JP2006094584A - スイッチング電源回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スイッチング周波数制御により定電圧制御を行い、力率改善機能を有する電源回路において、スイッチング周波数制御の必要制御範囲の縮小化を図り、ワイドレンジ対応の構成を実現する。
【解決手段】 電流共振形コンバータを形成する一次側直列共振回路と共に、少なくとも二次巻線N2及び二次側直列共振コンデンサC2とにより形成される二次側直列共振回路を備えることで、絶縁コンバータトランスPITの電磁結合による結合形共振回路を形成し、単峰特性を得るために、絶縁コンバータトランスPITの総合結合係数を設定する。そして、一次巻線N1及び二次巻線N2の少なくともいずれか一方に対してインダクタを直列に挿入する回路形態を形成するようにされる。力率改善は、電力回生方式又は電圧帰還方式による力率改善回路を備える。また、複数の二次巻線の出力から二次側直流出力電圧Eoを生成することでより重負荷の条件に対応できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種電子機器の電源として備えられるスイッチング電源回路に関する。
特開平6−327246号公報(第11図)
近年、高周波の比較的大きい電流及び電圧に耐えることができるスイッチング素子の開発によって、商用電源を整流して所望の直流電圧を得る電源回路としては、大部分がスイッチング方式の電源回路になっている。
スイッチング電源回路はスイッチング周波数を高くすることによりトランスその他のデバイスを小型にすると共に、大電力のDC−DCコンバータとして各種の電子機器の電源として使用される。
ところで、一般に商用電源を整流すると平滑回路に流れる電流は歪み波形になるため、電源の利用効率を示す力率が損なわれるという問題が生じる。
また、このような歪み電流波形となることによって発生する、高調波を抑圧するための対策が必要とされている。
また、スイッチング電源回路としては、例えば日本や米国等の交流入力電圧AC100V系の地域と、欧州等のAC200V系の地域に対応するように、例えば約AC85V〜288Vの交流入力電圧範囲に対応した動作が可能に構成された、いわゆるワイドレンジ対応の電源回路が知られている。
ここで、上記した共振形コンバータとしては、コンバータを形成するスイッチング素子のスイッチング周波数を制御すること(スイッチング周波数制御方式)により安定化を図るように構成したものが知られている。
このようなスイッチング周波数制御方式による共振形コンバータとして、例えば汎用の発振・ドライブ回路ICなどによりスイッチング素子をスイッチング駆動するような構成では、例えばスイッチング周波数fsの可変範囲は最大で、fs=50kHz〜250kHz程度となっている。このような可変範囲である場合、例えば負荷電力Poの変動範囲がPo=0Wから90W程度まで、さらには150W程度までの比較的大きな変動幅となる負荷条件では、ワイドレンジとしてのAC85V〜288Vの交流入力電圧範囲に対応して安定化を図ることはほぼ不可能となる。
例えばAC85V〜144V程度の変動に対応するAC100V系の単レンジの構成において、負荷電力Po=150W〜0Wの負荷変動に対応する安定化を行うとした場合は、スイッチング周波数の可変範囲はおよそ80kHz〜200kHz程度となる。その上で上記のようなAC85V〜288Vの変動に対応するワイドレンジの構成を実現するためには、スイッチング周波数の制御範囲として例えば80kHz〜500kHz程度のさらに広範囲が必要となり、上記した発振・ドライブICの最大可変範囲ではこれを制御することが実質的に不可能となる。
また、仮に発振・ドライブICとしてこのような広範囲な周波数の制御範囲が実現可能とされたとしても、スイッチング周波数が400kHzや500kHzといった高周波となることに伴っては、例えばスイッチング素子やトランスにおける損失が増大し、電力変換効率として実用的な数値を得ることが非常に困難となる。
これらのことから、共振形コンバータでは、スイッチング周波数制御によるワイドレンジ対応の構成が実質的に不可能であるとされている。
そこで従来においては、共振形コンバータにおいてワイドレンジ対応の構成を実現し、さらに力率の改善を図ることのできる技術として、いわゆるアクティブフィルタを用いる手法が知られている(例えば上記特許文献1参照)。
このようなアクティブフィルタの基本構成としては、例えば図19に示すようになる。
この図19においては、商用交流電源ACにブリッジ整流回路Diを接続している。このブリッジ整流回路Diの正極/負極ラインに対しては並列に出力コンデンサCoutが接続される。ブリッジ整流回路Diの整流出力が出力コンデンサCoutに供給されることで、出力コンデンサCoutの両端電圧として直流電圧Voutが得られる。この直流電圧Voutは、例えば後段のDC−DCコンバータなどの負荷110に入力電圧として供給される。
また、力率改善のための構成としては、図示するようにして、インダクタL、高速リカバリ型のダイオードD、抵抗Ri、スイッチング素子Q、及び乗算器111を備える。
インダクタL、ダイオードDは、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、出力コンデンサCoutの正極端子との間に、直列に接続されて挿入される。
抵抗Riは、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子(一次側アース)と出力コンデンサCoutの負極端子との間に挿入される。
また、スイッチング素子Q1は、この場合にはMOS−FETが選定されており、図示するようにしてインダクタLとダイオードDの接続点と、一次側アース間に挿入される。
乗算器111に対しては、フィードフォワード回路として、電流検出ラインLI及び波形入力ラインLwが接続され、フィードバック回路として電圧検出ラインLVが接続される。
乗算器111は、電流検出ラインLIから入力される、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子に流れる整流電流レベルを検出する。
また、波形入力ラインLwから入力される、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子の整流電圧波形を検出する。これは、即ち、商用交流電源AC(交流入力電圧)の波形を絶対値化して検出していることに相当する。
また、電圧検出ラインLVから入力される、出力コンデンサCoutの直流電圧Voutに基づいて、直流入力電圧の変動差分を検出する。
そして、乗算器111からは、スイッチング素子Qを駆動するためのドライブ信号が出力される。
電流検出ラインLIから乗算器111に対しては、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子に流れる整流電流が入力される。乗算器111では、この電流検出ラインLIから入力された整流電流レベルを検出する。また、電圧検出ラインLVから入力される、出力コンデンサCoutの直流電圧Voutに基づいて、直流入力電圧の変動差分を検出する。また、波形入力ラインLwから入力される、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子の整流電圧波形を検出する。これは、即ち、商用交流電源AC(交流入力電圧)の波形を絶対値化して検出していることに相当する。
乗算器111では、先ず、上記のようにして電流検出ラインLIから検出した整流電流レベルと、上記電圧検出ラインLVから検出した直流入力電圧の変動差分と乗算する。そして、この乗算結果と、波形入力ラインLwから検出した交流入力電圧の波形とによって、交流入力電圧VACと同一波形の電流指令値を生成する。
さらに、この場合の乗算器111では、上記電流指令値と実際の交流入力電流レベル(電流検出ラインL1からの入力に基づいて検出される)を比較し、この差に応じてPWM信号についてPWM制御を行い、PWM信号に基づいたドライブ信号を生成する。そして、スイッチング素子Qは、このドライブ信号によってスイッチング駆動される。この結果、交流入力電流は交流入力電圧と同一波形となるように制御されて、力率がほぼ1に近付くようにして力率改善が図られることになる。また、この場合には、乗算器によって生成される電流指令値は、整流平滑電圧の変動差分に応じて振幅が変化するように制御されるため、整流平滑電圧の変動も抑制されることになる。
図20(a)は、図19に示したアクティブフィルタ回路に入力される入力電圧Vin及び入力電流Iinを示している。電圧Vinは、ブリッジ整流回路Diの整流出力としての電圧波形に対応し、電流Iinは、ブリッジ整流回路Diの整流出力としての電流波形に対応する。ここで、電流Iinの波形は、ブリッジ整流回路Diの整流出力電圧(電圧Vin)と同じ導通角となっているが、これは、商用交流電源ACからブリッジ整流回路Diに流れる交流入力電流の波形も、この電流Iinと同じ導通角となっていることを示す。つまり、ほぼ1に近い力率が得られている。
また、図20(b)は、出力コンデンサCoutに入出力するエネルギー(電力)Pchgの変化を示す。出力コンデンサCoutは、入力電圧Vinが高いときにエネルギーを蓄え、入力電圧Vinが低いときにエネルギーを放出して、出力電力の流れを維持する。
図20(c)は、上記出力コンデンサCoutに対する充放電電流Ichgの波形を示している。この充放電電流Ichgは、上記図20(b)の入出力エネルギーPchgの波形と同位相となっていることからも分かるように、出力コンデンサCoutにおけるエネルギーPchgの蓄積/放出動作に対応して流れる電流である。
上記充放電電流Ichgは、入力電流Vinとは異なり、交流ライン電圧(商用交流電源AC)の第2高調波とほぼ同一の波形となる。交流ライン電圧には、出力コンデンサCoutとの間のエネルギーの流れによって、図20(d)に示すようにして、第2高調波成分にリップル電圧Vdが生じる。このリップル電圧Vdは、無効なエネルギー保存のために、図20(c)に示す充放電電流Ichgに対して、90°の位相差を有する。出力コンデンサCoutの定格は、第2高調波のリップル電流と、その電流を変調するブースト・コンバータ・スイッチからの高周波リップル電流を処理することを考慮して決定するようにされる。
また、図21には、先の図19の回路構成を基として、基本的なコントロール回路系を備えたアクティブフィルタの構成例を示している。なお、図19と同一とされる部分については同一符号を付して説明を省略する。
ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、出力コンデンサCoutの正極端子間には、スイッチングプリレギュレータ115が備えられる。このスイッチングプリレギュレータ115は、図19においては、スイッチング素子Q、インダクタL、及びダイオードDなどにより形成される部位となる。
そして、乗算器111を含むコントロール回路系は、他に、電圧誤差増幅器112、除算器113、二乗器114を備えて成る。
電圧誤差増幅器112では、出力コンデンサCoutの直流電圧Voutを、分圧抵抗Rvo−Rvdにより分圧してオペアンプ112aの非反転入力に入力する。オペアンプ112aの反転入力には基準電圧Vrefが入力される。オペアンプ112aでは、基準電圧Vrefに対する分圧された直流電圧Voutの誤差に応じたレベルの電圧を、帰還抵抗Rvl、コンデンサCvlによって決定される増幅率により増幅して、誤差出力電圧Vveaとして除算器113に出力する。
また、二乗器114には、いわゆるフィードフォワード電圧Vffが入力される。このフィードフォワード電圧Vffは、入力電圧Vinを平均化回路116(Rf11,Rf12,Rf13,Cf11,Cf12)により平均化した出力(平均入力電圧)とされる。二乗器114では、このフィードフォワード電圧Vffを二乗して除算器113に出力する。
除算器113では、電圧誤差増幅器112からの誤差出力電圧Vveaについて、二乗器114から出力された平均入力電圧の二乗値により除算を行い。この除算結果としての信号を乗算器111に出力する。
つまり、電圧ループは、二乗器114、除算器113、乗算器111の系から成るものとされる。そして、電圧誤差増幅器112から出力される誤差出力電圧Vveaは、乗算器111で整流入力信号Ivacにより乗算される前の段階で、平均入力電圧(Vff)の二乗により除算されることになる。この回路によって、電圧ループの利得は、平均入力電圧(Vff)の二乗として変化することなく、一定に維持される。平均入力電圧(Vff)は、電圧ループ内において順方向に送られる開ループ補正の機能を有する。
乗算器111には、上記除算器111により誤差出力電圧Vveaを除算した出力と、抵抗Rvacを介したブリッジ整流回路Diの正極出力端子(整流出力ライン)の整流出力(Iac)が入力される。ここでは、整流出力を電圧によるのではなく、電流(Iac)として示している。乗算器111では、これらの入力を乗算することによって、電流プログラミング信号(乗算器出力信号)Imoを生成して出力する。これは、図19にて説明した電流指令値に相当する。出力電圧Voutは、この電流プログラミング信号の平均振幅を可変することで制御される。つまり、電流プログラミング信号の平均振幅の変化に応じたPWM信号が生成され、このPWM信号に基づいたドライブ信号によってスイッチング駆動が行われることによって、出力電圧Voutのレベルをコントロールするものである。
したがって、電流プログラミング信号は、入力電圧と出力電圧を制御する平均振幅の波形を有する。なお、アクティブフィルタは、出力電圧Voutのみではなく、入力電流Vinも制御するようになっている。そして、フィードフォワード回路における電流ループは、整流ライン電圧によってプログラムされるということがいえるので、後段のコンバータ(負荷110)への入力は抵抗性になる。
図22は、図19に示した構成に基づくアクティブフィルタの後段に対して電流共振形コンバータを接続して成る電源回路の構成例を示している。この図に示す電源回路は、AC100V系とAC200V系の双方の交流入力電圧に対応する、いわゆるワイドレンジ対応とされている。また、負荷電力0〜150Wの条件に対応可能な構成を採っている。また、電流共振形コンバータとしては、他励式のハーフブリッジ結合方式による構成を採る。
この図22に示す電源回路においては、商用交流電源ACに対して、図示する接続態様により、2組のコモンモードチョークコイルCMCによるコモンモードノイズフィルタと、3組のアクロスコンデンサCLが接続され、この後段にブリッジ整流回路Diが接続される。
また、ブリッジ整流回路Diの整流出力ラインには、1組のチョークコイルLNと、2組のフィルタコンデンサ(フィルムコンデンサ)CN,CNを図示するようにして接続して成るノーマルモードノイズフィルタ125が接続される。
ブリッジ整流回路Diの正極出力端子は、上記チョークコイルLNと、パワーチョークコイルPCCのインダクタLpcと、高速リカバリ型の整流ダイオードD20の直列接続を介して、平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。この平滑コンデンサCiは、図19、図21における出力コンデンサCoutに相当する。また、パワーチョークコイルPCCのインダクタLpcとダイオードD20は、それぞれ、図19に示したインダクタLとダイオードDに相当する。
また、この図における整流ダイオードD20には、コンデンサCsn−抵抗Rsnから成るRCスナバ回路が並列に接続される。
スイッチング素子Q3は、図19におけるスイッチング素子Q10に相当する。つまり、実際にアクティブフィルタのスイッチング素子を実装するのにあたって、この場合にはスイッチング素子Q3をパワーチョークコイルLpcと高速リカバリ型の整流ダイオードD20の接続点と、一次側アース(抵抗R3を介する)との間に挿入するようにしている。
この場合のスイッチング素子Q3にはMOS−FETが選定されている。
力率・出力電圧制御用IC120は、この場合には力率を1に近づけるように力率改善を行うアクティブフィルタの動作を制御する集積回路(IC)とされている。
この場合、力率・出力電圧制御回路20は、乗算器、除算器、誤差電圧増幅器、PWM制御回路、及びスイッチング素子をスイッチング駆動するためのドライブ信号を出力するドライブ回路等を備えて構成される。図21に示した乗算器111、電圧誤差増幅器112、除算器113、及び二乗器114などに相当する回路部は、この力率・出力電圧制御IC20内に搭載される。
この場合、フィードバック回路は平滑コンデンサCiの両端電圧(整流平滑電圧Ei)を分圧抵抗R5,R6により分圧した電圧値を、力率・出力電圧制御IC20の端子T1に入力するようにして形成される。
また、フィードフォワード回路としては、スイッチング素子Q3のソースと一次側アース間に挿入される抵抗R3の接続点から、抵抗R4を介して端子T2に対し整流電流レベルを入力するようにしている。つまり、図19における電流検出ラインLIに相当するラインとしてのフィードフォワード回路が形成されている。
また、端子T4には、力率・出力電圧制御IC20の動作電源が供給される。この端子T4には、パワーチョークコイルPCCにおける、インダクタLpcとトランス結合された巻線N5に励起された交番電圧が、図示するダイオードD11及びコンデンサC11とから成る半波整流回路により低圧直流電圧に変換されて供給される。
また、端子T3からは、スイッチング素子を駆動するためのドライブ信号がスイッチング素子Q3のゲートに対して出力される。
スイッチング素子Q3は、印加されるドライブ信号に応じてスイッチング動作を行う。
そして、スイッチング素子Q3のスイッチング駆動は、図19及び図21により説明したようにして、整流出力電流の導通角が、整流出力電圧波形とほぼ同等の導通角となるように、PWM制御に基づくドライブ信号によって行われる。整流出力電流の導通角が整流出力電圧波形とほぼ同等の導通角となるということは、即ち、商用交流電源ACから流入する交流入力電流の導通角が、交流入力電圧VACの波形とほぼ同じ導通角となることであり、結果的に、力率がほぼ1となるように制御されることになる。つまり、力率改善が図られる。
ここで、実際における力率改善動作を示すものとして、図23、図24に、図22に示す回路にて得られる交流入力電流IACの波形を、交流入力電圧VACとの対比により示す。なお、これらの図において、図23では交流入力電圧VAC=100V時の、また図24では交流入力電圧VAC=230V時の結果を示している。
