に必要な駆動機構部は、印刷動作が行われない状態では、(他の部位は動作状態となっていても)完全に動作を停止した状態となっており、よって負荷は解放状態となる。
つまり、この場合の電源回路では、二次側直流出力電圧Eoの負荷について、負荷電力が印刷動作時での最大負荷から、印刷動作停止時の無負荷までに対応して動作するものとされている。
また、プリンタ装置としては、例えばインクジェット方式や熱転写方式等の印刷方式、或いは同じインクジェット方式であってもサーマルインクジェット方式やピエゾ方式等の印刷方式の違いで、上記した駆動機構部で要する電源電圧レベルが異なるものとなっている。そして、プリンタ装置の電源として備えられる電源回路としては、このような印刷方式の異なるそれぞれの装置に対応して動作できるように構成されているのが一般的である。
この図12に示される電源回路としても、このように印刷方式が異なるプリンタ装置に対応可能となるように構成されている。例えば、この場合の電源回路では、上記印刷方式の違いによって駆動機構部で要する電源電圧が24Vとされるプリンタ装置と37Vとされるプリンタ装置との、2種のプリンタ装置に対応可能に構成されている。
また、この図に示す電源回路では、二次側直流出力電圧Eo2としての直流電源E2、及び二次側直流出力電圧Eo3としての直流電源E3も生成するようにされている。
これら直流電源E2及び直流電源E3は、異なる印刷方式のプリンタ装置間で共通の電位とされている。
これら直流電源E2及び直流電源E3は、プリンタ装置において入力信号を印刷用の信号に変換するためのデジタルICの動作電源として、それぞれ12V(E2)と5V(E3)による固定の電圧を生成するようにされている。
さらに、この図に示す電源回路は、交流入力電圧のAC100V系とAC200V系との双方に対応して動作可能な、いわゆるワイドレンジ対応としての構成が採られている。
先ず、図12において、商用交流電源ACに対しては、図示するように2組のフィルタコンデンサCL、CL及び1組のコモンモードチョークコイルCMCから成るコモンモードノイズフィルタが接続されている。
そして、商用交流電源ACから直流入力電圧を生成する整流平滑回路としては、上記コモンモードノイズフィルタの後段に対して、ブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCi1、Ci2とから成る整流平滑回路が備えられる。
ブリッジ整流回路Diの整流出力は、平滑コンデンサCi1、Ci2に対して充電され、これによって平滑コンデンサCi1とCi2の両端には交流入力電圧VACのレベルに応じた整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)が得られることになる。
ここで、この場合の整流平滑回路に対しては、リレースイッチS1が挿入されている。リレースイッチS1は、図示するように直列接続された上記平滑コンデンサCi1とCi2との接続点と、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子との間に挿入されている。
このリレースイッチS1のオン/オフ切り換えによって、整流平滑回路の整流動作がAC100V系とAC200V系とで切り換えられて、上記したワイドレンジ対応としての動作が実現されるものとなる。
リレースイッチS1のオン/オフは、図示するように整流回路切換モジュール9に接続されたリレーRLの駆動状態に応じて行われる。そして、リレーRLの駆動状態は、整流回路切換モジュール9によって制御される。
整流回路切換モジュール9には、図のように整流ダイオードD10と平滑コンデンサC10とから成る整流平滑回路が備えられる。この場合、上記整流ダイオードD10のアノードは商用交流電源ACの負極ラインに対して接続される。そして、カソードは上記平滑コンデンサC10の正極端子と接続され、その上で、これら平滑コンデンサC10とダイオードD10との接続点が、分圧抵抗R10−R11の接続点を介して整流回路切換モジュール9の検出端子に対して接続される。
これにより、整流回路切換モジュール9の検出端子には、交流入力電圧VACに応じたレベルの直流電圧が得られ、整流回路切換モジュール9では、このように得られる電圧レベルに基づいて商用交流電源ACのレベルを検出することが可能となっている。
そして、整流回路切換モジュール9は、このようにして検出端子から入力した商用交流電源ACの電圧レベルと、所定の基準電圧(例えば150V)とを比較するようにされ、この比較結果に基づき、検出端子への入力電圧レベルが基準電圧レベル以下であるときは、リレーRLをオンとし、基準電圧以上であるときにはリレーRLをオフとするように駆動する。
つまりこの場合、商用交流電源ACのレベルが基準電圧以下であり、AC=100V系であるとされる場合には、リレーRLが導通してリレースイッチS1がオンとなるように制御する。また、商用交流電源ACのレベルが基準電圧以上となり、AC=200V系であるとされる場合には、リレーRLが非道通となってリレースイッチS1がオフとなるように制御を行う。
ここで、上記のような整流回路切換モジュール9の動作により、AC100V系であるのに対応してリレースイッチS1がオンとされた場合は、商用交流電源ACの正極ラインと、平滑コンデンサCi1−Ci2の接続点とが接続された状態となる。
このため、交流入力電圧VACが正の期間では、ブリッジ整流回路Diによる整流出力が平滑コンデンサCi2のみに充電される。また、交流入力電圧VACが負の期間では、ブリッジ整流回路Diによる整流出力が平滑コンデンサCi1のみに充電される。
このようにして整流動作が行われる結果、平滑コンデンサCi1,Ci2の各両端電圧として、交流入力電圧VACの等倍に対応したレベルが得られることになる。従って、直流入力電圧Eiとしては、交流入力電圧VACの2倍に対応するレベルが得られ、この場合はいわゆる倍電圧整流動作が得られるものとなる。
また、AC200V系であるのに対応してリレースイッチS1がオフとされた場合は、商用交流電源ACの正極ラインと平滑コンデンサCi1と平滑コンデンサCi2との接続点とが非接続の状態となる。
そして、これによると、この場合の整流平滑回路においては、交流入力電圧VACが正/負となる各期間において、交流入力電圧VACをブリッジ整流回路Diにより整流して平滑コンデンサCi1−Ci2の直列接続回路に整流電流を充電する動作が得られる。つまり、通常のブリッジ整流回路を備えた全波整流回路による整流動作が得られる。
従って、この場合は、平滑コンデンサCi1−Ci2の直列接続回路の両端電圧として、交流入力電圧VACの等倍に対応するレベルによる直流入力電圧Eiが得られるようになる。
このようにして、商用交流電源AC100V系の場合とAC200V系の場合とで、結果的に同等のレベルによる直流入力電圧Eiが得られるようにしており、これによってワイドレンジ対応の構成が実現される。
上記のような整流平滑回路の動作によって生成される直流入力電圧Eiを入力して動作するスイッチングコンバータとしては、この場合、図示する第1コンバータ部CVT−1と、第2コンバータ部CVT−2の2つのコンバータを備えるものとしている。
これら2つのコンバータのうち、第2コンバータ部CVT−2は、メイン出力としての直流電源E1(二次側直流出力電圧Eo1)を生成するようにされる。また、第1コンバータ部CVT−1は、デジタルIC電源としての、直流電源E2(二次側直流出力電圧Eo2)及び直流電源E3(二次側直流出力電圧Eo3)を生成するようにされる。
この場合、2つのコンバータ部は電流共振形コンバータとしての基本構成を採る。
先ず、第2コンバータ部CVT−2においては、図示するようにMOS−FETによる2本のスイッチング素子Q3,Q4をハーフブリッジ結合により接続したスイッチング回路系が備えられている。
これらスイッチング素子Q3,Q4の各ドレイン−ソース間に対しては、図示する方向により、それぞれボディダイオードによるダンパーダイオードDD3,DD4が並列に接続される。
そして、スイッチング素子Q4のドレイン−ソース間に対しては、部分共振コンデンサCp-2が並列に接続される。この部分共振コンデンサCp-2のキャパシタンスと図示する一次巻線N1-2のリーケージインダクタンス(L1-2とする)によっては、並列共振回路(部分電圧共振回路)が形成される。この部分電圧共振回路によりスイッチング素子Q3,Q4のターンオフ時にのみ電圧共振する、部分電圧共振動作が得られるようになっている。
また、この第2コンバータ部CVT−2においては、スイッチング素子Q3,Q4をスイッチング駆動するために、例えば汎用のICによる発振・ドライブ回路2-2が設けられる。この発振・ドライブ回路2-2は、発振回路、駆動回路を有して、所要の周波数によるドライブ信号(ゲート電圧)をスイッチング素子Q3,Q4の各ゲートに対して印加する。これにより、スイッチング素子Q3,Q4は、所要のスイッチング周波数により交互にオン/オフするようにしてスイッチング動作を行う。
絶縁コンバータトランスPIT-2 (PIT:Power Isolation Transformer)は、スイッチング素子Q3、Q4 のスイッチング出力を二次側に伝送する。
この場合の絶縁コンバータトランスPIT-2の一次巻線N1-2 の一端は、一次側直列共振コンデンサC1-2を介してスイッチング素子Q3 のソースとスイッチング素子Q4のドレインの接続点(スイッチング出力点)に接続されることで、スイッチング出力が得られるようにされる。
また、一次巻線N1-2の他端は、図示するように一次側アースに接続されている。
この場合、一次側直列共振コンデンサC1-2及び一次巻線N1-2は直列に接続されているが、この直列共振コンデンサC1-2のキャパシタンス、及び絶縁コンバータトランスPIT-2の一次巻線N1-2(直列共振巻線)のリーケージインダクタンスL1-2とにより、スイッチングコンバータの動作を電流共振形とするための一次側直列共振回路を形成している。
ここまでの説明によると、この図に示す一次側スイッチングコンバータとしては、一次側直列共振回路(L1-2−C1-2)による電流共振形としての動作と、前述した部分電圧共振回路(Cp-2//L1-2)とによる部分電圧共振動作とが得られることになる。
つまり、この図に示す電源回路は、一次側スイッチングコンバータを共振形とするための共振回路に対して、他の共振回路が組み合わされた形式を採っていることになる。ここでは、このようなスイッチングコンバータについて複合共振形コンバータということにする。
ここでの図示による説明は省略するが、第2コンバータ部CVT−2、及び後述する第1コンバータ部CVT−1が備える絶縁コンバータトランスPITの構造としては、例えばフェライト材によるE型コアを組み合わせたEE型コアを備える。そして、一次側と二次側とで巻装部位を分割したうえで、一次巻線N1と二次巻線N2とを、EE型コアの内磁脚に対して巻装している。
また、絶縁コンバータトランスPITのEE型コアの内磁脚に対しては1.0mm以下のギャップを形成するようにして、一次巻線N1と二次巻線N2とで0.80以上の結合係数を得るようにしている。
実際には、ギャップG=1.0mmとしていることで、結合係数k=0.85程度を得るようにされている。
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2-2に対しては、二次側アースに接続されるセンタータップを施すことで、図示するように二次巻線部N2A2と二次巻線部N2B2とに分割している。その上で、二次巻線N2-2の各端部には、整流ダイオードDoA2、整流ダイオードDoB2を接続し、さらにこれら整流ダイオードによる整流出力を平滑化する平滑コンデンサCo1を接続することで、両波整流回路が形成されている。
この両波整流回路により、平滑コンデンサCo1の両端電圧として、各二次巻線部N2A2、N2B2に誘起される交番電圧の等倍のレベルに対応したレベルの二次側直流出力電圧Eo1が得られる。この二次側直流出力電圧Eo1は、メイン出力として、上述もしたようにプリンタ装置における所定の駆動機構部に対して供給されるべきものとなる。
また、この二次側直流出力電圧Eo1は、図示するように制御回路1-2に対して定電圧制御のための検出電圧としても分岐して入力される。
制御回路1-2は、二次側直流出力電圧Eoのレベルに対応してレベルが可変される電圧又は電流としての制御信号を発振・ドライブ回路2-2に出力する。
発振・ドライブ回路2-2では制御回路1-2から入力される制御信号に基づいて、発振・ドライブ回路2-2内の発振回路により生成する発振信号周波数を可変するようにして、スイッチング素子Q3,Q4の各ゲートに印加するスイッチング駆動信号の周波数を変化させる。これにより、スイッチング周波数が可変される。このように、二次側直流出力電圧Eo1のレベルに応じてスイッチング素子Q3,Q4のスイッチング周波数が可変制御されることで、一次側直列共振回路の共振インピーダンスが変化して一次側直列共振回路を形成する一次巻線N1-2から二次側に伝送されるエネルギーも可変され、二次側直流出力電圧Eo1のレベルも可変制御される。これにより、二次側直流出力電圧Eo1の定電圧制御が図られることになる。
なお、以降においては、このようにスイッチング周波数を可変制御することによって安定化を図る定電圧制御方式を「スイッチング周波数制御方式」ということにする。
ここで、先にも述べたように、直流電源E1としては、プリンタ装置の印刷方式に応じた異なる電位を生成することが求められている。例えば、上述もしたように24Vと37Vの2種の電位を生成するものとされている。
このような直流電源E1の電位切り換えは、図示するようにして制御回路1-2に対してプリンタ装置の制御部側から識別信号IDを供給することで行うようにされている。
すなわち、プリンタ装置における制御部では、備えられる印刷駆動機構部の印刷方式の別に応じた識別信号IDを電源回路側に対して出力するようにされている。制御回路1-2は、この識別信号IDに応じたレベルにより、二次側直流出力電圧Eo1が安定化されるように動作するように構成されている。例えば、制御回路1-2としては、供給される識別信号IDのレベルに応じて二次側直流出力電圧Eo1の検出入力レベルが変化されるように構成されることで、識別信号IDに応じたレベルにより二次側直流出力電圧Eo1を安定化することができるようにされている。
また、この図に示す電源回路には、プリンタ装置の電源として備えられる場合に対応した構成として、消費電力削減スイッチ回路20が備えられている。
この消費電力削減スイッチ回路20には、二次側直流出力電圧Eo1の出力ラインに挿入されたスイッチング素子Q7が設けられる。この場合、スイッチング素子Q7はMOS−FETが採用される。
そして、このスイッチング素子Q7のゲートに対しては、図示するように外部から供給されるON/OFF制御信号に応じたゲート電圧が、抵抗R1、抵抗R2によって検出され印加される。
ここで、このON/OFF制御信号は、図示されないプリンタ装置の全体制御を行う制御部から供給されるものである。
例えば、プリンタ装置において、印刷動作を実行すべきとされて、直流電源E1(二次側直流出力電圧Eo1)が供給される駆動機構部を動作させるべき状態にあっては、上記制御部よりON制御信号が供給される。また、印刷動作を停止すべきとされて上記駆動機構部の動作を停止させるべき状態となることに応じては、OFF制御信号が供給されるようになっている。
このようなON/OFF制御信号が供給されることで、上記駆動機構部を動作させるべき状態では、スイッチング素子Q7がONとされて二次側直流出力電圧Eo1に基づく直流電源E1が上記駆動機構部に対して供給される。
また、上記駆動機構部の動作を停止させるべき状態では、スイッチング素子Q7はOFFとされ、二次側直流出力電圧Eo1の負荷側への出力ラインを完全に遮断するようにされる。つまり、これによって上記駆動機構部が動作停止状態とされて、負荷側が無負荷とされる状態となった場合での消費電力を、できるだけ削減できるようにされているものである。
また、この図に示す電源回路において、もう一方の第1コンバータ部CVT−1としては、図示するスイッチング素子Q1、Q2、ダンパーダイオードDD1、DD2、一次側部分共振コンデンサCp-1、一次側直列共振コンデンサC1-1、絶縁コンバータトランスPIT-1、一次巻線N1-1、二次巻線N2-1(二次巻線部N2A1、N2B1)、整流ダイオードDoA1、DoB1、制御回路1-1、発振・ドライブ回路2-1を、上記した第2コンバータ部CVT−2の場合と同様の接続形態により接続している。
その上で、上記二次巻線N2-1に励起される交番電圧に基づき、それぞれ直流電源E2と直流電源E3とを生成するための構成が付加されている。
直流電源E2の生成のためには、図示する平滑コンデンサCo2が備えられる。この平滑コンデンサCo2の正極端子は、整流ダイオードDoA1、DoB1による両波整流回路の整流出力点に対して接続され、負極端子が二次側アースに接続される。これによって平滑コンデンサCo2の両端には、二次巻線部N2A1、二次巻線部N2B1に得られる交番電圧レベルの等倍に対応したレベルによる二次側直流出力電圧Eo2が得られ、これが直流電源E2としてプリンタ装置における所定のデジタルICに対して供給される。
また、直流電源E3については、上記二次側直流出力電圧Eo2を入力して動作する、図示するスイッチング素子Q6、チョークコイルLo、ダイオードD3、PWM制御回路4による降圧形コンバータにより生成するもとしている。
この降圧形コンバータにおいては、上記した整流ダイオードDoA1、DoB1による両波整流回路の整流出力点に対し、図示するようにしてスイッチング素子Q6(ドレイン→ソース)とチョークコイルLoの直列接続回路を接続している。なお、このスイッチング素子Q6に対しても、ドレイン−ソース間に対しては図示する方向によりダンパーダイオード(ボディダイオード)DD6が並列に接続されている。さらに、この直列接続回路の上記チョークコイルLo側の端部は、平滑コンデンサCo3の正極端子に対して接続している。この平滑コンデンサCo3の負極端子は二次側アースに接続している。
そして、上記したダイオードD3は、スイッチング素子Q6とチョークコイルLoとの接続点と、二次側アースとの間に対し図示する方向により挿入している。
このような構成によって、平滑コンデンサCo3の両端に、二次側直流出力電圧Eo2よりも低圧の二次側直流出力電圧Eo3を得るようにされ、これを直流電源E3としてプリンタ装置における所定のデジタルICの電源として供給するようにされる。
