JP2006197671A - スイッチング電源回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】 力率改善機能を有する電源回路として、電力変換効率の向上、回路構成部品の削減を図る。
【解決手段】電流共振形コンバータに対して電圧帰還方式の力率改善回路100を設ける。これにより、アクティブフィルタが省略可能となる。また、力率改善回路100は、力率改善用トランスVFTの磁気結合によりスイッチング出力を電圧帰還する構成であるが、この力率改善用トランスVFTの一次巻線N11を、二次側整流回路に直列に挿入する。これにより、電圧帰還方式力率改善回路でありながら、負荷変動に対して整流平滑電圧Eiの変動を一定とすることが可能になる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、各種電子機器の電源として用いられるスイッチング電源回路に関する。
特開平6−327246号公報(第11図)
近年、高周波の比較的大きい電流及び電圧に耐えることができるスイッチング素子の開発によって、商用電源を整流して所望の直流電圧を得る電源回路としては、大部分がスイッチング方式の電源回路になっている。
スイッチング電源回路はスイッチング周波数を高くすることによりトランスその他のデバイスを小型にすると共に、大電力のDC−DCコンバータとして各種の電子機器の電源として使用される。
ところで、一般に商用電源を整流すると平滑回路に流れる電流は歪み波形になるため、電源の利用効率を示す、力率が損なわれるという問題が生じる。
また、このような歪み電流波形となることによって発生する、高調波を抑圧するための対策が必要とされている。
また、スイッチング電源回路としては、例えば日本や米国等の交流入力電圧AC100V系の地域と、欧州等のAC200V系の地域に対応するように、例えば約AC85V〜288Vの交流入力電圧範囲に対応した動作が可能に構成された、いわゆるワイドレンジ対応の電源回路が知られている。
ここで、上記した共振形コンバータとしては、コンバータを形成するスイッチング素子のスイッチング周波数を制御すること(スイッチング周波数制御方式)により安定化を図るように構成したものが知られている。
このようなスイッチング周波数制御方式による共振形コンバータとして、例えば汎用の発振・ドライブ回路ICなどによりスイッチング素子をスイッチング駆動するような構成では、例えばスイッチング周波数fsの可変範囲は最大で、fs=50KHz〜250KHz程度となっている。このような可変範囲である場合、例えば負荷電力Poの変動範囲がPo=0Wから90W程度まで、さらには150W程度までの比較的大きな変動幅となる負荷条件では、ワイドレンジとしてのAC85V〜288Vの交流入力電圧範囲に対応して安定化を図ることはほぼ不可能となる。
これらの各問題の解決を図るべく、力率の改善、及びワイドレンジ対応の構成を実現する従来技術として、いわゆるアクティブフィルタを用いる方法が知られている(例えば上記特許文献1参照)。
このようなアクティブフィルタの基本構成としては、例えば次の図13に示すものとなる。
この図13においては、商用交流電源ACにブリッジ整流回路Diを接続している。このブリッジ整流回路Diの正極/負極ラインに対しては並列に出力コンデンサCoutが接続される。ブリッジ整流回路Diの整流出力が出力コンデンサCoutに供給されることで、出力コンデンサCoutの両端電圧として、直流電圧Voutが得られる。この直流電圧Voutは、例えば後段のDC−DCコンバータなどの負荷10に入力電圧として供給される。
また、力率改善のための構成としては、図示するようにして、インダクタL、高速リカバリ型のダイオードD、抵抗Ri、スイッチング素子Q、及び乗算器11を備える。
インダクタL、ダイオードDは、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、出力コンデンサCoutの正極端子との間に、直列に接続されて挿入される。
抵抗Riは、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子(一次側アース)と出力コンデンサCoutの負極端子との間に挿入される。
また、スイッチング素子Q1は、この場合には、MOS−FETが選定されており、図示するようにして、インダクタLとダイオードDの接続点と、一次側アース間に挿入される。
乗算器11に対しては、フィードフォワード回路として、電流検出ラインLI及び波形入力ラインLwが接続され、フィードバック回路として電圧検出ラインLVが接続される。
乗算器11は、電流検出ラインLIから入力される、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子に流れる整流電流レベルを検出する。
また、波形入力ラインLwから入力される、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子の整流電圧波形を検出する。これは、即ち、商用交流電源AC(交流入力電圧)の波形を絶対値化して検出していることに相当する。
また、電圧検出ラインLVから入力される、出力コンデンサCoutの直流電圧Voutに基づいて、直流入力電圧の変動差分を検出する。
そして、乗算器11からは、スイッチング素子Qを駆動するためのドライブ信号が出力される。
乗算器11では、先ず、上記のようにして電流検出ラインLIから検出した整流電流レベルと、上記電圧検出ラインLVから検出した直流入力電圧の変動差分と乗算する。そして、この乗算結果と、波形入力ラインLwから検出した交流入力電圧の波形とによって、交流入力電圧VACと同一波形の電流指令値を生成する。
さらに、この場合の乗算器11では、上記電流指令値と実際の交流入力電流レベル(電流検出ラインL1からの入力に基づいて検出される)を比較し、この差に応じてPWM信号についてPWM制御を行い、PWM信号に基づいたドライブ信号を生成する。そして、スイッチング素子Qは、このドライブ信号によってスイッチング駆動される。この結果、交流入力電流は交流入力電圧と同一波形となるように制御されて、力率がほぼ1に近付くようにして力率改善が図られることになる。また、この場合には、乗算器によって生成される電流指令値は、整流平滑電圧の変動差分に応じて振幅が変化するように制御されるため、整流平滑電圧の変動も抑制されることになる。
図14(a)は、図13に示したアクティブフィルタ回路に入力される入力電圧Vin及び入力電流Iinを示している。電圧Vinは、ブリッジ整流回路Diの整流出力としての電圧波形に対応し、電流Iinは、ブリッジ整流回路Diの整流出力としての電流波形に対応する。ここで、電流Iinの波形は、ブリッジ整流回路Diの整流出力電圧(電圧Vin)と同じ導通角となっているが、これは、商用交流電源ACからブリッジ整流回路Diに流れる交流入力電流の波形も、この電流Iinと同じ導通角となっていることを示す。つまり、ほぼ1に近い力率が得られている。
また、図14(b)は、出力コンデンサCoutに入出力するエネルギー(電力)Pchgの変化を示す。出力コンデンサCoutは、入力電圧Vinが高いときにエネルギーを蓄え、入力電圧Vinが低いときにエネルギーを放出して、出力電力の流れを維持する。
図14(c)は、上記出力コンデンサCoutに対する充放電電流Ichgの波形を示している。この充放電電流Ichgは、上記図14(b)の入出力エネルギーPchgの波形と同位相となっていることからも分かるように、出力コンデンサCoutにおけるエネルギーPchgの蓄積/放出動作に対応して流れる電流である。
上記充放電電流Ichgは、入力電流Vinとは異なり、交流ライン電圧(商用交流電源AC)の第2高調波とほぼ同一の波形となる。交流ライン電圧には、出力コンデンサCoutとの間のエネルギーの流れによって、図14(d)に示すようにして、第2高調波成分にリップル電圧Vdが生じる。このリップル電圧Vdは、無効なエネルギー保存のために、図14(c)に示す充放電電流Ichgに対して、90°の位相差を有する。出力コンデンサCoutの定格は、第2高調波のリップル電流と、その電流を変調するブースト・コンバータ・スイッチからの高周波リップル電流を処理することを考慮して決定するようにされる。
また、図15には、先の図13の回路構成を基として、基本的なコントロール回路系を備えたアクティブフィルタの構成例を示している。なお、図13と同一とされる部分については同一符号を付して説明を省略する。
ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、出力コンデンサCoutの正極端子間には、スイッチングプリレギュレータ15が備えられる。このスイッチングプリレギュレータ15は、図13においては、スイッチング素子Q、インダクタL、及びダイオードDなどにより形成される部位となる。
そして、乗算器11を含むコントロール回路系は、他に、電圧誤差増幅器12、除算器13、二乗器14を備えて成る。
電圧誤差増幅器12では、出力コンデンサCoutの直流電圧Voutを、分圧抵抗Rvo−Rvdにより分圧してオペアンプ15の非反転入力に入力する。オペアンプ15の反転入力には基準電圧Vrefが入力される。オペアンプ15では、基準電圧Vrefに対する分圧された直流電圧Voutの誤差に応じたレベルの電圧を、帰還抵抗Rvl、コンデンサCvlによって決定される増幅率により増幅して、誤差出力電圧Vveaとして除算器13に出力する。
また、二乗器14には、いわゆるフィードフォワード電圧Vffが入力される。このフィードフォワード電圧Vffは、入力電圧Vinを平均化回路16(Rf11,Rf12,Rf13,Cf11,Cf12)により平均化した出力(平均入力電圧)とされる。二乗器14では、このフィードフォワード電圧Vffを二乗して除算器13に出力する。
除算器13では、電圧誤差増幅器12からの誤差出力電圧Vveaについて、二乗器14から出力された平均入力電圧の二乗値により除算を行い、この除算結果としての信号を乗算器11に出力する。
つまり、電圧ループは、二乗器14、除算器13、乗算器11の系から成るものとされる。そして、電圧誤差増幅器12から出力される誤差出力電圧Vveaは、乗算器11で整流入力信号Ivacにより乗算される前の段階で、平均入力電圧(Vff)の二乗により除算されることになる。この回路によって、電圧ループの利得は、平均入力電圧(Vff)の二乗として変化することなく、一定に維持される。平均入力電圧(Vff)は、電圧ループ内において順方向に送られる開ループ補正の機能を有する。
乗算器11には、上記除算器11により誤差出力電圧Vveaを除算した出力と、抵抗Rvacを介したブリッジ整流回路Diの正極出力端子(整流出力ライン)の整流出力(Iac)が入力される。ここでは、整流出力を電圧によるのではなく、電流(Iac)として示している。乗算器11では、これらの入力を乗算することによって、電流プログラミング信号(乗算器出力信号)Imoを生成して出力する。これは、図13にて説明した電流指令値に相当する。出力電圧Voutは、この電流プログラミング信号の平均振幅を可変することで制御される。つまり、電流プログラミング信号の平均振幅の変化に応じたPWM信号が生成され、このPWM信号に基づいたドライブ信号によってスイッチング駆動が行われることによって、出力電圧Voutのレベルをコントロールするものである。
したがって、電流プログラミング信号は、入力電圧と出力電圧を制御する平均振幅の波形を有する。なお、アクティブフィルタは、出力電圧Voutのみではなく、入力電流Vinも制御するようになっている。そして、フィードフォワード回路における電流ループは、整流ライン電圧によってプログラムされるということがいえるので、後段のコンバータ(負荷10)への入力は抵抗性になる。
図16は、図13に示した構成に基づくアクティブフィルタの後段に対して、電流共振形コンバータを接続して成る電源回路の構成例を示している。
この図に示す電源回路において、電流共振形コンバータとしては、他励式のハーフブリッジ結合方式による構成を採る。
先ず、この図16に示す電源回路においては、商用交流電源ACに対して、図示する接続態様により、2組のラインフィルタトランスLFT,LFTと、3組のアクロスコンデンサCLが接続され、この後段に、図示する突入電流制限回路22を介してブリッジ整流回路Diが接続される。
この突入電流制限回路22としては、突入電流制限抵抗RiとスイッチSWとによる並列接続回路から成り、例えば外部からの信号で上記スイッチSWがオフとされることで、電源回路起動時における商用交流電源側からの突入電流の流入が制限される。
そして、上記ブリッジ整流回路Diの整流出力ラインには、1組のチョークコイルLNと、2組のフィルタコンデンサ(フィルムコンデンサ)CN,CNを図示するようにして接続して成るノーマルモードノイズフィルタ24が接続されている。
ブリッジ整流回路Diの正極出力端子は、上記チョークコイルLNと、パワーチョークコイルPCCのインダクタLpcと、高速リカバリ型の整流ダイオードD10の直列接続を介して、平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。この平滑コンデンサCiは、図13、図15における出力コンデンサCoutに相当する。また、パワーチョークコイルPCCのインダクタLpcとダイオードD10は、それぞれ、図13に示したインダクタLとダイオードDに相当する。
また、この図における整流ダイオードD10には、コンデンサCsn−抵抗Rsnから成るRCスナバ回路が並列に接続される。
スイッチング素子Q6は、図13におけるスイッチング素子Qに相当する。つまり、実際にアクティブフィルタのスイッチング素子を実装するのにあたって、この場合にはスイッチング素子Q6をパワーチョークコイルLpcと高速リカバリ型の整流ダイオードD10の接続点と、一次側アース(負極整流出力ライン)との間に挿入するようにしている。
この場合のスイッチング素子Q6にはMOS−FETが選定されている。そして、スイッチング素子Q6のゲート−ソース間にはゲート−ソース間抵抗R52が接続されている。
アクティブフィルタコントロール回路20は、この場合には力率を1に近づけるように力率改善を行うアクティブフィルタの動作を制御するもので、例えば1石の集積回路(IC)とされている。
この場合、アクティブフィルタコントロール回路20は、乗算器、除算器、誤差電圧増幅器、PWM制御回路、及びスイッチング素子をスイッチング駆動するためのドライブ信号を出力するドライブ回路等を備えて構成される。図15に示した乗算器11、誤差電圧増幅器12、除算器13、及び二乗器14などに相当する回路部は、このアクティブフィルタコントロール回路20内に搭載される。
この場合、フィードバック回路は平滑コンデンサCiの両端電圧(整流平滑電圧Ei)を分圧抵抗R56,R57により分圧した電圧値を、アクティブフィルタコントロール回路20の端子T1に入力するようにして形成される。
また、フィードフォワード回路としては、先ず、抵抗R58を介して整流出力が端子T3に入力される。これによって、交流入力電圧波形の検出と、平均化回路のための対応するフィードフォワード回路が形成されている。
また、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子と一次側アース間に挿入される抵抗R61との接続点から、抵抗R60を介して、端子T6に対して整流電流レベルを入力するようにしている。つまり、図15における電流検出ラインLIに相当するラインとしてのフィードフォワード回路が形成されている。
また、端子T4には、起動抵抗Rsを介したブリッジ整流回路Diの正極の整流出力が、起動電圧として入力されている。アクティブフィルタコントロール回路20は、電源起動時において、この端子T4に入力される起動電圧によって起動される。
また、パワーチョークコイルPCCにおいては、インダクタLpcとトランス結合された巻線N5が巻装されている。この巻線N5に励起された交番電圧は、ダイオードD11及びコンデンサC11とから成る半波整流回路により所定の低圧直流電圧に変換されるが、上記端子T4には、この低圧直流電圧も入力されている。アクティブフィルタコントロール回路20は、上記起動電圧により起動した後は、この低圧直流電圧を電源として入力して動作するようになっている。
また、端子T5は、抵抗R59を介して、一次側アースと接続されている。
端子T2からは、スイッチング素子を駆動するためのドライブ信号が出力される。そして、この端子T2から出力されたドライブ信号は、抵抗R51を介してスイッチング素子Q6のゲートに対して出力される。