図23に示されるように、交流入力電圧VAC=100V時では、交流入力電流IACのピークレベルは6.5Apとなる。そして、交流入力電流IACの導通期間としては、交流入力電圧VACの導通期間とほぼ一致するようにされて、力率の改善が図られていることがわかる。
また、図24に示す交流入力電圧VAC=230V時では、交流入力電流IACのピークレベルは3.0Apとなり、この場合もその導通期間は交流入力電圧VACの導通期間とほぼ一致するようにされ、力率の改善が図られていることが理解できる。
また、このような力率の改善と共に、図22に示す力率・出力電圧制御IC20によっては、整流平滑電圧Ei(図21では、Voutに相当する)=380Vの平均値について、交流入力電圧VAC=85V〜264Vの範囲で定電圧化するようにも動作する。つまり、後段の電流共振形コンバータには、交流入力電圧VAC=85V〜264Vの変動範囲に関わらず、380Vで安定化された直流入力電圧が供給されることとなる。このことは、上記した図23、図24において、交流入力電流IACのピークレベルが交流入力電圧VAC=230時に1/2以下に低下していることによっても示されている。
そして、このような交流入力電圧VAC=85V〜264Vの範囲は、商用交流電源AC100V系と200V系を連続的にカバーするものであり、従って、後段のスイッチングコンバータには、商用交流電源AC100V系と200V系とで、同じレベルで安定化された直流入力電圧(Ei)が供給されることとなる。つまり、図22に示す電源回路は、アクティブフィルタを備えることで、ワイドレンジの電源回路としても構成されている。
アクティブフィルタの後段の電流共振形コンバータは、図示するようにして、2石のスイッチング素子Q1,Q2を備えて成る。この場合には、スイッチング素子Q1がハイサイドで、スイッチング素子Q2がローサイドとなるようにしてハーフブリッジ接続し、整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)に対して並列に接続している。つまり、ハーフブリッジ結合方式による電流共振形コンバータを形成している。
この場合の電流共振形コンバータは他励式とされ、これに対応して上記スイッチング素子Q1,Q2には、MOS−FETが用いられている。これらスイッチング素子Q1,Q2に対しては、それぞれ並列にクランプダイオードDD1,DD2が接続され、これによりスイッチング回路が形成される。これらクランプダイオードDD1,DD2は、スイッチング素子Q1,Q2のターンオフ時における逆方向電流を流す経路を形成する。
スイッチング素子Q1,Q2は、発振・ドライブ回路2によって、交互にオン/オフとなるタイミングによって所要のスイッチング周波数によりスイッチング駆動される。また、発振・ドライブ回路2は、図示する制御回路1による後述する二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じた制御に基づき、スイッチング周波数を可変制御するように動作し、これにより、二次側直流出力電圧Eoの安定化を図るようにされる。
絶縁コンバータトランスPITは、上記スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力を一次側から二次側に伝送するために設けられる。
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の一方の端部は、スイッチング素子Q1,Q2の接続点(スイッチング出力点)に対して接続され、他方の端部は、直列共振コンデンサC1を介して一次側アースに接続される。ここで、直列共振コンデンサC1は、自身のキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンス(L1)とによって直列共振回路を形成する。この直列共振回路は、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力が供給されることで共振動作を生じるが、これによって、スイッチング素子Q1,Q2から成るスイッチング回路の動作を電流共振形とする。
絶縁コンバータトランスPITの二次側には二次巻線N2が巻装される。
この場合の二次巻線N2に対しては、図示するようにしてブリッジ接続された整流ダイオードD1〜D4によるブリッジ整流回路、及び平滑コンデンサCoから成る全波整流回路を接続している。これにより、平滑コンデンサCoの両端電圧として二次側直流出力電圧Eoが得られる。この二次側直流出力電圧Eoは、図示しない負荷側に供給されるとともに、上記した制御回路1のための検出電圧としても分岐して入力される。制御回路1は、入力される二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じた制御信号を発振・ドライブ回路2に対して供給する。発振・ドライブ回路2は、この制御信号に応じて二次側直流出力電圧Eoが安定化されるようにスイッチング周波数を可変するようにしてスイッチング素子Q1,Q2を駆動するようにされる。つまり、スイッチング周波数制御方式による安定化が行われるものである。
図25は、負荷変動に対するAC→DC電力変換効率(総合効率)、力率、及び整流平滑電圧Eiの各特性を示している。この図では、負荷電力Po=150W〜0Wの変動に対する特性が示されている。また、交流入力電圧VAC=100V時(AC100V系)の特性を実線で示し、交流入力電圧VAC=230V時(AC200V系)の特性を破線で示している。
また、図26は、交流入力電圧VACの変動に対するAC→DC電力変換効率(総合効率)、力率、及び整流平滑電圧Eiの各特性を示している。この図では、負荷電力Po=150Wで一定の負荷条件の下での、交流入力電圧VAC=85V〜264Vの変動に対する特性が示される。
先ず、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)は、図25に示すようにして、負荷電力Poが重負荷の条件となるのに従って高くなっていく傾向となっている。また、交流入力電圧VACの変動に対しては、同じ負荷条件の下では、図25及び図26に示されるように、交流入力電圧VACのレベルが高くなっていくのに応じて高くなっていく傾向となっている。
実際においては、負荷電力Po=150Wの負荷条件で、交流入力電圧VAC=100V時には、ηAC→DC=88.0%程度が得られ、交流入力電圧VAC=230V時にはηAC→DC=91.0%程度が得られている。
また、力率PFについては、図25に示すように、負荷電力Poが重負荷の傾向となるのに従って高くなっていく傾向を有している。また、交流入力電圧VACの変動に対しては、図25及び図26に示されるように、交流入力電圧VACのレベルが上昇するのに応じて、低下する傾向となっていることが分かる。
実際としては、負荷電力Po=150Wの負荷条件で、交流入力電圧VAC=100V時には力率PF=0.99程度、交流入力電圧VAC=230V時には力率PF=0.98程度が得られる。
また、整流平滑電圧Eiについては、図25、図26に示されるように、負荷電力Po=150W〜0W、交流入力電圧VAC=85V〜264Vの変動に対して一定となる結果が得られている。
これまでの説明から分かるように、図22に示した電源回路は、従来から知られている図19及び図21に示したアクティブフィルタを実装して構成されている。このような構成を採ることによって、力率改善を図っている。また、負荷電力が150W以下の条件の下で、商用交流電源AC100V系とAC200V系とで動作する、いわゆるワイドレンジ対応の構成を実現している。
しかしながら、図22に示した構成による電源回路としても、次のような問題を有している。
先ず、図22に示す電源回路における電力変換効率としては、図示もしているように、前段のアクティブフィルタに対応するAC→DC電力変換効率と、後段の電流共振形コンバータのDC→DC電力変換効率とを総合したものとなる。
つまり、図22に示される回路の総合的な電力変換効率としては、これらの電力変換効率の値を乗算した値となるものであり、その分低下傾向となってしまう。
実験によれば、図22の回路におけるアクティブフィルタに対応する部分でのAC→DC電力変換効率は、交流入力電圧VAC=100V時ではηAC→DC=93%程度、交流入力電圧VAC=230Vの条件ではηAC→DC=96%程度となる。また、電流共振形コンバータ側でのDC→DC電力変換効率は、負荷電力Po=150W、整流平滑電圧Ei=380V時にηDC→DC=95%程度である。
従って、図22の回路における総合的なAC→DC電力変換効率としては、先の図25、図26にて説明したように、交流入力電圧VAC=100V時ではηAC→DC=88.0%程度に低下し、交流入力電圧VAC=230V時としてもηAC→DC=91.0%程度に低下してしまう。
また、アクティブフィルタ回路はハードスイッチング動作であることから、ノイズの発生レベルが非常に大きいため、比較的重度のノイズ抑制対策が必要となる。
このため、図22に示した回路では、商用交流電源ACのラインに対して、2組のコモンモードノイズチョークコイルと、3組のアクロスコンデンサによるノイズフィルタを形成している。つまり、2段以上のフィルタが必要となっている。
また、整流出力ラインに対しては、1組のチョークコイルLNと、2組のフィルタコンデンサCNから成るノーマルモードノイズフィルタを設けている。さらに、整流用の高速リカバリ型のダイオードD20に対しては、RCスナバ回路を設けている。
このようにして、実際の回路としては非常に多くの部品点数によるノイズ対策が必要であり、コストアップ及び電源回路基板の実装面積の大型化を招いている。
さらに、汎用ICとしての力率・出力電圧制御用IC120によって動作するスイッチング素子Q3のスイッチング周波数は60kHzで固定であるのに対して、後段の電流共振形コンバータのスイッチング周波数は80kHz〜200kHzの範囲で可変する。このようにして両者のスイッチングタイミングが個々に独立して行われることで、両者のスイッチング動作により、一次側アース電位は干渉しあって不安定になり、例えば異常発振が生じやすくなる。これにより、例えば回路設計が難しいものとなったり、信頼性を劣化させるなどの問題も招くことになる。
そこで本発明は上記した課題を考慮して、スイッチング電源回路として次のように構成する。
つまり、直流入力電圧を入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段とを備える。
また、上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線により交番電圧が誘起される複数の二次巻線とが巻装されて形成され、一次側と二次側とで所定の結合係数が得られるようにして、コアの所定位置に形成されるギャップ長が設定される絶縁コンバータトランスを備える。
また、少なくとも、絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成されて第1の共振周波数が設定され、上記スイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路を備える。
また、少なくとも、上記絶縁コンバータトランスの各二次巻線の漏洩インダクタンス成分と、上記各二次巻線に直列接続される二次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって各々形成されて第2の共振周波数が設定される二次側直列共振回路を備える。
また、上記各二次巻線に得られる交番電圧について倍電流整流動作を行って、その整流出力を共通の二次側平滑コンデンサにより平滑化して二次側直流出力電圧を生成する二次側直流出力電圧生成手段と、二次側直流出力電圧のレベルに応じてスイッチング駆動手段を制御して、スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、二次側直流出力電圧について定電圧制御を行う定電圧制御手段を備える。
また、スイッチング手段のスイッチング動作により一次側直列共振回路に得られるスイッチング出力を、整流平滑手段を形成する整流平滑回路の所定の整流電流経路に対して帰還し、この帰還されたスイッチング出力により整流電流を断続するようにして動作するもので、少なくとも力率改善用インダクタと力率改善用スイッチング素子とを有して形成される力率改善手段を備える。
また、一次巻線に対して直列となる接続関係を有し、一次側直列共振回路と二次側直列共振回路とを有して形成される電磁結合形共振回路の出力特性が、スイッチング周波数を有する周波数信号の入力に対して単峰特性となるようにして、所定の一次側と二次側との総合結合係数が設定されるように設けられる結合係数設定用インダクタとを備えることとした。
上記構成によるスイッチング電源回路では、一次側直列共振回路に得られるスイッチング出力を整流電流に帰還する方式による力率改善機能を備え、かつ、一次側のスイッチング動作を電流共振形とする一次側直列共振回路が形成されたスイッチングコンバータの構成を採った上で、二次側に対しても直列共振回路を形成するものとしている。
このような構成を採ることで、本発明のスイッチング電源回路としては絶縁コンバータトランスの電磁結合による結合形共振回路を形成することになる。そのうえで、絶縁コンバータトランスの一次巻線に対して直列接続の関係となる結合係数設定用インダクタを設けることで、この結合係数設定用インダクタのインダクタンスと、絶縁コンバータトランス自体のリーケージインダクタンスとの合成により、電源回路内における絶縁コンバータトランスの総合的な結合係数(総合結合係数)について、疎結合と見なされる所定値が設定されるようにしている。
このようにして、絶縁コンバータトランスの総合結合係数について疎結合とされる値が設定されることで、上記結合形共振回路に対する入力であるスイッチング周波数の周波数信号(スイッチング出力)に対する出力特性として、急峻な単峰特性を得ることが可能となる。この結果、一次側にのみ直列共振回路を形成した場合よりも、安定化に要するスイッチング周波数の可変範囲(必要制御範囲)を縮小することができる。
また、上記単峰特性を得るに足る程度の疎結合の状態を得るのにあたっては、絶縁コンバータトランス自体のリーケージインダクタンスに対して、インダクタのインダクタンス合成させていることで、絶縁コンバータトランス自体のリーケージインダクタンスについては一定以下とすることができる。つまり、絶縁コンバータトランスのリーケージインダクタンスの決定要因であるギャップ長について一定以下とすることができ、特にギャップ長を拡大する必要が無くなる。
また、本発明では、二次側において複数の二次巻線が巻装されて、各二次巻線に得られる交番電圧についての整流出力が共通の二次側平滑コンデンサによって平滑化されて二次側直流出力電圧が生成される。つまり、これによれば、この場合の二次側直流出力電圧は、並列に設けられた複数の二次巻線の出力に基づいて生成することができる。
このようにすることで、同じ負荷条件に対応するにあたって、二次巻線を1つのみとする場合よりも二次側の整流電流のレベルを低減できる。
このようにして本発明によれば、定電圧制御に必要なスイッチング周波数の可変制御範囲(必要制御範囲)が縮小される。
これにより、力率改善機能を有する共振形コンバータとして、スイッチング周波数制御のみによりワイドレンジ対応化することが容易に実現化可能となる。
このようにして、スイッチング周波数制御によるワイドレンジ対応が実現化されることで、力率改善機能を備えるワイドレンジ対応のスイッチング電源回路として、アクティブフィルタを備えない構成を採ることができる。これにより、例えばアクティブフィルタによって力率改善を図る電源回路よりも電力変換効率が向上される。
また、本発明の電源回路としては、アクティブフィルタを構成するための多数の部品素子が不要となる。また、電源回路を構成する電流共振形コンバータ、及び力率改善回路はソフトスイッチング動作であり、スイッチングノイズが大幅に低減されるから、ノイズフィルタを強化する必要もなくなる。
このために、先行技術と比較しては、部品点数が大幅に削減されることになって、電源回路サイズの小型/軽量化を図ることが可能となる。また、それだけコストダウンが図られることにもなる。
また、さらには、アクティブフィルタが省略されたことで、一次側アース電位の干渉が無くなるので、一次側アース電位も安定することとなって、信頼性が向上する。
ここで、上記したような本発明の効果を得るための基本構成としては、帰還方式の力率改善機能が付加された、一次側直列共振回路を備える電流共振形コンバータの構成に対して、二次側直列共振コンデンサを追加するとともに、絶縁コンバータトランスの一次巻線に対して直列関係となるようにして接続される結合係数設定用インダクタを備えるための構成を採ることとすればよいわけであり、部品点数の追加、あるいは変更などは、非常に小規模で済むことになる。
また、上記のようにしてスイッチング周波数の必要制御範囲が縮小されれば、例えば負荷電力が最大/無負荷で高速に変動する場合には、定電圧制御の応答性も向上されることとなり、この点で、より高い信頼性を得ることができる。
さらに、本発明では、複数の二次巻線の出力に基づいて二次側直流出力電圧を生成するように構成したことで、同じ負荷条件に対応するにあたって二次側の整流電流のレベルをより低減することができる。これによれば、例えば二次側の整流素子における導通損失を低減でき、重負荷の条件に対応する場合にも電力変換効率の低下の抑制を図ることができる。つまり、より重負荷の条件に対応可能となる。
また、二次巻線を流れる電流レベルをより低くできれば、二次側の整流素子の耐電流レベルも低減でき、これによってより小型な整流素子を用いて回路面積の小型化を図ることもできる。
図1は、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態ともいう)における、第1の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。この図に示す電源回路は、一次側の基本構成として、ハーフブリッジ結合方式による他励式の電流共振形コンバータに対して部分電圧共振回路が組み合わされた構成を採る。
また、この図1に示される電源回路としては、AC100V系及びAC200V系の商用交流電源入力に対応して動作可能な、いわゆるワイドレンジ対応の構成を採る。
また、対応負荷電力としては、例えば、負荷電力Po=200W程度からPo=0W(無負荷)までの変動範囲に対応し、二次側直流出力電圧が30V以下、負荷電流が10A以下の条件に対応するものとされる。
