JP2006137666A - ガラス組成物、混合体、ペースト、及び電子部品 - Google Patents

ガラス組成物、混合体、ペースト、及び電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】 PbO及びBiを原料として配合しない、安価で環境負荷の低減した、メッキ液に対する耐食性に優れたガラス組成物、該ガラス組成物を含む混合体及びペースト、該ペーストからなるガラス被覆層を有する電子部品を提供。
【解決手段】 酸化リンの配合量が30〜45モル%、酸化亜鉛の配合量が45〜60モル%、及び酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、並びに酸化バリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ土類金属酸化物の配合量が5〜15モル%のガラス組成物である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガラス組成物、該ガラス組成物を含む混合体及びペースト、該ペーストからなるガラス被覆層を有する電子部品に関するものであり、特に、電子部品の被覆に好適に用いられ、耐食性に優れたガラス組成物、混合体、ペースト、及び電子部品に関するものである。
チップ抵抗器やチップヒューズといった電子部品は、携帯電話を始めとする情報通信機器等に多用されている。このような電子部品内に設けられた回路は、外部から電気的、化学的、機械的に保護される必要があることから、従来よりその保護材料として、PbO−B−SiO系の鉛を主成分とするガラスが用いられてきた。この鉛を主成分とするガラスでは、一般的には酸化鉛(PbO)が24〜60質量%程度含まれている。
しかしながら、鉛は血液中に吸収されると赤血球に付着して、その破壊を速め、あるいは骨髄中の赤血球の生成を阻害するため、人体に対し大変有害で好ましくない。人体への吸収は、食物を経由しての食物連鎖が最も多いが、ガラス製造に従事する作業者等が極めて少量の鉛を長期間持続的に摂取(通常、毎日0.5mg以上を摂取すると体内蓄積が起こるとされている。)することによっても起こる。したがって、鉛を多量に含むガラスは環境上の観点から、近年その使用を避ける傾向にある。
そこで、PbOを原料成分として配合しないガラスとして、例えば、Bi−ZnO−SiO−Al−BaO等を主成分としてなる抵抗体被覆用ガラス組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−267750号公報
しかしながら、特許文献1に係る抵抗体被覆用ガラス組成物において、PbOの代わりに主成分として用いられているBiは、価格も高く、またリサイクルが難しい上、もともとの資源量が少ないためいずれは資源枯渇に陥る問題があり、Biに変わる代替品の出現が求められていた。
また、特許文献1では、PbOを原料としては用いていないが、ガラスを構成する各成分の原料中にPbOが不純物として混入することまでをも排除するものではないため、実際に製造した抵抗体被覆用ガラス組成物中に、不純物としてのPbOがどの程度含有されているかは不明であった。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、PbO及びBiを原料として配合しない、安価で環境負荷の低減した、メッキ液に対する耐食性に優れたガラス組成物、該ガラス組成物を含む混合体及びペースト、該ペーストからなるガラス被覆層を有する電子部品を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、酸化リンの配合量が30〜45モル%、酸化亜鉛の配合量が45〜60モル%、及び酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、並びに酸化バリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ土類金属酸化物の配合量が5〜15モル%であることを特徴とするガラス組成物である。
請求項2にかかる発明は、酸化亜鉛と酸化リンとの配合比(酸化亜鉛/酸化リン)が、1以上である請求項1記載のガラス組成物である。