スイッチング素子Q6では、印加されるドライブ信号に応じて、ゲート−ソース間抵抗R52の両端にゲート電圧が発生するようになっている。そして、ゲート電圧が閾値以上となることでオンとなり、閾値以下となるとオフとなるようにしてスイッチング動作を行う。
そして、スイッチング素子Q6のスイッチング駆動は、図13及び図15により説明したようにして、整流出力電流の導通角が、整流出力電圧波形とほぼ同等の導通角となるように、PWM制御に基づくドライブ信号によって行われる。整流出力電流の導通角が整流出力電圧波形とほぼ同等の導通角となるということは、即ち、商用交流電源ACから流入する交流入力電流の導通角が、交流入力電圧VACの波形とほぼ同じ導通角となることであり、結果的に、力率がほぼ1となるように制御されることになる。つまり、力率改善が図られる。実際においては、力率PF=0.99〜0.98となる特性が得られている。
また、この図16に示すアクティブフィルタコントロール回路20によっては、整流平滑電圧Ei(図15では、Voutに相当する)=375Vの平均値について、交流入力電圧VAC=85V〜264Vの範囲で定電圧化するようにも動作する。つまり、後段の電流共振形コンバータには、交流入力電圧VAC=85V〜264Vの変動範囲に関わらず、375Vで安定化された直流入力電圧が供給されることとなる。
上記交流入力電圧VAC=85V〜264Vの範囲は、商用交流電源AC100V系と200V系を連続的にカバーするものであり、従って、後段のスイッチングコンバータには、商用交流電源AC100V系と200V系とで、同じレベルで安定化された直流入力電圧(Ei)が供給されることとなる。つまり、図16に示す電源回路は、アクティブフィルタを備えることで、ワイドレンジの電源回路としても構成されている。
アクティブフィルタの後段の電流共振形コンバータは、図示するようにして、2石のスイッチング素子Q1,Q2を備えて成る。この場合には、スイッチング素子Q1がハイサイドで、スイッチング素子Q2がローサイドとなるようにしてハーフブリッジ接続し、整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)に対して並列に接続している。つまり、ハーフブリッジ結合方式による電流共振形コンバータを形成している。
この場合の電流共振形コンバータは他励式とされ、これに対応して上記スイッチング素子Q1,Q2には、MOS−FETが用いられている。これらスイッチング素子Q1,Q2に対しては、それぞれ並列にクランプダイオードDD1,DD2が接続され、これによりスイッチング回路が形成される。これらクランプダイオードDD1,DD2は、スイッチング素子Q1,Q2のターンオフ時における逆方向電流を流す経路を形成する。
スイッチング素子Q1,Q2は、ドライブ回路21によって、交互にオン/オフとなるタイミングによって所要のスイッチング周波数によりスイッチング駆動される。また、ドライブ回路21は、後述する二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じてスイッチング周波数を可変制御し、これにより、二次側直流出力電圧Eoの安定化を図るようにされる。
絶縁コンバータトランスPITは、上記スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力を一次側から二次側に伝送するために設けられる。
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の一方の端部は、スイッチング素子Q1,Q2の接続点(スイッチング出力点)に対して接続され、他方の端部は、直列共振コンデンサC1を介して一次側アースに接続される。ここで、直列共振コンデンサC1は、自身のキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンス(L1)とによって直列共振回路を形成する。この直列共振回路は、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力が供給されることで共振動作を生じるが、これによって、スイッチング素子Q1,Q2から成るスイッチング回路の動作を電流共振形とする。
ここでの図示による説明は省略するが、上記した絶縁コンバータトランスPITの構造としては、例えばフェライト材によるE型コアを組み合わせたEE型コアを備える。そして、一次側と二次側とで巻装部位を分割したうえで、一次巻線N1と二次巻線N2とを、EE型コアの内磁脚に対して巻装している。
また、絶縁コンバータトランスPITのEE型コアの内磁脚に対しては1.0mm程度以下のギャップを形成するようにして、一次巻線N1と二次巻線N2とで0.80〜0.90程度の結合係数を得るようにしている。
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2に対しては、図示するようにしてセンタータップを施し二次側アースに接続した上で、図示するようにして整流ダイオードDo1,Do2、及び平滑コンデンサCoから成る両波整流回路を接続している。これにより、平滑コンデンサCoの両端電圧として二次側直流出力電圧Eoが得られる。この二次側直流出力電圧Eoは、図示しない負荷側に供給されるとともに、ドライブ回路21のための検出電圧としても分岐して入力される。前述もしたように、ドライブ回路21は、入力される二次側直流出力電圧Eoのレベルに基づいて、二次側直流出力電圧Eoが安定化されるようにスイッチング周波数を可変するようにしてスイッチング素子Q1,Q2を駆動する。つまり、スイッチング周波数制御方式による安定化を行う。
これまでの説明から分かるように、図16に示した電源回路は、従来から知られている図13及び図15に示したアクティブフィルタを実装して構成されている。このような構成を採ることによって、力率改善を図っている。
しかしながら、図16に示した構成による電源回路は次のような問題を有している。
先ず、図16に示す電源回路における電力変換効率としては、図示もしているように、前段のアクティブフィルタに対応するAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)と、後段の電流共振形コンバータのDC→DC電力変換効率(ηAC→DC)とを総合したものとなる。このために、図16に示される電源回路全体としての電力変換効率としては、これら各コンバータの電力変換効率の値を乗算した値となるものであり、その分低下傾向となってしまうものである。
図16の電源回路について実際に実験を行った結果、アクティブフィルタでのAC→DC電力変換効率(ηAC→DCとしては、交流入力電圧VAC=100V時ではηAC→DC=92%程度、交流入力電圧VAC=230Vの条件ではηAC→DC=95%程度となった。
また、アクティブフィルタにより生成する直流入力電圧Eiの平均値が上記したEi=375Vの条件で、負荷電力Po=200Wとされた場合での電流共振形コンバータの電力変換効率は、ηDC→DC=94%程度である。このために、図16に示した回路の総合効率は、VAC=100V時においてηAC→DC=86.5%程度となる。また、VAC=230V時の総合効率は、ηAC→DC=89.3%程度となる。
また、アクティブフィルタ回路はハードスイッチング動作であることから、ノイズの発生レベルが非常に大きいため、比較的重度のノイズ抑制対策が必要となる。
このため、図16に示した回路では、商用交流電源ACのラインに対して、2組のラインフィルタトランスLFTと、3組のアクロスコンデンサによるノイズフィルタを形成している。つまり、2段以上のラインノイズフィルタが必要となっている。
また、整流出力ラインに対しては、1組のチョークコイルLNと、2組のフィルタコンデンサCNから成るノーマルモードノイズフィルタを設けている。さらに、整流用の高速リカバリ型のダイオードD10に対しては、RCスナバ回路を設けている。
このようにして、実際の回路としては、非常に多くの部品点数によるノイズ対策が必要であり、回路構成の複雑化やコストアップ、及び電源回路基板の実装面積の大型化を招いている。
さらに、汎用ICとしてのアクティブフィルタコントロール回路20によって動作するスイッチング素子Q6のスイッチング周波数は固定であるのに対して、後段の電流共振形コンバータのスイッチング周波数は、例えば80kHz〜200kHz程度の範囲で可変する。このようにして両者のスイッチングタイミングが個々に独立して行われることで、両者のスイッチング動作により、一次側アース電位は干渉しあって不安定になり、例えば異常発振が生じやすくなる。これにより、例えば回路設計が難しいものとなり、また、信頼性を劣化させるなどの問題も招くことになる。
そこで、本発明では上記してきた各種の問題点に鑑み、スイッチング電源回路として下記のように構成することとした。
つまり、商用交流電源を入力して整流平滑電圧を生成する整流平滑手段と、整流平滑電圧を直流入力電圧として入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段とを備える。
また、少なくとも、スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線により交番電圧が誘起される二次巻線とが巻装されて形成される絶縁コンバータトランスを備える。
また、少なくとも、絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、スイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路を備える。
また、絶縁コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番電圧を基とする交流について整流動作を行って二次側直流出力電圧を生成する二次側直流出力電圧生成手段と、二次側直流出力電圧のレベルに応じてスイッチング駆動手段を制御して、スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで二次側直流出力電圧について定電圧制御を行う定電圧制御手段を備える。
また、絶縁コンバータトランスの二次巻線に得られる交番出力を、整流平滑手段を形成する整流平滑回路の所定の整流電流経路に対して電圧として帰還し、この帰還されたスイッチング出力により整流電流を断続するようにして構成される力率改善手段を備えてスイッチング電源回路を構成することとした。
上記構成によるスイッチング電源回路では、一次側のスイッチング動作を電流共振形とする一次側直列共振回路が形成されたスイッチングコンバータを基本構成として備えたうえで、電圧帰還方式による力率改善手段(力率改善回路)を備えることとしている。本発明における力率改善手段は、絶縁コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番出力を、一次側に形成される整流平滑電圧(直流入力電圧)を生成するための整流平滑回路の整流電流経路に対して電圧帰還する構成を採っている。このことは、一次側直列共振回路に得られるスイッチング出力を、絶縁コンバータトランスを介するようにして二次側に伝達し、この二次側に伝達されたスイッチング出力を、さらに二次側から一次側の整流平滑回路に対して電圧帰還しているものとしてみることができる。
このことから、先ず、本発明としては、電流共振形コンバータとして力率改善機能を有するようにされる。従来から知られているアクティブフィルタも、その主目的は、力率を改善するために、スイッチングコンバータ(DC-DCコンバータ)の前段に設けられるものである。
そのうえで、本発明の力率改善手段は、上記のようにして絶縁コンバータトランスの二次巻線から、一次側の整流平滑回路の整流電流経路に電圧帰還するように構成されることで、その帰還される電圧レベルは、負荷電流に応じたものとなる。二次巻線には、負荷電流に応じたレベルの交番電流が流れる。
上記のようにして、電流共振形コンバータとしての基本構成に対して力率改善機能が与えられることで、アクティブフィルタを備えない構成を採ることができる。これにより、例えばアクティブフィルタによって力率改善を図る電源回路よりも電力変換効率が向上される。
また、本発明の電源回路としては、アクティブフィルタを構成するための多数の部品素子が不要となる。また、電源回路を構成する電流共振形コンバータ、及び力率改善回路はソフトスイッチング動作であり、スイッチングノイズが大幅に低減されるから、ノイズフィルタを強化する必要もなくなる。
このために、従来と比較しては、部品点数が大幅に削減されることになって、電源回路サイズの小型/軽量化を図ることが可能となる。また、それだけコストダウンが図られることにもなる。
また、さらには、アクティブフィルタが省略されたことで、一次側アース電位の干渉が無くなるので、一次側アース電位も安定することとなって、信頼性が向上する。
そのうえで、本発明の力率改善手段としては、一次側の整流平滑回路の整流電流経路に対して帰還する電圧レベルは、負荷電流に応じて可変されるものとなる。この結果、整流平滑電圧レベルは、無負荷から軽負荷とされる負荷条件での上昇が抑制されて、負荷変動に対してほぼ一定となるようにされる。これにより、例えば一次側の整流平滑回路を形成する平滑コンデンサなどの部品の耐圧について、これまでより低いものを選定することが可能となって、この点でも、回路の小型軽量化、コストダウンが促進されることになる。
図1は、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態ともいう)における、第1の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。この図に示す電源回路は、一次側の基本構成として、ハーフブリッジ結合方式による他励式の電流共振形コンバータに対して部分電圧共振回路が組み合わされた構成を採る。
先ず、この図1に示す電源回路において、商用交流電源ACに対しては、フィルタコンデンサCL、CL、及びコモンモードチョークコイルCMCによるコモンモードノイズフィルタが形成されている。
そして、上記ノイズフィルタの後段となる商用交流電源ACに対しては、ブリッジ整流回路Di及び1本の平滑コンデンサCiから成る全波整流平滑回路が接続される。ただし、本実施の形態においては、ブリッジ整流回路Diの正極出力ラインと、平滑コンデンサCiの正極端子間には、力率改善回路100が介在するようにして設けられる。この力率改善回路100の構成及びその動作については後述する。
この全波整流平滑回路が商用交流電源ACを入力して全波整流動作を行うことによって、平滑コンデンサCiの両端には整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)が得られる。この場合の整流平滑電圧Eiは、交流入力電圧VACの等倍に対応したレベルとなる。
上記直流入力電圧を入力してスイッチング(断続)する電流共振形コンバータとしては、図示するようにして、MOS−FETによる2本のスイッチング素子Q1,Q2をハーフブリッジ結合により接続したスイッチング回路を備える。スイッチング素子Q1,Q2の各ドレイン−ソース間に対しては、ダンパーダイオードDD1,DD2が並列に接続される。ダンパーダイオードDD1のアノード、カソードは、それぞれスイッチング素子Q1のソース、ドレインと接続される。同様にして、ダンパーダイオードDD2のアノード、カソードは、それぞれスイッチング素子Q2のソース、ドレインと接続される。ダンパーダイオードDD1,DD2は、それぞれスイッチング素子Q1,Q2が備えるボディダイオードとされる。
また、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間に対しては、一次側部分共振コンデンサCpが並列に接続される。この一次側部分共振コンデンサCpのキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1によっては並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成する。そして、スイッチング素子Q1,Q2のターンオフ時にのみ電圧共振する、部分電圧共振動作が得られるようになっている。
また、スイッチング素子Q1,Q2をスイッチング駆動するために、発振・ドライブ回路2が設けられる。この発振・ドライブ回路2は、発振回路、駆動回路を有しており、例えば汎用のICを用いることができる。そして、この発振・ドライブ回路2内の発振回路及び駆動回路によって、所要の周波数によるドライブ信号(ゲート電圧)をスイッチング素子Q1,Q2の各ゲートに対して印加する。これにより、スイッチング素子Q1,Q2は、所要のスイッチング周波数により交互にオン/オフするようにしてスイッチング動作を行う。
