JP2006129644A - モータ駆動システムの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 3以上の電位を出力するマルチ出力直流電源(10)と、この電源の出力電圧を変換した電圧をモータに印加することでこのモータを駆動する電力変換装置(30)とで構成されるモータ駆動システムの制御装置(40)であって、前記モータに印加する電圧の指令値を生成する電圧指令値生成手段と、前記電圧指令値生成手段から出力される電圧指令値に基づき、前記マルチ出力直流電源の各出力電位に対応した複数の電圧指令値からなる電圧指令値群を生成する電圧分配手段(44)と、前記電圧分配手段が出力される前記電圧指令値群に基づいて各直流電源に対応したスイッチング素子(30U,30V,30W)を各々駆動し、前記電圧指令値群に応じたパルス状電圧を生成するパルス状電圧生成手段(47)とをそなえることを特徴とする制御装置(40)を提供する。
【選択図】図2
Description
・DC-DCコンバータを使用しているため、システムのサイズが大きくなるとともに、コストが高い。
・バッテリ電圧はDC-DCコンバータで変換したうえでさらにインバータで変換を行いモータに印加されるため損失が大きい。
以上の点を鑑みて、本発明は、複数電源を用いたモータ駆動システムを、より低損失で、より小型に、より低コストにしつつ、各電源から供給する電力を任意の値に制御可能とするモータ駆動システムの制御装置を提供するものである。
3以上の電位を出力するマルチ出力直流電源と、この電源の出力電圧を変換した電圧をモータに印加することでこのモータを駆動する電力変換装置とで構成されるモータ駆動システムの制御装置であって、
前記モータに印加する電圧の指令値を生成する電圧指令値生成手段と、
前記電圧指令値生成手段から出力される電圧指令値に基づき、前記マルチ出力直流電源の各出力電位に対応した複数の電圧指令値からなる電圧指令値群を生成する電圧分配手段と、
前記電圧分配手段が出力される前記電圧指令値群に基づいて各直流電源に対応したスイッチング素子を各々駆動し、前記電圧指令値群に応じたパルス状電圧を生成するパルス状電圧生成手段と、
をそなえることを特徴とする。
前記パルス状電圧生成手段が、
PWMパルスを生成する手段であって、前記マルチ出力直流電源から出力される各出力電圧(マルチ出力直流電源電圧)から、それぞれのPWMパルスを生成する(各出力電圧から各PWMパルスを生成する)、
ことを特徴とする。
前記パルス状電圧生成手段が、
PWMを行う1周期Tpにおいて、前記マルチ出力電源から出力される複数の出力電圧それぞれから複数のPWMパルスを生成するように構成されている、
ことを特徴とする。
前記マルチ出力直流電源から出力される出力電位は3(即ち出力電圧は2)である、ことを特徴とする。
PWM1周期Tpにおいて、前記マルチ出力直流電源から出力される2つの出力電圧Vdc1、Vdc2から生成される各PWMパルスの生成時間Tp1、Tp2は、その比率Tp1:Tp2が一定である、
ことを特徴とする。
前記電圧指令値生成手段が、
前記マルチ出力直流電源電圧のそれぞれの出力部から供給すべき電力の目標値である分配電力目標値に応じて前記電圧指令値群を生成し、
前記各PWMパルスの生成時間Tp1、Tp2が、それぞれが対応する分配電力目標値の大きさに連動して変化させられる、
ことを特徴とする。
前記各PWMパルスの時間Tp1、Tp2が、それぞれが対応する分配電力目標値の大きさに比例させて求められる、或いは少なくとも比例演算を行って求められる、
ことを特徴とする。
前記各PWMパルスの生成時間Tp1、Tp2に対して、上限、下限のリミッタが設けられている(所定の範囲内におさまるように調整される)、
ことを特徴とする。
前記各PWMパルスの一方は、1PWM周期の中央部にオンパルスが生成され、前記各PWMパルスの他方は1PWM周期の両端部にオンパルスが生成される、