請求項3にかかる発明は、酸化リンと、酸化亜鉛と、酸化ストロンチウムと、1.5質量%以下の不可避不純物とを含有する請求項1又は2に記載のガラス組成物である。
請求項4にかかる発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス組成物に、黒色無機顔料を混合した混合体である。
請求項5にかかる発明は、前記黒色無機顔料が、酸化鉄、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化クロム、及び酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の酸化物である請求項4記載の混合体である。
請求項6にかかる発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス組成物と、樹脂と、溶剤とを含有するペーストである。
請求項7にかかる発明は、請求項4又は5に記載の混合体と、樹脂と、溶剤とを含有するペーストである。
請求項8にかかる発明は、請求項6又は7に記載のペーストを塗布し、焼成したガラス被覆層を有する電子部品である。
本発明によれば、PbO及びBiを原料として配合していないため、安価であって、環境負荷も低減しており、それにもかかわらずメッキ液に対する耐食性に優れたガラス組成物、該ガラス組成物を含む混合体及びペースト、該ペーストからなるガラス被覆層を有する電子部品が得られる。
以下、本発明に係るガラス組成物、混合体、ペースト、及び電子部品の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
[ガラス組成物]
本発明に係るガラス組成物は、酸化リン(P)の配合量が30〜45モル%、酸化亜鉛(ZnO)の配合量が45〜60モル%、及び酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、並びに酸化バリウム(BaO)からなる群より選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ土類金属酸化物の配合量が5〜15モル%である。ガラス組成物の原料となるP、ZnO、アルカリ土類金属酸化物の配合量とガラス化との関係は、一般的に三角組成図で表すことができる。
図1は、本発明に係るガラス組成物の一実施形態における酸化リン(P)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ストロンチウム(SrO)の配合量とガラス化の可否を示す三角組成図である。図1では、アルカリ土類金属酸化物としてSrOを選択したガラス化形成範囲の例を示しており、各元素を酸化物換算で表している。本実施形態のガラス組成物は、図1の三角組成図における点A,B,C,D,E,F,G,Hで囲まれる範囲内に相当する。
ここで、図1においては、白丸はガラス状態を示しており、また、黒丸は非ガラス状態、すなわち結晶質となった状態を示しており、符号Mで示す実線は、その境界線を示している。つまり、図1においては、符号Mで示す実線よりも上側の範囲がガラス化する組成範囲である。したがって、符号Mで示す実線よりも上側の範囲であって、点A〜Hで囲まれる範囲内が、好ましい範囲であり、それは点Dを除いた点A,B,C,E,F,G,Hの点線で囲まれた範囲内になる。
本実施形態で、Pの配合量を30〜45モル%に限定したのは、30モル%未満ではガラスを形成できないからであり、また、45モル%を越えるとメッキ液に対する耐食性が低下するからである。そのなかでもPの配合量は30〜40モル%であることが好ましい。
また、ZnOの配合量を45〜60モル%に限定したのは、45モル%未満では熱膨張係数が大きくなりすぎるからであり、また、60モル%を越えると軟化点が高くなるからである。そのなかでも、ZnOの配合量は48〜60モル%であることが好ましい。
CaO、SrO、及びBaOからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ土類金属酸化物の配合量を5〜15モル%に限定したのは、5モル%未満では軟化点が高くなるからであり、また、15モル%を越えると、図1の三角組成図に示すように、結晶質になるからである。