なお、PWM制御回路4は、上記二次側直流出力電圧Eo3を検出入力するようにされ、この検出入力レベルに応じてスイッチング素子Q6のオン/オフ比率を制御する動作を行う。これによって上記二次側直流出力電圧Eo3についての安定化が行われている。
ここで、この図12に示した回路についての、実際の負荷条件の具体例について次の図13を参照して説明しておく。
先ず、上述もしたように、直流電源E1については、プリンタ装置において実際の印刷動作を行うプリント駆動機構部の電源として供給されるべきものとされ、電源回路側としては、プリンタ装置での印刷方式の別に応じ、この場合は例えば24V/37Vの切り換えが可能に構成されている。
そして、このようなプリント駆動機構部としては、印刷動作時にのみその動作を実行するようにされ、印刷動作が行われないスタンバイ時においては動作停止状態となる。
このようなプリント駆動機構部による印刷動作が行われる図示する印刷時においては、直流電源E1の負荷は最大となり、例えば図示するようにして負荷電力Po=240Wとなる。
また、プリンタ装置において印刷動作が停止されたスタンバイ時では、先に述べたように、制御部からのOFF制御信号の供給に応じて消費電力削減スイッチ回路20がオフとなるため、直流電源E1は無負荷となり、図示するように負荷電力Po=0Wとなる。
また、例えば12Vによる直流電源E2としては、印刷時では図示するように負荷電力Po=45Wとなる。また、この直流電源E2が供給される部位はスタンバイ時でも電源が供給されている必要があるものとされ、スタンバイ時での負荷電力Poは図示するように3Wとされている。
さらに、例えば5Vによる直流電源E3については、印刷時に負荷電力Po=15W、スタンバイ時では負荷電力Po=0Wとされる。
そして、このような各出力の負荷条件から、図12に示した電源回路における総合的な負荷電力としては、印刷時では負荷電力Po=300W、スタンバイ時では負荷電力Po=3Wとなる。
また、各コンバータ部の対応負荷電力の内訳としては、直流電源E1を生成する第2コンバータ部CVT−2は、印刷時における最大負荷電力Pomax=240Wから、スタンバイ時でのPomin=0Wまでの変動に対応するものとされる。また、第1コンバータ部CVT−1としては、印刷時での最大負荷電力Pomax=60Wからスタンバイ時におけるPomin=3Wまでの対応負荷範囲となる。
なお、このような負荷条件に対応させて、図12の回路の実際としては、各部を以下のように選定するようにされている。
<第1コンバータ部CVT−1>
・絶縁コンバータトランスPIT-1・・・EER−28型コア、ギャップG=1.0mm、結合係数k=0.85、一次巻線N1-1=85T、二次巻線N2-1=N2A1+N2B1=4T+4T=8T
・一次側直列共振コンデンサC1-1=0.01μF
<第2コンバータ部CVT−2>
・絶縁コンバータトランスPIT-2・・・EER−40型コア、ギャップG=1.0mm、結合係数k=0.85、一次巻線N1-2=50T、二次巻線N2-2=N2A2+N2B2=7T+7T=14T
・一次側直列共振コンデンサC1-2=0.033μF
このような選定条件の下で、図12の回路についてAC→DC電力変換効率についての実験を行った結果を以下に示しておく。
先ず、直流電源E1として24Vを生成するようにされた場合において、交流入力電圧VAC=100Vの条件では、最大負荷電力(Po=300W)時における第1コンバータ部CVT−1及び第2コンバータ部CVT−2の総合的な電力変換効率は、ηAC→DC=86.5%程度となる結果が得られた。また、同じ直流電源E1=24Vの場合であって、交流入力電圧VAC=230Vの条件での最大負荷電力時の総合的な電力変換効率としては、ηAC→DC=87.6%程度であった。
また、直流電源E1=37Vの場合、交流入力電圧VAC=100V、最大負荷電力時での総合的な電力変換効率は、ηAC→DC=87.0%程度となる結果が得られた。さらに、交流入力電圧VAC=230V、最大負荷電力時では、ηAC→DC=88.1%が得られた。
ところで、図12に示したようなスイッチング電源回路において、商用電源を整流すると、一般的に平滑回路に流れる電流は歪み波形になることが知られている。そして、このような電流の歪み波形によって、電源の利用効率を示す力率が損なわれるという問題が生じる。
そこで、スイッチング電源回路としては、従来より力率の改善を図るように構成されたものがある。そして、さらに、このような力率の改善を図る構成としては、同時にワイドレンジ対応の実現が図られる、いわゆるアクティブフィルタを用いる技術が既に知られている。
このようなアクティブフィルタを実装するとした場合、図12に示したようなプリンタ装置用の電源回路としては、図17に示すような構成を採るようにされる。
ここでは先ず、このようにしてワイドレンジ対応化と共に力率の改善を図るものとした図17の電源回路について説明するのに先立ち、先ずは次の図14〜図16を参照してアクティブフィルタの基本原理について説明しておく。
図14は、アクティブフィルタの基本構成の一例について示している。
この図14においては、商用交流電源ACにブリッジ整流回路Diを接続している。このブリッジ整流回路Diの正極/負極ラインに対しては並列に出力コンデンサCoutが接続される。ブリッジ整流回路Diの整流出力が出力コンデンサCoutに供給されることで、出力コンデンサCoutの両端電圧として直流電圧Voutが得られる。この直流電圧Voutは、例えば後段のDC−DCコンバータなどの負荷100に入力電圧として供給される。
また、力率改善のための構成としては、図示するようにして、インダクタL、高速リカバリ型のダイオードD、抵抗Ri、スイッチング素子Q、及び乗算器110を備える。
インダクタL、ダイオードDは、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、出力コンデンサCoutの正極端子との間に、直列に接続されて挿入される。
抵抗Riは、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子(一次側アース)と出力コンデンサCoutの負極端子との間に挿入される。
また、スイッチング素子Q1は、この場合にはMOS−FETが選定されており、図示するようにしてインダクタLとダイオードDの接続点と、一次側アース間に挿入される。
乗算器110に対しては、フィードフォワード回路として、電流検出ラインLI及び波形入力ラインLwが接続され、フィードバック回路として電圧検出ラインLVが接続される。
乗算器110は、電流検出ラインLIから入力される、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子に流れる整流電流レベルを検出する。
また、波形入力ラインLwから入力される、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子の整流電圧波形を検出する。これは、即ち、商用交流電源AC(交流入力電圧)の波形を絶対値化して検出していることに相当する。
また、電圧検出ラインLVから入力される、出力コンデンサCoutの直流電圧Voutに基づいて、直流入力電圧の変動差分を検出する。
そして、乗算器110からは、スイッチング素子Qを駆動するためのドライブ信号が出力される。
乗算器110では、先ず、上記のようにして電流検出ラインLIから検出した整流電流レベルと、上記電圧検出ラインLVから検出した直流入力電圧の変動差分とを乗算する。そして、この乗算結果と、波形入力ラインLwから検出した交流入力電圧の波形とによって、交流入力電圧VACと同一波形の電流指令値を生成する。
さらに、この場合の乗算器110では、上記電流指令値と実際の交流入力電流レベル(電流検出ラインL1からの入力に基づいて検出される)を比較し、この差に応じてPWM信号についてPWM制御を行い、PWM信号に基づいたドライブ信号を生成する。そして、スイッチング素子Qは、このドライブ信号によってスイッチング駆動される。この結果、交流入力電流は交流入力電圧と同一波形となるように制御されて、力率がほぼ1に近付くようにして力率改善が図られることになる。また、この場合には、乗算器によって生成される電流指令値は、整流平滑電圧の変動差分に応じて振幅が変化するように制御されるため、整流平滑電圧の変動も抑制されることになる。
図15(a)は、図14に示したアクティブフィルタ回路に入力される入力電圧Vin及び入力電流Iinを示している。電圧Vinは、ブリッジ整流回路Diの整流出力としての電圧波形に対応し、電流Iinは、ブリッジ整流回路Diの整流出力としての電流波形に対応する。ここで、電流Iinの波形は、ブリッジ整流回路Diの整流出力電圧(電圧Vin)と同じ導通角となっているが、これは、商用交流電源ACからブリッジ整流回路Diに流れる交流入力電流の波形も、この電流Iinと同じ導通角となっていることを示す。つまり、ほぼ1に近い力率が得られている。
また、図15(b)は、出力コンデンサCoutに入出力するエネルギー(電力)Pchgの変化を示す。出力コンデンサCoutは、入力電圧Vinが高いときにエネルギーを蓄え、入力電圧Vinが低いときにエネルギーを放出して、出力電力の流れを維持する。
図15(c)は、上記出力コンデンサCoutに対する充放電電流Ichgの波形を示している。この充放電電流Ichgは、上記図15(b)の入出力エネルギーPchgの波形と同位相となっていることからも分かるように、出力コンデンサCoutにおけるエネルギーPchgの蓄積/放出動作に対応して流れる電流である。
上記充放電電流Ichgは、入力電流Vinとは異なり、交流ライン電圧(商用交流電源AC)の第2高調波とほぼ同一の波形となる。交流ライン電圧には、出力コンデンサCoutとの間のエネルギーの流れによって、図15(d)に示すようにして、第2高調波成分にリップル電圧Vdが生じる。このリップル電圧Vdは、無効なエネルギー保存のために、図15(c)に示す充放電電流Ichgに対して、90°の位相差を有する。出力コンデンサCoutの定格は、第2高調波のリップル電流と、その電流を変調するブースト・コンバータ・スイッチからの高周波リップル電流を処理することを考慮して決定するようにされる。
また、図16には、先の図14の回路構成を基として、基本的なコントロール回路系を備えたアクティブフィルタの構成例を示している。なお、図14と同一とされる部分については同一符号を付して説明を省略する。
ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、出力コンデンサCoutの正極端子間には、スイッチングプリレギュレータ25が備えられる。このスイッチングプリレギュレータ25は、図14においては、スイッチング素子Q、インダクタL、及びダイオードDなどにより形成される部位となる。
そして、この図に示される乗算器21は、先の図14に示した乗算器110に相当する。この乗算器21を含むコントロール回路系としては、他に、電圧誤差増幅器22、除算器23、二乗器24を備えて成る。
電圧誤差増幅器22では、出力コンデンサCoutの直流電圧Voutを、分圧抵抗Rvo−Rvdにより分圧してオペアンプ22aの非反転入力に入力する。オペアンプ22aの反転入力には基準電圧Vrefが入力される。オペアンプ22aでは、基準電圧Vrefに対する分圧された直流電圧Voutの誤差に応じたレベルの電圧を、帰還抵抗Rvl、コンデンサCvlによって決定される増幅率により増幅して、誤差出力電圧Vveaとして除算器23に出力する。
また、二乗器24には、いわゆるフィードフォワード電圧Vffが入力される。このフィードフォワード電圧Vffは、入力電圧Vinを平均化回路26(Rf11,Rf12,Rf13,Cf11,Cf12)により平均化した出力(平均入力電圧)とされる。二乗器24では、このフィードフォワード電圧Vffを二乗して除算器23に出力する。
除算器23では、電圧誤差増幅器22からの誤差出力電圧Vveaについて、二乗器24から出力された平均入力電圧の二乗値により除算を行い。この除算結果としての信号を乗算器21に出力する。
つまり、電圧ループは、二乗器24、除算器23、乗算器21の系から成るものとされる。そして、電圧誤差増幅器22から出力される誤差出力電圧Vveaは、乗算器21で整流入力信号Ivacにより乗算される前の段階で、平均入力電圧(Vff)の二乗により除算されることになる。この回路によって、電圧ループの利得は、平均入力電圧(Vff)の二乗として変化することなく、一定に維持される。平均入力電圧(Vff)は、電圧ループ内において順方向に送られる開ループ補正の機能を有する。
乗算器21には、上記除算器23により誤差出力電圧Vveaを除算した出力と、抵抗Rvacを介したブリッジ整流回路Diの正極出力端子(整流出力ライン)の整流出力(Iac)が入力される。ここでは、整流出力を電圧によるのではなく、電流(Iac)として示している。乗算器21では、これらの入力を乗算することによって、電流プログラミング信号(乗算器出力信号)Imoを生成して出力する。これは、図14にて説明した電流指令値に相当する。出力電圧Voutは、この電流プログラミング信号の平均振幅を可変することで制御される。つまり、電流プログラミング信号の平均振幅の変化に応じたPWM信号が生成され、このPWM信号に基づいたドライブ信号によってスイッチング駆動が行われることによって、出力電圧Voutのレベルをコントロールするものである。
したがって、電流プログラミング信号は、入力電圧と出力電圧を制御する平均振幅の波形を有する。なお、アクティブフィルタは、出力電圧Voutのみではなく、入力電流Vinも制御するようになっている。そして、フィードフォワード回路における電流ループは、整流ライン電圧によってプログラムされるということがいえるので、後段のコンバータ(負荷100)への入力は抵抗性になる。
上記による説明を踏まえた上で、図17の電源回路について説明する。
なお、この図17に示す電源回路としても、プリンタ装置用の電源回路とされ、先の図12の電源回路と同様に第1コンバータ部CVT−1と第2コンバータ部CVT−2とを備え、第2コンバータ部CVT−2によってはメイン出力としての直流電源E1(この場合も24V/37Vの可変が可能)を生成し、第1コンバータ部CVT−1によっては固定による直流電源E2と直流電源E3とを生成するようにされている。
なお、この図17の回路において、第1コンバータ部CVT−1、第2コンバータ部CVT−2の構成は図12の場合と同様であることから、ここでは同一の符号を付して説明を省略する。
先ず、この図17においては、商用交流電源ACに対し、図示する接続態様により2組のコモンモードチョークコイルCMCによるコモンモードノイズフィルタと、3組のアクロスコンデンサCLが接続され、この後段に対してブリッジ整流回路Diが接続される。
また、ブリッジ整流回路Diの整流出力ラインには、1組のチョークコイルLNと、2組のフィルタコンデンサ(フィルムコンデンサ)CN,CNを図示するようにして接続して成るノーマルモードノイズフィルタ25が接続される。
ブリッジ整流回路Diの正極出力端子は、上記チョークコイルLNと、パワーチョークコイルPCCのインダクタLpcと、高速リカバリ型の整流ダイオードD20の直列接続を介して、平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。この平滑コンデンサCiが、図14、図16における出力コンデンサCoutに相当する。また、パワーチョークコイルPCCのインダクタLpcとダイオードD20は、それぞれ、図14に示したインダクタLとダイオードDに相当する。
また、この図における整流ダイオードD20には、コンデンサCsn−抵抗Rsnから成るRCスナバ回路が並列に接続される。
スイッチング素子Q30は、図14におけるスイッチング素子Qに相当する。つまり、実際にアクティブフィルタのスイッチング素子を実装するのにあたって、この場合にはスイッチング素子Q30をパワーチョークコイルLpcと高速リカバリ型の整流ダイオードD20の接続点と、一次側アース(抵抗R3を介する)との間に挿入するようにしている。
この場合のスイッチング素子Q30にはMOS−FETが選定されている。
力率・出力電圧制御用IC30は、この場合には力率を1に近づけるように力率改善を行うアクティブフィルタの動作を制御する集積回路(IC)とされている。
この場合、力率・出力電圧制御用IC30は、乗算器、除算器、誤差電圧増幅器、PWM制御回路、及びスイッチング素子をスイッチング駆動するためのドライブ信号を出力するドライブ回路等を備えて構成される。図16に示した乗算器21、誤差電圧増幅器22、除算器23、及び二乗器24などに相当する回路部は、この力率・出力電圧制御用IC30内に搭載される。
この場合、フィードバック回路は平滑コンデンサCiの両端電圧(整流平滑電圧Ei)を分圧抵抗R5,R6により分圧した電圧値を、力率・出力電圧制御用IC30の端子T1に入力するようにして形成される。
また、フィードフォワード回路としては、スイッチング素子Q30のソースと一次側アース間に挿入される抵抗R3の接続点から、抵抗R4を介して端子T2に対し整流電流レベルを入力するようにしている。つまり、図14における電流検出ラインLIに相当するラインとしてのフィードフォワード回路が形成されている。
また、端子T4には、力率・出力電圧制御用IC30の動作電源が供給される。この端子T4には、パワーチョークコイルPCCにおける、インダクタLpcとトランス結合された巻線N5に励起された交番電圧が、図示するダイオードD30及びコンデンサC30とから成る半波整流回路により低圧直流電圧に変換されて供給される。
また、端子T3からは、スイッチング素子を駆動するためのドライブ信号がスイッチング素子Q30のゲートに対して出力される。
スイッチング素子Q30は、印加されるドライブ信号に応じてスイッチング動作を行う。
そして、スイッチング素子Q30のスイッチング駆動は、図14及び図16により説明したようにして、整流出力電流の導通角が、整流出力電圧波形とほぼ同等の導通角となるように、PWM制御に基づくドライブ信号によって行われる。整流出力電流の導通角が整流出力電圧波形とほぼ同等の導通角となるということは、即ち、商用交流電源ACから流入する交流入力電流の導通角が、交流入力電圧VACの波形とほぼ同じ導通角となることであり、結果的に、力率がほぼ1となるように制御されることになる。つまり、力率改善が図られる。