ことを特徴とする。
前記各PWMパルスの一方のオンパルスと、前記各PWMパルスの他方のオンパルスとが、互いに隣接するように生成される、
ことを特徴とする。
前記各PWMパルスの一方のオンパルスが1PWM周期の端部に生成され、前記各PWMパルスの他方のオンパルスが、前記1PWM周期の前後の各周期において、この1PWM周期側の端部に生成される、
ことを特徴とするモータ駆動システムの制御装置。
前記マルチ出力直流電源の各出力電圧の一方の電圧Vdc1からPWMパルスを生成するための第1のノコギリ波キャリアと、他方の電圧Vdc2からPWMパルスを生成するための第2のノコギリ波キャリアとを使用し、
前記第1のノコギリ波キャリアと前記第2のノコギリ波キャリアとの各頂点が一致した対称波形となるように調整されている(即ち、一方のキャリアの最大値点(または最小値点)と他方のキャリアの最小値点(または最大値点)の位相が一致するような対称波形となるように制御する、或いはこのような対称波形となるように制御されたキャリアを外部から受信して使用する)、
ことを特徴とする。
前記マルチ出力直流電源の各出力電圧の一方の電圧Vdc1からPWMパルスを生成するための第1のキャリアと、他方の電圧Vdc2からPWMパルスを生成するための第2のキャリアとを使用し、
前記第1のキャリアと前記第2のキャリアの位相が反転している、
ことを特徴とする。
前記電圧指令値群を構成する電圧指令値であって、前記マルチ出力直流電源から出力される出力電圧Vdc1から生成される電圧の指令値v21*と、Vdc2から生成される電圧の指令値であるv22*は、それぞれVdc1、Vdc2による正規化と、Vdc1、Vdc2それぞれから供給する電力の目標値である分配電力目標値rto_pa、rto_pbに応じた修正とが施された値である第1の瞬時変調率m21_c*、第2の瞬時変調率m22_c*に変換され、それらがそれぞれ第1のキャリア、第2のキャリアと比較されることでPWMパルスが生成される、
ことを特徴とする。
前記第1の瞬時変調率m21*、第2の瞬時変調率m22*が、前記分配電力目標値rto_pa、rto_pbと前記マルチ出力直流電源の出力電圧Vdc1、Vdc2に応じたオフセット量を加算する処理の少なくとも1つを行って得られた値に応じた値に設定される、
ことを特徴とする。
第1の実施例
図2は、本発明の第1の実施例によるモータ駆動システムの制御装置の機能ブロック図である。本実施例では、直流電源10aと直流電源10bとで構成されるマルチ出力直流電源10と、この電源の電圧を用いてモータに印加する電圧を生成する電力変換器30と、モータ20と、電力変換器30を駆動することでモータ20のトルクを制御しつつ、直流電圧源10a、10bそれぞれから供給される電力の分配比率を制御する制御装置40とで構成される。
モータ20は3相交流モータである。このモータは、後述する電力変換器30から出力される交流電圧により駆動される。
電力変換器30は、マルチ出力直流電源10から出力される3つの電位の電圧をもとに、モータに印加する電圧を生成する直流-交流電力変換器である。この電力変換器は、図4に示すように各相同じ構成のスイッチ手段で構成されている。U相のスイッチ手段30Uを使って説明する。このスイッチは、モータ20のU相に出力する電圧を生成するスイッチ手段である。GND電位、Vdc_a、Vdc_bのなかから択一的に接続するスイッチであり、各電位に接続する時間の割合を変化させることで、モータに必要な電圧を供給する。V相のスイッチ手段30V、W相のスイッチ手段30Wも同様である。
モータのトルクを指令値どおりに制御しつつ、電源10aから供給される電力Paと電源10bから供給される電力Pbの割合を変更するには以下の2つの条件を満たせば良い。
1.電圧条件
Vu*=Vu_a*+Vu_b*
Vv*=Vv_a*+Vv_b*
Vu*=Vw_a*+Vw_b*
2.電力条件
Pa:Pb=Vu_a*:Vu_b*