また、本実施形態のガラス組成物は、ZnOとPとの配合比(ZnO/P)が1以上であることが好ましい。この配合比が1未満であると、メッキ液に対する耐食性が低下するからである。
上記配合量でP、ZnO、アルカリ土類金属酸化物を調整し、1200℃で溶融して得たガラス組成物は、PbOを原料として配合していないため、従来の鉛ガラス組成物に含まれるPbO含有量よりも著しく含有量の少ないガラス組成物を得ることができる。しかしながら、配合原料中に含まれる不純物を完全には除くことはできないため、本実施形態のガラス組成物は、P、ZnO、アルカリ土類金属酸化物を主成分とする他に、微量の不可避不純物を含有している。そのなかでも、Pと、ZnOと、SrOと、1.5質量%以下の不可避不純物を含有するガラス組成物が好ましい。このような不可避不純物としては、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化カリウム(KO)、酸化鉛(PbO)、酸化銅(CuO)、酸化鉄(Fe)、酸化イオウ(SO)、及び酸化ニッケル(NiO)からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の酸化物であることが好ましい。
本実施形態のガラス組成物は、PbO及びBiを原料として配合しないため、PbOの含有量は、不可避不純物レベルの1.5質量%以下であり、また、Biの含有量は、分析装置の検出限界値以下であるガラス組成物を得ることができる。
本実施形態のガラス組成物の製造方法を、以下に説明する。例えば、原料として(NHPO・3HO(純度95%)と、ZnO(純度99.9%)と、SrCO(純度99.99%)を用いて、各粉末を、酸化物換算でPを30〜45モル%、ZnOを45〜60モル%、SrOを5〜15モル%の配合量となるように秤量する。これらを混合した原料を、アルミナるつぼを用いて1200℃で1時間溶融する。得られた融液をカーボン板上に流し出し、冷却した後、粉砕用アルミナ乳鉢にて細かく粉砕し、#325メッシュの篩を用いて分級し、ガラス組成物の粉末を製造する。
[混合体]
本実施形態の混合体は、上記ガラス組成物に、黒色無機顔料を混合したものが好ましい。このような黒色無機顔料としては、酸化鉄(Fe)、酸化コバルト(CoO)、酸化マンガン(MnO)、酸化クロム(Cr)、及び酸化銅(CuO)からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の酸化物であることが好ましい。ガラス組成物に黒色無機顔料を混合して混合体とすることにより、遮蔽効果が向上するため、この混合体を電子部品の電極・抵抗体層等の上に塗布してガラス被覆層を形成させ、保護ガラスとして使用することにより、後述するトリミング(チップ抵抗器の精度向上のため、レーザで薄膜・厚膜の抵抗体層に切れ込みを入れることで抵抗値を調整すること)後の電子部品の見栄えを良好にすることができる。ガラス組成物に対する黒色無機顔料の混合量は5〜15質量%であるのが、遮蔽性の観点から好ましい。
本実施形態の混合体は、上記ガラス組成物の粉末と、黒色無機顔料の粉末とを所定の質量比になるように秤量し、ボールミル等を用いて大気中において1〜24時間混合して製造することができる。
[ペースト]
本実施形態のペーストは、上記ガラス組成物と、樹脂と、溶剤とを含有するものが好ましい。あるいは、上記混合体と、樹脂と、溶剤とを含有するものであってもよい。上記ガラス組成物又は上記混合体をペーストにすることにより、電子部品の電極・抵抗体層等の上に塗布してガラス被覆層を形成させることができる。このような樹脂としては、エチルセルロース(EC)やアクリル樹脂等の高分子樹脂が好ましく、また、溶剤としては、α−テルピネオールやブチルカルビトールアセテート等が好ましい。ペーストの各成分の配合比は、上記ガラス組成物又は上記混合体が70〜90質量%、樹脂が0.5〜15質量%、溶剤が5〜30質量%であることが好ましい。
このペーストは、上記ガラス組成物の粉末又は上記混合体と、溶剤に樹脂を溶解させたビークルとを擂潰機で混合した後、3本ロールで混練して製造することができる。
[電子部品]
本実施形態の電子部品は、上記ペーストを塗布し、焼成したガラス被覆層を有するものが好ましい。このような電子部品としては、チップ抵抗器やチップヒューズが挙げられる。