また、このような力率の改善と共に、図17に示す力率・出力電圧制御用IC30によっては、整流平滑電圧Ei(図16では、Voutに相当する)=380Vの平均値について、交流入力電圧VAC=85V〜264Vの範囲で定電圧化するようにも動作する。つまり、後段の電流共振形コンバータには、交流入力電圧VAC=85V〜264Vの変動範囲に関わらず、380Vで安定化された直流入力電圧が供給されることとなる。
そして、このような交流入力電圧VAC=85V〜264Vの範囲は、商用交流電源AC100V系と200V系を連続的にカバーするものであり、従って、後段の各コンバータ部には、商用交流電源AC100V系と200V系とで、同じレベルで安定化された直流入力電圧(Ei)が供給されることとなる。つまり、図17に示す電源回路は、このようなアクティブフィルタが備えられたことでワイドレンジ対応の構成も同時に実現されているものである。
このような図17の回路における、直流電源E1、E2、E3の各負荷の条件としても、次の図18に示されるように、先の図12の回路の場合と同様の条件に対応するものとされている。
そして、このように図12の回路の場合と同様の負荷条件に対応するとした場合、図17の回路においても、第1コンバータ部CVT−1における絶縁コンバータトランスPIT-1としては、図18に示されるようにEER−28型コアを用いるようにされている。
また、第2コンバータ部CVT−2における絶縁コンバータトランスPIT-2としても、先の図12の回路の場合と同様にEER−40型コアを用いるようにされている。
さらにこの場合、アクティブフィルタに備えられるパワーチョークコイルPCCとしては、ER−40型コアを用いるようにされている。
そして、このようにして図17に示す電源回路では、絶縁コンバータトランスPIT-1、PIT-2としては異なる磁心サイズとされることから、この電源回路が備える絶縁コンバータトランスPITとしてのリアクターは2種となる。その上で、さらにもう1種のリアクターとしてのパワーチョークコイルPCCが備えられることから、図17に示す電源回路に備えられるリアクターの種類は3種となる。
ここで、アクティブフィルタを備えた図17に示す電源回路について実際に実験を行った結果、AC→DC電力変換効率については以下のような実験結果が得られた。
先ず、図17に示す構成によると、電力変換効率は、商用交流電源ACから整流平滑電圧Eiを生成するアクティブフィルタにおける電力変換効率と、この整流平滑電圧Eiを入力する各コンバータ部での電力変換効率とに分けて考えることができる。
そして、交流入力電圧VAC=100V時におけるアクティブフィルタでの電力変換効率としては、ηAC→DC=93%程度であり、また交流入力電圧VAC=230V時ではηAC→DC=96%程度が得られている。
また、この場合はAC100V系/200V系で一定レベルとされる整流平滑電圧Ei=380V時での、各コンバータ部(CVT−1及びCVT−2)の総合的な電力変換効率としては、ηAC→DC=90%程度である。
この結果から、前段のアクティブフィルタと後段の各コンバータ部との総合的な電力変換効率としては、交流入力電圧VAC=100V時にηAC→DC=84%程度、VAC=230V時ではηAC→DC=86%程度となる。
なお、この結果は、直流電源E1として24Vを生成する場合と37Vを生成する場合とでほぼ同等となる。
ここで、図12、図17にて説明したようにして、プリンタ装置の電源として備えられるスイッチング電源回路においては、メイン出力として比較的高圧の直流電源E1を生成するためのコンバータ部と、他の比較的低圧な直流電源E2、直流電源E3を生成するためのコンバータ部とを備えるようにされている。
しかし、このように高圧の直流電源E1については1つのコンバータ部により生成し、他の低圧の直流電源E2及び直流電源E3についてはもう一方のコンバータ部により生成する構成とすると、先の図13、図18の表からも明らかなように、メイン出力を生成するコンバータ部ではその分重い負荷条件に対応するようにされ、他の低圧出力を生成するコンバータ部では軽い負荷条件に対応するようにされることになる。
換言すれば、図12、図17に示した構成によると、それぞれのコンバータ部での対応負荷電力に相応の差を生じさせてしまうものである。
このように、2つのコンバータ部の対応負荷電力に差が生じることで、各コンバータ部の構成部品としては、例えば絶縁コンバータPITについて異なるコアサイズを選定したり、各部の定数を異なる値に設定する必要等がでてくる。
そして、これによると、同じ電源回路を構成する各コンバータ部について、異なるサイズや定数による部品によって構成しなければならないこととなり、その分電源回路の製造効率の低下につながるものとなる。
また、上記のようにして重い負荷に対応するようにされるコンバータ部では、各素子として耐電流レベルを上げる等、その分高価な部品を用いる必要があり、この点で回路製造コストの増加にもつながることになる。
そこで本発明は上記した課題を考慮して、スイッチング電源回路として次のように構成する。
つまり、先ず、以下の各手段を備え、直流入力電圧についてスイッチング動作を行って直流出力電圧を生成するように構成されたスイッチングコンバータ部を、少なくとも2以上備える。
すなわち、上記直流入力電圧を入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段とを備える。
また、上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線により交番電圧が誘起される二次巻線とが巻装されて形成される絶縁コンバータトランスを備える。
また、上記二次巻線に得られる交番電圧を整流平滑化して、少なくとも1以上の二次側直流出力電圧を生成するように構成された二次側直流出力電圧生成手段と、上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング駆動手段を制御して、上記スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、上記二次側直流出力電圧について定電圧制御を行う定電圧制御手段とを備えたものである。
その上で、少なくとも1つの上記スイッチングコンバータ部は、他のスイッチングコンバータ部において生成される少なくとも1つの二次側直流出力電圧を重畳した上記二次側直流出力電圧を負荷側に対して出力するように構成されているものである。
また、本発明では、プリンタ装置として以下のように構成することとした。
すなわち、本発明のプリンタ装置は、以下の構成によるスイッチング電源回路を備えて構成される。
先ず、スイッチング電源回路は、以下の各手段を備えて直流入力電圧についてスイッチング動作を行って直流出力電圧を生成するように構成されたスイッチングコンバータ部を少なくとも2以上備える。
すなわち、上記直流入力電圧を入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段とを備える。
また、上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線により交番電圧が誘起される二次巻線とが巻装されて形成される絶縁コンバータトランスを備える。
また、上記二次巻線に得られる交番電圧を整流平滑化して、少なくとも1以上の二次側直流出力電圧を生成するように構成された二次側直流出力電圧生成手段と、上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング駆動手段を制御して、上記スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、上記二次側直流出力電圧について定電圧制御を行う定電圧制御手段とを備える。
その上で、スイッチング電源回路は、少なくとも1つの上記スイッチングコンバータ部は、他のスイッチングコンバータ部において生成される少なくとも1つの二次側直流出力電圧を重畳した上記二次側直流出力電圧を負荷側に対して出力するように構成されているものである。
上記本発明の構成によれば、1つのコンバータ部の直流出力電圧は、他のコンバータ部にて生成された少なくとも1つの直流出力電圧を重畳して負荷側に供給することができる。
つまり、このような構成によれば、比較的高圧な直流出力電圧は、他のコンバータ部において生成される比較的低圧な直流出力電圧を積み上げて出力することが可能となり、この高圧な直流出力電圧としては、本来生成されるべきレベルよりも低いレベルとすることが可能となる。これによれば、上記高圧な直流出力電圧を生成するようにされたコンバータ部としては、その分、対応負荷電力が軽減された状態となる。
このとき、特にプリンタ装置に備えられる電源としては、実際の印刷動作を行うプリント駆動機構部の電源用に比較的高圧の直流出力電圧を出力し、また、プリンタ装置内に備えられたデジタルIC用の電源として比較的低圧の直流出力電圧を2系統出力するように構成されているのが一般的である。
従って、上記構成によるスイッチング電源回路をこのようなプリンタ装置の電源として備える本発明によれば、その分有効に本発明の効果を得ることができる。
このようにして本発明のスイッチング電源回路によれば、1つのコンバータ部にて生成する直流出力電圧に対し、他のコンバータ部で生成される直流出力電圧を重畳して負荷側に供給するようにしたことで、高圧な直流出力電圧としては、本来生成されるべきレベルよりも低いレベルとすることができ、これによってこの高圧な直流出力電圧を生成するようにされたコンバータ部では、その分、対応負荷電力が軽減された状態を得ることができる。
そして、このように高圧な直流出力電圧を生成すべきコンバータ部の負荷電力を軽減傾向とできることで、他の低圧な直流出力電圧を生成すべきとされていたコンバータ部の対応負荷電力との差は縮小傾向とすることができ、これによって電源回路を構成する複数のコンバータ部では、それぞれサイズや定数が同等の部品を選定することが可能となる。
このように各コンバータ部にてサイズや定数が同等の部品を選定することが可能となれば、その分電源回路の製造効率の向上が図られる。
また、高圧な直流出力電圧を生成すべきとされていたコンバータ部の対応負荷電力が実質的に低減されることで、このコンバータ部での各素子としてはその分耐電流レベルを低減でき、これによってより安価な素子を用いて回路製造コストの削減を図ることができる。
また、特にプリンタ装置に備えられる電源としては、実際の印刷動作を行うプリント駆動機構部の電源用に比較的高圧の直流出力電圧を出力し、また、プリンタ装置内に備えられたデジタルIC用の電源として比較的低圧の直流出力電圧を2系統出力するように構成されているのが一般的である。
従って、上記構成によるスイッチング電源回路をこのようなプリンタ装置の電源として備える本発明によれば、その分有効に本発明の効果を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態ともいう)について説明していく。
先ず、図1のブロック図では、本発明の実施の形態としてのスイッチング電源回路を電源として備える、実施の形態としてのプリンタ装置10の内部構成を示す。
実施の形態のプリンタ装置10としては、図示するUSB(Universal Serial Bus)インタフェース11が備えられて、USBケーブルを介して接続された例えばパーソナルコンピュータ等の外部機器とのデータ通信が可能とされる。そして、このようなUSBインタフェース11を介して入力された、例えば画像、絵、文字等のデータを、装填された所要の用紙に対して印刷することが可能に構成される。
先ず、上記USBインタフェース11を介して入力された外部機器からの画像等の印刷用データは、当該プリンタ装置10の全体制御を行うようにされた制御部14の制御に基づき、データ処理部13に供給される。
データ処理部13は、供給された印刷用データに基づき、図示するドライバ15に供給すべき各種のドライブ信号を生成する。なお、このデータ処理部13は、制御部14からの指示に基づいて印刷用データに対する色補正等の処理も行うようにされる。
プリント駆動機構部16は、印刷動作を行うにあたって必要な駆動機構を包括的に示している。例えば、インクの排出を行うインクヘッドを駆動するためのヘッド駆動機構や、上記インクヘッドをスライドさせるスライド駆動モータ、用紙送りモータ等の各種モータを駆動するためのモータ駆動機構等を含むものとなる。
ドライバ15は、これら駆動機構部16内の各種駆動機構部を駆動するためのドライバを包括的に示している。このドライバ15は、上記データ処理部13から供給される各種ドライブ信号に基づいて各駆動機構部を駆動制御するようにされる。
このようなデータ処理部13、ドライバ15、プリント駆動機構部16の動作が得られることで、入力データに基づく画像、絵、文字等が印刷出力される。
また、電源回路部10a、10bは、本発明における各実施の形態としてのスイッチング電源回路である。この場合、第1の実施の形態が電力回路部10a、第2の実施の形態が電源回路部10bとなる。
電源回路部10a、又は10bに対しては商用交流電源ACが入力され、後述する構成によってこの商用交流電源ACから図示する直流電源E1、直流電源E2、直流電源E3を生成するようにされる。
ここで、直流電源E1は、電源回路部10a又は10bのメイン出力として、上記したプリント駆動機構部16内の所要の駆動機構の動作電源として供給される。
つまり、直流電源E1は、プリンタ装置10において印刷動作が行われる場合にのみ動作状態とされる部位に対して供給されるものとなる。
また、直流電源E2、直流電源E3のそれぞれは、デジタルIC電源として、例えば図示するデータ処理部13と制御部14とにそれぞれ供給される。
また、電源回路部10a又は10bに対しては、制御部14からのON/OFF制御信号が供給される。このON/OFF制御信号は、後述もするが電源回路部10a又は10bからプリント駆動機構部16への上記直流電源E1の供給をON/OFFするための信号である。
この場合、制御部14は、印刷動作が行われるべき状態にあっては、電源回路部10a又は10bに対してON制御信号を供給し、プリント駆動機構部16に対して直流電源E1を供給させる。また、印刷動作を停止させるべき状態となることに応じては、OFF制御信号を供給し、プリント駆動機構部16への直流電源E1の供給を停止させる。
これによって先の図12にて説明した構成と同様に、印刷動作の停止状態では電源回路部10a又は10b側と駆動機構部とを遮断し、これによって動作停止状態とされた場合での電源回路部10a又は10b側での消費電力をできるだけ削減するように図られている。
また、制御部14は、電源回路部10a又は10bに対し、識別信号IDを供給するようにもされている。
ここで、後述もするように実施の形態の電源回路部10a、10bとしても、印刷方式の別によって、プリント駆動機構部16が必要とする電源電圧レベルが異なるようにされたプリンタ装置間で適用可能となるように、直流電源E1のレベルを切り換えることが可能に構成されている。
従って制御部14は、この識別信号IDとして、先の図12の場合と同様に当該プリンタ装置10にて採用される印刷方式の別に応じた信号を電源回路部10a又は10bに対して供給することで、プリント駆動機構部16に供給されるべき直流電源E1として、印刷方式の別に応じたレベルが得られるようにしているものである。
なお、このような制御部14としての動作と、上記したデータ処理部13の動作としては、図中に破線により囲ったマイクロコンピュータ12によるソフトウェア処理によって実現するように構成されてもよい。
図2は、図1において電源回路部10aとして示した、第1の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。
この電源回路部10aは、一次側の基本構成として、ハーフブリッジ結合方式による他励式の電流共振形コンバータに対し、部分電圧共振回路が組み合わされた構成を採る。
また、この電源回路部10aとしては、先の図12に示した電源回路に対応した構成として、AC100V系とAC200V系の何れの商用交流電源入力にも対応して動作する、いわゆるワイドレンジ対応としての構成のみを採るものとされる。すなわち、図17に示した回路のような力率改善のための構成は備えない場合の構成例を示すものである。
先ず、この図1に示す電源回路において、商用交流電源ACに対しては、フィルタコンデンサCL、CL、及びコモンモードチョークコイルCMCによるコモンモードノイズフィルタが形成されている。
そして、上記ノイズフィルタの後段となる商用交流電源ACに対し、この場合はブリッジ整流回路Diと、1本の平滑コンデンサCiとから成る全波整流平滑回路を接続するものとしている。
この全波整流平滑回路が商用交流電源ACを入力して全波整流動作を行うことによって、平滑コンデンサCiの両端には整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)が得られる。すなわち、この場合の整流平滑電圧Eiは、交流入力電圧VACの等倍に対応したレベルとなる。
上記直流入力電圧を入力してスイッチング(断続)する電流共振形コンバータとしては、この場合も図示する第1コンバータ部CVT−1と、第2コンバータ部CVT−2との2つのコンバータ部を備えるものとしている。
これら2つのコンバータ部のうち、この場合は第1コンバータ部CVT−1が、メイン出力としての直流電源E1(二次側直流出力電圧Eo1)を生成すべきものとされている。また、第2コンバータ部CVT−2により、デジタルIC電源としての、直流電源E2(二次側直流出力電圧Eo2)及び直流電源E3(二次側直流出力電圧Eo3)を生成するようにされる。
先ず、第2コンバータ部CVT−2においては、図示するようにMOS−FETによる2本のスイッチング素子Q3,Q4をハーフブリッジ結合により接続したスイッチング回路系が備えられている。
これらスイッチング素子Q3,Q4の各ドレイン−ソース間に対しては、図示する方向により、それぞれボディダイオードによるダンパーダイオードDD3,DD4が並列に接続される。
そして、スイッチング素子Q4のドレイン−ソース間に対しては、部分共振コンデンサCp-2が並列に接続される。この部分共振コンデンサCp-2のキャパシタンスと図示する一次巻線N1-2のリーケージインダクタンス(L1-2とする)によっては、並列共振回路(部分電圧共振回路)が形成される。この部分電圧共振回路によりスイッチング素子Q3,Q4のターンオフ時にのみ電圧共振する、部分電圧共振動作が得られるようになっている。
