JP2006137656A - 耐摩耗性に優れた製鋼スラグ骨材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 製鋼スラグをアスファルト用骨材やコンクリート用骨材として利用する際、スラグ骨材のすりへり減量が小さく、耐摩耗性に優れた製鋼スラグを提供する。
【解決手段】 製鋼スラグ中のP25の含有量を調整して、スラグ骨材としてのすりへり減量が小さく耐摩耗性に優れた製鋼スラグとするものであり、製鋼スラグをアスファルト用骨材あるいはコンクリート用骨材として利用する際に、耐摩耗性の向上を目的として、製鋼スラグ中のP25の含有量を、図2に示すように、質量%で0.5〜1.5%に調整したことで骨材のすりへり減量を15%以下とした、アスファルト用骨材あるいはコンクリート用骨材用の製鋼スラグである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えばアスファルト用骨材やコンクリート用骨材など耐摩耗性を要求される用途に利用する製鋼スラグに関するものである。
従来、製鋼スラグは、主に路盤材や地盤改良材、肥料や土壌改良剤として使用されてきた。しかし、これらの需要は低下しており、最近はアスファルト用骨材やコンクリート用骨材などの耐摩耗性を要求される用途としても利用されてきている。その際、骨材の重要な品質項目の一つが耐摩耗性の指標となるすりへり減量であり、これを向上させることによってアスファルトやコンクリートの耐摩耗性や耐久性を高めることができる。一般に、すりへり減量の小さな骨材は、堅硬ですりへり抵抗や耐久性に優れたものとなり、すりへり減量の大きな骨材は耐摩耗性や耐久性に劣る。
ところで、製鋼スラグの主要鉱物相はダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)であるが、ダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)は冷却時に相転移を起こし、体積膨張を生じる。この体積膨張によって比重が小さくなることおよび製鋼スラグに大きな圧力がかかりクラックが生じて脆くなることが原因ですりへり減量が悪化することが考えられる。
従来、製鋼スラグの中には、スラグ中のダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)が相転位を起こして体積膨張を生じ、ときには粉化するスラグもあり、適度な粒度が得られないために、道路用路盤材や土木用材として利用できない問題があった。そこで、これまでダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)の相転位を抑制し、粉化を防止するために様々な研究が行われてきた。
ダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)中にCr23やP25、V25、B25などを固溶していれば相転移が抑制されることが報告されており(例えば、非特許文献1参照。)、粉化防止のために以下のような方法が提案されている。それらは、粉化しやすい還元スラグにリン酸塩を含有する材料を添加する方法(例えば特許文献1参照。)や、ステンレススラグのような粉化するスラグに鉄とリンの化合物を混合して酸化性ガスがスラグ中へ入るようにする方法(例えば特許文献2参照。)など、スラグ中へのリン含有物の添加による粉化防止方法である。
これらの方法を利用して、リンをある一定量以上ダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)に固溶することによって、ダイカルシウムシリケートの相転位を抑制でき、スラグの粉化防止は達成できる。しかし、これらは粉化防止が主目的であり、スラグ中のリンの含有量とスラグ骨材のすりへり減量との関係については明らかにされていなかった。
製鋼スラグをアスファルト用骨材あるいはコンクリート用骨材として利用する場合、スラグ骨材のすりへり減量が耐摩耗性を保証するうえで重要な指標になるので、製鋼スラグ中のリンの含有量でスラグ骨材のすりへり減量が規定できれば、すりへり減量に優れた製鋼スラグを安定的に生産するのに有効な手段となる。
特開昭59−13651号公報 特開2002−211960号公報 鉄と鋼 第63年(1977)第8号 P.1256
本発明が解決しようとする課題は、製鋼スラグをアスファルト用骨材やコンクリート用骨材として利用する際、スラグ骨材のすりへり減量が小さく、耐摩耗性に優れた製鋼スラグを提供することである。
上記の課題を解決するための本発明の手段は、製鋼スラグ中のP25の含有量を調整して、スラグ骨材としてのすりへり減量が小さく耐摩耗性に優れた製鋼スラグを製造するものであり、製鋼スラグをアスファルト用骨材あるいはコンクリート用骨材として利用する際に、耐摩耗性の向上を目的として、製鋼スラグ中のP25の含有量を質量%で0.5〜1.5%に調整したことを特徴とするアスファルト用骨材あるいはコンクリート用骨材用の製鋼スラグである。
具体的には、製鋼スラグ中のP25の含有量を0.5〜1.5質量%に調整することによって製鋼スラグのすりへり減量を15%以下にする。好ましくは、製鋼スラグ中のP25の含有量を1.0〜1.5質量%に調整することによって、スラグ骨材のすりへり減量を10%以下にする。
本発明に基づいて製造された製鋼スラグをアスファルト用骨材やコンクリート用骨材に利用するとき優れた耐摩耗性および耐久性を有し、その結果、耐摩耗性および耐久性に優れたアスファルトやコンクリートの製造が可能となる。さらに、このように製鋼スラグの高品質化によって、低迷している製鋼スラグの需要を高めることが期待できる効果がある。