図2は、本発明のガラス被覆層を有するチップ抵抗器の一実施形態における断面図である。このチップ抵抗器1は、アルミナ基板2と、その上に設けられた上面電極3,3と、この上面電極3,3の一部及びアルミナ基板2上に設けられた抵抗体層4と、この抵抗体層4の上面及び側面を覆うように上面電極3,3及び抵抗体層4上に形成された1次ガラス5と、この1次ガラス5上に設けられた保護ガラス6と、上面電極3,3の上面の一部とアルミナ基板2の側面及び底面の一部を覆うように形成された側面電極7と、この側面電極7上に設けられたニッケルメッキ層8と、ニッケルメッキ層8上に設けられたスズメッキ層9とから構成されている。ここで、1次ガラス5と保護ガラス6とを合わせてガラス被覆層10と呼ぶ。
上面電極3,3としては、銀−パラジウム電極を、また、抵抗体層4としてはルテニウム酸化物を用いることができる。側面電極7としては、銀又は銀−パラジウム電極を用いることができる。
また、1次ガラス5としては、上記ガラス組成物からなるペーストを塗布し、焼成したものが好ましく、また、保護ガラス6としては、上記混合体からなるペーストを塗布し、焼成したものが好ましい。この1次ガラス5の厚さは、1〜10μmであるのが好ましい。また、保護ガラス6の厚さは、1〜10μmであるのが好ましい。
上面電極3,3及び抵抗体層4上にこれらのガラス被覆層10を設けることにより、側面電極7上にニッケルメッキ層8とスズメッキ層9とを形成させるためにチップをメッキ液に浸漬させた際の上面電極3,3及び抵抗体層4の溶出を減らして耐食性を向上させることができる。
また、抵抗体層4の上面及び側面に、上記ペーストを塗布し、焼成した1次ガラス5を設けることにより、抵抗体層4を物理的に保護することができる。また、この1次ガラス5の上からレーザーを照射してトリミングを行い抵抗値を修正するのだが、1次ガラス5を設けることにより、トリミング時の抵抗体層4へのクラック等のダメージを軽減することができる。
この1次ガラス5の上には、再度上記ペーストを塗布し、焼成して保護ガラス6を設けても、あるいは設けなくてもよい。この保護ガラス6には、上記黒色無機顔料が含まれているため、遮蔽性があり、トリミング後のレーザー焼けを隠し、チップ抵抗器1の見栄えを良好にすることができる。
このチップ抵抗器1は、一般に次のような工程を経て製造する。アルミナ基板2上に銀又は銀−パラジウムの導電ペーストを印刷・乾燥・焼成して、上面電極3,3を形成する。その後、上面電極3,3の上面の一部とアルミナ基板2の上にルテニウム系抵抗体ペーストを印刷・乾燥・焼成して、抵抗体層4を形成する。
この抵抗体層4の上面及び側面にガラスペーストをスクリーン印刷し・乾燥した後、約605℃で焼成して1次ガラス5を形成する。次いで、1次ガラス5の上からレーザーを照射して、この抵抗体層4の一部を破壊して抵抗値修正(トリミング)を行う。その後、1次ガラス5上に再度ガラスペーストを印刷・乾燥し、約500〜650℃で焼成して、保護ガラス6を形成する。
次に、上記のアルミナ基板2を小さなチップに切断し、ディッピング或いはローラ等によって、上面電極3,3の上面の一部とアルミナ基板2の側面及び底面の一部に銀又は銀−パラジウムの導電ペーストを塗布し、乾燥・焼成して、側面電極7を形成する。最後に、このチップをニッケルメッキ液に、ついでスズメッキ液に浸漬して、露出している側面電極7上に、半田付け時の電極食われ防止のためのニッケルメッキ層8とスズメッキ層9とをこの順で形成して、厚膜チップ抵抗器1を作製する。
また、図3は、本発明のガラス被覆層を有するチップヒューズの一実施形態における断面図である。このチップヒューズ20は、アルミナ基板2と、その上に設けられたガラスグレーズ層11と、このガラスグレーズ層11の一部の上に設けられたヒューズ導電体層12と、このヒューズ導電体層12の一部及びガラスグレーズ層11の上に設けられた上面電極3,3と、この上面電極3,3の上面の一部及びヒューズ導電体層12を覆うように形成された1次ガラス5と、この1次ガラス5上に設けられた保護ガラス6と、上面電極3,3の上面の一部とアルミナ基板2の側面及び底面の一部を覆うように形成された側面電極7と、この側面電極7上に設けられた銅メッキ層13と、銅メッキ層13上に設けられたニッケルメッキ層8と、ニッケルメッキ層8上に設けられたスズメッキ層9とから構成されている。ここで、1次ガラス5と保護ガラス6とを合わせて、チップ抵抗器の場合と同様にガラス被覆層10と呼ぶ。