Pa:Pb=Vv_a*:Vv_b*
Pa:Pb=Vw_a*:Vw_b*
1.電圧条件
V*=Va*(Vu_a*、Vv_a*、Vw_a*)+Vb*(Vu_b*、Vv_b*、Vw_b*)
2.電力条件
Pa:Pb=sgn(Va*)|Va*(Vu_a*、Vv_a*、Vw_a*)|
:sgn(Vb*)|Vb*(Vu_b*、Vv_b*、Vw_b*)|
ただし、sgn(Va*)、sgn(Vb*)は、電圧ベクトルVと同じ方向を1、反対方向を−1と定義する。
また、電圧ベクトルで表記すると、図9、図11のようになる。
P=Pa+Pb
である。
ここで、
Pa=rto_pa・P
Pb=rto_pb・P
と定義する。ただし、
rto_pa=Pa/P
rto_pb=Pb/P
である。
vu_a*=rto_pa・vu*
vu_b*=rto_pb・vu*
vv_a*=rto_pa・vv*
vv_b*=rto_pb・vv*
vw_a*=rto_pa・vw*
vw_b*=rto_pb・vu*
図3Aは、図2の45〜47の手段で構成される部分を抜き出した機能ブロック図である。図5は、図3A(及び後で説明する図3B)の各手段で行う演算をフローチャートで示したものである。図6Aは、第1の実施例によるPWMパルスの生成方法を示すタイミングチャートである。以下の説明は、U相についてのみ行うが、V相、W相についても全く同様の操作を行う。
手段45では、図5に示す演算2を行う。U相の電源10a分電圧指令vu_a*、電源10b分電圧指令vu_b*をそれぞれの直流電圧の半分の値で正規化することで電源10a分瞬時変調率指令mu_a*、電源10b分瞬時変調率指令mu_b*を求める。
mu_a*=vu_a*/(Vdc_a/2)
mu_b*=vu_b*/(Vdc_b/2)
手段46では、図5に示す演算3を行う。電源10a分瞬時変調率指令mu_a*、電源10b分瞬時変調率指令mu*_bから0.5を減算することで最終的な瞬時変調率指令mu_a_c*、mu_b_c*を求める。
mu_a_c*=mu_a*―0.5
mu_b_c*=mu_b*―0.5
手段47では、図5に示す演算4を行う。図6Aを用いてその動作を説明する。まず、電源10aの電圧Vdc_aから最終的な電源10a分瞬時変調率指令mu_a_c*に基づいてPWMパルスを生成する際に用いる電源10a用キャリアと、最終的な電源10b分瞬時変調率指令mu_b_c*から電源10b分電圧指令に基づいてPWMパルスを生成する際に用いる電源10a用キャリアがあり、これらの位相は反転するように調整されている。
mu_a_c*と電源10a用キャリアとを比較してvu_pwm1を生成する。また、mu_b_c*と電源10b用キャリアとを比較してvu_pwm2を生成する。そして、vu_pwm1、vu_pwm2、vu_pwm3(vu_pwm1とvu_pwm2のNOR)が生成される。これらの信号が図4におけるSW1、SW2、SW3に加えられる。
Tp1=Tp2=Tpwm/2
である。
また、キャリアを反転させているため、電源10aから生成されるvu_pwm1のオンパルスは1PWM周期の始まりと終わりの両端部に発生し、電源10bから生成されるvu_pwm2のオンパルスは1PWM周期の中央部に発生する。従って。それぞれのONデュティが0〜100%なる範囲すべてのパルスを生成することができる。
以上の演算により、PWMパルスが生成される。
以上説明してきたように、本実施例では、モータトルクをトルク指令どおりの値に制御しながら、電源10aと電源10bから供給する電力の割合を指令値どおりに制御することができる。
図3Bは、第2の実施例による機能ブロック図である。図6Bは、第2の実施例によるPWMパルスの生成方法を示すタイミングチャートである。本実施例が、第1実施例と異なるのはPWMパルス生成手段47aである。図5のフローチャートに示してある各演算を行うが、PWM生成手段47aで行われる演算が実施例とは以下のように異なる。
PWMパルス生成手段47a