また、この第2コンバータ部CVT−2においては、スイッチング素子Q3,Q4をスイッチング駆動するために、発振・ドライブ回路2-2が設けられる。この発振・ドライブ回路2-2は、発振回路、駆動回路を有しており、例えばこの場合には、汎用のICを用いることができる。発振・ドライブ回路2-2の発振回路は、所要周波数の発振信号を発生させ、駆動回路は、上記発振信号を利用してMOS−FETをスイッチング駆動するためのゲート電圧であるスイッチング駆動信号を生成して、スイッチング素子Q3,Q4のゲートに印加するようにされる。これにより、スイッチング素子Q3,Q4は、スイッチング駆動信号の周期に応じたスイッチング周波数に従って、交互となるタイミングで連続的にオン/オフするようにしてスイッチング動作を行う。
絶縁コンバータトランスPIT-2は、スイッチング素子Q3,Q4のスイッチング出力を二次側に伝送するために設けられる。
この絶縁コンバータトランスPIT-2の一次巻線N1-2の一方の端部は、一次側直列共振コンデンサC1-2の直列接続を介して、スイッチング素子Q3のソースとスイッチング素子Q4のドレインとの接続点(スイッチング出力点)に接続されることで、スイッチング出力が伝達されるようになっている。また、一次巻線N1-2の他方の端部は一次側アースと接続される。
ここで、この第2コンバータ部CVT−2、及び後述する第1コンバータ部CVT−1が備える絶縁コンバータトランスPITは、図3の断面図に示すような構造とされる。
この図に示されるように、絶縁コンバータトランスPITは、フェライト材によるE型コアCR1、CR2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コア(EE字形コア)を備える。
そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成されるボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線N1を巻装する。また、他方の巻装部に対して、二次巻線N2(この場合は二次巻線N2Aと二次巻線N2B)を巻装する。このようにして一次側巻線(N1)及び二次側巻線(N2)が巻装されたボビンBを上記EE型コア(CR1,CR2)に取り付けることで、一次側巻線及び二次側巻線とがそれぞれ異なる巻装領域により、EE型コアの内磁脚に巻装される状態となる。このようにして絶縁コンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。
そのうえで、EE型コアの内磁脚に対しては、図のようにしてギャップGを形成する。第1の実施の形態の電源回路部10aの場合、このギャップGとしては、例えばギャップ長2.4mm程度を設定し、一次側と二次側との結合係数kとしては例えばk=0.65以下による疎結合の状態を得るようにしている。なお、実際の結合係数kとしては、k=0.65程度を設定した。また、ギャップGは、E型コアCR1,CR2の内磁脚を2本の外磁脚よりも短くすることで形成することができる。
ちなみに、先の図12及び図17に示した電源回路では、絶縁コンバータトランスPITのコアに形成するギャップとして例えば1.0mm以下を設定することで、結合係数kとしてk=0.85程度を得るようにされていた。
このことから上記説明によれば、本実施の形態の絶縁コンバータトランスPITの一次側と二次側の結合度としては、従来よりもさらに低い状態を設定していることになる。
後述もするが、このような絶縁コンバータトランスPITの一次側と二次側の結合度について設定が、ワイドレンジ対応の構成実現のための1要素となるものである。
説明を図2に戻す。
絶縁コンバータトランスPIT-2は、図3により説明した構造によって一次巻線N1-2に所定のリーケージインダクタンスL1-2を生じさせる。また、先に説明したように、一次巻線N1-2と一次側直列共振コンデンサC1-2とは直列に接続されている。従って、上記一次巻線N1-2のリーケージインダクタンスL1-2と一次側直列共振コンデンサC1-2のキャパシタンスとによっては直列共振回路(一次側直列共振回路)が形成されることになる。
そのうえで、上記一次側直列共振回路は、スイッチング素子Q3,Q4のスイッチング出力点に対して接続されており、従って、スイッチング素子Q3,Q4のスイッチング出力は、一次側直列共振回路に伝達されることになる。一次側直列共振回路では、伝達されたスイッチング出力により共振動作を行うことで、一次側スイッチングコンバータの動作を電流共振形とする。
ところで、これまでの説明によると、この図に示す一次側スイッチングコンバータとしては、一次側直列共振回路(L1-2−C1-2)による電流共振形としての動作と、前述した一次側部分電圧共振回路(Cp-2//L1-2)とによる部分電圧共振動作とが得られることになる。
つまり、この図に示す電源回路の一次側においては、一次側スイッチングコンバータを共振形とするための共振回路に対して、他の共振回路とが組み合わされた構成を採っている。ここでは、このように2つの共振回路が組み合わされて成るスイッチングコンバータを、「複合共振形コンバータ」ということにする。
絶縁コンバータトランスPIT-2の二次巻線N2-2には、一次巻線N1-2に伝達されたスイッチング出力に応じた交番電圧が励起(誘起)される。
この場合、二次巻線N2-2としては、図示するように二次巻線N2A2と二次巻線N2B2との2つを巻装している。そして、これら二次巻線N2A2と二次巻線N2B2とに対しては、先ず、各々の一方の端部(巻き終わり端部)側に対して直列に、二次側直列共振コンデンサC2A2、二次側直列共振コンデンサC2B2を接続している。
これにより、上記二次側直列共振コンデンサC2A2のキャパシタンスと上記二次巻線N2A2のリーケージインダクタンス(L2A2)、また上記二次側直列共振コンデンサC2B2のキャパシタンスと上記二次巻線N2B2のリーケージインダクタンス(L2B2)とによって、それぞれ二次側直列共振回路が形成される。つまり、本実施の形態としては、絶縁コンバータトランスPITの一次側と二次側とのそれぞれにおいて直列共振回路が形成されるものである。
なお、この場合、上記二次巻線N2A2と二次巻線N2B2とはそれぞれ同じターン数が設定される。また、二次側直列共振コンデンサC2A2と二次側直列共振コンデンサC2B2としても、それぞれ同じキャパシタンスが設定される。
これまでの説明によれば、この場合の第2コンバータ部CVT−2では、一次側に一次側直列共振回路(L1-2−C1-2)及び一次側部分電圧共振回路(L1-2//Cp-2)を備え、二次側には二次側直列共振回路(L2-2−C2-2)を備えることになる。
先にも述べたように、一次側におけるような直列共振回路と部分電圧共振回路とによる2つの共振回路が組み合わされたスイッチングコンバータについては、複合共振形コンバータということとしたが、この場合のように3以上の共振回路が組み合わされたスイッチングコンバータについては、多重共振形コンバータということにする。
上記それぞれの二次側直列共振回路(L2A2−C2A2、L2B2−C2B2)に対しては、整流ダイオードDo1A2〜Do4A2、整流ダイオードDo1B2〜Do4B2を図示するようにして接続して成るブリッジ整流回路による全波整流回路が接続される。そして、これらのブリッジ整流回路の整流出力は、図示する1組の平滑コンデンサCo2により共通に平滑化されるように構成されている。つまり、二次巻線N2A2側のブリッジ整流回路とこの平滑コンデンサCo2とによる全波整流平滑回路と、二次巻線N2B2側のブリッジ整流回路と平滑コンデンサCo2とによる全波整流平滑回路が形成されるようにして、平滑コンデンサCo2が接続されている。
これらの全波整流回路において、二次巻線N2A2、二次巻線N2B2に励起される交番電圧の一方の半周期では、各ブリッジ整流回路の整流ダイオード[Do1,Do4]の組が導通して、平滑コンデンサCo2に対して共通に整流電流を充電する動作が得られる。また、二次巻線N2A2、二次巻線N2B2に励起される交番電圧の他方の半周期では、整流ダイオード[Do2,Do3]の組が導通して平滑コンデンサCo2に対して共通に整流電流を充電する動作が得られる。
これにより、平滑コンデンサCo2の両端電圧(二次側直流出力電圧Eo2)としては、二次巻線N2A2と二次巻線N2B2とに励起される交番電圧レベルに対応したレベルが得られることになる。
なお、この図2に示す電源回路部10aにおいては、上記のようにして二次巻線N2-2として二次巻線N2A2、二次巻線N2B2を巻装し、これら二次巻線のそれぞれの出力に基づいて共通の二次側直流出力電圧Eo2を生成するものとしている。
このような構成としているのは、二次側の整流電流のピークレベルを低減して無効電力の削減を図るようにするためである。
例えば、仮に図2に示した回路において、各コンバータ部にて二次巻線を1つのみ巻装した場合を想定してみると、二次側の整流電流レベルは、同じ負荷をまかなうにあたっては、図2に示すままのの構成とした場合よりも増大させる必要がある。すなわち、これにより整流素子の導通損失が増大し、無効電力が増大する。
これに対し、上記のようにして二次巻線の複数を並列に設け、これらから共通に二次側直流出力電圧Eoを得るようにすれば、各二次巻線に流れる整流電流のピークレベルは低減でき、これによって整流素子の導通損を低減し、その分の無効電力を削減できるものである。
上記のようにして平滑コンデンサCo2に得られた二次側直流出力電圧Eo2は、図示する直流電源E2として、プリンタ装置における所定のデジタルICに対して供給される。
また、この二次側直流出力電圧Eo2は、図示する制御回路1-2のための検出電圧としても分岐して入力される。
制御回路1-2は、二次側直流出力電圧Eo2をスイッチング周波数制御方式により安定化するために設けられるもので、二次側直流出力電圧Eo2のレベルに対応してレベルが可変される電圧又は電流としての制御信号を発振・ドライブ回路2-2に出力する。
発振・ドライブ回路2-2では、上記のように制御回路1-2側から供給される制御信号のレベルに応じて、スイッチング周波数が可変されるようにしてスイッチング素子Q3,Q4を駆動制御する。このためには、内部の発振回路により生成する発振信号の周波数を可変することになる。
スイッチング素子Q3,Q4のスイッチング周波数が可変されることで、一次側直列共振回路の共振インピーダンスが変化し、絶縁コンバータトランスPIT-2の一次側から二次側に伝送される電力量が変化するが、これにより二次側直流出力電圧Eo2のレベルを安定化させるように動作する。
詳細は後述するが、本実施の形態の電源回路におけるスイッチング周波数制御方式としては、一次側直列共振回路の共振周波数fo1、及び二次側直列共振回路の共振周波数fo2により決まる中間共振周波数foに対して、これより高い周波数範囲をスイッチング周波数の可変範囲として設定している。つまり、いわゆるアッパーサイド制御の方式を採る。
一般的なこととして、直列共振回路は、共振周波数において最も共振インピーダンスが低くなる。このことから、本実施の形態のようにして、直列共振回路の共振周波数に基づくアッパーサイド制御方式を採る場合には、スイッチング周波数fsが高くなっていくのに応じて、共振インピーダンスを高くすることになる。
従って、例えば重負荷の傾向となって二次側直流出力電圧Eoが低下するのに応じては、上記スイッチング周波数を低くするように制御することになる。これは共振インピーダンスを低くすることとなり、一次側から二次側への電力伝送量が増加することになるために、二次側直流出力電圧Eoが上昇する。
これに対して、軽負荷の傾向となって二次側直流出力電圧Eoが上昇するのに応じては、上記スイッチング周波数を高くするように制御する。これにより、共振インピーダンスは高くなって上記電力伝送量が低減するために、二次側直流出力電圧Eoは低下する。このようにして、スイッチング周波数が可変されることによって、二次側直流出力電圧Eoが安定化されることになる。
また、第2コンバータ部CVT−2においては、上記二次側直流出力電圧Eo2を入力して、直流電源E3(二次側直流出力電圧Eo3)を生成するための降圧形コンバータが備えられている。この降圧形コンバータとしては、先の図12及び図17の回路が備えていたものと同様に、スイッチング素子Q6、チョークコイルLo、ダイオードD3、PWM制御回路4を備えて構成される。
この降圧形コンバータにおいては、上記した2つの全波整流回路(Do1A2〜Do4A2、Do1B2〜Do4B2)による整流出力点と二次側アースとの間に対し、図示するようにしてスイッチング素子Q6(ドレイン→ソース)−チョークコイルLo−平滑コンデンサCo3(正極端子→負極端子)を直列に挿入している。この場合としても、スイッチング素子Q6に対してはドレイン−ソース間に図示する方向によりダンパーダイオード(ボディダイオード)DD6が並列に接続される。
さらに、上記チョークコイルLoと並列に、ダイオードD3が接続されている。このダイオードD3は、カソードがスイッチング素子Q6のソースとチョークコイルLoとの接続に対して接続され、アノードが二次側アースに対して接続される。
このような構成によって、平滑コンデンサCo3の両端に、二次側直流出力電圧Eo2よりも低圧の二次側直流出力電圧Eo3を得るようにされ、これを直流電源E3としてプリンタ装置における所定のデジタルIC電源として供給するようにされる。
また、PWM制御回路4は、上記二次側直流出力電圧Eo3を検出入力するようにされ、この検出入力レベルに応じてスイッチング素子Q6のオン/オフ比率を制御する動作を行う。これによって上記二次側直流出力電圧Eo3についての安定化が行われている。
なお、第2コンバータ部CVT−2において、上記直流電源E2、直流電源E3については、この場合も12Vと5Vとを生成するようにされる。
続いて、第1コンバータ部CVT−1としては、図示するスイッチング素子Q1、Q2、ダンパーダイオードDD1、DD2、発振・ドライブ回路2-1、一次側部分共振コンデンサCp-1、一次側直列共振コンデンサC1-1、絶縁コンバータトランスPIT-1、一次巻線N1-1、二次巻線N2-1(二次巻線部N2A1、N2B1)、二次側直列共振コンデンサC2A1、C2B1、整流ダイオードDo1A1〜Do4a1、整流ダイオードDo1B1〜Do4B1、について、上記した第2コンバータ部CVT−2の場合と同様の接続形態により接続している。
そして、この場合、二次巻線N2A1側、N2B1側のそれぞれに対して形成された全波整流回路の整流出力は、共通の平滑コンデンサCoAにより平滑化されるように構成される。つまり、この場合、平滑コンデンサCoAの正極端子は、整流ダイオードDo1A1〜Do4A1によるブリッジ整流回路の正極出力端子と、整流ダイオードDo1B1〜Do4B1によるブリッジ整流回路の正極出力端子の接続点に対して接続され、さらに負極端子が上記各ブリッジ整流回路の負極出力端子どうしの接続点に対して接続されていることで、各ブリッジ整流回路による整流出力を共通に平滑化し、これによって二次側直流出力電圧Eo1を得るようにされている。
この二次側直流出力電圧Eo1としても、二次巻線N2A1と二次巻線N2B1とに励起される交番電圧レベルの等倍に対応したレベルが得られることになる。
このようにして得られた二次側直流出力電圧Eo1は、図示するようにして制御回路1-1の検出入力として供給される。
この制御回路1-1としても、先の制御回路1-2と同様に、検出入力される二次側直流出力電圧レベルに応じたレベルによる制御信号を生成するようにされ、これが発振・ドライブ回路2-1に対して供給されることで、スイッチング周波数制御方式により二次側直流出力電圧Eo1についての安定化が行われるようになっている。
そして、このように安定化が図られる二次側直流出力電圧Eo1としては、先の図12及び図17に示した回路と同様に、図1に示したようなプリント駆動機構部16における所定の駆動機構に対して、直流電源E1として供給されるべきものとなるが、実施の形態において、この直流電源E1としては、先に説明した第2コンバータ部CVT−2にて平滑コンデンサCo2に得られた二次側直流出力電圧Eo2を、上記二次側直流出力電圧Eo1に積み上げて出力するものとしている。
このような構成の具体例として、この図に示される電源回路部10aでは、第2コンバータ部CVT−2における二次側直流出力電圧Eo2(直流電源E2)の出力ラインを分岐させて、第1コンバータ部CVT−1における上述した各ブリッジ整流回路の負極出力端子どうしの接続点と、平滑コンデンサCo1の負極端子との接続点に対して接続している。
このような接続形態が採られることで、第1コンバータ部CVT−1における二次側直流出力電圧Eo1の出力点(各ブリッジ整流回路の正極出力端子どうしの接続点と平滑コンデンサCo1の正極端子の接続点)からみれば、二次側アースとの間に平滑コンデンサCo1−平滑コンデンサCo2による直列接続回路が形成されるものとなり、これによって第1コンバータ部CVT−1から出力されるべき直流電源E1のレベルとしては、Eo1+Eo2によるレベルが得られるものである。
ここで、先の図1においても述べたように、上記直流電源E1としては、プリンタ装置10に採用される印刷方式の別に応じた異なる電位を生成することが求められている。例えば、この場合としても、印刷方式の別により24Vと37Vとの2種の電位切り換えが要請されている。
このような直流電源E1の電位切り換えは、図1においても述べたように、電源回路部10a側に、制御部14からの識別信号IDを供給することで行うようにされている。
電源回路部10a側において、この識別信号IDは、図示するようにして制御回路1-2に対して供給される。そして制御回路1-2は、この識別信号IDに応じたレベルにより、二次側直流出力電圧Eo1が安定化されるように動作するように構成されている。例えば、この場合も制御回路1-2としては、供給される識別信号IDのレベルに応じて二次側直流出力電圧Eo1の検出入力レベルが変化されるように構成されていることで、識別信号IDに応じたレベルにより二次側直流出力電圧Eo1を安定化することができるようにされている。
なお、この場合、直流電源E1は、Eo1+Eo2によるレベルが得られるので、上記のような24V/37Vでの切り換えにあたっては、二次側直流出力電圧Eo1を12V(24V=Eo1+Eo2=12V+12V)と25V(37V=Eo1+Eo2=25V+12V)とで切り換えるようにされることになる。