ガラスグレーズ層11としては、アルミナ基板2より熱伝導率の低いガラスペーストを用いることができ、また、ヒューズ導電体層12としては金、銀等の導体材料を含む金属有機化合物を用いることができる。このヒューズ導電体層12の厚さは、0.5〜2μmであるのが好ましい。また、上面電極3,3又は側面電極7としては、銀又は銀−パラジウム電極を用いることができる。
また、1次ガラス5としては、上記ガラス組成物からなるペーストを塗布し、焼成したものが好ましく、また、保護ガラス6としては、上記混合体からなるペーストを塗布し、焼成したものが好ましい。この1次ガラス5の厚さは、1〜10μmであるのが好ましい。また、保護ガラス6の厚さは、1〜10μmであるのが好ましい。
ヒューズ導電体層12及び上面電極3,3上にこれらのガラス被覆層10を設けることにより、側面電極7上に銅メッキ層13、ニッケルメッキ層8、及びスズメッキ層9を形成させるためにチップをメッキ液に浸漬させた際のヒューズ導電体層12及び上面電極3,3の溶出を減らして耐食性を向上させることができる。
また、ヒューズ導電体層12上に、上記ペーストを塗布し、焼成した1次ガラス5を設けることにより、このヒューズ導電体層12を物理的に保護するのみならず、熱伝導率の低い1次ガラス5とガラスグレーズ層11とでヒューズ導電体層12を挟むことにより、ヒューズ導電体層12の過剰な温度上昇を防止することができる。
このチップヒューズ20は、一般に次のような工程を経て製造する。アルミナ基板2上に、これより熱伝導率の低いガラスペーストを印刷・乾燥した後、焼き付け処理を行い、ガラスグレーズ層11を形成する。次いで、このガラスグレーズ層11の表面に、金、銀等の導体材料を含む金属有機化合物を印刷・乾燥し、600〜800℃で焼成して、0.5〜2μm程度の厚さのヒューズ導体層12を形成する。
次いで、所定形状の溶極細部が形成されるように、ヒューズ導体層12のエッチング処理を行う。続いて、その上に銀又は銀−パラジウムの導電ペーストを印刷・乾燥・焼成して、上面電極を形成3,3を形成する。その後、上面電極3,3の上面の一部及びヒューズ導電体層12を覆うようにガラスペーストをスクリーン印刷し・乾燥した後、約500〜650℃で焼成して1次ガラス5を形成する。次いで、1次ガラス5の上に再度ガラスペーストを印刷・乾燥し、約500〜650℃で焼成して、保護ガラス6を形成する。
次に、上記のアルミナ基板2を小さなチップに切断し、ディッピング或いはローラ等によって、上面電極3,3の上面の一部とアルミナ基板2の側面及び底面の一部に銀又は銀−パラジウムの導電ペーストを塗布し、乾燥・焼成して、側面電極7を形成する。最後に、このチップを銅メッキ液、ニッケルメッキ液、ついでスズメッキ液に浸漬して、露出している側面電極7上に、半田付け時の電極食われ防止のための銅メッキ層13、ニッケルメッキ層8、スズメッキ層9をこの順で形成して、厚膜チップヒューズ20を作製する。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、下記実施例に何ら制限されるものではない。
[実施例1〜5]
原料の(NHPO・3HO、ZnO、SrCOを酸化物換算で表1に示す配合量(モル%)となるように秤量・混合した。その後、混合した原料をアルミナるつぼにて1200℃で1時間溶融した。
得られた融液をカーボン板上に流し出し、冷却した後、粉砕用アルミナ乳鉢にて細かく粉砕し、#325メッシュの篩を用いて分級し、ガラス組成物の粉末を得た。このガラス組成物中の各酸化物の含有量(質量%)を、原子吸光分析装置(AA−880Mk型、日本Jarrellash製)を用いて分析した。原料の配合量と、ガラス組成物中の各酸化物の含有量を、各々表1に示す。
Figure 2006137666
次いで、このガラス組成物の粉末と、α−テルピネオールにエチルセルロースを10質量%溶解させたビークルとを擂潰機で混合した後、3本ロールで混練し、ガラスペーストを得た。次いで、このガラスペーストをスクリーン印刷によりアルミナ基板上に塗布した後、150℃で10分間乾燥し、605℃で10分間焼成し、ガラス被覆層を作製した。