先ず、この図1に示す電源回路において、商用交流電源ACに対しては、フィルタコンデンサCL、CL、及びコモンモードチョークコイルCMCによるコモンモードノイズフィルタが形成されている。
そして、上記ノイズフィルタの後段となる商用交流電源ACに対しては、ブリッジ整流回路Di及び1本の平滑コンデンサCiから成る全波整流平滑回路が接続される。ただし、本実施の形態においては、ブリッジ整流回路Diの正極出力ラインと、平滑コンデンサCiの正極端子間には、力率改善回路11が介在するようにして設けられる。この力率改善回路11の構成及びその動作については後述する。
この全波整流平滑回路が商用交流電源ACを入力して全波整流動作を行うことによって、平滑コンデンサCiの両端には整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)が得られる。この場合の整流平滑電圧Eiは、交流入力電圧VACの等倍に対応したレベルとなる。
上記直流入力電圧を入力してスイッチング(断続)する電流共振形コンバータとしては、図示するようにして、MOS−FETによる2本のスイッチング素子Q1,Q2をハーフブリッジ結合により接続したスイッチング回路を備える。スイッチング素子Q1,Q2の各ドレイン−ソース間に対しては、ダンパーダイオードDD1,DD2が並列に接続される。ダンパーダイオードDD1のアノード、カソードは、それぞれスイッチング素子Q1のソース、ドレインと接続される。同様にして、ダンパーダイオードDD2のアノード、カソードは、それぞれスイッチング素子Q2のソース、ドレインと接続される。ダンパーダイオードDD1,DD2は、それぞれスイッチング素子Q1,Q2が備えるボディダイオードとされる。
また、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間に対しては、一次側部分共振コンデンサCpが並列に接続される。少なくとも、この一次側部分共振コンデンサCpのキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1によっては並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成する。そして、スイッチング素子Q1,Q2のターンオフ時にのみ電圧共振する、部分電圧共振動作が得られるようになっている。
また、スイッチング素子Q1,Q2をスイッチング駆動するために、発振・ドライブ回路2が設けられる。この発振・ドライブ回路2は、発振回路、駆動回路を有しており、例えば汎用のICを用いることができる。そして、この発振・ドライブ回路2内の発振回路及び駆動回路によって、所要の周波数によるドライブ信号(ゲート電圧)をスイッチング素子Q1,Q2の各ゲートに対して印加する。これにより、スイッチング素子Q1,Q2は、所要のスイッチング周波数により交互にオン/オフするようにしてスイッチング動作を行う。
絶縁コンバータトランスPITは、スイッチング素子Q1 、Q2のスイッチング出力を二次側に伝送するために設けられる。
この絶縁トランスPITの一次巻線N1の一方の端部は、一次側直列共振コンデンサC1の直列接続を介して、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとの接続点(スイッチング出力点)に接続されることで、スイッチング出力が伝達されるようになっている。また、この場合の一次巻線N1の他方の端部は、力率改善回路11内の高周波インダクタL11の直列接続を介して、平滑コンデンサCiの正極端子と接続されている。
ここで、絶縁コンバータトランスPITは、図2の断面図に示すような構造を有する。
この図に示されるように、絶縁コンバータトランスPITは、フェライト材によるE型コアCR1、CR2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コア(EE字形コア)を備える。
そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成される、ボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線N1を巻装する。また、他方の巻装部に対して、二次巻線N2(この場合は二次巻線N2Aと二次巻線N2B)を巻装する。このようにして一次側巻線(N1)及び二次側巻線(N2)が巻装されたボビンBを上記EE型コア(CR1,CR2)に取り付けることで、一次側巻線及び二次側巻線とがそれぞれ異なる巻装領域により、EE型コアの内磁脚に巻装される状態となる。このようにして絶縁コンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。
そのうえで、EE型コアの内磁脚に対しては、図のようにしてギャップGを形成する。この場合のギャップGとしては、例えばギャップ長1.6mm程度を設定しており、これによって一次側と二次側との結合係数kとしては、例えばk=0.75程度の状態を得るようにしている。従って、絶縁コンバータトランスPITの結合度としては、先に図22に示した先行技術としての電源回路と同様となる。なお、本実施の形態の電源回路における実際の結合係数kとしては、k=0.74を設定した。なお、ギャップGは、E型コアCR1,CR2の内磁脚を、2本の外磁脚よりも短くすることで形成することができる。
ちなみに、上記した絶縁コンバータトランスPITの構造そのものとしては、例えば先に図22に示した電源回路をはじめとして、先行技術としての電流共振形コンバータを備える電源回路に採用されるものと同様となるものである。つまり、本実施の形態の絶縁コンバータトランスPITの結合係数kとしては、先行技術とほぼ同様の値が設定される。
説明を図1に戻す。
絶縁コンバータトランスPITは、上記図2により説明した構造によって一次巻線N1に所定のリーケージインダクタンスL1を生じさせる。そして、少なくとも、一次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンスと、上記リーケージインダクタンスL1によって一次側直列共振回路を形成する。
先に説明した接続態様によれば、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力は、上記一次側直列共振回路に伝達されることになる。そして、一次側直列共振回路が伝達されたスイッチング出力により共振動作を行うことで、一次側スイッチングコンバータの動作を電流共振形とする。
ここで、これまでの説明によると、この図に示す一次側スイッチングコンバータとしては、一次側直列共振回路(L1−C1)による電流共振形としての動作と、前述した一次側部分電圧共振回路(Cp//L1)とによる部分電圧共振動作とが得られることになる。
つまり、この図に示す電源回路の一次側においては、一次側スイッチングコンバータを共振形とするための共振回路に対して、他の共振回路とが組み合わされた構成を採っている。ここでは、このように2つの共振回路が組み合わされて成るスイッチングコンバータを、「複合共振形コンバータ」ということにする。
なお、本実施の形態としては、後述するようにして、一次側直列共振回路を形成するインダクタンスとして、高周波インダクタL11のインダクタンスも含めたものとして考えることができる。また、一次側の部分電圧共振回路についても、高周波インダクタL11のインダクタンスを含めて形成されるものとして考えることができる。
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2には、一次巻線N1に伝達されたスイッチング出力に応じた交番電圧が励起(誘起)される。
この場合、二次巻線N2としては、図示するように二次巻線N2Aと二次巻線N2Bとの2つを巻装している。そして、これら二次巻線N2Aと二次巻線N2Bとに対しては、先ず、一方の端部側に対して直列に二次側直列共振コンデンサC2A、二次側直列共振コンデンサC2Bを各々接続している。
これにより、上記二次側直列共振コンデンサC2Aのキャパシタンスと上記二次巻線N2AのリーケージインダクタンスL2A、また上記二次側直列共振コンデンサC2Bのキャパシタンスと上記二次巻線N2BのリーケージインダクタンスL2Bとによって、それぞれ二次側直列共振回路が形成される。つまり、本実施の形態としては、絶縁コンバータトランスPITの一次側と二次側とのそれぞれにおいて直列共振回路が形成されるものである。
なお、この場合、上記二次巻線N2Aと二次巻線N2Bとはそれぞれ同じターン数が設定される。また、二次側直列共振コンデンサC2Aと二次側直列共振コンデンサC2Bとしても、それぞれ同じキャパシタンスが設定される。
上記それぞれの二次側直列共振回路(L2A−C2A、L2B−C2B)に対しては、[整流ダイオードDo1A、整流ダイオードDo2A、高周波チョークコイルLo1A、高周波チョークコイルLo2A]、[整流ダイオードDo1B、整流ダイオードDo2B、高周波チョークコイルLo1B、高周波チョークコイルLo2B]による倍電流整流回路が接続される。
そして、図示するようにこれらの倍電流整流回路に対して共通となるようにして1組の平滑コンデンサCoが設けられることで、二次巻線N2A側の倍電流整流回路とこの平滑コンデンサCoとによる倍電流整流平滑回路と、二次巻線N2B側の倍電流整流回路と平滑コンデンサCoとによる倍電流整流平滑回路が形成される。
この場合、二次巻線N2A側、二次巻線N2B側の双方に設けられる倍電流整流回路は、整流ダイオードDo1−整流ダイオードDo2による直列接続回路を各々の二次巻線と並列に接続している。この直列接続回路においては、整流ダイオードDo1と整流ダイオードDo2のアノードどうしを接続している。そして、これら双方のアノードの接続点を二次側アースに接続している。
また、整流ダイオードDo1のカソードは、図示するように高周波チョークコイルLo1を介して平滑コンデンサCoの正極端子と接続している。また、整流ダイオードDo2のカソードは、高周波チョークコイルLo2を介して同様に平滑コンデンサCoの正極端子に対して接続している。なお、平滑コンデンサCoの負極端子は二次側アースに接続される。
そして、上記整流ダイオードDo1のカソードと高周波チョークコイルLo1の接続点を、二次側直列共振コンデンサC2の直列接続を介して二次巻線の一方の端部(巻き始め端部)と接続し、さらに、上記整流ダイオードDo2のカソードと高周波チョークコイルLo2の接続点を二次巻線の他方の端部(巻き終わり端部)に対して接続している。
これらの倍電流整流回路において、二次巻線N2A、二次巻線N2Bに励起される交番電圧の一方の半周期では、整流電流は以下の経路により流れる。
すなわち、この期間において整流電流は、[二次巻線(N2A、N2B)→二次側直列共振コンデンサC2→高周波チョークコイルLo1→平滑コンデンサCo→整流ダイオードDo2→二次巻線]の経路により流れる。また、この期間において、整流電流は分岐して[整流ダイオードDo1→高周波チョークコイルLo1→平滑コンデンサCo]のループ経路によっても流れる。
一方、二次巻線N2A、二次巻線N2Bに励起される交番電圧の一方の半周期では、整流電流は[二次巻線(N2A、N2B)→高周波チョークコイルLo2→平滑コンデンサCo→整流ダイオードDo1→二次側直列共振コンデンサC2→二次巻線]の経路により流れる。また、この期間としても整流電流は分岐して[整流ダイオードDo2→高周波チョークコイルLo2→平滑コンデンサCo]のループ経路によっても流れる。
このような動作により、平滑コンデンサCoの両端電圧(二次側直流出力電圧Eo)としては、二次巻線N2Aと二次巻線N2Bとに励起される交番電圧レベルに対応したレベルが得られる。
そして、上記した整流電流経路より、この場合の二次側の整流電流は、二次巻線N2A、二次巻線N2Bに励起される交番電圧のそれぞれの半周期において、[整流ダイオードDo1(Do1A、Do1B)→高周波チョークコイルLo1(Lo1A、Lo1B)→平滑コンデンサCo]によるループ経路と、[整流ダイオードDo2(Do2A、Do2B)→高周波チョークコイルLo2(Lo2A、Lo2B)→平滑コンデンサCo]によるループ経路とに分岐して流れ、さらに、一方の経路においては、二次巻線N2A、二次巻線N2Bに分岐して流れるようになっている。従って、二次巻線N2A、二次巻線N2Bに流れる整流電流(二次巻線電流)の量は、平滑コンデンサCoに充電電流として流れる整流電流量に対して所定割合分にまで低減されているものとなっている。つまり、上記した構成による二次側の整流回路によっては、いわゆる倍電流整流回路としての動作が得られているものである。
なお、このような倍電流整流動作としては、高周波チョークコイルLo1、Lo2に替えてダイオード素子を設けることによっても実現可能であるが、実施の形態のように高周波チョークコイルを用いる方が素子における損失を低減できる。
また、各倍電流整流回路が備える整流ダイオードDo1と整流ダイオードDo2とについて、実施の形態では、図中の破線により囲ったようにツインショットキーバリアダイオード(TSD)としての1つの素子により構成するものとしている。
この場合、二次巻線N2A側の整流ダイオードDo1Aと整流ダイオードDo2Aとして機能するものについてはツインショットキーバリアダイオードTSD−Aと呼ぶ。また、二次巻線N2B側の整流ダイオードDo1Bと整流ダイオードDo2Bとして機能するものについてはツインショットキーバリアダイオードTSD−Bと呼ぶ。
なお、当然のことながらこれら整流ダイオードDo1とDo2とのそれぞれを別部品により構成することも可能である。
上記した倍電流整流動作によって得られた二次側直流出力電圧Eoは、図示しない負荷に供給されるとともに、後述する制御回路1のための検出電圧としても分岐して入力される。
また、上記各整流回路は、それぞれの二次側直列共振回路の共振出力について整流動作を行っていることから、この場合の二次側整流動作としても電流共振形となる。つまり、整流電流波形としては、二次側直列共振回路の共振周波数による正弦波形を含むことになる。
これまでの説明によれば、本実施の形態のスイッチング電源回路は、一次側に一次側直列共振回路(L1−C1)及び一次側部分電圧共振回路(L1//Cp)を備え、二次側には二次側直列共振回路(L2−C2)を備えることになる。
先にも述べたように、一次側におけるような直列共振回路と部分電圧共振回路とによる2つの共振回路が組み合わされたスイッチングコンバータについては、複合共振形コンバータということとしたが、本実施の形態のようにして3以上の共振回路が組み合わされたスイッチングコンバータについては、多重共振形コンバータということにする。
制御回路1は、二次側直流出力電圧Eoをスイッチング周波数制御方式により安定化するために設けられる。
この場合の制御回路1は、検出入力である二次側直流出力電圧Eoのレベル変化に応じた検出出力を発振・ドライブ回路2に供給する。発振・ドライブ回路2では、入力された制御回路1の検出出力に応じてスイッチング周波数が可変されるようにしてスイッチング素子Q1,Q2を駆動する。このためには、内部の発振回路により生成する発振信号の周波数を可変することになる。
スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数が可変されることで、一次側直列共振回路の共振インピーダンスが変化し、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1から二次巻線N2側に伝送される電力量が変化するが、これにより二次側直流出力電圧Eoのレベルを安定化させるように動作する。
詳細は後述するが、本実施の形態の電源回路におけるスイッチング周波数制御方式としては、一次側直列共振回路の共振周波数fo1及び二次側直列共振回路の共振周波数fo2により決まる中間共振周波数foに対して、これより高い周波数範囲をスイッチング周波数の可変範囲として設定している。つまり、いわゆるアッパーサイド制御の方式を採る。
一般的なこととして、直列共振回路は、共振周波数において最も共振インピーダンスが低くなる。このことから、本実施の形態のようにして、直列共振回路の共振周波数に基づくアッパーサイド制御方式を採る場合には、スイッチング周波数fsが高くなっていくのに応じて、共振インピーダンスを高くすることになる。
従って、例えば重負荷の傾向となって二次側直流出力電圧Eoが低下するのに応じては、上記スイッチング周波数を低くするように制御することになる。これは共振インピーダンスを低くすることとなり、一次側から二次側への電力伝送量が増加することになるために、二次側直流出力電圧Eoが上昇する。
これに対して、軽負荷の傾向となって二次側直流出力電圧Eoが上昇するのに応じては、上記スイッチング周波数を高くするように制御する。これにより、共振インピーダンスは高くなって上記電力伝送量が低減するために、二次側直流出力電圧Eoは低下する。このようにして、スイッチング周波数が可変されることによって、二次側直流出力電圧Eoが安定化されることになる。
続いて、力率改善回路11について説明する。
力率改善回路11は、高周波インダクタ(チョークコイル)L11、スイッチングダイオードD1(力率改善用スイッチング素子)、フィルタコンデンサCNを備える。
この場合の高周波インダクタL11には、所定の巻線位置に対してタップが設けられており、これにより、高周波インダクタL11は、高周波巻線部L11A(第1巻線部)と、高周波巻線部L11B(第2巻線部)とに分割される。この場合、高周波インダクタL11としての巻線全体の巻始め端部は高周波巻線部L11B側の巻始め端部となり、従って、高周波巻線部L11Bの巻終わり端部と、高周波巻線部L11Aの巻始め端部が、タップ位置となる。高周波巻線部L11A側の巻終わり端部が、高周波インダクタL11としての巻線全体の巻終わり端部となる。
そして、高周波インダクタL11において高周波巻線部L11Aと高周波巻線部L11Bとの接続点となるタップに対しては、スイッチングダイオードD1のカソードが接続される。スイッチングダイオードD1のアノードはブリッジ整流回路Diの正極出力端子と接続される。
また、高周波インダクタL11において高周波巻線部L11Aの巻終わりとなる側の端部は、一次巻線N1の端部と接続される。また、高周波インダクタL11において高周波巻線部L11Bの巻始めとなる側の端部は、平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。
上記した接続形態では、商用交流電源ACから直流入力電圧Eiを生成する整流回路系において、商用交流電源ACが正極性/負極性となる半周期ごとに形成される整流電流経路において、高周波巻線部L11BがスイッチングダイオードD1と直列に接続される回路形態が得られることになる。