また、第1コンバータ部CVT−1において、図示するように二次側直流出力電圧Eo1の負荷側への出力ラインに対しては、以下で説明する消費電力削減スイッチ回路3が挿入され、さらにこの消費電力削減スイッチ回路3の後段(商用交流電源AC側からみて)に対しては平滑コンデンサCoBが接続されている。
このような構成により、この場合は消費電力削減スイッチ回路3がONとされることに応じて、平滑コンデンサCoBの両端に、上記した平滑コンデンサCo1−Co2に得られる直流電圧レベルによる直流電源E1が得られることになる。そして、この直流電源E1は、図1に示したプリント駆動機構部16における所定の駆動機構の電源として供給されるようになっている。
消費電力削減スイッチ回路3は、先の図12及び図17に示した回路が備えていたものと同様の動作を行う。すなわち、この場合の消費電力削減スイッチ回路3としても、直流電源E1の出力ラインにおいて直列に挿入された、例えばMOS−FETによるスイッチング素子Q7が設けられる。このスイッチング素子Q7としては、ソースが整流ダイオードDo1A1と整流ダイオードDo3A1との接続点に対して接続され、ドレインが平滑コンデンサCoBの正極端子と接続されている。なお、このスイッチング素子Q3に対しても、ドレイン−ソース間に対して並列に図示する方向によりダンパーダイオード(ボディダイオード)DD3が挿入される。
そして、この消費電力削減スイッチ回路3に対しては、先の図1に示した制御部14から出力されたON/OFF制御信号が供給され、このON/OFF制御信号に応じたゲート電圧が図示する抵抗R1と抵抗R2とによって検出されて上記スイッチング素子Q7のゲートに印加されるようになっている。
このとき、上記抵抗R1及び抵抗R2の抵抗値の設定により、ON制御信号の供給に応じてはスイッチング素子Q7をONとするための、またOFF制御信号の供給に応じてはスイッチング素子Q7をOFFとするするためのゲート電圧が得られるようにされている。つまり、これにより、図1に示した制御部14からのON制御信号に応じては、スイッチング素子Q7がONとなって、平滑コンデンサCoBに直流電圧E1が得られ、これが図1に示したプリント駆動機構部16内の所定の駆動機構の動作電源として供給されるようになる。
また、OFF制御信号の供給に応じては、スイッチング素子Q7がOFFとされて、負荷側との接続状態が完全に断たれるようになっている。
このような動作により、図1に示したプリント駆動機構部16が動作状態である場合(すなわち印刷動作が行われる場合)には、直流電源E1としての必要な動作電源を供給できる。
また、印刷動作が停止されてプリント駆動機構部16が動作停止状態となった場合、すなわち電源回路部10a側から見れば、直流電源E1についての負荷側への電源供給が不要となった場合には、直流電源E1の供給が完全に停止されるものとなり、これによって先の図12、図17の回路の場合と同様に、印刷動作が停止状態とされた場合での消費電力をできるだけ削減することができるようになっている。
ここで、実施の形態の電源回路としては、上述もしているように二次側直流出力電圧Eo1に対して二次側直流出力電圧Eo2を積み上げてメイン出力としての直流電源E1を得るものとしているが、これによって、第1コンバータ部CVT−1としては、先の図12、図17における第2コンバータ部CVT−2のように、1つのコンバータ部が単独で直流電源E1として必要なレベルを得るように構成される場合よりも、その分負荷を軽減されたものとすることができる。
図4に、図2に示した電源回路部10aについての、各コンバータ部の対応負荷電力を示す。
先ず、印刷時において、第1コンバータ部CVT−1の負荷電力Poとしては、本来は先の図13に示したようにして240Wであったが、実施の形態のように直流電源E1の負荷を2つのコンバータ部の出力によってまかなうようにしたことで、この場合は150Wに軽減される。
逆に、第2コンバータ部CVT−2においては、二次側直流出力電圧Eo2を生成するための電力が直流電源E1の生成のために利用されることで、直流電源E2の生成にあたっての負荷電力Poは、図13に示した本来の45Wよりも増加して135Wとなる。また、直流電源E3は、図13の場合と変わらず15Wとなる。
また、印刷動作が停止された状態としてのスタンバイ時においては、先に説明した消費電力削減スイッチ回路3によって直流電源E1の負荷側との接続が完全に断たれることから、第1コンバータ部CVT−1の負荷電力は0Wとなる。
また、第2コンバータ部CVT−2において、直流電源E2の負荷側としては、先の図12の場合と同様にスタンバイ時においても動作を要する部位とされる。例えば、スタンバイ時において直流電源E2を生成するにあたっての負荷電力Poは、この場合も図のように3Wとされている。
また、直流電源E3は、スタンバイ時において動作が停止される部位に供給されるものとされ、従ってスタンバイ時における負荷電力Poは0Wである。
そして、図2に示す電源回路部10aにおける、総合的な負荷電力Poとしては、印刷時において最大負荷電力Pomax=300W、スタンバイ時に最小負荷電力Pomin=3Wと、図12、図17に示した回路と同様の条件となっている。
この図4に示した表からも、図2の構成によれば、先の図12及び図17に示した構成とする場合よりも、メイン出力としての直流電源E1を生成するためのコンバータ部においてまかなうべき電力が低減されていることが理解できる。
そして、メイン出力である直流電源E1としては、他の直流電源E2、E3と比較して高圧である。つまり、このように高圧な直流電源を生成すべきとされたコンバータ部の負荷電力を、上記のようにして低圧な直流電源を生成すべきとされたコンバータ部の電力によってもまかなうようにしたことで、高圧生成側のコンバータ部の負荷は軽減傾向となり、逆に低圧生成側のコンバータ部の負荷は増加傾向となるようにすることができる。
これによれば、各コンバータ部の負荷の差が縮小されて、各コンバータ部を構成する素子としても耐圧レベルの差や定数の差が縮小されるものとなる。
また、高圧な直流電源E1を生成すべきとされる第1コンバータ部CVT−1の対応負荷電力が実質的に低減されることで、第1コンバータ部CVT−1での各素子としてはその分耐電流レベルの低減や素子サイズの小型化を図ることができ、これによってより安価な素子を用いて回路製造コストの削減を図ることができる。
特に、この場合は、図4の表から明らかなように、第1コンバータ部CVT−1と第2コンバータ部CVT−2における印刷時での最大負荷電力としては、それぞれPomax=150Wで同等となるようにされる。
このように対応すべき最大負荷電力が同等とされることで、この場合は同等の耐圧レベルや同等の定数による素子を使用することができ、各コンバータ部で構成部品の共通化を図ることが可能となる。そして、このように構成部品の共通化が図られることで、電源回路の製造効率としても向上が図られる。
なお、図4に示した表より、図2に示した電源回路部10aにおける第1コンバータ部CVT−1の対応負荷電力は、印刷時における最大負荷電力Pomax=150Wからスタンバイ時の最小負荷電力Pomin=0Wまでの範囲となる。また、第2コンバータ部CVT−2では、印刷時の最大負荷電力Pomax=150Wからスタンバイ時の最小負荷電力Pomin=3Wまでの変動に対応するものとされている。
このような負荷条件に対応させて、図2に示した電源回路部10aの実際としては、各部を次のように選定することとしている。
<第1コンバータ部CVT−1>
・絶縁コンバータトランスPIT-1・・・EER−39型コア、ギャップG=2.4mm、結合係数k=0.65、一次巻線N1-1=37T、二次巻線N2-1=N2A1+N2B1=4T+4T=8T
・一次側直列共振コンデンサC1-1=0.056μF
・一次側部分共振コンデンサCp-1=1000pF
・二次側直列共振コンデンサC2A1=C2B1=2.2μF
<第2コンバータ部CVT−2>
・絶縁コンバータトランスPIT-2・・・EER−39型コア、ギャップG=2.4mm、結合係数k=0.65、一次巻線N1-2=37T、二次巻線N2-2=N2A2+N2B2=4T+4T=14T
・一次側直列共振コンデンサC1-2=0.056μF
・一次側部分共振コンデンサCp-2=1000pF
・二次側直列共振コンデンサC2A2=C2B2=2.2μF
このような実際の各部の選定からも、図2の電源回路では各コンバータ部の構成部品の共通化が図られていることが理解できる。
次の図5、図6には、図2に示した電源回路部10aにおける要部の動作波形を示す。これらの図においては、電源回路部10aにおける第1コンバータ部CVT−1についての要部の動作波形について示すものである。
ここで、図2に示した電源回路部10aとしては、上述もしたようにワイドレンジ対応の構成が採られる。これに対応して、図5では交流入力電圧VAC=100V時での、また図6では交流入力電圧VAC=230V時での動作波形をそれぞれ示している。また、これらの図を参照してわかるように、この場合、図5、図6の各図では、さらに負荷電力Po=150W時(最大負荷時)と、負荷電力Po=0W時(最小負荷時)との動作波形をそれぞれ示している。
先ず、これら図5、図6において、矩形波状の電圧VQ2は、スイッチング素子Q2の両端電圧であり、スイッチング素子Q2のオン/オフタイミングを示す。この電圧VQ2は、スイッチング素子Q2が導通してオンとなるオン期間では0レベルとなり、非導通となるオフ期間においては、整流平滑電圧Eiのレベルでクランプされる波形となる。
スイッチング素子Q2のオン期間においては、スイッチング素子Q2及びクランプダイオードDD2から成るスイッチング回路系には、図示する波形によるスイッチング電流IQ2が流れる。また、スイッチング電流IQ2は、スイッチング素子Q2のオフ期間においては0レベルとなる。
また、図示していないが、他方のスイッチング素子Q1の両端電圧、及びスイッチング回路(Q1,DD1)に流れるスイッチング電流としては、上記電圧VQ2、及びスイッチング電流IQ2を180°移相をシフトした波形として得られる。つまり、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とは、交互にオン/オフするようにして同じ周期タイミングでスイッチング動作を行う。
なお、一次側直列共振回路(L1−C1)を流れる一次側直列共振電流Ioとしては、これらのスイッチング回路(Q1,DD1)(Q2,DD2)に流れるスイッチング電流が合成された成分として流れる。
そして、交流入力電圧VAC=100V時において、スイッチング電流IQ2のピークレベルとしては、図5に示されるように、負荷電力Po=150W時、Po=0W時で共に3.4Ap程度となる結果が得られている。
また、交流入力電圧VAC=230V時のスイッチング電流IQ2のピークレベルとしては、図6に示されるように、負荷電力Po=150W時では3.3Ap程度、負荷電力Po=0W時では3.0Ap程度となる結果が得られた。
そして、図2に示した電源回路部10bでは、これまでに説明してきたようにして第1コンバータ部CVT−1と第2コンバータ部CVT−2とはほぼ同等の対応負荷条件とされることから、それぞれのコンバータ部では同様の動作が得られることになる。つまり、第2コンバータ部CVT−2においても、最大負荷時におけるスイッチング素子Q3、Q4のスイッチング動作については、上記各図に示したものと同様の動作波形が得られる。
また、最小負荷時については、第2コンバータ部CVT−2ではPomin=3Wとなるが、上記各図に示した動作波形とおよそ同様の波形が得られることになる。
ところで、これまでの説明からも理解されるように、図2に示した電源回路部10aは、スイッチング周波数制御方式により二次側直流出力電圧の安定化を図る共振形コンバータとしての構成を採るものである。
ここで、このようにしてスイッチング周波数制御方式により二次側直流出力電圧の安定化を図る構成とした場合には、一般的に安定化のためのスイッチング周波数の可変制御範囲は、比較的広範囲な傾向となる。そして、このように二次側直流出力電圧についての安定化に要する可変制御範囲が比較的広範となることから、従来より、スイッチング周波数制御方式による安定化動作のみで、AC100V系とAC200V系との入力に対応するワイドレンジ対応の構成を実現することが非常に困難とされてきた。
このことについて、図19を参照して説明する。
図19は、先の図12に示した先行技術としての電源回路が備えるような、従来の電流共振型コンバータの定電圧制御特性を、スイッチング周波数fsと二次側直流出力電圧Eo(Eo1又はEo2)のレベルとの関係により示している。
先ず、一般的なこととして、直列共振回路は、共振周波数foのときに最も共振インピーダンスが小さくなる。これにより、アッパーサイド制御における二次側直流出力電圧Eoとスイッチング周波数fsの関係として、二次側直流出力電圧Eoのレベルは、スイッチング周波数fsが共振周波数fo1に近づいていくほど上昇し、共振周波数fo1から離れていくのに従って低下していくものとなる。
従って、負荷電力Poを一定とした条件でのスイッチング周波数fsに対する二次側直流出力電圧Eoのレベルは、この図19において示されるように、スイッチング周波数fsが一次側直列共振回路の共振周波数fo1と同じときにピークとなり、共振周波数fo1から離れるのに応じて低下する二次曲線的な変化を示すことになる。
また、同じスイッチング周波数fsに対応する二次側直流出力電圧Eoのレベルは、最小負荷電力Pomin時よりも最大負荷電力Pomax時のほうが、所定分低下するようにしてシフトする特性が得られる。つまり、スイッチング周波数fsを固定として考えると、重負荷の条件となるのに従って二次側直流出力電圧Eoのレベルは低下する。
そして、このような特性のもとで、アッパーサイド制御により二次側直流出力電圧Eoについて、Eo=tgとなるようにして安定化しようとした場合、従来の電流共振型コンバータにおいて必要となるスイッチング周波数の可変範囲(必要制御範囲)は、Δfsとして示される範囲となる。
図12に示す電源回路における、例えば第2コンバータ部CVT−2の実際としては、例えばAC100V系としての交流入力電圧VAC=85V〜120Vの入力変動範囲と、メイン出力としての直流電源E1の最大負荷電力Pomax=240W、最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)の負荷条件に対応して、スイッチング周波数制御方式により、例えば二次側直流出力電圧Eo=24V/37Vで安定化するように定電圧制御を行う。
この場合、図12に示す第2コンバータ部CVT−2が定電圧制御のために可変するスイッチング周波数fsの可変範囲は、fs=80kHz〜200kHz以上であり、Δfsとしても120kHz以上と相応に広範囲なものとなる。
ここで、ワイドレンジ対応では、例えばAC85V〜288Vの交流入力電圧範囲に対応することになる。従って、例えば図12の回路において、商用交流電源ACについての整流回路の切り換え構成を備えないとした場合、上記のようなAC100V系のみ、あるいはAC200V系のみの単レンジに対応する場合と比較して、二次側直流出力電圧Eoのレベル変動範囲も大きくなる。
このような交流入力電圧範囲に対応してレベル変動範囲が拡大した二次側直流出力電圧Eoについて定電圧制御を行うためには、より広範囲なスイッチング周波数制御範囲が必要となる。例えば、図12に示した回路での第2コンバータ部CVT−2としては、スイッチング周波数fsの制御範囲について、約80kHz〜500kHzにまで拡大する必要がでてくる。
しかしながら、現状のスイッチング素子を駆動するためのIC(発振・ドライブ回路2)としては、対応可能な駆動周波数の上限は200kHz程度が限界である。また、仮に上記したような高い周波数での駆動が可能なスイッチング駆動用ICを構成して実装したとしても、このような高い周波数でスイッチング素子を駆動した場合には、電力変換効率が著しく低下するために、現実の電源回路として実用的ではなくなる。
このような事情から、スイッチング周波数制御方式による安定化動作のみによってワイドレンジ対応を図ることが、非常に困難とされていたものである。
このようにして、スイッチング周波数制御方式による安定化動作のみによるワイドレンジ対応の構成が困難であることから、図12の回路としては、商用交流電源ACについての整流平滑回路の動作を全波整流動作と倍電圧整流動作とで切り換える構成を採るようにされていた。
しかしながら、このような整流回路系の切り換えの構成では、先の図12の回路図からも理解されるように、先ずは所要数の電磁リレーが必要になる。また、倍電圧整流回路を形成するために少なくとも2本1組の平滑コンデンサを設ける必要も生じる。このため、それだけ部品点数が増加してコストアップとなると共に、電源回路基板のマウント面積も拡大して大型化する。特に、これら平滑コンデンサや電磁リレーは、電源回路を形成する部品のうちでも大型であるから、基板サイズは相当に大きくなってしまう。
また、AC200V系の商用交流電源が入力されているときに、瞬間停電が生じたり、また、交流入力電圧が定格以下に低下するなどして、AC200系に対応するよりも低いレベルとなると、AC100V系であると検出して倍電圧整流回路に切り換えるという誤動作が生じたとする。このような誤動作が生じると、AC200V系のレベルの交流入力電圧について倍電圧整流を行うこととなるために、例えば一次側の各スイッチング素子などが耐圧オーバーとなって破壊される可能性もある。
そこで、実際の回路としては、上記のような誤動作が生じないようにするために、メインとなるスイッチングコンバータの直流入力電圧だけではなく、スタンバイ電源側のコンバータ回路の直流入力電圧も検出する構成を採るようにされる。これにより、スタンバイ電源側のコンバータ回路を検出するための部品の追加などにより、上記したコストアップ、及び回路基板サイズの大型化がさらに助長されてしまうことになる。
また、誤動作防止を目的としてスタンバイ電源側のコンバータの直流入力電圧を検出するということは、整流動作切り換えのための回路を備えるワイドレンジ対応の電源回路としては、メイン電源の他にスタンバイ電源を備える電子機器でなければ、実際に使用することができないということになる。つまり、電源を実装可能な電子機器の種類が、スタンバイ電源を備えたものに限定されるわけであり、それだけ利用範囲が狭くなる。