手段47aでは、図5に示す演算4を行う。図6Bを用いてその動作を説明する。まず、電源10a用キャリアは、電源10a用の電圧Vdc_aから
電圧パルスを出力するために、各スイッチを駆動するPWMパルスを生成するためのノコギリ波キャリアであり、同様に、電源10b用のキャリアとしてノコギリ波キャリアを設ける。これらの2つのノコギリ波キャリアは、上限+1、下限−1の値を取る、頂点が一致した対称波形に調整されたものである。
電源10a分瞬時変調率指令mu_a_c*と電源10b用キャリアとを比較し、vu_pwm1を生成する。比較時のvu_pwm1生成は次のように行う。
mu_a_c* > 電源10a用キャリア ならば vu_pwm1=オン
mu_a_c* ≦ 電源10a用キャリア ならば vu_pwm1=オフ
また、同様に、vu_pwm2生成は次のように行う。
mu_b_c* > 電源10b用キャリア ならば vu_pwm2=オン
mu_b_c* ≦ 電源10b用キャリア ならば vu_pwm2=オフ
このようにして、vu_pwm1、vu_pwm2、vu_pwm3(vu_pwm1とvu_pwm2のNOR)が生成される。これらの信号が図4のSW1〜3に加えられる。
この方法により、1PWM周期Tpwmの半分が電源10a分瞬時変調指令mu_a_c*に基づいて生成されるパルスに割り当てられる時間Tp1となり、残り半分が電源10b分瞬時変調率指令mu_b_c*に基づいて生成されるパルスに割り当てられる時間Tp2となる。つまり、
Tp1=Tp2=Tpwm/2
である。
図15は、本発明の第3の実施例によるモータ駆動システムの制御装置の機能ブロック図である。本実施例が第1の実施例と異なるのは、変調率補正手段46aである。他の部分は第1の実施例と同様である。第1実施例では、電源10a分電圧指令から生成するパルスに割り当てる時間Tp1と電源10b分電圧指令から生成するパルスに割り当てる時間Tp2と1PWM周期Tpwmの関係をTp1=Tp2=Tpwm/2としたが、本実施例では2つの分配電力指令値rto_paとrto_pbの大きさに応じてTp1、Tp2を変化させるようにすることで、二つの分配電力目標値rto_paとrto_pbの大きさが大きく異なる場合に、直流電源電圧を有効に利用できるようにしている。
以下、図7、図13、図14を用いて説明する。
図7は、図15の一部を抜き出した機能ブロックである、即ち、第3の実施例による機能ブロック図である。図7の手段46aでは、図13に示す演算3aを行う。電源10a分瞬時変調率指令mu_a*、電源10b分瞬時変調率指令mu*_bに分配電力目標値の大きさに応じた値を乗じるとともにオフセット値を減算することで、分配電力目標値の大きさが大きい電源から生成する電圧を大きくできるようにしている。
手段47では、図13に示す演算4を行う。図14を用いてその動作を説明する。演算は第1の実施例のPWMパルス生成手段47と全く同様であるが、変調率補正手段46の出力mu_a_c*、mu_b_c*が第1の実施例と異なるため、生成されるPWMパルスが異なる。第1の実施例では、電源10a分瞬時変調率指令mu_a_c*に基づいて生成されるパルスに割り当てられる時間Tp1と電源10a分瞬時変調率指令mu_a_c*に基づいて生成されるパルスに割り当てられる時間Tp2とがTpwm/2に固定されてパルスを生成したが、本実施例ではTp1とTp2がそれぞれ出力電圧分配比に応じて変化するようにした。このようにすることによって、大きな電力を取り出す電源から生成するパルスのオン時間を最大1PWM周期時間まで大きくし、小さな電力を取り出す電源から生成するパルスのオン時間を0まで小さくすることができるので、2つの分配出力電力目標値の大きさの比が大きく異なる場合にも電源電圧を有効に利用することができる。
例えば、
rto_pa’= rto_pa (rto_pa<-0.2、0.2<rto_pa<0.8)
0.8(0.8=<rto_pa)