絶縁コンバータトランスPITは、スイッチング素子Q1 、Q2のスイッチング出力を二次側に伝送するために設けられる。
この絶縁トランスPITの一次巻線N1の一方の端部(巻き終わり端部)は、一次側直列共振コンデンサC1の直列接続を介して、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとの接続点(スイッチング出力点)に接続されることで、スイッチング出力が伝達されるようになっている。また、一次巻線N1の他方の端部(巻始め端部)は、一次側アースと接続されている。
ここで、絶縁コンバータトランスPITは、図2の断面図に示すような構造を有する。
この図に示されるように、絶縁コンバータトランスPITは、フェライト材によるE型コアCR1、CR2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コア(EE字形コア)を備える。
そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成される、ボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線N1を巻装する。また、他方の巻装部に対して、二次巻線N2を巻装する。このようにして一次側巻線(N1)及び二次側巻線(N2)が巻装されたボビンBを上記EE型コア(CR1,CR2)に取り付けることで、一次側巻線及び二次側巻線とがそれぞれ異なる巻装領域により、EE型コアの内磁脚に巻装される状態となる。このようにして絶縁コンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。
そのうえで、EE型コアの内磁脚に対しては、図のようにしてギャップGを形成する。この場合のギャップGとしては、例えばギャップ長2.0mm以上の所定幅を設定し、これによって絶縁コンバータトランスPITそのものの一次側と二次側との結合係数kとしては、例えばk=0.7程度以下による疎結合の状態を得るようにしている。
なお、本実施の形態の電源回路における実際の結合係数kとしては、ギャップGのギャップ長について、2.0mmとすることで、k=0.73を設定した。なお、ギャップGは、E型コアCR1,CR2の内磁脚を、2本の外磁脚よりも短くすることで形成することができる。
説明を図1に戻す。
絶縁コンバータトランスPITは、上記図2により説明した構造によって一次巻線N1に所定のリーケージインダクタンスL1を生じさせる。そして、少なくとも、一次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンスと、上記リーケージインダクタンスL1によって一次側直列共振回路を形成する。
先に説明した接続態様によれば、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力は、上記一次側直列共振回路に伝達されることになる。そして、一次側直列共振回路が伝達されたスイッチング出力により共振動作を行うことで、一次側スイッチングコンバータの動作を電流共振形とする。
ここで、これまでの説明によると、この図に示す一次側スイッチングコンバータとしては、一次側直列共振回路(L1−C1)による電流共振形としての動作と、前述した一次側部分電圧共振回路(Cp//L1)とによる部分電圧共振動作とが得られることになる。
つまり、この図に示す電源回路の一次側においては、一次側スイッチングコンバータを共振形とするための共振回路に対して、他の共振回路とが組み合わされた構成を採っている。ここでは、このように2つの共振回路が組み合わされて成るスイッチングコンバータを、「複合共振形コンバータ」ということにする。
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2には、一次巻線N1に伝達されたスイッチング出力に応じた交番電圧が励起(誘起)される。
この場合、二次巻線N2については、先ず、その巻き終わり端部側に対して、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11を直列となる関係により接続したうえで、さらに、この一次巻線N11を介するようにして直列に二次側直列共振コンデンサC2を接続している。
これにより、絶縁コンバータトランスPITの二次側においては、少なくとも、二次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスと、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2とによって二次側直列共振回路を形成することになる。つまり、本実施の形態としては、絶縁コンバータトランスPITの一次側と二次側とのそれぞれにおいて直列共振回路が形成される。なお、本実施の形態では、二次巻線N2に対して、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンスL11も直列に接続されている。従って、この場合には、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2は、上記一次巻線N11のインダクタンスL11も含んで形成されているものとしてみることができる。
上記二次側直列共振回路(L2(−L11)−C2)に対しては、4本の整流ダイオードDo1〜Do4を図示するようにして接続して成るブリッジ整流回路と、平滑コンデンサCoとにより形成される全波整流回路が接続される。
この全波整流回路によっては、二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期において、ブリッジ整流回路の整流ダイオード[Do1,Do4]の組が導通して、平滑コンデンサCoに対して整流電流を充電する動作が得られる。また、二次巻線N2に励起される交番電圧の他方の半周期においては、整流ダイオード[Do2,Do3]の組が導通して平滑コンデンサCoに対して整流電流を充電する動作が得られる。
これによって平滑コンデンサCoの両端電圧として、二次巻線N2に励起される交番電圧のレベルの等倍に対応したレベルによる二次側直流出力電圧Eoが得られる。
このようにして得られた二次側直流出力電圧Eoは、図示しない負荷に供給されるとともに、後述する制御回路1のための検出電圧としても分岐して入力される。上記全波整流回路は、二次側直列共振回路の共振出力について整流平滑動作を行っていることから、この全波整流回路による二次側の整流動作としても電流共振形となる。
これまでの説明によれば、本実施の形態のスイッチング電源回路は、一次側に一次側直列共振回路(L1(−L11)−C1)及び一次側部分電圧共振回路(L1//Cp)を備え、二次側には二次側直列共振回路(L2−C2)を備えることになる。
先にも述べたように、例えば、図1の一次側のみをみた場合のように、直列共振回路と部分電圧共振回路とによる2つの共振回路が組み合わされたスイッチングコンバータについては、複合共振形コンバータということとしたが、本実施の形態のようにして3以上の共振回路が組み合わされたスイッチングコンバータについては多重共振形コンバータということにする。
制御回路1は、二次側直流出力電圧Eoをスイッチング周波数制御方式により安定化するために設けられる。
この場合の制御回路1は、検出入力である二次側直流出力電圧Eoのレベル変化に応じた検出出力を発振・ドライブ回路2に供給する。発振・ドライブ回路2では、入力された制御回路1の検出出力に応じてスイッチング周波数が可変されるようにしてスイッチング素子Q1,Q2を駆動する。このためには、内部の発振回路により生成する発振信号の周波数を可変することになる。
スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数が可変されることで、一次側直列共振回路の共振インピーダンスが変化し、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1から二次巻線N2側に伝送される電力量が変化するが、これにより二次側直流出力電圧Eoのレベルを安定化させるように動作する。
詳細は後述するが、本実施の形態の電源回路におけるスイッチング周波数制御方式としては、一次側直列共振回路の共振周波数fo1及び二次側直列共振回路の共振周波数fo2により決まる中間共振周波数foに対して、これより高い周波数範囲をスイッチング周波数の可変範囲として設定している。つまり、いわゆるアッパーサイド制御の方式を採る。
一般的なこととして、直列共振回路は、共振周波数において最も共振インピーダンスが低くなる。このことから、本実施の形態のようにして、直列共振回路の共振周波数に基づくアッパーサイド制御方式を採る場合には、スイッチング周波数fsが高くなっていくのに応じて、共振インピーダンスを高くすることになる。
従って、例えば重負荷の傾向となって二次側直流出力電圧Eoが低下するのに応じては、上記スイッチング周波数を低くするように制御することになる。これは共振インピーダンスを低くすることとなり、一次側から二次側への電力伝送量が増加することになるために、二次側直流出力電圧Eoが上昇する。
これに対して、軽負荷の傾向となって二次側直流出力電圧Eoが上昇するのに応じては、上記スイッチング周波数を高くするように制御する。これにより、共振インピーダンスは高くなって上記電力伝送量が低減するために、二次側直流出力電圧Eoは低下する。このようにして、スイッチング周波数が可変されることによって、二次側直流出力電圧Eoが安定化されることになる。
続いて、力率改善回路100について説明する。
図示するようにして、力率改善回路100は、フィルタコンデンサCN、高速リカバリ型のスイッチングダイオードD1、力率改善用トランスVFTを備える。
スイッチングダイオードD1のアノードは、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と接続され、アノードは、力率改善用トランスVFTの二次巻線N12の直列接続を介して、平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。つまり、この場合には、整流平滑電圧Eiを生成する整流電流経路において、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と平滑コンデンサCiの正極端子との間のラインに対して、スイッチングダイオードD1−二次巻線N12の直列接続回路を挿入していることになる。ここで、二次巻線N12は、電圧帰還方式による力率改善回路において、スイッチング出力を電圧帰還することにより得られる、スイッチング周期の交番電圧を受けるインダクタとしての機能を有する。
フィルタコンデンサCNは、スイッチングダイオードD1のスイッチング動作により生じるスイッチング周期の交番成分を吸収することでノーマルモードノイズを抑制するために設けられるもので、この場合には、スイッチングダイオードD1−二次巻線N12の直列接続回路に対して並列に接続される。
力率改善用トランスVFTは、一次巻線N11(力率改善用一次巻線)と二次巻線N12(力率改善用二次巻線)とについて、磁気的に結合されるようにしてコアに巻装した構造を有する。なお、この場合の力率改善用トランスVFTは、分割された巻装位置が形成されているいわゆる分割ボビンを有し、一次巻線N11と二次巻線N12とを、上記分割ボビンにおいてそれぞれ異なる巻装位置に巻回するようにしている。これにより、一次側と二次側の結合度としては、疎結合とされる所定の結合係数が得られるようにされている。
なお、力率改善用トランスVFTの二次巻線N12は、先に説明したように、絶縁コンバータトランスPITの二次側整流回路において、二次巻線N2に対して直列に接続されている。
このようにして構成される力率改善回路100の基本的な力率改善動作としては、次のようになる。
スイッチング素子Q1,Q2スイッチング動作により一次側直列共振回路にスイッチング出力(一次側直列共振電流)が得られるのに応じて、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2にはスイッチング周期に応じた交番電圧が誘起され、これにより二次巻線N2にも交番電流が流れることになって、二次側整流回路の整流動作が行われる。このとき、二次側整流回路において整流電流経路に直列に挿入されている力率改善用トランスVFTの一次巻線N11にも交番電流が流れることになる。そして、力率改善用トランスVFTにおいては、この一次巻線N11に流れる交番電流に応じて、二次巻線N12に交番電圧を誘起させる。
この場合、力率改善用トランスVFTの二次巻線N12は、スイッチングダイオードD1と直列接続された形態で、商用交流電源ACの整流電流経路に挿入されている。このために、二次巻線N12に誘起される交番電圧は、整流出力電圧に対して重畳されるものとなる。つまり、力率改善用トランスVFTによっては、一次側直列共振電流(スイッチング出力)を、力率改善用トランスVFTの磁気結合を介して、二次側から一次側の整流平滑回路の整流電流経路に電圧として帰還するようにしている。なお、このようにして、スイッチング出力を電圧として帰還して力率改善を図るようにされた力率改善回路の方式を、ここでは電圧帰還方式という。
スイッチングダイオードD1は、上記した交番電圧の重畳分により整流電流をスイッチング(断続)するようにして動作する。このようにして、断続される状態で流れる整流電流のエンベロープ波形の導通期間は、ブリッジ整流回路Diから出力される整流出力電圧レベルが平滑コンデンサCiの両端電圧よりも低いとされる期間にも流れるものとなるが、交流入力電流IACの導通期間としては、この整流電流の導通期間にほぼ一致したものとなる。つまり、交流入力電流IACの導通角は、力率改善回路を備えない場合よりも拡大されているものであり、交流入力電流IACの波形としては、交流入力電圧VACの波形に近づくようにして導通角が拡大されたものとなっている。つまり、力率改善が図られていることになる。
ところで、図1に示す電源回路では、先に説明したように、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11が、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に対して直列関係にあることで、等価的には、一次巻線N11のインダクタンスL11は、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2のリーケージインダクタンス成分としてみなすことができる。従って、絶縁コンバータトランスPITにおける二次側のリーケージインダクタンスとしては、L2+L11により表されるものとみることができる。
このために、絶縁コンバータトランスPITそのものとしての結合係数kとしては、前述したように、例えばk=0.73を設定しているのであるが、上記のようにして、二次側ケージインダクタンスが、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンスL11の合成分によって見かけ上増加することで、電源回路内における絶縁コンバータトランスPITの総合的な結合係数(総合結合係数)kt(一次側と二次側との結合係数)としては、0.73よりも低い値が得られることになる。つまり、電源回路における絶縁コンバータトランスPITの結合度としては、絶縁コンバータトランスPITの構造自体による結合係数kに対して、より低く設定されることになる。本実施の形態としては、例えば、一次巻線N11について所定のインダクタンス値が設定されるように力率改善用トランスVFTを形成することで、総合結合係数ktについて、0.65程度以下を設定することとし、実際としては、kt=0.525を設定することとしている。また、この場合の総合結合係数ktの設定要素としては、絶縁コンバータトランスPITの構造自体による結合係数kと、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンス(L11)であることになる。
ここで、図1に示した実施の形態の電源回路の構成から、二次側直列共振コンデンサC2(及び二次側部分共振コンデンサCp2)を省略して、二次側直列共振回路(及び二次側部分電圧共振回路)を形成しないものとした複合共振形コンバータについて考えてみる。
このような複合共振形コンバータは、一次側直列共振回路(及び一次側部分電圧共振回路)は備えるが、二次側直列共振回路は備えていない。このために、アッパーサイド制御のスイッチング周波数制御方式により二次側直流出力電圧Eoを安定化するのにあたっては、一次側直列共振回路の共振周波数fo1よりも高い周波数範囲でスイッチング周波数を可変制御し、これにより生じる共振インピーダンスの変化を利用することになる。