また、ワイドレンジ対応を実現するための構成としては、他にもAC100V系/AC200V系の商用交流電源入力に応じて、一次側の電流共振形コンバータの形式をハーフブリッジ結合とフルブリッジ結合とで切り換える構成とすることも知られている。
この構成であれば、例えば上記した瞬間停電などによって、AC200V系の交流入力電圧がAC100V系のレベルにまで低下して誤動作したとしても、スイッチング動作がハーフブリッジ動作からフルブリッジ動作となるだけであり、スイッチング素子などが耐圧オーバーになることはない。このためにスタンバイ電源側の直流入力電圧を検出する必要もなくなるので、スタンバイ電源を備えない電子機器に対しても採用することが可能となる。また、商用電源ラインにおける切り換えではないために、半導体スイッチによる回路形態の切り換えが可能であるので、電磁リレーのような大型のスイッチ部品は不要となる。
しかし、この構成では、AC100V系時に対応してフルブリッジ結合を形成するために、スイッチング素子を少なくとも4本備える必要がある。つまり、2本のスイッチング素子により形成可能なハーフブリッジ結合方式のみによるコンバータの構成と比較すれば、2本のスイッチング素子を追加する必要があることになる。
また、この構成の場合には、フルブリッジ動作では4石がスイッチング動作を行い、ハーフブリッジ動作でも3石のスイッチング素子がスイッチング動作を行う。共振形コンバータは、低スイッチングノイズではあるが、このようにしてスイッチングを行うスイッチング素子数が増加するほどスイッチングノイズに関しては不利となる。
このようにして、ワイドレンジ対応として上記した何れの構成を採った場合にも、単レンジ対応の構成と比較した場合には、部品点数の増加などによる回路規模の拡大、コストアップがさけられない。また、前者の構成では機器への利用範囲の制限、後者の構成ではスイッチングノイズの増加など、それぞれ、単レンジ対応の構成では生じなかった新たな問題が生じる。
そこで、実施の形態の電源回路部10aとしては、スイッチング周波数制御方式による安定化動作のみでワイドレンジ対応の構成を実現するために、図2においても説明したように、一次側と二次側とで、それぞれ直列共振回路(一次側直列共振回路(L1−C1)、二次側直列共振回路(L2−C2))を備えるようにされている。また、これと共に、図3にて説明したように、絶縁コンバータトランスPITについて、一次側と二次側との結合係数を所定以下に設定するものとしている。
以下、このような構成を採ることで、スイッチング周波数制御方式による安定化動作のみによるワイドレンジ対応化が図られることについて説明していく。
先ず、図7の回路図では、図2に示した電源回路部10aにおけるコンバータ部(CVT−1、CVT−2)について、一次側直列共振回路と二次側直列共振回路との関係によりみた場合の等価回路を示している。なお、この等価回路図において、図2と同一部分には同一符号を付している。
この図においては、1:nの巻線比となる所定巻数の一次巻線N1と二次巻線N2を巻装した絶縁コンバータトランスPITが示されている。また、この図において、絶縁コンバータトランスPITにおける一次側と二次側との結合度を結合係数kにより示している。
この絶縁コンバータトランスPITの一次側において、L1l、L1eは、それぞれ、一次巻線N1のリーケージ(漏洩)インダクタンス、一次巻線N1の励磁インダクタンスを示す。また、絶縁コンバータトランスPITの二次側のL2l、L2eは、それぞれ二次巻線N2のリーケージ(漏洩)インダクタンス、二次巻線N2の励磁インダクタンスを示す。
この図7に示す等価回路図において、絶縁コンバータトランスPITの一次側では、スイッチング周波数fsによる交流(周波数信号)が入力されている。つまり、一次側スイッチングコンバータ(スイッチング素子Q1,Q2)のスイッチング出力が入力となっている。
そして、絶縁コンバータトランスPITの一次側では、このスイッチング周波数fsによる交流の入力を、一次側直列共振回路に供給することになる。この一次側直列共振回路は、図示するようにして、一次側直列共振コンデンサC1−リーケージインダクタンスL1lを一次巻線N1に対して直列に接続するとともに、励磁インダクタンスL1eを一次巻線N1に対して並列に接続したものとしてみることができる。
また、絶縁コンバータトランスPITの二次側直列共振回路としても、同様に、二次側直列共振コンデンサC2−リーケージインダクタンスL2lを二次巻線N2に対して直列に接続するとともに、励磁インダクタンスL2eを二次巻線N2に対して並列に接続したものとしてみることができる。また、この図では、上記のようにして形成される二次側直列共振回路の出力を負荷RLに出力することとしている。ここでの負荷RLは、二次側全波整流回路以降の回路及び負荷となる。
上記した接続態様となる図7の等価回路においては、絶縁コンバータトランスPITの結合係数をk、一次巻線N1の自己インダクタンスをL1とすると、一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1lについて
L1l=(1−k2)L1・・・(式1)
により表すことができる。
また、一次巻線N1の励磁インダクタンスL1eについては、
L1e=k2×L1・・・(式2)
により表すことができる。
同様にして、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2l、励磁インダクタンスL2eについては、一次巻線N2の自己インダクタンスをL2とすると、それぞれ、
L2l=(1−k2)L2・・・(式3)
L2e=k2×L2・・・(式4)
により表される。
ここで、図7に示す等価回路においては、絶縁コンバータトランスPITの電磁誘導を介して、一次側に一次側直列共振回路を備え、二次側に二次側直列共振回路を備えていることが示されている。従って、この図に示す回路は、電磁結合による結合形共振回路を形成しているものとしてみることができる。このために、図2に示す電源回路部10aにおける二次側直流出力電圧Eoについての定電圧制御特性は、絶縁コンバータトランスPITの結合度(結合係数k)に応じて異なるものとなる。この点について、次の図8を参照して説明する。
図8は、図7の等価回路についての、入力(スイッチング周波数信号)に対する出力特性を示している。つまり、二次側直流出力電圧Eoについての制御特性をスイッチング周波数fsとの関係により示している。この図では、スイッチング周波数を横軸にとり、二次側直流出力電圧Eoのレベルを縦軸にとっている。
なお、この図では、一次側直列共振回路の共振周波数fo1と二次側直列共振回路の共振周波数fo2とを重複して示しているが、これは共振周波数fo1と共振周波数fo2の設定値に関わらず同様の特性が得られることを示しているものである。
ここで、絶縁コンバータトランスPITの結合度について、結合係数k=1となる密結合とされる状態を設定したとする。すると、この場合の一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1l、及び二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2lは、それぞれ、上記(式1)(式3)に対してk=1を代入することで、
L1l=L2l=0・・・(式5)
として表されることになる。つまり、絶縁コンバータトランスPITが密結合であることで、一次巻線N1及び二次巻線N2のリーケージインダクタンスは存在していない状態であることが示される。
このようにして、絶縁コンバータトランスPITの一次側と二次側とが密結合とされる状態での定電圧制御特性としては、図8の特性曲線1として示すように、一次側直列共振回路の共振周波数fo1と二次側直列共振回路の共振周波数fo2とは異なる周波数f1、f2において二次側直流出力電圧Eoがピークとなる、いわゆる双峰特性となる。
ここで、周波数f1は、
Figure 2006141149
で表され、
周波数f2は、
Figure 2006141149
で表される。
また、上記(数1)(数2)における項の1つであるfoは、一次側直列共振回路の共振周波数fo1と、二次側直列共振回路の共振周波数fo2との中間に存在する中間共振周波数であり、1次側のインピーダンスと2次側のインピーダンスと、一次側と二次側とで共通となるインピーダンス(相互結合インダクタンスM)により決定される周波数である。
なお、相互結合インダクタンスMについては、
Figure 2006141149
により表される。
また、上記した結合係数kについて、k=1の状態から徐々に小さくしていったとする、つまり、密結合の状態から徐々に疎結合の度合いを高くしていったとすると、図8に示される特性曲線1は、双峰の傾向が徐々に希薄となって、中間共振周波数fo近傍で平坦化していくような変化を示す。そして、ある結合係数kにまで低下した段階で、いわゆる臨界結合の状態となる。この臨界結合の状態では、特性曲線2として示すようにして、双峰特性としての傾向ではなくなっており、中間共振周波数foを中心として曲線形状が平坦となる特性となる。
そして、さらに、上記臨界結合の状態から結合係数kを小さくしていって、疎結合の状態を強めていったとすると、図8の特性曲線3として示すように、中間周波数foにおいてのみピークとなる単峰特性が得られる。また、この特性曲線3と、特性曲線1,2とを比較してみると、特性曲線3は、ピークレベルそのものは特性曲線1,2より低下するものの、その二次関数的な曲線形状として、より急峻な傾斜を有していることが分かる。
本実施の形態の絶縁コンバータトランスPITは、結合係数k≦0.65とされる疎結合の状態が設定されている。この結合係数kの設定では、上記特性曲線3として示される単峰特性による動作となる。
ここで、上記図8に示す単峰特性と、先に図19に示した先行技術の電源回路(図12)の複合共振形コンバータの定電圧制御特性とを実際に比較してみると、図8に対して図19に示した特性は、二次関数的には相当に緩やかな傾斜となる。
図12に示した電源回路では、上記のようにして図19に示す特性が曲線的に緩やかであることから、二次側直流出力電圧Eoについて定電圧制御を行うためのスイッチング周波数の必要制御範囲は、例えば単レンジ対応の条件下であっても、先に述べたようにfs=80kHz〜200kHz以上でΔfs=120kHz以上となる。このために、スイッチング周波数制御による定電圧制御のみによって、ワイドレンジ対応とすることが非常に困難であることは先に説明したとおりである。
これに対し、本実施の形態の定電圧制御特性としては、図8の特性曲線3により示される単峰特性であることで、定電圧制御動作としては、図9に示すものとなる。
図9においては、図2に示す電源回路部10aにおけるコンバータ部についての、交流入力電圧VAC=100V時(AC100V系)における最大負荷電力Pomax時、最小負荷電力Pomin時の各特性曲線A,Bと、交流入力電圧VAC=230V時(AC200V系)における最大負荷電力Pomax時、最小負荷電力Pomin時の各特性曲線C,Dとの、4つの特性曲線が示されている。
この図9から分かるように、先ず、AC100V系の入力に対応する交流入力電圧VAC=100V時において、二次側直流出力電圧Eoを所要の定格レベルtgで定電圧化するために必要となるスイッチング周波数の可変制御範囲(必要制御範囲)は、Δfs1で示されることになる。つまり、特性曲線Aにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsから、特性曲線Bにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsまでの周波数範囲となる。
また、AC200V系の入力に対応する交流入力電圧VAC=230V時において、二次側直流出力電圧Eoを所要の定格レベルtgで定電圧化するために必要となるスイッチング周波数の可変制御範囲(必要制御範囲)は、Δfs2で示される。つまり、特性曲線Cにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsから、特性曲線Dにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsまでの周波数範囲となる。
前述したように、本実施の形態における二次側直流出力電圧Eoの制御特性である単峰特性は、先に図19に示した制御特性と比較して、二次関数曲線的に相当に急峻である。
このために、上記した交流入力電圧VAC=100V時、VAC=230V時の各必要制御範囲となるΔfs1、Δfs2は、図19に示されるΔfsと比較して相当に縮小されたものとなっている。例えば、実際に測定したΔfs1、Δfs2としては、図19に示されるΔfsの実際に対して1/10以下程度にまで縮小されるという結果が得られている。
そのうえで、Δfs1における最低スイッチング周波数(特性曲線Aにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fs)から、Δfs2における最高スイッチング周波数(特性曲線Aにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fs)までの周波数可変範囲(ΔfsA)としても、相応に狭いものとなっている。
ここで、図2に示す電源回路部10aでの各コンバータ部における実際の周波数可変範囲ΔfsAは、現状におけるスイッチング駆動用IC(発振・ドライブ回路2)が対応するスイッチング周波数の可変範囲内に充分に収まるものとなっている。つまり、実施の形態の電源回路部10aの各コンバータ部では、スイッチング周波数について、現実に周波数可変範囲ΔfsAで可変制御することが可能とされている。そして、このことは、各コンバータ部が、AC100V系とAC200V系の何れの商用交流電源入力にも対応して、二次側直流出力電圧Eoを安定化可能であることを意味する。つまり、スイッチング周波数制御方式による安定化動作のみによって、ワイドレンジ対応を実現できるものである。
ちなみに、電磁結合による結合形共振回路は、例えば中間周波トランス増幅器などのようにして、通信技術においてトランジスタによる増幅回路の増幅帯域幅を拡大するための手法として既に知られてはいる。しかしながら、このような分野では、密結合での双峰特性、或いは臨界結合での平担特性を用いているものであり、疎結合での単峰特性は用いられてはいない。本実施の形態では、このような電磁結合による結合形共振回路の技術において、通信技術の分野では採用されていなかった疎結合での単峰特性を、共振形スイッチングコンバータの分野において積極的に用いている、ということがいえる。これにより、上記のようにして、二次側直流出力電圧Eoを安定化するために必要なスイッチング周波数の可変範囲(必要制御範囲)を縮小し、スイッチング周波数制御での定電圧制御のみによるワイドレンジ対応を可能としているものである。
なお、一般的に絶縁コンバータトランスPITの一次側と二次側との間の疎結合の度合いを高くしていくのに応じては、絶縁コンバータトランスPITにおける電力損失が増加する傾向となり、電力変換効率もその分低下していくことになる。しかしながら、本実施の形態としては、後述するようにして、実用上充分な電力変換効率の特性を得ている。これは、二次側に対しても直列共振回路(二次側直列共振回路)を形成するようにしたことによる。
すなわち、二次側直列共振回路を備えることで、その共振動作により得られるエネルギーの増加分を含めて二次側直流出力電圧Eoとしての電力を供給可能となるものであり、疎結合とされたことによる効率の低下を補償しているものである。
これまでで説明してきたようにして、図2に示した本実施の形態の電源回路としては、スイッチング周波数制御のみによりワイドレンジ対応を可能としている。
これにより、例えばワイドレンジ対応化にあたっては、先の図12に示した回路の如く商用交流電源の定格レベルに応じ、直流入力電圧(Ei)を生成するための整流回路系について整流動作を切り換えたり、あるいは、ハーフブリッジ結合方式とフルブリッジ結合方式との間でスイッチングコンバータの形式を切り換える構成を採る必要はなくなる。
そして、このような回路切り換えのための構成が不要となれば、例えば平滑コンデンサCiは1つのみとすることができ、またスイッチング素子としては少なくともハーフブリッジ結合に必要な2つのみとすることが可能となって、その分回路構成部品の削減、回路規模の縮小、及びスイッチングノイズの低減などが図られる。
また、回路切換の構成が不要となれば、切り換えによる誤動作防止のために特別な構成を備えるような必要もなくなり、この点でも構成部品の増加とコストアップの抑制が図られる。さらには、誤動作防止のためにスタンバイ電源を必須としないので、電源回路が使用可能な機器範囲を広げることができる。
また、このような実施の形態としての効果を得るのにあたって、一次側にのみ直列共振回路を備えるこれまでの電流共振形コンバータの構成に対して追加すべき必要最小限の部品は、二次側直列共振コンデンサC2のみである。つまり、従来の回路切換方式による構成を採る場合よりもはるかに少ない部品追加で、ワイドレンジ対応を実現することができる。
また、先の説明のようにしてスイッチング周波数の必要制御範囲Δfsが大幅に縮小されることによっては、ワイドレンジ対応の場合と単レンジ対応の場合とに関わらず、定電圧制御の応答性も大幅に改善されることになる。
つまり、電子機器においては、負荷電力Poについて、いわゆるスイッチング負荷といわれる、最大と無負荷とで比較的高速にスイッチングする(切り替わる)ようにして変動させるような動作を行うものがある。特に、実施の形態の場合のプリンタ装置10において、プリント駆動機構部16への動作電源を供給するような場合には、印刷動作の実行時と停止時とでは、このようなスイッチング負荷としての動作が行われることになる。
このようなスイッチング負荷としての動作が行われる機器に対して、例えば図19に示したような必要制御範囲Δfsが比較的広範な電源回路を搭載した場合には、急峻な負荷電力の変化に追随して相応に多くの変化量によるスイッチング周波数fsの可変制御を行うことになる。このために、高速な定電圧制御の応答性を得ることが困難とされていた。
これに対し本実施の形態では、必要制御範囲Δfsが大幅に縮小されていることから、負荷電力Poの最大と無負荷とでの急峻な変動に対して、高速に応答して二次側直流電圧Eoを安定化することが可能である。つまり、スイッチング負荷に対する定電圧制御の応答性能は大幅に向上でいるものである。