0.2(-0.2=<rto_pa<=0.2)
rto_pb’= rto_pb (rto_pb<-0.2、0.2<rto_pb<0.8)
0.8(0.8=<rto_pb)
0.2(-0.2=<rto_pb<=0.2)
とする。このようにすれば、どちらかの電源から生成されるパルスが消滅することがなくなり、スイッチング回数の減少により可聴音の問題が発生することを防止できる。
以上説明してきたように、本実施例では、Tp1とTp2がそれぞれ出力電圧分配比に応じて変化するようにしたので、2つの分配出力電力目標値の大きさの比が大きく異なる場合にも電源電圧を有効に利用することができる。
図18Aは、第4の実施例による機能ブロック図である。図19は、図18A(及び後で説明する図18B)の各手段で行う演算をフローチャートで示したものである。図20Aは、PWMパルスの生成方法を示すタイミングチャートである。
本実施例が、第3実施例と異なるのは変調率補正手段46a(演算3b)である。本実施例では、図19の演算3bのように瞬時変調率を補正する際に、分配出力電力目標値に加え、直流電源の電圧による補正も行うことで、電源電圧を有効に利用できるようにした。第4の実施例は、以下に述べる第5の実施例と同様の演算が行われるが、入力するキャリアが異なるため出力される各信号が異なるものとなる。処理の詳細は第5の実施例を参照されたい。
図18Bは、第5の実施例による機能ブロック図である。図20Bは、PWMパルスの生成方法を示すタイミングチャートである。本実施例が第1の実施例と異なるのは変調率補正手段46b(演算3b)である。他の部分は、第1の実施例と同様である。
変調率補正手段46b
手段46bでは、図19に示す演算3bを行う。この演算では、電源電圧Vdc_a、Vdc_bと分配電力目標値rto_paとrto_pbとを用いて、次の式に基づいて変調率の補正を行う。
このように、電源10a分瞬時変調率指令mu_a*、電源10b分瞬時変調率指令mu_b*に分配電力目標値の大きさに応じた値を乗じるとともにオフセット値を減算することで、分配電力目標値の大きさが大きい電源から生成する電圧を大きくできるようにしてある。
手段47aでは、図19に示す演算4を行う。図20Aを用いてその動作を説明する。演算は第1の実施例のPWMパルス生成手段47と全く同様であるが、変調率補正手段46bの出力mu_a_c*、mu_b_c*が第1の実施例と異なるため、生成されるPWMパルスが異なる。第1の実施例では、電源10a分瞬時変調率指令mu_a_c*に基づいて生成されるパルスに割り当てられる時間Tp1と電源10a分瞬時変調率指令mu_a_c*に基づいて生成されるパルスに割り当てられる時間Tp2とがTpwm/2に固定されてパルスを生成したが、本実施例ではTp1とTp2がそれぞれ出力電圧分配比に応じて変化するようにした。このようにすることによって、大きな電力を取り出す電源から生成するパルスのオン時間を最大1PWM周期時間まで大きくし、小さな電力を取り出す電源から生成するパルスのオン時間を0まで小さくすることができるので、2つの分配出力電力目標値の大きさの比が大きく異なる場合にも電源電圧を有効に利用することができる。
分配電力目標値が、rto_pa=1、rto_pb=0のとき、vu_pwm2は、常にオフとなり、vu_pwm1とvu_pwm3のパルスが生成される。このときも、SW1とSW3のスイッチング周波数は変化しないため、電磁的な騒音が増加することがない。
以上説明してきたように、本実施例では、Tp1とTp2がそれぞれ出力電圧分配比に応じて変化するようにしたので、2つの分配出力電圧目標値の大きさの比が大きくなる場合にも電源電圧を有効に利用することができる。