このことについて、図17を参照して説明する。図17は、上記複合共振形コンバータによる二次側直流出力電圧Eoについての定電圧制御特性を示している。この図において、横軸にはスイッチング周波数fsを示し、縦軸に二次側直流出力電圧Eoを示している。
ここで、直列共振回路は、共振周波数で最も共振インピーダンスが小さくなる。これにより、アッパーサイド制御における二次側直流出力電圧Eoとスイッチング周波数fsの関係として、二次側直流出力電圧Eoのレベルは、一次側直列共振回路の共振周波数fo1に対して、スイッチング周波数fsが近づいていくほど上昇し、共振周波数fo1から離れていくのに従って低下していくものとなる。
従って、負荷電力Poを一定とした条件でのスイッチング周波数fsに対する二次側直流出力電圧Eoのレベルは、図17に示すようにして、スイッチング周波数fsが一次側直列共振回路の共振周波数fo1と同じときにピークとなり、共振周波数fo1から離れるのに応じて低下する二次曲線的な変化を示す。
また、同じスイッチング周波数fsに対応する二次側直流出力電圧Eoのレベルは、最小負荷電力Pomin時よりも最大負荷電力Pomax時のほうが、所定分低下するようにしてシフトする特性が得られる。つまり、スイッチング周波数fsを固定として考えると、重負荷の条件となるのに従って二次側直流出力電圧Eoのレベルは低下する。
そして、このような特性のもとで、アッパーサイド制御により二次側直流出力電圧Eoについて、Eo=tgとなるようにして安定化しようとした場合、電源回路において必要となるスイッチング周波数の可変範囲(必要制御範囲)は、図においてΔfsとして示される範囲となる。
例えばこの複合共振形コンバータの実際として、AC100V系としての交流入力電圧VAC=85V〜120Vの入力変動範囲と、二次側直流出力電圧Eoの最大負荷電力Pomax=150W、最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)の負荷条件に対応するとして、スイッチング周波数制御方式により、二次側直流出力電圧Eo=135Vで安定化する仕様を設定したとする。
この場合、この複合共振形コンバータが定電圧制御のために可変するスイッチング周波数fsの可変範囲は、fs=80kHz〜200kHz以上であり、必要制御範囲量であるΔfsとしても120kHz以上と相応に広範囲なものとなる。
このことをふまえて、この複合共振形コンバータについて、ワイドレンジ対応として構成することを考えてみる。
ワイドレンジ対応とするためには、例えばAC85V〜288Vの交流入力電圧範囲に対応することになる。従って、例えば、AC100V系のみ、あるいはAC200V系のみの単レンジに対応する場合と比較して、二次側直流出力電圧Eoのレベル変動範囲も大きくなる。このような交流入力電圧範囲に応じて拡大された二次側直流出力電圧Eoのレベル変動に対して定電圧制御動作を行うためには、より広範囲なスイッチング周波数制御範囲が必要となる。例えば、スイッチング周波数fsの制御範囲は、約80kHz〜500kHzにまで拡大する必要がでてくる。
しかしながら、現状のスイッチング素子を駆動するためのIC(発振・ドライブ回路2)としては、対応可能な駆動周波数の上限は200kHz程度が限界である。また、仮に上記したような高い周波数での駆動が可能なスイッチング駆動用ICを構成して実装したとしても、このような高い周波数でスイッチング素子を駆動した場合には、電力変換効率が著しく低下するために、現実の電源回路として実用的ではなくなる。ちなみに、例えばこの場合の複合共振形コンバータによりにより安定化が可能な交流入力電圧VACレベルの上限は、100V程度である。
そこで、従来から、スイッチング周波数制御方式により安定化を図るスイッチング電源回路をワイドレンジ対応化するための構成の1つとして、先に図16に示したようにして、前段に対してアクティブフィルタを備えれば良いことが知られている。しかし、これ以外の構成によりワイドレンジ対応とすることも可能であり、例えば下記のような構成を採ることも知られている。
1つには、商用交流電源を入力して直流入力電圧(Ei)を生成する整流回路系について、AC100V系とAC200V系の商用交流電源入力に応じて、倍電圧整流回路と全波整流回路とで切り換えを行うように機能を与えるものである。
この場合には、商用交流電源レベルを検出して、その検出されたレベルに応じて、倍電圧整流回路若しくは全波整流回路が形成されるようにして、電磁リレーを用いたスイッチにより、整流回路系における回路接続の切り換えを行うように回路を構成する。
しかしながら、このような整流回路系の切り換えの構成では、上記しているように、所要数の電磁リレーが必要になる。また、倍電圧整流回路を形成するために少なくとも2本1組の平滑コンデンサを設ける必要も生じる。このため、それだけ部品点数が増加してコストアップとなると共に、電源回路基板のマウント面積も拡大して大型化する。特に、これら平滑コンデンサや電磁リレーは、電源回路を形成する部品のうちでも大型であるから、基板サイズは相当に大きくなってしまう。
また、全波整流動作と倍電圧整流動作を切り換える構成とした場合において、AC200V系の商用交流電源が入力されているときに、瞬間停電が生じたり、また、交流入力電圧が定格以下に低下するなどして、AC200系に対応するよりも低いレベルとなると、AC100V系であると検出して倍電圧整流回路に切り換えるという誤動作が生じたとする。このような誤動作が生じると、AC200V系のレベルの交流入力電圧について倍電圧整流を行うこととなるために、例えばスイッチング素子Q1,Q2などが耐圧オーバーとなって破壊される可能性もある。
そこで、実際の回路としては、上記のような誤動作が生じないようにするために、メインとなるスイッチングコンバータの直流入力電圧だけではなく、スタンバイ電源側のコンバータ回路の直流入力電圧も検出する構成を採るようにされる。これにより、スタンバイ電源側のコンバータ回路を検出するための部品の追加などにより、上記したコストアップ、及び回路基板サイズの大型化がさらに助長されてしまうことになる。
また、誤動作防止を目的としてスタンバイ電源側のコンバータの直流入力電圧を検出するということは、整流動作切り換えのための回路を備えるワイドレンジ対応の電源回路としては、メイン電源の他にスタンバイ電源を備える電子機器でなければ、実際に使用することができないということになる。つまり、電源を実装可能な電子機器の種類が、スタンバイ電源を備えたものに限定されるわけであり、それだけ利用範囲が狭くなる。
また、ワイドレンジ対応のための構成として、AC100V系/AC200V系の商用交流電源入力に応じて、一次側の電流共振形コンバータの形式をハーフブリッジ結合とフルブリッジ結合とで切り換える構成とすることも知られている。
この構成であれば、例えば上記した瞬間停電などによって、AC200V系の交流入力電圧がAC100V系のレベルにまで低下して誤動作したとしても、スイッチング動作がハーフブリッジ動作からフルブリッジ動作となるだけであり、スイッチング素子などが耐圧オーバーになることはない。このためにスタンバイ電源側の直流入力電圧を検出する必要もなくなるので、スタンバイ電源を備えない電子機器に対しても採用することが可能となる。また、商用電源ラインにおける切り換えではないために、半導体スイッチによる回路形態の切り換えが可能であるので、電磁リレーのような大型のスイッチ部品は不要となる。
しかし、この構成では、AC100V系時に対応してフルブリッジ結合を形成するために、スイッチング素子を少なくとも4本備える必要がある。つまり、2本のスイッチング素子により形成可能なハーフブリッジ結合方式のみによるコンバータの構成と比較すれば、2本のスイッチング素子を追加する必要があることになる。
また、この構成の場合には、フルブリッジ動作では4石がスイッチング動作を行い、ハーフブリッジ動作でも3石のスイッチング素子がスイッチング動作を行う。共振形コンバータは、低スイッチングノイズではあるが、このようにしてスイッチングを行うスイッチング素子数が増加するほどスイッチングノイズに関しては不利となる。
このようにして、ワイドレンジ対応として上記した何れの構成を採った場合にも、単レンジ対応の構成と比較した場合には、部品点数の増加などによる回路規模の拡大、コストアップがさけられない。また、前者の構成では機器への利用範囲の制限、後者の構成ではスイッチングノイズの増加など、それぞれ、単レンジ対応の構成では抱えていなかった固有の問題が生じる。
また、図1の電源回路から二次側直列共振回路を省略した複合共振形コンバータについて、スイッチング周波数の制御範囲が相応に広範囲となることに起因しては、二次側直流出力電圧Eoについての安定化の高速応答特性が低下するという問題も抱える。
電子機器によっては、例えば最大負荷の状態とほぼ無負荷とされる状態のとの間で、負荷条件が瞬時的に切り換わるようにして変動する動作を伴うものがある。このような負荷変動は、スイッチング負荷ともいわれる。このような機器に搭載される電源回路としては、上記スイッチング負荷とされる負荷変動にも対応して二次側直流出力電圧が適正に安定化されるようにする必要がある。なお、上記スイッチング負荷としての動作を行う機器として、例えば、パーソナルコンピュータの周辺機器であるプリンタを挙げることができる。
しかしながら、先に図17によっても説明したようにスイッチング周波数の制御範囲が広範である特性を持つ場合には、上記スイッチング負荷のような負荷変動に対応して、二次側直流出力電圧を所要レベルとするためのスイッチング周波数にまで可変させるためには比較的長い時間を要することになる。つまり、定電圧制御の応答特性としては良好でない結果が得られることになる。
これに対して、図1に示す本実施の形態の電源回路としては、一次側と二次側とで、それぞれ直列共振回路(一次側直列共振回路、二次側直列共振回路)を備えることとしている。これにより、電流共振形コンバータを基とする電源回路として、スイッチング周波数制御のみの定電圧制御によりながらもワイドレンジ対応を可能とする。以下、この点について説明する。
図3の回路図は、図1に示す本実施の形態の電源回路について、一次側直列共振回路と二次側直列共振回路との関係によりみた場合の等価回路を示している。なお、この等価回路図において、図1と同一部分には、同一符号を付している。
この図においては、1:nの巻線比となる所定巻数の一次巻線N1と二次巻線N2を巻装した絶縁コンバータトランスPITが示されている。また、この図において、絶縁コンバータトランスPITにおける一次側と二次側との結合度を示す結合係数としては、前述した総合結合係数ktとしてみることになる。
この絶縁コンバータトランスPITの一次側において、L1l、L1eは、それぞれ、一次巻線N1のリーケージ(漏洩)インダクタンス、一次巻線N1の励磁インダクタンスを示す。また、絶縁コンバータトランスPITの二次側のL2l、L2eは、それぞれ二次巻線N2のリーケージ(漏洩)インダクタンス、二次巻線N2の励磁インダクタンスを示す。
なお、本実施の形態の場合には、ここで示される二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2lは、二次巻線N2そのもののリーケージインダクタンスL2と、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンスL11が合成されたものとなる。
この図3に示す等価回路図において、絶縁コンバータトランスPITの一次側では、スイッチング周波数fsによる交流(周波数信号)が入力されている。つまり、一次側スイッチングコンバータ(スイッチング素子Q1,Q2)のスイッチング出力が入力となっている。
そして、絶縁コンバータトランスPITの一次側では、このスイッチング周波数fsによる交流の入力を、一次側直列共振回路に供給することになる。この一次側直列共振回路は、図示するようにして、一次側直列共振コンデンサC1−リーケージインダクタンスL1lを一次巻線N1に対して直列に接続するとともに、励磁インダクタンスL1eを一次巻線N1に対して並列に接続したものとしてみることができる。
また、絶縁コンバータトランスPITの二次側直列共振回路としても、同様に、二次側直列共振コンデンサC2−リーケージインダクタンスL2lを二次巻線N2に対して直列に接続するとともに、励磁インダクタンスL2eを二次巻線N2に対して並列に接続したものとしてみることができる。また、この図では、上記のようにして形成される二次側直列共振回路の出力を負荷RLに出力することとしている。ここでの負荷RLは、二次側全波整流回路以降の回路及び負荷となる。
上記した接続態様となる図3の等価回路においては、絶縁コンバータトランスPITの総合結合係数kt、一次巻線N1の自己インダクタンスをL1とすると、一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1lについて
L1l=(1−kt)L1・・・(式1)
により表すことができる。
また、一次巻線N1の励磁インダクタンスL1eについては、
L1e=kt×L1・・・(式2)
により表すことができる。
同様にして、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2l、励磁インダクタンスL2eについては、一次巻線N2の自己インダクタンスをL2とすると、それぞれ、
L2l=(1−kt)L2・・・(式3)
L2e=kt×L2・・・(式4)
により表される。
ここで、図3に示す等価回路においては、絶縁コンバータトランスPITの電磁誘導を介して、一次側に一次側直列共振回路を備え、二次側に二次側直列共振回路を備えていることが示されている。従って、この図に示す回路は、電磁結合による結合形共振回路を形成しているものとしてみることができる。このために、図1に示す電源回路における二次側直流出力電圧Eoについての定電圧制御特性は、絶縁コンバータトランスPITの結合度(総合結合係数kt)に応じて異なるものとなる。この点について図4を参照して説明する。
図4は、上記図3の等価回路についての、入力(スイッチング周波数信号)に対する出力特性を示している。つまり、二次側直流出力電圧Eoについての制御特性をスイッチング周波数fsとの関係により示している。この図では、スイッチング周波数を横軸にとり、二次側直流出力電圧Eoのレベルを縦軸にとっている。
なお、本実施の形態の一次側直列共振回路の共振周波数fo1と二次側直列共振回路の共振周波数fo2との関係については、特に限定しない。図4においてスイッチング周波数fsを示す横軸に対しては、共振周波数fo1,fo2を対応させて示しているが、ここでの共振周波数fo1,fo2としては、説明を分かりやすいものとするために、fo1<fo2となる場合と、fo2<fo1となる場合(括弧内)とを示している。図4の説明は、共振周波数のfo1,fo2の周波数関係がどのようなものであるかに関わらず当てはまるものである。
ここで、絶縁コンバータトランスPITの結合度について、総合結合係数kt=1による密結合とされる状態を設定したとする。すると、この場合の一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1l、及び二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2lは、それぞれ、上記(式1)(式3)に対してkt=1を代入することで、
L1l=L2l=0・・・(式5)
として表されることになる。つまり、絶縁コンバータトランスPITが密結合であることで、一次巻線N1及び二次巻線N2のリーケージインダクタンスは存在していない状態であることが示される。
このようにして、絶縁コンバータトランスPITの一次側と二次側とが密結合とされる状態での定電圧制御特性としては、図4の特性曲線1として示すように、一次側直列共振回路の共振周波数fo1と二次側直列共振回路の共振周波数fo2とは異なる周波数f1、f2において二次側直流出力電圧Eoがピークとなる、いわゆる双峰特性となる。
ここで、周波数f1は、
Figure 2006197671
で表され、
周波数f2は、
Figure 2006197671
で表される。
また、上記(数1)(数2)における項の1つであるfoは、一次側直列共振回路の共振周波数fo1と、二次側直列共振回路の共振周波数fo2との中間に存在する中間共振周波数であり、1次側のインピーダンスと2次側のインピーダンスと、一次側と二次側とで共通となるインピーダンス(相互結合インダクタンスM)により決定される周波数である。