また、一次側直列共振回路を形成するとされる一次側直列共振コンデンサC1と一次巻線N1の直列接続回路は、さらに高周波インダクタL11の直列接続を介して平滑コンデンサCiの正極端子に対して接続されることになる。ここで、高周波巻線部L11Bは、スイッチングダイオードD1と直列接続された状態で、平滑コンデンサCiに整流電流を流す整流電流経路内に挿入された形態となっている。このことは、一次側直列共振回路経由でスイッチング出力の帰還を受ける力率改善回路11からみれば、一次側直列共振回路は一次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスに加え、高周波巻線部L11Aのインダクタンスも含んで形成されるものとしてみえることになる。
また、この場合のフィルタコンデンサCNは、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、平滑コンデンサCiの正極端子との間に挿入される。この挿入形態では、フィルタコンデンサCNは、スイッチングダイオードD1−高周波巻線部L11Bの直列接続回路に対して並列に接続されていることになる。このフィルタコンデンサCNは、スイッチングコンバータのスイッチング動作に伴って整流電流経路に生じるノーマルモードノイズを抑制する。
このような力率改善回路11の回路構成によると、整流電流経路において、高周波巻線部L11Bとしてのインダクタンス成分と、スイッチングダイオードD1としての電流をスイッチング(断続)する素子とが直列接続されて挿入されていることになる。そして、この直列接続回路の接続点に対して、一次側直列共振回路に得られるスイッチング出力(一次側直列共振電流)が印加されることで、これにより整流電流経路内に生じる交番電圧に応じてスイッチングダイオードD1が整流電流を断続するようにしてスイッチング動作を行って、この整流電流を平滑コンデンサCiに流すようにされる。つまり、力率改善回路11においては、一次側直列共振回路に得られる一次側直列共振電流を電力として回生して、整流電流経路を経由して平滑コンデンサに対して帰還している動作が得られていることになる。
この場合、一次側直列共振電流を電力として回生して平滑コンデンサCiに帰還するのにあたっては、上述のようにして整流電流経路に挿入される高周波巻線部L11Bが介在しているものと見ることができる。つまり、電力回生は、高周波巻線部L11Bにおける磁気結合により行われるものとみることができる。
そして、上記のようにして断続される状態で流れる整流電流のエンベロープ波形の導通期間は、ブリッジ整流回路Diから出力される整流出力電圧レベルが平滑コンデンサCiの両端電圧よりも低いとされる期間にも流れるものとなるが、交流入力電流IACの導通期間としては、この整流電流の導通期間にほぼ一致したものとなる。つまり、交流入力電流IACの導通角は、力率改善回路を備えない場合よりも拡大されているものであり、交流入力電流IACの波形としては、交流入力電圧VACの波形に近付くようにして導通角が拡大されたものとなっている。つまり、力率改善が図られていることになる。
また、高周波インダクタL11が一次巻線N1に対して直列関係にあることで、等価的には、高周波インダクタL11のインダクタンスは、一次巻線N1のリーケージインダクタンス成分としてみなすことができる。
ただし、高周波インダクタL11における高周波巻線部L11Bは、整流電流経路においてスイッチングダイオードD1と直列接続されることで、主としては、力率改善のためにスイッチング出力が印加される高周波インダクタとして機能するもので、一次巻線N1のリーケージインダクタンス成分として含まれるべき高周波インダクタL11のインダクタンスは、主としては高周波巻線部L11Aとなる。一次巻線N1は、この高周波インダクタL11との直列接続を介するようにして、整流電流経路としてのラインであるスイッチングダイオードD1のカソードと高周波巻線部L11Bとの接続点に対して接続されているものとみることができる。従って、絶縁コンバータトランスPITにおける一次側のリーケージインダクタンスとしては、L11+L11Aにより表されるものとみることができる。
このために、絶縁コンバータトランスPITそのものとしての結合係数kとしては、前述したように、k=0.74となるのであるが、上記のようにして、一次側のリーケージインダクタンスが、高周波インダクタL11(高周波巻線部L11A)のインダクタンスの合成分によって見かけ上増加することで、電源回路内における絶縁コンバータトランスPITの総合的な結合係数(総合結合係数)ktとしては、0.74よりも低い値が得られることになる。つまり、電源回路における絶縁コンバータトランスPITの結合度としては、絶縁コンバータトランスPITの構造そのものによる結合係数kに対して、より低く設定されることになる。本実施の形態としては、高周波インダクタL11について所定のインダクタンス値を設定することで、総合結合係数ktについて、0.65程度以下を設定することとし、実際としては、kt=0.645を設定することとしている。
ここで、図1に示した実施の形態の電源回路の構成から、二次側直列共振コンデンサC2(C2A、C2B)を省略して、二次側直列共振回路を形成しないものとした複合共振形コンバータについて考えてみる。
このような複合共振形コンバータは、一次側直列共振回路(及び一次側部分電圧共振回路)は備えるが、二次側直列共振回路は備えていない。このために、アッパーサイド制御のスイッチング周波数制御方式により二次側直流出力電圧Eoを安定化するのにあたっては、一次側直列共振回路の共振周波数fo1よりも高い周波数範囲でスイッチング周波数を可変制御し、これにより生じる共振インピーダンスの変化を利用することになる。
このことについて、図6を参照して説明する。図6は、上記複合共振形コンバータによる二次側直流出力電圧Eoについての定電圧制御特性を示している。この図において、横軸にはスイッチング周波数fsを示し、縦軸に二次側直流出力電圧Eoを示している。
ここで、直列共振回路は、共振周波数で最も共振インピーダンスが小さくなる。これにより、アッパーサイド制御における二次側直流出力電圧Eoとスイッチング周波数fsの関係として、二次側直流出力電圧Eoのレベルは、一次側直列共振回路の共振周波数fo1に対して、スイッチング周波数fsが近づいていくほど上昇し、共振周波数fo1から離れていくのに従って低下していくものとなる。
従って、負荷電力Poを一定とした条件でのスイッチング周波数fsに対する二次側直流出力電圧Eoのレベルは、図6に示すようにして、スイッチング周波数fsが一次側直列共振回路の共振周波数fo1と同じときにピークとなり、共振周波数fo1から離れるのに応じて低下する二次曲線的な変化を示す。
また、同じスイッチング周波数fsに対応する二次側直流出力電圧Eoのレベルは、最小負荷電力Pomin時よりも最大負荷電力Pomax時のほうが、所定分低下するようにしてシフトする特性が得られる。つまり、スイッチング周波数fsを固定として考えると、重負荷の条件となるのに従って二次側直流出力電圧Eoのレベルは低下する。
そして、このような特性のもとで、アッパーサイド制御により二次側直流出力電圧Eoについて、Eo=tgとなるようにして安定化しようとした場合、複合電源回路において必要となるスイッチング周波数の可変範囲(必要制御範囲)は、図においてΔfsとして示される範囲となる。
例えばこの複合共振形コンバータの実際として、AC100V系としての交流入力電圧VAC=85V〜120Vの入力変動範囲と、二次側直流出力電圧Eoの最大負荷電力Pomax=150W、最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)の負荷条件に対応して、スイッチング周波数制御方式により、二次側直流出力電圧Eo=135Vで安定化する仕様を設定したとする。
この場合、この複合共振形コンバータが定電圧制御のために可変するスイッチング周波数fsの可変範囲は、fs=80kHz〜200kHz以上であり、必要制御範囲量であるΔfsとしても120kHz以上と相応に広範囲なものとなる。
このことをふまえて、この複合共振形コンバータについて、ワイドレンジ対応として構成することを考えてみる。
ワイドレンジ対応とするためには、例えばAC85V〜288Vの交流入力電圧範囲に対応することになる。従って、例えば、AC100V系のみ、あるいはAC200V系のみの単レンジに対応する場合と比較して、二次側直流出力電圧Eoのレベル変動範囲も大きくなる。このような交流入力電圧範囲に応じて拡大された二次側直流出力電圧Eoのレベル変動に対して定電圧制御動作を行うためには、より広範囲なスイッチング周波数制御範囲が必要となる。例えば、スイッチング周波数fsの制御範囲は、約80kHz〜500kHzにまで拡大する必要がでてくる。
しかしながら、現状のスイッチング素子を駆動するためのIC(発振・ドライブ回路2)としては、対応可能な駆動周波数の上限は200kHz程度が限界である。また、仮に上記したような高い周波数での駆動が可能なスイッチング駆動用ICを構成して実装したとしても、このような高い周波数でスイッチング素子を駆動した場合には電力変換効率が著しく低下するために、現実の電源回路として実用的ではなくなる。ちなみに、例えばこの場合の複合共振形コンバータによりにより安定化が可能な交流入力電圧VACレベルの上限は、100V程度である。
このために、スイッチング周波数制御方式により安定化を図るスイッチング電源回路をワイドレンジ対応とするためには、先に図22に示したようにして前段に対してアクティブフィルタを備えるようにしているが、これ以外の構成によりワイドレンジ対応とすることも可能であり、例えば下記のような構成を採ることも知られている。
1つには、商用交流電源を入力して直流入力電圧(Ei)を生成する整流回路系について、AC100V系とAC200V系の商用交流電源入力に応じて、倍電圧整流回路と全波整流回路とで切り換えを行うように機能を与えるものである。
この場合には、商用交流電源レベルを検出して、その検出されたレベルに応じて、倍電圧整流回路若しくは全波整流回路が形成されるようにして、電磁リレーを用いたスイッチにより、整流回路系における回路接続の切り換えを行うように回路を構成する。
しかしながら、このような整流回路系の切り換えの構成では、上記しているように、所要数の電磁リレーが必要になる。また、倍電圧整流回路を形成するために少なくとも2本1組の平滑コンデンサを設ける必要も生じる。このため、それだけ部品点数が増加してコストアップとなると共に、電源回路基板のマウント面積も拡大して大型化する。特に、これら平滑コンデンサや電磁リレーは、電源回路を形成する部品のうちでも大型であるから、基板サイズは相当に大きくなってしまう。
また、全波整流動作と倍電圧整流動作を切り換える構成とした場合において、AC200V系の商用交流電源が入力されているときに、瞬間停電が生じたり、また、交流入力電圧が定格以下に低下するなどして、AC200系に対応するよりも低いレベルとなると、AC100V系であると検出して倍電圧整流回路に切り換えるという誤動作が生じたとする。このような誤動作が生じると、AC200V系のレベルの交流入力電圧について倍電圧整流を行うこととなるために、例えばスイッチング素子Q1,Q2などが耐圧オーバーとなって破壊される可能性もある。
そこで、実際の回路としては、上記のような誤動作が生じないようにするために、メインとなるスイッチングコンバータの直流入力電圧だけではなく、スタンバイ電源側のコンバータ回路の直流入力電圧も検出する構成を採るようにされる。これにより、スタンバイ電源側のコンバータ回路を検出するための部品の追加などにより、上記したコストアップ、及び回路基板サイズの大型化がさらに助長されてしまうことになる。
また、誤動作防止を目的としてスタンバイ電源側のコンバータの直流入力電圧を検出するということは、整流動作切り換えのための回路を備えるワイドレンジ対応の電源回路としては、メイン電源の他にスタンバイ電源を備える電子機器でなければ、実際に使用することができないということになる。つまり、電源を実装可能な電子機器の種類が、スタンバイ電源を備えたものに限定されるわけであり、それだけ利用範囲が狭くなる。
また、ワイドレンジ対応のための構成として、AC100V系/AC200V系の商用交流電源入力に応じて、一次側の電流共振形コンバータの形式をハーフブリッジ結合とフルブリッジ結合とで切り換える構成とすることも知られている。
この構成であれば、例えば上記した瞬間停電などによって、AC200V系の交流入力電圧がAC100V系のレベルにまで低下して誤動作したとしても、スイッチング動作がハーフブリッジ動作からフルブリッジ動作となるだけであり、スイッチング素子などが耐圧オーバーになることはない。このためにスタンバイ電源側の直流入力電圧を検出する必要もなくなるので、スタンバイ電源を備えない電子機器に対しても採用することが可能となる。また、商用電源ラインにおける切り換えではないために、半導体スイッチによる回路形態の切り換えが可能であるので、電磁リレーのような大型のスイッチ部品は不要となる。
しかし、この構成では、AC100V系時に対応してフルブリッジ結合を形成するために、スイッチング素子を少なくとも4本備える必要がある。つまり、2本のスイッチング素子により形成可能なハーフブリッジ結合方式のみによるコンバータの構成と比較すれば、2本のスイッチング素子を追加する必要があることになる。
また、この構成の場合には、フルブリッジ動作では4石がスイッチング動作を行い、ハーフブリッジ動作でも3石のスイッチング素子がスイッチング動作を行う。共振形コンバータは、低スイッチングノイズではあるが、このようにしてスイッチングを行うスイッチング素子数が増加するほどスイッチングノイズに関しては不利となる。
このようにして、ワイドレンジ対応として上記した何れの構成を採った場合にも、単レンジ対応の構成と比較した場合には、部品点数の増加などによる回路規模の拡大、コストアップがさけられない。また、前者の構成では機器への利用範囲の制限、後者の構成ではスイッチングノイズの増加など、それぞれ、単レンジ対応の構成では抱えていなかった固有の問題が生じる。
また、図1の電源回路から二次側直列共振回路を省略した複合共振形コンバータについて、スイッチング周波数の制御範囲が相応に広範囲となることに起因しては、二次側直流出力電圧Eoについての安定化の高速応答特性が低下するという問題も抱える。
電子機器によっては、例えば最大負荷の状態とほぼ無負荷とされる状態のとの間で、負荷条件が瞬時的に切り換わるようにして変動する動作を伴うものがある。このような負荷変動は、スイッチング負荷ともいわれる。このような機器に搭載される電源回路としては、上記スイッチング負荷とされる負荷変動にも対応して二次側直流出力電圧が適正に安定化されるようにする必要がある。なお、上記スイッチング負荷としての動作を行う機器として、例えば、パーソナルコンピュータの周辺機器であるプリンタを挙げることができる。
しかしながら、先の図22によっても説明したようにスイッチング周波数の制御範囲が広範である特性を持つ場合には、上記スイッチング負荷のような負荷変動に対応して、二次側直流出力電圧を所要レベルとするためのスイッチング周波数にまで可変させるためには比較的長い時間を要することになる。つまり、定電圧制御の応答特性としては良好でない結果が得られることになる。
これに対して、図1に示す本実施の形態の電源回路としては、一次側と二次側とで、それぞれ直列共振回路(一次側直列共振回路、二次側直列共振回路)を備えることとしている。これにより、電流共振形コンバータを基とする電源回路として、スイッチング周波数制御のみの定電圧制御によりながらもワイドレンジ対応を可能とする。以下、この点について説明する。
図3の回路図は、図1に示す本実施の形態の電源回路について、一次側直列共振回路と二次側直列共振回路との関係によりみた場合の等価回路を示している。なお、この等価回路図において、図1と同一部分には、同一符号を付している。
この図においては、1:nの巻線比となる所定巻数の一次巻線N1と二次巻線N2を巻装した絶縁コンバータトランスPITが示されている。また、この図において、絶縁コンバータトランスPITにおける一次側と二次側との結合度を示す結合係数としては、前述した総合結合係数ktとしてみることになる。
この絶縁コンバータトランスPITの一次側において、L1l、L1eは、それぞれ、一次巻線N1のリーケージ(漏洩)インダクタンス、一次巻線N1の励磁インダクタンスを示す。また、絶縁コンバータトランスPITの二次側のL2l、L2eは、それぞれ二次巻線N2のリーケージ(漏洩)インダクタンス、二次巻線N2の励磁インダクタンスを示す。
なお、本実施の形態の場合には、ここで示される一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1lは、一次巻線N1そのもののリーケージインダクタンスL1と、高周波インダクタL11側(L11A)のインダクタンスが合成されたものとなる。
この図3に示す等価回路図において、絶縁コンバータトランスPITの一次側では、スイッチング周波数fsによる交流(周波数信号)が入力されている。つまり、一次側スイッチングコンバータ(スイッチング素子Q1,Q2)のスイッチング出力が入力となっている。
そして、絶縁コンバータトランスPITの一次側では、このスイッチング周波数fsによる交流の入力を、一次側直列共振回路に供給することになる。この一次側直列共振回路は、図示するようにして、一次側直列共振コンデンサC1−リーケージインダクタンスL1lを一次巻線N1に対して直列に接続するとともに、励磁インダクタンスL1eを一次巻線N1に対して並列に接続したものとしてみることができる。
また、絶縁コンバータトランスPITの二次側直列共振回路としても、同様に、二次側直列共振コンデンサC2−リーケージインダクタンスL2lを二次巻線N2に対して直列に接続するとともに、励磁インダクタンスL2eを二次巻線N2に対して並列に接続したものとしてみることができる。また、この図では、上記のようにして形成される二次側直列共振回路の出力を負荷RLに出力することとしている。ここでの負荷RLは、二次側全波整流回路以降の回路及び負荷となる。
上記した接続態様となる図3の等価回路においては、絶縁コンバータトランスPITの総合結合係数kt、一次巻線N1の自己インダクタンスをL1とすると、一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1lについて
L1l=(1−kt2)L1・・・(式1)