図16、は第3実施例を燃料電池車両に適用した例である。燃料電池は、回生電力を受け入れることができないこと、動作点により効率が変化すること、応答性が良好でないことなどから、燃料電池とバッテリの電力を適切な配分で使用することが良いとされている。本実施例では、外部より与えられた分配電力目標値に従った電力を燃料電池とバッテリから供給することができる。従って、効率の観点から最適な電力分配指令が与えられた場合には高効率にモータ駆動することができ、回生の場合には電力分配指令を全電力がバッテリに戻るように設定すれば、全ての電力をバッテリに回生することができるなど、状況にあった電力分配を行うことができる。本実施例では、半導体スイッチによる電圧の直接変換を行っているので、DC-DCコンバータを用いる従来例(図1)と比べ、大幅な小型化・低損失化することができる。
例えば、以上の説明では、図4に示すようにマルチ出力直流電源が単一出力電源の低電位側を共通電位にした構成のものに対応する電力変換器の例のみを示した。しかし、本発明はこのような構成の電力変換器に限定されるものではない。例えば、図17に示すような単一電源の高電位側が共通電位にされた構成のマルチ出力直流電源に対応した電力変換器であっても良い。また、マルチ出力直流電源を構成する単一出力電源は、コンデンサでもよい。
図16は、本発明による制御システムを燃料電池とバッテリとを併用する電動車両に適用した構成を示す図である。図に示すように、本発明はこのような電動車両に用いることが好適である。
10a,10b 直流電源
20 モータ
30 電力変換器
30U,30V,30W スイッチ手段
40 制御装置
41 トルク制御手段
42 電流制御手段
43 dq/3相電圧変換手段
44,44a 電圧分配手段
45 変調率演算手段
46,46a,46b 変調率補正手段
47,47a,47b PWMパルス生成手段
48 3相/dq変換手段
Claims (15)
- 3以上の電位を出力するマルチ出力直流電源と、この電源の出力電圧を変換した電圧をモータに印加することでこのモータを駆動する電力変換装置とで構成されるモータ駆動システムの制御装置であって、
前記モータに印加する電圧の指令値を生成する電圧指令値生成手段と、
前記電圧指令値生成手段から出力される電圧指令値に基づき、前記マルチ出力直流電源の各出力電位に対応した複数の電圧指令値からなる電圧指令値群を生成する電圧分配手段と、
前記電圧分配手段が出力される前記電圧指令値群に基づいて各直流電源に対応したスイッチング素子を各々駆動し、前記電圧指令値群に応じたパルス状電圧を生成するパルス状電圧生成手段と、
をそなえることを特徴とするモータ駆動システムの制御装置。 - 請求項1に記載のモータ駆動システムの制御装置において、
前記パルス状電圧生成手段は、
PWMパルスを生成する手段であって、前記マルチ出力直流電源から出力される各出力電圧から、それぞれのPWMパルスを生成する、
ことを特徴とするモータ駆動システムの制御装置。 - 請求項1または2に記載のモータ駆動システムの制御装置において、
前記パルス状電圧生成手段は、
PWMを行う1周期Tpにおいて、前記マルチ出力電源から出力される複数の出力電圧それぞれから複数のPWMパルスを生成するように構成されている、
ことを特徴とするモータ駆動システムの制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のモータ駆動システムの制御装置において、
前記マルチ出力直流電源から出力される出力電位は3である、
ことを特徴とするモータ駆動システムの制御装置。 - 請求項4に記載のモータ駆動システムの制御装置において、
PWM1周期Tpにおいて、前記マルチ出力直流電源から出力される2つの出力電圧Vdc1、Vdc2から生成される各PWMパルスの生成時間Tp1、Tp2は、その比率Tp1:Tp2が一定である、
ことを特徴とするモータ駆動システムの制御装置。 - 請求項4に記載のモータ駆動システムの制御装置において、
前記電圧指令値生成手段は、
前記マルチ出力直流電源電圧のそれぞれの出力部から供給すべき電力の目標値である分配電力目標値に応じて前記電圧指令値群を生成し、