なお、相互結合インダクタンスMについては、
Figure 2006197671
により表される。
また、上記した総合結合係数ktについて、kt=1の状態から徐々に小さくしていったとする、つまり、密結合の状態から徐々に疎結合の度合いを高くしていったとすると、図4に示される特性曲線1は、双峰の傾向が徐々に希薄となって、中間共振周波数fo近傍で平坦化していくような変化を示す。そして、ある総合結合係数ktにまで低下した段階で、いわゆる臨界結合の状態となる。この臨界結合の状態では、特性曲線2として示すようにして、双峰特性としての傾向ではなくなっており、中間共振周波数foを中心として曲線形状が平坦となる特性となる。
そして、さらに、上記臨界結合の状態から総合結合係数ktを小さくしていって、疎結合の状態を強めていったとすると、図4の特性曲線3として示すように、中間周波数foにおいてのみピークとなる単峰特性が得られる。また、この特性曲線3と、特性曲線1,2とを比較してみると、特性曲線3は、ピークレベルそのものは特性曲線1,2より低下するものの、その二次関数的な曲線形状として、より急峻な傾斜を有していることが分かる。
本実施の形態の絶縁コンバータトランスPITは、例えば総合結合係数kt≦0.65で表される疎結合の状態が設定されている。この総合結合係数ktの設定では、上記特性曲線3として示される単峰特性による動作となる。
上記図4に示す単峰特性と、先に図17に示した複合共振形コンバータの定電圧制御特性実際に比較してみると、図4に対して図17に示した特性は、二次関数的には相当に緩やかな傾斜となる。
上記のようにして図17に示す特性が曲線的に緩やかであることから、二次側直流出力電圧Eoについて定電圧制御を行うためのスイッチング周波数の必要制御範囲は、例えば単レンジ対応の条件下であっても、fs=80kHz〜200kHz以上でΔfs=120kHz以上となるため、スイッチング周波数制御による定電圧制御のみによって、ワイドレンジ対応とすることが非常に困難であることは、先に説明したとおりである。
これに対して、本実施の形態の定電圧制御特性としては、上記図4の特性曲線3により示される単峰特性であることで、定電圧制御動作としては、図5に示すものとなる。
図5においては、図1に示す本実施の形態の電源回路についての、交流入力電圧VAC=100V時(AC100V系)における最大負荷電力Pomax時、最小負荷電力Pomin時の各特性曲線A,Bと、交流入力電圧VAC=230V時(AC200V系)における最大負荷電力Pomax時、最小負荷電力Pomin時の各特性曲線C,Dとの、4つの特性曲線が示されている。
この図5から分かるように、先ず、AC100V系の入力に対応する交流入力電圧VAC=100V時において、二次側直流出力電圧Eoを所要の定格レベルtgで定電圧化するために必要となるスイッチング周波数の可変制御範囲(必要制御範囲)は、Δfs1で示されることになる。つまり、特性曲線Aにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsから、特性曲線Bにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsまでの周波数範囲となる。
また、AC200V系の入力に対応する交流入力電圧VAC=230V時において、二次側直流出力電圧Eoを所要の定格レベルtgで定電圧化するために必要となるスイッチング周波数の可変制御範囲(必要制御範囲)は、Δfs2で示される。つまり、特性曲線Cにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsから、特性曲線Dにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fsまでの周波数範囲となる。
前述したように、本実施の形態における二次側直流出力電圧Eoの制御特性である単峰特性は、先に図17に示した制御特性と比較して、二次関数曲線的に相当に急峻である。
このために、上記した交流入力電圧VAC=100V時、VAC=230V時の各必要制御範囲となるΔfs1、Δfs2は、図17に示されるΔfsと比較して相当に縮小されたものとなっている。例えば、実際に測定したΔfs1、Δfs2としては、それぞれ4kHz以内であり、図17に示されるΔfsの実際に対して1/30程度にまで縮小されている。
そのうえで、Δfs1における最低スイッチング周波数(特性曲線Aにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fs)から、Δfs2における最高スイッチング周波数(特性曲線Aにおいてレベルtgとなるスイッチング周波数fs)までの周波数可変範囲(ΔfsA)としても、相応に狭いものとなっている。
ここで、図1に示す本実施の形態の電源回路における実際の上記周波数可変範囲ΔfsAは、現状におけるスイッチング駆動用IC(発振・ドライブ回路2)が対応するスイッチング周波数の可変範囲内に充分に収まるものとなっている。つまり、図1に示す電源回路では、スイッチング周波数について、現実に、周波数可変範囲ΔfsAで可変制御することが可能とされている。そして、このことは、図1に示す電源回路が、AC100V系とAC200V系の何れの商用交流電源入力にも対応して、二次側直流出力電圧Eoを安定化可能であることを意味する。つまり、図1に示す電源回路は、スイッチング周波数制御のみによって、ワイドレンジ対応を可能としている。また、このようにして、必要制御範囲が縮小されることによっては、二次側直流出力電圧Eoを安定化する際の高速応答性が向上することとなって、例えば前述したスイッチング負荷といわれる負荷変動に対応して、良好な定電圧制御の性能が得られることになる。
ちなみに、電磁結合による結合形共振回路は、例えば中間周波トランス増幅器などのようにして、通信技術において、トランジスタによる増幅回路の増幅帯域幅を拡大するための手法として既に知られてはいる。しかしながら、このような分野では、密結合での双峰特性、或いは臨界結合での平担特性を用いているものであり、疎結合での単峰特性は用いられてはいない。本実施の形態では、このような電磁結合による結合形共振回路の技術において、通信技術の分野では採用されていなかった疎結合での単峰特性を、共振形スイッチングコンバータの分野において積極的に用いている、ということがいえる。これにより、上記のようにして、二次側直流出力電圧Eoを安定化するために必要なスイッチング周波数の可変範囲(必要制御範囲)を縮小し、スイッチング周波数制御での定電圧制御のみによるワイドレンジ対応を可能としているものである。
ところで、本実施の形態における総合結合係数kt=0.65以下と同等の疎結合の状態を、二次側整流回路における力率改善用トランスVFTの一次巻線N11の挿入を省略して、絶縁コンバータトランスPITの構造のみにより得ようとするのであれば、例えば絶縁コンバータトランスPITのEE型コアの内磁脚のギャップGについて、2.8mm程度にまで拡大して、絶縁コンバータトランスPITそのものを、結合係数k=0.65以下の疎結合トランスとして構成することが考えられる。
このような構成を採ることによっても、図4にて説明した単峰特性を得ることができるので、図5にて説明したようにして、スイッチング周波数の必要制御範囲が縮小され、AC100V系とAC200V系の商用交流電源入力に対応して二次側直流電圧の安定化を図ることができる。
しかしながら、このような絶縁コンバータトランスPITの構造とした場合、絶縁コンバータトランスPITのコアのギャップG近傍における渦電流損失が増加し、その分のAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)の低下が生じることになる。この渦電流損失に起因するAC→DC電力変換効率の低下傾向は、交流入力電圧VACのレベルが上昇するのに応じて顕著となる。従って、ワイドレンジ対応の電源回路としては、AC100V系で使用しているときよりもAC200V系で使用したときにAC→DC電力変換効率が低下するという問題を生じることになる。
ただし、上記した渦電流損失の増加は、例えば最大負荷電力Pomax=150W以下程度までの負荷条件では許容範囲であるために、上記したように、高周波インダクタL11を省略して、絶縁コンバータトランスPITのみによって結合係数k=0.65以下の疎結合の状態を設定したとしても、実用可能なワイドレンジ対応の電源回路を得ることができる。しかし、本実施の形態のようにして、最大負荷電力Pomax=200W程度にまで対応すべき場合には、上記した渦電流損失の増加が無視できない程度に顕著となってくる。このために、絶縁コンバータトランスPIT自体について結合係数k=0.65以下に設定してワイドレンジ対応の電源回路として実用化するのは困難になってくる。
そこで本実施の形態では、前述もしたように、一次巻線N1に対して高周波インダクタL11を接続することで、高周波インダクタL11のインダクタンスにより一次巻線N1のリーケージインダクタンスを等価的に増加させ、これにより、電源回路内における絶縁コンバータトランスPITの総合結合係数ktについて、kt=0.65以下を設定するようにしている。
この場合、絶縁コンバータトランスPIT自体の結合係数kとしては、先行技術の電源回路と同等のk=0.73程度を設定することができるので、ギャップGのギャップ長としても、前述したように、2.0mm程度とすることができる。つまり、渦電流の増加の問題が生じない程度の一定以下のギャップ長に抑えることができる。
これにより、実施の形態の電源回路としては、上記した渦電流損失の増加の問題は解消されるため、これに起因するAC→DC電力変換効率の低下も生じないことになる。従って、AC200V系時での使用においても、ワイドレンジ対応の電源回路として実用的な程度に良好なAC→DC電力変換効率特性が得られることになる。
また、本実施の形態の電源回路では、二次側に対しても直列共振回路(二次側直列共振回路)を形成しているのであるが、このことも電力変換効率を向上させる要因となっている。
つまり、二次側直列共振回路を備えることで、その共振動作により得られるエネルギーの増加分を含めて二次側直流出力電圧Eoとしての電力を供給することが可能になり、疎結合としたことによる電力変換効率の低下が補償されることになる。さらに、前述したように、二次側において、二次側部分電圧共振回路を形成することによっても、二次側の整流ダイオードにおけるスイッチング損失を低減しており、このことも電力変換効率の向上に寄与している。
図6の波形図は、図1に示した実施の形態の電源回路における力率改善動作に関する要部の動作を示している。この図には、AC100V系に対応する交流入力電圧VAC=100V時と、AC200V系に対応する交流入力電圧VAC=230V時との動作がそれぞれ示されている。
ブリッジ整流回路Diから力率改善回路100内のスイッチングダイオードD1に流れる整流電流I1は、交流入力電圧VACの絶対値レベルが一定以上となる期間において、正極性による半波の正弦波状のエンベロープを有する波形形状により、スイッチングダイオードD1により断続される交番電流として流れる。
また、二次側整流回路において、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11に流れる交番電流I2は、図示するようにして、一定のピークレベルで流れる交番波形となる。前述もしたように、力率改善用トランスVFTでは、この交番電流I2が一次巻線N11に流れることで、二次巻線N12にスイッチング周期の交番電圧を誘起させ、これにより、スイッチングダイオードD1のスイッチング動作を促すようにされる。
交流入力電流IACは、交流入力電圧VACが正/負の各期間内において、整流電流I1が導通するのと同じ導通期間により流れているが、この交流入力電流IACの導通期間は、整流電流I1がスイッチングダイオードD1により断続されない場合よりも拡大されたものとなっている。つまり、交流入力電流IACの導通角が拡大されているものであり、力率改善回路100を備えない場合と比較して力率が改善されている状態を示している。
図7は、図1に示した電源回路ついての実験結果として、最大負荷電力Pomax=200W〜最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)の範囲での負荷変動に対する整流平滑電圧(直流入力電圧)Ei、力率(PF)、及びAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)を示している。この図においては、AC100V系に対応する交流入力電圧VAC=100V時の特性を実線で示し、AC200V系に対応する交流入力電圧VAC=230V時の特性を破線で示している。
また、図7に示す特性を得るのにあたっては、図1に示した電源回路について、要部を次のように選定した。
先ず、絶縁コンバータトランスPITについては、EER-39型のコアを選定し、このコアに形成するギャップGのギャップ長については2.0mmとしたうえで、一次巻線N1=30T、二次巻線N2=26Tを巻装した。この構造により、絶縁コンバータトランスPIT自体の結合係数kとしては、k=0.73を得ている。また、二次巻線N2の1ターン(T)あたりの誘起電圧は、5V/Tとしている。
また、力率改善用トランスVFTは、構造的には、例えば本実施の形態の絶縁コンバータトランスPITと同様に、図2に示したようにして、EE型のコアに対して一次巻線N11、N12を巻装して形成するようにされる。力率改善用トランスVFTのEE型コアとしては、例えばEE25型のコアを選定する。また、図2と同様にして、コアの中央磁脚にギャップ長0.8mmのギャップを形成し、一次巻線N11=14T、二次巻線N12=10Tとしている。これにより、この場合の力率改善用トランスVFT自体の結合係数kvftとしては、kvft=0.85となり、疎結合とみてよい結合度としている。
また、一次側直列共振回路、二次側直列共振回路、を形成するための各共振コンデンサについては、下記のように選定した。
・一次側直列共振コンデンサC1=0.039μF
・二次側直列共振コンデンサC2=0.18μF
先ず、図7に示されるように、スイッチングコンバータの直流入力電圧となる整流平滑電圧Eiは、交流入力電圧VAC=100V時には約140V付近のレベルとなり、交流入力電圧VAC=230V時には約340V付近のレベルとなる。
また、図7によれば、整流平滑電圧Eiのレベルは、交流入力電圧VAC=100V時とVAC=230V時とでともに、負荷変動に対して一定であるとみてよい状態となっている。
また、力率改善回路100の動作に応じて得られる力率PFについては、先ず、交流入力電圧VAC=100V時/230V時とで共に、重負荷となるのに従って高くなっていく傾向となっている。ちなみに、最大負荷電力Po=200W時の特性として、交流入力電圧VAC=100V時ではPF=0.86、交流入力電圧VAC=230V時ではPF=0.81となっている。
また、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)については、負荷電力Poが重負荷の傾向となっていくのに従って高くなる傾向で、最大負荷電力Po=200Wの負荷条件では、交流入力電圧VAC=100V時にはηAC→DC=88.3%、交流入力電圧VAC=230V時には、89.9%となっている。
これまでに説明した実施の形態の電源回路と、同じ力率改善及びワイドレンジ対応化を図る先行技術である、図16に示した電源回路とを比較した場合には、次のようなことがいえる。
先ず、上記図7による実験結果からもわかるように、図1に示した電源回路では、図16の電源回路の場合よりも、AC100V系時とAC200V系時の電力変換効率(ηAC→DC)が共に向上している。
これは、主としては、電圧帰還方式による力率改善改善回路を備える構成とし、さらにスイッチング周波数の可変制御のみで安定化を図るワイドレンジ対応の構成としたことで、アクティブフィルタを不要としたことによる。すなわち、本実施の形態では、アクティブフィルタを備える場合のように前段と後段の2つの電力変換効率値により総合効率が低下することはない。
また、図1に示した回路では、アクティブフィルタを不要としたことで、回路構成部品点数の削減が図られる。
つまりアクティブフィルタは、1組のコンバータを構成するものであり、図16による説明からも分かるように、実際には、1本のスイッチング素子と、これらを駆動するためのIC等を始め、多くの部品点数により構成される。