このようにして得られた焼成基板を所定の温度に保持された下記のNiメッキ液、Snメッキ液に各々浸漬させ、1時間毎、計3時間後までの基板の質量変化を測定した。この基板の質量の経時変化及びガラス被覆層の面積から、単位時間・単位面積当りの質量減少量DPL(10−2mg・hr−1・cm−2)を求めた。この結果を、各々表1に示す。
なお、Niメッキ液としては、スルファミン酸ニッケル(NiHSONH)、塩化ニッケル(NiCl・6HO)、ほう酸(HBO)、及び添加剤を所定量溶解させ、pHを4〜5に調整した溶液を用いた。また、Snメッキ液としては、第一スズ(Sn2+)、遊離アルカノールスルフォン酸(CHCH(OH)CHSOH)、ホルマリン(HCHO)、及び添加剤を所定量溶解させ、pHを5〜6に調整した溶液を用いた。
また、メッキ浴温度は、Niメッキ液では65℃、Snメッキ液では25℃とした。
[比較例1](硼珪酸鉛ガラス)
原料として、PbO、SiO、HBOを酸化物換算で表1に示す配合量(モル%)となるように秤量・混合した。実施例1と同様にして、ガラス組成物を作製し、実施例1と同様の分析装置で分析した。原料の配合量と、ガラス組成物中の各酸化物の含有量を、各々表1に示す。また、実施例1と同様にしてアルミナ基板上にこのペーストを塗布してガラス被覆層を作製し、Niメッキ液、Snメッキ液に浸漬させた際の質量減少量DPLを求めた。この結果を、表1に示す。
[比較例2](ビスマス系ガラス)
原料として、Bi、ZnO、Alを酸化物換算で表1に示す配合量(モル%)となるように秤量・混合した。実施例1と同様にして、ガラス組成物を作製し、実施例1と同様の分析装置で分析した。原料の配合量と、ガラス組成物中の各酸化物の含有量を、各々表1に示す。また、実施例1と同様にしてアルミナ基板上にこのペーストを塗布し、Niメッキ液、Snメッキ液に浸漬させた際の質量減少量DPLを求めた。この結果を、表1に示す。
表1の結果から、比較例1と実施例1〜5とを比較すると、比較例1のガラス組成物中のPbOの含有量が64質量%であるのに対し、実施例1〜5のガラス組成物のそれは、0.1質量%以下であることがわかった。また、比較例2と実施例1〜5とを比較すると、比較例2のガラス組成物中のBiの含有量が98質量%であるのに対し、実施例1〜5のそれは、検出限界値以下であった。
また、質量減少量DPLについて、Niメッキ液に対しては、実施例1は比較例1〜2の5倍程度の減少量であったが、実施例2〜5では1〜3倍程度と良好であることがわかった。また、Snメッキ液に対しても、実施例1は比較例2の6倍程度の減少量であったが、実施例2〜5では0.3〜1.5倍程度と良好であり、本発明のガラス組成物は、Niメッキ液及びSnメッキ液に対して、従来の硼珪酸鉛ガラスやビスマス系ガラスに劣らない耐食性を有することがわかった。
以上の結果から、本発明のガラス組成物、ペースト、及びガラス被覆層は、PbOとBiの含有量が0.1質量%以下であり、メッキ液に対する耐食性にも優れていることが確認された。
[実施例6〜10]
実施例6〜10は、原料の配合量(モル%)を、(NHPO・3HO、ZnO、BaCOを酸化物換算で表2に示す配合量(モル%)となるように秤量・混合した点において実施例1〜5と異なり、評価方法については実施例1〜5の場合と同様である。
原料の配合量、ガラス組成物中の各酸化物の含有量、及び質量減少量DPL(10−2mg・hr−1・cm−2)を、各々表2に示す。なお、表2に記載した比較例1、2については、表1に記載したものと同一である。
Figure 2006137666
表2の結果から、比較例1と実施例6〜10とを比較すると、比較例1のガラス組成物中のPbOの含有量が64質量%であるのに対し、実施例6〜10のガラス組成物のそれは、0.1質量%以下であることがわかった。また、比較例2と実施例6〜10とを比較すると、比較例2のガラス組成物中のBiの含有量が98質量%であるのに対し、実施例6〜10のそれは、検出限界値以下であった。
また、質量減少量DPLについて、Niメッキ液に対しては、実施例6は比較例1〜2の3〜5倍程度の減少量であったが、実施例7〜10では1〜3倍程度と良好であることがわかった。また、Snメッキ液に対しても、実施例6は比較例2の6倍程度の減少量であったが、実施例7〜10では0.3〜1.5倍程度と良好であり、本発明のガラス組成物は、Niメッキ液及びSnメッキ液に対して、従来の硼珪酸鉛ガラスやビスマス系ガラスに劣らない耐食性を有することがわかった。