本発明における製鋼スラグは、通常、質量%で、CaOを30〜60%、SiO2を5〜20%、Al23を0〜30%、P25を0〜1.5%、T−Feを0〜40%、MgOを0〜15%、MnOを0〜10%、Cr23を0〜10%、TiO2を0〜5%程度含むものである。
この製鋼スラグの主要鉱物相はダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)であるが、ダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)は冷却時に相転移を起こし、体積膨張を生じる。本発明者はこの体積膨張が大きいものほど比重が小さくなることおよびスラグ内に大きな圧力がかかりクラックが生じるなど脆くなることが原因でスラグ骨材のすりへり減量が悪化すると考えた。
しかし、ダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)は、その中にCr23やP25、V25、B25などを固溶していれば、相転移は抑制されるという報告がある。したがって、スラグ中にリンの化合物を添加するなどしてリンの含有量を調整し体積膨張を制御することができれば、スラグ骨材のすりへり減量の悪化を軽減することができるのではないかと考えた。そこで、本発明者は、電気炉酸化スラグ、還元スラグ、あるいは、転炉スラグなどの製鋼スラグのP25の含有量とかさ比重およびすりへり減量との関係を調べた。
すりへり減量は、JIS規格A1121にしたがい測定を行った。その方法は、まず4.75〜13.2mmのふるいで整粒した試料(5000±10g)の質量m1(g)および鋼製の玉8個の全質量(3300±20g)を測定する。次に試料と玉をロサンゼルス試験機に入れて、毎分30〜33回の回転数で500回回転させる。そして試料を試験機から取り出し1.7mmのふるいでふるい、ふるいに残った試料を水で洗った後、105±5℃の温度で一定質量になるまで乾燥し、その試料の質量m2(g)を測定する。すりへり減量R(%)は次の式によって算出する。
R={(m1−m2)/m1}×100
かさ比重Dは、JIS規格A1110にしたがい測定した。すなわち1〜2kg程度の試料を24時間吸水させ、表面の水膜をぬぐった表乾状態の試料の質量B(g)を測定した後、水中での試料の質量C(g)を測定し、さらにその試料を一定の質量となるまで乾燥させたものの質量A(g)を測定して、以下の式によって算出した。
D=A/(B−C)
ところで、図1にP25の含有量とかさ比重の関係を示す。P25の含有量が多いほど比重は大きくなる。これは、P25の含有量が多いほどダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)の相転位が抑制され、体積膨張も小さくなり、また空隙も生じにくいためと考えられる。
図2にP25の含有量とすりへり減量の関係を示す。P25の含有量が多いほどすりへり減量は小さくなる。これは、上述したようにP25の含有量が多いほどダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)の相転位に伴う体積膨張が小さくなって比重が大きくなること、および体積膨張によって生じるスラグ内の圧力が小さくなることが原因ですりへり減量が小さくなると考えられる。
図2からわかるように、P25の含有量を0.5〜1.5質量%に調整すればすりへり減量を15%以下に抑制することができることを見出した。さらにP25の含有量を1.0〜1.5質量%に調整すればすりへり減量は10%以下に抑制することができることも見出した。すなわち、本発明を実施するための最良の形態は、製鋼スラグ中のP25の含有量を1.0〜1.5質量%に調整することであり、このことにより、スラグ骨材としてのすりへり減量を10%以下とするものである。
以下、本発明の実施例について表1に基づいて説明する。P25の含有量が異なる製鋼スラグのすりへり減量を表1に示す。
Figure 2006137656
表1において、実施例1〜6はP25の含有量が、質量%で、それぞれ0.63%、0.77%、0.81%、0.92%、0.93%、1.26%であり、比較例1、2はP25の含有量が、質量%で、それぞれ0.22%、0.088%である。実施例1〜6では、P25の含有量が、質量%で、0.50%以上であるため、すりへり減量は15%以下に抑制されている。特にP25の含有量が、質量%で、1.26%と多い場合、すりへり減量は8.4%と優れた値が得られた。一方、比較例1、2ではP25の含有量が、質量%で、0.50%以下であるため、すりへり減量が15%以上となった。特にP25の含有量が、質量%で、0.088%と少ない比較例2のスラグでは、すりへり減量は45.5%と非常に大きな値となった。
製鋼スラグにおけるP25含有量とかさ比重の関係を示すグラフである。 製鋼スラグにおけるP25含有量とすりへり減量の関係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 製鋼スラグをアスファルト用骨材あるいはコンクリート用骨材として利用する際に、耐摩耗性の向上を目的として、製鋼スラグ中のP25の含有量を質量%で0.5〜1.5%に調整したことを特徴とするアスファルト用骨材あるいはコンクリート用骨材用の製鋼スラグ。
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