これに対し図1に示す電源回路においては、力率改善及びワイドレンジ対応のために必要な追加部品として、少なくともフィルタコンデンサCN、スイッチングダイオードD1、力率改善用トランスVFT、二次側直列共振コンデンサC2を備えればよく、アクティブフィルタと比較すれば非常に少ない部品点数とすることができる。
これにより、図1に示す電源回路としては、力率改善機能を有するワイドレンジ対応の電源回路として、図16に示す回路よりもはるかに低コストとすることができる。また、部品点数が大幅に削減されることで、回路基板についても有効に小型軽量化を図ることができる。
また、図1に示す電源回路では、共振形コンバータ及び力率改善回路11の動作はいわゆるソフトスイッチング動作であるから、図16に示したアクティブフィルタと比較すればスイッチングノイズのレベルは大幅に低減される。
このため、図1にも示したように、例えば1組のコモンモードチョークコイルCMCと2つのアクロスコンデンサCLから成る1段のノイズフィルタを備えれば、電源妨害規格をクリアすることが充分に可能とされる。また、整流出力ラインのノーマルモードノイズについては、図1にも示しているように、1つのフィルタコンデンサCNのみにより対策を行っている。
このようにしてノイズフィルタとしての部品点数が削減されることによっても、電源回路のコストダウンと、回路基板の小型軽量化は促進される。
また、図1に示す電源回路の場合、一次側のスイッチングコンバータを形成する各スイッチング素子Q1,Q2は、同期してスイッチング動作するものである。従って、一次側アース電位としては、図16の電源回路のように、アクティブフィルタ側と、その後段のスイッチングコンバータとの間で干渉することが無く、スイッチング周波数の変化に関わらず安定させることができる。
なお、図1に示す電源回路により得られる力率PFとしては、図7にて説明した通りであり、このような力率特性によれば、例えば電源高調波歪み規制をクリアすることができ、実用上充分な力率が得られているといえる。
このようにして図1に示す本実施の形態の電源回路は、アクティブフィルタを備える電源回路が有する各種の問題を解決したうえで、力率改善機能を有するワイドレンジ対応の電源回路を得ているものである。
また、図1に示す本実施の形態の電源回路では、図7にて説明したように、整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)のレベルは、負荷変動に対して一定となっている。
例えば、従来から知られている電圧帰還方式の力率改善電源回路を電流共振形コンバータに採用した場合の基本構成としては、一次側電流共振形コンバータのスイッチング動作により、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に得られるスイッチング出力電流又は電圧を整流電流経路に帰還して平滑コンデンサCiに対して充電させる構成を採っている。つまり、電圧帰還の経路は、一次側において形成されている。
具体的に、力率改善用トランスVFTを備える電圧帰還方式であれば、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1及び一次側直列共振コンデンサC1から成る一次側直列共振回路に対して、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11を直列に接続し、力率改善用トランスVFTの二次巻線N12を整流電流経路に対して、スイッチングダイオードD1とともに直列に挿入する回路構成を採ることになる。
このようにして、一次側のみで電圧帰還ループが形成される従来の電力回生方式力率改善回路を備える電源では、一般に整流平滑電圧Eiのレベルは、軽負荷から無負荷とされる傾向の条件では上昇する特性であることが分かっている。
このような整流平滑電圧Eiの変動は、例えば、平滑コンデンサCiなどの一次側スイッチングコンバータの構成部品の耐圧ランクを高く選定する必要などを招き、回路の大型化、コストアップなどを招く。また、整流平滑電圧Eiの変動は、二次側直流出力電圧の安定化のための制御範囲を拡大する必要の生じる場合もあり、回路設計の変更が必要になるなど作業効率を低下させる要因ともなり得る。
また、スイッチング出力を帰還する方式の力率改善回路としては、電圧帰還方式の他に、電力回生方式も知られている。例えば電流共振形コンバータに電力回生方式の力率改善回路を設けることとした場合には、整流平滑電圧Eiを生成する整流電流経路においてインダクタとスイッチングダイオードを直列に挿入したうえで、一次側直列共振回路の端部を、この整流電流経路に接続するようにして帰還経路を形成する。これにより、一次側直列共振回路に流れる共振電流を電力として回生するようにして平滑コンデンサCiに帰還して、スイッチングダイオードのスイッチング動作を促し、整流電流を断続させて、交流入力電流IACの導通角拡大を図るようにされる。
このような電力回生方式の力率改善回路にあっても、電圧帰還方式と同じく軽負荷、無負荷時において整流平滑電圧Eiが上昇する特性を有している。つまり、負荷変動に応じた整流平滑電圧Eiの変化は、スイッチング出力を帰還する方式の力率改善回路において、共通の問題となっている。
そこで、本実施の形態の電源回路では、電圧帰還方式による力率改善回路100の構成として、二次側に伝達されたスイッチング出力を帰還源とするように構成している。つまり、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11を、二次側整流回路において、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N12に対して直列関係となるようにして挿入している。
二次側整流回路は、直接的に負荷電力を供給する二次側直流出力電圧Eoを生成する整流回路系であるので、二次側整流回路内の一次巻線N11に流れる交番電流I2のレベルは、負荷電流レベルに応じたものとなる。つまり、交番電流I2のレベルは、軽負荷の傾向となるのに応じて低下し、無負荷の条件では0レベルとなるようにして変化する。
本実施の形態の力率改善回路100は、このような交番電流I2により、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11から二次巻線N12に交番電圧を誘起させて電圧帰還を行っている。このために、力率改善用回路において整流電流経路に帰還される帰還電圧レベルは、軽負荷の傾向となるのに応じて低減していくことになり、これに応じては、さらに、帰還電圧により平滑コンデンサCiに充電される電流量も低減することとなって、その両端電圧である、整流平滑電圧Eiのレベルの上昇は抑制、キャンセルされる。この結果、整流平滑電圧Eiは、負荷変動に対して整流平滑電圧Eiが一定レベルで維持されるように制御されることになる。
なお、無負荷時(Po=0W)においては、負荷電流レベルが0となって交番電流I2も0レベルとなり、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11には誘起電圧は生じないことから、スイッチングダイオードD1はスイッチング動作を停止し、整流電流I1は、断続されることなくスイッチングダイオードD1を導通して平滑コンデンサCiに充電されることになる。このときの平滑コンデンサCiのレベルは、交流入力電圧VACのピークレベルに対応したものとなる。
また、本実施の形態の構成では、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11と二次巻線N12との巻線比設定により、例えば負荷電力Po=50W(無負荷以外の所定の負荷電力値による軽負荷の状態)以下の範囲でも、スイッチングダイオードのスイッチング出力を停止させるようにすることが可能である。電源回路の仕様によっては、このような巻線比の調整を伴って、負荷変動に対する整流平滑電圧Eiの安定化を図るようにしてよい。
また、本実施の形態の力率改善回路100は、これまでにも述べてきているように、電圧帰還方式としての構成を採る。電圧帰還方式は、電力回生方式と比較して、スイッチング出力の帰還態様が間接的であるために、二次側直流出力電圧Eoに重畳する商用交流電源周期のリップル増加量が少ないという利点を有している。例えば、本実施の形態の力率改善回路100では、力率改善用トランスVFTの磁気結合を介するようにして、間接的にスイッチング出力を二次側から、一次側の整流電流経路に帰還している。
そのうえで、本実施の形態では、さらに、力率改善用トランスVFTの結合係数kについて、前述もしたように、k=0.85程度の疎結合の状態を設定している。これにより、本実施の形態では、二次側直流出力Eoに重畳する商用交流電源周期のリップル成分の増加は、ほとんど無いようにされている。
図8は、第2の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。
なお、この図においては、力率改善回路100内の力率改善用トランスVFT、絶縁コンバータトランスPIT、及び二次側整流回路のみが示されている。これら以外の他の部分については、図1と同様であるとして、ここでの図示は省略している。また、この図において、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
この図に示す回路の二次側においては、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11、及び二次側直列共振コンデンサC2から成る二次側直列共振回路に対して、倍圧半波整流回路が設けられる。
この倍圧半波整流回路としては、二次巻線N2の巻き終わり端部に対して、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11、二次側直列共振コンデンサC2の直列接続を介して整流ダイオードDo1のアノードを接続する。整流ダイオードDo1のカソードは平滑コンデンサCoの正極端子に接続する。平滑コンデンサCoの負極端子は、二次側アース電位である、二次巻線N2の巻始め端部に対して接続される。そして、整流ダイオードDo2のアノードを二次側アースに接続し、この整流ダイオードDo2のカソードを、二次側直列共振コンデンサC2と整流ダイオードDo1のアノードとの接続点に対して接続する。
上記のようにして形成される倍圧半波整流回路では、先ず二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期に整流ダイオードDo2が導通して、整流電流を二次側直列共振コンデンサC2に対して充電する動作が得られる。これによって二次側直列共振コンデンサC2の両端には、二次巻線N2(及び一次巻線N11)に励起(誘起)される交番電圧レベルの等倍に対応したレベルによる電圧が生成される。そして、他方の半周期では、整流ダイオードDo1が導通することで、平滑コンデンサCoに対しては、二次巻線N2(及び一次巻線N11)に得られる交番電圧レベルと、上記二次側直列共振コンデンサC2の両端電圧とが重畳された電圧レベルにより充電が行われる。
これによって平滑コンデンサCo1の両端電圧としては、二次巻線N2に励起される交番電圧レベルの2倍に対応したレベルによる整流平滑電圧Eoが得られることになる。この整流動作では、平滑コンデンサCoに対しては、二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期にのみ充電が行われる。つまり、倍圧半波としての整流動作が得られている。
図9は、第3の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。なお、この図においても、力率改善回路100内の力率改善用トランスVFT、絶縁コンバータトランスPIT、及び二次側整流回路のみを示し、これら以外の他の部分については、図1と同様であるとして図示は省略した。
この図に示す回路における二次側では、上記図8とは異なる回路構成による倍圧半波整流回路が形成されている。この半波整流回路では、二次巻線N2の巻き終わりに対して、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11、二次側直列共振コンデンサC2の直列接続を介して整流ダイオードDo1のアノードを接続する。整流ダイオードDo1のカソードは平滑コンデンサCo1の正極端子に接続する。平滑コンデンサCo1の負極端子は、もう1本の平滑コンデンサCo2の正極端子と接続する。また、平滑コンデンサCo1の負極端子に対しては、二次巻線N2の巻始め端部も接続する。平滑コンデンサCo2の負極端子は、二次側アースと接続する。この場合、平滑コンデンサCo1,Co2は、直列接続されていることになる。整流ダイオードDo2のアノードは二次側アースに接続し、カソードは、二次側直列共振コンデンサC2と整流ダイオードDo1のアノードとの接続点に対して接続する。
上記接続形態によれば、二次巻線N2に得られる交番電圧の一方の半周期には、整流ダイオードDo1、平滑コンデンサCo1を介して整流電流が流れ、平滑コンデンサCo1において、上記二次巻線N2(及び一次巻線N11)の交番電圧の等倍に対応したレベルの両端電圧が生成される。また、上記交番電圧の他方の半周期には、平滑コンデンサCo2、整流ダイオードDo2を介して整流電流が流れ、平滑コンデンサCo2の両端に交番電圧の等倍に対応したレベルの電圧が得られる。
これによって平滑コンデンサCo1−Co2の直列接続回路の両端電圧として、上記交番電圧レベルの2倍に対応したレベルによる二次側直流出力電圧Eoが得られる。
そして、上記説明からも理解されるように、この場合は二次側に設けられた各々の平滑コンデンサCoに対しては、二次巻線N2の交番電圧の各半周期にのみ充電が行われることから、整流動作としては半波整流動作となる。つまり、この図9に示す回路の二次側においても、倍圧半波整流平滑回路としての動作が得られている。
図10は、第4の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。この図において、図1,図8,及び図9と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
この図に示す電源回路としては、先ず、商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)を入力して整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を生成するための整流電流回路系として、交流入力電圧VACの2倍に対応するレベルの整流平滑電圧Eiを生成する、倍電圧整流回路を備える。そのうえで、図10に示す電源回路は、図1に示した力率改善回路100に代えて、力率改善回路101を備える。この力率改善回路101は、次に説明するようにして、上記倍電圧整流回路に対して、電圧帰還方式による力率のための回路構成を組み合わせて形成される。
この力率改善回路101に含まれる倍電圧整流回路は、整流ダイオードD11,D12、及び2つの直列接続された平滑コンデンサCi1,Ci2により形成される。この場合において、整流ダイオードD11,D12は、力率改善用のスイッチング素子(スイッチングダイオード)としても機能するので、高速リカバリ型が選定される。
コモンモードノイズフィルタ(CMC,CL)の後段となる商用交流電源ACの正極ラインに対しては、力率改善用トランスVFTの二次巻線N12の直列接続を介して、整流ダイオードD11のアノードと整流ダイオードD12のカソードとの接続点に対して接続される。
整流ダイオードD11のカソードは、平滑コンデンサCi1の正極端子と接続され、整流ダイオードD12のアノードは、一次側アースと接続される。
直列接続された平滑コンデンサCi1,Ci2の接続点は、コモンモードノイズフィルタ(CMC,CL)の後段となる商用交流電源ACの負極ラインに対して接続される。平滑コンデンサCi2の負極端子は一次側アースに接地される。
また、フィルタコンデンサCNは、商用交流電源ACの正極ラインと二次巻線N12との接続点と、平滑コンデンサCi1,Ci2の接続点との間に挿入される。
このようにして構成される力率改善回路101における倍電圧整流回路の動作としては、商用交流電源ACが一方の半周期(正極性)となる期間においては、商用交流電源AC→(CMCの巻線)→二次巻線N12→整流ダイオードD11→平滑コンデンサCi1→(CMCの巻線)→商用交流電源ACの整流電流経路が形成され、整流ダイオードD11が商用交流電源ACを整流し、平滑コンデンサCi1がその整流出力を平滑化する動作が得られる。