ところで、図2に示した電源回路部10aについて、各コンバータ部での必要制御範囲Δfsについて実際に実験を行った結果によると、各コンバータ部が備える二次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスの設定によっては、交流入力電圧VAC=100V時とVAC=230VでのAC→DC電力変換効率と、AC100V系とAC200V系時での必要制御範囲Δfsのそれぞれをほぼ同等にできることがわかった。
ここで、実際の電源回路の設計において、二次側直列共振コンデンサC2の設定に先だっては、二次側の直列共振回路の共振周波数fo2についての最適値を求めるようにされる。具体的に、本実施の形態の電源回路部10bでは、直流電源E1が24Vと37Vとで切り換えて使用されるものとしているが、この直流電源E1について、これら切り換え可能な2つの電位のほぼ中間の電位を得るとしたときを基準として、各コンバータ部における電力変換効率が最も高く得られるときの共振周波数fo2を上記最適値として求める。例えば、この場合は24Vと37Vとの中間の電位である直流電源E1=30.5Vとしたときに、各コンバータ部の電力変換効率を最大とすることができる共振周波数fo2を求めるものである。
その上で、この共振周波数fo2が得られる条件で、同様に直流電源E1が上記中間電位のときに各コンバータ部のスイッチング周波数の必要制御範囲Δfsを最小とすることができる二次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスを設定するものである。
ここで、先に示した図2の回路の各部の定数は、実際にはこのような共振周波数fo2、及び二次側直列共振コンデンサC2のキャパシンタスの値が得られるようにして設定されたものである。
そして、このような各部の選定条件の下で実験を行った結果、図2の回路における第1コンバータ部CVT−1及び第2コンバータ部CVT−2の総合的なAC→DC電力変換効率、及び必要制御範囲Δfsについては、以下のような結果が得られる。
なお、ここでのAC→DC電力変換効率は、最大負荷電力Pomax=150W時での数値を示すものである。
先ず、総合的なAC→DC電力変換効率について、交流入力電圧VAC=100V時、直流電源E1=24Vを出力する条件では、ηAC→DC=87.0%程度が得られた。また、交流入力電圧VAC=100V時、直流電源E1=37Vを出力する条件ではηAC→DC=87.5%程度であった。
さらに、交流入力電圧VAC=230V時、直流電源E1=24Vの場合はηAC→DC=87.6%程度、また直流電源E1=37Vの場合はηAC→DC=88.6%程度となる結果が得られた。
また、各コンバータ部におけるスイッチング周波数の必要制御範囲Δfsについては、AC100V系(85V〜120V)の単レンジの場合、直流電源E1=24Vの条件では、各コンバータ部で共にΔfs=5.1kHz程度となる結果が得られた。さらに、AC100V系時、直流電源E1=37Vの条件では、各コンバータ部で共にΔfs=5.5kHz程度であった。
また、AC200V系(180V〜265V)時としても各コンバータ部で共に、直流電源E1=24Vの条件ではΔfs=5.3kHz程度、直流電源E1=37Vの条件ではΔfs=5.7kHz程度となる結果が得られた。
このような結果から、図2に示した電源回路部10aによれば、交流入力電圧VAC=100V時とVAC=230VでのAC→DC電力変換効率と、AC100V系とAC200V系時での必要制御範囲Δfsのそれぞれをほぼ同等にできることがわかる。
また、上記したAC→DC電力変換効率についての結果と、先の図12に示した回路の場合の結果を比較してわかるように、図2に示した電源回路部10aでは、図12に示した回路よりも各条件での電力変換効率が同等か若しくはおよそ0.5%程度の向上が図られていることがわかる。
ここで、図2に示した電源回路部10aによれば、上記結果からも理解されるように、各コンバータ部での必要制御範囲Δfsとしてはほぼ同等の範囲が得られる。しかし、上述した二次側直列共振回路の共振周波数fo2の値と二次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスの選定条件によっては、各コンバータ部においてスイッチング周波数の制御範囲は同等の範囲とすることができるが、直流電源E1の負荷変動に対して、各コンバータ部で同等のスイッチング周波数による制御が行われるものではない。
ここで、例えば電源回路として、実施の形態の場合のように2つのコンバータ部を備える構成とする場合には、それぞれのコンバータ部におけるスイッチング周波数fsの値が異なることで、ノイズの発生が助長される等の不都合が生じる可能性がその分高くなる。これを考慮すると、各コンバータ部におけるスイッチング周波数fsは、できるだけ同等とできた方がより好ましい。
そこで、図2に示した電源回路部10aについて、このような各コンバータ部でのスイッチング周波数についての実験を行った結果、二次側直流出力電圧Eo1を16.5Vにより安定化する条件で、各コンバータ部における必要制御範囲Δfsが最小となるように、各二次側直列共振コンデンサC2の値を設定した場合に、各コンバータ部でのスイッチング周波数をほぼ同等とすることができるものとなった。
なお、この場合も各コンバータ部における共振周波数fo2自体は、直流電源E1を中間電位(30.5V)としたときを基準として、その最適値が設定されるものである。
続いて、図10の回路図を参照して、本発明における第2の実施の形態としての電源回路部10bの構成について説明する。
なお、図10において、この電源回路部10bに備えられる第1コンバータ部CVT−1、第2コンバータ部CVT−2の構成は、以下で特に説明する部分以外は既に図2で説明した部分と同等となることから、ここでは同一の符号を付して説明を省略する。また、この電源回路部10bとしても、先の図1に示したプリンタ装置10の電源として備えられるものであるが、プリンタ装置10の構成については既に説明済みであることからここでの説明は省略する。
第2の実施の形態の電源回路部10bは、先の図17に示した電源回路と同様に、ワイドレンジ対応で且つ力率の改善を図る構成を採るものである。
ここで、先の図17に示した電源回路においては、ワイドレンジ対応化と力率改善とを図るために、アクティブフィルタを実装するものとされていた。しかしながら、アクティブフィルタとしては、以下に説明するような問題点を有することが知られている。
先ず、図17に示した如くアクティブフィルタを実装する電源回路においては、前段にアクティブフィルタとしてのAC→DCコンバータ、後段に電流共振形コンバータとしてのDC→DCコンバータが備えられたものとなる。従って、このような電源回路における電力変換効率としては、先にも述べたように前段のアクティブフィルタに対応するAC→DC電力変換効率と、後段の電流共振形コンバータのDC→DC電力変換効率とを総合したものとなる。
このことから、図17に示される回路の総合的な電力変換効率としては、これらの電力変換効率の値を乗算した値となるものであり、その分低下傾向となってしまうものである。
また、アクティブフィルタはハードスイッチング動作であることから、ノイズの発生レベルが非常に大きいため、比較的重度のノイズ抑制対策が必要となる。
このため、図17に示した回路では、商用交流電源ACのラインに対して、2組のコモンモードノイズチョークコイルと、3組のアクロスコンデンサによるノイズフィルタを形成している。つまり、2段以上のフィルタが必要となっている。
また、整流出力ラインに対しては、1組のチョークコイルLNと、2組のフィルタコンデンサCNから成るノーマルモードノイズフィルタを設けている。さらに、整流用の高速リカバリ型のダイオードD20に対しては、RCスナバ回路を設けている。
このようにして、実際の回路としては非常に多くの部品点数によるノイズ対策が必要であり、コストアップ及び電源回路基板の実装面積の大型化を招いている。
さらに、汎用ICとしての力率・出力電圧制御用IC30によって動作するスイッチング素子Q30のスイッチング周波数は60kHzであるのに対して、後段の電流共振形コンバータのスイッチング周波数は80kHz〜200kHzの範囲となっている。これにより、1次側アース電位が干渉しあって、異常発振を誘発する等、電源回路としての動作が不安定になりやすいという問題も有している。
そこで、第2の実施の形態では、このようなアクティブフィルタは省略するものとしている。そして、アクティブフィルタを実装することで図られていた、ワイドレンジ対応化については、第1コンバータ部CVT−1、第2コンバータ部CVT−2について、第1の実施の形態の場合と同様の構成を備えるようにしたことで実現するものとしている。つまり、第2の実施の形態の電源回路部10bとしても、各コンバータ部における絶縁コンバータトランスPITについて、その結合係数kを所定低下にまで低下し、且つ二次側に対してもL2−C2による直列共振回路を形成することで、スイッチング周波数制御方式による安定化動作のみでワイドレンジ対応化を図るものである。
そして、力率改善については、図2にて示した構成に対し、以下のような構成を追加することで実現するものとしている。
先ず、この図10に示される電源回路部10bでは、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と平滑コンデンサCiの正極端子との間に、この場合はトロイダルチョークコイルによるチョークコイルLNとフィルタコンデンサCNとの直列接続回路を直列に挿入するものとしている。この直列接続回路により、ノーマルモードノイズ抑制用のフィルタ回路が形成される。
その上で、第1コンバータ部CVT−1、第2コンバータ部CVT−2に対しては、それぞれ力率改善回路5−1、力率改善回路5−2を備える。これら力率改善回路5−1、5−2としては、一次側直列共振回路に流れる一次側直列共振電流を、平滑コンデンサCiに電力として回生するようにして力率の改善を図るようにされた、電力回生方式による力率改善回路である。
なお、図示されるように上記チョークコイルLNとフィルタコンデンサCNとによるフィルタ回路は、力率改善回路5−1、力率改善回路5−2の双方に共用される部分となる。
先ず、第1コンバータ部CVT−1側に備えられる力率改善回路5−1において、上記したチョークコイルLNとフィルタコンデンサCNの接続点と、平滑コンデンサCiの正極端子との間に、高周波チョークコイルL-1(パワーチョークコイルPCC-1)−スイッチングダイオードD1-1(アノード→カソード)による直列接続回路が直列に挿入される。
そして、これら高周波チョークコイルL-1とスイッチングダイオードD1-1との接続点に対しては、一次側直列共振コンデンサC1-1の直列接続を介して絶縁コンバータトランスPIT-1の一次巻線N1-1の一方の端部(巻き終わり端部)が接続される。この場合も、一次巻線N-1の他方の端部(巻き始め端部)は、図2の場合と同様にスイッチング素子Q1とQ2との接続点(スイッチング出力点)に対して接続されている。
つまり、このような構成により、高周波インダクタL-1とスイッチングダイオードD1-1のアノードとの接続点に対しては、一次側直列共振回路(L1−C1)が接続されることになる。
なお、この場合、上記したスイッチングダイオードD1-1としては、高速リカバリ型ダイオードが選定される。また、高周波チョークコイルL-1(パワーチョークコイルPCC-1)としては、例えば数十μH程度の比較的低インダクタンスが設定される。
ここで、上記もしているように、この力率改善回路5−1においては、高周波インダクタL-1とスイッチングダイオードD1-1との接続点に対し、一次側直列共振回路が接続されたものとなる。このような構成により、力率改善回路5−1においては、一次側直列共振回路に得られるスイッチング出力(一次側直列共振電流)を電力として回生して、これを平滑コンデンサCiに帰還する動作が得られることとなる。
そして、上記接続形態より、この場合の電力の回生は、スイッチングダイオードD1-1を介するようにして行われるようになることから、電力回生方式としては、ダイオード結合方式が採られていることになる。
このようにして、一次側直列共振電流が電力として平滑コンデンサCiに回生されることで、力率改善回路5−1においては、スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング出力に応じた高周波の交番電圧が得られる。
この交番電圧に応じて、高速リカバリ型とされたスイッチングダイオードD1-1が比較的高速にスイッチング動作を行うようにされる。このとき、スイッチングダイオードD1-1によるスイッチング動作は、交流入力電圧VACのレベルがそのピークレベルの1/2以上となる期間に行われるようになっており、これによって交流入力電圧VACのレベルが本来は平滑コンデンサCiの両端電圧よりも低いとされる期間にも、整流電流が流されるようになる。つまり、整流電流の導通角の拡大が図られるものである。
そして、このように整流電流の導通角の拡大が図られるということは、交流入力電流IACの導通角としても拡大されることとなり、これによって交流入力電流IACの平均的な波形が交流入力電圧VACの波形に近づくものとなって、力率の改善が図られる。
また、図10において、第2コンバータ部CVT−2側としても、力率改善回路5−2については、図示する高周波チョークコイルL-1(パワーチョークコイルPCC-2)、スイッチングダイオードD1-2について、上記した力率改善回路5−1の場合と同様の接続形態により接続し、さらに一次巻線N1-2、一次側直列共振コンデンサC1-2としても第1コンバータ部CVT−1の場合と同様の接続形態により接続している。これにより、上記説明による第1コンバータ部CVT−1の場合と同様の力率改善動作が得られる。
図11は、図10に示す電源回路部10bにおける各コンバータ部の対応負荷電力と、各コンバータ部に備えられる絶縁コンバータトランスと高周波チョークコイル(パワーチョークコイル)のそれぞれの磁心サイズについて示している。
この場合も、各コンバータ部の対応負荷電力としては、図2に示した電源回路部10aと同様となる。
つまり、第1コンバータ部CVT−1としては、この場合も二次側直流出力電圧Eo1に対し、第2コンバータ部CVT−2にて生成される二次側直流出力電圧Eo2を積み上げた直流電源E1を出力するようにされることで、その対応負荷電力は印刷時でPomax=150W、スタンバイ時ではPomin=0Wとなる。
また、第2コンバータ部CVT−2では、第1コンバータ部CVT−1における直流電源E1生成のために二次側直流出力電圧Eo2が分岐して供給されることで、直流電源E2の負荷電力については印刷時にPomax=150Wとなり、また、この場合も直流電源E2としてはスタンバイ電源を供給するようにされることからPomin=3Wとなる。また、直流電源E3の負荷電力は印刷時でPomax=15W、スタンバイ時でPomin=0Wとなる。
そして、電源回路部10bの総合的な負荷電力としても、図示するように印刷時でPomax=300W、スタンバイ時でPomin=3Wであり、先の電源回路部10aと同様となる。さらに、第1コンバータ部CVT−1での最大負荷電力はPomax=150W、第2コンバータ部CVT−2の最大負荷電力はPomax=150Wと、この場合も同等となるようにされる。
このようにして、各コンバータ部での対応負荷電力が同等とされることで、この場合も各コンバータ部の構成部品の共通化が図られ、電源回路部10bの製造効率の向上が図られる。
また、このように先の電源回路部10aと同様の対応負荷条件とされることで、電源回路部10bとしても、絶縁コンバータトランスPITの磁心サイズとしては各コンバータ部で共通のEER−39型となる。また、力率改善回路5−1、5−2に備えられるパワーチョークコイルPCC-1、PCC-2(高周波チョークコイルL-1、L-2)としては、図示するように共にEER−22型の磁心サイズとなる。
そして、この場合、絶縁コンバータトランスPIT-1、PIT-2としては、このように同じ磁心サイズであることから、電源回路部10bが備える絶縁コンバータトランスPITとしてのリアクターは1種のみである。また、各コンバータ部が備えるパワーチョークコイルPCC-1、PCC-2としても、上記のように磁心サイズが同等であり、このパワーチョークコイルPCCとしてのリアクターは1種のみとなる。
このことより、図10に示した電源回路部10bに備えられるリアクターの種類は2種のみである。
ここで、上記した各コンバータ部の対応負荷電力とされた場合での、電源回路部10bにおける各部の定数について示しておく。
<第1コンバータ部CVT−1>
・絶縁コンバータトランスPIT-1・・・EER−39型コア、ギャップG=2.2mm、結合係数k=0.75、一次巻線N1-1=33T、二次巻線N2-1=N2A1+N2B1=3T+3T=6T
・一次側直列共振コンデンサC1-1=0.056μF
・一次側部分共振コンデンサCp-1=1000pF
・二次側直列共振コンデンサC2A1=C2B1=2.2μF
・パワーチョークコイルPCC-1(高周波チョークコイルL-1)・・・EER−22型コア、ギャップG=1.0mm、インダクタンス=30μH
<第2コンバータ部CVT−2>
・絶縁コンバータトランスPIT-2・・・EER−39型コア、ギャップG=2.2mm、結合係数k=0.75、一次巻線N1-2=33T、二次巻線N2-2=N2A2+N2B2=3T+3T=6T
・一次側直列共振コンデンサC1-2=0.056μF
・一次側部分共振コンデンサCp-2=1000pF
・二次側直列共振コンデンサC2A2=C2B2=2.2μF
・パワーチョークコイルPCC-2(高周波チョークコイルL-2)・・・EER−22型コア、ギャップG=1.0mm、インダクタンス=30μH
このようにして図10に示す電源回路部10bとしても各コンバータ部の構成部品の共通化が図られていることが理解できる。
なお、この場合、各コンバータ部における絶縁コンバータトランスPITの結合係数kの設定としては、先の第1の実施の形態の場合とは異なるようにされているが、第2の実施の形態のように電力回生方式による力率改善回路を備えた場合では、結合係数kについて図2の回路の場合よりも高く設定する(ギャップ長を短く設定する)ことで、先の図8にて説明した単峰特性が得られるものである。