により表すことができる。
また、一次巻線N1の励磁インダクタンスL1eについては、
L1e=kt2×L1・・・(式2)
により表すことができる。
同様にして、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2l、励磁インダクタンスL2eについては、一次巻線N2の自己インダクタンスをL2とすると、それぞれ、
L2l=(1−kt2)L2・・・(式3)
L2e=kt2×L2・・・(式4)
により表される。
ここで、図3に示す等価回路においては、絶縁コンバータトランスPITの電磁誘導を介して、一次側に一次側直列共振回路を備え、二次側に二次側直列共振回路を備えていることが示されている。従って、この図に示す回路は、電磁結合による結合形共振回路を形成しているものとしてみることができる。このために、図1に示す電源回路における二次側直流出力電圧Eoについての定電圧制御特性は、絶縁コンバータトランスPITの結合度(総合結合係数kt)に応じて異なるものとなる。この点について図4を参照して説明する。
図4は、上記図3の等価回路についての、入力(スイッチング周波数信号)に対する出力特性を示している。つまり、二次側直流出力電圧Eoについての制御特性をスイッチング周波数fsとの関係により示している。この図では、スイッチング周波数を横軸にとり、二次側直流出力電圧Eoのレベルを縦軸にとっている。
なお、この図では、一次側直列共振回路の共振周波数fo1と二次側直列共振回路の共振周波数fo2とを重複して示しているが、これは共振周波数fo1と共振周波数fo2の設定値に関わらず同様の特性が得られることを示しているものである。
ここで、絶縁コンバータトランスPITの結合度について、総合結合係数kt=1となる密結合とされる状態を設定したとする。すると、この場合の一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1l、及び二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2lは、それぞれ、上記(式1)(式3)に対してkt=1を代入することで、
L1l=L2l=0・・・(式5)
として表されることになる。つまり、絶縁コンバータトランスPITが密結合であることで、一次巻線N1及び二次巻線N2のリーケージインダクタンスは存在していない状態であることが示される。
このようにして、絶縁コンバータトランスPITの一次側と二次側とが密結合とされる状態での定電圧制御特性としては、図4の特性曲線1として示すように、一次側直列共振回路の共振周波数fo1と二次側直列共振回路の共振周波数fo2とは異なる周波数f1、f2において二次側直流出力電圧Eoがピークとなる、いわゆる双峰特性となる。
ここで、周波数f1は、
Figure 2006094584
で表され、
周波数f2は、
Figure 2006094584
で表される。
また、上記(数1)(数2)における項の1つであるfoは、一次側直列共振回路の共振周波数fo1と、二次側直列共振回路の共振周波数fo2との中間に存在する中間共振周波数であり、1次側のインピーダンスと2次側のインピーダンスと、一次側と二次側とで共通となるインピーダンス(相互結合インダクタンスM)により決定される周波数である。
なお、相互結合インダクタンスMについては、
Figure 2006094584
により表される。
また、上記した総合結合係数ktについて、kt=1の状態から徐々に小さくしていったとする、つまり、密結合の状態から徐々に疎結合の度合いを高くしていったとすると、図4に示される特性曲線1は、双峰の傾向が徐々に希薄となって、中間共振周波数fo近傍で平坦化していくような変化を示す。そして、ある総合結合係数ktにまで低下した段階で、いわゆる臨界結合の状態となる。この臨界結合の状態では、特性曲線2として示すようにして、双峰特性としての傾向ではなくなっており、中間共振周波数foを中心として曲線形状が平坦となる特性となる。
そして、さらに、上記臨界結合の状態から総合結合係数ktを小さくしていって、疎結合の状態を強めていったとすると、図4の特性曲線3として示すように、中間周波数foにおいてのみピークとなる単峰特性が得られる。また、この特性曲線3と、特性曲線1,2とを比較してみると、特性曲線3は、ピークレベルそのものは特性曲線1,2より低下するものの、その二次関数的な曲線形状として、より急峻な傾斜を有していることが分かる。
本実施の形態の絶縁コンバータトランスPITは、総合結合係数kt≦0.65程度とされる疎結合の状態が設定されている。この総合結合係数ktの設定では、上記特性曲線3として示される単峰特性による動作となる。
上記図4に示す単峰特性と、先に図6に示した複合共振形コンバータの定電圧制御とを実際に比較してみると、図4に対して図6に示した特性は、二次関数的には相当に緩やかな傾斜となる。
上記のようにして図6に示す特性が曲線的に緩やかであることから、二次側直流出力電圧Eoについて定電圧制御を行うためのスイッチング周波数の必要制御範囲は、例えば単レンジ対応の条件下であっても、fs=80kHz〜200kHz以上でΔfs=120kHz以上となるため、スイッチング周波数制御による定電圧制御のみによって、ワイドレンジ対応とすることが非常に困難であることは、先に説明したとおりである。
これに対して、本実施の形態の定電圧制御特性としては、上記図4の特性曲線3により示される単峰特性であることで、定電圧制御動作としては、図5に示すものとなる。
図5においては、図1に示す本実施の形態の電源回路についての、交流入力電圧VAC=100V時(AC100V系)における最大負荷電力Pomax時、最小負荷電力Pomin時の各特性曲線A,Bと、交流入力電圧VAC=230V時(AC200V系)における最大負荷電力Pomax時、最小負荷電力Pomin時の各特性曲線C,Dとの、4つの特性曲線が示されている。
この図5から分かるように、先ず、AC100V系の入力に対応する交流入力電圧VAC=100V時において、二次側直流出力電圧Eoを所要の定格レベルtgで定電圧化するために必要となるスイッチング周波数の可変制御範囲(必要制御範囲)は、Δfs1で示されることになる。つまり、特性曲線Aにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsから、特性曲線Bにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsまでの周波数範囲となる。
また、AC200V系の入力に対応する交流入力電圧VAC=230V時において、二次側直流出力電圧Eoを所要の定格レベルtgで定電圧化するために必要となるスイッチング周波数の可変制御範囲(必要制御範囲)は、Δfs2で示される。つまり、特性曲線Cにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsから、特性曲線Dにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsまでの周波数範囲となる。
前述したように、本実施の形態における二次側直流出力電圧Eoの制御特性である単峰特性は、先に図6に示した制御特性と比較して、二次関数曲線的に相当に急峻である。
このために、上記した交流入力電圧VAC=100V時、VAC=230V時の各必要制御範囲となるΔfs1、Δfs2は、図6に示されるΔfsと比較して相当に縮小されたものとなっている。例えば、実際に測定したΔfs1、Δfs2としては、それぞれ5kHz以内であり、図6に示されるΔfsの実際に対して1/20程度にまで縮小されている。
そのうえで、Δfs1における最低スイッチング周波数(特性曲線Aにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fs)から、Δfs2における最高スイッチング周波数(特性曲線Aにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fs)までの周波数可変範囲(ΔfsA)としても、相応に狭いものとなっている。
ここで、図1に示す本実施の形態の電源回路における実際の上記周波数可変範囲ΔfsAは、現状におけるスイッチング駆動用IC(発振・ドライブ回路2)が対応するスイッチング周波数の可変範囲内に充分に収まるものとなっている。つまり、図1に示す電源回路では、スイッチング周波数について、現実に、周波数可変範囲ΔfsAで可変制御することが可能とされている。そして、このことは、図1に示す電源回路が、AC100V系とAC200V系の何れの商用交流電源入力にも対応して、二次側直流出力電圧Eoを安定化可能であることを意味する。つまり、図1に示す電源回路は、スイッチング周波数制御のみによって、ワイドレンジ対応を可能としている。
ちなみに、電磁結合による結合形共振回路は、例えば中間周波トランス増幅器などのようにして、通信技術において、トランジスタによる増幅回路の増幅帯域幅を拡大するための手法として既に知られてはいる。しかしながら、このような分野では、密結合での双峰特性、或いは臨界結合での平担特性を用いているものであり、疎結合での単峰特性は用いられてはいない。本実施の形態では、このような電磁結合による結合形共振回路の技術において、通信技術の分野では採用されていなかった疎結合での単峰特性を、共振形スイッチングコンバータの分野において積極的に用いている、ということがいえる。これにより、上記のようにして、二次側直流出力電圧Eoを安定化するために必要なスイッチング周波数の可変範囲(必要制御範囲)を縮小し、スイッチング周波数制御での定電圧制御のみによるワイドレンジ対応を可能としているものである。
ところで、本実施の形態における総合結合係数kt=0.65程度以下と同等の疎結合の状態を、高周波インダクタL11を省略して、絶縁コンバータトランスPITの構造のみにより得ようとした場合には、例えば絶縁コンバータトランスPITのEE型コアの内磁脚のギャップGについて、2.8mm程度にまで拡大して、絶縁コンバータトランスPITそのものを、結合係数k=0.65以下の疎結合トランスとして構成することが考えられる。
このような構成を採ることによっても、図4にて説明した単峰特性を得ることができるので、図5にて説明したようにして、スイッチング周波数の必要制御範囲が縮小され、AC100V系とAC200V系の商用交流電源入力に対応して二次側直流電圧の安定化を図ることができる。
しかしながら、このような絶縁コンバータトランスPITの構造とした場合、絶縁コンバータトランスPITのコアのギャップG近傍における渦電流損失が増加し、その分のAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)の低下が生じることになる。
この渦電流損失に起因するAC→DC電力変換効率の低下傾向は、交流入力電圧VACのレベルが上昇するのに応じて顕著となる。従って、ワイドレンジ対応の電源回路としては、AC100V系で使用しているときよりもAC200V系で使用したときにAC→DC電力変換効率が低下するという問題を生じることになる。
ただし、上記した渦電流損失の増加は、例えば最大負荷電力Pomax=150W以下程度までの負荷条件では許容範囲であるために、上記したように、高周波インダクタL11を省略して、絶縁コンバータトランスPITのみによって結合係数k=0.65以下の疎結合の状態を設定したとしても、実用可能なワイドレンジ対応の電源回路を得ることができる。しかし、本実施の形態のようにして、最大負荷電力Pomax=200W程度にまで対応すべき場合には、上記した渦電流損失の増加が無視できない程度に顕著となってくる。このために、絶縁コンバータトランスPIT自体について結合係数k=0.65以下に設定してワイドレンジ対応の電源回路として実用化するのは困難になってくる。
そこで本実施の形態では、前述もしたように、一次巻線N1に対して高周波インダクタL11を接続することで、高周波インダクタL11のインダクタンスにより一次巻線N1のリーケージインダクタンスを等価的に増加させ、これにより、電源回路内における絶縁コンバータトランスPITの総合結合係数ktについて、kt=0.65以下を設定するようにしている。
この場合、絶縁コンバータトランスPIT自体の結合係数kとしては、先行技術の電源回路と同等のk=0.75程度を設定することができるので、ギャップGのギャップ長としても、前述したように、1.6mm程度とすることができる。つまり、渦電流の増加の問題が生じない程度の一定以下のギャップ長に抑えることができる。
これにより、実施の形態の電源回路としては、上記した渦電流損失の増加の問題は解消されるため、これに起因するAC→DC電力変換効率の低下も生じないことになる。従って、AC200V系時での使用においても、ワイドレンジ対応の電源回路として実用的な程度に良好なAC→DC電力変換効率特性が得られることになる。
また、本実施の形態の電源回路では、二次側に対しても直列共振回路(二次側直列共振回路)を形成しているのであるが、このことも電力変換効率を向上させる要因となっている。
つまり、二次側直列共振回路を備えることで、その共振動作により得られるエネルギーの増加分を含めて二次側直流出力電圧Eoとしての電力を供給することが可能になり、疎結合としたことによる電力変換効率の低下が補償されることになる。さらに、前述したように、二次側において、二次側部分電圧共振回路を形成することによっても、二次側の整流ダイオードにおけるスイッチング損失を低減しており、このことも電力変換効率の向上に寄与している。
また、図1の説明からも理解されるように、実施の形態では、二次巻線N2として二次巻線N2A、二次巻線N2Bを巻装し、これら二次巻線N2のそれぞれの出力に基づいて共通の二次側直流出力電圧Eoを生成するものとしているが、このような構成とすることによっても、重負荷の条件に対してより有利とすることができる。
例えば、仮に図1に示した回路において二次巻線N2を1つのみ巻装して二次側直流出力電圧Eoを生成する場合を想定してみると、二次側の整流電流レベルは、同じ負荷をまかなうにあたっては、図1に示すままのの構成とした場合よりも増大させる必要がある。すなわち、これにより整流素子の導通損失が増大し、電力変換効率が低下する。
さらに、二次側の整流電流のピークレベルが増大することで、二次側の整流素子の耐電流レベルを上げなければならない。そして、高耐電流品としては素子サイズも大きなものとなるので、その分回路の大型化を招くものとなる。
これに対し、二次巻線N2を複数巻装してこれらの出力に基づいて二次側直流出力電圧Eoを生成するものとした実施の形態では、その分二次側の整流電流のピークレベルを低減でき、これによって二次側における整流素子の導通損失を低減することができる。そして、このように導通損失が低減されることで、電力変換効率の向上が図られる。
また、整流電流のピークレベルが低下することで、整流素子の耐電流レベルも低減することができ、より小型な素子を選定して回路の小型化も図られる。
つまり、このような実施の形態の構成によれば、対応負荷が大きくなる場合にも電力変換効率の低下や回路の大型化を抑制できるものとなり、この点で重負荷の条件により有利となるものである。
図7は、図1に示した電源回路ついての実験結果として、最大負荷電力Pomax=200W〜最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)の範囲での負荷変動に対する整流平滑電圧(直流入力電圧)Ei、力率(PF)、及びAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)を示している。この図においては、AC100V系に対応する交流入力電圧VAC=100V時の特性を実線で示し、AC200V系に対応する交流入力電圧VAC=230V時の特性を破線で示している。
また、図8は、図1に示した電源回路についての実験結果として、交流入力電圧VAC=85V〜288Vの範囲での変動に対する、整流平滑電圧(直流入力電圧)Ei、力率(PF)、及びAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)を示している。なお、負荷条件は、最大負荷電力であるPo=200Wで固定としている。
また、図7及び図8に示す特性を得るのにあたっては、図1に示した電源回路について、要部を次のように選定した。
先ず、絶縁コンバータトランスPITについては、EE型コアのギャップGのギャップ長については1.6mmとしたうえで、一次巻線N1=26T、二次巻線N2A=二次巻線N2B=5Tを巻装した。この構造により、絶縁コンバータトランスPIT自体の結合係数kとしては、k=0.74を得ている。そのうえで、高周波インダクタL11については、高周波巻線部L11A=10μH、高周波巻線部L11B=30μHを選定することで、総合結合係数kt=0.645を設定している。
また、一次側直列共振回路、二次側直列共振回路、及び一次側部分電圧共振回路を形成するための各共振コンデンサ、及びフィルタコンデンサCNについては、下記のように選定した。
・一次側直列共振コンデンサC1=0.039μF
・二次側直列共振コンデンサC2A=二次側直列共振コンデンサC2B=1.0μF
・一次側部分共振コンデンサCp=1000pF
・フィルタコンデンサCN=1μF
なお、このような各部の選定は、上述もしたように負荷条件として二次側直流出力電圧Eo=30V以下、負荷電流=10A以下の条件に対応したものとなる。
先ず、図7に示されるように、スイッチングコンバータの直流入力電圧となる整流平滑電圧Eiは、交流入力電圧VAC=100V時には約140V付近のレベルとなり、交流入力電圧VAC=230V時には約340V付近のレベルとなる。また、交流入力電圧VAC=100V時/230V時の何れの場合にも、重負荷の条件となるのに従って、回路を流れる電流レベルが増加するために、整流平滑電圧Eiのレベルは若干低下する傾向となる。
また、力率改善回路11の動作に応じて得られる力率PFについては、先ず、交流入力電圧VAC=100V時/230V時とで共に、重負荷となるのに従って高くなっていく傾向となっている。そのうえで、交流入力電圧VAC=100V時においては、負荷電力Po=20W〜200Wの範囲で0.75以上であり実用上充分な力率値を得ている。最大負荷電力Po=200W時には、PF=0.94が得られた。また、交流入力電圧VAC=230V時においては、負荷電力Po=50W〜200Wの範囲で0.75以上であり、最大負荷電力Po=200W時には、PF=0.85が得られた。