また、商用交流電源ACが他方の半周期(負極性)となる期間においては、商用交流電源AC→(CMCの巻線)→平滑コンデンサCi2→整流ダイオードD12→二次巻線N12→(CMC)→商用交流電源ACの整流電流経路が形成され、整流ダイオードD12が商用交流電源ACを整流し、平滑コンデンサCi2がその整流出力を平滑化する。
これにより、平滑コンデンサCi1,Ci2の各両端電圧としては商用交流電源ACの等倍に対応するレベルの整流平滑電圧が得られる。従って、平滑コンデンサCi1−Ci2の直列接続回路の両端電圧としては、商用交流電源ACのレベルの2倍に対応するレベルの整流平滑電圧Eiが得られることになる。つまり、倍電圧整流動作が得られる。
また、上記した整流電流経路によれば、商用交流電源ACが正極性となる半周期の期間においては、二次巻線N12−整流ダイオードD11の直列接続回路が形成され、商用交流電源ACが負極性となる半周期の期間においては、整流ダイオードD12→二次巻線N12の直列接続回路が形成される。つまり、商用交流電源ACが正/負の各期間で、力率改善用トランスVFTの二次巻線N12は、整流電流経路に挿入される状態となる。これにより、商用交流電源ACが正/負となる各期間において、整流出力電圧に対して、二次巻線N12に誘起された交番電圧が重畳することになる。つまり、この場合には、一次巻線N1と二次巻線N12の磁気結合を介して、一次側直列共振電流を電力として回生して整流電流経路に帰還する形式を採っている。
整流ダイオードD11,D12は、上記のようにして交番電圧成分が重畳された整流出力電圧が印加されることで、交流入力電圧VACの絶対値が1/2以上のときにも、ブリッジ整流回路Diの整流動作によって得られる整流電流をスイッチング(断続)するようにされる。これにより、力率改善回路101によっても、整流出力電圧レベルが平滑コンデンサCiの両端電圧よりも低いとされる期間にも平滑コンデンサCiへの充電電流が流れるようにされ、交流入力電流IACの導通角が拡大されて力率改善が図られる。
この第4の実施の形態のようにして、整流平滑電圧Eiを生成する整流回路系について倍電圧整流回路とするのは、商用交流電源ACが100V系の単レンジで、かつ、比較的重負荷の条件となるような場合である。このような条件では、スイッチングコンバータに流れる電流が増加して電力損失が増加する傾向となるが、倍電圧整流回路により整流平滑電圧Eiを2倍にまで増加させて生成すると、同じ負荷条件に対してスイッチングコンバータに流れる電流量を低減させることができるために、電力損失が低減される。
この図10に示す回路は、上記もしているように単レンジ対応の用途ではあるが、電圧帰還方式の力率改善回路101を備えていることで、力率改善目的のアクティブフィルタを不要としている、ということがいえる。また、この場合としても定電圧制御の高速応答が可能となるというメリットは図1の回路の場合と同様に得られる。
また、この図10に示す第4の実施の形態の電源回路における二次側整流回路としては、4倍電圧整流回路が備えられる。
この場合の4倍圧整流回路としては、整流ダイオードDo1〜Do4の4本の整流ダイオード、2本の二次側直列共振コンデンサC2A、C2B及び2本の平滑コンデンサCo1A、Co1Bとを備えて形成される。
二次巻線N2の巻き終わり端部に対しては、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11の直列接続を介したうえで、さらに二次側直列共振コンデンサC2A−整流ダイオードDo1(アノード→カソード)の直列接続を介し、平滑コンデンサCo1Aの正極端子を接続する。平滑コンデンサCo1Aの負極端子は、二次巻線N2の巻き終わり端部に対して接続される。
また、平滑コンデンサCo1Aの負極端子と二次巻線N2の巻始め端部の接続点に対しては、平滑コンデンサCo1Bの正極端子を接続し、この平滑コンデンサCo1Bの負極端子を二次側アースに接続する。この接続態様では、平滑コンデンサCo1A−Co1Bの直列接続が形成される。
また、二次巻線N2の巻終わり端部側となる力率改善用トランスVFTの一次巻線N11の巻き終わり端部と、二次側アースとの間には、二次側直列共振コンデンサC2B→整流ダイオードDo3(カソード→アノード)の直列接続回路を挿入する。
これら二次側直列共振コンデンサC2Bと整流ダイオードDo3との接続点に対しては、整流ダイオードDo4のアノードを接続する。整流ダイオードDo4のカソードは、平滑コンデンサCo1A,Co1Bの接続点と、二次巻線N2の巻始め端部との接続点に対して接続する。
さらに、平滑コンデンサCo1A,Co1Bの接続点に対しては、整流ダイオードDo2のアノードを接続する。整流ダイオードDo2のカソードは、二次側直列共振コンデンサC2Aと整流ダイオードDo1のアノードとの接続点に対して接続されている。
上記接続態様によって形成される倍電圧全波整流回路の整流動作は次のようになる。
先ず、この倍電圧全波整流回路は、[二次巻線N2−一次巻線N11、二次側直列共振コンデンサC2A、整流ダイオードDo1,Do2、平滑コンデンサCo1]により形成される第1の倍電圧半波整流回路と、[一次巻線N11−二次巻線N2B、二次側直列共振コンデンサC2B、整流ダイオードDo3,Do4、平滑コンデンサCo2]により形成される第2の倍電圧半波整流回路とに分けることができる。
また、第1の倍電圧半波整流回路においては、二次巻線N2−一次巻線N11−二次側直列共振コンデンサC2Aの直列接続回路が形成されていることで、二次巻線N2のリーケージインダクタンス成分(L2:一次巻線N11のインダクタンスL11を含む)と二次側直列共振コンデンサC2Aのキャパシタンスとによって、第1の二次側直列共振回路を形成することになる。
同様に、第2の倍電圧半波整流回路においては、一次巻線N11−二次巻線N2B−二次側直列共振コンデンサC2Bの直列接続回路が形成されることで、二次巻線N2のリーケージインダクタンス成分(L2:一次巻線N11のインダクタンスL11を含む)と二次側直列共振コンデンサC2Bのキャパシタンスとによって、第2の二次側直列共振回路を形成することになる。
第1の倍電圧半波整流回路の整流動作としては次のようになる。
先ず、二次巻線N2に誘起される交番電圧の一方の半周期の期間においては、二次巻線N2−整流ダイオードDo2−二次側直列共振コンデンサC2A−一次巻線N11の経路により整流電流が流れることで、二次側直列共振コンデンサC2Aに対して整流電流を充電するようにされる。このときの整流動作によって、二次側直列共振コンデンサC2Aには、二次巻線N2Aに誘起される交番電圧の等倍に対応するレベルの両端電圧が生成される。
また、続く二次巻線N2の交番電圧の他方の半周期の期間においては、二次巻線N2A−一次巻線N11−二次側直列共振コンデンサC2A−整流ダイオードDo1−平滑コンデンサCo1の経路で整流電流が流れる。このときには、二次巻線N2Aの誘起電圧に対して、先の二次巻線N2の交番電圧の半周期の期間の整流動作により得られている二次側直列共振コンデンサC2Aの両端電圧が重畳される状態で、平滑コンデンサCo1への充電が行われる。これにより、平滑コンデンサCo1には、二次巻線N2(及び一次巻線N11)の交番電圧に対して2倍となるレベルの両端電圧が生成されることになる。
つまり、第1の倍電圧半波整流回路は、二次巻線N2の交番電圧の一方の半周期の期間で二次巻線N2の交番電圧の等倍に対応するレベルの二次側直列共振コンデンサC2Aの両端電圧を生成し、二次巻線N2の交番電圧の他方の半周期の期間で、二次巻線N2の交番電圧と二次側直列共振コンデンサC2Aの両端電圧の重畳レベルにより平滑コンデンサCo1に充電を行うことで、平滑コンデンサCo1の両端電圧として、二次巻線N2の交番電圧の2倍に対応するレベルの両端電圧を得る、という倍電圧半波整流動作を行う。
また、上記した倍電圧半波整流動作では、二次側直列共振コンデンサC2Aに対して、正/負の両極の方向で半周期ごとに電流が流れているが、これに応じて、第1の二次側直列共振回路が共振動作を行うことになる。
また、第2の倍電圧半波整流回路は、[一次巻線N1−二次巻線N2B、二次側直列共振コンデンサC2B、整流ダイオードDo3,Do4、平滑コンデンサCo2]により、上記第1の倍電圧半波整流回路と同様の倍電圧半波整流動作を、上記第1の倍電圧半波整流回路の整流動作に対して、半周期シフトした周期タイミングにより実行する。これにより、平滑コンデンサCo2の両端電圧としても、二次巻線N2(及び一次巻線N11)の交番電圧に対して2倍となるレベルの両端電圧が生成されることになる。
このような整流動作が実行されることにより、平滑コンデンサCo1−Co2の直列接続回路の両端電圧である二次側直流出力電圧Eoとしては、二次巻線N2(及び一次巻線N11)の交番電圧に対して4倍となるレベルの両端電圧が生成されることになる。つまり、4倍電圧整流動作が得られている。
図11の回路図は、第5の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。なお、この図において、図1,図8,図9,図10と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
この図に示す電源回路では、ブリッジ全波整流回路により、商用交流電源ACから整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を生成するようにされている。また、直流入力電圧により動作する一次側スイッチングコンバータは、ハーフブリッジ結合方式による電流共振形コンバータに対して、部分電圧共振回路を備えた構成とされる。また、二次側整流回路としては、4本の整流ダイオードDo1〜Do4及び平滑コンデンサCoによるブリッジ全波整流回路となっている。また、力率改善回路100としては、力率改善用トランスVFTを備える電圧帰還方式を採っており、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11を二次側整流回路に挿入することで、二次側に伝達されたスイッチング出力を、一次側の整流電流経路に帰還するようにしている。これらの点では、図1と同様である。
そのうえで、図11の電源回路においては、先ず、二次側直列共振コンデンサC2が省略されている。従って、この図に示す電源回路は、多重複合共振形ではなく、複合共振形であることになる。つまり、本願発明に基づいた、二次側に伝達されたスイッチング出力を一次側に電圧帰還する構成の電圧帰還方式力率改善回路は、多重複合共振形のスイッチングコンバータに限定されるものではなく、例えばこの図に示される複合共振形をはじめとして、他の形式のスイッチングコンバータにも適用できる。
また、この図に示す電源回路では、力率改善用トランスVFTに対して、追加的に電流検出巻線N3を巻装している。電流検出巻線N3は、例えば力率改善用トランスVFTの二次巻線N12と密結合の状態で巻装される。
力率改善用トランスVFTの一次巻線N11には、前述もしたように負荷電流に応じたレベルの交番電流(I2)が流れる。また力率改善用トランスVFTの一次巻線N12にも、負荷電流に応じたレベルの交番電流成分が得られる。このため、電流検出巻線N3には、負荷電流に応じた交番電圧が誘起されることになる。つまり、電流検出巻線N3は、負荷電流レベルを誘起電圧レベルとして検出している。
電流検出巻線N3には、ダイオードD3及びコンデンサC3から成る半波整流回路が接続されていることで、電流検出巻線N3の誘起電圧レベルは直流化され、負荷電流検出レベルを示す電圧値として、発振・ドライブ・過電流検出回路2Aに入力される。発振・ドライブ・過電流検出回路2Aは、例えば図1に示した発振・ドライブ回路2に対して過電流保護機能を設けた回路とされる。
このようにして、電流検出巻線N3は、過電流保護回路系を形成する1部品として備えられる。電流検出巻線N3は、負荷電流を二次側において直接検出するものではなく、力率改善用トランスVFTが一次側と二次側とで直流的に絶縁されていることを利用して、一次側において間接的に検出している。従って、過電流検出のために一次側と二次側との直流的絶縁状態を別途形成する必要はない。また、負荷電流レベルを誘起電圧レベルとして検出しているので、電流検出巻線N3そのものは少ない巻数で済み、これにより、力率改善用トランスVFTが大型化することはない。また、部品のコストアップもほとんど問題にならない。
発振・ドライブ・過電流検出回路2Aは、上記のようにして電圧値として入力されてくる負荷電流検出レベルを監視しており、例えば過電流状態に対応する所定レベル以上になったことを検出すると、例えばドライブ信号出力を停止させて、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング動作を停止させる。
上記もしているように、図11に示す電源回路では、二次側直列共振コンデンサC2が省略されていることで二次側直列共振回路は形成されないことになる。しかしながら、この図11に示す電源回路については、一次側において一次側直列共振回路(L1−C1)を備えたうえで、絶縁コンバータトランスPIT自体の結合係数kについては、先に図2にて説明した構造により、一定以下にまで低下させた値が得られるようにしている。この結果、絶縁コンバータトランスPIT自体の結合係数kと、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンスL11とを要素として決定される総合結合係数ktとしても、疎結合とされる一定以下の値が設定されることとなり、結果として、図11に示す電源回路についても、ワイドレンジ対応化を図ることが可能となる。この点について説明する。
図12は、図11の電源回路における定電圧制御特性を、スイッチング周波数fsと二次側直流出力電圧Eoとの関係により示している。
なお、この図では同時に、絶縁コンバータトランスPITにおける結合係数kを従来の設定とした電流共振形コンバータを備える電源回路における、二次側直流出力電圧Eoについての定電圧制御特性を一点鎖線により示している。従来の電源回路の絶縁コンバータトランスPITとしては、本実施の形態よりも高い値の結合係数kが設定されている。例えば、絶縁コンバータトランスPITのギャップGについては1mm程度のギャップ長を設定することで、k=0.8〜0.9程度が得られるようにされている。また、この従来の電源回路としては、力率改善回路は特に備えていないものとして考える。従って、従来の電源回路の総合結合係数ktとしては、基本的に、絶縁コンバータトランスPIT自体の結合係数kとしてみてよい。また、確認のために述べておくと、図11の電源回路としても、スイッチング周波数制御方式としてはいわゆるアッパーサイド制御を採用していることを前提とする。
図12において、この場合としても、直列共振回路においては共振周波数foのときに最も共振インピーダンスが小さくなる特性から、アッパーサイド制御における二次側直流出力電圧Eoとスイッチング周波数fsの関係としては、スイッチング周波数fsが共振周波数foに近づいていくほど二次側直流出力電圧Eoが上昇し、共振周波数foから離れていくのに従って二次側直流出力電圧Eoが低下していくものとなる。
従って、この場合も負荷電力Poを一定とした条件でのスイッチング周波数fsに対する二次側直流出力電圧Eoは、図示するようにして、スイッチング周波数fsが一次側直列共振回路の共振周波数foと同じときにピークとなり、共振周波数foから離れるのに応じて低下する二次曲線的な変化を示す。
また、同じスイッチング周波数fsに対応する二次側直流出力電圧Eoとしては、この場合も最小負荷電力Pomin時よりも最大負荷電力Pomax時のほうが所定分低下するようにしてシフトする特性となる。従ってこの場合としても、スイッチング周波数fsを固定として考えると、重負荷となるのに従って二次側直流出力電圧Eoは低下する傾向となる。
ここで、この図に示される図11の回路の場合での最大負荷電力Pomax(Po=200W)時の特性曲線(特性曲線1)と、従来の回路でのPomax時の特性曲線(特性曲線2)とを比較してわかるように、最大負荷電力時での双方の特性曲線としては、およそ同様の比較的急峻な二次曲線が得られていることがわかる。これに対し、最小負荷電力Pomin(Po=0W)時では、特性曲線3と示される図11の回路の曲線と、特性曲線4と示される従来の曲線とを比較すると、従来での非常になだらかな曲線に対し、図11の回路では急峻となる特性が得られていることが理解できる。
そして、このような特性が得られている下で、アッパーサイド制御により二次側直流出力電圧Eoについて、Eo=tgとなるようにして安定化しようとした場合、従来の電源回路において安定化に必要となるスイッチング周波数の可変範囲(必要制御範囲Δfs)は、特に上記のようにして最小負荷電力Pomin時の特性曲線がなだらかであることから、図のように比較的広範なΔfsBとして示される範囲となる。