以上の結果から、本発明のガラス組成物、ペースト、及びガラス被覆層は、PbOとBiの含有量が0.1質量%以下であり、メッキ液に対する耐食性にも優れていることが確認された。
[実施例11〜15]
実施例11〜15は、原料の配合量(モル%)を、(NHPO・3HO、ZnO、CaCOを酸化物換算で表3に示す配合量(モル%)となるように秤量・混合した点において実施例1〜5と異なり、評価方法については実施例1〜5の場合と同様である。原料の配合量、ガラス組成物中の各酸化物の含有量、及び質量減少量DPL(10−2mg・hr−1・cm−2)を、各々表3に示す。なお、表3に記載した比較例1、2については、表1に記載したものと同一である。
Figure 2006137666
表3の結果から、比較例1と実施例11〜15とを比較すると、比較例1のガラス組成物中のPbOの含有量が64質量%であるのに対し、実施例11〜15のガラス組成物のそれは、0.1質量%以下であることがわかった。また、比較例2と実施例11〜15とを比較すると、比較例2のガラス組成物中のBiの含有量が98質量%であるのに対し、実施例11〜15のそれは、検出限界値以下であった。
また、質量減少量DPLについて、Niメッキ液に対しては、実施例11は比較例1〜2の3〜5倍程度の減少量であったが、実施例12〜15では1〜3倍程度と良好であることがわかった。また、Snメッキ液に対しても、実施例11は比較例2の6倍程度の減少量であったが、実施例12〜15では0.3〜1.5倍程度と良好であり、本発明のガラス組成物は、Niメッキ液及びSnメッキ液に対して、従来の硼珪酸鉛ガラスやビスマス系ガラスに劣らない耐食性を有することがわかった。
以上の結果から、本発明のガラス組成物、ペースト、及びガラス被覆層は、PbOとBiの含有量が0.1質量%以下であり、メッキ液に対する耐食性にも優れていることが確認された。
本発明に係るガラス組成物の一実施形態における酸化リン(P)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ストロンチウム(SrO)の配合量とガラス化の可否を示す三角組成図である。 本発明のガラス被覆層を有するチップ抵抗器の一実施形態における断面図である。 本発明のガラス被覆層を有するチップヒューズの一実施形態における断面図である。
符号の説明
10 ガラス被覆層

Claims (8)

  1. 酸化リンの配合量が30〜45モル%、酸化亜鉛の配合量が45〜60モル%、及び酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、並びに酸化バリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ土類金属酸化物の配合量が5〜15モル%であることを特徴とするガラス組成物。
  2. 酸化亜鉛と酸化リンとの配合比(酸化亜鉛/酸化リン)が、1以上である請求項1記載のガラス組成物。
  3. 酸化リンと、酸化亜鉛と、酸化ストロンチウムと、1.5質量%以下の不可避不純物とを含有する請求項1又は2に記載のガラス組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス組成物に、黒色無機顔料を混合した混合体。
  5. 前記黒色無機顔料が、酸化鉄、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化クロム、及び酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の酸化物である請求項4記載の混合体。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス組成物と、樹脂と、溶剤とを含有するペースト。
  7. 請求項4又は5に記載の混合体と、樹脂と、溶剤とを含有するペースト。
  8. 請求項6又は7に記載のペーストを塗布し、焼成したガラス被覆層を有する電子部品。


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