また、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)については、負荷電力Poが重負荷の傾向となっていくのに従って高くなる傾向で、最大負荷電力Po=200Wの負荷条件では、交流入力電圧VAC=100V時にηAC→DC=87.7%、交流入力電圧VAC=230V時には、89.8%となる測定結果が得られた。
また、図8によると、整流平滑電圧Eiは、商用交流電源AC(VAC)を入力してブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiから成る全波整流回路が整流動作を行うことで、平滑コンデンサCiの両端電圧として得られるものであるために、交流入力電圧VACの上昇に応じて高くなっていく傾向となる。
また、力率PFに関しては、交流入力電圧VACの上昇に応じて低下していく傾向となっている。
また、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)としては、交流入力電圧VACが低レベルの範囲では若干低下傾向にはなるものの、交流入力電圧VACの上昇に応じては上昇する傾向となる。
また、上記した力率特性を得るための力率改善回路11による力率改善動作としては、図9及び図10の波形図により示される。これら図9及び図10には、交流入力電流IACを交流入力電圧VACと共に示している。また、図9は、交流入力電圧VAC=100V(AC100V系)、最大負荷電力Pomax=200W時の動作を示し、図10は、交流入力電圧VAC=230V(AC200V系)、最大負荷電力Pomax=200W時の動作を示している。
これらの図に示すようにして、交流入力電流IACは、交流入力電圧VACが正/負となる半波の期間ごとにおいて、交流入力電圧VACの絶対値レベルが所定以上となる期間に対応する導通角により交流入力電圧VACと同じ極性で流れる。そして、力率改善回路11が先に説明した力率改善動作を行っていることで、この交流入力電流IACの導通角としては、力率改善回路11を備えない場合よりも拡大されたものとなっている。つまり、図9及び図10には力率が改善された結果が示されている。
なお、この場合には、交流入力電流IACのレベルは、交流入力電圧VAC=100V時において9.3Apとなっており、交流入力電圧VAC=230V時には5.3Apとなっている。
本実施の形態においては、高周波インダクタL11の高周波巻線部L11Bが、力率改善のためにスイッチングダイオードD1と直列接続されて整流電流経路に挿入されるべき高周波インダクタ(力率改善用インダクタ)として機能する。従って、力率改善回路11において得るべき力率PFの値は、高周波巻線部L11Bのインダクタンスにより設定することができる。
これに対して、高周波巻線部L11A(結合係数設定用インダクタ)は、一次巻線N1そのもののリーケージインダクタンスL1とともに、一次側のリーケージインダクタンスを形成するインダクタンス成分となる。従って、高周波巻線部L11Aのインダクタンスにより、総合結合係数ktを設定することができる。
また、これまでに説明した実施の形態の電源回路と、同じ力率改善及びワイドレンジ対応化を図る先行技術である、図22に示した電源回路とを比較した場合には、次のようなことがいえる。
先ず、実施の形態では、電圧帰還方式による力率改善改善回路を備える構成とし、さらにスイッチング周波数の可変制御のみで安定化を図るワイドレンジ対応の構成としたことで、アクティブフィルタを不要とすることができる。すなわち、このような本実施の形態によれば、アクティブフィルタを備える場合のように前段と後段の2つの電力変換効率値により総合効率が低下することはない。
そのうえで、本実施の形態では、特に、商用交流電源入力レベルが高いときの電力変換効率が改善されている。これは、主としては、絶縁コンバータトランスPITのギャップGのギャップ長についてはこれまでと同様としていることで、先に説明した、ギャップ近傍における渦電流の増加の問題を解消していることが貢献している。
また、実施の形態では、上記のようにアクティブフィルタを不要とできることで、回路構成部品点数の削減が図られる。
つまりアクティブフィルタは、1組のコンバータを構成するものであり、図22による説明からも分かるように、実際には、1本のスイッチング素子と、これらを駆動するためのIC等を始め、多くの部品点数により構成される。
これに対し図1に示す電源回路においては、力率改善及びワイドレンジ対応のために必要な追加部品として、少なくともフィルタコンデンサCN、スイッチングダイオードD1、力率改善用トランスVFT、二次側直列共振コンデンサC2を備えればよく、アクティブフィルタと比較すれば非常に少ない部品点数とすることができる。
これにより、図1に示す電源回路としては、力率改善機能を有するワイドレンジ対応の電源回路として、図22に示す回路よりもはるかに低コストとすることができる。また、部品点数が大幅に削減されることで、回路基板についても有効に小型軽量化を図ることができる。
また、図1に示す電源回路では、共振形コンバータ及び力率改善回路11の動作はいわゆるソフトスイッチング動作であるから、図22に示したアクティブフィルタと比較すればスイッチングノイズのレベルは大幅に低減される。
このため、図1にも示したように、各1組のコモンモードチョークコイルCMCとアクロスコンデンサCLから成る1段のノイズフィルタを備えれば、電源妨害規格をクリアすることが充分に可能とされる。また、整流出力ラインのノーマルモードノイズについては、図1にも示しているように、1つのフィルタコンデンサCNのみにより対策を行っている。
このようにしてノイズフィルタとしての部品点数が削減されることによっても、電源回路のコストダウンと、回路基板の小型軽量化は促進される。
また、図1に示す電源回路の場合、一次側のスイッチングコンバータを形成する各スイッチング素子Q1,Q2は、同期してスイッチング動作するものである。従って、一次側アース電位としては、図22の電源回路のように、アクティブフィルタ側と、その後段のスイッチングコンバータとの間で干渉することが無く、スイッチング周波数の変化に関わらず安定させることができる。
これにより、例えば図22の電源回路で問題となっていた異常発振の問題も解消されることになる。
また、図1に示す電源回路により得られる力率PFとしては、先の図7、図8にて説明したようにAC100V時では負荷電力Po=200W〜20Wの変動に対して力率PF=0.75以上が得られ、AC230V時では負荷電力Po=200W〜50Wの変動に対して力率PF=0.75以上が得られる。このような力率PFの値によれば、例えば電源高調波歪み規制をクリアすることができ、実用上充分な力率が得られているといえる。
このようにして図1に示す本実施の形態の電源回路は、アクティブフィルタを備える電源回路が有する各種の問題を解決したうえで、力率改善機能を有するワイドレンジ対応の電源回路を得ているものである。
ここで、上述もしたように、高周波インダクタL11における高周波巻線部L11Aは、一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1に対する合成インダクタンス成分であり、総合結合係数ktを設定するためのインダクタ(結合係数設定用インダクタ)としての機能を有し、高周波巻線部L11Bは、力率改善回路において帰還されたスイッチング出力を受けるためのインダクタ(力率改善用インダクタ)としての機能を有している。
本発明としては、これらの結合係数設定用インダクタと力率改善用インダクタとは、それぞれ異なる独立のインダクタンス素子(部品)とされたうえで回路に備えられるようにしてもよい。
しかしながら、本実施の形態のようにして、高周波インダクタL11についてタップを施して高周波巻線部L11A,L11Bを形成するようにすれば、結合係数設定用インダクタと力率改善用インダクタとを備えることに対応して追加されるインダクタンス素子としての部品は1つでよいことになる。
続いて、図11の回路図に、本発明の第2の実施の形態としての電源回路の構成例を示す。なお、この図において、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
この図に示す電源回路では、図1に示した構成において、力率改善回路11に代えて力率改善回路12を備えた構成を採る。
力率改善回路12としても、高周波インダクタL11、スイッチングダイオードD1、及びフィルタコンデンサCNを備えて成る。また、この場合にも、高周波インダクタL11における所定の巻線位置に対してタップを設けることで、巻き終わり側から高周波巻線部L11Aと、高周波巻線部L11Bとに分割される。
そしてこの場合、高周波インダクタL11のタップに対しては、スイッチングダイオードD1のアノードが接続される。スイッチングダイオードD1のカソードは平滑コンデンサCiの正極出力端子と接続される。
また、高周波インダクタL11において高周波巻線部L11Aの巻終わりとなる側の端部は、一次巻線N1の端部と接続される。また、高周波インダクタL11において高周波巻線部L11Bの巻始めとなる側の端部は、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と接続される。
上記した接続形態によっても、一次側直列共振回路を形成するとされる一次側直列共振コンデンサC1と一次巻線N1の直列接続回路は、さらに高周波インダクタL11の直列接続回路を介して平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。従って、この場合にも、一次側直列共振回路としては、一次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスに加え、高周波インダクタL11のインダクタンスも含んで形成されるものとなる。
また、この場合にも、商用交流電源ACから直流入力電圧Eiを生成する整流回路系における、商用交流電源ACが正極性/負極性となる半周期ごとに形成される整流電流経路において、高周波巻線部L11BがスイッチングダイオードD1と直列に接続される回路形態が得られている。つまり、高周波巻線部L11Bは、力率改善回路12においても、力率改善のためにスイッチング出力が印加される高周波インダクタとして機能する。
そして、このような力率改善回路12の構成では、一次側直列共振回路(C1−L1−L11A)に得られるスイッチング出力(一次側直列共振電流)を、スイッチングダイオードD1を介して平滑コンデンサCiに帰還するような電力回生の動作となる。ここでは、このような電力回生の動作をダイオード結合形ということにする。
このようなダイオード結合形による力率改善回路12を備えた場合にも、回生された電力によりスイッチングダイオードD1が整流電流をスイッチングして断続するようにされる。この結果、図1に示した磁気結合形の力率改善回路11と同様にして、交流入力電流IACの導通角は拡大されて力率改善が図られることになる。
また、この場合においても、一次巻線N1は、高周波巻線部L11Aと直列接続されたうえで整流平滑電圧Eiを生成するための整流平滑回路系の整流電流経路(高周波巻線部L11B−スイッチングダイオードD1の直列接続回路の接続点)と接続される形態を採っている。これにより、第1の実施の形態と同様にして、総合結合係数ktとしては、例えば図4及び図5にて説明したような単峰特性が得られる程度の疎結合の状態を設定して、スイッチング周波数の必要制御範囲を縮小することが可能である。従って、この第2の実施の形態としても、先の第1の実施の形態と同様の効果が得られることになる。
図12の回路図は、第3の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。なお、この図においても、先の図1、及び図11と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
この図に示す電源回路としては、先ず、商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)を入力して整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を生成するための整流電流回路系として、交流入力電圧VACの2倍に対応するレベルの整流平滑電圧Eiを生成する、倍電圧整流回路を備える。そのうえで、図12に示す電源回路は、次に説明するようにして、上記倍電圧整流回路に対して、電力回生方式の力率改善のための回路構成を組み合わせた力率改善回路13を備える。
この力率改善回路13としては、高周波インダクタL11、フィルタコンデンサCN、整流ダイオードD11,D12、及び2つの直列接続された平滑コンデンサCi1,Ci2により形成されるものとしている。また、この力率改善回路13に含まれる倍電圧整流回路は、整流ダイオードD11,D12、及び2つの直列接続された平滑コンデンサCi1,Ci2により形成されるものとなる。この場合において、整流ダイオードD11,D12は、力率改善用のスイッチング素子としても機能するので、高速リカバリ型が選定される。
先ず、倍電圧整流回路を備える力率改善回路13の構成として、フィルタコンデンサCNはコモンモードノイズフィルタ(CMC,CL)の後段となる商用交流電源ACの正極ラインと負極ラインとの間に対して挿入される。
高周波インダクタL11は、この場合にもタップが施されることで、タップ位置を分割位置として、巻き終わり側から高周波巻線部L11A,L11Bに分割される。高周波インダクタL11において高周波巻線部L11Bの巻始めとなる側の端部は、コモンモードノイズフィルタ(CMC,CL)の後段における商用交流電源ACの正極ラインと接続される。また、高周波インダクタL11のタップは、整流ダイオードD11のアノードと整流ダイオードD12のカソードの接続点に対して接続される。また、高周波インダクタL11において高周波インダクタL11Aの巻終わりとなる側の端部は、一次巻線N1の一方の端部と接続されることになる。なお、この場合の一次巻線N1の他方の端部も、一次側直列共振コンデンサC1を介してスイッチング素子Q1のドレインとスイッチング素子Q2のソースとの接続点(スイッチング出力点)に対して接続される。
整流ダイオードD11のカソードは、平滑コンデンサCi1の正極端子と接続され、整流ダイオードD12のアノードは、一次側アースと接続される。
直列接続された平滑コンデンサCi1,Ci2の接続点は、コモンモードノイズフィルタ(CMC,CL)の後段となる商用交流電源ACの負極ラインに対して接続される。平滑コンデンサCi2の負極端子は一次側アースに接地される。
このようにして構成される力率改善回路13における倍電圧整流回路の動作としては、商用交流電源ACが一方の半周期(正極性)となる期間においては、[商用交流電源AC→(CMCの巻線)→高周波巻線部L11B→整流ダイオードD11→平滑コンデンサCi1→(CMCの巻線)→商用交流電源AC]の整流電流経路が形成され、整流ダイオードD11が商用交流電源ACを整流し、平滑コンデンサCi1がその整流出力である整流電流を充電することで整流電圧の平滑動作が得られる。
また、商用交流電源ACが他方の半周期(負極性)となる期間においては、[商用交流電源AC→(CMCの巻線)→平滑コンデンサCi2→整流ダイオードD12→高周波巻線部L11B→(CMC)→商用交流電源AC]の整流電流経路が形成され、整流ダイオードD12が商用交流電源ACを整流し、平滑コンデンサCi2がその整流出力を平滑化することになる。
これにより、平滑コンデンサCi1,Ci2の各両端電圧としては商用交流電源ACの等倍に対応するレベルの整流平滑電圧が得られる。従って、平滑コンデンサCi1−Ci2の直列接続回路の両端電圧としては、商用交流電源ACのレベルの2倍に対応するレベルの整流平滑電圧Eiが得られることになる。つまり、倍電圧整流動作が得られる。
そして、上記した整流電流経路によれば、商用交流電源ACが正極性となる半周期の期間においては、高周波巻線部L11B−整流ダイオードD11の直列接続回路が形成され、商用交流電源ACが負極性となる半周期の期間においては、整流ダイオードD12→高周波巻線部L11Bの直列接続回路が形成される。つまり、この場合においても、高周波巻線部L11Bは、スイッチングダイオードとして機能する整流ダイオードD11,D12と直列接続されるようになっており、力率改善回路13において力率改善のためにスイッチング出力が印加される高周波インダクタとして機能するようにされている。
そして、この場合においては、一次側直列共振回路(C1−L1−L11A)の端部は、スイッチング出力(一次側直列共振電流)は、高周波巻線部L11Bと、整流ダイオードD11のアノードと、整流ダイオードD12のカソードとの接続点に対して接続されていることになる。これにより、商用交流電源が正/負の期間ごとに対応する整流電流経路に対して、一次側スイッチング出力を帰還する系が形成されていることになる。
整流ダイオードD11,D12は、上記のようにして帰還されたスイッチング出力に応じて、ブリッジ整流回路Diの整流動作によって得られる整流電流をスイッチング(断続)するようにされる。これにより、力率改善回路13によっても、整流出力電圧レベルが平滑コンデンサCiの両端電圧よりも低いとされる期間にも平滑コンデンサCiへの充電電流が流れるようにされ、交流入力電流IACの導通角が拡大されて力率改善が図られる。
なお、この力率改善回路13としては、一次側直列共振回路(C1−L1−L11A)に得られるスイッチング出力(一次側直列共振電流)を、整流ダイオードD11を介して平滑コンデンサCi1に帰還し、また、整流ダイオードD12を介して平滑コンデンサCi2に帰還しているものとみることができる。つまり、ダイオード結合形としての電力回生の動作が得られている。
また、本実施の形態においても、一次巻線N1は、高周波巻線部L11Aと直列接続されたうえで整流平滑電圧Eiを生成するための整流平滑回路系の整流電流経路(高周波巻線部L11B−スイッチングダイオードD1との接続点)と接続される形態を採っている。これにより、総合結合係数ktとしては、例えば図4及び図5にて説明したような単峰特性が得られる程度の疎結合の状態を設定して、スイッチング周波数の必要制御範囲を縮小することが可能である。従って、この第3の実施の形態としても、先の各実施の形態と同様の効果が得られることになる。