これに対し、図11に示した電源回路におけるEoの安定化のための必要制御範囲Δfsは、従来よりも最小負荷電力Pomin時の特性曲線が急峻とされたことで、上記ΔfsBよりも縮小されたΔfsAとして示される範囲となる。
このようにして、総合結合係数ktについて従来よりも低い所定以下の値を設定した本実施の形態では、特に最小負荷電力Pomin時でのスイッチング周波数の上昇が抑制されることで、安定化のための必要制御範囲Δfsが大幅に縮小されたものとなる。
ここで、図12の特性図においては、AC100V系又は200V系の一方の単レンジの場合での必要制御範囲Δfsについて示しているが、他方のレンジにおいても、同様に必要制御範囲Δfsの大幅な縮小化が図られるものとなる。すなわち、同様に最小負荷電力Pomin時でのスイッチング周波数の上昇が特に抑制されることで、AC100V系とAC200V系の双方の単レンジにおいて、従来よりも必要制御範囲Δfsの大幅な縮小化が図られるものである。
そして、このように各単レンジでの必要制御範囲Δfsの縮小化が図られるということは、AC100V系からAC200V系までの入力に対応するとした場合にも、その必要制御範囲Δfsとしては従来よりも大幅に縮小することができるものとなる。
このようにして、AC100V系からAC200V系の入力に対応する場合の必要制御範囲Δfsについても大幅な縮小化が図られることで、図11に示す電源回路としても、図1の電源回路と同様にして、スイッチング周波数制御方式による安定化動作のみによるワイドレンジ対応の構成を得ることが可能となっている。
なお、この図11の電源回路において設定されるべき絶縁コンバータトランスPITの結合係数k(及び力率改善用トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンスL11)としては、図1の電源回路と同一である必要はなく、実際に必要とされる必要制御範囲Δfsが得られるようにして、適宜、所要値が設定されればよい。
ところで、スイッチング周波数制御方式により二次側の直流出力電圧の安定化を図る電流共振形コンバータとして、例えば先の先行技術として示した図16の回路における電流共振形コンバータでは、二次側の整流回路として両波整流回路を備えるものとしていたが、このように二次側の整流回路が両波整流の形式とされた場合、スイッチング周波数制御範囲は、特に広範囲となる。
先ず、両波整流回路とした場合、二次巻線N2はセンタータップされ、2つの二次巻線部が形成される。そして、これら2つの二次巻線部において、二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期においては、整流電流は[一方の二次巻線部→整流ダイオードDo1→平滑コンデンサCo]の経路で流れる。また、上記交番電圧の他方の半周期には、整流電流は[他方の二次巻線部→整流ダイオードDo2→平滑コンデンサCo]を介して流れる。
つまり両波整流において、2つの二次巻線部としては、一方の半周期には一方にのみ電流が流れ、他方には流れないという状態となる。
このような両波整流動作によると、絶縁コンバータトランスPITのボビンに対してそれぞれ巻装された2つの二次巻線部の間には、所定の静電容量が存在することとなる。
そして、このように線間静電容量が存在していることにより、この場合の絶縁コンバータトランスPITの二次側においては、先の図16に破線により示されるようにして、等価的には二次巻線N2に対して並列にコンデンサCvが接続された状態となる。
二次巻線N2に対して並列にコンデンサCvが接続されることで、この場合は二次側においても二次巻線N2のリーケージインダクタンスとコンデンサCvのキャパシタンスとによる並列共振回路が形成されることになる。なお、上記コンデンサCvのキャパシタンスとしては、二次巻線N2として用いるリッツ線の束数と、二次巻線N2が巻装されるボビンの窓面積によって決定されるものであるが、図16の回路について実験を行った結果では、およそ100pF〜500pF程度と微少なものとなっている。
このように二次側の整流回路が両波整流回路とされ、二次側においても並列共振回路が形成される電流共振形コンバータにおいては、二次側直流出力電圧Eoの定電圧特性として、実際には、図17ではなく、図18に示すような特性となってしまう。
図16に示した電流共振形コンバータにおいて、先ず、上記のように二次側に対しても並列共振回路が形成されることで、一次側の直列共振回路の共振周波数をfo1とした場合、二次側の並列共振回路の共振周波数fov2が存在することになる。
そして、このように異なる共振点が2つ存在することで、特にPomin時における特性曲線としては、一次側の共振周波数fo1に応じてピークと二次側の共振周波数fov2に応じたピークとの2つのピークを持つ、図のような双峰曲線が得られることになる。
この場合、コンデンサCvのキャパシタンスとしては、上記もしたように比較的微少とされることで、重負荷の条件で二次側直流出力電圧Eoのレベルが比較的低くなる傾向とされているときは、二次側の共振点は顕在化しないものとなる(Pomax時の特性曲線)。しかし、軽負荷の傾向となって、無負荷の状態に近づくことによっては、二次側直流出力電圧Eoが急激な上昇傾向となることに伴って、二次側の共振点が顕在化するかの如く、図中Po=0時の特性曲線のような双峰の特性曲線が得られる。
この双峰の特性曲線と、先の図17における同じPo=0W時の特性曲線を比較すると、図18に示される双峰曲線の方が、単峰の曲線とされた場合よりも、無負荷時のスイッチング周波数がより高くなる傾向となることが理解できる。
そして、これによれば、各図のΔfsを比較してわかるように、図18の双峰となる方がスイッチング周波数の必要制御範囲Δfsがより広範となる。
このようにして、従来の電流共振形コンバータの構成として、二次側に両波整流回路を構成した場合は、一次側と二次側の共振回路による2つの共振点が存在することによる必要制御範囲Δfsの拡大も加わり、さらに必要制御範囲Δfsは拡大傾向となってしまう。
そこで、実施の形態としては、先の図1の回路と同様に、定電圧制御の対象となる二次側直流出力電圧Eoを生成するための二次側整流回路としてはブリッジ整流回路を備えるブリッジ全波整流回路とすることで、両波整流回路以外の整流回路としている。
ここで、例えば仮に、本実施の形態としての絶縁コンバータトランスPITの結合係数kの設定の下で、先の図16の回路の場合と同様に二次側の整流回路として両波整流回路を備えた場合について考察してみる。
先ず、両波整流回路とされることで、この場合としてもセンタータップによって分割された各二次巻線部の間には、線間静電容量が存在することに変わりはなく、従って二次側には等価的に並列共振回路が形成され、これによって、この場合としても定電圧制御についての特性曲線は、特に負荷電力Po=0W時のものは先の図18に示した双峰の曲線が得られることになる。
このようにして、特性曲線自体が単峰でなく双峰の特性となることから、両波整流回路とした場合には、実施の形態としての結合係数kの設定によっても、スイッチング周波数の必要制御範囲Δfsの縮小化が図られないものとなる。これは、特性曲線が双峰であることで、無負荷近辺でのスイッチング周波数が急激に上昇する特性が維持されてしまうことによる。そして、これに伴って必要制御範囲Δfsとしても有効な縮小化を図ることがほぼ不可能となり、結果的に結合係数kについて所定以下に設定したとしても、必要制御範囲Δfsの縮小化は図られないものとなってしまう。
これに対し、二次側に並列共振回路が形成されず、定電圧制御の特性曲線が単峰であれば、先の図9の特性図から理解されるように、結合係数kの設定によって、無負荷時(Pomin時)のスイッチング周波数は従来の結合係数kの設定とされた場合よりも低い値とすることができ、従って無負荷付近でのスイッチング周波数の急激な上昇特性は有効に改善が図られる。
このような理由から、二次側の整流回路を両波整流回路以外とし、結合係数kについて所定以下に低下させた第2の実施の形態によれば、必要制御範囲Δfsの有効な縮小化を図ることができ、これによってスイッチング周波数制御方式による安定化動作のみでのワイドレンジ対応の構成を実現することができる。
なお、例えば図11と同様の複合共振形コンバータの回路形態で、単レンジのみに対応する部品選定が行われたような電源回路に対しても、本実施の形態のようにして二次側の交番出力を一次側整流電流経路に電圧帰還する力率改善回路100(又は101)の構成が適用されてよい。
また、本発明としては、これまでに説明した構成に限定されるべきものではない。
例えば、直流入力電圧を生成する整流回路、二次側整流回路などについて、何れを最小するのかについては、適宜変更されて良い。具体的には、例えば、図11に示した複合共振形コンバータの二次側整流回路については、図9に示した倍電圧半波整流回路(この場合、二次側直列共振コンデンサC2は省略される)など、ブリッジ全波整流回路以外を備えるようにされてよいし、また、図10に示したように、直流入力電圧(Ei)を生成するための整流回路について倍電圧整流回路とされてもよい。また、一次側電流共振形コンバータとして、4本のスイッチング素子を備えるフルブリッジ結合方式とすることも考えられる。
例えばスイッチング素子としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)など、MOS−FET以外の素子が採用されて構わない。また、先に説明した各部品素子の定数なども、実際の条件等に応じて変更されて構わない。
さらには、本発明としてのワイドレンジ対応及び力率改善の構成は、自励式による電流共振形コンバータにも適用することが可能である。
本発明における第1の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。 実施の形態のスイッチング電源回路が備える絶縁コンバータトランスの構造例を示す断面図である。 実施の形態の電源回路を電磁結合形共振回路としてみた等価回路図である。 実施の形態の電源回路についての定電圧制御特性を示す図である。 実施の形態の電源回路の定電圧制御動作として、交流入力電圧条件及び負荷変動に応じたスイッチング周波数制御範囲(必要制御範囲)を示す図である。 第1の実施の形態の電源回路の力率改善動作に対応する要部の動作を示す波形図である。 実施の形態の電源回路についての、負荷変動に対する力率、AC→DC電力変換効率、及び整流平滑電圧の各特性を示す図である。 第2の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。 第3の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。 第4の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。 第5の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。 第5の実施の形態の電源回路の負荷変動に対する定電圧制御特性について示す図である。 アクティブフィルタの基本的回路構成を示す回路図である。 図13に示すアクティブフィルタにおける動作を示す波形図である。 アクティブフィルタのコントロール回路系の構成を示す回路図である。 先行技術としての電源回路の構成例を示す回路図である。 一次側と二次側との結合係数を従来の設定とした場合での定電圧制御特性について示した図である。 二次側の整流回路を両波整流回路とした場合の定電圧制御特性について示した図である。
符号の説明
1 制御回路、2 発振・ドライブ回路、100,101 力率改善回路、Di ブリッジ整流回路、平滑コンデンサCi,CiA,CiB、Q1,Q2 スイッチング素子、PIT 絶縁コンバータトランス、C1 一次側直列共振コンデンサ、Cp 一次側部分共振コンデンサ、C2、C2A,C2B 二次側直列共振コンデンサ、N1 一次巻線、N2 二次巻線、Do1〜Do4 (二次側)整流ダイオード、Co1,Co2 (二次側)平滑コンデンサ、CN フィルタコンデンサ、D1 スイッチングダイオード、VFT 力率改善用トランス、N11 力率改善用トランスの一次巻線、N12 力率改善用トランスの二次巻線、D11,D12 整流ダイオード

Claims (4)

  1. 商用交流電源を入力して整流平滑電圧を生成する整流平滑手段と、
    上記整流平滑電圧を直流入力電圧として入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、
    上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段と、
    少なくとも、上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線により交番電圧が誘起される二次巻線とが巻装されて形成される絶縁コンバータトランスと、
    少なくとも、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、上記一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、上記スイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路と、
    上記絶縁コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番電圧を基とする交流について整流動作を行って二次側直流出力電圧を生成する二次側直流出力電圧生成手段と、
    上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング駆動手段を制御して、上記スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、上記二次側直流出力電圧について定電圧制御を行う定電圧制御手段と、
    上記絶縁コンバータトランスの二次巻線に得られる交番出力を、上記整流平滑手段を形成する整流平滑回路の所定の整流電流経路に対して電圧として帰還し、この帰還されたスイッチング出力により整流電流を断続するようにして構成される力率改善手段と、
    を備えて構成されることを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. 上記力率改善手段は、
    上記二次側直流出力電圧生成手段を形成する二次側整流回路の整流電流経路において、上記絶縁コンバータトランスの二次巻線に対して直列の関係となるようにして挿入される力率改善用一次巻線と、上記整流平滑手段を形成する整流平滑回路における整流電流経路に対して直列に挿入される上記力率改善用二次巻線とを、少なくとも、所定の結合係数により磁気結合されるようにして巻装して形成される力率改善用トランスと、
    上記力率改善用二次巻線に対して直列の関係となるようにして、上記整流平滑手段を形成する整流平滑回路における整流電流経路に対して挿入される力率改善用スイッチング素子と、を少なくとも備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  3. 少なくとも、上記絶縁コンバータトランスの二次巻線の漏洩インダクタンス成分と、上記二次巻線に直列接続される二次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成される二次側直列共振回路をさらに備えると共に、
    上記絶縁コンバータトランス自体の結合係数を少なくとも設定要素として含み、上記一次側直列共振回路と上記二次側直列共振回路とを有して形成される電磁結合形共振回路について、上記スイッチング周波数を有する周波数信号の入力に対する出力特性が単峰特性となるようにして、疎結合とみなされる所定値の一次側と二次側との結合係数を設定して構成する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  4. 上記絶縁コンバータトランスについて、一次側と二次側とで所定の結合係数が得られるようにして、コアの所定位置に形成されるギャップ長を設定するとともに、
    上記二次側直流出力電圧生成手段を形成する二次側整流回路として、両波整流回路以外の所定形式の整流回路を設ける、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
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