前記各PWMパルスの生成時間Tp1、Tp2は、それぞれが対応する分配電力目標値の大きさに連動して変化させられる、
ことを特徴とするモータ駆動システムの制御装置。 - 請求項4に記載のモータ駆動システムの制御装置において、
前記各PWMパルスの時間Tp1、Tp2が、それぞれが対応する分配電力目標値の大きさに比例させて求められる、或いは少なくとも比例演算を行って求められる、
ことを特徴とするモータ駆動システムの制御装置。 - 請求項6または7に記載のモータ駆動システムの制御装置において、
前記各PWMパルスの生成時間Tp1、Tp2に対して、上限、下限のリミッタが設けられている、
ことを特徴とするモータ駆動システムの制御装置。 - 請求項5〜8のいずれか1項に記載のモータ駆動システムの制御装置において、
前記各PWMパルスの一方は、1PWM周期の中央部にオンパルスが生成され、前記各PWMパルスの他方は1PWM周期の両端部にオンパルスが生成される、
ことを特徴とするモータ駆動システムの制御装置。 - 請求項5〜8のいずれか1項に記載のモータ駆動システムの制御装置において、
前記各PWMパルスの一方のオンパルスと、前記各PWMパルスの他方のオンパルスとが、互いに隣接するように生成される、
ことを特徴とするモータ駆動システムの制御装置。 - 請求項5〜8、10のいずれか1項に記載のモータ駆動システムの制御装置において、
前記各PWMパルスの一方のオンパルスが1PWM周期の端部に生成され、前記各PWMパルスの他方のオンパルスが、前記1PWM周期の前後の各周期において、この1PWM周期側の端部に生成される、
ことを特徴とするモータ駆動システムの制御装置。 - 請求項5〜8、10、11のいずれか1項に記載のモータ駆動システムの制御装置において、
前記マルチ出力直流電源の各出力電圧の一方の電圧Vdc1からPWMパルスを生成するための第1のノコギリ波キャリアと、他方の電圧Vdc2からPWMパルスを生成するための第2のノコギリ波キャリアとを使用し、
前記第1のノコギリ波キャリアと前記第2のノコギリ波キャリアとの各頂点が一致した対称波形となるように調整されている、
ことを特徴とするモータ駆動システムの制御装置。 - 請求項5〜12のいずれか1項に記載のモータ駆動システムの制御装置において、
前記マルチ出力直流電源の各出力電圧の一方の電圧Vdc1からPWMパルスを生成するための第1のキャリアと、他方の電圧Vdc2からPWMパルスを生成するための第2のキャリアとを使用し、
前記第1のキャリアと前記第2のキャリアの位相が反転している、
ことを特徴とするモータ駆動システムの制御装置。 - 請求項13に記載のモータ駆動システムの制御装置において、
前記電圧指令値群を構成する電圧指令値であって、前記マルチ出力直流電源から出力される出力電圧Vdc1から生成される電圧の指令値v21*と、Vdc2から生成される電圧の指令値であるv22*は、それぞれVdc1、Vdc2による正規化と、Vdc1、Vdc2それぞれから供給する電力の目標値である分配電力目標値rto_pa、rto_pbに応じた修正とが施された値である第1の瞬時変調率m21_c*、第2の瞬時変調率m22_c*に変換され、それらがそれぞれ第1のキャリア、第2のキャリアと比較されることでPWMパルスが生成される、
ことを特徴とするモータ駆動システムの制御装置。 - 請求項5〜14のいずれか1項に記載のモータ駆動システムの制御装置において、
前記第1の瞬時変調率m21*、第2の瞬時変調率m22*は、前記分配電力目標値rto_pa、rto_pbと前記マルチ出力直流電源の出力電圧Vdc1、Vdc2に応じたオフセット量を加算する処理の少なくとも1つを行って得られた値に応じた値に設定される、
ことを特徴とするモータ駆動システムの制御装置。
Priority Applications (3)
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