なお、この第3の実施の形態のようにして、整流平滑電圧Eiを生成する整流回路系について倍電圧整流回路とするのは、商用交流電源ACが100V系の単レンジで、かつ、最大負荷電力が200W以上などのようにして、比較的重負荷の条件となるような場合である。このような条件では、スイッチングコンバータに流れる電流が増加して電力損失が増加する傾向となるが、倍電圧整流回路により整流平滑電圧Eiを2倍にまで増加させて生成すると、同じ負荷条件に対してスイッチングコンバータに流れる電流量を低減させることができるために、電力損失が低減される。例えば、この第3の実施の形態としての図12の回路構成を採った場合には、300W以上程度の最大負荷電力(Pomax)に対応可能なワイドレンジ対応の電源回路を得ることができる。
図13の回路図は、本発明の第4の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。なお、この図において、図1、図11、及び図12と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
この図に示す電源回路においては、一次側の電流共振形コンバータの構成について、4石のスイッチング素子Q1〜Q4を備える、フルブリッジ結合方式としている。
フルブリッジ結合方式としては、図示するようにして、スイッチング素子Q1,Q2のハーフブリッジ接続に対して、スイッチング素子Q3,Q4のハーフブリッジ接続を並列に接続するようにされる。
上記スイッチング素子Q3,Q4についても、スイッチング素子Q1,Q2と同様にして、それぞれ、ボディダイオードであるダンパーダイオードDD3、ダンパーダイオードDD4が、ドレイン−ソース間に対して並列に接続されている。
また、この場合には、スイッチング素子Q3,Q4が備えられることに対応して、スイッチング素子Q4のソース−ドレイン間に対して並列に一次側部分共振コンデンサCp1が接続される。この一次側部分共振コンデンサCp1としても、自身のキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1(及び高周波インダクタL11のインダクタンス)とにより並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成し、スイッチング素子Q3,Q4のターンオフ時にのみ電圧共振する部分電圧共振動作を得る。
そのうえで、この場合には、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1については、その一方の端部を、一次側直列共振コンデンサC1と、後述する力率改善用トランスVFTの一次巻線N11の直列接続を介して、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインの接続点と接続する。スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインの接続点は、フルブリッジ結合のスイッチング回路系における一方のスイッチング出力点となる。
また、一次巻線N1の他方の端部は、他方のスイッチング出力点であるスイッチング素子Q3のソースとスイッチング素子Q4のドレインとの接続点に対して接続する。
上記接続態様によると、本実施の形態としては、一次巻線N1−一次側直列共振コンデンサC1−一次巻線N11の直列接続が形成されていることになる。これにより、一次巻線N1そのもののリーケージインダクタンスL1と、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンスとから成る合成インダクタンスと、一次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンスとにより、一次側直列共振回路が形成されることになる。
そして、一次側直列共振回路としては、スイッチング素子Q1,Q2側のスイッチング出力点と、スイッチング素子Q3,Q4側のスイッチング出力点との間に挿入されていることになる。
また、この場合の発振・ドライブ回路2は、スイッチング素子Q1〜Q4の4石のスイッチング素子を駆動するようにされている。この発振・ドライブ回路2によっては、スイッチング素子[Q1,Q4]の組と、スイッチング素子[Q3,Q4]の組とが交互にオン/オフするようにしてスイッチング駆動が行われる。そして、これらスイッチング素子のスイッチング出力が、上記のようにしてスイッチング出力点間に挿入される一次側直列共振回路に伝達され、そのスイッチング動作を電流共振形とする。
なお、この第4の実施の形態のようにして、一次側の電流共振形コンバータの構成についてフルブリッジ結合方式とするのも、重負荷の条件に対応するためである。重負荷の傾向となるのに従っては、スイッチングコンバータに流れる電流が増加して、回路部品への負担も重くなり、また、電力損失も増加していくことになる。
そこで、フルブリッジ結合とすれば、必要な負荷電流を4つのスイッチング素子によりまかなうこととなるために、例えば2本のスイッチング素子から成るハーフブリッジ結合方式の場合よりも、各部品への負担は軽くなり、また、電力損失も低減され、重負荷の条件に有利となる。例えば、この図13に示す構成を採ることによっては、300W以上程度の最大負荷電力(Pomax)に対応可能なワイドレンジ対応の電源回路を得ることができる。
また、この第4の実施の形態としての電源回路においては、電圧帰還方式により力率を改善する力率改善回路14が備えられる。この力率改善回路14は、力率改善用トランスVFT、スイッチングダイオードD1、及びフィルタコンデンサCNを備えて成る。
スイッチングダイオードD1のアノードは、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子に対して接続される。スイッチングダイオードD1のカソードは、力率改善用トランスVFTの二次巻線N12の直列接続を介して平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。
上記した力率改善回路14の接続形態では、整流平滑電圧Eiを生成する整流電流経路において、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と平滑コンデンサCiの正極端子との間のラインに対して、スイッチングダイオードD1−二次巻線N12の直列接続回路を挿入していることになる。つまり、二次巻線N12は、電圧帰還方式による力率改善回路において、スイッチング出力を電圧帰還することにより得られる、スイッチング周期の交番電圧を受けるインダクタとしての機能を有するもので、ここでの二次巻線N12は、先の各実施の形態における高周波インダクタL11における高周波巻線部L11Bと同等の機能を有している。
また、この場合のフィルタコンデンサCNは、スイッチングダイオードD1−二次巻線N12の直列接続回路に対して並列に接続される。
力率改善用トランスVFTは、一次巻線N11と二次巻線N12とについて、磁気的に結合されるようにしてコアに巻装した構造を有する。なお、この場合の力率改善用トランスVFTは、分割された巻装位置が形成されているいわゆる分割ボビンを有し、一次巻線N11と二次巻線N12とを、上記分割ボビンにおいてそれぞれ異なる巻装位置に巻回するようにしている。これにより、一次側と二次側の結合度としては、疎結合とされる所定の結合係数が得られるようにされている。
このようにして構成される力率改善回路14においては、一次側直列共振回路にスイッチング出力(一次側直列共振電流)が得られるのに応じて、この一次側直列共振回路に含まれるとされる力率改善用トランスVFTの一次巻線N11にスイッチング出力としての電流が流れることになる。そして、力率改善用トランスVFTにおいては、この一次巻線N11に流れる交番電流に応じて、二次巻線N12に交番電圧を誘起させる。
先に述べたように、力率改善用トランスVFTの二次巻線N12は、スイッチングダイオードD1と直列接続された形態で、商用交流電源ACの整流電流経路に挿入されている。このために、二次巻線N12に誘起される交番電圧は、整流出力電圧に対して重畳されるものとなる。つまり、力率改善用トランスVFTによっては、一次側直列共振電流を、力率改善用トランスVFTの磁気結合を介して整流電流経路に電圧として帰還するようにしている。このようにして、スイッチング出力を電圧として帰還して力率改善を図るようにされた力率改善回路の方式を、ここでは電圧帰還方式といっている。
従って、この場合のスイッチングダイオードD1としても、上記した交番電圧の重畳分により整流電流をスイッチング(断続)するようにして動作する。このような動作が得られる結果、交流入力電圧VACのレベルが平滑コンデンサCiの両端電圧よりも低いとされる期間にも整流電流を流すことになる。この結果、先の各実施の形態と同様にして、交流入力電流IACの導通角が拡大され、交流入力電流IACの波形が交流入力電圧VACに近づくこととなって力率が改善される。
また、この図13に示す電源回路においては、前述もしたように、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に対して、一次側直列共振コンデンサC1を介して力率改善用トランスVFTの一次巻線N11が直列に接続されている。この場合、一次巻線N1と一次巻線N11との間には、一次側直列共振コンデンサC1が介在するものの、一次側直列共振回路を成すリーケージインダクタンス成分としては、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1そのもののリーケージインダクタンスL1と、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンスとを合成したものとなる。このことから、一次側直列共振回路内において、一次巻線N1と一次巻線N11とは相互に直列接続される関係にあるインダクタンスであるとみてよく、従って、絶縁コンバータトランスPITの総合結合係数ktとしても、一次巻線N1自体のリーケージインダクタンスL1と、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンスとを合成して得られる総合のリーケージインダクタンスに対応した値を有することになる。つまり、本実施の形態では、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11が、例えば図1などに示した高周波巻線部L11Aとしての機能を有している。
そして、このような構成が採られることで、本実施の形態としても、総合結合係数ktとしては、例えば図4及び図5にて説明したような単峰特性が得られる程度の疎結合の状態を設定して、スイッチング周波数の必要制御範囲を縮小することが可能であり、これによる効果は先の実施の形態と同様である。
なお、確認のために述べておくと、一次側の電流共振形コンバータについてフルブリッジ結合方式とする構成に対して組み合わせるべき力率改善回路の形式などは任意であり、例えば他の電圧帰還方式あるいは電力回生方式による力率改善回路を任意に組み合わせることができる。
図14の回路図は、第5の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。なお、この図において、図1、及び図11〜図13と同一部分は同一符号を付して説明を省略する。
ところで、先の図7及び図8に示したように、図1に示す電源回路では、軽負荷の傾向、若しくは交流入力電圧レベルが上昇するのに従って、改善される力率PFの値が低下していく傾向となる。軽負荷の傾向となるのに応じては、電源回路内にて流れる電流量が減少していくことになるために、これに伴って交流入力電流IACの導通角は縮小して力率が低下する。また、交流入力電圧レベルが高くなることで、スイッチングダイオードD1が整流電流を導通させるのに必要とされる交流入力電圧VACのレベルの下限を引き上げることになる。これにより、交流入力電流IACの導通角は縮小して力率が低下する。
先の図1に示す電源回路の力率特性によっても、実用上充分な力率が得られてはいるのであるが、交流入力電圧条件や負荷の条件などによっては、交流入力電圧レベルや負荷の変動に対して、より安定した値の力率が得られるようにした方が好ましい場合がある。
そこで、図14に示す第5の実施の形態の電源回路では、改善される力率を一定とするように構成される。
この図14に示す電源回路が備える力率改善回路15は、先に図13に示した力率改善回路14の力率改善用トランスVFTに代えて、制御トランスPRTを備えている。この場合の制御トランスPRTは、図1に示した力率改善用トランスVFTを可飽和リアクタとして構成したものとなる。
ここで、制御トランスPRTの構造例を図16及び図17に示す。
先ず、図16に示す制御トランスPRTとしては、4本の磁脚を有する2つのダブルコの字型コアCR11,CR12を備えるようにしている。そして、これらダブルコの字型コアCR11,CR12の互いの磁脚の端部を接合するようにして、立体型コアを形成する。
このようにして立体型コアを形成した場合には、上記4本の磁脚ごとに対応して、ダブルコの字型コアCR11、CR12の接合部は4つ在ることとなるが、この場合、これら4つの接合部において隣り合う2つの接合部については所定長のギャップG,Gをそれぞれ形成し、残る2つの接合部についてはギャップを形成しないようにされる。
そして、このようにして形成される立体型コアにおいて、例えばダブルコの字型コアCR11側のギャップGが形成してある磁脚と、この磁脚と隣り合うギャップの形成していない磁脚とに跨るようにして、制御巻線Ncを所定ターン数(巻数)により巻装する。
また、他方のダブルコの字型コアCR12側に対しては、上記制御巻線Ncの巻回方向に対して直交する巻回方向となるようにして、この場合にはギャップが形成されていない2本の隣り合う磁脚に跨って、一次巻線N11及び二次巻線N12を所定ターン数により巻装する。さらに、本実施の形態においては、これら一次巻線N11及び二次巻線N12と同じ巻回方向により、一次巻線N11及び二次巻線N12側に対して密結合となるようにして検出巻線NDを巻装している。
このような構造により、この場合の制御トランスPRTとしては、制御巻線Ncに流れる制御電流Icの増加に伴って飽和状態となる、可飽和リアクタとして構成される。これにより、制御巻線Ncに流れる直流電流(制御電流Ic)のレベルに応じて、被制御巻線となる一次巻線N11、二次巻線N12のインダクタンスを可変する。また、このような構造によっても、一次巻線N11と二次巻線N12とは、所要の疎結合の状態が得られている。
また、制御トランスPRTの他の構造としては、図17に示すようにして、立体型コアについて、一方のコアは4本の磁脚を有するダブルコの字型コアCR11とするが、他方のコアは、ダブルコの字型コアCR12に代えて、任意の断面がコ字状となるシングルコの字型コアCR21として組み合わせて形成することもできる。
この場合においても、図16の制御トランスPRTと同様の位置関係により2つのギャップG,Gを形成するようにされる。そして、制御巻線Ncについては図16の場合と同様にしてダブルコの字型コアCR11の2本の磁脚に対して巻装し、シングルコの字型コアCR21に対しては、図のようにして、制御巻線Ncに対して巻方向が直交するようにして、一次巻線N11、二次巻線N12、及び検出巻線NDを巻装するようにしている。
説明を図14に戻す。
制御トランスPRTの一次巻線N11及び二次巻線N12は、例えば先の図13に示した力率改善回路14における力率改善用トランスVFTの一次巻線N11及び二次巻線N12と同様の接続態様となっている。
ただし、この場合には、一次側電流共振形コンバータはハーフブリッジ結合であるので、一次側直列共振回路の一端は、一次側アースに接続される。この場合には、一次巻線N1−制御トランスPRTの一次巻線N11−一次側直列共振コンデンサC1の順で接続しており、これにより形成される一次側直列共振回路における一次側直列共振コンデンサC1側の端部を一次側アースに接続している。他方の端部は、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力点に対して接続される。
このような接続形態によっても、力率改善のための基本的な動作としては、図13の力率改善回路14と同様にして、疎結合状態の一次巻線N11と二次巻線N12の磁気結合を介して整流電流経路にスイッチング出力を電圧帰還するようにされる。つまり、力率改善用トランスVFTを備える電圧帰還方式による力率改善動作と同様となる。
また、検出巻線NDの一端は一次側アースに接地され、他端はダイオードD5のアノードに接続される。このダイオードD5及びコンデンサC5とによっては半波整流回路が形成される
ここで、前述したように、検出巻線NDは、制御トランスPRTにおいて一次巻線N11及び二次巻線N12に対して密結合となるようにして巻装されているので、検出巻線NDには、一次巻線N11、二次巻線N12に生じる交番電圧に応じたレベルの交番電圧が誘起されることになる。
また、一次巻線N11は、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と直列に接続されるインダクタとなるので、この一次巻線N11には、一次側直列共振回路(C1−N1(L1))にてスイッチング出力として流れる一次側直列共振電流に応じたレベルの電流が流れ、一次巻線N11(及び二次巻線N12)の両端電圧としては、この一次側直列共振電流に応じたレベルとなる。そして、一次側直列共振電流のレベルは、二次側直流出力電圧Eoに接続される負荷に流れる負荷電流レベルに応じて変化する。従って、検出巻線NDに誘起される電圧のレベルは、負荷電流レベルを示していることになる。本実施の形態においては、二次側直流出力電圧Eoは安定化されるので、負荷電流レベルがそのまま負荷電力値にたいおうするものとみることができる。つまり、検出巻線NDによっては、負荷電力を検出しているということがいえる。
そして、この検出巻線NDの交番電圧は、上記ダイオードD5及びコンデンサC5から成る半波整流回路により整流平滑化される。これにより、コンデンサC5の両端電圧としては、検出巻線NDの交番電圧レベルに応じたレベルの直流電圧が得られることになる。つまり、コンデンサC5の両端電圧レベルは、負荷電力を示していることになる。このコンデンサC5の両端電圧は、力率制御回路3に対して負荷電力を示す検出入力として供給される。
また、力率改善回路15内においては、分圧抵抗R1−R2が備えられている。この分圧抵抗R1−R2の直列接続回路は、平滑コンデンサCiに対して並列に接続される。つまり整流平滑電圧Ei(直流入力電圧Ei)を分圧するようにして設けられる。この分圧抵抗R1−R2の分圧点は、力率制御回路3に対して接続されている。