上記による各部の選定の下で、図10の電源回路部10bについて実験を行った結果、第1コンバータ部CVT−1及び第2コンバータ部CVT−2の総合的なAC→DC電力変換効率、及び力率PFについては以下のような結果が得られた。なお、ここでのAC→DC電力変換効率としても、最大負荷電力Pomax=150W時での数値を示すものである。
先ず、総合的なAC→DC電力変換効率について、交流入力電圧VAC=100V時、直流電源E1=24Vを出力する条件では、ηAC→DC=87.6%程度が得られた。また、交流入力電圧VAC=100V時、直流電源E1=37Vを出力する条件ではηAC→DC=88.0%程度であった。
さらに、交流入力電圧VAC=230V時、直流電源E1=24Vの場合はηAC→DC=88.3%程度、また直流電源E1=37Vの場合はηAC→DC=89.3%程度となる結果が得られた。
また、力率PFについては、交流入力電圧VAC=100V、負荷電力Pomax=300Wの条件では、PF=0.95程度となる結果が得られた。また、同じ負荷電力Pomax=300Wの条件において、交流入力電圧VAC=230V時にはPF=0.81であった。このような結果により、電源回路部10bでは実用充分な力率が得られていることがわかる。
ここで、上記したAC→DC電力変換効率についての結果と、先の図17に示した回路の場合の結果を比較してわかるように、第2の実施の形態としての電源回路部10bによれば、同じワイドレンジ対応化と力率改善とを図る構成として、図17に示した回路よりも各条件での総合的な電力変換効率が向上していることがわかる。
これは、電力回生方式による力率改善改善回路を備える構成とし、さらにスイッチング周波数の可変制御のみで安定化を図るワイドレンジ対応の構成とされていることで、アクティブフィルタを不要とすることができたことによる。すなわち、アクティブフィルタを備える場合のように前段と後段の2つの電力変換効率値の乗算により総合効率が低下するといった事態は生じないため、その分電源回路全体での電力変換効率の低下の抑制が図られるものである。
また、電源回路部10bでは、このようにアクティブフィルタを不要とできたことで、その分回路構成部品点数の削減が図られる。
つまりアクティブフィルタは、1組のコンバータを構成するものであり、先の説明からも分かるように、実際には1本のスイッチング素子と、これらを駆動するためのIC等を始め、多くの部品点数により構成される。
これに対し図10に示した電源回路部10bでは、力率改善及びワイドレンジ対応のために必要な追加部品として、少なくとも高周波インダクタL-1、L-2、フィルタコンデンサCN、スイッチングダイオードD1-1、D1-2、二次側直列共振コンデンサC2A1、C2B1、C2A2、C2B2が備えられればよいものであるから、アクティブフィルタと比較すれば非常に少ない部品点数とすることができる。
これにより、電源回路部10bとしては、力率改善機能を有するワイドレンジ対応の電源回路として、図17に示す回路よりもはるかに低コストとすることができる。また、部品点数が大幅に削減されることで、回路基板についても有効に小型軽量化を図ることができる。
また、電源回路部10bでは、共振形コンバータ及び力率改善回路5の動作はいわゆるソフトスイッチング動作であるから、図17に示したアクティブフィルタと比較すればスイッチングノイズのレベルは大幅に低減される。
このため、図10にも示したように、各1組のコモンモードチョークコイルCMCとアクロスコンデンサCLから成る1段のノイズフィルタを備えれば、電源妨害規格をクリアすることが充分に可能とされる。また、整流出力ラインのノーマルモードノイズについては、図10にも示しているように、チョークコイルLNとフィルタコンデンサCNとにより対策を行っている。
このようにしてノイズフィルタとしての部品点数が削減されることによっても、電源回路のコストダウンと、回路基板の小型軽量化は促進される。
また、図10に示す電源回路部10bの場合、一次側のコンバータ部を形成する各スイッチング素子は同期してスイッチング動作するものである。従って、一次側アース電位としては、図17の電源回路のように、アクティブフィルタ側と、その後段のスイッチングコンバータとの間で干渉することが無く、スイッチング周波数の変化に関わらず安定とすることができる。
これにより、従来のアクティブフィルタを備える図17の回路で問題となっていた、異常発振の抑制を図ることができる。
なお、実施の形態では、電源回路部10a、10bとしての、二次側にも共振回路を形成し結合係数kを所定以下にまで低下させた電源回路に本発明を適用する場合を例示したが、もちろん、図12に示したような従来の電流共振型コンバータを備える構成に対して適用した場合としても、各コンバータ部の構成部品の共通化を図って製造効率の向上が図られるという効果、及び高圧出力側の素子の負担軽減効果は同様に得ることができる。
さらには、電流共振型のみでなく、電圧共振型であっても、スイッチング周波数制御方式により二次側直流出力電圧についての安定化を行う構成であれば、本発明を好適に適用することができる。
ここで、本発明としてはこれまで説明した実施の形態に限定されるべきものではない。
例えば、絶縁コンバータトランスPITについては、コア形式などをはじめとして、その構造については適宜変更されて構わない。
また、実施の形態で例示したスイッチングコンバータは、他励式による電流共振形コンバータをその基礎としているが、例えば自励式による電流共振形コンバータを備えて構成することも可能である。また、スイッチングコンバータにおいて選定されるスイッチング素子としても、例えばバイポーラトランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などをはじめとしてMOS−FET以外の素子が採用されて構わない。
また、先に説明した各部品素子の定数なども、実際の条件等に応じて適宜変更されて構わないものである。
また、重負荷対応の構成として、商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)を入力して整流平滑電圧Eiを生成するための整流電流回路系を、交流入力電圧VACの2倍に対応するレベルの整流平滑電圧Eiを生成する倍電圧整流回路により構成することもできる。ただし、このようにして整流平滑電圧Eiを生成する整流平滑回路系を倍電圧整流回路とする構成は、AC100V系のみの単レンジ対応としての構成となる。
さらには、力率改善回路の構成としても実施の形態で例示したものに限定されるものではなく、これまでに本出願人が提案してきた各種の電力回生方式による回路形態を基とした構成を採用することも可能である。
また、実施の形態では、プリンタ装置の電源として適用する場合を例示したが、1つの電源回路から複数部位への複数の直流電源の供給を要するようにされた電子機器であれば、本発明によるスイッチング電源回路を好適に適用できる。
本発明における実施の形態としてのプリンタ装置の内部構成について示すブロック図である。 本発明における第1の実施の形態としてのスイッチング電源回路(電源回路部)の構成を示す回路図である。 実施の形態のスイッチング電源回路が備える絶縁コンバータトランスの構造例を示す断面図である。 図2に示すスイッチング電源回路における各コンバータ部の対応負荷電力について例示した図である。 実施の形態のスイッチング電源回路における交流入力電圧=100V時での要部の動作波形について示す波形図である。 実施の形態のスイッチング電源回路における交流入力電圧=230V時での要部の動作波形について示す波形図である。 実施の形態の電源回路を電磁結合形共振回路としてみた等価回路図である。 実施の形態の電源回路についての定電圧制御特性を示す図である。 実施の形態の電源回路の定電圧制御動作として、交流入力電圧条件及び負荷変動に応じたスイッチング周波数制御範囲(必要制御範囲)を示す図である。 第2の実施の形態としてのスイッチング電源回路(電源回路部)の構成を示す回路図である。 図10に示すスイッチング電源回路における各コンバータ部の対応負荷電力、及び絶縁コンバータトランスとチョークコイルの磁心サイズについて例示した図である。 先行技術としてのスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。 図2に示すスイッチング電源回路における各コンバータ部の対応負荷電力について例示した図である。 アクティブフィルタの基本的回路構成を示す回路図である。 図14に示すアクティブフィルタにおける動作を示す波形図である。 アクティブフィルタのコントロール回路系の構成を示す回路図である。 先行技術として、アクティブフィルタを実装したスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。 図17に示すスイッチング電源回路における各コンバータ部の対応負荷電力、及び絶縁コンバータトランスとチョークコイルの磁心サイズについて例示した図である。 先行技術としての電源回路についての定電圧制御特性を示す図である。
符号の説明
1-1、1-2 制御回路、2-1、2-2 発振・ドライブ回路、3 消費電力削減スイッチ回路、4 PWM制御回路、5-1、5-2 力率改善回路、Di ブリッジ整流回路、Ci 平滑コンデンサ、CVT−1 第1コンバータ部、CVT−2 第2コンバータ部、Q1,Q2,Q3、Q4 スイッチング素子、PIT-1、PIT-2 絶縁コンバータトランス、C1-1、C1-2 一次側直列共振コンデンサ、C2A1、C2B1、C2A2、C2B2 二次側直列共振コンデンサ、Cp-1,Cp-2 一次側部分共振コンデンサ、N1-1、N1-2 一次巻線、N2-1,N2-2、N2A1,N2B1、N2A2、N2B2 二次巻線、Do1A1〜Do4A1、Do1B1〜Do4B1、Do1A2〜Do4A2、Do1B2〜Do4B2 (二次側)整流ダイオード、CoA,CoB、Co2、Co3 (二次側)平滑コンデンサ、10 プリンタ装置、10a、10b 電源回路部、11 USBインタフェース、12 マイクロコンピュータ、13 データ処理部、14 制御部、15 ドライバ、16 プリント駆動機構部

Claims (8)

  1. 直流入力電圧についてスイッチング動作を行って直流出力電圧を生成するように構成されたスイッチングコンバータ部として、
    上記直流入力電圧を入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、
    上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段と、
    上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線により交番電圧が誘起される二次巻線とが巻装されて形成される絶縁コンバータトランスと、
    上記二次巻線に得られる交番電圧を整流平滑化して、少なくとも1以上の二次側直流出力電圧を生成するように構成された二次側直流出力電圧生成手段と、
    上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング駆動手段を制御して、上記スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、上記二次側直流出力電圧について定電圧制御を行う定電圧制御手段と、
    を備えたスイッチングコンバータ部を2以上備えると共に、
    少なくとも1つの上記スイッチングコンバータ部は、他のスイッチングコンバータ部において生成される少なくとも1つの二次側直流出力電圧を重畳した上記二次側直流出力電圧を負荷側に対して出力するように構成されている、
    ことを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. 上記スイッチングコンバータ部は、
    さらに、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、上記一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって少なくとも形成されて第1の共振周波数が設定され、上記スイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路と、
    上記絶縁コンバータトランスの上記二次巻線の漏洩インダクタンス成分と、上記二次巻線に直列接続される二次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって少なくとも形成されて第2の共振周波数が設定される二次側直列共振回路と、を備えると共に、
    上記絶縁コンバータトランスは、
    上記一次側直列共振回路と上記二次側直列共振回路とを有して形成される電磁結合形共振回路についての、上記スイッチング周波数を有する周波数信号の入力に対する出力特性が単峰特性となるようにしてコアの所定位置に形成されるギャップ長が設定されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  3. さらに、外部から供給される制御信号に基づき、少なくとも1つの上記スイッチングコンバータ部における、少なくとも1つの上記二次側直流出力電圧の出力ラインに挿入したスイッチをオフとすることで、この二次側直流出力電圧の負荷側への供給を停止するように構成された出力電圧供給停止手段を備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  4. さらに、商用交流電源を整流平滑化して上記直流入力電圧を生成する整流平滑手段を備えると共に、
    上記スイッチングコンバータ部は、
    上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られる電力に基づいて、上記整流平滑手段による整流動作によって得られる整流電流を断続するようにしてスイッチングするようにされた力率改善用スイッチング素子を備えて構成される力率改善手段を備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  5. 直流入力電圧についてスイッチング動作を行って直流出力電圧を生成するように構成されたスイッチングコンバータ部として、
    上記直流入力電圧を入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、
    上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段と、
    上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線により交番電圧が誘起される二次巻線とが巻装されて形成される絶縁コンバータトランスと、
    上記二次巻線に得られる交番電圧を整流平滑化して、プリンタ装置を構成する所定部に対する動作電源として供給される、少なくとも1以上の二次側直流出力電圧を生成する二次側直流出力電圧生成手段と、
    上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング駆動手段を制御して、上記スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、上記二次側直流出力電圧について定電圧制御を行う定電圧制御手段と、
    を備えたスイッチングコンバータ部を2以上備えると共に、
    少なくとも1つの上記スイッチングコンバータ部は、他のスイッチングコンバータ部において生成される少なくとも1つの二次側直流出力電圧を重畳した上記二次側直流出力電圧を負荷側に対して出力するように構成されているスイッチング電源回路を備えて構成される、
    ことを特徴とするプリンタ装置。
  6. 上記スイッチング電源回路において、
    上記スイッチングコンバータ部は、さらに、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、上記一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって少なくとも形成されて第1の共振周波数が設定され、上記スイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路と、
    上記絶縁コンバータトランスの上記二次巻線の漏洩インダクタンス成分と、上記二次巻線に直列接続される二次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって少なくとも形成されて第2の共振周波数が設定される二次側直列共振回路とを備えると共に、
    上記絶縁コンバータトランスは、
    上記一次側直列共振回路と上記二次側直列共振回路とを有して形成される電磁結合形共振回路についての、上記スイッチング周波数を有する周波数信号の入力に対する出力特性が単峰特性となるようにしてコアの所定位置に形成されるギャップ長が設定されている、
    ことを特徴とする請求項5に記載のプリンタ装置。
  7. 上記スイッチング電源回路は、
    制御信号に基づき、少なくとも1つの上記スイッチングコンバータ部における、少なくとも1つの上記二次側直流出力電圧の出力ラインに挿入したスイッチをオフとすることで、この二次側直流出力電圧の上記所定部への供給を停止するように構成された出力電圧供給停止手段をさらに備えるようにされ、
    さらに、上記二次側直流出力電圧が動作電源として供給される上記所定部の動作を停止させるべき状態となることに応じ、上記スイッチング電源回路に対して上記制御信号を供給する消費電力削減制御手段を備えるようにされている、
    ことを特徴とする請求項5に記載のプリンタ装置。
  8. 上記スイッチング電源回路は、さらに、商用交流電源を整流平滑化して上記直流入力電圧を生成する整流平滑手段を備えると共に、
    上記スイッチングコンバータ部は、
    上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られる電力に基づいて、上記整流平滑手段による整流動作によって得られる整流電流を断続するようにしてスイッチングするようにされた力率改善用スイッチング素子を備えて構成される力率改善手段を備える、
    ことを特徴とする請求項5に記載のプリンタ装置。
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