整流平滑電圧Eiは、商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)を直流化したものであるから、整流平滑電圧Eiのレベルは、交流入力電圧VACのレベルに応じて変化するものとなる。従って、分圧抵抗R1−R2の分圧点と接続される力率制御回路3としては、分圧抵抗R1−R2により検出した商用交流電源ACのレベルを入力していることになる。
この場合の力率制御回路3は、例えばA級増幅器などによる簡単な増幅回路として構成され、負荷電力を示すコンデンサC5の両端電圧レベルと、商用交流電源ACのレベルを示す分圧抵抗R1−R2により分圧された電圧レベルとを入力して、制御トランスPRTの制御巻線Ncに流すべき直流電流である制御電流Icのレベルを可変する。
先ず、力率制御回路3は、負荷電力変動に対応する動作としては、コンデンサC5の両端電圧レベルが低くなるのに応じて、制御電流Icのレベルを低下させるように可変する。ここで、コンデンサC5の両端電圧レベルが低くなるということは、負荷電流が減少していることになるので、軽負荷の傾向となっていくことを意味する。
また、商用交流電源ACのレベルに対応する動作としては、分圧抵抗R1−R2の分圧レベルが高くなっていくのに応じて、制御電流Icのレベルを低下させるようにして可変する。
可飽和リアクタである制御トランスPRTにおいては、制御巻線Ncに流れる制御電流Icのレベルが低下するのに応じて、被制御巻線となる一次巻線N11及び二次巻線N12のインダクタンスを増加させるように動作する。
力率改善回路15内においてインダクタとして機能する二次巻線N12、及びこの二次巻線N12と磁気結合される一次巻線N11のインダクタンスが増加するということは、その分、一次側直列共振回路から帰還される或る一定量の電力に応じて、二次巻線N12(及び一次巻線N11)としてのインダクタに蓄積されるエネルギーも増加するということであり、これは、力率改善のための電力帰還量が増加することにつながる。この電力帰還量の増加が、スイッチングダイオードD1が整流電流をスイッチングするのに必要とされる交流入力電圧VACのレベルの下限を引き下げることとなって、力率の低下(つまり、軽負荷傾向、及び交流入力電圧VACの上昇傾向に応じた電力帰還量の減少)をキャンセルする傾向に作用することになる。この結果、負荷電力が軽負荷となる傾向となるのに対して電力帰還量はほぼ一定となるように維持され、負荷電力変動にかかわらず力率が一定となるように制御されることとなる。
このようにして、図14に示す第5の実施の形態としては、電圧帰還方式による力率改善機能を有するワイドレンジ対応の多重複合共振形コンバータとして、交流入力電圧(商用交流電源)変動及び負荷変動に対して、改善される力率が一定となるように制御される。
なお、交流入力電圧の入力条件や負荷条件などによっては、この力率の安定化の構成として、例えば、交流入力電圧変動に対応してのみ安定化する、あるいは逆に、負荷変動に対応してのみ安定化する構成としてもよい。
また、確認のために述べておくと、この場合においても、図13に示した第4の実施の形態と同様にして、制御トランスPRTの一次巻線N11が高周波巻線部L11Aとしての機能を有しているものであり、一次巻線N1自体のリーケージインダクタンスL1と、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンスの合成により得られる総合的なリーケージインダクタンス成分により、図4及び図5にて説明した単峰特性を得るための総合結合係数ktが設定される。
図15の回路図は、第6の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。なお、この図において、図1及び図11〜図14と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
上記図14に示した第5の実施の形態では、力率改善用トランスVFTを基とした制御トランスPRTを備えていることからも分かるように、電圧帰還方式の下で改善される力率を一定とする構成を採っているといえる。
第6の実施の形態としては、力率改善回路16を備えることにより、電力回生方式の下で力率を一定とするように構成される。
力率改善回路16としても、第5の実施の形態の力率改善回路15と同様にして、スイッチングダイオードD1、フィルタコンデンサCN、制御トランスPRT、半波整流回路(D5,C5)、抵抗R1,R2を備える。また、制御トランスPRTは、この場合にも、一次巻線N11、二次巻線N12、及び検出巻線NDを巻装して構成される。なお、制御トランスPRTの構造そのものとしては、図16又は図17にて説明したのと同様でよい。
そのうえで、本実施の形態の力率改善回路16においては、制御トランスPRTの一次巻線N11の一方の端部を、二次巻線N12とスイッチングダイオードD1のアノードとの接続点に対して接続している。一次巻線N11の他方の端部は、この場合には、一次側直列共振コンデンサC1を介して一次巻線N1と直列に接続される。
なお、これ以外の力率改善回路16における接続態様としては、図14に示した力率改善回路15と同様となるので、ここでの説明は省略する。
ここで、上記した力率改善回路16の接続態様によると、制御トランスPRTの一次巻線N11と二次巻線N12は、それぞれ、例えば図1に示した高周波インダクタL11における高周波巻線部L11A,L11Bと同様の接続態様によって、力率改善回路16内において備えられているものであることが分かる。
つまり、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11は、この場合には一次側直列共振コンデンサC1を介しているが、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と直列接続される関係にあり、従って、一次側直列共振回路を形成するインダクタンス成分となる。また、一次巻線N1そのもののリーケージインダクタンスL1と、一次巻線N11のインダクタンスとの合成インダクタンスにより、総合結合係数ktが設定されるようになっている。本実施の形態としても、例えば、総合結合係数kt=0.65以下程度の所定値が設定されることで、定電圧制御特性としては先に説明した単峰特性が得られるようにされる。
また、力率改善用トランスVFTの二次巻線N12は、商用交流電源ACが正/負となる各半波の期間に形成される整流電流経路において、スイッチングダイオードD1と直列接続回路を形成しており、この直列接続回路の接続点に対して、一次側直列共振回路に得られるスイッチング出力(一次側直列共振電流)が印加されるようになっている。つまり、電力回生方式としてのスイッチング出力帰還が行われる構成となっており、これによる力率改善が図られることになる。
そのうえで、先の第5の実施の形態と同様にして、力率制御回路3が動作することで、改善される力率としては、負荷変動及び交流入力電圧変動に対して一定となるように制御されることになる。つまり、この場合には、図1などに示された高周波インダクタL11を基として制御トランスPRTを形成しているものとみることができる。
ここで、次の図18には、本実施の形態における電源回路についての二次側の変形例の構成を示す。なお、この図においては絶縁コンバータトランスPITの二次側の構成のみが示されているが、一次側については、例えばこれまで説明した第1〜第6の実施の形態の何れかの構成要素が組み合わされればよい。また、図1にて説明した部分と同じ部分については同一符号を付して説明を省略する。
この変形例の構成としては、より重負荷の条件に対応可能となるように、二次巻線N2として、図のように二次巻線N2A、二次巻線N2B、二次巻線N2Cの3つを巻装している。
そして、新たに追加された二次巻線N2Cについても、二次巻線N2A、二次巻線N2Bに対して接続されるものと同様に、先ずは二次側直列共振コンデンサC2Cを直列に接続して直列共振回路を構成している。
その上で、二次巻線N2A、二次巻線N2Bに対して設けられる倍電流整流回路と同様の接続形態によって、整流ダイオードDo1C、整流ダイオードDo4C、高周波チョークコイルLo1C、高周波チョークコイルLo2Cを接続している。
この二次巻線N2Cに接続される倍電流整流回路の整流ダイオードDo1CとDo2Cについても、同様にツインショットキーバリアダイオードTSDを選定している。このように整流ダイオードDo1CとDo2Cとして機能するツインショットキーバリアダイオードTSDは、ツインショットキーバリアダイオードTSD−Cとする。
その上でこの場合としても、各整流回路の整流出力を、これら3つの整流回路に対して共通に設けられた1組の平滑コンデンサCoによって平滑化して二次側直流出力電圧Eoを生成するものとしている。
これによれば、この場合の二次側に流れる整流電流レベルとしては、これまでの回路図にて示した二次側の構成とする場合よりもさらに低減できる。
すなわち、これによって重負荷の条件とされた場合における電力変換効率の低下を効果的に抑制でき、さらなる重負荷の条件にも対応可能となる。
なお、本発明はこれまで説明した実施の形態に限定されるべきものではない。
例えば、絶縁コンバータトランスPIT、及び制御トランスPRTについては、コア形式などをはじめとして、その構造については適宜変更されて構わない。
また、実施の形態で例示したスイッチングコンバータは、他励式による電流共振形コンバータをその基礎としているが、例えば自励式による電流共振形コンバータを備えて構成することも可能である。この場合には、スイッチング素子として例えばバイポーラトランジスタを選定することができる。また、例えばスイッチングコンバータの一次側のスイッチング素子としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)など、他励式に使用可能な素子であれば、MOS−FET以外の素子が採用されて構わない。
また、先に説明した各部品素子の定数なども、実際の条件等に応じて適宜変更されて構わないものである。また、電力回生方式、あるいは電圧帰還方式による力率改善回路としても、第1〜第6の実施の形態として示した構成に限定されるものではなく、適宜変更されてかまわない。
本発明の第1の実施の形態の電源回路の構成例を示す回路図である。 実施の形態のスイッチング電源回路が備える絶縁コンバータトランスの構造例を示す断面図である。 実施の形態の電源回路を電磁結合形共振回路としてみた等価回路図である。 本実施の形態の電源回路についての定電圧制御特性を示す図である。 実施の形態の電源回路の定電圧制御動作として、交流入力電圧条件及び負荷変動に応じたスイッチング周波数制御範囲(必要制御範囲)を示す図である。 図1に示す電源回路から二次側直列共振回路を省略した構成の電源回路についての定電圧制御特性を示す図である。 実施の形態の電源回路についての、負荷変動に対する整流平滑電圧、力率、及びAC→DC電力変換効率の特性を示す図である。 実施の形態の電源回路についての、交流入力電圧変動に対する整流平滑電圧、力率、及びAC→DC電力変換効率の特性を示す図である。 実施の形態の電源回路の力率改善動作を示す波形図である。 実施の形態の電源回路の力率改善動作を示す波形図である。 第2の実施の形態としての電源回路の構成例を示す回路図である。 第3の実施の形態としての電源回路の構成例を示す回路図である。 第4の実施の形態としての電源回路の構成例を示す回路図である。 第5の実施の形態としての電源回路の構成例を示す回路図である。 第6の実施の形態としての電源回路の構成例を示す回路図である。 第5及び第6の実施の形態の電源回路に備えられる制御トランスの構造例を示す斜視図である。 第5及び第6の実施の形態の電源回路に備えられる制御トランスの構造例を示す斜視図である。 実施の形態の電源回路の二次側の変形例について示す回路図である。 アクティブフィルタの基本的回路構成を示す回路図である。 図19に示すアクティブフィルタにおける動作を示す波形図である。 アクティブフィルタのコントロール回路系の構成を示す回路図である。 アクティブフィルタを実装した従来の電源回路の構成例を示す回路図である。 図22に示す電源回路においてAC100V系時に対応して得られる交流入力電圧と交流入力電流の波形を示した波形図である。 図22に示す電源回路においてAC200V系時に対応して得られる交流入力電圧と交流入力電流の波形を示した波形図である。 図22に示す電源回路の負荷変動に対する電力変換効率、力率、整流平滑電圧の各特性について示した特性図である。 図22に示す電源回路の交流入力電圧変動に対する電力変換効率、力率、整流平滑電圧の各特性について示した特性図である。
符号の説明
1 制御回路、2 発振・ドライブ回路、3 力率制御回路、11〜16 力率改善回路、Di ブリッジ整流回路、Ci,Ci1,Ci2 平滑コンデンサ、Q1,Q2,Q3,Q4 スイッチング素子、PIT 絶縁コンバータトランス、C1 一次側直列共振コンデンサ、C2、C2A、C2B 二次側直列共振コンデンサ、Cp,Cp1 一次側部分共振コンデンサ、N1 一次巻線、N2A,N2B、N2C 二次巻線、N2A1、N2A2、N2B1、N2B2、N2C1、N2C2 二次巻線部、Do1、Do2 (二次側)整流ダイオード、TSD ツインショットキーバリアダイオード、Lo1、Lo2 高周波チョークコイル、Co (二次側)平滑コンデンサ、D1 スイッチングダイオード、CN フィルタコンデンサ、L11 高周波インダクタ、L11A,L11B 高周波巻線部、VFT 力率改善用トランス、PRT 制御トランス、N11 一次巻線、N12 二次巻線、Nc 制御巻線

Claims (5)

  1. 直流入力電圧を入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、
    上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段と、
    上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線により交番電圧が誘起される複数の二次巻線とが巻装されて形成され、一次側と二次側とで所定の結合係数が得られるようにして、コアの所定位置に形成されるギャップ長が設定される絶縁コンバータトランスと、
    少なくとも、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、上記一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成されて第1の共振周波数が設定され、上記スイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路と、
    少なくとも、上記絶縁コンバータトランスの各二次巻線の漏洩インダクタンス成分と、上記各二次巻線に直列接続される二次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって各々形成されて第2の共振周波数が設定される二次側直列共振回路と、
    上記各二次巻線に得られる交番電圧について倍電流整流動作を行って、その整流出力を共通の二次側平滑コンデンサにより平滑化して二次側直流出力電圧を生成する二次側直流出力電圧生成手段と、
    上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング駆動手段を制御して、上記スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、上記二次側直流出力電圧について定電圧制御を行う定電圧制御手段と、
    上記スイッチング手段のスイッチング動作により上記一次側直列共振回路に得られるスイッチング出力を、上記整流平滑手段を形成する整流平滑回路の所定の整流電流経路に対して帰還し、この帰還されたスイッチング出力により整流電流を断続するようにして動作するもので、少なくとも力率改善用インダクタと力率改善用スイッチング素子とを有して形成される力率改善手段と、
    上記一次巻線に対して直列となる接続関係を有し、上記一次側直列共振回路と上記二次側直列共振回路とを有して形成される電磁結合形共振回路の出力特性が、上記スイッチング周波数を有する周波数信号の入力に対して単峰特性となるようにして、所定の一次側と二次側との総合結合係数が設定されるように設けられる、結合係数設定用インダクタと、
    を備えることを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. 上記二次側直流出力電圧生成手段は、
    上記二次巻線の各々に対して上記倍電流整流動作を行う倍電流整流回路が設けられ、これら複数の倍電流整流回路の整流出力を上記共通の二次側平滑コンデンサにより平滑化して上記二次側直流出力電圧を生成するように構成される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  3. 上記力率改善手段は、
    所定の巻線位置に施したタップにより第1巻線部と第2巻線部とに分割された1つのインダクタンス素子を備え、
    上記第1の巻線部を、上記結合係数設定用インダクタとして上記一次巻線に対して直列となる関係が得られるように接続して設け、
    上記第2の巻線部を、上記力率改善用インダクタとして、上記整流平滑手段を形成する整流平滑回路の所定の整流電流経路に対して挿入するようにして設ける、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  4. 上記力率改善手段は、
    力率改善用一次巻線と力率改善用二次巻線とが少なくとも巻装された力率改善用トランスを備え、
    上記力率改善用一次巻線を、上記結合係数設定用インダクタとして上記一次巻線に対して直列となる関係が得られるように接続して設け、
    上記力率改善用二次巻線を、上記力率改善用インダクタとして、上記整流平滑手段を形成する整流平滑回路の所定の整流電流経路に対して挿入するようにして設ける、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  5. 上記力率改善手段は、商用交流電源のレベルの変化に対して力率が一定となるように制御する力率制御手段を備えている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009178020A (ja) * 2007-12-27 2009-08-06 Tdk Corp スイッチング電源装置
CN101800476A (zh) * 2010-04-01 2010-08-11 华为技术有限公司 电压变换装置、方法及供电系统

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